JP2004256447A - ラクトン構造を有する含フッ素アクリレート誘導体及びその製造方法 - Google Patents
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- Materials For Photolithography (AREA)
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、機能性高分子、医農薬等の原料として有用と期待されるラクトン構造を有する含フッ素アクリレート誘導体及びその製造方法に関する。特に、本発明のごときラクトン構造を有する含フッ素アクリレート誘導体は、次世代の半導体レジスト用原料として非常に有用である。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体リソグラフィー分野においては、次世代のリソグラフィープロセスとして、ArFエキシマレーザー(193nm)やF2エキシマレーザー(157nm)を利用した開発が活発に行われている。
【0003】
このような波長域に対応したレジスト用材料として、高い光透過性を有し、且つ優れたドライエッチング耐性を有する材料開発が活発に行われている。例えば、ArFエキシマレーザーやF2エキシマレーザーを用いた場合、光透過性の観点からは、フッ素系モノマーを用いた材料(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)、ドライエッチング耐性の観点からは、脂環式骨格を有する材料(例えば、特許文献2参照)が大きく注目されている。
【0004】
上記背景より、本発明が提供するラクトン構造を有する含フッ素アクリレート誘導体は、高い光透過性とドライエッチング耐性を兼ね備えた化合物として非常に有用と期待される。一方、本発明が提供するラクトン構造を有する含フッ素アクリレート誘導体は、文献未記載の新規化合物であり、その製造方法についても知られていない。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−296662号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】
特開2001−48933号公報(特許請求の範囲)
【非特許文献1】
「ジャーナル・オブ・フォトポリマー・サイエンス・アンド・テクノロジー(Journal of Photopolymer Science and Technology)」,(日本),2001年,第14巻,p669−674
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、機能性高分子、医農薬等の原料として有用と期待されるラクトン構造を有する含フッ素アクリレート誘導体とその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、従来の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、下式(III)
【0008】
【化5】
で示されるヒドロキシノルボルナンラクトンと、下記一般式(IV)
【0009】
【化6】
(式中、Rは少なくとも一つのフッ素原子を有するC1〜C4の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表し、YはOH基又はハロゲン原子を表す。)
で示されるα−フルオロアルキルアクリル酸誘導体とを反応させることにより、ラクトン構造を有する含フッ素アクリレート誘導体が容易に得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、▲1▼ 下記一般式(I)
【0011】
【化7】
(式中、Rは少なくとも一つのフッ素原子を有するC1〜C4の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表す。)
で示されるラクトン構造を有する含フッ素アクリレート誘導体、
▲2▼ 下式(II)
【0012】
【化8】
で示されるラクトン構造を有する含フッ素アクリレート誘導体、
▲3▼ 上記式(III)で示されるヒドロキシノルボルナンラクトンと、上記一般式(IV)で示されるα−フルオロアルキルアクリル酸誘導体とを反応させる上記一般式(I)又は式(II)で示されるラクトン構造を有する含フッ素アクリレート誘導体の製造方法、である。
【0013】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0014】
本発明のラクトン構造を有する含フッ素アクリレート誘導体とは、上記一般式(I)で示される化合物をいい、具体的には、上記式(II)で示されるラクトン構造を有する含フッ素アクリレート誘導体が例示される。
【0015】
上記一般式(I)中、Rは少なくとも一つのフッ素原子を有するC1〜C4の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表し、具体的には、フッ素化メチル基、フッ素化エチル基、フッ素化n−プロピル基、フッ素化i−プロピル基、フッ素化n−ブチル基、フッ素化s−ブチル基、フッ素化i−ブチル基、フッ素化t−ブチル基、フッ素化アリル基等が挙げられる。
【0016】
本発明の方法において使用される上記式(III)で示されるヒドロキシノルボルナンラクトンは、公知の方法により得ることが出来る[例えば、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイエティー(Journal of ChemicalSociety),(米国),1959年,p.221−226参照]。すなわち、試薬として入手可能な5−ノルボルネン−2−カルボン酸を、ぎ酸の存在下に、過酸化水素と反応させることにより上記式(III)で示されるヒドロキシノルボルナンラクトンを得ることが出来る。
【0017】
本発明の方法において、α−フルオロアルキルアクリル酸誘導体とは、上記一般式(IV)で示される化合物をいう。上記一般式(IV)中のRは、上記一般式(I)と同じ定義であり、具体的には、フッ素化メチル基、フッ素化エチル基、フッ素化n−プロピル基、フッ素化i−プロピル基、フッ素化n−ブチル基、フッ素化s−ブチル基、フッ素化i−ブチル基、フッ素化t−ブチル基、フッ素化アリル基が挙げられる。また、上記一般式(IV)中のYは、OH基又はハロゲン原子を表し、ハロゲン原子の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0018】
本発明のラクトン構造を有する含フッ素アクリレート誘導体は、上記式(III)で示されるヒドロキシノルボルナンラクトンを、上記一般式(IV)で示されるα−フルオロアルキルアクリル酸誘導体と反応させる方法により製造される。本発明の方法において、その反応形態としては、例えば、以下に示す方法を挙げることが出来る。すなわち、
(1)上記式(III)で示されるヒドロキシノルボルナンラクトンとα−フルオロアルキルアクリル酸[上記一般式(IV)において、Y=OH基]を脱水反応させる方法、
(2)上記式(III)で示されるヒドロキシノルボルナンラクトンとα−フルオロアルキルアクリル酸ハライド[上記一般式(IV)において、Y=ハロゲン原子]を脱ハロゲン化水素反応させる方法、等が挙げられる。
【0019】
まず、上記(1)の方法について具体的に説明する。
【0020】
(1)の方法においていう脱水反応とは、下記反応式(A)
【0021】
【化9】
に示すように、上記式(III)で示されるヒドロキシノルボルナンラクトンとα−フルオロアルキルアクリル酸[上記一般式(IV)において、Y=OH基]との反応において、水が副生する形態の方法をいう。
【0022】
(1)の方法においては、脱水剤の添加や、共沸還流脱水法等の操作により、副生した水を除去させながら反応を進行させることが好ましい。
【0023】
(1)の方法において、脱水剤とは、水を吸収又は吸着する機能を有する化合物であればよく、特に限定するものではないが、例えば、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウム、各種ゼオライト、各種吸水ゲル等が挙げられる。
【0024】
(1)の方法において、共沸還流脱水法とは、水との共沸点を有する溶媒を共存させて、溶媒を還流させながら、反応で発生した水を共沸により系外に排出させる方法をいう。本方法において使用される溶媒とは、水と共沸点を有する溶媒であればよく、特に限定するのもではないが、還流分離時の溶媒と水との分離性を考慮すれば、常温で水と溶解しない溶媒が好ましい。溶媒の具体例としては、特に限定するものではないが、例えば、ヘキサン、ヘプタン等に代表される脂肪族炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等に代表される芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられる。
【0025】
(1)の方法においては、触媒を共存させると反応をさらに円滑に進行させることが出来る。触媒としては、酸性触媒が好ましく、スルホン酸基を有する酸性触媒が特に好ましい。スルホン酸基を有する酸性触媒としては、特に限定するものではないが、具体例には、硫酸、フルオロスルホン酸、クロロスルホン酸等の無機スルホン酸類、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、ブタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、ヘプタンスルホン酸、オクタンスルホン酸、ノナンスルホン酸、デカンスルホン酸、ドデカンスルホン酸、テトラデカンスルホン酸、DL−カンファー−10−スルホン酸等の脂肪族スルホン酸類、トリフルオロメタンスルホン酸、アミノメタンスルホン酸、2−ブロモエタンスルホン酸、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸、N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸、N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸、N−シクロヘキシル−2−アミノエタンスルホン酸、3−アミノプロパンスルホン酸、N−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−3−アミノプロパンスルホン酸、3−クロロ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−モルホリノプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アミノ−5−メチルベンゼン−1−スルホン酸、タウリン等の置換脂肪族スルホン酸類、ベンゼンスルホン酸、p−クロロベンゼンスルホン酸、p−フェノールスルホン酸、グアヤコール−4−スルホン酸、p−スチレンスルホン酸、フェニルヒドラジン−p−スルホン酸、1,2−ベンゼンジスルホン酸、1,3−ベンゼンジスルホン酸、1,4−ベンゼンジスルホン酸、m−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、2,4−ジメチルベンゼンスルホン酸、2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸、2−メシチレンスルホン酸、p−エチルベンゼンスルホン酸、3,5−ジクロロ−2−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸、o−アミノベンゼンスルホン酸、m−キシリジン−6−スルホン酸、4−アミノ−2−メチルベンゼン−1−スルホン酸、4−アミノ−5−メトキシ−2−メチルベンゼンスルホン酸、4−アミノ−2−クロロトルエン−5−スルホン酸、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、2,6−ナフタレンジスルホン酸、2,7−ナフタレンジスルホン酸、1−ナフトール−2−スルホン酸、1−ナフトール−4−スルホン酸、1−ナフトール−8−スルホン酸、2−ナフトール−6−スルホン酸、2−ナフトール−3,6−ジスルホン酸、1−ナフチルアミン−4−スルホン酸、1−ナフチルアミン−6−スルホン酸、1−ナフチルアミン−8−スルホン酸、2−ナフチルアミン−1−スルホン酸、2−ナフチルアミン−6−スルホン酸、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸、2−アミノ−5−ナフトール−7−スルホン酸、8−アミノ−1−ナフトール−3,6−ジスルホン酸、8−アミノナフタレン−1,3,6−トリスルホン酸、8−アニリノ−1−ナフタレンスルホン酸、4,4’−ジアミノスチルベン−2,2’−ジスルホン酸、7−ヨード−8−ヒドロキシキノリン−5−スルホン酸、ジフェニルアミン−4−スルホン酸、1−ピレンスルホン酸、スルファニル酸、メタリル酸等の芳香族スルホン酸類、ナフィオン(デュポン社製)、スルホン酸型アンバーリスト、スルホン酸型アンバーライト(以上、ローム・アンド・ハース社製)、スルホン酸型ダイヤイオン(三菱化学社製)、スルホン酸型デュオライト(住友化学社製)、スルホン酸型ダウエックス(ダウ・ケミカル社製)、スルホン酸型ピュロライト(ピュロライト社製)、スルホン酸型レバチット(バイエル社製)等のスルホン酸型陽イオン交換樹脂類が挙げられる。
【0026】
尚、上記した触媒は単独に又は混合して使用することが出来る。(1)の方法で用いる触媒の量は、特に限定するものではないが、α−フルオロアルキルアクリル酸[上記一般式(IV)において、Y=OH基]に対し、通常10−4〜10−1モル比程度の使用量が選ばれる。
【0027】
(1)の方法においては、通常−30℃〜溶媒還流温度の条件下で実施される。反応終了後は、洗浄、濃縮等の操作により、共存する触媒、溶媒を除去し、その後、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等、通常の精製操作により目的物を得ことが出来る。
【0028】
続いて、(2)の方法について具体的に説明する。
【0029】
(2)の方法において、脱ハロゲン化水素反応とは、下記反応式(B)
【0030】
【化10】
(反応式中、Y’はハロゲン原子を表す)
に示すように、上記式(III)で示されるヒドロキシノルボルナンラクトンとα−フルオロアルキルアクリル酸ハライド[上記一般式(IV)において、Y=ハロゲン原子]との反応において、ハロゲン化水素が副生する形態の方法をいう。
【0031】
(2)の方法において、ハロゲン化水素とは、例えば、フッ化水素、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素等をいう。
【0032】
(2)の方法においては、アルカリを共存させて、副生したハロゲン化水素を中和させながら反応を進行させることが好ましい。
【0033】
(2)の方法において用いられるアルカリの具体例としては、特に限定するものではないが、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等に代表される無機アルカリ類、アンモニア、アリルアミン、シクロヘキシルアミン、ジエチルアミン、ジエチレントリアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−ブチルアニリン フェニル−n−ブチルアミン、4−クロロ−1,2−フェニレンジアミン、ジイソプロピルアミン、ジメチルアミン、ジフェニルアミン、エチレンジアミン、エチルアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチルアミン、ヒドロキシルアミン、2−メチル−1,3−フェニレンジアミン、N−ニトロソジメチルアミン、N−ニトロソジフェニルアミン、フェニレンジアミン、トリレン−3,4−ジアミン、トリメチルアミン、トリフェニルアミン、キシリレンジアミン、ピリジン、ピペラジン、ピペリジン、ピラジン、ピロール、3−ピロリン、ピロリジン、ピラゾール、2−ピラゾリン、ピラゾリジン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、モルフォリン、ピリダジン、ピリミジン、トリアジン、インドール、キノリン、イミダゾール、カルバゾール等に代表される有機アルカリ類等が挙げられる。
【0034】
尚、上記したアルカリは単独に又は混合して使用することが出来る。(2)の方法で用いるアルカリの量は、特に限定するものではないが、通常、α−フルオロアルキルアクリル酸ハライドに対し、1〜5モル比程度の使用量が選ばれる。
【0035】
本発明の方法において、(2)の方法は溶媒存在下に実施することができる。溶媒の具体例としては特に限定するものではないが、例えば、ヘキサン、ヘプタン等に代表される脂肪族炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等に代表される芳香族炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、ジクロロエタン等に代表されるハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、THF等に代表されるエーテル系溶媒等が挙げられる
本発明の方法において、(2)の方法は通常−30℃〜100℃の条件下で実施される。反応終了後は、洗浄、濃縮等の操作により、共存するアルカリ、副生塩、溶媒等を除去し、その後、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等、通常の精製操作により目的物を得ことが出来る。
【0036】
【実施例】
以下に、本発明の方法を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0037】
合成例1(ヒドロキシノルボルナンラクトンの合成)
温度計、攪拌翼を有するフラスコに、5−ノルボルネン−2−カルボン酸[アルドリッチ社製]69.1g(0.50mol)、ぎ酸139.0g(3.00mol)を仕込み、内部温度が40〜50℃になるように調節しながら、31%過酸化水素水71.2g(0.65mol)を約4時間かけて添加した。更に、50℃で2時間攪拌した。
【0038】
反応終了後、反応液に10%−炭酸水素ナトリウム水溶液を、反応液がアルカリ性を呈するまで添加した。続いて酢酸エチル100gで3回抽出し、得られた有機層を濃縮した。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、目的物であるヒドロキシノルボルナンラクトンを得た(収量40.6g、収率52.7%)。
【0039】
実施例1(α−トリフルオロメチルアクリル酸−ノルボルナンラクトンエステルの合成;脱水法)
温度計、攪拌翼を有するフラスコに、合成例1と同様の方法にて調製したヒドロキシノルボルナンラクトン27.6g(0.10mol)、α−トリフルオロメチルアクリル酸(東ソー・エフテック社製)14.0g(0.10mol)、硫酸0.1g(1mmol)及びo−キシレン60gを仕込み、溶媒還流下に40時間攪拌した。
【0040】
反応終了後、炭酸水素ナトリウム水溶液で反応液を洗浄した後、得られた有機層を濃縮した。得られた残さを減圧蒸留し、185℃/0.03kPaの留分にて淡黄色のオイル状物質14.8gを得た。
【0041】
各種分析の結果、該物質は、下記構造式(V)
【0042】
【化11】
で表されるα−トリフルオロメチルアクリル酸−ノルボルナンラクトンエステルであることを確認した。また、ガスクロマトグラフィーで分析した結果、純度は99.0%であった(収率53.1%)。
(分析結果)
▲1▼質量分析(GC−EI/CI法、GC−AED法):276(m+)
▲2▼元素分析(元素分析計、IC燃焼法)
計算値:C=52.2%,H=4.0%,F=20.6%
実測値:C=52.1%,H=3.9%,F=20.9%
▲3▼核磁気共鳴スペクトル
1H−NMR(CDCl3):6.82−6.85(m,1H),6.53−6.55(m,1H),4.82(d,1H),4.67(d,1H),3.29−3.35(m,1H),2.62−2.70(m,2H),2.05−2.23(m,2H),1.71−1.90(m,2H)[ppm]。
【0043】
実施例2(α−トリフルオロメチルアクリル酸−ノルボルナンラクトンエステルの合成;酸ハライド法)
温度計、攪拌翼を有するフラスコに、2−トリフルオロメチルアクリル酸14.0g(0.10mol)、塩化チオニル14.3g(0.12mol)、トルエン100gを仕込み、溶媒還流下で6時間攪拌し、α−トリフルオロメチルアクリル酸クロライドを調製した。
【0044】
その後、合成例1と同様の方法にて調製したヒドロキシノルボルナンラクトン27.6g(0.10mol)をトルエン50gに溶解させた溶液を、反応液が10℃を超えないように2時間かけて添加した。
反応終了後、炭酸水素ナトリウム水溶液で反応液を洗浄した後、得られた有機層を濃縮した。得られた残さを減圧蒸留し、実施例1と同様にα−トリフルオロメチルアクリル酸−ノルボルナンラクトンエステル12.0gを得た。また、ガスクロマトグラフィーで分析した結果、純度は98.5%であった(収率43.5%)。
【0045】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、機能性高分子、医農薬等の原料として有用と期待されるラクトン構造を有する含フッ素アクリレート誘導体、及びその製造方法を提供することができ、工業的に極めて有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、機能性高分子、医農薬等の原料として有用と期待されるラクトン構造を有する含フッ素アクリレート誘導体及びその製造方法に関する。特に、本発明のごときラクトン構造を有する含フッ素アクリレート誘導体は、次世代の半導体レジスト用原料として非常に有用である。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体リソグラフィー分野においては、次世代のリソグラフィープロセスとして、ArFエキシマレーザー(193nm)やF2エキシマレーザー(157nm)を利用した開発が活発に行われている。
【0003】
このような波長域に対応したレジスト用材料として、高い光透過性を有し、且つ優れたドライエッチング耐性を有する材料開発が活発に行われている。例えば、ArFエキシマレーザーやF2エキシマレーザーを用いた場合、光透過性の観点からは、フッ素系モノマーを用いた材料(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)、ドライエッチング耐性の観点からは、脂環式骨格を有する材料(例えば、特許文献2参照)が大きく注目されている。
【0004】
上記背景より、本発明が提供するラクトン構造を有する含フッ素アクリレート誘導体は、高い光透過性とドライエッチング耐性を兼ね備えた化合物として非常に有用と期待される。一方、本発明が提供するラクトン構造を有する含フッ素アクリレート誘導体は、文献未記載の新規化合物であり、その製造方法についても知られていない。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−296662号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】
特開2001−48933号公報(特許請求の範囲)
【非特許文献1】
「ジャーナル・オブ・フォトポリマー・サイエンス・アンド・テクノロジー(Journal of Photopolymer Science and Technology)」,(日本),2001年,第14巻,p669−674
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、機能性高分子、医農薬等の原料として有用と期待されるラクトン構造を有する含フッ素アクリレート誘導体とその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、従来の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、下式(III)
【0008】
【化5】
で示されるヒドロキシノルボルナンラクトンと、下記一般式(IV)
【0009】
【化6】
(式中、Rは少なくとも一つのフッ素原子を有するC1〜C4の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表し、YはOH基又はハロゲン原子を表す。)
で示されるα−フルオロアルキルアクリル酸誘導体とを反応させることにより、ラクトン構造を有する含フッ素アクリレート誘導体が容易に得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、▲1▼ 下記一般式(I)
【0011】
【化7】
(式中、Rは少なくとも一つのフッ素原子を有するC1〜C4の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表す。)
で示されるラクトン構造を有する含フッ素アクリレート誘導体、
▲2▼ 下式(II)
【0012】
【化8】
で示されるラクトン構造を有する含フッ素アクリレート誘導体、
▲3▼ 上記式(III)で示されるヒドロキシノルボルナンラクトンと、上記一般式(IV)で示されるα−フルオロアルキルアクリル酸誘導体とを反応させる上記一般式(I)又は式(II)で示されるラクトン構造を有する含フッ素アクリレート誘導体の製造方法、である。
【0013】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0014】
本発明のラクトン構造を有する含フッ素アクリレート誘導体とは、上記一般式(I)で示される化合物をいい、具体的には、上記式(II)で示されるラクトン構造を有する含フッ素アクリレート誘導体が例示される。
【0015】
上記一般式(I)中、Rは少なくとも一つのフッ素原子を有するC1〜C4の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表し、具体的には、フッ素化メチル基、フッ素化エチル基、フッ素化n−プロピル基、フッ素化i−プロピル基、フッ素化n−ブチル基、フッ素化s−ブチル基、フッ素化i−ブチル基、フッ素化t−ブチル基、フッ素化アリル基等が挙げられる。
【0016】
本発明の方法において使用される上記式(III)で示されるヒドロキシノルボルナンラクトンは、公知の方法により得ることが出来る[例えば、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイエティー(Journal of ChemicalSociety),(米国),1959年,p.221−226参照]。すなわち、試薬として入手可能な5−ノルボルネン−2−カルボン酸を、ぎ酸の存在下に、過酸化水素と反応させることにより上記式(III)で示されるヒドロキシノルボルナンラクトンを得ることが出来る。
【0017】
本発明の方法において、α−フルオロアルキルアクリル酸誘導体とは、上記一般式(IV)で示される化合物をいう。上記一般式(IV)中のRは、上記一般式(I)と同じ定義であり、具体的には、フッ素化メチル基、フッ素化エチル基、フッ素化n−プロピル基、フッ素化i−プロピル基、フッ素化n−ブチル基、フッ素化s−ブチル基、フッ素化i−ブチル基、フッ素化t−ブチル基、フッ素化アリル基が挙げられる。また、上記一般式(IV)中のYは、OH基又はハロゲン原子を表し、ハロゲン原子の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0018】
本発明のラクトン構造を有する含フッ素アクリレート誘導体は、上記式(III)で示されるヒドロキシノルボルナンラクトンを、上記一般式(IV)で示されるα−フルオロアルキルアクリル酸誘導体と反応させる方法により製造される。本発明の方法において、その反応形態としては、例えば、以下に示す方法を挙げることが出来る。すなわち、
(1)上記式(III)で示されるヒドロキシノルボルナンラクトンとα−フルオロアルキルアクリル酸[上記一般式(IV)において、Y=OH基]を脱水反応させる方法、
(2)上記式(III)で示されるヒドロキシノルボルナンラクトンとα−フルオロアルキルアクリル酸ハライド[上記一般式(IV)において、Y=ハロゲン原子]を脱ハロゲン化水素反応させる方法、等が挙げられる。
【0019】
まず、上記(1)の方法について具体的に説明する。
【0020】
(1)の方法においていう脱水反応とは、下記反応式(A)
【0021】
【化9】
に示すように、上記式(III)で示されるヒドロキシノルボルナンラクトンとα−フルオロアルキルアクリル酸[上記一般式(IV)において、Y=OH基]との反応において、水が副生する形態の方法をいう。
【0022】
(1)の方法においては、脱水剤の添加や、共沸還流脱水法等の操作により、副生した水を除去させながら反応を進行させることが好ましい。
【0023】
(1)の方法において、脱水剤とは、水を吸収又は吸着する機能を有する化合物であればよく、特に限定するものではないが、例えば、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウム、各種ゼオライト、各種吸水ゲル等が挙げられる。
【0024】
(1)の方法において、共沸還流脱水法とは、水との共沸点を有する溶媒を共存させて、溶媒を還流させながら、反応で発生した水を共沸により系外に排出させる方法をいう。本方法において使用される溶媒とは、水と共沸点を有する溶媒であればよく、特に限定するのもではないが、還流分離時の溶媒と水との分離性を考慮すれば、常温で水と溶解しない溶媒が好ましい。溶媒の具体例としては、特に限定するものではないが、例えば、ヘキサン、ヘプタン等に代表される脂肪族炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等に代表される芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられる。
【0025】
(1)の方法においては、触媒を共存させると反応をさらに円滑に進行させることが出来る。触媒としては、酸性触媒が好ましく、スルホン酸基を有する酸性触媒が特に好ましい。スルホン酸基を有する酸性触媒としては、特に限定するものではないが、具体例には、硫酸、フルオロスルホン酸、クロロスルホン酸等の無機スルホン酸類、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、ブタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、ヘプタンスルホン酸、オクタンスルホン酸、ノナンスルホン酸、デカンスルホン酸、ドデカンスルホン酸、テトラデカンスルホン酸、DL−カンファー−10−スルホン酸等の脂肪族スルホン酸類、トリフルオロメタンスルホン酸、アミノメタンスルホン酸、2−ブロモエタンスルホン酸、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸、N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸、N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸、N−シクロヘキシル−2−アミノエタンスルホン酸、3−アミノプロパンスルホン酸、N−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−3−アミノプロパンスルホン酸、3−クロロ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−モルホリノプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アミノ−5−メチルベンゼン−1−スルホン酸、タウリン等の置換脂肪族スルホン酸類、ベンゼンスルホン酸、p−クロロベンゼンスルホン酸、p−フェノールスルホン酸、グアヤコール−4−スルホン酸、p−スチレンスルホン酸、フェニルヒドラジン−p−スルホン酸、1,2−ベンゼンジスルホン酸、1,3−ベンゼンジスルホン酸、1,4−ベンゼンジスルホン酸、m−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、2,4−ジメチルベンゼンスルホン酸、2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸、2−メシチレンスルホン酸、p−エチルベンゼンスルホン酸、3,5−ジクロロ−2−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸、o−アミノベンゼンスルホン酸、m−キシリジン−6−スルホン酸、4−アミノ−2−メチルベンゼン−1−スルホン酸、4−アミノ−5−メトキシ−2−メチルベンゼンスルホン酸、4−アミノ−2−クロロトルエン−5−スルホン酸、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、2,6−ナフタレンジスルホン酸、2,7−ナフタレンジスルホン酸、1−ナフトール−2−スルホン酸、1−ナフトール−4−スルホン酸、1−ナフトール−8−スルホン酸、2−ナフトール−6−スルホン酸、2−ナフトール−3,6−ジスルホン酸、1−ナフチルアミン−4−スルホン酸、1−ナフチルアミン−6−スルホン酸、1−ナフチルアミン−8−スルホン酸、2−ナフチルアミン−1−スルホン酸、2−ナフチルアミン−6−スルホン酸、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸、2−アミノ−5−ナフトール−7−スルホン酸、8−アミノ−1−ナフトール−3,6−ジスルホン酸、8−アミノナフタレン−1,3,6−トリスルホン酸、8−アニリノ−1−ナフタレンスルホン酸、4,4’−ジアミノスチルベン−2,2’−ジスルホン酸、7−ヨード−8−ヒドロキシキノリン−5−スルホン酸、ジフェニルアミン−4−スルホン酸、1−ピレンスルホン酸、スルファニル酸、メタリル酸等の芳香族スルホン酸類、ナフィオン(デュポン社製)、スルホン酸型アンバーリスト、スルホン酸型アンバーライト(以上、ローム・アンド・ハース社製)、スルホン酸型ダイヤイオン(三菱化学社製)、スルホン酸型デュオライト(住友化学社製)、スルホン酸型ダウエックス(ダウ・ケミカル社製)、スルホン酸型ピュロライト(ピュロライト社製)、スルホン酸型レバチット(バイエル社製)等のスルホン酸型陽イオン交換樹脂類が挙げられる。
【0026】
尚、上記した触媒は単独に又は混合して使用することが出来る。(1)の方法で用いる触媒の量は、特に限定するものではないが、α−フルオロアルキルアクリル酸[上記一般式(IV)において、Y=OH基]に対し、通常10−4〜10−1モル比程度の使用量が選ばれる。
【0027】
(1)の方法においては、通常−30℃〜溶媒還流温度の条件下で実施される。反応終了後は、洗浄、濃縮等の操作により、共存する触媒、溶媒を除去し、その後、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等、通常の精製操作により目的物を得ことが出来る。
【0028】
続いて、(2)の方法について具体的に説明する。
【0029】
(2)の方法において、脱ハロゲン化水素反応とは、下記反応式(B)
【0030】
【化10】
(反応式中、Y’はハロゲン原子を表す)
に示すように、上記式(III)で示されるヒドロキシノルボルナンラクトンとα−フルオロアルキルアクリル酸ハライド[上記一般式(IV)において、Y=ハロゲン原子]との反応において、ハロゲン化水素が副生する形態の方法をいう。
【0031】
(2)の方法において、ハロゲン化水素とは、例えば、フッ化水素、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素等をいう。
【0032】
(2)の方法においては、アルカリを共存させて、副生したハロゲン化水素を中和させながら反応を進行させることが好ましい。
【0033】
(2)の方法において用いられるアルカリの具体例としては、特に限定するものではないが、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等に代表される無機アルカリ類、アンモニア、アリルアミン、シクロヘキシルアミン、ジエチルアミン、ジエチレントリアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−ブチルアニリン フェニル−n−ブチルアミン、4−クロロ−1,2−フェニレンジアミン、ジイソプロピルアミン、ジメチルアミン、ジフェニルアミン、エチレンジアミン、エチルアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチルアミン、ヒドロキシルアミン、2−メチル−1,3−フェニレンジアミン、N−ニトロソジメチルアミン、N−ニトロソジフェニルアミン、フェニレンジアミン、トリレン−3,4−ジアミン、トリメチルアミン、トリフェニルアミン、キシリレンジアミン、ピリジン、ピペラジン、ピペリジン、ピラジン、ピロール、3−ピロリン、ピロリジン、ピラゾール、2−ピラゾリン、ピラゾリジン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、モルフォリン、ピリダジン、ピリミジン、トリアジン、インドール、キノリン、イミダゾール、カルバゾール等に代表される有機アルカリ類等が挙げられる。
【0034】
尚、上記したアルカリは単独に又は混合して使用することが出来る。(2)の方法で用いるアルカリの量は、特に限定するものではないが、通常、α−フルオロアルキルアクリル酸ハライドに対し、1〜5モル比程度の使用量が選ばれる。
【0035】
本発明の方法において、(2)の方法は溶媒存在下に実施することができる。溶媒の具体例としては特に限定するものではないが、例えば、ヘキサン、ヘプタン等に代表される脂肪族炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等に代表される芳香族炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、ジクロロエタン等に代表されるハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、THF等に代表されるエーテル系溶媒等が挙げられる
本発明の方法において、(2)の方法は通常−30℃〜100℃の条件下で実施される。反応終了後は、洗浄、濃縮等の操作により、共存するアルカリ、副生塩、溶媒等を除去し、その後、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等、通常の精製操作により目的物を得ことが出来る。
【0036】
【実施例】
以下に、本発明の方法を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0037】
合成例1(ヒドロキシノルボルナンラクトンの合成)
温度計、攪拌翼を有するフラスコに、5−ノルボルネン−2−カルボン酸[アルドリッチ社製]69.1g(0.50mol)、ぎ酸139.0g(3.00mol)を仕込み、内部温度が40〜50℃になるように調節しながら、31%過酸化水素水71.2g(0.65mol)を約4時間かけて添加した。更に、50℃で2時間攪拌した。
【0038】
反応終了後、反応液に10%−炭酸水素ナトリウム水溶液を、反応液がアルカリ性を呈するまで添加した。続いて酢酸エチル100gで3回抽出し、得られた有機層を濃縮した。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、目的物であるヒドロキシノルボルナンラクトンを得た(収量40.6g、収率52.7%)。
【0039】
実施例1(α−トリフルオロメチルアクリル酸−ノルボルナンラクトンエステルの合成;脱水法)
温度計、攪拌翼を有するフラスコに、合成例1と同様の方法にて調製したヒドロキシノルボルナンラクトン27.6g(0.10mol)、α−トリフルオロメチルアクリル酸(東ソー・エフテック社製)14.0g(0.10mol)、硫酸0.1g(1mmol)及びo−キシレン60gを仕込み、溶媒還流下に40時間攪拌した。
【0040】
反応終了後、炭酸水素ナトリウム水溶液で反応液を洗浄した後、得られた有機層を濃縮した。得られた残さを減圧蒸留し、185℃/0.03kPaの留分にて淡黄色のオイル状物質14.8gを得た。
【0041】
各種分析の結果、該物質は、下記構造式(V)
【0042】
【化11】
で表されるα−トリフルオロメチルアクリル酸−ノルボルナンラクトンエステルであることを確認した。また、ガスクロマトグラフィーで分析した結果、純度は99.0%であった(収率53.1%)。
(分析結果)
▲1▼質量分析(GC−EI/CI法、GC−AED法):276(m+)
▲2▼元素分析(元素分析計、IC燃焼法)
計算値:C=52.2%,H=4.0%,F=20.6%
実測値:C=52.1%,H=3.9%,F=20.9%
▲3▼核磁気共鳴スペクトル
1H−NMR(CDCl3):6.82−6.85(m,1H),6.53−6.55(m,1H),4.82(d,1H),4.67(d,1H),3.29−3.35(m,1H),2.62−2.70(m,2H),2.05−2.23(m,2H),1.71−1.90(m,2H)[ppm]。
【0043】
実施例2(α−トリフルオロメチルアクリル酸−ノルボルナンラクトンエステルの合成;酸ハライド法)
温度計、攪拌翼を有するフラスコに、2−トリフルオロメチルアクリル酸14.0g(0.10mol)、塩化チオニル14.3g(0.12mol)、トルエン100gを仕込み、溶媒還流下で6時間攪拌し、α−トリフルオロメチルアクリル酸クロライドを調製した。
【0044】
その後、合成例1と同様の方法にて調製したヒドロキシノルボルナンラクトン27.6g(0.10mol)をトルエン50gに溶解させた溶液を、反応液が10℃を超えないように2時間かけて添加した。
反応終了後、炭酸水素ナトリウム水溶液で反応液を洗浄した後、得られた有機層を濃縮した。得られた残さを減圧蒸留し、実施例1と同様にα−トリフルオロメチルアクリル酸−ノルボルナンラクトンエステル12.0gを得た。また、ガスクロマトグラフィーで分析した結果、純度は98.5%であった(収率43.5%)。
【0045】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、機能性高分子、医農薬等の原料として有用と期待されるラクトン構造を有する含フッ素アクリレート誘導体、及びその製造方法を提供することができ、工業的に極めて有用である。
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