JP2003067580A - リスクヘッジ方法及びリスクヘッジシステム - Google Patents

リスクヘッジ方法及びリスクヘッジシステム

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JP2003067580A
JP2003067580A JP2001259626A JP2001259626A JP2003067580A JP 2003067580 A JP2003067580 A JP 2003067580A JP 2001259626 A JP2001259626 A JP 2001259626A JP 2001259626 A JP2001259626 A JP 2001259626A JP 2003067580 A JP2003067580 A JP 2003067580A
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risk hedging
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JP2001259626A
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Yoshio Ichida
良夫 市田
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 事業リスクに対して有効に対処することがで
き、将来得られるであろう収益を正確に予測又は評価す
ることができるリスクヘッジ方法を提供する。 【解決手段】 コンピュータシステムは、リスクヘッジ
を行う際に、まず事業価値(確率変数)を演算する(ス
テップS1)。次に、金融商品、保険等の任意のリスク
ヘッジ手法を設定する(ステップS2)。続いて、この
リスクヘッジ手法により事業リスクを変換した場合にお
ける、変換後のリスク特性を演算する(ステップS
3)。そして、このリスク特性が事業者の希望するリス
ク特性に近いか(合致するか)どうかを判定する(ステ
ップS4)。ここで、変換後のリスク特性が事業者の希
望するリスク特性に十分近ければ、このリスクヘッジ手
法を用いてリスクヘッジを行う。他方、変換後のリスク
特性が事業者の希望するリスク特性に近くなければ、ス
テップS2〜ステップS4を繰り返す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンピュータシス
テムを用いて、事業計画の実行に伴われる事業リスク
を、事業者が希望するリスク特性を備えた最適なものに
ヘッジして、事業収益ないしは経営を安定化させるリス
クヘッジ方法及びリスクヘッジシステムに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】継続的な事業を営む事業者が事業計画を
実行する上においては、該事業計画によって得られるで
あろう収益ないしは利益を短期的又は長期的に予測する
などして、該事業計画を評価することが必要不可欠であ
る。そして、このような事業計画の評価は、従来、該事
業計画に関連する将来の種々の事象を仮定し、この仮定
をもとにしてシミュレーションを行い、該事業計画が収
益ないしは利益を生み出すかどうかを検証するなどとい
った手法で行われている。このような事業計画のシミュ
レーションは、例えば、コンピュータ等を用いて将来の
事業計画を策定し、予め定義した乱数により発生する値
を用いるなどといった手法で行われる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の事業計画の評価手法は、事業者ないしは評価
者の仮定に基づいてどれくらいの収益ないしは利益を生
むかを計算するだけであり、不測の損害を惹起する種々
の要因、すなわち事業リスクにどう対処するかというこ
とについては、ほとんど考慮していない。このため、か
かる事業計画を実行した場合、不測の損害により、予測
どおりの収益ないしは利益が得られない事態がしばしば
生じるといった問題がある。
【0004】本発明は、上記従来の問題を解決するため
になされたものであって、事業計画を実行する上におい
て、種々の事業リスクに対して有効に対処することがで
き、将来得られるであろう収益ないしは利益を正確に予
測又は評価することができる手段を提供することを解決
すべき課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
になされた本発明の第1の態様にかかる、リスクヘッジ
方法は、(i)コンピュータシステムにより、事業リス
クを事業者が希望するリスク特性を備えたものにヘッジ
(変換)するリスクヘッジ方法であって、(ii)記憶装
置(例えば、外部記憶装置)に記憶されているリスク要
因データベースを用いて、リスクヘッジを行わない場合
における将来の事業リスクを演算するステップと、(ii
i)上記事業リスクに対して、それぞれ任意のリスクヘ
ッジを行ったものと仮定して複数の仮定事業リスクを演
算するステップと、(iv)入力装置を介してコンピュー
タに入力された事業者が希望するリスク特性と、上記各
仮定事業リスクのリスク特性とを比較してこれらの適合
度合いを演算し、該適合度合いが最も高い(良い)仮定
事業リスクに対応するリスクヘッジ手法を選択(設定)
するステップとを含んでいることを特徴とするものであ
る。
【0006】本発明の第2の態様にかかるリスクヘッジ
方法は、上記第1の態様にかかるリスクヘッジ方法にお
いて、事業リスクを、該事業に関わる変数のうち将来の
事象に関するものを確率変数であらわした上で、該確率
変数の和として演算することを特徴とするものである。
【0007】本発明の第3の態様にかかるリスクヘッジ
方法は、上記第1又は第2の態様にかかるリスクヘッジ
方法において、仮定事業リスクのリスク特性と事業者が
希望するリスク特性との適合度合いを、確率分布関数の
適合度合いとして演算することを特徴とするものであ
る。
【0008】本発明の第4の態様にかかるリスクヘッジ
方法は、上記第1〜第3の態様にかかるリスクヘッジ方
法において、想定される事業リスクに対して、保険によ
るリスクヘッジを行う場合とカタストロフィオプション
や天候デリバティブ等の金融商品によるリスクヘッジを
行う場合とを比較して、最もコストの安いリスクヘッジ
手法を選択することを特徴とするものである。
【0009】本発明の第5の態様にかかるリスクヘッジ
方法は、上記第1〜第3の態様にかかるリスクヘッジ方
法において、想定される事業リスクに対して、保険等の
リスク移転型のリスクヘッジを行う場合と点検補修等の
リスク保有型のリスクヘッジを行う場合とを比較して、
最もコストの低いリスクヘッジ手法を選択することを特
徴とするものである。
【0010】本発明の第6の態様にかかるリスクヘッジ
システム(コンピュータシステム)は、(i)コンピュ
ータを備えた、事業リスクを事業者が希望するリスク特
性を備えたものにヘッジ(変換)するリスクヘッジシス
テムであって、(ii)記憶装置(例えば、外部記憶装
置)に記憶されているリスク要因データベースを用い
て、リスクヘッジを行わない場合における将来の事業リ
スクを演算するリスク演算手段と、(iii)リスク演算
手段によって演算された事業リスクに対して、それぞれ
任意のリスクヘッジを行ったものと仮定して複数の仮定
事業リスクを演算する仮定リスク演算手段と、(iv)入
力装置を介してコンピュータに入力された事業者が希望
するリスク特性と、仮定リスク演算手段によって演算さ
れた各仮定事業リスクのリスク特性とを比較してこれら
の適合度合いを演算し、該適合度合いが最も高い(良
い)仮定事業リスクに対応するリスクヘッジ手法を選択
(設定)するリスクヘッジ手法選択手段とを備えている
ことを特徴とするものである。
【0011】本発明の第7の態様にかかるリスクヘッジ
システムは、上記第6の態様にかかるリスクヘッジシス
テムにおいて、リスク演算手段が、事業リスクを、該事
業に関わる変数のうち将来の事象に関するものを確率変
数であらわした上で、該確率変数の和として演算するよ
うになっていることを特徴とするものである。
【0012】本発明の第8の態様にかかるリスクヘッジ
システムは、上記第6又は第7の態様にかかるリスクヘ
ッジシステムにおいて、リスクヘッジ手法選択手段が、
仮定リスク演算手段によって演算された仮定事業リスク
のリスク特性と事業者が希望するリスク特性との適合度
合いを、確率分布関数の適合度合いとして演算するよう
になっていることを特徴とするものである。
【0013】本発明の第9の態様にかかるリスクヘッジ
システムは、上記第6〜第8の態様のいずれか1つにか
かるリスクヘッジシステムにおいて、リスクヘッジ手法
選択手段が、想定される事業リスクに対して、保険によ
るリスクヘッジを行う場合と、カタストロフィオプショ
ンや天候デリバティブ等の金融商品によるリスクヘッジ
を行う場合とを比較して、最もコストの安いリスクヘッ
ジ手法を選択するようになっていることを特徴とするも
のである。
【0014】本発明の第10の態様にかかるリスクヘッ
ジシステムは、上記第6〜第8の態様のいずれか1つに
かかるリスクヘッジシステムにおいて、リスクヘッジ手
法選択手段が、想定される事業リスクに対して、保険等
のリスク移転型のリスクヘッジを行う場合と、点検補修
等のリスク保有型のリスクヘッジを行う場合とを比較
し、最もコストの低いリスクヘッジを選択するようにな
っていることを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、主として電力事業を例にと
って、本発明の実施の形態を具体的に説明するが、本発
明が電力事業に限定されるものではないことはもちろん
である。図1は、本発明にかかるリスクヘッジ方法ない
しはリスクヘッジシステムを利用した電力事業計画シス
テムの概略構成を示すブロック図である。まず、この電
力事業計画システムの概要を説明する。この電力事業計
画システムは、該電力事業に付随する様々なリスク要因
をヘッジして、これを事業者が最も好むリスク特性に変
換することを特徴とする。
【0016】図1に示すように、この電力事業計画シス
テムは、実質的に、電力事業計画部11と、将来収益算
出部12と、リスクヘッジ手法検索部13と、最適リス
クヘッジ手法選択部14とで構成されている。電力事業
計画部11では、電力事業計画が策定される。そして、
将来収益算出部12では、該電力事業計画を実行した場
合における将来の収益ないしは利益の予測値(事業価
値)が算出される。
【0017】ところで、かかる電力事業計画には、系統
故障リスク、発電ユニット故障リスク、マーケットリス
ク、需要変動リスクをはじめとする様々な事業リスクな
いしはリスク要因が存在する。したがって、将来収益算
出部12で算出される将来の収益ないしは利益の予測値
は、このような事業リスクに起因する不確定要素を含む
不確実なものとなり、事業収益ないしは経営の安定化の
妨げとなっている。
【0018】そこで、この電力事業計画システムでは、
リスクヘッジ手法検索部13及び最適リスクヘッジ手法
選択部14で、このような事業リスクのリスク特性を好
ましくヘッジすることにより、該電力事業計画の収益な
いしは利益の予測精度を高め、事業収益ないしは経営の
安定化を図るようにしている。すなわち、リスクヘッジ
手法検索部13では、該電力事業計画に用いることが可
能な様々なリスクヘッジ手法が検索ないしは抽出され
る。そして、最適リスクヘッジ手法選択部14では、こ
れらのリスクヘッジ手法の中から、事業リスクを事業者
が希望するリスク特性にヘッジすることができるリスク
ヘッジ手法が選択(設定)される。かくして、選択され
た最適なリスクヘッジ手法により、事業リスクが事業者
の好むリスク特性にヘッジされ、安定した経営が実現さ
れる。
【0019】この電力事業計画システムにおけるリスク
ヘッジは、コンピュータシステムを用いて自動的に行わ
れる。換言すれば、リスクヘッジ手法検索部13及び最
適リスクヘッジ手法選択部14は、コンピュータシステ
ムを必須の構成要素とする。図2は、かかるリスクヘッ
ジを実行するためのコンピュータシステムの構成を示す
ブロック図である。図2に示すように、このコンピュー
タシステムには、入出力インターフェース15a、主記
憶部15b、制御部15c、演算部15d等を備えたコ
ンピュータ15が設けられている。
【0020】そして、入出力インターフェース15aに
は、該コンピュータ15を他のコンピュータシステム
(図示せず)やインターネット等のネットワーク(図示
せず)に接続するためのイーサネット(登録商標)ボー
ド16が接続されている。また、入出力インターフェー
ス15aには、入力装置であるマウス17及びキーボー
ド18と、出力装置であるモニタ19及びプリンタ20
とが接続されている。さらに、入出力インターフェース
15aには、外部記憶装置21(例えば、ハードディス
ク)が接続されている。この外部記憶装置21には、前
記種々のリスク要因のリスク特性が記憶されている。す
なわち、外部記憶装置15はリスク要因データベースを
兼ねている。
【0021】主記憶部15bは、例えばDRAM(ダイ
ナミック・ランダム・アクセス・メモリ)等からなるコ
ンピュータ15の内部記憶装置であり、種々のプログラ
ム、データ等を記憶している。制御部15cは、主記憶
部15b及び演算部15dを制御する。演算部15d
(リスク演算手段、仮定リスク演算手段、リスクヘッジ
手法選択手段)は、制御部15dにより制御されて種々
の演算を行い、その結果を主記憶部15b等に格納す
る。
【0022】このコンピュータ15は、およそ次のよう
な手順でリスクヘッジを実行する。すなわち、演算部1
5dは、まず外部記憶装置21に記憶されているリスク
要因データベースを用いて、リスクヘッジを行わない場
合における将来の事業リスクを演算する。続いて、演算
部15dは、この事業リスクに対して、それぞれ任意の
リスクヘッジを行ったものと仮定して、前記種々の仮定
事業リスクのリスク特性値を演算する。さらに、演算部
15dは、マウス17又はキーボード18を介してコン
ピュータ15に入力された事業者が希望するリスク特性
と、上記各仮定事業リスクのリスク特性とを比較してこ
れらの適合度合いを演算し、該適合度合いが最も高い仮
定事業リスクに対応するリスクヘッジ手法を選択する。
これにより、事業リスクを、事業者が希望するリスク特
性を備えたものにヘッジする。
【0023】以下、このコンピュータシステムによるリ
スクヘッジ手法を、より具体的に説明する。表1に示す
ように、ある電力事業の将来のキャッシュフローを設定
する。表1中において、営業利益、減価償却費、投資及
び運転資本の変化についての各値は、将来の事象につい
てのものであって確定しているものではないので、確率
変数として定義される。
【0024】表1 将来のキャッシュフロー説明表
【0025】ここで、この電力事業と無危険資産による
資金運用との間には裁定機会が存在しないことを考慮す
れば、この電力事業の事業価値は、式1を用いて計算す
ることができる。
【数1】
【0026】ただし、式1において、rは、銀行預金
利率などの無危険利子率(無危険資産利子率)である。
また、FCFは、資金を100%株主資本でまかなっ
た場合におけるキャッシュフローであり、式2であらわ
される。なお、FCF中の肩文字「k」は、累乗をあ
らわすものではなく、Σ計算を行う上でのインデックス
(順番を示す指標)である。 FCF=B(1−T)+D−I+S……………………………式2 B:営業利益 T :税率 D:減価償却費 I:投資 S:運転資本の変化
【0027】さらに、事業リスクを考慮すると、投資者
(資産保有者)は事業リスクに見合ったリターンを要求
する。すなわち、電力事業全体と特定電力会社との収益
に関して裁定機会が存在しないということを考慮して、
無危険利子率rを、式3で示すリスク込みの利子率E
(r)に置き換える。この場合、事業価値は、式4を用
いて計算することができる。
【0028】
【数2】 ただし、式3ないしは式4において、リスク込みの利子
率E(r)は期待値であり、βは事業iの収益の産業
平均への感度であり、rは産業全体での収益率であ
る。なお、式3及び式4で示す評価モデルはCAPM
(Capital Asset Pricing Model:資本資産評価モデ
ル)である。
【0029】さらに、資本調達コスト(借り入れ負債に
対する利子及び株主資本への配当)を考慮に入れる。こ
こで、債券市場及び株式市場への利益還元は比例配分す
る。この場合、ディスカウントファクタWACCは、式
5であらわされる。なお、資本の調達手法が異なる場合
は、式5は改変が必要である。
【0030】
【数3】
【0031】式5の右辺の前段T1は債券市場への利益
還元、すなわち負債の利子であり、後段T2は株式市場
への利益還元、すなわち株主への配当金である。なお、
式5において、Dは長期負債の時価であり、Eは株主資
本の時価であり、Tは実効税率であり、rは負債の利
子である。また、式5において、rは、 r+β(r−r)−株主が要求する利回り(=C
APM) である。
【0032】このとき、事業価値は、式6を用いて計算
することができる。
【数4】
【0033】ところで、上記のように計算される事業価
値は、各変数が確率変数であることに鑑みれば、事業価
値全体も確率変数となる。すなわち、想定する電力事業
は将来に関するものであるため、様々な不確定要因を持
ち、このことが事業価値の不確定性につながっている。
例えば、各変数が、式7に示すように全て正規分布を持
つ場合を例にとって説明する。
【0034】
【数5】
【0035】ここで、事業価値の平均μ及び標準偏差σ
(ないしは分散σ)は、それぞれ、式8及び式9によ
り計算される。
【数6】
【0036】そして、このような確率変数で定義される
電力事業について、コンピュータシステム(リスクヘッ
ジシステム)によって、最適なリスクヘッジ手法が選択
される。図3は、図2に示すコンピュータシステムを用
いて、事業リスクのリスク特性を、事業者が希望する最
適なリスク特性にヘッジ(変換)するためのリスクヘッ
ジ手法の一例を示すフローチャートである。
【0037】以下、図3を参照しつつ、このコンピュー
タシステムによるリスクヘッジ手順の概要を説明する。
図3に示すように、このリスクヘッジ手順では、まず事
業価値(確率変数)を演算する(ステップS1)。次
に、金融商品、保険等の複数のリスクヘッジ手法を選定
する(ステップS2)。続いて、任意の1つのリスクヘ
ッジ手法により事業リスクをヘッジ(変換)した場合に
おける、変換後のリスク特性を演算する(ステップS
3)。
【0038】そして、このリスク特性が事業者の希望す
るリスク特性に近いか(合致するか)どうかを判定する
(ステップS4)。ここで、変換後のリスク特性が事業
者の希望するリスク特性に十分に近ければ(YES)、
このリスクヘッジ手法を用いてリスクヘッジを実施す
る。他方、変換後のリスク特性が事業者の希望するリス
ク特性に近くなければ(NO)、ステップS2〜ステッ
プS4を繰り返し、最適なリスクヘッジ手法を見出し
て、このリスクヘッジ手法を用いてリスクヘッジを実施
する。
【0039】以下、このリスクヘッジ手法をより詳しく
説明する。ステップS1では、所定の電力事業計画の事
業価値が、上記で説明した手法により、式8及び式9を
用いて、確率変数として定義される。例えば、このよう
にして定義された事業価値(確率変数)の平均μが1億
円であり、標準偏差σが1000万円であったとする。
この場合、事業者は、平均的には、収益が1億円となる
ことを期待することができる。しかしながら、これは必
ずしも1億円の収益を保証するものではない。
【0040】ここで、例えば、事業者が何らかの都合に
より、最低限でも8000万円の収益を確保することを
希望しているとする。この場合、事業者は、何らかのリ
スクヘッジを行って、不確実な1億円の収益を確実な8
000万円の収益に変換することになる。このような不
確定要因に備えるためのリスクヘッジ手法としては、例
えば、(1)天候デリバティブ等の金融商品を購入す
る、(2)燃料の先物契約をする、(3)為替先物取引
をする、(4)保険契約を行うなどといった種々のもの
がある。
【0041】なお、かかるリスクヘッジ手法は、リスク
移転型リスクヘッジ手法と、リスク保有型リスクヘッジ
手法とに大別される。また、リスク移転型リスクヘッジ
手法は、保険型リスクヘッジ手法と金融商品型リスクヘ
ッジ手法とに大別される。保険型リスクヘッジ手法は、
予想されるリスクに対して損害保険をかけ、該リスクが
現実化して損害が発生したときには、該損害を保険金で
補填するといったものである。この場合、保険金の支払
額上限を高くすれば該損害の補填がより確実化される
が、あまり支払額上限を高くすると保険の掛け金に要す
る費用がかさみ、そのことが新たなリスクとなる。そこ
で、例えば、リスクヘッジに失敗する確率の許容限界値
を予め設定しておき、リスクヘッジに失敗する確率がこ
の許容限界値以下となる範囲内で最小の支払額上限を設
定すればよい。
【0042】金融商品型リスクヘッジ手法は、予想され
るリスクに対して、該リスクが現実化したときに利益を
生むような金融商品を購入しておき、該リスクが現実化
して損害が発生したときには、該損害を金融商品の生み
出す利益により補填するといったものである。この場
合、金融商品の購入数を多くすれば該損害の補填がより
確実化されるが、あまり購入数を多くすると購入に要す
る費用がかさみ、そのことが新たなリスクとなる。そこ
で、例えば、リスクヘッジに失敗する確率の許容限界値
を予め設定しておき、リスクヘッジに失敗する確率がこ
の許容限界値以下となる範囲内で最小数の金融商品を購
入すればよい。
【0043】このような金融商品型リスクヘッジ手法の
具体例としては、例えば、予想されるリスクが冷夏(電
力需要が減少する)である場合において、冷夏であれば
利益を生み出す天候デリバティブなどがあげられる。ま
た、カタストロフィオプションも金融商品型リスクヘッ
ジ手法として用いることができる。
【0044】リスク保有型リスクヘッジ手法は、予想さ
れるリスクの発生を抑制ないしは防止する方策を事業者
自らの出費をもって実行し、該リスクの現実化を防止す
るものである。例えば、予想されるリスクが発電装置等
の故障である場合、格別の費用を投じて特別な点検を行
い、該故障の発生を抑制ないしは防止するなどといった
リスクヘッジ手法である。
【0045】このように、利用可能な多数のリスクヘッ
ジ手法が存在するので、一般的には、事業者にとってど
れが最適なリスクヘッジ手法であるかを判断するのは非
常にむずかしい。そこで、本発明では、コンピュータシ
ステムを用いて、ステップS2〜ステップS4に示すよ
うな手順で、最適なリスクヘッジ手法を選択(設定)す
るようにしている。
【0046】すなわち、事業リスクに対してリスクヘッ
ジを何も行わない場合のリスク特性(収益の確率分布)
をXとする。そして、ステップS2で、該事業リスクに
対して任意のリスクヘッジ手法、例えば、金融商品(例
えば、先物契約)や保険などを購入ないしは契約を選定
する。次に、ステップS3で、このリスクヘッジを実施
したものと仮定して該事業リスクのリスク特性を変換
し、この変換されたリスク特性をYとする。そして、ス
テップS4で、XとYの適合度合い(近似度合い)を計
測し、全ての組み合わせの中から、事業者の希望に最も
近いリスクヘッジ手法を最適リスクヘッジ手法とする。
なお、確率変数の適合度合いは、例えば各事象の起こる
確率をベクトル量として定義し、そのユークリッド距離
で計算すればよい。
【0047】かくして、この電力事業計画システム(リ
スクヘッジシステム)では、該事業計画を実行する上に
おいて、種々の事業リスクに対して有効に対処すること
ができ、将来得られるであろう収益ないしは利益を正確
に予測又は評価することができる。
【0048】
【発明の効果】本発明の第1の態様にかかるリスクヘッ
ジ方法によれば、コンピュータシステムにより自動的
に、事業者が希望するリスク特性に最も適合するリスク
特性をもつ最適なリスクヘッジ手法を用いて事業リスク
がヘッジされる。このため、事業計画を実行する上にお
いて、種々の事業リスクに対して有効に対処することが
でき、将来得られるであろう収益ないしは利益を正確に
予測又は評価することができる。
【0049】本発明の第2の態様にかかるリスクヘッジ
方法によれば、まず、本発明の第1の態様にかかるリス
クヘッジ方法の場合と同様の作用・効果が得られる。さ
らに、事業リスクが確率変数であらわされる事業に関わ
る変数の和として演算されるので、様々なリスク指標を
正確に計算することができる。
【0050】本発明の第3の態様にかかるリスクヘッジ
方法によれば、まず、本発明の第1又は第2の態様にか
かるリスクヘッジ方法の場合と同様の作用・効果が得ら
れる。さらに、仮定事業リスクのリスク特性と事業者が
希望するリスク特性との適合度合いが確率分布関数の適
合度合いとして演算されるので、事業者の希望するリス
ク特性との近似度合いを正確に計算することができる。
【0051】本発明の第4の態様にかかるリスクヘッジ
方法によれば、まず、本発明の第1〜第3の態様のいず
れか1つにかかるリスクヘッジ方法の場合と同様の作用
・効果が得られる。さらに、保険によるリスクヘッジ手
法と金融商品によるリスクヘッジ手法とを比較して、最
もコストの安いリスクヘッジ手法が選択されるので、リ
スクヘッジのコストを低減することができる。
【0052】本発明の第5の態様にかかるリスクヘッジ
方法によれば、まず、本発明の第1〜第3の態様のいず
れか1つにかかるリスクヘッジ方法の場合と同様の作用
・効果が得られる。さらに、リスク移転型のリスクヘッ
ジ手法とリスク保有型のリスクヘッジ手法とを比較し
て、最もコストの低いリスクヘッジ手法が選択されるの
で、リスクヘッジのコストを低減することができる。
【0053】本発明の第6の態様にかかるリスクヘッジ
システムによれば、本発明の第1の態様にかかるリスク
ヘッジ方法の場合と同様に、種々の事業リスクに対して
有効に対処することができ、将来得られるであろう収益
ないしは利益を正確に予測又は評価することができる。
【0054】本発明の第7の態様にかかるリスクヘッジ
システムによれば、本発明の第2の態様にかかるリスク
ヘッジ方法の場合と同様に、将来得られるであろう収益
ないしは利益を正確に予測又は評価することができ、か
つ様々なリスク指標を正確に計算することができる。
【0055】本発明の第8の態様にかかるリスクヘッジ
システムによれば、本発明の第3の態様にかかるリスク
ヘッジ方法の場合と同様に、将来得られるであろう収益
ないしは利益を正確に予測又は評価することができ、か
つ事業者の希望するリスク特性との近似度合いを正確に
計算することができる。
【0056】本発明の第9の態様にかかるリスクヘッジ
システムによれば、本発明の第4の態様にかかるリスク
ヘッジ方法の場合と同様に、将来得られるであろう収益
ないしは利益を正確に予測又は評価することができ、か
つリスクヘッジのコストを低減することができる。
【0057】本発明の第10の態様にかかるリスクヘッ
ジシステムによれば、本発明の第5の態様にかかるリス
クヘッジ方法の場合と同様に、将来得られるであろう収
益ないしは利益を正確に予測又は評価することができ、
かつリスクヘッジのコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかるリスクヘッジ方法ないしはリ
スクヘッジシステムを用いた電力事業計画システムの概
略構成を示すブロック図である。
【図2】 本発明にかかるリスクヘッジを実行するコン
ピュータシステムの概略構成を示すブロック図である。
【図3】 図2に示すコンピュータシステムにより実行
されるリスクヘッジの実施手順を示すフローチャートで
ある。
【符号の説明】
11 電力事業計画部、 12 将来収益算出部、 1
3 リスクヘッジ手法検索部、 14 最適リスクヘッ
ジ手法選択部、 15 コンピュータ、 15a 入出
力インターフェース、 15b 主記憶部、 15c
制御部、 15d 演算部、 16 イーサネット(登
録商標)ボード、 17 マウス、 18 キーボー
ド、 19 モニタ、 20 プリンタ、 21 外部
記憶装置。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンピュータシステムにより、事業リス
    クを事業者が希望するリスク特性を備えたものにヘッジ
    するリスクヘッジ方法であって、 記憶装置に記憶されているリスク要因データベースを用
    いて、リスクヘッジを行わない場合における将来の事業
    リスクを演算するステップと、 上記事業リスクに対して、それぞれ任意のリスクヘッジ
    を行ったものと仮定して複数の仮定事業リスクを演算す
    るステップと、 入力装置を介してコンピュータに入力された事業者が希
    望するリスク特性と、上記各仮定事業リスクのリスク特
    性とを比較してこれらの適合度合いを演算し、該適合度
    合いが最も高い仮定事業リスクに対応するリスクヘッジ
    手法を選択するステップとを含んでいることを特徴とす
    るリスクヘッジ方法。
  2. 【請求項2】 上記事業リスクを、該事業に関わる変数
    のうち将来の事象に関するものを確率変数であらわした
    上で、該確率変数の和として演算することを特徴とする
    請求項1に記載のリスクヘッジ方法。
  3. 【請求項3】 上記仮定事業リスクのリスク特性と事業
    者が希望するリスク特性との適合度合いを、確率分布関
    数の適合度合いとして演算することを特徴とする請求項
    1又は2に記載のリスクヘッジ方法。
  4. 【請求項4】 想定される事業リスクに対して、保険に
    よるリスクヘッジを行う場合とカタストロフィオプショ
    ンや天候デリバティブ等の金融商品によるリスクヘッジ
    を行う場合とを比較して、最もコストの安いリスクヘッ
    ジ手法を選択することを特徴とする請求項1〜3のいず
    れか1つに記載のリスクヘッジ方法。
  5. 【請求項5】 想定される事業リスクに対して、保険等
    のリスク移転型のリスクヘッジを行う場合と点検補修等
    のリスク保有型のリスクヘッジを行う場合とを比較し
    て、最もコストの低いリスクヘッジ手法を選択すること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のリス
    クヘッジ方法。
  6. 【請求項6】 コンピュータを備えた、事業リスクを事
    業者が希望するリスク特性を備えたものにヘッジするリ
    スクヘッジシステムであって、 記憶装置に記憶されているリスク要因データベースを用
    いて、リスクヘッジを行わない場合における将来の事業
    リスクを演算するリスク演算手段と、 リスク演算手段によって演算された事業リスクに対し
    て、それぞれ任意のリスクヘッジを行ったものと仮定し
    て複数の仮定事業リスクを演算する仮定リスク演算手段
    と、 入力装置を介してコンピュータに入力された事業者が希
    望するリスク特性と、仮定リスク演算手段によって演算
    された各仮定事業リスクのリスク特性とを比較してこれ
    らの適合度合いを演算し、該適合度合いが最も高い仮定
    事業リスクに対応するリスクヘッジ手法を選択するリス
    クヘッジ手法選択手段とを備えていることを特徴とする
    リスクヘッジシステム。
  7. 【請求項7】 リスク演算手段が、上記事業リスクを、
    該事業に関わる変数のうち将来の事象に関するものを確
    率変数であらわした上で、該確率変数の和として演算す
    るようになっていることを特徴とする請求項6に記載の
    リスクヘッジシステム。
  8. 【請求項8】 リスクヘッジ手法選択手段が、仮定リス
    ク演算手段によって演算された仮定事業リスクのリスク
    特性と事業者が希望するリスク特性との適合度合いを、
    確率分布関数の適合度合いとして演算するようになって
    いることを特徴とする請求項6又は7に記載のリスクヘ
    ッジシステム。
  9. 【請求項9】 リスクヘッジ手法選択手段が、想定され
    る事業リスクに対して、保険によるリスクヘッジを行う
    場合と、カタストロフィオプションや天候デリバティブ
    等の金融商品によるリスクヘッジを行う場合とを比較し
    て、最もコストの安いリスクヘッジ手法を選択するよう
    になっていることを特徴とする請求項6〜8のいずれか
    1つに記載のリスクヘッジシステム。
  10. 【請求項10】 リスクヘッジ手法選択手段が、想定さ
    れる事業リスクに対して、保険等のリスク移転型のリス
    クヘッジを行う場合と、点検補修等のリスク保有型のリ
    スクヘッジを行う場合とを比較し、最もコストの低いリ
    スクヘッジを選択するようになっていることを特徴とす
    る請求項6〜8のいずれか1つに記載のリスクヘッジシ
    ステム。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004259188A (ja) * 2003-02-27 2004-09-16 Sompo Japan Risk Management Inc 事故リスク評価支援装置
JP2008027399A (ja) * 2006-07-25 2008-02-07 Tohoku Electric Power Co Inc 金融派生商品取引と連動した電力販売支援システム
US7489994B2 (en) 2004-03-31 2009-02-10 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Control system for movable body

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