JP2004260072A - 磁石ローラ製造装置及び製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い磁気特性と主極部の高精度を備えた磁石ローラを低コストかつ容易に製造する。
【解決手段】希土類マグネットブロック15を保持する固定具2,3には、マグネットブロックとの当接面に切欠き部2a,3aがそれぞれ設けられている。この固定具2,3によりマグネットブロック15を把持してマグネットロール(図示せず)の凹溝に挿入して接着する際、接着剤が溢れた場合でも、固定具2,3に設けた切欠き部2a,3aが接着剤の逃げ部となり、溢れた接着剤が固定具に固着することによるマグネットブロック15の位置や角度の精度が低下することを防止する。
【選択図】 図2
【解決手段】希土類マグネットブロック15を保持する固定具2,3には、マグネットブロックとの当接面に切欠き部2a,3aがそれぞれ設けられている。この固定具2,3によりマグネットブロック15を把持してマグネットロール(図示せず)の凹溝に挿入して接着する際、接着剤が溢れた場合でも、固定具2,3に設けた切欠き部2a,3aが接着剤の逃げ部となり、溢れた接着剤が固定具に固着することによるマグネットブロック15の位置や角度の精度が低下することを防止する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成装置に装着される現像装置の現像スリーブに内蔵される磁石ローラを製造する装置及び製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開2000−243620号公報
電子写真その他の、粉体トナーを用いた画像形成方法において、二成分現像剤を用いた磁気ブラシ現像は周知であり、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置において広く利用されている。
【0003】
磁気ブラシ現像では、現像剤担持体の表面に現像剤を搬送し、現像剤をブラシ状(磁気ブラシ)に保持させて像担持体に接触させ、静電潜像が形成された像担持体と電気的バイアスが印加されたスリーブとの間の電界によってトナーが潜像面に選択的に付着することにより、現像が行われる。
【0004】
上記現像剤担持体は、通常、円筒状のスリーブ(現像スリーブ)として構成され、このスリーブ表面に現像剤の穂立ちを生じさせるように磁界を形成する磁石体(磁石ローラ=マグネットローラ)をスリーブ内部に備えている。穂立ちの際、キャリアが磁石ローラで生じる磁力線に沿うようにスリーブ上に穂立ちすると共に、この穂立ちに係るキャリアに対して帯電トナーが付着されている。上記磁石ローラは、複数の磁極を有し、それぞれの磁極を形成する磁石が棒状などに構成されていて、特にスリーブ表面の現像領域部分では現像剤を立ち上げる現像主磁極を備えている。上記スリーブと磁石ローラの少なくとも一方が動くことでスリーブ表面に穂立ちを起こした現像剤が移動するようになっており、現像領域に搬送された現像剤は上記現像主磁極から発せられる磁力線に沿って穂立ちを起こし、この現像剤のチェーン穂は撓むように潜像担持体表面に接触し、接触した現像剤のチェーン穂が潜像担持体との相対線速差に基づいて静電潜像と擦れ合いながら、トナー供給を行う。なお、現像領域とは、現像剤担持体上で磁気ブラシが立ち上がり潜像担持体と接触している範囲とする。
【0005】
従来の磁気ブラシ現像装置においては、画像濃度を高くするための現像条件と低コントラスト画像を良好に得るための現像条件とが両立せず、高濃度部と低濃度部との双方を同時に改善することが困難である。即ち、画像濃度を高くするための現像条件としては、(i)潜像担持体と現像スリーブとの間隔である現像ギャップを狭くすること、あるいは(ii)現像領域幅を広くすることなどが挙げられる。一方、低コントラスト画像を良好に得るための現像条件としては、(i’)現像ギャップを広くすること、あるいは(ii’)現像領域幅を狭くすることなどがある。つまり、双方の現像条件は相対するものであって両立せず、全濃度域にわたって双方の条件を満たして良質な画像を得ることは一般に困難とされている。
【0006】
例えば低コントラスト画像を重視する場合には、ベタラインのクロス部や黒ベタ、ハーフトーンベタ画像の後端部に白抜けを生じる所謂「後端白抜け」と称される異常画像が発生しやすい。また同じ幅で形成した格子画像の横線が縦線よりも細くなったり、1ドットなどの小さい点画像が現像されないなどの現象も発生している。
【0007】
このような従来からの課題であった画像濃度を高くするための現像条件と低コントラスト画像を良好に得るための現像条件とを高い時点で満足させ、全濃度域にわたって良質な画像を得るための現像方法及び現像装置等を本願出願人は先に提案している(特願2000−29637)。
【0008】
上記の本願出願人が先に提案した現像装置においては、現像ローラの主極部は極間角度が従来の現像ローラに比べて狭いため、マグネット材料に高い磁気特性が必要となる。また、主極部の精度が従来の現像ローラに比べて高い精度(従来の±2度に対して±1度)が要求される。そのため、現像ローラ(磁石ローラ)の製造が難しく、製作コストが嵩む傾向にあった。
【0009】
磁石ローラ(マグネットローラ)の製造方法としては、例えば特許文献1に、円筒又は円柱状の磁石体の外周面の長さ方向に凹溝を設け、その凹溝に希土類磁石体(マグネットブロック)を接着剤で固着することが開示されている(特許文献1、段落[0028]参照)。
【0010】
ここで、磁石ロールに設けた凹溝にマグネットブロックを接着剤で固着する方法について図11を参照して説明する。なお、本明細書では、円筒又は円柱状の磁石体を磁石ロールと呼び、その磁石ロールにマグネットブロックを取り付けて現像極を構成したものを磁石ローラ(マグネットローラ)と呼ぶ。
【0011】
図11において、磁石ロール44には軸方向に延びる凹溝46が形成されている。凹溝46に固着されるマグネットブロック45は、第1〜第3固定具41〜43によって上方及び左右の3方向より固定・保持されて位置決めされ、接着剤が塗布された凹溝46に挿入・接合される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、マグネットブロック45を凹溝46に挿入・接合する際に、図12に示すように、接着剤が溢れて固定具41〜43に付いて固着してしまい、以降の固定具(固定装置)の動作不良となり、マグネットブロックを固定・保持できない、あるいは磁石ローラの凹溝に挿入できないという問題があった。なお、図11,12における第2固定具42中の矢印および図12における第1固定具41中の矢印は固定具の動作方向を示している。
【0013】
また、マグネットブロックを凹溝に挿入できた場合でも、接合時の位置決め精度低下や、接合後の真っ直ぐ度あるいは円周方向の位置精度などに影響があり、磁石ローラの品質低下、また磁石ローラ製造設備の稼動停止などという問題もある。
【0014】
さらに、固定具41〜43に固着した接着剤を拭い取る・削り取るといった付帯作業が発生し、結果として生産効率が低下し、コストも上昇するという問題もある。
【0015】
本発明は、従来の磁石ローラ製造装置及び製造方法における上述の問題を解決し、高い磁気特性と主極部の高精度を備えた磁石ローラを低コスト且つ容易に製造できる製造装置及び製造方法を提供することを課題とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
前記の課題は、本発明により、希土類マグネットブロックの3面にそれぞれ当接してマグネットブロックを位置決め及び保持する第1〜第3固定具を有し、該固定具で保持した前記マグネットブロックを略円筒又は円柱状のマグネットロールの外周面に軸方向に延設した溝部に挿入して接着し磁石ローラとする磁石ローラ製造装置であって、前記各固定具の前記マグネットブロックとの当接面に切欠き部を設けたことにより解決される。
【0017】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記切欠き部は、前記各固定具のそれぞれにおいて複数個設けられ、前記マグネットブロックの長手方向に延設されていることを提案する。
【0018】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記各固定具のそれぞれにおいて複数個設けられた前記切欠き部は、前記各固定具のそれぞれにおいて同一の形状及び大きさに設けられていることを提案する。
【0019】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記各固定具のそれぞれにおいて複数個設けられた前記切欠き部は、前記各固定具のそれぞれにおいて等間隔に配置されていることを提案する。
【0020】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記第2及び第3固定具は前記マグネットブロックを両側から挟持可能に対向配置され、該第2及び第3固定具に設けられた前記切欠き部が、前記マグネットブロックを挟んで対称に配置されていることを提案する。
【0021】
また、前記の課題は、本発明により、第1〜第3固定具を希土類マグネットブロックの3面にそれぞれ当接してマグネットブロックを位置決め及び保持し、該保持したマグネットブロックを略円筒又は円柱状のマグネットロールの外周面に軸方向に延設した溝部に挿入して接着し磁石ローラとする磁石ローラの製造方法であって、マグネットブロックとの当接面に切欠き部を設けた前記第1〜第3固定具によりマグネットブロックを位置決め及び保持することを特徴とする磁石ローラの製造方法により解決される。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る磁石ローラ製造装置の一例における第1固定具をマグネットブロックと共に示すもので、(a)は磁石ローラの軸方向から見た側面図、(b)は磁石ローラの長手方向から見た正面図である。
【0023】
図1において、希土類マグネットブロック15を上方から押圧する第1固定具1は、磁性材料から構成され、その下面、すなわちマグネットブロック15との当接面に、長手方向に並んだ複数の切欠き部1aを有している。図示例では6個の切欠き部1aを設けてあるが、切欠き部1aの数及び間隔は適宜設定できるものである。本例では、複数個の各切欠き部1aの形状及び大きさは全て同じになっている。また、各切欠き部1a間の間隔は等間隔に設定されている。
【0024】
図2は、第2及び第3固定具をマグネットブロックと共に示すもので、(a)は平面図、(b)は磁石ローラの軸方向から見た側面図である。
図2において、希土類マグネットブロック15を両側(図では左右)から固定・保持する第2及び第3固定具2,3は、非磁性材料から構成され、それぞれ一方側、すなわちマグネットブロック15との当接面に、長手方向に並んだ複数の切欠き部2a及び3aを有している。図示例では各5個の切欠き部2a及び3aを設けてあるが、切欠き部2a及び3aの数及び間隔は適宜設定できるものである。また、第2及び第3固定具2,3に設けた複数個の各切欠き部2a及び3aの形状及び大きさは全て同じになっている。さらに、第2及び第3固定具2,3それぞれにおいて、各切欠き部2a及び3aの間隔は等間隔に設定されている。
【0025】
そして、第2及び第3固定具2,3で希土類マグネットブロック15を両側から挟んで固定・保持する際に、それぞれの切欠き部2a及び3aが左右対称に同じ位置で対向するように、各切欠き部2a及び3aが設けられている。これにより、第2及び第3固定具2,3で希土類マグネットブロック15を固定・保持する場合、固定具のマグネットブロックとの当接部、すなわち切欠き部でない部分がマグネットブロック15の両側で左右対称に同じ位置で対向することになり、マグネットブロック15を左右両側から均等に保持すると共に、マグネットブロック軸方向における曲がりや反り・うねり等を生じさせることがない。また、マグネットブロック15に曲がりや反り・うねり等が有った場合には、これを矯正して保持することができる。
【0026】
次に、上記のような構成の第1固定具1及び第2,第3固定具2,3を有する本実施形態の磁石ローラ製造装置を用いた磁石ローラの製造工程を図3〜9を参照して説明する。なお、図3〜9の各図において、(a)は磁石ローラの軸方向から見た側面図、(b)は磁石ローラの長手方向から見た正面図(部分)である。
【0027】
▲1▼:希土類マグネットブロック15を第1固定具1に固定する(図3)。
▲2▼:希土類マグネットブロック15を第2,第3固定具2,3で左右両側から把持し固定する(図4)。なお、第2,第3固定具2,3の一方側を固定し(▲1▼においてブロック15の側面を一方側の固定具2又は3に突き当て)、他方側だけを移動させるようにしても良い。
▲3▼:磁石ロール14の凹溝14aに接着剤を塗布する(図5)。
▲4▼:希土類マグネットブロック15を、第1〜第3固定具1〜3で固定・保持した状態で磁石ロール14の凹溝14a内に挿入する(図6)。
▲5▼:第1固定具1で希土類マグネットブロック15を押圧し、マグネットブロック15を凹溝14aに押し付けて接合する(図7)。
▲6▼:マグネットブロックの押し付け・接合後、第2,第3固定具2,3をマグネットブロック15から離間させる(図8)。なお、一方側の固定具2又は3が固定の場合は他方側のみを移動させる。
▲7▼:第1〜第3固定具1〜3を上昇させ、離間させる。これにより、磁石ロール14に希土類マグネットブロック15が接着・固定された磁石ローラ(マグネットローラ)12となる(図9)。
【0028】
本実施形態の磁石ローラ製造装置においては、図1,2で説明したように、第1〜第3固定具1〜3のマグネットブロック15との当接面に、マグネットブロックの長手方向に並設された複数の切欠き部1a,2a,3aをそれぞれ設けてあるので、マグネットブロックを磁石ロールの凹溝に接着する際に接着剤が溢れた場合でも、上記切欠き部1a,2a,3aが接着剤の逃げ部(接着剤溜まり)となり、溢れた接着剤が各固定具(特に、マグネットブロックとの当接面)に固着する面積を減少させることができ、マグネットブロックを適正に保持して精度良く磁石ロール凹溝への挿入・接合作業を実施することができる。したがって、接合時の位置決め精度や、接合後の真っ直ぐ度あるいは円周方向の位置精度などを向上させることができ、磁石ローラひいては現像ローラの品質を高めることができる。また、磁石ローラの生産効率も高めることができる。
【0029】
また、各固定具にそれぞれ複数個設けられた切欠き部1a,2a,3aは、各固定具において、複数個のそれぞれの切欠き部の形状及び大きさが共に同じであり、その間隔も等間隔に配置されているため、マグネットブロックに当接してこれを固定・保持する際に、固定具がマグネットブロックに均一に当接・押圧することができ、マグネットブロックを固定・保持して位置決めする際の位置や角度あるいは方向性等の精度を低下させることがない。もちろん、接合後における真っ直ぐ度(溝に対する)や周方向の位置精度なども低下させることがない。
【0030】
また、第2及び第3固定具2,3は、それぞれの切欠き部2a及び3aが左右対称に同じ位置で対向するように、各切欠き部2a及び3aが設けられているので、マグネットブロック15を両側から挟んで固定・保持する場合にブロックの長手方向(磁石ローラ軸方向)における反りやうねりなどを発生させることがなく、また、仮にマグネットブロック15に長手方向(磁石ローラ軸方向)における反りやうねりなどが存在した場合にはこれを矯正することができ、接合時の位置決め精度及び接合後の真っ直ぐ度(溝に対する)や周方向の位置精度などを高めることができる。
【0031】
これらにより、従来の製造装置では困難であった希土類マグネットブロックの磁石ロールへの高精度な接着を低コストに実現することができ、高い磁気特性を有する希土類マグネットブロックを磁石ロールの溝に高精度に接合した高い磁気特性と主極部の高精度を備えた磁石ローラを低コストに製造することが可能となった。
【0032】
図10は、本発明による製造装置で製造した磁石ローラを内蔵する現像ローラの一例における断面構成を磁気波形とともに示す模式図である。この図に示す現像ローラ10は、非磁性体を円筒形に形成した現像スリーブ11内に磁石ローラ12を配置したものである。磁石ローラ12は、芯金13が嵌装された略円筒状のマグネットロール14と、主極部を構成する3本のマグネットブロック15から構成されている。3本のマグネットブロック15は、隣接するブロック同士の極性が互いに異なるものである。本現像ローラ10を備える現像装置において、磁石ローラ12は固定配置され、現像スリーブ11は回転駆動される。
【0033】
略円筒状のマグネットロール14は、現像主極以外の磁気特性を形成する部分であり、射出成形又は押出し成形にて製造したものである。材料としては磁性粉に高分子化合物を混合したいわゆるプラスチックマグネットもしくはゴムマグネットを用いることが多い。磁性粉としてはSrフェライトないしBaフェライトを用い、高分子化合物としては6PAもしくは12PA等のPA(ポリアミド)系材料、EEA(エチレン・エチル共重合体)又はEVA(エチレン・ビニル共重合体)等のエチレン系化合物、CPE(塩素化ポリエチレン)等の塩素系材料、NBR等のゴム材料を使用することができる。
【0034】
また、現像主極を形成するためのマグネットブロック15は、現像ローラ軸方向に延びる棒状のブロックであり、幅が狭く且つ高い磁気特性を得るために、Br>0.5T(テスラ)の材料を用いることが望ましく、多くはNe系(Ne・Fe・B等)又はSm系(Sm・Co、Sm・Fe・N等)の希土類マグネットもしくはこれらのマグネット粉を上記と同様の高分子化合物と混合したプラスチックマグネットもしくはゴムマグネットを用いることができる。本例では、各マグネットブロック15は、隣接するマグネットブロック同士は互いに相反する磁極のものである。
【0035】
現像ローラ10における現像主磁極の法線方向磁束密度の減衰率を40%以上、または現像主磁極の半値幅を22度以下とするような場合、例えば16〜20mm径の現像ローラであるとスリーブ表面の磁束密度として80〜90mTが必要となり、主極部の希土類マグネットブロック15の形状としては構成上、幅2mm、高さ3mm程度の大きさに収める必要がる。この場合、マグネットブロック15の材料特性としてはBr>0.5Tであることが望ましい。
【0036】
磁石ローラ12から発せられる法線方向磁力線に沿うように、現像剤のキャリアが現像スリーブ11上にチェーン状に穂立ちを起こし、このチェーン状に穂立ちを生じたキャリアに帯電トナーが付着されて、磁気ブラシが構成される。当該磁気ブラシは現像スリーブ11の回転によって現像スリーブ11と同方向に移送され、現像領域まで搬送される。
【0037】
図10に示すように、磁石ローラ12は複数の磁極を有している。すなわち、3つのマグネットブロック15によって現像領域部分に現像剤の穂立ちを生じさせる現像極と、現像スリーブ11上に現像剤を汲み上げるための汲み上げ極(図10においてスリーブ11の左斜め下方向に広がるN極)と、汲み上げられた現像剤を現像領域まで搬送するための搬送極(マグネットブロック15による現像主磁極の上流側:図の左側に広がるS極)と、現像後の領域で現像剤を搬送する磁極(マグネットブロック15による現像主磁極の上流側:図の右側のS極)である。本例では、現像極を3つの(3極の)マグネットブロック15により形成しているが、2つ以上(2極以上)の希土類マグネットブロックにより現像極を形成してもよい。図には、現像ローラ10における、ローラ半径方向(法線方向)の磁力分布とその大きさを破線により示してある。
【0038】
以上、本発明を図示例により説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、各固定具の形状や大きさは任意である。また、各固定具に設けた切欠きの形状・大きさ及び間隔は適宜変更することができる。
【0039】
また、本発明の製造装置及び製造方法により製造する磁石ローラは、現像極に相当する部分に設けるマグネットブロックの数は図示例の1個又は3個に限るものではなく、2つあるいは3つ以上のマグネットブロックとすることもできる。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の磁石ローラ製造装置及び製造方法によれば、希土類マグネットブロックとの当接面に切欠き部を設けた第1〜第3固定具によりマグネットブロックを位置決め及び保持してマグネットロール外周面の溝部に挿入して接着し磁石ローラとするので、接着剤が溢れた場合でも前記切欠き部に逃がすことができ、溢れた接着剤が各固定具(特に、マグネットブロックとの当接面)に固着する面積を減少させることができる。そのため、マグネットブロックを適正に保持して精度良く磁石ロール凹溝への挿入・接合作業を実施することができる。これにより、接合時の位置決め精度や、接合後の真っ直ぐ度あるいは円周方向の位置精度などを向上させることができ、磁石ローラひいては現像ローラの品質を高めることができる。また、磁石ローラの生産効率も高めることができる。
【0041】
請求項2の構成により、切欠き部が各固定具のそれぞれにおいて複数個設けられ、マグネットブロックの長手方向に延設されているので、接合時に溢れた接着剤を効率的に切欠き部に逃がすことができる。
【0042】
請求項3の構成により、各固定具のそれぞれにおいて複数個設けられた切欠き部は、各固定具のそれぞれにおいて同一の形状及び大きさに設けられているので、各固定具のそれぞれがマグネットブロックに均等に当接し、これを均等に保持することができる。
【0043】
請求項4の構成により、各固定具のそれぞれにおいて複数個設けられた切欠き部は、各固定具のそれぞれにおいて等間隔に配置されているので、各固定具のそれぞれがマグネットブロックに均等に当接し、これを均等に保持することができる。
【0044】
請求項5の構成により、第2及び第3固定具はマグネットブロックを両側から挟持可能に対向配置され、その第2及び第3固定具に設けられた切欠き部がマグネットブロックを挟んで対称に配置されているので、マグネットブロックを両側から挟んで固定・保持する場合にマグネットブロックにおける反りやうねりなどを発生させることがなく、また、仮にマグネットブロックに反りやうねりなどが存在した場合にはこれを矯正することができ、接合時の位置決め精度及び接合後の真っ直ぐ度(溝に対する)や周方向の位置精度などを高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る磁石ローラ製造装置の一例における第1固定具をマグネットブロックと共に示す側面図及び正面図である。
【図2】その磁石ローラ製造装置の第2及び第3固定具をマグネットブロックと共に示す平面図及び側面図である。
【図3】その磁石ローラ製造装置による磁石ローラの製造工程を示す模式図で、希土類マグネットブロックを第1固定具に固定した様子を示す。
【図4】磁石ローラの製造工程における、希土類マグネットブロックを第2,第3固定具で把持した様子を示す模式図である。
【図5】磁石ローラの製造工程における、磁石ロールの凹溝に接着剤を塗布した様子を示す模式図である。
【図6】磁石ローラの製造工程における、マグネットブロックを磁石ロールの凹溝に挿入する様子を示す模式図である。
【図7】磁石ローラの製造工程における、第1固定具でマグネットブロックを押し付けて接合する様子を示す模式図である。
【図8】磁石ローラの製造工程における、マグネットブロックの接合後に第2,第3固定具をマグネットブロックから離間させる様子を示す模式図である。
【図9】磁石ローラの製造工程における、第1〜第3固定具をマグネットブロックから離間させる様子を示す模式図である。
【図10】本発明による製造装置で製造した磁石ローラを内蔵する現像ローラの一例における断面構成を磁気波形とともに示す模式図である。
【図11】従来の製造装置の一例を示す側面図及び部分正面図である。
【図12】従来の製造装置における問題点を説明するための模式図である。
【符号の説明】
1 第1固定具
1a 切欠き部
2 第2固定具
3 第3固定具
2a,3a 切欠き部
10 現像ローラ
11 現像スリーブ
12 磁石ローラ
14 マグネットロール
15 希土類マグネットブロック
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成装置に装着される現像装置の現像スリーブに内蔵される磁石ローラを製造する装置及び製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開2000−243620号公報
電子写真その他の、粉体トナーを用いた画像形成方法において、二成分現像剤を用いた磁気ブラシ現像は周知であり、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置において広く利用されている。
【0003】
磁気ブラシ現像では、現像剤担持体の表面に現像剤を搬送し、現像剤をブラシ状(磁気ブラシ)に保持させて像担持体に接触させ、静電潜像が形成された像担持体と電気的バイアスが印加されたスリーブとの間の電界によってトナーが潜像面に選択的に付着することにより、現像が行われる。
【0004】
上記現像剤担持体は、通常、円筒状のスリーブ(現像スリーブ)として構成され、このスリーブ表面に現像剤の穂立ちを生じさせるように磁界を形成する磁石体(磁石ローラ=マグネットローラ)をスリーブ内部に備えている。穂立ちの際、キャリアが磁石ローラで生じる磁力線に沿うようにスリーブ上に穂立ちすると共に、この穂立ちに係るキャリアに対して帯電トナーが付着されている。上記磁石ローラは、複数の磁極を有し、それぞれの磁極を形成する磁石が棒状などに構成されていて、特にスリーブ表面の現像領域部分では現像剤を立ち上げる現像主磁極を備えている。上記スリーブと磁石ローラの少なくとも一方が動くことでスリーブ表面に穂立ちを起こした現像剤が移動するようになっており、現像領域に搬送された現像剤は上記現像主磁極から発せられる磁力線に沿って穂立ちを起こし、この現像剤のチェーン穂は撓むように潜像担持体表面に接触し、接触した現像剤のチェーン穂が潜像担持体との相対線速差に基づいて静電潜像と擦れ合いながら、トナー供給を行う。なお、現像領域とは、現像剤担持体上で磁気ブラシが立ち上がり潜像担持体と接触している範囲とする。
【0005】
従来の磁気ブラシ現像装置においては、画像濃度を高くするための現像条件と低コントラスト画像を良好に得るための現像条件とが両立せず、高濃度部と低濃度部との双方を同時に改善することが困難である。即ち、画像濃度を高くするための現像条件としては、(i)潜像担持体と現像スリーブとの間隔である現像ギャップを狭くすること、あるいは(ii)現像領域幅を広くすることなどが挙げられる。一方、低コントラスト画像を良好に得るための現像条件としては、(i’)現像ギャップを広くすること、あるいは(ii’)現像領域幅を狭くすることなどがある。つまり、双方の現像条件は相対するものであって両立せず、全濃度域にわたって双方の条件を満たして良質な画像を得ることは一般に困難とされている。
【0006】
例えば低コントラスト画像を重視する場合には、ベタラインのクロス部や黒ベタ、ハーフトーンベタ画像の後端部に白抜けを生じる所謂「後端白抜け」と称される異常画像が発生しやすい。また同じ幅で形成した格子画像の横線が縦線よりも細くなったり、1ドットなどの小さい点画像が現像されないなどの現象も発生している。
【0007】
このような従来からの課題であった画像濃度を高くするための現像条件と低コントラスト画像を良好に得るための現像条件とを高い時点で満足させ、全濃度域にわたって良質な画像を得るための現像方法及び現像装置等を本願出願人は先に提案している(特願2000−29637)。
【0008】
上記の本願出願人が先に提案した現像装置においては、現像ローラの主極部は極間角度が従来の現像ローラに比べて狭いため、マグネット材料に高い磁気特性が必要となる。また、主極部の精度が従来の現像ローラに比べて高い精度(従来の±2度に対して±1度)が要求される。そのため、現像ローラ(磁石ローラ)の製造が難しく、製作コストが嵩む傾向にあった。
【0009】
磁石ローラ(マグネットローラ)の製造方法としては、例えば特許文献1に、円筒又は円柱状の磁石体の外周面の長さ方向に凹溝を設け、その凹溝に希土類磁石体(マグネットブロック)を接着剤で固着することが開示されている(特許文献1、段落[0028]参照)。
【0010】
ここで、磁石ロールに設けた凹溝にマグネットブロックを接着剤で固着する方法について図11を参照して説明する。なお、本明細書では、円筒又は円柱状の磁石体を磁石ロールと呼び、その磁石ロールにマグネットブロックを取り付けて現像極を構成したものを磁石ローラ(マグネットローラ)と呼ぶ。
【0011】
図11において、磁石ロール44には軸方向に延びる凹溝46が形成されている。凹溝46に固着されるマグネットブロック45は、第1〜第3固定具41〜43によって上方及び左右の3方向より固定・保持されて位置決めされ、接着剤が塗布された凹溝46に挿入・接合される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、マグネットブロック45を凹溝46に挿入・接合する際に、図12に示すように、接着剤が溢れて固定具41〜43に付いて固着してしまい、以降の固定具(固定装置)の動作不良となり、マグネットブロックを固定・保持できない、あるいは磁石ローラの凹溝に挿入できないという問題があった。なお、図11,12における第2固定具42中の矢印および図12における第1固定具41中の矢印は固定具の動作方向を示している。
【0013】
また、マグネットブロックを凹溝に挿入できた場合でも、接合時の位置決め精度低下や、接合後の真っ直ぐ度あるいは円周方向の位置精度などに影響があり、磁石ローラの品質低下、また磁石ローラ製造設備の稼動停止などという問題もある。
【0014】
さらに、固定具41〜43に固着した接着剤を拭い取る・削り取るといった付帯作業が発生し、結果として生産効率が低下し、コストも上昇するという問題もある。
【0015】
本発明は、従来の磁石ローラ製造装置及び製造方法における上述の問題を解決し、高い磁気特性と主極部の高精度を備えた磁石ローラを低コスト且つ容易に製造できる製造装置及び製造方法を提供することを課題とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
前記の課題は、本発明により、希土類マグネットブロックの3面にそれぞれ当接してマグネットブロックを位置決め及び保持する第1〜第3固定具を有し、該固定具で保持した前記マグネットブロックを略円筒又は円柱状のマグネットロールの外周面に軸方向に延設した溝部に挿入して接着し磁石ローラとする磁石ローラ製造装置であって、前記各固定具の前記マグネットブロックとの当接面に切欠き部を設けたことにより解決される。
【0017】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記切欠き部は、前記各固定具のそれぞれにおいて複数個設けられ、前記マグネットブロックの長手方向に延設されていることを提案する。
【0018】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記各固定具のそれぞれにおいて複数個設けられた前記切欠き部は、前記各固定具のそれぞれにおいて同一の形状及び大きさに設けられていることを提案する。
【0019】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記各固定具のそれぞれにおいて複数個設けられた前記切欠き部は、前記各固定具のそれぞれにおいて等間隔に配置されていることを提案する。
【0020】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記第2及び第3固定具は前記マグネットブロックを両側から挟持可能に対向配置され、該第2及び第3固定具に設けられた前記切欠き部が、前記マグネットブロックを挟んで対称に配置されていることを提案する。
【0021】
また、前記の課題は、本発明により、第1〜第3固定具を希土類マグネットブロックの3面にそれぞれ当接してマグネットブロックを位置決め及び保持し、該保持したマグネットブロックを略円筒又は円柱状のマグネットロールの外周面に軸方向に延設した溝部に挿入して接着し磁石ローラとする磁石ローラの製造方法であって、マグネットブロックとの当接面に切欠き部を設けた前記第1〜第3固定具によりマグネットブロックを位置決め及び保持することを特徴とする磁石ローラの製造方法により解決される。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る磁石ローラ製造装置の一例における第1固定具をマグネットブロックと共に示すもので、(a)は磁石ローラの軸方向から見た側面図、(b)は磁石ローラの長手方向から見た正面図である。
【0023】
図1において、希土類マグネットブロック15を上方から押圧する第1固定具1は、磁性材料から構成され、その下面、すなわちマグネットブロック15との当接面に、長手方向に並んだ複数の切欠き部1aを有している。図示例では6個の切欠き部1aを設けてあるが、切欠き部1aの数及び間隔は適宜設定できるものである。本例では、複数個の各切欠き部1aの形状及び大きさは全て同じになっている。また、各切欠き部1a間の間隔は等間隔に設定されている。
【0024】
図2は、第2及び第3固定具をマグネットブロックと共に示すもので、(a)は平面図、(b)は磁石ローラの軸方向から見た側面図である。
図2において、希土類マグネットブロック15を両側(図では左右)から固定・保持する第2及び第3固定具2,3は、非磁性材料から構成され、それぞれ一方側、すなわちマグネットブロック15との当接面に、長手方向に並んだ複数の切欠き部2a及び3aを有している。図示例では各5個の切欠き部2a及び3aを設けてあるが、切欠き部2a及び3aの数及び間隔は適宜設定できるものである。また、第2及び第3固定具2,3に設けた複数個の各切欠き部2a及び3aの形状及び大きさは全て同じになっている。さらに、第2及び第3固定具2,3それぞれにおいて、各切欠き部2a及び3aの間隔は等間隔に設定されている。
【0025】
そして、第2及び第3固定具2,3で希土類マグネットブロック15を両側から挟んで固定・保持する際に、それぞれの切欠き部2a及び3aが左右対称に同じ位置で対向するように、各切欠き部2a及び3aが設けられている。これにより、第2及び第3固定具2,3で希土類マグネットブロック15を固定・保持する場合、固定具のマグネットブロックとの当接部、すなわち切欠き部でない部分がマグネットブロック15の両側で左右対称に同じ位置で対向することになり、マグネットブロック15を左右両側から均等に保持すると共に、マグネットブロック軸方向における曲がりや反り・うねり等を生じさせることがない。また、マグネットブロック15に曲がりや反り・うねり等が有った場合には、これを矯正して保持することができる。
【0026】
次に、上記のような構成の第1固定具1及び第2,第3固定具2,3を有する本実施形態の磁石ローラ製造装置を用いた磁石ローラの製造工程を図3〜9を参照して説明する。なお、図3〜9の各図において、(a)は磁石ローラの軸方向から見た側面図、(b)は磁石ローラの長手方向から見た正面図(部分)である。
【0027】
▲1▼:希土類マグネットブロック15を第1固定具1に固定する(図3)。
▲2▼:希土類マグネットブロック15を第2,第3固定具2,3で左右両側から把持し固定する(図4)。なお、第2,第3固定具2,3の一方側を固定し(▲1▼においてブロック15の側面を一方側の固定具2又は3に突き当て)、他方側だけを移動させるようにしても良い。
▲3▼:磁石ロール14の凹溝14aに接着剤を塗布する(図5)。
▲4▼:希土類マグネットブロック15を、第1〜第3固定具1〜3で固定・保持した状態で磁石ロール14の凹溝14a内に挿入する(図6)。
▲5▼:第1固定具1で希土類マグネットブロック15を押圧し、マグネットブロック15を凹溝14aに押し付けて接合する(図7)。
▲6▼:マグネットブロックの押し付け・接合後、第2,第3固定具2,3をマグネットブロック15から離間させる(図8)。なお、一方側の固定具2又は3が固定の場合は他方側のみを移動させる。
▲7▼:第1〜第3固定具1〜3を上昇させ、離間させる。これにより、磁石ロール14に希土類マグネットブロック15が接着・固定された磁石ローラ(マグネットローラ)12となる(図9)。
【0028】
本実施形態の磁石ローラ製造装置においては、図1,2で説明したように、第1〜第3固定具1〜3のマグネットブロック15との当接面に、マグネットブロックの長手方向に並設された複数の切欠き部1a,2a,3aをそれぞれ設けてあるので、マグネットブロックを磁石ロールの凹溝に接着する際に接着剤が溢れた場合でも、上記切欠き部1a,2a,3aが接着剤の逃げ部(接着剤溜まり)となり、溢れた接着剤が各固定具(特に、マグネットブロックとの当接面)に固着する面積を減少させることができ、マグネットブロックを適正に保持して精度良く磁石ロール凹溝への挿入・接合作業を実施することができる。したがって、接合時の位置決め精度や、接合後の真っ直ぐ度あるいは円周方向の位置精度などを向上させることができ、磁石ローラひいては現像ローラの品質を高めることができる。また、磁石ローラの生産効率も高めることができる。
【0029】
また、各固定具にそれぞれ複数個設けられた切欠き部1a,2a,3aは、各固定具において、複数個のそれぞれの切欠き部の形状及び大きさが共に同じであり、その間隔も等間隔に配置されているため、マグネットブロックに当接してこれを固定・保持する際に、固定具がマグネットブロックに均一に当接・押圧することができ、マグネットブロックを固定・保持して位置決めする際の位置や角度あるいは方向性等の精度を低下させることがない。もちろん、接合後における真っ直ぐ度(溝に対する)や周方向の位置精度なども低下させることがない。
【0030】
また、第2及び第3固定具2,3は、それぞれの切欠き部2a及び3aが左右対称に同じ位置で対向するように、各切欠き部2a及び3aが設けられているので、マグネットブロック15を両側から挟んで固定・保持する場合にブロックの長手方向(磁石ローラ軸方向)における反りやうねりなどを発生させることがなく、また、仮にマグネットブロック15に長手方向(磁石ローラ軸方向)における反りやうねりなどが存在した場合にはこれを矯正することができ、接合時の位置決め精度及び接合後の真っ直ぐ度(溝に対する)や周方向の位置精度などを高めることができる。
【0031】
これらにより、従来の製造装置では困難であった希土類マグネットブロックの磁石ロールへの高精度な接着を低コストに実現することができ、高い磁気特性を有する希土類マグネットブロックを磁石ロールの溝に高精度に接合した高い磁気特性と主極部の高精度を備えた磁石ローラを低コストに製造することが可能となった。
【0032】
図10は、本発明による製造装置で製造した磁石ローラを内蔵する現像ローラの一例における断面構成を磁気波形とともに示す模式図である。この図に示す現像ローラ10は、非磁性体を円筒形に形成した現像スリーブ11内に磁石ローラ12を配置したものである。磁石ローラ12は、芯金13が嵌装された略円筒状のマグネットロール14と、主極部を構成する3本のマグネットブロック15から構成されている。3本のマグネットブロック15は、隣接するブロック同士の極性が互いに異なるものである。本現像ローラ10を備える現像装置において、磁石ローラ12は固定配置され、現像スリーブ11は回転駆動される。
【0033】
略円筒状のマグネットロール14は、現像主極以外の磁気特性を形成する部分であり、射出成形又は押出し成形にて製造したものである。材料としては磁性粉に高分子化合物を混合したいわゆるプラスチックマグネットもしくはゴムマグネットを用いることが多い。磁性粉としてはSrフェライトないしBaフェライトを用い、高分子化合物としては6PAもしくは12PA等のPA(ポリアミド)系材料、EEA(エチレン・エチル共重合体)又はEVA(エチレン・ビニル共重合体)等のエチレン系化合物、CPE(塩素化ポリエチレン)等の塩素系材料、NBR等のゴム材料を使用することができる。
【0034】
また、現像主極を形成するためのマグネットブロック15は、現像ローラ軸方向に延びる棒状のブロックであり、幅が狭く且つ高い磁気特性を得るために、Br>0.5T(テスラ)の材料を用いることが望ましく、多くはNe系(Ne・Fe・B等)又はSm系(Sm・Co、Sm・Fe・N等)の希土類マグネットもしくはこれらのマグネット粉を上記と同様の高分子化合物と混合したプラスチックマグネットもしくはゴムマグネットを用いることができる。本例では、各マグネットブロック15は、隣接するマグネットブロック同士は互いに相反する磁極のものである。
【0035】
現像ローラ10における現像主磁極の法線方向磁束密度の減衰率を40%以上、または現像主磁極の半値幅を22度以下とするような場合、例えば16〜20mm径の現像ローラであるとスリーブ表面の磁束密度として80〜90mTが必要となり、主極部の希土類マグネットブロック15の形状としては構成上、幅2mm、高さ3mm程度の大きさに収める必要がる。この場合、マグネットブロック15の材料特性としてはBr>0.5Tであることが望ましい。
【0036】
磁石ローラ12から発せられる法線方向磁力線に沿うように、現像剤のキャリアが現像スリーブ11上にチェーン状に穂立ちを起こし、このチェーン状に穂立ちを生じたキャリアに帯電トナーが付着されて、磁気ブラシが構成される。当該磁気ブラシは現像スリーブ11の回転によって現像スリーブ11と同方向に移送され、現像領域まで搬送される。
【0037】
図10に示すように、磁石ローラ12は複数の磁極を有している。すなわち、3つのマグネットブロック15によって現像領域部分に現像剤の穂立ちを生じさせる現像極と、現像スリーブ11上に現像剤を汲み上げるための汲み上げ極(図10においてスリーブ11の左斜め下方向に広がるN極)と、汲み上げられた現像剤を現像領域まで搬送するための搬送極(マグネットブロック15による現像主磁極の上流側:図の左側に広がるS極)と、現像後の領域で現像剤を搬送する磁極(マグネットブロック15による現像主磁極の上流側:図の右側のS極)である。本例では、現像極を3つの(3極の)マグネットブロック15により形成しているが、2つ以上(2極以上)の希土類マグネットブロックにより現像極を形成してもよい。図には、現像ローラ10における、ローラ半径方向(法線方向)の磁力分布とその大きさを破線により示してある。
【0038】
以上、本発明を図示例により説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、各固定具の形状や大きさは任意である。また、各固定具に設けた切欠きの形状・大きさ及び間隔は適宜変更することができる。
【0039】
また、本発明の製造装置及び製造方法により製造する磁石ローラは、現像極に相当する部分に設けるマグネットブロックの数は図示例の1個又は3個に限るものではなく、2つあるいは3つ以上のマグネットブロックとすることもできる。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の磁石ローラ製造装置及び製造方法によれば、希土類マグネットブロックとの当接面に切欠き部を設けた第1〜第3固定具によりマグネットブロックを位置決め及び保持してマグネットロール外周面の溝部に挿入して接着し磁石ローラとするので、接着剤が溢れた場合でも前記切欠き部に逃がすことができ、溢れた接着剤が各固定具(特に、マグネットブロックとの当接面)に固着する面積を減少させることができる。そのため、マグネットブロックを適正に保持して精度良く磁石ロール凹溝への挿入・接合作業を実施することができる。これにより、接合時の位置決め精度や、接合後の真っ直ぐ度あるいは円周方向の位置精度などを向上させることができ、磁石ローラひいては現像ローラの品質を高めることができる。また、磁石ローラの生産効率も高めることができる。
【0041】
請求項2の構成により、切欠き部が各固定具のそれぞれにおいて複数個設けられ、マグネットブロックの長手方向に延設されているので、接合時に溢れた接着剤を効率的に切欠き部に逃がすことができる。
【0042】
請求項3の構成により、各固定具のそれぞれにおいて複数個設けられた切欠き部は、各固定具のそれぞれにおいて同一の形状及び大きさに設けられているので、各固定具のそれぞれがマグネットブロックに均等に当接し、これを均等に保持することができる。
【0043】
請求項4の構成により、各固定具のそれぞれにおいて複数個設けられた切欠き部は、各固定具のそれぞれにおいて等間隔に配置されているので、各固定具のそれぞれがマグネットブロックに均等に当接し、これを均等に保持することができる。
【0044】
請求項5の構成により、第2及び第3固定具はマグネットブロックを両側から挟持可能に対向配置され、その第2及び第3固定具に設けられた切欠き部がマグネットブロックを挟んで対称に配置されているので、マグネットブロックを両側から挟んで固定・保持する場合にマグネットブロックにおける反りやうねりなどを発生させることがなく、また、仮にマグネットブロックに反りやうねりなどが存在した場合にはこれを矯正することができ、接合時の位置決め精度及び接合後の真っ直ぐ度(溝に対する)や周方向の位置精度などを高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る磁石ローラ製造装置の一例における第1固定具をマグネットブロックと共に示す側面図及び正面図である。
【図2】その磁石ローラ製造装置の第2及び第3固定具をマグネットブロックと共に示す平面図及び側面図である。
【図3】その磁石ローラ製造装置による磁石ローラの製造工程を示す模式図で、希土類マグネットブロックを第1固定具に固定した様子を示す。
【図4】磁石ローラの製造工程における、希土類マグネットブロックを第2,第3固定具で把持した様子を示す模式図である。
【図5】磁石ローラの製造工程における、磁石ロールの凹溝に接着剤を塗布した様子を示す模式図である。
【図6】磁石ローラの製造工程における、マグネットブロックを磁石ロールの凹溝に挿入する様子を示す模式図である。
【図7】磁石ローラの製造工程における、第1固定具でマグネットブロックを押し付けて接合する様子を示す模式図である。
【図8】磁石ローラの製造工程における、マグネットブロックの接合後に第2,第3固定具をマグネットブロックから離間させる様子を示す模式図である。
【図9】磁石ローラの製造工程における、第1〜第3固定具をマグネットブロックから離間させる様子を示す模式図である。
【図10】本発明による製造装置で製造した磁石ローラを内蔵する現像ローラの一例における断面構成を磁気波形とともに示す模式図である。
【図11】従来の製造装置の一例を示す側面図及び部分正面図である。
【図12】従来の製造装置における問題点を説明するための模式図である。
【符号の説明】
1 第1固定具
1a 切欠き部
2 第2固定具
3 第3固定具
2a,3a 切欠き部
10 現像ローラ
11 現像スリーブ
12 磁石ローラ
14 マグネットロール
15 希土類マグネットブロック
Claims (6)
- 希土類マグネットブロックの3面にそれぞれ当接してマグネットブロックを位置決め及び保持する第1〜第3固定具を有し、
該固定具で保持した前記マグネットブロックを略円筒又は円柱状のマグネットロールの外周面に軸方向に延設した溝部に挿入して接着し磁石ローラとする磁石ローラ製造装置であって、
前記各固定具の前記マグネットブロックとの当接面に切欠き部を設けたことを特徴とする磁石ローラ製造装置。 - 前記切欠き部は、前記各固定具のそれぞれにおいて複数個設けられ、前記マグネットブロックの長手方向に延設されていることを特徴とする、請求項1に記載の磁石ローラ製造装置。
- 前記各固定具のそれぞれにおいて複数個設けられた前記切欠き部は、前記各固定具のそれぞれにおいて同一の形状及び大きさに設けられていることを特徴とする、請求項2に記載の磁石ローラ製造装置。
- 前記各固定具のそれぞれにおいて複数個設けられた前記切欠き部は、前記各固定具のそれぞれにおいて等間隔に配置されていることを特徴とする、請求項2又は3に記載の磁石ローラ製造装置。
- 前記第2及び第3固定具は前記マグネットブロックを両側から挟持可能に対向配置され、
該第2及び第3固定具に設けられた前記切欠き部が、前記マグネットブロックを挟んで対称に配置されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁石ローラ製造装置。 - 第1〜第3固定具を希土類マグネットブロックの3面にそれぞれ当接してマグネットブロックを位置決め及び保持し、該保持したマグネットブロックを略円筒又は円柱状のマグネットロールの外周面に軸方向に延設した溝部に挿入して接着し磁石ローラとする磁石ローラの製造方法であって、
マグネットブロックとの当接面に切欠き部を設けた前記第1〜第3固定具によりマグネットブロックを位置決め及び保持することを特徴とする磁石ローラの製造方法。
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JP2003051116A JP2004260072A (ja) | 2003-02-27 | 2003-02-27 | 磁石ローラ製造装置及び製造方法 |
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Cited By (1)
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JP2007041295A (ja) * | 2005-08-03 | 2007-02-15 | Ricoh Co Ltd | マグネットローラの組立て装置 |
-
2003
- 2003-02-27 JP JP2003051116A patent/JP2004260072A/ja active Pending
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