JP2004263016A - 導電性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記の成分(A)と(B)を含有し、(A)/(B)の重量比が80/20〜90/10である導電性樹脂組成物。
(A):ポリフェニレンエーテル系樹脂及び/又はアルケニル芳香族系樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物
(B):導電性カーボンブラックが、かさ密度0.15g/ml以上で、DBP吸油量175〜205ml/100gかつ平均粒子径34〜42nmである導電性カーボンブラック。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性樹脂組成物に関するものである。更に詳しくは、本発明は、ポリフェニレンエーテル系樹脂及び/又はアルケニル芳香族系樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物を必須の樹脂成分とし、特定の性状の導電性カーボンブラックの配合により、混練性に優れ、導電性や帯電防止性に優れ、かつ耐衝撃性の高い成形品を提供することができる導電性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子部品やICパッケージを包装する容器には、内容物を静電気の影響から保護するために表面の導電性が必要とされ、各種樹脂に導電性カーボンブラックを配合し導電性を付与した導電性樹脂組成物が用いられている。
【0003】
導電性カーボンブラックの配合により導電性を付与した導電性樹脂組成物は、機械的強度や耐衝撃性が低下し実用性に問題があるため、改善策として特許文献1において、導電性樹脂組成物からなる成形体の衝撃強度を増大させる目的でハイインパクトポリスチレンおよびA−B−A’型ブロック共重合体の使用が示されており、特許文献2には、導電性樹脂組成物に衝撃強度改良重合体を添加することが示されているが、導電性を得るために必須である導電性カーボンブラックの性状については、特許文献3において、比表面積の大きいカーボンブラックを用いると少量の配合で高度の導電性が得られる点で有利であるとされ、特許文献4には、導電性を付与するためにDBP給油量が70ml/100g以上のものが適しているとされているのみで、導電性カーボンブラックの性状の検討による耐衝撃強度の改善策は提案されることはなかった。
【0004】
【特許文献1】
特開平2−175754号公報
【特許文献2】
特開平5−57214号公報
【特許文献3】
特開昭58−108242号公報
【特許文献4】
特開平5−271532号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、ポリフェニレンエーテル系樹脂及び/又はアルケニル芳香族系樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物を必須の樹脂成分とし、特定の性状を有する導電性カーボンブラックの配合により、表面抵抗値が106Ω以下である導電性あるいは106〜1011Ωである帯電防止性に優れ、かつ耐衝撃性の高い成形品を提供することができる導電性樹脂組成物および成形品を提供する点に存するものである。
【0006】
【課題を解決するため手段】
本発明者らは、導電性樹脂組成物の耐衝撃性の向上により実用性の高い成形品が得られ、導電性と耐衝撃性に優れた電子部品やICパッケージを包装する容器に適した導電性樹脂組成物の開発すべく、鋭意検討を続けてきた。その結果、ポリフェニレンエーテル系樹脂及び/又はアルケニル芳香族系樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物を必須の樹脂成分とし、特定の性状を有する導電性カーボンブラックを配合することが有用であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、ポリフェニレンエーテル系樹脂及び/又はアルケニル芳香族系樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物を必須の樹脂成分とし、特定の性状を有する導電性カーボンブラックの配合により、他の性状の導電性カーボンブラックを配合した場合よりも導電性と耐衝撃性に優れた導電性樹脂組成物が得られ、さらに、特定の性状を有する導電性カーボンブラックでは、必要とする導電性を配合量に対して効果的に付与できるため配合量を減ずることにより、導電性カーボンブラックの配合により低下する耐衝撃性の低下を抑え、耐衝撃性をさらに高めた成形品を提供することができる導電性樹脂組成物であり、成分(A)と(B)を含有し、(A)/(B)の重量比が80/20〜90/10である導電性樹脂組成物に係るものである。
(A):ポリフェニレンエーテル系樹脂及び/又はアルケニル芳香族系樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物
(B):導電性カーボンブラック、かさ密度0.15g/ml以上、DBP吸油量175から205ml/100gかつ平均粒子径34から42nm
また、本発明のうち第二の発明は、上記の樹脂組成物を成形して得られる導電性あるいは帯電防止性の成形品に係るものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の成分(A)は、ポリフェニレンエーテル系樹脂及び/又はアルケニル芳香族系樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物である。
【0009】
ポリフェニレンエーテル系樹脂とは、下記一般式(I)で示されるフェノール化合物の一種又は二種以上を酸化カップリング触媒を用い、酸素又は酸素含有ガスで酸化重合せしめて得られる(共)重合体である。
(式中、R1、R2、R3、R4及びR5は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基又は置換炭化水素基から選ばれたものであり、そのうち必ず1個は水素原子である。)
【0010】
上記一般式におけるR1、R2、R3、R4及びR5の具体例としては、水素、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、メチル、エチル、n−又はiso−プロピル、pri−、sec−又はt−ブチル、ヒドロキシエチル、フェニルエチル、ベンジル、ヒドロキシメチル、カルボキシエチル、メトキシカルボニルエチル、シアノエチル、フェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、エチルフェニル、アリルなどがあげられる。
【0011】
上記一般式の具体例としては、フェノール、o−、m−又はp−クレゾール、2,6−、2,5−、2,4−又は3,5−ジメチルフェノール、2−メチル−6−フェニルフェノール、2,6−ジフェニルフェノール、2,6−ジエチルフェノール、2−メチル−6−エチルフェノール、2,3,5−、2,3,6−又は2,4,6−トリメチルフェノール、3−メチル−6−t−ブチルフェノール、チモール、2−メチル−6−アリルフェノールなどがあげられる。更に、上記一般式以外のフェノール化合物、たとえば、ビスフェノール−A、レゾルシン、ハイドロキノン、ノボラック樹脂のような多価ヒドロキシ芳香族化合物と上記一般式で示されるフェノール化合物とを共重合体の原料としてもよい。これらの化合物の中では、2,6−ジメチルフェノール、2,6−ジフェニルフェノール、3−メチル−6−t−ブチルフェノール及び2,3,6−トリメチルフェノールが好ましい。
【0012】
フェノール化合物を酸化重合せしめる際に用いる酸化カップリング触媒は、特に限定されるものではなく、重合能を有する如何なる触媒でも使用できる。
かかるポリフェニレンエーテル系樹脂の製造法は、たとえば米国特許第3306874号公報、同第3306875号公報及び同第3257357号公報並びに特公昭52−17880号公報、特開昭50−51197号公報、特開平1−304119号公報等に記載されている。
【0013】
本発明におけるポリフェニレンエーテル系樹脂の具体例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−プロピル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−エチル−6−プロピル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジブチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジプロペニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジラウリル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジフェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジメトキシ−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジエトキシ−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メトキシ−6−エトキシ−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−エチル−6−ステアリルオキシ−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−エトキシ−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(3−メチル−6−t−ブチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジベンジル−1,4−フェニレンエーテル)及びこれらの重合体を構成する繰り返し単位の複数種を含む各種共重合体をあげることができる。共重合体の中には2,3,6−トリメチルフェノール、2,3,5,6−テトラメチルフェノール等の多置換フェノールと2,6−ジメチルフェノールとの共重合体等も含む。これらポリフェニレンエーテル系樹脂のうちで好ましいものはポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)及び2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体である。
【0014】
本発明で使用できるポリフェニレンエーテル系樹脂は、30℃のクロロホルム中で測定した固有粘度が0.3〜0.6dl/gのものが好ましく、更に好ましくは0.32〜0.55dl/gであり、最も好ましくは0.34〜0.5dl/gである。該固有粘度が、低すぎると耐衝撃強度が低下する場合があり、一方該固有粘度が、高すぎると溶融時の流動性が低下し、成形加工性が低下する場合がある。
【0015】
本発明で用いるポリフェニレンエーテル系樹脂は、上記重合体、共重合体に対し、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン及びビニルトルエン等のスチレン系化合物をグラフトさせて変性した共重合体でもよい。
【0016】
アルケニル芳香族系樹脂とは、式(II)で示される芳香族ビニル単量体から誘導された繰り返し構造単位を、その重合体中に少なくとも25重量%以上有するものである。
【0017】
ここで、R6は水素、低級アルキル又はハロゲン;Zは水素、ビニル、ハロゲン、アミノ基、水酸基又は低級アルキル;そしてpは0又は1〜5の整数である。上記低級アルキルとは、炭素数1〜6のアルキル基をいう。(II)として、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、α−クロロスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン等があげられる。また、該化合物は1種だけに限らず2種以上を併用することもできる。
【0018】
かかるアルケニル芳香族系樹脂としては、スチレンもしくはその誘導体たとえば、p−メチルスチレン、 α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等の単独重合体及び共重合体があげられる。また、上記した芳香族ビニル系化合物を70〜99重量%とジエンゴム1〜30重量%とからなるゴム変性された高衝撃性ポリスチレン(HIPS)を使用することができる。HIPSを構成するジエンゴムとしては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の共役ジエン系化合物の単独重合体、共役ジエン系化合物と不飽和ニトリル化合物又は芳香族ビニル化合物との共重合体更には天然ゴムなどがあげられ、これらを1種又は2種以上用いる事ができる。特に、ポリブタジエン、ブタジエンースチレン共重合体が好ましい。HIPSは、乳化重合、懸濁重合、塊状重合、溶液重合又は、それらの組み合わせの方法によって得られる。
【0019】
本発明においては、樹脂成分として、必須のポリフェニレンエーテル系樹脂及び/又はアルケニル芳香族系樹脂は、成形品に必要とされる耐熱性を有していれば良く、単独または配合して熱可塑性樹脂組成物に用いることができる。
【0020】
本発明においては、樹脂成分として、必須のポリフェニレンエーテル系樹脂及び/又はアルケニル芳香族系樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物に、成形品に加工した場合に必要とされる特性を付与するための各種の改質材を配合していても良く、耐衝撃強度を付与するためのゴム様物質や、剛性や寸法安定性等を付与する非導電性フィラー等の改質材の配合が、実用的に優れる成形品を得るために好ましい。
【0021】
ゴム様物質とは、室温で弾性体である天然及び合成の重合体材料をいう。特に好ましいゴムとしては、エチレン−プロピレン共重合ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合ゴム、エチレン−ブテン−1共重合ゴム、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンブロック共重合ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、部分水添スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合ゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合ゴム、部分水添スチレン−イソプレンブロック共重合ゴム、ポリウレタンゴム、スチレングラフト−エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合ゴム、スチレン−グラフト−エチレン−プロピレン共重合ゴム、スチレン/アクリロニトリル−グラフト−エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合ゴム、スチレン/アクリロニトリル−グラフト−エチレン−プロピレン共重合ゴム、スチレン/メチルメタアクリレート−グラフト−エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合ゴム、スチレン/メチルメタアクリレート−グラフト−エチレン−プロピレン共重合ゴム等、あるいはこれらの混合物が用いられる。また、他の酸もしくはエポキシなどを含む官能性単量体により変性した変性ゴムを用いてもよい。
【0022】
ゴム様物質の配合量は成分(A)中に重量比で0〜50重量%が好ましく、更に好ましくは2〜40である。ゴム成分が充分でないと耐衝撃性の低下や成形品が脆くなる場合があり、過多であると機械的強度が低下する場合がある。
【0023】
非導電性無機フィラーとしては、たとえばタルク、マイカ、ガラス繊維、シリカアルミナ、炭酸カルシウム、クレー、カオリン、硫酸マグネシウム、ウォラストナイト、TiO2、ZnO及びSb2O3のような無機充填剤を用いることができる。成形品の加熱処理後の寸法安定性の向上の観点から、好ましくは板状の非導電性無機フィラーであり、タルク及びマイカの様な非導電性無機フィラーであり、更に好ましくは添加による耐衝撃性の低下が少ないタルクである。
【0024】
非導電性無機フィラーの配合量は成分(A)中に重量比で0〜15重量%が好ましく、更に好ましくは0〜13重量%である。非導電性無機フィラーが充分でないと成形品の加工時の収縮や成形品を加熱処理した際の寸法安定性が不十分なものとなり、過多であると機械的強度や耐衝撃性が低下し成形品が脆い。
【0025】
本発明の成分(B)は、成分(A)に配合し混練することで導電性を付与することができる導電性カーボンブラックであり、かさ密度0.15g/ml以上、DBP吸油量175から205ml/100gかつ平均粒子径38から42nmの性状ものである。
【0026】
本発明において使用できる成分(B)のかさ密度は0.15g/ml以上であり、好ましくは0.17g/ml以上である。かさ密度が0.15g/ml以下であると成分(A)に配合し混練する際に均一に分散しなかったり、導電性カーボンブラックや配合した原料が混練装置に安定して供給できない等、充分な混練性が得られず、導電性樹脂組成物の安定した品質での生産や製造が行えない。
【0027】
DBP吸油量175から205ml/100gかつ平均粒子径34から42nmの範囲であり、好ましくはDBP吸油量180から200ml/100gかつ平均粒子径36から40nmの範囲でこの範囲以下の導電性カーボンブラックでは、耐衝撃性が低く、導電性が十分でない場合には必要な配合量が多くなる等で耐衝撃性がさらに低下する場合があり、この範囲以上の導電性カーボンブラックでは、必要な導電性を付与するための配合量は少なくなるが耐衝撃性が低下し、成形品が脆くなる場合がある。
【0028】
本発明において使用できる導電性カーボンブラックはイオウ含量0.05%以下であり、さらに好ましくは0.03%以下であり、イオウ含量が多い場合には独特の臭気が発生し金属の表面を曇らせる等の問題があり好ましくない。
本発明において使用できる導電性カーボンブラックは、かさ密度、DBP吸油量、平均粒子径が特定の範囲で、イオウ含量が少ないことが好ましく、導電性ファーネスブラックのエンサコ社のMMMカーボン製造法により製造されたエンサコ250Gなるカーボンブラックが適している。
【0029】
成分(B)の配合量は、成分(A)に配合混練した導電性樹脂組成物の成形品に必要とされる導電性や帯電防止性が得られる量であり、(A)/(B)の重量比が80/20〜90/10であり、好ましく83/17〜87/13であり、成分(B)の配合量が、この範囲以下の場合は導電性が不足し、この範囲以上の場合には導電性は向上するが成形品が脆く実用に適さなくなり、混練性が悪くなる。
【0030】
本発明の樹脂組成物は、上記の成分に加えて、慣用の添加剤、たとえば顔料、難燃剤、可塑剤、酸化防止剤及び耐候剤等を含有してもよい。
【0031】
本発明の樹脂組成物の製造方法は限定されない。たとえば、用いる成分を公知の方法で配合し、溶融混練すればよいが、その際の混合手段としては慣用の混合手段で混合することができる。このために押出機、ニーダー、ロールミキサー及びバンバリーミキサー等が使用できる。
【0032】
本発明の樹脂組成物は、導電性あるいは帯電防止性の成形品である電子部品やICパッケージを包装する容器に公知の方法で加工でき、例えば、射出成形によるハードトレーや、単層または多層の導電シートに加工の後、真空成形等によりソフトキャリアテープに成形され得るが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0033】
【実施例】
以下に示される方法により、本発明は実施が可能であるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0034】
実施例においては次の化合物を使用した。
成分(A)
PPE:ポリフェニレンエーテル系樹脂;PPO646 GE社製;極限粘度(クロロホルム、25℃)0.46dl/g
GPPS:ポリスチレン系樹脂;G899 日本ポリスチレン株式会社製; SMEPR:ゴム様物質;参考例1に示す製造法にて製造されたスチレン/メチルメタクリレート−グラフト−エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合ゴム
HS−T:非導電性無機フィラー;MW HS−T 林化成社製タルク;平均粒子径(D50)2.75μm
成分(B)
表1に符号CB−1〜CB−5で表した導電性カーボンブラックを使用した。
【0035】
参考例1
ゴム様物質として、スチレン/メチルメタクリレート−グラフト−エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合ゴムを下記の方法で製造した。
攪拌機を備えた5リットルのオートクレーブに、分散剤として旭電化株式会社製プルロニックF68 6gを溶解した純水2200ml及び3〜6mm角に細断したエスプレンE502(プロピレン含量44重量部、ヨウ素価8.5、120℃におけるムーニー粘度63)を300g仕込み、攪拌して懸濁させた。次いで重合開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレート9g及びP−ベンゾキノン0.18g、単量体としてスチレン101gとメチルメタクリレート19gを加え、直ちにオートクレーブを30℃に予め昇温しておいたオイルバス中に入れて昇温を開始する。1分間に約1℃の割合で110℃まで昇温し、そのまま30分間温度を110℃に保ち、重合反応を行った。生成した粒状のグラフト物は水洗後95℃で真空乾燥し、スチレン/メチルメタクリレート−グラフト−エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合ゴム(SMEPR)を得た。
【0036】
表2及び3に示す割合の各成分をブレンドした後、TEM−50A(東芝機械製 50mmの二軸押出機)とIS220EN(東芝機械製 型締め力220tonの射出成形機)を用いて、表4に示した条件にて溶融混練し押出したストランドを水槽にて水冷却後にストランドカッターで切断しペレット化を行い造粒を行った後、得られたペレットを130℃3時間の熱風乾燥後、表4に示した条件にて射出成形して試験片を成形し、各種評価を行った。これらの評価結果を表2及び3に示す。
【0037】
評価は以下のようにして行った。
混練性:上記の通り導電性樹脂組成物を製造するに際して、連続的に混練、造粒できる場合を○、できない場合を×で表した。
(1)表面抵抗値(以下SRと言う):ASTM D257に準拠して、厚み3.2mmの試験片について測定した。単位はΩ。
(2)アイゾッド衝撃強度(以下Izodと言う):ASTM D256に準拠して、厚み3.2mmの試験片について、Vノッチ付きで測定した。単位はkJ/m2。
(3)臭気:金属表面を曇らせる等の原因とされる臭気がペレットにない場合を○、ある場合を×で表した。
(4)判定:混練性、臭気が○であり、導電性樹脂組成物成形品において他の導電性カーボンブラックを配合した場合よりも、SRが低抵抗で導電性に優れ、Izodの値が高く耐衝撃性に優れる場合を○、そうでない場合を×で表した。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】
実施例1〜2
表2に示す割合及び表4の条件で東芝機械製TEM50二軸混練機にて溶融混練し導電性樹脂組成物の造粒を行い、得たペレットを用いて東芝機械製IS220EN射出成形機により成形品に加工し、混練性、SR、Izod、臭気を評価した。結果を表2に示す。
【0043】
本願の発明の組成物にもとづく、実施例1では、特定の性状を有する導電性カーボンブラックを配合した導電性樹脂組成物は、混練性、SR、Izodが優れ、問題となる臭気の発生もなく好ましい導電性樹脂組成物が得られることを示す。
【0044】
実施例2では、特定の性状を有する導電性カーボンブラックの配合量を減じた場合であり、必要とされる導電性が実施例1よりも向上した導電性樹脂組成物が得られることを示す。
【0045】
比較例1〜5
表3に示す割合及び表4の条件で東芝機械製TEM50二軸混練機にて溶融混練し導電性樹脂組成物の造粒を行い、得たペレットを用いて東芝機械製IS220EN射出成形機により成形品に加工し、混練性、SR、Izod、臭気を評価した。結果を表3に示す。
【0046】
本発明の組成物にもとづかない、比較例を示す。
比較例1と2では、実施例と同種であるが特定の性状を有さない導電性ファーネスブラックを配合した導電性樹脂組成物は、混練性は優れるが、SR、Izodが劣る導電性樹脂組成物が得られ、問題となる臭気の発生があり好ましくないことを示す。
【0047】
比較例3と4では、実施例と別種で特定の性状を有さないケッチェンブラックを配合した導電性樹脂組成物であり、比較例3では、配合量に対して効率の良く導電性を付与できるが、SR、Izodが劣り、SRを向上させるために配合量を増した比較例4では、混練性が悪化し造粒が行えずペレットが得られなかったことを示す。
【0048】
比較例5では、実施例と別種な特定の性状を有さないアセチレンブラックを配合した導電性樹脂組成物であり、混練性に優れ、問題となる臭気の発生のない好ましい導電性樹脂組成物が得られるが、SR、Izodが劣っていることを示す。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリフェニレンエーテル系樹脂及び/又はアルケニル芳香族系樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物を必須の樹脂成分とし、特定の性状を有する導電性カーボンブラックの配合により、他の性状の導電性カーボンブラックを配合した場合よりも導電性と耐衝撃性に優れた導電性樹脂組成物が得られ、さらに、特定の性状を有する導電性カーボンブラックでは、必要とする導電性を配合量に対して効果的に付与できるため配合量を減ずることにより、導電性カーボンブラックの配合により低下する耐衝撃性の低下を抑え、耐衝撃性をさらに高めた成形品を提供することができる導電性樹脂組成物を得ることができる。
【0050】
比較例で示したように、成分(B)が特定の性状を有する導電性カーボンブラックでない場合には、配合混練して得られる導電性樹脂組成物の成形品のSRとIzodに対して、実施例からも明らかな通り、特定の性状を有する導電性カーボンブラックを配合混練して得られる導電性樹脂組成物の成形品のSRとIzodは、より優れていることが分かる。本発明の導電性樹脂組成物は、導電性と耐衝撃性が優れた成形品に成形でき、電子部品やICパッケージを包装する容器に成形して使用し得る。
Claims (3)
- 下記の成分(A)と(B)を含有し、(A)/(B)の重量比が80/20〜90/10である導電性樹脂組成物。
(A):ポリフェニレンエーテル系樹脂及び/又はアルケニル芳香族系樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物
(B):導電性カーボンブラックが、かさ密度0.15g/ml以上で、DBP吸油量175〜205ml/100gかつ平均粒子径34〜42nmである導電性カーボンブラック。 - 成分(B)が導電性ファーネスブラックであることを特徴とする請求項1記載導電性樹脂組成物。
- 請求項1〜2のうちの一の請求項に記載の樹脂組成物を成形して得られる表面抵抗値が106Ω以下である導電性あるいは表面抵抗値106〜1011Ωである帯電防止性の成形品であり、電子部品やICパッケージを包装する容器。
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JP2003053079A JP4291012B2 (ja) | 2003-02-28 | 2003-02-28 | 導電性樹脂組成物 |
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