JP2004266170A - プリント配線基板用積層体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】新規プリント配線基板用積層体の製造方法の提供。
【解決手段】本発明は少なくとも一方の表面に導電層を設けた絶縁基板(A)上に、液状樹脂組成物(B)を塗布する工程(I)、塗布された前記液状樹脂組成物(B)を乾燥させて、樹脂組成物の塗膜からなる中間層(B’)を形成する工程(II)、及び前記中間層(B’)上にドライフィルムレジスト(C)を貼付する工程(III )を含むプリント配線基板用積層体の製造方法において、前記液状樹脂組成物(B)が溶媒として水を含むものであることを特徴とするプリント配線基板用積層体の製造方法に関する。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明は少なくとも一方の表面に導電層を設けた絶縁基板(A)上に、液状樹脂組成物(B)を塗布する工程(I)、塗布された前記液状樹脂組成物(B)を乾燥させて、樹脂組成物の塗膜からなる中間層(B’)を形成する工程(II)、及び前記中間層(B’)上にドライフィルムレジスト(C)を貼付する工程(III )を含むプリント配線基板用積層体の製造方法において、前記液状樹脂組成物(B)が溶媒として水を含むものであることを特徴とするプリント配線基板用積層体の製造方法に関する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント配線基板用積層体、及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、基板とレジスト層との密着性に優れ、断線や短絡等による不良率が低減されたプリント配線基板用積層体、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリント配線基板の製造方法は各種知られているが、その簡便さからドライフィルムレジストを用いる方法が主流となっている。すなわち銅張り積層板等の基板にドライフィルムレジストを貼付した後、紫外線照射、現像、エッチング等の工程を経て所定のプリント配線板が製造される。この方法は他の方法に比べ解像度が低く、導電回路の線とその間すなわちラインアンドスペース(以下、L/Sと記載することがある。)が100μm以下のファインパターンの形成が困難という問題がある(例えば、特許文献1を参照のこと。)。
【0003】
また、ドライフィルムレジストと銅張り積層板の密着性を向上させるため、銅表面の表面粗さが3〜10μm程度のものを用いる方法が通常行われている(例えば特許文献2を参照のこと。)。しかしながら、このような表面粗さを有する基板をL/Sが100μm以下のファインパターンの形成に用いる場合には、やはり前記問題は解決されず、エッチング後のパターン直線性に劣り、各種問題を引き起こす原因となる。
【0004】
L/Sが100μm以下のファインパターンの形成に、表面粗度2.5μm以下の銅箔を使用することが提案されているが(例えば、特許文献3を参照のこと。)、ドライフィルムレジストを用いた場合には、レジストと銅の密着強度が低下するという問題は不可避である。さらに銅箔上に傷や凹凸が存在すると、部分的に銅との密着が不充分となり、やはりエッチング後のパターン直線性に劣る、又は回路の導通不良や短絡などの問題を引き起こすことになる。
【0005】
プリント配線板の他の製造方法としては、前記ドライフィルムレジストの代わりに液状レジストを用いる方法が知られている。すなわち銅張り積層板等の基盤に液状レジストを塗布、乾燥した後、紫外線照射、現像、エッチング等の工程を経て所定のプリント配線板が製造される。この方法では前記ドライフィルムレジストを用いる方法の問題点をある程度解消できるものの、レジスト膜の厚さを制御することが困難、及び均一な厚さのレジスト膜を形成することが困難という問題がある。従って、この方法もファインパターンの形成に対しては未だ改善の余地がある。
【0006】
また、当該方法をスルーホールのある基板に適用すると、スルーホールのエッジ部への液状レジストの塗布が不十分となる、気泡の巻き込み等により液状レジストがスルーホール中に十分に行き渡らない、あるいはスルーホール中に液だまりができるという問題が発生する。この場合にはスルーホール中のレジストで被覆されていない個所や、エッジ部がエッチングされてしまい、導通不良の原因となることがある。さらにアスペクト比の大きいスルーホールを有する基板の場合には、紫外線等がスルーホールの内部まで十分に到達せずに硬化不良を引き起こし、同様に導通不良をもたらすことになる。
【0007】
尚、当該方法を、めっきスルーホールのある基板に適用するために、予めスルーホールを穴埋めインクで充填した後に液状レジストを塗布する穴埋め法が採用されている。ここでは通常の液状レジストを使用する場合に比較して、穴埋めインクの充填硬化工程、研磨工程と付加的な工程を必要とするため、生産効率の低下は不可避である。また、ここで使用される穴埋めインクが液状レジストに由来するレジスト層を溶解させることがあり、スルーホール孔の縁部でレジスト層が薄くなり、スルーホール保護の信頼性に乏しいという課題があった。
【0008】
尚、前記ドライフィルムレジストと液状レジストを併用する方法も提案されており(例えば、特許文献4を参照のこと。)、ここでは基板に液状のレジスト組成物を塗布した後、直ちにドライフィルムレジストを貼合する方法が開示されており、基板の傷、凹み等に対するドライフィルムの追従性の低さを補完できる、すなわち密着性を改良できることが記載されている。
【0009】
しかしながら、当該方法では、液状レジストの乾燥工程を経ずにドライフィルムレジストを貼合するため、過剰の液状レジストによる装置の汚染が問題となる。したがって、この過剰の液状レジストを機械的又は化学的に除去する工程が必要となる上に、その除去による効果も十分とは言いがたい。
【0010】
また、液状レジストの乾燥を行わずにドライフィルムレジストを貼合しているため、その硬化前の密着強度が不充分であり、硬化前の工程において剥離したり、基板とレジストの間に空気が混入したりすることがある。その結果、断線などの不良率は改善されているとは言いがたいのが現状である。
【0011】
前記ドライフィルムレジストと液状レジストを併用する他の方法としては、基板に液状のレジスト組成物を塗布し固化しない程度に乾燥した後、ドライフィルムレジストを貼合する方法が開示されている(例えば、特許文献5を参照のこと。)。ここでも乾燥が十分に行われていないために塗布後の基板にタックが発生し、断線などの不良の原因となるという問題がある。一方、タックを抑制するために乾燥を十分行うと、今度はドライフィルムレジストとの密着性が低下してしまうこととなる。
【0012】
以下の特許文献6には、基板に有機溶剤を含有する感光性樹脂組成物を塗布し、当該有機溶剤を完全に揮発させた後にドライフィルムレジストを貼合する方法が開示されている。ここでは塗布後の乾燥を十分に行っても前記密着強度が良好なことが記載されているが、十分とは言いがたい。また、前記感光性樹脂組成物にノボラック系のエポキシ樹脂より誘導される感光性樹脂を使用しているため、乾燥後においてもタックが大きいという問題がある。
【0013】
【特許文献1】
特開平3−141687号公報
【特許文献2】
特開2002−246712号公報
【特許文献3】
特開2001−73171号公報
【特許文献4】
米国特許第3629036号明細書
【特許文献5】
特開昭60−098432号公報
【特許文献6】
特開平08−288645号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、基板とレジストとの密着性に優れ、断線等による不良率が低減されたプリント配線基板用積層体、及びその製造方法を提供する。本発明は、さらに、特定の表面性状を有する導電層を用いる場合において、パターン直線性に優れ、ファインパターンの形成が可能なプリント配線基板用積層体及びスルーホールを有する基板にも適用可能なプリント配線基板用積層体の製造方法を提供することをも目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記状況に鑑み鋭意検討した結果、少なくとも一方の表面に導電層を設けた絶縁基板上に、液状樹脂組成物を塗布する工程、塗布された液状樹脂組成物を乾燥する工程、及びドライフィルムレジストを貼付する工程を含む積層体の製造方法において、特定の液状樹脂組成物を用いることが前記課題の解決に有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、以下の[1]〜[12]に関する。
[1]少なくとも一方の表面に導電層を設けた絶縁基板(A)上に、液状樹脂組成物(B)を塗布する工程(I)、塗布された前記液状樹脂組成物(B)を乾燥させて、樹脂組成物の塗膜からなる中間層(B’)を形成する工程(II)、及び前記中間層(B’)上にドライフィルムレジスト(C)を貼付する工程(III)を含むプリント配線基板用積層体の製造方法において、前記液状樹脂組成物(B)が溶媒として水を含むものであることを特徴とするプリント配線基板用積層体の製造方法。
[2]液状樹脂組成物(B)中の水の割合が5質量%以上、95質量%以下である、前記[1]に記載の方法。
[3]前記液状樹脂組成物(B)が感光性樹脂組成物である、前記[1]又は[2]に記載の方法。
[4]前記液状樹脂組成物(B)が、(b−1)感光性樹脂成分、(b−2)溶媒、及び(b−3)光重合開始剤を含む感光性樹脂組成物である、前記[1]〜[3]のいずれか1に記載の方法。
【0016】
[5]前記液状樹脂組成物(B)がアクリル樹脂を含むものである、前記[1]〜[4]のいずれか1に記載の方法。
[6]前記液状樹脂組成物(B)が塗布される絶縁基板(A)の導電層の表面粗さRzが3.0μm未満であることを特徴とする、前記[1]〜[5]のいずれか1に記載の方法。
[7]前記絶縁基板(A)の導電層が、表面処理剤により表面処理されたものであり、かつ、表面処理による厚さの減少量が4.0μm以下である、前記[1]〜[6]のいずれか1に記載の方法。
【0017】
[8]前記液状樹脂組成物(B)の固形分量が5質量%以上、20質量%以下の範囲にある、前記[1]〜[7]のいずれか1に記載の方法。
[9]前記[1]〜[8]のいずれか1に記載の方法により製造された、少なくとも一方の表面に導電層を設けた絶縁基板(A)、樹脂組成物(B)の塗膜からなる中間層(B’)、及びドライフィルムレジスト(C)を含むプリント配線基板用積層体。
【0018】
[10](b−1)感光性樹脂成分、(b−2)溶媒、及び(b−3)光重合開始剤を含む感光性樹脂組成物であり、かつ固形分量が5質量%以上、20質量%以下の範囲にある、前記[1]〜[8]のいずれか1に記載のプリント配線基板用積層体の中間層(B’)用液状感光性樹脂組成物。
[11]少なくとも一方の表面に導電層を設けた絶縁基板(A)上に、液状樹脂組成物(B)を塗布する工程(I)、及び前記液状樹脂組成物(B)上にドライフィルムレジスト(C)を貼付する工程(IV)を含むプリント配線基板用積層体の製造方法において、前記(B)が溶媒として水を含むものであり、かつ、絶縁基板(A)の導電層の表面粗さRzが3.0μm未満であることを特徴とするプリント配線基板用積層体の製造方法。
[12]液状樹脂組成物(B)中の水の量が5質量%以上、95質量%以下である、前記[11]に記載の方法。
【0019】
以下、本発明を詳細に説明する。
【発明の実施の形態】
本発明の工程(I)で使用される絶縁基板(A)は、少なくとも一方の表面に導電層を設けた絶縁基板であり、本技術分野で使用される公知のものが制限なく使用できる。
【0020】
絶縁基板(A)用の絶縁基板としては公知のものが使用可能であり、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂やポリエーテルスルホン樹脂などの熱可塑性樹脂と紙、ガラス繊維等との積層材、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルムなどが例示される。より具体的には、ガラス布基材エポキシ樹脂積層板、紙基材エポキシ樹脂積層板、紙基材フェノール樹脂積層板、ガラス布・紙複合基材エポキシ樹脂積層板、ガラス布・ガラス不織布エポキシ樹脂積層板、ガラス布基材ポリテトラフルオロエチレン積層板、ガラス布基材ポリイミド樹脂積層板、及びガラス布基材ポリフェニレンオキサイド樹脂積層板などが使用できる。
【0021】
また絶縁基板としては、アルミニウムや銅などの金属上にエポキシ樹脂等の絶縁層を設けたもの、アルミナ、炭化珪素あるいは窒化アルミニウムなどのセラミックスも使用できる。
本発明において絶縁基板(A)の導電層は任意の金属又は化合物が使用できるが、好ましくは銅、銀、金、ニッケル、及びスズなどの金属であり、もっとも好ましくは、銅である。該導電層の厚さは任意であるが、通常、0.5〜100μmの範囲であり、好ましくは、1.0〜80μmの範囲であり、さらに好ましくは、2.0〜60μmの範囲であり、最も好ましくは、3.0〜50μmの範囲である。
【0022】
本発明の絶縁基板(A)は前記絶縁基板上に任意の方法で導電層を設けることにより製造可能である。具体的には前記絶縁基板に接着剤を使用し又は使用せずに電解銅箔や圧延銅箔を圧着させる方法、前記絶縁基板上に無電解銅めっき、さらには電解銅めっきにより銅めっきを施す方法など、公知の方法で製造することができる。
【0023】
尚、前記導電層の表面粗さRz(JISB 0601−1994「表面粗さの定義と表示」の5.1 十点平均粗さの定義に規定されたRzを言う。以下、同様である。)は、一般的な回路パターンの場合には粗さ3.0〜10μmの範囲であってもよい。しかしながら、ファインパターン形成時には、好ましくは、3.0μm未満であり、さらに好ましくは、0.1〜2.5μmであり、より好ましくは、0.2〜2.0μmであり、最も好ましくは、0.3〜1.5μmの範囲である。
【0024】
ファインパターン形成時において表面粗さRzが前記範囲外では、エッチング後に硬化したレジストが完全に剥離せずに以後の工程に悪影響を与える、いわゆる「根残り」が起こることがある。その結果、銅箔と樹脂基板のボトムラインの直線性が乏しく、ファインパターン形成により回路間隔を狭くすると、隣接する回路間の絶縁が悪くなり、著しい場合には回路が完全に切れず、隣接する回路が短絡してしまうという現象を生じる。また、この根残りを解消すべくレジストの硬化を抑制すると、該レジストが密着不良を起こして現像又はエッチング時に剥離して、断線等の不良の発生の原因となることがある。
【0025】
導電層の表面粗さを前記範囲とするために、公知の方法が採用できる。例えば、絶縁基板(A)の導電層として銅箔を用いる場合、電解銅箔を下記のような表面処理をして表面粗さを前記範囲とする方法、電解銅箔を必要に応じて表面処理をして特定範囲の表面粗さとした後、圧延やブラッシング等により表面を平滑化し、表面粗さを前記範囲とする方法などが採用される。
【0026】
前記表面粗さの導電層を形成するためには、導電層を過酸化水素や無機酸等を含有する表面処理剤で表面処理することが好ましい。該表面処理は導電層の表面処理による厚さの減少量が4.0μm以下、好ましくは、2.0μm以下、より好ましくは、1.5μm、最も好ましくは、1.0μm以下となる条件で行うことが好ましい。具体的には前記溶液中の成分濃度や処理時間を調節することで、目的の厚さ減少量とすることができる。このような表面処理の方法は公知であり、例えば、特開2000−282265号公報、特開2001−200380号公報などに記載されている。
【0027】
本発明の工程(I)では、前記絶縁基板(A)上に液状樹脂組成物(B)が塗布される。該塗布は絶縁基板(A)の導電層の一部又は全部を被覆するように行われる。本発明の工程(I)を行わない場合、例えば、ドライフィルムレジストのみを用いた場合にはレジストと導電層(一般には銅箔)との密着性が不充分となる。また銅箔上に傷や凹みなどが存在すると、部分的に銅との密着が不充分になる。これらの結果としてエッチング後のパターン直線性に劣る、又は断線等による不良率が増大するなどの問題を引き起こすこととなる。
【0028】
本発明の工程(I)における液状樹脂組成物(B)の塗布の方法に特に制限はなく、公知の方法で行うことができる。具体的には前記液状樹脂組成物(B)をスプレーコーターにより絶縁基板(A)上に噴霧する方法、バーコーターやロールコーターにより絶縁基板(A)上に塗布する方法、ディップコーターを用いて絶縁基板(A)を液状樹脂組成物(B)中に浸漬させて塗布する方法などを使用しうる。これらの中ではディップコーターで塗布する方法が好ましい。これら方法を行うための装置、設備等も公知のものが使用できる。塗布の条件に制限はなく、前記塗布が行われる公知の条件が採用できる。ディップコーターを用いる場合、液状樹脂組成物(B)の温度は、通常、0〜100℃の範囲であり、好ましくは、5〜60℃の範囲、特に好ましくは、10〜40℃の範囲である。
【0029】
本工程で使用される液状樹脂組成物(B)は、溶媒乾燥後の塗膜、すなわち樹脂組成物の塗膜からなる中間層(B’)が現像液に可溶で、エッチング液に難溶となる性質を有するものであり、好ましくは、分子中にカルボン酸またはその無水物を有する化合物を含有するものである。具体的には、モノマーとして(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルを含む共重合体であるアクリル樹脂、(メタ)アクリル酸とエチレンとの共重合体、無水マレイン酸とエチレン又はスチレンとの共重合体などが例示され、密着性やタックなどの観点からアクリル樹脂が特に好ましい。尚、(メタ)アクリル酸とはメタクリル酸及び/又はアクリル酸を意味する。
【0030】
液状樹脂組成物(B)は紫外線等の照射により光重合を引き起こす成分の少なくとも1種を含有する液体状の感光性組成物であることが好ましい。当該組成物としては、レジスト材料として通常用いられるもので液状のものが制限なく使用できる。より詳細には、前記(B)は、(b−1)感光性樹脂成分、及び(b−2)溶媒を含み、好ましくは(b−3)光重合開始剤をも含み、さらに必要に応じて(b−4)チクソトロピー剤、(b−5)安定剤などの成分を含有していてもよい。
【0031】
(b−1)感光性樹脂成分は、紫外線、X線、電子線等の照射により光重合又は光分解を引き起こすことが可能な成分を含有する樹脂成分であり、光重合性樹脂、光重合性樹脂と非重合性樹脂との組成物、光重合性樹脂と重合性単量体との組成物、非重合性樹脂と重合性単量体との組成物、並びに光分解性樹脂及び光分解性樹脂と非重合性樹脂との組成物などが使用できる。
【0032】
(b−1)感光性樹脂成分の含有量は、液状樹脂組成物(B)中1〜80質量%の範囲、好ましくは、2〜60質量%の範囲、より好ましくは、5〜40質量%の範囲、そして最も好ましくは、5〜20質量%の範囲にある。
【0033】
前記光重合性樹脂としては、公知のものを単独で又は複数組み合わせて使用することが可能であり、例えば、下記(1)〜(5)の群から選ばれる。
【0034】
(1)不飽和ヒドロキシル化合物と、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、イソシアナート基及びエポキシ基の中から選ばれる1種以上の官能基を有する樹脂との反応物;
(2)不飽和エポキシ化合物と、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、イソシアナート基、アミノ基及びヒドロキシル基の中から選ばれる1種以上の官能基を有する樹脂との反応物;
(3)不飽和カルボン酸又は不飽和カルボン酸無水物と、ヒドロキシル基、アミノ基、イソシアナート基及びエポキシ基の中から選ばれる1種以上の官能基を有する樹脂との反応物;
【0035】
(4)不飽和アミノ化合物と、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、ホルミル基、ケト基、イソシアナート基及びエポキシ基の中から選ばれる1種以上の官能基を有する樹脂との反応物;
(5)不飽和イソシアナート化合物と、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、アミノ基、ヒドロキシル基及びエポキシ基の中から選ばれる1種以上の官能基を有する樹脂との反応物。
【0036】
これら光重合性樹脂の重量平均分子量や酸価は任意であるが、重量分子量は、好ましくは、500〜10,000の範囲、特に好ましくは、1,000〜50,000の範囲、そして最も好ましくは、2,000〜20,000の範囲にあり、酸価は、好ましくは、20〜350の範囲、特に好ましくは、50〜250の範囲、そして最も好ましくは、80〜200の範囲にある。尚、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、そして酸価は、JISK5601により測定する。
【0037】
不飽和ヒドロキシル化合物の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート等のポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ジエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル等のポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、N−メチロールアクリルアミド、アリルアルコール、メタアリルアルコール、ヒドロキシスチレン、ヒドロキシメチルスチレン、アリルフェノールなどが使用できる。
【0038】
不飽和エポキシ化合物の具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
不飽和カルボン酸及びその無水物としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ソルビン酸、テトラヒドロフタル酸、桂皮酸、ナジック酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、リカン酸、リシノール酸、アラキドン酸及びこれらの無水物などが使用可能である。
【0039】
不飽和アミノ化合物としては、アリルアミン、ジアリルアミン、アミノスチレン、アミノメチルスチレン、アクリルアミドや不飽和カルボン酸又はその誘導体とエチレンジアミン等のポリアミンとの反応物などが例示される。
不飽和イソシアナート化合物としては、2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート、アリルイソシアナートや、不飽和ヒドロキシル化合物とトリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等のポリイソシアナートとの反応物などが使用できる。
【0040】
前記(1)〜(5)において使用される1種以上の官能基を有する樹脂としては、前記不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、不飽和イソシアナート化合物、不飽和エポキシ化合物、不飽和ヒドロキシ化合物及び不飽和アミノ化合物の中から選ばれる少なくとも1種以上の単独重合体又は共重合体などである。
カルボキシル基を官能基として有する樹脂としては、ポリ(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸−メチル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、末端カルボキシル化ポリブタジエン、末端カルボキシル化ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、フェノール樹脂の(無水)多価カルボン酸付加物などが例示される。
【0041】
ヒドロキシル基を有する樹脂としては、ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート−スチレン共重合体、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート−メチルメタクリレート共重合体、ノボラック型フェノール樹脂、ポリビニルアルコール、部分鹸化エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリグリセリン、ポリビニルフェノール、エポキシ樹脂のカルボン酸付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、末端ヒドロキシル化(水添)ポリブタジエン、末端ヒドロキシル化(水添)石油樹脂及び多価アルコールと多価イソシアナートとの反応物などが例示される。
【0042】
エポキシ基を有する樹脂としては、ポリグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート−スチレン共重合体、グリシジル(メタ)アクリレート−メチルメタクリレート共重合体、ノボラック型フェノール樹脂とエピクロルヒドリンとの反応物、多価フェノールとエピクロロヒドリンの反応物及び多価アルコールとエピクロロヒドリンとの反応物などが例示される。
【0043】
アミノ基を有する樹脂としては、ポリアクリルアミド、ポリアリルアミン、ポリビニルホルムアミド鹸化物、ポリビニルアセトアミド鹸化物、ポリアミノスチレン、アミノスチレン−スチレン共重合体、カルボキシル基含有樹脂と多価アミンの反応物、尿素樹脂およびメラミン樹脂などが例示される。
イソシアナート基を有する樹脂としては、ポリ−2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート−メチル(メタ)アクリレート共重合体、多価イソシアナート化合物と多価ヒドロキシル化合物との反応物などを挙げることができる。
【0044】
前記(1)〜(5)のうち好ましいものをより具体的に示すと、(1−1)不飽和ヒドロキシル化合物と、カルボン酸無水物基を有する樹脂との反応物、例えばヒドロキシエチルアクリレートとスチレン−無水マレイン酸共重合体との反応物、及び該反応物にさらに塩基を反応させたもの、(1−2)不飽和ヒドロキシル化合物と、イソシアナート基を有する樹脂との反応物(2−1)不飽和エポキシ化合物と、カルボキシル基を有する樹脂との反応物であり、例えば、グリシジルアクリレートとメタクリル酸−メチルメタクリレート共重合体との反応物、3,4−エポキシ−シクロヘキシルメチルアクリレートとメタクリル酸−メチルメタクリレート共重合体との反応物、及びこれら反応物にさらに塩基を反応させたもの、(3−1)不飽和カルボン酸または不飽和カルボン酸無水物と、エポキシ基を有する樹脂との反応物であり、例えば、アクリル酸とポリグリシジルメタクリレートとの反応物、及びアクリル酸とグリシジルメタクリレート−メチルメタクリレート共重合体との反応物などが例示される。
【0045】
これらの中で特に好ましいものは、(メタ)アクリル酸とそのエステルとの共重合又はその変性物からなるアクリル樹脂であり、具体的には、グリシジルアクリレートとメタクリル酸−メチルメタクリレート共重合体との反応物、3,4−エポキシ−シクロヘキシルメチルアクリレートとメタクリル酸−メチルメタクリレート共重合体との反応物、及びこれら反応物にさらに塩基を反応させたものである。これらを使用することで密着性が向上し、タックの抑制が容易になる。
【0046】
さらに、(b−1)感光性樹脂成分に使用可能な重合性樹脂としては前記(1)〜(5)以外に下記のようなものが例示される。
【0047】
(6)ポリブタジエン等の、共役ジエン化合物の単独又は共重合体及びその変性物;
(7)エポキシ樹脂と不飽和脂肪酸とのエステル化物における脂肪酸鎖中の不飽和結合に不飽和ジカルボン酸またはその無水物を付加させてなる重合性不飽和樹脂;
(8)不飽和性脂肪酸変性高酸価アルキド樹脂からなる重合性不飽和樹脂;及び
(9)マレイン化油からなる重合性不飽和樹脂と一分子中に重合性不飽和結合を1個以上有するエチレン性不飽和化合物との混合物。
【0048】
光分解性樹脂は、紫外線等の照射により分子量が低下する樹脂又は紫外線等の照射によりカルボン酸等の官能基を生成し現像液に可溶となる樹脂である。これらは公知のものを単独で又は複数組み合わせて使用することが可能である。具体的には、t−ブチルメタクリレート、p−t−ブトキシスチレン等のt−ブチルエステル又はエーテル等の官能基を有する化合物の単独重合体若しくは共重合体である。
【0049】
(b−1)感光性樹脂成分に使用可能な重合性単量体としては、前記不飽和ヒドロキシル化合物、不飽和エポキシ化合物、不飽和カルボン酸又は不飽和カルボン酸無水物、不飽和アミノ化合物、不飽和イソシアナート化合物や、スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、メチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキル若しくはアリールエステル、多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル及び多価アルコールのアリルエーテルなどが挙げられる。
【0050】
多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステルとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどが例示される。また、多価アルコールのアリルエーテルとしては、エチレングリコールジアリルエーテル、ジエチレングリコールジアリルエーテル、ジアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、グリセリントリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテルなどが例示される。
【0051】
(b−1)感光性樹脂成分に使用可能な非重合性樹脂としては、前記不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、不飽和イソシアナート化合物、不飽和エポキシ化合物、不飽和ヒドロキシ化合物及び不飽和アミノ化合物の中から選ばれる少なくとも1種以上の単独重合体若しくは共重合体、スチレン、ビニルトルエン等のビニル芳香族化合物の単独重合体若しくは共重合体、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート等の不飽和カルボン酸エステルの単独重合体若しくは共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリオレフィン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂などであり、これらは単独で使用してもよく、複数を併用してもよい。
【0052】
(b−2)溶媒としては任意のものが使用可能であり、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、アニソール、フェネトール等のエーテル類、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−メトキシ−1−プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ベンジルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン等のケトン類、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸フェニル、安息香酸メチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のエステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルホスホルトリアミド等のアミド類、水、及びこれらの混合物が例示される。これらのうちエーテル類、アルコール類、ケトン類、エステル類及び水などの酸素原子を含有する溶媒が好ましく、絶縁基板(A)又はドライフィルムレジスト(C)との密着性の観点から水を含有するものが最も好ましい。
【0053】
液状樹脂組成物(B)中のこれら溶媒の含有量は、通常、20〜95質量%の範囲、好ましくは、30〜90質量%の範囲、より好ましくは、40〜85質量%の範囲、そして最も好ましくは50〜80質量%の範囲にある。
【0054】
尚、溶媒(b−2)中の水の割合は、絶縁基板(A)又はドライフィルムレジスト(C)との密着性の観点から好ましくは、30質量%以上であり、好ましくは、40質量%以上、さらに好ましくは、50質量%以上、そして最も好ましくは60質量%以上である。また、液状樹脂組成物(B)中の水の割合は、5質量%以上、95質量%以下が好ましく、30質量%以上、70質量%以下がより好ましく、そして40質量%以上、60質量%以下が最も好ましい。
【0055】
(b−3)光重合開始剤としては公知のものが使用可能であり、具体例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジル、ジフェニルジスルフィド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、ジアセチル、エオシン、チオニン、ミヒラーケトン、アントラキノン、クロルアントラキノン、メチルアントラキノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、p−イソプロピル−α−ヒドロキシイソブチルフェノン、α・α’−ジクロル−4−フェノキシアセトフェノン、1−ヒドロキシ1−シクロヘキシルアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、メチルベンゾイルホルメート、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、ベンゾフェノンチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸ペンチル、及びトリエタノールアミンなどが挙げられる。これらは単独で使用してもよいが、複数を併用することが好ましい。これら光重合開始剤の含有量は、液状樹脂組成物(B)中、0.1〜20質量%、好ましくは、0.5〜10質量%の範囲にある。(b−3)光重合開始剤の含有量が0.1質量%未満では光重合が十分進行せず、本発明の目的を達成することが困難となる。また、含有量が20質量%を超えると保存安定性が低下したり、前記塗膜の性状が低下することがある。
【0056】
(b−4)チクソトロピー剤は、液状樹脂組成物(B)にチクソトロピー性を付与することができる化合物であり、公知のものを単独で又は複数を組み合わせて使用することができる。チクソトロピー剤の使用量は、液状樹脂組成物(B)中通常、0.01〜10.0質量%の範囲、好ましくは、0.1〜5.0質量%の範囲、さらに好ましくは、0.2〜2.0質量%の範囲である。使用量が0.01質量%未満では添加の効果が認められず、10質量%を超えると中間層(B’)の膜厚制御が困難となる場合がある。
【0057】
(b−4)チクソトロピー剤の具体例としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化シルコニウム、シリカ、タルク、マイカ、カオリナイト、パイロフィライト、セリサイト、ベントナイト、スメクタイト、モンモリロナイト、ベイデライト、ノントロナイト、サポナイト、及びこれらを表面処理したものや、これらに交換性カチオンが含まれる場合は、そのカチオンをアルキルトリメチルアンモニウムイオン、ポリオキシエチレントリアルキルアンモニウムイオン又はポリオキシプロピレントリアルキルアンモニウムイオン等のアンモニウムイオンに交換したものなどが例示され、これらは市販のものを特に制限なく使用することができる。
【0058】
また、(b−4)チクソトロピー剤としては、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、 フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、及びウレタン樹脂等の微粒子なども使用できる。
【0059】
本発明の液状樹脂組成物(B)に含まれてもよい(b−5)安定剤は、前記液状樹脂組成物(B)が凝集することを抑制する機能を有する化合物であり、本発明の組成物が不均一系の場合には、その分散安定性を向上させることができる。安定剤の具体例としては界面活性剤や保護コロイドを形成することが可能な化合物などがあり、公知のものが制限なく使用できる。より具体的には、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、部分鹸化エチレン酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシエチルセルロース、ポリグリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性高分子や親水性高分子などが使用可能である。これらのうち少量の使用でも十分な効果が得られることから、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、部分鹸化エチレン酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシエチルセルロース、ポリグリセリンなどの水溶性高分子が好ましく、もっとも好ましくは、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、部分鹸化エチレン酢酸ビニル共重合体である。これらの化合物の分子量は、通常、200〜1,000,000の範囲、好ましくは1,000〜100,000の範囲、そして特に好ましくは5,000〜50,000の範囲にある。
【0060】
(b−5)安定剤の使用量は、液状樹脂組成物(B)中0.1〜100,000ppmの範囲、好ましくは1.0〜10,000ppmの範囲にある。
【0061】
液状樹脂組成物(B)の25℃における粘度は、好ましくは、1〜500mPa・sの範囲であり、ファインパターン製造用として導電層の表面粗さRzが3.0μm未満のものを使用する場合には、好ましくは、10〜300mPa・s、さらに好ましくは、10〜200mPa・s、そして最も好ましくは、20〜150mPa・sの範囲にある。尚、粘度は、B型粘度計(東機産業株式会社製、BL型、No.2ローター、60rpm)を用いて測定しうる。
【0062】
また、必ずしもファインパターンを必要としない一般パターンにおいては、液状樹脂組成物(B)の25℃における粘度は、好ましくは10〜200mPa・sの範囲、さらに好ましくは、20〜150mPa・sの範囲、特に好ましくは、30〜100mPa・sの範囲、そして最も好ましくは30〜90mPa・sの範囲にある。液状樹脂組成物(B)の粘度が前記特定範囲のものを用いると、導電層の表面粗さRzが3.0〜10μmの範囲においてもレジストの密着性を良好に維持することができるので、ファインパターンの形成を必ずしも必要としないプリント配線基板用途において有用となる。
【0063】
本発明で使用される液状樹脂組成物(B)に含有される溶剤以外の成分量(以下、固形分量ということがある。)は、液状樹脂組成物(B)中、通常1〜50質量%の範囲、好ましくは、3〜40質量%の範囲にある。また、少なくとも一方の表面に導電層を設けた絶縁基板(A)としてスルーホール等の穿孔を有するものを用いる場合には、後述する中間層(B’)の膜厚の観点から、固形分量は、好ましくは、5〜20質量%の範囲、より好ましくは、6〜18質量%の範囲、特に好ましくは7〜16質量%の範囲、そして最も好ましくは、7〜14質量%の範囲にある。
【0064】
本発明の工程(II)では、前記工程(I)において絶縁基板(A)上に塗布された液状樹脂組成物(B)を乾燥することにより、感光性樹脂組成物の塗膜からなる中間層(B’)が形成される。本工程においては液状樹脂組成物(B)中の溶剤の少なくとも一部が除去されることで固体状又は半固体状の中間層(B’)が形成される。乾燥の条件に特に制限はないが、乾燥温度は通常0〜150℃の範囲、好ましくは、20〜120℃の範囲、最も好ましくは、30〜100℃の範囲にある。乾燥の時間も任意であり、通常1〜120分の範囲、そして好ましくは5〜30分の範囲にある。
【0065】
工程(II)において形成される中間層(B’)の厚さに制限はないが、通常、0.1〜20μmの範囲、好ましくは、0.2〜10μmの範囲、より好ましくは0.2〜7.0μmの範囲、さらに好ましくは、0.2〜6.0μmの範囲、特に好ましくは、0.5〜5.0μmの範囲、そして最も好ましくは、0.5〜4.0μmの範囲にある。中間層(B’)の厚さが前記範囲未満では液状樹脂組成物(B)を塗布する効果が認められないことがある。すなわち、絶縁基板(A)とドライフィルムレジスト(C)との密着性が不充分となる、回路を形成した場合にパターン直線性が劣る、ファインパターンの形成が困難となるなどの問題が発生することがある。また、当該厚さが上記範囲を超えてもさらなる効果は期待できず、かえって中間層(B’)の硬化不良を起こしたり、ファインパターン形成を妨げたりすることがある。
【0066】
殊に絶縁基板(A)としてスルーホール等の穿孔を有するものを用いる場合には、断線等による不良率の低減が特に容易となることから、中間層(B’)の厚さは、0.2〜6.0μmの範囲が好ましく、0.5〜5.0μmの範囲が特に好ましく、そして0.5〜4.0μmの範囲が最も好ましい。
【0067】
本発明の工程(III)では、前記工程(II)で得られた中間層(B’)上にドライフィルムレジスト(C)が貼付される。ドライフィルムレジスト(C)としてはアルカリ可溶型、溶剤可溶型など、公知のものが制限なく使用することができ、好ましくはアルカリ可溶型である。また、当該ドライフィルムレジスト(C)はネガ型およびポジ型のいずれでもよいが、好ましくはネガ型である。
【0068】
工程(III)におけるドライフィルムレジスト(C)の貼付方法に制限はなく、熱ロールによる熱圧着など公知の方法を適用することができる。熱ロールの温度、圧着時の圧力も任意であり、当業者であれば使用するドライフィルムレジストの特性を考慮して好適な条件を設定することが可能である。
【0069】
上記の方法に従って得られたプリント配線基板用積層体は、少なくとも一方の表面に導電層を設けた絶縁基板(A)、感光性樹脂組成物の塗膜の中間層(B’)、及びドライフィルムレジスト(C)を含み、露光、現像、エッチング、及びレジスト剥離等の工程を経てプリント配線基板が製造される。
【0070】
本発明の工程(IV)は、前記工程(I)で得られた絶縁基板(A)に塗布された液状樹脂組成物(B)を乾燥することなく、その上にドライフィルムを貼付する工程である。ドライフィルムレジスト(C)は上記と同じものを使用することができる。
【0071】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0072】
測定方法
・表面粗さRzの測定
市販の表面粗さ計を用い、JIS B0601に準じた触針式粗さ試験機により測定した。
【0073】
・表面処理量
絶縁基板(A)の表面処理前後の重量減少量と銅の密度から表面処理によって減少した導電層(銅)を厚さを計算した。
【0074】
・粘度の測定
東機産業株式会社製のB型粘度計(BL型、No.2ローター)を用い、ローター回転数60rpmで測定した。
【0075】
・固形分量
仕込み量から算出した。本発明で使用される液状樹脂組成物(B)に含有される溶剤以外の成分量を示す。
【0076】
・樹脂組成物の塗膜からなる中間層(B’)の厚さ
絶縁基板(A)と(B’)形成後の積層体の中央部の厚さを株式会社テクロック製の膜厚計(商品名デジタルシックネスゲージSMD−565)にて測定し、その差を中間層(B’)の厚さとした。
【0077】
・タックの測定
工程(II)(比較例2、3、7、及び8の場合は工程(I))で得られた積層体(サイズ:100mm×200mm)2枚を中間層(B’)(比較例2、3、7、及び8の場合は(B))が合わさるように重ね、この上に1kgの荷重を乗せて40℃で1時間静置したのち、2枚の積層体を剥離させた。このときの中間層(B’)の剥離の状態を以下に従って判定した。
【0078】
◎:剥離が全く見られなかったもの
△:剥離がやや見られたもの
×:剥離が著しかったもの
【0079】
・密着性
本発明の方法に従って製造したプリント基板用積層体について、JIS K5400に準拠し、セロハンテープによる碁盤目剥離試験を行った。
【0080】
プリント配線板の評価
以下の項目について下記の基準に従って評価した。なお下記(1)〜(3)は走査型電子顕微鏡により観察した。その結果を以下の表1と表2に示す。
【0081】
【表1】
【表2】
【0082】
(1)エッチング耐性
◎:エッチング後にレジスト層の剥離が認められなかったもの;
○:エッチング後にレジスト層の剥離がほとんど認められなかったもの;
△:エッチング後にレジスト層の剥離が認められたもの;
×:エッチング後にレジスト層の著しい剥離が認められたもの;
【0083】
(2)剥離性
◎:レジスト剥離後に残存レジスト層が認められなかったもの;
○:レジスト剥離後に残存レジスト層がほとんど認められなかったもの;
△:レジスト剥離後に残存レジスト層が認められたもの;
×:レジスト剥離後に著しい残存レジスト層が認められたもの;
【0084】
(3)パターン直線性
◎:レジスト剥離後のパターンに波打ちがほとんど認められなかったもの;
○:レジスト剥離後のパターンに波打ちがやや認められたもの;
△:レジスト剥離後のパターンに波打ちが認められたもの;
×:レジスト剥離後のパターンに著しい波打ちが認められたもの;
【0085】
(4)密着性
◎:90個以上の碁盤目が残存したもの;
○:50〜89個の碁盤目が残存したもの;
△:25〜49個の碁盤目が残存したもの;
×:24個以下の碁盤目が残存したもの;
【0086】
(5)断線発生率
◎:上記に従って製造したプリント配線板10枚のうち、全く断線が認められなかったもの;
○:上記に従って製造したプリント配線板10枚のうち、1〜2枚の断線が認められたもの;
△:上記に従って製造したプリント配線板10枚のうち、3〜4枚の断線が認められたもの;
×:上記に従って製造したプリント配線板10枚のうち、5枚以上の断線が認められたもの。
【0087】
実施例1
1)少なくとも一方の表面に導電層を設けた絶縁基板(A)の表面処理
ガラス布基材エポキシ樹脂積層板と厚さ17μmの電解銅箔とを圧着した基板を、メック株式会社製の表面処理剤CZ−8100(硫酸、過酸化水素、亜リン酸、トリアゾール類を含有する水溶液)に30℃で25秒浸漬することにより、表面処理を行った(重量変化より、銅箔の減少量は2.0μmに相当する。)。表面処理後の銅箔の表面粗さRzは2.7μmであった。
【0088】
2)液状樹脂組成物(B)の調製
下記の均一な混合物を激しく攪拌しながら、この混合物に水41.8質量部を15分かけて滴下し、さらに15時間攪拌した。得られた溶液に10質量%のポリビニルアルコール水溶液を0.3質量部添加し1時間攪拌し、液状樹脂組成物(B−1)を調製した。
【0089】
・メタクリル酸−メチルメタクリレート共重合体の3,4−エポキシ−シクロヘキシルメチルアクリレート変性樹脂(ダイセル化学工業株式会社製、商品名サイクロマーACA−200M、酸価100mgKOH/g、重量平均分子量17、000)、13.8質量部
・ビスフェノールFジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物(日本化薬製、商品名PNA−142)、1.4質量部
・ポリエチレングリコールジアクリレート、5.2質量部
・N−メチルモルフォリン、2.8質量部
・エチレングリコールモノブチルエーテル、17.0質量部
・2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2.4質量部
【0090】
・プロピレングリコールモノメチルエーテル、13.8質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、0.8質量部
・ヘクトライトのポリオキシプロピレンメチルジエチルアンモニウムカチオン変性物、0.7質量部
【0091】
3)プリント配線板用積層体の製造
前記1)の基板に、前記2)で調製した液状樹脂組成物(B−1)を、サツマ通信社製ディップコーター(商品名ファイブコーターFC−7500)を用いて塗布した。次にこの基板を80℃で15分乾燥して、厚さ約8μmの感光性樹脂組成物塗膜の中間層(B’−1)を形成した。この塗膜(中間層)上に常温でロールによりドライフィルムレジスト(C−1)(日立化成株式会社製、感光層の厚さ約40μm)を圧着し、プリント配線基板用積層体を得た。
【0092】
4)プリント配線板の製造
前記プリント配線板用積層体にラインアンドスペースが50μm/50μmのフォトマスクを通して紫外線で露光(超高圧水銀ランプ、主波長365nm、80mJ/cm2)したのち、1%炭酸ナトリウム水溶液で未硬化の部分を溶解させて現像した。次いで、水による洗浄、塩化第二鉄水溶液による導電層のエッチング、3%水酸化ナトリウム水溶液によるレジスト層の剥離を経てプリント配線板を製造した。
【0093】
実施例2〜4
実施例1において銅箔の表面処理時間を、それぞれ、45秒、35秒及び20秒とし、Rzが、それぞれ、1.8μm、1.2μm、及び0.8μmとしたものを用いた以外は同様に操作をおこなった。結果を上記表1に示す。
【0094】
実施例5、及び6
液状樹脂組成物(B)として以下に従って調製した(B−2)を用いた以外は、それぞれ、実施例1、及び実施例3と同様に操作を行った。結果を上記表1に示す。
液状樹脂組成物(B−2)の調製
実施例1の2)において調製した液状の感光性樹脂組成物50質量部に、水及びエチレングリコールモノブチルエーテルの混合物(60質量部/40質量部)50質量部を攪拌しながら添加することで、液状樹脂組成物(B−2)を調製した。
【0095】
実施例7、及び8
絶縁基板(A)として直径0.5mmのスルーホールを有するものを用いた以外は、それぞれ実施例1、及び実施例3と同様に操作を行った。結果を上記表1に示す。
【0096】
実施例9、及び10
絶縁基板(A)として直径0.5mmのスルーホールを有するものを用い、液状樹脂組成物(B)として液状樹脂組成物(B−2)を用いた以外は、それぞれ、実施例1、及び実施例3と同様に操作を行った。結果を上記表2に示す。
【0097】
実施例11
液状樹脂組成物(B)として以下に従って調製した液状樹脂組成物(B−3)を用いた以外は、実施例9と同様に操作を行った。結果を上記表2に示す。
液状樹脂組成物(B−3)の調製
実施例1の2)において調製した液状の感光性樹脂組成物40質量部に、水、及びエチレングリコールモノブチルエーテルの混合物(60質量部/40質量部)60質量部を攪拌しながら添加することにより、(B−3)を調製した。
【0098】
実施例12
銅箔の表面処理時間を60秒とし、銅箔の表面粗さRzを5.1μmとしたものを用いた以外は、実施例5と同様に操作を行った。結果を上記表2に示す。
【0099】
実施例13
L/Sを100/100とした以外は、実施例12と同様に操作を行った。結果を上記表2に示した。
【0100】
実施例14
絶縁基板(A)として直径0.5mmのスルーホールを有するものを用いた以外は、実施例12と同様に操作を行った。結果を上記表2に示す。
【0101】
実施例15
液状樹脂組成物(B−4)として、メタクリル酸−メチルメタクリレート共重合体の3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート変性樹脂、及びビスフェノールFジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物の代わりに以下に従って調製した樹脂を用いた以外は、実施例1と同様に操作を行った。結果を上記表2に示す。
エポキシ当量が190のフェノールノボラック型エポキシ樹脂の1当量とアクリル酸の1当量とを反応させて得られた反応物に、無水テトラヒドロフタル酸0.85当量をメチルエチルケトンを溶媒として常法により反応させた。酸価は120mgKOH/gであった。
【0102】
比較例1
実施例1において、工程(I)および工程(II)を行わずに、ドライフィルムレジストのみを使用した以外は同様に操作を行った。その結果を以下の表3に示す。密着性および断線発生率ともに不充分であった。
【0103】
【表3】
【0104】
比較例2
実施例1において、工程(II)を行わなかった以外は同様に操作を行った。結果を上記表3に示す。
【0105】
比較例3
絶縁基板(A)として直径0.5mmのスルーホールを有するものを用いた以外は、比較例2と同様に操作を行った。結果を上記表3に示す。
【0106】
比較例4
実施例1において、工程(III)を行わなかった以外は同様に操作を行った。結果を上記表3に示す。
【0107】
比較例5
液状樹脂組成物(B)として(B−2)を用いた以外は、比較例4と同様に操作を行った。結果を上記表3に示す。
【0108】
比較例6
水の代わりに同量のメチルエチルケトンを用いた液状樹脂組成物(B−5)を液状樹脂組成物(B)として用いた以外は、実施例1と同様に操作を行った。その結果を上記表3に示す。
【0109】
比較例7
液状樹脂組成物(B−2)の塗布後の乾燥を行わなかった以外は実施例12と同様の操作を行った。結果を上記表3に示す。
【0110】
比較例8
水の代わりに同量のメチルエチルケトンを用いた液状樹脂組成物(B−5)を液状樹脂組成物(B)として用い、液状樹脂組成物(B−5)の塗布後の乾燥を行わなかった以外は、実施例1と同様に操作を行った。結果を上記表3に示す。
【0111】
結果
比較例1では、工程(I)及び(II)を行わなかったため、実施例1に比べて密着性が低下し、断線発生率が著しく高くなっていることがわかる。
【0112】
比較例2、3では、工程(II)を行わなかったため、実施例1に比べて密着性が低下し、断線発生率が著しく高くなっていることがわかる。
【0113】
比較例4、5では、工程(III)を行わなかったために、実施例1に比べて密着性が低下し、断線発生率が著しく高くなっていることがわかる。
【0114】
上記より少なくとも一方の表面に導電層を設けた絶縁基板(A)としてスルーホールを有するものを用いた場合、中間層(B’)の膜厚が3μmの実施例9及び10では、膜厚が8μmの実施例7及び8に比べて断線発生率が低下していることがわかる。また固形分量の低い液状樹脂組成物(B)を用いた実施例9〜11は、固形分量の多い液状樹脂組成物(B)を用いた実施例7及び8より良好な結果を示した。さらに導電層の表面粗さが小さい絶縁基板(A)を用いた実施例9及び10は、表面粗さの小さい絶縁基板(A)を用いた実施例14より良好な結果を示した。このように本発明の製造方法を使用することにより、スルーホール等の穿孔を有する基板に適用した場合に特に優れた結果を得ることができる。
【0115】
また、上記よりL/S=50/50のファインパターンを形成した場合、表面粗さの小さい絶縁基板(A)を用いた実施例5及び6は、表面粗さの小さい絶縁基板(A)を用いた実施例12よりさらに優れた結果を示すことがわかる。一方、L/S=100/100μmの場合には、表面粗さの大きい絶縁基板(A)を用いた実施例13でも良好な結果が得られることがわかる。このように本発明の製造方法においては、表面粗さの小さい絶縁基板(A)を用いることにより、ファインパターンを形成する場合にも優れた結果が得られる。
【0116】
【発明の効果】
本発明の方法によって得られるプリント配線基板用積層体は、現像後のパターン直線性に優れ、エッチング時におけるレジスト層の剥離がなく、レジスト剥離時には良好な剥離性を示す。また本発明の方法によって得られる積層体はファインパターンのプリント配線基板の製造に好適に用いられ、不良品率を低下させて生産性を向上させる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント配線基板用積層体、及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、基板とレジスト層との密着性に優れ、断線や短絡等による不良率が低減されたプリント配線基板用積層体、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリント配線基板の製造方法は各種知られているが、その簡便さからドライフィルムレジストを用いる方法が主流となっている。すなわち銅張り積層板等の基板にドライフィルムレジストを貼付した後、紫外線照射、現像、エッチング等の工程を経て所定のプリント配線板が製造される。この方法は他の方法に比べ解像度が低く、導電回路の線とその間すなわちラインアンドスペース(以下、L/Sと記載することがある。)が100μm以下のファインパターンの形成が困難という問題がある(例えば、特許文献1を参照のこと。)。
【0003】
また、ドライフィルムレジストと銅張り積層板の密着性を向上させるため、銅表面の表面粗さが3〜10μm程度のものを用いる方法が通常行われている(例えば特許文献2を参照のこと。)。しかしながら、このような表面粗さを有する基板をL/Sが100μm以下のファインパターンの形成に用いる場合には、やはり前記問題は解決されず、エッチング後のパターン直線性に劣り、各種問題を引き起こす原因となる。
【0004】
L/Sが100μm以下のファインパターンの形成に、表面粗度2.5μm以下の銅箔を使用することが提案されているが(例えば、特許文献3を参照のこと。)、ドライフィルムレジストを用いた場合には、レジストと銅の密着強度が低下するという問題は不可避である。さらに銅箔上に傷や凹凸が存在すると、部分的に銅との密着が不充分となり、やはりエッチング後のパターン直線性に劣る、又は回路の導通不良や短絡などの問題を引き起こすことになる。
【0005】
プリント配線板の他の製造方法としては、前記ドライフィルムレジストの代わりに液状レジストを用いる方法が知られている。すなわち銅張り積層板等の基盤に液状レジストを塗布、乾燥した後、紫外線照射、現像、エッチング等の工程を経て所定のプリント配線板が製造される。この方法では前記ドライフィルムレジストを用いる方法の問題点をある程度解消できるものの、レジスト膜の厚さを制御することが困難、及び均一な厚さのレジスト膜を形成することが困難という問題がある。従って、この方法もファインパターンの形成に対しては未だ改善の余地がある。
【0006】
また、当該方法をスルーホールのある基板に適用すると、スルーホールのエッジ部への液状レジストの塗布が不十分となる、気泡の巻き込み等により液状レジストがスルーホール中に十分に行き渡らない、あるいはスルーホール中に液だまりができるという問題が発生する。この場合にはスルーホール中のレジストで被覆されていない個所や、エッジ部がエッチングされてしまい、導通不良の原因となることがある。さらにアスペクト比の大きいスルーホールを有する基板の場合には、紫外線等がスルーホールの内部まで十分に到達せずに硬化不良を引き起こし、同様に導通不良をもたらすことになる。
【0007】
尚、当該方法を、めっきスルーホールのある基板に適用するために、予めスルーホールを穴埋めインクで充填した後に液状レジストを塗布する穴埋め法が採用されている。ここでは通常の液状レジストを使用する場合に比較して、穴埋めインクの充填硬化工程、研磨工程と付加的な工程を必要とするため、生産効率の低下は不可避である。また、ここで使用される穴埋めインクが液状レジストに由来するレジスト層を溶解させることがあり、スルーホール孔の縁部でレジスト層が薄くなり、スルーホール保護の信頼性に乏しいという課題があった。
【0008】
尚、前記ドライフィルムレジストと液状レジストを併用する方法も提案されており(例えば、特許文献4を参照のこと。)、ここでは基板に液状のレジスト組成物を塗布した後、直ちにドライフィルムレジストを貼合する方法が開示されており、基板の傷、凹み等に対するドライフィルムの追従性の低さを補完できる、すなわち密着性を改良できることが記載されている。
【0009】
しかしながら、当該方法では、液状レジストの乾燥工程を経ずにドライフィルムレジストを貼合するため、過剰の液状レジストによる装置の汚染が問題となる。したがって、この過剰の液状レジストを機械的又は化学的に除去する工程が必要となる上に、その除去による効果も十分とは言いがたい。
【0010】
また、液状レジストの乾燥を行わずにドライフィルムレジストを貼合しているため、その硬化前の密着強度が不充分であり、硬化前の工程において剥離したり、基板とレジストの間に空気が混入したりすることがある。その結果、断線などの不良率は改善されているとは言いがたいのが現状である。
【0011】
前記ドライフィルムレジストと液状レジストを併用する他の方法としては、基板に液状のレジスト組成物を塗布し固化しない程度に乾燥した後、ドライフィルムレジストを貼合する方法が開示されている(例えば、特許文献5を参照のこと。)。ここでも乾燥が十分に行われていないために塗布後の基板にタックが発生し、断線などの不良の原因となるという問題がある。一方、タックを抑制するために乾燥を十分行うと、今度はドライフィルムレジストとの密着性が低下してしまうこととなる。
【0012】
以下の特許文献6には、基板に有機溶剤を含有する感光性樹脂組成物を塗布し、当該有機溶剤を完全に揮発させた後にドライフィルムレジストを貼合する方法が開示されている。ここでは塗布後の乾燥を十分に行っても前記密着強度が良好なことが記載されているが、十分とは言いがたい。また、前記感光性樹脂組成物にノボラック系のエポキシ樹脂より誘導される感光性樹脂を使用しているため、乾燥後においてもタックが大きいという問題がある。
【0013】
【特許文献1】
特開平3−141687号公報
【特許文献2】
特開2002−246712号公報
【特許文献3】
特開2001−73171号公報
【特許文献4】
米国特許第3629036号明細書
【特許文献5】
特開昭60−098432号公報
【特許文献6】
特開平08−288645号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、基板とレジストとの密着性に優れ、断線等による不良率が低減されたプリント配線基板用積層体、及びその製造方法を提供する。本発明は、さらに、特定の表面性状を有する導電層を用いる場合において、パターン直線性に優れ、ファインパターンの形成が可能なプリント配線基板用積層体及びスルーホールを有する基板にも適用可能なプリント配線基板用積層体の製造方法を提供することをも目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記状況に鑑み鋭意検討した結果、少なくとも一方の表面に導電層を設けた絶縁基板上に、液状樹脂組成物を塗布する工程、塗布された液状樹脂組成物を乾燥する工程、及びドライフィルムレジストを貼付する工程を含む積層体の製造方法において、特定の液状樹脂組成物を用いることが前記課題の解決に有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、以下の[1]〜[12]に関する。
[1]少なくとも一方の表面に導電層を設けた絶縁基板(A)上に、液状樹脂組成物(B)を塗布する工程(I)、塗布された前記液状樹脂組成物(B)を乾燥させて、樹脂組成物の塗膜からなる中間層(B’)を形成する工程(II)、及び前記中間層(B’)上にドライフィルムレジスト(C)を貼付する工程(III)を含むプリント配線基板用積層体の製造方法において、前記液状樹脂組成物(B)が溶媒として水を含むものであることを特徴とするプリント配線基板用積層体の製造方法。
[2]液状樹脂組成物(B)中の水の割合が5質量%以上、95質量%以下である、前記[1]に記載の方法。
[3]前記液状樹脂組成物(B)が感光性樹脂組成物である、前記[1]又は[2]に記載の方法。
[4]前記液状樹脂組成物(B)が、(b−1)感光性樹脂成分、(b−2)溶媒、及び(b−3)光重合開始剤を含む感光性樹脂組成物である、前記[1]〜[3]のいずれか1に記載の方法。
【0016】
[5]前記液状樹脂組成物(B)がアクリル樹脂を含むものである、前記[1]〜[4]のいずれか1に記載の方法。
[6]前記液状樹脂組成物(B)が塗布される絶縁基板(A)の導電層の表面粗さRzが3.0μm未満であることを特徴とする、前記[1]〜[5]のいずれか1に記載の方法。
[7]前記絶縁基板(A)の導電層が、表面処理剤により表面処理されたものであり、かつ、表面処理による厚さの減少量が4.0μm以下である、前記[1]〜[6]のいずれか1に記載の方法。
【0017】
[8]前記液状樹脂組成物(B)の固形分量が5質量%以上、20質量%以下の範囲にある、前記[1]〜[7]のいずれか1に記載の方法。
[9]前記[1]〜[8]のいずれか1に記載の方法により製造された、少なくとも一方の表面に導電層を設けた絶縁基板(A)、樹脂組成物(B)の塗膜からなる中間層(B’)、及びドライフィルムレジスト(C)を含むプリント配線基板用積層体。
【0018】
[10](b−1)感光性樹脂成分、(b−2)溶媒、及び(b−3)光重合開始剤を含む感光性樹脂組成物であり、かつ固形分量が5質量%以上、20質量%以下の範囲にある、前記[1]〜[8]のいずれか1に記載のプリント配線基板用積層体の中間層(B’)用液状感光性樹脂組成物。
[11]少なくとも一方の表面に導電層を設けた絶縁基板(A)上に、液状樹脂組成物(B)を塗布する工程(I)、及び前記液状樹脂組成物(B)上にドライフィルムレジスト(C)を貼付する工程(IV)を含むプリント配線基板用積層体の製造方法において、前記(B)が溶媒として水を含むものであり、かつ、絶縁基板(A)の導電層の表面粗さRzが3.0μm未満であることを特徴とするプリント配線基板用積層体の製造方法。
[12]液状樹脂組成物(B)中の水の量が5質量%以上、95質量%以下である、前記[11]に記載の方法。
【0019】
以下、本発明を詳細に説明する。
【発明の実施の形態】
本発明の工程(I)で使用される絶縁基板(A)は、少なくとも一方の表面に導電層を設けた絶縁基板であり、本技術分野で使用される公知のものが制限なく使用できる。
【0020】
絶縁基板(A)用の絶縁基板としては公知のものが使用可能であり、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂やポリエーテルスルホン樹脂などの熱可塑性樹脂と紙、ガラス繊維等との積層材、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルムなどが例示される。より具体的には、ガラス布基材エポキシ樹脂積層板、紙基材エポキシ樹脂積層板、紙基材フェノール樹脂積層板、ガラス布・紙複合基材エポキシ樹脂積層板、ガラス布・ガラス不織布エポキシ樹脂積層板、ガラス布基材ポリテトラフルオロエチレン積層板、ガラス布基材ポリイミド樹脂積層板、及びガラス布基材ポリフェニレンオキサイド樹脂積層板などが使用できる。
【0021】
また絶縁基板としては、アルミニウムや銅などの金属上にエポキシ樹脂等の絶縁層を設けたもの、アルミナ、炭化珪素あるいは窒化アルミニウムなどのセラミックスも使用できる。
本発明において絶縁基板(A)の導電層は任意の金属又は化合物が使用できるが、好ましくは銅、銀、金、ニッケル、及びスズなどの金属であり、もっとも好ましくは、銅である。該導電層の厚さは任意であるが、通常、0.5〜100μmの範囲であり、好ましくは、1.0〜80μmの範囲であり、さらに好ましくは、2.0〜60μmの範囲であり、最も好ましくは、3.0〜50μmの範囲である。
【0022】
本発明の絶縁基板(A)は前記絶縁基板上に任意の方法で導電層を設けることにより製造可能である。具体的には前記絶縁基板に接着剤を使用し又は使用せずに電解銅箔や圧延銅箔を圧着させる方法、前記絶縁基板上に無電解銅めっき、さらには電解銅めっきにより銅めっきを施す方法など、公知の方法で製造することができる。
【0023】
尚、前記導電層の表面粗さRz(JISB 0601−1994「表面粗さの定義と表示」の5.1 十点平均粗さの定義に規定されたRzを言う。以下、同様である。)は、一般的な回路パターンの場合には粗さ3.0〜10μmの範囲であってもよい。しかしながら、ファインパターン形成時には、好ましくは、3.0μm未満であり、さらに好ましくは、0.1〜2.5μmであり、より好ましくは、0.2〜2.0μmであり、最も好ましくは、0.3〜1.5μmの範囲である。
【0024】
ファインパターン形成時において表面粗さRzが前記範囲外では、エッチング後に硬化したレジストが完全に剥離せずに以後の工程に悪影響を与える、いわゆる「根残り」が起こることがある。その結果、銅箔と樹脂基板のボトムラインの直線性が乏しく、ファインパターン形成により回路間隔を狭くすると、隣接する回路間の絶縁が悪くなり、著しい場合には回路が完全に切れず、隣接する回路が短絡してしまうという現象を生じる。また、この根残りを解消すべくレジストの硬化を抑制すると、該レジストが密着不良を起こして現像又はエッチング時に剥離して、断線等の不良の発生の原因となることがある。
【0025】
導電層の表面粗さを前記範囲とするために、公知の方法が採用できる。例えば、絶縁基板(A)の導電層として銅箔を用いる場合、電解銅箔を下記のような表面処理をして表面粗さを前記範囲とする方法、電解銅箔を必要に応じて表面処理をして特定範囲の表面粗さとした後、圧延やブラッシング等により表面を平滑化し、表面粗さを前記範囲とする方法などが採用される。
【0026】
前記表面粗さの導電層を形成するためには、導電層を過酸化水素や無機酸等を含有する表面処理剤で表面処理することが好ましい。該表面処理は導電層の表面処理による厚さの減少量が4.0μm以下、好ましくは、2.0μm以下、より好ましくは、1.5μm、最も好ましくは、1.0μm以下となる条件で行うことが好ましい。具体的には前記溶液中の成分濃度や処理時間を調節することで、目的の厚さ減少量とすることができる。このような表面処理の方法は公知であり、例えば、特開2000−282265号公報、特開2001−200380号公報などに記載されている。
【0027】
本発明の工程(I)では、前記絶縁基板(A)上に液状樹脂組成物(B)が塗布される。該塗布は絶縁基板(A)の導電層の一部又は全部を被覆するように行われる。本発明の工程(I)を行わない場合、例えば、ドライフィルムレジストのみを用いた場合にはレジストと導電層(一般には銅箔)との密着性が不充分となる。また銅箔上に傷や凹みなどが存在すると、部分的に銅との密着が不充分になる。これらの結果としてエッチング後のパターン直線性に劣る、又は断線等による不良率が増大するなどの問題を引き起こすこととなる。
【0028】
本発明の工程(I)における液状樹脂組成物(B)の塗布の方法に特に制限はなく、公知の方法で行うことができる。具体的には前記液状樹脂組成物(B)をスプレーコーターにより絶縁基板(A)上に噴霧する方法、バーコーターやロールコーターにより絶縁基板(A)上に塗布する方法、ディップコーターを用いて絶縁基板(A)を液状樹脂組成物(B)中に浸漬させて塗布する方法などを使用しうる。これらの中ではディップコーターで塗布する方法が好ましい。これら方法を行うための装置、設備等も公知のものが使用できる。塗布の条件に制限はなく、前記塗布が行われる公知の条件が採用できる。ディップコーターを用いる場合、液状樹脂組成物(B)の温度は、通常、0〜100℃の範囲であり、好ましくは、5〜60℃の範囲、特に好ましくは、10〜40℃の範囲である。
【0029】
本工程で使用される液状樹脂組成物(B)は、溶媒乾燥後の塗膜、すなわち樹脂組成物の塗膜からなる中間層(B’)が現像液に可溶で、エッチング液に難溶となる性質を有するものであり、好ましくは、分子中にカルボン酸またはその無水物を有する化合物を含有するものである。具体的には、モノマーとして(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルを含む共重合体であるアクリル樹脂、(メタ)アクリル酸とエチレンとの共重合体、無水マレイン酸とエチレン又はスチレンとの共重合体などが例示され、密着性やタックなどの観点からアクリル樹脂が特に好ましい。尚、(メタ)アクリル酸とはメタクリル酸及び/又はアクリル酸を意味する。
【0030】
液状樹脂組成物(B)は紫外線等の照射により光重合を引き起こす成分の少なくとも1種を含有する液体状の感光性組成物であることが好ましい。当該組成物としては、レジスト材料として通常用いられるもので液状のものが制限なく使用できる。より詳細には、前記(B)は、(b−1)感光性樹脂成分、及び(b−2)溶媒を含み、好ましくは(b−3)光重合開始剤をも含み、さらに必要に応じて(b−4)チクソトロピー剤、(b−5)安定剤などの成分を含有していてもよい。
【0031】
(b−1)感光性樹脂成分は、紫外線、X線、電子線等の照射により光重合又は光分解を引き起こすことが可能な成分を含有する樹脂成分であり、光重合性樹脂、光重合性樹脂と非重合性樹脂との組成物、光重合性樹脂と重合性単量体との組成物、非重合性樹脂と重合性単量体との組成物、並びに光分解性樹脂及び光分解性樹脂と非重合性樹脂との組成物などが使用できる。
【0032】
(b−1)感光性樹脂成分の含有量は、液状樹脂組成物(B)中1〜80質量%の範囲、好ましくは、2〜60質量%の範囲、より好ましくは、5〜40質量%の範囲、そして最も好ましくは、5〜20質量%の範囲にある。
【0033】
前記光重合性樹脂としては、公知のものを単独で又は複数組み合わせて使用することが可能であり、例えば、下記(1)〜(5)の群から選ばれる。
【0034】
(1)不飽和ヒドロキシル化合物と、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、イソシアナート基及びエポキシ基の中から選ばれる1種以上の官能基を有する樹脂との反応物;
(2)不飽和エポキシ化合物と、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、イソシアナート基、アミノ基及びヒドロキシル基の中から選ばれる1種以上の官能基を有する樹脂との反応物;
(3)不飽和カルボン酸又は不飽和カルボン酸無水物と、ヒドロキシル基、アミノ基、イソシアナート基及びエポキシ基の中から選ばれる1種以上の官能基を有する樹脂との反応物;
【0035】
(4)不飽和アミノ化合物と、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、ホルミル基、ケト基、イソシアナート基及びエポキシ基の中から選ばれる1種以上の官能基を有する樹脂との反応物;
(5)不飽和イソシアナート化合物と、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、アミノ基、ヒドロキシル基及びエポキシ基の中から選ばれる1種以上の官能基を有する樹脂との反応物。
【0036】
これら光重合性樹脂の重量平均分子量や酸価は任意であるが、重量分子量は、好ましくは、500〜10,000の範囲、特に好ましくは、1,000〜50,000の範囲、そして最も好ましくは、2,000〜20,000の範囲にあり、酸価は、好ましくは、20〜350の範囲、特に好ましくは、50〜250の範囲、そして最も好ましくは、80〜200の範囲にある。尚、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、そして酸価は、JISK5601により測定する。
【0037】
不飽和ヒドロキシル化合物の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート等のポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ジエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル等のポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、N−メチロールアクリルアミド、アリルアルコール、メタアリルアルコール、ヒドロキシスチレン、ヒドロキシメチルスチレン、アリルフェノールなどが使用できる。
【0038】
不飽和エポキシ化合物の具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
不飽和カルボン酸及びその無水物としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ソルビン酸、テトラヒドロフタル酸、桂皮酸、ナジック酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、リカン酸、リシノール酸、アラキドン酸及びこれらの無水物などが使用可能である。
【0039】
不飽和アミノ化合物としては、アリルアミン、ジアリルアミン、アミノスチレン、アミノメチルスチレン、アクリルアミドや不飽和カルボン酸又はその誘導体とエチレンジアミン等のポリアミンとの反応物などが例示される。
不飽和イソシアナート化合物としては、2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート、アリルイソシアナートや、不飽和ヒドロキシル化合物とトリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等のポリイソシアナートとの反応物などが使用できる。
【0040】
前記(1)〜(5)において使用される1種以上の官能基を有する樹脂としては、前記不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、不飽和イソシアナート化合物、不飽和エポキシ化合物、不飽和ヒドロキシ化合物及び不飽和アミノ化合物の中から選ばれる少なくとも1種以上の単独重合体又は共重合体などである。
カルボキシル基を官能基として有する樹脂としては、ポリ(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸−メチル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、末端カルボキシル化ポリブタジエン、末端カルボキシル化ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、フェノール樹脂の(無水)多価カルボン酸付加物などが例示される。
【0041】
ヒドロキシル基を有する樹脂としては、ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート−スチレン共重合体、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート−メチルメタクリレート共重合体、ノボラック型フェノール樹脂、ポリビニルアルコール、部分鹸化エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリグリセリン、ポリビニルフェノール、エポキシ樹脂のカルボン酸付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、末端ヒドロキシル化(水添)ポリブタジエン、末端ヒドロキシル化(水添)石油樹脂及び多価アルコールと多価イソシアナートとの反応物などが例示される。
【0042】
エポキシ基を有する樹脂としては、ポリグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート−スチレン共重合体、グリシジル(メタ)アクリレート−メチルメタクリレート共重合体、ノボラック型フェノール樹脂とエピクロルヒドリンとの反応物、多価フェノールとエピクロロヒドリンの反応物及び多価アルコールとエピクロロヒドリンとの反応物などが例示される。
【0043】
アミノ基を有する樹脂としては、ポリアクリルアミド、ポリアリルアミン、ポリビニルホルムアミド鹸化物、ポリビニルアセトアミド鹸化物、ポリアミノスチレン、アミノスチレン−スチレン共重合体、カルボキシル基含有樹脂と多価アミンの反応物、尿素樹脂およびメラミン樹脂などが例示される。
イソシアナート基を有する樹脂としては、ポリ−2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート−メチル(メタ)アクリレート共重合体、多価イソシアナート化合物と多価ヒドロキシル化合物との反応物などを挙げることができる。
【0044】
前記(1)〜(5)のうち好ましいものをより具体的に示すと、(1−1)不飽和ヒドロキシル化合物と、カルボン酸無水物基を有する樹脂との反応物、例えばヒドロキシエチルアクリレートとスチレン−無水マレイン酸共重合体との反応物、及び該反応物にさらに塩基を反応させたもの、(1−2)不飽和ヒドロキシル化合物と、イソシアナート基を有する樹脂との反応物(2−1)不飽和エポキシ化合物と、カルボキシル基を有する樹脂との反応物であり、例えば、グリシジルアクリレートとメタクリル酸−メチルメタクリレート共重合体との反応物、3,4−エポキシ−シクロヘキシルメチルアクリレートとメタクリル酸−メチルメタクリレート共重合体との反応物、及びこれら反応物にさらに塩基を反応させたもの、(3−1)不飽和カルボン酸または不飽和カルボン酸無水物と、エポキシ基を有する樹脂との反応物であり、例えば、アクリル酸とポリグリシジルメタクリレートとの反応物、及びアクリル酸とグリシジルメタクリレート−メチルメタクリレート共重合体との反応物などが例示される。
【0045】
これらの中で特に好ましいものは、(メタ)アクリル酸とそのエステルとの共重合又はその変性物からなるアクリル樹脂であり、具体的には、グリシジルアクリレートとメタクリル酸−メチルメタクリレート共重合体との反応物、3,4−エポキシ−シクロヘキシルメチルアクリレートとメタクリル酸−メチルメタクリレート共重合体との反応物、及びこれら反応物にさらに塩基を反応させたものである。これらを使用することで密着性が向上し、タックの抑制が容易になる。
【0046】
さらに、(b−1)感光性樹脂成分に使用可能な重合性樹脂としては前記(1)〜(5)以外に下記のようなものが例示される。
【0047】
(6)ポリブタジエン等の、共役ジエン化合物の単独又は共重合体及びその変性物;
(7)エポキシ樹脂と不飽和脂肪酸とのエステル化物における脂肪酸鎖中の不飽和結合に不飽和ジカルボン酸またはその無水物を付加させてなる重合性不飽和樹脂;
(8)不飽和性脂肪酸変性高酸価アルキド樹脂からなる重合性不飽和樹脂;及び
(9)マレイン化油からなる重合性不飽和樹脂と一分子中に重合性不飽和結合を1個以上有するエチレン性不飽和化合物との混合物。
【0048】
光分解性樹脂は、紫外線等の照射により分子量が低下する樹脂又は紫外線等の照射によりカルボン酸等の官能基を生成し現像液に可溶となる樹脂である。これらは公知のものを単独で又は複数組み合わせて使用することが可能である。具体的には、t−ブチルメタクリレート、p−t−ブトキシスチレン等のt−ブチルエステル又はエーテル等の官能基を有する化合物の単独重合体若しくは共重合体である。
【0049】
(b−1)感光性樹脂成分に使用可能な重合性単量体としては、前記不飽和ヒドロキシル化合物、不飽和エポキシ化合物、不飽和カルボン酸又は不飽和カルボン酸無水物、不飽和アミノ化合物、不飽和イソシアナート化合物や、スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、メチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキル若しくはアリールエステル、多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル及び多価アルコールのアリルエーテルなどが挙げられる。
【0050】
多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステルとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどが例示される。また、多価アルコールのアリルエーテルとしては、エチレングリコールジアリルエーテル、ジエチレングリコールジアリルエーテル、ジアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、グリセリントリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテルなどが例示される。
【0051】
(b−1)感光性樹脂成分に使用可能な非重合性樹脂としては、前記不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、不飽和イソシアナート化合物、不飽和エポキシ化合物、不飽和ヒドロキシ化合物及び不飽和アミノ化合物の中から選ばれる少なくとも1種以上の単独重合体若しくは共重合体、スチレン、ビニルトルエン等のビニル芳香族化合物の単独重合体若しくは共重合体、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート等の不飽和カルボン酸エステルの単独重合体若しくは共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリオレフィン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂などであり、これらは単独で使用してもよく、複数を併用してもよい。
【0052】
(b−2)溶媒としては任意のものが使用可能であり、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、アニソール、フェネトール等のエーテル類、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−メトキシ−1−プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ベンジルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン等のケトン類、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸フェニル、安息香酸メチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のエステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルホスホルトリアミド等のアミド類、水、及びこれらの混合物が例示される。これらのうちエーテル類、アルコール類、ケトン類、エステル類及び水などの酸素原子を含有する溶媒が好ましく、絶縁基板(A)又はドライフィルムレジスト(C)との密着性の観点から水を含有するものが最も好ましい。
【0053】
液状樹脂組成物(B)中のこれら溶媒の含有量は、通常、20〜95質量%の範囲、好ましくは、30〜90質量%の範囲、より好ましくは、40〜85質量%の範囲、そして最も好ましくは50〜80質量%の範囲にある。
【0054】
尚、溶媒(b−2)中の水の割合は、絶縁基板(A)又はドライフィルムレジスト(C)との密着性の観点から好ましくは、30質量%以上であり、好ましくは、40質量%以上、さらに好ましくは、50質量%以上、そして最も好ましくは60質量%以上である。また、液状樹脂組成物(B)中の水の割合は、5質量%以上、95質量%以下が好ましく、30質量%以上、70質量%以下がより好ましく、そして40質量%以上、60質量%以下が最も好ましい。
【0055】
(b−3)光重合開始剤としては公知のものが使用可能であり、具体例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジル、ジフェニルジスルフィド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、ジアセチル、エオシン、チオニン、ミヒラーケトン、アントラキノン、クロルアントラキノン、メチルアントラキノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、p−イソプロピル−α−ヒドロキシイソブチルフェノン、α・α’−ジクロル−4−フェノキシアセトフェノン、1−ヒドロキシ1−シクロヘキシルアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、メチルベンゾイルホルメート、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、ベンゾフェノンチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸ペンチル、及びトリエタノールアミンなどが挙げられる。これらは単独で使用してもよいが、複数を併用することが好ましい。これら光重合開始剤の含有量は、液状樹脂組成物(B)中、0.1〜20質量%、好ましくは、0.5〜10質量%の範囲にある。(b−3)光重合開始剤の含有量が0.1質量%未満では光重合が十分進行せず、本発明の目的を達成することが困難となる。また、含有量が20質量%を超えると保存安定性が低下したり、前記塗膜の性状が低下することがある。
【0056】
(b−4)チクソトロピー剤は、液状樹脂組成物(B)にチクソトロピー性を付与することができる化合物であり、公知のものを単独で又は複数を組み合わせて使用することができる。チクソトロピー剤の使用量は、液状樹脂組成物(B)中通常、0.01〜10.0質量%の範囲、好ましくは、0.1〜5.0質量%の範囲、さらに好ましくは、0.2〜2.0質量%の範囲である。使用量が0.01質量%未満では添加の効果が認められず、10質量%を超えると中間層(B’)の膜厚制御が困難となる場合がある。
【0057】
(b−4)チクソトロピー剤の具体例としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化シルコニウム、シリカ、タルク、マイカ、カオリナイト、パイロフィライト、セリサイト、ベントナイト、スメクタイト、モンモリロナイト、ベイデライト、ノントロナイト、サポナイト、及びこれらを表面処理したものや、これらに交換性カチオンが含まれる場合は、そのカチオンをアルキルトリメチルアンモニウムイオン、ポリオキシエチレントリアルキルアンモニウムイオン又はポリオキシプロピレントリアルキルアンモニウムイオン等のアンモニウムイオンに交換したものなどが例示され、これらは市販のものを特に制限なく使用することができる。
【0058】
また、(b−4)チクソトロピー剤としては、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、 フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、及びウレタン樹脂等の微粒子なども使用できる。
【0059】
本発明の液状樹脂組成物(B)に含まれてもよい(b−5)安定剤は、前記液状樹脂組成物(B)が凝集することを抑制する機能を有する化合物であり、本発明の組成物が不均一系の場合には、その分散安定性を向上させることができる。安定剤の具体例としては界面活性剤や保護コロイドを形成することが可能な化合物などがあり、公知のものが制限なく使用できる。より具体的には、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、部分鹸化エチレン酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシエチルセルロース、ポリグリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性高分子や親水性高分子などが使用可能である。これらのうち少量の使用でも十分な効果が得られることから、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、部分鹸化エチレン酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシエチルセルロース、ポリグリセリンなどの水溶性高分子が好ましく、もっとも好ましくは、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、部分鹸化エチレン酢酸ビニル共重合体である。これらの化合物の分子量は、通常、200〜1,000,000の範囲、好ましくは1,000〜100,000の範囲、そして特に好ましくは5,000〜50,000の範囲にある。
【0060】
(b−5)安定剤の使用量は、液状樹脂組成物(B)中0.1〜100,000ppmの範囲、好ましくは1.0〜10,000ppmの範囲にある。
【0061】
液状樹脂組成物(B)の25℃における粘度は、好ましくは、1〜500mPa・sの範囲であり、ファインパターン製造用として導電層の表面粗さRzが3.0μm未満のものを使用する場合には、好ましくは、10〜300mPa・s、さらに好ましくは、10〜200mPa・s、そして最も好ましくは、20〜150mPa・sの範囲にある。尚、粘度は、B型粘度計(東機産業株式会社製、BL型、No.2ローター、60rpm)を用いて測定しうる。
【0062】
また、必ずしもファインパターンを必要としない一般パターンにおいては、液状樹脂組成物(B)の25℃における粘度は、好ましくは10〜200mPa・sの範囲、さらに好ましくは、20〜150mPa・sの範囲、特に好ましくは、30〜100mPa・sの範囲、そして最も好ましくは30〜90mPa・sの範囲にある。液状樹脂組成物(B)の粘度が前記特定範囲のものを用いると、導電層の表面粗さRzが3.0〜10μmの範囲においてもレジストの密着性を良好に維持することができるので、ファインパターンの形成を必ずしも必要としないプリント配線基板用途において有用となる。
【0063】
本発明で使用される液状樹脂組成物(B)に含有される溶剤以外の成分量(以下、固形分量ということがある。)は、液状樹脂組成物(B)中、通常1〜50質量%の範囲、好ましくは、3〜40質量%の範囲にある。また、少なくとも一方の表面に導電層を設けた絶縁基板(A)としてスルーホール等の穿孔を有するものを用いる場合には、後述する中間層(B’)の膜厚の観点から、固形分量は、好ましくは、5〜20質量%の範囲、より好ましくは、6〜18質量%の範囲、特に好ましくは7〜16質量%の範囲、そして最も好ましくは、7〜14質量%の範囲にある。
【0064】
本発明の工程(II)では、前記工程(I)において絶縁基板(A)上に塗布された液状樹脂組成物(B)を乾燥することにより、感光性樹脂組成物の塗膜からなる中間層(B’)が形成される。本工程においては液状樹脂組成物(B)中の溶剤の少なくとも一部が除去されることで固体状又は半固体状の中間層(B’)が形成される。乾燥の条件に特に制限はないが、乾燥温度は通常0〜150℃の範囲、好ましくは、20〜120℃の範囲、最も好ましくは、30〜100℃の範囲にある。乾燥の時間も任意であり、通常1〜120分の範囲、そして好ましくは5〜30分の範囲にある。
【0065】
工程(II)において形成される中間層(B’)の厚さに制限はないが、通常、0.1〜20μmの範囲、好ましくは、0.2〜10μmの範囲、より好ましくは0.2〜7.0μmの範囲、さらに好ましくは、0.2〜6.0μmの範囲、特に好ましくは、0.5〜5.0μmの範囲、そして最も好ましくは、0.5〜4.0μmの範囲にある。中間層(B’)の厚さが前記範囲未満では液状樹脂組成物(B)を塗布する効果が認められないことがある。すなわち、絶縁基板(A)とドライフィルムレジスト(C)との密着性が不充分となる、回路を形成した場合にパターン直線性が劣る、ファインパターンの形成が困難となるなどの問題が発生することがある。また、当該厚さが上記範囲を超えてもさらなる効果は期待できず、かえって中間層(B’)の硬化不良を起こしたり、ファインパターン形成を妨げたりすることがある。
【0066】
殊に絶縁基板(A)としてスルーホール等の穿孔を有するものを用いる場合には、断線等による不良率の低減が特に容易となることから、中間層(B’)の厚さは、0.2〜6.0μmの範囲が好ましく、0.5〜5.0μmの範囲が特に好ましく、そして0.5〜4.0μmの範囲が最も好ましい。
【0067】
本発明の工程(III)では、前記工程(II)で得られた中間層(B’)上にドライフィルムレジスト(C)が貼付される。ドライフィルムレジスト(C)としてはアルカリ可溶型、溶剤可溶型など、公知のものが制限なく使用することができ、好ましくはアルカリ可溶型である。また、当該ドライフィルムレジスト(C)はネガ型およびポジ型のいずれでもよいが、好ましくはネガ型である。
【0068】
工程(III)におけるドライフィルムレジスト(C)の貼付方法に制限はなく、熱ロールによる熱圧着など公知の方法を適用することができる。熱ロールの温度、圧着時の圧力も任意であり、当業者であれば使用するドライフィルムレジストの特性を考慮して好適な条件を設定することが可能である。
【0069】
上記の方法に従って得られたプリント配線基板用積層体は、少なくとも一方の表面に導電層を設けた絶縁基板(A)、感光性樹脂組成物の塗膜の中間層(B’)、及びドライフィルムレジスト(C)を含み、露光、現像、エッチング、及びレジスト剥離等の工程を経てプリント配線基板が製造される。
【0070】
本発明の工程(IV)は、前記工程(I)で得られた絶縁基板(A)に塗布された液状樹脂組成物(B)を乾燥することなく、その上にドライフィルムを貼付する工程である。ドライフィルムレジスト(C)は上記と同じものを使用することができる。
【0071】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0072】
測定方法
・表面粗さRzの測定
市販の表面粗さ計を用い、JIS B0601に準じた触針式粗さ試験機により測定した。
【0073】
・表面処理量
絶縁基板(A)の表面処理前後の重量減少量と銅の密度から表面処理によって減少した導電層(銅)を厚さを計算した。
【0074】
・粘度の測定
東機産業株式会社製のB型粘度計(BL型、No.2ローター)を用い、ローター回転数60rpmで測定した。
【0075】
・固形分量
仕込み量から算出した。本発明で使用される液状樹脂組成物(B)に含有される溶剤以外の成分量を示す。
【0076】
・樹脂組成物の塗膜からなる中間層(B’)の厚さ
絶縁基板(A)と(B’)形成後の積層体の中央部の厚さを株式会社テクロック製の膜厚計(商品名デジタルシックネスゲージSMD−565)にて測定し、その差を中間層(B’)の厚さとした。
【0077】
・タックの測定
工程(II)(比較例2、3、7、及び8の場合は工程(I))で得られた積層体(サイズ:100mm×200mm)2枚を中間層(B’)(比較例2、3、7、及び8の場合は(B))が合わさるように重ね、この上に1kgの荷重を乗せて40℃で1時間静置したのち、2枚の積層体を剥離させた。このときの中間層(B’)の剥離の状態を以下に従って判定した。
【0078】
◎:剥離が全く見られなかったもの
△:剥離がやや見られたもの
×:剥離が著しかったもの
【0079】
・密着性
本発明の方法に従って製造したプリント基板用積層体について、JIS K5400に準拠し、セロハンテープによる碁盤目剥離試験を行った。
【0080】
プリント配線板の評価
以下の項目について下記の基準に従って評価した。なお下記(1)〜(3)は走査型電子顕微鏡により観察した。その結果を以下の表1と表2に示す。
【0081】
【表1】
【表2】
【0082】
(1)エッチング耐性
◎:エッチング後にレジスト層の剥離が認められなかったもの;
○:エッチング後にレジスト層の剥離がほとんど認められなかったもの;
△:エッチング後にレジスト層の剥離が認められたもの;
×:エッチング後にレジスト層の著しい剥離が認められたもの;
【0083】
(2)剥離性
◎:レジスト剥離後に残存レジスト層が認められなかったもの;
○:レジスト剥離後に残存レジスト層がほとんど認められなかったもの;
△:レジスト剥離後に残存レジスト層が認められたもの;
×:レジスト剥離後に著しい残存レジスト層が認められたもの;
【0084】
(3)パターン直線性
◎:レジスト剥離後のパターンに波打ちがほとんど認められなかったもの;
○:レジスト剥離後のパターンに波打ちがやや認められたもの;
△:レジスト剥離後のパターンに波打ちが認められたもの;
×:レジスト剥離後のパターンに著しい波打ちが認められたもの;
【0085】
(4)密着性
◎:90個以上の碁盤目が残存したもの;
○:50〜89個の碁盤目が残存したもの;
△:25〜49個の碁盤目が残存したもの;
×:24個以下の碁盤目が残存したもの;
【0086】
(5)断線発生率
◎:上記に従って製造したプリント配線板10枚のうち、全く断線が認められなかったもの;
○:上記に従って製造したプリント配線板10枚のうち、1〜2枚の断線が認められたもの;
△:上記に従って製造したプリント配線板10枚のうち、3〜4枚の断線が認められたもの;
×:上記に従って製造したプリント配線板10枚のうち、5枚以上の断線が認められたもの。
【0087】
実施例1
1)少なくとも一方の表面に導電層を設けた絶縁基板(A)の表面処理
ガラス布基材エポキシ樹脂積層板と厚さ17μmの電解銅箔とを圧着した基板を、メック株式会社製の表面処理剤CZ−8100(硫酸、過酸化水素、亜リン酸、トリアゾール類を含有する水溶液)に30℃で25秒浸漬することにより、表面処理を行った(重量変化より、銅箔の減少量は2.0μmに相当する。)。表面処理後の銅箔の表面粗さRzは2.7μmであった。
【0088】
2)液状樹脂組成物(B)の調製
下記の均一な混合物を激しく攪拌しながら、この混合物に水41.8質量部を15分かけて滴下し、さらに15時間攪拌した。得られた溶液に10質量%のポリビニルアルコール水溶液を0.3質量部添加し1時間攪拌し、液状樹脂組成物(B−1)を調製した。
【0089】
・メタクリル酸−メチルメタクリレート共重合体の3,4−エポキシ−シクロヘキシルメチルアクリレート変性樹脂(ダイセル化学工業株式会社製、商品名サイクロマーACA−200M、酸価100mgKOH/g、重量平均分子量17、000)、13.8質量部
・ビスフェノールFジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物(日本化薬製、商品名PNA−142)、1.4質量部
・ポリエチレングリコールジアクリレート、5.2質量部
・N−メチルモルフォリン、2.8質量部
・エチレングリコールモノブチルエーテル、17.0質量部
・2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2.4質量部
【0090】
・プロピレングリコールモノメチルエーテル、13.8質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、0.8質量部
・ヘクトライトのポリオキシプロピレンメチルジエチルアンモニウムカチオン変性物、0.7質量部
【0091】
3)プリント配線板用積層体の製造
前記1)の基板に、前記2)で調製した液状樹脂組成物(B−1)を、サツマ通信社製ディップコーター(商品名ファイブコーターFC−7500)を用いて塗布した。次にこの基板を80℃で15分乾燥して、厚さ約8μmの感光性樹脂組成物塗膜の中間層(B’−1)を形成した。この塗膜(中間層)上に常温でロールによりドライフィルムレジスト(C−1)(日立化成株式会社製、感光層の厚さ約40μm)を圧着し、プリント配線基板用積層体を得た。
【0092】
4)プリント配線板の製造
前記プリント配線板用積層体にラインアンドスペースが50μm/50μmのフォトマスクを通して紫外線で露光(超高圧水銀ランプ、主波長365nm、80mJ/cm2)したのち、1%炭酸ナトリウム水溶液で未硬化の部分を溶解させて現像した。次いで、水による洗浄、塩化第二鉄水溶液による導電層のエッチング、3%水酸化ナトリウム水溶液によるレジスト層の剥離を経てプリント配線板を製造した。
【0093】
実施例2〜4
実施例1において銅箔の表面処理時間を、それぞれ、45秒、35秒及び20秒とし、Rzが、それぞれ、1.8μm、1.2μm、及び0.8μmとしたものを用いた以外は同様に操作をおこなった。結果を上記表1に示す。
【0094】
実施例5、及び6
液状樹脂組成物(B)として以下に従って調製した(B−2)を用いた以外は、それぞれ、実施例1、及び実施例3と同様に操作を行った。結果を上記表1に示す。
液状樹脂組成物(B−2)の調製
実施例1の2)において調製した液状の感光性樹脂組成物50質量部に、水及びエチレングリコールモノブチルエーテルの混合物(60質量部/40質量部)50質量部を攪拌しながら添加することで、液状樹脂組成物(B−2)を調製した。
【0095】
実施例7、及び8
絶縁基板(A)として直径0.5mmのスルーホールを有するものを用いた以外は、それぞれ実施例1、及び実施例3と同様に操作を行った。結果を上記表1に示す。
【0096】
実施例9、及び10
絶縁基板(A)として直径0.5mmのスルーホールを有するものを用い、液状樹脂組成物(B)として液状樹脂組成物(B−2)を用いた以外は、それぞれ、実施例1、及び実施例3と同様に操作を行った。結果を上記表2に示す。
【0097】
実施例11
液状樹脂組成物(B)として以下に従って調製した液状樹脂組成物(B−3)を用いた以外は、実施例9と同様に操作を行った。結果を上記表2に示す。
液状樹脂組成物(B−3)の調製
実施例1の2)において調製した液状の感光性樹脂組成物40質量部に、水、及びエチレングリコールモノブチルエーテルの混合物(60質量部/40質量部)60質量部を攪拌しながら添加することにより、(B−3)を調製した。
【0098】
実施例12
銅箔の表面処理時間を60秒とし、銅箔の表面粗さRzを5.1μmとしたものを用いた以外は、実施例5と同様に操作を行った。結果を上記表2に示す。
【0099】
実施例13
L/Sを100/100とした以外は、実施例12と同様に操作を行った。結果を上記表2に示した。
【0100】
実施例14
絶縁基板(A)として直径0.5mmのスルーホールを有するものを用いた以外は、実施例12と同様に操作を行った。結果を上記表2に示す。
【0101】
実施例15
液状樹脂組成物(B−4)として、メタクリル酸−メチルメタクリレート共重合体の3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート変性樹脂、及びビスフェノールFジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物の代わりに以下に従って調製した樹脂を用いた以外は、実施例1と同様に操作を行った。結果を上記表2に示す。
エポキシ当量が190のフェノールノボラック型エポキシ樹脂の1当量とアクリル酸の1当量とを反応させて得られた反応物に、無水テトラヒドロフタル酸0.85当量をメチルエチルケトンを溶媒として常法により反応させた。酸価は120mgKOH/gであった。
【0102】
比較例1
実施例1において、工程(I)および工程(II)を行わずに、ドライフィルムレジストのみを使用した以外は同様に操作を行った。その結果を以下の表3に示す。密着性および断線発生率ともに不充分であった。
【0103】
【表3】
【0104】
比較例2
実施例1において、工程(II)を行わなかった以外は同様に操作を行った。結果を上記表3に示す。
【0105】
比較例3
絶縁基板(A)として直径0.5mmのスルーホールを有するものを用いた以外は、比較例2と同様に操作を行った。結果を上記表3に示す。
【0106】
比較例4
実施例1において、工程(III)を行わなかった以外は同様に操作を行った。結果を上記表3に示す。
【0107】
比較例5
液状樹脂組成物(B)として(B−2)を用いた以外は、比較例4と同様に操作を行った。結果を上記表3に示す。
【0108】
比較例6
水の代わりに同量のメチルエチルケトンを用いた液状樹脂組成物(B−5)を液状樹脂組成物(B)として用いた以外は、実施例1と同様に操作を行った。その結果を上記表3に示す。
【0109】
比較例7
液状樹脂組成物(B−2)の塗布後の乾燥を行わなかった以外は実施例12と同様の操作を行った。結果を上記表3に示す。
【0110】
比較例8
水の代わりに同量のメチルエチルケトンを用いた液状樹脂組成物(B−5)を液状樹脂組成物(B)として用い、液状樹脂組成物(B−5)の塗布後の乾燥を行わなかった以外は、実施例1と同様に操作を行った。結果を上記表3に示す。
【0111】
結果
比較例1では、工程(I)及び(II)を行わなかったため、実施例1に比べて密着性が低下し、断線発生率が著しく高くなっていることがわかる。
【0112】
比較例2、3では、工程(II)を行わなかったため、実施例1に比べて密着性が低下し、断線発生率が著しく高くなっていることがわかる。
【0113】
比較例4、5では、工程(III)を行わなかったために、実施例1に比べて密着性が低下し、断線発生率が著しく高くなっていることがわかる。
【0114】
上記より少なくとも一方の表面に導電層を設けた絶縁基板(A)としてスルーホールを有するものを用いた場合、中間層(B’)の膜厚が3μmの実施例9及び10では、膜厚が8μmの実施例7及び8に比べて断線発生率が低下していることがわかる。また固形分量の低い液状樹脂組成物(B)を用いた実施例9〜11は、固形分量の多い液状樹脂組成物(B)を用いた実施例7及び8より良好な結果を示した。さらに導電層の表面粗さが小さい絶縁基板(A)を用いた実施例9及び10は、表面粗さの小さい絶縁基板(A)を用いた実施例14より良好な結果を示した。このように本発明の製造方法を使用することにより、スルーホール等の穿孔を有する基板に適用した場合に特に優れた結果を得ることができる。
【0115】
また、上記よりL/S=50/50のファインパターンを形成した場合、表面粗さの小さい絶縁基板(A)を用いた実施例5及び6は、表面粗さの小さい絶縁基板(A)を用いた実施例12よりさらに優れた結果を示すことがわかる。一方、L/S=100/100μmの場合には、表面粗さの大きい絶縁基板(A)を用いた実施例13でも良好な結果が得られることがわかる。このように本発明の製造方法においては、表面粗さの小さい絶縁基板(A)を用いることにより、ファインパターンを形成する場合にも優れた結果が得られる。
【0116】
【発明の効果】
本発明の方法によって得られるプリント配線基板用積層体は、現像後のパターン直線性に優れ、エッチング時におけるレジスト層の剥離がなく、レジスト剥離時には良好な剥離性を示す。また本発明の方法によって得られる積層体はファインパターンのプリント配線基板の製造に好適に用いられ、不良品率を低下させて生産性を向上させる。
Claims (12)
- 少なくとも一方の表面に導電層を設けた絶縁基板(A)上に、液状樹脂組成物(B)を塗布する工程(I)、塗布された前記液状樹脂組成物(B)を乾燥させて、樹脂組成物の塗膜からなる中間層(B’)を形成する工程(II)、及び前記中間層(B’)上にドライフィルムレジスト(C)を貼付する工程(III)を含むプリント配線基板用積層体の製造方法において、前記液状樹脂組成物(B)が溶媒として水を含むものであることを特徴とするプリント配線基板用積層体の製造方法。
- 液状樹脂組成物(B)中の水の割合が5質量%以上、95質量%以下である、請求項1に記載の方法。
- 前記液状樹脂組成物(B)が感光性樹脂組成物である、請求項1又は2に記載の方法。
- 前記液状樹脂組成物(B)が、(b−1)感光性樹脂成分、(b−2)溶媒、及び(b−3)光重合開始剤を含む感光性樹脂組成物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 前記液状樹脂組成物(B)がアクリル樹脂を含むものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- 前記液状樹脂組成物(B)が塗布される絶縁基板(A)の導電層の表面粗さRzが3.0μm未満であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- 前記絶縁基板(A)の導電層が、表面処理剤により表面処理されたものであり、かつ、表面処理による厚さの減少量が4.0μm以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
- 前記液状樹脂組成物(B)の固形分量が5質量%以上、20質量%以下の範囲にある、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法により製造された、少なくとも一方の表面に導電層を設けた絶縁基板(A)、樹脂組成物(B)の塗膜からなる中間層(B’)及びドライフィルムレジスト(C)を含むプリント配線基板用積層体。
- (b−1)感光性樹脂成分、(b−2)溶媒、及び(b−3)光重合開始剤を含む感光性樹脂組成物であり、かつ固形分量が5質量%以上、20質量%以下の範囲にある、請求項1〜8のいずれか1項に記載のプリント配線基板用積層体の中間層(B’)用液状感光性樹脂組成物。
- 少なくとも一方の表面に導電層を設けた絶縁基板(A)上に、液状樹脂組成物(B)を塗布する工程(I)、及び前記液状樹脂組成物(B)上にドライフィルムレジスト(C)を貼付する工程(IV)を含むプリント配線基板用積層体の製造方法において、前記(B)が溶媒として水を含むものであり、かつ、絶縁基板(A)の導電層の表面粗さRzが3.0μm未満であることを特徴とするプリント配線基板用積層体の製造方法。
- 液状樹脂組成物(B)中の水の量が5質量%以上、95質量%以下である、請求項11に記載の方法。
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2003
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