JP2004257473A - 密封装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】樹脂製シール部材を有し、該シール部材の内周面と10aとロール外周面12aの界面である摺接面14に潤滑を確保するグリースを使用する密封装置において、供給されるグリースが微小であるので、環境条件によってはグリースが不足して潤滑を確保することが困難となり、そのためシール部材10やロール12の磨耗を促進してしまう問題点が生じていた。
【解決手段】上記摺接面14の潤滑をよくする目的で、シール部材の相手方部材と摺接する内周面10aにグリースを保持するための空間部15を開設したことを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】上記摺接面14の潤滑をよくする目的で、シール部材の相手方部材と摺接する内周面10aにグリースを保持するための空間部15を開設したことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、密封装置に係り、更に詳しくは、鉄鋼分野ないし製鉄分野の連鋳機設備に用いられる連鋳機用シールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
本発明の密封装置が主として用いられる連鋳機は、転炉や電気炉で作られた溶鋼を鋳型で冷やし、中で固まった鋼を鋳型の底から帯のように連続的に引き出して鋼片を作る装置であり、鋼ないし鋼片を移送する移送路に多数のロールが配設されており、該ロールを回転自在に支持するベアリングを有し、ベアリング内に水やスケール等のダストの浸入を防止し、またベアリング側グリースの外部への漏洩を防止する目的で密封装置を有している。
【0003】
連鋳機に用いられる密封装置である連鋳機用シールは、概略図6に示す通り、金属環2と、金属環2に一体成形されるゴム状弾性体3と、金属環2にカシメ固定されている内環5・7・8と、水・スケール側に位置する樹脂製シール部材10と、樹脂製シール部材10の外周側に位置するゴム製バックアップリング11と、から構成されており、水・スケール側に位置する樹脂製シール部材10は、高温に曝されるため耐熱性を考慮して材質をゴムから代替したものであるが、樹脂であるので高温の影響で硬化し、樹脂製シール部材とロール周面とで形成される摺接面14の潤滑が良くないとシール部材10やロール12の磨耗を促進させてしまう不具合を生じさせることになる。
【0004】
そのため、従来は上記摺接面14の潤滑を確保する方法として、不図示のハウジングの内周面をシールするゴム状の外周シール部3を焼き付けた金属環2と、該金属環2とカシメ固定されている内環5と、で形成されているグリース側収容部6に充満しているグリースが、グリース側空間に一定の間隔で周期的に給油されるときの圧力で上記摺接面14に供給されることを利用して行っていたが、グリース量が微少であり、しかも周期的に一定の間隔で供給されるので、環境条件によっては潤滑性を十分に確保することができなかった。
【0005】
また、下記文献1にも、上記と同様にグリース側空間にグリースが周期的に一定の間隔で給油されるときの圧力を利用してグリースを周期的に一定の間隔で供給する記載はあるが常時グリースを摺接面14に対して供給する記載はない。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−372798号公報(第3頁、第1・第2図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上の点に鑑みて、樹脂製シール部材内周面とロール周面とで形成される摺接面の潤滑を良くし、もって樹脂製シール部材の耐磨耗性の向上を図り、品質性に優れた密封装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1による密封装置は、樹脂製シール部材を有し、上記樹脂製シール部材と相手部材とで形成される摺接面に潤滑性を確保するためのグリースを使用する密封装置において、上記摺接面の一方を形成する上記樹脂製シール部材の内周面にグリースを保持するための空間部を開設したことを特徴とするものである。
【0009】
したがって、グリース側空間に一定間隔で周期的に供給されるときの圧力で上記摺接面に浸入したグリースが上記内周面に開設された空間部に保持され、保持されたグリースが上記摺接面に常時供給されるので、上記摺接面の潤滑を確保することができる。
【0010】
本発明の請求項2による密封装置は、上記請求項1による密封装置において、上記樹脂製シール部材に、上記空間部とグリース側空間とを連通する連通路を設けたことを特徴とするものである。
【0011】
したがって、上記空間部とグリース側空間が連通路で通じているので、連通路を通じてグリース側空間のグリースが上記空間部に常時流動し、上記摺接面の潤滑を確保することができる。
【0012】
本発明の請求項3による密封装置は、上記請求項1による密封装置において、上記空間部はその一端がグリース側空間に開口するように形成されていることを特徴とするものである。
【0013】
したがって、上記空間部がその一端をグリース側空間に開口するように形成されているので、グリース側空間からのグリースが開口部より常時流動し、上記摺接面の潤滑を確保することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示して説明する。ただし、この発明の範囲は、特に限定的記載がないかぎりは、この実施の形態に記載されている内容に限定する趣旨のものではない。
【0015】
図1は、本発明の実施例に係る連鋳機設備に用いられる密封装置であり、主として連鋳機用シールと称される連鋳機シール1の半裁断面を示しており、この連鋳機シール1は、連鋳機におけるロールベアリング内部に水・スケール用シールとして装着されるものであり、図の右側が水・スケール側(大気側)、左側がグリース側(ベアリング側)である。
【0016】
当該実施例に係る連鋳機シール1は、図に示す通り、該シール1と該シール1を装着する不図示のハウジングとの間をシールするゴム製の外周シール部3と、該シール部3と一体に成形されていてロール12に摺接するゴム製のリップシール4を焼付け固定した金属環2と、該金属環2とカシメ固定されていてグリース側収容部6のもう一方を形成している内環5と、金属環2とカシメ固定されていて水・スケール側収容部9を形成している内環7と、内環8と、該スケール側収容部9内に収容されているバックアップリング11と、ロール12に摺接する樹脂製シール部材10と、から構成されている。
【0017】
金属環2は、組み付けたときにロールやハウジングと同心的に配置される筒状部2aと、筒状部2aのグリース側端部で内径方向に向けて一体成形された円環状のフランジ部2bと、から構成されており、内環5は、筒状部で金属環筒状部2aとカシメ固定されている筒状部5aと、筒状部5aの水・スケール側端部で内径方向に向けて一体成形された円環状のフランジ部5bと、から構成されており、金属環のフランジ部2bと内環5によりグリース側収容部6が形成されている。
【0018】
グリース側収容部6内には、金属環2に焼付け固定されているゴム状の外周シール部3と一体成形されていてロール12と摺接するリップシール4と、リップシール4の外径側背面に位置してロール12に対する上記リップシール4の締め代の大きさを調整するための締め代調整用スプリングとしてのガータースプリング13と、が収容されている。
【0019】
リップシール4はロール12と摺接してグリース側空間のグリースが水・スケール側に漏れない機能を主として果たすが、グリース側空間にグリースが一定の間隔で定期的に供給されるときの圧力によりリップシール4とロール12周面との界面に僅かな間隙が生じ、該間隙よりグリースがグリース側収容部6に充満する。
【0020】
内環7は、金属環2の水・スケール側筒状部2aで内径側にカシメ固定されている筒状部7aと、筒状部7aの水・スケール側端部で内径方向に向けて一体成形された円環状のフランジ部7bと、から構成されており、内環8は、内環7の筒状部7aで内径側にカシメ固定されている筒状部8aと、筒状部8aのグリース側端部で内径方向に向けて一体成形された円環状のフランジ部8bと、から構成されており、内環7のフランジ部7bと内環8によりスケール側収容部9が形成されている。
【0021】
スケール側収容部9には、内環8の筒状部8aの内径側に装着されたゴム製バックアップリング11と、該バックアップリングの内径側に装着された樹脂製シール部材10と、が収容されており、樹脂製シール部材10は内周面10aをもってロール外周面12aに摺接し、水・スケールがグリース側空間に浸入するのを防止する機能を主として果たす。
【0022】
そして、図2に示す通り、樹脂製シール部材10には、ロールと摺接する内周面10aに所定の間隔で開設された独立した穴状の複数の空間部15と、上記空間部15とグリース側収容部とを連通する連通孔16と,が設けられている。
【0023】
以上の構成による実施例1では、グリース側空間に充満しているグリースがグリース側収容部6を介して連通孔16を通って上記空間部15に流動し、該グリースが、樹脂製シール部材内周面10aとロール外周面12aとで形成される摺接面14に常時供給されることになるので、上記摺接面14の潤滑を確保することができる。
【0024】
なお、上記空間部15からグリース側収容部6に通じている連通孔16は、樹脂製シール部材の内部を貫通している連通孔ではなく上記内周面に開設される連通路である場合を問わない。
【0025】
また、上記連通孔の場合における孔径の大きさは、グリースは流動するがスケールを通さない大きさであればよく、直径0.3mm〜0.5mmの範囲であることが好ましい。
【0026】
更に、独立した穴状の複数の空間部の大きさ・個数は、樹脂製シール部材が摺接するロールに対応した大きさ・個数であることが好ましく、複数開設された空間部は周方向に等間隔で配置されていることが好ましい。
【0027】
次の実施例2では、図3に示す通り、樹脂製シール部材10には、上記内周面10aに周方向に連続している溝状の空間部15aと、上記空間部15aとグリース側収容部6とを連通する連通孔16と,が設けられている。
【0028】
この場合においても、グリース側空間に充満しているグリースがグリース側収容部6を介して連通孔16を通って周方向溝15aに流動するので、該グリースが上記摺接面14に溝巾で周方向全周に亘って常時供給され、上記摺接面14の潤滑を確保することができる。
【0029】
なお、実施例1と同じく、溝15aからグリース側収容部6に通じる連通孔16は,樹脂製シール部材の内部を貫通している連通孔ではなく上記内周面に開設される連通路である場合を問わない。
【0030】
また、上記連通孔の場合における孔径の大きさは、グリースは流動するがスケールを通さない大きさであればよく、直径0.3mm〜0.5mmの範囲であることがより望ましい。
【0031】
更に、次の実施例3では、図5に示す通りその一端がグリース側収容部6に開口するように形成されている溝状の空間部15bが複数開設されている場合である。
【0032】
この場合においても、グリース側空間に充満しているグリースがグリース側収容部6を介して開口部より溝状の空間部に流動し、該グリースが上記摺接面14のグリース側端部から溝先端部にかけて常時供給されるので、上記摺動面14の潤滑を確保することができる。
【0033】
なお、上記溝状の空間部15bの形状はどのような形状でも良いが、端から中央にかけて漸次狭くなる楔上の形状であることがより好ましく、溝の個数・深さは樹脂製シール部材が摺接するロール径に対応した数・深さであることが好ましく、複数配置されている溝状の空間部は周方向に等間隔で配置されていることが好ましい。
【0034】
また、上記溝状空間部15bの先端部から上記内周面10の端部までの距離は、上記内周面全巾の1/2以下であればよく、1/3以下であることがより好ましい。
【0035】
更に、開設された溝上空間が周方向となす角度は、本例は90度で形成されているが、周方向に対しどのような角度でもよい。
【0036】
【発明の効果】
本発明は、以下の効果を奏する。
【0037】
上記構成を備えた本発明の請求項1の発明は、樹脂製シール部材が相手部材と摺接する内周面に開設された空間部に保持されているグリースが樹脂製シール部材内周面とロール外周面とで形成される摺接面に常時供給されるので、上記摺接面の潤滑を確保することができ、よってシール部材やロールの磨耗を防止することができる
【0038】
上記構成を備えた本発明の請求項2の発明は、上記空間部がグリース側空間と連通孔で通じているので、グリース側空間からのグリースが連通孔を通じて上記空間部に流動・保持され、かかるグリースが上記摺動面に供給されるので、上記摺接面の潤滑を確保することができ、よってシール部材やロールの磨耗を防止することができる。
【0039】
上記構成を備えた本発明の請求項3の発明は、上記空間部がその一端がグリース側空間に開口するように形成されているので、開口部からグリースが+上記空間部に流動・保持され、かかるグリースが上記摺接面に供給されるので、上記摺接面の潤滑を確保することができ、もってシール部材やロールの磨耗を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1及び2に係る密封装置の要部断面図
【図2】実施例1における樹脂製シール部材の内周面の斜視図
【図3】実施例2における樹脂製シール部材の内周面の斜視図
【図4】本発明の実施例3に係る密封装置の要部断面図
【図5】実施例3における樹脂製シール部材の内周面の斜視図
【図6】従来例に係る密封装置の要部断面図
【符号の説明】
1 連鋳機シール
2 金属環
2a,5a,7a,8a 筒状部
2b,5b,7b,8b プレート部
3 外周シール部
4 リップシール
5,7,8 内環
6 グリース側収容部
9 水・スケール側収容部
10 樹脂製シール部材
10a 内周面
11 ゴム製バックアップリング
12 ロール
12a 外周面
13 ガータースプリング
14 摺接面
15 空間部
15a 周方向に連続して開設された溝
15b 一端がベアリング側空間に通じる溝
16 連通孔
【発明の属する技術分野】
本発明は、密封装置に係り、更に詳しくは、鉄鋼分野ないし製鉄分野の連鋳機設備に用いられる連鋳機用シールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
本発明の密封装置が主として用いられる連鋳機は、転炉や電気炉で作られた溶鋼を鋳型で冷やし、中で固まった鋼を鋳型の底から帯のように連続的に引き出して鋼片を作る装置であり、鋼ないし鋼片を移送する移送路に多数のロールが配設されており、該ロールを回転自在に支持するベアリングを有し、ベアリング内に水やスケール等のダストの浸入を防止し、またベアリング側グリースの外部への漏洩を防止する目的で密封装置を有している。
【0003】
連鋳機に用いられる密封装置である連鋳機用シールは、概略図6に示す通り、金属環2と、金属環2に一体成形されるゴム状弾性体3と、金属環2にカシメ固定されている内環5・7・8と、水・スケール側に位置する樹脂製シール部材10と、樹脂製シール部材10の外周側に位置するゴム製バックアップリング11と、から構成されており、水・スケール側に位置する樹脂製シール部材10は、高温に曝されるため耐熱性を考慮して材質をゴムから代替したものであるが、樹脂であるので高温の影響で硬化し、樹脂製シール部材とロール周面とで形成される摺接面14の潤滑が良くないとシール部材10やロール12の磨耗を促進させてしまう不具合を生じさせることになる。
【0004】
そのため、従来は上記摺接面14の潤滑を確保する方法として、不図示のハウジングの内周面をシールするゴム状の外周シール部3を焼き付けた金属環2と、該金属環2とカシメ固定されている内環5と、で形成されているグリース側収容部6に充満しているグリースが、グリース側空間に一定の間隔で周期的に給油されるときの圧力で上記摺接面14に供給されることを利用して行っていたが、グリース量が微少であり、しかも周期的に一定の間隔で供給されるので、環境条件によっては潤滑性を十分に確保することができなかった。
【0005】
また、下記文献1にも、上記と同様にグリース側空間にグリースが周期的に一定の間隔で給油されるときの圧力を利用してグリースを周期的に一定の間隔で供給する記載はあるが常時グリースを摺接面14に対して供給する記載はない。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−372798号公報(第3頁、第1・第2図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上の点に鑑みて、樹脂製シール部材内周面とロール周面とで形成される摺接面の潤滑を良くし、もって樹脂製シール部材の耐磨耗性の向上を図り、品質性に優れた密封装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1による密封装置は、樹脂製シール部材を有し、上記樹脂製シール部材と相手部材とで形成される摺接面に潤滑性を確保するためのグリースを使用する密封装置において、上記摺接面の一方を形成する上記樹脂製シール部材の内周面にグリースを保持するための空間部を開設したことを特徴とするものである。
【0009】
したがって、グリース側空間に一定間隔で周期的に供給されるときの圧力で上記摺接面に浸入したグリースが上記内周面に開設された空間部に保持され、保持されたグリースが上記摺接面に常時供給されるので、上記摺接面の潤滑を確保することができる。
【0010】
本発明の請求項2による密封装置は、上記請求項1による密封装置において、上記樹脂製シール部材に、上記空間部とグリース側空間とを連通する連通路を設けたことを特徴とするものである。
【0011】
したがって、上記空間部とグリース側空間が連通路で通じているので、連通路を通じてグリース側空間のグリースが上記空間部に常時流動し、上記摺接面の潤滑を確保することができる。
【0012】
本発明の請求項3による密封装置は、上記請求項1による密封装置において、上記空間部はその一端がグリース側空間に開口するように形成されていることを特徴とするものである。
【0013】
したがって、上記空間部がその一端をグリース側空間に開口するように形成されているので、グリース側空間からのグリースが開口部より常時流動し、上記摺接面の潤滑を確保することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示して説明する。ただし、この発明の範囲は、特に限定的記載がないかぎりは、この実施の形態に記載されている内容に限定する趣旨のものではない。
【0015】
図1は、本発明の実施例に係る連鋳機設備に用いられる密封装置であり、主として連鋳機用シールと称される連鋳機シール1の半裁断面を示しており、この連鋳機シール1は、連鋳機におけるロールベアリング内部に水・スケール用シールとして装着されるものであり、図の右側が水・スケール側(大気側)、左側がグリース側(ベアリング側)である。
【0016】
当該実施例に係る連鋳機シール1は、図に示す通り、該シール1と該シール1を装着する不図示のハウジングとの間をシールするゴム製の外周シール部3と、該シール部3と一体に成形されていてロール12に摺接するゴム製のリップシール4を焼付け固定した金属環2と、該金属環2とカシメ固定されていてグリース側収容部6のもう一方を形成している内環5と、金属環2とカシメ固定されていて水・スケール側収容部9を形成している内環7と、内環8と、該スケール側収容部9内に収容されているバックアップリング11と、ロール12に摺接する樹脂製シール部材10と、から構成されている。
【0017】
金属環2は、組み付けたときにロールやハウジングと同心的に配置される筒状部2aと、筒状部2aのグリース側端部で内径方向に向けて一体成形された円環状のフランジ部2bと、から構成されており、内環5は、筒状部で金属環筒状部2aとカシメ固定されている筒状部5aと、筒状部5aの水・スケール側端部で内径方向に向けて一体成形された円環状のフランジ部5bと、から構成されており、金属環のフランジ部2bと内環5によりグリース側収容部6が形成されている。
【0018】
グリース側収容部6内には、金属環2に焼付け固定されているゴム状の外周シール部3と一体成形されていてロール12と摺接するリップシール4と、リップシール4の外径側背面に位置してロール12に対する上記リップシール4の締め代の大きさを調整するための締め代調整用スプリングとしてのガータースプリング13と、が収容されている。
【0019】
リップシール4はロール12と摺接してグリース側空間のグリースが水・スケール側に漏れない機能を主として果たすが、グリース側空間にグリースが一定の間隔で定期的に供給されるときの圧力によりリップシール4とロール12周面との界面に僅かな間隙が生じ、該間隙よりグリースがグリース側収容部6に充満する。
【0020】
内環7は、金属環2の水・スケール側筒状部2aで内径側にカシメ固定されている筒状部7aと、筒状部7aの水・スケール側端部で内径方向に向けて一体成形された円環状のフランジ部7bと、から構成されており、内環8は、内環7の筒状部7aで内径側にカシメ固定されている筒状部8aと、筒状部8aのグリース側端部で内径方向に向けて一体成形された円環状のフランジ部8bと、から構成されており、内環7のフランジ部7bと内環8によりスケール側収容部9が形成されている。
【0021】
スケール側収容部9には、内環8の筒状部8aの内径側に装着されたゴム製バックアップリング11と、該バックアップリングの内径側に装着された樹脂製シール部材10と、が収容されており、樹脂製シール部材10は内周面10aをもってロール外周面12aに摺接し、水・スケールがグリース側空間に浸入するのを防止する機能を主として果たす。
【0022】
そして、図2に示す通り、樹脂製シール部材10には、ロールと摺接する内周面10aに所定の間隔で開設された独立した穴状の複数の空間部15と、上記空間部15とグリース側収容部とを連通する連通孔16と,が設けられている。
【0023】
以上の構成による実施例1では、グリース側空間に充満しているグリースがグリース側収容部6を介して連通孔16を通って上記空間部15に流動し、該グリースが、樹脂製シール部材内周面10aとロール外周面12aとで形成される摺接面14に常時供給されることになるので、上記摺接面14の潤滑を確保することができる。
【0024】
なお、上記空間部15からグリース側収容部6に通じている連通孔16は、樹脂製シール部材の内部を貫通している連通孔ではなく上記内周面に開設される連通路である場合を問わない。
【0025】
また、上記連通孔の場合における孔径の大きさは、グリースは流動するがスケールを通さない大きさであればよく、直径0.3mm〜0.5mmの範囲であることが好ましい。
【0026】
更に、独立した穴状の複数の空間部の大きさ・個数は、樹脂製シール部材が摺接するロールに対応した大きさ・個数であることが好ましく、複数開設された空間部は周方向に等間隔で配置されていることが好ましい。
【0027】
次の実施例2では、図3に示す通り、樹脂製シール部材10には、上記内周面10aに周方向に連続している溝状の空間部15aと、上記空間部15aとグリース側収容部6とを連通する連通孔16と,が設けられている。
【0028】
この場合においても、グリース側空間に充満しているグリースがグリース側収容部6を介して連通孔16を通って周方向溝15aに流動するので、該グリースが上記摺接面14に溝巾で周方向全周に亘って常時供給され、上記摺接面14の潤滑を確保することができる。
【0029】
なお、実施例1と同じく、溝15aからグリース側収容部6に通じる連通孔16は,樹脂製シール部材の内部を貫通している連通孔ではなく上記内周面に開設される連通路である場合を問わない。
【0030】
また、上記連通孔の場合における孔径の大きさは、グリースは流動するがスケールを通さない大きさであればよく、直径0.3mm〜0.5mmの範囲であることがより望ましい。
【0031】
更に、次の実施例3では、図5に示す通りその一端がグリース側収容部6に開口するように形成されている溝状の空間部15bが複数開設されている場合である。
【0032】
この場合においても、グリース側空間に充満しているグリースがグリース側収容部6を介して開口部より溝状の空間部に流動し、該グリースが上記摺接面14のグリース側端部から溝先端部にかけて常時供給されるので、上記摺動面14の潤滑を確保することができる。
【0033】
なお、上記溝状の空間部15bの形状はどのような形状でも良いが、端から中央にかけて漸次狭くなる楔上の形状であることがより好ましく、溝の個数・深さは樹脂製シール部材が摺接するロール径に対応した数・深さであることが好ましく、複数配置されている溝状の空間部は周方向に等間隔で配置されていることが好ましい。
【0034】
また、上記溝状空間部15bの先端部から上記内周面10の端部までの距離は、上記内周面全巾の1/2以下であればよく、1/3以下であることがより好ましい。
【0035】
更に、開設された溝上空間が周方向となす角度は、本例は90度で形成されているが、周方向に対しどのような角度でもよい。
【0036】
【発明の効果】
本発明は、以下の効果を奏する。
【0037】
上記構成を備えた本発明の請求項1の発明は、樹脂製シール部材が相手部材と摺接する内周面に開設された空間部に保持されているグリースが樹脂製シール部材内周面とロール外周面とで形成される摺接面に常時供給されるので、上記摺接面の潤滑を確保することができ、よってシール部材やロールの磨耗を防止することができる
【0038】
上記構成を備えた本発明の請求項2の発明は、上記空間部がグリース側空間と連通孔で通じているので、グリース側空間からのグリースが連通孔を通じて上記空間部に流動・保持され、かかるグリースが上記摺動面に供給されるので、上記摺接面の潤滑を確保することができ、よってシール部材やロールの磨耗を防止することができる。
【0039】
上記構成を備えた本発明の請求項3の発明は、上記空間部がその一端がグリース側空間に開口するように形成されているので、開口部からグリースが+上記空間部に流動・保持され、かかるグリースが上記摺接面に供給されるので、上記摺接面の潤滑を確保することができ、もってシール部材やロールの磨耗を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1及び2に係る密封装置の要部断面図
【図2】実施例1における樹脂製シール部材の内周面の斜視図
【図3】実施例2における樹脂製シール部材の内周面の斜視図
【図4】本発明の実施例3に係る密封装置の要部断面図
【図5】実施例3における樹脂製シール部材の内周面の斜視図
【図6】従来例に係る密封装置の要部断面図
【符号の説明】
1 連鋳機シール
2 金属環
2a,5a,7a,8a 筒状部
2b,5b,7b,8b プレート部
3 外周シール部
4 リップシール
5,7,8 内環
6 グリース側収容部
9 水・スケール側収容部
10 樹脂製シール部材
10a 内周面
11 ゴム製バックアップリング
12 ロール
12a 外周面
13 ガータースプリング
14 摺接面
15 空間部
15a 周方向に連続して開設された溝
15b 一端がベアリング側空間に通じる溝
16 連通孔
Claims (3)
- 樹脂製シール部材を有し、上記樹脂製シール部材と相手部材とで形成される摺接面に潤滑性を確保するためのグリースを使用する密封装置において、上記摺接面の一方を形成する上記樹脂製シール部材の内周面にグリースを保持するための空間部を開設したことを特徴とする密封装置。
- 上記樹脂製シール部材に、上記空間部とグリース側空間とを連通する連通路を設けたことを特徴とする請求項1記載の密封装置。
- 上記空間部はその一端がグリース側空間に開口するように形成されていることを特徴とする請求項1記載の密封装置。
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-
2003
- 2003-02-26 JP JP2003049006A patent/JP2004257473A/ja active Pending
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