JP2004254174A - 金属膜形成用マスク、水晶ウエハおよびそれらを用いて製造した水晶振動子 - Google Patents
金属膜形成用マスク、水晶ウエハおよびそれらを用いて製造した水晶振動子 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】水晶振動子の周波数調整用金属膜の形成において金属膜形成用マスクが加熱されるため熱膨張により変形し、水晶ウエハと金属膜形成用マスクとがずれたり、隙間ができるなどして、形成される周波数調整用金属膜の形状や膜厚のバラツキが大きかった。
【解決手段】金属膜形成用マスクの材料を水晶とした。水晶ウエハと材質が同一なので熱膨張によるずれが無くなり周波数調整用金属膜の形状、膜厚が均一となり、水晶振動子の共振周波数の分布が減少した。
【選択図】 図1
【解決手段】金属膜形成用マスクの材料を水晶とした。水晶ウエハと材質が同一なので熱膨張によるずれが無くなり周波数調整用金属膜の形状、膜厚が均一となり、水晶振動子の共振周波数の分布が減少した。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、時計や移動体通信機の基準信号源として用いられる水晶振動子に周波数調整用金属膜を形成するための金属膜形成用マスク、水晶振動子が形成される水晶ウエハおよび、それらを製造工程に用いた水晶振動子に関する。
【0002】
【従来の技術】
時計や移動体通信機の基準信号源として2本の振動する脚を持った、いわゆる音叉型水晶振動子が広く用いられている。このような水晶振動子は脚幅および長さによってその共振周波数が決まるため、均一な脚幅と脚長さを得るために平たい板状の水晶ウエハからフォトリソグラフィの技術によって形成、製造されている(例えば、特許文献1参照。)。図6は水晶振動子5の外観を示す図であり、水晶振動子5には、 脚13を振動させるための電極15と脚13の先端部に共振周波数を調整するための周波数調整用金属膜17が付着されている。金属膜17の材料にはAu、Ag、Pdなどの金属が用いられる。また、これらの金属と水晶との密着性を向上させる目的でNi、Cr、Tiなどが中間層として用いられる。周波数調整用金属膜17はステンレス板にエッチングによって周波数調整用金属膜17を付着する部分のみに穴を開けた、いわゆるメタルマスクと呼ばれる金属膜形成用マスクを水晶ウエハ上に被せて、蒸着あるいはスパッタリングによって形成される。
【0003】
周波数調整用金属膜17が形成される目的は前記したように共振周波数を調整するためである。水晶振動子5の形状はフォトリソグラフィの技術で形成されるために精度は比較的良いが、それでも個体ごとによって少しづつ異なるため、そのままでは共振周波数を目標通りにすることは困難である。そこで、共振周波数を測定しながら周波数調整用金属膜17を少しづつ除去することによって目標の共振周波数に合わせ込むことが行われている。周波数調整用金属膜17の除去にはレーザやイオンビームが用いられる(例えば、特許文献2および特許文献3参照。)。周波数調整用金属膜17を除去して行くと脚13の重さが小さくなるので共振周波数は上昇する。すなわち、周波数調整用金属膜17を除去することで共振周波数を調整するには、周波数調整用金属膜17が全くない状態では全ての水晶振動子5の共振周波数は目標の共振周波数より高く、周波数調整用金属膜17を形成した後では全ての水晶振動子5の共振周波数が目標の共振周波数より低い必要がある。従って周波数調整用金属膜17の形状や厚みにバラツキがあると、その分だけ周波数調整用金属膜17を多く付着して全ての水晶振動子5に対して調整代があるようにしなければならない。このため、周波数調整用金属膜17の形状や厚みのバラツキが大きいと、共振周波数の調整に周波数調整用金属膜17を多く除去することが必要になり、共振周波数の調整時間を多く要してしまう。従って周波数調整用金属膜17の形状や厚みは均一であることが望ましい。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−315881号公報(第2−4頁、第1−2図、第8−9図)
【特許文献2】
特開昭51−75390号公報(第1−2頁、第2図)
【特許文献3】
特開平7−46073号公報(第2頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の技術では、周波数調整用金属膜を形成する際に用いる金属膜形成用マスクにステンレスを用いているため、蒸着やスパッタリングによって周波数調整用金属膜が形成される際に熱が加わると水晶ウエハとの熱膨張率の差によって、水晶ウエハと金属膜形成用マスクの間にずれが生じてしまい、形成される周波数調整用金属膜の形状が水晶ウエハ内の場所によって異なってしまうという課題があった。また、加熱のための温度分布によって金属形成用マスクが変形し、水晶ウエハと金属形成用マスクとの間に隙間が生じ、その間に金属粒子が入り込むことによって出来あがる周波数調整用金属膜のパターンが金属膜形成用マスクのパターン通りにならないという課題があった。また、これらの課題のために、形成する周波数調整用金属膜の厚みを増やなければならず、結果として除去する周波数調整用金属膜が多くなるため、共振周波数の調整に長時間を要し水晶振動子の製造コストが高くなるという課題があった。
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の目的は、目標どおりの均一な形状および膜厚を有する周波数調整用金属膜を水晶振動子上に形成するための金属膜形成用マスクおよび水晶ウエハを提供し、合わせて製造コストを抑えた水晶振動子を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の金属膜形成用マスクは、水晶振動子の材料である水晶ウエハ上に設ける周波数調整用金属膜の形成に用いられる金属膜形成用マスクであって、水晶板を材料としてなることを特徴とする。
【0008】
本発明の金属膜形成用マスクは、前記水晶板の結晶方位が前期水晶ウエハの結晶方位と略同一であることを特徴とする。
【0009】
本発明の金属膜形成用マスクは、前記水晶板をエッチングすることによって所定の形状に形成してなることを特徴とする。
【0010】
本発明の金属膜形成用マスクは、前記水晶ウエハとの位置合わせに用いられる位置決め穴を有し、該位置決め穴の形状が略三角形であることを特徴とする。
【0011】
本発明の金属膜形成用マスクは、前記位置決め穴を構成する三角形の各辺が水晶の結晶軸のX軸に対して、それぞれ略垂直であることを特徴とする。
【0012】
本発明の水晶ウエハは、水晶振動子の材料である水晶ウエハであって、該水晶ウエハ上に設ける周波数調整用金属膜を形成するための金属膜形成用マスクとの位置合わせに用いられる位置決め穴を有し、該位置決め穴の形状が略三角形であることを特徴とする。
【0013】
本発明の水晶ウエハは、前記位置決め穴を構成する三角形の各辺が水晶の結晶軸のX軸に対して、それぞれ略垂直であることを特徴とする。
【0014】
本発明の水晶振動子は、前記の金属膜形成用マスクを用いて、前記の水晶ウエハ上に周波数調整用金属膜が形成されていることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
本発明では金属膜形成用マスクの材料として水晶が用いられる。図1は金属膜形成用マスク1の結晶方位を示した図である。また、図2は水晶振動子が形成される水晶ウエハ3の結晶方位を示した図である。X軸、Y軸、Z軸はそれぞれ水晶の結晶軸を示している。金属膜形成用マスク1と水晶ウエハ3の結晶方位は略同一であり、X軸周りの角度θおよびφは略同一で0°〜5°である。この様に金属膜形成用マスク1の材料に水晶を用い、結晶方位を水晶ウエハ3と略同一にするのは次のような理由による。周波数調整用金属膜を形成するのは蒸着またはスパッタリングによるが、この際蒸着源からの放射熱、スパッタリングではスパッタ粒子の衝突による熱の発生によって、金属膜形成用マスク1および水晶ウエハ3は少なからず加熱され、温度が上昇する。このため、熱膨張が生じるが、金属膜形成マスク1と水晶ウエハ3が同一の材料で、しかも結晶方位が等しければ膨張の仕方が同一なので、金属膜形成用マスク1と水晶ウエハ3との間にずれが発生しない。また、水晶は、ステンレスなどの金属に比べて熱膨張率が非常に小さいので、膨張の大きさも小さく、加熱の不均一による変形によって金属膜形成用マスク1と水晶ウエハ3との間に隙間が生じることもなく、水晶ウエハ3に周波数調整用金属膜が金属膜形成用マスク1のパターン通りに形成できるからである。
【0017】
図3は本発明の金属膜形成用マスク1と水晶ウエハ3を用いて周波数調整用金属膜を形成する方法を示した図である。水晶振動子5の形状および電極(図示せず)が形成された水晶ウエハ3に金属膜形成用マスク1が被せられた状態で、蒸着あるいはスパッタリングによって周波数調整用金属膜が形成される。水晶ウエハ3と金属膜形成用マスク1との位置合わせは治具7に設けられた位置決めピン9を水晶ウエハ3および金属膜形成用マスク1の位置決め穴11に順次通すことで行われる。位置決めピン9は円筒形である。図4は金属形成用マスク1および水晶ウエハ3の位置決め穴11の拡大図である。図4に示す様に本発明の金属膜形成用マスク1および水晶ウエハ3の位置決め穴11は略三角形をしている。位置決めピン9は位置決め穴11の三角形に内接するように設計されている。また、位置決め穴11を構成する三角形の各辺は水晶の結晶軸のX軸に対して略垂直である。位置決め穴11の各辺は穴の内側がX軸の負方向になっている。水晶はZ軸周りに三回対称であるので、X軸は120°ごとに3本存在し、それぞれが同等である。従ってそれぞれのX軸に垂直な線で正三角形が構成できる。位置決め穴11を略三角形にしたのは次のような理由による。位置決め穴11は丸穴あるいは長穴によって行うのが普通であるが、本発明では金属膜形成用マスク1に水晶を用いるので、丸穴や長穴をきれいに形成することが出来ない。水晶は三方晶系に属する異方性の単結晶のため、エッチング速度が結晶方位によって著しく異なり、丸穴や長穴では各部にエッチング残滓が生じるからである。このため、丸穴や長穴を形成したのでは位置決めを精度良く行うことができないのである。本発明のように水晶のX軸に垂直な辺によって位置決め穴11を構成すると、Z軸方向のエッチング速度はX軸の負方向からのエッチング速度に対して100倍程度の大きさがあるので、エッチングはほとんどZ軸方向に進行するため、位置決め穴11の断面はほぼ表面に垂直になり、エッチング残滓が生じることがない。よって、精度の良い位置決め穴11を形成することが出来るのである。なお、エッチングにはフッ酸とフッ化アンモニウム溶液の混合液が使用される。
【0018】
本発明の金属膜形成用マスクは材料が水晶のため、付着した金属膜に対するエッチング液には侵されることがないので、金属膜形成用マスクに付着した金属膜をエッチングによって除去することができる。従って、本発明の金属膜形成用マスクは繰り返し使用することが可能である。
【0019】
図5は本発明の金属膜形成用マスク1および水晶ウエハ3を用いて周波数調整用金属膜を形成した水晶振動子の共振周波数の分布を、従来の技術によって周波数調整用金属膜を形成した水晶振動子の共振周波数の分布と比較して示した図である。本発明の水晶振動子では分布が狭くなり、目標の共振周波数f0に近づいていることがわかる。
【0020】
【発明の効果】
以上に記したように、本発明の金属膜形成用マスク、水晶ウエハを用いれば均一な形状と厚さを有した周波数調整用金属膜を得ることができるという効果がある。また、本発明の水晶振動子は周波数分布が小さく、目標の共振周波数に近い製造ができるため、周波数調整時間が短くて済むので製造コストを削減できるという効果がある。さらに、本発明の金属膜形成用マスクの材料は水晶なので、付着した金属膜をエッチングによって除去でき、繰り返し使用することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による実施の形態を示す図であり、本発明の金属膜形成用マスクの結晶方位を示す図である。
【図2】本発明による実施の形態を示す図であり、本発明の水晶ウエハの結晶方位を示す図である。
【図3】本発明による実施の形態を示す図であり、本発明の金属膜形成用マスクと水晶ウエハを用いて周波数調整用金属膜を形成する方法を示す図である。
【図4】本発明による金属膜形成用マスクおよび水晶ウエハの位置決め穴の拡大図である。
【図5】本発明による水晶振動子の共振周波数の分布と従来の方法により製造した水晶振動子の共振周波数の分布を比較した図である。
【図6】水晶振動子の外観を示す図である。
【符号の説明】
1 金属膜形成用マスク
3 水晶ウエハ
5 水晶振動子
7 治具
9 位置決めピン
11 位置決め穴
13 脚
15 電極
17 周波数調整用金属膜
【発明の属する技術分野】
本発明は、時計や移動体通信機の基準信号源として用いられる水晶振動子に周波数調整用金属膜を形成するための金属膜形成用マスク、水晶振動子が形成される水晶ウエハおよび、それらを製造工程に用いた水晶振動子に関する。
【0002】
【従来の技術】
時計や移動体通信機の基準信号源として2本の振動する脚を持った、いわゆる音叉型水晶振動子が広く用いられている。このような水晶振動子は脚幅および長さによってその共振周波数が決まるため、均一な脚幅と脚長さを得るために平たい板状の水晶ウエハからフォトリソグラフィの技術によって形成、製造されている(例えば、特許文献1参照。)。図6は水晶振動子5の外観を示す図であり、水晶振動子5には、 脚13を振動させるための電極15と脚13の先端部に共振周波数を調整するための周波数調整用金属膜17が付着されている。金属膜17の材料にはAu、Ag、Pdなどの金属が用いられる。また、これらの金属と水晶との密着性を向上させる目的でNi、Cr、Tiなどが中間層として用いられる。周波数調整用金属膜17はステンレス板にエッチングによって周波数調整用金属膜17を付着する部分のみに穴を開けた、いわゆるメタルマスクと呼ばれる金属膜形成用マスクを水晶ウエハ上に被せて、蒸着あるいはスパッタリングによって形成される。
【0003】
周波数調整用金属膜17が形成される目的は前記したように共振周波数を調整するためである。水晶振動子5の形状はフォトリソグラフィの技術で形成されるために精度は比較的良いが、それでも個体ごとによって少しづつ異なるため、そのままでは共振周波数を目標通りにすることは困難である。そこで、共振周波数を測定しながら周波数調整用金属膜17を少しづつ除去することによって目標の共振周波数に合わせ込むことが行われている。周波数調整用金属膜17の除去にはレーザやイオンビームが用いられる(例えば、特許文献2および特許文献3参照。)。周波数調整用金属膜17を除去して行くと脚13の重さが小さくなるので共振周波数は上昇する。すなわち、周波数調整用金属膜17を除去することで共振周波数を調整するには、周波数調整用金属膜17が全くない状態では全ての水晶振動子5の共振周波数は目標の共振周波数より高く、周波数調整用金属膜17を形成した後では全ての水晶振動子5の共振周波数が目標の共振周波数より低い必要がある。従って周波数調整用金属膜17の形状や厚みにバラツキがあると、その分だけ周波数調整用金属膜17を多く付着して全ての水晶振動子5に対して調整代があるようにしなければならない。このため、周波数調整用金属膜17の形状や厚みのバラツキが大きいと、共振周波数の調整に周波数調整用金属膜17を多く除去することが必要になり、共振周波数の調整時間を多く要してしまう。従って周波数調整用金属膜17の形状や厚みは均一であることが望ましい。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−315881号公報(第2−4頁、第1−2図、第8−9図)
【特許文献2】
特開昭51−75390号公報(第1−2頁、第2図)
【特許文献3】
特開平7−46073号公報(第2頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の技術では、周波数調整用金属膜を形成する際に用いる金属膜形成用マスクにステンレスを用いているため、蒸着やスパッタリングによって周波数調整用金属膜が形成される際に熱が加わると水晶ウエハとの熱膨張率の差によって、水晶ウエハと金属膜形成用マスクの間にずれが生じてしまい、形成される周波数調整用金属膜の形状が水晶ウエハ内の場所によって異なってしまうという課題があった。また、加熱のための温度分布によって金属形成用マスクが変形し、水晶ウエハと金属形成用マスクとの間に隙間が生じ、その間に金属粒子が入り込むことによって出来あがる周波数調整用金属膜のパターンが金属膜形成用マスクのパターン通りにならないという課題があった。また、これらの課題のために、形成する周波数調整用金属膜の厚みを増やなければならず、結果として除去する周波数調整用金属膜が多くなるため、共振周波数の調整に長時間を要し水晶振動子の製造コストが高くなるという課題があった。
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の目的は、目標どおりの均一な形状および膜厚を有する周波数調整用金属膜を水晶振動子上に形成するための金属膜形成用マスクおよび水晶ウエハを提供し、合わせて製造コストを抑えた水晶振動子を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の金属膜形成用マスクは、水晶振動子の材料である水晶ウエハ上に設ける周波数調整用金属膜の形成に用いられる金属膜形成用マスクであって、水晶板を材料としてなることを特徴とする。
【0008】
本発明の金属膜形成用マスクは、前記水晶板の結晶方位が前期水晶ウエハの結晶方位と略同一であることを特徴とする。
【0009】
本発明の金属膜形成用マスクは、前記水晶板をエッチングすることによって所定の形状に形成してなることを特徴とする。
【0010】
本発明の金属膜形成用マスクは、前記水晶ウエハとの位置合わせに用いられる位置決め穴を有し、該位置決め穴の形状が略三角形であることを特徴とする。
【0011】
本発明の金属膜形成用マスクは、前記位置決め穴を構成する三角形の各辺が水晶の結晶軸のX軸に対して、それぞれ略垂直であることを特徴とする。
【0012】
本発明の水晶ウエハは、水晶振動子の材料である水晶ウエハであって、該水晶ウエハ上に設ける周波数調整用金属膜を形成するための金属膜形成用マスクとの位置合わせに用いられる位置決め穴を有し、該位置決め穴の形状が略三角形であることを特徴とする。
【0013】
本発明の水晶ウエハは、前記位置決め穴を構成する三角形の各辺が水晶の結晶軸のX軸に対して、それぞれ略垂直であることを特徴とする。
【0014】
本発明の水晶振動子は、前記の金属膜形成用マスクを用いて、前記の水晶ウエハ上に周波数調整用金属膜が形成されていることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
本発明では金属膜形成用マスクの材料として水晶が用いられる。図1は金属膜形成用マスク1の結晶方位を示した図である。また、図2は水晶振動子が形成される水晶ウエハ3の結晶方位を示した図である。X軸、Y軸、Z軸はそれぞれ水晶の結晶軸を示している。金属膜形成用マスク1と水晶ウエハ3の結晶方位は略同一であり、X軸周りの角度θおよびφは略同一で0°〜5°である。この様に金属膜形成用マスク1の材料に水晶を用い、結晶方位を水晶ウエハ3と略同一にするのは次のような理由による。周波数調整用金属膜を形成するのは蒸着またはスパッタリングによるが、この際蒸着源からの放射熱、スパッタリングではスパッタ粒子の衝突による熱の発生によって、金属膜形成用マスク1および水晶ウエハ3は少なからず加熱され、温度が上昇する。このため、熱膨張が生じるが、金属膜形成マスク1と水晶ウエハ3が同一の材料で、しかも結晶方位が等しければ膨張の仕方が同一なので、金属膜形成用マスク1と水晶ウエハ3との間にずれが発生しない。また、水晶は、ステンレスなどの金属に比べて熱膨張率が非常に小さいので、膨張の大きさも小さく、加熱の不均一による変形によって金属膜形成用マスク1と水晶ウエハ3との間に隙間が生じることもなく、水晶ウエハ3に周波数調整用金属膜が金属膜形成用マスク1のパターン通りに形成できるからである。
【0017】
図3は本発明の金属膜形成用マスク1と水晶ウエハ3を用いて周波数調整用金属膜を形成する方法を示した図である。水晶振動子5の形状および電極(図示せず)が形成された水晶ウエハ3に金属膜形成用マスク1が被せられた状態で、蒸着あるいはスパッタリングによって周波数調整用金属膜が形成される。水晶ウエハ3と金属膜形成用マスク1との位置合わせは治具7に設けられた位置決めピン9を水晶ウエハ3および金属膜形成用マスク1の位置決め穴11に順次通すことで行われる。位置決めピン9は円筒形である。図4は金属形成用マスク1および水晶ウエハ3の位置決め穴11の拡大図である。図4に示す様に本発明の金属膜形成用マスク1および水晶ウエハ3の位置決め穴11は略三角形をしている。位置決めピン9は位置決め穴11の三角形に内接するように設計されている。また、位置決め穴11を構成する三角形の各辺は水晶の結晶軸のX軸に対して略垂直である。位置決め穴11の各辺は穴の内側がX軸の負方向になっている。水晶はZ軸周りに三回対称であるので、X軸は120°ごとに3本存在し、それぞれが同等である。従ってそれぞれのX軸に垂直な線で正三角形が構成できる。位置決め穴11を略三角形にしたのは次のような理由による。位置決め穴11は丸穴あるいは長穴によって行うのが普通であるが、本発明では金属膜形成用マスク1に水晶を用いるので、丸穴や長穴をきれいに形成することが出来ない。水晶は三方晶系に属する異方性の単結晶のため、エッチング速度が結晶方位によって著しく異なり、丸穴や長穴では各部にエッチング残滓が生じるからである。このため、丸穴や長穴を形成したのでは位置決めを精度良く行うことができないのである。本発明のように水晶のX軸に垂直な辺によって位置決め穴11を構成すると、Z軸方向のエッチング速度はX軸の負方向からのエッチング速度に対して100倍程度の大きさがあるので、エッチングはほとんどZ軸方向に進行するため、位置決め穴11の断面はほぼ表面に垂直になり、エッチング残滓が生じることがない。よって、精度の良い位置決め穴11を形成することが出来るのである。なお、エッチングにはフッ酸とフッ化アンモニウム溶液の混合液が使用される。
【0018】
本発明の金属膜形成用マスクは材料が水晶のため、付着した金属膜に対するエッチング液には侵されることがないので、金属膜形成用マスクに付着した金属膜をエッチングによって除去することができる。従って、本発明の金属膜形成用マスクは繰り返し使用することが可能である。
【0019】
図5は本発明の金属膜形成用マスク1および水晶ウエハ3を用いて周波数調整用金属膜を形成した水晶振動子の共振周波数の分布を、従来の技術によって周波数調整用金属膜を形成した水晶振動子の共振周波数の分布と比較して示した図である。本発明の水晶振動子では分布が狭くなり、目標の共振周波数f0に近づいていることがわかる。
【0020】
【発明の効果】
以上に記したように、本発明の金属膜形成用マスク、水晶ウエハを用いれば均一な形状と厚さを有した周波数調整用金属膜を得ることができるという効果がある。また、本発明の水晶振動子は周波数分布が小さく、目標の共振周波数に近い製造ができるため、周波数調整時間が短くて済むので製造コストを削減できるという効果がある。さらに、本発明の金属膜形成用マスクの材料は水晶なので、付着した金属膜をエッチングによって除去でき、繰り返し使用することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による実施の形態を示す図であり、本発明の金属膜形成用マスクの結晶方位を示す図である。
【図2】本発明による実施の形態を示す図であり、本発明の水晶ウエハの結晶方位を示す図である。
【図3】本発明による実施の形態を示す図であり、本発明の金属膜形成用マスクと水晶ウエハを用いて周波数調整用金属膜を形成する方法を示す図である。
【図4】本発明による金属膜形成用マスクおよび水晶ウエハの位置決め穴の拡大図である。
【図5】本発明による水晶振動子の共振周波数の分布と従来の方法により製造した水晶振動子の共振周波数の分布を比較した図である。
【図6】水晶振動子の外観を示す図である。
【符号の説明】
1 金属膜形成用マスク
3 水晶ウエハ
5 水晶振動子
7 治具
9 位置決めピン
11 位置決め穴
13 脚
15 電極
17 周波数調整用金属膜
Claims (8)
- 水晶振動子の材料である水晶ウエハ上に設ける周波数調整用金属膜の形成に用いられる金属膜形成用マスクであって、水晶板を材料としてなることを特徴とする金属膜形成用マスク。
- 請求項1記載の金属膜形成用マスクにおいて、前記水晶板の結晶方位が前期水晶ウエハの結晶方位と略同一であることを特徴とする金属膜形成用マスク。
- 請求項1または請求項2に記載の金属膜形成用マスクにおいて、前記水晶板をエッチングすることによって所定の形状に形成してなることを特徴とする金属膜形成用マスク。
- 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の金属膜形成用マスクにおいて、前記水晶ウエハとの位置合わせに用いられる位置決め穴を有し、該位置決め穴の形状が略三角形であることを特徴とする金属膜形成用マスク。
- 請求項4記載の金属膜形成用マスクにおいて、前記位置決め穴を構成する三角形の各辺が水晶の結晶軸のX軸に対して、それぞれ略垂直であることを特徴とする金属膜形成用マスク。
- 水晶振動子の材料である水晶ウエハであって、該水晶ウエハ上に設ける周波数調整用金属膜を形成するための金属膜形成用マスクとの位置合わせに用いられる位置決め穴を有し、該位置決め穴の形状が略三角形であることを特徴とする水晶ウエハ。
- 請求項6記載の水晶ウエハにおいて、前記位置決め穴を構成する三角形の各辺が水晶の結晶軸のX軸に対して、それぞれ略垂直であることを特徴とする水晶ウエハ。
- 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の金属膜形成用マスクを用いて、請求項6または請求項7記載の水晶ウエハ上に周波数調整用金属膜が形成されていることを特徴とする、金属膜形成用マスクと水晶ウエハを用いて製造した水晶振動子。
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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- 2003-02-21 JP JP2003044184A patent/JP2004254174A/ja active Pending
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