JP2004263517A - プレキャストコンクリート階段の支持構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】現場における据付及び壁柱へのコンクリート一体化作業が、容易に行なえるプレキャストコンクリート階段を提供する。
【解決手段】上下端部に踊場6,7を一体に有し、一方の踊場6は建物の廊下に接続し、他方の踊場7は中間踊場として別のプレキャストコンクリート階段3の中間踊場12と接続するプレキャストコンクリート階段の支持構造である。廊下側踊場6の端部を廊下An+1の先端部で支持することにより、階段2の略廊下側半分の荷重を受け持つ。中間踊場7の側端部を、壁柱1に形成されたキャンチ小梁14に支持させると共に、中間踊場7に最も近い段部S1又はこの段部S1と次の段部S2を、各段部S1,S2に内蔵されて壁柱側に突出するアンカー鉄筋29と共に支持小梁として壁柱1に支持させることにより、階段2の略中間踊場側半分の荷重を受け持つ。
【選択図】 図2
【解決手段】上下端部に踊場6,7を一体に有し、一方の踊場6は建物の廊下に接続し、他方の踊場7は中間踊場として別のプレキャストコンクリート階段3の中間踊場12と接続するプレキャストコンクリート階段の支持構造である。廊下側踊場6の端部を廊下An+1の先端部で支持することにより、階段2の略廊下側半分の荷重を受け持つ。中間踊場7の側端部を、壁柱1に形成されたキャンチ小梁14に支持させると共に、中間踊場7に最も近い段部S1又はこの段部S1と次の段部S2を、各段部S1,S2に内蔵されて壁柱側に突出するアンカー鉄筋29と共に支持小梁として壁柱1に支持させることにより、階段2の略中間踊場側半分の荷重を受け持つ。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、屋外階段もしくは室内階段として適用可能なプレキャストコンクリート階段の支持構造に関し、特に、段板部の上下端部にそれぞれ踊場を一体に有し、一方の踊場は建物の廊下に接続し、他方の踊場は中間踊場として別のプレキャストコンクリート階段の中間踊場と接続するプレキャストコンクリート階段の支持構造に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来のプレキャストコンクリート階段として、前記のように段板部の上下端部に踊場を一体成形したもの、あるいは踊場と共に壁柱も段板部と一体成形したもの等があり、段板部と一体成形する部分を増やすことにより、現場でのコンクリート打設作業を減らし、工期の短縮を図っている。
【0003】
しかし、壁柱までも含めて総ての階段部材をプレキャストコンクリートとして成形する場合には、プレキャスト時の型枠が複雑化すると共に、全体の重量が大きくなり過ぎ、現場では大型揚重機を使用して吊り上げなければならず、製造コスト及び施工コストが高くなると共に、型枠の再使用の範囲が減少する。
【0004】
これに対し、段板部と踊場をプレキャストコンクリートとして先に一体成形し、壁柱を現場における後打ちコンクリートで成形し、段板部と一体化させる場合には、コスト的なメリットは大きくなる。
【0005】
段板部の上下端部に踊場を一体に有するプレキャストコンクリート階段の支持構造は、従来、図14に示すようにプレキャストコンクリート階段100の各段部の側端面から定着用のアンカー鉄筋101を突出させ、このアンカー鉄筋101の突出部分を壁柱102内に埋め込むことにより、プレキャストコンクリート階段100の全荷重を、壁柱102により片持支持させている。
【0006】
図14の定着用のアンカー鉄筋101は、壁柱(仮想線)102への定着長さを確保するために下方にL字形に折り曲げてあるが、L字形のアンカー鉄筋101を壁柱用鉄筋組立体110内に側方から挿入することは現実として困難であり、そのため、必然的に壁柱用鉄筋組立体110の組立ては、プレキャストコンクリート階段100を所定位置に取り付けた後に行なうことになり、現場での作業が煩雑化する。
【0007】
また定着用アンカー鉄筋101を折り曲げる場合は、耐荷重性を考えると下方に折り曲げるのが最も好ましいが、プレキャストコンクリート階段100の最下段部付近のアンカー鉄筋101は、下方に折り曲げていると図13のように下側階の壁柱102の上端面102aと干渉し、設置不可能となる。そのため、矢印のように水平方向側へ曲げ直さなければならず、鉄筋の組立作業に手間がかかると共に鉄筋の強度及び対荷重性も低下する。なお、上記のようなL字形に折り曲げた構造の他に、アンカー鉄筋の突出部をコの字形に折り曲げ、2本の鉄筋を連結した構造もあるが(特許文献1参照)、組立済みの壁柱用鉄筋組立体内に側方から挿入するのは不可能であり、L字形の場合と同様に、現場での作業が複雑化する。
【0008】
【特許文献1】
特開平5−118107号公報。
【0009】
【発明の目的】
本願発明の目的は、上下端部に踊場を一体に有するプレキャストコンクリート階段を、現場にて支持する場合において、支持強度を十分に維持すると共に現場での取付作業を容易にすることである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本願請求項1記載の発明は、上下端部に踊場を一体に有すると共に壁柱に沿って設置されるプレキャストコンクリート階段であって、一方の踊場は建物の廊下に接続し、他方の踊場は中間踊場として別のプレキャストコンクリート階段の中間踊場と接続するプレキャストコンクリート階段の支持構造において、廊下側の踊場の端部を廊下の先端部で支持することにより、階段の略廊下側半分の荷重を受け持ち、中間踊場の側端部を、壁柱に形成されたキャンチ小梁(跳ね出し小梁)に支持させると共に、中間踊場に最も近い段部又はこの段部と次の段部を、各段部に内蔵されて壁柱側に突出するアンカー鉄筋と共に支持小梁として壁柱に支持させることにより、階段の略中間踊場側半分の荷重を受け持つようにしていることを特徴としている。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のプレキャストコンクリート階段の支持構造において、中間踊場に最も近い段部又はこの段部と次の段部に内蔵されて壁柱側へ突出するアンカー鉄筋は、階段の側端面から直線状に突出すると共に、先端部には鉄筋径方向に拡大する定着体を設けてあることを特徴としている。
【0012】
【発明の実施の形態】
[取付後の全体構造]
図1〜図11は、本願発明にかかるプレキャストコンクリート階段(以下、「PC階段」と記載する)を、建物外部に構築される折返し構造の複合階段に適用した例である。図1は途中の階まで構築した状態の建物の側面図であり、建物Bの外側廊下An−1,An,An+1,…の外方には、各階の梁(跳ね出し梁)4の先端に連結するように鉄筋コンクリート製の壁柱(壁板)1が立設され、壁柱1の両側面にプレキャストコンクリート階段(以下「PC階段」という)2,3が配置されている。折返し構造であるので、上下に隣合う階の間に、上下2つの階段2,3がそれぞれ配置されている。たとえば図3の平面図に示すように、n階の廊下Anとn+1階の廊下An+1の間に、上側の廊下An+1につながる上側PC階段2と、下側の廊下Anにつながる下側PC階段3が配置されている。各PC階段2,3の側端部にはそれぞれコンクリート製の手摺15,16が取り付けられ、また、中間踊場7,12の階段長さ方向の端部にもコンクリート製の手摺17が取り付けられている。
【0013】
[各PC階段の具体的構造]
図4は上側PC階段2の工場におけるコンクリート成形時の状態を示しており、踏み面8及びけ込み面9からなる複数の段部を備えた段板部5と、該段板部5の上端にコンクリートにより一体成形された水平な廊下側踊場6と、段板部5の下端にコンクリートにより一体成形された水平な中間踊場7とから構成されている。すなわち、両踊場6,7を一体にコンクリート成形してなる踊場付PC階段である。
【0014】
段板部5の階段幅方向の両端部には、最上段から最下段の段部まで、各段部の段鼻Pを通過する直線状の上面36a、37aを有するささら桁36,37がそれぞれコンクリートで一体成形されている。
【0015】
上端の廊下側踊場6の先端からは、廊下内に埋め込むためのアンカー鉄筋25が多数突出しており、各段部の壁柱取付側の端面には、各段部毎にそれぞれ定着用の鉄筋29,30が突出している。
【0016】
図6は上側PC階段2の下半部の拡大斜視図であり、上記鉄筋29,30のうち、中間踊場7に最も近い段部S1と次の段部S2、すなわち最下段部S1と次の段部S2には、これら2つの段部S1,S2を階段下半部支持用の小梁として利用するために、太径(たとえば16mmφ)のアンカー鉄筋29が3本ずつ埋め込まれ、壁柱側へ直線状に突出している。下から3段目以上の残りの段部には上記アンカー鉄筋29よりは細い径(たとえば13mmφ)の鉄筋30が1本ずつ埋め込まれ、壁柱側に突出している。
【0017】
また、段板部5の裏面に近い部分には、各段部の前記鉄筋29,30と平行に、細い径の鉄筋30が階段長さ方向に間隔を置いて埋め込まれ、突出している。
【0018】
各アンカー鉄筋29及び鉄筋30は直線状に延び、それらの突出端部にはそれぞれ定着板31が螺着されており、また、各鉄筋29,30の突出幅L1は壁柱1の幅L2内に納められ、これにより鉄筋定着板31に対して所定のコンクリートかぶり厚さを確保してある。各鉄筋29,30としては外周面におねじを形成した異形鉄筋が用いられており、一方定着板31は、内周にめねじを有する有底筒形のスリーブ本体33と、該スリーブ本体33の端部に一体成形されたつば部34から構成されており、該つばぶ部34は鉄筋径外方に円盤状に広がっている。定着板31と定着用鉄筋29,30の隙間にはグラウト剤が注入され、これにより、定着板31の内周面と鉄筋29,30との隙間を埋めると共に、定着板31の固定を強固にしてある。なお、定着板31には接着剤逃がし孔35が形成されている。
【0019】
定着板31は、構造的に公の試験機関で認定を受けた材料及び構造としているが、その他の方式、たとえば鋼製帯板、鉄筋端部の瘤等、鉄筋径よりも外方に拡張して定着効果を発揮する部材を定着板として使用することも可能である。
【0020】
図5は下側PC階段3の斜視図であり、基本的構造は前記上側PC階段2と同様で、複数の段を有する段板部10の上下端に、それぞれ踊場12,11をコンクリートで一体成形してあるが、下端踊場11が廊下側、上端踊場12が中間踊場となっている。下端廊下側踊場11の先端の下面には、廊下に載せるための断面L字形の取付座19が形成されている。
【0021】
各段部の壁柱取付側の端面には、これも上側PC階段2と同様に、各段部毎にそれぞれ定着用の鉄筋29,30が突出しており、最も中間踊場12に最も近い段部S1と次の段部S2、すなわち最上段部S1と次の段部S2には、これら2つの段部S1,S2を階段上部支持用の小梁として利用するために、太い径(たとえば16mmφ)のアンカー鉄筋29が3本ずつ埋め込まれ、壁柱側へ直線状に突出している。上から3段目以下の段部には上記アンカー鉄筋29よりは細い径(たとえば13mmφ)の鉄筋30が1本ずつ埋め込まれ、壁柱側に突出している。
【0022】
また、段板部5の裏面に近い部分には、各段部の前記鉄筋29,30と平行に、細い径の鉄筋30が階段長さ方向に間隔を置いて埋め込まれ、突出している。
【0023】
各鉄筋29,30の先端部には、図7に示すように定着体として定着板31がそれぞれ螺着されている。定着板31の固定構造は上側PC階段2の場合と同様であるので、重複説明は省略する。
【0024】
[各PC階段の支持構造]
図2は図1の手摺15,16,17を除いて示す斜視図であり、両PC階段2,3が工場で予め成形されたものであるのに対し、壁柱1は現場でコンクリート成形されたものであり、各階間の上下方向中間位置付近には、外方へ水平に突出するキャンチ小梁14が壁柱1と一体にコンクリート成形されている。
【0025】
図7は下側PC階段3の下端部の支持構造を示しており、下側PC階段3の下端廊下側踊場11の先端取付座19を、廊下Anの先端部に形成された段面20に載せ、取付座19に固着された金属アングル部材21と、廊下Anの段面20に固着された金属片22とを溶接で接合し、かつ、廊下Anの先端部と踊場11の先端との間にコンクリートを打設することにより、踊場11の先端部を廊下Anと一体化支持している。この支持構造により、下側PC階段3の略下半部の荷重を受け持っている。
【0026】
図8は、上側PC階段2の上端部の支持構造を示しており、上端廊下側踊場6を廊下An+1の先端面に突き合わせると共に、廊下側踊場6から突出する鉄筋25を廊下An+1内で廊下用鉄筋26と重ね合わせ、廊下An+1のコンクリート打設時に廊下An+1と結合する。この支持構造により、上側PC階段3の略上半部の荷重を受け持っている。
【0027】
図9は図1のIX−IX断面拡大図であり、キャンチ小梁14による各中間踊場7,12の支持構造を示している。上下のPC階段2,3の中間踊場7,12は同一高さに揃えられ、キャンチ小梁14の両側の段部上に載せられた状態となっており、キャンチ小梁14のコンクリート成形時に、両中間踊場7,12を一部呑み込むようにコンクリート成形することにより、キャンチ小梁14と両中間踊場7,12の一側端部を結合する。
【0028】
図6は前述のように上側PC階段2の下端部の拡大斜視図であり、最下段部S1及び次の段部S2を小梁として利用する支持構造を示している。すなわち、最下段部S1及び次の段部S2から突出する定着板付アンカー鉄筋29を、壁柱1内に埋め込んである。このように最下段部S1及び次の段部S2を小梁として利用すると共に前述のようにキャンチ小梁14により中間踊場7の側端部を支持することにより、上側PC階段2の略下半部の荷重を受け持っている。
【0029】
前記図5に示す下側PC階段3においても、最上段部S1及び次の段部S2を小梁として利用するために、それらの段部S1,S2から突出する定着板付アンカー鉄筋29を、壁柱1内に埋め込んである。このように最上段部S1及び次の段部S2を小梁として利用すると共に前述のようにキャンチ小梁14により中間踊場12の側端部を支持することにより、下側PC階段3の略上半部の荷重を受け持っている。
【0030】
[施工方法]
前記支持構造の欄で詳しく説明している内容については、簡略して説明する。(1)プレキャスト工程
図4及び図5に示すように、段板部5,10の上下端にそれぞれ踊場6,7、11,12を一体に有する上下の各PC階段2,3を、予め工場内において必要数コンクリートにより製造しておく。この時製造されるPC階段2,3には、少なくとも中間踊場7,12に最も近い段部S1及び次の段部S2に略水平な太径の定着用アンカー用鉄筋29が複数本埋め込まれると共に、各アンカー鉄筋29の直線状突出部の先端に定着板31がそれぞれ固着されている。
【0031】
(2)搬送工程
上記のように工場内で予めコンクリートにより一体成形された上下のPC階段2,3を建築現場へ搬送する。アンカー鉄筋29及び鉄筋30は、壁柱幅の範囲内において直線状に形成されているので、従来の図13及び図14のように、L字形の折れ曲がったアンカー鉄筋を有するPC階段に比べると、積み降ろし作業に手間がかからず、搬送し易い。
【0032】
(3)壁柱用鉄筋組立工程
図2において、壁柱用鉄筋39を所定位置に組み立てる。すなわち、垂直鉄筋及び水平鉄筋を組み立てる。
【0033】
(4)階段据付及び型枠加工工程
壁柱1及びPC階段2,3は、原則的には下層階から1階毎に構築してゆく。たとえば図2はn+1階まで構築した状態を示しており、壁柱1の上端はn+1階の廊下An+1と同じ高さまで構築され、壁柱用鉄筋39が上方に突出している。かかる状態から、n+1階からn+2階までの壁柱1を成形すると共に上下階段2,3を据え付けることになる。
【0034】
なお、以下の説明は、図1及び図2を効率よく利用するために、n階まで構築した状態からn+1階までの階段を構築する場合を説明する。
【0035】
図10のように上下の両PC階段2,3は、アンカー鉄筋29及び鉄筋30を未構築の壁柱1の鉄筋組立体39内にそれぞれ側方から挿入し、図7に示すように、下側PC階段3については、下端廊下側踊場11の先端取付座19を、既に構築された廊下Anの先端段面20に載せ、溶接により金属片22とアングル部材21を結合し、図8に示すように上側PC階段2については、上端廊下側踊場6の先端部を、未だ形成されていない廊下An+1用の型枠57に載せると共に、鉄筋25を廊下用鉄筋26に重ね合わせる。
【0036】
次に図9に示すように、両PC階段2,3の中間踊場7,12を、未だ形成されていないキャンチ小梁14の形成範囲内に少しずつ侵入するように据え付ける。キャンチ小梁用型枠60を仮想線で示しており、このキャンチ小梁用型枠60の上面に、上記各中間踊場7,12の先端部を載せた状態となっている。
【0037】
上記PC階段2,3の据付け後、あるいは並行して、前述のようにAn+1階の廊下用型枠57を組み立てると共に、壁柱用鉄筋組立体39を取り囲むように壁柱用型枠を組み立て、また、キャンチ小梁用型枠60を組み立てる。
【0038】
壁柱用型枠を組み立てる際には、図11に示すように、下側PC階段3は、その壁柱取付側ササラ桁36の幅Wの1/2程度を壁柱形成空間内に入り込ませ、ササラ桁36の残り1/2の厚み部分の上面に壁柱用型枠50を載せて、組み立てる。壁柱用型枠50は、図示しないが幅方向に対向配置された他の壁柱用型枠とセパレータ52によって連結され、位置決めされている。壁柱用型枠50は階段長さ方向に延びる押えパイプ51により押えられており、壁柱用型枠50に設けられたホームタイ53に、押え板54を介して楔状締付金具55を差し込み、くさび作用により押え板54、パイプ51を介して型枠50を押え付けている。
【0039】
上側PC階段2の壁柱側ささら桁36に対しても同様に、壁柱用型枠50を載せる。
【0040】
(5)現場でのコンクリートの打設
図11のような壁柱用型枠50内及び図9のようなキャンチ小梁用型枠60内に生コンクリートを流し込み、壁柱1及びキャンチ用小梁14をコンクリート成形する。この場合、図11のように壁柱用型枠50はササラ桁36の直線状上面に載せるので、型枠50を段々形状に加工する必要がなく、型枠を簡素化できると共に、製造が容易になる。また、コンクリート打設時に生じる側圧力に対しても、堅固な状態で対応できる。
【0041】
図8において、上側PC階段2の上端廊下側踊場6については、廊下An+1用の型枠57内にコンクリートを流し込む。また、図7において、下側階段3の下端廊下用踊場11の先端と既に構築されている廊下Anの間にもコンクリートを流し込む。
【0042】
(6)コンクリートの養生
一定期間養生し、上記各個所のコンクリート生成部分を完成させる。
【0043】
(7)型枠の解体
型枠解体時、図11のように壁柱用型枠50は、直線状のササラ桁36に載せてあるので、容易に取り外すことができる。
【0044】
(8)手摺の取付け
設置後の各PC階段2,3の残りのササラ桁37上に図1のようにそれぞれコンクリート製の手摺15,16を載せ、適当な取付金具により固定する。各手摺15、16の下端面は、ササラ桁37に合わせて直線状に形成されている。また、中間踊場7,12の端部にも踊場用手摺17を取り付ける。
【0045】
【その他の実施の形態】
(1)前記実施の形態では、中間踊場に最も近い段部及び次の段部以外の段部の側端面から、細径の鉄筋を突出させて壁柱の埋め込ませているが、階段の荷重を受けるための鉄筋としては、最も中間踊り場に近い段部及び次の段部のみにアンカー鉄筋を突出させて壁柱に埋め込ませるだけでも十分であり、その他の段部の鉄筋は必ずしも突出させる必要はない。
【0046】
(2)定着板31をプレキャストコンクリート成形時にアンカー定着用鉄筋29、30に取り付けているが、建築現場において、PC階段を所定位置に据え付け後、定着板31を定着用鉄筋29,30に固着することも可能である。
【0047】
(3)定着体としては、図6のようなつば部34を有するスリーブ状の定着板31の他に、たとえば図12のように定着用鉄筋29、30の突出先端部に、鉄筋29、30と一体に瘤61を形成する構造でもよく、また、鉄製以外の定着板でも可能である。
【0048】
(3)前記実施の形態では、プレキャストコンクリート製の階段を、壁柱の両側にそれぞれ片持ち状に配置する構造であるが、たとえば折曲がり構造の階段の周囲と階段間に壁柱があり、階段の両側を壁柱で支持する両持ち式構造の階段にも適用できる。
【0049】
(4)図示の実施の形態では、中間踊場に最も近い段部と次の段部との、2つの段部を支持小梁として利用しているが、最も中間踊場に近い段部S1のみを支持小梁として利用する構造を採用することも可能である。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように本願発明は、(1)段板部の上下端に踊場を一体に有し、折返し構造の階段に適用されるプレキャストコンクリート階段(PC階段)の支持構造において、PC階段の略廊下側半分の荷重は、廊下側踊場の先端部を廊下で支持することにより受持ち、略中間踊場側半分の荷重は、中間踊場に最も近い段部又はこの段部と次の段部を、たとえば太径の定着用アンカー鉄筋により小梁として利用すると共に、中間踊場の側端部を、壁柱の形成したキャンチ小梁に支持させることにより受け持つようにしているので、従来の図13及び図14のように、PC階段の側端面からL字形に突出させた定着用の鉄筋を利用して、壁柱にPC階段の略全荷重を受け持たせる構造に比べ、PC階段の据付作業が簡単になると共に、従来の壁柱による片持ち支持に比べて耐荷重性及び耐震性も向上し、また、壁柱の鉄筋組立体への組付作業も簡単になる。
【0051】
(2)中間踊場に最も近い段部又はこの段部と次の段部に内蔵されて壁柱側へ突出するアンカー鉄筋を、階段の側端面から直線状に突出させると共に、先端部に鉄筋径方向に拡大する定着体を設けてあると、現場での壁柱のコンクリート打設作業において、階段と壁柱を一体化する場合に、直線状の定着用アンカー鉄筋の突出部を、壁柱用鉄筋組立体内に支障なく挿入し、組み付けることができ、階段の据付作業に手間がかからなくなる。また、従来のように定着用鉄筋の折曲げ加工の必要はなくなり、直線状のまま運搬移動でき、運搬移動も楽である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明によるプレキャストコンクリート階段を据え付けた建物の側面部分図である。
【図2】手摺を取り外して示す図1の建物の斜視図である。
【図3】図1の折返し構造の階段の平面図である。
【図4】本願発明による上側プレキャストコンクリート階段の斜視図である。
【図5】本願発明による下側プレキャストコンクリート階段の斜視図である。
【図6】図4の上側プレキャストコンクリート階段の下端部分の拡大斜視図である。
【図7】図5の下側プレキャストコンクリート階段の下端部分の拡大斜視図である。
【図8】上側プレキャストコンクリート階段の上半部の縦断面拡大図である。
【図9】図1のIX−IX断面拡大図である。
【図10】図1のX−X断面拡大図である。
【図11】コンクリート成形時の型枠取付状態を示す縦断面拡大図である。
【図12】定着用アンカー鉄筋の変形例を示す縦断面拡大図である。
【図13】従来例の側面図である。
【図14】図13のXIV−XIV断面相当図である。
【符号の説明】
1 壁柱
2,3 プレキャストコンクリート階段
5,10 段板部
6,11 廊下側踊場
7,12 中間踊場
8 踏み面
9 け込み面
14 キャンチ小梁
29 定着用のアンカー鉄筋
30 定着用鉄筋
31 定着板(定着体の一例)
36 ササラ桁
50 壁柱用型枠
S1,S2 段部
【発明の属する技術分野】
本願発明は、屋外階段もしくは室内階段として適用可能なプレキャストコンクリート階段の支持構造に関し、特に、段板部の上下端部にそれぞれ踊場を一体に有し、一方の踊場は建物の廊下に接続し、他方の踊場は中間踊場として別のプレキャストコンクリート階段の中間踊場と接続するプレキャストコンクリート階段の支持構造に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来のプレキャストコンクリート階段として、前記のように段板部の上下端部に踊場を一体成形したもの、あるいは踊場と共に壁柱も段板部と一体成形したもの等があり、段板部と一体成形する部分を増やすことにより、現場でのコンクリート打設作業を減らし、工期の短縮を図っている。
【0003】
しかし、壁柱までも含めて総ての階段部材をプレキャストコンクリートとして成形する場合には、プレキャスト時の型枠が複雑化すると共に、全体の重量が大きくなり過ぎ、現場では大型揚重機を使用して吊り上げなければならず、製造コスト及び施工コストが高くなると共に、型枠の再使用の範囲が減少する。
【0004】
これに対し、段板部と踊場をプレキャストコンクリートとして先に一体成形し、壁柱を現場における後打ちコンクリートで成形し、段板部と一体化させる場合には、コスト的なメリットは大きくなる。
【0005】
段板部の上下端部に踊場を一体に有するプレキャストコンクリート階段の支持構造は、従来、図14に示すようにプレキャストコンクリート階段100の各段部の側端面から定着用のアンカー鉄筋101を突出させ、このアンカー鉄筋101の突出部分を壁柱102内に埋め込むことにより、プレキャストコンクリート階段100の全荷重を、壁柱102により片持支持させている。
【0006】
図14の定着用のアンカー鉄筋101は、壁柱(仮想線)102への定着長さを確保するために下方にL字形に折り曲げてあるが、L字形のアンカー鉄筋101を壁柱用鉄筋組立体110内に側方から挿入することは現実として困難であり、そのため、必然的に壁柱用鉄筋組立体110の組立ては、プレキャストコンクリート階段100を所定位置に取り付けた後に行なうことになり、現場での作業が煩雑化する。
【0007】
また定着用アンカー鉄筋101を折り曲げる場合は、耐荷重性を考えると下方に折り曲げるのが最も好ましいが、プレキャストコンクリート階段100の最下段部付近のアンカー鉄筋101は、下方に折り曲げていると図13のように下側階の壁柱102の上端面102aと干渉し、設置不可能となる。そのため、矢印のように水平方向側へ曲げ直さなければならず、鉄筋の組立作業に手間がかかると共に鉄筋の強度及び対荷重性も低下する。なお、上記のようなL字形に折り曲げた構造の他に、アンカー鉄筋の突出部をコの字形に折り曲げ、2本の鉄筋を連結した構造もあるが(特許文献1参照)、組立済みの壁柱用鉄筋組立体内に側方から挿入するのは不可能であり、L字形の場合と同様に、現場での作業が複雑化する。
【0008】
【特許文献1】
特開平5−118107号公報。
【0009】
【発明の目的】
本願発明の目的は、上下端部に踊場を一体に有するプレキャストコンクリート階段を、現場にて支持する場合において、支持強度を十分に維持すると共に現場での取付作業を容易にすることである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本願請求項1記載の発明は、上下端部に踊場を一体に有すると共に壁柱に沿って設置されるプレキャストコンクリート階段であって、一方の踊場は建物の廊下に接続し、他方の踊場は中間踊場として別のプレキャストコンクリート階段の中間踊場と接続するプレキャストコンクリート階段の支持構造において、廊下側の踊場の端部を廊下の先端部で支持することにより、階段の略廊下側半分の荷重を受け持ち、中間踊場の側端部を、壁柱に形成されたキャンチ小梁(跳ね出し小梁)に支持させると共に、中間踊場に最も近い段部又はこの段部と次の段部を、各段部に内蔵されて壁柱側に突出するアンカー鉄筋と共に支持小梁として壁柱に支持させることにより、階段の略中間踊場側半分の荷重を受け持つようにしていることを特徴としている。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のプレキャストコンクリート階段の支持構造において、中間踊場に最も近い段部又はこの段部と次の段部に内蔵されて壁柱側へ突出するアンカー鉄筋は、階段の側端面から直線状に突出すると共に、先端部には鉄筋径方向に拡大する定着体を設けてあることを特徴としている。
【0012】
【発明の実施の形態】
[取付後の全体構造]
図1〜図11は、本願発明にかかるプレキャストコンクリート階段(以下、「PC階段」と記載する)を、建物外部に構築される折返し構造の複合階段に適用した例である。図1は途中の階まで構築した状態の建物の側面図であり、建物Bの外側廊下An−1,An,An+1,…の外方には、各階の梁(跳ね出し梁)4の先端に連結するように鉄筋コンクリート製の壁柱(壁板)1が立設され、壁柱1の両側面にプレキャストコンクリート階段(以下「PC階段」という)2,3が配置されている。折返し構造であるので、上下に隣合う階の間に、上下2つの階段2,3がそれぞれ配置されている。たとえば図3の平面図に示すように、n階の廊下Anとn+1階の廊下An+1の間に、上側の廊下An+1につながる上側PC階段2と、下側の廊下Anにつながる下側PC階段3が配置されている。各PC階段2,3の側端部にはそれぞれコンクリート製の手摺15,16が取り付けられ、また、中間踊場7,12の階段長さ方向の端部にもコンクリート製の手摺17が取り付けられている。
【0013】
[各PC階段の具体的構造]
図4は上側PC階段2の工場におけるコンクリート成形時の状態を示しており、踏み面8及びけ込み面9からなる複数の段部を備えた段板部5と、該段板部5の上端にコンクリートにより一体成形された水平な廊下側踊場6と、段板部5の下端にコンクリートにより一体成形された水平な中間踊場7とから構成されている。すなわち、両踊場6,7を一体にコンクリート成形してなる踊場付PC階段である。
【0014】
段板部5の階段幅方向の両端部には、最上段から最下段の段部まで、各段部の段鼻Pを通過する直線状の上面36a、37aを有するささら桁36,37がそれぞれコンクリートで一体成形されている。
【0015】
上端の廊下側踊場6の先端からは、廊下内に埋め込むためのアンカー鉄筋25が多数突出しており、各段部の壁柱取付側の端面には、各段部毎にそれぞれ定着用の鉄筋29,30が突出している。
【0016】
図6は上側PC階段2の下半部の拡大斜視図であり、上記鉄筋29,30のうち、中間踊場7に最も近い段部S1と次の段部S2、すなわち最下段部S1と次の段部S2には、これら2つの段部S1,S2を階段下半部支持用の小梁として利用するために、太径(たとえば16mmφ)のアンカー鉄筋29が3本ずつ埋め込まれ、壁柱側へ直線状に突出している。下から3段目以上の残りの段部には上記アンカー鉄筋29よりは細い径(たとえば13mmφ)の鉄筋30が1本ずつ埋め込まれ、壁柱側に突出している。
【0017】
また、段板部5の裏面に近い部分には、各段部の前記鉄筋29,30と平行に、細い径の鉄筋30が階段長さ方向に間隔を置いて埋め込まれ、突出している。
【0018】
各アンカー鉄筋29及び鉄筋30は直線状に延び、それらの突出端部にはそれぞれ定着板31が螺着されており、また、各鉄筋29,30の突出幅L1は壁柱1の幅L2内に納められ、これにより鉄筋定着板31に対して所定のコンクリートかぶり厚さを確保してある。各鉄筋29,30としては外周面におねじを形成した異形鉄筋が用いられており、一方定着板31は、内周にめねじを有する有底筒形のスリーブ本体33と、該スリーブ本体33の端部に一体成形されたつば部34から構成されており、該つばぶ部34は鉄筋径外方に円盤状に広がっている。定着板31と定着用鉄筋29,30の隙間にはグラウト剤が注入され、これにより、定着板31の内周面と鉄筋29,30との隙間を埋めると共に、定着板31の固定を強固にしてある。なお、定着板31には接着剤逃がし孔35が形成されている。
【0019】
定着板31は、構造的に公の試験機関で認定を受けた材料及び構造としているが、その他の方式、たとえば鋼製帯板、鉄筋端部の瘤等、鉄筋径よりも外方に拡張して定着効果を発揮する部材を定着板として使用することも可能である。
【0020】
図5は下側PC階段3の斜視図であり、基本的構造は前記上側PC階段2と同様で、複数の段を有する段板部10の上下端に、それぞれ踊場12,11をコンクリートで一体成形してあるが、下端踊場11が廊下側、上端踊場12が中間踊場となっている。下端廊下側踊場11の先端の下面には、廊下に載せるための断面L字形の取付座19が形成されている。
【0021】
各段部の壁柱取付側の端面には、これも上側PC階段2と同様に、各段部毎にそれぞれ定着用の鉄筋29,30が突出しており、最も中間踊場12に最も近い段部S1と次の段部S2、すなわち最上段部S1と次の段部S2には、これら2つの段部S1,S2を階段上部支持用の小梁として利用するために、太い径(たとえば16mmφ)のアンカー鉄筋29が3本ずつ埋め込まれ、壁柱側へ直線状に突出している。上から3段目以下の段部には上記アンカー鉄筋29よりは細い径(たとえば13mmφ)の鉄筋30が1本ずつ埋め込まれ、壁柱側に突出している。
【0022】
また、段板部5の裏面に近い部分には、各段部の前記鉄筋29,30と平行に、細い径の鉄筋30が階段長さ方向に間隔を置いて埋め込まれ、突出している。
【0023】
各鉄筋29,30の先端部には、図7に示すように定着体として定着板31がそれぞれ螺着されている。定着板31の固定構造は上側PC階段2の場合と同様であるので、重複説明は省略する。
【0024】
[各PC階段の支持構造]
図2は図1の手摺15,16,17を除いて示す斜視図であり、両PC階段2,3が工場で予め成形されたものであるのに対し、壁柱1は現場でコンクリート成形されたものであり、各階間の上下方向中間位置付近には、外方へ水平に突出するキャンチ小梁14が壁柱1と一体にコンクリート成形されている。
【0025】
図7は下側PC階段3の下端部の支持構造を示しており、下側PC階段3の下端廊下側踊場11の先端取付座19を、廊下Anの先端部に形成された段面20に載せ、取付座19に固着された金属アングル部材21と、廊下Anの段面20に固着された金属片22とを溶接で接合し、かつ、廊下Anの先端部と踊場11の先端との間にコンクリートを打設することにより、踊場11の先端部を廊下Anと一体化支持している。この支持構造により、下側PC階段3の略下半部の荷重を受け持っている。
【0026】
図8は、上側PC階段2の上端部の支持構造を示しており、上端廊下側踊場6を廊下An+1の先端面に突き合わせると共に、廊下側踊場6から突出する鉄筋25を廊下An+1内で廊下用鉄筋26と重ね合わせ、廊下An+1のコンクリート打設時に廊下An+1と結合する。この支持構造により、上側PC階段3の略上半部の荷重を受け持っている。
【0027】
図9は図1のIX−IX断面拡大図であり、キャンチ小梁14による各中間踊場7,12の支持構造を示している。上下のPC階段2,3の中間踊場7,12は同一高さに揃えられ、キャンチ小梁14の両側の段部上に載せられた状態となっており、キャンチ小梁14のコンクリート成形時に、両中間踊場7,12を一部呑み込むようにコンクリート成形することにより、キャンチ小梁14と両中間踊場7,12の一側端部を結合する。
【0028】
図6は前述のように上側PC階段2の下端部の拡大斜視図であり、最下段部S1及び次の段部S2を小梁として利用する支持構造を示している。すなわち、最下段部S1及び次の段部S2から突出する定着板付アンカー鉄筋29を、壁柱1内に埋め込んである。このように最下段部S1及び次の段部S2を小梁として利用すると共に前述のようにキャンチ小梁14により中間踊場7の側端部を支持することにより、上側PC階段2の略下半部の荷重を受け持っている。
【0029】
前記図5に示す下側PC階段3においても、最上段部S1及び次の段部S2を小梁として利用するために、それらの段部S1,S2から突出する定着板付アンカー鉄筋29を、壁柱1内に埋め込んである。このように最上段部S1及び次の段部S2を小梁として利用すると共に前述のようにキャンチ小梁14により中間踊場12の側端部を支持することにより、下側PC階段3の略上半部の荷重を受け持っている。
【0030】
[施工方法]
前記支持構造の欄で詳しく説明している内容については、簡略して説明する。(1)プレキャスト工程
図4及び図5に示すように、段板部5,10の上下端にそれぞれ踊場6,7、11,12を一体に有する上下の各PC階段2,3を、予め工場内において必要数コンクリートにより製造しておく。この時製造されるPC階段2,3には、少なくとも中間踊場7,12に最も近い段部S1及び次の段部S2に略水平な太径の定着用アンカー用鉄筋29が複数本埋め込まれると共に、各アンカー鉄筋29の直線状突出部の先端に定着板31がそれぞれ固着されている。
【0031】
(2)搬送工程
上記のように工場内で予めコンクリートにより一体成形された上下のPC階段2,3を建築現場へ搬送する。アンカー鉄筋29及び鉄筋30は、壁柱幅の範囲内において直線状に形成されているので、従来の図13及び図14のように、L字形の折れ曲がったアンカー鉄筋を有するPC階段に比べると、積み降ろし作業に手間がかからず、搬送し易い。
【0032】
(3)壁柱用鉄筋組立工程
図2において、壁柱用鉄筋39を所定位置に組み立てる。すなわち、垂直鉄筋及び水平鉄筋を組み立てる。
【0033】
(4)階段据付及び型枠加工工程
壁柱1及びPC階段2,3は、原則的には下層階から1階毎に構築してゆく。たとえば図2はn+1階まで構築した状態を示しており、壁柱1の上端はn+1階の廊下An+1と同じ高さまで構築され、壁柱用鉄筋39が上方に突出している。かかる状態から、n+1階からn+2階までの壁柱1を成形すると共に上下階段2,3を据え付けることになる。
【0034】
なお、以下の説明は、図1及び図2を効率よく利用するために、n階まで構築した状態からn+1階までの階段を構築する場合を説明する。
【0035】
図10のように上下の両PC階段2,3は、アンカー鉄筋29及び鉄筋30を未構築の壁柱1の鉄筋組立体39内にそれぞれ側方から挿入し、図7に示すように、下側PC階段3については、下端廊下側踊場11の先端取付座19を、既に構築された廊下Anの先端段面20に載せ、溶接により金属片22とアングル部材21を結合し、図8に示すように上側PC階段2については、上端廊下側踊場6の先端部を、未だ形成されていない廊下An+1用の型枠57に載せると共に、鉄筋25を廊下用鉄筋26に重ね合わせる。
【0036】
次に図9に示すように、両PC階段2,3の中間踊場7,12を、未だ形成されていないキャンチ小梁14の形成範囲内に少しずつ侵入するように据え付ける。キャンチ小梁用型枠60を仮想線で示しており、このキャンチ小梁用型枠60の上面に、上記各中間踊場7,12の先端部を載せた状態となっている。
【0037】
上記PC階段2,3の据付け後、あるいは並行して、前述のようにAn+1階の廊下用型枠57を組み立てると共に、壁柱用鉄筋組立体39を取り囲むように壁柱用型枠を組み立て、また、キャンチ小梁用型枠60を組み立てる。
【0038】
壁柱用型枠を組み立てる際には、図11に示すように、下側PC階段3は、その壁柱取付側ササラ桁36の幅Wの1/2程度を壁柱形成空間内に入り込ませ、ササラ桁36の残り1/2の厚み部分の上面に壁柱用型枠50を載せて、組み立てる。壁柱用型枠50は、図示しないが幅方向に対向配置された他の壁柱用型枠とセパレータ52によって連結され、位置決めされている。壁柱用型枠50は階段長さ方向に延びる押えパイプ51により押えられており、壁柱用型枠50に設けられたホームタイ53に、押え板54を介して楔状締付金具55を差し込み、くさび作用により押え板54、パイプ51を介して型枠50を押え付けている。
【0039】
上側PC階段2の壁柱側ささら桁36に対しても同様に、壁柱用型枠50を載せる。
【0040】
(5)現場でのコンクリートの打設
図11のような壁柱用型枠50内及び図9のようなキャンチ小梁用型枠60内に生コンクリートを流し込み、壁柱1及びキャンチ用小梁14をコンクリート成形する。この場合、図11のように壁柱用型枠50はササラ桁36の直線状上面に載せるので、型枠50を段々形状に加工する必要がなく、型枠を簡素化できると共に、製造が容易になる。また、コンクリート打設時に生じる側圧力に対しても、堅固な状態で対応できる。
【0041】
図8において、上側PC階段2の上端廊下側踊場6については、廊下An+1用の型枠57内にコンクリートを流し込む。また、図7において、下側階段3の下端廊下用踊場11の先端と既に構築されている廊下Anの間にもコンクリートを流し込む。
【0042】
(6)コンクリートの養生
一定期間養生し、上記各個所のコンクリート生成部分を完成させる。
【0043】
(7)型枠の解体
型枠解体時、図11のように壁柱用型枠50は、直線状のササラ桁36に載せてあるので、容易に取り外すことができる。
【0044】
(8)手摺の取付け
設置後の各PC階段2,3の残りのササラ桁37上に図1のようにそれぞれコンクリート製の手摺15,16を載せ、適当な取付金具により固定する。各手摺15、16の下端面は、ササラ桁37に合わせて直線状に形成されている。また、中間踊場7,12の端部にも踊場用手摺17を取り付ける。
【0045】
【その他の実施の形態】
(1)前記実施の形態では、中間踊場に最も近い段部及び次の段部以外の段部の側端面から、細径の鉄筋を突出させて壁柱の埋め込ませているが、階段の荷重を受けるための鉄筋としては、最も中間踊り場に近い段部及び次の段部のみにアンカー鉄筋を突出させて壁柱に埋め込ませるだけでも十分であり、その他の段部の鉄筋は必ずしも突出させる必要はない。
【0046】
(2)定着板31をプレキャストコンクリート成形時にアンカー定着用鉄筋29、30に取り付けているが、建築現場において、PC階段を所定位置に据え付け後、定着板31を定着用鉄筋29,30に固着することも可能である。
【0047】
(3)定着体としては、図6のようなつば部34を有するスリーブ状の定着板31の他に、たとえば図12のように定着用鉄筋29、30の突出先端部に、鉄筋29、30と一体に瘤61を形成する構造でもよく、また、鉄製以外の定着板でも可能である。
【0048】
(3)前記実施の形態では、プレキャストコンクリート製の階段を、壁柱の両側にそれぞれ片持ち状に配置する構造であるが、たとえば折曲がり構造の階段の周囲と階段間に壁柱があり、階段の両側を壁柱で支持する両持ち式構造の階段にも適用できる。
【0049】
(4)図示の実施の形態では、中間踊場に最も近い段部と次の段部との、2つの段部を支持小梁として利用しているが、最も中間踊場に近い段部S1のみを支持小梁として利用する構造を採用することも可能である。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように本願発明は、(1)段板部の上下端に踊場を一体に有し、折返し構造の階段に適用されるプレキャストコンクリート階段(PC階段)の支持構造において、PC階段の略廊下側半分の荷重は、廊下側踊場の先端部を廊下で支持することにより受持ち、略中間踊場側半分の荷重は、中間踊場に最も近い段部又はこの段部と次の段部を、たとえば太径の定着用アンカー鉄筋により小梁として利用すると共に、中間踊場の側端部を、壁柱の形成したキャンチ小梁に支持させることにより受け持つようにしているので、従来の図13及び図14のように、PC階段の側端面からL字形に突出させた定着用の鉄筋を利用して、壁柱にPC階段の略全荷重を受け持たせる構造に比べ、PC階段の据付作業が簡単になると共に、従来の壁柱による片持ち支持に比べて耐荷重性及び耐震性も向上し、また、壁柱の鉄筋組立体への組付作業も簡単になる。
【0051】
(2)中間踊場に最も近い段部又はこの段部と次の段部に内蔵されて壁柱側へ突出するアンカー鉄筋を、階段の側端面から直線状に突出させると共に、先端部に鉄筋径方向に拡大する定着体を設けてあると、現場での壁柱のコンクリート打設作業において、階段と壁柱を一体化する場合に、直線状の定着用アンカー鉄筋の突出部を、壁柱用鉄筋組立体内に支障なく挿入し、組み付けることができ、階段の据付作業に手間がかからなくなる。また、従来のように定着用鉄筋の折曲げ加工の必要はなくなり、直線状のまま運搬移動でき、運搬移動も楽である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明によるプレキャストコンクリート階段を据え付けた建物の側面部分図である。
【図2】手摺を取り外して示す図1の建物の斜視図である。
【図3】図1の折返し構造の階段の平面図である。
【図4】本願発明による上側プレキャストコンクリート階段の斜視図である。
【図5】本願発明による下側プレキャストコンクリート階段の斜視図である。
【図6】図4の上側プレキャストコンクリート階段の下端部分の拡大斜視図である。
【図7】図5の下側プレキャストコンクリート階段の下端部分の拡大斜視図である。
【図8】上側プレキャストコンクリート階段の上半部の縦断面拡大図である。
【図9】図1のIX−IX断面拡大図である。
【図10】図1のX−X断面拡大図である。
【図11】コンクリート成形時の型枠取付状態を示す縦断面拡大図である。
【図12】定着用アンカー鉄筋の変形例を示す縦断面拡大図である。
【図13】従来例の側面図である。
【図14】図13のXIV−XIV断面相当図である。
【符号の説明】
1 壁柱
2,3 プレキャストコンクリート階段
5,10 段板部
6,11 廊下側踊場
7,12 中間踊場
8 踏み面
9 け込み面
14 キャンチ小梁
29 定着用のアンカー鉄筋
30 定着用鉄筋
31 定着板(定着体の一例)
36 ササラ桁
50 壁柱用型枠
S1,S2 段部
Claims (2)
- 上下端部に踊場を一体に有すると共に壁柱に沿って設置されるプレキャストコンクリート階段であって、一方の踊場は建物の廊下に接続し、他方の踊場は中間踊場として別のプレキャストコンクリート階段の中間踊場と接続するプレキャストコンクリート階段の支持構造において、
廊下側の踊場の端部を廊下の先端部で支持することにより、階段の略廊下側半分の荷重を受け持ち、
中間踊場の側端部を、壁柱に形成されたキャンチ小梁に支持させると共に、中間踊場に最も近い段部又はこの段部と次の段部を、各段部に内蔵されて壁柱側に突出するアンカー鉄筋と共に支持小梁として壁柱に支持させることにより、階段の略中間踊場側半分の荷重を受け持つようにしていることを特徴とするプレキャストコンクリート階段の支持構造。 - 請求項1記載のプレキャストコンクリート階段の支持構造において、
中間踊場に最も近い段部又はこの段部と次の段部に内蔵されて壁柱側へ突出するアンカー鉄筋は、階段の側端面から直線状に突出すると共に、先端部には鉄筋径方向に拡大する定着体を設けてあることを特徴とするプレキャストコンクリート階段の支持構造。
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CN104790564A (zh) * | 2014-12-01 | 2015-07-22 | 中国建筑股份有限公司 | 一种装配式混凝土楼梯间外墙构造及其施工方法 |
CN108755768A (zh) * | 2018-07-18 | 2018-11-06 | 中国电建集团中南勘测设计研究院有限公司 | 一种竖井及其施工方法 |
CN113404322A (zh) * | 2021-06-15 | 2021-09-17 | 中国电建集团贵阳勘测设计研究院有限公司 | 一种高耸混凝土结构中钢梯改造为混凝土楼梯的方法 |
-
2003
- 2003-03-04 JP JP2003057277A patent/JP2004263517A/ja active Pending
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