JP2004259188A - 事故リスク評価支援装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】保険設計にも資することができ、企業活動の停止期間に発生する損失についても配慮した事故リスク評価支援装置を提供する。
【解決手段】事故発生に伴う、企業活動に対するリスク評価を支援する装置であって、制御部11が評価の対象となった企業活動の実績情報等を含んだ基本情報の入力を受け入れ、この基本情報に基づいて、事故がない場合の第1見積貸借対照表、第1見積損益計算書、第1見積キャッシュフロー計算書を含んだ、無事故時情報を生成し、またこの基本情報に基づいて、事故がある場合の第2見積貸借対照表、第2見積損益計算書、第2見積キャッシュフロー計算書を含んだ、事故時情報を生成し、これら無事故時情報と事故時情報とをユーザに提示する。
【選択図】 図1
【解決手段】事故発生に伴う、企業活動に対するリスク評価を支援する装置であって、制御部11が評価の対象となった企業活動の実績情報等を含んだ基本情報の入力を受け入れ、この基本情報に基づいて、事故がない場合の第1見積貸借対照表、第1見積損益計算書、第1見積キャッシュフロー計算書を含んだ、無事故時情報を生成し、またこの基本情報に基づいて、事故がある場合の第2見積貸借対照表、第2見積損益計算書、第2見積キャッシュフロー計算書を含んだ、事故時情報を生成し、これら無事故時情報と事故時情報とをユーザに提示する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、企業活動上、事故発生に伴う財務的な影響を提示する事故リスク評価支援装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
企業活動においては、常に事故発生に伴う活動停止を見越しておく必要もある。例えば製造ラインの破損により企業活動が停止してしまうと、当該製造ラインの原状回復にかかる費用の捻出の方法も判断しなければならない。
【0003】
従来、企業経営者のために、企業活動が事故により停止した場合のリスクをどのように低減させるかという問題については、例えば会計的な備えを行っておく場合でも、発生頻度の低いリスクであれば経常費処理すべきであるとか、課税される虞があっても引当金として積み立てておくべきであるとかいった、定性的な分析に基づく判断が行われているのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のような定性的分析による判断では、保険のように、通常はオフバランスであるが事故などの災害をきっかけにオンバランス化する特質を有するものをどのように設計するかといったことに役立てることが難しい。
保険の設計は種々の財務諸表への影響などに配慮しながら行うものだからである。また、従来の分析においては、例えば工場操業の停止に伴う経費等、企業活動が停止している期間に発生する損失についての配慮が為されていない。
【0005】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、保険設計にも資することができる事故リスク評価支援装置を提供することをその目的の一つとする。
【0006】
また、本発明は、企業活動の停止期間に発生する損失についても配慮した事故リスク評価支援装置を提供することも、その目的の一つである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、事故発生に伴う、企業活動に対するリスク評価を支援する装置であって、評価の対象となった企業活動の実績情報と、企業資産に対する事故の影響を価格で表したリスク見積情報と、企業が有している保険に関する条件を表す保険条件情報と、前記事故によって影響された企業資産を原状に回復するための資金調達に関する条件を表す原状回復条件情報と、を含んだ基本情報の入力を受け入れる手段と、前記基本情報に基づいて、事故がない場合の第1見積貸借対照表、第1見積損益計算書、第1見積キャッシュフロー計算書を含んだ、無事故時情報を生成する無事故時情報生成手段と、前記基本情報に基づいて、事故がある場合の第2見積貸借対照表、第2見積損益計算書、第2見積キャッシュフロー計算書を含んだ、事故時情報を生成する事故時情報生成手段と、前記無事故時情報と事故時情報とをユーザに提示する手段と、を含む事故リスク評価支援装置である。
【0008】
またここで、前記受け入れた基本情報から企業活動の財務状況を表す分析パラメータを生成する手段をさらに含み、前記無事故時情報生成手段及び前記事故時情報生成手段は、いずれも前記生成された同じ分析パラメータを利用して、それぞれ無事故時情報及び事故時情報を生成することとするのも好ましい。
【0009】
さらに、前記事故時情報に含まれる第2見積貸借対照表、第2見積損益計算書、第2見積キャッシュフロー計算書の少なくとも一部を目標値として設定し、当該目標値を満足する原状回復条件情報を演算して少なくとも一つ確定し、当該確定した少なくとも一つの原状回復条件情報をユーザに提示する手段をさらに含むこととしてもよい。
【0010】
また、前記事故時情報生成手段は、事故がある場合の事故時情報を、当該事故に伴う企業活動の停止期間中の製造関連の売上高情報と仕入関連の売上高情報とを用いて生成することとしてもよい。この場合に、前記基本情報内で、売上高が製造関連の売上高情報と仕入関連の売上高情報とに分離されていない場合に、当期の製品原価及び当期の商品仕入高を用いて、売上高中の製造関連の売上高情報と仕入関連の売上高情報との比率を推定する手段をさらに含み、前記事故時情報生成手段は、当該推定された製造関連の売上高情報と仕入関連の売上高情報とを用いて事故時情報を生成することとしても好ましい。
【0011】
本発明のある態様に係る事故発生に伴う、企業活動に対するリスク評価を支援するために、コンピュータを制御する方法は、コンピュータを用い、評価の対象となった企業活動の実績情報と、企業資産に対する事故の影響を価格で表したリスク見積情報と、企業が有している保険に関する条件を表す保険条件情報と、前記事故によって影響された企業資産を原状に回復するための資金調達に関する条件を表す原状回復条件情報と、を含んだ基本情報の入力を受け入れさせる工程と、前記基本情報に基づいて、事故がない場合の第1見積貸借対照表、第1見積損益計算書、第1見積キャッシュフロー計算書を含んだ、無事故時情報を生成させる無事故時情報生成工程と、前記基本情報に基づいて、事故がある場合の第2見積貸借対照表、第2見積損益計算書、第2見積キャッシュフロー計算書を含んだ、事故時情報を生成させる事故時情報生成工程と、前記無事故時情報と事故時情報とをユーザに提示させる工程と、を含んでなる。
【0012】
さらに本発明の別の態様に係る事故発生に伴う、企業活動に対するリスク評価を支援するためのプログラムは、コンピュータに、評価の対象となった企業活動の実績情報と、企業資産に対する事故の影響を価格で表したリスク見積情報と、企業が有している保険に関する条件を表す保険条件情報と、前記事故によって影響された企業資産を原状に回復するための資金調達に関する条件を表す原状回復条件情報と、を含んだ基本情報の入力を受け入れる手順と、前記基本情報に基づいて、事故がない場合の第1見積貸借対照表、第1見積損益計算書、第1見積キャッシュフロー計算書を含んだ、無事故時情報を生成する無事故時情報生成手順と、前記基本情報に基づいて、事故がある場合の第2見積貸借対照表、第2見積損益計算書、第2見積キャッシュフロー計算書を含んだ、事故時情報を生成する事故時情報生成手順と、前記無事故時情報と事故時情報とをユーザに提示する手順と、を実行させることを特徴としている。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本発明の実施の形態に係る事故リスク評価支援装置は、図1に示すように、制御部11と記憶部12と操作部13と表示部14とを含む一般的なコンピュータシステムによって実現される。
【0014】
制御部11は、記憶部12に格納されているプログラムに従って動作する。この制御部11が行う処理の具体的内容については後に詳しく述べる。記憶部12は、制御部11が実行するプログラムを保持するハードディスク装置やRAM(Random Access Memory)を含む。また、この記憶部12は、制御部11の処理の過程で発生するデータを一時的に保持するワークメモリとしても動作する。操作部13は、マウスやキーボードなどであり、ユーザの指示操作を受け付けて、その内容を制御部11に出力する。表示部14は、ディスプレイやプリンタ、あるいはネットワークを介して情報を提示するものであり、制御部11から入力される指示に従ってユーザに対して情報を提示する。
【0015】
次に、制御部11の処理について図2を参照しながら説明する。図2は、制御部11が実行するプログラムの構成を表す機能ブロック図である。制御部11が実行するプログラムは、記憶媒体としての記憶部12に格納されており、図2に示すように、基本情報入力部21と、分析パラメータ生成部22と、無事故時情報生成部23と、事故時情報生成部24と、条件調整部25と、情報提示部26とを含んで構成されている。
【0016】
基本情報入力部21は、ユーザが操作部13を操作して入力した基本情報を受け付けて、記憶部12に基本情報として保持させる。ここで基本情報には、次のものが含まれる。
(1)評価の対象となっている企業の現時点(当期)以前に係る実績を表した貸借対照表、損益計算書、製造原価報告書、利益処分計算書(または損失処理計算書)等、有価証券報告書を含む企業活動の実績情報、
(2)企業資産に対する事故の影響を価格で表したリスク見積情報、
(3)企業が有している保険に関する条件を表す保険条件情報、
(4)保険金回収額や再調達価格、借入額といった、事故によって影響された企業資産を原状に回復するための資金調達に関する条件を表す原状回復条件情報。
【0017】
ここで、(1)有価証券報告書を含んだ、企業活動の実績情報については、企業が一般的に公開している会計の情報をそのまま用いることができるので詳細な説明を省略する。なお、個々にヒアリングを実施し、さらに詳細な情報に基づく分析を用いて企業活動の業績情報を決定してもよい。(2)リスク見積情報は、図3に示すように、固定資産と流動資産とに分けて、取得価格での損害額と、簿価での損害額とを入力する。
【0018】
また(3)保険条件の情報は、図4に示すように、火災保険、保険料、利益保険に分けてそれぞれ関係項目を入力する。さらに(4)原状回復条件情報は、保険金による回収額(図5(a))及び再調達価格(図5(b))、並びに原状回復までに発生する製造関係・仕入関係の売上高、棚卸資産、仕入高の減少割合の情報(不図示)、借入額等の情報を含んでなる。
【0019】
これら(2)リスク見積情報や(4)原状回復条件情報では、企業が保有する個々の具体的資産について、どの資産が原状回復の措置を要するかをユーザが判断し、その損害額や原状回復期間情報、売上高の減少割合の情報を入力することになる。
【0020】
分析パラメータ生成部22は、記憶部12に格納された基本情報に基づいて、売上高原材料比率、売上高外注費比率、売上債権回転期間、仕入債務回転期間、減価償却費、貸倒引当金設定率等、企業活動の財務の現状の状況を表す状況情報を分析パラメータとして生成する。またこの分析パラメータ生成部22は、事故時情報生成部24から入力される指示に従い、事故時情報生成部24が生成した修正基本情報(基本情報の少なくとも一部を修正した情報、後に詳しく述べる)に基づいて上述と同様に分析パラメータを生成する。この修正基本情報に基づいて生成された分析パラメータを以下では、修正分析パラメータと呼ぶ。
【0021】
本実施の形態において特徴的なことの一つは、これら基本情報や分析パラメータなどが事故発生前の財務状態等に基づいて決められることである。また、本実施の形態において特徴的なことのさらに別の点は、これらの情報に基づき、後に説明する事故時情報生成部24が事故発生時に企業会計担当者が適用すべき会計基準に従って、事故発生を予測した財務情報の演算を行うことである。すなわち、事故が発生していない状態で、事故発生後の財務状況を会計処理するために適用するべき会計基準を予想のために用いるのである。
【0022】
無事故時情報生成部23は、基本情報と分析パラメータとに基づいて事故がない場合における会計情報を予測し、事故がない場合における見積の貸借対照表と、損益計算書と、キャッシュフロー計算書と、製造原価報告書を生成する。以下の説明では事故時情報と区別するために、これら見積の情報を、第1見積情報と呼び、それぞれを第1見積貸借対照表、第1見積損益計算書、第1見積キャッシュフロー計算書、第1見積製造原価報告書と呼ぶ。これら第1見積情報の生成は、原則として、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に従い、基本情報から推定される企業活動の状況を過去情報などの分析結果を用いて見積会計情報として生成する。
【0023】
事故時情報生成部24は、基本情報と分析パラメータとに基づいて事故が発生した場合における会計情報を予測し、事故がある場合の見積の貸借対照表と、損益計算書と、キャッシュフロー計算書と、製造原価報告書を生成する処理(基本処理)を行う。
【0024】
またこの事故時情報生成部24は、後に説明する条件調整部25によって調整された基本情報の少なくとも一部を用いて、基本情報を修正し、修正基本情報として分析パラメータ生成部22に出力し、修正分析パラメータの入力を受ける。そして事故時情報生成部24は、これら修正基本情報と修正分析パラメータとに基づいて、事故が発生した場合における会計情報を予測し、事故がある場合の見積の貸借対照表と、損益計算書と、キャッシュフロー計算書と、製造原価報告書を生成する処理(修正処理)を行う。
【0025】
なお、以下の説明では事故時情報と区別するために、これら基本処理及び修正処理で生成される見積の情報を、第2見積情報と呼び、それぞれを第2見積貸借対照表、第2見積損益計算書、第2見積キャッシュフロー計算書、第2見積製造原価報告書と呼ぶ。
【0026】
具体的に事故時情報生成部24は、基本情報又は修正基本情報に含まれる、売上高の情報と、売上高の減少割合の情報に基づいて、所与の分析期間(例えば1年)における売上高の減少額と、その減少の結果とを計算する。また、売上高だけでなく、棚卸資産、仕入高についてもそれぞれの減少割合の情報を利用して、それぞれの減少額を計算する。なお、棚卸資産については減少結果である原状回復に係る期間末の残高の情報も計算する。この事故時情報生成部24は、基本情報又は修正基本情報と、分析パラメータ又は修正分析パラメータを利用して、実際に事故が発生した場合に適用すべき会計基準に従って予測値(第2見積情報)の演算を行う。
【0027】
条件調整部25は、第1見積情報に含まれる各表や各計算書等の上の値のうち、少なくとも一つを目標値として設定する指示をユーザから操作部13を介して受けて処理を開始し、当該目標値を達成するために基本情報のうち、保険条件、借入金の条件等、少なくとも一部を修正する情報を事故時情報生成部24に出力して、第2見積情報を再度演算させる。そして再度演算された第2見積情報を参照して、設定された目標値が達成されたか否かを調べ、達成されていなければ、再度基本情報の少なくとも一部を修正する情報を作成し直して事故時情報生成部24に出力する処理から繰り返す。すなわち、この条件調整部25は、設定された目標値を達成可能な保険条件又は借入金の条件が得られるまで、第2見積情報を繰り返し演算させる。なお、ここで目標値は、必ずしも設定された値と同一でなければならないものではなく、設定された値近傍の所定範囲にあれば達成されたものと判断してもよい。また、繰り返し演算により条件が得られない場合(つまり基本情報に対する修正情報が収束しない場合)は、他の条件(例えば繰り返し回数等)によって計算を打ち切るようにしてもよい。この場合は、繰り返し中に得られた第2見積情報のうち、目標値に最も近いものを選択して演算結果とすることとしてもよい。
【0028】
なお、本実施の形態では、ユーザが指定可能な目標値の種別に関連づけて、予め基本情報中のどの値をどのように修正するべきかを表す情報が記憶部12に、修正方法指定テーブルとして格納されており、条件調整部25は、ユーザが指定した目標値の種別に基づいて、この修正方法指定テーブルを参照しながら、基本情報に対して行うべき修正内容を決定する。一例をあげれば、目標値種別「キャッシュフロー計算書増加額」に対しては、利益保険の付保率(保険料の増加)と、借入金の増加とがそれぞれ第1、第2の修正方法として関連づけられており、条件調整部25は、第1の修正方法に従って付保率を所定量だけ上昇させる修正を行う。また、条件調整部25はこの場合、目標値が達成されると、次に、上記所定量を所定割合で減少させ、付保率を減少後の所定量ずつ下降させる修正を行う。これで目標値が達成できなくなると、次にさらに上記減少させた後の所定量をまた所定割合で減少させ、このさらなる減少後の所定量ずつ上昇させながら目標値が達成されるまで演算を繰り返す、といったように、再帰的に、予め定めた範囲内に修正内容が収束するまで処理を繰り返す。
【0029】
さらに本実施の形態では条件調整部25は、上述のように目標値種別に対して修正方法が複数割り当てられている場合は、それぞれの修正方法に基づく修正結果を別々に生成するようにしてもよい。
【0030】
情報提示部26は、第1見積情報と第2見積情報とを例えばディスプレイやプリンタなどに出力する。具体的にこの情報提示部26は、図6〜図9に示すように、各財務諸表等を通常操業(事故なし)と、操業停止(事故あり)とを並べて、それぞれを対比可能な態様で出力する。さらに、図6〜図9では、事故なしの場合と比べた事故ありの際の状況を、それぞれの値の増減や不足額などを併せて出力するようにしている。
【0031】
さらにこの情報提示部26は、条件調整部25に対してユーザが目標値を設定した場合は、図10に示すように、目標値を達成する場合の保険条件等を提示する(図10のE,F)。なお、図10のE,Fでは、条件調整部25が、2つの修正方法のそれぞれについての修正結果を出力し、両者を表示する場合を示している。
【0032】
次に、本実施の形態に係る事故リスク評価支援装置の動作について説明する。ユーザが基本情報を操作部13を用いて入力すると、制御部11がこれを記憶部12に格納するとともに、当該基本情報に基づいて分析パラメータを生成して記憶部12に保持する。
【0033】
制御部11は、基本情報と分析パラメータとに基づいて無事故時情報と、事故時情報とを生成し、これらを記憶部12に格納するとともに、表示部14に表示出力する。
【0034】
また、制御部11は、ユーザが操作部13を操作して例えばキャッシュフロー計算書増加額を「0」にすべき旨の指示、すなわち、財務諸表等における値の少なくとも一つを目標値として設定する指示を行うと、この目標値を達成するために基本情報を修正して修正基本情報を生成し、この修正基本情報に基づく分析パラメータを修正分析パラメータとして生成し、修正基本情報と修正分析パラメータとを生成する。制御部11は、この演算を再帰的に繰り返して行い、目標値を達成するために基本情報に対して修正すべき部分(保険条件等、調整可能な部分の一部)を表示部14に表示してユーザに提示する。
【0035】
なお、この基本情報に対する修正方法が複数ある場合に、すべてに基づいて修正結果を演算しなくてもよい。また、演算された修正結果のすべてを出力しなくてもよい。
【0036】
[売上高の入力支援]
これらの処理の流れにおいて、企業によっては、売上高を製造関係と仕入関係とで区分していない企業なども多いことに鑑みて、本実施の形態の制御部11は、基本情報の一部をなす、売上高の情報の入力を次のように支援する。
【0037】
すなわち、入力されている当期の製品原価及び当期の商品仕入高とを用いて、売上高中の製造関連の売上高情報と仕入関連の売上高情報との比率を推定し、区分前の売上高の総計(製造関係売上高+仕入関係売上高)に推定した比率を乗じて製造関係売上高と仕入関係売上高との推定値をそれぞれ生成し、これらをそれぞれの売上高として基本情報に含める。
【0038】
[付保の有無に基づく分析]
また、制御部11は、事故が発生したときの結果の概要について、図10に示したように、事故がないときの状態(図10のA)に対し、事故があるときの状態(図10のB〜F)を財物保険の有無と利益保険の有無とのパターンに分けて事故時情報の計算をそれぞれ行い、その結果を提示してもよい(図10のB〜D)。なお、図10では、付保ありの場合を「○」、なしの場合を「×」で示している。
【0039】
このように本実施の形態によると、事故の発生が企業活動にどのように影響するかについて財務諸表などの会計上の分析書面に具体的に表すことができ、また通常時はオフバランスにある保険などの情報をオンバランスした状況を具体的に示すことができる。このため、保険設計にも資することができる。さらに、企業活動の停止期間に発生する損失についても配慮しており、分析の結果の正確性をより高めている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る事故リスク評価支援装置の構成ブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る制御部11が実行するプログラムの構成例を表す機能ブロック図である。
【図3】入力される基本情報のうち損害額に関する部分の一例を表す説明図である。
【図4】入力される基本情報のうち保険条件に関する部分の一例を表す説明図である。
【図5】入力される基本情報のうち原状回復の条件に関する部分の一例を表す説明図である。
【図6】提示される見積情報のうち貸借対照表に関する部分の一例を表す説明図である。
【図7】提示される見積情報のうち損益計算書に関する部分の一例を表す説明図である。
【図8】提示される見積情報のうち製造原価報告書に関する部分の一例を表す説明図である。
【図9】提示される見積情報のうちキャッシュフロー計算書に関する部分の一例を表す説明図である。
【図10】提示される情報の別の例を表す説明図である。
【符号の説明】
11 制御部、12 記憶部、13 操作部、14 表示部、21 基本情報入力部、22 分析パラメータ生成部、23 無事故時情報生成部、24 事故時情報生成部、25 条件調整部、26 情報提示部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、企業活動上、事故発生に伴う財務的な影響を提示する事故リスク評価支援装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
企業活動においては、常に事故発生に伴う活動停止を見越しておく必要もある。例えば製造ラインの破損により企業活動が停止してしまうと、当該製造ラインの原状回復にかかる費用の捻出の方法も判断しなければならない。
【0003】
従来、企業経営者のために、企業活動が事故により停止した場合のリスクをどのように低減させるかという問題については、例えば会計的な備えを行っておく場合でも、発生頻度の低いリスクであれば経常費処理すべきであるとか、課税される虞があっても引当金として積み立てておくべきであるとかいった、定性的な分析に基づく判断が行われているのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のような定性的分析による判断では、保険のように、通常はオフバランスであるが事故などの災害をきっかけにオンバランス化する特質を有するものをどのように設計するかといったことに役立てることが難しい。
保険の設計は種々の財務諸表への影響などに配慮しながら行うものだからである。また、従来の分析においては、例えば工場操業の停止に伴う経費等、企業活動が停止している期間に発生する損失についての配慮が為されていない。
【0005】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、保険設計にも資することができる事故リスク評価支援装置を提供することをその目的の一つとする。
【0006】
また、本発明は、企業活動の停止期間に発生する損失についても配慮した事故リスク評価支援装置を提供することも、その目的の一つである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、事故発生に伴う、企業活動に対するリスク評価を支援する装置であって、評価の対象となった企業活動の実績情報と、企業資産に対する事故の影響を価格で表したリスク見積情報と、企業が有している保険に関する条件を表す保険条件情報と、前記事故によって影響された企業資産を原状に回復するための資金調達に関する条件を表す原状回復条件情報と、を含んだ基本情報の入力を受け入れる手段と、前記基本情報に基づいて、事故がない場合の第1見積貸借対照表、第1見積損益計算書、第1見積キャッシュフロー計算書を含んだ、無事故時情報を生成する無事故時情報生成手段と、前記基本情報に基づいて、事故がある場合の第2見積貸借対照表、第2見積損益計算書、第2見積キャッシュフロー計算書を含んだ、事故時情報を生成する事故時情報生成手段と、前記無事故時情報と事故時情報とをユーザに提示する手段と、を含む事故リスク評価支援装置である。
【0008】
またここで、前記受け入れた基本情報から企業活動の財務状況を表す分析パラメータを生成する手段をさらに含み、前記無事故時情報生成手段及び前記事故時情報生成手段は、いずれも前記生成された同じ分析パラメータを利用して、それぞれ無事故時情報及び事故時情報を生成することとするのも好ましい。
【0009】
さらに、前記事故時情報に含まれる第2見積貸借対照表、第2見積損益計算書、第2見積キャッシュフロー計算書の少なくとも一部を目標値として設定し、当該目標値を満足する原状回復条件情報を演算して少なくとも一つ確定し、当該確定した少なくとも一つの原状回復条件情報をユーザに提示する手段をさらに含むこととしてもよい。
【0010】
また、前記事故時情報生成手段は、事故がある場合の事故時情報を、当該事故に伴う企業活動の停止期間中の製造関連の売上高情報と仕入関連の売上高情報とを用いて生成することとしてもよい。この場合に、前記基本情報内で、売上高が製造関連の売上高情報と仕入関連の売上高情報とに分離されていない場合に、当期の製品原価及び当期の商品仕入高を用いて、売上高中の製造関連の売上高情報と仕入関連の売上高情報との比率を推定する手段をさらに含み、前記事故時情報生成手段は、当該推定された製造関連の売上高情報と仕入関連の売上高情報とを用いて事故時情報を生成することとしても好ましい。
【0011】
本発明のある態様に係る事故発生に伴う、企業活動に対するリスク評価を支援するために、コンピュータを制御する方法は、コンピュータを用い、評価の対象となった企業活動の実績情報と、企業資産に対する事故の影響を価格で表したリスク見積情報と、企業が有している保険に関する条件を表す保険条件情報と、前記事故によって影響された企業資産を原状に回復するための資金調達に関する条件を表す原状回復条件情報と、を含んだ基本情報の入力を受け入れさせる工程と、前記基本情報に基づいて、事故がない場合の第1見積貸借対照表、第1見積損益計算書、第1見積キャッシュフロー計算書を含んだ、無事故時情報を生成させる無事故時情報生成工程と、前記基本情報に基づいて、事故がある場合の第2見積貸借対照表、第2見積損益計算書、第2見積キャッシュフロー計算書を含んだ、事故時情報を生成させる事故時情報生成工程と、前記無事故時情報と事故時情報とをユーザに提示させる工程と、を含んでなる。
【0012】
さらに本発明の別の態様に係る事故発生に伴う、企業活動に対するリスク評価を支援するためのプログラムは、コンピュータに、評価の対象となった企業活動の実績情報と、企業資産に対する事故の影響を価格で表したリスク見積情報と、企業が有している保険に関する条件を表す保険条件情報と、前記事故によって影響された企業資産を原状に回復するための資金調達に関する条件を表す原状回復条件情報と、を含んだ基本情報の入力を受け入れる手順と、前記基本情報に基づいて、事故がない場合の第1見積貸借対照表、第1見積損益計算書、第1見積キャッシュフロー計算書を含んだ、無事故時情報を生成する無事故時情報生成手順と、前記基本情報に基づいて、事故がある場合の第2見積貸借対照表、第2見積損益計算書、第2見積キャッシュフロー計算書を含んだ、事故時情報を生成する事故時情報生成手順と、前記無事故時情報と事故時情報とをユーザに提示する手順と、を実行させることを特徴としている。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本発明の実施の形態に係る事故リスク評価支援装置は、図1に示すように、制御部11と記憶部12と操作部13と表示部14とを含む一般的なコンピュータシステムによって実現される。
【0014】
制御部11は、記憶部12に格納されているプログラムに従って動作する。この制御部11が行う処理の具体的内容については後に詳しく述べる。記憶部12は、制御部11が実行するプログラムを保持するハードディスク装置やRAM(Random Access Memory)を含む。また、この記憶部12は、制御部11の処理の過程で発生するデータを一時的に保持するワークメモリとしても動作する。操作部13は、マウスやキーボードなどであり、ユーザの指示操作を受け付けて、その内容を制御部11に出力する。表示部14は、ディスプレイやプリンタ、あるいはネットワークを介して情報を提示するものであり、制御部11から入力される指示に従ってユーザに対して情報を提示する。
【0015】
次に、制御部11の処理について図2を参照しながら説明する。図2は、制御部11が実行するプログラムの構成を表す機能ブロック図である。制御部11が実行するプログラムは、記憶媒体としての記憶部12に格納されており、図2に示すように、基本情報入力部21と、分析パラメータ生成部22と、無事故時情報生成部23と、事故時情報生成部24と、条件調整部25と、情報提示部26とを含んで構成されている。
【0016】
基本情報入力部21は、ユーザが操作部13を操作して入力した基本情報を受け付けて、記憶部12に基本情報として保持させる。ここで基本情報には、次のものが含まれる。
(1)評価の対象となっている企業の現時点(当期)以前に係る実績を表した貸借対照表、損益計算書、製造原価報告書、利益処分計算書(または損失処理計算書)等、有価証券報告書を含む企業活動の実績情報、
(2)企業資産に対する事故の影響を価格で表したリスク見積情報、
(3)企業が有している保険に関する条件を表す保険条件情報、
(4)保険金回収額や再調達価格、借入額といった、事故によって影響された企業資産を原状に回復するための資金調達に関する条件を表す原状回復条件情報。
【0017】
ここで、(1)有価証券報告書を含んだ、企業活動の実績情報については、企業が一般的に公開している会計の情報をそのまま用いることができるので詳細な説明を省略する。なお、個々にヒアリングを実施し、さらに詳細な情報に基づく分析を用いて企業活動の業績情報を決定してもよい。(2)リスク見積情報は、図3に示すように、固定資産と流動資産とに分けて、取得価格での損害額と、簿価での損害額とを入力する。
【0018】
また(3)保険条件の情報は、図4に示すように、火災保険、保険料、利益保険に分けてそれぞれ関係項目を入力する。さらに(4)原状回復条件情報は、保険金による回収額(図5(a))及び再調達価格(図5(b))、並びに原状回復までに発生する製造関係・仕入関係の売上高、棚卸資産、仕入高の減少割合の情報(不図示)、借入額等の情報を含んでなる。
【0019】
これら(2)リスク見積情報や(4)原状回復条件情報では、企業が保有する個々の具体的資産について、どの資産が原状回復の措置を要するかをユーザが判断し、その損害額や原状回復期間情報、売上高の減少割合の情報を入力することになる。
【0020】
分析パラメータ生成部22は、記憶部12に格納された基本情報に基づいて、売上高原材料比率、売上高外注費比率、売上債権回転期間、仕入債務回転期間、減価償却費、貸倒引当金設定率等、企業活動の財務の現状の状況を表す状況情報を分析パラメータとして生成する。またこの分析パラメータ生成部22は、事故時情報生成部24から入力される指示に従い、事故時情報生成部24が生成した修正基本情報(基本情報の少なくとも一部を修正した情報、後に詳しく述べる)に基づいて上述と同様に分析パラメータを生成する。この修正基本情報に基づいて生成された分析パラメータを以下では、修正分析パラメータと呼ぶ。
【0021】
本実施の形態において特徴的なことの一つは、これら基本情報や分析パラメータなどが事故発生前の財務状態等に基づいて決められることである。また、本実施の形態において特徴的なことのさらに別の点は、これらの情報に基づき、後に説明する事故時情報生成部24が事故発生時に企業会計担当者が適用すべき会計基準に従って、事故発生を予測した財務情報の演算を行うことである。すなわち、事故が発生していない状態で、事故発生後の財務状況を会計処理するために適用するべき会計基準を予想のために用いるのである。
【0022】
無事故時情報生成部23は、基本情報と分析パラメータとに基づいて事故がない場合における会計情報を予測し、事故がない場合における見積の貸借対照表と、損益計算書と、キャッシュフロー計算書と、製造原価報告書を生成する。以下の説明では事故時情報と区別するために、これら見積の情報を、第1見積情報と呼び、それぞれを第1見積貸借対照表、第1見積損益計算書、第1見積キャッシュフロー計算書、第1見積製造原価報告書と呼ぶ。これら第1見積情報の生成は、原則として、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に従い、基本情報から推定される企業活動の状況を過去情報などの分析結果を用いて見積会計情報として生成する。
【0023】
事故時情報生成部24は、基本情報と分析パラメータとに基づいて事故が発生した場合における会計情報を予測し、事故がある場合の見積の貸借対照表と、損益計算書と、キャッシュフロー計算書と、製造原価報告書を生成する処理(基本処理)を行う。
【0024】
またこの事故時情報生成部24は、後に説明する条件調整部25によって調整された基本情報の少なくとも一部を用いて、基本情報を修正し、修正基本情報として分析パラメータ生成部22に出力し、修正分析パラメータの入力を受ける。そして事故時情報生成部24は、これら修正基本情報と修正分析パラメータとに基づいて、事故が発生した場合における会計情報を予測し、事故がある場合の見積の貸借対照表と、損益計算書と、キャッシュフロー計算書と、製造原価報告書を生成する処理(修正処理)を行う。
【0025】
なお、以下の説明では事故時情報と区別するために、これら基本処理及び修正処理で生成される見積の情報を、第2見積情報と呼び、それぞれを第2見積貸借対照表、第2見積損益計算書、第2見積キャッシュフロー計算書、第2見積製造原価報告書と呼ぶ。
【0026】
具体的に事故時情報生成部24は、基本情報又は修正基本情報に含まれる、売上高の情報と、売上高の減少割合の情報に基づいて、所与の分析期間(例えば1年)における売上高の減少額と、その減少の結果とを計算する。また、売上高だけでなく、棚卸資産、仕入高についてもそれぞれの減少割合の情報を利用して、それぞれの減少額を計算する。なお、棚卸資産については減少結果である原状回復に係る期間末の残高の情報も計算する。この事故時情報生成部24は、基本情報又は修正基本情報と、分析パラメータ又は修正分析パラメータを利用して、実際に事故が発生した場合に適用すべき会計基準に従って予測値(第2見積情報)の演算を行う。
【0027】
条件調整部25は、第1見積情報に含まれる各表や各計算書等の上の値のうち、少なくとも一つを目標値として設定する指示をユーザから操作部13を介して受けて処理を開始し、当該目標値を達成するために基本情報のうち、保険条件、借入金の条件等、少なくとも一部を修正する情報を事故時情報生成部24に出力して、第2見積情報を再度演算させる。そして再度演算された第2見積情報を参照して、設定された目標値が達成されたか否かを調べ、達成されていなければ、再度基本情報の少なくとも一部を修正する情報を作成し直して事故時情報生成部24に出力する処理から繰り返す。すなわち、この条件調整部25は、設定された目標値を達成可能な保険条件又は借入金の条件が得られるまで、第2見積情報を繰り返し演算させる。なお、ここで目標値は、必ずしも設定された値と同一でなければならないものではなく、設定された値近傍の所定範囲にあれば達成されたものと判断してもよい。また、繰り返し演算により条件が得られない場合(つまり基本情報に対する修正情報が収束しない場合)は、他の条件(例えば繰り返し回数等)によって計算を打ち切るようにしてもよい。この場合は、繰り返し中に得られた第2見積情報のうち、目標値に最も近いものを選択して演算結果とすることとしてもよい。
【0028】
なお、本実施の形態では、ユーザが指定可能な目標値の種別に関連づけて、予め基本情報中のどの値をどのように修正するべきかを表す情報が記憶部12に、修正方法指定テーブルとして格納されており、条件調整部25は、ユーザが指定した目標値の種別に基づいて、この修正方法指定テーブルを参照しながら、基本情報に対して行うべき修正内容を決定する。一例をあげれば、目標値種別「キャッシュフロー計算書増加額」に対しては、利益保険の付保率(保険料の増加)と、借入金の増加とがそれぞれ第1、第2の修正方法として関連づけられており、条件調整部25は、第1の修正方法に従って付保率を所定量だけ上昇させる修正を行う。また、条件調整部25はこの場合、目標値が達成されると、次に、上記所定量を所定割合で減少させ、付保率を減少後の所定量ずつ下降させる修正を行う。これで目標値が達成できなくなると、次にさらに上記減少させた後の所定量をまた所定割合で減少させ、このさらなる減少後の所定量ずつ上昇させながら目標値が達成されるまで演算を繰り返す、といったように、再帰的に、予め定めた範囲内に修正内容が収束するまで処理を繰り返す。
【0029】
さらに本実施の形態では条件調整部25は、上述のように目標値種別に対して修正方法が複数割り当てられている場合は、それぞれの修正方法に基づく修正結果を別々に生成するようにしてもよい。
【0030】
情報提示部26は、第1見積情報と第2見積情報とを例えばディスプレイやプリンタなどに出力する。具体的にこの情報提示部26は、図6〜図9に示すように、各財務諸表等を通常操業(事故なし)と、操業停止(事故あり)とを並べて、それぞれを対比可能な態様で出力する。さらに、図6〜図9では、事故なしの場合と比べた事故ありの際の状況を、それぞれの値の増減や不足額などを併せて出力するようにしている。
【0031】
さらにこの情報提示部26は、条件調整部25に対してユーザが目標値を設定した場合は、図10に示すように、目標値を達成する場合の保険条件等を提示する(図10のE,F)。なお、図10のE,Fでは、条件調整部25が、2つの修正方法のそれぞれについての修正結果を出力し、両者を表示する場合を示している。
【0032】
次に、本実施の形態に係る事故リスク評価支援装置の動作について説明する。ユーザが基本情報を操作部13を用いて入力すると、制御部11がこれを記憶部12に格納するとともに、当該基本情報に基づいて分析パラメータを生成して記憶部12に保持する。
【0033】
制御部11は、基本情報と分析パラメータとに基づいて無事故時情報と、事故時情報とを生成し、これらを記憶部12に格納するとともに、表示部14に表示出力する。
【0034】
また、制御部11は、ユーザが操作部13を操作して例えばキャッシュフロー計算書増加額を「0」にすべき旨の指示、すなわち、財務諸表等における値の少なくとも一つを目標値として設定する指示を行うと、この目標値を達成するために基本情報を修正して修正基本情報を生成し、この修正基本情報に基づく分析パラメータを修正分析パラメータとして生成し、修正基本情報と修正分析パラメータとを生成する。制御部11は、この演算を再帰的に繰り返して行い、目標値を達成するために基本情報に対して修正すべき部分(保険条件等、調整可能な部分の一部)を表示部14に表示してユーザに提示する。
【0035】
なお、この基本情報に対する修正方法が複数ある場合に、すべてに基づいて修正結果を演算しなくてもよい。また、演算された修正結果のすべてを出力しなくてもよい。
【0036】
[売上高の入力支援]
これらの処理の流れにおいて、企業によっては、売上高を製造関係と仕入関係とで区分していない企業なども多いことに鑑みて、本実施の形態の制御部11は、基本情報の一部をなす、売上高の情報の入力を次のように支援する。
【0037】
すなわち、入力されている当期の製品原価及び当期の商品仕入高とを用いて、売上高中の製造関連の売上高情報と仕入関連の売上高情報との比率を推定し、区分前の売上高の総計(製造関係売上高+仕入関係売上高)に推定した比率を乗じて製造関係売上高と仕入関係売上高との推定値をそれぞれ生成し、これらをそれぞれの売上高として基本情報に含める。
【0038】
[付保の有無に基づく分析]
また、制御部11は、事故が発生したときの結果の概要について、図10に示したように、事故がないときの状態(図10のA)に対し、事故があるときの状態(図10のB〜F)を財物保険の有無と利益保険の有無とのパターンに分けて事故時情報の計算をそれぞれ行い、その結果を提示してもよい(図10のB〜D)。なお、図10では、付保ありの場合を「○」、なしの場合を「×」で示している。
【0039】
このように本実施の形態によると、事故の発生が企業活動にどのように影響するかについて財務諸表などの会計上の分析書面に具体的に表すことができ、また通常時はオフバランスにある保険などの情報をオンバランスした状況を具体的に示すことができる。このため、保険設計にも資することができる。さらに、企業活動の停止期間に発生する損失についても配慮しており、分析の結果の正確性をより高めている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る事故リスク評価支援装置の構成ブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る制御部11が実行するプログラムの構成例を表す機能ブロック図である。
【図3】入力される基本情報のうち損害額に関する部分の一例を表す説明図である。
【図4】入力される基本情報のうち保険条件に関する部分の一例を表す説明図である。
【図5】入力される基本情報のうち原状回復の条件に関する部分の一例を表す説明図である。
【図6】提示される見積情報のうち貸借対照表に関する部分の一例を表す説明図である。
【図7】提示される見積情報のうち損益計算書に関する部分の一例を表す説明図である。
【図8】提示される見積情報のうち製造原価報告書に関する部分の一例を表す説明図である。
【図9】提示される見積情報のうちキャッシュフロー計算書に関する部分の一例を表す説明図である。
【図10】提示される情報の別の例を表す説明図である。
【符号の説明】
11 制御部、12 記憶部、13 操作部、14 表示部、21 基本情報入力部、22 分析パラメータ生成部、23 無事故時情報生成部、24 事故時情報生成部、25 条件調整部、26 情報提示部。
Claims (7)
- 事故発生に伴う、企業活動に対するリスク評価を支援する装置であって、
評価の対象となった企業活動の実績情報と、企業資産に対する事故の影響を価格で表したリスク見積情報と、企業が有している保険に関する条件を表す保険条件情報と、前記事故によって影響された企業資産を原状に回復するための資金調達に関する条件を表す原状回復条件情報と、を含んだ基本情報の入力を受け入れる手段と、
前記基本情報に基づいて、事故がない場合の第1見積貸借対照表、第1見積損益計算書、第1見積キャッシュフロー計算書を含んだ、無事故時情報を生成する無事故時情報生成手段と、
前記基本情報に基づいて、事故がある場合の第2見積貸借対照表、第2見積損益計算書、第2見積キャッシュフロー計算書を含んだ、事故時情報を生成する事故時情報生成手段と、
前記無事故時情報と事故時情報とをユーザに提示する手段と、
を含んでなる事故リスク評価支援装置。 - 請求項1に記載の事故リスク評価支援装置において、
前記受け入れた基本情報から企業活動の財務状況を表す分析パラメータを生成する手段をさらに含み、
前記無事故時情報生成手段及び前記事故時情報生成手段は、いずれも前記生成された同じ分析パラメータを利用して、それぞれ無事故時情報及び事故時情報を生成することを特徴とする事故リスク評価支援装置。 - 請求項1又は2に記載の事故リスク評価支援装置において、
前記事故時情報に含まれる第2見積貸借対照表、第2見積損益計算書、第2見積キャッシュフロー計算書の少なくとも一部を目標値として設定し、当該目標値を満足する原状回復条件情報を演算して少なくとも一つ確定し、当該確定した少なくとも一つの原状回復条件情報をユーザに提示する手段をさらに含む事故リスク評価支援装置。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載の事故リスク評価支援装置において、
前記事故時情報生成手段は、事故がある場合の事故時情報を、当該事故に伴う企業活動の停止期間中の製造関連の売上高情報と仕入関連の売上高情報とを用いて生成することを特徴とする事故リスク評価支援装置。 - 請求項4に記載の事故リスク評価支援装置において、
前記基本情報内で、売上高が製造関連の売上高情報と仕入関連の売上高情報とに分離されていない場合に、当期の製品原価及び当期の商品仕入高を用いて、売上高中の製造関連の売上高情報と仕入関連の売上高情報との比率を推定する手段をさらに含み、
前記事故時情報生成手段は、当該推定された製造関連の売上高情報と仕入関連の売上高情報とを用いて事故時情報を生成することを特徴とする事故リスク評価支援装置。 - 事故発生に伴う、企業活動に対するリスク評価を支援するために、コンピュータを制御する方法であって、コンピュータを用い、
評価の対象となった企業活動の実績情報と、企業資産に対する事故の影響を価格で表したリスク見積情報と、企業が有している保険に関する条件を表す保険条件情報と、前記事故によって影響された企業資産を原状に回復するための資金調達に関する条件を表す原状回復条件情報と、を含んだ基本情報の入力を受け入れさせる工程と、
前記基本情報に基づいて、事故がない場合の第1見積貸借対照表、第1見積損益計算書、第1見積キャッシュフロー計算書を含んだ、無事故時情報を生成させる無事故時情報生成工程と、
前記基本情報に基づいて、事故がある場合の第2見積貸借対照表、第2見積損益計算書、第2見積キャッシュフロー計算書を含んだ、事故時情報を生成させる事故時情報生成工程と、
前記無事故時情報と事故時情報とをユーザに提示させる工程と、
を含んでなる事故リスク評価支援方法。 - 事故発生に伴う、企業活動に対するリスク評価を支援するためのプログラムであって、コンピュータに、
評価の対象となった企業活動の実績情報と、企業資産に対する事故の影響を価格で表したリスク見積情報と、企業が有している保険に関する条件を表す保険条件情報と、前記事故によって影響された企業資産を原状に回復するための資金調達に関する条件を表す原状回復条件情報と、を含んだ基本情報の入力を受け入れる手順と、
前記基本情報に基づいて、事故がない場合の第1見積貸借対照表、第1見積損益計算書、第1見積キャッシュフロー計算書を含んだ、無事故時情報を生成する無事故時情報生成手順と、
前記基本情報に基づいて、事故がある場合の第2見積貸借対照表、第2見積損益計算書、第2見積キャッシュフロー計算書を含んだ、事故時情報を生成する事故時情報生成手順と、
前記無事故時情報と事故時情報とをユーザに提示する手順と、
を実行させることを特徴とする事故リスク評価支援プログラム。
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JP2003051690A JP2004259188A (ja) | 2003-02-27 | 2003-02-27 | 事故リスク評価支援装置 |
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JP2003051690A JP2004259188A (ja) | 2003-02-27 | 2003-02-27 | 事故リスク評価支援装置 |
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- 2003-02-27 JP JP2003051690A patent/JP2004259188A/ja active Pending
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