JP2004256800A - 水系透湿防水フィルム、複合材およびこれらの製造方法 - Google Patents

水系透湿防水フィルム、複合材およびこれらの製造方法 Download PDF

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Keiji Takeda
恵司 竹田
Gen Koide
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Abstract

【課題】
透湿性と膜強度を両立した低環境負荷の透湿防水フィルム、およびそれを用いてなる透湿防水複合材を提供する。
【解決手段】水系樹脂を含むフィルムからなり、膜厚50μmでのJISL−1099、酢酸カリウム法(B−1法)による透湿性が10,000g/m2・24h以上300,000g/m2・24h以下であることを特徴とする透湿防水フィルムである。また、該フィルムからなる樹脂層が繊維構造物に積層された複合材およびその製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、優れた透湿性と防水性、さらには水系樹脂を利用することにより低環境負荷となる透湿防水複合材に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、織編物、不織布、紙、多孔性フィルム等と組み合わせることでフィッシングや登山衣等のアウトドアウェア、スキー関連ウェア、ウィンドブレーカー、アスレチックウェア、ゴルフウェア、テニスウェア、レインウェア、カジュアルコート、屋外作業着、手袋や靴等といった衣料、衣料資材分野、壁紙や屋根防水シート、瓦といった建築材料、除湿器用フィルム基材などの電気機器部材といった非衣料分野において好適に用いることができる透湿防水複合材に関するものである。
従来、透湿性と防水性に優れる透湿防水複合材を得るためには、ポリマー鎖中に親水性部分を導入する、低透湿性の樹脂に高透湿性な親水性樹脂をブレンドするといった方法がとられており、いずれの場合も溶剤系樹脂におけるポリマー改質、ポリマーブレンドにより種々の検討がなされている(例えば特許文献1および2参照)。
近年、地球環境への配慮からVOC(Volatile Organic Compounds)規制が実施され、樹脂溶媒である有機溶剤の水系化が望まれている。水系樹脂の透湿防水複合材分野への利用も一部検討がなされている(例えば特許文献3および4参照)。しかしながら、溶剤系の樹脂を用いた場合のように透湿性と防水性を両立できる技術はいまだ無く、実用に耐え得る性能を具備したものは現行技術では見いだされていない。
水系化された樹脂の場合、溶剤系樹脂のようにポリマー鎖中に親水性部分を導入する、低透湿性の樹脂に高透湿性の親水性樹脂をブレンドするといった方法では、著しい膜強度の低下を引き起こすため素材性能と素材耐久性の両立は困難を極めるものであった。
特開1995−9631号公報(特許第3212418号) 特開1995−3148号公報(特許第3272467号) 特開1989−97272号公報 特開1989−97274号公報(特許第2592465号)
本発明は、前記の現状に鑑み、優れた透湿性と防水性、さらには水系樹脂を利用することにより低環境負荷となる透湿防水複合材を提供することを目的とする。
本発明は、前記した課題を解決するために、次の構成を有するものである。
水系樹脂を含むフィルムからなり、膜厚50μmでのJISL−1099、酢酸カリウム法(B−1法)による透湿性が10,000g/m2・24h以上300,000g/m2・24h以下であることを特徴とする透湿防水フィルムである。また、該フィルムからなる樹脂層が繊維構造物に積層された複合材およびその製造方法である。
本発明によれば、優れた透湿性と防水性、さらには水系樹脂を利用することにより低環境負荷となる透湿防水フィルムおよび複合材を得ることができる。
本発明の透湿防水フィルムは、水系樹脂を含むフィルムからなるものである。そして、このフィルムは、膜厚50μmでのJISL−1099、酢酸カリウム法(B−1法)による透湿性が10,000g/m2・24h以上300,000g/m2・24h以下である。なお、本発明の目的を逸脱しない範囲において水系樹脂以外の樹脂が含まれていても差し支えない。
本発明の透湿防水フィルムの透湿性は、樹脂の種類、添加剤の有無や添加量、ブレンド樹脂の場合はブレンド比、樹脂の組み合わせ等の影響によって変化することから、より好ましくは20,000g/m2・24h以上300,000g/m2・24h以下、さらに好ましくは40,000g/m2・24h以上300,000g/m2・24h以下である。
本発明の透湿防水フィルムの構造は、無孔膜、多孔膜のいずれでも構わない。
ここで言う水系樹脂とは、乳化性、水溶性を有しないポリマーを界面活性剤などを用いて強制乳化させた強制乳化樹脂、自己乳化性を有するポリマーを乳化・分散させた自己乳化性樹脂、水溶性を有するポリマーを溶解させた水溶性樹脂などをいう。本発明においては、これら樹脂の中から少なくとも2種類の樹脂がブレンド被膜化された樹脂層が基材に積層されている。
本発明では、透湿性、耐水性、膜強度といった観点から、少なくともひとつの樹脂が界面活性剤等の含有が少ない自己乳化性樹脂、水溶性樹脂であることが好ましく、さらに好ましくは、自己乳化性樹脂同士、水溶性樹脂同士、自己乳化性樹脂と水溶性樹脂がブレンドされた樹脂が好適に利用できる。
自己乳化性とは、樹脂液の段階で樹脂が粒子径を有した分散状態であることをいう。また、水溶性とは、樹脂液の段階で樹脂が粒子径を有さず溶解状態であることをいう。
ここでいう粒子径の有無は、具体的には、ヘリウム−ネオン光源を用いた光散乱法で平均粒子径として測定することができる。自己乳化性樹脂の場合、粒子径は10nm以上、200nm以下をいう。好ましくは粒子径40nm以上100nm以下である。水溶性樹脂の場合も同様に、粒子径は10nm以上、200nm以下の粒子径を意味し、水溶性樹脂とはかかる粒子経を有する粒子は検出されないものをいう。粒子径は以下に示す親水性基の導入量によって調整可能であり、一般的に量が多いほど粒径は小さくなる。樹脂液の保存状態、樹脂液同士の混合凝集などにより粒子径が大きな粒子が存在する場合もあるが、塗工、製膜上問題がない範囲でなければ含んでいても良い。
強制的に乳化できる樹脂において用いられる乳化剤は、樹脂を水中に乳化できればよく、特に限定はないが例えば、硫酸エステル塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤、第1級アミン塩、第2級アミン塩、第3級アミン塩、第4級アンモニウム塩等のカチオン系界面活性剤、ポリアルキレングリコール型、多価アルコール型等のノニオン系界面活性剤、アミノ酸型、ベタイン型等の両性界面活性剤等を用いることができる。
強制的に乳化できる樹脂は、被膜化後に乳化剤がフィルム表面にブリードし、耐水性低下の原因となる可能性があることから、自己乳化能を発現する官能基を有する樹脂を水系樹脂として用いることが好ましい。
自己乳化能を発現する官能基とは、親水性基全般であり、特に限定はないが例えば、カルボキシル基またはその塩、スルホン酸基またはその塩、4級アミノ基又は4級アンモニウム塩、水酸基またはその塩、フェノール性水酸基またはその塩等のイオン性解離基、ポリエチレングリコール等のポリアルキレングリコール等のノニオン性基が挙げられる。
中でも自己乳化能が高く、架橋剤等との反応性の高いイオン性解離基であるカルボキシル基またはその塩が好ましく、自己乳化能がより高いという観点から、カルボキシル基の塩であることがより好ましく、アミン塩であることがさらに好ましい。
樹脂中のカルボキシル基がアミン塩であることは、樹脂液の状態では樹脂が乳化剤がなくても乳化(自己乳化)でき、また製膜時においてはアミン部分が揮発してカルボン酸が再生し、架橋剤等との反応性が塩の状態よりも向上することから好ましい。ここで、カルボキシル基を中和するアミンは、低沸点で、製膜時に揮発することが好ましいことから、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン等が挙げられる。
樹脂中のカルボキシル基またはその塩の含有量は、樹脂を合成するときの原料の仕込量から計算される酸価として表すことができる。本発明では樹脂中のカルボキシル基またはその塩の含有量は、フィルム中の架橋密度が変化する要因となり、フィルム性能に影響を与えることから、酸価は0.05mmol/g,solid以上0.8mmol/g,solid以下が好ましく、より好ましくは0.1mmol/g,solid以上0.5mmol/g,solid以下である。
本発明で用いられる水系樹脂は、自己乳化能を発現する官能基を有する2種以上の樹脂のブレンド樹脂であってもよい。
ブレンド樹脂である場合は、少なくとも1種が膜強度に寄与する樹脂であり、少なくとも1種が透湿性に寄与する樹脂であることが好ましい。それぞれ異なる樹脂を用いて機能補完することにより高い膜強度と高い透湿性の両立を達成できる。
ここでいう膜強度に寄与する樹脂とは、例えば自己乳化可能な疎水性樹脂であり、具体的には製膜したフィルムの吸水時の線膨潤率が0%以上5%未満である樹脂が挙げられる。
また、透湿性に寄与する樹脂とは、例えば自己乳化可能な親水性樹脂であり、具体的には製膜したフィルムの吸水時の線膨潤率が5%以上400%以下である樹脂、または水に可溶な樹脂が挙げられる。
ここでいう吸水時の線膨潤率は、一定の間隔をマーキングした厚さ50μmの樹脂フィルムを23℃の水に浸漬し、24時間後のマーキング間隔の増加率から決定されるものである。
本発明で用いられる水系樹脂は、ポリエステル系、アクリル系、ポリウレタン系、ポリエーテル系、ポリアミド系等の樹脂を用いることができるが、分子設計の容易さ、および得られる樹脂の性能から、ポリウレタン系樹脂が好ましい。
ポリウレタン系樹脂としては、特に限定はなく、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、シリコーン系、フッ素系等を用いることができる。
本発明では、水系樹脂中の官能基は架橋されていることが好ましい。架橋されていることで、膜強度が向上し、特に自己乳化能を発現する官能基を架橋した場合は、耐水性の向上にも寄与する。この場合、水系樹脂中の官能基は全て架橋されていなければならないわけではなく、少なくとも一部が架橋されていればよい。
架橋は、水系樹脂中に含まれる官能基と樹脂に添加する架橋剤との反応によって得られる。したがって、架橋剤は樹脂中に含まれる官能基と反応できれば、特に限定はなく、例えばメラミン系化合物、イソシアネート系化合物、カルボジイミド系化合物、アジリジン系化合物、オキサゾリン系化合物、シラノール基やアルコキシシリル基等を有するシリコン系化合物、エポキシ系化合物、アミン系化合物、カルボン酸系化合物、およびメチロール基、イソシアネート基、オキサゾリン基、シラノール基、アルコキシシリル基、エポキシ基、アミノ基、カルボキシル基等を有するプレポリマー等が挙げられる。
中でも、水系樹脂中に含まれるカルボキシル基、またはその塩と架橋する場合においては、オキサゾリン系化合物を用いると、フィルムの透湿性が飛躍的に向上するため、より好ましい。
透湿性が特に向上する理由は、カルボキシル基とオキサゾリン系化合物の反応により、フィルム内の樹脂間隙に親水性であるアミドエステル結合が生成し、その部分を水分子が透過するためと推定している。
フィルム中のアミドエステル結合は赤外線吸収スペクトル法、核磁気共鳴(NMR)法等を用い、アミドエステル結合に由来するピークを検出することで確認できる。
オキサゾリン系化合物のオキサゾリン価は、樹脂の酸価と同様にフィルム中の架橋密度が変化する要因となり、フィルム性能に影響を与えることから、0.1mmol/g,solid以上10mmol/g,solid以下が好ましく、より好ましくは0.5mmol/g,solid以上8mmol/g,solid以下である。
アミドエステル部分の含有量は、添加するオキサゾリン系化合物中のオキサゾリン含有量と、フィルムの酸価から算出されるカルボキシル基の含有量の比から推測される。オキサゾリン系化合物中のオキサゾリン含有量Aとフィルム中のカルボキシル基含有量Bの好ましい比は、A/B=0.05mmol/mmol以上3mmol/mmol以下が好ましく、より好ましくはA/B=0.1mmol/mmol以上2.5mmol/mmol以下である。
本発明の透湿防水フィルムは、フィルムとしての取り扱い易さから、乾燥状態での膜強度が1MPa以上40MPa以下が好ましく、より好ましくは1.5MPa以上40MPa以下である。ここでいう乾燥状態とは、加熱処理(例えば、50℃〜150℃で0.5分〜20分間)が施されて製膜されたフィルムを温度25℃、湿度65%条件下で最低1時間以上放置した状態のことをいう。なお、加熱処理は複数回に分けて行われてもよい。
本発明では、前記透湿防水フィルムを基材に積層することで透湿防水複合材を得ることができる。具体的には、接着剤を用いて基材上に前記透湿防水フィルムを接着することによる積層、接着剤を用いずに前記透湿防水フィルムを熱、圧力またはその両方を用いて基材に接着することによる積層、基材上で樹脂をフィルム化することによる積層、により得ることができる。
基材としては、繊維構造物、紙、木材、プラスチック、そしてガラス、金属等が挙げられる。ここでいう繊維構造物とは、合成繊維および/または天然繊維・再生繊維の単繊維(長繊維(フィラメント)、短繊維)からなる集合体であり、その形態としては織物、編物等の布帛が例示される。ここでいう天然繊維としては、例えば、綿、羊毛、絹などが挙げられる。また、合成繊維としては、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、アクリル系繊維などが挙げられる。これらの繊維構造物は予め片面をカレンダー加工されていてもよい。また、風合いのソフト化のためには撥水加工してあってもよい。
本発明の透湿防水フィルムと基材との積層により得られる透湿防水複合材は、基材の性状にもよるが、JIS L−1099、酢酸カリウム法(B−1法)による透湿性が3,000g/m2・24h以上60,000g/m2・24h以下のものが得られる。
また、本発明の透湿防水フィルムと基材との積層により得られる透湿防水複合材は、基材の性状にもよるが、JIS L−1092、高水圧法による耐水圧が0.10MPa以上1.0MPa以下のものを得ることができる。
繊維構造物に設けられる樹脂層は、繊維構造物の片面のみでもよいし、両面でもよい。また、繊維構造物の一面に複数の樹脂層が設けられていてもよい。
樹脂層の構造は、無孔、多孔のいずれでも構わない。
さらに、本発明の透湿防水素材は、JIS L−1099、酢酸カリウム法による透湿性が8,000g/m2・24h以上50,000g/m2・24h以下が好ましく、より快適な素材としては10,000g/m2・24h以上50,000g/m2・24h以下であることがより好ましく、さらに快適な素材としては12,000g/m2・24h以上50,000g/m2・24h以下であることが好ましい。
また、本発明の透湿防水素材は、JIS L−1092、高水圧法による耐水圧が0.10MPa以上1.0MPa以下であることが好ましく、より過酷な環境に適応するためには0.15MPa以上1.0MPa以下であることがより好ましく、0.20MPa以上1.0MPa以下であることがさらに好ましい。
次に、本発明の透湿防水フィルムの製造方法について述べる。
本発明において用いる樹脂溶液は、有機溶剤の含有量を樹脂固形分重量に対して0重量%以上3重量%以下とするものである。そうすることにより、製膜時に排出される有機溶剤の重量が、塗工した樹脂固形分重量に対して0重量%以上3重量%以下とすることができ、環境への負荷が小さくなる。
ここでいう有機溶剤とは、溶媒または相溶化剤、製膜助剤等として塗工する樹脂液に含有されるものであり、特に限定はないが例えば、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族化合物、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の脂肪族化合物が挙げられる。
有機溶剤は、温度50℃〜180℃で、0.5分〜20分間の製膜条件で塗工した樹脂膜を乾燥する際に気化して排気される気体に含有される。
排出される有機溶剤の重量が、塗工した樹脂固形分重量に対して0重量%以上3重量%以下とするには、基材に塗布する樹脂液として、水系樹脂とその樹脂固形分重量に対して0重量%以上3重量%以下の有機溶剤を用いることにより達成できる。また、本発明の目的を逸脱しない範囲において、水系樹脂以外の樹脂が含まれていても差し支えない。
樹脂溶液中に含まれる有機溶剤の含有量は、簡便には、塗工する樹脂液における樹脂の固形分重量と、ガスクロマトグラフィー等で定量した有機溶剤の重量を比較することで確認できる。樹脂固形分に対して排気される有機溶剤の重量比は、製造した素材の一定の大きさに対する樹脂の塗工量と、その一定の大きさの素材を乾燥するときに有機溶剤回収設備で回収される有機溶剤の重量を比較することで確認できる。
低環境負荷のためには、排気される有機溶剤の重量は少ない方が良いことから、乾式製膜時に排気される気体に含有される有機溶剤の重量が、塗工した樹脂固形分重量に対して0重量%以上3重量%以下であるが、好ましくは0重量%以上2.5重量%以下、より好ましくは0重量%以上2重量%以下である。
また、有機溶剤以外の溶媒の主成分は水であることが好ましい。水を樹脂固形分重量に対して25wt%以上、1900wt%以下とすることで、有機溶剤の含有量を0重量%以上10重量%以下としながら良好な塗工液を調整することができる。
以上のことから、本発明の透湿防水素材の製造方法には、水系樹脂を含む樹脂溶液を用いることが好ましい。本発明の目的を逸脱しない範囲において、他の樹脂が含まれていても差し支えない。
ここでいう水系樹脂とは、自己乳化能を発現する官能基を有する樹脂、強制的に乳化できる樹脂のいずれも含まれる。
ここでいう自己乳化能とは、乳化剤がなくても水中に乳化できる、または水に可溶となることをいう。また、強制的な乳化とは、乳化剤によって水中に乳化することをいう。
強制的に乳化できる樹脂において用いられる乳化剤は、樹脂を水中に乳化できればよく、特に限定はないが例えば、硫酸エステル塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤、第1級アミン塩、第2級アミン塩、第3級アミン塩、第4級アンモニウム塩等のカチオン系界面活性剤、ポリアルキレングリコール型、多価アルコール型等のノニオン系界面活性剤、アミノ酸型、ベタイン型等の両性界面活性剤等を用いることができる。
強制的に乳化できる樹脂は、被膜化後に乳化剤がフィルム表面にブリードし、耐水性低下の原因となる可能性があることから、自己乳化能を発現する官能基を有する樹脂を水系樹脂として用いることが好ましい。
自己乳化能を発現する官能基とは、親水性基全般であり、特に限定はないが例えば、カルボキシル基またはその塩、スルホン酸基またはその塩、4級アミノ基又は4級アンモニウム塩、水酸基またはその塩、フェノール性水酸基またはその塩等のイオン性解離基、ポリエチレングリコール等のポリアルキレングリコール等のノニオン性基が挙げられる。
中でも自己乳化能が高く、架橋剤等との反応性の高いイオン性解離基であるカルボキシル基またはその塩が好ましく、自己乳化能がより高いという観点から、カルボキシル基の塩であることがより好ましく、アミン塩であることがさらに好ましい。
樹脂中のカルボキシル基がアミン塩であることは、樹脂液の状態では樹脂が乳化剤がなくても乳化(自己乳化)でき、また製膜時においてはアミン部分が揮発してカルボン酸が再生し、架橋剤等との反応性が塩の状態よりも向上することから好ましい。ここで、カルボキシル基を中和するアミンは、低沸点で、製膜時に揮発することが好ましいことから、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン等が挙げられる。
樹脂中のカルボキシル基またはその塩の含有量は、樹脂を合成するときの原料の仕込量から計算される酸価として表すことができる。本発明では樹脂中のカルボキシル基またはその塩の含有量は、フィルム中の架橋密度が変化する要因となり、フィルム性能に影響を与えることから、酸価は0.05mmol/g,solid以上0.8mmol/g,solid以下が好ましく、より好ましくは0.1mmol/g,solid以上0.5mmol/g,solid以下である。
本発明で用いられる水系樹脂は、自己乳化能を発現する官能基を有する2種以上の樹脂のブレンド樹脂であってもよい。樹脂をブレンドする手法に限定はなく、例えばホモジナイザー等を用いて行うことができる。
ブレンド樹脂である場合は、少なくとも1種が膜強度に寄与する樹脂であり、少なくとも1種が透湿性に寄与する樹脂であることが好ましい。それぞれ異なる樹脂を用いて機能補完することにより高い膜強度と高い透湿性の両立を達成できる。
ここでいう膜強度に寄与する樹脂とは、例えば自己乳化可能な疎水性樹脂であり、具体的には製膜した樹脂膜の吸水時の線膨潤率が0%以上5%未満である樹脂が挙げられる。
また、透湿性に寄与する樹脂とは、例えば自己乳化可能な親水性樹脂であり、具体的には製膜した樹脂膜の吸水時の線膨潤率が5%以上400%以下である樹脂、または水に可溶な樹脂が挙げられる。
ここでいう吸水時の線膨潤率は、一定の間隔をマーキングした厚さ50μmの樹脂フィルムを23℃の水に浸漬し、24時間後のマーキング間隔の増加率から決定されるものである。
本発明で用いられる水系樹脂は、ポリエステル系、アクリル系、ポリウレタン系、ポリエーテル系、ポリアミド系等の樹脂を用いることができるが、分子設計の容易さ、および得られる樹脂の性能から、ポリウレタン系樹脂が好ましい。
ポリウレタン系樹脂としては、特に限定はなく、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、シリコーン系、フッ素系等を用いることができる。
樹脂液には、樹脂中の自己乳化能を発現する官能基を架橋するための架橋剤を添加してあってもよい。
架橋剤は樹脂中の自己乳化能を有する官能基と反応できれば、特に限定はなく、例えばメラミン系化合物、イソシアネート系化合物、カルボジイミド系化合物、アジリジン系化合物、オキサゾリン系化合物、シラノール基やアルコキシシリル基等を有するシリコン系化合物、エポキシ系化合物、アミン系化合物、カルボン酸系化合物、およびメチロール基、イソシアネート基、オキサゾリン基、シラノール基、アルコキシシリル基、エポキシ基、アミノ基、カルボキシル基等を有するプレポリマー等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、水系樹脂中に含まれるカルボキシル基、またはその塩と架橋する場合においては、オキサゾリン系化合物を用いると、樹脂膜の透湿性が飛躍的に向上することにより素材の透湿性も向上するため、より好ましい。
透湿性が特に向上する理由は、カルボキシル基とオキサゾリン系化合物の反応により、樹脂膜内の樹脂間隙に親水性であるアミドエステル結合が生成し、その部分を水分子が透過するためと推定している。
樹脂膜中のアミドエステル結合は赤外線吸収スペクトル法、核磁気共鳴(NMR)法等を用い、アミドエステル結合に由来するピークを検出することで確認できる。
オキサゾリン系化合物のオキサゾリン価は、樹脂の酸価と同様にフィルム中の架橋密度が変化する要因となり、樹脂膜性能に影響を与えることから、0.1mmol/g,solid以上10mmol/g,solid以下が好ましく、より好ましくは0.5mmol/g,solid以上8mmol/g,solid以下である。
アミドエステル部分の含有量は、添加するオキサゾリン系化合物中のオキサゾリン含有量と、樹脂膜の酸価から算出されるカルボキシル基の含有量の比から推測される。オキサゾリン系化合物中のオキサゾリン含有量Aと樹脂膜中のカルボキシル基含有量Bの好ましい比は、A/B=0.05mmol/mmol以上3mmol/mmol以下が好ましく、より好ましくはA/B=0.1mmol/mmol以上2.5mmol/mmol以下である。
樹脂膜表面のブロッキングを低減する場合においては、樹脂液にシリカ、酸化チタン、アルミナ、炭酸カルシウム等の無機系粒子またはこれらの表面処理を行った粒子、セルロース、ポリメチルメタクリレート等の有機系粒子またはこれらの表面処理を行った粒子、フッ素系等の界面活性剤や脂肪酸アマイド等を適宜添加してもよい。
樹脂膜を着色する場合においては、樹脂液に無機系顔料あるいは有機系顔料等を適宜添加して用いてもよい。
樹脂膜構造を多孔膜とする場合においては、デンプン、塩化カルシウム等の水溶性物質等を適宜添加してもよい。
本発明の透湿防水素材の製造方法は、基材の少なくとも一面に樹脂溶液の溶媒を除去して得られる樹脂皮膜を形成させるものである。
本発明の一態様は、樹脂溶液を基材の少なくとも一面上に塗布し、樹脂を溶解または分散させている水等の溶剤を蒸発させることにより除去して固形分を凝固させて樹脂を皮膜化する。
基材上に樹脂溶液を塗布し、製膜するには、一般的には、ナイフオーバーロールコーティング、ダイレクトロールコーティング、リバースロールコーティング、グラビアコーティング、ロータリースクリーンなどのコーティング処方を用い、所望の膜厚となるように塗布量を適宜設定して塗布し、温度50℃〜180℃で、0.5分〜20分間の条件で乾燥、皮膜化することでできる。なお、樹脂は上記熱処理により架橋される。
膜厚は、厚すぎると透湿性が低下し、薄すぎると強度に問題がでることから、5μm以上60μm以下が好ましく、より好ましくは10μm以上50μm以下である。
また、本発明の他の態様は、離型支持体上に予め樹脂溶液を塗布して製膜して連続層を形成させ、次いで基材上に直接、または接着層等を介してラミネートした後、離型支持体を剥がすことによるものである。
ここで用いられる離型支持体としては、タフタ織物、フィルムまたは紙など、表面が平滑で、しかもその表面が支持体上に形成される樹脂膜に対し、親和性が低いものが挙げられる。通常は、シリコーン樹脂を塗布した離型紙やフィルム、ポリプロピレンフィルムおよびそのフィルムをラミネートした離型紙などが好ましく用いられる。
この場合、樹脂溶液を離型支持体上に塗工し、樹脂を溶解しまたは分散させている水等の溶剤を蒸発させることにより除去して固形分を凝固させる乾式製膜を行えばよい。
離型支持体上に樹脂溶液を塗工し、製膜するには、一般的には、ナイフオーバーロールコーティング、ダイレクトロールコーティング、リバースロールコーティング、グラビアコーティング、ロータリースクリーンなどのコーティング処方を用い、所望の膜厚となるように離型支持体上に塗布量を適宜設定して塗布し、温度50℃〜180℃で、0.5分〜20分間の条件で乾燥、皮膜化することでできる。なお、樹脂は上記熱処理により架橋される。
膜厚は、厚すぎると透湿性が低下し、薄すぎると強度に問題がでることから、5μm以上60μm以下が好ましく、より好ましくは10μm以上50μm以下である。
樹脂膜を直接基材にラミネートする場合には、熱ロール等を用いて熱圧着することができる。
また、接着剤を用いてラミネートする場合は、樹脂膜および基材の両方、または片方のみに予め接着剤を塗布して圧着して張り合わせ、熱処理によって接着剤を固化させる。
接着剤の種類は、ウェットラミネート方式、ドライラミネート方式、ホットメルトラミネート方式等があるが、これらの方法に限定されるものではない。
接着剤を塗布する際は、全面接着でも部分接着でもよいが、風合いと透湿性の面から、部分接着が好ましい。
部分接着する場合の接着剤の塗布方法は、グラビアロールを利用したドットコーティング、スプレーコーティング等があるが、これらの方法に限定されるものではない。
基材としては、膜を積層できるものであれば特に限定されないが、繊維構造物が好ましく用いられる。
ここでいう繊維構造物とは、合成繊維および/または天然繊維・再生繊維の単繊維(長繊維(フィラメント)、短繊維)からなる集合体であり、その形態としては織物、編物等の布帛が例示される。ここでいう天然繊維としては、例えば、綿、羊毛、絹などが挙げられる。また、合成繊維としては、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、アクリル系繊維などが挙げられる。
これらの繊維構造物は予め片面をカレンダー加工されていてもよい。また、風合いのソフト化のためには撥水加工してあってもよい。
得られた本発明の透湿防水素材には、後処理を実施することができる。後処理としては、利用分野により任意に処理することができるが、例えば、撥水処理、柔軟処理、帯電防止処理、防炎処理、硬仕上げ処理等が挙げられる。
本発明で製造される透湿防水素材は、JIS L−1099、酢酸カリウム法(B−1法)による透湿性が8,000g/m2・24h以上50,000g/m2・24h以下であるが、より快適な素材としては、10,000g/m2・24h以上50,000g/m2・24h以下であることが好ましく、さらに快適な素材としては12,000g/m2・24h以上50,000g/m2・24h以下であることが好ましい。
また、本発明で製造される透湿防水素材は、JIS L−1092、高水圧法による耐水圧が0.10MPa以上1.0MPa以下であることが好ましいが、より過酷な環境に適応するためには0.15MPa以上1.0MPa以下であることがより好ましく、0.20MPa以上1.0MPa以下であることがさらに好ましい。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。
本発明の透湿防水フィルム、複合材の評価方法と製造に用いた基材について、以下に示す。なお、実施例または比較例で用いた樹脂の特性は次のとおりである。
1.PE系PU
水溶性ポリエーテル系ポリウレタン
主な組成:ポリエチレングリコール、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート
フィルムにおける吸水時の線膨張率:60%
自己乳化可能を発現する官能基:カルボキシル基のアミン塩
カルボキシル基含有量:0.248mmol/g
2.UA310
自己乳化型ポリカーボネート系ポリウレタン
”パーマリンUA310”(三洋化成工業(株)製商品名)
主な組成:ポリカーボネートジオール、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート
フィルムにおける吸水時の線膨張率:1%以下
自己乳化可能を発現する官能基:カルボキシル基のアミン塩
カルボキシル基含有量:0.179mmol/g
3.HMP17A
溶剤系ポリエーテル系ポリウレタン
”サンプレンHMP17A”(三洋化成工業(株)製商品名)
フィルムにおける吸水時の線膨張率:16%
自己乳化可能を発現する官能基:なし
カルボキシル基含有量:なし
4.D2060
自己乳化型ポリエーテル系ポリウレタン
”レザミンD2060”(大日精化工業(株)製商品名)
主な組成:ポリテトラメチレングリコール、
水添化ジフェニルメタンジイソシアネート
フィルムにおける吸水時の線膨張率:1%以下
自己乳化可能を発現する官能基:カルボキシル基のアミン塩
カルボキシル基含有量:0.295mmol/g
5.107M
自己乳化型ポリエステル系ポリウレタン
”スーパーフレックス107M”(第一工業製薬(株)製商品名)
フィルムにおける吸水時の線膨張率:3%以下
自己乳化可能を発現する官能基:カルボキシル基のナトリウム塩
カルボキシル基含有量:−
6.2770
自己乳化型アクリル系ポリマー
”ビニブラン2770”(日信化学工業(株)製商品名)
フィルムにおける吸水時の線膨張率:1%以下
自己乳化可能を発現する官能基:カルボキシル基
カルボキシル基含有量:−
7.E−4000
強制乳化型ポリエーテル系ポリウレタン
”スーパーフレックスE−4000”(第一工業製薬(株)製商品名)
フィルムにおける吸水時の線膨張率:5%
自己乳化可能を発現する官能基:なし
カルボキシル基含有量:−
[フィルムにおける吸水時の線膨潤率]
一定の間隔をマーキングした厚さ50μmの樹脂フィルムを23℃の水に浸漬し、 24時間後のマーキング間隔の増加率から決定した。
[膜強度]
以下の条件でオリエンテック社製「テンシロンUTM−100III」を用いて乾燥状 態におけるフィルムの測定を行った。ここでいう乾燥状態とは、加熱処理(例えば、 50℃〜150℃で0.5分〜20分間)が施されて製膜されたフィルムを温度2 5℃、湿度65%条件下で最低1時間以上放置した状態のことをいう。なお、加熱 処理は複数回に分けて行われてもよい。
サンプル形状:8cm×1cm×50μm
(縦×横×厚さ、測定部分は5cm×1cm×50μm)
クロスヘッドスピード:300mm/min
[透湿性]
JIS L−1099 酢酸カリウム法(B−1法)に準じてサンプルを測定した。
[耐水性]
複合材において、JIS L−1092 高水圧法に準じて測定した。
[繊維構造物]
繊維構造物はフッ素系撥水撥油剤であるAG925(旭硝子(株)製商品名)4% 水分散液で処理して用いた。
1.ナイロンタフタA
糸使い ナイロン6の77デシテックス−68フィラメント糸
織密度 タテ:116本/2.54センチ、ヨコ:88本/2.54センチ
目付 72g/m2
2.ナイロンタフタB
糸使い ナイロン6の77デシテックス−68フィラメント糸
織密度 タテ:92本/2.54センチ、ヨコ:36本/2.54センチ
目付 45g/m2
3.ナイロンタフタC
糸使い ナイロン6の77デシテックス−68フィラメント糸
織密度 タテ:183本/2.54センチ、ヨコ:130本/2.54センチ
目付 110g/m2
4.ポリエステルタフタ
糸使い ポリエチレンテレフタレートの
83デシテックス−36フィラメント糸
織密度 タテ:98本/2.54センチ、ヨコ:84本/2.54センチ
目付 70g/m2
[実施例1]
”D2060”原液16.7部と、PE系PUの15重量%水溶液33.3部、オキサゾリン系架橋剤である”エポクロスWS700”((株)日本触媒製商品名、オキサゾリン当量4.5mmol/g)原液0.5部を混合した樹脂液をポリプロピレンフィルムがラミネートされた離型紙上に塗工し、オーブンで140℃、2分熱処理を行うことで、本発明のフィルム(膜厚50μm)を作製した。樹脂液中の樹脂固形分に対する有機溶剤の重量比は1重量%以下であった。
透湿性80,000g/m2・24h、膜強度12MPaの透湿性と膜強度の両立した低環境負荷の透湿防水フィルムであった。
[実施例2]
基材としてナイロンタフタAを用い、クリアランス0.15mmで塗工、製膜する以外は実施例1と同様に作製し本発明の複合材を得た。
透湿性19,000g/m2・24h、耐水圧が0.30MPaと高度な透湿性を有する低環境負荷の透湿防水複合材であった。
[実施例3]
”D2060”原液16.7部と、PE系PUの15重量%水溶液33.3部、メチロールメラミン樹脂である”スミテックスレジンM−3”(住友ケミテックス(株)製商品名)原液0.25部、アミン系触媒である”スミテックスアクセレレーターACX”(住友ケミテックス(株)製商品名)原液0.03部を混合した樹脂液を用いた以外は実施例1と同様にして本発明の透湿防水フィルム(膜厚50μm)を作製した。樹脂液中の樹脂固形分に対する有機溶剤の重量比は1重量%以下であった。
透湿性42,000g/m2・24h、膜強度13MPaの透湿性と膜強度の両立した低環境負荷の透湿防水フィルムであった。
[実施例4]
基材としてナイロンタフタAを用い、クリアランス0.15mmで塗工、製膜する以外は実施例1と同様に作製し本発明の複合材を得た。
透湿性14,000g/m2・24h、耐水圧が0.60MPaと高度な透湿性を有する低環境負荷の透湿防水複合材であった。
[実施例5]
”D2060”原液16.7部と、PE系PUの15重量%水溶液33.3部、水溶性イソシアネートである”タケネートWD725”(三井武田ケミカル(株)製商品名)原液0.2部を混合した樹脂液を用いた以外は実施例1と同様にして本発明の透湿防水フィルム(膜厚50μm)を作製した。樹脂液中の樹脂固形分に対する有機溶剤の重量比は1重量%以下であった。
透湿性42,000g/m2・24h、膜強度13MPaの透湿性と膜強度の両立した低環境負荷の透湿防水フィルムであった。
[実施例6]
基材としてナイロンタフタAを用い、クリアランス0.15mmで塗工、製膜する以外は実施例1と同様に作製し本発明の複合材を得た。
透湿性14,000g/m2・24h、耐水圧が0.39MPaと高度な透湿性を有する低環境負荷の透湿防水複合材であった。
[実施例7]
”D2060”原液16.7部と、PE系PUの15重量%水溶液33.3部、カルボジイミド系化合物である”カルボジライトE04”(日清紡(株)製商品名)原液0.5部を混合した樹脂液を用いた以外は実施例1と同様にして本発明の透湿防水フィルム(膜厚50μm)を作製した。樹脂液中の樹脂固形分に対する有機溶剤の重量比は1重量%以下であった。
透湿性40,000g/m2・24h、膜強度12MPaの透湿性と膜強度の両立した低環境負荷の透湿防水フィルムであった。
[実施例8]
基材としてナイロンタフタAを用い、クリアランス0.15mmで塗工、製膜する以外は実施例1と同様に作製し本発明の複合材を得た。
透湿性13,000g/m2・24h、耐水圧が0.36MPaと高度な透湿性を有する低環境負荷の透湿防水複合材であった。
[実施例9]
”D2060”原液16.7部と、PE系PUの15重量%水溶液33.3部、エポキシ系化合物である”デナコールEX810”(ナガセケムテックス(株)製商品名)原液0.2部を混合した樹脂液を用いた以外は実施例1と同様にして本発明の透湿防水フィルム(膜厚50μm)を作製した。樹脂液中の樹脂固形分に対する有機溶剤の重量比は1重量%以下であった。
透湿性39,000g/m2・24h、膜強度10MPaの透湿性と膜強度の両立した低環境負荷の透湿防水フィルムであった。
[実施例10]
基材としてナイロンタフタAを用い、クリアランス0.15mmで塗工、製膜する以外は実施例1と同様に作製し本発明の複合材を得た。
透湿性12,000g/m2・24h、耐水圧が0.32MPaと高度な透湿性を有する低環境負荷の透湿防水複合材であった。
[実施例11]
架橋剤を添加しないこと以外は実施例1と同様にして本発明の透湿防水フィルム(膜厚50μm)を作製した。樹脂液中の樹脂固形分に対する有機溶剤の重量比は1重量%以下であった。
透湿性16,000g/m2・24h、膜強度11MPaの透湿性と膜強度の両立した低環境負荷の透湿防水フィルムであった。
[実施例12]
基材としてナイロンタフタAを用い、クリアランス0.15mmで塗工、製膜する以外は実施例1と同様に作製し本発明の複合材を得た。
透湿性8,500g/m2・24h、耐水圧が0.15MPaと高度な透湿性を有する低環境負荷の透湿防水複合材であった。
[実施例13]
”UA310”原液12.5部と、PE系PUの15重量%水溶液33.3部、オキサゾリン系架橋剤である”エポクロスWS500”((株)日本触媒製商品名、オキサゾリン当量4.5mmol/g)原液0.25部を混合した樹脂液を塗工し、オーブンで80℃、15分乾燥後に140℃、10分熱処理を行い、本発明の透湿防水フィルム(膜厚50μm)を作製した。樹脂液中の樹脂固形分に対する有機溶剤の重量比は10重量%より高かった。
透湿性71,000g/m2・24h、膜強度13MPaの透湿性と膜強度を両立した低環境負荷の透湿防水フィルムであった。
[実施例14]
基材としてナイロンタフタAを用い、クリアランス0.15mmで塗工、製膜する以外は実施例13と同様に作製し本発明の複合材を得た。
透湿性21,000g/m2・24h、耐水圧が0.27MPaと高度な透湿性を有する低環境負荷の透湿防水複合材であった。
[実施例15]
”UA310”原液12.5部と、PE系PUの15重量%水溶液33.3部、オキサゾリン系架橋剤である”エポクロスWS500”((株)日本触媒製商品名、オキサゾリン当量4.5mmol/g)原液0.5部を混合した樹脂液を用いた以外は実施例13と同様にして本発明の透湿防水フィルム(膜厚50μm)を作製した。樹脂液中の樹脂固形分に対する有機溶剤の重量比は10重量%より高かった。
透湿性77,000g/m2・24h、膜強度14MPaの透湿性と膜強度を両立した低環境負荷の透湿防水フィルムであった。
[実施例16]
基材としてナイロンタフタAを用い、クリアランス0.15mmで塗工、製膜する以外は実施例13と同様に作製し本発明の複合材を得た。
透湿性22,000g/m2・24h、耐水圧が0.21MPaと高度な透湿性を有する低環境負荷の透湿防水複合材であった。
[実施例17]
”UA310”原液12.5部と、PE系PUの15重量%水溶液33.3部、オキサゾリン系架橋剤である”エポクロスWS500”((株)日本触媒製商品名、オキサゾリン当量4.5mmol/g)原液2.5部を混合した樹脂液を用いた以外は実施例13と同様にして本発明の透湿防水フィルム(膜厚50μm)を作製した。樹脂液中の樹脂固形分に対する有機溶剤の重量比は10重量%より高かった。
透湿性50,000g/m2・24h、膜強度9MPaの透湿性と膜強度を両立した低環境負荷の透湿防水フィルムであった。
[実施例18]
基材としてナイロンタフタAを用い、クリアランス0.15mmで塗工、製膜する以外は実施例13と同様に作製し本発明の複合材を得た。
透湿性18,000g/m2・24h、耐水圧が0.25MPaと高度な透湿性を有する低環境負荷の透湿防水複合材であった。
[実施例19]
”UA310”原液12.5部と、PE系PUの15重量%水溶液33.3部、メチロールメラミン樹脂である”スミテックスレジンM−3”(住友ケミテックス(株)製商品名)原液0.25部、アミン系触媒である”スミテックスアクセレレーターACX”(住友ケミテックス(株)製商品名)原液0.03部を混合した樹脂液を用いた以外は実施例13と同様にして本発明の透湿防水フィルム(膜厚50μm)を作製した。樹脂液中の樹脂固形分に対する有機溶剤の重量比は10重量%より高かった。
透湿性39,000g/m2・24h、膜強度16MPaの透湿性と膜強度を両立した低環境負荷の透湿防水フィルムであった。
[実施例20]
基材としてナイロンタフタAを用い、クリアランス0.15mmで塗工、製膜する以外は実施例13と同様に作製し本発明の複合材を得た。
透湿性14,000g/m2・24h、耐水圧が0.51MPaと高度な透湿性を有する低環境負荷の透湿防水複合材であった。
[実施例21]
”UA310”原液12.5部と、PE系PUの15重量%水溶液33.3部、水溶性イソシアネートである”タケネートWD725”(三井武田ケミカル(株)製商品名)原液0.2部を混合した樹脂液を用いた以外は実施例13と同様にして本発明の透湿防水フィルム(膜厚50μm)を作製した。樹脂液中の樹脂固形分に対する有機溶剤の重量比は10重量%より高かった。
透湿性38,000g/m2・24h、膜強度15MPaの透湿性と膜強度を両立した低環境負荷の透湿防水フィルムであった。
[実施例22]
基材としてナイロンタフタAを用い、クリアランス0.15mmで塗工、製膜する以外は実施例13と同様に作製し本発明の複合材を得た。
透湿性14,000g/m2・24h、耐水圧が0.46MPaと高度な透湿性を有する低環境負荷の透湿防水複合材であった。
[実施例23]
”UA310”原液12.5部と、PE系PUの15重量%水溶液33.3部、カルボジイミド系化合物である”カルボジライトE04”(日清紡(株)製商品名)原液0.5部を混合した樹脂液を用いた以外は実施例13と同様にして本発明の透湿防水フィルム(膜厚50μm)を作製した。樹脂液中の樹脂固形分に対する有機溶剤の重量比は10重量%より高かった。
透湿性43,000g/m2・24h、膜強度13MPaの透湿性と膜強度を両立した低環境負荷の透湿防水フィルムであった。
[実施例24]
基材としてナイロンタフタAを用い、クリアランス0.15mmで塗工、製膜する以外は実施例13と同様に作製し本発明の複合材を得た。
透湿性13,000g/m2・24h、耐水圧が0.34MPaと高度な透湿性を有する低環境負荷の透湿防水複合材であった。
[実施例25]
”UA310”原液12.5部と、PE系PUの15重量%水溶液33.3部、エポキシ系化合物である”デナコールEX810”(ナガセケムテックス(株)製商品名)原液0.2部を混合した樹脂液を用いた以外は実施例13と同様にして本発明の透湿防水フィルム(膜厚50μm)を作製した。樹脂液中の樹脂固形分に対する有機溶剤の重量比は10重量%より高かった。
透湿性35,000g/m2・24h、膜強度14MPaの透湿性と膜強度を両立した透湿防水フィルムであった。
[実施例26]
基材としてナイロンタフタAを用い、クリアランス0.15mmで塗工、製膜する以外は実施例13と同様に作製し本発明の複合材を得た。
透湿性12,000g/m2・24h、耐水圧が0.35MPaと高度な透湿性を有する低環境負荷の透湿防水複合材であった。
[実施例27]
”UA310”原液12.5部と、PE系PUの15重量%水溶液33.3部を混合した樹脂液を用いた以外は実施例13と同様にして本発明の透湿防水フィルム(膜厚50μm)を作製した。樹脂液中の樹脂固形分に対する有機溶剤の重量比は10重量%より高かった。
透湿性14,000g/m2・24h、膜強度12MPaの透湿性と膜強度を両立した低環境負荷の透湿防水フィルムであった。
[実施例28]
基材としてナイロンタフタAを用い、クリアランス0.15mmで塗工、製膜する以外は実施例13と同様に作製し本発明の複合材を得た。
透湿性8,500g/m2・24h、耐水圧が0.12MPaと高度な透湿性を有する低環境負荷の透湿防水複合材であった。
[実施例29]
PE系PUの15重量%水溶液33.3部、オキサゾリン系架橋剤である”エポクロスWS500”((株)日本触媒製商品名、オキサゾリン当量4.5mmol/g)原液0.5部を混合した樹脂液を用いた以外は実施例13と同様にして本発明のフィルム(膜厚50μm)を作製した。樹脂液中の樹脂固形分に対する有機溶剤の重量比は1重量%以下であった。
透湿性180,000g/m2・24h、膜強度2MPaの透湿性の高い低環境負荷のフィルムであった。
[実施例30]
基材としてナイロンタフタAを用い、クリアランス0.15mmで塗工、製膜する以外は実施例13と同様に作製し本発明の複合材を得た。
透湿性29,000g/m2・24h、耐水圧が0.09MPaと高度な透湿性を有する低環境負荷の透湿防水複合材であった。
[実施例31]
PE系PUの20重量%水溶液をポリプロピレンフィルムがラミネートされた離型紙上に塗工し、オーブンで80℃、15分乾燥後に140℃10分熱処理を行うことで、本発明のフィルム(膜厚50μm)を作製した。樹脂液中の樹脂固形分に対する有機溶剤の重量比は1重量%以下であった。
透湿性170,000g/m2・24h、膜強度1MPaの透湿性の高い低環境負荷のフィルムであった。
[実施例32]
基材としてナイロンタフタAを用い、クリアランス0.15mmで塗工、製膜する以外は実施例31と同様に作製し本発明の複合材を得た。
透湿性27,000g/m2・24h、耐水圧が0.05MPaと高度な透湿性を有する低環境負荷の透湿防水複合材であった。
[実施例33]
”107M”原液20部と、PE系PUの15重量%水溶液33.3部を混合した樹脂液をポリプロピレンフィルムがラミネートされた離型紙上に塗工し、オーブンで140℃、10分熱処理を行うことで、本発明の透湿防水フィルム(膜厚50μm)を作製した。樹脂液中の樹脂固形分に対する有機溶剤の重量比は10重量%より高かった。
透湿性13,000g/m2・24h、膜強度10MPaの透湿性と膜強度の両立した低環境負荷の透湿防水フィルムであった。
[実施例34]
基材としてナイロンタフタAを用い、クリアランス0.15mmで塗工、製膜する以外は実施例33と同様に作製し本発明の複合材を得た。
透湿性8,100g/m2・24h、耐水圧が0.13MPaと高度な透湿性を有する低環境負荷の透湿防水複合材であった。
[実施例35]
”107M”原液20部と、PE系PUの15重量%水溶液33.3部、オキサゾリン系架橋剤である”エポクロスWS700”((株)日本触媒製商品名、オキサゾリン当量4.5mmol/g)原液0.5部を混合した樹脂液を用いた以外は実施例33と同様にして本発明の透湿防水フィルム(膜厚50μm)を作製した。樹脂液中の樹脂固形分に対する有機溶剤の重量比は10重量%より高かった。
透湿性45,000g/m2・24h、膜強度10MPaの透湿性と膜強度の両立した低環境負荷の透湿防水フィルムであった。
[実施例36]
基材としてナイロンタフタAを用い、クリアランス0.15mmで塗工、製膜する以外は実施例33と同様に作製し本発明の複合材を得た。
透湿性12,000g/m2・24h、耐水圧が0.23MPaと高度な透湿性を有する低環境負荷の透湿防水複合材であった。
[実施例37]
”2770”原液10部と、PE系PUの15重量%水溶液33.3部を混合した樹脂液を用いた以外は実施例33と同様にして本発明の透湿防水フィルム(膜厚50μm)を作製した。樹脂液中の樹脂固形分に対する有機溶剤の重量比は10重量%より高かった。
透湿性11,000g/m2・24h、膜強度3MPaの透湿性と膜強度の両立した低環境負荷の透湿防水フィルムであった。
[実施例38]
基材としてナイロンタフタAを用い、クリアランス0.15mmで塗工、製膜する以外は実施例37と同様に作製し本発明の複合材を得た。
透湿性8,000g/m2・24h、耐水圧が0.15MPaと高度な透湿性を有する低環境負荷の透湿防水複合材であった。
[実施例39]
”2770”原液10部と、PE系PUの15重量%水溶液33.3部、オキサゾリン系架橋剤である”エポクロスWS500”((株)日本触媒製商品名、オキサゾリン当量4.5mmol/g)原液0.5部を混合した樹脂液を用いた以外は実施例33と同様にして本発明の透湿防水フィルム(膜厚50μm)を作製した。樹脂液中の樹脂固形分に対する有機溶剤の重量比は10重量%より高かった。
透湿性38,000g/m2・24h、膜強度4MPaの透湿性と膜
強度の両立した低環境負荷の透湿防水フィルムであった。
[実施例40]
基材としてナイロンタフタAを用い、クリアランス0.15mmで塗工、製膜する以外は実施例39と同様に作製し本発明の複合材を得た。
透湿性11,000g/m2・24h、耐水圧が0.26MPaと高度な透湿性を有する低環境負荷の透湿防水複合材であった。
[実施例41]
”E−4000”原液11.1部と、PE系PUの15重量%水溶液33.3部を混合した樹脂液を用いた以外は実施例33と同様にして本発明の透湿防水フィルム(膜厚50μm)を作製した。樹脂液中の樹脂固形分に対する有機溶剤の重量比は10重量%より高かった。
透湿性15,000g/m2・24h、膜強度13MPaの透湿性と膜強度の両立した低環境負荷の透湿防水フィルムであった。
[実施例42]
基材としてナイロンタフタAを用い、クリアランス0.15mmで塗工、製膜する以外は実施例41と同様に作製し本発明の複合材を得た。
透湿性8,800g/m2・24h、耐水圧が0.09MPaと高度な透湿性を有する低環境負荷の透湿防水複合材であった。
[実施例43]
”E−4000”原液11.1部と、PE系PUの15重量%水溶液33.3部、メチロールメラミン樹脂である”スミテックスレジンM−3”(住友ケミテックス(株)製商品名)原液0.25部、アミン系触媒である”スミテックスアクセレレーターACX”(住友ケミテックス(株)製商品名)原液0.03部を混合した樹脂液を用いた以外は実施例33と同様にして本発明の透湿防水フィルム(膜厚50μm)を作製した。樹脂液中の樹脂固形分に対する有機溶剤の重量比は10重量%より高かった。
透湿性22,000g/m2・24h、膜強度12MPaの透湿性と膜強度の両立した低環境負荷の透湿防水フィルムであった。
[実施例44]
基材としてナイロンタフタAを用い、クリアランス0.15mmで塗工、製膜する以外は実施例43と同様に作製し本発明の複合材を得た。
透湿性9,600g/m2・24h、耐水圧が0.26MPaと高度な透湿性を有する低環境負荷の透湿防水複合材であった。
[実施例45]
ナイロンタフタAに150メッシュのグラビアロールで水系接着剤”ボンコートES141”(大日本インキ(株)製商品名)原液を塗工し、予備乾燥後、実施例1で得られたフィルムと圧着、120℃で5分間熱処理後、室温で24時間以上熟成させて、本発明の透湿防水複合材を得た。
透湿性17,000g/m2・24h、耐水圧0.27MPaと、高い透湿性と耐水圧の両立した複合材であった。
[実施例46]
実施例11で得られたフィルムを用いた以外は、実施例45と同様にして、本発明の透湿防水複合材を得た。
透湿性3,100g/m2・24h、耐水圧0.30MPaと、高い透湿性と耐水圧の両立した複合材であった。
[実施例47]
実施例19で得られたフィルムを用いた以外は、実施例45と同様にして、本発明の透湿防水複合材を得た。
透湿性14,000g/m2・24h、耐水圧0.41MPaと、高い透湿性と耐水圧の両立した複合材であった。
[実施例48]
実施例21で得られたフィルムを用いた以外は、実施例45と同様にして、本発明の透湿防水複合材を得た。
透湿性14,000g/m2・24h、耐水圧0.38MPaと、高い透湿性と耐水圧の両立した複合材であった。
[実施例49]
実施例31で得られたフィルムを用いた以外は、実施例45と同様にして、本発明の透湿防水複合材を得た。
透湿性22,000g/m2・24h、耐水圧0.11MPaと、高い透湿性と耐水圧の両立した複合材であった。
[実施例50]
ナイロンタフタに50メッシュのグラビアロールで水系接着剤”ボンコートES141”(大日本インキ(株)製商品名)原液を塗工し、予備乾燥後、実施例31で得られたフィルムと圧着、120℃で5分間熱処理後、室温で24時間以上熟成させて、本発明の透湿防水複合材を得た。
透湿性16,000g/m2・24h、耐水圧0.27MPaと、高い透湿性と耐水圧の両立した複合材であった。
[実施例51]
実施例43で得られたフィルムを用いた以外は、実施例45と同様にして、本発明の透湿防水複合材を得た。
透湿性4,300g/m2・24h、耐水圧0.14MPaと、高い透湿性と耐水圧の両立した複合材であった。
[実施例52]
基材としてナイロンタフタBを用い、クリアランス0.15mmで塗工、製膜する以外は実施例2と同様に作製し本発明の複合材を得た。
透湿性16,000g/m2・24h、耐水圧が0.22MPaと高度な透湿性を有する低環境負荷の透湿防水複合材であった。
[実施例53]
基材としてナイロンタフタCを用い、クリアランス0.15mmで塗工、製膜する以外は実施例2と同様に作製し本発明の複合材を得た。
透湿性18,000g/m2・24h、耐水圧が0.23MPaと高度な透湿性を有する低環境負荷の透湿防水複合材であった。
[実施例54]
基材としてポリエステルタフタを用い、クリアランス0.15mmで塗工、製膜する以外は実施例2と同様に作製し本発明の複合材を得た。
透湿性20,000g/m2・24h、耐水圧が0.20MPaと高度な透湿性を有する低環境負荷の透湿防水複合材であった。
[比較例1]
”UA310”原液を樹脂液として用いた以外は実施例13と同様にして比較用のフィルム(膜厚50μm)を作製した。
透湿性3,600g/m2・24h、膜強度28MPaの膜強度は高いが透湿性の低いフィルムであった。
[比較例2]
”D2060”原液を樹脂液とした以外は実施例1と同様にして比較用のフィルム(膜厚50μm)を作製した。
透湿性4,200g/m2・24h、膜強度25MPaの膜強度は高いが透湿性の低いフィルムであった。
[比較例3]
”D2060”原液20部と、オキサゾリン系架橋剤である”エポクロスWS700”((株)日本触媒製商品名、オキサゾリン当量4.5mmol/g)原液0.5部を混合した樹脂液を用いた以外は実施例1と同様にして比較用のフィルム(膜厚50μm)を作製した。
透湿性4,400g/m2・24h、膜強度25MPaの膜強度は高いが透湿性の低いフィルムであった。
[比較例4]
”107M”原液を樹脂液とした以外は実施例33と同様にして比較用のフィルム(膜厚50μm)を作製した。
透湿性3,600g/m2・24h、膜強度30MPaの膜強度は高いが透湿性は低いフィルムであった。
[比較例5]
”2770”原液を樹脂液とした以外は実施例33と同様にして比較用のフィルム(膜厚50μm)を作製した。
透湿性2,200g/m2・24h、膜強度8MPaの膜強度は高いが透湿性は低いフィルムであった。
[比較例6]
”E−4000”原液を樹脂液とした以外は実施例33と同様にして比較用のフィルム(膜厚50μm)を作製した。
透湿性8,500g/m2・24h、膜強度9MPaの膜強度は高いが透湿性は低いフィルムであった。
[比較例7]
”E−4000”原液20部と、メチロールメラミン樹脂である”スミテックスレジンM−3”(住友ケミテックス(株)製商品名)原液0.22部、アミン系触媒である”スミテックスアクセレレーターACX”(住友ケミテックス(株)製商品名)原液0.02部を混合した樹脂液を用いた以外は実施例43と同様にして比較用のフィルム(膜厚50μm)を作製した。
透湿性9,000g/m2・24h、膜強度8MPaの膜強度は高いが透湿性は低いフィルムであった。
[比較例8]
比較例1で得られたフィルムを用いた以外は実施例45と同様にして比較用の素材を得た。
透湿性1,000g/m2・24h、耐水圧0.03MPaと、透湿性、耐水圧ともに低い素材であった。
[比較例9]
比較例3で得られたフィルムを用いた以外は実施例45と同様にして比較用の素材を得た。
透湿性1,100g/m2・24h、耐水圧0.25MPaと、耐水圧は高いが透湿性は低い素材であった。
[比較例10]
比較例8で得られたフィルムを用いた以外は実施例45と同様にして比較用の素材を得た。
透湿性1,100g/m2・24h、耐水圧0.25MPaと、耐水圧は高いが透湿性は低い素材であった。

Claims (18)

  1. 水系樹脂を含むフィルムからなり、膜厚50μmでのJISL−1099、酢酸カリウム法(B−1法)による透湿性が10,000g/m2・24h以上300,000g/m2・24h以下であることを特徴とする透湿防水フィルム。
  2. 該水系樹脂が自己乳化能を発現する官能基を有する樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の透湿防水フィルム。
  3. 該自己乳化能を発現する官能基がカルボキシル基および/またはその塩であることを特徴とする請求項2に記載の透湿防水フィルム。
  4. 該水系樹脂が自己乳化能を発現する官能基を有する2種以上の樹脂を含むブレンド樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の透湿防水フィルム。
  5. 該ブレンド樹脂が複数のポリウレタンのブレンド樹脂であることを特徴とする請求項4に記載の透湿防水フィルム。
  6. 該水系樹脂が架橋されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の透湿防水フィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の透湿防水フィルムを基材に積層してなる透湿防水複合材。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の透湿防水フィルムからなる樹脂層が繊維構造物の少なくとも片面に設けられてなり、JIS L−1099、酢酸カリウム法(B−1法)による透湿性が8,000g/m2・24h以上50,000g/m2・24h以下であることを特徴とする透湿防水複合材。
  9. JIS L−1092、高水圧法による耐水圧が0.1MPa以上1.0MPa以下であることを特徴とする請求項8に記載の透湿防水複合材。
  10. 樹脂溶液の溶媒を除去して得られる樹脂膜を基材の少なくとも片面に設けるに際し、該樹脂溶液中に含まれる有機溶剤を樹脂固形分重量に対して0重量%以上3重量%以下として、JIS L−1099、酢酸カリウム法(B−1法)による透湿性が8,000g/m2・24h以上50,000g/m2・24h以下である透湿防水素材とすることを特徴とする透湿防水素材の製造方法 。
  11. 該透湿防水素材のJIS L−1092、高水圧法による耐水圧が0.10MPa以上1.0MPa以下であることを特徴とする請求項10に記載の透湿防水素材の製造方法。
  12. 該樹脂膜が水系樹脂を含むことを特徴とする請求項10または11に記載の透湿防水素材の製造方法。
  13. 該水系樹脂が自己乳化能を発現する官能基を有する樹脂を含むことを特徴とする請求項12に記載の透湿防水素材の製造方法。
  14. 該樹脂膜が自己乳化能を発現する官能基を有する2種以上の樹脂のブレンド樹脂を含むことを特徴とする請求項10〜13のいずれかに記載の透湿防水素材の製造方法。
  15. 該自己乳化能を発現する官能基がカルボキシル基および/またはその塩であることを特徴とする請求項13または14のいずれかに記載の透湿防水素材の製造方法。
  16. 該ブレンド樹脂がポリウレタンのブレンド樹脂であることを特徴とする請求項14または15に記載の透湿防水素材の製造方法。
  17. 該水系樹脂中に該自己乳化能を発現する官能基が架橋している構造を有することを特徴とする請求項10〜16のいずれかに記載の透湿防水素材の製造方法。
  18. 該樹脂液中に含まれる水を樹脂固形分重量に対して25重量%以上、1900重量%以下とし、基材上に塗工、製膜、積層することを特徴とする請求項15記載の透湿防水複合材の製造方法。
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