JP2004257065A - 場所打ちコンクリート杭の杭頭処理方法及びそれに用いる仕切枠 - Google Patents

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二三男 藤原
Shigenori Kawanishi
重則 川西
Masato Yamagishi
正人 山岸
Toshiharu Zenbu
敏晴 前部
Yumi Abe
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Abstract

【課題】スライムを除去するための作業効率が向上し、また、面倒で不確かな検尺器による計測を行う必要がなく、コンクリート打ち上がりレベルを精度良く管理することができ、且つ吸引排除する不良コンクリート量を減少することのできる、場所打ちコンクリート杭の杭頭処理方法を提供する。
【解決手段】杭鉄筋(5)の外側を、下端部外周にコンクリート打ち上がりを抑制するフランジ部材(12)を設けた筒状の仕切枠(10)で、設計上の杭天端(14)より所定の深さまで囲んでおき、打設コンクリートを仕切枠天端から杭孔内壁面(2)と仕切枠の円筒部(11)の外周面との間の領域(17)に溢れ出させると共に該溢れ出した不良コンクリートを除去しながら、仕切枠天端面に良質な打設コンクリートが現れるのが確認されるまでコンクリートを打設する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は杭孔内に打設されたコンクリートの杭頭部の不良コンクリート部分を、該不良コンクリート部分が硬化する前に除去する場所打ちコンクリート杭の杭頭処理方法及びそれに用いる仕切枠に関する。
【0002】
【従来の技術】
場所打ち杭を施工する場合、杭孔の掘削に伴い杭孔底部にスライムが沈殿し、打設したコンクリートの上面を劣化させるため、意図的に正規の杭天端、即ち設計上の杭天端、から30cm〜100cm上方までコンクリートの余盛りを行なっている。
【0003】
この余盛りコンクリートは、根切工事の段階でブレーカー等による斫り作業で除去されていたが、騒音公害が大きく実際に施工することが難しくなっている。
【0004】
これを解決する一方法として、コンクリートが固まらない状態で、不良コンクリートをバキュームポンプ車で吸い上げ、余盛りコンクリートとして残るのを防止する方法が提案されている(特許文献1及び2参照)。
【0005】
この方法は、泥水で満たされた杭孔内にトレミー管を挿入してコンクリートを打設する際に、コンクリート打ち上がり状況を目視できないことから、杭孔内に重りを付けた検尺器を投入してスライムとコンクリート面との境界面を、逐次検尺器で計測しながら、境界面が正規の杭天端に大凡至ったと推定される段階で、一旦コンクリート打設を中断して、杭孔内にサクションホースを挿入してポンプによって、スライムやコンクリートとの接触によって劣化した泥水を、打設コンクリートの骨材が現れるまで吸引除去した後、トレミー管でコンクリート部をサクションホースを介して真空ポンプによって、スライムやコンクリートとの接触によって劣化した泥水を、打設コンクリートの骨材が現れるまで吸引除去(一次バキューム処理)した後、さらにトレミー管でコンクリートを打ち増し、次いで、まだコンクリートが固まらないうちに正規の杭天端より上側の余盛りコンクリート部をサクションホースを介して真空ポンプで吸引除去(二次バキューム処理)するものである。
【0006】
また、他の従来技術として、余盛コンクリートを吸引除去するに際して、コンクリートかきよせ羽根を回転させて余盛コンクリートを中央位置にかき集め、全量コンクリートの吸い上げを可能とすることが提案されている(特許文献3参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開昭60−141922号公報
【特許文献2】
特開昭61−186616号公報
【特許文献3】
特開平1−48923号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した特許文献1及び2で提案されている従来方法において、スライムの吸引除去作業を行う際、杭孔内のコンクリート打ち上がり面の全面を、小口径のサクションホースの吸引口を引き回して、また、杭鉄筋の合間を縫ってスライムを吸引除去しなくてはならず、除去作業に時間と労力を要していた。
【0009】
また、正規の杭天端位置となる明確な目印がないこと、またコンクリート打ち上がり状況を目視できないので杭孔内の検尺器を垂下しスクイムとコンクリート面との境界面を、逐次検尺器で計測しなければならないことから、計測に時間と労力を要するだけでなく、コンクリート打ち上がりレベルを精度良く管理することが困難である。実際上は、計測によりコンクリート打ち上がり面が正規の杭天端に大凡至ったと推定されるまで、というより安全を見込んで正規の杭天端より多少越えた位置までコンクリートを打設していた。
【0010】
そのため、一次バキューム処理及び二次バキューム処理を併せた吸引排除する劣化コンクリート量は増大し、ひいては産業廃棄物処理量の増加を招いていた。
【0011】
そこで、本発明の課題は、スライムを除去するための作業効率が向上し、また、面倒で不確かな検尺器による計測を行う必要がなく、コンクリート打ち上がりレベルを精度良く管理することができ、且つ吸引排除する劣化コンクリート量を減少することのできる、場所打ちコンクリート杭の杭頭処理方法及びそれに用いられる仕切枠を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を達成するために、本発明によれば、場所打ちコンクリート杭の杭鉄筋の外側を、下端部外周にコンクリート打ち上がりを抑制する抑制部材を具備する筒状の仕切枠で、設計上の杭天端より所定の深さまで囲んでおき、打設コンクリートを仕切枠天端から杭孔内壁面と仕切枠外周面との間の領域に溢れ出させ、該溢れ出したコンクリートを不良コンクリートとして除去しながら、仕切枠天端面に良質な打設コンクリートが現れるのが確認されるまで杭孔内にコンクリートを打設することを特徴とする場所打ちコンクリート杭の杭頭処理方法が提供される。
【0013】
本発明によれば、杭孔内にコンクリートを打設してコンクリートの打ち上がりがあると、仕切枠の打ち上がり抑制部材により、まず最初、仕切枠の内側へのコンクリートの打ち上がりがある。打設コンクリートの上面が仕切枠天端に到達すると、コンクリートは仕切枠天端から杭孔内壁面と仕切枠外周面との間の領域に溢れ出る。したがって、この領域に溢れ出たコンクリートを不良コンクリートとしてバキューム吸引等の方法で除去することができる。
【0014】
また、本発明において、上記良質な打設コンクリートが現れたことの確認は、仕切枠天端面に打設コンクリートの骨材が現れた後、所定量のコンクリートを打設することによって行うことを特徴とする。この場合、仕切枠の内側及び外側を含む杭孔内のコンクリートを仕切枠天端、即ち設計上の杭天端の位置まで好適に打設を行うことができる。
【0015】
また、本発明において、上記仕切枠天端面に打設コンクリートの骨材が検知されるに先立って、上記仕切枠内部のコンクリートを、該仕切枠内部に打設コンクリートの骨材が検知されるまで除去し、次いで、所定量の余剰コンクリートを杭孔内に打設することを特徴とする。この場合は、最初の段階では、仕切枠内部の不良コンクリートをバキューム吸引等の方法で除去し(一次除去)、次いで、仕切枠天端から杭孔内壁面と仕切枠外周面との間の領域に溢れ出たコンクリートを不良コンクリートとしてバキューム吸引等の方法で除去する(二次除去)、という二段階に分けて余剰コンクリートの除去を行うこととなる。
【0016】
また、本発明では、上記のような場所打ちコンクリート杭の杭頭処理方法に用いる仕切枠であって、所定の軸方向長さの筒体と、該筒体の下端外周に設けたコンクリート打上がり抑制部材とを具備することを特徴とする仕切枠が提供される。このような仕切枠は、該仕切枠を予め杭鉄筋に組み込んでおいた状態で杭孔内に設置することもでき、或いは、杭孔内に杭鉄筋を設置した後に、杭鉄筋の外周と杭孔内壁との間に設置することもできる。
【0017】
仕切枠のコンクリート打上がり抑制部材は仕切フランジであって、該フランジの外周は、杭孔内壁の内側に納まる大きさであることを特徴とする。また、該フランジは下側に拡径するように漏斗状に傾斜していることを特徴とする。このように、漏斗状に傾斜している打ち上がり抑制部材を使用する場合は、コンクリートの打設によるコンクリート上面の上昇をより円滑に仕切枠の内部領域に案内することができる。
【0018】
更にまた、コンクリート打上がり抑制部材としての仕切フランジにコンクリートの粗骨材より小さい目の複数の切欠き又は開口を有することを特徴とする。この場合は、コンクリートの泥水又はスライム等を含む不良コンクリートのみを直接仕切枠外周と杭孔内壁との間に導くことができ、一方で、より多くの良質のコンクリートを仕切枠の内部へ導くことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0020】
図1は本発明に係る場所打ちコンクリート杭の全体図、図2はその部分詳細図である。これらの図において、1はコンクリート杭の打ち込み場所に設けられ杭孔、2は杭孔の底部、3は杭孔の内壁、4は杭孔内壁に挿入される表層ケーシング、5は杭鉄筋、6は杭主筋、7は杭剪断補強筋、8はコンクリート杭が設置される地盤、9はトレミー管である。また、10は本発明で用いられる仕切枠で、11はその円筒部、12は打ち上がり抑制部材、13はスペーサ、14は設計上の杭天端、15は泥水面、20はコンクリート、21はスライムを示す。
【0021】
コンクリート杭を設置するには、まず、適当な掘削装置にて杭孔1が掘削され、杭孔1の内壁面2を保護しその崩壊を防ぐために表層ケーシング4が杭孔1の適当な深さの部位まで挿入される。ついで、杭孔1の中に鉛直方向に延びる杭主筋6とこれらの杭主筋を水平方向に結合する杭剪断補強筋7とから成る杭鉄筋5が組み込まれる。
【0022】
次に、杭孔1の中心部で杭鉄筋5の内側に鉛直方向に設置されたトレミー管9の上端により生コンクリート20が供給され、トレミー管9の下部先端より杭孔1内へコンクリートが打設される。打設されたコンクリート20の上端部にはスライム21が集積されるが、コンクリートの打設を続行することによりコンクリート上面は徐々に上昇する。
【0023】
本発明では、杭鉄筋5の外側を仕切枠10で囲んでいる。この仕切枠10は、その上端がコンクリート杭の設計上の杭天端14の位置で下端が所定深さの位置までの軸方向の長さを有する円筒部11と、この円筒部の下端外周にコンクリートの打ち上がりを抑制するフランジ部12とを具備する。フランジ部12は、打設により上昇するコンクリートが仕切枠円筒部11と杭孔内壁面3との間の環状領域へ直接下側から打ち上がるのを抑制するために、円筒部11の下端部外周から杭孔内壁面3に近接する位置まで半径方向外側へ張り出すように設けられている。
【0024】
この仕切枠10は、杭孔1内に杭鉄筋5を組み込んだ後に設置しても良く、また予め杭鉄筋5に取付けておいて、杭鉄筋5を杭孔1内に組み込んだ際に、仕切枠10が上記の所定位置となるようにしても良い。
【0025】
仕切枠10の形状は、特に、コンクリートの打ち上がりを抑制する抑制部材として機能するフランジ部12の形状は、図1及び図2に示すように、円筒部11の下端部外周から杭孔内壁面3に近接する位置まで半径方向に設けられているが、後述のように種々の形状とすることができる。
【0026】
仕切枠10で杭鉄筋5の外側を囲む際、杭鉄筋5の所定のコンクリートかぶり厚さを確保するために杭鉄筋5の外周と仕切枠10の円筒部11との間にスペーサ13を設けて、この間に隙間を形成するように、仕切枠10を設置する。これにより、杭鉄筋5が仕切枠10に直接に接触することなく、仕切枠10の内側へ打ち上げられたコンクリートに完全に埋まり、杭鉄筋5のいわゆるコンクリートかぶり厚さを確保することができる。スペーサ13は杭鉄筋5と仕切枠10との間に隙間が形成できるものであれば、どのような形状であってもよく、またどのような取付方法によってもよい。
【0027】
図3(a)〜図3(e)は本発明の第1の一実施形態に係る場所打ちコンクリート杭の杭頭処理方法を示す。
【0028】
図3(a)において、生コンクリート20がトレミー管9により杭孔1内へ打設されることにより、杭孔1内のコンクリート20の上面は徐々に上昇する。コンクリート20の上面が仕切枠10の下端位置に到達すると、打ち上がり抑制部材12によりコンクリート20が仕切枠10の円筒部11と杭孔内壁2との間の環状領域へ打ち上げられるのが抑止される。コンクリート2の打設がさらに続行されると、コンクリート20の上面は仕切枠10の円筒部1の内側領域内に上昇する。やがて、コンクリート20の上面は仕切枠10の天端位置に到達し、仕切枠円筒部11の天端から溢れて環状領域17へ流入する。
【0029】
図3(b)において、トレミー管9からの生コンクリート20の打設を続行しながら、サクションホース26の先端を環状領域17内に差し込み、泥水やスライムを含む不良コンクリートを吸引除去する。そして、図3(c)に示すように、設計上の杭天端14、即ち仕切枠10の天端面に良質な打設コンクリートが現れるのが目視により確認されるまで、生コンクリート20の打設及びサクションホース26による不良コンクリートの吸引を続行する。
【0030】
仕切枠10の天端面に良質な打設コンクリートが現れたのを確認した後、生コンクリート20の打設及びサクションホース26による吸引を停止し、図3(d)に示すように、トレミー管9を抜き取ると共に、表層ケーシング4を杭孔1の内壁面より上方へ抜き取る。その後、図3(e)に示すように、杭孔1内を概ね地盤面8の高さまで、埋戻し用の砕石又は土28で埋める。
【0031】
図4(a)〜図4(f)は本発明の第2の実施形態に係る場所打ちコンクリート杭の杭頭処理方法を示す。
【0032】
前述の実施形態と同様、生コンクリート20がトレミー管9により杭孔1内へ打設され、コンクリート20の上面が仕切枠10に下端位置に到達すると、打ち上がり防止部材12によりコンクリート20が仕切枠10の円筒部11と杭孔内壁2との間の環状領域へ打ち上げられるのが防止される。しかしながら、この実施形態では、後述するように、仕切枠10のフランジ部12にコンクリート20の粗骨材より小さい目の複数の開口又は切欠きを有し、図4(a)に示すように、泥水、スライム等を含む不良コンクリートは仕切枠10の円筒部11と杭孔内壁2との間の環状領域へ打ち上げられる。
【0033】
勿論、打設コンクリートの上部にあるこれらの不良コンクリートは、仕切枠10の円筒部1の内側領域内でも上昇する。そこで、図4(b)に示すように、トレミー管9からの生コンクリート20の打設を続行しながら、サクションホース26の先端を仕切枠10の円筒部11の内部領域内に差し込み、打設コンクリートの骨材が仕切枠10の天端面に検知される前に、泥水やスライムを含む不良コンクリートを吸引除去する(第一次バキューム吸引)。
【0034】
その後、所定量のコンクリート、即ち仕切枠10の円筒部11と杭孔内壁2との間の環状領域17を満たすに十分な量のコンクリート20を打設した後、サクションホース26を仕切枠10の円筒部11の内部領域から引き抜き、トレミー管9からの生コンクリート20の打設を続行しながら、そのサクションホース26の先端を仕切枠10の円筒部11と杭孔内壁3との間の環状領域17内に差し込み、泥水やスライムを含む不良コンクリートを環状領域17内から吸引除去する。
【0035】
次いで、図4(d)に示すように、この環状領域17内のコンクリートが設計上の杭天端14(即ち仕切枠10の天端面)に良質な打設コンクリートが現れるのが確認されるまで、生コンクリート20の打設及びサクションホース26による環状領域17内からの吸引を続行する。
【0036】
仕切枠10の天端面に良質な打設コンクリートが現れたのを確認した後、生コンクリート20の打設及びサクションホース26による吸引を停止し、図4(e)に示すように、表層ケーシング4を杭孔1の内壁面より上方へ抜き取る。その後、図4(e)に示すように、杭孔1内に地盤面8まで埋戻土28を埋める。
【0037】
図5及び図6は仕切枠10の実施形態を示す。図5に示す仕切枠10のフランジ部12は、円筒部11の下端部外周から下側に拡径するように漏斗状に傾斜している。打ち上げられるコンクリートが仕切枠10の漏斗状のフランジ部12の接触すると、コンクリートは漏斗状フランジ部12に接触を続けながら、円筒部11の内部領域に円滑に案内される。これにより、仕切枠10のフランジ部12が大きな力を受けることなく、円滑に打上がり、仕切枠の下端部周辺に不良コンクリートが滞留するのが防止される。なお、図3で説明した実施形態においても、図5に示すような漏斗状のフランジ部12を有する仕切枠10が使用されている。
【0038】
図6に示す仕切枠10のフランジ部12は、円筒部11の下端部外周から半径方向に外側へ広がった形状であるが、コンクリートの粗骨材より小さい目の複数の開口又は切欠き25を有する。図6の実施形態では、フランジ部12の外縁に向けて三角状に広がった切欠き25として示してあるが、他の形状の複数の切欠き或いは複数の開口25であっても良い。このような切欠き又は開口25は、泥水又はスライム等を含む不良コンクリートを通過させ、その半面、粗骨材を含む良質のコンクリートさせることなく仕切枠10の円筒部11の内部へ導く。したがって、泥水又はスライム等を含む不良コンクリートはフランジ部12の切欠き又は開口を通過して、仕切枠10の円筒部11と杭孔内壁3との間の環状領域17へ流入する。なお、切欠き又は開口を有するフランジは、図6(b)に示すように、円筒部11の下端部外周から下側に拡径するように漏斗状に傾斜していても良く、また図6(c)に示すように、円筒部11の下端部外周からの張出部が軸方向に直角に且つ半径方向外側へ広がった形状であっても良い。
【0039】
なお、図5及び図6において、仕切枠10のフランジ部12の半径方向外側へ広がった張出部は、杭孔内壁2の内側に納まる大きさである。また、仕切フランジ12は円筒部11と同じ鋼材であっても良く、適当な弾性材、例えばゴム、プラスチック、或いは流体を内蔵して袋状体でも可能である。
【0040】
以上添付図面を参照して本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の精神ないし範囲内において種々の形態、変形、修正等が可能である。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、杭鉄筋の外側を仕切枠で囲い、仕切枠外側のコンクリートの打ち上がりを抑制しながら、仕切枠の円筒部の内側のコンクリートを打ち上げて仕切枠天端から溢れ出させ、溢れ出た劣化(又は不良)コンクリートを杭孔内壁面と仕切枠外壁面との間の環状領域に集中させて排除できるようにしたので、杭孔内の全面をサクションホースの吸引口を引き回す必要がなく、また、杭鉄筋の合間を縫ってスライムを吸引除去しなくて済み、不良コンクリート撤去のための作業効率が向上する。
【0042】
また、仕切枠天端を正規の杭天端位置に一致させて配置し、打設コンクリートを仕切枠天端から杭孔内壁面と仕切枠外周面との間に溢れ出させると共に、該溢れ出した不良コンクリートをサクションホースで吸引しながらコンクリートを打ち上げるので、コンクリート打ち上がりレベルを精度良く管理することができる。例えば、仕切枠天端から溢れ出させるので、サクションホース排出口からの排出物がスライムからコンクリートに変わる時点で、仕切枠天端まで、コンクリートが打ち上がったことを確認できる。さらに、該サクションホースで泥水面を仕切枠天端以下にしておけば仕切枠天端を目視でき、これが正規の杭天端位置の目印となることから、面倒で不確かな検尺器による計測を行うこと無しにコンクリート打上がりレベルを精度良く管理することができる。
【0043】
また、仕切枠天端から外側に溢れさせながらコンクリートを打設するので、仕切枠内は仕切枠天端面まで良質なコンクリートが打設されることとなり、仕切枠内では余盛りコンクリートが不要であり、余盛りコンクリートは杭孔内壁面と仕切枠外周面との間の環状領域のみを対象とすればよいことから、吸引排除する劣化コンクリート量を減少できる。これに対し、従来技術では、杭孔内の全面において余盛りコンクリートを打設することから吸引排除する劣化コンクリート量が多くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る場所打ちコンクリート杭の全体を示す断面図である。
【図2】図1に示したコンクリート杭の詳細図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る場所打ちコンクリート杭の杭頭処理方法を示す。
【図4】本発明の他の実施形態に係る場所打ちコンクリート杭の杭頭処理方法を示す。
【図5】仕切枠の一実施形態を示す。
【図6】仕切枠の他の実施形態を示す。
【符号の説明】
1…杭孔
2…杭孔底
3…杭孔壁
4…表層ケーシング
5…杭鉄筋
6…杭主筋
7…杭剪断補強金筋
8…地盤
9…トレミー管
10…仕切枠
11…円筒部
12…打上がり抑制部材
13…セパレータ
14…設計上の杭天端
15…泥水面
17…環状領域
20…コンクリート
21…スライム
25…切欠き又は開口
26…サクションホース

Claims (6)

  1. 場所打ちコンクリート杭の杭鉄筋の外側を、下端部外周にコンクリート打ち上がりを抑制する抑制部材を具備する筒状の仕切枠で、設計上の杭天端より所定の深さまで囲んでおき、
    打設コンクリートを仕切枠天端から杭孔内壁面と仕切枠外周面との間の領域に溢れ出させ、該溢れ出したコンクリートを不良コンクリートとして除去しながら、
    仕切枠天端面に良質な打設コンクリートが現れるのが確認されるまで杭孔内にコンクリートを打設することを特徴とする場所打ちコンクリート杭の杭頭処理方法。
  2. 上記良質な打設コンクリートが現れたことの確認は、仕切枠天端面に打設コンクリートの骨材が現れた後、所定量のコンクリートを打設することによって行うことを特徴とする請求項1に記載の場所打ちコンクリート杭の杭頭処理方法。
  3. 上記仕切枠天端面に打設コンクリートの骨材が検知されるに先立って、前記仕切枠内部の不良コンクリートを、該仕切枠内部に打設コンクリートの骨材が検知されるまで除去し、次いで、所定量の余剰コンクリートを杭孔内に打設することを特徴とする請求項1又は2に記載の場所打ちコンクリート杭の杭頭処理方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の場所打ちコンクリート杭の杭頭処理方法に用いる仕切枠であって、所定の軸方向長さの筒体と、該筒体の下端外周に設けたコンクリート打上がり抑制部材とを具備することを特徴とする仕切枠。
  5. コンクリート打上がり抑制部材は仕切フランジであって、該フランジは下側に拡径するように漏斗状に傾斜していることを特徴とする請求項4に記載の仕切枠。
  6. コンクリート打上がり抑制部材は仕切フランジであって、該フランジにコンクリートの粗骨材より小さい目の複数の切り欠き又は開口を有することを特徴とする請求項4又は5に記載の仕切枠。
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