JP2004263464A - 耐風瓦 - Google Patents

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Harumasa Arakawa
治正 荒川
Daisuke Ishikawa
大輔 石川
Tadayoshi Masaki
忠良 正木
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Abstract

【課題】従来の葺き上げ作業に新たな部材や工程を追加することなく、確実な耐風効果が期待でき、従来の固定釘打ちなどが省略できる
【解決手段】耐風瓦は、平板部23の左右にアンダラップ部21、オーバラップ部22を備えた粘土瓦であって、その尻端部24に裏面には下方に突設した抜止め突起部3、3を備え、この抜止め突起部3、3は、上方に開口するとともに開口縁部42、42を内部より狭く形成した溝部41を有する弾性材料からなる横桟部材4の当該開口縁部42、42間に圧入挿入したとき、この抜止め突起部3の先端部分31の首部31bに続き形成された係合肉厚部31aが、前記横桟部材4の開口縁部42に抜止め状態に組み付けられる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、台風など強風による吹き上がりを防止した耐風瓦の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、強風の吹き込みによる瓦の吹き上がりを防止する手段として、瓦の尻部近傍に設けた釘孔を通じて横桟木に釘打ちして固定したり、屋根外周に金属線を張り巡らせ、銅線で下地に固定するなどの施工が行われていた。また、この釘打ち固定方法を省略でき改良方法も多く提案されている。
【0003】
例えば、図5に示すように、垂木上の横桟木11に下側瓦12の尻引っ掛け部13を当接して葺き、さらに、その上に上側瓦15が載った状態で葺き上げられる場合、横桟木11に予め固定金具16を固定しておき、その先端屈曲部16aを尻引っ掛け部13に設けた差込部14に差し込んだ状態で葺き上げるものである。(特許文献1を参照のこと)
【0004】
かくして、前記固定金具16の先端屈曲部16aが尻引っ掛け部13に設けた差込部14に差し込まれているので、この瓦が強風などで吹き上げられるのを効果的に防止できることになる。ところが、このような従来の葺き上げ工法では、新規な固定金具16などを釘打ちで取り付ける手間がかかるうえ、瓦が上下にずれた場合には耐風効果が失われるなど信頼性にやや問題があった なお、横桟木自体を金属製とするものもある(特許文献2を参照のこと)が、瓦に対する吹き上がり抑止原理は特許文献1と実質的に同様なものである。
【0005】
【特許文献1】
実開平5−62615号公報:請求項1、図1、2。
【特許文献2】
実開昭59−4098号公報:実用新案登録請求の範囲、図3、4、5。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、従来の葺き上げ作業に新たな部材や工程を追加することなく、確実な耐風効果が期待でき、従来の固定釘打ちなどが省略できる耐風瓦を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の問題は、上方に開口するとともに開口縁部を内部より狭く形成した溝部を有する弾性材料からなる横桟部材の該溝部に、尻端部裏面に突設した抜止め突起部を挿入した状態で葺かれ得る耐風瓦であって、前記抜止め突起部の先端部分を肉厚に形成して係合肉厚部とし、前記横桟部材の開口縁部に抜止め状態に組み付け可能としたものであることを特徴とする本発明の耐風瓦によって、解決することができる。
【0008】
また、本発明は、前記横桟部材が合成樹脂ないしアルミニウム合金の押出材またはステンレス板の折り曲げ加工材よりなる長尺成形材であって、前記開口縁部間に前記耐風瓦の抜止め突起部の先端を圧入したとき、当該開口縁部間が弾性的に拡縮して前記係合肉厚部が前記横桟部材の開口縁部に抜止め状態に組み付け可能となるものである形態に具体化できる。
【0009】
さらに、これらの本発明の耐風瓦は、尻部上面に先端を鉤状に形成した鉤状突起部を設けるとともに、頭部側裏面に係合差込部を設けた前記耐風瓦であって、その鉤状突起部と係合差込部とが、当該耐風瓦を葺くときに、下側に葺かれる瓦の前記鉤状突起部の先端鉤部が上側に葺かれる瓦の前記係合差込部に挿入され、上側の瓦の吹き上がりを下側の瓦が下方に引き留めるよう係合する位置関係に配設されている形態に好ましく具体化できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の耐風瓦の第1実施形態について、図1〜3を参照し、また、第2実施形態を図1、4を参照して説明する。
(第1実施形態)
先ず、本発明の耐風瓦は、図1に例示するように、平板部23の左右にアンダラップ部21、オーバラップ部22を備えた粘土瓦であって、その尻端部24に裏面には下方に突設した抜止め突起部3、3(図1(B)では、製図法の取り決めから、上方に向けて突設した形に描かれている)を備えたものである。なお、本発明では、この抜止め突起部3は、少なくとも1個、突設することが必要である。
【0011】
そして、この抜止め突起部3、3は、図2、3に示されるように、上方に開口するとともに開口縁部42、42を内部より狭く形成した溝部41を有する弾性材料からなる横桟部材4の該溝部41に、挿入した状態で葺くことができるよう形成されている。なお、横桟部材4は、従来の適宜な屋根下地材7上に水平方向に、釘、ねじなどで固定されたものである。
【0012】
具体的には、本発明では、先ずこの抜止め突起部3の先端部分31に首部31bに続いて肉厚に形成して係合肉厚部31aを設けているのであって、この先端部分31を前記横桟部材4の開口縁部42、42間に挿入するよう押し圧したとき、その開口縁部42、42間が弾性的に拡幅し、係合肉厚部31aが押し込まれ、次いで、係合肉厚部31aの直上の相対的に薄肉な首部31bを挟持するよう縮幅して、前記係合肉厚部31aが前記横桟部材の開口縁部42に抜止め状態(図2の状態から図3の状態に組み付けられる)に組み付けられるものである。
【0013】
かくして、本発明では、前記抜止め突起部3が前記横桟部材4の開口縁部42、42に抜止め状態に組み付けられるから、瓦が強風に煽られても吹き上がりは勿論のこと上下の位置ずれも効果的に防止することができる。この係合肉厚部31aは、複数個の抜止め突起部3が突設されている場合は、少なくともその1個に形成されていればよく、全てに形成する必要はない。
【0014】
さらに、葺き上げ時の瓦の配置位置は、予め施工された前記横桟部材4の位置によって自ずから定まるので葺き上げに熟練を要せず、仕上り外観が整然と整うという利点も得られる。また、瓦の配置・固定もこの抜止め突起部3を横桟部材4に押し圧・挿入するだけでよく、従来の固定用釘打ち作業は不要になるので、作業工数やコストの削減にも効果がある。
なお、図では、平板瓦を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0015】
また、本発明の耐風瓦では、前記横桟部材4として、合成樹脂ないしアルミニウム合金の押出材またはステンレス板の折り曲げ加工材よりなる適度な強度を有する長尺成形材が利用できるが、前記開口縁部42、42間に前記耐風瓦の抜止め突起部3の先端の係合肉厚部31aを圧入したとき、当該開口縁部42、42間が弾性的に拡縮して前記係合肉厚部31aが開口縁部42,42に抜止め状態に組み付けられ得る弾性材料である必要がある。なお、本発明でいう合成樹脂とは、無機質あるいは有機質のフィラー(充填材)を配合した合成樹脂材料をも包含する用語であり、例えば、樹脂に木粉末を配合して得られる合成木材をも含むのである。
【0016】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図1、4を参照して説明する。
この第2実施形態の耐風瓦は、先に説明した第1実施形態に説明した抜止め突起部3を備えた上に、さらに図1に示すような、当該瓦の尻部24の上面に先端を鉤状に形成した鉤状突起部5(図1の(B)(C)を参照のこと)を設けるとともに、頭部25側裏面に係合差込部6(図1の(D)(E)を参照のこと)を設けたものである。
【0017】
そして、その鉤状突起部5と係合差込部6とは、つぎのような位置関係に形成されているのである。すなわち、当該耐風瓦を葺くときに、図4(A)に示されるように、下側に葺かれる瓦2aの前記鉤状突起部5の先端鉤部5aが上側に葺かれる瓦2bの前記係合差込部6に挿入され、上側の瓦2bの吹き上がりを下側の瓦2aが下方に引き留めるよう係合する位置関係に配設されているのである。この目的には、前記係合差込部6は、図1(D)にあるように、オーバラップ部22の屈曲した基部22aの裏面に設定するのが最も生産技術上好ましい。
【0018】
そして、このように具体的に構成した耐風瓦は、次の葺き上げ方法によって葺き上げることができる。すなわち、先ず第1実施形態の場合に同じく、予め屋根下地として準備した溝部を有する前記横桟部材4と耐風瓦の抜止め突起部3、3とを嵌め合わせて抜止め状態に配置するのであるが、同時に、上側に位置する耐風瓦2bを横方向にわずか移動させて、下側に葺かれた瓦2aの前記鉤状突起部5の先端鉤部5aを当該上側に葺かれる瓦2bの前記係合差込部6に挿入して、上側の瓦2bの吹き上がりを下側の瓦2aが下方に引き留めるよう係合する葺き上げ方法が採用できる。
【0019】
この第2実施形態の耐風瓦によって、如上の通りの第1実施形態の利点が享受できるとともに、下側の瓦2aの前記鉤状突起部5を上側の瓦2bの係合差込部6に挿入、係合することにより、下側の瓦2aが上側の瓦2bの頭部側を牽引して吹き上がりを抑止するので、耐風瓦全体の耐風性能が向上するという格別の利点が得られるのである。
【0020】
前記係合差込部6が設けられる位置としては、図1(D)に示すオーバラップ部22の屈曲した基部22aの裏面の他に、図4(B)のように、アンダラップ部21の端部に設けることも想定できるが、オーバラップ側に設ける場合に比較して、オーバラップ側からの強風に対してやや弱くなるので、次善の方法と言えよう。
【0021】
以上、本発明の耐風瓦を主として強風時の吹き上がり防止の観点から説明したが、本発明は耐風性能に優れるだけではなく、地震発生時の振動に対しても、葺き上げられた瓦が下地材と強力に一体化しているので、位置ずれを起こしたり、脱落したりすることがない。このように、本発明は、耐風および耐震ともに優れた性能を発揮できる耐風瓦を提供できるのである。
【0022】
【発明の効果】
本発明の耐風瓦は、以上説明したように構成されているので、従来の葺き上げ作業に新たな部材や工程を追加することなく、確実な耐風効果が期待でき、従来の固定釘打ちなどが省略できる。また、屋根葺き工事のコストダウンも可能となり、仕上がった屋根の耐風、耐震などの耐久性も格段に向上するという優れた効果がある。よって本発明は、従来の問題点を解消した耐風瓦として、工業的価値はきわめて大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の耐風瓦を説明するための正面図(A)、後面面(B)、前面図(C)、a−a断面図(D)、側面図(E)。
【図2】本発明における抜止め突起部を有する瓦と横桟部材との事例を示す、棟側から軒側方向に斜め上方から見下ろした要部斜視図。
【図3】横桟部材に抜止め突起部を組み付けた状態を示す要部断面略図。
【図4】葺き上げられた上下の瓦の鉤状突起部と係合差込部との係合関係を示す断面略図。
【図5】従来の瓦の葺き上げ状態の断面略図。
【符号の説明】
2 瓦、21 アンダラップ部、22 オーバラップ部、23 平板部、24 尻端部、3 抜止め突起部、31 先端部分、31a 係合肉厚部、4 横桟部材、41 溝部、42 開口縁部、43 切り欠き箇所

Claims (3)

  1. 上方に開口するとともに開口縁部を内部より狭く形成した溝部を有する弾性材料からなる横桟部材の該溝部に、尻端部裏面に突設した抜止め突起部を挿入した状態で葺かれ得る耐風瓦であって、前記抜止め突起部の先端部分を肉厚に形成して係合肉厚部とし、前記横桟部材の開口縁部に抜止め状態に組み付け可能としたものであることを特徴とする耐風瓦。
  2. 前記横桟部材が合成樹脂ないしアルミニウム合金の押出材またはステンレス板の折り曲げ加工材よりなる長尺成形材であって、前記開口縁部間に前記耐風瓦の抜止め突起部の先端を圧入したとき、当該開口縁部間が弾性的に拡縮して前記係合肉厚部が前記横桟部材の開口縁部に抜止め状態に組み付け可能となるものである請求項1に記載の耐風瓦。
  3. 尻部上面に先端を鉤状に形成した鉤状突起部を設けるとともに、頭部側裏面に係合差込部を設けた前記耐風瓦であって、その鉤状突起部と係合差込部とが、当該耐風瓦を葺くときに、下側に葺かれる瓦の前記鉤状突起部の先端鉤部が上側に葺かれる瓦の前記係合差込部に挿入され、上側の瓦の吹き上がりを下側の瓦が下方に引き留めるよう係合する位置関係に配設されている請求項1または2に記載の耐風瓦。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006328761A (ja) * 2005-05-25 2006-12-07 Yane Gijutsu Kenkyusho:Kk 屋根部材の取付け装置
JP2017075743A (ja) * 2015-10-15 2017-04-20 株式会社パロマ ビルトインコンロ

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