JP2004262540A - 折り畳み式コンテナ - Google Patents

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Takashi Fujitani
崇 藤谷
Masashi Suzaki
正士 須崎
Hiroyuki Yamamura
浩之 山村
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

【課題】折り畳みの際の操作が簡単な折り畳み式コンテナを提供すること。
【解決手段】長方形の底板1と、底板1の対向する2つの側縁にそれぞれヒンジ連結されて対をなす2枚の長手側板2と、底板1のもう一組の対向する2つの側縁にそれぞれヒンジ連結されて対をなす同じく2枚の短手側板3とからなり、2枚の長手側板2を底板1の上に先に折り畳み、続いて2枚の短手側板3を先に折り畳んだ前記2枚の長手側板2の上に後から折り畳むことが可能な折り畳み式コンテナであって、短手側板3に、短手側板3を先に起立させてその後から長手側板2を起立させたとき長手側板2の側縁が当接する張出部50が形成され、長手側板2には、長手側板2を張出部50に当接させたとき張出部50の上縁に係止する係止部60が形成されている折り畳み式コンテナを採用する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、側板を底板の上に折り畳んで小型化することができる折り畳み式コンテナに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の折り畳み式コンテナとしては、先に折り畳む一方の側板に係合突部を設け、この係合突部を後から折り畳む他方の側板に係合させ、両方の側板が互いを支え合うようにして起立状態を保持するようにしたものがある(下記の特許文献1)。このコンテナ(当該文献では折り畳み式運搬用容器)においては、両方の側板を起立させた状態から折り畳む場合、まずはコンテナの内側に手を入れ、係合突部が設けられた押圧片を外側に押圧して弾性変形させることで係合突部と他方の側板との係合状態を解除する。次に、一方の側板を内側に倒し込んで底板の上に折り畳み、続いて他方の側板を内側に倒し込み、先に折り畳まれた側板の上に折り畳む。以上で側板はすべて底板の上に折り畳まれ、コンテナの専有する容積が小さくなる。
【0003】
その他の折り畳み式コンテナとしては、後から折り畳む一方の側板に係止突部を設け、先に折り畳む他方の側板には前記係止突部を係止するノッチ部を設け、係止突部をノッチ部に係止させることで両方の側板が互いを支え合うようにして起立状態を保持するようにしたものがある(下記の特許文献2)。このコンテナ(当該文献では折り畳みコンテナー)においては、両方の側板を起立させた状態から折り畳む場合、まずはコンテナの外側から、係止突部が設けられた係止部材を外側に移動させることで係止突部をノッチ部から外す。次に、他方の側板を内側に倒し込んで底板の上に折り畳み、続いて一方の側板を内側に倒し込み、先に折り畳まれた側板の上に折り畳む。以上で側板はすべて底板の上に折り畳まれ、コンテナの専有する容積が小さくなる。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−68180号公報(段落[0021]〜[0023]、および図1、図2参照)
【特許文献2】
特開2002−337863号公報(段落[0038]、および図13参照)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の特許文献1に記載されたコンテナでは、コンテナの内側に手を入れ、押圧片を外側に押圧しながらでないと側板を倒せないが、このときコンテナの内側に手を入れているので、側板を倒そうとすると手に当たってしまい、支障なく側板を倒すことができない。しかも、押圧片は先に倒す側板の両側にあり、これらを同時に操作しなければならないが、そうすると両手が塞がってしまい、側板を倒す操作ができない。そこで実際は、両手で押圧片を操作しながらコンテナを傾け、側板を自重にまかせて倒すような操作が必要となり、折り畳み作業を円滑に行うことができない。
【0006】
また、上記の特許文献1に記載されたコンテナでは、他方の側板に係合する係合突部の一部がコンテナ内側の空間に突き出しており、これがコンテナの収容量を減じている。さらに、コンテナ内側の空間に突き出した係合突部に、収容物が当たって係合状態を解除してしまう危険もある。
【0007】
上記の特許文献2に記載されたコンテナでは、係止部材はコンテナの外側から操作するが、この場合も係止部材は先に倒す側板の両側にあり、これらを同時に操作しなければならないが、そうすると両手が塞がってしまい、側板を倒す操作ができない。そこで実際は、両手で係止部材を操作しながらコンテナを傾け、側板を自重にまかせて倒すような操作が必要となり、折り畳み作業を円滑に行うことができない。
【0008】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、折り畳みの際の操作が簡単な折り畳み式コンテナを提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための手段として採用する本発明の折り畳み式コンテナは、平面視すると四角形状の底板と、該底板の対向する2つの側縁にそれぞれヒンジ連結されて対をなす2枚の第1側板と、前記底板のもう一組の対向する2つの側縁にそれぞれヒンジ連結されて対をなす同じく2枚の第2側板とからなり、前記2枚の第1側板を前記底板の上に先に折り畳み、続いて前記2枚の第2側板を先に折り畳んだ前記2枚の第1側板の上に後から折り畳むことが可能な折り畳み式コンテナであって、
前記第2側板に、該第2側板を先に起立させてその後から前記第1側板を起立させたとき該第1側板の側縁が当接する張出部が形成され、
前記第1側板には、該第1側板を前記張出部に当接させたとき前記張出部の上縁に係止する係止部が形成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の折り畳み式コンテナにおいては、第1、第2側板を起立させた状態から折り畳む場合、まずはコンテナの外側、詳しくは2枚あるうちの一方の第1側板の外側から手を添え、係止部に対して上方に力を加えると、係止部の張出部に対する係止状態が解除される。さらにそのままの状態を保ちつつ、係止部に加えた力の向きを僅かにコンテナの内側に変化させると、その力で第1側板が内側に倒れ込み、底板の上に折り畳まれる。同様の操作を他方の第1側板についても行い、第1側板を2枚とも底板の上に折り畳んだら、続いて2枚の第2側板を内側に倒し込み、先に折り畳んだ第1側板の上に折り畳む。以上のようにして第1、第2側板をすべて底板の上に折り畳むと、コンテナの専有する容積が小さくなる。
【0011】
上記のように、第1側板を折り畳む際、係止部の張出部に対する係止状態を解除する操作をコンテナの外側から行うので、第1側板を内側に倒し込む操作が支障なく行える。また、上記の係止状態を解除する際に加えた力の向きを僅かに変化させるだけで、その力が第1側板を折り畳む力として作用するので、第1側板を折り畳む操作がほぼひとつの動作で行える。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の折り畳み式コンテナにおいては、係止部を、第1側板を底板上に起立させた状態で該底板に略平行に突き出す弾性変形可能な板状部と、該板状部から下方に突き出して前記張出部の上縁に係止する爪部とで構成するとよい。係止部を操作するとき、指で板状部を上方に押し上げるようにして弾性変形させると、爪部が張出部から離間して簡単に両者の係止状態が解除される。指を離せば板状部が元の形状に戻り、次に側板を起立させたときに爪部による張出部の係止が支障なく行える。
【0013】
また、本発明の折り畳み式コンテナにおいては、底板の下面に、同様の折り畳み式コンテナを上下に積み重ねたとき、下に位置する折り畳み式コンテナの板状部に当接する凸部を形成してもよい。コンテナを上下に積み重ねると、上に位置するコンテナの底板下面に形成した凸部が、下に位置するコンテナの板状部に上方から当接して該板状部を上から押さえるので、係止部に予期しない力が作用しても、爪部が張出部から外れることがない。これにより、第1、第2の両側板の起立状態が保たれてコンテナの函形が保たれるので、荷崩れ等が起こることがない。
【0014】
また、本発明の折り畳み式コンテナにおいては、第1側板に、該第1側板の上縁と係止部とを分かつスリットを形成してもよい。両側板を起立させた状態で第1側板に予期しない力が作用し、第1側板の上縁が撓むように変形しても、その上縁と係止部との間にスリットが存在することによって第1側板に作用した力が係止部に伝達しないので、爪部が予期しない変位をして張出部から外れるような事態は起きない。
【0015】
本発明の折り畳み式コンテナにおいては、張出部に凹部を形成し、第1側板には、張出部に当接したとき凹部に嵌合する突起形成してもよい。また、その逆に張出部に突起を形成し、第1側板には、張出部に当接したとき突起を嵌合される凹部を形成してもよい。
【0016】
第1、第2の両側板に形成された凹部と突起とを嵌合させることで両側板が連結されるので、各側板の外方への傾倒が防止される。また、作業者がコンテナを持ち運びする際は、第1、第2のいずれかの側板に設けられた取っ手部を握って持ち上げることになるが、収容物が載せられた底板と取っ手部が設けられた側板との間のヒンジ連結部には収容物の重さに比例して大きな力が作用する。このとき、上記のように凹部と突起とが嵌合し、両者が互いに接触し合っていれば、取っ手部を握って持ち上げたときの力は、取っ手部が設けられた側板から、凹部と突起との嵌合箇所を介してもう一方の側板にも伝達するので、取っ手部が設けられた側板のヒンジ連結部だけでなくもう一方の側板のヒンジ連結部にも分散される。これにより、個々のヒンジ連結部に作用する力が小さくなり、ヒンジ連結部の負担が軽減されてコンテナの耐久性が高められる。なお、ここでいう凹部は、張出部を貫通した孔、および貫通しない凹みの両方を意味する。
【0017】
【実施例】
本発明の折り畳み式コンテナの実施例を図1ないし図11に示して詳細に説明する。
図1および図2に示すように、本実施例における折り畳み式コンテナ(以下単にコンテナと称す)は、平面視すると長方形状の底板1と、底板1の長手方向に延在して対向する2つの側縁にそれぞれヒンジ連結されて対をなす2枚の長手側板(第1側板)2と、底板1の短手方向に延在して対向する2つの側縁にそれぞれヒンジ連結されて対をなす同じく2枚の短手側板(第2側板)3とから構成されている。このコンテナは、2枚の長手側板2を上縁を互いに重複させて底板1の上に折り畳み、続いて2枚の短手側板3を先に折り畳んだ長手側板2の上に折り畳むことで、未使用時等にコンテナの専有する容積を小さくすることができるようになっている。
【0018】
底板1、長手側板2および短手側板3の材質は、いずれも表面に平滑性を有し導電処理の可能なポリプロピレン等のプラスチック製である。
底板1には、側縁から上方に立ち上がった起立壁11が、底板1を取り囲むように形成されている。底板1の内側底面1aと長手方向の側縁に沿う起立壁11との間には、内側底面1aよりも一段高い段部12が形成されている。また、底板1の内側底面1aと短手方向の側縁に沿う起立壁11との間にも、内側底面1aよりも一段高い段部13が形成されている。段部12と13との間には高低差が設けられており、段部12のほうが段部13よりも低くなっている。起立壁11、段部12,13は、底板1のねじれ強度を高める補強部としての役割を担っている。
【0019】
段部12には、底板1の隅に近い部分と、長手方向側縁の中央部分とに、長手側板2とのヒンジ連結部4を構成する雌ヒンジ42が形成されている(詳細については後述する)。雌ヒンジ42,42間の段部12には、重量軽減のための軽め穴(図示略)が形成されている。段部13には、底板1の隅に近い部分と、短手方向側縁の中央部分とに、短手側板3とのヒンジ連結部4を構成する雌ヒンジ42が形成されている。
【0020】
長手側板2は、いうまでもなく平面視すると長方形状で、長辺の長さは底板1の長手方向側縁よりも若干短く、短辺の長さは底板1の短手方向側縁の1/2の長さよりも若干長く形成されている。長手側板2は大部分が均一な肉厚の薄い板状であるが、上縁および両側縁、さらに長手方向の中央には、縦横に走る突条21a,21bが形成されている。突条21a,21bは、断面視すると長手側板2の外側面(函形にしたとき外に向く面)2aでは凸、内側面2bでは凹となった円弧状で、長手側板2を内側から見ると溝状に形成されている。長手側板2の外側面2aには、突条21a,21bの両側をなぞるようにして井桁状の補強リブ22が形成されている。溝状に形成された突条21aの裏面には、井桁状の補強リブ23が形成されている。溝状に形成された突条21bの裏面には、半円状の補強リブ24が裏面の曲面形状に合わせて形成されている。長手側板2は、突条21a,21bが縦横に形成されることで剛性が高められ、縦横いずれの方向にもねじれに対する強度が高められている。
また、一方の長手側板2の突条21aと、他方の長手側板2の突条21aとは、底板1の上に折り畳まれたとき、先に折り畳まれた長手側板2の突条21aに、後から折り畳まれた長手側板2の突条21aの裏面が重なるようになっている。
【0021】
長手側板2の下縁には、両隅に近い部分と、長手方向の中央部分とに、底板1とのヒンジ連結部4を構成する雄ヒンジ41が形成されている(これも詳細については後述する)。
【0022】
短手側板3は平面視すると長方形状で、長辺の長さは底板1の短手方向側縁よりも若干短く、短辺の長さは底板1の長手方向側縁の1/2程度の長さに形成されている。長手側板2の短辺の長さと短手側板3の短辺の長さとの差は、段部12と13との高低差にほぼ等しく、第1、第2の両側壁2,3を底板1上で起立させたときに両側壁2,3の上縁の高さがほぼ一致するようになっている。
【0023】
短手側板3は、長手側板2と同じく大部分が均一な肉厚の薄い板状で、上縁および両側縁には、縦横に走る突条31a,31bが形成されている。さらに、短手側板3の表側の側面には、突条31a,31bの両側をなぞるようにして井桁状の補強リブ32が形成されている。突条31a,31bも、断面視すると短手側板3の外側面(函形にしたとき外に向く面)3aでは凸、内側面3bでは凹となった円弧状で、短手側板3を内側から見ると溝状に形成されている。短手側板3の表側の側面には、突条31a,31bの両側をなぞるようにして井桁状の補強リブ32が形成されている。溝状に形成された突条31aの裏面には、半円状の補強リブ33が裏面の曲面形状に合わせて形成されている。短手側板3は、突条31a,31bが短手側板3上に縦横に形成されることで剛性が高められ、縦横いずれの方向にもねじれに対する強度が高められている。
【0024】
短手側板3の下縁にも、両隅に近い部分と、長手方向の中央部分とに、底板1とのヒンジ連結部4を構成する雄ヒンジ41が形成されている。短手側板3のほぼ中央には、長手方向に長い長孔33が形成されており、この長孔34は上縁側にある突条31aとともにコンテナの取っ手部を構成している。
なお、図1および図2において突条の内外面に細かな筋を密に描いているが、これらは突条の曲面を表現するために描いたもので、実際の突条にはこのような筋は形成されていない。ただし、突条の内外面は必ずしも滑らかな曲面である必要はなく、図のように多面的に形成しても構わない(後述する図8も同様)。
【0025】
上述のように、底板1と長手側板2との間、および底板1と短手側板3との間には、両者を連結するヒンジ連結部4が設けられている。ヒンジ連結部4を構成する雄ヒンジ41は、図3に示すように、長手側板2の下縁からさらに下方に突き出した四角形状のブラケット部43と、ブラケット部43の両側から長手側板2の下縁に平行に突き出した2本の軸部44とからなる。
【0026】
雄ヒンジ41とともにヒンジ連結部4を構成する雌ヒンジ42は、同じく図3に示すように、ブラケット部43の幅よりも広い空隙を挟んで離間する2つの軸支部45と、両軸支部45の一部を切り欠いて形成された軸部44の嵌入溝46と、軸支部45に嵌入された軸部44をブラケット部43ごと上方に付勢して軸支部45からの離脱を阻止するバネ状部47とからなる。
【0027】
雌雄の両ヒンジ41,42は、以下のようにして連結される。まず、図4(a)に示すように長手側板2を底板1とほぼ平行に重ね合わせる。次に、図4(b)に示すように2本の軸部44をそれぞれ軸支部45の嵌入溝46にあてがい、長手側板2を滑らせるようにして強く押し込む。嵌入溝46を通過して軸支部45に嵌め込まれた軸部44は、バネ状部47に付勢されて軸支部45の内面に押し付けられるので、容易には離脱できなくなる。これで、図4(c)に示すように軸部44が軸支部45に回動自在に支持され、長手側板2が底板1に対して起立、傾倒いずれも自在に支持される。なお、短手側板3についても両ヒンジ41,42の連結の仕方は同じなので説明は省略する。
【0028】
図5および図6に示すように、短手側板3の側縁には、短手側板3を先に起立させてその後から長手側板2を起立させたときに長手側板2の側縁が当接する張出部50が形成されている。一方、長手側板2の上縁には、長手側板2を張出部50に当接させたときに張出部50の上縁に係止する係止部60が形成されている。なお、図5では、張出部50および係止部60の形状を解り易くするために両側板2,3の配置を実際の配置とは若干異ならせている。
【0029】
張出部50は、底板1の短手方向から見ると上下に長い矩形状で、その肉厚は短手側板3とほぼ等しく、短手側板3の側縁の上半分を占める位置に設けられている。張出部50の片側の側縁および下縁には、L字形に連なった補強リブ51が外側に突き出すようにして形成されている。張出部50の上縁近傍には、上記の突条21a等と同様に、張出部50の外側に突出し内側が溝状になった断面円弧状の突条52が形成されている。突条52は、その内側面が後述する端部61の外側面とほぼ同じ曲率となった円弧状に形成されている。張出部50の中央やや下寄りには、張出部50を肉厚方向に貫通する孔53が形成されている。なお、孔53は張出部50を貫通しない凹みであっても構わない。
【0030】
係止部60は、図7に示すように、長手側板2の側縁に沿う突条21bのさらに外側にあり、上縁に沿う突条21aの端部61に設けられている。端部61も突条21aに倣って断面が円弧状だが、外面の曲率が張出部50の突条52の内面とほぼ同じに形成されている。係止部60は、長手側板2を底板1上に起立させた状態で端部61から一旦は上方に突き出し、途中でかぎ形に折曲して底板1に平行に突き出す舌片(板状部)62と、舌片62の下面から下方に突き出した爪部63とからなる。舌片62はプラスチック(ポリプロピレン等)の性質から弾性変形可能である。また、舌片62は長手側板2の上縁とは直接係わっておらず、両者の間にはスリット64が形成されている。爪部63は断面が舌片62の先端に向かうほど細くなる楔形をなしており、長手側板2、短手側板3をともに起立させたときに張出部50に係止されるようになっている。
【0031】
長手側板2の、端部61の下方に位置する部分には、長手側板2、短手側板3をともに起立させたときに張出部50が嵌め込まれる矩形の凹所65が形成されており、凹所65の中央やや下寄りには、同じく長手側板2、短手側板3をともに起立させたときに張出部50の孔53に嵌合する突起66が形成されている。
【0032】
図8に示すように、舌片62の上面は、長手側板2を起立させたときに長手側板2の上縁よりも一段低くなっており、底板1の下面には、同じ構造のコンテナを上下に積み重ねたときに下に位置するコンテナの舌片62に当接する凸部14が形成されている。
【0033】
上記のように構成されたコンテナにおいて、長手側板2、短手側板3をともに起立させた状態から折り畳む場合の手順の一例について説明する。
まず、2枚あるうちの一方の長手側板2を正面に据え、親指以外の指を短手側板3に添え、一方の長手側板2に設けられた舌片62に親指を掛ける。そして、図9に示すように親指に力を入れて舌片62に対し上方に力を加え(図中の白矢印)、舌片62を反らせるように弾性変形させると、図10に示すように爪部63が張出部50の上縁から外れ、係止部60の張出部50に対する係止状態が簡単に解除される。さらにそのままの状態を保ちつつ、図11に示すように舌片62に加えた力の向きを僅かにコンテナの内側に変化させると(図中の白矢印)、その力で長手側板2が内側に倒れ込み、底板1の上に折り畳まれる。
【0034】
次に、コンテナを回転させたりはせず、操作を終えた親指を短手側板3に添え、他方の長手側板2に設けられた舌片62に人差し指を掛ける。そして、人差し指に力を入れて舌片62に対し上方に力を加え、舌片62を反らせるように弾性変形させると、爪部63が張出部50の上縁から外れ、係止部60の張出部50に対する係止状態が簡単に解除される。さらにそのままの状態を保ちつつ、舌片62に加えた力の向きを僅かにコンテナの内側に変化させると、その力で他方の長手側板2が内側に倒れ込み、底板1の上に折り畳まれる。
【0035】
上記の操作を行って長手側板2を2枚とも底板1の上に折り畳んだら、長手側板2による拘束を解かれた2枚の短手側板3を内側に倒し込み、先に折り畳んだ長手側板2の上に折り畳む。以上のようにして長手側板2、短手側板3をすべて底板1の上に折り畳むと、コンテナの専有する容積が小さくなる。
【0036】
長手側板2、短手側板3をともに折り畳んだ状態から起立させ、函形に組み立てる場合の手順について説明する。
短手側板3を2枚とも起立させる。続いて、上縁を重複させて折り畳まれた2枚の長手側板3を上にあるものから起立させる。長手側板2を起こす過程で、楔形をなす爪部63の斜面が張出部50の上縁に当接したら、少し力を入れてさらに長手側板2を引き起こすと、舌片62は爪部63の斜面に作用する反力により弾性変形し、爪部63が張出部50の上縁を乗り越えたらもとの形状に戻って爪部63を張出部50の上縁に係止させる。同様の操作を他方の長手側板2についても行い、両側板2,3どうしを連結したら、函形のコンテナが完成する。
【0037】
上記のコンテナにおいては、長手側板2を折り畳む際、係止部60の張出部50に対する係止状態を解除する操作をコンテナの外側から行うので、長手側板2を内側に倒し込む操作が支障なく行える。また、係止部60を上記のような舌片62と爪部63とで構成したことにより、係止部60を親指で簡単に操作でき、指を離せば舌片62が元の形状に戻って次に両側板2,3を起立させたときに爪部63による張出部50の係止が支障なく行える。さらに、上記の係止状態を解除する際に加えた力の向きを僅かに変化させるだけで、その力が長手側板2を折り畳む力として作用するので、長手側板2を折り畳む操作がほぼひとつの動作で行える。これにより、コンテナを折り畳んで小型化する作業が簡単かつ短時間に行えるようになる。
【0038】
また、上記のコンテナにおいては、コンテナを上下に積み重ねた場合、上に位置するコンテナの底板1下面に形成した凸部14が、下に位置するコンテナの舌片62に上方から当接して舌片62を上から押さえるので、係止部60に予期しない力が作用しても、爪部63が張出部50から外れることがない。これにより、両側板2,3の起立状態が保たれてコンテナの函形が保たれるので、荷崩れ等が起こることがない。
【0039】
さらに、上記のコンテナにおいては、両側板2,3を起立させた状態で長手側板2に予期しない力が作用し、長手側板2の上縁が撓むように変形しても、その上縁と係止部60との間にスリット64が存在することによって両者が縁切りされ、長手側板2に作用した力が係止部60には伝達しないので、爪部63が予期しない変位をして張出部50から外れるような事態は起きない。
【0040】
上記のコンテナを作業者が持ち運びする際は、短手側板3に設けられた取っ手部を握って持ち上げることになるが、収容物が載せられた底板1と取っ手部が設けられた短手側板3との間のヒンジ連結部4には収容物の重さに比例して大きな力が作用する。このとき、上記のように孔53と突起66とが嵌合し、両者が互いに接触し合うことで、取っ手部を握って持ち上げたときの力は、取っ手部が設けられた短手側板3から、孔53と突起66との嵌合箇所を介して長手側板2にも伝達するので、短手側板3側のヒンジ連結部4だけでなく長手側板2側のヒンジ連結部4にも分散される。これにより、個々のヒンジ連結部4に作用する力が小さくなり、ヒンジ連結部4の負担が軽減されてコンテナの耐久性が高められる。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、第1側板を折り畳む際、係止部の張出部に対する係止状態を解除する操作をコンテナの外側から行うので、第1側板を内側に倒し込む操作が支障なく行える。また、係止部がコンテナの上面に設けられるので、コンテナを回転させたりしなくても、2枚の第1側板のそれぞれに設けられた係止部を操作して張出部に対する係止状態を解除することができる。さらに、上記の係止状態を解除する際に加えた力の向きを僅かに変化させるだけで、その力が第1側板を折り畳む力として作用するので、第1側板を折り畳む操作がほぼひとつの動作で行える。これにより、コンテナを折り畳んで小型化する作業を簡単かつ短時間に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の折り畳み式コンテナを函形にした状態の斜視図である。
【図2】同じく、本発明の折り畳み式コンテナを折り畳んだ状態の斜視図である。
【図3】ヒンジ連結部の構造を示す分解斜視図である。
【図4】ヒンジ連結部を構成する雄ヒンジと雌ヒンジとを連結する手順を示す状態説明図である。
【図5】長手側板の係止部および短手側板の張出部の形状を示す側面図である。
【図6】長手側板の係止部および短手側板の張出部の形状を示す側面図である(両者を分けて図示)。
【図7】長手側板の係止部および短手側板の張出部の形状を示す側面図である(両者が係止した状態を図示)。
【図8】本発明のコンテナを上下に積み重ねるときに両コンテナの関係を示す斜視図である。
【図9】係止部と張出部との係止状態を解除する手順を示す状態説明図である。
【図10】同じく、係止部と張出部との係止状態を解除する手順を示す状態説明図である。
【図11】同じく、係止部と張出部との係止状態を解除する手順を示す状態説明図である。
【符号の説明】
1 底板
2 長手側板(第1側板)
3 短手側板(第2側板)
4 ヒンジ連結部
14 凸部
50 張出部
60 係止部
53 孔(凹部)
62 舌片(板状部)
63 爪部
64 スリット
66 突起

Claims (5)

  1. 平面視すると四角形状の底板と、該底板の対向する2つの側縁にそれぞれヒンジ連結されて対をなす2枚の第1側板と、前記底板のもう一組の対向する2つの側縁にそれぞれヒンジ連結されて対をなす同じく2枚の第2側板とからなり、前記2枚の第1側板を前記底板の上に先に折り畳み、続いて前記2枚の第2側板を先に折り畳んだ前記2枚の第1側板の上に後から折り畳むことが可能な折り畳み式コンテナであって、
    前記第2側板に、該第2側板を先に起立させてその後から前記第1側板を起立させたとき該第1側板の側縁が当接する張出部が形成され、
    前記第1側板には、該第1側板を前記張出部に当接させたとき前記張出部の上縁に係止する係止部が形成されていることを特徴とする折り畳み式コンテナ。
  2. 前記係止部が、前記第1側板を前記底板上に起立させた状態で該底板に略平行に突き出す弾性変形可能な板状部と、該板状部から下方に突き出して前記張出部の上縁に係止する爪部とからなる請求項1記載の折り畳み式コンテナ。
  3. 前記底板の下面に、同様の折り畳み式コンテナを上下に積み重ねたとき下に位置する折り畳み式コンテナの前記板状部に当接する凸部が形成されている請求項2記載の折り畳み式コンテナ。
  4. 前記第1側板に、該第1側板の上縁と前記係止部とを分かつスリットが形成されている請求項1から3のいずれか記載の折り畳み式コンテナ。
  5. 前記張出部に凹部または突起が形成され、前記第1側板には、前記張出部に当接したとき前記凹部に嵌合する突起または前記突起を嵌合される凹部が形成されている請求項1から4のいずれか記載の折り畳み式コンテナ。
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