JP2004262340A - 車両の変速制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】燃費向上を目的として減速走行中に従来よりも高車速側でダウンシフトが実行させるようにした場合、アクセルのオン或いはオフに伴う変速による違和感の発生を抑制して、ドライバビリティーが向上される車両の変速制御装置を提供することにある。
【解決手段】アクセルオフされたことによる自動変速機16のダウンシフトは、変速制御手段104によってそのアクセルオフ時から車速が所定値低下したときに実行されるので、アクセルオフと共に燃費向上を目的としてエンジン回転速度NEをフューエルカットが実行される領域に入れるために直ちにダウンシフトが実行されエンジン回転速度NEが上昇されて違和感が発生することが抑制され、アクセルオフ後直ちにアクセルオンとされてもアップシフトが実行されることが防止されて、アクセルオン、オフに伴う変速が繰り返されることによるビジー感の発生が抑制されてドライバビリティーが向上される。
【選択図】 図11
【解決手段】アクセルオフされたことによる自動変速機16のダウンシフトは、変速制御手段104によってそのアクセルオフ時から車速が所定値低下したときに実行されるので、アクセルオフと共に燃費向上を目的としてエンジン回転速度NEをフューエルカットが実行される領域に入れるために直ちにダウンシフトが実行されエンジン回転速度NEが上昇されて違和感が発生することが抑制され、アクセルオフ後直ちにアクセルオンとされてもアップシフトが実行されることが防止されて、アクセルオン、オフに伴う変速が繰り返されることによるビジー感の発生が抑制されてドライバビリティーが向上される。
【選択図】 図11
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の減速走行中にエンジン回転速度が予め設定された所定回転速度の範囲にある時にそのエンジンへの燃料供給量を抑制する燃料供給制御手段を備えた車両の制御装置に関し、特に、その燃料供給制御手段による燃料供給制御範囲を拡大するために積極的にダウンシフトが実行されるようにした車両の場合に、アクセルオンからアクセルオフ或いはアクセルオフからアクセルオンへの操作に伴う変速が実行される時の違和感を防止する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両の減速走行中に燃費を向上させる目的でエンジンへの燃料供給量を抑制するたとえばフューエルカットを行う燃料供給制御装置が備えられた車両が知られている。たとえば、特許文献1に示すように減速走行中にエンジンへのフューエルカットを行う領域が所定のエンジン回転速度たとえばフューエルカット開始回転速度とフューエルカット復帰回転速度(フューエルカット停止のための燃料供給復帰判定回転速度)で設定されており、アクセルオンからアクセルオフとなったときにエンジン回転速度がそのフューエルカット開始回転速度以下である場合には、燃費向上のためにエンジンへのフューエルカットが実行される領域すなわちエンジン回転速度がフューエルカット開始回転速度以上へ上昇されるように積極的にダウンシフトが実行されるようにした技術が提案されている。
【0003】
【特許文献1】
特許第3201153号公報
【特許文献2】
特開2001−99307号公報
【特許文献3】
特開2000−318484号公報
【特許文献4】
特開平9−79371号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、燃費向上を目的として減速走行時には積極的に低速側ギヤ段へ変速が実行されるようにしている場合、たとえば車速とアクセル開度によって設定された変速線図中のダウンシフト線がアクセル開度零付近が本来の位置よりも所定値高速側に設定されている場合には、フューエルカット走行中に僅かにアクセル開度が増加されたときにそのアクセルオンと共にアップシフトが直ちに判断されてそれが実行されなければならず、違和感が発生してドライバビリティーが悪化する可能性があった。また、たとえば加速中からアクセル開度全閉状態とされた場合、直ちにフューエルカット領域に入ると共にそのアクセルオフと共にダウンシフトが実行されてエンジン回転速度が上昇されるので同様に違和感が発生する可能性があり、さらにそのダウンシフト後に僅かにアクセルがオンされるとアクセルオンと共にアップシフトが実行されてビジー感が発生する、すなわちアクセルのオン、オフに伴う変速が短時間に繰り返し行われることによる違和感が発生する可能性があり、ドライバビリティーが悪化する可能性があった。
【0005】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、燃料の燃焼により作動するエンジンと、自動変速機と、車両の減速走行中にエンジン回転速度が予め設定された所定回転速度領域にある時にそのエンジンへの燃料供給量を抑制する燃料供給制御手段とを備えた車両の制御装置において、特に、燃費向上を目的として減速走行中に従来よりも高車速側でダウンシフトが実行させるようにした場合に、アクセルのオン或いはオフに伴う変速による違和感の発生を抑制して、ドライバビリティーが向上される車両の変速制御装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための第1の手段】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、(a) 燃料の燃焼により作動するエンジンと、自動変速機とを備えた車両の変速制御装置であって、(b) 車両の減速走行中にアクセル開度全閉状態にあり且つエンジン回転速度が予め設定された所定回転速度領域にあるときに、前記エンジンへの燃料供給量を抑制する燃料供給制御手段と、(c) その燃料供給制御手段によって前記エンジンへの燃料供給量が抑制されているときにアクセル開度が増加されたことによる前記自動変速機のアップシフトは、そのアクセル開度増加時から車速が所定値上昇した後に実行する変速制御手段とを、含むことにある。
【0007】
【第1発明の効果】
このようにすれば、燃料供給制御手段によってエンジンへの燃料供給量が抑制されているときにアクセル開度が増加されたことすなわちアクセルオンによる前記自動変速機のアップシフトは、そのアクセル開度増加時から車速が所定値上昇した後に変速制御手段によって実行されるので、たとえエンジンへの燃料供給量が抑制されるために積極的に低速側ギヤ段への変速が実行された状態であってもアクセルオンと共に直ちに自動変速機のアップシフトが実行されることが防止され、アクセルオン状態が継続される状況すなわち車速が上昇したときにアップシフトが実行される。この結果、たとえば燃費向上を目的として減速走行時にエンジン回転速度をフューエルカットが実行される領域に入れるために積極的にダウンシフトが実行された状態から、アクセルオンと共に直ちにアップシフトが実行されて違和感が発生することが好適に抑制されドライバビリティーが向上される。また、アクセルオンと共に直ちにアップシフトが実行されないので、アクセルオン後直ちにアクセル開度全閉状態すなわちアクセルオフとされてもダウンシフトが実行されることが防止されて、アクセルオン、オフに伴う変速が繰り返されることによるビジー感の発生が抑制されてドライバビリティーが向上される。
【0008】
【課題を解決するための第2の手段】
また、前記目的を達成するための本発明の要旨とするところは、(a) 燃料の燃焼により作動するエンジンと、自動変速機とを備えた車両の変速制御装置であって、(b) 車両の減速走行中にアクセル開度全閉状態にあり且つエンジン回転速度が予め設定された所定回転速度領域にあるときに、前記エンジンへの燃料供給量を抑制する燃料供給制御手段と、(c) その燃料供給制御手段によって前記エンジンへの燃料供給量が抑制されているときにアクセル開度が増加されたことによる前記自動変速機のアップシフトは、そのアクセル開度増加時から所定時間経過後に実行する変速制御手段とを、含むことにある。
【0009】
【第2発明の効果】
このようにすれば、燃料供給制御手段によってエンジンへの燃料供給量が抑制されているときにアクセル開度が増加されたことすなわちアクセルオンによる前記自動変速機のアップシフトは、そのアクセル開度増加時から所定時間経過後に変速制御手段によって実行されるので、たとえエンジンへの燃料供給量が抑制されるために積極的に低速側ギヤ段への変速が実行された状態であってもアクセルオンと共に直ちに自動変速機のアップシフトが実行されることが防止され、アクセルオン状態が継続される状況すなわちアクセルオンとなってから所定時間経過して車速が上昇したときにアップシフトが実行される。この結果、たとえば燃費向上を目的として減速走行時にエンジン回転速度をフューエルカットが実行される領域に入れるために積極的にダウンシフトが実行された状態から、アクセルオンと共に直ちにアップシフトが実行されて違和感が発生することが好適に抑制されドライバビリティーが向上される。また、アクセルオンと共に直ちにアップシフトが実行されないので、アクセルオン後直ちにアクセル開度全閉状態すなわちアクセルオフとされてもダウンシフトが実行されることが防止されて、アクセルオン、オフに伴う変速が繰り返されることによるビジー感の発生が抑制されてドライバビリティーが向上される。
【0010】
【課題を解決するための第3の手段】
また、前記目的を達成するための本発明の要旨とするところは、(a) 燃料の燃焼により作動するエンジンと、自動変速機とを備えた車両の変速制御装置であって、(b) 車両の減速走行中にアクセル開度全閉状態にあり且つエンジン回転速度が予め設定された所定回転速度領域にあるときに、前記エンジンへの燃料供給量を抑制する燃料供給制御手段と、(c) 前記アクセル開度全閉状態にされたことによる前記自動変速機のダウンシフトは、そのアクセル開度全閉時から車速が所定値低下したときに実行する変速制御手段とを、含むことにある。
【0011】
【第3発明の効果】
このようにすれば、アクセル開度全閉状態すなわちアクセルオフにされたことによる前記自動変速機のダウンシフトは、変速制御手段によってそのアクセルオフ時から車速が所定値低下したときに実行されるので、アクセルオフと共に直ちにエンジンへの燃料供給量が抑制されるために自動変速機のダウンシフトが実行されることが防止され、アクセルオフ状態が継続される状況すなわち車速が低下したときにダウンシフトが実行される。この結果、たとえば加速中からアクセルオフした場合、アクセルオフと共に燃費向上を目的としてエンジン回転速度をフューエルカットが実行される領域に入れるために直ちにダウンシフトが実行されエンジン回転速度が上昇されて違和感が発生することが抑制されドライバビリティーが好適に向上される。また、アクセルオフと共に直ちにダウンシフトが実行されないので、アクセルオフ後直ちにアクセル開度が増加されたことすなわちアクセルオンとされてもアップシフトが実行されることが防止されて、アクセルオン、オフに伴う変速が繰り返されることによるビジー感の発生が抑制されてドライバビリティーが向上される。
【0012】
【課題を解決するための第4の手段】
また、前記目的を達成するための本発明の要旨とするところは、(a) 燃料の燃焼により作動するエンジンと、自動変速機とを備えた車両の変速制御装置であって、(b) 車両の減速走行中にアクセル開度全閉状態にあり且つエンジン回転速度が予め設定された所定回転速度領域にあるときに、前記エンジンへの燃料供給量を抑制する燃料供給制御手段と、(c) 前記アクセル開度全閉状態にされたことによる前記自動変速機のダウンシフトは、そのアクセル開度全閉時から所定時間経過後に実行する変速制御手段とを、含むことにある。
【0013】
【第4発明の効果】
このようにすれば、アクセル開度全閉状態すなわちアクセルオフにされたことによる前記自動変速機のダウンシフトは、変速制御手段によってそのアクセルオフ時から所定時間経過後に実行されるので、アクセルオフと共に直ちにエンジンへの燃料供給量が抑制されるために自動変速機のダウンシフトが実行されることが防止され、アクセルオフ状態が継続される状況すなわちアクセルオフとなってから所定時間経過して車速が低下したときにダウンシフトが実行される。この結果、たとえば加速中からアクセルオフした場合、アクセルオフと共に燃費向上を目的としてエンジン回転速度をフューエルカットが実行される領域に入れるために直ちにダウンシフトが実行されエンジン回転速度が上昇されて違和感が発生することが抑制されドライバビリティーが好適に向上される。また、アクセルオフと共に直ちにダウンシフトが実行されないので、アクセルオフ後直ちにアクセル開度が増加されたことすなわちアクセルオンとされてもアップシフトが実行されることが防止されて、アクセルオン、オフに伴う変速が繰り返されることによるビジー感の発生が抑制されてドライバビリティーが向上される。
【0014】
【第1発明、第2発明、第3発明、第4発明の他の態様】
ここで、好適には、第1発明において、(a) 前記燃料供給制御手段によって前記エンジンへの燃料供給量が抑制されているときにアクセル開度が増加されたことによる前記自動変速機のアップシフトが必要であるか否かを判定するアップシフト要否判定手段と、(b) そのアップシフト要否判定手段によってアップシフトが必要であると判定されると現在の車速に基づいて所定車速を設定する所定車速設定手段と、(c) 現在の車速がその所定車速上昇したか否かを判定する車速判定手段とを備え、(d) 前記変速制御手段は、その車速判定手段によって現在の車速がその所定車速上昇したと判定されると、前記自動変速機のアップシフトを実行するものである。このようにすれば、燃料供給制御手段によってエンジンへの燃料供給量が抑制されているときに、アップシフト要否判定手段によってアクセル開度が増加されたことすなわちアクセルオンによる前記自動変速機のアップシフトが必要であると判定されたときに、所定車速設定手段によって現在の車速に基づいて所定車速が設定されて、車速判定手段によって現在の車速が前記所定車速上昇したと判定されたときに、変速制御手段によって前記自動変速機のアップシフトが実行されるので、アクセルオンに伴う自動変速機のアップシフトが好適に実行される。
【0015】
また、好適には、上記所定車速設定手段は、予め記憶された関係から実際のギヤ比または車速またはアクセル開度変化速度の少なくとも1つに基づいて前記所定車速を設定する。このようにすれば、前記所定車速設定手段によってたとえばギヤ比に基づいて現在の車速からの車速変化量が所定車速として設定されるので、車両状態を反映した所定車速によってアクセルオンに伴う自動変速機のアップシフトが好適に実行される。
【0016】
また、好適には、アクセル開度を示す軸と車速を示す軸との2次元座標において、高アクセル開度ほど高車速側となるアップシフト線と、同様に高アクセル開度ほど高車速側となるとともにそのアップシフト線よりは低車速側に位置するように配置され且つ低アクセル開度部分においてそのアップシフト線と交差してそれよりも高車速側となるように設定されたダウンシフト線とを含む変速線図を記憶する変速線図記憶手段を含み、前記アップシフト要否判定手段は、アクセル開度の増加に伴って、実際のアクセル開度および車速によって定められる車両走行状態を示す点が前記アップシフト線よりも高車速側領域内で前記ダウンシフト線を横切ったときにアップシフトが必要であると判定するものである。このようにすれば、前記アップシフト要否判定手段によってアクセルオンに伴って、アップシフト線よりも高車速側領域内すなわち高速側ギヤ段の領域内でアップシフトが必要となるか否かが判定されるので、その領域内でフューエルカット作動のためにダウンシフトされた状態から僅かなアクセル開度の増加による自動変速機のアップシフトが必要となるか否かが好適に判定される。
【0017】
また、好適には、第2発明において、(a) 前記燃料供給制御手段によって前記エンジンへの燃料供給量が抑制されているときにアクセル開度が増加されたことによる前記自動変速機のアップシフトが必要であるか否かを判定するアップシフト要否判定手段と、(b) そのアップシフト要否判定手段によってアップシフトが必要であると判定されると所定時間を設定する所定時間設定手段と、(c) その所定時間を越えたか否かを判定する所定時間判定手段とを備え、(d) 前記変速制御手段は、その所定時間判定手段によって前記所定時間を越えたと判定されると、前記自動変速機のアップシフトを実行するものである。このようにすれば、燃料供給制御手段によってエンジンへの燃料供給量が抑制されているときに、アップシフト要否判定手段によってアクセル開度が増加されたことすなわちアクセルオンによる前記自動変速機のアップシフトが必要であると判定されたときに、所定時間設定手段によって所定時間が設定されて、所定時間判定手段によって前記所定時間を越えたと判定されたときに、変速制御手段によって前記自動変速機のアップシフトが実行されるので、アクセルオンに伴う自動変速機のアップシフトが好適に実行される。
【0018】
また、好適には、上記所定時間設定手段は、予め記憶された関係から実際のギヤ比または車速またはアクセル開度変化速度の少なくとも1つに基づいて前記所定時間を設定する。このようにすれば、前記所定時間設定手段によってたとえばギヤ比に基づいて所定時間が設定されるので、車両状態を反映した所定時間によってアクセルオンに伴う自動変速機のアップシフトが好適に実行される。
【0019】
また、好適には、アクセル開度を示す軸と車速を示す軸との2次元座標において、高アクセル開度ほど高車速側となるアップシフト線と、同様に高アクセル開度ほど高車速側となるとともにそのアップシフト線よりは低車速側に位置するように配置され且つ低アクセル開度部分においてそのアップシフト線と交差してそれよりも高車速側となるように設定されたダウンシフト線とを含む変速線図を記憶する変速線図記憶手段を含み、前記アップシフト要否判定手段は、アクセル開度の増加に伴って、実際のアクセル開度および車速によって定められる車両走行状態を示す点が前記アップシフト線よりも高車速側領域内で前記ダウンシフト線を横切ったときにアップシフトが必要であると判定するものである。このようにすれば、前記アップシフト要否判定手段によってアクセルオンに伴って、アップシフト線よりも高車速側領域内すなわち高速側ギヤ段の領域内でアップシフトが必要となるか否かが判定されるので、その領域内でフューエルカット作動のためにダウンシフトされた状態から僅かなアクセル開度の増加による自動変速機のアップシフトが必要となるか否かが好適に判定される。
【0020】
また、好適には、第3発明において、(a) 前記アクセル開度全閉状態にされたときに、前記燃料供給制御手段によって前記エンジンへの燃料供給量が抑制されるために前記自動変速機のダウンシフトが必要であるか否かを判定するダウンシフト要否判定手段と、(b) そのダウンシフト要否判定手段によってダウンシフトが必要であると判定されると現在の車速に基づいて所定車速を設定する所定車速設定手段と、(c) 現在の車速がその所定車速低下したか否かを判定する車速判定手段とを備え、(d) 前記変速制御手段は、その車速判定手段によって現在の車速がその所定車速低下したと判定されると、前記自動変速機のダウンシフトを実行するものである。このようにすれば、アクセル開度全閉状態すなわちアクセルオフにされたときに、燃料供給制御手段によってエンジンへの燃料供給量が抑制されるためにダウンシフト要否判定手段によって前記自動変速機のダウンシフトが必要であると判定されると、所定車速設定手段によって現在の車速に基づいて所定車速が設定されて、車速判定手段によって現在の車速が前記所定車速低下したと判定されたときに、変速制御手段によって前記自動変速機のダウンシフトが実行されるので、アクセルオフに伴う自動変速機のダウンシフトが好適に実行される。
【0021】
また、好適には、上記所定車速設定手段は、予め記憶された関係から実際のギヤ比または車速またはアクセル開度変化速度の少なくとも1つに基づいて前記所定車速を設定する。このようにすれば、前記所定車速設定手段によってたとえばギヤ比に基づいて現在の車速からの車速変化量が所定車速として設定されるので、車両状態を反映した所定車速によってアクセルオフに伴う自動変速機のダウンシフトが好適に実行される。
【0022】
また、好適には、アクセル開度を示す軸と車速を示す軸との2次元座標において、高アクセル開度ほど高車速側となるアップシフト線と、同様に高アクセル開度ほど高車速側となるとともにそのアップシフト線よりは低車速側に位置するように配置され且つ低アクセル開度部分においてそのアップシフト線と交差してそれよりも高車速側となるように設定されたダウンシフト線とを含む変速線図を記憶する変速線図記憶手段を含み、前記ダウンシフト要否判定手段は、アクセル開度全閉状態にされたことに伴って、実際のアクセル開度および車速によって定められる車両走行状態を示す点が前記アップシフト線よりも高車速側領域内で前記ダウンシフト線を横切ったときにダウンシフトが必要であると判定するものである。このようにすれば、前記ダウンシフト要否判定手段によってアップシフト線よりも高車速側領域内すなわち高速側ギヤ段の領域内でダウンシフトが必要となるか否かが判定されるので、たとえアップシフト線よりも高車速側領域内すなわち高速側ギヤ段の領域内であってもフューエルカット作動のためにアクセルオフに伴う自動変速機のダウンシフトが必要となるか否かが好適に判定される。
【0023】
また、好適には、第4発明において、(a) 前記アクセル開度全閉状態にされたときに、前記燃料供給制御手段によって前記エンジンへの燃料供給量が抑制されるために前記自動変速機のダウンシフトが必要であるか否かを判定するダウンシフト要否判定手段と、(b) そのダウンシフト要否判定手段によってダウンシフトが必要であると判定されると所定時間を設定する所定時間設定手段と、(c) その所定時間を越えたか否かを判定する所定時間判定手段とを備え、(d) 前記変速制御手段は、その所定時間判定手段によって前記所定時間を越えたと判定されると、前記自動変速機のダウンシフトを実行するものである。このようにすれば、アクセル開度全閉状態すなわちアクセルオフにされたときに、燃料供給制御手段によってエンジンへの燃料供給量が抑制されるためにダウンシフト要否判定手段によって前記自動変速機のダウンシフトが必要であると判定されると、所定時間設定手段によって所定時間が設定されて、所定時間判定手段によって前記所定時間を越えたと判定されたときに、変速制御手段によって前記自動変速機のダウンシフトが実行されるので、アクセルオフに伴う自動変速機のダウンシフトが好適に実行される。
【0024】
また、好適には、上記所定時間設定手段は、予め記憶された関係から実際のギヤ比または車速またはアクセル開度変化速度の少なくとも1つに基づいて前記所定時間を設定する。このようにすれば、前記所定時間設定手段によってたとえばギヤ比に基づいて所定時間が設定されるので、車両状態を反映した所定時間によってアクセルオフに伴う自動変速機のダウンシフトが好適に実行される。
【0025】
また、好適には、アクセル開度を示す軸と車速を示す軸との2次元座標において、高アクセル開度ほど高車速側となるアップシフト線と、同様に高アクセル開度ほど高車速側となるとともにそのアップシフト線よりは低車速側に位置するように配置され且つ低アクセル開度部分においてそのアップシフト線と交差してそれよりも高車速側となるように設定されたダウンシフト線とを含む変速線図を記憶する変速線図記憶手段を含み、前記ダウンシフト要否判定手段は、アクセル開度全閉状態にされたことに伴って、実際のアクセル開度および車速によって定められる車両走行状態を示す点が前記アップシフト線よりも高車速側領域内で前記ダウンシフト線を横切ったときにダウンシフトが必要であると判定するものである。このようにすれば、前記ダウンシフト要否判定手段によってアップシフト線よりも高車速側領域内すなわち高速側ギヤ段の領域内でダウンシフトが必要となるか否かが判定されるので、たとえアップシフト線よりも高車速側領域内すなわち高速側ギヤ段の領域内であってもフューエルカット作動のためにアクセルオフに伴う自動変速機のダウンシフトが必要となるか否かが好適に判定される。
【0026】
【発明の好適な実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明が適用されたハイブリッド車両の動力伝達装置8の構成を説明する骨子図である。図1において、内燃機関にて構成されている走行用駆動力源としてのエンジン10の出力は、入力クラッチ12、流体伝動装置としてのトルクコンバータ14を経て自動変速機16に入力され、図示しない差動歯車装置および車軸を介して駆動輪へ伝達されるようになっている。上記入力クラッチ12とトルクコンバータ14との間には、回転機として電動モータおよび発電機として機能する第1モータジェネレータMG1が配設されている。上記トルクコンバータ14は、入力クラッチ12に連結されたポンプ翼車20と、自動変速機16の入力軸22に連結されたタービン翼車24と、それらポンプ翼車20およびタービン翼車24の間を直結するためのロックアップクラッチ26と、一方向クラッチ28によって一方向の回転が阻止されているステータ翼車30とを備えている。上記ロックアップクラッチ26は、係合側油室25内の油圧と解放側油室27内の油圧との差圧ΔPにより摩擦係合させられる油圧式摩擦クラッチで、完全係合させられることにより、ポンプ翼車20およびタービン翼車24は一体回転させられる。また、所定のスリップ状態で係合するように差圧ΔPすなわち係合トルクがフィードバック制御されることにより、車両の駆動(パワーオン)時には例えば50rpm程度の所定のスリップ量でタービン翼車24をポンプ翼車20に対して追従回転させる一方、車両の非駆動(パワーオフ)時には例えば−50rpm程度の所定のスリップ量でポンプ翼車20をタービン翼車24に対して追従回転させられる。
【0028】
上記自動変速機16は、ハイおよびローの2段の切り換えを行う第1変速部32と、後進変速段および前進4段の切り換えが可能な第2変速部34とを備えている。第1変速部32は、サンギヤS0、リングギヤR0、およびキャリアK0に回転可能に支持されてそれらサンギヤS0およびリングギヤR0に噛み合わされている遊星ギヤP0から成るHL遊星歯車装置36と、サンギヤS0とキャリアK0との間に設けられたクラッチC0および一方向クラッチF0と、サンギヤS0およびハウジング38間に設けられたブレーキB0とを備えている。
【0029】
第2変速部34は、サンギヤS1、リングギヤR1、およびキャリアK1に回転可能に支持されてそれらサンギヤS1およびリングギヤR1に噛み合わされている遊星ギヤP1から成る第1遊星歯車装置40と、サンギヤS2、リングギヤR2、およびキャリアK2に回転可能に支持されてそれらサンギヤS2およびリングギヤR2に噛み合わされている遊星ギヤP2から成る第2遊星歯車装置42と、サンギヤS3、リングギヤR3、およびキャリアK3に回転可能に支持されてそれらサンギヤS3およびリングギヤR3に噛み合わされている遊星ギヤP3から成る第3遊星歯車装置44とを備えている。
【0030】
上記サンギヤS1とサンギヤS2は互いに一体的に連結され、リングギヤR1とキャリアK2とキャリアK3とが一体的に連結され、そのキャリアK3は出力軸46に連結されている。また、リングギヤR2がサンギヤS3および中間軸48に一体的に連結されている。そして、リングギヤR0と中間軸48との間にクラッチC1が設けられ、サンギヤS1およびサンギヤS2とリングギヤR0との間にクラッチC2が設けられている。また、サンギヤS1およびサンギヤS2の回転を止めるためのバンド形式のブレーキB1がハウジング38に設けられている。また、サンギヤS1およびサンギヤS2とハウジング38との間には、一方向クラッチF1およびブレーキB2が直列に設けられている。この一方向クラッチF1は、サンギヤS1およびサンギヤS2が入力軸22と反対の方向へ逆回転しようとする際に係合させられるように構成されている。
【0031】
キャリアK1とハウジング38との間にはブレーキB3が設けられており、リングギヤR3とハウジング38との間には、ブレーキB4と一方向クラッチF2とが並列に設けられている。この一方向クラッチF2は、リングギヤR3が逆回転しようとする際に係合させられるように構成されている。
【0032】
以上のように構成された自動変速機16では、例えば図2に示す作動表に従って後進1段および変速比γ(入力軸22の回転速度NIN/出力軸46の回転速 度NOUT) が順次異なる前進5段(1st〜5th)の変速段のいずれかに切り換えられる。図2において「○」は係合で、空欄は解放を表し、「◎」はエンジンブレーキや第1モータジェネレータMG1の回生制動による駆動力源ブレーキ時の係合を表し、「△」は動力伝達に関与しない係合を表している。前記クラッチC0〜C2、およびブレーキB0〜B4は何れも油圧アクチュエータによって係合させられる油圧式の摩擦係合装置である。この図2から明らかなように、第2速ギヤ段と第3速ギヤ段との間は、ブレーキB2およびブレーキB3の一方が解放させられると同時に他方が係合させられることにより達成される所謂クラッチツウクラッチ変速である。
【0033】
図3は図1に示したハイブリッド車両の動力伝達装置の概略構成図である。図3に示すように、前記エンジン10の吸気配管50および排気管52には、排気タービン式過給機54が設けられており、排気管52には、ウェイストゲート弁56を有するバイパス通路58が並列に設けられて、そのバイパス通路58を流通する排気ガスの流量を制御することにより、タービン回転を変化させて吸気配管50内の過給圧を調節できるようになっている。吸気配管50には、スロットルアクチュエータ60によって開閉制御される電子スロットル弁62が設けられている。電子スロットル弁62は、基本的には図7に示すように運転者の出力要求量を表すアクセル開度ACCに対応する開度θTHとなるように制御される。
【0034】
また、エンジン10では、図4に示すような、各気筒にそれぞれ設けられている吸気弁74および排気弁75が、その開閉時期、開閉期間、リフト量などが後述の電子制御装置からの指令に従って電気的に制御される開閉制御弁すなわち電磁駆動弁から構成されている。エンジン10は、吸気弁74および排気弁75とそれ等を開閉駆動する電気的アクチュエータである電磁アクチュエータ76および77とを含む可変動弁機構78と、クランク軸79の回転角を検出するクランク軸回転角センサ80からの信号に従って上記吸気弁74および排気弁75の開閉タイミングやリフト量、作動角(開閉速度)を制御する弁駆動制御装置81とを備えている。この弁駆動制御装置81は、エンジン負荷に応じて開閉タイミングなどを最適時期に変更するだけでなく、運転サイクル切換え指令に従ってエンジン10を4サイクル運転させるための時期および2サイクル運転させるための時期となるように制御する。また、吸気弁74および排気弁75の作動タイミングを変更したり、作動気筒数を変更したりすることにより、エンジン自身でエンジン回転速度NEを制御することが可能であり、例えば吸気弁74を閉じたまま排気弁75を通常の制御に従って開閉することにより、ピストンの圧縮仕事で回転抵抗を発生させて回転エネルギーを消費させることによりエンジン回転速度NEを強制的に速やかに低下させることができるとともに、吸気弁74の開度を制御してエンジン回転速度NEの変化率を調整することができる。上記電磁アクチュエータ76および77は、たとえば図5に示すように、吸気弁74または排気弁75に連結されてその吸気弁74または排気弁75の軸心方向に移動可能に支持された磁性体製の円盤状の可動部材82と、その可動部材82を択一的に吸着するためにそれを挟む位置に設けられた一対の電磁石84、85と、可動部材82をその中立位置に向かって付勢する一対のスプリング86、87とを備えている。吸気弁74および排気弁75は、電気的に開閉制御可能な電動開閉弁に相当する。
【0035】
前記第1モータジェネレータMG1はエンジン10と自動変速機16との間に配置され、入力クラッチ12はエンジン10と第1モータジェネレータMG1との間に配置されている。上記自動変速機16の各油圧式摩擦係合装置およびロックアップクラッチ26は、電動油圧ポンプ64或いは駆動切換オイルポンプクラッチ69を介してエンジン10に機械的に連結されてそれにより直接回転駆動される機械式オイルポンプ68から発生する油圧を元圧とする油圧制御回路66により制御されるようになっている。上記元圧すなわちライン圧は、上記自動変速機16の各油圧式摩擦係合装置を係合するために用いられる最大係合圧となるものである。また、エンジン10には回転機として電動モータ或いは発電機として機能する第2モータジェネレータMG2が作動的に連結されている。そして、第1モータジェネレータMG1および第2モータジェネレータMG2の電源として機能する燃料電池70および二次電池71と、それ等から第1モータジェネレータMG1および第2モータジェネレータMG2へ供給される電流を制御したり或いは充電のために二次電池71へ供給される電流を制御するための電源切換スイッチ72および73とが設けられている。この電源切換スイッチ72および73は、スイッチ機能を有する装置を示すものであって、例えばインバータ機能などを有する半導体スイッチング素子などから構成され得るものである。
【0036】
図6は、本実施例の動力伝達装置8が備えている制御系統を説明するブロック線図である。図6において、電子制御装置90に入力される信号およびその電子制御装置90から出力される信号を例示したものである。たとえば、電子制御装置90には、アクセル開度センサにより検出されたアクセルペダルの操作量であるアクセル開度ACCを表すアクセル開度信号、スロットル弁開度センサにより検出されたスロットル弁62の開度θTHを表すスロットル開度信号、出力軸回転速度センサ47により検出された出力軸46の回転速度NOUTすなわち車速Vに対応する車速信号、タービン回転速度センサ91により検出されたタービン回転速度NT(=入力軸22の回転速度NIN)を表す信号、エンジン回転速度センサにより検出されたエンジン回転速度NEを表す信号、吸気配管50内の過給圧Paを表す信号、空燃比A/Fを表す信号、シフトレバー92の操作位置PSHを表す信号、変速機16の作動油温度すなわちAT油温TOILなどが図示しないセンサから供給されている。また、電子制御装置90からは、アクセル開度ACCに応じた大きさのスロットル開度θTHとするためのスロットルアクチュエータ60を駆動する信号、燃料噴射弁からエンジン10の気筒内へ噴射される燃料の量を制御するための噴射信号、自動変速機16のギヤ段を切り換えるために油圧制御回路66内のシフト弁を駆動するシフトソレノイドを制御する信号S1、S2、S3、ロックアップクラッチ26の係合、解放、スリップ量、ブレーキB3の直接制御、およびクラッチツウクラッチ変速を制御するリニヤソレノイド弁SLUを駆動するための指令信号DSLU、スロットル弁62の開度θTHに対応した大きさのスロットル圧PTHを発生させるリニヤソレノイド弁SLTを駆動するための指令信号DSLT、アキュム背圧を制御するためのリニヤソレノイド弁SLNを駆動する指令値信号DSLNをそれぞれ出力させる。
【0037】
上記電子制御装置90は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェースなどから成る所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、基本的にはたとえば図7に示す予め記憶された関係から実際のアクセル開度ACC(%)に基づいてスロットル開度θTH(%)を制御するスロットル開度制御、自動変速機16のギヤ段を自動的に切り換える変速制御、ロックアップクラッチ26の係合、解放、或いはスリップを実行するロックアップクラッチ制御、過給圧制御、空燃比制御、気筒選択切換制御、運転サイクル切換制御などを実行する。たとえば、上記変速制御では、たとえば図8に示す予め記憶された関係すなわち変速線図から実際のアクセル操作量に対応するアクセル開度ACC(%)またはスロットル開度θTH(%)と車速V(km/h)とに基づいて自動変速機16の変速段を決定し、この決定された変速段および係合状態が得られるように油圧制御回路66の電磁弁S1、S2、S3を駆動し、エンジンブレーキを発生させる際には電磁弁S4を駆動する。上記図8の変速線図における変速線は、実際のアクセル開度ACC(%)またはスロットル開度θTH(%)を示す横線上において実際の車速Vが線を横切ったか否かすなわち変速線上の変速を実行すべき値(変速点車速)VSを越えたか否かを判断するためのものであり、上記値VSすなわち変速点車速の連なりとして予め記憶されていることにもなる。この変速制御の過程では、自動変速機16の入力トルクTINを推定し、変速に関与する油圧式摩擦係合装置の係合圧またはその元圧であるライン圧をその入力トルクTINに応じた大きさに制御する。
【0038】
また、上記ロックアップクラッチ制御では、加速走行時のトルクコンバータ14などの回転損失を低減するために、たとえば図9に示す予め記憶されたロックアップ領域線図から実際の車両走行状態を表す車速V(出力側回転速度NOUTに対応)と運転者の要求出力量を表すアクセル開度ACCまたはスロットル開度θTH(%)とに基づいて、係合領域、解放領域、スリップ領域のいずれの領域に属するかを判定し、その判定された領域の作動となるように前記油圧制御回路66内のロックアップコントロールソレノイドを制御してロックアップクラッチ26を係合、解放、或いはスリップのいずれかの状態とする制御を実行する。そのスリップ領域では、運転性を損なうことなく燃費を可及的に良くすることを目的として前記エンジン10の回転変動を吸収しつつ前記トルクコンバータ14の動力伝達損失を可及的に抑制するために、ロックアップクラッチ26のスリップ制御を実行する。ロックアップクラッチ26のスリップ制御については、タービン回転速度NTとエンジン回転速度NEとの回転速度差(スリップ量)NSLP(=NE−NT)を目標回転速度差(目標スリップ量)NSLP *に制御するためにロックアップクラッチ26の前記差圧ΔPを制御するソレノイド弁SLU用の駆動信号SSLUを出力する。このスリップ制御のうちの減速走行時スリップ制御は、たとえば、スロットル弁開度θTHが略零で惰性走行(減速走行)する前進走行時において生じる駆動輪側からの逆入力をエンジン12側へ伝達する変速段、すなわちエンジンブレーキ作用が得られる変速段で行われ、タービン回転速度NTおよびエンジン回転速度NEは、ソレノイド弁SLU用の駆動信号SSLUを用いたフィードバック制御により回転速度差NSLPが目標回転速度差NSLP *たとえば−50乃至−100rpmとされた状態で車両の減速にしたがって緩やかに減少させられる。このようにロックアップクラッチ26がスリップ係合させられると、エンジン回転速度NEがタービン回転速度NT付近まで引き上げられるため、エンジン12に対する燃料供給量を抑制する制御状態がさらに長い期間維持されて燃費が向上する。
【0039】
図10において、前記シフトレバー92を備えたシフト操作装置94は例えば運転席の横に配設されており、そのシフトレバー92は、自動変速機16の出力軸46をロックするための駐車位置P、後進走行のための後進走行位置R、自動変速機16内の動力伝達経路が遮断された中立状態とする中立位置N、自動変速モードで第1速ギヤ段乃至第5速ギヤ段の範囲で自動変速される前進走行位置D(最高速レンジ位置)、第1速ギヤ段乃至第4速ギヤ段の範囲で自動変速され且つ各ギヤ段でエンジンブレーキが作用させられる第4エンジンブレーキ走行位置4、第1速ギヤ段乃至第3速ギヤ段の範囲で自動変速され且つ各ギヤ段でエンジンブレーキが作用させられる第3エンジンブレーキ走行位置3、第1速ギヤ段乃至第2速ギヤ段の範囲で自動変速され且つ各ギヤ段においてエンジンブレーキが作用させられる第2エンジンブレーキ走行位置2、第1速ギヤ段で走行させられ且つエンジンブレーキが作用させられる第1エンジンブレーキ走行位置Lへそれぞれ操作可能に設けられている。上記シフト操作装置94には、シフトレバー92の各操作位置を検出するための図示しないスイッチが備えられており、そのシフトレバー92の操作位置PSHを表す信号を電子制御装置90へ出力する。上記シフト操作装置94には、スポーツ走行などのためのマニアル変速モードへ切り換えるためのモード切換スイッチ96が設けられている。このモード切換スイッチ96によってマニアル変速モードが選択されると、図示しないステアリングホイールに設けられた手動変速操作釦が有効化される。
【0040】
図11は、前記電子制御装置90が備えている制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図においてアクセル開度検出手段126は、アクセル開度センサによりアクセル開度ACCを表すアクセル開度信号を検出する。たとえば、アクセル開度ACCが零である全閉すなわちアクセルオフは、アクセル開度ACCが全閉と判定される値となったときであり、たとえば全閉スイッチがオンとなったときに判定される。また、アクセルが操作される状態すなわちアクセルオンは、たとえば上記全閉スイッチがオフとなったときに判定される。さらに上記アクセル開度検出手段126は、アクセル操作の速度をたとえばアクセル開度ACCの変化速度によって算出する。
【0041】
燃料供給制御手段102は、エンジン回転速度NEやアクセル開度Accなどに基づいて燃料供給量の抑制の必要がないか否かを判断して燃費を向上させるために、所定回転速度領域において燃料供給量の抑制のための燃料供給制御作動たとえばフューエルカット作動のための停止指令Cすなわちエンジン10への燃料供給の停止指令Cを燃料供給制御装置100に出力する。図12は、燃料供給制御手段102によるそのフューエルカット作動の一例を説明するタイムチャートである。たとえば、前記アクセル開度検出手段126によってアクセルオフと判定された減速走行時にエンジン回転速度NEが予め決められた所定値、たとえば1400rpmに設定されたフューエルカット開始回転速度NEKを越えていて且つエンジン回転速度NEが低下に向かっている場合に、フューエルカットが作動されるようにエンジン10への燃料供給の停止指令Cを出力する(図12のt1時点)。その後、減速走行と共にエンジン回転速度NEが予め決められた所定値、たとえば1000rpmに設定されたフューエルカット復帰回転速度NEF以下となるとフューエルカットが作動されないようにエンジン10への燃料供給の停止指令Cの出力を中止する(図12のt2時点)。フューエルカット状態が解除させられると、燃料供給が再開されてエンジン10が速やかに起動される。なお、ロックアップクラッチ26は少なくともフューエルカット作動中は、エンジン回転速度が急低下されないように前述のロックアップクラッチ制御によりロックアップクラッチ26の係合力を増加させる方向への係合状態の切換え状態とされる必要がある。図13は、エンジン水温に基づいて予め設定されているフューエルカット開始回転速度NEKとフューエルカット復帰回転速度NEFとを示した設定例である。エンジン水温が低温時には高温時に比較してエンジン10の暖気運転等が必要であるのでそれぞれ高回転となるように設定されている。また、エンジン水温が通常運転時の水温以上となるとそれぞれ一定となるように設定されている。また、上記燃料供給制御手段102はエンジン10がフューエルカット作動が可能な状態であるか否かを判断する。たとえば、エンジン10が暖気運転前であったり、エンジン10の排気ガス中の有害成分を低減するための触媒の劣化防止のためにフューエルカット作動が実行されない状態であるかを判断してフューエルカット作動が可能な状態であるか否かを判断する。
【0042】
変速制御手段104は、たとえば図8に示す予め記憶された変速線図から実際の車速Vおよびスロットル弁開度θTH(エンジン負荷)に基づいて自動変速機16の変速段を決定する。また、燃費向上を目的として減速走行時に燃料供給制御手段102によるフューエルカットが実行されるためにエンジン回転速度をフューエルカット開始回転速度NEK以上とするために、積極的に低速側ギヤ段へ変速が実行されるようにしている場合には、たとえば図14に示すような車速Vとアクセル開度ACCによって設定された変速線図中のダウンシフト線がアクセル開度ACCが零付近のみにおいて本来の位置よりも所定値高速側に設定されている変速線に基づいて変速を実行する。図14は、たとえば図8の変速線図のアクセルオフとなる付近の一部分を抜き出したものであり、たとえば2→3アップシフトおよび3→2ダウンシフトを示すものである。図14によれば、実線に示すアップシフト線は高アクセル開度ほど高車速側となっており、また破線に示すダウンシフト線はそのアップシフト線よりは低車速側に位置するように配置され、且つ低アクセル開度部分すなわちアクセル開度ACCの零付近すなわちアクセル開度ACCの零および零より僅かに大きい値となる範囲が、車速V1乃至V2の範囲ではそのアップシフト線と交差する形でダウンシフト領域が車速V1に示す本来の位置よりも車速V2に示す高車速側位置に設定されている。この高車速側位置に設定されている領域は、アクセルオフとされた減速走行時に比較的高車速側から積極的にダウンシフトを実行することでエンジン回転速度NEを前記フューエルカット開始回転速度NEK以上として、前記燃料供給制御手段102によるフューエルカット作動範囲が拡大されるように設定されているものである。これにより変速制御手段104は、車速が前記アップシフト線よりも高車速側領域内すなわち高速側ギヤ段の領域内たとえば図14のVa或いはVcである場合には、本来は高速側ギヤ段の領域であってもアクセルオフとされれば図14の破線に示すダウンシフト線に基づいてフューエルカット作動のためにダウンシフトを実行する。また、同様に車速がたとえば図14のVa或いはVcである場合には、アクセルオフであればフューエルカット作動のために低速側ギヤ段が使用されているが、僅かでもアクセルが操作されてアクセルオンとなれば、高速側ギヤ段の領域であるので実線に示すアップシフト線に基づいてアップシフトを実行する。
【0043】
現ギヤ段判定手段106は、前記変速制御手段104によって制御されている現在のギヤ段を判定する。たとえば、燃料供給制御手段102によるフューエルカット作動が実行されるために変速制御手段104によって低速側ギヤ段が使用されているか否かを判定する。
【0044】
変速要否判定手段108は、アップシフト要否判定手段110とダウンシフト要否判定手段112とを備えており、現在のギヤ段に対してアップシフト或いはダウンシフトが必要であるか否かを判定する。
【0045】
上記アップシフト要否判定手段110は、燃料供給制御手段102によってフューエルカット作動が実行されているときに前記アクセル開度検出手段126によってアクセル開度ACCがアクセルオフからアクセルオンになったと判定されると、変速制御手段104によるアップシフトが必要であるか否かを判定する。たとえば図14の変速線図に基づいてアクセル開度の増加に伴って、実際のアクセル開度および車速によって定められる車両走行状態を示す点が前記アップシフト線よりも高車速側領域内すなわち高速側ギヤ段の領域内で前記ダウンシフト線を横切ったときにアップシフトが必要であると判定する。図14(a)に示すようにたとえば車速がVaであればアクセルオンによって高速側ギヤ段となる必要があるのでアップシフトが必要となる。
【0046】
上記ダウンシフト要否判定手段112は、前記アクセル開度検出手段126によってアクセル開度ACCがアクセルオンからアクセルオフになったと判定されると、燃料供給制御手段102によるフューエルカット作動のためにダウンシフトが必要であるか否かを判定する。たとえば図14の変速線図に基づいてアクセル開度全閉状態にされたことに伴って、実際のアクセル開度および車速によって定められる車両走行状態を示す点が前記アップシフト線よりも高車速側領域内で前記ダウンシフト線を横切ったときにダウンシフトが必要であると判定する。たとえば図14(b)に示すように車速がVcであればたとえアップシフト線よりも高車速側領域内すなわち高速側ギヤ段の領域内であってもアクセルオフによって低速側ギヤ段となる必要があるのでダウンシフトが必要となる。
【0047】
変速条件設定手段114は、所定車速設定手段116と所定時間設定手段118とを備えており、上記変速要否判定手段108よって現在のギヤ段に対してアップシフト或いはダウンシフトが必要であると判定されると、変速制御手段104によるアップシフト或いはダウンシフトが開始されるための条件を設定する。この条件は、変速制御手段104によるアクセル開度ACC零付近における変速の実行が遅延されるために設定されるものである。これは、たとえば図14(a)に示すように車速がVaである場合、アクセルオンと共に直ちにアップシフトが実行されて違和感が発生する可能性がありまたアクセルオフと共に直ちにダウンシフトが実行されて同様に違和感が発生する可能性があり、またアクセルのオン、オフの繰返しと共に変速が繰り返し実行されるのでビジーシフトとなりドライバビリティーが悪化される可能性があるためである。このため、上記変速条件設定手段114は、変速による違和感の発生を抑制するためにアクセルオン或いはオフと共に変速が実行されないように、またビジーシフトによるドライバビリティーの悪化を抑制するために短い間にアクセルのオン、オフが繰り返されても変速が実行されないように、変速の実行が遅延されるための変速条件を設定する。
【0048】
上記所定車速設定手段116は、変速制御手段104による変速の実行が遅延されるために、現在の車速に基づいてたとえば変速制御が開始されるための所定値として所定車速すなわち現在の車速からの車速変化量を設定する。たとえば、僅かなアクセル開度の増加によりアップシフト要否判定手段110によってアクセルオフからアクセルオンによるアップシフトが必要であると判定されると、現在の車速たとえば前記アクセル開度検出手段126によってアクセルオンになったと判定された時点の車速に対して少し高い車速となるためにたとえばアップシフトが開始されるための現在の車速からの車速変化量を、たとえば図15(a)に示す予め記憶された関係から実際のギヤ段(ギヤ比)に基づいて決定する。すなわち、変速前のギヤ段のギヤ比に応じて変更されるように設定されている現在の車速からの車速変化量で設定する。また、同様にアクセル開度全閉によりダウンシフト要否判定手段112によってアクセルオンからアクセルオフによるダウンシフトが必要であると判定されると、現在の車速たとえば前記アクセル開度検出手段126によってアクセルオフになったと判定された時点の車速に対して少し低い車速となるためにたとえばダウンシフトが開始されるための現在の車速からの車速変化量を、たとえば図15(b)に示す予め記憶された関係から実際のギヤ段(ギヤ比)に基づいて決定する。すなわち、変速前のギヤ段のギヤ比に応じて変更されるように設定されている現在の車速からの車速変化量で設定する。図15(a)および(b)に示す関係では車速変化量は、加減速が頻繁に行われるすなわちアクセルオン、オフの間隔が短くなる可能性があるので低速ギヤ比(高ギヤ比)ほど車速変化量が大きくなるように設定されている。
【0049】
また、上記所定車速設定手段116は、所定車速として現在の車速からの車速変化量を設定したが、現在の車速に車速変化量を増減した値を所定車速として設定してもよい。たとえば、僅かなアクセル開度の増加によりアップシフト要否判定手段110によってアクセルオフからアクセルオンによるアップシフトが必要であると判定されると、現在の車速たとえば前記アクセル開度検出手段126によってアクセルオンになったと判定された時点の車速たとえば図14(a)のVaに対して少し高い車速たとえばVbを所定車速として設定する。また、同様にアクセル全閉によりダウンシフト要否判定手段112によってアクセルオンからアクセルオフによるダウンシフトが必要であると判定されると、現在の車速たとえば前記アクセル開度検出手段126によってアクセルオフになったと判定された時点の車速たとえば図14(b)のVcに対して少し低い車速たとえばVdを所定車速として設定する。
【0050】
上記所定時間設定手段118は、変速制御手段104による変速の実行が遅延されるために、所定時間すなわち変速制御が開始されるまでの遅延時間を設定する。アップシフト要否判定手段110によってアクセルオフからアクセルオンによるアップシフトが必要であると判定されると、たとえば前記アクセル開度検出手段126によってアクセルオンになったと判定された時点からたとえばアップシフトが開始されるための所定時間を、たとえば図16(a)に示す予め記憶された関係から実際のギヤ段(ギヤ比)に基づいて決定する。すなわち、変速前のギヤ段のギヤ比に応じて変更されるように設定されている所定時間(タイマ)で設定する。また、同様にダウンシフト要否判定手段112によってアクセルオンからアクセルオフによるダウンシフトが必要であると判定されると、たとえば前記アクセル開度検出手段126によってアクセルオフになったと判定された時点からたとえばダウンシフトが開始されるための所定時間を、たとえば図16(b)に示す予め記憶された関係から実際のギヤ段(ギヤ比)に基づいて決定する。すなわち、変速前のギヤ段のギヤ比に応じて変更されるように設定されている所定時間(タイマ)で設定する。図16(a)および(b)に示す関係では所定時間(タイマ)は、加減速が頻繁に行われるすなわちアクセルオン、オフの間隔が短くなる可能性があるので低速ギヤ比(高ギヤ比)ほど所定時間が長くなるように設定されている。
【0051】
変速条件判定手段120は、車速判定手段122と所定時間判定手段124とを備えており、前記変速条件設定手段114によって設定された変速制御手段104による変速が実行されるための条件が成立したか否かを判定する。これによって前記変速要否判定手段108よって変速が必要であると判定されたときに、たとえば前記アクセル開度検出手段126によってアクセルオン或いはアクセルオフと判定されてから変速制御手段104による変速が遅延されて実行される。
【0052】
上記車速判定手段122は、現在の車速Vが上記所定車速設定手段116によって設定された所定値上昇したか否か或いは低下したか否かを判定する。たとえば、前記アクセル開度検出手段126によってアクセルオンになったと判定された時点の車速に対してたとえば図15(a)に示す変速前のギヤ段のギヤ比に応じて設定された現在の車速からの車速変化量上昇したか否かが判定されその判定結果を変速制御手段104へ出力する。また、たとえば上記所定車速設定手段116によって現在の車速に車速変化量を増減した値が所定車速として設定された場合には、車速判定手段122によって実際の車速が上記所定車速を越えたか否か或いは低下したか否かが判定される。たとえば、前記アクセル開度検出手段126によってアクセルオンになったと判定された時点の車速たとえば図14(a)に示すVaに対して少し高い車速たとえばVbに設定された所定車速を現在の車速が越えたか否かが判定される。
【0053】
上記所定時間判定手段124は、上記所定時間設定手段118によって設定された所定時間を経過したか否かを判定する。たとえば、前記アクセル開度検出手段126によってアクセルオンになったと判定された時点からたとえば図16(a)に示す変速前のギヤ段のギヤ比に応じて設定された所定時間(タイマ)を経過したか否かが判定されその判定結果を変速制御手段104へ出力する。
【0054】
図17は、前記電子制御装置90の制御作動の要部すなわち車両の減速走行時にフューエルカット作動中にアクセルオンとなったときの自動変速機16の変速制御作動を説明するフローチャートであり、また図18はその変速制御作動を説明するタイムチャートである。図17において、前記アクセル開度検出手段126に対応するステップ(以下、ステップを省略する)SA1において、前記燃料供給制御手段による減速走行中のフューエルカット作動中にアクセルオフからアクセルオンにされたか否かが判定される。このSA1の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが、肯定される場合は現ギヤ段判定手段106に対応するSA2において、燃料供給制御手段102によるフューエルカット作動が実行されるために変速制御手段104によって低速側ギヤ段が使用されているか否かが判定される。たとえば、図14(a)に示す変速線図においてアクセルオフで車速VがV1乃至V2である領域であるか否か、すなわちフューエルカット作動のための領域にあり変速制御手段104によってダウンシフトされて低速側ギヤ段が使用されているか否かが判定される。このSA2の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが、肯定される場合はアップシフト要否判定手段110に対応するSA3において、変速制御手段104によるアップシフトが必要であるか否かがたとえば図14の変速線図に基づいて判定される。図14(a)に示すようにたとえば車速がV1であればアクセルオンとされても低速側ギヤ段の領域であるのでアップシフトの必要がないのでSA3の判断は否定される。このようにSA3の判断が否定される場合は変速制御手段104に対応するSA7において、アップシフトが実行されないすなわち現ギヤ段が維持されて本ルーチンが終了させられる。また、図14(a)に示すようにたとえば車速がVaであればアクセルオンとされるすなわち点aから点a’とされると高速側ギヤ段の領域であるのでアップシフトの必要がありSA3が肯定される。
【0055】
上記SA3の判断が肯定される場合は前記所定車速設定手段116に対応するSA4において、変速制御手段104による変速の実行が遅延されるために、現在の車速たとえば前記アクセル開度検出手段126によってアクセルオンになったと判定された時点の車速に対して少し高い車速とされるためにたとえば変速制御が開始されるための所定車速が設定される。(図18のt1時点)。たとえば現在の車速が図14(a)に示すVaであれば所定車速をVaより少し高い車速Vbに設定する。この車速VbはVaに対してたとえば図15(a)に示す車速変化量を加算して設定される。つづく車速判定手段122に対応するSA5において、現在の車速が上記所定車速設定手段116によって設定された所定車速上昇したか否かが判定される。たとえば、図14(a)に示すように車速VがVaであるときに現在の車速が所定車速Vbに上昇したか否かすなわち点a’から点bとなったか否かが判定される。このSA5の判断が否定される場合は、変速制御手段104に対応するSA8において、アップシフトが実行されないすなわち現ギヤ段が維持されて本ルーチンが終了させられるが、肯定される場合は変速制御手段104に対応するSA6において、アップシフトが実行される(図18のt2時点)。これによってたとえば図14(a)に示すように車速VがVaであるときにアクセルオンとされてもすなわち点aから点a’とされても直ちにアップシフトが実行されず、車速VがVbを越えたときすなわち点bとなったときにアップシフトが実行される。この結果、上記点a’となってもアップシフトが実行されないすなわちアクセルオンと共に直ちにアップシフトが実行されなくて、車速Vが上昇した後にアップシフトが実行されるので違和感が発生することが抑制され、また上記点a’となって直ちにアクセルオフとされてもダウンシフトが実行されることがないのでビジーシフトが抑制されてドライバビリティーが向上する。
【0056】
つぎに、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の説明において前述の実施例と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0057】
前記図17のSA3の判断が肯定される場合に実行される所定車速設定手段116および車速判定手段122に対応するSA4およびSA5に替えて実行される他の実施例の要部を、図19を用いて説明する。前記SA3の判断が肯定される場合は前記所定時間設定手段118に対応するSA9において、変速制御手段104による変速の実行が遅延されるために、たとえば前記アクセル開度検出手段126によってアクセルオンになったと判定された時点からたとえば図16(a)に示す変速前のギヤ段のギヤ比に応じて変更されるように設定されている所定時間(タイマ)すなわち変速が開始されるまでの遅延時間が設定される(図18のt1時点)。つづく所定時間判定手段124に対応するSA10において、上記所定時間設定手段118によって設定された所定時間を経過したか否かが判定される。このSA10の判断が否定される場合は、変速制御手段104に対応するSA12において、アップシフトが実行されないすなわち現ギヤ段が維持されて本ルーチンが終了させられるが、肯定される場合は変速制御手段104に対応するSA11において、アップシフトが実行される(図18のt2時点)。これによってたとえば図14(a)に示すように車速VがVaであるときにアクセルオンとされてもすなわち点aから点a’とされてもアップシフトが実行されず、所定時間を経過したときたとえば所定時間が経過して車速Vが上昇して点bとなったときにアップシフトが実行される。この結果、上記点a’となってもアップシフトが実行されないすなわちアクセルオンと共にアップシフトが実行されなくて、車速Vが上昇した後にアップシフトが実行されるので違和感が発生することが抑制され、また上記点a’となってすぐにアクセルオフとされてもダウンシフトが実行される必要がないのでビジーシフトが抑制されてドライバビリティーが向上する。
【0058】
図20は、前記電子制御装置90の制御作動の要部すなわち車両の走行時にアクセルオフとなったときの自動変速機16の変速制御作動を説明するフローチャートであり、また図21はその変速制御作動を説明するタイムチャートである。図20において、前記アクセル開度検出手段126に対応するステップ(以下、ステップを省略する)SB1において、車両走行中にアクセルオンからアクセルオフにされたか否かが判定される。このSB1の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが、肯定される場合は前記燃料供給制御手段102に対応するSB2において、たとえば、エンジン10が暖気運転前であったり、エンジン10の排気ガス中の有害成分を低減するための触媒の劣化防止のためにフューエルカット作動が実行されない状態であるかを判断してフューエルカット作動が可能な状態であるか否かを判断する。このSB2の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが、肯定される場合は前記ダウンシフト要否判定手段112に対応するSB3において、燃料供給制御手段102によるフューエルカット作動のためにダウンシフトが必要であるか否かがたとえば図14の変速線図に基づいて判定される。図14(a)に示すようにたとえば車速がV1であればアクセルオフとされても元々低速側ギヤ段の領域であるのでダウンシフトの必要がないのでSB3の判断は否定される。このようにSB3の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられる。また、図14(b)に示すようにたとえば車速がVcであればアクセルオフとされるすなわち点c’から点cとされると高速側ギヤ段が使用されているのでダウンシフトの必要がありSB3が肯定される。
【0059】
上記SB3の判断が肯定される場合は前記所定車速設定手段116に対応するSB4において、変速制御手段104による変速の実行が遅延されるために、現在の車速たとえば前記アクセル開度検出手段126によってアクセルオフになったと判定された時点の車速に対して少し低い車速とされるためにたとえば変速制御が開始されるための所定値すなわち現在の車速からの車速変化量が設定される。(図21のt1時点)。たとえば現在の車速が図14(b)に示すVcであれば所定車速をVcより少し低い車速Vdに設定する。この車速VdはVcに対してたとえば図15(b)に示す車速変化量を減算して設定される。つづく車速判定手段122に対応するSB5において、現在の車速が上記所定車速設定手段116によって設定された所定車速低下したか否かが判定される。たとえば、図14(c)に示すように車速VがVcであるときに現在の車速が所定車速Vd低下したか否かすなわち点cから点dとなったか否かが判定される。このSB5の判断が否定される場合は、変速制御手段104に対応するSB8において、ダウンシフトが実行されないすなわち現ギヤ段が維持されて、つづく燃料供給制御手段102に対応するSB9においてフューエルカット作動が実行されないまま本ルーチンが終了させられるが、肯定される場合は変速制御手段104に対応するSB6において、ダウンシフトが実行される(図21のt2時点)。これによってエンジン回転速度NEは低速側ギヤ段のギヤ比に対応するように上昇させられる(図21のt3時点)。さらに、つづく燃料供給制御手段102に対応するSB7において、エンジン回転速度NEが上昇してフューエルカット開始回転速度NEK以上となりさらに低下を開始した時点よりフューエルカット作動が実行される(図21のt3時点)。このフューエルカット作動はエンジン回転速度NEがフューエルカット復帰回転速度NEF以下になるまで或いは、アクセルオンされるまで継続される(図21のt4時点)。これによってたとえば図14(b)に示すように車速VがVcであるときにアクセルオフとされてもすなわち点c’から点cとされてもダウンシフトが実行されず、車速VがVdより低下したときすなわち点dとなったときにダウンシフトが実行される。この結果、上記点cとなってもダウンシフトが実行されないすなわちアクセルオフと共にフューエルカット作動のためのダウンシフトが実行されなくて、車速Vが低下した後にダウンシフトが実行されるので違和感が発生することが抑制され、また上記点cとなってすぐにアクセルオンとされてもアップシフトが実行される必要がないのでビジーシフトが抑制されてドライバビリティーが向上する。
【0060】
前記図20のSB3の判断が肯定される場合に実行される所定車速設定手段116および車速判定手段122に対応するSB4およびSB5に替えて実行される他の実施例の要部を、図22を用いて説明する。前記SB3の判断が肯定される場合は前記所定時間設定手段118に対応するSB10において、変速制御手段104による変速の実行が遅延されるために、たとえば前記アクセル開度検出手段126によってアクセルオフになったと判定された時点からたとえば図16(b)に示す変速前のギヤ段のギヤ比に応じて変更されるように設定されている所定時間(タイマ)すなわち変速が開始されるまでの遅延時間が設定される(図21のt1時点)。つづく所定時間判定手段124に対応するSB11において、上記所定時間設定手段118によって設定された所定時間を経過したか否かが判定される。このSB11の判断が否定される場合は、変速制御手段104に対応するSB14において、ダウンシフトが実行されないすなわち現ギヤ段が維持されて、つづく燃料供給制御手段102に対応するSB15においてフューエルカット作動が実行されないまま本ルーチンが終了させられるが、肯定される場合は変速制御手段104に対応するSB12において、ダウンシフトが実行される(図21のt2時点)。これによってエンジン回転速度NEは低速側ギヤ段のギヤ比に対応するように上昇させられる(図21のt3時点)。さらに、つづく燃料供給制御手段102に対応するSB13において、エンジン回転速度NEが上昇してフューエルカット開始回転速度NEK以上となりさらに低下を開始した時点よりフューエルカット作動が実行される(図21のt3時点)。このフューエルカット作動はエンジン回転速度NEがフューエルカット復帰回転速度NEF以下になるまで或いは、アクセルオンされるまで継続される(図21のt4時点)。これによってたとえば図14(b)に示すように車速VがVcであるときにアクセルオフとされてもすなわち点c’から点cとされてもダウンシフトが実行されず、所定時間を経過したときたとえば所定時間が経過して車速VがVdより低下したときすなわち点dとなったときにダウンシフトが実行される。この結果、上記点cとなってもダウンシフトが実行されないすなわちアクセルオフと共にフューエルカット作動のためのダウンシフトが実行されなくて、車速Vが低下した後にダウンシフトが実行されるので違和感が発生することが抑制され、また上記点cとなってすぐにアクセルオンとされてもアップシフトが実行される必要がないのでビジーシフトが抑制されてドライバビリティーが向上する。
【0061】
上述のように、本実施例によれば、燃料供給制御手段102によってエンジン10への燃料供給量が抑制されているときにアクセル開度が増加されたことすなわちアクセルオンによる自動変速機16のアップシフトは、そのアクセル開度増加時から車速が所定値上昇した後に変速制御手段104(SA6)によって実行されるので、たとえエンジン10への燃料供給量が抑制されるために積極的に低速側ギヤ段への変速が実行された状態であってもアクセルオンと共に直ちに自動変速機16のアップシフトが実行されることが防止され、アクセルオン状態が継続される状況すなわち車速が上昇したときにアップシフトが実行される。この結果、たとえば燃費向上を目的として減速走行時にエンジン回転速度をフューエルカットが実行される領域に入れるために積極的にダウンシフトが実行された状態から、アクセルオンと共に直ちにアップシフトが実行されて違和感が発生することが好適に抑制されドライバビリティーが向上される。また、アクセルオンと共に直ちにアップシフトが実行されないので、アクセルオン後直ちにアクセル開度全閉状態すなわちアクセルオフとされてもダウンシフトが実行されることが防止されて、アクセルオン、オフに伴う変速が繰り返されることによるビジー感の発生が抑制されてドライバビリティーが向上される。
【0062】
また、本実施例によれば、燃料供給制御手段102によってエンジン10への燃料供給量が抑制されているときにアクセル開度が増加されたことすなわちアクセルオンによる自動変速機16のアップシフトは、そのアクセル開度増加時から所定時間経過後に変速制御手段104(SA11)によって実行されるので、たとえエンジン10への燃料供給量が抑制されるために積極的に低速側ギヤ段への変速が実行された状態であってもアクセルオンと共に直ちに自動変速機16のアップシフトが実行されることが防止され、アクセルオン状態が継続される状況すなわちアクセルオンとなってから所定時間経過して車速が上昇したときにアップシフトが実行される。この結果、たとえば燃費向上を目的として減速走行時にエンジン回転速度をフューエルカットが実行される領域に入れるために積極的にダウンシフトが実行された状態から、アクセルオンと共に直ちにアップシフトが実行されて違和感が発生することが好適に抑制されドライバビリティーが向上される。また、アクセルオンと共に直ちにアップシフトが実行されないので、アクセルオン後直ちにアクセル開度全閉状態すなわちアクセルオフとされてもダウンシフトが実行されることが防止されて、アクセルオン、オフに伴う変速が繰り返されることによるビジー感の発生が抑制されてドライバビリティーが向上される。
【0063】
また、本実施例によれば、アクセル開度全閉状態すなわちアクセルオフにされたことによる自動変速機16のダウンシフトは、変速制御手段104(SB6)によってそのアクセルオフ時から車速が所定値低下したときに実行されるので、アクセルオフと共に直ちにエンジン10への燃料供給量が抑制されるために自動変速機16のダウンシフトが実行されることが防止され、アクセルオフ状態が継続される状況すなわち車速が低下したときにダウンシフトが実行される。この結果、たとえば加速中からアクセルオフした場合、アクセルオフと共に燃費向上を目的としてエンジン回転速度NEをフューエルカットが実行される領域に入れるために直ちにダウンシフトが実行されエンジン回転速度NEが上昇されて違和感が発生することが抑制されドライバビリティーが好適に向上される。また、アクセルオフと共に直ちにダウンシフトが実行されないので、アクセルオフ後直ちにアクセル開度が増加されたことすなわちアクセルオンとされてもアップシフトが実行されることが防止されて、アクセルオン、オフに伴う変速が繰り返されることによるビジー感の発生が抑制されてドライバビリティーが向上される。
【0064】
また、本実施例によれば、アクセル開度全閉状態すなわちアクセルオフにされたことによる自動変速機16のダウンシフトは、変速制御手段104(SB12)によってそのアクセルオフ時から所定時間経過後に実行されるので、アクセルオフと共に直ちにエンジン10への燃料供給量が抑制されるために自動変速機16のダウンシフトが実行されることが防止され、アクセルオフ状態が継続される状況すなわちアクセルオフとなってから所定時間経過して車速が低下したときにダウンシフトが実行される。この結果、たとえば加速中からアクセルオフした場合、アクセルオフと共に燃費向上を目的としてエンジン回転速度NEをフューエルカットが実行される領域に入れるために直ちにダウンシフトが実行されエンジン回転速度NEが上昇されて違和感が発生することが抑制されドライバビリティーが好適に向上される。また、アクセルオフと共に直ちにダウンシフトが実行されないので、アクセルオフ後直ちにアクセル開度が増加されたことすなわちアクセルオンとされてもアップシフトが実行されることが防止されて、アクセルオン、オフに伴う変速が繰り返されることによるビジー感の発生が抑制されてドライバビリティーが向上される。
【0065】
また、本実施例によれば、燃料供給制御手段102によってエンジン10への燃料供給量が抑制されているときに、アップシフト要否判定手段110(SA3)によってアクセル開度が増加されたことすなわちアクセルオンによる自動変速機16のアップシフトが必要であると判定されたときに、所定車速設定手段116(SA4)によって現在の車速に基づいて所定車速が設定されて、車速判定手段122(SA5)によって現在の車速が前記所定車速上昇したと判定されたときに、変速制御手段104(SA6)によって自動変速機16のアップシフトが実行されるので、アクセルオンに伴う自動変速機16のアップシフトが好適に実行される。
【0066】
また、本実施例によれば、前記所定車速設定手段116(SA4)によってたとえばギヤ比に基づいて現在の車速からの車速変化量が所定車速として設定されるので、車両状態を反映した所定車速によってアクセルオンに伴う自動変速機16のアップシフトが好適に実行される。
【0067】
また、本実施例によれば、前記アップシフト要否判定手段110(SA3)によってアクセルオンに伴って、アップシフト線よりも高車速側領域内すなわち高速側ギヤ段の領域内でアップシフトが必要となるか否かが判定されるので、その領域内でフューエルカット作動のためにダウンシフトされた状態から僅かなアクセル開度の増加による自動変速機16のアップシフトが必要となるか否かが好適に判定される。
【0068】
また、本実施例によれば、燃料供給制御手段102によってエンジン10への燃料供給量が抑制されているときに、アップシフト要否判定手段110(SA3)によってアクセル開度が増加されたことすなわちアクセルオンによる自動変速機16のアップシフトが必要であると判定されたときに、所定時間設定手段118(SA9)によって所定時間が設定されて、所定時間判定手段124(SA10)によって前記所定時間を越えたと判定されたときに、変速制御手段104(SA11)によって前記自動変速機のアップシフトが実行されるので、アクセルオンに伴う自動変速機16のアップシフトが好適に実行される。
【0069】
また、本実施例によれば、前記所定時間設定手段118(SA9)によってたとえばギヤ比に基づいて所定時間が設定されるので、車両状態を反映した所定時間によってアクセルオンに伴う自動変速機16のアップシフトが好適に実行される。
【0070】
また、本実施例によれば、前記アップシフト要否判定手段110(SA3)によってアクセルオンに伴って、アップシフト線よりも高車速側領域内すなわち高速側ギヤ段の領域内でアップシフトが必要となるか否かが判定されるので、その領域内でフューエルカット作動のためにダウンシフトされた状態から僅かなアクセル開度の増加による自動変速機16のアップシフトが必要となるか否かが好適に判定される。
【0071】
また、本実施例によれば、アクセル開度全閉状態すなわちアクセルオフにされたときに、燃料供給制御手段102(SB7)によってエンジン10への燃料供給量が抑制されるためにダウンシフト要否判定手段112(SB3)によって自動変速機16のダウンシフトが必要であると判定されると、所定車速設定手段116(SB4)によって現在の車速に基づいて所定車速が設定されて、車速判定手段122(SB5)によって現在の車速が前記所定車速低下したと判定されたときに、変速制御手段104(SB6)によって自動変速機16のダウンシフトが実行されるので、アクセルオフに伴う自動変速機16のダウンシフトが好適に実行される。
【0072】
また、本実施例によれば、前記所定車速設定手段116(SB4)によってたとえばギヤ比に基づいて現在の車速からの車速変化量が所定車速として設定されるので、車両状態を反映した所定車速によってアクセルオフに伴う自動変速機16のダウンシフトが好適に実行される。
【0073】
また、本実施例によれば、前記ダウンシフト要否判定手段112(SB3)によってアップシフト線よりも高車速側領域内すなわち高速側ギヤ段の領域内でダウンシフトが必要となるか否かが判定されるので、たとえアップシフト線よりも高車速側領域内すなわち高速側ギヤ段の領域内であってもフューエルカット作動のためにアクセルオフに伴う自動変速機16のダウンシフトが必要となるか否かが好適に判定される。
【0074】
また、本実施例によれば、アクセル開度全閉状態すなわちアクセルオフにされたときに、燃料供給制御手段102(SB13)によってエンジン10への燃料供給量が抑制されるためにダウンシフト要否判定手段112(SB3)によって自動変速機16のダウンシフトが必要であると判定されると、所定時間設定手段118(SB10)によって所定時間が設定されて、所定時間判定手段124(SB11)によって前記所定時間を越えたと判定されたときに、変速制御手段104(SB12)によって自動変速機16のダウンシフトが実行されるので、アクセルオフに伴う自動変速機16のダウンシフトが好適に実行される。
【0075】
また、本実施例によれば、前記所定時間設定手段118(SB10)によってたとえばギヤ比に基づいて所定時間が設定されるので、車両状態を反映した所定時間によってアクセルオフに伴う自動変速機16のダウンシフトが好適に実行される。
【0076】
また、本実施例によれば、前記ダウンシフト要否判定手段112(SB3)によってアップシフト線よりも高車速側領域内すなわち高速側ギヤ段の領域内でダウンシフトが必要となるか否かが判定されるので、たとえアップシフト線よりも高車速側領域内すなわち高速側ギヤ段の領域内であってもフューエルカット作動のためにアクセルオフに伴う自動変速機16のダウンシフトが必要となるか否かが好適に判定される。
【0077】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0078】
たとえば、前述の実施例において、燃料供給制御手段102による所定回転速度領域でのエンジン10への燃料供給量の抑制のための燃料供給制御作動の例として、所定回転速度領域が所定の開始回転速度と復帰回転速度とで設定されておりエンジン回転速度が所定の開始回転速度以上のときにエンジン10への燃料供給を停止するフューエルカット作動が開始され、エンジン回転速度が復帰回転速度より低下するとフューエルカット作動が中止されてエンジン10への燃料供給が再開される燃料供給制御作動を示したが、その他の例としてたとえばディーゼルエンジンに好適に用いられている、エンジン回転速度が所定の復帰回転速度(燃料再開のための回転速度)より低下するとフューエルカット作動が中止されてエンジン10への燃料供給が再開され、その後エンジン回転速度の減少に従ってその燃料供給量が漸増されることで、最終的に所定の回転速度より低下した時点でアイドル回転速度制御が実行されて目標回転速度が維持されるための燃料供給量となる燃料供給制御作動であってもよい。また、エンジン10への燃料供給を完全に停止するフューエルカット作動に替えて、燃料供給量を通常より低減する燃料供給制御作動であってもよい。
【0079】
また、前述の実施例において、所定車速設定手段116による所定車速の設定例として図15に示した変速前のギヤ段のギヤ比に応じて変更される以外に車両や走行状態等の種々の状態に応じて変更されるようにしてもよい。たとえば、現在の車速が高い場合はアクセルオン、オフの頻度が少なく早く変速が実行されてもよいので、車速の変化量が小さくなるような傾向に変更されるように設定されたり、またアクセル開度の変化速度が早いほど早い加減速が要求されているのでアクセルが戻される可能性が低いので早く変速が実行されてもよいので、車速の変化量が小さくなるような傾向に変更されるように設定されてもよい。
【0080】
また、前述の実施例において、所定時間設定手段118による所定時間の設定例として図16に示した変速前のギヤ段のギヤ比に応じて変更される以外に車両や走行状態等の種々の状態に応じて変更されるようにしてもよい。たとえば、現在の車速が高い場合はアクセルオン、オフの頻度が少なく早く変速が実行されてもよいので、所定時間が短くなるような傾向に変更されるように設定されたり、またアクセル開度の変化速度が早いほど早い加減速が要求されているのでアクセルが戻される可能性が低いので早く変速が実行されてもよいので、所定時間が短くなるような傾向に変更されるように設定されてもよい。
【0081】
また、前述の実施例の図17或いは図19のフローチャートにおいて、明らかに加速が予想できるとき或いは確定できるとき、たとえばアクセル開度検出手段126によってアクセル開度が大きいたとえばアクセル開度の変化量が大きいと判断されたときには、SA4乃至SA5のステップ或いはSA9乃至SA10のステップが実行されずにSA6或いはSA11において直ちにアップシフトが実行されるようにしてもよい。
【0082】
また、前述の実施例の図20或いは図22のフローチャートにおいて、明らかに減速が予想できるとき或いは確定できるとき、たとえば図示しない車両センサによって前車両との車間距離が所定値以下と判断されたり、路面状況が低μ路で加速に適さないと判断されたときには、SB4乃至SB5のステップ或いはSB10乃至SB11のステップが実行されずにSB6或いはSB12において直ちにダウンシフトが実行されるようにしてもよい。
【0083】
また、前述の実施例において、流体伝動装置としてロックアップクラッチ26が備えられているトルクコンバータ14が用いられていたが、トルク増幅作用のないフルードカップリングが用いられてもよい。
【0084】
また、前述の実施例のエンジン10は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関が用いられ、少なくともエンジンを走行用駆動力源として備えておればよく、エンジン10に連結される回転機すなわちモータジェネレータMG1およびMG2或いは前記エンジン10の吸気配管50および排気管52に設けられている排気タービン式過給機54が備えられてない車両などにも適用され得る。また、上記回転機は、エンジン10に直結される以外にベルト等を介してエンジン10に間接的に連結されてもよい。
【0085】
また、前述の実施例のエンジン10は、可変動弁機構78を備えており、電磁駆動弁すなわち開閉制御弁としての吸気弁74および排気弁75が電磁アクチュエータ76および77によって開閉駆動されていたが、吸気弁74および排気弁75が電気的アクチュエータである電動モータによって開閉駆動されるモータ駆動式開閉弁やクランク軸の回転に同期して、吸気弁および排気弁を開閉駆動させるよく知られた動弁機構に可変機構が備え付けられたものであってもよい。また、上記可変機構が備え付けられてないものであってもよい。
【0086】
また、前述の実施例では、図14において2→3アップシフトおよび3→2ダウンシフトを示すものとして説明したが、たとえば3→4アップシフトおよび4→3ダウンシフト、4→5アップシフトおよび5→4ダウンシフトであってもよい。
【0087】
また、前述の実施例では、自動変速機16は3組の遊星歯車装置40、42、44の組み合わせから成る前進5速の変速機であったが、クラッチC或いはブレーキBの油圧式摩擦係合装置の解放および係合の少なくとも一方によって変速が実行される型式の変速機であればよく、自動変速機16を構成する遊星歯車装置の組数は3組とは異なる数であってもよいし、また前進6速の変速機、前進4速の変速機等であっても差し支えない。また、手動変速機としてよく知られた常時噛合式平行2軸型ではあるが、セレクトシリンダおよびシフトシリンダによりギヤ段が自動的に切換られることが可能な自動変速機であってもよい。
【0088】
また、前述の実施例では、自動変速機16の係合要素であるクラッチC或いはブレーキBは、油圧式摩擦係合装置であったが、電磁式係合装置たとえば電磁クラッチや磁粉式クラッチ等であってもよい。
【0089】
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されたハイブリッド車両の動力伝達装置を説明する骨子図である。
【図2】図1の自動変速機における、複数の油圧式摩擦係合装置の作動の組合わせとそれにより成立する変速段との関係を示す図である。
【図3】図1のハイブリッド車両の動力伝達装置の概略構成図である。
【図4】図1のエンジンの各気筒に設けられた可変動弁機構を説明する図である。
【図5】図4の可変動弁機構に設けられて吸気弁或いは排気弁を所望のタイミングで開閉作動させる電磁アクチュエータの構成を説明する図である。
【図6】図1の動力伝達装置が備えている電子制御装置の入出力系統の要部を説明するブロック線図である。
【図7】図1の動力伝達装置におけるエンジンのスロットル弁開度とアクセル開度との関係を示す図である。
【図8】図1の動力伝達装置における自動変速機の変速制御に用いられる変速線図を説明する図である。
【図9】図1の動力伝達装置におけるロックアップクラッチの制御に用いられるロックアップクラッチ線図を説明する図である。
【図10】図1の車両に設けられたシフト操作装置を示す図である。
【図11】図6の電子制御装置が備えている制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
【図12】図6の電子制御装置によるフューエルカット作動を説明するタイムチャートである。
【図13】図6の電子制御装置のフューエルカット作動で用いられるエンジン水温に基づいて予め設定されているフューエルカット開始回転速度とフューエルカット復帰回転速度とを示した設定例である。
【図14】図8の変速線図のアクセルオフとなる付近の一部分を抜き出したものであり、たとえば2→3アップシフトおよび3→2ダウンシフトを示すものである。
【図15】変速が開始されるための所定車速の設定例を変速前のギヤ段のギヤ比に応じた現在の車速からの車速変化量で示している図である。
【図16】変速が開始されるためのギヤ段のギヤ比に応じた所定時間の設定例を示している図である。
【図17】図6の電子制御装置の制御作動の要部すなわち車両の減速走行時にフューエルカット作動中にアクセルオンとなったときの自動変速機の変速制御作動を説明するフローチャートである。
【図18】図17の変速制御作動を説明するタイムチャートである。
【図19】図6の電子制御装置の制御作動の要部すなわち車両の減速走行時にフューエルカット作動中にアクセルオンとなったときの自動変速機の変速制御作動の他の実施例の要部を説明するフローチャートである。
【図20】図6の電子制御装置の制御作動の要部すなわち車両の走行時にアクセルオフとなったときの自動変速機の変速制御作動を説明するフローチャートである。
【図21】図20の変速制御作動を説明するタイムチャートである。
【図22】図6の電子制御装置の制御作動の要部すなわち車両の走行時にアクセルオフとなったときの自動変速機の変速制御作動の他の実施例の要部を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
10:エンジン
16:自動変速機
102:燃料供給制御手段
104:変速制御手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の減速走行中にエンジン回転速度が予め設定された所定回転速度の範囲にある時にそのエンジンへの燃料供給量を抑制する燃料供給制御手段を備えた車両の制御装置に関し、特に、その燃料供給制御手段による燃料供給制御範囲を拡大するために積極的にダウンシフトが実行されるようにした車両の場合に、アクセルオンからアクセルオフ或いはアクセルオフからアクセルオンへの操作に伴う変速が実行される時の違和感を防止する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両の減速走行中に燃費を向上させる目的でエンジンへの燃料供給量を抑制するたとえばフューエルカットを行う燃料供給制御装置が備えられた車両が知られている。たとえば、特許文献1に示すように減速走行中にエンジンへのフューエルカットを行う領域が所定のエンジン回転速度たとえばフューエルカット開始回転速度とフューエルカット復帰回転速度(フューエルカット停止のための燃料供給復帰判定回転速度)で設定されており、アクセルオンからアクセルオフとなったときにエンジン回転速度がそのフューエルカット開始回転速度以下である場合には、燃費向上のためにエンジンへのフューエルカットが実行される領域すなわちエンジン回転速度がフューエルカット開始回転速度以上へ上昇されるように積極的にダウンシフトが実行されるようにした技術が提案されている。
【0003】
【特許文献1】
特許第3201153号公報
【特許文献2】
特開2001−99307号公報
【特許文献3】
特開2000−318484号公報
【特許文献4】
特開平9−79371号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、燃費向上を目的として減速走行時には積極的に低速側ギヤ段へ変速が実行されるようにしている場合、たとえば車速とアクセル開度によって設定された変速線図中のダウンシフト線がアクセル開度零付近が本来の位置よりも所定値高速側に設定されている場合には、フューエルカット走行中に僅かにアクセル開度が増加されたときにそのアクセルオンと共にアップシフトが直ちに判断されてそれが実行されなければならず、違和感が発生してドライバビリティーが悪化する可能性があった。また、たとえば加速中からアクセル開度全閉状態とされた場合、直ちにフューエルカット領域に入ると共にそのアクセルオフと共にダウンシフトが実行されてエンジン回転速度が上昇されるので同様に違和感が発生する可能性があり、さらにそのダウンシフト後に僅かにアクセルがオンされるとアクセルオンと共にアップシフトが実行されてビジー感が発生する、すなわちアクセルのオン、オフに伴う変速が短時間に繰り返し行われることによる違和感が発生する可能性があり、ドライバビリティーが悪化する可能性があった。
【0005】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、燃料の燃焼により作動するエンジンと、自動変速機と、車両の減速走行中にエンジン回転速度が予め設定された所定回転速度領域にある時にそのエンジンへの燃料供給量を抑制する燃料供給制御手段とを備えた車両の制御装置において、特に、燃費向上を目的として減速走行中に従来よりも高車速側でダウンシフトが実行させるようにした場合に、アクセルのオン或いはオフに伴う変速による違和感の発生を抑制して、ドライバビリティーが向上される車両の変速制御装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための第1の手段】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、(a) 燃料の燃焼により作動するエンジンと、自動変速機とを備えた車両の変速制御装置であって、(b) 車両の減速走行中にアクセル開度全閉状態にあり且つエンジン回転速度が予め設定された所定回転速度領域にあるときに、前記エンジンへの燃料供給量を抑制する燃料供給制御手段と、(c) その燃料供給制御手段によって前記エンジンへの燃料供給量が抑制されているときにアクセル開度が増加されたことによる前記自動変速機のアップシフトは、そのアクセル開度増加時から車速が所定値上昇した後に実行する変速制御手段とを、含むことにある。
【0007】
【第1発明の効果】
このようにすれば、燃料供給制御手段によってエンジンへの燃料供給量が抑制されているときにアクセル開度が増加されたことすなわちアクセルオンによる前記自動変速機のアップシフトは、そのアクセル開度増加時から車速が所定値上昇した後に変速制御手段によって実行されるので、たとえエンジンへの燃料供給量が抑制されるために積極的に低速側ギヤ段への変速が実行された状態であってもアクセルオンと共に直ちに自動変速機のアップシフトが実行されることが防止され、アクセルオン状態が継続される状況すなわち車速が上昇したときにアップシフトが実行される。この結果、たとえば燃費向上を目的として減速走行時にエンジン回転速度をフューエルカットが実行される領域に入れるために積極的にダウンシフトが実行された状態から、アクセルオンと共に直ちにアップシフトが実行されて違和感が発生することが好適に抑制されドライバビリティーが向上される。また、アクセルオンと共に直ちにアップシフトが実行されないので、アクセルオン後直ちにアクセル開度全閉状態すなわちアクセルオフとされてもダウンシフトが実行されることが防止されて、アクセルオン、オフに伴う変速が繰り返されることによるビジー感の発生が抑制されてドライバビリティーが向上される。
【0008】
【課題を解決するための第2の手段】
また、前記目的を達成するための本発明の要旨とするところは、(a) 燃料の燃焼により作動するエンジンと、自動変速機とを備えた車両の変速制御装置であって、(b) 車両の減速走行中にアクセル開度全閉状態にあり且つエンジン回転速度が予め設定された所定回転速度領域にあるときに、前記エンジンへの燃料供給量を抑制する燃料供給制御手段と、(c) その燃料供給制御手段によって前記エンジンへの燃料供給量が抑制されているときにアクセル開度が増加されたことによる前記自動変速機のアップシフトは、そのアクセル開度増加時から所定時間経過後に実行する変速制御手段とを、含むことにある。
【0009】
【第2発明の効果】
このようにすれば、燃料供給制御手段によってエンジンへの燃料供給量が抑制されているときにアクセル開度が増加されたことすなわちアクセルオンによる前記自動変速機のアップシフトは、そのアクセル開度増加時から所定時間経過後に変速制御手段によって実行されるので、たとえエンジンへの燃料供給量が抑制されるために積極的に低速側ギヤ段への変速が実行された状態であってもアクセルオンと共に直ちに自動変速機のアップシフトが実行されることが防止され、アクセルオン状態が継続される状況すなわちアクセルオンとなってから所定時間経過して車速が上昇したときにアップシフトが実行される。この結果、たとえば燃費向上を目的として減速走行時にエンジン回転速度をフューエルカットが実行される領域に入れるために積極的にダウンシフトが実行された状態から、アクセルオンと共に直ちにアップシフトが実行されて違和感が発生することが好適に抑制されドライバビリティーが向上される。また、アクセルオンと共に直ちにアップシフトが実行されないので、アクセルオン後直ちにアクセル開度全閉状態すなわちアクセルオフとされてもダウンシフトが実行されることが防止されて、アクセルオン、オフに伴う変速が繰り返されることによるビジー感の発生が抑制されてドライバビリティーが向上される。
【0010】
【課題を解決するための第3の手段】
また、前記目的を達成するための本発明の要旨とするところは、(a) 燃料の燃焼により作動するエンジンと、自動変速機とを備えた車両の変速制御装置であって、(b) 車両の減速走行中にアクセル開度全閉状態にあり且つエンジン回転速度が予め設定された所定回転速度領域にあるときに、前記エンジンへの燃料供給量を抑制する燃料供給制御手段と、(c) 前記アクセル開度全閉状態にされたことによる前記自動変速機のダウンシフトは、そのアクセル開度全閉時から車速が所定値低下したときに実行する変速制御手段とを、含むことにある。
【0011】
【第3発明の効果】
このようにすれば、アクセル開度全閉状態すなわちアクセルオフにされたことによる前記自動変速機のダウンシフトは、変速制御手段によってそのアクセルオフ時から車速が所定値低下したときに実行されるので、アクセルオフと共に直ちにエンジンへの燃料供給量が抑制されるために自動変速機のダウンシフトが実行されることが防止され、アクセルオフ状態が継続される状況すなわち車速が低下したときにダウンシフトが実行される。この結果、たとえば加速中からアクセルオフした場合、アクセルオフと共に燃費向上を目的としてエンジン回転速度をフューエルカットが実行される領域に入れるために直ちにダウンシフトが実行されエンジン回転速度が上昇されて違和感が発生することが抑制されドライバビリティーが好適に向上される。また、アクセルオフと共に直ちにダウンシフトが実行されないので、アクセルオフ後直ちにアクセル開度が増加されたことすなわちアクセルオンとされてもアップシフトが実行されることが防止されて、アクセルオン、オフに伴う変速が繰り返されることによるビジー感の発生が抑制されてドライバビリティーが向上される。
【0012】
【課題を解決するための第4の手段】
また、前記目的を達成するための本発明の要旨とするところは、(a) 燃料の燃焼により作動するエンジンと、自動変速機とを備えた車両の変速制御装置であって、(b) 車両の減速走行中にアクセル開度全閉状態にあり且つエンジン回転速度が予め設定された所定回転速度領域にあるときに、前記エンジンへの燃料供給量を抑制する燃料供給制御手段と、(c) 前記アクセル開度全閉状態にされたことによる前記自動変速機のダウンシフトは、そのアクセル開度全閉時から所定時間経過後に実行する変速制御手段とを、含むことにある。
【0013】
【第4発明の効果】
このようにすれば、アクセル開度全閉状態すなわちアクセルオフにされたことによる前記自動変速機のダウンシフトは、変速制御手段によってそのアクセルオフ時から所定時間経過後に実行されるので、アクセルオフと共に直ちにエンジンへの燃料供給量が抑制されるために自動変速機のダウンシフトが実行されることが防止され、アクセルオフ状態が継続される状況すなわちアクセルオフとなってから所定時間経過して車速が低下したときにダウンシフトが実行される。この結果、たとえば加速中からアクセルオフした場合、アクセルオフと共に燃費向上を目的としてエンジン回転速度をフューエルカットが実行される領域に入れるために直ちにダウンシフトが実行されエンジン回転速度が上昇されて違和感が発生することが抑制されドライバビリティーが好適に向上される。また、アクセルオフと共に直ちにダウンシフトが実行されないので、アクセルオフ後直ちにアクセル開度が増加されたことすなわちアクセルオンとされてもアップシフトが実行されることが防止されて、アクセルオン、オフに伴う変速が繰り返されることによるビジー感の発生が抑制されてドライバビリティーが向上される。
【0014】
【第1発明、第2発明、第3発明、第4発明の他の態様】
ここで、好適には、第1発明において、(a) 前記燃料供給制御手段によって前記エンジンへの燃料供給量が抑制されているときにアクセル開度が増加されたことによる前記自動変速機のアップシフトが必要であるか否かを判定するアップシフト要否判定手段と、(b) そのアップシフト要否判定手段によってアップシフトが必要であると判定されると現在の車速に基づいて所定車速を設定する所定車速設定手段と、(c) 現在の車速がその所定車速上昇したか否かを判定する車速判定手段とを備え、(d) 前記変速制御手段は、その車速判定手段によって現在の車速がその所定車速上昇したと判定されると、前記自動変速機のアップシフトを実行するものである。このようにすれば、燃料供給制御手段によってエンジンへの燃料供給量が抑制されているときに、アップシフト要否判定手段によってアクセル開度が増加されたことすなわちアクセルオンによる前記自動変速機のアップシフトが必要であると判定されたときに、所定車速設定手段によって現在の車速に基づいて所定車速が設定されて、車速判定手段によって現在の車速が前記所定車速上昇したと判定されたときに、変速制御手段によって前記自動変速機のアップシフトが実行されるので、アクセルオンに伴う自動変速機のアップシフトが好適に実行される。
【0015】
また、好適には、上記所定車速設定手段は、予め記憶された関係から実際のギヤ比または車速またはアクセル開度変化速度の少なくとも1つに基づいて前記所定車速を設定する。このようにすれば、前記所定車速設定手段によってたとえばギヤ比に基づいて現在の車速からの車速変化量が所定車速として設定されるので、車両状態を反映した所定車速によってアクセルオンに伴う自動変速機のアップシフトが好適に実行される。
【0016】
また、好適には、アクセル開度を示す軸と車速を示す軸との2次元座標において、高アクセル開度ほど高車速側となるアップシフト線と、同様に高アクセル開度ほど高車速側となるとともにそのアップシフト線よりは低車速側に位置するように配置され且つ低アクセル開度部分においてそのアップシフト線と交差してそれよりも高車速側となるように設定されたダウンシフト線とを含む変速線図を記憶する変速線図記憶手段を含み、前記アップシフト要否判定手段は、アクセル開度の増加に伴って、実際のアクセル開度および車速によって定められる車両走行状態を示す点が前記アップシフト線よりも高車速側領域内で前記ダウンシフト線を横切ったときにアップシフトが必要であると判定するものである。このようにすれば、前記アップシフト要否判定手段によってアクセルオンに伴って、アップシフト線よりも高車速側領域内すなわち高速側ギヤ段の領域内でアップシフトが必要となるか否かが判定されるので、その領域内でフューエルカット作動のためにダウンシフトされた状態から僅かなアクセル開度の増加による自動変速機のアップシフトが必要となるか否かが好適に判定される。
【0017】
また、好適には、第2発明において、(a) 前記燃料供給制御手段によって前記エンジンへの燃料供給量が抑制されているときにアクセル開度が増加されたことによる前記自動変速機のアップシフトが必要であるか否かを判定するアップシフト要否判定手段と、(b) そのアップシフト要否判定手段によってアップシフトが必要であると判定されると所定時間を設定する所定時間設定手段と、(c) その所定時間を越えたか否かを判定する所定時間判定手段とを備え、(d) 前記変速制御手段は、その所定時間判定手段によって前記所定時間を越えたと判定されると、前記自動変速機のアップシフトを実行するものである。このようにすれば、燃料供給制御手段によってエンジンへの燃料供給量が抑制されているときに、アップシフト要否判定手段によってアクセル開度が増加されたことすなわちアクセルオンによる前記自動変速機のアップシフトが必要であると判定されたときに、所定時間設定手段によって所定時間が設定されて、所定時間判定手段によって前記所定時間を越えたと判定されたときに、変速制御手段によって前記自動変速機のアップシフトが実行されるので、アクセルオンに伴う自動変速機のアップシフトが好適に実行される。
【0018】
また、好適には、上記所定時間設定手段は、予め記憶された関係から実際のギヤ比または車速またはアクセル開度変化速度の少なくとも1つに基づいて前記所定時間を設定する。このようにすれば、前記所定時間設定手段によってたとえばギヤ比に基づいて所定時間が設定されるので、車両状態を反映した所定時間によってアクセルオンに伴う自動変速機のアップシフトが好適に実行される。
【0019】
また、好適には、アクセル開度を示す軸と車速を示す軸との2次元座標において、高アクセル開度ほど高車速側となるアップシフト線と、同様に高アクセル開度ほど高車速側となるとともにそのアップシフト線よりは低車速側に位置するように配置され且つ低アクセル開度部分においてそのアップシフト線と交差してそれよりも高車速側となるように設定されたダウンシフト線とを含む変速線図を記憶する変速線図記憶手段を含み、前記アップシフト要否判定手段は、アクセル開度の増加に伴って、実際のアクセル開度および車速によって定められる車両走行状態を示す点が前記アップシフト線よりも高車速側領域内で前記ダウンシフト線を横切ったときにアップシフトが必要であると判定するものである。このようにすれば、前記アップシフト要否判定手段によってアクセルオンに伴って、アップシフト線よりも高車速側領域内すなわち高速側ギヤ段の領域内でアップシフトが必要となるか否かが判定されるので、その領域内でフューエルカット作動のためにダウンシフトされた状態から僅かなアクセル開度の増加による自動変速機のアップシフトが必要となるか否かが好適に判定される。
【0020】
また、好適には、第3発明において、(a) 前記アクセル開度全閉状態にされたときに、前記燃料供給制御手段によって前記エンジンへの燃料供給量が抑制されるために前記自動変速機のダウンシフトが必要であるか否かを判定するダウンシフト要否判定手段と、(b) そのダウンシフト要否判定手段によってダウンシフトが必要であると判定されると現在の車速に基づいて所定車速を設定する所定車速設定手段と、(c) 現在の車速がその所定車速低下したか否かを判定する車速判定手段とを備え、(d) 前記変速制御手段は、その車速判定手段によって現在の車速がその所定車速低下したと判定されると、前記自動変速機のダウンシフトを実行するものである。このようにすれば、アクセル開度全閉状態すなわちアクセルオフにされたときに、燃料供給制御手段によってエンジンへの燃料供給量が抑制されるためにダウンシフト要否判定手段によって前記自動変速機のダウンシフトが必要であると判定されると、所定車速設定手段によって現在の車速に基づいて所定車速が設定されて、車速判定手段によって現在の車速が前記所定車速低下したと判定されたときに、変速制御手段によって前記自動変速機のダウンシフトが実行されるので、アクセルオフに伴う自動変速機のダウンシフトが好適に実行される。
【0021】
また、好適には、上記所定車速設定手段は、予め記憶された関係から実際のギヤ比または車速またはアクセル開度変化速度の少なくとも1つに基づいて前記所定車速を設定する。このようにすれば、前記所定車速設定手段によってたとえばギヤ比に基づいて現在の車速からの車速変化量が所定車速として設定されるので、車両状態を反映した所定車速によってアクセルオフに伴う自動変速機のダウンシフトが好適に実行される。
【0022】
また、好適には、アクセル開度を示す軸と車速を示す軸との2次元座標において、高アクセル開度ほど高車速側となるアップシフト線と、同様に高アクセル開度ほど高車速側となるとともにそのアップシフト線よりは低車速側に位置するように配置され且つ低アクセル開度部分においてそのアップシフト線と交差してそれよりも高車速側となるように設定されたダウンシフト線とを含む変速線図を記憶する変速線図記憶手段を含み、前記ダウンシフト要否判定手段は、アクセル開度全閉状態にされたことに伴って、実際のアクセル開度および車速によって定められる車両走行状態を示す点が前記アップシフト線よりも高車速側領域内で前記ダウンシフト線を横切ったときにダウンシフトが必要であると判定するものである。このようにすれば、前記ダウンシフト要否判定手段によってアップシフト線よりも高車速側領域内すなわち高速側ギヤ段の領域内でダウンシフトが必要となるか否かが判定されるので、たとえアップシフト線よりも高車速側領域内すなわち高速側ギヤ段の領域内であってもフューエルカット作動のためにアクセルオフに伴う自動変速機のダウンシフトが必要となるか否かが好適に判定される。
【0023】
また、好適には、第4発明において、(a) 前記アクセル開度全閉状態にされたときに、前記燃料供給制御手段によって前記エンジンへの燃料供給量が抑制されるために前記自動変速機のダウンシフトが必要であるか否かを判定するダウンシフト要否判定手段と、(b) そのダウンシフト要否判定手段によってダウンシフトが必要であると判定されると所定時間を設定する所定時間設定手段と、(c) その所定時間を越えたか否かを判定する所定時間判定手段とを備え、(d) 前記変速制御手段は、その所定時間判定手段によって前記所定時間を越えたと判定されると、前記自動変速機のダウンシフトを実行するものである。このようにすれば、アクセル開度全閉状態すなわちアクセルオフにされたときに、燃料供給制御手段によってエンジンへの燃料供給量が抑制されるためにダウンシフト要否判定手段によって前記自動変速機のダウンシフトが必要であると判定されると、所定時間設定手段によって所定時間が設定されて、所定時間判定手段によって前記所定時間を越えたと判定されたときに、変速制御手段によって前記自動変速機のダウンシフトが実行されるので、アクセルオフに伴う自動変速機のダウンシフトが好適に実行される。
【0024】
また、好適には、上記所定時間設定手段は、予め記憶された関係から実際のギヤ比または車速またはアクセル開度変化速度の少なくとも1つに基づいて前記所定時間を設定する。このようにすれば、前記所定時間設定手段によってたとえばギヤ比に基づいて所定時間が設定されるので、車両状態を反映した所定時間によってアクセルオフに伴う自動変速機のダウンシフトが好適に実行される。
【0025】
また、好適には、アクセル開度を示す軸と車速を示す軸との2次元座標において、高アクセル開度ほど高車速側となるアップシフト線と、同様に高アクセル開度ほど高車速側となるとともにそのアップシフト線よりは低車速側に位置するように配置され且つ低アクセル開度部分においてそのアップシフト線と交差してそれよりも高車速側となるように設定されたダウンシフト線とを含む変速線図を記憶する変速線図記憶手段を含み、前記ダウンシフト要否判定手段は、アクセル開度全閉状態にされたことに伴って、実際のアクセル開度および車速によって定められる車両走行状態を示す点が前記アップシフト線よりも高車速側領域内で前記ダウンシフト線を横切ったときにダウンシフトが必要であると判定するものである。このようにすれば、前記ダウンシフト要否判定手段によってアップシフト線よりも高車速側領域内すなわち高速側ギヤ段の領域内でダウンシフトが必要となるか否かが判定されるので、たとえアップシフト線よりも高車速側領域内すなわち高速側ギヤ段の領域内であってもフューエルカット作動のためにアクセルオフに伴う自動変速機のダウンシフトが必要となるか否かが好適に判定される。
【0026】
【発明の好適な実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明が適用されたハイブリッド車両の動力伝達装置8の構成を説明する骨子図である。図1において、内燃機関にて構成されている走行用駆動力源としてのエンジン10の出力は、入力クラッチ12、流体伝動装置としてのトルクコンバータ14を経て自動変速機16に入力され、図示しない差動歯車装置および車軸を介して駆動輪へ伝達されるようになっている。上記入力クラッチ12とトルクコンバータ14との間には、回転機として電動モータおよび発電機として機能する第1モータジェネレータMG1が配設されている。上記トルクコンバータ14は、入力クラッチ12に連結されたポンプ翼車20と、自動変速機16の入力軸22に連結されたタービン翼車24と、それらポンプ翼車20およびタービン翼車24の間を直結するためのロックアップクラッチ26と、一方向クラッチ28によって一方向の回転が阻止されているステータ翼車30とを備えている。上記ロックアップクラッチ26は、係合側油室25内の油圧と解放側油室27内の油圧との差圧ΔPにより摩擦係合させられる油圧式摩擦クラッチで、完全係合させられることにより、ポンプ翼車20およびタービン翼車24は一体回転させられる。また、所定のスリップ状態で係合するように差圧ΔPすなわち係合トルクがフィードバック制御されることにより、車両の駆動(パワーオン)時には例えば50rpm程度の所定のスリップ量でタービン翼車24をポンプ翼車20に対して追従回転させる一方、車両の非駆動(パワーオフ)時には例えば−50rpm程度の所定のスリップ量でポンプ翼車20をタービン翼車24に対して追従回転させられる。
【0028】
上記自動変速機16は、ハイおよびローの2段の切り換えを行う第1変速部32と、後進変速段および前進4段の切り換えが可能な第2変速部34とを備えている。第1変速部32は、サンギヤS0、リングギヤR0、およびキャリアK0に回転可能に支持されてそれらサンギヤS0およびリングギヤR0に噛み合わされている遊星ギヤP0から成るHL遊星歯車装置36と、サンギヤS0とキャリアK0との間に設けられたクラッチC0および一方向クラッチF0と、サンギヤS0およびハウジング38間に設けられたブレーキB0とを備えている。
【0029】
第2変速部34は、サンギヤS1、リングギヤR1、およびキャリアK1に回転可能に支持されてそれらサンギヤS1およびリングギヤR1に噛み合わされている遊星ギヤP1から成る第1遊星歯車装置40と、サンギヤS2、リングギヤR2、およびキャリアK2に回転可能に支持されてそれらサンギヤS2およびリングギヤR2に噛み合わされている遊星ギヤP2から成る第2遊星歯車装置42と、サンギヤS3、リングギヤR3、およびキャリアK3に回転可能に支持されてそれらサンギヤS3およびリングギヤR3に噛み合わされている遊星ギヤP3から成る第3遊星歯車装置44とを備えている。
【0030】
上記サンギヤS1とサンギヤS2は互いに一体的に連結され、リングギヤR1とキャリアK2とキャリアK3とが一体的に連結され、そのキャリアK3は出力軸46に連結されている。また、リングギヤR2がサンギヤS3および中間軸48に一体的に連結されている。そして、リングギヤR0と中間軸48との間にクラッチC1が設けられ、サンギヤS1およびサンギヤS2とリングギヤR0との間にクラッチC2が設けられている。また、サンギヤS1およびサンギヤS2の回転を止めるためのバンド形式のブレーキB1がハウジング38に設けられている。また、サンギヤS1およびサンギヤS2とハウジング38との間には、一方向クラッチF1およびブレーキB2が直列に設けられている。この一方向クラッチF1は、サンギヤS1およびサンギヤS2が入力軸22と反対の方向へ逆回転しようとする際に係合させられるように構成されている。
【0031】
キャリアK1とハウジング38との間にはブレーキB3が設けられており、リングギヤR3とハウジング38との間には、ブレーキB4と一方向クラッチF2とが並列に設けられている。この一方向クラッチF2は、リングギヤR3が逆回転しようとする際に係合させられるように構成されている。
【0032】
以上のように構成された自動変速機16では、例えば図2に示す作動表に従って後進1段および変速比γ(入力軸22の回転速度NIN/出力軸46の回転速 度NOUT) が順次異なる前進5段(1st〜5th)の変速段のいずれかに切り換えられる。図2において「○」は係合で、空欄は解放を表し、「◎」はエンジンブレーキや第1モータジェネレータMG1の回生制動による駆動力源ブレーキ時の係合を表し、「△」は動力伝達に関与しない係合を表している。前記クラッチC0〜C2、およびブレーキB0〜B4は何れも油圧アクチュエータによって係合させられる油圧式の摩擦係合装置である。この図2から明らかなように、第2速ギヤ段と第3速ギヤ段との間は、ブレーキB2およびブレーキB3の一方が解放させられると同時に他方が係合させられることにより達成される所謂クラッチツウクラッチ変速である。
【0033】
図3は図1に示したハイブリッド車両の動力伝達装置の概略構成図である。図3に示すように、前記エンジン10の吸気配管50および排気管52には、排気タービン式過給機54が設けられており、排気管52には、ウェイストゲート弁56を有するバイパス通路58が並列に設けられて、そのバイパス通路58を流通する排気ガスの流量を制御することにより、タービン回転を変化させて吸気配管50内の過給圧を調節できるようになっている。吸気配管50には、スロットルアクチュエータ60によって開閉制御される電子スロットル弁62が設けられている。電子スロットル弁62は、基本的には図7に示すように運転者の出力要求量を表すアクセル開度ACCに対応する開度θTHとなるように制御される。
【0034】
また、エンジン10では、図4に示すような、各気筒にそれぞれ設けられている吸気弁74および排気弁75が、その開閉時期、開閉期間、リフト量などが後述の電子制御装置からの指令に従って電気的に制御される開閉制御弁すなわち電磁駆動弁から構成されている。エンジン10は、吸気弁74および排気弁75とそれ等を開閉駆動する電気的アクチュエータである電磁アクチュエータ76および77とを含む可変動弁機構78と、クランク軸79の回転角を検出するクランク軸回転角センサ80からの信号に従って上記吸気弁74および排気弁75の開閉タイミングやリフト量、作動角(開閉速度)を制御する弁駆動制御装置81とを備えている。この弁駆動制御装置81は、エンジン負荷に応じて開閉タイミングなどを最適時期に変更するだけでなく、運転サイクル切換え指令に従ってエンジン10を4サイクル運転させるための時期および2サイクル運転させるための時期となるように制御する。また、吸気弁74および排気弁75の作動タイミングを変更したり、作動気筒数を変更したりすることにより、エンジン自身でエンジン回転速度NEを制御することが可能であり、例えば吸気弁74を閉じたまま排気弁75を通常の制御に従って開閉することにより、ピストンの圧縮仕事で回転抵抗を発生させて回転エネルギーを消費させることによりエンジン回転速度NEを強制的に速やかに低下させることができるとともに、吸気弁74の開度を制御してエンジン回転速度NEの変化率を調整することができる。上記電磁アクチュエータ76および77は、たとえば図5に示すように、吸気弁74または排気弁75に連結されてその吸気弁74または排気弁75の軸心方向に移動可能に支持された磁性体製の円盤状の可動部材82と、その可動部材82を択一的に吸着するためにそれを挟む位置に設けられた一対の電磁石84、85と、可動部材82をその中立位置に向かって付勢する一対のスプリング86、87とを備えている。吸気弁74および排気弁75は、電気的に開閉制御可能な電動開閉弁に相当する。
【0035】
前記第1モータジェネレータMG1はエンジン10と自動変速機16との間に配置され、入力クラッチ12はエンジン10と第1モータジェネレータMG1との間に配置されている。上記自動変速機16の各油圧式摩擦係合装置およびロックアップクラッチ26は、電動油圧ポンプ64或いは駆動切換オイルポンプクラッチ69を介してエンジン10に機械的に連結されてそれにより直接回転駆動される機械式オイルポンプ68から発生する油圧を元圧とする油圧制御回路66により制御されるようになっている。上記元圧すなわちライン圧は、上記自動変速機16の各油圧式摩擦係合装置を係合するために用いられる最大係合圧となるものである。また、エンジン10には回転機として電動モータ或いは発電機として機能する第2モータジェネレータMG2が作動的に連結されている。そして、第1モータジェネレータMG1および第2モータジェネレータMG2の電源として機能する燃料電池70および二次電池71と、それ等から第1モータジェネレータMG1および第2モータジェネレータMG2へ供給される電流を制御したり或いは充電のために二次電池71へ供給される電流を制御するための電源切換スイッチ72および73とが設けられている。この電源切換スイッチ72および73は、スイッチ機能を有する装置を示すものであって、例えばインバータ機能などを有する半導体スイッチング素子などから構成され得るものである。
【0036】
図6は、本実施例の動力伝達装置8が備えている制御系統を説明するブロック線図である。図6において、電子制御装置90に入力される信号およびその電子制御装置90から出力される信号を例示したものである。たとえば、電子制御装置90には、アクセル開度センサにより検出されたアクセルペダルの操作量であるアクセル開度ACCを表すアクセル開度信号、スロットル弁開度センサにより検出されたスロットル弁62の開度θTHを表すスロットル開度信号、出力軸回転速度センサ47により検出された出力軸46の回転速度NOUTすなわち車速Vに対応する車速信号、タービン回転速度センサ91により検出されたタービン回転速度NT(=入力軸22の回転速度NIN)を表す信号、エンジン回転速度センサにより検出されたエンジン回転速度NEを表す信号、吸気配管50内の過給圧Paを表す信号、空燃比A/Fを表す信号、シフトレバー92の操作位置PSHを表す信号、変速機16の作動油温度すなわちAT油温TOILなどが図示しないセンサから供給されている。また、電子制御装置90からは、アクセル開度ACCに応じた大きさのスロットル開度θTHとするためのスロットルアクチュエータ60を駆動する信号、燃料噴射弁からエンジン10の気筒内へ噴射される燃料の量を制御するための噴射信号、自動変速機16のギヤ段を切り換えるために油圧制御回路66内のシフト弁を駆動するシフトソレノイドを制御する信号S1、S2、S3、ロックアップクラッチ26の係合、解放、スリップ量、ブレーキB3の直接制御、およびクラッチツウクラッチ変速を制御するリニヤソレノイド弁SLUを駆動するための指令信号DSLU、スロットル弁62の開度θTHに対応した大きさのスロットル圧PTHを発生させるリニヤソレノイド弁SLTを駆動するための指令信号DSLT、アキュム背圧を制御するためのリニヤソレノイド弁SLNを駆動する指令値信号DSLNをそれぞれ出力させる。
【0037】
上記電子制御装置90は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェースなどから成る所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、基本的にはたとえば図7に示す予め記憶された関係から実際のアクセル開度ACC(%)に基づいてスロットル開度θTH(%)を制御するスロットル開度制御、自動変速機16のギヤ段を自動的に切り換える変速制御、ロックアップクラッチ26の係合、解放、或いはスリップを実行するロックアップクラッチ制御、過給圧制御、空燃比制御、気筒選択切換制御、運転サイクル切換制御などを実行する。たとえば、上記変速制御では、たとえば図8に示す予め記憶された関係すなわち変速線図から実際のアクセル操作量に対応するアクセル開度ACC(%)またはスロットル開度θTH(%)と車速V(km/h)とに基づいて自動変速機16の変速段を決定し、この決定された変速段および係合状態が得られるように油圧制御回路66の電磁弁S1、S2、S3を駆動し、エンジンブレーキを発生させる際には電磁弁S4を駆動する。上記図8の変速線図における変速線は、実際のアクセル開度ACC(%)またはスロットル開度θTH(%)を示す横線上において実際の車速Vが線を横切ったか否かすなわち変速線上の変速を実行すべき値(変速点車速)VSを越えたか否かを判断するためのものであり、上記値VSすなわち変速点車速の連なりとして予め記憶されていることにもなる。この変速制御の過程では、自動変速機16の入力トルクTINを推定し、変速に関与する油圧式摩擦係合装置の係合圧またはその元圧であるライン圧をその入力トルクTINに応じた大きさに制御する。
【0038】
また、上記ロックアップクラッチ制御では、加速走行時のトルクコンバータ14などの回転損失を低減するために、たとえば図9に示す予め記憶されたロックアップ領域線図から実際の車両走行状態を表す車速V(出力側回転速度NOUTに対応)と運転者の要求出力量を表すアクセル開度ACCまたはスロットル開度θTH(%)とに基づいて、係合領域、解放領域、スリップ領域のいずれの領域に属するかを判定し、その判定された領域の作動となるように前記油圧制御回路66内のロックアップコントロールソレノイドを制御してロックアップクラッチ26を係合、解放、或いはスリップのいずれかの状態とする制御を実行する。そのスリップ領域では、運転性を損なうことなく燃費を可及的に良くすることを目的として前記エンジン10の回転変動を吸収しつつ前記トルクコンバータ14の動力伝達損失を可及的に抑制するために、ロックアップクラッチ26のスリップ制御を実行する。ロックアップクラッチ26のスリップ制御については、タービン回転速度NTとエンジン回転速度NEとの回転速度差(スリップ量)NSLP(=NE−NT)を目標回転速度差(目標スリップ量)NSLP *に制御するためにロックアップクラッチ26の前記差圧ΔPを制御するソレノイド弁SLU用の駆動信号SSLUを出力する。このスリップ制御のうちの減速走行時スリップ制御は、たとえば、スロットル弁開度θTHが略零で惰性走行(減速走行)する前進走行時において生じる駆動輪側からの逆入力をエンジン12側へ伝達する変速段、すなわちエンジンブレーキ作用が得られる変速段で行われ、タービン回転速度NTおよびエンジン回転速度NEは、ソレノイド弁SLU用の駆動信号SSLUを用いたフィードバック制御により回転速度差NSLPが目標回転速度差NSLP *たとえば−50乃至−100rpmとされた状態で車両の減速にしたがって緩やかに減少させられる。このようにロックアップクラッチ26がスリップ係合させられると、エンジン回転速度NEがタービン回転速度NT付近まで引き上げられるため、エンジン12に対する燃料供給量を抑制する制御状態がさらに長い期間維持されて燃費が向上する。
【0039】
図10において、前記シフトレバー92を備えたシフト操作装置94は例えば運転席の横に配設されており、そのシフトレバー92は、自動変速機16の出力軸46をロックするための駐車位置P、後進走行のための後進走行位置R、自動変速機16内の動力伝達経路が遮断された中立状態とする中立位置N、自動変速モードで第1速ギヤ段乃至第5速ギヤ段の範囲で自動変速される前進走行位置D(最高速レンジ位置)、第1速ギヤ段乃至第4速ギヤ段の範囲で自動変速され且つ各ギヤ段でエンジンブレーキが作用させられる第4エンジンブレーキ走行位置4、第1速ギヤ段乃至第3速ギヤ段の範囲で自動変速され且つ各ギヤ段でエンジンブレーキが作用させられる第3エンジンブレーキ走行位置3、第1速ギヤ段乃至第2速ギヤ段の範囲で自動変速され且つ各ギヤ段においてエンジンブレーキが作用させられる第2エンジンブレーキ走行位置2、第1速ギヤ段で走行させられ且つエンジンブレーキが作用させられる第1エンジンブレーキ走行位置Lへそれぞれ操作可能に設けられている。上記シフト操作装置94には、シフトレバー92の各操作位置を検出するための図示しないスイッチが備えられており、そのシフトレバー92の操作位置PSHを表す信号を電子制御装置90へ出力する。上記シフト操作装置94には、スポーツ走行などのためのマニアル変速モードへ切り換えるためのモード切換スイッチ96が設けられている。このモード切換スイッチ96によってマニアル変速モードが選択されると、図示しないステアリングホイールに設けられた手動変速操作釦が有効化される。
【0040】
図11は、前記電子制御装置90が備えている制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図においてアクセル開度検出手段126は、アクセル開度センサによりアクセル開度ACCを表すアクセル開度信号を検出する。たとえば、アクセル開度ACCが零である全閉すなわちアクセルオフは、アクセル開度ACCが全閉と判定される値となったときであり、たとえば全閉スイッチがオンとなったときに判定される。また、アクセルが操作される状態すなわちアクセルオンは、たとえば上記全閉スイッチがオフとなったときに判定される。さらに上記アクセル開度検出手段126は、アクセル操作の速度をたとえばアクセル開度ACCの変化速度によって算出する。
【0041】
燃料供給制御手段102は、エンジン回転速度NEやアクセル開度Accなどに基づいて燃料供給量の抑制の必要がないか否かを判断して燃費を向上させるために、所定回転速度領域において燃料供給量の抑制のための燃料供給制御作動たとえばフューエルカット作動のための停止指令Cすなわちエンジン10への燃料供給の停止指令Cを燃料供給制御装置100に出力する。図12は、燃料供給制御手段102によるそのフューエルカット作動の一例を説明するタイムチャートである。たとえば、前記アクセル開度検出手段126によってアクセルオフと判定された減速走行時にエンジン回転速度NEが予め決められた所定値、たとえば1400rpmに設定されたフューエルカット開始回転速度NEKを越えていて且つエンジン回転速度NEが低下に向かっている場合に、フューエルカットが作動されるようにエンジン10への燃料供給の停止指令Cを出力する(図12のt1時点)。その後、減速走行と共にエンジン回転速度NEが予め決められた所定値、たとえば1000rpmに設定されたフューエルカット復帰回転速度NEF以下となるとフューエルカットが作動されないようにエンジン10への燃料供給の停止指令Cの出力を中止する(図12のt2時点)。フューエルカット状態が解除させられると、燃料供給が再開されてエンジン10が速やかに起動される。なお、ロックアップクラッチ26は少なくともフューエルカット作動中は、エンジン回転速度が急低下されないように前述のロックアップクラッチ制御によりロックアップクラッチ26の係合力を増加させる方向への係合状態の切換え状態とされる必要がある。図13は、エンジン水温に基づいて予め設定されているフューエルカット開始回転速度NEKとフューエルカット復帰回転速度NEFとを示した設定例である。エンジン水温が低温時には高温時に比較してエンジン10の暖気運転等が必要であるのでそれぞれ高回転となるように設定されている。また、エンジン水温が通常運転時の水温以上となるとそれぞれ一定となるように設定されている。また、上記燃料供給制御手段102はエンジン10がフューエルカット作動が可能な状態であるか否かを判断する。たとえば、エンジン10が暖気運転前であったり、エンジン10の排気ガス中の有害成分を低減するための触媒の劣化防止のためにフューエルカット作動が実行されない状態であるかを判断してフューエルカット作動が可能な状態であるか否かを判断する。
【0042】
変速制御手段104は、たとえば図8に示す予め記憶された変速線図から実際の車速Vおよびスロットル弁開度θTH(エンジン負荷)に基づいて自動変速機16の変速段を決定する。また、燃費向上を目的として減速走行時に燃料供給制御手段102によるフューエルカットが実行されるためにエンジン回転速度をフューエルカット開始回転速度NEK以上とするために、積極的に低速側ギヤ段へ変速が実行されるようにしている場合には、たとえば図14に示すような車速Vとアクセル開度ACCによって設定された変速線図中のダウンシフト線がアクセル開度ACCが零付近のみにおいて本来の位置よりも所定値高速側に設定されている変速線に基づいて変速を実行する。図14は、たとえば図8の変速線図のアクセルオフとなる付近の一部分を抜き出したものであり、たとえば2→3アップシフトおよび3→2ダウンシフトを示すものである。図14によれば、実線に示すアップシフト線は高アクセル開度ほど高車速側となっており、また破線に示すダウンシフト線はそのアップシフト線よりは低車速側に位置するように配置され、且つ低アクセル開度部分すなわちアクセル開度ACCの零付近すなわちアクセル開度ACCの零および零より僅かに大きい値となる範囲が、車速V1乃至V2の範囲ではそのアップシフト線と交差する形でダウンシフト領域が車速V1に示す本来の位置よりも車速V2に示す高車速側位置に設定されている。この高車速側位置に設定されている領域は、アクセルオフとされた減速走行時に比較的高車速側から積極的にダウンシフトを実行することでエンジン回転速度NEを前記フューエルカット開始回転速度NEK以上として、前記燃料供給制御手段102によるフューエルカット作動範囲が拡大されるように設定されているものである。これにより変速制御手段104は、車速が前記アップシフト線よりも高車速側領域内すなわち高速側ギヤ段の領域内たとえば図14のVa或いはVcである場合には、本来は高速側ギヤ段の領域であってもアクセルオフとされれば図14の破線に示すダウンシフト線に基づいてフューエルカット作動のためにダウンシフトを実行する。また、同様に車速がたとえば図14のVa或いはVcである場合には、アクセルオフであればフューエルカット作動のために低速側ギヤ段が使用されているが、僅かでもアクセルが操作されてアクセルオンとなれば、高速側ギヤ段の領域であるので実線に示すアップシフト線に基づいてアップシフトを実行する。
【0043】
現ギヤ段判定手段106は、前記変速制御手段104によって制御されている現在のギヤ段を判定する。たとえば、燃料供給制御手段102によるフューエルカット作動が実行されるために変速制御手段104によって低速側ギヤ段が使用されているか否かを判定する。
【0044】
変速要否判定手段108は、アップシフト要否判定手段110とダウンシフト要否判定手段112とを備えており、現在のギヤ段に対してアップシフト或いはダウンシフトが必要であるか否かを判定する。
【0045】
上記アップシフト要否判定手段110は、燃料供給制御手段102によってフューエルカット作動が実行されているときに前記アクセル開度検出手段126によってアクセル開度ACCがアクセルオフからアクセルオンになったと判定されると、変速制御手段104によるアップシフトが必要であるか否かを判定する。たとえば図14の変速線図に基づいてアクセル開度の増加に伴って、実際のアクセル開度および車速によって定められる車両走行状態を示す点が前記アップシフト線よりも高車速側領域内すなわち高速側ギヤ段の領域内で前記ダウンシフト線を横切ったときにアップシフトが必要であると判定する。図14(a)に示すようにたとえば車速がVaであればアクセルオンによって高速側ギヤ段となる必要があるのでアップシフトが必要となる。
【0046】
上記ダウンシフト要否判定手段112は、前記アクセル開度検出手段126によってアクセル開度ACCがアクセルオンからアクセルオフになったと判定されると、燃料供給制御手段102によるフューエルカット作動のためにダウンシフトが必要であるか否かを判定する。たとえば図14の変速線図に基づいてアクセル開度全閉状態にされたことに伴って、実際のアクセル開度および車速によって定められる車両走行状態を示す点が前記アップシフト線よりも高車速側領域内で前記ダウンシフト線を横切ったときにダウンシフトが必要であると判定する。たとえば図14(b)に示すように車速がVcであればたとえアップシフト線よりも高車速側領域内すなわち高速側ギヤ段の領域内であってもアクセルオフによって低速側ギヤ段となる必要があるのでダウンシフトが必要となる。
【0047】
変速条件設定手段114は、所定車速設定手段116と所定時間設定手段118とを備えており、上記変速要否判定手段108よって現在のギヤ段に対してアップシフト或いはダウンシフトが必要であると判定されると、変速制御手段104によるアップシフト或いはダウンシフトが開始されるための条件を設定する。この条件は、変速制御手段104によるアクセル開度ACC零付近における変速の実行が遅延されるために設定されるものである。これは、たとえば図14(a)に示すように車速がVaである場合、アクセルオンと共に直ちにアップシフトが実行されて違和感が発生する可能性がありまたアクセルオフと共に直ちにダウンシフトが実行されて同様に違和感が発生する可能性があり、またアクセルのオン、オフの繰返しと共に変速が繰り返し実行されるのでビジーシフトとなりドライバビリティーが悪化される可能性があるためである。このため、上記変速条件設定手段114は、変速による違和感の発生を抑制するためにアクセルオン或いはオフと共に変速が実行されないように、またビジーシフトによるドライバビリティーの悪化を抑制するために短い間にアクセルのオン、オフが繰り返されても変速が実行されないように、変速の実行が遅延されるための変速条件を設定する。
【0048】
上記所定車速設定手段116は、変速制御手段104による変速の実行が遅延されるために、現在の車速に基づいてたとえば変速制御が開始されるための所定値として所定車速すなわち現在の車速からの車速変化量を設定する。たとえば、僅かなアクセル開度の増加によりアップシフト要否判定手段110によってアクセルオフからアクセルオンによるアップシフトが必要であると判定されると、現在の車速たとえば前記アクセル開度検出手段126によってアクセルオンになったと判定された時点の車速に対して少し高い車速となるためにたとえばアップシフトが開始されるための現在の車速からの車速変化量を、たとえば図15(a)に示す予め記憶された関係から実際のギヤ段(ギヤ比)に基づいて決定する。すなわち、変速前のギヤ段のギヤ比に応じて変更されるように設定されている現在の車速からの車速変化量で設定する。また、同様にアクセル開度全閉によりダウンシフト要否判定手段112によってアクセルオンからアクセルオフによるダウンシフトが必要であると判定されると、現在の車速たとえば前記アクセル開度検出手段126によってアクセルオフになったと判定された時点の車速に対して少し低い車速となるためにたとえばダウンシフトが開始されるための現在の車速からの車速変化量を、たとえば図15(b)に示す予め記憶された関係から実際のギヤ段(ギヤ比)に基づいて決定する。すなわち、変速前のギヤ段のギヤ比に応じて変更されるように設定されている現在の車速からの車速変化量で設定する。図15(a)および(b)に示す関係では車速変化量は、加減速が頻繁に行われるすなわちアクセルオン、オフの間隔が短くなる可能性があるので低速ギヤ比(高ギヤ比)ほど車速変化量が大きくなるように設定されている。
【0049】
また、上記所定車速設定手段116は、所定車速として現在の車速からの車速変化量を設定したが、現在の車速に車速変化量を増減した値を所定車速として設定してもよい。たとえば、僅かなアクセル開度の増加によりアップシフト要否判定手段110によってアクセルオフからアクセルオンによるアップシフトが必要であると判定されると、現在の車速たとえば前記アクセル開度検出手段126によってアクセルオンになったと判定された時点の車速たとえば図14(a)のVaに対して少し高い車速たとえばVbを所定車速として設定する。また、同様にアクセル全閉によりダウンシフト要否判定手段112によってアクセルオンからアクセルオフによるダウンシフトが必要であると判定されると、現在の車速たとえば前記アクセル開度検出手段126によってアクセルオフになったと判定された時点の車速たとえば図14(b)のVcに対して少し低い車速たとえばVdを所定車速として設定する。
【0050】
上記所定時間設定手段118は、変速制御手段104による変速の実行が遅延されるために、所定時間すなわち変速制御が開始されるまでの遅延時間を設定する。アップシフト要否判定手段110によってアクセルオフからアクセルオンによるアップシフトが必要であると判定されると、たとえば前記アクセル開度検出手段126によってアクセルオンになったと判定された時点からたとえばアップシフトが開始されるための所定時間を、たとえば図16(a)に示す予め記憶された関係から実際のギヤ段(ギヤ比)に基づいて決定する。すなわち、変速前のギヤ段のギヤ比に応じて変更されるように設定されている所定時間(タイマ)で設定する。また、同様にダウンシフト要否判定手段112によってアクセルオンからアクセルオフによるダウンシフトが必要であると判定されると、たとえば前記アクセル開度検出手段126によってアクセルオフになったと判定された時点からたとえばダウンシフトが開始されるための所定時間を、たとえば図16(b)に示す予め記憶された関係から実際のギヤ段(ギヤ比)に基づいて決定する。すなわち、変速前のギヤ段のギヤ比に応じて変更されるように設定されている所定時間(タイマ)で設定する。図16(a)および(b)に示す関係では所定時間(タイマ)は、加減速が頻繁に行われるすなわちアクセルオン、オフの間隔が短くなる可能性があるので低速ギヤ比(高ギヤ比)ほど所定時間が長くなるように設定されている。
【0051】
変速条件判定手段120は、車速判定手段122と所定時間判定手段124とを備えており、前記変速条件設定手段114によって設定された変速制御手段104による変速が実行されるための条件が成立したか否かを判定する。これによって前記変速要否判定手段108よって変速が必要であると判定されたときに、たとえば前記アクセル開度検出手段126によってアクセルオン或いはアクセルオフと判定されてから変速制御手段104による変速が遅延されて実行される。
【0052】
上記車速判定手段122は、現在の車速Vが上記所定車速設定手段116によって設定された所定値上昇したか否か或いは低下したか否かを判定する。たとえば、前記アクセル開度検出手段126によってアクセルオンになったと判定された時点の車速に対してたとえば図15(a)に示す変速前のギヤ段のギヤ比に応じて設定された現在の車速からの車速変化量上昇したか否かが判定されその判定結果を変速制御手段104へ出力する。また、たとえば上記所定車速設定手段116によって現在の車速に車速変化量を増減した値が所定車速として設定された場合には、車速判定手段122によって実際の車速が上記所定車速を越えたか否か或いは低下したか否かが判定される。たとえば、前記アクセル開度検出手段126によってアクセルオンになったと判定された時点の車速たとえば図14(a)に示すVaに対して少し高い車速たとえばVbに設定された所定車速を現在の車速が越えたか否かが判定される。
【0053】
上記所定時間判定手段124は、上記所定時間設定手段118によって設定された所定時間を経過したか否かを判定する。たとえば、前記アクセル開度検出手段126によってアクセルオンになったと判定された時点からたとえば図16(a)に示す変速前のギヤ段のギヤ比に応じて設定された所定時間(タイマ)を経過したか否かが判定されその判定結果を変速制御手段104へ出力する。
【0054】
図17は、前記電子制御装置90の制御作動の要部すなわち車両の減速走行時にフューエルカット作動中にアクセルオンとなったときの自動変速機16の変速制御作動を説明するフローチャートであり、また図18はその変速制御作動を説明するタイムチャートである。図17において、前記アクセル開度検出手段126に対応するステップ(以下、ステップを省略する)SA1において、前記燃料供給制御手段による減速走行中のフューエルカット作動中にアクセルオフからアクセルオンにされたか否かが判定される。このSA1の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが、肯定される場合は現ギヤ段判定手段106に対応するSA2において、燃料供給制御手段102によるフューエルカット作動が実行されるために変速制御手段104によって低速側ギヤ段が使用されているか否かが判定される。たとえば、図14(a)に示す変速線図においてアクセルオフで車速VがV1乃至V2である領域であるか否か、すなわちフューエルカット作動のための領域にあり変速制御手段104によってダウンシフトされて低速側ギヤ段が使用されているか否かが判定される。このSA2の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが、肯定される場合はアップシフト要否判定手段110に対応するSA3において、変速制御手段104によるアップシフトが必要であるか否かがたとえば図14の変速線図に基づいて判定される。図14(a)に示すようにたとえば車速がV1であればアクセルオンとされても低速側ギヤ段の領域であるのでアップシフトの必要がないのでSA3の判断は否定される。このようにSA3の判断が否定される場合は変速制御手段104に対応するSA7において、アップシフトが実行されないすなわち現ギヤ段が維持されて本ルーチンが終了させられる。また、図14(a)に示すようにたとえば車速がVaであればアクセルオンとされるすなわち点aから点a’とされると高速側ギヤ段の領域であるのでアップシフトの必要がありSA3が肯定される。
【0055】
上記SA3の判断が肯定される場合は前記所定車速設定手段116に対応するSA4において、変速制御手段104による変速の実行が遅延されるために、現在の車速たとえば前記アクセル開度検出手段126によってアクセルオンになったと判定された時点の車速に対して少し高い車速とされるためにたとえば変速制御が開始されるための所定車速が設定される。(図18のt1時点)。たとえば現在の車速が図14(a)に示すVaであれば所定車速をVaより少し高い車速Vbに設定する。この車速VbはVaに対してたとえば図15(a)に示す車速変化量を加算して設定される。つづく車速判定手段122に対応するSA5において、現在の車速が上記所定車速設定手段116によって設定された所定車速上昇したか否かが判定される。たとえば、図14(a)に示すように車速VがVaであるときに現在の車速が所定車速Vbに上昇したか否かすなわち点a’から点bとなったか否かが判定される。このSA5の判断が否定される場合は、変速制御手段104に対応するSA8において、アップシフトが実行されないすなわち現ギヤ段が維持されて本ルーチンが終了させられるが、肯定される場合は変速制御手段104に対応するSA6において、アップシフトが実行される(図18のt2時点)。これによってたとえば図14(a)に示すように車速VがVaであるときにアクセルオンとされてもすなわち点aから点a’とされても直ちにアップシフトが実行されず、車速VがVbを越えたときすなわち点bとなったときにアップシフトが実行される。この結果、上記点a’となってもアップシフトが実行されないすなわちアクセルオンと共に直ちにアップシフトが実行されなくて、車速Vが上昇した後にアップシフトが実行されるので違和感が発生することが抑制され、また上記点a’となって直ちにアクセルオフとされてもダウンシフトが実行されることがないのでビジーシフトが抑制されてドライバビリティーが向上する。
【0056】
つぎに、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の説明において前述の実施例と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0057】
前記図17のSA3の判断が肯定される場合に実行される所定車速設定手段116および車速判定手段122に対応するSA4およびSA5に替えて実行される他の実施例の要部を、図19を用いて説明する。前記SA3の判断が肯定される場合は前記所定時間設定手段118に対応するSA9において、変速制御手段104による変速の実行が遅延されるために、たとえば前記アクセル開度検出手段126によってアクセルオンになったと判定された時点からたとえば図16(a)に示す変速前のギヤ段のギヤ比に応じて変更されるように設定されている所定時間(タイマ)すなわち変速が開始されるまでの遅延時間が設定される(図18のt1時点)。つづく所定時間判定手段124に対応するSA10において、上記所定時間設定手段118によって設定された所定時間を経過したか否かが判定される。このSA10の判断が否定される場合は、変速制御手段104に対応するSA12において、アップシフトが実行されないすなわち現ギヤ段が維持されて本ルーチンが終了させられるが、肯定される場合は変速制御手段104に対応するSA11において、アップシフトが実行される(図18のt2時点)。これによってたとえば図14(a)に示すように車速VがVaであるときにアクセルオンとされてもすなわち点aから点a’とされてもアップシフトが実行されず、所定時間を経過したときたとえば所定時間が経過して車速Vが上昇して点bとなったときにアップシフトが実行される。この結果、上記点a’となってもアップシフトが実行されないすなわちアクセルオンと共にアップシフトが実行されなくて、車速Vが上昇した後にアップシフトが実行されるので違和感が発生することが抑制され、また上記点a’となってすぐにアクセルオフとされてもダウンシフトが実行される必要がないのでビジーシフトが抑制されてドライバビリティーが向上する。
【0058】
図20は、前記電子制御装置90の制御作動の要部すなわち車両の走行時にアクセルオフとなったときの自動変速機16の変速制御作動を説明するフローチャートであり、また図21はその変速制御作動を説明するタイムチャートである。図20において、前記アクセル開度検出手段126に対応するステップ(以下、ステップを省略する)SB1において、車両走行中にアクセルオンからアクセルオフにされたか否かが判定される。このSB1の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが、肯定される場合は前記燃料供給制御手段102に対応するSB2において、たとえば、エンジン10が暖気運転前であったり、エンジン10の排気ガス中の有害成分を低減するための触媒の劣化防止のためにフューエルカット作動が実行されない状態であるかを判断してフューエルカット作動が可能な状態であるか否かを判断する。このSB2の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが、肯定される場合は前記ダウンシフト要否判定手段112に対応するSB3において、燃料供給制御手段102によるフューエルカット作動のためにダウンシフトが必要であるか否かがたとえば図14の変速線図に基づいて判定される。図14(a)に示すようにたとえば車速がV1であればアクセルオフとされても元々低速側ギヤ段の領域であるのでダウンシフトの必要がないのでSB3の判断は否定される。このようにSB3の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられる。また、図14(b)に示すようにたとえば車速がVcであればアクセルオフとされるすなわち点c’から点cとされると高速側ギヤ段が使用されているのでダウンシフトの必要がありSB3が肯定される。
【0059】
上記SB3の判断が肯定される場合は前記所定車速設定手段116に対応するSB4において、変速制御手段104による変速の実行が遅延されるために、現在の車速たとえば前記アクセル開度検出手段126によってアクセルオフになったと判定された時点の車速に対して少し低い車速とされるためにたとえば変速制御が開始されるための所定値すなわち現在の車速からの車速変化量が設定される。(図21のt1時点)。たとえば現在の車速が図14(b)に示すVcであれば所定車速をVcより少し低い車速Vdに設定する。この車速VdはVcに対してたとえば図15(b)に示す車速変化量を減算して設定される。つづく車速判定手段122に対応するSB5において、現在の車速が上記所定車速設定手段116によって設定された所定車速低下したか否かが判定される。たとえば、図14(c)に示すように車速VがVcであるときに現在の車速が所定車速Vd低下したか否かすなわち点cから点dとなったか否かが判定される。このSB5の判断が否定される場合は、変速制御手段104に対応するSB8において、ダウンシフトが実行されないすなわち現ギヤ段が維持されて、つづく燃料供給制御手段102に対応するSB9においてフューエルカット作動が実行されないまま本ルーチンが終了させられるが、肯定される場合は変速制御手段104に対応するSB6において、ダウンシフトが実行される(図21のt2時点)。これによってエンジン回転速度NEは低速側ギヤ段のギヤ比に対応するように上昇させられる(図21のt3時点)。さらに、つづく燃料供給制御手段102に対応するSB7において、エンジン回転速度NEが上昇してフューエルカット開始回転速度NEK以上となりさらに低下を開始した時点よりフューエルカット作動が実行される(図21のt3時点)。このフューエルカット作動はエンジン回転速度NEがフューエルカット復帰回転速度NEF以下になるまで或いは、アクセルオンされるまで継続される(図21のt4時点)。これによってたとえば図14(b)に示すように車速VがVcであるときにアクセルオフとされてもすなわち点c’から点cとされてもダウンシフトが実行されず、車速VがVdより低下したときすなわち点dとなったときにダウンシフトが実行される。この結果、上記点cとなってもダウンシフトが実行されないすなわちアクセルオフと共にフューエルカット作動のためのダウンシフトが実行されなくて、車速Vが低下した後にダウンシフトが実行されるので違和感が発生することが抑制され、また上記点cとなってすぐにアクセルオンとされてもアップシフトが実行される必要がないのでビジーシフトが抑制されてドライバビリティーが向上する。
【0060】
前記図20のSB3の判断が肯定される場合に実行される所定車速設定手段116および車速判定手段122に対応するSB4およびSB5に替えて実行される他の実施例の要部を、図22を用いて説明する。前記SB3の判断が肯定される場合は前記所定時間設定手段118に対応するSB10において、変速制御手段104による変速の実行が遅延されるために、たとえば前記アクセル開度検出手段126によってアクセルオフになったと判定された時点からたとえば図16(b)に示す変速前のギヤ段のギヤ比に応じて変更されるように設定されている所定時間(タイマ)すなわち変速が開始されるまでの遅延時間が設定される(図21のt1時点)。つづく所定時間判定手段124に対応するSB11において、上記所定時間設定手段118によって設定された所定時間を経過したか否かが判定される。このSB11の判断が否定される場合は、変速制御手段104に対応するSB14において、ダウンシフトが実行されないすなわち現ギヤ段が維持されて、つづく燃料供給制御手段102に対応するSB15においてフューエルカット作動が実行されないまま本ルーチンが終了させられるが、肯定される場合は変速制御手段104に対応するSB12において、ダウンシフトが実行される(図21のt2時点)。これによってエンジン回転速度NEは低速側ギヤ段のギヤ比に対応するように上昇させられる(図21のt3時点)。さらに、つづく燃料供給制御手段102に対応するSB13において、エンジン回転速度NEが上昇してフューエルカット開始回転速度NEK以上となりさらに低下を開始した時点よりフューエルカット作動が実行される(図21のt3時点)。このフューエルカット作動はエンジン回転速度NEがフューエルカット復帰回転速度NEF以下になるまで或いは、アクセルオンされるまで継続される(図21のt4時点)。これによってたとえば図14(b)に示すように車速VがVcであるときにアクセルオフとされてもすなわち点c’から点cとされてもダウンシフトが実行されず、所定時間を経過したときたとえば所定時間が経過して車速VがVdより低下したときすなわち点dとなったときにダウンシフトが実行される。この結果、上記点cとなってもダウンシフトが実行されないすなわちアクセルオフと共にフューエルカット作動のためのダウンシフトが実行されなくて、車速Vが低下した後にダウンシフトが実行されるので違和感が発生することが抑制され、また上記点cとなってすぐにアクセルオンとされてもアップシフトが実行される必要がないのでビジーシフトが抑制されてドライバビリティーが向上する。
【0061】
上述のように、本実施例によれば、燃料供給制御手段102によってエンジン10への燃料供給量が抑制されているときにアクセル開度が増加されたことすなわちアクセルオンによる自動変速機16のアップシフトは、そのアクセル開度増加時から車速が所定値上昇した後に変速制御手段104(SA6)によって実行されるので、たとえエンジン10への燃料供給量が抑制されるために積極的に低速側ギヤ段への変速が実行された状態であってもアクセルオンと共に直ちに自動変速機16のアップシフトが実行されることが防止され、アクセルオン状態が継続される状況すなわち車速が上昇したときにアップシフトが実行される。この結果、たとえば燃費向上を目的として減速走行時にエンジン回転速度をフューエルカットが実行される領域に入れるために積極的にダウンシフトが実行された状態から、アクセルオンと共に直ちにアップシフトが実行されて違和感が発生することが好適に抑制されドライバビリティーが向上される。また、アクセルオンと共に直ちにアップシフトが実行されないので、アクセルオン後直ちにアクセル開度全閉状態すなわちアクセルオフとされてもダウンシフトが実行されることが防止されて、アクセルオン、オフに伴う変速が繰り返されることによるビジー感の発生が抑制されてドライバビリティーが向上される。
【0062】
また、本実施例によれば、燃料供給制御手段102によってエンジン10への燃料供給量が抑制されているときにアクセル開度が増加されたことすなわちアクセルオンによる自動変速機16のアップシフトは、そのアクセル開度増加時から所定時間経過後に変速制御手段104(SA11)によって実行されるので、たとえエンジン10への燃料供給量が抑制されるために積極的に低速側ギヤ段への変速が実行された状態であってもアクセルオンと共に直ちに自動変速機16のアップシフトが実行されることが防止され、アクセルオン状態が継続される状況すなわちアクセルオンとなってから所定時間経過して車速が上昇したときにアップシフトが実行される。この結果、たとえば燃費向上を目的として減速走行時にエンジン回転速度をフューエルカットが実行される領域に入れるために積極的にダウンシフトが実行された状態から、アクセルオンと共に直ちにアップシフトが実行されて違和感が発生することが好適に抑制されドライバビリティーが向上される。また、アクセルオンと共に直ちにアップシフトが実行されないので、アクセルオン後直ちにアクセル開度全閉状態すなわちアクセルオフとされてもダウンシフトが実行されることが防止されて、アクセルオン、オフに伴う変速が繰り返されることによるビジー感の発生が抑制されてドライバビリティーが向上される。
【0063】
また、本実施例によれば、アクセル開度全閉状態すなわちアクセルオフにされたことによる自動変速機16のダウンシフトは、変速制御手段104(SB6)によってそのアクセルオフ時から車速が所定値低下したときに実行されるので、アクセルオフと共に直ちにエンジン10への燃料供給量が抑制されるために自動変速機16のダウンシフトが実行されることが防止され、アクセルオフ状態が継続される状況すなわち車速が低下したときにダウンシフトが実行される。この結果、たとえば加速中からアクセルオフした場合、アクセルオフと共に燃費向上を目的としてエンジン回転速度NEをフューエルカットが実行される領域に入れるために直ちにダウンシフトが実行されエンジン回転速度NEが上昇されて違和感が発生することが抑制されドライバビリティーが好適に向上される。また、アクセルオフと共に直ちにダウンシフトが実行されないので、アクセルオフ後直ちにアクセル開度が増加されたことすなわちアクセルオンとされてもアップシフトが実行されることが防止されて、アクセルオン、オフに伴う変速が繰り返されることによるビジー感の発生が抑制されてドライバビリティーが向上される。
【0064】
また、本実施例によれば、アクセル開度全閉状態すなわちアクセルオフにされたことによる自動変速機16のダウンシフトは、変速制御手段104(SB12)によってそのアクセルオフ時から所定時間経過後に実行されるので、アクセルオフと共に直ちにエンジン10への燃料供給量が抑制されるために自動変速機16のダウンシフトが実行されることが防止され、アクセルオフ状態が継続される状況すなわちアクセルオフとなってから所定時間経過して車速が低下したときにダウンシフトが実行される。この結果、たとえば加速中からアクセルオフした場合、アクセルオフと共に燃費向上を目的としてエンジン回転速度NEをフューエルカットが実行される領域に入れるために直ちにダウンシフトが実行されエンジン回転速度NEが上昇されて違和感が発生することが抑制されドライバビリティーが好適に向上される。また、アクセルオフと共に直ちにダウンシフトが実行されないので、アクセルオフ後直ちにアクセル開度が増加されたことすなわちアクセルオンとされてもアップシフトが実行されることが防止されて、アクセルオン、オフに伴う変速が繰り返されることによるビジー感の発生が抑制されてドライバビリティーが向上される。
【0065】
また、本実施例によれば、燃料供給制御手段102によってエンジン10への燃料供給量が抑制されているときに、アップシフト要否判定手段110(SA3)によってアクセル開度が増加されたことすなわちアクセルオンによる自動変速機16のアップシフトが必要であると判定されたときに、所定車速設定手段116(SA4)によって現在の車速に基づいて所定車速が設定されて、車速判定手段122(SA5)によって現在の車速が前記所定車速上昇したと判定されたときに、変速制御手段104(SA6)によって自動変速機16のアップシフトが実行されるので、アクセルオンに伴う自動変速機16のアップシフトが好適に実行される。
【0066】
また、本実施例によれば、前記所定車速設定手段116(SA4)によってたとえばギヤ比に基づいて現在の車速からの車速変化量が所定車速として設定されるので、車両状態を反映した所定車速によってアクセルオンに伴う自動変速機16のアップシフトが好適に実行される。
【0067】
また、本実施例によれば、前記アップシフト要否判定手段110(SA3)によってアクセルオンに伴って、アップシフト線よりも高車速側領域内すなわち高速側ギヤ段の領域内でアップシフトが必要となるか否かが判定されるので、その領域内でフューエルカット作動のためにダウンシフトされた状態から僅かなアクセル開度の増加による自動変速機16のアップシフトが必要となるか否かが好適に判定される。
【0068】
また、本実施例によれば、燃料供給制御手段102によってエンジン10への燃料供給量が抑制されているときに、アップシフト要否判定手段110(SA3)によってアクセル開度が増加されたことすなわちアクセルオンによる自動変速機16のアップシフトが必要であると判定されたときに、所定時間設定手段118(SA9)によって所定時間が設定されて、所定時間判定手段124(SA10)によって前記所定時間を越えたと判定されたときに、変速制御手段104(SA11)によって前記自動変速機のアップシフトが実行されるので、アクセルオンに伴う自動変速機16のアップシフトが好適に実行される。
【0069】
また、本実施例によれば、前記所定時間設定手段118(SA9)によってたとえばギヤ比に基づいて所定時間が設定されるので、車両状態を反映した所定時間によってアクセルオンに伴う自動変速機16のアップシフトが好適に実行される。
【0070】
また、本実施例によれば、前記アップシフト要否判定手段110(SA3)によってアクセルオンに伴って、アップシフト線よりも高車速側領域内すなわち高速側ギヤ段の領域内でアップシフトが必要となるか否かが判定されるので、その領域内でフューエルカット作動のためにダウンシフトされた状態から僅かなアクセル開度の増加による自動変速機16のアップシフトが必要となるか否かが好適に判定される。
【0071】
また、本実施例によれば、アクセル開度全閉状態すなわちアクセルオフにされたときに、燃料供給制御手段102(SB7)によってエンジン10への燃料供給量が抑制されるためにダウンシフト要否判定手段112(SB3)によって自動変速機16のダウンシフトが必要であると判定されると、所定車速設定手段116(SB4)によって現在の車速に基づいて所定車速が設定されて、車速判定手段122(SB5)によって現在の車速が前記所定車速低下したと判定されたときに、変速制御手段104(SB6)によって自動変速機16のダウンシフトが実行されるので、アクセルオフに伴う自動変速機16のダウンシフトが好適に実行される。
【0072】
また、本実施例によれば、前記所定車速設定手段116(SB4)によってたとえばギヤ比に基づいて現在の車速からの車速変化量が所定車速として設定されるので、車両状態を反映した所定車速によってアクセルオフに伴う自動変速機16のダウンシフトが好適に実行される。
【0073】
また、本実施例によれば、前記ダウンシフト要否判定手段112(SB3)によってアップシフト線よりも高車速側領域内すなわち高速側ギヤ段の領域内でダウンシフトが必要となるか否かが判定されるので、たとえアップシフト線よりも高車速側領域内すなわち高速側ギヤ段の領域内であってもフューエルカット作動のためにアクセルオフに伴う自動変速機16のダウンシフトが必要となるか否かが好適に判定される。
【0074】
また、本実施例によれば、アクセル開度全閉状態すなわちアクセルオフにされたときに、燃料供給制御手段102(SB13)によってエンジン10への燃料供給量が抑制されるためにダウンシフト要否判定手段112(SB3)によって自動変速機16のダウンシフトが必要であると判定されると、所定時間設定手段118(SB10)によって所定時間が設定されて、所定時間判定手段124(SB11)によって前記所定時間を越えたと判定されたときに、変速制御手段104(SB12)によって自動変速機16のダウンシフトが実行されるので、アクセルオフに伴う自動変速機16のダウンシフトが好適に実行される。
【0075】
また、本実施例によれば、前記所定時間設定手段118(SB10)によってたとえばギヤ比に基づいて所定時間が設定されるので、車両状態を反映した所定時間によってアクセルオフに伴う自動変速機16のダウンシフトが好適に実行される。
【0076】
また、本実施例によれば、前記ダウンシフト要否判定手段112(SB3)によってアップシフト線よりも高車速側領域内すなわち高速側ギヤ段の領域内でダウンシフトが必要となるか否かが判定されるので、たとえアップシフト線よりも高車速側領域内すなわち高速側ギヤ段の領域内であってもフューエルカット作動のためにアクセルオフに伴う自動変速機16のダウンシフトが必要となるか否かが好適に判定される。
【0077】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0078】
たとえば、前述の実施例において、燃料供給制御手段102による所定回転速度領域でのエンジン10への燃料供給量の抑制のための燃料供給制御作動の例として、所定回転速度領域が所定の開始回転速度と復帰回転速度とで設定されておりエンジン回転速度が所定の開始回転速度以上のときにエンジン10への燃料供給を停止するフューエルカット作動が開始され、エンジン回転速度が復帰回転速度より低下するとフューエルカット作動が中止されてエンジン10への燃料供給が再開される燃料供給制御作動を示したが、その他の例としてたとえばディーゼルエンジンに好適に用いられている、エンジン回転速度が所定の復帰回転速度(燃料再開のための回転速度)より低下するとフューエルカット作動が中止されてエンジン10への燃料供給が再開され、その後エンジン回転速度の減少に従ってその燃料供給量が漸増されることで、最終的に所定の回転速度より低下した時点でアイドル回転速度制御が実行されて目標回転速度が維持されるための燃料供給量となる燃料供給制御作動であってもよい。また、エンジン10への燃料供給を完全に停止するフューエルカット作動に替えて、燃料供給量を通常より低減する燃料供給制御作動であってもよい。
【0079】
また、前述の実施例において、所定車速設定手段116による所定車速の設定例として図15に示した変速前のギヤ段のギヤ比に応じて変更される以外に車両や走行状態等の種々の状態に応じて変更されるようにしてもよい。たとえば、現在の車速が高い場合はアクセルオン、オフの頻度が少なく早く変速が実行されてもよいので、車速の変化量が小さくなるような傾向に変更されるように設定されたり、またアクセル開度の変化速度が早いほど早い加減速が要求されているのでアクセルが戻される可能性が低いので早く変速が実行されてもよいので、車速の変化量が小さくなるような傾向に変更されるように設定されてもよい。
【0080】
また、前述の実施例において、所定時間設定手段118による所定時間の設定例として図16に示した変速前のギヤ段のギヤ比に応じて変更される以外に車両や走行状態等の種々の状態に応じて変更されるようにしてもよい。たとえば、現在の車速が高い場合はアクセルオン、オフの頻度が少なく早く変速が実行されてもよいので、所定時間が短くなるような傾向に変更されるように設定されたり、またアクセル開度の変化速度が早いほど早い加減速が要求されているのでアクセルが戻される可能性が低いので早く変速が実行されてもよいので、所定時間が短くなるような傾向に変更されるように設定されてもよい。
【0081】
また、前述の実施例の図17或いは図19のフローチャートにおいて、明らかに加速が予想できるとき或いは確定できるとき、たとえばアクセル開度検出手段126によってアクセル開度が大きいたとえばアクセル開度の変化量が大きいと判断されたときには、SA4乃至SA5のステップ或いはSA9乃至SA10のステップが実行されずにSA6或いはSA11において直ちにアップシフトが実行されるようにしてもよい。
【0082】
また、前述の実施例の図20或いは図22のフローチャートにおいて、明らかに減速が予想できるとき或いは確定できるとき、たとえば図示しない車両センサによって前車両との車間距離が所定値以下と判断されたり、路面状況が低μ路で加速に適さないと判断されたときには、SB4乃至SB5のステップ或いはSB10乃至SB11のステップが実行されずにSB6或いはSB12において直ちにダウンシフトが実行されるようにしてもよい。
【0083】
また、前述の実施例において、流体伝動装置としてロックアップクラッチ26が備えられているトルクコンバータ14が用いられていたが、トルク増幅作用のないフルードカップリングが用いられてもよい。
【0084】
また、前述の実施例のエンジン10は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関が用いられ、少なくともエンジンを走行用駆動力源として備えておればよく、エンジン10に連結される回転機すなわちモータジェネレータMG1およびMG2或いは前記エンジン10の吸気配管50および排気管52に設けられている排気タービン式過給機54が備えられてない車両などにも適用され得る。また、上記回転機は、エンジン10に直結される以外にベルト等を介してエンジン10に間接的に連結されてもよい。
【0085】
また、前述の実施例のエンジン10は、可変動弁機構78を備えており、電磁駆動弁すなわち開閉制御弁としての吸気弁74および排気弁75が電磁アクチュエータ76および77によって開閉駆動されていたが、吸気弁74および排気弁75が電気的アクチュエータである電動モータによって開閉駆動されるモータ駆動式開閉弁やクランク軸の回転に同期して、吸気弁および排気弁を開閉駆動させるよく知られた動弁機構に可変機構が備え付けられたものであってもよい。また、上記可変機構が備え付けられてないものであってもよい。
【0086】
また、前述の実施例では、図14において2→3アップシフトおよび3→2ダウンシフトを示すものとして説明したが、たとえば3→4アップシフトおよび4→3ダウンシフト、4→5アップシフトおよび5→4ダウンシフトであってもよい。
【0087】
また、前述の実施例では、自動変速機16は3組の遊星歯車装置40、42、44の組み合わせから成る前進5速の変速機であったが、クラッチC或いはブレーキBの油圧式摩擦係合装置の解放および係合の少なくとも一方によって変速が実行される型式の変速機であればよく、自動変速機16を構成する遊星歯車装置の組数は3組とは異なる数であってもよいし、また前進6速の変速機、前進4速の変速機等であっても差し支えない。また、手動変速機としてよく知られた常時噛合式平行2軸型ではあるが、セレクトシリンダおよびシフトシリンダによりギヤ段が自動的に切換られることが可能な自動変速機であってもよい。
【0088】
また、前述の実施例では、自動変速機16の係合要素であるクラッチC或いはブレーキBは、油圧式摩擦係合装置であったが、電磁式係合装置たとえば電磁クラッチや磁粉式クラッチ等であってもよい。
【0089】
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されたハイブリッド車両の動力伝達装置を説明する骨子図である。
【図2】図1の自動変速機における、複数の油圧式摩擦係合装置の作動の組合わせとそれにより成立する変速段との関係を示す図である。
【図3】図1のハイブリッド車両の動力伝達装置の概略構成図である。
【図4】図1のエンジンの各気筒に設けられた可変動弁機構を説明する図である。
【図5】図4の可変動弁機構に設けられて吸気弁或いは排気弁を所望のタイミングで開閉作動させる電磁アクチュエータの構成を説明する図である。
【図6】図1の動力伝達装置が備えている電子制御装置の入出力系統の要部を説明するブロック線図である。
【図7】図1の動力伝達装置におけるエンジンのスロットル弁開度とアクセル開度との関係を示す図である。
【図8】図1の動力伝達装置における自動変速機の変速制御に用いられる変速線図を説明する図である。
【図9】図1の動力伝達装置におけるロックアップクラッチの制御に用いられるロックアップクラッチ線図を説明する図である。
【図10】図1の車両に設けられたシフト操作装置を示す図である。
【図11】図6の電子制御装置が備えている制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
【図12】図6の電子制御装置によるフューエルカット作動を説明するタイムチャートである。
【図13】図6の電子制御装置のフューエルカット作動で用いられるエンジン水温に基づいて予め設定されているフューエルカット開始回転速度とフューエルカット復帰回転速度とを示した設定例である。
【図14】図8の変速線図のアクセルオフとなる付近の一部分を抜き出したものであり、たとえば2→3アップシフトおよび3→2ダウンシフトを示すものである。
【図15】変速が開始されるための所定車速の設定例を変速前のギヤ段のギヤ比に応じた現在の車速からの車速変化量で示している図である。
【図16】変速が開始されるためのギヤ段のギヤ比に応じた所定時間の設定例を示している図である。
【図17】図6の電子制御装置の制御作動の要部すなわち車両の減速走行時にフューエルカット作動中にアクセルオンとなったときの自動変速機の変速制御作動を説明するフローチャートである。
【図18】図17の変速制御作動を説明するタイムチャートである。
【図19】図6の電子制御装置の制御作動の要部すなわち車両の減速走行時にフューエルカット作動中にアクセルオンとなったときの自動変速機の変速制御作動の他の実施例の要部を説明するフローチャートである。
【図20】図6の電子制御装置の制御作動の要部すなわち車両の走行時にアクセルオフとなったときの自動変速機の変速制御作動を説明するフローチャートである。
【図21】図20の変速制御作動を説明するタイムチャートである。
【図22】図6の電子制御装置の制御作動の要部すなわち車両の走行時にアクセルオフとなったときの自動変速機の変速制御作動の他の実施例の要部を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
10:エンジン
16:自動変速機
102:燃料供給制御手段
104:変速制御手段
Claims (4)
- 燃料の燃焼により作動するエンジンと、自動変速機とを備えた車両の変速制御装置であって、
車両の減速走行中にアクセル開度全閉状態にあり且つエンジン回転速度が予め設定された所定回転速度領域にあるときに、前記エンジンへの燃料供給量を抑制する燃料供給制御手段と、
該燃料供給制御手段によって前記エンジンへの燃料供給量が抑制されているときにアクセル開度が増加されたことによる前記自動変速機のアップシフトは、該アクセル開度増加時から車速が所定値上昇した後に実行する変速制御手段と
を、含むことを特徴とする車両の変速制御装置。 - 燃料の燃焼により作動するエンジンと、自動変速機とを備えた車両の変速制御装置であって、
車両の減速走行中にアクセル開度全閉状態にあり且つエンジン回転速度が予め設定された所定回転速度領域にあるときに、前記エンジンへの燃料供給量を抑制する燃料供給制御手段と、
該燃料供給制御手段によって前記エンジンへの燃料供給量が抑制されているときにアクセル開度が増加されたことによる前記自動変速機のアップシフトは、該アクセル開度増加時から所定時間経過後に実行する変速制御手段と
を、含むことを特徴とする車両の変速制御装置。 - 燃料の燃焼により作動するエンジンと、自動変速機とを備えた車両の変速制御装置であって、
車両の減速走行中にアクセル開度全閉状態にあり且つエンジン回転速度が予め設定された所定回転速度領域にあるときに、前記エンジンへの燃料供給量を抑制する燃料供給制御手段と、
前記アクセル開度全閉状態にされたことによる前記自動変速機のダウンシフトは、該アクセル開度全閉時から車速が所定値低下したときに実行する変速制御手段と
を、含むことを特徴とする車両の変速制御装置。 - 燃料の燃焼により作動するエンジンと、自動変速機とを備えた車両の変速制御装置であって、
車両の減速走行中にアクセル開度全閉状態にあり且つエンジン回転速度が予め設定された所定回転速度領域にあるときに、前記エンジンへの燃料供給量を抑制する燃料供給制御手段と、
前記アクセル開度全閉状態にされたことによる前記自動変速機のダウンシフトは、該アクセル開度全閉時から所定時間経過後に実行する変速制御手段と
を、含むことを特徴とする車両の変速制御装置。
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- 2003-02-28 JP JP2003054793A patent/JP2004262340A/ja active Pending
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