JP2004254902A - 靴底並びに歩行靴 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】靴底本体1を踵部1aから爪先部1dに向けて漸次肉薄で、踏付け部1cから爪先部1dに向けて上方へ漸次反り上がるよう弾性材料で一体成形する。不踏部1bと踏付け部1cの間、踏付け部1cと爪先部1dの間に、接地面側の凹溝3a,4a、靴内面側の凹溝3b,4bを設ける。凹溝3a,4aは第五指付け根部位a側の端部3a−1,4a−1が外周縁5を横断して靴底側面6に至り、第一指付け根部位e側の端部3a−2,4a−2が外周縁5手前にある。凹溝3b,4bは第五指付け根部位a側の端部3b−1,4b−1と、第一指付け根部位e側の端部3b−2,4b−2が外周縁5手前にある。凹溝3a,4a、3b,4b間の幅h1,h2が徐々に狭くなる。第五指付け根、第一指付け根の着地時に不踏部1b、踵部1aが反り上がり、第一指着地時に踏付け部1cが反り上がってあおり動作を適正に助勢する。
【選択図】 図6
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、歩行時のあおり動作を助勢する靴底とその靴底を備えた歩行靴に関する。
【0002】
【従来の技術】
踵外側の着地、第五指付け根の着地、第一指付け根の着地、第一指周辺での蹴り出しの各動作が順次に行われる歩行時のあおり動作を助勢する底構造を備えた靴として、例えば特許文献1、特許文献2に開示されたものが知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−189205号公報
【特許文献2】
特開2001−57901号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これら特許文献に開示された靴によれば、接地面の適所に溝を形成することで靴底の屈曲性を高めて、歩行時のあおり動作に合わせて靴底が屈曲するよう構成されているが、溝が靴の幅方向全域にわたって形成されているため、靴底が前方部、中間部、後方部に三分割されてしまい、必ずしも歩行時のあおり動作に合わせて靴底が適正に変形するとは言えないものであった。
【0005】
本発明はこのような従来事情に鑑みて成されたもので、その目的とする処は、踵外側の着地、第五指付け根の着地、第一指付け根の着地、第一指周辺での蹴り出し動作が順次に行われる歩行時のあおり動作に対応して適宜に変形することで、あおり動作を適正に助勢して、高齢者、怪我人、病人、障害者などの通常歩行が困難である人であっても、安定した歩行が可能になる靴底と、その靴底を備えた歩行靴を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
以上の目的を達成するために本発明は、踵外側の着地、第五指付け根の着地、第一指付け根の着地、第一指周辺での蹴り出しの各動作が順次行われる歩行時のあおり動作を助勢する靴底であって、
踵部(1a)、不踏部(1b)、踏付け部(1c)、爪先部(1d)を有すると共に、踵部から爪先部へ向けて漸次肉薄になり、且つ踏付け部(1c)から爪先部(1d)へ向けて漸次上方へ反り上がるよう、所定の弾性を有するゴム若しくは合成樹脂材料で靴底本体(1)を一体成形してなり、
該靴底本体(1)は、少なくとも、不踏部(1b)と踏付け部(1c)の間、踏付け部(1c)と爪先部(1d)の間に、第五指付け根部位(a)側から第一指付け根部位(b)側までに至る薄肉部(3,4)を有し、
それら薄肉部(3,4)は、靴底本体(1)の接地面側に設けた凹溝(3a,4a)と、靴内面側に設けた凹溝(3b,4b)からなり、
前記接地面側の凹溝(3a,4a)は、第五指付け根部位(a)側の端部(3a−1,4a−1)が靴底外周縁(5)を横断して靴底側面(6)に至り、第一指付け根部位(b)側の端部(3a−2,4a−2)が靴底外周縁(5)の手前に位置するよう形成され、
前記靴内面側の凹溝(3b,4b)は、第五指付け根部位(a)側の端部(3b−1,4b−1)と、第一指付け根部位(b)側の端部(3b−2,4b−2)とが、靴底外周縁(5)の手前に位置するよう形成され、
さらに、接地面側の各凹溝(3a,4a)間、靴内面側の凹溝(3b,4b)間の夫々の幅(h)が、第五指付け根部位から第一指付け根部位に向けて徐々に狭くなるようにして、
歩行時に、第五指の付け根、第一指の付け根が着地した際の不踏部(1b)、踵部(1a)の反り上がりを助長し、さらに第一指が着地した際の踏付け部(1c)の反り上がりを助長するべく、靴底本体(1)の弾性変形を許容して、前記あおり動作を助勢するよう形成したことを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、歩行時に靴底本体(1)が適時に弾性変形し、第五指の付け根、第一指の付け根が着地した際に不踏部(1b)、踵部(1a)が反り上がり、さらに第一指が着地した際に踏付け部(1c)が反り上がる。よって、踵外側の着地、第五指付け根の着地、第一指付け根の着地、第一指周辺での蹴り出しの各動作が順次行われる歩行時のあおり動作が適正に助勢され、高齢者や怪我人、病人、障害者など、通常歩行が困難である人であっても、安定した歩行を行うことができるようになる。
【0008】
前記靴底において、靴底本体(1)の少なくとも踵部、踏付け部、爪先部の接地面側に滑り止め部(2a,2b)を設け、これら各滑り止め部(2a,2b)は、断面山形状の突起(9a,9b)を、靴底の長手方向と幅方向に沿って多数配設すると共に、靴底幅方向において隣り合う突起(9a,9b)の傾斜方向が互い違いになるよう、一方の突起(9a)を爪先方向に傾斜させ、他方の突起(9b)を踵方向に傾斜させると良い。
【0009】
このような構成によれば、各滑り止め部(2a,2b)において、靴底幅方向に隣り合う断面山形状の突起(9a,9b)の傾斜方向が、爪先方向と踵方向に対し互い違いに現出するようになるので、滑り止め効果が増大すると共に、接地面に対するグリップ力が増加し、前記あおり動作の助勢作用をより確実なものとすることができる。
【0010】
本願発明は、前記靴底上に靴本体を形成してなる歩行靴を含むものである。該歩行靴は、本質的には前記靴底のみにて底部を構成するが、必要に応じて靴内部に中敷を敷いても良い。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、実施形態の一例を図1〜図6を参照して説明する。
本例の歩行靴Aは、靴底A1上に胛被などからなる靴本体A2を貼着したもので、靴底A1は靴底本体1の接地面側に滑り止め部2a,2bを形成してなる。
【0012】
靴底本体1は、踵部1a、不踏部1b、踏付け部1c、爪先部1dを有すると共に、踵部1aから爪先部1dへ向けて漸次肉薄になり、且つ踏付け部1cから爪先部1dへ向けて漸次上方へ反り上がるよう、所望の弾性を有するゴム又は合成樹脂材料等により一体成形されている。
【0013】
靴底本体1の踵部1a、踏付け部1c、爪先部1dには、後述する滑り止め板8a,8bを貼着される凹部7a,7bが、靴底の外周縁5を残して凹設されている。
【0014】
靴底本体1の不踏部1bと踏付け部1cの間、および、踏付け部1cと爪先部1dの間には、第五指付け根部位aから第一指付け根部位bまでに至る薄肉部3,4が形成されている。
薄肉部3,4は、靴底本体1の接地面側に設けた凹溝3a,4aと、靴内面側に設けた凹溝3b,4bからなっている。
【0015】
接地面側の凹溝3a,4aは、第五指付け根部位a側の端部3a−1,4a−1が、靴底の外周縁5を横断して靴底の側面6に至り、第一指付け根部位b側の端部3a−2,4a−2が、靴底の外周縁5の手前に位置するよう形成されている。
【0016】
靴内面側の凹溝3b,4bは、第五指付け根部位a側の端部3b−1,4b−1と、第一指付け根部位b側の端部3b−2,4b−2とが、靴底の外周縁5の手前に位置するよう形成されている。
【0017】
また、夫々の凹溝3a,4a、3b,4bは、接地面側の各凹溝3a,4aの間、および、靴内面側の凹溝3b,4bの間の夫々の幅hが、第五指付け根部位aから第一指付け根部位bに向けて徐々に狭くなるように形成されている。
【0018】
滑り止め部2a,2bは、靴底本体1の踵部1a、踏付け部1c、爪先部1dの接地面側に設けた凹部7a,7bに、靴底本体1と同種の材料もしくは硬質材料により一体成形した滑止め板8a,8bを貼着してなり、各滑止め板8a,8bの表面には、断面山形状の突起9a,9bが多数形成されている。
【0019】
各突起9a,9bは、靴底の長手方向に沿って一列に並ぶと共に、その突起列が靴底幅方向に対し並列状に多数配列されるよう形成され、且つ、靴底幅方向において隣り合う突起9a,9bの傾斜方向が互い違いになるよう、一方の突起9aが爪先方向に傾斜し、他方の突起9bが踵方向に傾斜するよう形成されている。
【0020】
以上の構成になる本例の歩行靴Aによれば、歩行時において靴底A1の靴底本体1が適時に弾性変形し、詳しくは図7,図8に示すように、歩行時のあおり動作において、踵外側が着地(▲1▼)した後、第五指の付け根が着地し(▲2▼)、次いで第一指の付け根が着地し(▲3▼)、さらに第一指の周辺での蹴り出し(▲4▼)を行う動作が順次に行われるが、その際、第五指の付け根、第一指の付け根が着地した際に靴底本体1の不踏部1b、踵部1aが反り上がり、さらに第一指が着地した際に踏付け部1cが反り上がる。よって、前記あおり動作が靴底本体1の前記した変形により適正に助勢され、高齢者や怪我人、病人、障害者など、通常歩行が困難である人であっても、安定した歩行を行うことができるようになる。
【0021】
また、各滑り止め部2a,2bにおいて、爪先方向と踵方向に対し互い違いに傾斜する各突起9a,9bにより、大きな滑り止め効果が得られると共に、歩行の際の接地面に対するグリップ力が増加し、前記あおり動作の助勢作用をより確実なものとすることができる。
【0022】
以上、本発明に係る靴底とそれを備えた歩行靴の実施形態の一例を図面を参照しながら説明したが、本発明は図示例に限定されるものではない。例えば、前記した凹部7a,7bに滑止め板8a,8bを貼着して滑り止め部2a,2bとすることに代えて、靴底本体1に凹部7a,7bを設けずその踵部1a、踏付け部1c、爪先部1dの接地面側に、前記したように多数の突起9a,9bを一体成形して滑り止め部2a,2bを形成したり、また、滑り止め部を靴底本体1の不踏部1bにも形成するなど、本願の特許請求範囲の各請求項に記載された技術的思想の範疇において、種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0023】
【発明の効果】
本発明の請求項1に係る靴底は、踵部(1a)から爪先部(1d)に向けて漸次肉薄になると共に、踏付け部(1c)から爪先部(1d)に向けて上方へ漸次反り上がるよう、所定の弾性材料で一体成形した靴底本体(1)の、少なくとも不踏部(1b)と踏付け部(1c)の間と、踏付け部(1c)と爪先部(1d)の間に、接地面側の凹溝(3a,4a)と靴内面側の凹溝(3b,4b)からなる薄肉部(3,4)を設け、
接地面側の凹溝は、第五指付け根部位(a)側の端部(3a−1,4a−1)が靴底外周縁(5)を横断して靴底側面(6)に至り、第一指付け根部位(b)側の端部(3a−2,4a−2)が靴底外周縁(5)の手前に位置し、
靴内面側の凹溝(3b,4b)は、第五指付け根部位(a)側の端部(3b−1,4b−1)と、第一指付け根部位(b)側の端部(3b−2,4b−2)とが、靴底外周縁(5)の手前に位置し、
さらに、接地面側の各凹溝(3a,4a)間の幅(h1)、靴内面側の凹溝(3b,4b)間の幅(h2)が、第五指付け根部位から第一指付け根部位に向けて徐々に狭くなるようにしたので、
歩行に際し靴底本体(1)が適時に弾性変形し、第五指の付け根、第一指の付け根が着地した際に不踏部(1b)、踵部(1a)が反り上がり、さらに第一指が着地した際に踏付け部(1c)が反り上がって、踵外側の着地、第五指付け根の着地、第一指付け根の着地、第一指周辺での蹴り出しの各動作が順次行われるあおり動作を助勢し、例えば高齢者や怪我人、病人、障害者など、通常歩行が困難な人であっても、安定した歩行を行うことができるようになる。
【0024】
また本発明の請求項2に係る靴底は、少なくとも踵部、踏付け部、爪先部に滑り止め部(2a,2b)を設け、各滑り止め部は、断面山形状の突起(9a,9b)を、靴底の長手方向と幅方向に沿って多数配設すると共に、靴底幅方向において隣り合う突起(9a,9b)の傾斜方向が互い違いになるよう、一方の突起(9a)を爪先方向に傾斜させ、他方の突起(9b)を踵方向に傾斜させたので、大きな滑り止め効果を発揮すると共に、接地面に対するグリップ力の増加により前記あおり動作を効果的に助勢して、前述の効果をより実効あるものとし得る。
【0025】
また本発明の請求項3に係る歩行靴は、前記請求項1又は2による前述の効果を奏する靴として、例えば高齢者、怪我人、病人、障害者など通常歩行が困難な人に好適に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の一例を示す側面図で、靴本体を仮想線で表す。
【図2】図1の底面図。
【図3】靴底の平面図。
【図4】靴底の側面図で一部断面して表す。
【図5】図1の正面図。
【図6】靴底の底面側の斜視図で、滑り止め部の突起を拡大して表す。
【図7】歩行時のあおり動作と靴底との関係を示す簡略平面図。
【図8】歩行時のあおり動作に伴う靴底の変形状態を示す簡略断面図。
【符号の説明】
A:歩行靴
A1:靴底
A2:靴本体
1:靴底本体
1a:踵部
1b:不踏部
1c:踏付け部
1d:爪先部
2a,2b:滑り止め部
3,4:薄肉部
3a,4a:接地面側の凹溝
3b,4b:靴内面側の凹溝
5:靴底外周縁
6:靴底側面
9a:爪先方向に傾斜する突起
9b:踵方向に傾斜する突起
Claims (3)
- 踵外側の着地、第五指付け根の着地、第一指付け根の着地、第一指周辺での蹴り出しの各動作が順次行われる歩行時のあおり動作を助勢する靴底であって、
踵部(1a)、不踏部(1b)、踏付け部(1c)、爪先部(1d)を有すると共に、踵部から爪先部へ向けて漸次肉薄になり、且つ踏付け部(1c)から爪先部(1d)へ向けて漸次上方へ反り上がるよう、所望の弾性材料で靴底本体(1)を一体成形してなり、
該靴底本体(1)は、少なくとも、不踏部(1b)と踏付け部(1c)の間、踏付け部(1c)と爪先部(1d)の間に、第五指付け根部位(a)側から第一指付け根部位(b)側までに至る薄肉部(3,4)を有し、
それら薄肉部(3,4)は、靴底本体(1)の接地面側に設けた凹溝(3a,4a)と、靴内面側に設けた凹溝(3b,4b)からなり、
前記接地面側の凹溝(3a,4a)は、第五指付け根部位(a)側の端部(3a−1,4a−1)が靴底外周縁(5)を横断して靴底側面(6)に至り、第一指付け根部位(b)側の端部(3a−2,4a−2)が靴底外周縁(5)の手前に位置するよう形成され、
前記靴内面側の凹溝(3b,4b)は、第五指付け根部位(a)側の端部(3b−1,4b−1)と、第一指付け根部位(b)側の端部(3b−2,4b−2)とが、靴底外周縁(5)の手前に位置するよう形成され、
さらに、接地面側の各凹溝(3a,4a)間、靴内面側の凹溝(3b,4b)間の夫々の幅(h)が、第五指付け根部位から第一指付け根部位に向けて徐々に狭くなるようにして、
歩行時に、第五指の付け根、第一指の付け根が着地した際の不踏部(1b)、踵部(1a)の反り上がりを助長し、さらに第一指が着地した際の踏付け部(1c)の反り上がりを助長するべく、靴底本体(1)の弾性変形を許容して、前記あおり動作を助勢するよう形成したことを特徴とする靴底。 - 前記靴底本体(1)の少なくとも踵部、踏付け部、爪先部の接地面側に滑り止め部(2a,2b)を設け、これら各滑り止め部(2a,2b)は、断面山形状の突起(9a,9b)を、靴底の長手方向と幅方向に沿って多数配設すると共に、靴底幅方向において隣り合う突起(9a,9b)の傾斜方向が互い違いになるよう、一方の突起(9a)を爪先方向に傾斜させ、他方の突起(9b)を踵方向に傾斜させたことを特徴とする請求項1記載の靴底。
- 請求項1または2記載の靴底(A1)上に靴本体(A2)を形成してなる歩行靴。
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JP2003048768A JP2004254902A (ja) | 2003-02-26 | 2003-02-26 | 靴底並びに歩行靴 |
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2003
- 2003-02-26 JP JP2003048768A patent/JP2004254902A/ja active Pending
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