JP2004263740A - ラックとピニオンを用いた該ラックの可動範囲延長構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】ラックとピニオンの機構の該ラック移動方向の距離を大きくし、前記機構を収容するシリンダ内部の省スペース化を図る。
【解決手段】回転中心が直線的に配列される、(n+1)個(nは1以上の自然数とする)の従動歯車5の各間にn個のアイドラー7がそれぞれ1個ずつ噛み合うように配設され、従動歯車5またはアイドラー7のいずれか1個に駆動歯車6が噛み合わされ、(n+1)個の従動歯車5の回転軸上にそれぞれ一体的に、かつ同一外径を有するように設けられた(n+1)個のピニオン8と、ピニオン8と少なくとも1個以上が噛み合って(n+1)個のピニオン8のすべてに共通する接線方向に直線的に移動するラック9と、ラック9を前記接線方向に支持しかつ案内する支持構造10とを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】回転中心が直線的に配列される、(n+1)個(nは1以上の自然数とする)の従動歯車5の各間にn個のアイドラー7がそれぞれ1個ずつ噛み合うように配設され、従動歯車5またはアイドラー7のいずれか1個に駆動歯車6が噛み合わされ、(n+1)個の従動歯車5の回転軸上にそれぞれ一体的に、かつ同一外径を有するように設けられた(n+1)個のピニオン8と、ピニオン8と少なくとも1個以上が噛み合って(n+1)個のピニオン8のすべてに共通する接線方向に直線的に移動するラック9と、ラック9を前記接線方向に支持しかつ案内する支持構造10とを備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラックの長さを変更せずにラックを直線的に長く移動させるとともに、省スペース化されることができるラックとピニオンの機構に関し、特に、該機構をシリンダ内に収容するとき、そのシリンダ本体の全長が同じであれば、ラックと連結する出力ロッドの可動範囲を長くすることができるラックとピニオンを用いた該ラックの可動範囲延長構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ラックとピニオンを用いてピニオンの回転運動をラックの直線運動に変換する機構としては、さまざまなものが開示されている。
例えば、特許文献1には、駆動ピニオンの両側に2つの同一外径を有するアイドルギヤを設け、該2つのアイドルギヤにラックを噛合させることにより、該ラックの歯に作用する力を軽減させる技術が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、直線駆動させるラックの歯形にトロコイド曲線を利用したものを使用するとともに、ラックに噛み合うピンを3本にすることにより、より大きな荷重の伝達を可能とする技術が開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開昭57−86652号公報
【特許文献2】
特開平5−187505号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の従来の技術では、前記ラックとピニオンの機構をシリンダ等内に収容するとき、前記ラックが直線的に移動するため、ラックの移動方向における該シリンダ等の内部のスペースは、ラックが移動する直線長さより長い分だけ確保する必要がある。
例えば、一つのピニオンに一つのラックが噛合する構造体を収容するシリンダについて考察する。前記シリンダのラックが移動する方向へのスペースは、ピニオンに対してラックがその左右の両端間を直線的に動くことができるとすれば、ラックの全長よりも少なくとも2倍以上が必要となる。また、シリンダ内の前記ラックに連結する出力ロッドのストロークを延長するために、該ラックの長さを延長した場合、前記シリンダ内のラックが移動する方向へのスペースは、その追加延長分の長さの2倍が必要となる。
ゆえに、ラックの長さとそのラックを収納する前記シリンダのスペースは物理的に決定されるため、省スペース化を図ることが困難であった。
【0006】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、ラックが移動する方向のスペースをより省スペース化できるラックとピニオンを用いた該ラックの可動範囲延長構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、回転中心が直線的に配列される、(n+1)個(nは1以上の自然数とする)の従動歯車の各間にn個のアイドラーがそれぞれ1個ずつ噛み合うように配設され、前記従導歯車または前記アイドラーのいずれか1個に駆動歯車が噛み合わされ、前記(n+1)個の従動歯車の回転軸上にそれぞれ一体的に、かつ同一外径を有するように設けられた(n+1)個のピニオンと、該ピニオンと少なくとも1個以上が噛み合って該(n+1)個のピニオンのすべてに共通する接線方向に直線的に移動するラックと、該ラックを前記接線方向に支持しかつ案内する支持構造とを備える。
【0008】
また、前記可動範囲延長構造を、シリンダ本体と出力ロッドとからなるシリンダの該シリンダ本体内に収容し、前記ラックと前記出力ロッドとを連結部材により固定的に連結する
【0009】
【作用】
ラックに噛み合うピニオンを複数個設けるとともに、ピニオン間の距離を変更することにより、前記ラックとピニオンの機構を収容するスペースに対して、該ラックの移動距離を大きくするとともに、該ラックが移動する方向のスペースをより省スペース化することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態に係るラックとピニオンを用いた該ラックの可動範囲延長構造について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係り、ラックとピニオンの機構を収容するシリンダで、該機構のラックを用いたシリンダの可動範囲延長構造を示す正面図である。なお、このシリンダ1は、本発明を説明するための一例として使用するものである。
【0011】
図1において、シリンダ1は、左右方向に長手方向が移動するロッド2と、ロッド2の長手方向の一端が内部に挿入されているシリンダ本体3で構成されている。シリンダ本体3の内部には、ロッド2の一端部が取付けられている可動範囲延長構造体4が設けられている。
【0012】
この可動範囲延長構造体4は、それぞれ以下の部品により組み立てられている。回転中心軸が直線的に配列される、(n+1)個の従動歯車5(図1では3個。以下3個で説明する。)の左端の1個には、駆動歯車6が噛み合わされている。3個の従動歯車5の各間には、n個のアイドラー7(図1では2個。以下、2個で説明する。)がそれぞれ1個ずつ隣り合う従動歯車5に噛み合うように配設されている。3個の従動歯車5の回転軸上には、それぞれ一体的に、かつ同一外径を有するように設けられた(n+1)個のピニオン8(図1では3個。以下、3個で説明する。)が設けられている。また、ピニオン8と少なくとも1個以上が噛み合って該3個のピニオンのすべてに共通する接線方向に直線的に移動するラック9が設けられている。ラック9には、前記接線方向に摺動可能に支持され、かつ案内される支持構造10が設けられている。
なお、従動歯車5、駆動歯車6、アイドラー7の回転軸や、支持構造10は、可動範囲延長構造体4の図示しない枠体に取り付けられている。
【0013】
駆動歯車6は、シリンダ本体3の内部または外部に設けた図示しないモータ等と接続され、このモータの駆動力により正転または逆転可能に回転する。駆動歯車6は、駆動軸の中心がロッド2の移動方向軸線11の軸線上になるよう配置されている。
【0014】
従動歯車5の回転軸12のそれぞれの中心は、駆動歯車6の駆動軸の中心と同様に、移動方向軸線11の軸線上に配置されている。従動歯車5、および駆動歯車6には、平歯車が使用されており、3個の従動歯車5は、モジュール、歯数、ピッチ円直径がそれぞれ等しいものが使用されている。
3つのピニオン8は、それぞれの従動歯車5と一体的に形成されるとともに、従動歯車5の回転軸12の同軸上に、かつ回転軸12と直交する同一平面内でそれぞれラック9と噛み合うように設けられている。前記ピニオン8は、モジュール、歯数、ピッチ円直径がそれぞれ等しい同一の平歯車が使用されている。なお、図1では、前記ピニオン8のピッチ円直径は、従動歯車のそれより小さいものが示されている。
【0015】
ラック9は、3つのピニオン8の共通する接線方向に往復するように設けられており、図1では、連結部材としての固定金具13により連結されるロッド2の移動方向と同一方向に往復移動する。ラック9の長手方向の長さBは、それぞれの従動歯車5(ピニオン8)の回転軸12の軸間の長さAよりも大きくなるように形成されている。
支持機構10は、一般に使用されている直動機構などを用いて構成されており、ラック9の図上で上下左右方向に作用する力を受けて支持しながら、ラック9が前記移動方向に摺動可能に往復するのを案内している。支持機構10の長手方向の全長は、ラック9の可動距離と同等またはそれ以上の長さだけ設けられている。
また、ラック9とロッド2は、固定金具13により互いに固定的に連結されており、ラック9またはロッド2が交換可能なようにボルト類で締結固定されている。
【0016】
次に、可動範囲延長構造4の動作について、図1を用いて詳しく説明する。
駆動歯車6が右回転(図1で時計方向)すると、それぞれの従動歯車5およびピニオン8は左回転する(アイドラー7は右回転する。)。ラック9はピニオン8から右水平方向への推力を受け、固定金具13を介してロッド2を右水平方向に移動させる。
【0017】
ロッド2の可動長さ(ストローク)Lは、ラック9が少なくとも一つのピニオン8と噛み合っている状態でも移動することができるので、それぞれの回転軸12の軸間長さAと、ラック9の長手方向の長さBの和となり、
L = 2×A+B
の式で表すことができる。
また、シリンダ本体3の内寸Cは、ラック9が移動する範囲の全長分だけ長くなければならず、
C ≧ 2×A + 2×B = 2×( A+B )
の式で表すことができる。
【0018】
仮に、図1に示すピニオン8の2個を使用せずに1個だけ(例えば、3個のピニオンのうちの中間のピニオンだけ)を用いて前記可動長さLと同じ可動長さとなるように構成した場合、ラックの長手方向の長さB´は、
B´ = L = 2×A+B
シリンダ本体3の内寸C´は、
C´ ≧ 2×B´ = 2×( 2×A+B )
の式で表すことができる。
ゆえに、短縮可能な寸法 P は、
P = C´−C = 2A
となり、前記シリンダ本体3を2Aの長さだけ短縮することができる。
【0019】
本発明の実施形態に係るラック9とピニオン8の機構を用いたラック9の可動範囲延長構造では、複数のピニオン8を設けて、ラック9が少なくともピニオン8と1個以上に噛み合うようにし、さらに1個のピニオン8と噛み合う状態においても支持構造10がラック9の移動方向を案内・支持する構造としているので、1個のピニオンを用いたラックとピニオンの機構よりも、ピニオン8の軸間距離の2倍の長さだけシリンダ本体3の全長を短くすることができる。
【0020】
なお、本発明は既述の実施形態に限定されるものではなく、たとえば、アイドラー7の直径を大きくあるいは小さくすることにより、ロッド2の可動寸法を調節することができる。また、図1では、アイドラー7をロッド2の移動方向軸線11の線上に配置しているが、移動方向軸線11の上側または下側にずらして配置することにより回転軸12の軸間長さAを変えることができ、ロッド2の可動寸法を調節することができる。
【0021】
また、支持機構10は、直動機構を使用する代わりに、ラック9の側面および下面が常に2個以上のローラで上下左右に支持される構造を用いて構成することもできる。
さらに、駆動歯車6は、図1では、左端の従動歯車5と噛合するように記載したが、どの従動歯車5と噛合させてもよく、また、どのアイドラー7と噛合させてもよい。この組み合わせによりギヤ比を調節して、図示しないモータと本装置の間に必要な場合に設けていた減速機を小さく、あるいは削減することができる。
また、いずれかの従動歯車5またはアイドラー7を直接駆動させてもよい。
【0022】
【発明の効果】
本発明に係るラックとピニオンの機構を用いた可動範囲延長構造によれば、回転中心が直線的に配列される、(n+1)個(nは1以上の自然数とする)の従動歯車の各間にn個のアイドラーがそれぞれ1個ずつ噛み合うように配設され、前記従導歯車または前記アイドラーのいずれか1個に駆動歯車が噛み合わされ、前記(n+1)個の従動歯車の回転軸上にそれぞれ一体的に、かつ同一外径を有するように設けられた(n+1)個のピニオンと、該ピニオンと少なくとも1個以上が噛み合って該(n+1)個のピニオンのすべてに共通する接線方向に直線的に移動するラックと、該ラックを前記接線方向に支持しかつ案内する支持構造とを備えているので、ラックおよびロッドの可動範囲が同じであれば、シリンダ本体の全長を短くすることができ、また、前記ラックとピニオンの機構を収容するシリンダのシリンダ本体の全長が同じであれば、ラックおよびロッドの可動範囲を長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るラックとピニオンを用いたラックの可動範囲延長構造体を収容するシリンダの一部を破断した正面図であって、変数nが2の場合である。
【符号の説明】
1 シリンダ
2 ロッド
3 シリンダ本体
4 可動範囲延長構造
5 従動歯車
6 駆動歯車
7 アイドラー
8 ピニオン
9 ラック
10 支持構造
11 移動方向軸線
12 従動歯車の回転軸
13 固定金具(連結部材)
A 従動歯車軸の軸間長さ
B,B´ ラックの長さ
C,C´ シリンダ本体の内寸法
L ロッドの可動長さ
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラックの長さを変更せずにラックを直線的に長く移動させるとともに、省スペース化されることができるラックとピニオンの機構に関し、特に、該機構をシリンダ内に収容するとき、そのシリンダ本体の全長が同じであれば、ラックと連結する出力ロッドの可動範囲を長くすることができるラックとピニオンを用いた該ラックの可動範囲延長構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ラックとピニオンを用いてピニオンの回転運動をラックの直線運動に変換する機構としては、さまざまなものが開示されている。
例えば、特許文献1には、駆動ピニオンの両側に2つの同一外径を有するアイドルギヤを設け、該2つのアイドルギヤにラックを噛合させることにより、該ラックの歯に作用する力を軽減させる技術が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、直線駆動させるラックの歯形にトロコイド曲線を利用したものを使用するとともに、ラックに噛み合うピンを3本にすることにより、より大きな荷重の伝達を可能とする技術が開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開昭57−86652号公報
【特許文献2】
特開平5−187505号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の従来の技術では、前記ラックとピニオンの機構をシリンダ等内に収容するとき、前記ラックが直線的に移動するため、ラックの移動方向における該シリンダ等の内部のスペースは、ラックが移動する直線長さより長い分だけ確保する必要がある。
例えば、一つのピニオンに一つのラックが噛合する構造体を収容するシリンダについて考察する。前記シリンダのラックが移動する方向へのスペースは、ピニオンに対してラックがその左右の両端間を直線的に動くことができるとすれば、ラックの全長よりも少なくとも2倍以上が必要となる。また、シリンダ内の前記ラックに連結する出力ロッドのストロークを延長するために、該ラックの長さを延長した場合、前記シリンダ内のラックが移動する方向へのスペースは、その追加延長分の長さの2倍が必要となる。
ゆえに、ラックの長さとそのラックを収納する前記シリンダのスペースは物理的に決定されるため、省スペース化を図ることが困難であった。
【0006】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、ラックが移動する方向のスペースをより省スペース化できるラックとピニオンを用いた該ラックの可動範囲延長構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、回転中心が直線的に配列される、(n+1)個(nは1以上の自然数とする)の従動歯車の各間にn個のアイドラーがそれぞれ1個ずつ噛み合うように配設され、前記従導歯車または前記アイドラーのいずれか1個に駆動歯車が噛み合わされ、前記(n+1)個の従動歯車の回転軸上にそれぞれ一体的に、かつ同一外径を有するように設けられた(n+1)個のピニオンと、該ピニオンと少なくとも1個以上が噛み合って該(n+1)個のピニオンのすべてに共通する接線方向に直線的に移動するラックと、該ラックを前記接線方向に支持しかつ案内する支持構造とを備える。
【0008】
また、前記可動範囲延長構造を、シリンダ本体と出力ロッドとからなるシリンダの該シリンダ本体内に収容し、前記ラックと前記出力ロッドとを連結部材により固定的に連結する
【0009】
【作用】
ラックに噛み合うピニオンを複数個設けるとともに、ピニオン間の距離を変更することにより、前記ラックとピニオンの機構を収容するスペースに対して、該ラックの移動距離を大きくするとともに、該ラックが移動する方向のスペースをより省スペース化することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態に係るラックとピニオンを用いた該ラックの可動範囲延長構造について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係り、ラックとピニオンの機構を収容するシリンダで、該機構のラックを用いたシリンダの可動範囲延長構造を示す正面図である。なお、このシリンダ1は、本発明を説明するための一例として使用するものである。
【0011】
図1において、シリンダ1は、左右方向に長手方向が移動するロッド2と、ロッド2の長手方向の一端が内部に挿入されているシリンダ本体3で構成されている。シリンダ本体3の内部には、ロッド2の一端部が取付けられている可動範囲延長構造体4が設けられている。
【0012】
この可動範囲延長構造体4は、それぞれ以下の部品により組み立てられている。回転中心軸が直線的に配列される、(n+1)個の従動歯車5(図1では3個。以下3個で説明する。)の左端の1個には、駆動歯車6が噛み合わされている。3個の従動歯車5の各間には、n個のアイドラー7(図1では2個。以下、2個で説明する。)がそれぞれ1個ずつ隣り合う従動歯車5に噛み合うように配設されている。3個の従動歯車5の回転軸上には、それぞれ一体的に、かつ同一外径を有するように設けられた(n+1)個のピニオン8(図1では3個。以下、3個で説明する。)が設けられている。また、ピニオン8と少なくとも1個以上が噛み合って該3個のピニオンのすべてに共通する接線方向に直線的に移動するラック9が設けられている。ラック9には、前記接線方向に摺動可能に支持され、かつ案内される支持構造10が設けられている。
なお、従動歯車5、駆動歯車6、アイドラー7の回転軸や、支持構造10は、可動範囲延長構造体4の図示しない枠体に取り付けられている。
【0013】
駆動歯車6は、シリンダ本体3の内部または外部に設けた図示しないモータ等と接続され、このモータの駆動力により正転または逆転可能に回転する。駆動歯車6は、駆動軸の中心がロッド2の移動方向軸線11の軸線上になるよう配置されている。
【0014】
従動歯車5の回転軸12のそれぞれの中心は、駆動歯車6の駆動軸の中心と同様に、移動方向軸線11の軸線上に配置されている。従動歯車5、および駆動歯車6には、平歯車が使用されており、3個の従動歯車5は、モジュール、歯数、ピッチ円直径がそれぞれ等しいものが使用されている。
3つのピニオン8は、それぞれの従動歯車5と一体的に形成されるとともに、従動歯車5の回転軸12の同軸上に、かつ回転軸12と直交する同一平面内でそれぞれラック9と噛み合うように設けられている。前記ピニオン8は、モジュール、歯数、ピッチ円直径がそれぞれ等しい同一の平歯車が使用されている。なお、図1では、前記ピニオン8のピッチ円直径は、従動歯車のそれより小さいものが示されている。
【0015】
ラック9は、3つのピニオン8の共通する接線方向に往復するように設けられており、図1では、連結部材としての固定金具13により連結されるロッド2の移動方向と同一方向に往復移動する。ラック9の長手方向の長さBは、それぞれの従動歯車5(ピニオン8)の回転軸12の軸間の長さAよりも大きくなるように形成されている。
支持機構10は、一般に使用されている直動機構などを用いて構成されており、ラック9の図上で上下左右方向に作用する力を受けて支持しながら、ラック9が前記移動方向に摺動可能に往復するのを案内している。支持機構10の長手方向の全長は、ラック9の可動距離と同等またはそれ以上の長さだけ設けられている。
また、ラック9とロッド2は、固定金具13により互いに固定的に連結されており、ラック9またはロッド2が交換可能なようにボルト類で締結固定されている。
【0016】
次に、可動範囲延長構造4の動作について、図1を用いて詳しく説明する。
駆動歯車6が右回転(図1で時計方向)すると、それぞれの従動歯車5およびピニオン8は左回転する(アイドラー7は右回転する。)。ラック9はピニオン8から右水平方向への推力を受け、固定金具13を介してロッド2を右水平方向に移動させる。
【0017】
ロッド2の可動長さ(ストローク)Lは、ラック9が少なくとも一つのピニオン8と噛み合っている状態でも移動することができるので、それぞれの回転軸12の軸間長さAと、ラック9の長手方向の長さBの和となり、
L = 2×A+B
の式で表すことができる。
また、シリンダ本体3の内寸Cは、ラック9が移動する範囲の全長分だけ長くなければならず、
C ≧ 2×A + 2×B = 2×( A+B )
の式で表すことができる。
【0018】
仮に、図1に示すピニオン8の2個を使用せずに1個だけ(例えば、3個のピニオンのうちの中間のピニオンだけ)を用いて前記可動長さLと同じ可動長さとなるように構成した場合、ラックの長手方向の長さB´は、
B´ = L = 2×A+B
シリンダ本体3の内寸C´は、
C´ ≧ 2×B´ = 2×( 2×A+B )
の式で表すことができる。
ゆえに、短縮可能な寸法 P は、
P = C´−C = 2A
となり、前記シリンダ本体3を2Aの長さだけ短縮することができる。
【0019】
本発明の実施形態に係るラック9とピニオン8の機構を用いたラック9の可動範囲延長構造では、複数のピニオン8を設けて、ラック9が少なくともピニオン8と1個以上に噛み合うようにし、さらに1個のピニオン8と噛み合う状態においても支持構造10がラック9の移動方向を案内・支持する構造としているので、1個のピニオンを用いたラックとピニオンの機構よりも、ピニオン8の軸間距離の2倍の長さだけシリンダ本体3の全長を短くすることができる。
【0020】
なお、本発明は既述の実施形態に限定されるものではなく、たとえば、アイドラー7の直径を大きくあるいは小さくすることにより、ロッド2の可動寸法を調節することができる。また、図1では、アイドラー7をロッド2の移動方向軸線11の線上に配置しているが、移動方向軸線11の上側または下側にずらして配置することにより回転軸12の軸間長さAを変えることができ、ロッド2の可動寸法を調節することができる。
【0021】
また、支持機構10は、直動機構を使用する代わりに、ラック9の側面および下面が常に2個以上のローラで上下左右に支持される構造を用いて構成することもできる。
さらに、駆動歯車6は、図1では、左端の従動歯車5と噛合するように記載したが、どの従動歯車5と噛合させてもよく、また、どのアイドラー7と噛合させてもよい。この組み合わせによりギヤ比を調節して、図示しないモータと本装置の間に必要な場合に設けていた減速機を小さく、あるいは削減することができる。
また、いずれかの従動歯車5またはアイドラー7を直接駆動させてもよい。
【0022】
【発明の効果】
本発明に係るラックとピニオンの機構を用いた可動範囲延長構造によれば、回転中心が直線的に配列される、(n+1)個(nは1以上の自然数とする)の従動歯車の各間にn個のアイドラーがそれぞれ1個ずつ噛み合うように配設され、前記従導歯車または前記アイドラーのいずれか1個に駆動歯車が噛み合わされ、前記(n+1)個の従動歯車の回転軸上にそれぞれ一体的に、かつ同一外径を有するように設けられた(n+1)個のピニオンと、該ピニオンと少なくとも1個以上が噛み合って該(n+1)個のピニオンのすべてに共通する接線方向に直線的に移動するラックと、該ラックを前記接線方向に支持しかつ案内する支持構造とを備えているので、ラックおよびロッドの可動範囲が同じであれば、シリンダ本体の全長を短くすることができ、また、前記ラックとピニオンの機構を収容するシリンダのシリンダ本体の全長が同じであれば、ラックおよびロッドの可動範囲を長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るラックとピニオンを用いたラックの可動範囲延長構造体を収容するシリンダの一部を破断した正面図であって、変数nが2の場合である。
【符号の説明】
1 シリンダ
2 ロッド
3 シリンダ本体
4 可動範囲延長構造
5 従動歯車
6 駆動歯車
7 アイドラー
8 ピニオン
9 ラック
10 支持構造
11 移動方向軸線
12 従動歯車の回転軸
13 固定金具(連結部材)
A 従動歯車軸の軸間長さ
B,B´ ラックの長さ
C,C´ シリンダ本体の内寸法
L ロッドの可動長さ
Claims (2)
- 回転中心が直線的に配列される、(n+1)個(nは1以上の自然数とする)の従動歯車の各間にn個のアイドラーがそれぞれ1個ずつ噛み合うように配設され、前記従導歯車または前記アイドラーのいずれか1個に駆動歯車が噛み合わされ、前記(n+1)個の従動歯車の回転軸上にそれぞれ一体的に、かつ同一外径を有するように設けられた(n+1)個のピニオンと、
該ピニオンと少なくとも1個以上が噛み合って該(n+1)個のピニオンのすべてに共通する接線方向に直線的に移動するラックと、
該ラックを前記接線方向に支持しかつ案内する支持構造と
を備えていることを特徴とするラックとピニオンを用いた該ラックの可動範囲延長構造。 - 前記可動範囲延長構造を、シリンダ本体と出力ロッドとからなるシリンダの該シリンダ本体内に収容し、前記ラックと前記出力ロッドとを連結部材により固定的に連結することを特徴とする請求項1に記載ラックとピニオンを用いたシリンダの可動範囲延長構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003052712A JP2004263740A (ja) | 2003-02-28 | 2003-02-28 | ラックとピニオンを用いた該ラックの可動範囲延長構造 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010150482A1 (ja) * | 2009-06-25 | 2010-12-29 | タナシン電機株式会社 | 2次元移動機構 |
JP2017086603A (ja) * | 2015-11-12 | 2017-05-25 | ミズホ株式会社 | 医療装置 |
-
2003
- 2003-02-28 JP JP2003052712A patent/JP2004263740A/ja active Pending
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WO2010150482A1 (ja) * | 2009-06-25 | 2010-12-29 | タナシン電機株式会社 | 2次元移動機構 |
JP2017086603A (ja) * | 2015-11-12 | 2017-05-25 | ミズホ株式会社 | 医療装置 |
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