JP2004086875A - 財務分析コンピュータ・システム及び方法 - Google Patents

財務分析コンピュータ・システム及び方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2004086875A
JP2004086875A JP2003180122A JP2003180122A JP2004086875A JP 2004086875 A JP2004086875 A JP 2004086875A JP 2003180122 A JP2003180122 A JP 2003180122A JP 2003180122 A JP2003180122 A JP 2003180122A JP 2004086875 A JP2004086875 A JP 2004086875A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
data
damage
risk
financial
storage device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2003180122A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaru Matsumoto
松本 優
Yuga Mukai
向井 有我
Shunpei Okada
岡田 俊平
Yoshiaki Okane
大金 義明
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TOKYO KAIJO RISK CONSULTING KK
Tokio Marine and Fire Insurance Co Ltd
Original Assignee
TOKYO KAIJO RISK CONSULTING KK
Tokio Marine and Fire Insurance Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TOKYO KAIJO RISK CONSULTING KK, Tokio Marine and Fire Insurance Co Ltd filed Critical TOKYO KAIJO RISK CONSULTING KK
Priority to JP2003180122A priority Critical patent/JP2004086875A/ja
Publication of JP2004086875A publication Critical patent/JP2004086875A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Financial Or Insurance-Related Operations Such As Payment And Settlement (AREA)

Abstract

【課題】定量化されたリスクと企業の財務との関連性を明らかにする。
【解決手段】仮想的に発生させる損害の規模を決定するためのリスクカーブデータを格納するリスクカーブデータ格納部と、少なくとも分析対象企業の1期分の財務データを格納する財務データ格納部とを用い、乱数とリスクカーブデータ格納部から読み出したリスクカーブデータとを用いて、仮想的な損害の規模を特定し、当該損害の規模に関するデータを記憶装置に格納するステップと、記憶装置に格納された損害の規模に関するデータと財務データ格納部に格納された分析対象企業の1期分の財務データとを用い、所定の規則に従って仮想的な損害発生後における分析対象企業の財務データを計算するステップとを含む。これにより、確率論的な手法を用いて定量化されたリスクを前提として、当該リスクの影響を受けた例えば財務諸表のデータを計算することができるようになる。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、企業の財務分析技術などに関し、より詳しくは自然災害等によるリスクに対する企業の財務インパクトの分析技術などに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば特開2002−109198号公報には、会社経営改善システムであって、貸借対照表と損益計算書の実績データをコンピュータに入力する工程と、年金管理に関する実績データを入力する工程と、不動産管理に関する実績データを入力する工程と、経営(利益)計画をデータとして入力する工程と、設備投資計画の入力工程と、前記実績データを基に経営(利益)計画を推進した場合の将来の貸借対照表と損益計算書を選択したシミュレーション毎にコンピュータにより算出する予測(シミュレーション)データ試算工程と、予測データの蓄積管理工程と、予測データの出力工程とからなる構成が開示されている。しかし、自然災害などによるリスクが財務諸表にどのようにインパクトを与えるかについては考慮されていない。
【0003】
また、従来から、自然災害の分野では、シナリオベースでリスクを定量化し、当該リスクに見合う保険に加入するといったことは行われてきた。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−109198号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、一旦リスクが顕在化すると、その影響は単年の企業業績だけではなく複数年に及ぶことになり、結果として企業の財務体質に大きなインパクトを与えることになる。従来では、このようなリスク及び当該リスクに対処するための保険契約等の各種対策と企業の財務諸表及び財務指標との関連について考慮したものはない。
【0006】
従って、本発明の目的は、定量化されたリスクと企業の財務との関連性を明らかにするための技術を提供することである。
【0007】
また、本発明の他の目的は、定量化されたリスク及び当該リスクに対処するための各種対策と企業の財務との関連性を明らかにするための技術を提供することである。
【0008】
さらに、本発明の他の目的は、定量化されたリスクから各種データを導出するための技術を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の態様に係る財務分析方法は、仮想的に発生させる損害の規模を決定するためのリスクカーブ・データを格納するリスクカーブ・データ格納部と、少なくとも分析対象企業の1期分の財務データを格納する財務データ格納部とを用い、乱数とリスクカーブ・データ格納部から読み出したリスクカーブ・データとを用いて、仮想的な損害の規模を特定し、当該損害の規模に関するデータを記憶装置に格納する損害発生ステップと、記憶装置に格納された損害の規模に関するデータと財務データ格納部に格納された分析対象企業の1期分の財務データとを用い、所定の規則に従って仮想的な損害発生後における分析対象企業の財務データを計算し、財務データ格納部に格納する財務データ計算ステップとを含む。このようにすることにより、確率論的な手法を用いて定量化されたリスクを前提として、当該リスクの影響を受けた例えば財務諸表のデータを計算することができるようになる。
【0010】
また、リスクに対する対策の効力に関するデータと当該対策の費用に関するデータを格納する対策データ格納部を用い、対策データ格納部に格納された対策の効力に関するデータと記憶装置に格納された損害の規模に関するデータとに基づき仮想的に受領する資金の金額を計算し、当該受領資金の金額データを記憶装置に格納する受取資金計算ステップとをさらに含み、財務データ計算ステップにおいて、記憶装置に格納された受領資金の金額データと対策データ格納部に格納された費用に関するデータとをさらに用いて仮想的な損害発生後における分析対象企業の財務データを計算するようにしてもよい。
【0011】
このようにすることにより、確率論的な手法を用いて定量化されたリスクを前提とし、当該リスクに対処するための保険契約、コミットメントライン等の各種リスク対策に要する費用及びリスク対策の効力により受領する資金等のデータに基づき例えば財務諸表のデータを計算することができるようになる。すなわち、各種リスク対策の財務諸表における効果を見ることができるようになる。
【0012】
さらに、上で述べたリスクカーブ・データが、損害率、損害額又は休業日数のいずれかで表される損害の規模の離散分布データであり、上で述べた損害発生ステップが、乱数により離散分布データにおいて対応する点(リスクカーブ・データ中の特定のデータ)を特定するステップと、特定された点が複数である場合に、当該特定された複数の点のデータを用いて、リスクカーブ・データにより表されるリスクカーブの少なくとも一部を近似する、予め定められた形式の関数におけるパラメータを決定するステップと、決定されたパラメータと関数とにより、損害の規模を決定するステップとを含むようにしてもよい。
【0013】
また、財務データ格納部に格納された分析対象企業の財務データから財務指標の値を算出し、記憶装置に格納する財務指標計算ステップをさらに含み、損害発生ステップと財務データ計算ステップと財務指標計算ステップとがシミュレーション回数実施され、さらに、記憶装置に格納されたシミュレーション回数分の財務指標の値又は財務指標データ格納部に格納されたシミュレーション回数分の財務データに基づき、財務指標の値又は財務データの統計量を算出し、記憶装置に格納する統計量算出ステップをさらに含むようにしてもよい。このような統計量を得ることにより、確率論的に所定のリスクに対してどの程度の影響を受けるかといった事項を理解しやすくなる。
【0014】
上で述べた統計量を、財務指標の値又は財務データを所定の規則に従って並べた際における所定の順位の財務指標の値又は財務データとする場合もある。例えば上位x%に含まれるものの中で最も悪いもの(以下、x%tileとも呼ぶ)を特定するものである。
【0015】
さらに、リスクカーブ・データ格納部が、個別リスク毎にリスクカーブ・データを格納し、上で述べた損害発生ステップが、指定された個別リスクに係るリスクカーブ・データをリスクカーブ・データ格納部から読み出すステップと、指定された個別リスクの各々に係るリスクカーブ・データと乱数とを用いて当該指定された個別リスクの各々について仮想的な損害の規模を特定し、当該各損害の規模に関するデータを記憶装置に格納する個別損害規模算出ステップと、記憶装置に格納された各損害の規模に関するデータを用いて損害の規模を合算し、合算結果を記憶装置に格納する合算ステップとを有し、上で述べた財務データ計算ステップにおいて、記憶装置に格納された合算結果を損害の規模に関するデータとして用い、仮想的な損害発生後における分析対象企業の財務データを計算するようにしてもよい。複数種類のリスクを重ね合わせた場合の財務インパクトを把握することができるようになる。
【0016】
また、上で述べた合算ステップにおいて、指定された個別リスクのうち特定の個別リスクを除いたものに係る損害の規模に関するデータを用いて損害の規模を合算し、第2の合算結果を記憶装置に格納し、個別損害規模算出ステップと合算ステップとが複数回実施することにより複数の合算結果と複数の第2の合算結果を算出し、さらに、複数の合算結果の統計量と第2の合算結果の統計量を算出し、記憶装置に格納するステップと、記憶装置に格納されている合算結果の統計量と第2の合算結果の統計量とを用いて、特定の個別リスクの寄与度を計算するステップとをさらに含むようにしても良い。どのリスクがどの程度財務データに影響を及ぼすのかを把握することができるようになる。
【0017】
なお、上記乱数が、相関を有する複数の乱数である場合もある。
【0018】
また、上で述べた損害発生ステップにおいて、複数の物件の各々について仮想的な損害の規模を特定し、複数の物件の各々についての仮想的な損害の規模を合算して、全体の損害の規模に関するデータを生成するようにしてもよい。複数の物件の各々で事故などのインパクトが異なる場合があるためである。
【0019】
また、本発明の第1の態様において、乱数により事故件数を特定する処理を所定サンプル回数実施する事故件数特定ステップと、各サンプルにつき事故件数分の損害の規模を乱数により特定し、当該損害の規模をサンプル毎に合算して、サンプル毎の損害の規模を算出し、サンプル毎の損害の規模に関するデータを記憶装置に格納する損害規模算出ステップと、サンプル毎の損害の規模を並び替えることによりリスクカーブ・データを生成し、リスクカーブ・データ格納部に格納するリスクカーブ生成ステップとをさらに含むようにしても良い。リスクカーブをもシミュレーションで生成する場合を示すものである。
【0020】
さらに、事故件数特定ステップと損害規模算出ステップとリスクカーブ生成ステップとにより、複数の指定リスクについてリスクカーブ・データを生成し、上で述べた損害発生ステップが、複数の指定リスク間の相関を規定するデータに基づき生成された乱数により、リスクカーブ・データ格納部に格納された各リスクカーブ・データに含まれるサンプルを特定し、当該特定されたサンプルの組み合わせデータを生成し、記憶装置に格納する組合せデータ生成ステップと、特定されたサンプルの組み合わせデータを用いて、複数の指定リスクに対応する損害の規模に関するデータを生成し、記憶装置に格納する組合せ損害規模データ生成ステップとを含むようにしても良い。リスクカーブをもシミュレーションで生成し、複数種類のリスクを重ね合わせる場合の処理である。
【0021】
また、上で述べた組合せデータ生成ステップにおいて、サンプルの組み合わせデータを複数セット生成し、上で述べた組合せ損害規模データ生成ステップにおいて、複数の指定リスクに対応する損害の規模に関するデータを複数セット生成し、さらに、記憶装置に格納された複数の指定リスクに対応する損害の規模に関するデータを複数セット用いて、複数の指定リスクに対応する損害の規模に関するデータの第1の統計量を算出し、記憶装置に格納するステップと、サンプルの組み合わせデータを複数セット用いて、複数の指定リスクのうち特定のリスクを除いたものに対応する損害の規模に関するデータを複数セット生成し、記憶装置に格納するステップと、記憶装置に格納された複数の指定リスクのうち特定のリスクを除いたものに対応する損害の規模に関するデータを複数セット用いて、複数の指定リスクのうち特定のリスクを除いたものに対応する損害の規模に関するデータの第2の統計量を算出し、記憶装置に格納するステップと、第1の統計量及び第2の統計量に基づき特定のリスクのリスク寄与度を算出し、記憶装置に格納するステップとをさらに含むようにしてもよい。リスク寄与度の他の算出方法を示すものである。
【0022】
さらに、本発明の第1の実施の形態において、乱数により事故件数を特定する処理を所定サンプル回数実施する事故件数特定ステップと、各サンプルにつき事故件数分の損害の規模を乱数により特定し、事故毎の損害の規模に関するデータを記憶装置に格納する損害規模算出ステップとをさらに含み、受取資金計算ステップが、事故毎の損害の規模に関するデータに基づいて、事故毎に仮想的に受領する資金の金額を計算し、サンプル毎に事故毎に仮想的に受領する資金の金額を合算し、当該合算受領資金の金額データを記憶装置に格納するステップをさらに含むようにしても良い。
【0023】
さらに、記憶装置に格納されたサンプル毎の合算受領資金の金額データの統計量を計算し、記憶装置に格納するステップと、記憶装置に格納された統計量を用いて、リスクに対する対策の費用に関するデータを生成し、対策データ格納部に格納するステップとをさらに含むようにしてもよい。例えば保険料を保険金から逆に計算して財務データの計算に用いるものである。
【0024】
本発明の第2の態様に係るリスク寄与度算出方法は、個別リスク毎にリスクカーブ・データを格納するリスクカーブ・データ格納部から、指定された個別リスクに係るリスクカーブ・データを読み出すステップと、指定された個別リスクの各々に係るリスクカーブ・データと乱数とを用いて当該指定された個別リスクの各々について仮想的な損害の規模を特定し、当該各損害の規模に関するデータを記憶装置に格納する個別損害規模算出ステップと、記憶装置に格納された各損害の規模に関するデータを用いて損害の規模を合算し、合算結果を記憶装置に格納する合算ステップと、指定された個別リスクのうち特定の個別リスクを除いたものに係る損害の規模に関するデータを用いて損害の規模を合算し、第2の合算結果を記憶装置に格納する第2合算ステップとを含み、個別損害規模算出ステップと合算ステップと第2合算ステップとを複数回実施することにより、複数の合算結果と複数の第2の合算結果を算出し、さらに、複数の合算結果の統計量と第2の合算結果の統計量を算出し、記憶装置に格納するステップと、記憶装置に格納されている合算結果の統計量と第2の合算結果の統計量とを用いて、特定の個別リスクの寄与度を計算するステップとを含む。このようにすれば、複数リスクの各々の軽重を判断できるようになる。そして、重要なリスクについて重点的な対処を行うことができるようになる。
【0025】
本発明の第3の態様に係る保険料試算方法は、乱数により事故件数を特定する処理を所定サンプル回数実施する事故件数特定ステップと、各サンプルにつき事故件数分の損害の規模を乱数により特定し、事故毎の損害の規模に関するデータを記憶装置に格納する損害規模算出ステップと、事故毎の損害の規模に関するデータに基づいて、事故毎に仮想的に受領する資金の金額を計算し、サンプル毎に事故毎に仮想的に受領する資金の金額を合算し、当該合算受領資金の金額データを記憶装置に格納するステップと、記憶装置に格納されたサンプル毎の合算受領資金の金額データの統計量を計算し、記憶装置に格納するステップと、記憶装置に格納された統計量を用いて、リスクに対する対策の費用に関するデータを生成し、対策データ格納部に格納するステップとを含む。例えば、保険料の妥当性を、保険金から逆算することにより判断することができるようになる。
【0026】
本発明に係る方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを作成することも可能であって、当該プログラムは、例えばフレキシブル・ディスク、CD−ROM、光磁気ディスク、半導体メモリ、ハードディスク等の記憶媒体又は記憶装置に格納される。また、ネットワークを介して頒布される場合もある。また、上記プログラムとコンピュータとの組み合わせることにより、財務分析コンピュータ・システム、リスク寄与度算出装置、保険料試算装置を構成することができる。なお、処理途中のデータについては、コンピュータのメモリに一時保管される。
【0027】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
図1に本発明の第1の実施の形態に係る機能ブロック図を示す。本実施の形態に係る財務分析システム100は、本実施の形態において主要な処理を実施する財務リスク・シミュレータ10と、各種データを財務リスク・シミュレータ10に入力する入力部20と、財務リスク・シミュレータ10からの出力をユーザに対して出力する出力部30とを有する。
【0028】
入力部20からは、損害発生確率(損害発生頻度や年間超過確率などを含む。なお第1の実施の形態では以下年間超過確率を例として説明する。)と損害の規模(例えば損害率、損害額、休業日数など)との関係を表すリスクカーブ・データ21と、分析対象企業の第1期(分析時の前期)の財務諸表データ22と、財務諸表に関連する例えば利益処分方針のデータや固定資産の再調達価額や固定費率などの財務諸表関連設定データ23と、各種保険の保険条件についての保険条件データ24と、シミュレーション回数や財務諸表を何年先まで計算するかを表す期数、いずれのリスクについての処理を行うかといった設定データなどの各種パラメータ25が入力される。なお、リスクには火災、地震、台風、損害賠償、株価下落などが存在しているが、これらのリスクが保険対応可能か否か又はこれらのリスクに対して保険を付保するか否かについては保険条件データ24が設定されるか否かによって判断するものとする。なお、各リスクが保険対応可能か否かを設定するためのテーブルや、各リスクに対して保険を付保するか否かを設定するためのテーブルを予め用意しておき、例えば保険条件データ格納部154に登録しておくようにしても良い。
【0029】
なお、損害に対する対策としては、保険契約の手配、コミットメントラインによる融資の手配等の事後的な対策と、耐震補強工事やスプリンクラーの取り付け等の事前対策が考えられる。いずれとも、対策を講じるためには費用がかかるが、事後的対策は災害発生時点で企業の財務状態を補強する効果があり、また事前の対策は損害の規模や発生確率に影響を及ぼすことになる。ここでは、まず事後的対策としての保険契約を中心的な例として説明をしている。コミットメントラインによる融資の手配がされる場合は、保険条件データ24に代えてコミットメントラインの融資条件データが設定される、又は保険条件データ24にコミットメントラインの融資条件データが含まれることになる。なお、コミットメントラインについても、融資条件データに、対応するリスクについてのデータを含むようにしても良い。
【0030】
また、入力部20から入力されるデータについては、ファイルの形式で入力される場合もあれば、例えば図示しない表示装置に入力欄や選択欄を表示して、キーボードやマウスなどの入力装置により必要なデータを入力するようにする場合もある。
【0031】
また、財務リスク・シミュレータ10には、リスクカーブ・データを用いて乱数により確率論的に損害を発生させるための処理を実施する損害発生処理部11と、発生した損害に対する受取保険金を保険条件データ24に基づき計算する保険金算出処理部12と、算出された受取保険金、保険料、損害発生処理部11により発生された損害の規模のデータ、財務諸表関連設定データ23などを用いて、所定の会計規則に則って財務諸表の計算及び財務諸表の統計計算を実施する財務諸表計算処理部13と、経常利益増加率、総資本増加率、営業キャッシュフロー(CF:Cash Flow)増加率、ROA(総資本純利益率=純利益/総資本)、ROE(自己資本純利益率=純利益/自己資本)、売上高経常利益率(=経常利益/売上高)、自己資本比率(=自己資本/総資本)、流動比率(=流動資産/流動負債)、債務超過確率(自己資本がマイナスとなる確率)等の経営指標及び経営指標の統計量を算出する経営指標計算処理部14とが含まれ、例えば財務リスク・シミュレータ10を実現するためのコンピュータに設けられるメインメモリなどに確保されるワークメモリ領域15を管理する。
【0032】
また、財務リスク・シミュレータ10は、入力部20から入力されたリスクカーブ・データ21を格納するためのリスクカーブ・データ格納部151と、入力部20から入力された財務諸表データ22や財務諸表計算処理部13により算出される財務諸表データを格納するための財務諸表データ格納部152と、入力部20から入力された財務諸表関連設定データ23を格納するための財務諸表関連設定データ格納部153と、入力部20から入力された保険条件データ24を格納するための保険条件データ格納部154と、入力部20から入力された各種パラメータ25を格納するための各種パラメータ格納部155と、経営指標計算処理部14により算出された経営指標のデータを格納するための経営指標データ格納部156と、損害発生処理部11及び保険金算出処理部12により算出される損害額及び保険金データを格納するための損害・保険金データ格納部157と、財務諸表計算処理部13及び経営指標計算処理部14が行う各種統計処理の処理結果を格納するための統計データ格納部158と、保険以外の防災対策の費用とその効果を格納するための防災効果データベース(DB)159とを管理する。なお、これらのデータ格納部については、1つのデータ格納部の所定の領域である場合もある。
【0033】
出力部30は、表示装置又はプリンタ等の出力装置に対して、財務諸表計算処理部13により計算された財務諸表データ31と、経営指標計算処理部14により計算された経営指標データ32と、財務諸表計算処理部13及び経営指標計算処理部14により計算された各種統計処理結果データ33とを出力する。
【0034】
次に、図2乃至図14を用いて本実施の形態に係る財務分析システム100の処理内容を説明する。まず、入力部20により、リスクカーブ・データ21と、第1期の財務諸表データ22と、財務諸表関連設定データ23と、保険条件データ24と、何期分の計算を実施するかの設定値及びシミュレーションの実施回数の設定値などの各種パラメータ25とを入力部20から財務リスク・シミュレータ10に入力し、リスクカーブ・データ格納部151、財務諸表データ格納部152、財務諸表関連設定データ格納部153、保険条件データ格納部154及び各種パラメータ格納部155に格納する(ステップS1)。なお、データの入力については、この時点で全てのデータを入力しなければならないわけではなく、例えば予め入力し且つ各データ格納部に格納しておいたデータについての選択を促し、今回の処理に用いるように本ステップにおいて指示させるようにしても良い。また、各種パラメータについては、例えば入力画面において数値などの設定データを入力するようにしても良いし、予め用意されたプルダウンメニューやコンボボックスにより今回の処理のためのパラメータを選択するようにしても良い。特に、リスクカーブ・データ21については、選択可能なリスクの一覧を提示して、いずれのリスクについて処理を行うかを選択させる場合もある。また、リスクカーブ・データ21を入力して、いずれのリスクについて取り扱うかを自動的に判別するようにしても良い。
【0035】
リスクカーブ・データ21は、本実施の形態では財物の損害、損害賠償、金融変動(例えば、株価下落による資産の減少、為替変動による輸入コストの増大等)などによる損害額に関するリスクカーブ・データと、財物など時価や再調達価額等の価額が設定され得るものについて損害額の価額に対する割合を示す損害率に関するリスクカーブ・データと、事業の休業期間に関するリスクカーブとを別個に含む。なお、その他の種類のリスクカーブ・データを導入することも可能である。以下では、主に財物の損害についての損害率に関するリスクカーブ・データのケースを例に説明するが、損害率に関するリスクカーブ・データの場合には、年間超過確率(%)と損害率(%)とのセットにより設定され、これらのセットで示される各点をグラフにすると例えば図3に示すようになる。ここで年間超過確率とは、例えば損害率(以下、財物損害率ともいう)に関して言えば、1年間にある財物損害率を超過する確率を示しており、右下がりの曲線となる。財物損害率が低い事故等の発生は多くある(すなわち年間超過確率が高い)が、財物損害率が高い事故等の発生は少ない(すなわち年間超過確率が低い)ことが一般的であり、損害率に関する離散的なリスクカーブ・データを滑らかに繋げば通常下に凸の曲線となる。一方、休業期間に関するリスクカーブ・データの場合、年間超過確率(%)と休業期間(日)とにより設定され、グラフにすると例えば図4に示すようになる。損害率に関するリスクカーブと同様に、休業日数が少なくなれば年間超過確率は高くなり、逆に休業日数が多くなれば年間超過確率は低くなる。すなわち、休業日数が少ない事故等の発生は多くあるが、休業日数が多い事故等の発生は少ないということである。また、損害額に関するリスクカーブ・データの場合は、同様に、年間超過確率(%)と損害額とにより設定される。なお、図3及び図4では、連続的なカーブが示されているが、本実施の形態では離散的なデータ、すなわち幾つかの財物損害率、損害額、又は休業期間と、年間超過確率の値のセットで特定される複数の点(ポイント)のデータによりリスクカーブ・データが規定されているものとする。
【0036】
1つのリスクについてのリスクカーブ・データの一例を図5に示す。図5の例では、年間超過確率と損害率との対で構成されるリスクカーブ・データがテーブル形式で示されている。損害率ではなく、損害額や休業日数の場合でも同様のデータ構造となる。
【0037】
さらに、複数のリスクを取り扱う場合には、例えば図6に示すようなデータ構造(例えば配列)を用意して、図5に示すような各データ構造(テーブル)を管理するようにする。すなわち、図6の例では、リスクの種類(地震、火災、台風、生産物責任、株主代表訴訟など)毎に、利用可能な損害率テーブル、休業日数テーブル、損害額テーブルを管理している。例えば、地震というリスクについて、損害率と年間超過確率のテーブルはテーブル1aであり、生産物責任というリスクについて、損害額と年間超過率のテーブルはテーブル4cとなっている。このテーブルにおいて指定されている各テーブルは、図5のような構造を有したテーブルである。また、リスクの種類だけではなく、例えば複数の事業所を保有する顧客の場合には、さらに事業所毎、また財物については財物の種類(建物、機械設備、車両運搬具など)毎に図6のようなデータ構造を用意するようにしてもよい。但し、どの顧客についても共通するリスクカーブ・データを使用する場合もあるので、その場合には、リスクカーブ・データ格納部151に予め格納されているリスクカーブ・データを用いるようにしてもよい。
【0038】
また、第1期の財務諸表データ22を、例えば図7乃至図10に示す。図7はバランスシートを示している。ここでは、流動資産(現金及び預金、製品・原材料・仕掛品・貯蔵品等)と、固定資産((1)有形固定資産(建物・構築物(購入時簿価)、建物等の減価償却累計額、機械装置、機械装置の減価償却累計額、車両運搬具、車両運搬具の減価償却累計額、工具器具部品、工具器具部品の減価償却累計額)、(2)無形固定資産、(3)投資その他の資産)とが資産の部に含まれる。また、負債の部には、流動負債(未払法人税等)と、固定負債が含まれる。また、資本の部には、資本金、法定準備金、その他の余剰金((1)任意積立金、(2)当期未処分利益)とが含まれる。これらの第1期の数値が入力される。
【0039】
図8は損益計算書を示す。ここでは、1.売上高、2.売上原価(当期総製造費用、材料費、労務費、製造経費(含む外注加工費))、売上総利益、3.販売費及び一般管理費、営業利益、4.営業外収益、5.営業外費用、経常利益、6.特別利益、7.特別損失、税引前当期純利益、法人税等、法人税等調整額、当期純利益、前期繰越利益、中間配当額、当期未処分利益とが含まれる。なお、図8には、関連性を明らかにするため、財務諸表関連設定データ23の一部も示されている。本実施の形態では、売上高の年増加率(%)と、売上原価の固定費率(%)、材料費の固定費率(%)、労務費の固定費率(%)、製造経費(含む外注加工費)の固定費率(%)については、財務諸表関連設定データ23として入力する。特に、材料費、労務費及び製造経費の固定費率については、製造原価報告書などに基づき設定する。また、これらの固定費率から売上原価全体に対する固定費率を計算する。さらに、販売費及び一般管理費の固定費率は分析対象企業の業界における平均的な数値等を設定する。
【0040】
図9はキャッシュフロー計算書を示す。ここでは、営業活動によるキャッシュフロー、税引前当期純利益、投資活動によるキャッシュフロー、財務活動によるキャッシュフロー、現金及び現金同等物に係る換算差額、現金及び現金同等物の増加、現金及び現金同等物期首残高、現金及び現金同等物期末残高が含まれる。
【0041】
さらに、図10に示すような利益処分計算書のデータも入力される。図10の例では、1.当期未処分利益、2.任意積立金取崩額、3.利益金処分額(利益準備金積立、配当金、役員等賞与金)、及び4.次期繰越利益金が含まれる。ここでは、任意積立金取崩額又は任意積立金額、利益金処分額、利益準備金積立、配当金、役員等賞与が設定データとなる。当期未処分利益は損益計算書で計算され、次期繰越利益金は、当期未処分利益と任意積立金取崩額の合計値から利益金処分額を差し引いた額になる。
【0042】
財務諸表関連設定データ23には、図7に関連して説明したデータのほかに、図11に示す固定資産(建物・構築物、機械装置、車両運搬具、工具器具部品)の時価又は再調達価額についての情報も含まれる。また、流動資産(製品、原材料、仕掛品等)の時価又は再調達価額の情報を含めても良い。さらに、現金及び預金を用いても補修などに不足が生じる場合には融資を受けることとするが、その場合の利子(%)、毎年の減価償却額、償却方法などのデータも設定データに含まれる。
【0043】
さらに、保険条件データ24として図12に示すようなデータが入力される。図12の例では、財物保険について、建物・構築物、機械装置、車両運搬具、工具器具部品、製品・原材料・仕掛品・仕掛品等に対する付保の有無と、縮小填補又は支払限度額のいずれかである契約形態と、縮小填補割合(%)と、支払限度額(1事故当たり)と、免責金額と、保険料とが設定される。また図12の例では、利益保険について、売上原価、販売費及び一般管理費、営業利益に対する付保の有無と、約定付保率又は約定填補期間のいずれかである契約形態と、約定付保率(%)と、約定填補期間と、免責期間と、保険料とが設定される。なお、保険条件データ24については複数の保険条件データを入力しておき、複数の計算結果を得るようにしても良い。例えば、保険なしという保険条件と、保険ありという保険条件を両方設定しても良い。また、一部融資で賄うことを前提として、融資で賄う分保険金が少なくなるような保険条件と、全額保険で賄うという保険条件の両方を設定するようにしても良い。
【0044】
図2の処理フローの説明に戻って、次に財務リスク・シミュレータ10の損害発生処理部11は、指定されたリスクに対応するリスクカーブ・データ(複数の離散的なポイントによって表されるデータ)をリスクカーブ・データ格納部151から読み出し、当該読み出したリスクカーブ・データに基づき事故等の損害を発生させる処理を実施する(ステップS3)。リスクカーブ・データから、損害額ではなく、損害率が算出される場合には、損害発生処理部11は、損害の発生した財物などの各種資産の時価又は再調達価額に損害率を乗じることにより損害額を算出し、損害・保険金データ格納部157に格納する。
【0045】
なお、上でも述べたがリスクカーブ・データについては、顧客に共通のリスクカーブ・データを用いる場合もあれば、リスク毎、顧客毎、財物毎、事業所毎の個別のリスクカーブ・データを用いるようにしても良い。なお、複数のリスクを取り扱う場合には、それぞれにつき損害を発生させる処理を実施する。
【0046】
このステップS3の処理の詳細を図13に示す。まず損害発生処理部11は、一様乱数(0≦乱数≦1)を生成する(ステップS31)。シミュレーションの精度を上げたり、シミュレーションの繰り返し回数を少なくするため、例えばLatin Hyper Cube法などの階層サンプリング方法を用いる。そして生成された乱数の値を、年間超過確率と見なして(又は生成された乱数の値から所定の算式を用いて換算した年間超過確率と見なして)、リスクカーブ・データの中のポイントのうち、当該乱数の値を挟む2ポイントを各リスクカーブにつきリスクカーブ・データ格納部151から抽出する(ステップS33)。例えば、リスクカーブ・データ中に、・・0.55、0.57、0.59、0.61・・といった年間超過確率とそれらに対応する損害率、休業期間又は損害額の値が離散的に得られていたとき、乱数によって年間超過確率として0.58が得られたとする。その場合、当該0.58に対応するリスクカーブ・データ中の0.57と0.59とそれらに対応する損害率、休業期間又は損害額の値のセットで特定される2ポイントを抽出する。リスクカーブは、図3及び図4で示したようにその形状から直線より指数関数(y=A*B:A及びBは定数)で近似するケースが多い。従って、損害発生処理部11は、リスクカーブ・データ毎に、抽出された2ポイントを用いて指数関数のA及びBを計算し、計算されたA及びBにより特定される指数関数の式を用いて内挿による補間計算を行い、乱数の値(上の例では0.58)に対応する損害率、休業期間又は損害額を決定し、損害・保険金データ格納部157に格納する(ステップS35)。
【0047】
なお、乱数の値に対応する損害率等を求めるための近似関数は指数関数に限定されるものではなく、その他対数関数、比例関数など、リスクの実態に即した関数が選択され得る。これらの関数については、リスクカーブ・データに対応して選択され、当該選択された関数についてのパラメータを算出するサブルーチン等(処理を行うサブモジュール)と、算出されたパラメータが設定された関数により乱数の値に対応する損害率等を算出するサブルーチン等(処理を行うサブモジュール)により、処理が行われる。
【0048】
また、上では関数の求めるべきパラメータが2つのケースで説明したが、関数のパラメータを3つ以上とすることもできる。この場合、損害発生処理部11は、関数のパラメータ数に応じて乱数によって得られた年間超過確率の値を挟む、リスクカーブ・データ中の3つ以上(パラメータ数に一致する数だけ)の点を抽出する。その際、偶数の点を抽出する場合は、例えば図5のようなテーブルにおいては上下で同じ数ずつ抽出し、奇数の場合は上下の一方が1つだけ多くなるように点を抽出する。上と下のいずれを1つ多く抽出するかは任意であり、予め設定しておくことができる。
【0049】
再度図2の説明に戻って、保険金算出処理部12は、損害発生処理部11により発生され且つ損害・保険金データ格納部157に格納された損害(損害額、損害率、休業日数など)及び保険条件データ格納部154に格納された保険条件データ24などを用いて受取保険金を算出し、損害・保険金データ格納部157に格納する(ステップS5)。
【0050】
本ステップの処理は、保険条件データが設定された指定リスクについて行われる。すなわち、保険で対応可能なリスクであって保険条件データが設定されたリスクである。一方、指定リスクについての損害は考慮するが、保険条件データを設定せず、保険を付保しないリスクについては本ステップは実行されない。
【0051】
例えば本ステップが実施されると損害・保険金データ格納部157において図14に示すようなデータ構造(1期分)における1レコードが格納される。図14のテーブル例には、シミュレーション回数の列1401と、第1のリスクに対する損害金額を格納するための損害1の列1402と、第1のリスクに対する保険金額を格納するための保険金1の列1403と、第2のリスクに対する損害金額を格納するための損害2の列1404と、第2のリスクに対する保険金額を格納する保険金2の列1405と、....損害金額累計の列1406と、保険金累計の列1407とが設けられている。このように、各指定リスクに対応してステップS3で算出した損害額とステップS5で算出された保険金額のデータと全指定リスクについての損害累計と保険金累計のデータとを、各シミュレーションにつき登録するようになっている。なお、損害が休業日数として算出される場合については、別テーブルにおいて管理するようにしてもよい。
【0052】
但し、別の対応可能な対策(例えばコミットメントライン等)による効果について計算などが実施される場合もある。例えば、各指定リスクに対していずれの対策が適用されるかは、保険条件データ格納部154に記録されており、そのデータを参照して、保険金算出処理部12が判断する。そして、保険金算出処理部12は、対応策が設定されていないリスクについては、本ステップにおける処理を省略し、対応策が設定されているリスクについて、当該対応策による効果等の計算処理を実施するようにする。なお、本実施の形態において対応策による効果については、受取保険金と同様の扱いとする。
【0053】
保険金算出処理部12によるステップS5の詳細な処理内容は以下のとおりである。
(1)財物保険の場合
・縮小填補方式の場合
受取保険金=財物損害額×縮小填補割合(%)
・支払限度額方式の場合
受取保険金=Min(支払限度額,Max(財物損害額−免責金額,0))
(2)利益保険の場合
・約定付保率方式の場合
受取保険金=年売上高×約定付保率(%)×Max(休業期間(日)−免責期間(日),0)/365
・約定填補期間方式の場合
受取保険金=年売上高×利益率(%)×Min(約定填補期間(日),Max(休業期間(日)−免責期間(日),0))/365
【0054】
なお、約定付保率方式とは、売上高に対する保険金として支払うべき割合を予め設定しておき、休業に至った場合にその率を直近の売上高に乗じた額の休業日数分の保険金を支払う方式をいう。また、約定填補期間とは、営業利益、固定費など、保険金支払対象となる費目を予め設定しておき、休業に至った場合にその費目に相当する額を求めてその額の休業日数分の保険金を支払う方式をいう。
【0055】
そして、財務諸表計算処理部13は、発生した損害(財物損害、休業日数など)及び受取保険金等の影響を考慮した財務諸表等の計算を実施し、処理結果を財務諸表データ格納部152に格納する(ステップS7)。まず損益計算書の計算を説明しておく。
【0056】
(1)売上高
第n期売上高については設定された売上高増加率及び第n期の休業期間(日)を用いて以下のように計算する。
第n期売上高=第1期売上高×(1+売上高増加率)(n−1)×(1−第n期休業期間/365)
(2)売上原価
第n期売上原価については設定された固定費率及び第n期の休業期間(日)を加味して計算された第n期売上高を用いて以下のとおり計算する。
第n期売上原価=第1期売上原価×{固定費率+(1−固定費率)×第n期売上高/第1期売上高}
(3)売上総利益
売上総利益=売上高−売上原価
【0057】
(4)販売費及び一般管理費
上で述べた第n期売上原価と同様に販売費及び一般管理費に予め設定された固定費率を用いて計算を行い、さらに、第n期に発生した損害による破損を受けなかった固定資産の減価償却費と第n期の支払い保険料とを加算した金額が、第n期の販売費及び一般管理費となる。減価償却対象となる固定資産勘定には、建物・構築物、機械装置、車両運搬具、工具器具備品等があるが、計算方法については同じである。
例えば、n期に発生した損害により建物等に破損が生じた場合、保険付保の有無に拘わらず建物等を再建し(原状復帰させ)、当該再建のための補修費は現金及び預金をもって行うものとする。なお、現金及び預金が不足する場合には、長期借入金(例えば金利1%)をもって充当する。以下、簿価100万円(取得原価166万円、期首減価償却累計額66万円)、毎年の減価償却費3万円、再調達価額400万円の建物を例に説明する。また、減価償却は定額法により税法の規定どおりに行われる(ここでは最終残価率10%、償却期間50年)ものとする。さらに、期首に保険事故(建物半損・損害率50%)が発生し、借入金及び建物の再建も期首に実施するものとする。
【0058】
このような条件において建物減価償却費は以下のように計算される。
既存部分=毎年の減価償却費3万円×(1−損害率50%)=1.5万円
補修部分=補修に要する費用200万円×(1−建物残存割合10%)/償却期間50年=3.6万円
【0059】
(5)営業利益
営業利益=売上総利益−販売費及び一般管理費
(6)営業外収益
第n期の営業外収益は、第1期の営業外収益と同額とする。
(7)営業外費用
もし、補修費用を長期借入金で賄った場合には、当該借入金の支払利息は営業外費用となる。従って、長期借入金が発生した期以降においては、第1期の営業外費用に支払利息の金額を加算した金額が営業外費用となる。上の例では、以下のような計算となる。
支払利息=長期借入金100万円*金利1%=1万円
利息は期末に現金で支払うものとする。また、コミットメントラインを銀行などと結んだ場合、当該手数料については営業外費用として加算する。
(8)経常利益
経常利益=営業利益+営業外収益−営業外損益
【0060】
(9)特別利益
損害が発生した場合であって当該損害に対する保険によって保険金が支払われた場合には受取保険金及び減価償却累計額戻入が特別利益として計算され、第1期の特別利益に加算される。具体的には、以下のように受取保険金及び減価償却累計額戻入が計算される。
建物減価償却累計額戻入=期首減価償却累計額66万円×損害率50%=33万円
受取保険金=再調達価額400万円×損害率50%×縮小割合80%=160万円
なお建物等に再調達価額ベース・縮小填補方式にて80%の保険を付保しているものと仮定する。
(10)特別損失
損害が発生した場合には建物等の損害分が特別損失として計算され、第1期の特別損失に加算される。具体的には、以下のように建物等損失額が計算される。
建物損失額=建物簿価100万円×損害率50%=50万円
(11)税引前当期純利益
税引前当期純利益=経常利益+特別利益−特別損失
【0061】
(12)法人税等(法人税+法人税等調整額)
前提として、第1期における(法人税等+法人税等調整額)と税引前当期利益との比を税効果会計適用後の当該企業の法人税等負担率と仮定し、第2期以降の計算に適用するものとする。法人税等負担率は以下のとおり計算される。
法人税等負担率=(第1期法人税等+第1期法人税等調整額)/第1期税引前当期利益
また、税引前当期利益が正の場合のみ法人税等を計算し、負または0の場合は法人税等も0に設定するものとする。
そうすると、第n期税引前当期利益10億円、法人税等負担率40%とすると、法人税及び法人税等調整額の合計は以下の式にて計算される。
第n期法人税等=第n期税引前当期利益10億円×法人税等負担率40%=4億円
(13)当期純利益
当期純利益=税引前当期純利益−(法人税等+法人税等調整額)
(14)前期繰越利益
前期繰越利益は、前期の利益処分計算書の次期繰越利益金である。
(15)中間配当額
中間配当額は、事前の設定に従う。
(16)当期未処分利益
当期未処分利益=当期純利益+前期繰越利益−中間配当額
【0062】
次に、バランスシートの計算方法について説明する。
(1)流動資産
流動資産は、現金及び預金の変動のみに従って変動するものとする。
(1−1)現金及び預金
現金及び預金は、売上高、売上原価、建物等の補修、借入金、受取保険金、コミットメントライン、防災工事、法人税等、及び未払い法人税等により変動する。
売上高の精算は全て現金及び預金にて行われるものとする。すなわち売上高が100万円あれば、現金及び預金が100万円増加するものとする。
また、売上原価の精算も全て現金及び預金にて行われるものとする。すなわち売上原価が90万円であれば、現金及び預金が90万円減少するものとする。
建物等の減価償却対象固定資産の補修に要する費用は現金及び預金にて行われるものとする。従って、以下のように計算され、現金及び預金から建物等の補修に要する費用が差し引かれる。
建物等の補修に要する費用=建物再調達価額400万円×損害率50%=200万円
建物等の補修に要する費用のための現金及び預金が不足している場合には、長期借入金にて充当する。従って、長期借入金の分だけ現金及び預金は増加するが、その内建物等の補修に当てられた分だけ現金及び預金は減少し、その分固定資産の額が増加する。
特別利益として計算された受取保険金は現金及び預金にて精算されるため、受取保険金の分だけ現金及び預金は増加する。
コミットメントラインのための手数料等の費用や防災工事に要する費用については、現金及び預金により精算するため、コミットメントライン等の費用分だけ現金及び預金は減ぜられる。
さらに、法人税等については、現金及び預金にて精算するので、上で計算された法人税等の分だけ現金及び預金は減ぜられる。
未払い法人税は、例えば以下のように計算される。なお、第1期における未払法人税等と(法人税等+法人税等調整額)との比を当該企業の未払法人税率と仮定し、第2期以降の計算に適用するものとする。すなわち、以下のように計算される。
未払法人税率=第1期未払法人税等/(第1期法人税等+第1期法人税等調整額)
よって、未払い法人税等は、以下のようになる。
第n期未払法人税等=第n期法人税等4億円*未払法人税率50%=2億円
この未払法人税等の分だけ現金及び預金が増加する。
(1−2)製品・原材料・仕掛品・貯蔵品等
これらが事故などにより破損した場合には、その期中に同額のものを調達するという前提で取り扱うため、これらの項目についてはバランスシート上は変わらないため、第1期と同じになる。
(2)固定資産
固定資産は、有形固定資産、無形固定資産、投資その他の資産により構成される。
(2−1)有形固定資産、
有形固定資産は、建物・構築物、機械装置、車両運搬具、工具器具部品と、それらの減価償却累計額と、土地などの他の有形固定資産で構成される。このとき、有形固定資産>建物・構築物+機械装置+車両運搬具+工具器具部品−減価償却累計額合計である。建物等が破損した場合には、特別損失として計算した金額が建物分の損失分として、有形固定資産のいずれかの項目から減ぜられる。一方、建物等を補修した場合には、当該補修に要する費用の分だけ有形固定資産のいずれかの項目に加算される。また、減価償却累計額は、建物減価償却累計戻入として計算された分だけ減ぜられ、同じく建物等の当該年度の減価償却分(既存部分及び補修部分)だけ加算される。
(2−2)無形固定資産
第1期の無形固定資産と同じになるものとする。
(2−3)投資その他の資産については、税効果会計を適用することにより生ずる繰り延べ税金資産により変化する可能性がある。繰り延べ税金資産がなければ、第1期と同じになる。
(3)資産の部合計
流動資産と固定資産の合計である。
【0063】
(4)流動負債
流動負債は未払い法人税の分だけ第1期の金額から上下する。すなわち、上で計算された未払い法人税の分だけ流動負債は増加する。
(5)固定負債
第n−1期の固定負債に、第n期において発生した損害などにより長期借入金が増加した場合には、当該長期借入金の分だけ固定負債が増加することになる。(6)負債の部合計
流動負債と固定負債の合計である。
(7)資本金
第1期と同じとする。
(8)法定準備金
法定準備金は、資本準備金と利益準備金とに分類される。資本準備金は第1期と同じで、利益準備金については利益処分計算書により設定される利益準備金積立金額分増加する。
(9)その他の剰余金
(9−1)任意積立金
任意積立金は、法定準備金以外に企業の裁量で積み立てておくもので、本実施の形態では、利益処分計算書により設定された利益金処分額から、利益準備金積立、配当金、役員等賞与金の合計を差し引いた金額を任意積立金として積み立てるものとする。
(9−2)当期未処分利益
損益計算書にて計算された当期未処分利益と同じである。
【0064】
次に、キャッシュフロー計算書について説明する。
(1)営業活動によるキャッシュフロー
税引前当期純利益を基にキャッシュの出入りを加減算することにより計算する。その際、考慮していない項目については、第1期のまま不変としている。具体的には、税引前当期純利益+当期固定資産に係る破損分+当期減価償却額−当期法人税等+当期未払法人税等−前期未払法人税−前期役員賞与金+第1期のまま不変の項目として計算する。
(2)投資活動によるキャッシュフロー
第1期の投資活動によるキャッシュフローに、当期発生した投資活動によるキャッシュの出入りを加味することにより計算する。具体的には、第1期の投資活動によるキャッシュフローから固定資産の破損による投資額のみを減算することにより計算する。
(3)財務活動によるキャッシュフロー
財務活動によるキャッシュフローは、第1期の財務活動によるキャッシュフローから当期の中間配当及び前期の配当を減算することにより計算する。
(4)現金及び現金同等物に係る換算差額
第1期の値をそのまま使用する。
(5)現金及び現金同等物の増加
第n期の現金及び現金同等物の増加額は、営業活動によるキャッシュフロー、投資活動によるキャッシュフロー、財務活動によるキャッシュフロー、及び現金及び現金同等物にかかる換算差額の合計額として計算する。
(6)現金及び現金同等物期首残高
第n期の期首(第n−1期の期末)の現金及び預金の残高である。
(7)現金及び現金同等物期末残高
第n期の期末の現金及び預金の残高である。
(8)フリーキャッシュフロー
営業活動によるキャッシュフローから固定資産の破損による投資額を減算することにより計算する。
このような計算により、財務諸表計算処理部13は財務諸表の各財務データを計算し、財務諸表データ格納部152に格納する。
【0065】
第2図の説明に戻って、1期分の財務諸表のデータを計算し終わると、財務諸表計算処理部13はステップS1で設定された期数分だけ財務諸表を計算したか判断する(ステップS9)。もし、計算し終わっていなければ、ステップS7で計算された財務諸表のデータを前期の財務諸表のデータに設定し(ステップS11)、ステップS3に戻る。そして同じように処理を繰り返す。一方、設定された期数分だけ処理を実施した場合には、経営指標計算処理部14は、各種経営指標の計算を行い、計算結果を経営指標データ格納部156に格納する(ステップS13)。経営指標については、以下のように計算し、経営指標データ格納部156にシミュレーション毎及び期毎に格納する。
(1)倒産確率(安全性)・・・自己資本がマイナスとなる確率として定義
(2)営業利益増加率(成長性)・・・第1期の営業利益を100とした場合における各期の営業利益
(3)経常利益増加率(成長性)・・・第1期の経常利益を100とした場合における各期の経常利益
(4)純利益増加率(成長性)・・・第1期の純利益(税引後利益)を100とした場合における各期の純利益(税引後利益)
(5)総資本増加率(成長性)・・・第1期の総資本を100とした場合における各期の総資本
(6)自己資本増加率(成長性)・・・第1期の自己資本を100とした場合における各期の自己資本
(7)営業キャッシュフロー増加率(成長性)・・・第1期の営業キャッシュフローを100とした場合における各期の営業キャッシュフロー
(8)フリーキャッシュフロー増加率(成長性)・・・第1期のフリーキャッシュフローを100とした場合における各期のフリーキャッシュフロー
(9)総資本経常利益率(収益性)・・・経常利益/総資本
(10)ROA(総資本純利益率)(収益性)・・・純利益(税引後利益)/総資本
(11)自己資本経常利益率(収益性)・・・経常利益/自己資本
(12)ROE(自己資本純利益率)(収益性)・・・純利益(税引後利益)/自己資本
(13)売上高営業利益率(収益性)・・・営業利益/売上高
(14)売上高経常利益率(収益性)・・・経常利益/売上高
(15)売上高純利益率(収益性)・・・純利益(税引後利益)/売上高
(16)自己資本比率(安全性)・・・自己資本/総資本
(17)流動比率(安全性)・・・流動資産/流動負債
(18)営業キャッシュフロー・マージン(収益性)・・・営業キャッシュフロー/売上高
(19)フリーキャッシュフロー・マージン(収益性)・・・フリーキャッシュフロー/売上高
(20)営業キャッシュフロー対流動負債比率(安全性)・・・営業キャッシュフロー/流動負債
【0066】
上で述べた全ての経営指標について計算するのではなく、一部のみについて計算するようにしても良いし、また別の経営指標を追加で計算させるようにすることも可能である。
【0067】
次に、財務リスク・シミュレータ10は、ステップS1において設定された所定のシミュレーション回数繰り返し処理を実施したか判断する(ステップS15)。もし、所定のシミュレーション回数繰り返していない場合には、ステップS1における初期条件入力時の財務諸表を前期の財務諸表に設定し、ステップS3に戻る(ステップS17)。一方、所定のシミュレーション回数繰り返し処理を実施した場合には、財務諸表計算処理部13及び経営指標計算処理部14が財務指標のデータ及び経営指標のデータ等の統計処理を実施し、処理結果を統計データ格納部158に格納する(ステップS19)。例えば、平均値を計算したり、財務諸表のデータ又は経営指標のデータの処理結果の悪い方から所定の割合(例えば1%や0.1%等)の中で最も良い財務データ又は経営指標等を抽出することができるようになる。良い方から所定の割合の中で最も悪い財務データ又は経営指標とも言える。また、保険条件データ24として入力されている保険料データや長期借入金の利子など、またコミットメントラインを利用する場合には当該コミットメントラインの手数料及び利子を加算した、リスク対応の必要経費を集計し、統計データ格納部158に格納する場合もある。このようにすれば、保険契約やコミットメントラインによる融資といった損害対策の費用対効果を考察することも可能である。
【0068】
このようにして財務諸表計算処理部13及び経営指標計算処理部14により計算された財務諸表データ31、経営指標データ32、統計処理結果データ33等を出力部30から表示装置や印刷装置等の出力装置に出力する(ステップS21)。
【0069】
以上のような処理を実施することにより、本実施の形態では、事故等を単にその大きさだけではなく頻度についても評価するという確率論的なアプローチにて事故等の財務諸表等へのインパクトを分析することができるようになる。なお、ここでは確率論的手法としてモンテカルロ・シミュレーションを使用しているが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0070】
ここで、耐震補強やスプリンクラー設置等、事前の防災対策を講じた場合を想定したシミュレーションについて説明する。この場合、図2のS1において入力部20からリスクカーブ・データ21と併せて、保険条件データ24に代わる防災対策データとしての対策内容(耐震補強工事、スプリンクラー設置、災害対策組織の結成等)と、そのために要する費用、さらにこうした防災対策を講じることによる効果(損害の規模や損害の発生確率に及ぼす影響度)データが入力される。リスクカーブ・データ21と防災対策の効果データは、図1の財務リスク・シミュレータ10に設けられた損害発生処理部11によりリスクカーブ・データ21の修正に用いられる。防災対策の効果データによって修正された新たなリスクカーブ・データを用いて、損害発生処理部11にて仮想の損害が発生される。ここで発生する仮想損害の規模や発生確率は、当然に防災対策を施さない場合に発生させたものに比べて小さい値を示すことになる。このような処理を行うことによって、事前の防災対策に基づいた損害とそれによる財務データへの影響を分析することが可能となる。
【0071】
なお、事前の防災対策の内容と、それによって生じる効果(損害の規模や発生確率への影響度)を関連付けて格納した防災効果データベース159を設け、損害発生処理部11が防災対策の内容の入力に従ってリスクカーブ・データ21を修正するようにしてもよい。その場合、防災効果データベース159には例えば「耐震補強工事費100万円当たり−地震損害の発生確率5%減、スプリンクラー設置工事費100万円当たり−火災の損害規模3%減」など、防災対策の内容・対策実施の程度とそれによる効果が対応付けて記録される。ここでのデータベースの例はあくまで一例であって、防災対策についてより詳細な項目にブレークダウンさせて、内容・対策実施の程度と効果を対応付けることができる。
【0072】
[実施の形態2]
次に本発明の第2の実施の形態を図15乃至図34を用いて説明する。図15は、本発明の第2の実施の形態に係る機能ブロック図である。
【0073】
本実施の形態に係る財務分析システム200は、本実施の形態における主要な処理を実施する財務リスク・シミュレータ210と、各種データを財務リスク・シミュレータ210に入力する入力部220と、財務リスク・シミュレータ210からの出力をユーザに対して出力する出力部230とを有する。
【0074】
入力部220からは、分析対象企業の第1期(分析時の前期)の財務諸表データ221と、財務諸表に関連する例えば利益処分方針のデータや固定資産の再調達価額や固定費率などの財務諸表関連設定データ222と、各種保険の保険条件についての保険条件データ223と、仮想的な損害を発生する際に用いる各種パラメータである損害発生パラメータ224と、複数のリスクを組み合わせたシミュレーションを行う際に当該リスク間の相関を規定するための順位相関データ225と、シミュレーション回数や財務諸表を何年先まで計算するかを表す期数、いずれのリスクについての処理を行うかといった設定データなどの各種パラメータ226が入力される。なお、リスクには火災、地震、台風、損害賠償、株価下落などが存在しているが、これらのリスクが保険対応可能か否か又はこれらのリスクに対して保険を付保するか否かについては保険条件データ223が設定されるか否かによって判断するものとする。なお、各リスクが保険対応可能か否かを設定するためのテーブルや、各リスクに対して保険を付保するか否かを設定するためのテーブルを別途用意しておき、例えば後に説明する保険条件データ格納部に登録しておくようにしても良い。
【0075】
また、入力部220から入力されるデータについては、ファイルの形式で入力される場合もあれば、例えば図示しない表示装置に入力欄や選択欄を表示して、キーボードやマウスなどの入力装置により必要なデータを入力するようにする場合もある。
【0076】
また、財務リスク・シミュレータ210には、確率論的に損害を発生させ損害額、保険金及び保険料などを算出する損害及び保険金計算処理部211と、算出された損害額、保険金及び保険料並びに財務諸表データ221及び財務諸表関連設定データ222などを用いて、所定の会計規則に則って財務諸表の計算及び財務諸表の統計計算を実施する財務諸表計算処理部212と、経常利益増加率、総資本増加率、営業キャッシュフロー(CF:Cash Flow)増加率、ROA(総資本純利益率=純利益/総資本)、ROE(自己資本純利益率=純利益/自己資本)、売上高経常利益率(=経常利益/売上高)、自己資本比率(=自己資本/総資本)、流動比率(=流動資産/流動負債)、債務超過確率(自己資本がマイナスとなる確率)等の経営指標及び経営指標の統計量を算出する経営指標計算処理部213とが含まれ、例えば財務リスク・シミュレータ210を実現するためのコンピュータのメインメモリなどにワークメモリ領域214が確保される。
【0077】
また、財務リスク・シミュレータ210は、入力部220から入力された財務諸表データ221や財務諸表計算処理部212により算出される財務諸表データを格納するための財務諸表データ格納部215と、入力部220から入力された財務諸表関連設定データ222を格納するための財務諸表関連設定データ格納部216と、入力部220から入力された各種パラメータ226を格納するための各種パラメータ格納部218と、経営指標計算処理部213により算出された経営指標のデータを格納するための経営指標データ格納部217と、財務諸表計算処理部212及び経営指標計算処理部213が行う各種統計処理の処理結果を格納するための統計データ格納部219とを管理する。なお、これらのデータ格納部については、1つのデータ格納部の所定の領域である場合もある。
【0078】
出力部230は、表示装置又はプリンタ等の出力装置に対して、損害及び保険金計算処理部211により算出される各種保険料データ231、損害及び保険金データ232及びリスク寄与データ233と、財務諸表計算処理部212により計算された財務諸表データ234と、経営指標計算処理部212により計算された経営指標データ235と、財務諸表計算処理部213及び経営指標計算処理部213により計算された各種統計処理結果データ236とを出力する。
【0079】
次に、図16を用いて損害及び保険金計算処理部211の機能ブロック図を説明する。損害及び保険金計算処理部211は、入力部220から入力された保険条件データ223を格納するための保険条件データ格納部2112と、入力部220から入力された損害発生パラメータ224を格納するための損害発生パラメータ格納部2111と、入力部220から入力された順位相関データ225を格納するための順位相関データ格納部2113と、仮想的に発生させる事故等の損害と保険金についてのデータを格納するための損害テーブル格納部2117と、損害発生パラメータ格納部2111に格納されたデータを用いて各シミュレーションにおける事故件数を発生させ、処理結果を損害テーブル格納部2117に格納する事故件数発生処理部2114と、損害発生パラメータ格納部2111及び損害テーブル格納部2117に格納されたデータを用いて事故別に損害を発生させ、処理結果を損害テーブル格納部2117に格納する事故別損害発生処理部2127と、保険条件データ格納部2112及び損害テーブル格納部2117に格納されたデータを用いて事故毎に保険金を算出し、処理結果を損害テーブル格納部2117に格納する保険金算出部2115と、リスクカーブ・データを格納するリスクカーブ・データ格納部2121と、損害テーブル格納部2117に格納されているデータを用いてリスクカーブ・データを生成し、リスクカーブ・データ格納部2121に格納するリスクカーブ生成部2119と、各リスクについて行ったシミュレーションの組み合わせを表すリスク組合せデータを格納するリスク組合せデータ格納部2118と、順位相関データ格納部2113に格納されたデータを用いてリスク組合せデータを生成し、リスク組合せデータ格納部2118に格納するリスク組合せ生成部2116と、各リスクについて仮想的に発生させた損害や当該損害に基づく保険金などの合算結果を格納する合算結果格納部2122と、リスクカーブ・データ格納部2121及びリスク組合せデータ格納部2118に格納されたデータを用いて、各リスクについて仮想的に発生させた損害や当該損害に基づく保険金などをリスク組合せデータに基づき合算し、処理結果を合算結果格納部2122に格納するリスク合算処理部2120と、算出された保険金から逆算された保険料のデータを格納する各種保険料データ格納部2124と、リスクカーブ・データ格納部2121に格納されたデータを用いて保険料を逆算し、各種保険料データ格納部2124に格納する保険料算出処理部2123と、各リスクの損害に対する寄与度を表すデータを格納するリスク寄与データ格納部2126と、リスクカーブ・データ格納部2121と合算結果格納部2122とリスク組合せデータ格納部2118とに格納されたデータを用いて各リスクのリスク寄与度を表すデータを生成し、リスク寄与データ格納部2126に格納するリスク寄与度算出部2125とを含む。
【0080】
なお、各種保険料データ格納部2124及び合算結果格納部2122に格納されたデータについては、財務諸表計算処理部212に出力され処理される。また、各種保険料データ格納部2124に格納されたデータは各種保険料データ231として、合算結果格納部2122に格納されたデータは損害及び保険金データ232として、リスク寄与データ格納部2126に格納されたデータはリスク寄与データ233として出力部230に出力される。
【0081】
以下図17乃至図34を用いて図15及び図16に示した各機能ブロックがどのような処理を行うのかについて詳しく述べる。最初に、第1期の財務諸表データ221と、財務諸表関連設定データ222と、保険条件データ223と、損害発生パラメータ224と、順位相関データ225と、何期分の計算を実施するかの設定値及びシミュレーションの実施回数の設定値などの各種パラメータ226とを入力部220から財務リスク・シミュレータ210に入力し、財務諸表データ格納部215、財務諸表関連設定データ格納部216、保険条件データ格納部2112、損害発生パラメータ格納部2111、順位相関データ格納部2113及び各種パラメータ格納部218に格納する等の初期データ設定処理を実施する(ステップS41)。なお、データの入力については、この時点で全てのデータを入力しなければならないわけではなく、例えば予め入力し且つ各データ格納部に格納しておいたデータについて選択を促し、今回の処理に用いるように本ステップにおいて指示させるようにしても良い。また、各種パラメータについては、例えば入力画面において数値などの設定データを入力するようにしても良いし、予め用意されたプルダウンメニューやコンボボックスにより今回の処理のためのパラメータを選択するようにしても良い。なお、本処理において考慮するリスクについては、保険条件データ223内に該当するリスクに対する保険条件データが含まれるかで自動的に判別しても良いし、別途考慮するリスクを選択させるようにしても良い。
【0082】
第1期の財務諸表データ221及び財務諸表関連設定データ222については、本発明の第1の実施の形態と同じであるから、ここではこれ以上述べない。保険条件データ223と損害発生パラメータ224と順位相関データ225とについては、以下の説明にて一例を示す。
【0083】
次に、損害及び保険金計算処理部211は、損害及び保険金算出処理を実施する(ステップS43)。この処理については、図18乃至図31を用いて説明する。
【0084】
最初に、損害及び保険金計算処理部211は、今回の処理に係る損害発生パラメータ224、保険条件データ223及び順位相関データ225を、損害発生パラメータ格納部2111、保険条件データ格納部2112及び順位相関データ格納部2113からワークメモリ領域214に読み出す(ステップS61)。そして、今回考慮すべきリスクのうち未処理のリスクを選択し(ステップS63)、事故件数発生処理部2114は、ワークメモリ領域214に読み出した損害発生パラメータ224を用いて、各種パラメータ格納部218に格納されたシミュレーション回数分、事故件数を乱数により発生させ、損害テーブル格納部2117に登録する(ステップS65)。なお、本実施の形態では、例えば建物や車両などの財物毎に仮想的な損害を発生させる場合がある。その場合には、ステップS63で選択された未処理リスクに関係する財物毎に事故件数を発生させ、損害テーブル格納部2117に登録する。
【0085】
図19に損害発生パラメータ224の一例を示す。図19のテーブル例では、頻度分布の行1901と、損害額分布の列1902とが設けられており、頻度分布のためのパラメータλにつきリスク(1)についての値と、リスク(2)についての値と、リスク(3)についての値とが登録され、損害額分布のためのパラメータμ及びσにつき、リスク(1)についての値と、リスク(2)についての値と、リスク(3)についての値が登録されている。なお、リスクの数については3に限定されない。また、本実施の形態において、事故件数については、パラメータλに従ったポアソン分布に基づき発生させる。損害額については、パラメータμ及びσに従った対数正規分布に基づき発生させる。
【0086】
図20に損害テーブル格納部2117に格納される損害テーブルの一例を示す。図20は、例えばリスク(1)についての損害テーブルであって、リスク(2)及び(3)については別途同様の損害テーブルが用意される。図20に示した損害テーブル例では、シミュレーション番号の列1911と、事故件数の列1912と、損害額累計の列1913と、各事故の損害額の列1914とが含まれる。すなわち、各シミュレーション番号につき、事故件数、損害額累計、各事件の損害額のデータを登録するものである。ステップS65では、事故件数の列1912に事故件数が登録される。
【0087】
次に、事故別損害発生処理部2127は、ワークメモリ領域214に読み出した損害発生パラメータ224を用い、損害テーブル格納部2117に格納されている損害テーブルを参照して、乱数により事故毎に損害を発生させ、当該損害による損害額を損害テーブル格納部2117に登録する(ステップS67)。なお、図19に示した損害発生パラメータ224に含まれるパラメータμ及びσに従った損害額分布(対数正規分布)に基づき乱数を発生させ、各事故に対して損害額を決定する。なお、1回のシミュレーションで複数回事故が発生している場合には、それぞれについて損害額を決定する。また、例えば建物や車両などの財物毎に事故件数を発生させた場合にも、各事故につき損害額を決定する。本ステップS67では、図20の損害テーブルにおいて損害額の列1914に、発生させた損害の損害額を事故毎に登録する。また、損害額の累計をシミュレーション毎に算出し、損害額累計の列1913に登録する。
【0088】
そして、保険金算出部2115は、ワークメモリ領域214に読み出した保険条件データ223を用い、損害テーブル格納部2117内の損害テーブルに登録されている各事故について保険金を算出し、損害テーブル格納部2117の保険金テーブルに登録する(ステップS69)。保険条件データ223の一例を図21に示す。図21に示した保険条件データ223には、リスク(1)、リスク(2)及びリスク(3)について、免責金額、1事故当たりのリミット(支払い保険金上限)及び1証券当たりのリミットのデータが登録されている。従って、保険金算出部2115は、各リスクにつき図21に示すような条件に従って、損害テーブルに登録されている各事故の損害額及びシミュレーション毎の損害額累計と照らし合わせ、実際に支払われる保険金を決定し、保険金テーブルに登録する。
【0089】
保険金テーブルの一例を図22に示す。図22の例では、シミュレーション番号の列1921と、損害額累計と保険金累計との差額である自己負担累計の列1922と、保険金累計の列1923と、各事故の保険金の列1924とが含まれる。保険金の列1924には、損害テーブルに含まれる各事故の損害額に応じて算出される保険金の金額が登録される。また、保険金算出部2115は、保険金の累計をシミュレーション毎に算出し、保険金累計の列1923に登録し、さらにシミュレーション毎に損害額累計と保険金累計との差を計算し、自己負担累計の列1922に登録する。なお、図22は、1つのリスクについてのテーブルであり、リスク毎に図22のようなテーブルが設けられる。
【0090】
なお、損害テーブルと保険金テーブルについては、各リスクにつき連結された1つのテーブルとして取り扱うことができる。
【0091】
次に、リスクカーブ生成部2119は、損害テーブル格納部2117に格納されている損害テーブル及び保険金テーブルをワークメモリ領域214に読み出し、シミュレーション毎の損害累計でソートすることにより、リスクカーブ・データを生成し、リスクカーブ・データ格納部2121に格納する(ステップS71)。説明を行いやすくするため、図23に示すように、シミュレーション番号の列と損害額累計の列と保険金累計の列とで構成されるテーブルで処理を説明する。損害テーブル格納部2117には、実質的に図23に示すようなデータが格納されているので、リスクカーブ生成部2119は損害額累計の値に基づき各シミュレーションをソートする。その結果は、例えば図24のようになる。図24の例では、損害額順位の列1931と、シミュレーション番号の列1932と、損害額累計の列1933と、保険金累計の列1934とが設けられており、各シミュレーションが損害額累計の値で順位付けられている。図24の例ではシミュレーション番号140の時に損害額累計が最大となっている。なお、少なくとも損害額順位の値と損害額累計の値の対にてリスクカーブ・データが構成されており、例えば損害額順位を年間超過確率等の発生頻度(又は確率)として取り扱う。
【0092】
そして、損害及び保険金計算処理部211は、全てのリスクについて処理を実施したか判断する(ステップS73)。もし、未処理のリスクが存在する場合にはステップS63に戻る。一方、全てのリスクについてステップS65乃至S71の処理を行ったと判断された場合には、リスク組合せ生成部2116が、ワークメモリ領域214に格納された順位相関データ225を用いて、リスク組合せデータを乱数にて生成し、リスク組合せデータ格納部2118に登録する(ステップS75)。順位相関データ225の一例を図25に示す。順位相関データ225は、リスク間の相関を規定するものであって、図25の例では、リスク(1)とリスク(2)、リスク(1)とリスク(3)、リスク(2)とリスク(3)との相関のデータが登録されている。リスク組合せ生成部2116は、順位相関データ225に従って周知の方法にて相関のある乱数を発生させる。例えば乱数は1から1000までの値をとるものとする。そうすると、図26に示すようなリスク組合せデータが生成される。すなわち、図26のテーブルでは、組み合わせ番号の列1951と、リスク(1)についてのシミュレーションの損害額順位の列1952と、リスク(2)についてのシミュレーションの損害額順位の列1953と、リスク(3)についてのシミュレーションの損害額順位の列1954とが設けられており、シミュレーションの損害額順位の組み合わせが複数登録されている。各リスクの損害額順位の値の関係は、図25で示した順位相関データ225に従っている。
【0093】
リスク合算処理部2120は、リスクカーブ・データ格納部2121に格納されたリスクカーブ・データを用い、リスク組合せデータ格納部2118に格納されたリスク組合せデータに基づき、全リスクの損害額の合算及び保険金額の合算を実施し、処理結果を合算結果格納部2122に格納する(ステップS77)。図27に示すように、リスク組合せデータに含まれるリスク(1)の損害額順位に従って、リスクカーブ・データ格納部2121においてリスク(1)の対応するリスクカーブ・データを読み出し、登録する。リスク(2)及びリスク(3)についても同様の処理を行えば、図28に示すようなデータが、合算結果格納部2122に格納されることになる。図28の例では、組み合わせ番号の列1961と、リスク(1)から選択する損害額順位の列1962と、選択したリスク(1)の損害額順位の損害額の列1963と、リスク(2)から選択する損害額順位の列1964と、選択したリスク(2)の損害額順位の損害額の列1965と、リスク(3)から選択する損害額順位の列1966と、選択したリスク(3)の損害額順位の損害額の列1967と、合算損害額の列1968とが含まれており、組み合わせ番号毎に、リスク組合せデータに含まれる損害額順位に従って得られる損害額が合計されて合算損害額の列1968に登録される。
【0094】
なお、リスク合算処理部2120は、損害額の合算だけではなく、保険金の合算も行う。すなわち、図29に示すようなデータを合算結果格納部2122に格納する。図29の例では、組み合わせ番号の列1971と、リスク(1)から選択する損害額順位の列1972と、選択したリスク(1)の損害額順位の保険金の列1973と、リスク(2)から選択する損害額順位の列1974と、選択したリスク(2)の損害額順位の保険金の列1975と、リスク(3)から選択する損害額順位の列1976と、選択したリスク(3)の損害額順位の保険金の列1977と、合算の保険金の列1978とが含まれており、組み合わせ番号毎に、リスク組合せデータに含まれる損害額順位に従って得られる保険金が合計されて合算保険金の列1978に登録される。
【0095】
このようにして、合算結果格納部2122に、生成したリスク組合せ毎に合算損害額、及び合算保険金が格納されるようになる。なお、本実施の形態において、リスクカーブ・データをシミュレーションにて生成する点、及びリスクカーブ・データの組み合わせを相関を有する乱数にて決定している点などが第1の実施の形態とは異なる。
【0096】
図17の説明に戻って、保険料算出処理部2123は、リスクカーブ・データ格納部2121に格納されたデータを用いて保険料算出処理を実施する(ステップS45)。保険料については、全く別途定めた金額を用いてもよいが、本実施の形態では、リスクカーブ・データ格納部2121に格納されている保険金のデータを用いて保険料を逆算する。より具体的には、図30に示すような処理を実施する。すなわち、保険料算出処理部2123は、各リスクについてのシミュレーションにおける保険金の平均値(保険料期待値)及び保険金の99%tile値(保険金が多い方から1%以内の最も少ない値)を算出し、各種保険料データ格納部2124内のテーブルに登録する(ステップS81)。図31に各種保険料データ格納部2124に格納されるテーブルの一例を示す。図31の例では、リスクの列2001と、保険金期待値の列2002と、保険金の99%tile値の列2003と、手法(1)(例えば予定損害率方式)による保険料と手法(2)(例えばキャピタルチャージ方式)による保険料の列2004とが含まれる。ステップS81では保険金期待値の列2002と保険金の99%tile値の列2003とにデータが登録される。そして、所定の方法に従って保険料を算出し、各種保険料データ格納部2124のテーブルに登録する(ステップS83)。所定の方法に含まれる第1の手法(手法(1))では、各リスクについての保険金期待値(保険金の平均値)を予定損害率(例えば60%)で除することにより保険料を算出する。また、第2の手法(手法(2))では、保険金の99%tileの値にキャピタルチャージ率(例えば6%)を掛けて保険金期待値を加算することにより保険料を算出する。これを全てのリスクについて実施する。なお、保険料の算出方法については、他の方法(例えば再保険市場レートを参考にしたマルチプル関数方式)を採用してもよい。また、どの手法による保険料を以下の処理で用いるかについてはユーザにより選択させても良いし、一手法に固定させてもよい。
【0097】
そして、財務諸表計算処理部212は、合算結果格納部2122に格納されている損害額及び受取保険金(リスクカーブ・データの組み合わせ毎)及び各種保険料データ格納部2124に格納された支払い保険料(いずれかの手法による保険料)の影響を反映した財務諸表を算出し、財務諸表データ格納部215に格納する(ステップS47)。この処理については、第1の実施の形態における処理内容と同じであるからこれ以上述べない。
【0098】
また、経営指標計算処理部213は、財務諸表データ格納部215と財務諸表関連設定データ格納部216に格納されたデータを用いて経営指標データを算出し、経営指標データ格納部217に格納する(ステップS49)。この処理についても、第1の実施の形態における処理内容と同じであるからこれ以上述べない。
【0099】
そして、1期分の財務諸表のデータを計算し終わると、各種パラメータ226として設定された期数処理したか判断する(ステップS51)。もし、計算し終わっていなければ、ステップS47で計算された財務諸表のデータを前期の財務諸表のデータに設定し(ステップS53)、ステップS43に戻る。そして同じように処理を繰り返す。一方、設定された期数分だけ処理を実施した場合には、財務諸表計算処理部212及び経営指標計算処理部213が財務指標のデータ及び経営指標のデータ等の統計処理を実施し、処理結果を統計データ格納部219に格納する(ステップS55)。例えば、平均値を計算したり、例えば財務諸表のデータ又は経営指標のデータの処理結果の悪い方から所定の割合(例えば1%や0.1%等)の中で最も良い財務データ又は経営指標等を抽出する。良い方から所定の割合の中で最も悪い財務データ又は経営指標とも言える。この処理についても第1の実施の形態と同様である。
【0100】
このようにして財務諸表計算処理部212及び経営指標計算処理部213により計算された財務諸表データ234、経営指標データ235及び統計処理結果データ236、損害及び保険金計算処理部211により算出された各種保険料データ231、損害及び保険金データ232等を出力部230から表示装置や印刷装置等の出力装置に出力する(ステップS57)。
【0101】
以上のような処理を実施することにより、本実施の形態では、事故等を単にその大きさだけではなく頻度についても評価するという確率論的なアプローチにて事故等の財務諸表等へのインパクトを分析することができるようになる。また、本実施の形態ではリスクカーブも人為的に設定したものではなく、同じく確率論的に求められたものを使用することができる。また、リスクの組み合わせについてもその相互関係を考慮した形で、分析することができる。
【0102】
なお、損害及び保険金計算部211のリスク寄与度算出部2125は、リスクの寄与度を算出する処理を実施する場合もある。この処理は必須ではないが、リスクの寄与度を算出した場合には、リスク寄与データ233として出力部230から表示装置や印刷装置などの出力装置に出力する。
【0103】
リスク寄与度算出部2125の処理内容を図32乃至図34を用いて説明する。リスク寄与度算出部2125は、リスク組合せデータ格納部2118に格納されたリスク組合せデータに従って、各リスクについてのシミュレーションの組み合わせ毎に、(損害額合算結果−各リスク損害額)を算出し、リスク寄与データ格納部2126に格納する(ステップS91)。図33に処理結果の一例を示す。図33の例では、組み合わせ番号の列2011と、(損害額合算結果−リスク(1)の損害額)の列2012と、(損害額合算結果−リスク(2)の損害額)の列2013と、(損害額合算結果−リスク(3))の列2014とが設けられている。そして、単純な損害額合算結果の99%tile値と(損害額合算結果−各リスク損害額)の99%tile値との差を算出し、リスク寄与データ格納部2126に格納する(ステップS93)。このステップの処理結果は例えば図34に示すようなテーブルに格納される。図34の例では、リスクの列2021と、合算リスク量(損害額合算結果)の99%tile値の列2022と、(損害額合算結果−各リスク量(各リスクの損害額))の99%tile値の列2023と、リスク寄与度の列2024と、重要度順位の列2025とが設けられており、各リスクについてデータが登録されるようになっている。ステップS93では、合算リスク量の99%tile値の列2022と、(損害額合算結果−各リスク量)の99%tile値の列2023とにデータが格納される。
【0104】
そして、損害額合算結果の99%tile値から(損害額合算結果−各リスク量)の99%tile値を差し引くことにより、各リスクの寄与度を算出し、さらにリスク寄与度により重要度を判定し、リスク寄与データ格納部2126に登録する(ステップS95)。このような計算を行うことにより、99%tileにおける各リスクの損害額の減少度が算出される。より多くの損害額を減少させるリスクは、重要度が高く、大きなリスク寄与度を有する。図34の例では、リスク(1)がない場合には最も多くの損害額が減少するため、リスク(1)が最も重要であることが分かる。
【0105】
以上のような処理を実施することにより、分析対象企業の財務分析を実施することができるようになる。また、各リスクの損害に対するリスク寄与度をも算出することができる。寄与殿大きいリスクに対して対策を集中させることができ、効率的な対応を図ることができる。なお、99%tile値を用いた処理を説明したが、他の%であってもよい。
【0106】
[実施例]
図7乃至図9に示したような第1期の財務諸表を用い、以下のような条件の下、図2の処理を実施した場合に出力されるデータの一例を説明する。但し、対比のために、保険を付保している場合と、保険を付保していない場合とを計算している。なお、ここでは防災対策については考慮していない。保険を付保した場合には、財物保険については、保険の対象は、流動資産(製品・原材料・仕掛品・貯蔵品等)、固定資産(建物・構築物、機械装置、車両運搬具、工具器具部品)であり、契約形態として再調達価額及び縮小填補方式(縮小割合80%)を採用している。また、利益保険については、保険の対象は、売上原価・販売費及び一般管理費のうち固定費並びに営業利益であり、契約形態として約定付保率方式(約定付保率15%)及び免責期間ゼロを採用している。さらに、売上高増加率を1%とし、材料費の固定費率0%、労務費の固定費率75%、製造経費の固定費率50%、売上原価固定費率を12.5%、販売費及び一般管理費における固定費率を20%として計算している。このような条件の下、第2期から第6期までの5期分のシミュレーションを1000回行うものとする。
【0107】
図35乃至図37に示すように、本実施の形態では保険なしという条件が設定された場合の第6期の平均(1000回のシミュレーションの平均)の財務諸表を計算することができる。図35は計算されたバランスシートを表し、図36は計算された損益計算書を表し、図37は計算されたキャッシュフロー計算書を表す。図7及び図35に示したバランスシートを比較すると、資産の部では、現金及び預金が減少している。一方、資本の部では、当期未処分利益が大幅に減少しており、結果としてその他の剰余金が大幅に減少している。図8及び図36に示した損益計算書を比較すると、利益が減少していると共に、事故等の損害により特別損益が大幅に悪化しており、結果として収益が減少している。このように、保険なしの状態では、事故等が発生すると大幅に収益が悪化する。図9及び図37に示したキャッシュフロー計算書を比較すると、収益が悪化しているため営業活動によるキャッシュフローが減少しており、事故等が発生しているため投資活動によるキャッシュフローが悪化している。
【0108】
図38乃至図40に示すように、保険なしという条件が設定された場合における1000回のシミュレーションの結果の中の悪い方から所定の割合(1%)の中で最も良い財務諸表も計算できる。すなわち、100回に1回の確率で生ずる悪いケースである(すなわち、シミュレーション結果のうちの良い方から99%までの中で最も悪いものという意味で、以下99%tileとも呼ぶ)。%tileについては、各種パラメータとして予め選択するようにすることができる。例えば99%tileのみを選択可能としてもよいし、95%tile、92%tile、90%tile、85%tileといった複数を選択することもできる。そして、シミュレーション結果の順番付けを行うための基準としてどの財務指標又は財務データを用いるかについても、あらかじめ選択することができる。選択する%tileと、順番付けに用いる財務指標又は財務データの種類は、図2のステップS1において、ユーザの入力に基づいて入力部20で受付けされる。この選択入力に基づいて、財務諸表計算処理部13と経営指標計算処理部14が、%tileの値に該当する財務諸表及び経営指標を特定して、抽出する。そして、出力部30にて出力する。
【0109】
なお、順番付けの基準となる指標としてここでは自己資本の絶対額を用いている。図38のバランスシートを見ると、資産の部では、現金及び預金が大幅に減少しており、固定資産が大幅に増加している。この結果資本の部では、その他の剰余金(当期未処分利益)が大幅に減少していることも分かる。図39の損益計算書を見ると、税引前当期純利益は図36の損益計算書より多くなっているが、前期繰越利益が図36の前期繰越利益より大幅に悪いことから、第6期より前の期で大きな事故等が発生して、固定資産の補修に多額の費用を費やしたことが分かる。このように第6期だけの業績を見るとそれ程悪くはないので、図40に示したキャッシュフロー計算書では、図37に示した平均の場合より良い値が示されている。
【0110】
これに対して図41乃至図43に示すように、保険ありという条件が設定された場合における第6期の平均の財務諸表を計算することができる。図41のバランスシートと図7のバランスシートを比較すると、流動資産は少々減少しているが、固定資産と、その他の剰余金(当期未処分利益)が増加している。また、図42の損益計算書と図8の損益計算書を比較すると、休業損の発生により売上高が減少し、営業利益及び経常利益も減少しているが、受取保険金による特別利益が大きく増加しており、従って税引前当期純利益が増加している。特別損失も増加しているので、事故等が発生しているが、保険によりカバーされていることが分かる。さらに、図43のキャッシュフローと図9のキャッシュフローを比較すると、営業の活動によるキャッシュフローは微増で、事故等が発生しているので投資活動によるキャッシュフローは悪化している。
【0111】
また、図44乃至図46に示すように、保険ありという条件が設定された場合における第6期の計算結果の悪い方から所定の割合(1%)の中で最も良い(99%tile)財務諸表も計算することができる。なお、ここでも順番付けの基準となる指標として自己資本の絶対額を用いている。図44のバランスシートと図7及び図38のバランスシートを比較すると、100回に1回の確率で生ずる悪いケースにも拘わらず第1期(図7)よりも資本の部合計の値は良い値を示している。これはその他の剰余金(当期未処分利益)が増加しているためである。なお、保険なしの場合の図38のバランスシートにおける値よりは高い値を示している。図45の損益計算書と図8及び図39の損益計算書を比較すると、第1期(図8)と図45の損益計算書の内容はほとんど同じである。但し、前期繰越利益が大幅に増加しており、これは第2期から第5期までに発生した損害に対して保険金が支払われたためである。図39と図45を比較すると、図45の方が内容は良くなっている。これは図45の場合には第6期に前期からのマイナスの繰越利益(繰越損失)が発生していないためである。図46に示したキャッシュフロー計算書と図40に示した第6期のキャッシュフロー計算書はほぼ同じである。これは第6期には大きな事故等が発生していなかったためである。
【0112】
出力部30は、これら第1期の財務諸表と指定%tileに該当する財務諸表を、並列させて比較可能な状態で表示する。その際、財務リスク・シミュレータ10が第1期財務諸表と指定%tileに該当する財務諸表の各勘定科目の値を比較し、指定%tileに該当する財務諸表の値の方が大きい(又は一定の水準以上大きい)科目については例えば青字で、また小さい(又は一定の水準以上小さい)値の科目については例えば赤字で表示するなど、相違する内容に応じて指定%tileに該当する財務諸表の表示を変化させる。さらに、変化させる青や赤の色の濃度を、第1期財務諸表と指定%tileに該当する財務諸表の各勘定科目の各値の差の比率({%tileに該当する財務諸表の値−第1期財務諸表の値}÷第1期財務諸表の値)に応じて変えることができる。例えば、差の値が大きいほど字色の濃度を濃くし、小さいほど薄くすることができる。図47のテーブルは、差の比率の区間毎に色コードを設定するものであり、EからAというコードに進むにつれ、明度を減らすような色コードを選択すればよい。このテーブルは、例えば各種パラメータ格納部155の所定の領域に予め記録されている。財務リスク・シミュレータ10は、双方の財務諸表の各勘定科目の値を比較し、その差の多さを算定し、算定した値に基づいて各種パラメータ格納部155内に記録されている字色濃度テーブル(図47)を参照して、表示する字色を決定し出力部30に指示を行う。
【0113】
図35乃至図46の例では、経営指標の各期の推移は分からない。以下では、特徴的な経営指標について各期の推移を計算した結果を示す。図48に示すように、本実施の形態によれば、保険なしという条件が設定された場合における債務超過確率の推移を計算できる。これはシミュレーションした回数のうちどの程度の回数が、自己資本が0又はマイナスになるかを表すものである。ここでの各期における債務超過率は、各期以前の期における各債務超過率を累積した値としている。一方図49に示すように、保険ありという条件が設定された場合における債務超過確率の推移を計算することもできる。図48に示すように、保険なしの場合には期が進むにつれ債務超過に陥る可能性が増大するが、図49に示すように、保険ありの場合には全く債務超過に陥ることはない。このように保険加入の効果が明らかになっている。
【0114】
図50に示すように、本実施の形態によれば、保険なしという条件が設定された場合における平均の自己資本増加率の推移が計算できる。図51に示すように、保険なしという条件が設定された場合における計算結果の悪い方から所定の割合(1%)の中で最も良い(99%tile)自己資本増加率の推移も計算できる。保険なしの場合には、平均の場合でも自己資本は第1期から増加することは無く、99%tileの場合には4期以降大幅な自己資本の毀損が発生している事がわかる。一方、図52に示すように、保険ありという条件が設定された場合における平均の自己資本増加率の推移も計算でき、図53に示すように、保険ありという条件が設定された場合における99%tileの自己資本増加率の推移も計算できる。保険ありの場合には、平均だけではなく、99%tileのケースであっても順調に自己資本の増加が実現できていることが分かる。
【0115】
図54に示すように、本実施の形態によれば、保険なしという条件が設定された場合における平均の営業キャッシュフロー増加率の推移が計算できる。また図55に示すように、保険なしという条件が設定された場合における99%tileの営業キャッシュフロー増加率の推移も計算できる。保険なしの場合には、平均の場合であっても営業キャッシュフローは減少している。また、99%tileの場合には第4期に大きな事故等が発生したため大幅なマイナスを生じている。一方図56に示すように、本実施の形態によれば、保険ありという条件が設定された場合における平均の営業キャッシュフロー増加率の推移が計算でき、図57に示すように、保険ありという条件が設定された場合における99%tileの営業キャッシュフロー増加率の推移も計算できる。保険ありの場合であれば、平均値であれば少しずつではあるが増加しており、100回に1回の確率で生ずる悪いケースである99%tileの場合でも多少減少する程度に抑えられている。従って、このように保険加入の効果が明らかになっている。
【0116】
図58に示すように本実施の形態では、保険なしという条件が設定された場合における平均の自己資本比率の推移を計算することもできる。同様に図59に示すように、保険なしという条件が設定された場合における99%tileの自己資本比率の推移を計算することもできる。これらを比較すると、平均においても自己資本比率は微減しており、99%tileの場合には第4期において大きな事故等が発生したため大幅なマイナスになっている。一方、図60に示すように、保険ありという条件が設定された場合における平均の自己資本比率の推移を計算することもできる。同様に図61に示すように、保険ありという条件が設定された場合における99%tileの自己資本比率の推移を計算することもできる。これらを比較すると、保険ありの場合には少しずつ自己資本比率は増加している。99%tileの場合であっても自己資本比率は微増している。
【0117】
ここで、保険なしの場合における自己資本の額(その他、自己資本比率やキャッシュフローの額などであってもよい)に応じて順位付けされた貸借対照表の中から、所定の順位にあるものを適宜抽出する。99%tileは、良好な順番の上位から99%(下から1%) の位置にあるものをいうが、この位置を順次ずらして該当するものを特定し、出力する。例えば、95%tile、90%tile、80%tileとその順位を変えて、該当する自己資本比率を表示する。99%tileで自己資本比率がマイナス(つまり債務超過)になっていたとしても、その頻度は100回に1回程度であり、分析される企業である顧客としてもさほどリスクが高いとは感じない可能性がある。順次、%tileを変化させて、90%tileや80%tileにおいても自己資本比率がマイナスになるとすれば、顧客としてもリスクの高さを実感することができる。このように、%tileを変化させて該当するデータを表示することによって、どの程度の%tileであれば自己資本比率がマイナスにならなくて済むかを確認することができ、また顧客もリスクのレベルを的確に実感することができる。
【0118】
こうした%tile別の実態を複数の年度にわたって計算し、一度に表示した状態を表すのが図62である。図62では、保険がない場合の自己資本比率の推移について、第6期における自己資本の絶対額をベースとした順位付けで、95%tile(a)、92%tile(b)、90%tile(c)、85%tile(d)を表示している。図62で確認できるように、95%tile、92%tile、90%tileにおいては、いずれかの年度において自己資本比率がマイナス(債務超過)に陥ることが確認できる。顧客としては、100回のシミュレーション計算中少なくとも10回までは、第2期から第6期までの間に債務超過が発生していることを確認できる。また、少なくとも85回は債務超過にならなくて済んでいることも確認できる。こうして、債務超過になる可能性のレベルを数値をもって実感することができる。90%tileのレベルで第2期から第6期までのいずれかの年度で債務超過が発生していることから、顧客としては何らかの対策の必要性を実感し、例えば保険等の手当をすることになる。
【0119】
なお、上では99%tile等の特定に際して計算結果の順番付けに第6期の自己資本の絶対額を用いていたが、(1)第6期における総資産の絶対額、(2)5期分(第2期から第6期まで)の自己資本の合計額、(3)第2期から第6期までの間の最小自己資本比率の値、(4)5期分の営業キャッシュフローの合計額など、図2のステップS1における入力に基づいて適宜選択し、使用することも可能である。例えば第2期のみに大きな事故が起きたような場合には第6期の営業キャッシュフローは大きく減少することはないが、実際に企業に与える影響を考えた場合には第2期に発生した事故による営業キャッシュフローの落ち込みを無視することはできず、こうした意味から5期分にわたる自己資本の合計額、5期の中で最小となる自己資本比率、さらに営業キャッシュフローの合計等で順位付けをするのが妥当である。
【0120】
このように、各%tileを特定する基準(つまり順位付けをする基準)としては、さまざまな要素を用いることができるが、選定された基準に基づいて抽出された財務諸表の中から、基準として用いられた要素以外のデータを各%tile毎に出力するような構成でもよい。例えば、5期分(2第期から第5期まで)の合計キャッシュフローに基づいて順位付けし、各%tileに該当する財務データを特定し、その財務データから自己資本比率の推移、営業利益の増加率推移等を表示するようにしてもよい。こうすることで、複数の財務データ要素を組み合わせて多角的な分析を行うことができる。
【0121】
本実施の形態によれば、様々な保険条件における必要経費(保険料、手数料及び支払利息の合計)と経営指標の関係なども計算することが出来る。図63に示すように、ここでは、保険のみを利用して事故等に対処する場合と、保険とコミットメントライン(CL)による融資とを50%ずつ利用して事故等に対処する場合と、全てコミットメントラインによる融資により事故等に対処する場合とにおける必要経費と経営指標の1つである営業キャッシュフローとの関係を示すものである。これによれば、保険のみを利用する場合は比較的必要経費が多くなり、また営業キャッシュフローも少なくなっている。一方、コミットメントラインによる融資のみでは、必要経費は多くなっているが営業キャッシュフローは一番多くなっている。保険とコミットメントラインによる融資を50%ずつ利用した場合には、経費は低くなっており、営業キャッシュフローも中程度になっている。従って、保険とコミットメントラインによる融資を組み合わせる方が好ましいことが分かる。50%ずつが好ましいかどうかはさらに条件を変更した計算を実施すれば分かる。
【0122】
以上本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図1並びに図15及び図16で示した機能ブロック図は一例であって、必ずしもプログラムのモジュールとは対応しない。また、図2の処理フローにおいて、ステップS13をステップS7の後に実施するような構成であってもよい。また、ステップS13をステップS15の後に実施するような構成であってもよい。また、財物に対する保険及び休業期間に対する保険を説明したが、他の保険についても適用可能である。統計処理の方法については上で述べた方法に限定されず、他の方法を用いても良い。さらに、保険条件を変更して繰り返しシミュレーションを実施する場合もある。そしてそれらを比較可能な態様で出力する場合もある。
【0123】
本発明の実施の形態をまとめると、以下のようになる。
【0124】
すなわち、本発明の実施の形態における第1の態様に係る分析対象企業の財務分析方法は、損害の規模と当該損害の発生確率(例えば損害の発生頻度又は発生頻度に基づいて決定される値)との所定の対応関係(例えば実施の形態における年間超過確率と損害規模により表される所定のリスクカーブ)に従って乱数により仮想的な損害を発生させ、当該仮想的な損害の規模に関するデータを記憶装置に格納する損害発生ステップと、少なくとも仮想的な損害の規模に関するデータを用い、所定の規則に従って分析対象企業の財務データ(例えば財務諸表のデータ)を計算し、記憶装置に格納する財務データ計算ステップとを含む。このようにすることにより、確率論的な手法を用いて定量化されたリスクを前提として、当該リスクの影響を受けた例えば財務諸表のデータを計算することができるようになる。
【0125】
また、本発明の実施の形態における第1の態様において、少なくとも仮想的な損害の規模に関するデータを用いて所定の損害対策(例えば保険契約、コミットメントライン、防災設備の設置等)に基づき受領する資金のデータ(例えば受取保険金や借入金のデータ)を計算し、記憶装置に格納する受領資金データ計算ステップをさらに含み、上で述べた財務データ計算ステップにおいて、少なくとも受領した資金のデータと損害対策に要する費用のデータと仮想的な損害の規模に関するデータとを用い、所定の規則に従って分析対象企業の財務データを計算するように構成することも可能である。
【0126】
このようにすることにより、確率論的な手法を用いて定量化されたリスクを前提とし、当該リスクに対処するための保険契約、コミットメントライン等の各種損害対策に要する費用及び損害対策が発動されることにより受領する資金等のデータに基づき例えば財務諸表のデータを計算することができるようになる。すなわち、各種損害対策の財務諸表における効果を見ることができるようになる。
【0127】
さらに、本発明の実施の形態における第1の態様において、上で述べた損害発生ステップと、上で述べた財務データ計算ステップとを所定回数実行し、所定回数分の財務データ又は財務データから計算される経営指標データを順位付けするステップと、順位付けられた財務データ又は財務データから計算される経営指標データのうち所定順位(例えば上位x%に含まれるものの中で最も悪いもの(以下、x%tileとも呼ぶ))にあるものを特定する特定ステップと、特定ステップにおいて特定された財務データ又は財務データから計算される経営指標データを出力するステップとをさらに含むような構成であってもよい。このような統計データを得ることにより、確率論的に所定のリスクに対してどの程度の影響を受けるかといった事項を理解しやすくなる。
【0128】
また、所定の損害対策に関するデータに基づいて、損害の規模と損害の発生確率との所定の対応関係を変化させるような構成であってもよい。例えば、事前の防災対策により、損害の規模が小さくなり、損害の発生確率が低くなるような場合には、当該事前の防災対策に応じたデータを用いて、仮想的な損害を発生させることにより、財務データの適切なシミュレーションが可能となる。
【0129】
また、上記損害発生ステップと、上記財務データ計算ステップとを所定回数実行し、財務データ計算ステップにおいて計算された所定回数分の財務データ又は財務データから計算される経営指標の統計量を計算し、記憶装置に格納するステップをさらに含むような構成であってもよい。損害の規模と当該損害の発生確率との所定の対応関係の下、平均的な財務データ又は経営指標や、例えば処理結果の悪い方から所定の割合(例えば1%等)の中で最も良い財務データ又は経営指標等(処理結果の良い方から例えば99%の中で最も悪い財務データで99%tileとも言う)を抽出することができるようになる。これにより、リスクの財務データに対するインパクトをより現実に近い形でシミュレートできるようになる。
【0130】
また、上で述べた受領資金データ計算ステップにおいて、異なる損害対策(例えば保険ありの場合の保険条件、保険なし、コミットメントライン利用等)に基づき受領する複数の資金のデータを計算するような構成であってもよい。複数の損害対策を評価して、適切な損害対策を見出すことができるようになる。
【0131】
また、上で述べた財務データ計算ステップが、発生された仮想的な損害に対応するための損害対策に要する費用を集計するステップを含むような構成であってもよい。コストの観点から損害対策を見直すことも可能になる。
【0132】
また、上記損害対策に要する費用に、損害対策のための保険に関連する費用と、融資に関連する費用と、防災対策に関連する費用とのうち少なくともいずれかが含まれるような構成であってもよい。例えば、建物の火災保険の保険料や、コミットメントラインによる融資を受けるための手数料や利子、さらに耐震補強工事やスプリンクラー設置等の防災対策のための工事費などについても費用として考慮するものである。
【0133】
さらに、上記損害発生ステップと、上記財務データ計算ステップとを連続する所定年数分実行し、上記財務データ計算ステップにおいて計算された連続する所定年数分の財務データ又は財務データから計算される経営指標の推移を表すデータを出力するステップをさらに含むような構成であってもよい。これにより、リスクの財務データに対するインパクトを複数年にわたって見ることが出来る。なお、上記損害発生ステップと、上記財務データ計算ステップに、上記受領資金データ計算ステップをも加えて、それらを連続する所定年数分実行し、上記財務データ計算ステップにおいて計算された連続する所定年数分の財務データ等を出力するステップを含めても良い。
【0134】
本発明の実施の形態における第2の態様に係る分析対象企業の財務分析方法は、損害対策が発動される条件が仮想的に満たされた場合の仮想的な損害状態を確定し、当該仮想的な損害状態を表すデータを記憶装置に格納するステップと、損害対策に要する費用に関するデータ及び仮想的な損害状態を表すデータを用い、所定の規則に従って分析対象企業の財務データを連続する所定年数分予測計算し、記憶装置に格納するステップとを含む。
【0135】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、定量化されたリスクと企業の財務との関連性を明らかにすることができる。
【0136】
また、本発明の他の側面として、定量化されたリスク及び当該リスクに対処するための各種対策と企業の財務との関連性を明らかにすることができる。
【0137】
さらに、本発明の他の側面として、定量化されたリスクから各種データを導出することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における機能ブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における処理フローを示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における財物損害率と年間超過確率とで表されるリスクカーブの一例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における休業期間と年間超過確率とで表されるリスクカーブの一例を示す図である。
【図5】リスクカーブ・データテーブルの一例を示す図である。
【図6】リスクカーブ・データテーブルの管理テーブルの一例を示す図である。
【図7】第1期のバランスシートの例を示す図である。
【図8】第1期の損益計算書の例を示す図である。
【図9】第1期のキャッシュフローの例を示す図である。
【図10】第1期の利益金処分書の例を示す図である。
【図11】固定資産の時価又は再調達価額の一例を示す図である。
【図12】保険条件データの一例を示す図である。
【図13】損害発生処理の処理フローを示す図である。
【図14】損害・保険金データ格納部に格納されるデータの一例を示す図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態に係る機能ブロック図である。
【図16】損害及び保険金計算処理部の機能ブロック図である。
【図17】本発明の第2の実施の形態に係るメインの処理フローを示す図である。
【図18】損害及び保険金算出処理の処理フローを示す図である。
【図19】損害発生パラメータの一例を示す図である。
【図20】損害テーブルの一例を示す図である。
【図21】保険条件データの一例を示す図である。
【図22】保険金テーブルの一例を示す図である。
【図23】リスクカーブ・データ生成処理を説明するための図である。
【図24】リスクカーブ・データ(一部)の一例を示す図である。
【図25】順位相関データの一例を示す図である。
【図26】リスク組合せデータの一例を示す図である。
【図27】損害額の合算処理を説明するための図である。
【図28】損害額の合算結果の一例を示す図である。
【図29】保険金の合算結果の一例を示す図である。
【図30】保険料算出処理の処理フローを示す図である。
【図31】各種保険料データ格納部に格納されるデータの一例を示す図である。
【図32】リスク寄与度算出処理の処理フローを示す図である。
【図33】リスク寄与度算出処理における途中結果を示す図である。
【図34】リスク寄与度についてのデータ例を示す図である。
【図35】保険なしの場合における第6期の平均のバランスシートの例を示す図である。
【図36】保険なしの場合における第6期の平均の損益計算書の例を示す図である。
【図37】保険なしの場合における第6期の平均のキャッシュフロー計算書の例を示す図である。
【図38】保険なしの場合における第6期のバランスシート(99%tile)の例を示す図である。
【図39】保険なしの場合における第6期の損益計算書(99%tile)の例を示す図である。
【図40】保険なしの場合における第6期のキャッシュフロー計算書(99%tile)の例を示す図である。
【図41】保険ありの場合における第6期の平均のバランスシートの例を示す図である。
【図42】保険ありの場合における第6期の平均の損益計算書の例を示す図である。
【図43】保険ありの場合における第6期の平均のキャッシュフロー計算書の例を示す図である。
【図44】保険ありの場合における第6期のバランスシート(99%tile)の例を示す図である。
【図45】保険ありの場合における第6期の損益計算書(99%tile)の例を示す図である。
【図46】保険ありの場合における第6期のキャッシュフロー計算書(99%tile)の例を示す図である。
【図47】字色濃度テーブルの一例を示す図である。
【図48】保険なしの場合における債務超過率の遷移を示す図である。
【図49】保険ありの場合における債務超過率の遷移を示す図である。
【図50】保険なしの場合における平均の自己資本増加率の遷移を示す図である。
【図51】保険なしの場合における自己資本増加率(99%tile)の遷移を示す図である。
【図52】保険ありの場合における平均の自己資本増加率の遷移を示す図である。
【図53】保険ありの場合における自己資本増加率(99%tile)の遷移を示す図である。
【図54】保険なしの場合における平均の営業キャッシュフロー増加率の遷移を示す図である。
【図55】保険なしの場合における営業キャッシュフロー増加率(99%tile)の遷移を示す図である。
【図56】保険ありの場合における平均の営業キャッシュフロー増加率の遷移を示す図である。
【図57】保険ありの場合における営業キャッシュフロー増加率(99%tile)の遷移を示す図である。
【図58】保険なしの場合における平均の自己資本比率の遷移を示す図である。
【図59】保険なしの場合における自己資本比率(99%tile)の遷移を示す図である。
【図60】保険ありの場合における平均の自己資本比率の遷移を示す図である。
【図61】保険ありの場合における自己資本比率(99%tile)の遷移を示す図である。
【図62】異なる%tileについての対比のための画面例を示す図である。
【図63】コスト分析結果を示す図である。
【符号の説明】
100 財務分析システム
10 財務リスク・シミュレータ
11 損害発生処理部
12 保険金算出処理部
13 財務諸表計算処理部
14 経営指標計算処理部
15 ワークメモリ領域
151 リスクカーブ・データ格納部
152 財務諸表データ格納部
153 財務諸表関連設定データ格納部
154 保険条件データ格納部
155 各種パラメータ格納部
156 経営指標データ格納部
157 損害・保険金データ格納部
158 統計データ格納部
159 防災効果データベース
20 入力部
21 リスクカーブ・データ
22 財務諸表データ
23 財務諸表関連設定データ
24 保険条件データ
25 各種パラメータ
30 出力部
31 財務諸表データ
32 経営指標データ
33 経営処理結果データ
200 財務分析システム
210 財務リスク・シミュレータ
211 損害及び保険金計算処理部
212 財務諸表計算処理部
213 経営指標計算処理部
214 ワークメモリ領域
215 財務諸表データ格納部
216 財務諸表関連設定データ格納部
217 経営指標データ格納部
218 各種パラメータ格納部
219 統計データ格納部
220 入力部
221 財務諸表データ
222 財務諸表関連設定データ
223 保険条件データ
224 損害発生パラメータ
225 順位相関データ
226 各種パラメータ
230 出力部
231 各種保険料データ
232 損害及び保険金データ
233 リスク寄与データ
234 財務諸表データ
235 経営指標データ
236 統計処理結果データ

Claims (18)

  1. 仮想的に発生させる損害の規模を決定するためのリスクカーブ・データを格納するリスクカーブ・データ格納部と、
    少なくとも分析対象企業の1期分の財務データを格納する財務データ格納部と、
    乱数と前記リスクカーブ・データ格納部から読み出したリスクカーブ・データとを用いて、仮想的な損害の規模を特定し、当該損害の規模に関するデータを記憶装置に格納する損害発生手段と、
    前記記憶装置に格納された前記損害の規模に関するデータと前記財務データ格納部に格納された前記分析対象企業の1期分の財務データとを用い、所定の規則に従って前記仮想的な損害発生後における前記分析対象企業の財務データを計算し、前記財務データ格納部に格納する財務データ計算手段と、
    を有する財務分析コンピュータ・システム。
  2. リスクに対する対策の効力に関するデータと当該対策の費用に関するデータを格納する対策データ格納部と、
    前記対策データ格納部に格納された前記対策の効力に関するデータと前記記憶装置に格納された前記損害の規模に関するデータとに基づき仮想的に受領する資金の金額を計算し、当該受領資金の金額データを記憶装置に格納する受取資金計算手段と、
    をさらに有し、
    前記財務データ計算手段が、前記記憶装置に格納された前記受領資金の金額データと前記対策データ格納部に格納された前記費用に関するデータとをさらに用いて前記仮想的な損害発生後における前記分析対象企業の財務データを計算する
    ことを特徴とする請求項1記載の財務分析コンピュータ・システム。
  3. 前記リスクカーブ・データが、損害率、損害額又は休業日数のいずれかで表される前記損害の規模の離散分布データであり、
    前記損害発生手段が、
    乱数により前記離散分布データにおいて対応する点を特定する手段と、
    特定された点が複数である場合に、当該特定された複数の点のデータを用いて、前記リスクカーブ・データにより表されるリスクカーブの少なくとも一部を近似する、予め定められた形式の関数におけるパラメータを決定する手段と、
    決定された前記パラメータと前記関数とにより、前記損害の規模を決定する手段と、
    を含む請求項1又は2記載の財務分析コンピュータ・システム。
  4. 前記財務データ格納部に格納された前記分析対象企業の財務データから財務指標の値を算出し、記憶装置に格納する財務指標計算手段
    をさらに有し、
    前記損害発生手段と前記財務データ計算手段と前記財務指標計算手段とがシミュレーション回数動作し、
    さらに、
    前記記憶装置に格納された前記シミュレーション回数分の財務指標の値又は前記財務指標データ格納部に格納された前記シミュレーション回数分の財務データに基づき、前記財務指標の値又は前記財務データの統計量を算出し、記憶装置に格納する統計量算出手段
    を有する請求項1乃至3のいずれか1つ記載の財務分析コンピュータ・システム。
  5. 前記統計量が、前記財務指標の値又は前記財務データを所定の規則に従って並べた際における所定の順位の前記財務指標の値又は前記財務データであることを特徴とする請求項4記載の財務分析コンピュータ・システム。
  6. 前記リスクカーブ・データ格納部が、個別リスク毎に前記リスクカーブ・データを格納し、
    前記損害発生手段が、
    指定された個別リスクに係る前記リスクカーブ・データを前記リスクカーブ・データ格納部から読み出す手段と、
    指定された個別リスクの各々に係る前記リスクカーブ・データと乱数とを用いて当該指定された個別リスクの各々について仮想的な損害の規模を特定し、当該各損害の規模に関するデータを記憶装置に格納する個別損害規模算出手段と、
    前記記憶装置に格納された前記各損害の規模に関するデータを用いて損害の規模を合算し、合算結果を記憶装置に格納する合算手段と、
    を有し、
    前記財務データ計算手段が、
    前記記憶装置に格納された合算結果を前記損害の規模に関するデータとして用い、前記仮想的な損害発生後における前記分析対象企業の財務データを計算する
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の財務分析コンピュータ・システム。
  7. 前記合算手段が、前記指定された個別リスクのうち特定の個別リスクを除いたものに係る前記損害の規模に関するデータを用いて損害の規模を合算し、第2の合算結果を記憶装置に格納し、
    前記個別損害規模算出手段と前記合算手段とが複数回動作して、複数の前記合算結果と複数の前記第2の合算結果を算出し、
    さらに、
    前記複数の前記合算結果の統計量と前記第2の合算結果の統計量を算出し、記憶装置に格納する手段と、
    前記記憶装置に格納されている前記合算結果の統計量と前記第2の合算結果の統計量とを用いて、前記特定の個別リスクの寄与度を計算する手段と、
    をさらに有する請求項6記載の財務分析コンピュータ・システム。
  8. 前記乱数が、相関を有する複数の乱数であることを特徴とする請求項6又は7記載の財務分析コンピュータ・システム。
  9. 前記損害発生手段が、
    複数の物件の各々について仮想的な損害の規模を特定し、
    前記複数の物件の各々についての仮想的な損害の規模を合算して、全体の損害の規模に関するデータを生成する
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の財務分析コンピュータ・システム。
  10. 乱数により事故件数を特定する処理を所定サンプル回数実施する事故件数特定手段と、
    各サンプルにつき前記事故件数分の損害の規模を乱数により特定し、当該損害の規模を前記サンプル毎に合算して、前記サンプル毎の損害の規模を算出し、前記サンプル毎の損害の規模に関するデータを記憶装置に格納する損害規模算出手段と、
    前記サンプル毎の前記損害の規模を並び替えることによりリスクカーブ・データを生成し、前記リスクカーブ・データ格納部に格納するリスクカーブ生成手段と、
    をさらに有する請求項1記載の財務分析コンピュータ・システム。
  11. 前記事故件数特定手段と前記損害規模算出手段と前記リスクカーブ生成手段とを用いて、複数の指定リスクについてリスクカーブ・データを生成し、
    前記損害発生手段が、
    前記複数の指定リスク間の相関を規定するデータに基づき生成された乱数により、前記リスクカーブ・データ格納部に格納された各前記リスクカーブ・データに含まれるサンプルを特定し、当該特定されたサンプルの組み合わせデータを生成し、記憶装置に格納する組合せデータ生成手段と、
    前記特定されたサンプルの組み合わせデータを用いて、前記複数の指定リスクに対応する損害の規模に関するデータを生成し、記憶装置に格納する組合せ損害規模データ生成手段と、
    を有することを特徴とする請求項10記載の財務分析コンピュータ・システム。
  12. 前記組合せデータ生成手段が、前記サンプルの組み合わせデータを複数セット生成し、
    前記組合せ損害規模データ生成手段が、前記複数の指定リスクに対応する損害の規模に関するデータを複数セット生成し、
    さらに、
    前記記憶装置に格納された前記複数の指定リスクに対応する損害の規模に関するデータを複数セット用いて、前記複数の指定リスクに対応する損害の規模に関するデータの第1の統計量を算出し、記憶装置に格納する手段と、
    前記サンプルの組み合わせデータを複数セット用いて、前記複数の指定リスクのうち特定のリスクを除いたものに対応する損害の規模に関するデータを複数セット生成し、記憶装置に格納する手段と、
    前記記憶装置に格納された前記複数の指定リスクのうち特定のリスクを除いたものに対応する損害の規模に関するデータを複数セット用いて、前記複数の指定リスクのうち特定のリスクを除いたものに対応する損害の規模に関するデータの第2の統計量を算出し、記憶装置に格納する手段と、
    前記第1の統計量及び前記第2の統計量に基づき前記特定のリスクのリスク寄与度を算出し、記憶装置に格納する手段と、
    をさらに有する請求項11記載の財務分析コンピュータ・システム。
  13. 乱数により事故件数を特定する処理を所定サンプル回数実施する事故件数特定手段と、
    各サンプルにつき前記事故件数分の損害の規模を乱数により特定し、事故毎の前記損害の規模に関するデータを記憶装置に格納する損害規模算出手段と、
    をさらに有し、
    前記受取資金計算手段が、
    前記事故毎の前記損害の規模に関するデータに基づいて、前記事故毎に仮想的に受領する資金の金額を計算し、前記サンプル毎に前記事故毎に仮想的に受領する資金の金額を合算し、当該合算受領資金の金額データを記憶装置に格納する手段をさらに有する
    ことを特徴とする請求項2記載の財務分析コンピュータ・システム。
  14. 前記記憶装置に格納された前記サンプル毎の前記合算受領資金の金額データの統計量を計算し、記憶装置に格納する手段と、
    前記記憶装置に格納された前記統計量を用いて、前記リスクに対する対策の費用に関するデータを生成し、前記対策データ格納部に格納する手段と、
    をさらに有する請求項13記載の財務分析コンピュータ・システム。
  15. 個別リスク毎にリスクカーブ・データを格納するリスクカーブ・データ格納部から、指定された個別リスクに係る前記リスクカーブ・データを読み出す手段と、
    指定された個別リスクの各々に係る前記リスクカーブ・データと乱数とを用いて当該指定された個別リスクの各々について仮想的な損害の規模を特定し、当該各損害の規模に関するデータを記憶装置に格納する個別損害規模算出手段と、
    前記記憶装置に格納された前記各損害の規模に関するデータを用いて損害の規模を合算し、合算結果を記憶装置に格納する合算手段と、
    前記指定された個別リスクのうち特定の個別リスクを除いたものに係る前記損害の規模に関するデータを用いて損害の規模を合算し、第2の合算結果を記憶装置に格納する第2合算手段と、
    を有し、
    前記個別損害規模算出手段と前記合算手段と前記第2合算手段とが複数回動作して、複数の前記合算結果と複数の前記第2の合算結果を算出し、
    さらに、
    前記複数の前記合算結果の統計量と前記第2の合算結果の統計量を算出し、記憶装置に格納する手段と、
    前記記憶装置に格納されている前記合算結果の統計量と前記第2の合算結果の統計量とを用いて、前記特定の個別リスクの寄与度を計算する手段と、
    を有するリスク寄与度算出装置。
  16. 乱数により事故件数を特定する処理を所定サンプル回数実施する事故件数特定手段と、
    各サンプルにつき前記事故件数分の損害の規模を乱数により特定し、事故毎の前記損害の規模に関するデータを記憶装置に格納する損害規模算出手段と、
    前記事故毎の前記損害の規模に関するデータに基づいて、前記事故毎に仮想的に受領する資金の金額を計算し、前記サンプル毎に前記事故毎に仮想的に受領する資金の金額を合算し、当該合算受領資金の金額データを記憶装置に格納する手段と、
    前記記憶装置に格納された前記サンプル毎の前記合算受領資金の金額データの統計量を計算し、記憶装置に格納する手段と、
    前記記憶装置に格納された前記統計量を用いて、前記リスクに対する対策の費用に関するデータを生成し、対策データ格納部に格納する手段と、
    を有する保険料試算装置。
  17. 仮想的に発生させる損害の規模を決定するためのリスクカーブ・データを格納するリスクカーブ・データ格納部から読み出したリスクカーブ・データと乱数とを用いて、仮想的な損害の規模を特定し、当該損害の規模に関するデータを記憶装置に格納するステップと、
    前記記憶装置に格納された前記損害の規模に関するデータと、少なくとも分析対象企業の1期分の財務データを格納する財務データ格納部に格納された前記分析対象企業の1期分の財務データとを用い、所定の規則に従って前記仮想的な損害発生後における前記分析対象企業の財務データを計算し、前記財務データ格納部に格納するステップと、
    を含み、コンピュータにより実行される財務分析方法。
  18. 請求項17記載の財務分析方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
JP2003180122A 2002-06-25 2003-06-24 財務分析コンピュータ・システム及び方法 Withdrawn JP2004086875A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003180122A JP2004086875A (ja) 2002-06-25 2003-06-24 財務分析コンピュータ・システム及び方法

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002184022 2002-06-25
JP2003180122A JP2004086875A (ja) 2002-06-25 2003-06-24 財務分析コンピュータ・システム及び方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004086875A true JP2004086875A (ja) 2004-03-18

Family

ID=32071594

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003180122A Withdrawn JP2004086875A (ja) 2002-06-25 2003-06-24 財務分析コンピュータ・システム及び方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004086875A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004259188A (ja) * 2003-02-27 2004-09-16 Sompo Japan Risk Management Inc 事故リスク評価支援装置
JP2005293378A (ja) * 2004-04-01 2005-10-20 Daido Life Insurance Co 保険料算出システム及び保険料算出方法、並びにコンピュータ・プログラム
JP2008512768A (ja) * 2004-09-09 2008-04-24 デルタ レンジャーズ、インク. 住宅資産保護契約書およびその取引方法
JP2013080456A (ja) * 2011-09-21 2013-05-02 Norihide Noda 企業評価システム、企業評価方法及び企業評価プログラム
JP2019139560A (ja) * 2018-02-13 2019-08-22 株式会社オービック 原価計算装置、原価計算方法、および、原価計算プログラム

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004259188A (ja) * 2003-02-27 2004-09-16 Sompo Japan Risk Management Inc 事故リスク評価支援装置
JP2005293378A (ja) * 2004-04-01 2005-10-20 Daido Life Insurance Co 保険料算出システム及び保険料算出方法、並びにコンピュータ・プログラム
JP2008512768A (ja) * 2004-09-09 2008-04-24 デルタ レンジャーズ、インク. 住宅資産保護契約書およびその取引方法
JP2013080456A (ja) * 2011-09-21 2013-05-02 Norihide Noda 企業評価システム、企業評価方法及び企業評価プログラム
JP2019139560A (ja) * 2018-02-13 2019-08-22 株式会社オービック 原価計算装置、原価計算方法、および、原価計算プログラム
JP7137311B2 (ja) 2018-02-13 2022-09-14 株式会社オービック 原価計算装置、原価計算方法、および、原価計算プログラム

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Penza et al. Measuring market risk with value at risk
US9135661B2 (en) System and method for determining the liquidity of a credit
US20070294158A1 (en) Asymmetric and volatility margining for risk offset
US8266046B2 (en) System and method for using diversification spreading for risk offset
US20150134501A1 (en) Computer-Implemented Systems and Methods for Hedging with Contractual Flows
US20060277134A1 (en) System and method for using diversification spreading for risk offset
JP2005516308A (ja) ビジネス企業のリスクモデル及び方法
Davidson III Financial statement analysis: Basis for management advice
Goodman et al. Collateralized debt obligations: structures and analysis
Dai et al. How does credit risk affect cost management strategies? Evidence on the initiation of credit default swap and sticky cost behavior
Raynes et al. The analysis of structured securities: precise risk measurement and capital allocation
JP2003233703A (ja) 経営指標処理システム
Allan et al. The management of risks in banking
JP2004086875A (ja) 財務分析コンピュータ・システム及び方法
Vahdani et al. The role of corporate diversification in tax avoidance in companies listed in the Tehran Stock Exchange
Lucky Prudential determinants of commercial bank soundness in Nigeria
Franzen et al. Credit Valuation Adjustment: In theory and practice
JP2005196332A (ja) 保険条件特定処理方法及び装置
Cornford The Basel Committee's Proposals for Revised Capital Standards: Mark 2 and the State of Play
JP2005004234A (ja) 住宅型ノンリコースローン保証システム、住宅型ノンリコースローン保証方法、住宅型ノンリコースローン保証業務支援装置並びに住宅型ノンリコースローン保証業務支援プログラム
Nabila et al. Effects of working capital management, solvency, and pro􀅫 itability on bankruptcy risk (Cade: Property Sector in Indonesia Stock Exchange)
Omelková A Financial Analysis of a Selected Company
Khafizov Company value management strategy development
Chen Global Risk Management
US20130138576A1 (en) Systems and methods for implementing a defined maturity equity

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060529

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090414

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20090427