JP2004252214A - 任意波長選択フィルタ、マルチチャネルモニタおよび生体検査装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】短時間に安定して比較的狭い波長分解能を得ることのできる任意波長選択フィルタと、この任意波長選択フィルタを使用して、簡易に物質の特性を測定したり、血糖値等の値を測定するマルチチャネルモニタならびに生体検査装置を得ること。
【解決手段】マルチチャネルモニタ300は、白色光等の広帯域光302をバンド反射ミラー301で反射させて任意波長選択フィルタ305を構成するそれぞれの任意波長選択フィルタ部材に分けて照射する。これを透過した光306は2次元イメージセンサ307で受光され、駆動・分析部309で分析される。短冊状に配置された任意波長選択フィルタ部材は互いに異なった波長域の光を連続的に変化させて選択するので、2次元イメージセンサ307はこれらの強度を短い時間で読み出して分光する。この装置は血糖値の測定等の生体検査装置への応用が可能である。
【選択図】 図11
【解決手段】マルチチャネルモニタ300は、白色光等の広帯域光302をバンド反射ミラー301で反射させて任意波長選択フィルタ305を構成するそれぞれの任意波長選択フィルタ部材に分けて照射する。これを透過した光306は2次元イメージセンサ307で受光され、駆動・分析部309で分析される。短冊状に配置された任意波長選択フィルタ部材は互いに異なった波長域の光を連続的に変化させて選択するので、2次元イメージセンサ307はこれらの強度を短い時間で読み出して分光する。この装置は血糖値の測定等の生体検査装置への応用が可能である。
【選択図】 図11
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は複数の波長の解析に使用するのに好適な任意波長選択フィルタおよびこの任意波長選択フィルタを使用して波長の監視等のモニタを行うマルチチャネルモニタならびに血糖値等の測定を行う生体検査装置に係わり、特に簡易な測定に使用可能な任意波長選択フィルタ、マルチチャネルモニタおよび生体検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
医療機器による測定結果は、人の健康状態を直接反映するため、高い信頼性が要求される。しかしながら、各種の医療用の測定装置が病院等の医療の現場でのみ使用され家庭やオフィスで使用されないとすると、測定の結果の恩恵を受ける対象が限定されるだけでなく、病気になる前の健康管理が必ずしも十分に行き届かないことになる。この意味で、血圧計や体脂肪測定装置のような職場や家庭で簡単に測定できる各種測定装置の開発の更なる発展は、病気の早期発見や予防医学の見地から大きな成果を挙げることができる。
【0003】
ところで、糖尿病患者は国内に700万人近く存在しており、その予備軍もほぼ同数存在していると推定されている。また、国民の栄養摂取量の過剰状態が続いているわが国では、糖尿病患者が今後ますます増加することが懸念されている。このような糖尿病患者およびその予備軍に対しては、血糖値の管理が大変重要である。
【0004】
血糖値の測定には、従来から高速液体クロマトグラフィ測定装置が使用されている。この装置では、糖尿病の診断・管理に不可欠な検査項目としてのヘモグロビンA1cを、1つの検体当たり1分余りの時間で高速処理する。しかしながら、装置自体が非常に高価であり、小規模な病院や診療所ではその購入の経済的な負担が大きい。また、検体から血液を採取する必要があるため、血液による各種の病気の感染の危険が皆無ではない。更に、サファイア針等の血液採取のための器具で皮膚を傷つけることになるので、頻繁な血液採取は検査を受ける者に身体的および精神的な苦痛を強いることになる。
【0005】
そこで、採血を行うことなく人体の血液中の糖度としての血糖値を測定することが提案されている(たとえば特許文献1参照)。
【0006】
この特許文献1に示す提案では、レーザダイオード、発光ダイオードなどのような、出力する光の波長の幅が狭い複数の光源を用いている。そして、これらの光源が発するそれぞれの光を温度に係わらず一定に保持して、測定試料としての指先と参照用物質の双方に照射し、その結果をそれぞれに対応した受光素子で受光して、各光源を経た光の強度を測定するようにしている。測定結果は、前もって用意した方程式(検量線)に代入して、人体の血液中の糖度、あるいはグルコース濃度を採血することなく測定することにしている。
【0007】
また、血糖値の測定だけでなく糖尿病の判断を行う装置も提案されている(たとえば特許文献2参照)。
【0008】
図37は、後者の特許文献2に示された血糖値測定装置の概要を示したものである。被験者の指101には第1および第2の半導体レーザ(LD)102、103からそれぞれ第1の波長λ1(680nm)と第2の波長λ2(830nm)の2種類の波長の光104、105が照射される。これらの光104、105は指101を透過した後、それぞれに対応した第1または第2の受光素子(PD)106、107で受光される。第1および第2の受光素子106、107の出力はメモリ108に入力されて、その時点での測定結果として記憶されるようになっている。
【0009】
血糖値の測定は、被験者の空腹時に初回が行われ、その後は一定時間間隔でグルコース糖を規定量飲んでは測定を繰り返す。これにより、グルコース糖による血糖値が増加していき、その様子がそれぞれの測定結果としてメモリ108に記憶される。所定回数の測定が終了すると、制御部109はメモリ108からそれぞれの測定結果を読み出して演算部111に与え、所定の演算を行わせる。演算結果112は制御部109の制御によって判断部113に渡されて糖尿病の有無の判断が行われるようになっている。
【0010】
図38は、この提案による波長と吸光度との関係を表わしたものである。横軸は波長を、縦軸は吸光度を表わしている。曲線121は血液中のヘモグロビンが還元ヘモグロビンだけの時の吸光度特性を示している。また、曲線122は血液中のヘモグロビンが酸化ヘモグロビンだけの時の吸光度特性を示している。実際の生体の血液のヘモグロビンは、還元ヘモグロビンと酸化ヘモグロビンが混在した状態となっている。そこで、実際の血液の吸光度を第1の波長λ1と第2の波長λ2の光を使用して測定して、これらの波長λ1、λ2の吸光度の差d1、d2を取ることで、測定血液の還元ヘモグロビンと酸化ヘモグロビンの割合を判別するようにしている。
【0011】
これによって血中酸素濃度が判るので、演算部111は図示しない血中酸素濃度と血糖値の関係を示すデータから血糖値を演算し、判断部113は血中酸素濃度の時間変化の特性の違いから糖尿病であるかどうかを判断するようにしている。
【0012】
以上説明したような従来の技術ではレーザダイオードや発光ダイオードをそれぞれ所望の波長に設定する必要があった。しかしながら、適切な波長の光源を選択したり、その光源の波長を温度等の環境変化を起こさせずに一定に保持することは困難であり、装置のコストアップを招いたり装置が大型化するという問題があった。
【0013】
また、このような従来の技術では、測定に使用する複数の波長の数だけの光源を必要とした。このため、これらの装置では現実的には2種類の光源を使用するのが精一杯であり、更に多くの波長を使用して測定精度を上げることは装置の価格やサイズとの関係で事実上不可能であった。
【0014】
以上、血糖値を測定する血糖値測定装置を例に挙げて説明したが、複数の波長を用いて物質の特性を簡易に測定するマルチチャネルモニタや生体検査装置についても同様の問題が生じた。ただし、比較的高価なマルチチャネルアナライザでは更に多くの波長の分析が行えるようになっている。
【0015】
図39は、従来のこのようなマルチチャネルアナライザの第1の例を示したものである。このマルチチャネルアナライザ130は入射光線131を反射する第1のミラー132と、第1のミラー132の反射光133を入射して特定波長の光134を回折する回動自在の凹面型の回折格子135と、この回折格子135の回折した光134を特定方向に反射させる第2のミラー136と、第2のミラー136の反射光137のうちの特定方向の光138のみを通過させるスリット139と、このスリット139を通過した光138を受光するフォトダイオード(PD)140とによって構成されている。このようなマルチチャネルアナライザ130では、回折格子135を矢印方向141に回転させることで、回折格子135に対する第1のミラー132の反射光133の反射角を変化させ、フォトダイオード140に入力する光の波長を変化させることができる。すなわち、マルチチャネルアナライザ130に入力される入射光線131を分光することができる。
【0016】
図40は、このマルチチャネルアナライザの第1の例における光の各波長の透過率と回転角の関係を示したものである。図39に示した回折格子135の回転角を変化させるとこれに応じて透過率のピークとなる波長λが連続的に移動していく。図ではそれぞれ所定の時間を置いた場合における透過率がピークとなる波長λ1、λ2、……の変化する様子を示している。
【0017】
図41は、従来のマルチチャネルアナライザの第2の例を示したものである。図39と同一部分には同一の符号を付しており、これらの説明を適宜省略する。このマルチチャネルアナライザ150では、第1のミラー132の反射光133は平面型の回折格子151に入射する。その回折光152は1次元アレイセンサ153の長手方向に波長分布しており、これが1次元アレイセンサ153に入射することになる。1次元アレイセンサ153はこの図でその長手方向に多数の受光素子を配置したセンサであり、これによりそれぞれの受光素子に対応した分解能で光の分析を行うことができる。すなわち、第2の例のマルチチャネルアナライザ150では、第1の従来例のフォトダイオードの代わりに1次元アレイセンサ153を受光素子として使用している。
【0018】
図42は、従来のマルチチャネルモニタの第3の例を示したものである。このマルチチャネルアナライザ160では、移動ステージ161がY軸方向162に移動自在に配置されている。移動ステージ161には透明な基板163の片面に厚さを連続的に変化させた互いに異なる屈折率の誘電体膜164、165を積層した誘電体多層膜フィルタ素子166がY軸方向162を長手方向にして取り付けられている。2種類の誘電体膜164、165は複数のペアとして形成されてもよい。誘電体多層膜フィルタ素子166はY軸方向162における位置に応じてピークとなる透過波長が変化するようになっている(たとえば特許文献3および特許文献4参照)。
【0019】
したがって、マルチチャネルアナライザ160はフォトダイオード(PD)167を定位置に固定していて、入射光168を誘電体多層膜フィルタ素子166を介してフォトダイオード167に入射するようにしておき、この配置状態で誘電体多層膜フィルタ素子166をY軸方向162に移動するようにしている。この結果、誘電体多層膜フィルタ素子166がY軸方向162に移動するのに従って、フォトダイオード167の受光する光の波長を連続的に変化させることができる。
【0020】
【特許文献1】
特開2002−350338号公報(第0013段落、図1)
【特許文献2】
特開平11−178814号公報(第0010段落、第0015段落、第0016段落、図1、図3)
【特許文献3】
特開平5−281480号公報(第0022段落、図2)
【特許文献4】
特開平8−227014号公報(第0025段落、図1)
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明した従来のマルチチャネルアナライザのうちの第1の例および第3の例では、分光するために駆動系が第2のミラー136(図39)を回転駆動したり、移動ステージ161(図42)をY軸方向162に移動させる必要がある。したがって一般的な波長のスキャン時間として10秒から1分程度を要し測定時間の短縮化に限界がある。また、機械的な機構を使用してスキャン動作を行うので、回折格子135(図39)や誘電体多層膜フィルタ素子166(図42)の振動や外乱等の影響を受けやすい。このような影響を最小限とするためには補強部材や質量の大きな部材を使用する必要があり、マルチチャネルアナライザの重量が増加するだけでなく、装置が大型化する。
【0022】
また、従来のマルチチャネルアナライザのうちの第1の例のマルチチャネルアナライザ130の場合には波長分解能を高めるためには回折格子135からスリット139までの距離を長くする必要がある。一般的には0.1nmの波長分解能を得るためにはこの距離を300mm程度にする必要があり、前記した装置の大型化の一因となる。
【0023】
一方、従来のマルチチャネルアナライザのうちの第2の例では回折格子151を経た光を1次元アレイセンサ153で受光する。したがって、1次元アレイセンサ153を構成するピクセルの数によって分析する波長のそれぞれの幅が定められる。一般的な1次元アレイセンサ153は256個、512個、1024個あるいは2048個の受光素子(ピクセル)を備えている。したがって、たとえば400nmから1100nmの範囲の波長域をスキャンする場合、波長分解能は0.4nm程度でしかなく、細かなピッチで波長の分析を行うことが困難であるという問題があった。
【0024】
そこで本発明の目的は、短時間に安定して比較的狭い波長分解能を得ることのできる任意波長選択フィルタと、この任意波長選択フィルタを使用して、簡易に物質の波長に対する特性を測定するマルチチャネルモニタならびに血糖値等の値をチェックする生体検査装置を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明の任意波長選択フィルタは、それぞれ異なった波長域で位置に応じて波長を連続して変化させる複数の任意波長選択フィルタ部材を同一受光面のそれぞれ異なった領域を担当するように配置したことを特徴としている。
【0026】
すなわち請求項1記載の発明では、それぞれ異なった波長域で位置に応じて波長を連続して変化させる複数の任意波長選択フィルタ部材を互いに同一受光面を構成するように接着剤や取り付け具等によって固定して任意波長選択フィルタとしている。それぞれの任意波長選択フィルタ部材が波長を連続的に変化させるだけでなく、これら任意波長選択フィルタ部材同士が異なる波長域を担当するので、1つの受光面を形成する任意波長選択フィルタが比較的広範囲の波長の光成分を2次元的に分離することになり、任意波長選択フィルタの小型化が可能になる。また、2次元イメージセンサ等の2次元受光手段を使用して波長の監視等のモニタを安価に行うことができる。
【0027】
請求項2記載の発明では、(イ)1枚の支持基板と、(ロ)この支持基板上の互いに異なった位置に配置され、それぞれ異なった波長域で位置に応じて波長を連続して変化させる複数の任意波長選択フィルタ部材とを任意波長選択フィルタに具備させる。
【0028】
すなわち請求項2記載の発明では、1枚の支持基板上にそれぞれ異なった波長域で位置に応じて波長を連続して変化させる複数の任意波長選択フィルタ部材を別々の位置に配置して任意波長選択フィルタを構成している。請求項1との違いは基板が共通するか否かである。請求項1記載の発明と同様に、任意波長選択フィルタ部材同士が異なる波長域を担当するので、1つの受光面を形成する任意波長選択フィルタが比較的広範囲の波長の光成分を2次元的に分離することになり、任意波長選択フィルタの小型化が可能になる。また、2次元イメージセンサ等の2次元受光手段を使用して波長の監視等のモニタを安価に行うことができる。
【0029】
請求項3記載の発明では、(イ)白色光源等の所定範囲の波長の光を出力する光源と、(ロ)この光源の出力する光を入射し、それぞれ異なった波長域で位置に応じて波長を連続して変化させる複数の任意波長選択フィルタ部材を同一受光面のそれぞれ異なった領域を担当するように配置してなる任意波長選択フィルタと、(ハ)光源から発せられ任意波長選択フィルタを透過した光を受光する2次元受光手段とをマルチチャネルモニタに具備させる。
【0030】
すなわち請求項3記載の発明では、請求項1記載の任意波長選択フィルタに光源から光を照射し、これを2次元的にそれぞれの波長で透過した光成分を2次元受光手段の対応する受光部で受光することで波長の監視等のモニタを可能にしている。2次元イメージセンサ等の2次元受光手段で波長の監視等のモニタを安価かつ高速に行うことができる。
【0031】
請求項4記載の発明では、(イ)白色光源等の所定範囲の波長の光を出力する光源と、(ロ)1枚の支持基板と、この支持基板上の互いに異なった位置に配置され、光源の出力する光を入射してそれぞれ異なった波長域で位置に応じて波長を連続して変化させる複数の任意波長選択フィルタ部材とを備えた任意波長選択フィルタと、(ハ)光源から発せられ任意波長選択フィルタを透過した光を受光する2次元受光手段とをマルチチャネルモニタに具備させる。
【0032】
すなわち請求項4記載の発明では、請求項2記載の任意波長選択フィルタに光源から光を照射し、これを2次元的にそれぞれの波長で透過した光成分を2次元受光手段の対応する受光部で受光することで波長の監視等のモニタを可能にしている。2次元イメージセンサ等の2次元受光手段で波長の監視等のモニタを安価かつ高速に行うことができる。
【0033】
請求項5記載の発明では、(イ)白色光源等の所定範囲の波長の光を出力する光源と、(ロ)この光源の出力する光を入射し、所定の波長域で位置に応じて波長を連続して変化させる任意波長選択フィルタと、(ハ)この任意波長選択フィルタの波長が変化する方向に複数の受光素子を一列に配置し、光源から発せられ任意波長選択フィルタを透過した光を受光する1次元受光手段とをマルチチャネルモニタに具備させる。
【0034】
すなわち請求項5記載の発明では、請求項3または請求項4記載の発明と異なり任意波長選択フィルタが1つの任意波長選択フィルタ部材によって構成されていることを特徴としている。したがって、光源から発せられ任意波長選択フィルタを透過した光を受光する1次元受光手段を用いて波長の監視等のモニタが行われる。この場合にでも波長の監視等のモニタを安価かつ高速に行うことができる。
【0035】
請求項6記載の発明では、(イ)白色光源等の所定範囲の波長の光を出力する光源と、この光源の出力する光を入射し、それぞれ異なった波長域で位置に応じて波長を連続して変化させる複数の任意波長選択フィルタを同一受光面のそれぞれ異なった領域を担当するように配置した任意波長選択フィルタと、光源から発せられ任意波長選択フィルタを透過した光を受光する受光素子が2次元的に配置された2次元受光手段とを備えたマルチチャネルモニタと、(ロ)このマルチチャネルモニタの波長ごとの受光結果を演算して生体における特定の物質の存在する値を算出する演算手段とを生体検査装置に具備させる。
【0036】
すなわち請求項6記載の発明では、請求項3記載のマルチチャネルモニタを使用し、その結果を演算手段で演算することで血糖値のように生体における特定の物質の存在する値を演算するようにしている。マルチチャネルモニタが小型かつ安価に製造できるので生体検査装置もパーソナルユースを含めた装置として構成することができる。
【0037】
請求項7記載の発明では、(イ)白色光源等の所定範囲の波長の光を出力する光源と、1枚の支持基板と、この支持基板上の互いに異なった位置に配置され、それぞれ異なった波長域で位置に応じて波長を連続して変化させる複数の任意波長選択フィルタ部材とを備えた任意波長選択フィルタと、光源から発せられ任意波長選択フィルタを透過した光を受光する2次元受光手段とを備えたマルチチャネルモニタと、(ロ)このマルチチャネルモニタの波長ごとの受光結果を演算して生体における特定の物質の存在する値を算出する演算手段とを生体検査装置に具備させる。
【0038】
すなわち請求項7記載の発明では、請求項4記載のマルチチャネルモニタを使用し、その結果を演算手段で演算することで血糖値のように生体における特定の物質の存在する値を演算するようにしている。マルチチャネルモニタが小型かつ安価に製造できるので生体検査装置もパーソナルユースを含めた装置として構成することができる。
【0039】
請求項8記載の発明では、(イ)白色光源等の所定範囲の波長の光を出力する光源と、この光源の出力する光を入射し、所定の波長域で位置に応じて波長を連続して変化させる任意波長選択フィルタと、この任意波長選択フィルタの波長が変化する方向に複数の受光素子を一列に配置し、光源から発せられ任意波長選択フィルタを透過した光を受光する1次元受光手段とを備えたマルチチャネルモニタと、(ロ)このマルチチャネルモニタの波長ごとの受光結果を演算して生体における特定の物質の存在する値を算出する演算手段とを生体検査装置に具備させる。
【0040】
すなわち請求項8記載の発明では、請求項5記載のマルチチャネルモニタを使用し、その結果を演算手段で演算することで血糖値のように生体における特定の物質の存在する値を演算するようにしている。マルチチャネルモニタが小型かつ安価に製造できるので生体検査装置もパーソナルユースを含めた装置として構成することができる。
【0041】
請求項9記載の発明では、請求項3または請求項4記載のマルチチャネルモニタで、2次元受光手段は2次元イメージセンサであることを特徴としている。
【0042】
すなわち請求項9記載の発明では、2次元受光手段は2次元イメージセンサを使用することで汎用品によるコストダウンを図ることができる。また、画素(ピクセル)の数が多いものを使用すれば分解能を十分高めることができる。
【0043】
請求項10記載の発明では、請求項3または請求項4記載のマルチチャネルモニタで、光源と任意波長選択フィルタの間に配置され、任意波長選択フィルタ部材の本来透過すべき波長域以外の波長域の透過を阻止するバンドパスフィルタを具備することを特徴としている。
【0044】
すなわち請求項10記載の発明では、任意波長選択フィルタ部材が本来透過すべき波長域以外の波長域を透過させるような特性があるときは、バンドパスフィルタを光源と任意波長選択フィルタの間に使用して、不要な光がモニタされないようにしている。
【0045】
請求項11記載の発明では、請求項10記載のマルチチャネルモニタで、バンドパスフィルタはバンド反射ミラーによって構成されていることを特徴としている。
【0046】
すなわち請求項11記載の発明では、バンドパスフィルタとして必要な波長域を選択的に反射するバンド反射ミラーを使用することにしている。
【0047】
請求項12記載の発明では、請求項10記載のマルチチャネルモニタで、バンドパスフィルタは回折格子とこの回折光を所定の波長範囲のみ通過させる開口部材とによって構成されていることを特徴としている。
【0048】
すなわち請求項12記載の発明では、バンドパスフィルタとして回折格子を使用する場合を示している。この場合には必要な波長の光のみが通過するように開口部材を使用するとよい。
【0049】
【発明の実施の形態】
【0050】
【実施例】
以下実施例につき本発明を詳細に説明する。
【0051】
<第1の実施例>
【0052】
図1は本発明の第1の実施例の任意波長選択フィルタを構成するそれぞれの任意波長選択フィルタ部材を示したものである。第1〜第5の任意波長選択フィルタ部材201〜205は、それぞれ幅1.95mm(ミリメートル)で長さが9.95mm、厚さが1mmの帯状をしている。第1の任意波長選択フィルタ部材201は、透明基板の上に膜厚が連続的に異なる傾斜フィルタを形成したもので、傾斜フィルタは短波長側が400nm(ナノメートル)から長波長側が459.7nmまでの波長を選択的に透過することができる。第2の任意波長選択フィルタ部材202は、同じく透明基板の上に膜厚が連続的に異なる傾斜フィルタを形成したもので、短波長側が460.3nmから長波長側が519.7nmまでの波長を選択的に透過することができる。第3の任意波長選択フィルタ部材203は、以上と同一構造で、短波長側が520.3nmから長波長側が579.7nmまでの波長を選択的に透過することができる。第4の任意波長選択フィルタ部材204は、以上と同一構造で、短波長側が580.3nmから長波長側が639.7nmまでの波長を選択的に透過することができる。最後に第5の任意波長選択フィルタ部材205は、以上と同一構造で、短波長側が640.3nmから長波長側が699.7nmまでの波長を選択的に透過することができる。
【0053】
第1〜第5の任意波長選択フィルタ部材201〜205は、それぞれ図示しない透明基板上に形成されたものであり、上記した寸法に短冊状に切断されて得られる。このとき、短冊の長手方向が膜厚勾配を有する方向となる。これらのフィルタ部材同士に0.6nmずつの波長の抜けがあるのは、切断時にこれらの部分が切除されたからである。このような製法を採ることにより、これら第1〜第5の任意波長選択フィルタ部材201〜205の製造コストを下げることができる。もちろん、第1〜第5の任意波長選択フィルタ部材201〜205を波長の抜けのないものとして製造することは可能である。これら第1〜第5の任意波長選択フィルタ部材201〜205は、対向する側面同士を図示しない接着剤で接着し同一平面のフィルタが完成する。接着剤には、使用波長範囲で透明なUV硬化型あるいは熱硬化型の光学接着剤が用いられる。接着剤を使用する代わりに、図示しない治具で第1〜第5の任意波長選択フィルタ部材201〜205を密着した状態で固定してもよい。
【0054】
図2は、この完成した任意波長選択フィルタを示したものである。張り合わされた側の辺としての短辺が9.75mmで長辺が9.95mmの任意波長選択フィルタ211が完成する。
【0055】
本実施例では第1〜第5の任意波長選択フィルタ部材201〜205を単純に貼り合わせて任意波長選択フィルタ211を構成したが、フィルム状の同様の複数のフィルタ部材を1つの透明な基板上に載置するように貼り合わせてもよい。
【0056】
図3は、本実施例で使用される任意波長選択フィルタ部材の原理的な構成を示したものである。ここでは第1の任意波長選択フィルタ部材201を示しているが、第2〜第5の任意波長選択フィルタ部材202〜205も基本的に同様の構成となっている。第1の任意波長選択フィルタ部材201は、透明な基板221とこの基板221上に形成され、図で左端側から右端側に向けて位置に応じて一様に厚さが変化する透明な第1の誘電体薄膜222と、この第1の誘電体薄膜222の上に形成され、同じく図で左端側から右端側に向けて位置に応じて一様に厚さが変化する透明な第2の誘電体薄膜223とから構成されている。第1の誘電体薄膜222と第2の誘電体薄膜223は、それぞれ異なる誘電体物質H、Lで構成されている。なお、この図では図示を簡略化するために第1および第2の誘電体薄膜222、223がペアとして1回ずつ層形成されたものとして示している。
【0057】
図4は任意波長選択フィルタ部材の膜構造を示したものである。この図に示したように、基板221上に第1の誘電体薄膜222と第2の誘電体薄膜223がペアとして順に複数回積層されて第1の任意波長選択フィルタ部材201が構成されている。基板221と反対側に位置する第2の誘電体薄膜223は、空気、樹脂溶剤、固形基板等の媒質と接していることになる。本実施例で第1の誘電体薄膜222にはNb2O5を使用し、第2の誘電体薄膜223にはSiO2を使用している。基板221にはショット(SCHOTT)社の商品名「BK7」のガラス基板(屈折率1.5)を使用している。
【0058】
第1の誘電体薄膜222と第2の誘電体薄膜223のそれぞれの厚さを位置に応じて連続的に変化させるには、幾つかの方法を採ることができる。たとえば真空蒸着を行うとき、蒸着源に対して基板を垂直に配置せず所定の傾斜角を設けて蒸着源からの距離を連続的に変化させることで厚さを連続的に変化させることができる。基板と蒸着源の間に、マスク板を配置して、マスク形状を適切に設計、配置することによっても、傾斜分布が得られる。
【0059】
この第1の任意波長選択フィルタ部材201で、波長可変性が得られる原理を説明する。2種類の互いに異なる誘電体物質H、Lの屈折率をそれぞれnH、nLとする。光フィルタの膜設計では、ある設計波長λ0を中心に、高反射率を有する誘電体多層膜ミラーを形成している。
【0060】
第1の誘電体薄膜222と第2の誘電体薄膜223は共に4分の1波長膜と呼ばれており、これらは設計波長λ0と次の式(1)または式(2)で示す関係にある。
H=λ0/4nH ……(1)
L=λ0/4nL ……(2)
【0061】
今、第1の誘電体薄膜222と第2の誘電体薄膜223からなる1組の層をペア層と称することにし、ペア層がn回(ただしnは正の整数。)繰り返し積層されるものとする。図4で示した基板201とペア層の間、およびペア層と媒質の間にスラッシュ“/”をつけて区別するものとすると、このような積層された第1の任意波長選択フィルタ部材201は次の表現構造(3)として表わすことができる。
基板/(HL)n/媒質 ……(3)
【0062】
たとえば、第1の誘電体薄膜222と第2の誘電体薄膜223のペア層が3層繰り返されて第1の任意波長選択フィルタ部材201が構成されているものとすると、表現構造(3)は次の表現構造(4)として表わされる。
基板/(HL)3/媒質 ……(4)
【0063】
ところで、ある特定の波長の光を他の光成分から分離する場合にはバンドパスフィルタが用いられる。バンドパスフィルタの共振器構造Aは一般に次の式(5)で表わすことができる。
A=[(HL)nHsLH(LH)nL] ……(5)
【0064】
ここで符号sは正の偶数(2、4、6、8……)を表わしている。項(HL)nHは、第1スタック層と呼ばれ、他の項H(LH)nは第2スタック層と呼ばれる。これらの項の間に配置された項sLはスペーサ層と呼ばれる。最後の項Lは結合層と呼ばれている。
【0065】
図5は式(5)で与えられるバンドパスフィルタを相対波数で表わしたフィルタ透過特性を示したものである。ここで相対波数とは、前記した設計波長λ0を波長λで除した値をいう。本実施例で第1の誘電体薄膜222として使用されているNb2O5は屈折率分散を有し、波長範囲の400nmから1100nmで相対波数が2.3から2.2の値を示す。第2の誘電体薄膜223として使用されているSiO2はNb2O5よりも小さな屈折率分散を有し、波長範囲の400nmから1100nmで相対波数が1.48から1.46の値を示す。設計波長λ0は600nmであり、膜構造は次の表現構造(6)で表わされる。
【0066】
基板(屈折率1.5)/(HL)6H8L(LH)6L/空気(屈折率1.0)……(6)
【0067】
この図5では、白色光をバンドパスフィルタに垂直に照射する場合を示している。この図のフィルタ特性から分かるように、このバンドパスフィルタは設計波長λ0に鋭いバンドパス型の透過波長を持っており、その短波長側と長波長側にそれぞれ阻止波長域S1、S2を有している。阻止波長域S1、S2は相対波数が0.86から1.14の範囲で成立する。阻止波長域S1、S2の帯域は、使用する第1の誘電体薄膜222と第2の誘電体薄膜223の屈折率比(nH/nL)に依存する。屈折率比が大きくなると阻止波長域S1、S2が広くなる。
【0068】
これら阻止波長域S1、S2を挟むような形でウイング状の透過帯域(ウイング域W1、W2)が存在する。ウイング域W1、W2は、相対波数0.84以下の短波長側と、相対波数1.16以上の長波長側に配置されている。このため、バンドパスフィルタとして所望の設計波長λ0のみを透過させるためには、これらウイング域W1、W2の光成分が混入しないような光学系を構成する必要がある。このためには、以下の2つの手法が有効である。
(a)バンド反射ミラーを用いて各波長範囲の光を選択的に反射させ、これを任意波長選択フィルタで分離する。
(b)回折格子で切り出された波長範囲の光に対して任意波長選択フィルタで分離する。
【0069】
ところである特定の設計波長λ0のみを透過するバンドパスフィルタが波長可変性を備えるには、式(1)および式(2)から第1の誘電体薄膜222と第2の誘電体薄膜223の物理膜厚を変えるようにすればよい。図3および図4で説明したように設計波長λ0は物理膜厚に比例する。そこで基板221上に形成された第1の誘電体薄膜222と第2の誘電体薄膜223の膜厚に所定の勾配を形成しておくことで、基板221のX軸方向の位置に応じて波長を変化させることができる。
【0070】
まず、先に述べた手法のうち(a)のバンド反射ミラーを使用する場合を説明する。バンド反射ミラーの反射帯域は、任意波長選択フィルタを構成するそれぞれの任意波長選択フィルタ部材201〜205についての波長可変域と同一か若干広めとする。そのバンド幅は、使用する2種類の屈折率の異なる誘電体薄膜の屈折率比で調整することができる。この第1の実施例ではバンド反射ミラーの2種類の誘電体薄膜をZnO(屈折率が1.94)とSiO2(屈折率が1.45)を使用した。この場合の膜構造は次の表現構造(7)で表わされる。
【0071】
基板/(HL)20/空気 ……(7)
【0072】
図6は、ZnOとSiO2を2種類の誘電体薄膜として使用した場合のバンド反射ミラーの反射特性を示したものである。ZnO(屈折率1.94)とSiO2(屈折率1.45)の屈折率比で反射波長のバンド幅を調整することができる。この基本膜による表現構造(3)は次の表現構造(8)として表わされる。
基板/(HL)20/空気 ……(8)
【0073】
この膜構造では図6に示すように一般的な高反射ミラーとしてリップル成分の多い特性が得られる。
【0074】
図7は、図6に示したバンド反射ミラーの反射特性を市販の膜設計ソフトウェアの使用により最適化処理を施した場合を示したものである。これにより、反射波長域Rの両側の波長域が共にリップル成分の減少した阻止波長域S1、S2となったバンド反射ミラーが実現する。このようなバンド反射ミラーによって選択的に反射した光を使用することで、図5で示される阻止波長域S1、S2の外側に存在するウイング域W1、W2を透過する波長成分が図示しない光検出器側に混入しないようにすることができる。
【0075】
図8を基にしてウイング域での波長成分が阻止される様子を具体的に説明する。同図で横軸は波長λを示している。この図8(a)で実線で示した第1の特性241と破線で示した第2の特性242は、図5に示したような誘電体多層膜の波長λに対する透過率を示したものである。第2の特性242は第1の特性241を長波長側にシフトさせたものである。これは図1に示した第1〜第5の任意波長選択フィルタ部材201〜205のそれぞれの担当する波長域の短波長λi−1側と長波長λi側を表わしている。
【0076】
同図(b)は、バンド反射ミラーの反射特性243を示している。同図(a)で示した透過波長の変化する幅(λi−1〜λi)の範囲あるいはこれよりもわずかに広い波長の範囲で高反射率を有し、これよりも短波長側および長波長側で反射率が極端に低下した反射特性となっている。
【0077】
光検出器の応答する波長域が、同図(c)に示すように透過波長の変化する幅(λi−1〜λi)よりも広い波長λaから波長λbまでとし、均一な強度の光をこれらの波長域で受信した場合の光検出器の感度が同図(d)に示すものであったとする。この場合には、バンド反射ミラーを使用しないと、図5で説明したウイング域W1、W2に対応する波長域で光検出器が感応してしまう。しかしながら、図8(b)に示す特性のバンド反射ミラーを使用して図2に示した任意波長選択フィルタ211の第1〜第5の任意波長選択フィルタ部材201〜205にそれぞれ必要な波長域(λi−1〜λi)の光を照射することで、それぞれに対応した光検出器をそれぞれのウイング域W1、W2の透過光を阻止した状態で検出動作させることができる。バンド反射ミラーの具体的な配置については、第2の実施例で取り上げるマルチチャネルモニタの箇所で説明する。
【0078】
以上説明したようにある特定の設計波長λ0のみを透過するバンドパスフィルタで波長可変性を備えるようにするためには、式(1)および式(2)より、誘電体物質H、Lの物理膜厚を変えればよい。また、設計波長λ0は物理膜厚に比例するので、基板内に所望の膜厚勾配を形成し、基盤における光の透過する位置を変えることでも波長可変性を得ることができる。
【0079】
図9は、この第1の実施例で説明した任意波長選択フィルタを構成する任意波長選択フィルタ部材の製造装置の概要を示したものである。高真空に排気された真空チャンバ261内の底部には、図3で説明した第1の誘電体薄膜222と第2の誘電体薄膜223のそれぞれを形成するための蒸着源262、263が、底部中心位置からある程度偏心した位置に配置されている。真空チャンバ261の底部および上部はそれらの中央位置周辺が少なくとも透明な部材で形成されている。真空チャンバ261の底部中央位置の下方には光源264が配置されている。光源264から上向きに出力されたモニタ光265は真空チャンバ261の内部を通過して、その上部に配置された集光用のレンズ266に入射し、焦点位置に配置された光検出器267によって検出される。真空チャンバ261内の基板回転ホルダ268におけるモニタ光265の通路にはモニタガラス269が配置されている。光検出器267はこのモニタガラス269上に形成される蒸着膜の厚さを透過光の減少の様子によってモニタするようになっている。
【0080】
基板回転ホルダ268は、真空チャンバ261内でモニタ光265の通過する光路を中心軸として矢印271方向に所定の回転速度で回転するようになっている。基板回転ホルダ268には蒸着源262、263と対向するようにして前記したモニタガラス269および図1に示した第1〜第5の任意波長選択フィルタ部材201〜205を製造するための基板272が固定されている。基板272はそれぞれ円周方向が長手方向になるように放射状に配置されている。また、真空チャンバ261の側壁の一部からは、膜厚補正用の膜厚補正マスク治具274がチャンバ中央部へと突出している。
【0081】
このような任意波長選択フィルタ部材の製造装置では、蒸着源262、263が基板回転ホルダ268の回転中心から偏心している。このため、基板272の面が蒸着源262、263に対して傾斜しているのと同様に、蒸着する誘電体薄膜の厚さに勾配を持たせることができる。
【0082】
図10は、表現構造(6)で与えられる膜構造の光学モニタチャートの一例を示したものである。図9と共に説明する。基板272上には図10で数値で示した層番号の“1”から誘電体が順次積層される。目的とする設計波長の任意波長選択フィルタ部材201〜205(図1参照)を製造するには、基板回転ホルダ268内部での膜厚分布を考慮して、所定のフィルタ特性となるように光源264の波長を適宜設定する。そして、モニタガラス269上でモニタしながら4分の1光学波長の膜厚の誘電体多層膜の積層を行うことで、狭帯域な特性を有する誘電体多層膜フィルタを高精度に製造することができる。
【0083】
すでに説明したように基板272に位置に応じて選択する波長が異なる波長可変特性を備えさせるためには、膜厚に勾配を形成すればよい。誘電体多層膜フィルタを構成する少なくとも2種類の誘電体薄膜について、式(1)または式(2)で与えられた膜厚をt(ただし、式(1)または式(2)では符号HまたはLで示している。)とする。基板272内でΔtの膜厚分布を持っているとする。基板272内では中心波長λの周りでΔλの波長分布を持つので、これらの関係は次の式(9)で与えられる。
Δλ/λ=Δt/t ……(9)
【0084】
したがって、たとえば中心波長λが800nmで、波長分布10nmを備えるには、基板272内の膜厚分布は次の式(10)で算出される。
Δt/t=1.25(%) ……(10)
【0085】
電子ビーム蒸着法の他に、成膜法にはイオンアシスト蒸着法、DCマグネトロンスパッタ法、RFマグネトロンスパッタ法、イオンプレーティング法、イオンビームスパッタ法、分子線エピタキシ(MBE)法、化学気相蒸着(CVC)法、ディップコーティング法等が存在している。電子ビーム蒸着法を含めたこれらいずれの成膜法であっても、基板272内に均一な膜厚分布を形成するためには、蒸着源262、263と基板272の配置を注意深く検討する必要がある。これとは逆に均一性を要求しない通常の状態で、膜厚分布は数パーセント程度存在する。したがって、この程度の膜厚分布に対しては特別な成膜技術を要しないことになる。しかしながら、基板272内で膜厚分布を数パーセント以上のものとして形成するためには、たとえば図9で示したように蒸着源262、263と基板272との間に膜厚補正マスク治具274を設置してその蒸着分布275を最適化することが好ましい。これにより、基板272に付着する蒸着粒子の量を調整して、所望の膜厚分布を形成することができる。この場合には、数パーセントから数百パーセントの範囲で膜厚分布を形成することができる。
【0086】
更に、図5で示したウイング状の透過帯域(ウイング域W1、W2)の光が混入する恐れがあるような場合には、これを防止するために図8で説明したように波長可変範囲の光波長成分とそれ以外の波長成分とを分離する必要がある。これはウイング域W1、W2の波長成分が光検出器の応答波長範囲に存在すると、これを本来検出する信号として処理してしまうからである。これを防止するために前記したバンド反射ミラーあるいは回折格子が用いられることは前述した。これらの詳細については第2の実施例で説明する。
【0087】
<第2の実施例>
【0088】
図11は本発明の第2の実施例におけるマルチチャネルモニタの要部を示したものである。本実施例のマルチチャネルモニタ300は、バンド反射ミラー301と、これに白色光等の広帯域光302を照射する所定数の発光ダイオード(LED)303と、バンド反射ミラー301の反射光304を照射される任意波長選択フィルタ305と、この任意波長選択フィルタ305と対向配置され、これを透過した光306を受光する2次元イメージセンサ307と、この2次元イメージセンサ307と接続され、これから出力されるデータ308を解析したり2次元イメージセンサ307の駆動を制御する駆動・分析部309とを備えている。このマルチチャネルモニタ300では、発光ダイオード303とバンド反射ミラー301の間に、解析の対象となる検査対象物が配置されるようになっている。また、バンド反射ミラー301は任意波長選択フィルタ305を構成する任意波長選択フィルタ部材の数だけのバンド反射ミラー部材を配置している。これらについては後に具体的に説明する。
【0089】
このマルチチャネルモニタ300は、400nmから1100nmまでの波長範囲で波長の監視等のモニタを行えるようになっている。広帯域光302は400nmから1100nmまでの波長範囲を連続して包含する光であり、その条件を満たせば必ずしも白色光である必要がない。また、発光ダイオード303として発光する波長範囲を少なくとも部分的に異ならせた複数の発光素子を使用し、これらの波長範囲を合成することでマルチチャネルモニタ300の分析する波長範囲を網羅するようにしてもよい。
【0090】
図12は任意波長選択フィルタと2次元イメージセンサの配置関係を表わしたものである。任意波長選択フィルタ305は第1の実施例の任意波長選択フィルタ211と基本的に同一のものであるが、波長範囲の互いに異なる第1〜第10の任意波長選択フィルタ部材311〜320によって構成されている。これら任意波長選択フィルタ部材311〜320は、それぞれ幅1mmで長さが10mmのサイズとなっており、対向する側面同士を図示しない接着剤で固着している。2次元イメージセンサ307は任意波長選択フィルタ305よりもわずかに大きなサイズとなっている。この第2の実施例では1/2インチ(12.7mm×12.7mm)のSi−CCD(Charged Coupled Device)受光素子を使用した。任意波長選択フィルタ305にたとえば光線入射角10度で入射する反射光304は、少なくとも任意波長選択フィルタ305の全域を照射することを要する。
【0091】
任意波長選択フィルタ305を構成する第1〜第10の任意波長選択フィルタ部材311〜320には、可視域から赤外域まで広範囲の波長域に対して透明で安定な誘電体を使用する。この第2の実施例では第1の実施例の場合と同様に第1の誘電体薄膜としてNb2O5を使用し、第2の誘電体薄膜としてSiO2を使用している。第1の誘電体薄膜のNb2O5は屈折率分散を有し、波長範囲の400nmから1100nmで相対波数が2.3から2.2の値を示す。第2の誘電体薄膜として使用されているSiO2はNb2O5よりも小さな屈折率分散を有し、波長範囲の400nmから1100nmで相対波数が1.48から1.46の値を示す。第1〜第10の任意波長選択フィルタ部材311〜320の基板には第1の実施例の場合と同様に、ショット(SCHOTT)社の商品名「BK7」のガラス基板(屈折率1.5)を使用している。この場合の膜構造は先に示した表現構造(6)で表わされる。
【0092】
次の表1は、第1〜第10の任意波長選択フィルタ部材における波長可変範囲を示している。この表1に示すように第2の実施例の第1〜第10の任意波長選択フィルタ部材311〜320の場合には、第1の実施例の場合と異なり400nmから1100nmの範囲で波長の抜けは生じていない。
【0093】
【表1】
【0094】
図13〜図22は、第1〜第10の任意波長選択フィルタ部材のそれぞれについての波長可変特性を示したものである。第1〜第10の任意波長選択フィルタ部材311〜320は、それぞれ担当する波長域が異なるので、図3に示した第1の誘電体薄膜222と第2の誘電体薄膜223をそれぞれに適したものに調整している。たとえば設計波長が1000nmで膜の屈折率が2.0の場合、膜厚は125nmとなる。波長範囲に応じて第1〜第10の任意波長選択フィルタ部材311〜320の可変範囲が50nmから120nmまで変動する。フィルタ透過特性によって、半値全幅は波長400nmにおける0.8nmから波長1100nmにおける2.3nmまで変化している。
【0095】
図23は、第2の実施例におけるバンド反射ミラーと入射光および反射光の関係を表わしたものである。バンド反射ミラー301は、図12に示した第1〜第10の任意波長選択フィルタ部材311〜320に1対1で対応させた第1〜第10バンド反射ミラー部材331〜340を配置した構成となっている。第1〜第10バンド反射ミラー部材331〜340は、それぞれ表1に示した短波長から長波長までの帯域を高反射率としたもので、これらを反射光3041〜30410として反射するようになっている。これらの反射光3041〜30410が、図11に示した任意波長選択フィルタ305の第1〜第10の任意波長選択フィルタ部材311〜320(図12)に選択的に照射される。
【0096】
図24は、バンド反射ミラーとこれに入射する広帯域光の位置関係を示したものである。バンド反射ミラー301に対してその全面を包含するような形で白色光等の広帯域光302が入射することになる。
【0097】
図25は、第2の実施例の1つの変形としてバンド反射ミラーの代わりに回折格子を使用して各波長範囲を切り出す場合を示したものである。これは先に(b)の手法として説明したものである。回折格子345には図23に示したバンド反射ミラー301の場合と同様に白色光等の広帯域光302が照射され、その回折光304A1〜304A10が、図11に示した任意波長選択フィルタ305の第1〜第10の任意波長選択フィルタ部材311〜320に選択的に照射されることになる。開口部材3461〜34610(ただし、図を煩雑にしないために一部のみを図示。)は、X軸方向(縦方向)に波長分布がありこれと直角の横方向に波長分布がない回折光について、これらの通過するそれぞれの波長の範囲を制限するために用いられている。
【0098】
切り出される波長範囲が広ければ、開口部材3461〜34610を回折格子345に接近させることが可能である。たとえば400nmから1100nmの光波長成分を切り出す場合には、入射角と回折格子のブレーズド波長にもよるが、この距離はおよそ1cmとなる。回折格子345をバンド反射ミラーの代わりに用いるとバンド反射ミラーを用いた場合と比較して分解能が劣化するので、通常の場合にはバンドパスフィルタとして用いることはない。この例のマルチチャネルモニタでは、必要な波長成分を切り出すことで、ウイング域W1、W2(図5)の波長成分を遮断し、高精度な任意波長選択フィルタ部材からなる任意波長選択フィルタ305(図11)および2次元イメージセンサ307(図11)を用いて波長の監視等のモニタを行う。このような用途には回折格子345の使用も適切であり、マルチチャネルモニタの小型化にも寄与する。
【0099】
図26は図24に対応するもので、回折格子とこれに入射する広帯域光のビーム径の位置関係を表わしたものである。回折格子345の場合には、図24に示したバンド反射ミラー301の場合と異なり、白色光等の広帯域光302のビームは回折格子345の比較的中央部に照射される。
【0100】
このように、縦方向(X軸方向)に段階的に波長が変移し、横方向(図示しないY軸方向)には波長が分布しない光を、回折格子345を使用するによっても実現することができる。この点は、図23に示したバンド反射ミラー301の場合も同様である。
【0101】
図27は、図11に示したマルチチャネルモニタをより具体的に表わしたものである。マルチチャネルモニタ300の白色光源350から出力される400nmから1100nmまでの波長範囲を包含する光は第1の光ファイバ351によって第1のコリメータレンズ352まで導かれ、コリメートされた光は波長のモニタの対象となるサンプル353に照射される。サンプル353を中心として第1のコリメータレンズ352と対称の位置には第2のコリメータレンズ354が配置されており、サンプル353を透過した光が集光されて第2の光ファイバ355の一端に結合するようになっている。第2の光ファイバ355の他端には拡大レンズ356が配置されている。拡大レンズ356によって拡大されたビーム径は第3のコリメータレンズ357に入射して平行な広帯域光302とされ、図23に示したバンド反射ミラー301にたとえば入射角10度で入射する。そして、その反射光3041〜30410が任意波長選択フィルタ305の第1〜第10の任意波長選択フィルタ部材311〜320(図12参照)の対応するものに照射される。そして、この任意波長選択フィルタ305によって波長ごとに分解された光が2次元イメージセンサ307に入射して、それぞれの波長の光の強度に応じたデータ308が駆動・分析部309に入力されて、波長ごとのモニタが行われる。
【0102】
図28は、2次元イメージセンサの一部を表わしたものである。2次元イメージセンサ307は、X軸方向およびY軸方向に隙間なく配置された多数の升目状のピクセル359から構成されている。第1の任意波長選択フィルタ部材311は、その長手方向がX軸方向と一致して配置されており、Y軸方向のn個ずつのピクセル(この図ではnは“3”)と対応している。第1の任意波長選択フィルタ部材311は、X軸方向に400nmから450nmまで選択波長を連続的に変化させているので、2次元イメージセンサ307における第1の任意波長選択フィルタ部材311に対応した領域では、それぞれのピクセル359はX軸方向の位置に対応して400nmから450nmまでの波長の光を選択的に受光することになる。
【0103】
図12に示した第2〜第10の任意波長選択フィルタ部材312〜320も図28には示していないが、第1の任意波長選択フィルタ部材311と同様にX軸方向を長手方向として配置され、Y軸方向のn個ずつのピクセルと対応している。したがって、これらについてもそれぞれ表1に示した波長範囲でX軸方向の位置に対応した波長の光を選択的に受光することになる。
【0104】
図29は、駆動・分析部の回路構成の概要を示したものである。駆動・分析部309は、図27に示した2次元イメージセンサ307の駆動を行う駆動信号361を出力するイメージセンサ駆動部362と、このイメージセンサ駆動部362が生成した2次元イメージセンサ307の読み取り開始を示すスタート信号363とライン同期信号364および1ラインにおける画素クロック365を入力するカウンタ回路366と、このカウンタ回路366が出力するピクセル単位の読み取りのための読取クロック367を一方の入力端子に入力するゲート回路368と、2次元イメージセンサ307から出力されるデータ369のA/D(アナログ/ディジタル)変換を行いその結果を読取データ371としてゲート回路368の他方の入力端子に入力するA/D変換器372と、読取クロック367をゲートの開閉制御に使用してゲート回路368から出力される波長別光強度信号374を書き込む分析結果メモリ375から構成されている。
【0105】
ここで、カウンタ回路366はスタート信号363を入力されるとライン同期信号364をカウントする。そして、たとえば第1の任意波長選択フィルタ部材311によって分光した400nmから450nmの波長の光については第2ラインのピクセル群の信号を分析結果として採用する場合には、ライン同期信号364が2回カウントされた時点で次のライン同期信号364がカウントされるまで画素クロック365を1ライン分連続して読取クロック367として出力する。
【0106】
また、スタート信号363は図27に示したサンプル353のスキャンを開始するたびに発生する信号である。2次元イメージセンサ307が1秒間に24フレームのスキャンを行う通常の部品である場合には、42ms(ミリ秒)ごとにスタート信号363が発生する。したがって、この場合には400nmから450nmの波長を42msで測定することができる。
【0107】
ところで、第2の任意波長選択フィルタ部材312が仮に図28に示した2次元イメージセンサ307でY軸方向に4番目から6番目までのピクセル359に対応していたとする。この場合、カウンタ回路366はスタート信号363が入力されてライン同期信号364がたとえば5回カウントされた時点で更に次のライン同期信号364がカウントされるまで画素クロック365を1ライン分連続して読取クロック367として出力することになる。以下同様にしてカウンタ回路366は第3〜第10の任意波長選択フィルタ部材313〜320にそれぞれ対応する1ラインずつの期間に読取クロック367を出力することになる。カウンタ回路366はライン同期信号364が何回カウントされたときに画素クロック365を1ライン分連続して読取クロック367として出力するかを表わした数値を、図示しないメモリに記憶している。
【0108】
ゲート回路368は、それぞれの読取クロック367に同期してA/D変換器372から出力される読取データ371を分析結果メモリ375にアドレスをカウントアップさせながら順に書き込むことになる。このようにして分析結果メモリ375には、400nmの波長から1160nmの波長までの波長別の光信号の受光レベルが記録されることになる。このときの波長に対する分解能は、400nmの波長から1160nmの波長の差分を、図28に示した2次元イメージセンサ307のX軸方向の1辺当たりのピクセル359の数を10倍した値で割ったものとなる。本実施例では、第1〜第10の任意波長選択フィルタ部材311〜320を使用し、X軸方向の1辺の10倍に波長をモニタする長さが拡大されるからである。たとえば2次元イメージセンサ307のX軸方向の1辺当たりのピクセル359の数が“1000”であったとすれば、760nmの波長範囲を数値“10000”で割ったことになるので、各ピクセル359が0.076nmの波長分解能で波長の監視等のモニタを行うことになる。
【0109】
分析結果メモリ375には同一サンプルについての複数回の分析結果を記憶することができる。分析結果メモリ375から出力される分析結果データは適宜波長ごとの平均を採る等の手法でデータ処理を行って、分析結果として利用されることになる。
【0110】
<第3の実施例>
【0111】
図30は本発明の第3の実施例のマルチチャネルモニタを示したものである。図30で図27と同一部分には同一の符号を付しており、これらの説明を適宜省略する。このマルチチャネルモニタ300Aで、白色光源350から第3のコリメータレンズ357までの光学系は図27に示したマルチチャネルモニタ300と同一である。第3のコリメータレンズ357で平行光とされた広帯域光302は図23に示したバンド反射ミラーの代わりに使用される回折格子345に入射する。そして、その回折光304A1〜304A10が分離フィルタ421に入射され、そのほぼ半分が反射光422となり、残りが透過光423となる。反射光422の波長域は1200nmから1800nmである。反射光422は第1の任意波長選択フィルタ3051を経て第1の2次元イメージセンサ3071で受光される。第1の2次元イメージセンサ3071はInGaAs−CCD受光素子で構成されており、これら1200nmから1800nmの範囲の波長別の光信号の受光レベルを検出する。
【0112】
これに対して透過光423の波長域は第2の実施例のマルチチャネルモニタ300と同様に400nmから1100nmとなっており、これらの光は第2の任意波長選択フィルタ3052を経て第2の2次元イメージセンサ3072で受光される。第2の2次元イメージセンサ3072は第2の実施例の2次元イメージセンサ307と同様にSi−CCD受光素子で構成されており、これら400nmから1100nmの範囲の波長別の光信号の受光レベルを検出する。
【0113】
第1および第2の2次元イメージセンサ3071、3072は駆動・分析部309Aで駆動の制御が行われると共に、読み出されたデータ3081、3082の分析が行われる。この変形例のマルチチャネルモニタ300Aでは、分離フィルタ421で入射光の帯域を2つに分けて、それぞれの波長を第1の任意波長選択フィルタ3051および第2の任意波長選択フィルタ3052を用いて分離している。したがって、より高精度の波長の監視等のモニタが可能である。
【0114】
<第4の実施例>
【0115】
図31は本発明の第4実施例としての生体検査装置の使用状態の一例を示したものである。この生体検査装置500は、図27に示した白色光源350と、一端をこの白色光源350に接続した第1の光ファイバ351と、第1の光ファイバ351の他端を接続した発光側の第1のプローブ501と、受光側の第2のプローブ502と、この受光側の第2のプローブ502を一端に接続した第2の光ファイバ355(図27)と、この第2の光ファイバ355の他端に接続された光分析部503によって構成されている。第1のプローブ501には図27に示した第1のコリメータレンズ352が内蔵されている。また、第2のプローブ502には同じく図27に示した第2のコリメータレンズ354が内蔵されている。光分析部503は図27における拡大レンズ356から2次元イメージセンサ307および駆動・分析部309を含んだものである。
【0116】
この第4の実施例の生体検査装置500では、第1のプローブ501および第2のプローブ502は、被験者の皮膚等の検査部位505に接触させあるいは近接させて、第2のプローブ502から散乱光を収集する。そして、光分析部503の分析結果から内出血の様子等の皮下組織の状態506を検査する。図27に示した2次元イメージセンサ307が26万画素(512×512ピクセル)の場合、波長400nmから1100nmまでの帯域に対して第1〜第10の任意波長選択フィルタ部材311〜320で5120画素の1次元アレイセンサで読み取ったと同様の読み取りができる。
【0117】
第4の実施例の場合、2次元イメージセンサ307は第1〜第10の任意波長選択フィルタ部材311〜320の長手方向と直交する方向に画素抵抗器にかなりの余裕を持っている。したがって、たとえば任意波長選択フィルタ部材をこの例のように10列配置する代わりに100列配置したとすれば1列で512画素を担当するので、100列では51200画素が波長400nmから1100nmまでの帯域の読み取りを行うことになる。これによる波長分解能は0.012nmにも達する。このような分解能は底面積が80cm四方で高さが40cm程度の大きなモノクロメータ(分光器)や同様に大型の光スペクトラムアナライザでしか実現されていない。
【0118】
本実施例では超小型のマルチチャネルモニタを使用することで、生体検査装置500を医院だけでなくオフィスや家庭で使用できるサイズと価格を実現している。
【0119】
この生体検査装置500で第1および第2のプローブ501、502を、図示しない暗箱中に対向して配置し、その間に試験管や所定の試験紙を配置することで、尿分析等の各種検査に適用することができる。
【0120】
図32は、尿分析試料の透過特性を示したものである。従来から、尿分析の際には採取した尿のサンプルに試験紙を浸し、反応した色によってグルコースやプロテイン、pHあるいは血液等の分析を行っている。試験紙の反応色は図32に示す第1〜第3の波長λ1〜λ3での反射率を測定することで分析している。具体的には第1の波長λ1は565nmであり、第2の波長λ2は635nmであり、第3の波長λ3は760nmである。これらの波長λ1、λ2およびλ3の光をそれぞれ出力する発光ダイオードを使用して、これらの波長での基準となるブランクパッドの反射光521と試験紙の反射光522の反射率Cm1、Cm2、CsおよびTm1、Tm2、Tsを測定する。第1および第2の波長λ1、λ2のそれぞれの反射率r1、r2は次の式(11)または式(12)で与えられる。
【0121】
r1=(Tm1・Cs)/(Ts・Cm1) ……(11)
r2=(Tm2・Cs)/(Ts・Cm2) ……(12)
【0122】
したがって、図31に示した生体検査装置500を試料検査装置として転用することで反射スペクトルを第1〜第3の波長λ1、〜λ3でのみならず更に多くの波長で測定することができる。これにより、尿中分析を高精度に行うことができる。
【0123】
次にこの生体検査装置500を使用した血糖値の測定について説明する。図31に示した発光側の第1のプローブ501と受光側の第2のプローブ502を指や耳たぶを挟むように配置することで血糖値の測定を簡易に行うことができる。すなわち、赤外域には、水、たんぱく質、コレステロール、グルコース等の物質の分子運動に起因する吸収波長帯が存在している。これらの吸収波長帯は、波長1400nmから1800nmの広帯域にわたっている。特に波長1510nmと波長1700nmはたんぱく質の吸収に関連する波長であり、波長1590nmはグルコースの吸収に関連する波長である。それぞれの物質の吸収幅は比較的広いので、どの物質がどれだけ含まれているかを高精度に測定するためには、波長1400nmから1800nmの範囲で高精度にかつ多くの波長を測定点として光分析を行う必要がある。
【0124】
血糖値の測定を行うには、測定結果を演算する必要がある。この第4の実施例では図30に示した駆動・分析部309Aがこの演算を行う。これについては血糖値の測定に関する従来技術と特に異なるところはないので、その詳細な説明は省略する。本実施例では多くの波長に対して測定ができることで、測定した各波長に対する測定値の信頼性の向上と、多波長を測定するにもかかわらず短時間のデータ収集が可能であり、測定結果としての精度を十分向上させることができる。
【0125】
この意味で、図30で示したマルチチャネルモニタ300Aを使用した生体検査装置は有益である。もちろん、他の実施例で説明したマルチチャネルモニタを用いても血糖値の測定を従来に比して高精度かつ短時間に測定することができる。また、図30で示したマルチチャネルモニタ300Aを使用した生体検査装置は血糖値に限らず、尿分析等の他の測定分野にも適用することができる。
【0126】
<第4の実施例の第1の変形例>
【0127】
第4の実施例の生体検査装置500は、その光分析部503に図27に示した任意波長選択フィルタ305と2次元イメージセンサ307を使用することにした。しかしながら、尿中分析等の分析を従来と同様に数箇所の波長に対して行う場合には、生体検査装置あるいはマルチチャネルモニタの構成を簡略化することができる。
【0128】
図33および図34は、本発明の第4の実施例の第1の変形例として簡略化された生体検査装置あるいはマルチチャネルモニタ(以下単にマルチチャネルモニタと称する。)の要部を示すものである。このマルチチャネルモニタの任意波長選択フィルタ521は固定フィルタ素子522〜525を縦横2個ずつとなるように平面上に配置したものである。任意波長選択フィルタ521と対向配置された2次元受光部531は、固定フィルタ素子522〜525にそれぞれ1対1に対応したフォトダイオード532〜535を同様にマトリックス状に配置した構成となっている(ただし、図33ではフォトダイオード533は隠れておりそ図に符号を付していない)。ここで、固定フィルタ素子522〜525はそれぞれ割り当てられた固有の波長のみを透過するフィルタとして構成されている。
【0129】
この変形例のマルチチャネルモニタでは、図34に示すように試料を経た光ビーム541が固定フィルタ素子522〜525の全域をカバーするような形で均一に照射される。これにより、4波長の透過結果を即座に検出し分析に利用することができる。なお、任意波長選択フィルタ521を構成する固定フィルタ素子522〜525にウイング状の透過帯域(ウイング域W1、W2)が存在する恐れがないような場合には、図27に示したバンド反射ミラー301等のバンドパスフィルタを装置内に設けることを省略することが可能である。
【0130】
<第4の実施例の第2の変形例>
【0131】
図35および図36は、本発明の第4の実施例の第2の変形例として簡略化されたマルチチャネルモニタの要部を示すものである。この装置の任意波長選択フィルタ551は図1に示した第1〜第5の任意波長選択フィルタ部材201〜205と同様の任意波長選択フィルタ部材1つで構成されている。したがって、図2に示した1〜第5の任意波長選択フィルタ部材201〜205を張り合わせた任意波長選択フィルタ211と仮に同一波長帯を確保するものとすると、任意波長選択フィルタ551の長さが同一の場合、第1の誘電体薄膜222と第2の誘電体薄膜223の膜厚の勾配は急になる。ただし、分析の対象となる波長域が比較的狭い範囲でよい場合には、第1の実施例の任意波長選択フィルタ部材201〜205のうちの必要なものを1つ選択して使用することも可能である。
【0132】
光ビーム552は図36に示すように任意波長選択フィルタ551の全域をカバーするように照射される。任意波長選択フィルタ551を透過した光はその背後に対向配置された1次元イメージセンサ(1次元アレイセンサ)553に入射するようになっている。すでに説明したウイング状の透過帯域(ウイング域W1、W2)が問題になる場合には、光ビーム552がこれらの領域の光成分をカットしたものになっていてもよい。この第2の変形例のマルチチャネルモニタでも、1次元イメージセンサ553として画素(ピクセル)の多いものを使用すれば、短時間で高精度の測定が可能である。また、1次元イメージセンサ553は2次元イメージセンサと同様に多くの汎用品が存在し、これらは高品質のものが安価に提供されている。しかも1次元イメージセンサ553の方が2次元イメージセンサよりも一般には小型であり安価である。したがって、装置が更に小型化され、安価となる。このため、生体や各種産業用の波長の監視等のモニタのために広く使用することができる。
【0133】
なお、以上説明した各実施例および変形例では誘電体膜を形成する基板にショット(SCHOTT)社の商品名「BK7」のガラス基板(屈折率1.5)を使用したが、これに限られるものではない。基板としては使用波長域で透明な広範囲の材料を使用可能である。たとえば光学結晶、光学ガラス、石英、透明プラスチック、ポリマ材が使用可能である。
【0134】
誘電体多層膜バンドパスフィルタを構成する光学膜膜材料については、適用波長域で透明で、屈折率が1.23〜5.67までの一般に知られている各種の材料の中から選択することができる。一例を挙げると次のようになる。フッ化カルシウムCaF2(屈折率1.23)、フッ化マグネシウムMgF2(屈折率1.38)、二酸化シリコンSiO2(屈折率1.46)、酸化マグネシウムMgO(屈折率1.80)、五酸化タンタルTa2O5(屈折率2.15)、五酸化ニオブNb2O5(屈折率2.24)、二酸化チタンTiO2(屈折率2.45)、セレン化亜鉛ZnSe(屈折率2.40)、テルル化鉛PbTe(屈折率5.67)、窒化アルミニウムAlN(屈折率1.94)、窒化シリコンSi3N4(屈折率1.95)、シリコンSi(屈折率3.4)、ゲルマニウムGe(屈折率4.0)。
【0135】
これらの光学薄膜は、電子ビーム蒸着法、イオンアシスト蒸着法、DCマグネトロンスパッタ法、RFマグネトロンスパッタ法、イオンプレーティング法、イオンビームスパッタ法、分子線エピタキシ(MBE)法、化学気相蒸着(CVC)法、ディップコーティング法等の従来から用いられている方法を使用して基板上に形成することができる。
【0136】
また、フィルタを構成する多層膜の設計については、市販されている各種の膜設計のソフトウェアを使用することができる。たとえばTFCalc(Software Spectra,Inc.)、Essential Macload(Thin−Film Center,Inc.)は光通信をはじめ光エレクトロニクス関係の業務一般に使用されている。
【0137】
更に実施例では基板上に誘電体多層膜を形成した任意波長選択フィルタ部材を短冊状に切断したもの同士の側面を接着あるいは他の手法で固定して任意波長選択フィルタを構成したが、同一の基板上にそれぞれ選択する波長の範囲が異なる複数の誘電体多層膜を直接形成したり、薄膜状の誘電体多層膜を支持基板上に何らかの手法で固定して任意波長選択フィルタとしてもよい。また、任意波長選択フィルタを構成する任意波長選択フィルタ部材は必ずしも短冊状である必要はないことは当然である。
【0138】
更に実施例ではマルチチャネルモニタの応用製品として生体検査装置を例に挙げたが、医療用だけでなく、工業用あるいは環境保全の調査用等の多くの分野で簡易かつ高品質の製品として活用を図ることができることはいうまでもない。
【0139】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1記載の発明の任意波長選択フィルタによれば、それぞれ異なった波長域で位置に応じて波長を連続して変化させる複数の任意波長選択フィルタ部材を同一受光面のそれぞれ異なった領域を担当するように配置したので、1つの受光面を形成する任意波長選択フィルタが比較的広範囲の波長の光成分を受光面で2次元的に分離することになり、任意波長選択フィルタの小型化が可能になる。また、2次元イメージセンサ等の2次元受光手段を使用して波長の監視等のモニタを安価に行うことができる。更に、任意波長選択フィルタ部材はたとえば誘電体多層膜フィルタとして形成することができ、設計や製造が容易である。また誘電体膜自体は昨今の光通信用フィルタとして広く使用されておりその環境に対する信頼性の高さが実証されている。
【0140】
また、請求項2記載の発明によれば、1つの受光面を形成する任意波長選択フィルタが比較的広範囲の波長の光成分を2次元的に分離することになり、任意波長選択フィルタの小型化が可能になる。また、2次元イメージセンサ等の2次元受光手段を使用して波長の監視等のモニタを安価に行うことができる。更に1枚の支持基板上に複数の任意波長選択フィルタ部材を配置して任意波長選択フィルタを構成しているので、機械的な衝撃に対して安定する。また、任意波長選択フィルタ部材はたとえば誘電体多層膜フィルタとして形成することができ、設計や製造が容易である。また誘電体膜自体は昨今の光通信用フィルタとして広く使用されておりその環境に対する信頼性の高さが実証されている。
【0141】
更に請求項3記載の発明によれば、請求項1記載の発明と同様の効果を得ることができるだけでなく光源から発せられ任意波長選択フィルタを透過した光を2次元受光手段で処理するので、受光手段もコンパクトで安価なものを使用することができ、しかも迅速な信号処理を行うことができる。更に、任意波長選択フィルタ部材はたとえば誘電体多層膜フィルタとして形成することができ、設計や製造が容易である。また誘電体膜自体は昨今の光通信用フィルタとして広く使用されておりその環境に対する信頼性の高さが実証されている。
【0142】
また請求項4記載の発明によれば、請求項2記載の発明と同様の効果を得ることができるだけでなく光源から発せられ任意波長選択フィルタを透過した光を2次元受光手段で処理するので、受光手段もコンパクトで安価なものを使用することができ、しかも迅速な信号処理を行うことができる。
【0143】
更に請求項5記載の発明によれば、任意波長選択フィルタが1つの任意波長選択フィルタ部材によって構成されていることを特徴としている。したがって、光源から発せられ任意波長選択フィルタを透過した光を受光する際にも1次元受光手段を用いることができ、波長の監視等のモニタを安価かつ高速に行うことができる。
【0144】
また、請求項6記載の発明によれば、請求項3記載のマルチチャネルモニタを使用し、その結果を演算手段で演算することで血糖値のように生体における特定の物質の存在する値を演算するようにしているので、生体検査装置を小型かつ安価に製造することができ、パーソナルユースを含めた装置として普及させることができる。
【0145】
更に請求項7記載の発明によれば、請求項4記載のマルチチャネルモニタを使用し、その結果を演算手段で演算することで血糖値のように生体における特定の物質の存在する値を演算するようにしているので、生体検査装置を小型かつ安価に製造することができ、パーソナルユースを含めた装置として普及させることができる。
【0146】
また請求項8記載の発明によれば、請求項5記載のマルチチャネルモニタを使用し、その結果を演算手段で演算することで血糖値のように生体における特定の物質の存在する値を演算するようにしているので、生体検査装置を小型かつ安価に製造することができ、パーソナルユースを含めた装置として普及させることができる。
【0147】
更に請求項9記載の発明によれば、2次元受光手段として2次元イメージセンサを使用するので、汎用品によるコストダウンを図ることができる。また、画素(ピクセル)の数が多いものを使用すれば分解能を十分高めることができる。
【0148】
また、請求項10記載の発明によれば、任意波長選択フィルタが本来透過すべき波長域以外の波長域を透過させるような特性があるときは、バンドパスフィルタを光源と任意波長選択フィルタの間に使用して、不要な光がモニタされないようにしているので、任意波長選択フィルタのコストダウンだけでなく、マルチチャネルモニタの品質の向上も図ることができる。
【0149】
更に請求項11記載の発明によれば、バンドパスフィルタとしてバンド反射ミラーを使用するので、高精度に不要な波長成分をカットすることができる。また、回折格子と比較すると透過率がたとえば90パーセント以上と高く、回折効率が50パーセント程度であるのと比較すると、光源の小型化が可能である。更に、バンド反射ミラー(ノッチフィルタ)はたとえば誘電体多層膜フィルタとして形成することができ、設計や製造が容易である。また誘電体膜自体は昨今の光通信用フィルタとして広く使用されておりその環境に対する信頼性の高さが実証されている。
【0150】
また、請求項12記載の発明によれば、バンドパスフィルタとして回折格子とこの回折光を所定の波長範囲のみ通過させる開口部材を使用するので、バンド反射ミラーに比してコストダウンを一層図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の任意波長選択フィルタを構成するそれぞれの任意波長選択フィルタ部材を示した斜視図である。
【図2】組み立て後の第1の実施例の任意波長選択フィルタを示す斜視図である。
【図3】本実施例で使用される任意波長選択フィルタ部材の原理的な構成を示した断面図である。
【図4】任意波長選択フィルタ部材の膜構造を示した要部断面図である。
【図5】式(5)で与えられるバンドパスフィルタを相対波数で表わしたフィルタ透過特性図である。
【図6】ZnOとSiO2を2種類の誘電体薄膜として使用した場合のバンド反射ミラーの反射特性を示した特性図である。
【図7】図6に示したバンド反射ミラーの最適化処理後の反射特性を示した特性図である。
【図8】任意波長選択フィルタ部材にバンド反射ミラーを使用した場合の光検出器の検出感度を示した説明図である。
【図9】第1の実施例における任意波長選択フィルタ部材の製造装置の概略構成図である。
【図10】膜構造の光学モニタチャートの一例を示した特性図である。
【図11】本発明の第2の実施例におけるマルチチャネルモニタを示した概略構成図である。
【図12】第2の実施例で任意波長選択フィルタと2次元イメージセンサの配置関係を表わした配置説明図である。
【図13】第2の実施例で第1の任意波長選択フィルタ部材の波長可変特性を示した特性図である。
【図14】第2の実施例で第2の任意波長選択フィルタ部材の波長可変特性を示した特性図である。
【図15】第2の実施例で第3の任意波長選択フィルタ部材の波長可変特性を示した特性図である。
【図16】第2の実施例で第4の任意波長選択フィルタ部材の波長可変特性を示した特性図である。
【図17】第2の実施例で第5の任意波長選択フィルタ部材の波長可変特性を示した特性図である。
【図18】第2の実施例で第6の任意波長選択フィルタ部材の波長可変特性を示した特性図である。
【図19】第2の実施例で第7の任意波長選択フィルタ部材の波長可変特性を示した特性図である。
【図20】第2の実施例で第8の任意波長選択フィルタ部材の波長可変特性を示した特性図である。
【図21】第2の実施例で第9の任意波長選択フィルタ部材の波長可変特性を示した特性図である。
【図22】第2の実施例で第10の任意波長選択フィルタ部材の波長可変特性を示した特性図である。
【図23】第2の実施例でバンド反射ミラーと入射光および反射光の関係を表わした説明図である。
【図24】第2の実施例でバンド反射ミラーとこれに入射する広帯域光の位置関係を示した説明図である。
【図25】第2の実施例の1つの変形として回折格子と入射光および回折光の関係を表わした説明図である。
【図26】回折格子とこれに入射する広帯域光のビーム径の位置関係を表わした説明図である。
【図27】図11に示したマルチチャネルモニタをより具体的に表わした概略構成図である。
【図28】第2の実施例の2次元イメージセンサの一部を表わした平面図である。
【図29】第2の実施例の駆動・分析部の概要を示したブロック図である。
【図30】本発明の第3の実施例のマルチチャネルモニタの概略構成図である。
【図31】本発明の第4の実施例の生体検査装置の使用状態を示す説明図である。
【図32】尿分析試料の透過特性を示す特性図である。
【図33】本発明の第4の実施例の第1の変形例におけるマルチチャネルモニタの要部斜視図である。
【図34】この第1の変形例における光ビームと固定フィルタ素子の位置関係を示す説明図である。
【図35】本発明の第4の実施例の第2の変形例におけるマルチチャネルモニタの要部斜視図である。
【図36】この第2の変形例における光ビームと固定フィルタ素子の位置関係を示す説明図である。
【図37】従来提案された血糖値測定装置の概要を示したブロック図である。
【図38】この提案による波長と吸光度との関係を示す特性図である。
【図39】従来のマルチチャネルアナライザの第1の例を示した概略構成図である。
【図40】第1の例における光の各波長の透過率と回転角の関係を示した特性図である。
【図41】従来のマルチチャネルアナライザの第2の例を示した概略構成図である。
【図42】従来のマルチチャネルアナライザの第3の例を示した概略構成図である。
【符号の説明】
201〜205 任意波長選択フィルタ部材
211、305、521、551 任意波長選択フィルタ
221 基板
222 第1の誘電体薄膜
223 第2の誘電体薄膜
261 真空チャンバ
262、263 蒸着源
269 モニタガラス
300 マルチチャネルモニタ
301 バンド反射ミラー
302 広帯域光
304 反射光
306 光
307 2次元イメージセンサ
308 データ
345 回折格子
346 開口部材
350 白色光源
352 第1のコリメータレンズ
353 サンプル
354 第2のコリメータレンズ
501 第1のプローブ
502 第2のプローブ
503 光分析部
505 検査部位
522、523、524、525 固定フィルタ素子
531 2次元受光部
532、533、534、535 フォトダイオード
553 1次元イメージセンサ(1次元アレイセンサ)
【発明の属する技術分野】
本発明は複数の波長の解析に使用するのに好適な任意波長選択フィルタおよびこの任意波長選択フィルタを使用して波長の監視等のモニタを行うマルチチャネルモニタならびに血糖値等の測定を行う生体検査装置に係わり、特に簡易な測定に使用可能な任意波長選択フィルタ、マルチチャネルモニタおよび生体検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
医療機器による測定結果は、人の健康状態を直接反映するため、高い信頼性が要求される。しかしながら、各種の医療用の測定装置が病院等の医療の現場でのみ使用され家庭やオフィスで使用されないとすると、測定の結果の恩恵を受ける対象が限定されるだけでなく、病気になる前の健康管理が必ずしも十分に行き届かないことになる。この意味で、血圧計や体脂肪測定装置のような職場や家庭で簡単に測定できる各種測定装置の開発の更なる発展は、病気の早期発見や予防医学の見地から大きな成果を挙げることができる。
【0003】
ところで、糖尿病患者は国内に700万人近く存在しており、その予備軍もほぼ同数存在していると推定されている。また、国民の栄養摂取量の過剰状態が続いているわが国では、糖尿病患者が今後ますます増加することが懸念されている。このような糖尿病患者およびその予備軍に対しては、血糖値の管理が大変重要である。
【0004】
血糖値の測定には、従来から高速液体クロマトグラフィ測定装置が使用されている。この装置では、糖尿病の診断・管理に不可欠な検査項目としてのヘモグロビンA1cを、1つの検体当たり1分余りの時間で高速処理する。しかしながら、装置自体が非常に高価であり、小規模な病院や診療所ではその購入の経済的な負担が大きい。また、検体から血液を採取する必要があるため、血液による各種の病気の感染の危険が皆無ではない。更に、サファイア針等の血液採取のための器具で皮膚を傷つけることになるので、頻繁な血液採取は検査を受ける者に身体的および精神的な苦痛を強いることになる。
【0005】
そこで、採血を行うことなく人体の血液中の糖度としての血糖値を測定することが提案されている(たとえば特許文献1参照)。
【0006】
この特許文献1に示す提案では、レーザダイオード、発光ダイオードなどのような、出力する光の波長の幅が狭い複数の光源を用いている。そして、これらの光源が発するそれぞれの光を温度に係わらず一定に保持して、測定試料としての指先と参照用物質の双方に照射し、その結果をそれぞれに対応した受光素子で受光して、各光源を経た光の強度を測定するようにしている。測定結果は、前もって用意した方程式(検量線)に代入して、人体の血液中の糖度、あるいはグルコース濃度を採血することなく測定することにしている。
【0007】
また、血糖値の測定だけでなく糖尿病の判断を行う装置も提案されている(たとえば特許文献2参照)。
【0008】
図37は、後者の特許文献2に示された血糖値測定装置の概要を示したものである。被験者の指101には第1および第2の半導体レーザ(LD)102、103からそれぞれ第1の波長λ1(680nm)と第2の波長λ2(830nm)の2種類の波長の光104、105が照射される。これらの光104、105は指101を透過した後、それぞれに対応した第1または第2の受光素子(PD)106、107で受光される。第1および第2の受光素子106、107の出力はメモリ108に入力されて、その時点での測定結果として記憶されるようになっている。
【0009】
血糖値の測定は、被験者の空腹時に初回が行われ、その後は一定時間間隔でグルコース糖を規定量飲んでは測定を繰り返す。これにより、グルコース糖による血糖値が増加していき、その様子がそれぞれの測定結果としてメモリ108に記憶される。所定回数の測定が終了すると、制御部109はメモリ108からそれぞれの測定結果を読み出して演算部111に与え、所定の演算を行わせる。演算結果112は制御部109の制御によって判断部113に渡されて糖尿病の有無の判断が行われるようになっている。
【0010】
図38は、この提案による波長と吸光度との関係を表わしたものである。横軸は波長を、縦軸は吸光度を表わしている。曲線121は血液中のヘモグロビンが還元ヘモグロビンだけの時の吸光度特性を示している。また、曲線122は血液中のヘモグロビンが酸化ヘモグロビンだけの時の吸光度特性を示している。実際の生体の血液のヘモグロビンは、還元ヘモグロビンと酸化ヘモグロビンが混在した状態となっている。そこで、実際の血液の吸光度を第1の波長λ1と第2の波長λ2の光を使用して測定して、これらの波長λ1、λ2の吸光度の差d1、d2を取ることで、測定血液の還元ヘモグロビンと酸化ヘモグロビンの割合を判別するようにしている。
【0011】
これによって血中酸素濃度が判るので、演算部111は図示しない血中酸素濃度と血糖値の関係を示すデータから血糖値を演算し、判断部113は血中酸素濃度の時間変化の特性の違いから糖尿病であるかどうかを判断するようにしている。
【0012】
以上説明したような従来の技術ではレーザダイオードや発光ダイオードをそれぞれ所望の波長に設定する必要があった。しかしながら、適切な波長の光源を選択したり、その光源の波長を温度等の環境変化を起こさせずに一定に保持することは困難であり、装置のコストアップを招いたり装置が大型化するという問題があった。
【0013】
また、このような従来の技術では、測定に使用する複数の波長の数だけの光源を必要とした。このため、これらの装置では現実的には2種類の光源を使用するのが精一杯であり、更に多くの波長を使用して測定精度を上げることは装置の価格やサイズとの関係で事実上不可能であった。
【0014】
以上、血糖値を測定する血糖値測定装置を例に挙げて説明したが、複数の波長を用いて物質の特性を簡易に測定するマルチチャネルモニタや生体検査装置についても同様の問題が生じた。ただし、比較的高価なマルチチャネルアナライザでは更に多くの波長の分析が行えるようになっている。
【0015】
図39は、従来のこのようなマルチチャネルアナライザの第1の例を示したものである。このマルチチャネルアナライザ130は入射光線131を反射する第1のミラー132と、第1のミラー132の反射光133を入射して特定波長の光134を回折する回動自在の凹面型の回折格子135と、この回折格子135の回折した光134を特定方向に反射させる第2のミラー136と、第2のミラー136の反射光137のうちの特定方向の光138のみを通過させるスリット139と、このスリット139を通過した光138を受光するフォトダイオード(PD)140とによって構成されている。このようなマルチチャネルアナライザ130では、回折格子135を矢印方向141に回転させることで、回折格子135に対する第1のミラー132の反射光133の反射角を変化させ、フォトダイオード140に入力する光の波長を変化させることができる。すなわち、マルチチャネルアナライザ130に入力される入射光線131を分光することができる。
【0016】
図40は、このマルチチャネルアナライザの第1の例における光の各波長の透過率と回転角の関係を示したものである。図39に示した回折格子135の回転角を変化させるとこれに応じて透過率のピークとなる波長λが連続的に移動していく。図ではそれぞれ所定の時間を置いた場合における透過率がピークとなる波長λ1、λ2、……の変化する様子を示している。
【0017】
図41は、従来のマルチチャネルアナライザの第2の例を示したものである。図39と同一部分には同一の符号を付しており、これらの説明を適宜省略する。このマルチチャネルアナライザ150では、第1のミラー132の反射光133は平面型の回折格子151に入射する。その回折光152は1次元アレイセンサ153の長手方向に波長分布しており、これが1次元アレイセンサ153に入射することになる。1次元アレイセンサ153はこの図でその長手方向に多数の受光素子を配置したセンサであり、これによりそれぞれの受光素子に対応した分解能で光の分析を行うことができる。すなわち、第2の例のマルチチャネルアナライザ150では、第1の従来例のフォトダイオードの代わりに1次元アレイセンサ153を受光素子として使用している。
【0018】
図42は、従来のマルチチャネルモニタの第3の例を示したものである。このマルチチャネルアナライザ160では、移動ステージ161がY軸方向162に移動自在に配置されている。移動ステージ161には透明な基板163の片面に厚さを連続的に変化させた互いに異なる屈折率の誘電体膜164、165を積層した誘電体多層膜フィルタ素子166がY軸方向162を長手方向にして取り付けられている。2種類の誘電体膜164、165は複数のペアとして形成されてもよい。誘電体多層膜フィルタ素子166はY軸方向162における位置に応じてピークとなる透過波長が変化するようになっている(たとえば特許文献3および特許文献4参照)。
【0019】
したがって、マルチチャネルアナライザ160はフォトダイオード(PD)167を定位置に固定していて、入射光168を誘電体多層膜フィルタ素子166を介してフォトダイオード167に入射するようにしておき、この配置状態で誘電体多層膜フィルタ素子166をY軸方向162に移動するようにしている。この結果、誘電体多層膜フィルタ素子166がY軸方向162に移動するのに従って、フォトダイオード167の受光する光の波長を連続的に変化させることができる。
【0020】
【特許文献1】
特開2002−350338号公報(第0013段落、図1)
【特許文献2】
特開平11−178814号公報(第0010段落、第0015段落、第0016段落、図1、図3)
【特許文献3】
特開平5−281480号公報(第0022段落、図2)
【特許文献4】
特開平8−227014号公報(第0025段落、図1)
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明した従来のマルチチャネルアナライザのうちの第1の例および第3の例では、分光するために駆動系が第2のミラー136(図39)を回転駆動したり、移動ステージ161(図42)をY軸方向162に移動させる必要がある。したがって一般的な波長のスキャン時間として10秒から1分程度を要し測定時間の短縮化に限界がある。また、機械的な機構を使用してスキャン動作を行うので、回折格子135(図39)や誘電体多層膜フィルタ素子166(図42)の振動や外乱等の影響を受けやすい。このような影響を最小限とするためには補強部材や質量の大きな部材を使用する必要があり、マルチチャネルアナライザの重量が増加するだけでなく、装置が大型化する。
【0022】
また、従来のマルチチャネルアナライザのうちの第1の例のマルチチャネルアナライザ130の場合には波長分解能を高めるためには回折格子135からスリット139までの距離を長くする必要がある。一般的には0.1nmの波長分解能を得るためにはこの距離を300mm程度にする必要があり、前記した装置の大型化の一因となる。
【0023】
一方、従来のマルチチャネルアナライザのうちの第2の例では回折格子151を経た光を1次元アレイセンサ153で受光する。したがって、1次元アレイセンサ153を構成するピクセルの数によって分析する波長のそれぞれの幅が定められる。一般的な1次元アレイセンサ153は256個、512個、1024個あるいは2048個の受光素子(ピクセル)を備えている。したがって、たとえば400nmから1100nmの範囲の波長域をスキャンする場合、波長分解能は0.4nm程度でしかなく、細かなピッチで波長の分析を行うことが困難であるという問題があった。
【0024】
そこで本発明の目的は、短時間に安定して比較的狭い波長分解能を得ることのできる任意波長選択フィルタと、この任意波長選択フィルタを使用して、簡易に物質の波長に対する特性を測定するマルチチャネルモニタならびに血糖値等の値をチェックする生体検査装置を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明の任意波長選択フィルタは、それぞれ異なった波長域で位置に応じて波長を連続して変化させる複数の任意波長選択フィルタ部材を同一受光面のそれぞれ異なった領域を担当するように配置したことを特徴としている。
【0026】
すなわち請求項1記載の発明では、それぞれ異なった波長域で位置に応じて波長を連続して変化させる複数の任意波長選択フィルタ部材を互いに同一受光面を構成するように接着剤や取り付け具等によって固定して任意波長選択フィルタとしている。それぞれの任意波長選択フィルタ部材が波長を連続的に変化させるだけでなく、これら任意波長選択フィルタ部材同士が異なる波長域を担当するので、1つの受光面を形成する任意波長選択フィルタが比較的広範囲の波長の光成分を2次元的に分離することになり、任意波長選択フィルタの小型化が可能になる。また、2次元イメージセンサ等の2次元受光手段を使用して波長の監視等のモニタを安価に行うことができる。
【0027】
請求項2記載の発明では、(イ)1枚の支持基板と、(ロ)この支持基板上の互いに異なった位置に配置され、それぞれ異なった波長域で位置に応じて波長を連続して変化させる複数の任意波長選択フィルタ部材とを任意波長選択フィルタに具備させる。
【0028】
すなわち請求項2記載の発明では、1枚の支持基板上にそれぞれ異なった波長域で位置に応じて波長を連続して変化させる複数の任意波長選択フィルタ部材を別々の位置に配置して任意波長選択フィルタを構成している。請求項1との違いは基板が共通するか否かである。請求項1記載の発明と同様に、任意波長選択フィルタ部材同士が異なる波長域を担当するので、1つの受光面を形成する任意波長選択フィルタが比較的広範囲の波長の光成分を2次元的に分離することになり、任意波長選択フィルタの小型化が可能になる。また、2次元イメージセンサ等の2次元受光手段を使用して波長の監視等のモニタを安価に行うことができる。
【0029】
請求項3記載の発明では、(イ)白色光源等の所定範囲の波長の光を出力する光源と、(ロ)この光源の出力する光を入射し、それぞれ異なった波長域で位置に応じて波長を連続して変化させる複数の任意波長選択フィルタ部材を同一受光面のそれぞれ異なった領域を担当するように配置してなる任意波長選択フィルタと、(ハ)光源から発せられ任意波長選択フィルタを透過した光を受光する2次元受光手段とをマルチチャネルモニタに具備させる。
【0030】
すなわち請求項3記載の発明では、請求項1記載の任意波長選択フィルタに光源から光を照射し、これを2次元的にそれぞれの波長で透過した光成分を2次元受光手段の対応する受光部で受光することで波長の監視等のモニタを可能にしている。2次元イメージセンサ等の2次元受光手段で波長の監視等のモニタを安価かつ高速に行うことができる。
【0031】
請求項4記載の発明では、(イ)白色光源等の所定範囲の波長の光を出力する光源と、(ロ)1枚の支持基板と、この支持基板上の互いに異なった位置に配置され、光源の出力する光を入射してそれぞれ異なった波長域で位置に応じて波長を連続して変化させる複数の任意波長選択フィルタ部材とを備えた任意波長選択フィルタと、(ハ)光源から発せられ任意波長選択フィルタを透過した光を受光する2次元受光手段とをマルチチャネルモニタに具備させる。
【0032】
すなわち請求項4記載の発明では、請求項2記載の任意波長選択フィルタに光源から光を照射し、これを2次元的にそれぞれの波長で透過した光成分を2次元受光手段の対応する受光部で受光することで波長の監視等のモニタを可能にしている。2次元イメージセンサ等の2次元受光手段で波長の監視等のモニタを安価かつ高速に行うことができる。
【0033】
請求項5記載の発明では、(イ)白色光源等の所定範囲の波長の光を出力する光源と、(ロ)この光源の出力する光を入射し、所定の波長域で位置に応じて波長を連続して変化させる任意波長選択フィルタと、(ハ)この任意波長選択フィルタの波長が変化する方向に複数の受光素子を一列に配置し、光源から発せられ任意波長選択フィルタを透過した光を受光する1次元受光手段とをマルチチャネルモニタに具備させる。
【0034】
すなわち請求項5記載の発明では、請求項3または請求項4記載の発明と異なり任意波長選択フィルタが1つの任意波長選択フィルタ部材によって構成されていることを特徴としている。したがって、光源から発せられ任意波長選択フィルタを透過した光を受光する1次元受光手段を用いて波長の監視等のモニタが行われる。この場合にでも波長の監視等のモニタを安価かつ高速に行うことができる。
【0035】
請求項6記載の発明では、(イ)白色光源等の所定範囲の波長の光を出力する光源と、この光源の出力する光を入射し、それぞれ異なった波長域で位置に応じて波長を連続して変化させる複数の任意波長選択フィルタを同一受光面のそれぞれ異なった領域を担当するように配置した任意波長選択フィルタと、光源から発せられ任意波長選択フィルタを透過した光を受光する受光素子が2次元的に配置された2次元受光手段とを備えたマルチチャネルモニタと、(ロ)このマルチチャネルモニタの波長ごとの受光結果を演算して生体における特定の物質の存在する値を算出する演算手段とを生体検査装置に具備させる。
【0036】
すなわち請求項6記載の発明では、請求項3記載のマルチチャネルモニタを使用し、その結果を演算手段で演算することで血糖値のように生体における特定の物質の存在する値を演算するようにしている。マルチチャネルモニタが小型かつ安価に製造できるので生体検査装置もパーソナルユースを含めた装置として構成することができる。
【0037】
請求項7記載の発明では、(イ)白色光源等の所定範囲の波長の光を出力する光源と、1枚の支持基板と、この支持基板上の互いに異なった位置に配置され、それぞれ異なった波長域で位置に応じて波長を連続して変化させる複数の任意波長選択フィルタ部材とを備えた任意波長選択フィルタと、光源から発せられ任意波長選択フィルタを透過した光を受光する2次元受光手段とを備えたマルチチャネルモニタと、(ロ)このマルチチャネルモニタの波長ごとの受光結果を演算して生体における特定の物質の存在する値を算出する演算手段とを生体検査装置に具備させる。
【0038】
すなわち請求項7記載の発明では、請求項4記載のマルチチャネルモニタを使用し、その結果を演算手段で演算することで血糖値のように生体における特定の物質の存在する値を演算するようにしている。マルチチャネルモニタが小型かつ安価に製造できるので生体検査装置もパーソナルユースを含めた装置として構成することができる。
【0039】
請求項8記載の発明では、(イ)白色光源等の所定範囲の波長の光を出力する光源と、この光源の出力する光を入射し、所定の波長域で位置に応じて波長を連続して変化させる任意波長選択フィルタと、この任意波長選択フィルタの波長が変化する方向に複数の受光素子を一列に配置し、光源から発せられ任意波長選択フィルタを透過した光を受光する1次元受光手段とを備えたマルチチャネルモニタと、(ロ)このマルチチャネルモニタの波長ごとの受光結果を演算して生体における特定の物質の存在する値を算出する演算手段とを生体検査装置に具備させる。
【0040】
すなわち請求項8記載の発明では、請求項5記載のマルチチャネルモニタを使用し、その結果を演算手段で演算することで血糖値のように生体における特定の物質の存在する値を演算するようにしている。マルチチャネルモニタが小型かつ安価に製造できるので生体検査装置もパーソナルユースを含めた装置として構成することができる。
【0041】
請求項9記載の発明では、請求項3または請求項4記載のマルチチャネルモニタで、2次元受光手段は2次元イメージセンサであることを特徴としている。
【0042】
すなわち請求項9記載の発明では、2次元受光手段は2次元イメージセンサを使用することで汎用品によるコストダウンを図ることができる。また、画素(ピクセル)の数が多いものを使用すれば分解能を十分高めることができる。
【0043】
請求項10記載の発明では、請求項3または請求項4記載のマルチチャネルモニタで、光源と任意波長選択フィルタの間に配置され、任意波長選択フィルタ部材の本来透過すべき波長域以外の波長域の透過を阻止するバンドパスフィルタを具備することを特徴としている。
【0044】
すなわち請求項10記載の発明では、任意波長選択フィルタ部材が本来透過すべき波長域以外の波長域を透過させるような特性があるときは、バンドパスフィルタを光源と任意波長選択フィルタの間に使用して、不要な光がモニタされないようにしている。
【0045】
請求項11記載の発明では、請求項10記載のマルチチャネルモニタで、バンドパスフィルタはバンド反射ミラーによって構成されていることを特徴としている。
【0046】
すなわち請求項11記載の発明では、バンドパスフィルタとして必要な波長域を選択的に反射するバンド反射ミラーを使用することにしている。
【0047】
請求項12記載の発明では、請求項10記載のマルチチャネルモニタで、バンドパスフィルタは回折格子とこの回折光を所定の波長範囲のみ通過させる開口部材とによって構成されていることを特徴としている。
【0048】
すなわち請求項12記載の発明では、バンドパスフィルタとして回折格子を使用する場合を示している。この場合には必要な波長の光のみが通過するように開口部材を使用するとよい。
【0049】
【発明の実施の形態】
【0050】
【実施例】
以下実施例につき本発明を詳細に説明する。
【0051】
<第1の実施例>
【0052】
図1は本発明の第1の実施例の任意波長選択フィルタを構成するそれぞれの任意波長選択フィルタ部材を示したものである。第1〜第5の任意波長選択フィルタ部材201〜205は、それぞれ幅1.95mm(ミリメートル)で長さが9.95mm、厚さが1mmの帯状をしている。第1の任意波長選択フィルタ部材201は、透明基板の上に膜厚が連続的に異なる傾斜フィルタを形成したもので、傾斜フィルタは短波長側が400nm(ナノメートル)から長波長側が459.7nmまでの波長を選択的に透過することができる。第2の任意波長選択フィルタ部材202は、同じく透明基板の上に膜厚が連続的に異なる傾斜フィルタを形成したもので、短波長側が460.3nmから長波長側が519.7nmまでの波長を選択的に透過することができる。第3の任意波長選択フィルタ部材203は、以上と同一構造で、短波長側が520.3nmから長波長側が579.7nmまでの波長を選択的に透過することができる。第4の任意波長選択フィルタ部材204は、以上と同一構造で、短波長側が580.3nmから長波長側が639.7nmまでの波長を選択的に透過することができる。最後に第5の任意波長選択フィルタ部材205は、以上と同一構造で、短波長側が640.3nmから長波長側が699.7nmまでの波長を選択的に透過することができる。
【0053】
第1〜第5の任意波長選択フィルタ部材201〜205は、それぞれ図示しない透明基板上に形成されたものであり、上記した寸法に短冊状に切断されて得られる。このとき、短冊の長手方向が膜厚勾配を有する方向となる。これらのフィルタ部材同士に0.6nmずつの波長の抜けがあるのは、切断時にこれらの部分が切除されたからである。このような製法を採ることにより、これら第1〜第5の任意波長選択フィルタ部材201〜205の製造コストを下げることができる。もちろん、第1〜第5の任意波長選択フィルタ部材201〜205を波長の抜けのないものとして製造することは可能である。これら第1〜第5の任意波長選択フィルタ部材201〜205は、対向する側面同士を図示しない接着剤で接着し同一平面のフィルタが完成する。接着剤には、使用波長範囲で透明なUV硬化型あるいは熱硬化型の光学接着剤が用いられる。接着剤を使用する代わりに、図示しない治具で第1〜第5の任意波長選択フィルタ部材201〜205を密着した状態で固定してもよい。
【0054】
図2は、この完成した任意波長選択フィルタを示したものである。張り合わされた側の辺としての短辺が9.75mmで長辺が9.95mmの任意波長選択フィルタ211が完成する。
【0055】
本実施例では第1〜第5の任意波長選択フィルタ部材201〜205を単純に貼り合わせて任意波長選択フィルタ211を構成したが、フィルム状の同様の複数のフィルタ部材を1つの透明な基板上に載置するように貼り合わせてもよい。
【0056】
図3は、本実施例で使用される任意波長選択フィルタ部材の原理的な構成を示したものである。ここでは第1の任意波長選択フィルタ部材201を示しているが、第2〜第5の任意波長選択フィルタ部材202〜205も基本的に同様の構成となっている。第1の任意波長選択フィルタ部材201は、透明な基板221とこの基板221上に形成され、図で左端側から右端側に向けて位置に応じて一様に厚さが変化する透明な第1の誘電体薄膜222と、この第1の誘電体薄膜222の上に形成され、同じく図で左端側から右端側に向けて位置に応じて一様に厚さが変化する透明な第2の誘電体薄膜223とから構成されている。第1の誘電体薄膜222と第2の誘電体薄膜223は、それぞれ異なる誘電体物質H、Lで構成されている。なお、この図では図示を簡略化するために第1および第2の誘電体薄膜222、223がペアとして1回ずつ層形成されたものとして示している。
【0057】
図4は任意波長選択フィルタ部材の膜構造を示したものである。この図に示したように、基板221上に第1の誘電体薄膜222と第2の誘電体薄膜223がペアとして順に複数回積層されて第1の任意波長選択フィルタ部材201が構成されている。基板221と反対側に位置する第2の誘電体薄膜223は、空気、樹脂溶剤、固形基板等の媒質と接していることになる。本実施例で第1の誘電体薄膜222にはNb2O5を使用し、第2の誘電体薄膜223にはSiO2を使用している。基板221にはショット(SCHOTT)社の商品名「BK7」のガラス基板(屈折率1.5)を使用している。
【0058】
第1の誘電体薄膜222と第2の誘電体薄膜223のそれぞれの厚さを位置に応じて連続的に変化させるには、幾つかの方法を採ることができる。たとえば真空蒸着を行うとき、蒸着源に対して基板を垂直に配置せず所定の傾斜角を設けて蒸着源からの距離を連続的に変化させることで厚さを連続的に変化させることができる。基板と蒸着源の間に、マスク板を配置して、マスク形状を適切に設計、配置することによっても、傾斜分布が得られる。
【0059】
この第1の任意波長選択フィルタ部材201で、波長可変性が得られる原理を説明する。2種類の互いに異なる誘電体物質H、Lの屈折率をそれぞれnH、nLとする。光フィルタの膜設計では、ある設計波長λ0を中心に、高反射率を有する誘電体多層膜ミラーを形成している。
【0060】
第1の誘電体薄膜222と第2の誘電体薄膜223は共に4分の1波長膜と呼ばれており、これらは設計波長λ0と次の式(1)または式(2)で示す関係にある。
H=λ0/4nH ……(1)
L=λ0/4nL ……(2)
【0061】
今、第1の誘電体薄膜222と第2の誘電体薄膜223からなる1組の層をペア層と称することにし、ペア層がn回(ただしnは正の整数。)繰り返し積層されるものとする。図4で示した基板201とペア層の間、およびペア層と媒質の間にスラッシュ“/”をつけて区別するものとすると、このような積層された第1の任意波長選択フィルタ部材201は次の表現構造(3)として表わすことができる。
基板/(HL)n/媒質 ……(3)
【0062】
たとえば、第1の誘電体薄膜222と第2の誘電体薄膜223のペア層が3層繰り返されて第1の任意波長選択フィルタ部材201が構成されているものとすると、表現構造(3)は次の表現構造(4)として表わされる。
基板/(HL)3/媒質 ……(4)
【0063】
ところで、ある特定の波長の光を他の光成分から分離する場合にはバンドパスフィルタが用いられる。バンドパスフィルタの共振器構造Aは一般に次の式(5)で表わすことができる。
A=[(HL)nHsLH(LH)nL] ……(5)
【0064】
ここで符号sは正の偶数(2、4、6、8……)を表わしている。項(HL)nHは、第1スタック層と呼ばれ、他の項H(LH)nは第2スタック層と呼ばれる。これらの項の間に配置された項sLはスペーサ層と呼ばれる。最後の項Lは結合層と呼ばれている。
【0065】
図5は式(5)で与えられるバンドパスフィルタを相対波数で表わしたフィルタ透過特性を示したものである。ここで相対波数とは、前記した設計波長λ0を波長λで除した値をいう。本実施例で第1の誘電体薄膜222として使用されているNb2O5は屈折率分散を有し、波長範囲の400nmから1100nmで相対波数が2.3から2.2の値を示す。第2の誘電体薄膜223として使用されているSiO2はNb2O5よりも小さな屈折率分散を有し、波長範囲の400nmから1100nmで相対波数が1.48から1.46の値を示す。設計波長λ0は600nmであり、膜構造は次の表現構造(6)で表わされる。
【0066】
基板(屈折率1.5)/(HL)6H8L(LH)6L/空気(屈折率1.0)……(6)
【0067】
この図5では、白色光をバンドパスフィルタに垂直に照射する場合を示している。この図のフィルタ特性から分かるように、このバンドパスフィルタは設計波長λ0に鋭いバンドパス型の透過波長を持っており、その短波長側と長波長側にそれぞれ阻止波長域S1、S2を有している。阻止波長域S1、S2は相対波数が0.86から1.14の範囲で成立する。阻止波長域S1、S2の帯域は、使用する第1の誘電体薄膜222と第2の誘電体薄膜223の屈折率比(nH/nL)に依存する。屈折率比が大きくなると阻止波長域S1、S2が広くなる。
【0068】
これら阻止波長域S1、S2を挟むような形でウイング状の透過帯域(ウイング域W1、W2)が存在する。ウイング域W1、W2は、相対波数0.84以下の短波長側と、相対波数1.16以上の長波長側に配置されている。このため、バンドパスフィルタとして所望の設計波長λ0のみを透過させるためには、これらウイング域W1、W2の光成分が混入しないような光学系を構成する必要がある。このためには、以下の2つの手法が有効である。
(a)バンド反射ミラーを用いて各波長範囲の光を選択的に反射させ、これを任意波長選択フィルタで分離する。
(b)回折格子で切り出された波長範囲の光に対して任意波長選択フィルタで分離する。
【0069】
ところである特定の設計波長λ0のみを透過するバンドパスフィルタが波長可変性を備えるには、式(1)および式(2)から第1の誘電体薄膜222と第2の誘電体薄膜223の物理膜厚を変えるようにすればよい。図3および図4で説明したように設計波長λ0は物理膜厚に比例する。そこで基板221上に形成された第1の誘電体薄膜222と第2の誘電体薄膜223の膜厚に所定の勾配を形成しておくことで、基板221のX軸方向の位置に応じて波長を変化させることができる。
【0070】
まず、先に述べた手法のうち(a)のバンド反射ミラーを使用する場合を説明する。バンド反射ミラーの反射帯域は、任意波長選択フィルタを構成するそれぞれの任意波長選択フィルタ部材201〜205についての波長可変域と同一か若干広めとする。そのバンド幅は、使用する2種類の屈折率の異なる誘電体薄膜の屈折率比で調整することができる。この第1の実施例ではバンド反射ミラーの2種類の誘電体薄膜をZnO(屈折率が1.94)とSiO2(屈折率が1.45)を使用した。この場合の膜構造は次の表現構造(7)で表わされる。
【0071】
基板/(HL)20/空気 ……(7)
【0072】
図6は、ZnOとSiO2を2種類の誘電体薄膜として使用した場合のバンド反射ミラーの反射特性を示したものである。ZnO(屈折率1.94)とSiO2(屈折率1.45)の屈折率比で反射波長のバンド幅を調整することができる。この基本膜による表現構造(3)は次の表現構造(8)として表わされる。
基板/(HL)20/空気 ……(8)
【0073】
この膜構造では図6に示すように一般的な高反射ミラーとしてリップル成分の多い特性が得られる。
【0074】
図7は、図6に示したバンド反射ミラーの反射特性を市販の膜設計ソフトウェアの使用により最適化処理を施した場合を示したものである。これにより、反射波長域Rの両側の波長域が共にリップル成分の減少した阻止波長域S1、S2となったバンド反射ミラーが実現する。このようなバンド反射ミラーによって選択的に反射した光を使用することで、図5で示される阻止波長域S1、S2の外側に存在するウイング域W1、W2を透過する波長成分が図示しない光検出器側に混入しないようにすることができる。
【0075】
図8を基にしてウイング域での波長成分が阻止される様子を具体的に説明する。同図で横軸は波長λを示している。この図8(a)で実線で示した第1の特性241と破線で示した第2の特性242は、図5に示したような誘電体多層膜の波長λに対する透過率を示したものである。第2の特性242は第1の特性241を長波長側にシフトさせたものである。これは図1に示した第1〜第5の任意波長選択フィルタ部材201〜205のそれぞれの担当する波長域の短波長λi−1側と長波長λi側を表わしている。
【0076】
同図(b)は、バンド反射ミラーの反射特性243を示している。同図(a)で示した透過波長の変化する幅(λi−1〜λi)の範囲あるいはこれよりもわずかに広い波長の範囲で高反射率を有し、これよりも短波長側および長波長側で反射率が極端に低下した反射特性となっている。
【0077】
光検出器の応答する波長域が、同図(c)に示すように透過波長の変化する幅(λi−1〜λi)よりも広い波長λaから波長λbまでとし、均一な強度の光をこれらの波長域で受信した場合の光検出器の感度が同図(d)に示すものであったとする。この場合には、バンド反射ミラーを使用しないと、図5で説明したウイング域W1、W2に対応する波長域で光検出器が感応してしまう。しかしながら、図8(b)に示す特性のバンド反射ミラーを使用して図2に示した任意波長選択フィルタ211の第1〜第5の任意波長選択フィルタ部材201〜205にそれぞれ必要な波長域(λi−1〜λi)の光を照射することで、それぞれに対応した光検出器をそれぞれのウイング域W1、W2の透過光を阻止した状態で検出動作させることができる。バンド反射ミラーの具体的な配置については、第2の実施例で取り上げるマルチチャネルモニタの箇所で説明する。
【0078】
以上説明したようにある特定の設計波長λ0のみを透過するバンドパスフィルタで波長可変性を備えるようにするためには、式(1)および式(2)より、誘電体物質H、Lの物理膜厚を変えればよい。また、設計波長λ0は物理膜厚に比例するので、基板内に所望の膜厚勾配を形成し、基盤における光の透過する位置を変えることでも波長可変性を得ることができる。
【0079】
図9は、この第1の実施例で説明した任意波長選択フィルタを構成する任意波長選択フィルタ部材の製造装置の概要を示したものである。高真空に排気された真空チャンバ261内の底部には、図3で説明した第1の誘電体薄膜222と第2の誘電体薄膜223のそれぞれを形成するための蒸着源262、263が、底部中心位置からある程度偏心した位置に配置されている。真空チャンバ261の底部および上部はそれらの中央位置周辺が少なくとも透明な部材で形成されている。真空チャンバ261の底部中央位置の下方には光源264が配置されている。光源264から上向きに出力されたモニタ光265は真空チャンバ261の内部を通過して、その上部に配置された集光用のレンズ266に入射し、焦点位置に配置された光検出器267によって検出される。真空チャンバ261内の基板回転ホルダ268におけるモニタ光265の通路にはモニタガラス269が配置されている。光検出器267はこのモニタガラス269上に形成される蒸着膜の厚さを透過光の減少の様子によってモニタするようになっている。
【0080】
基板回転ホルダ268は、真空チャンバ261内でモニタ光265の通過する光路を中心軸として矢印271方向に所定の回転速度で回転するようになっている。基板回転ホルダ268には蒸着源262、263と対向するようにして前記したモニタガラス269および図1に示した第1〜第5の任意波長選択フィルタ部材201〜205を製造するための基板272が固定されている。基板272はそれぞれ円周方向が長手方向になるように放射状に配置されている。また、真空チャンバ261の側壁の一部からは、膜厚補正用の膜厚補正マスク治具274がチャンバ中央部へと突出している。
【0081】
このような任意波長選択フィルタ部材の製造装置では、蒸着源262、263が基板回転ホルダ268の回転中心から偏心している。このため、基板272の面が蒸着源262、263に対して傾斜しているのと同様に、蒸着する誘電体薄膜の厚さに勾配を持たせることができる。
【0082】
図10は、表現構造(6)で与えられる膜構造の光学モニタチャートの一例を示したものである。図9と共に説明する。基板272上には図10で数値で示した層番号の“1”から誘電体が順次積層される。目的とする設計波長の任意波長選択フィルタ部材201〜205(図1参照)を製造するには、基板回転ホルダ268内部での膜厚分布を考慮して、所定のフィルタ特性となるように光源264の波長を適宜設定する。そして、モニタガラス269上でモニタしながら4分の1光学波長の膜厚の誘電体多層膜の積層を行うことで、狭帯域な特性を有する誘電体多層膜フィルタを高精度に製造することができる。
【0083】
すでに説明したように基板272に位置に応じて選択する波長が異なる波長可変特性を備えさせるためには、膜厚に勾配を形成すればよい。誘電体多層膜フィルタを構成する少なくとも2種類の誘電体薄膜について、式(1)または式(2)で与えられた膜厚をt(ただし、式(1)または式(2)では符号HまたはLで示している。)とする。基板272内でΔtの膜厚分布を持っているとする。基板272内では中心波長λの周りでΔλの波長分布を持つので、これらの関係は次の式(9)で与えられる。
Δλ/λ=Δt/t ……(9)
【0084】
したがって、たとえば中心波長λが800nmで、波長分布10nmを備えるには、基板272内の膜厚分布は次の式(10)で算出される。
Δt/t=1.25(%) ……(10)
【0085】
電子ビーム蒸着法の他に、成膜法にはイオンアシスト蒸着法、DCマグネトロンスパッタ法、RFマグネトロンスパッタ法、イオンプレーティング法、イオンビームスパッタ法、分子線エピタキシ(MBE)法、化学気相蒸着(CVC)法、ディップコーティング法等が存在している。電子ビーム蒸着法を含めたこれらいずれの成膜法であっても、基板272内に均一な膜厚分布を形成するためには、蒸着源262、263と基板272の配置を注意深く検討する必要がある。これとは逆に均一性を要求しない通常の状態で、膜厚分布は数パーセント程度存在する。したがって、この程度の膜厚分布に対しては特別な成膜技術を要しないことになる。しかしながら、基板272内で膜厚分布を数パーセント以上のものとして形成するためには、たとえば図9で示したように蒸着源262、263と基板272との間に膜厚補正マスク治具274を設置してその蒸着分布275を最適化することが好ましい。これにより、基板272に付着する蒸着粒子の量を調整して、所望の膜厚分布を形成することができる。この場合には、数パーセントから数百パーセントの範囲で膜厚分布を形成することができる。
【0086】
更に、図5で示したウイング状の透過帯域(ウイング域W1、W2)の光が混入する恐れがあるような場合には、これを防止するために図8で説明したように波長可変範囲の光波長成分とそれ以外の波長成分とを分離する必要がある。これはウイング域W1、W2の波長成分が光検出器の応答波長範囲に存在すると、これを本来検出する信号として処理してしまうからである。これを防止するために前記したバンド反射ミラーあるいは回折格子が用いられることは前述した。これらの詳細については第2の実施例で説明する。
【0087】
<第2の実施例>
【0088】
図11は本発明の第2の実施例におけるマルチチャネルモニタの要部を示したものである。本実施例のマルチチャネルモニタ300は、バンド反射ミラー301と、これに白色光等の広帯域光302を照射する所定数の発光ダイオード(LED)303と、バンド反射ミラー301の反射光304を照射される任意波長選択フィルタ305と、この任意波長選択フィルタ305と対向配置され、これを透過した光306を受光する2次元イメージセンサ307と、この2次元イメージセンサ307と接続され、これから出力されるデータ308を解析したり2次元イメージセンサ307の駆動を制御する駆動・分析部309とを備えている。このマルチチャネルモニタ300では、発光ダイオード303とバンド反射ミラー301の間に、解析の対象となる検査対象物が配置されるようになっている。また、バンド反射ミラー301は任意波長選択フィルタ305を構成する任意波長選択フィルタ部材の数だけのバンド反射ミラー部材を配置している。これらについては後に具体的に説明する。
【0089】
このマルチチャネルモニタ300は、400nmから1100nmまでの波長範囲で波長の監視等のモニタを行えるようになっている。広帯域光302は400nmから1100nmまでの波長範囲を連続して包含する光であり、その条件を満たせば必ずしも白色光である必要がない。また、発光ダイオード303として発光する波長範囲を少なくとも部分的に異ならせた複数の発光素子を使用し、これらの波長範囲を合成することでマルチチャネルモニタ300の分析する波長範囲を網羅するようにしてもよい。
【0090】
図12は任意波長選択フィルタと2次元イメージセンサの配置関係を表わしたものである。任意波長選択フィルタ305は第1の実施例の任意波長選択フィルタ211と基本的に同一のものであるが、波長範囲の互いに異なる第1〜第10の任意波長選択フィルタ部材311〜320によって構成されている。これら任意波長選択フィルタ部材311〜320は、それぞれ幅1mmで長さが10mmのサイズとなっており、対向する側面同士を図示しない接着剤で固着している。2次元イメージセンサ307は任意波長選択フィルタ305よりもわずかに大きなサイズとなっている。この第2の実施例では1/2インチ(12.7mm×12.7mm)のSi−CCD(Charged Coupled Device)受光素子を使用した。任意波長選択フィルタ305にたとえば光線入射角10度で入射する反射光304は、少なくとも任意波長選択フィルタ305の全域を照射することを要する。
【0091】
任意波長選択フィルタ305を構成する第1〜第10の任意波長選択フィルタ部材311〜320には、可視域から赤外域まで広範囲の波長域に対して透明で安定な誘電体を使用する。この第2の実施例では第1の実施例の場合と同様に第1の誘電体薄膜としてNb2O5を使用し、第2の誘電体薄膜としてSiO2を使用している。第1の誘電体薄膜のNb2O5は屈折率分散を有し、波長範囲の400nmから1100nmで相対波数が2.3から2.2の値を示す。第2の誘電体薄膜として使用されているSiO2はNb2O5よりも小さな屈折率分散を有し、波長範囲の400nmから1100nmで相対波数が1.48から1.46の値を示す。第1〜第10の任意波長選択フィルタ部材311〜320の基板には第1の実施例の場合と同様に、ショット(SCHOTT)社の商品名「BK7」のガラス基板(屈折率1.5)を使用している。この場合の膜構造は先に示した表現構造(6)で表わされる。
【0092】
次の表1は、第1〜第10の任意波長選択フィルタ部材における波長可変範囲を示している。この表1に示すように第2の実施例の第1〜第10の任意波長選択フィルタ部材311〜320の場合には、第1の実施例の場合と異なり400nmから1100nmの範囲で波長の抜けは生じていない。
【0093】
【表1】
【0094】
図13〜図22は、第1〜第10の任意波長選択フィルタ部材のそれぞれについての波長可変特性を示したものである。第1〜第10の任意波長選択フィルタ部材311〜320は、それぞれ担当する波長域が異なるので、図3に示した第1の誘電体薄膜222と第2の誘電体薄膜223をそれぞれに適したものに調整している。たとえば設計波長が1000nmで膜の屈折率が2.0の場合、膜厚は125nmとなる。波長範囲に応じて第1〜第10の任意波長選択フィルタ部材311〜320の可変範囲が50nmから120nmまで変動する。フィルタ透過特性によって、半値全幅は波長400nmにおける0.8nmから波長1100nmにおける2.3nmまで変化している。
【0095】
図23は、第2の実施例におけるバンド反射ミラーと入射光および反射光の関係を表わしたものである。バンド反射ミラー301は、図12に示した第1〜第10の任意波長選択フィルタ部材311〜320に1対1で対応させた第1〜第10バンド反射ミラー部材331〜340を配置した構成となっている。第1〜第10バンド反射ミラー部材331〜340は、それぞれ表1に示した短波長から長波長までの帯域を高反射率としたもので、これらを反射光3041〜30410として反射するようになっている。これらの反射光3041〜30410が、図11に示した任意波長選択フィルタ305の第1〜第10の任意波長選択フィルタ部材311〜320(図12)に選択的に照射される。
【0096】
図24は、バンド反射ミラーとこれに入射する広帯域光の位置関係を示したものである。バンド反射ミラー301に対してその全面を包含するような形で白色光等の広帯域光302が入射することになる。
【0097】
図25は、第2の実施例の1つの変形としてバンド反射ミラーの代わりに回折格子を使用して各波長範囲を切り出す場合を示したものである。これは先に(b)の手法として説明したものである。回折格子345には図23に示したバンド反射ミラー301の場合と同様に白色光等の広帯域光302が照射され、その回折光304A1〜304A10が、図11に示した任意波長選択フィルタ305の第1〜第10の任意波長選択フィルタ部材311〜320に選択的に照射されることになる。開口部材3461〜34610(ただし、図を煩雑にしないために一部のみを図示。)は、X軸方向(縦方向)に波長分布がありこれと直角の横方向に波長分布がない回折光について、これらの通過するそれぞれの波長の範囲を制限するために用いられている。
【0098】
切り出される波長範囲が広ければ、開口部材3461〜34610を回折格子345に接近させることが可能である。たとえば400nmから1100nmの光波長成分を切り出す場合には、入射角と回折格子のブレーズド波長にもよるが、この距離はおよそ1cmとなる。回折格子345をバンド反射ミラーの代わりに用いるとバンド反射ミラーを用いた場合と比較して分解能が劣化するので、通常の場合にはバンドパスフィルタとして用いることはない。この例のマルチチャネルモニタでは、必要な波長成分を切り出すことで、ウイング域W1、W2(図5)の波長成分を遮断し、高精度な任意波長選択フィルタ部材からなる任意波長選択フィルタ305(図11)および2次元イメージセンサ307(図11)を用いて波長の監視等のモニタを行う。このような用途には回折格子345の使用も適切であり、マルチチャネルモニタの小型化にも寄与する。
【0099】
図26は図24に対応するもので、回折格子とこれに入射する広帯域光のビーム径の位置関係を表わしたものである。回折格子345の場合には、図24に示したバンド反射ミラー301の場合と異なり、白色光等の広帯域光302のビームは回折格子345の比較的中央部に照射される。
【0100】
このように、縦方向(X軸方向)に段階的に波長が変移し、横方向(図示しないY軸方向)には波長が分布しない光を、回折格子345を使用するによっても実現することができる。この点は、図23に示したバンド反射ミラー301の場合も同様である。
【0101】
図27は、図11に示したマルチチャネルモニタをより具体的に表わしたものである。マルチチャネルモニタ300の白色光源350から出力される400nmから1100nmまでの波長範囲を包含する光は第1の光ファイバ351によって第1のコリメータレンズ352まで導かれ、コリメートされた光は波長のモニタの対象となるサンプル353に照射される。サンプル353を中心として第1のコリメータレンズ352と対称の位置には第2のコリメータレンズ354が配置されており、サンプル353を透過した光が集光されて第2の光ファイバ355の一端に結合するようになっている。第2の光ファイバ355の他端には拡大レンズ356が配置されている。拡大レンズ356によって拡大されたビーム径は第3のコリメータレンズ357に入射して平行な広帯域光302とされ、図23に示したバンド反射ミラー301にたとえば入射角10度で入射する。そして、その反射光3041〜30410が任意波長選択フィルタ305の第1〜第10の任意波長選択フィルタ部材311〜320(図12参照)の対応するものに照射される。そして、この任意波長選択フィルタ305によって波長ごとに分解された光が2次元イメージセンサ307に入射して、それぞれの波長の光の強度に応じたデータ308が駆動・分析部309に入力されて、波長ごとのモニタが行われる。
【0102】
図28は、2次元イメージセンサの一部を表わしたものである。2次元イメージセンサ307は、X軸方向およびY軸方向に隙間なく配置された多数の升目状のピクセル359から構成されている。第1の任意波長選択フィルタ部材311は、その長手方向がX軸方向と一致して配置されており、Y軸方向のn個ずつのピクセル(この図ではnは“3”)と対応している。第1の任意波長選択フィルタ部材311は、X軸方向に400nmから450nmまで選択波長を連続的に変化させているので、2次元イメージセンサ307における第1の任意波長選択フィルタ部材311に対応した領域では、それぞれのピクセル359はX軸方向の位置に対応して400nmから450nmまでの波長の光を選択的に受光することになる。
【0103】
図12に示した第2〜第10の任意波長選択フィルタ部材312〜320も図28には示していないが、第1の任意波長選択フィルタ部材311と同様にX軸方向を長手方向として配置され、Y軸方向のn個ずつのピクセルと対応している。したがって、これらについてもそれぞれ表1に示した波長範囲でX軸方向の位置に対応した波長の光を選択的に受光することになる。
【0104】
図29は、駆動・分析部の回路構成の概要を示したものである。駆動・分析部309は、図27に示した2次元イメージセンサ307の駆動を行う駆動信号361を出力するイメージセンサ駆動部362と、このイメージセンサ駆動部362が生成した2次元イメージセンサ307の読み取り開始を示すスタート信号363とライン同期信号364および1ラインにおける画素クロック365を入力するカウンタ回路366と、このカウンタ回路366が出力するピクセル単位の読み取りのための読取クロック367を一方の入力端子に入力するゲート回路368と、2次元イメージセンサ307から出力されるデータ369のA/D(アナログ/ディジタル)変換を行いその結果を読取データ371としてゲート回路368の他方の入力端子に入力するA/D変換器372と、読取クロック367をゲートの開閉制御に使用してゲート回路368から出力される波長別光強度信号374を書き込む分析結果メモリ375から構成されている。
【0105】
ここで、カウンタ回路366はスタート信号363を入力されるとライン同期信号364をカウントする。そして、たとえば第1の任意波長選択フィルタ部材311によって分光した400nmから450nmの波長の光については第2ラインのピクセル群の信号を分析結果として採用する場合には、ライン同期信号364が2回カウントされた時点で次のライン同期信号364がカウントされるまで画素クロック365を1ライン分連続して読取クロック367として出力する。
【0106】
また、スタート信号363は図27に示したサンプル353のスキャンを開始するたびに発生する信号である。2次元イメージセンサ307が1秒間に24フレームのスキャンを行う通常の部品である場合には、42ms(ミリ秒)ごとにスタート信号363が発生する。したがって、この場合には400nmから450nmの波長を42msで測定することができる。
【0107】
ところで、第2の任意波長選択フィルタ部材312が仮に図28に示した2次元イメージセンサ307でY軸方向に4番目から6番目までのピクセル359に対応していたとする。この場合、カウンタ回路366はスタート信号363が入力されてライン同期信号364がたとえば5回カウントされた時点で更に次のライン同期信号364がカウントされるまで画素クロック365を1ライン分連続して読取クロック367として出力することになる。以下同様にしてカウンタ回路366は第3〜第10の任意波長選択フィルタ部材313〜320にそれぞれ対応する1ラインずつの期間に読取クロック367を出力することになる。カウンタ回路366はライン同期信号364が何回カウントされたときに画素クロック365を1ライン分連続して読取クロック367として出力するかを表わした数値を、図示しないメモリに記憶している。
【0108】
ゲート回路368は、それぞれの読取クロック367に同期してA/D変換器372から出力される読取データ371を分析結果メモリ375にアドレスをカウントアップさせながら順に書き込むことになる。このようにして分析結果メモリ375には、400nmの波長から1160nmの波長までの波長別の光信号の受光レベルが記録されることになる。このときの波長に対する分解能は、400nmの波長から1160nmの波長の差分を、図28に示した2次元イメージセンサ307のX軸方向の1辺当たりのピクセル359の数を10倍した値で割ったものとなる。本実施例では、第1〜第10の任意波長選択フィルタ部材311〜320を使用し、X軸方向の1辺の10倍に波長をモニタする長さが拡大されるからである。たとえば2次元イメージセンサ307のX軸方向の1辺当たりのピクセル359の数が“1000”であったとすれば、760nmの波長範囲を数値“10000”で割ったことになるので、各ピクセル359が0.076nmの波長分解能で波長の監視等のモニタを行うことになる。
【0109】
分析結果メモリ375には同一サンプルについての複数回の分析結果を記憶することができる。分析結果メモリ375から出力される分析結果データは適宜波長ごとの平均を採る等の手法でデータ処理を行って、分析結果として利用されることになる。
【0110】
<第3の実施例>
【0111】
図30は本発明の第3の実施例のマルチチャネルモニタを示したものである。図30で図27と同一部分には同一の符号を付しており、これらの説明を適宜省略する。このマルチチャネルモニタ300Aで、白色光源350から第3のコリメータレンズ357までの光学系は図27に示したマルチチャネルモニタ300と同一である。第3のコリメータレンズ357で平行光とされた広帯域光302は図23に示したバンド反射ミラーの代わりに使用される回折格子345に入射する。そして、その回折光304A1〜304A10が分離フィルタ421に入射され、そのほぼ半分が反射光422となり、残りが透過光423となる。反射光422の波長域は1200nmから1800nmである。反射光422は第1の任意波長選択フィルタ3051を経て第1の2次元イメージセンサ3071で受光される。第1の2次元イメージセンサ3071はInGaAs−CCD受光素子で構成されており、これら1200nmから1800nmの範囲の波長別の光信号の受光レベルを検出する。
【0112】
これに対して透過光423の波長域は第2の実施例のマルチチャネルモニタ300と同様に400nmから1100nmとなっており、これらの光は第2の任意波長選択フィルタ3052を経て第2の2次元イメージセンサ3072で受光される。第2の2次元イメージセンサ3072は第2の実施例の2次元イメージセンサ307と同様にSi−CCD受光素子で構成されており、これら400nmから1100nmの範囲の波長別の光信号の受光レベルを検出する。
【0113】
第1および第2の2次元イメージセンサ3071、3072は駆動・分析部309Aで駆動の制御が行われると共に、読み出されたデータ3081、3082の分析が行われる。この変形例のマルチチャネルモニタ300Aでは、分離フィルタ421で入射光の帯域を2つに分けて、それぞれの波長を第1の任意波長選択フィルタ3051および第2の任意波長選択フィルタ3052を用いて分離している。したがって、より高精度の波長の監視等のモニタが可能である。
【0114】
<第4の実施例>
【0115】
図31は本発明の第4実施例としての生体検査装置の使用状態の一例を示したものである。この生体検査装置500は、図27に示した白色光源350と、一端をこの白色光源350に接続した第1の光ファイバ351と、第1の光ファイバ351の他端を接続した発光側の第1のプローブ501と、受光側の第2のプローブ502と、この受光側の第2のプローブ502を一端に接続した第2の光ファイバ355(図27)と、この第2の光ファイバ355の他端に接続された光分析部503によって構成されている。第1のプローブ501には図27に示した第1のコリメータレンズ352が内蔵されている。また、第2のプローブ502には同じく図27に示した第2のコリメータレンズ354が内蔵されている。光分析部503は図27における拡大レンズ356から2次元イメージセンサ307および駆動・分析部309を含んだものである。
【0116】
この第4の実施例の生体検査装置500では、第1のプローブ501および第2のプローブ502は、被験者の皮膚等の検査部位505に接触させあるいは近接させて、第2のプローブ502から散乱光を収集する。そして、光分析部503の分析結果から内出血の様子等の皮下組織の状態506を検査する。図27に示した2次元イメージセンサ307が26万画素(512×512ピクセル)の場合、波長400nmから1100nmまでの帯域に対して第1〜第10の任意波長選択フィルタ部材311〜320で5120画素の1次元アレイセンサで読み取ったと同様の読み取りができる。
【0117】
第4の実施例の場合、2次元イメージセンサ307は第1〜第10の任意波長選択フィルタ部材311〜320の長手方向と直交する方向に画素抵抗器にかなりの余裕を持っている。したがって、たとえば任意波長選択フィルタ部材をこの例のように10列配置する代わりに100列配置したとすれば1列で512画素を担当するので、100列では51200画素が波長400nmから1100nmまでの帯域の読み取りを行うことになる。これによる波長分解能は0.012nmにも達する。このような分解能は底面積が80cm四方で高さが40cm程度の大きなモノクロメータ(分光器)や同様に大型の光スペクトラムアナライザでしか実現されていない。
【0118】
本実施例では超小型のマルチチャネルモニタを使用することで、生体検査装置500を医院だけでなくオフィスや家庭で使用できるサイズと価格を実現している。
【0119】
この生体検査装置500で第1および第2のプローブ501、502を、図示しない暗箱中に対向して配置し、その間に試験管や所定の試験紙を配置することで、尿分析等の各種検査に適用することができる。
【0120】
図32は、尿分析試料の透過特性を示したものである。従来から、尿分析の際には採取した尿のサンプルに試験紙を浸し、反応した色によってグルコースやプロテイン、pHあるいは血液等の分析を行っている。試験紙の反応色は図32に示す第1〜第3の波長λ1〜λ3での反射率を測定することで分析している。具体的には第1の波長λ1は565nmであり、第2の波長λ2は635nmであり、第3の波長λ3は760nmである。これらの波長λ1、λ2およびλ3の光をそれぞれ出力する発光ダイオードを使用して、これらの波長での基準となるブランクパッドの反射光521と試験紙の反射光522の反射率Cm1、Cm2、CsおよびTm1、Tm2、Tsを測定する。第1および第2の波長λ1、λ2のそれぞれの反射率r1、r2は次の式(11)または式(12)で与えられる。
【0121】
r1=(Tm1・Cs)/(Ts・Cm1) ……(11)
r2=(Tm2・Cs)/(Ts・Cm2) ……(12)
【0122】
したがって、図31に示した生体検査装置500を試料検査装置として転用することで反射スペクトルを第1〜第3の波長λ1、〜λ3でのみならず更に多くの波長で測定することができる。これにより、尿中分析を高精度に行うことができる。
【0123】
次にこの生体検査装置500を使用した血糖値の測定について説明する。図31に示した発光側の第1のプローブ501と受光側の第2のプローブ502を指や耳たぶを挟むように配置することで血糖値の測定を簡易に行うことができる。すなわち、赤外域には、水、たんぱく質、コレステロール、グルコース等の物質の分子運動に起因する吸収波長帯が存在している。これらの吸収波長帯は、波長1400nmから1800nmの広帯域にわたっている。特に波長1510nmと波長1700nmはたんぱく質の吸収に関連する波長であり、波長1590nmはグルコースの吸収に関連する波長である。それぞれの物質の吸収幅は比較的広いので、どの物質がどれだけ含まれているかを高精度に測定するためには、波長1400nmから1800nmの範囲で高精度にかつ多くの波長を測定点として光分析を行う必要がある。
【0124】
血糖値の測定を行うには、測定結果を演算する必要がある。この第4の実施例では図30に示した駆動・分析部309Aがこの演算を行う。これについては血糖値の測定に関する従来技術と特に異なるところはないので、その詳細な説明は省略する。本実施例では多くの波長に対して測定ができることで、測定した各波長に対する測定値の信頼性の向上と、多波長を測定するにもかかわらず短時間のデータ収集が可能であり、測定結果としての精度を十分向上させることができる。
【0125】
この意味で、図30で示したマルチチャネルモニタ300Aを使用した生体検査装置は有益である。もちろん、他の実施例で説明したマルチチャネルモニタを用いても血糖値の測定を従来に比して高精度かつ短時間に測定することができる。また、図30で示したマルチチャネルモニタ300Aを使用した生体検査装置は血糖値に限らず、尿分析等の他の測定分野にも適用することができる。
【0126】
<第4の実施例の第1の変形例>
【0127】
第4の実施例の生体検査装置500は、その光分析部503に図27に示した任意波長選択フィルタ305と2次元イメージセンサ307を使用することにした。しかしながら、尿中分析等の分析を従来と同様に数箇所の波長に対して行う場合には、生体検査装置あるいはマルチチャネルモニタの構成を簡略化することができる。
【0128】
図33および図34は、本発明の第4の実施例の第1の変形例として簡略化された生体検査装置あるいはマルチチャネルモニタ(以下単にマルチチャネルモニタと称する。)の要部を示すものである。このマルチチャネルモニタの任意波長選択フィルタ521は固定フィルタ素子522〜525を縦横2個ずつとなるように平面上に配置したものである。任意波長選択フィルタ521と対向配置された2次元受光部531は、固定フィルタ素子522〜525にそれぞれ1対1に対応したフォトダイオード532〜535を同様にマトリックス状に配置した構成となっている(ただし、図33ではフォトダイオード533は隠れておりそ図に符号を付していない)。ここで、固定フィルタ素子522〜525はそれぞれ割り当てられた固有の波長のみを透過するフィルタとして構成されている。
【0129】
この変形例のマルチチャネルモニタでは、図34に示すように試料を経た光ビーム541が固定フィルタ素子522〜525の全域をカバーするような形で均一に照射される。これにより、4波長の透過結果を即座に検出し分析に利用することができる。なお、任意波長選択フィルタ521を構成する固定フィルタ素子522〜525にウイング状の透過帯域(ウイング域W1、W2)が存在する恐れがないような場合には、図27に示したバンド反射ミラー301等のバンドパスフィルタを装置内に設けることを省略することが可能である。
【0130】
<第4の実施例の第2の変形例>
【0131】
図35および図36は、本発明の第4の実施例の第2の変形例として簡略化されたマルチチャネルモニタの要部を示すものである。この装置の任意波長選択フィルタ551は図1に示した第1〜第5の任意波長選択フィルタ部材201〜205と同様の任意波長選択フィルタ部材1つで構成されている。したがって、図2に示した1〜第5の任意波長選択フィルタ部材201〜205を張り合わせた任意波長選択フィルタ211と仮に同一波長帯を確保するものとすると、任意波長選択フィルタ551の長さが同一の場合、第1の誘電体薄膜222と第2の誘電体薄膜223の膜厚の勾配は急になる。ただし、分析の対象となる波長域が比較的狭い範囲でよい場合には、第1の実施例の任意波長選択フィルタ部材201〜205のうちの必要なものを1つ選択して使用することも可能である。
【0132】
光ビーム552は図36に示すように任意波長選択フィルタ551の全域をカバーするように照射される。任意波長選択フィルタ551を透過した光はその背後に対向配置された1次元イメージセンサ(1次元アレイセンサ)553に入射するようになっている。すでに説明したウイング状の透過帯域(ウイング域W1、W2)が問題になる場合には、光ビーム552がこれらの領域の光成分をカットしたものになっていてもよい。この第2の変形例のマルチチャネルモニタでも、1次元イメージセンサ553として画素(ピクセル)の多いものを使用すれば、短時間で高精度の測定が可能である。また、1次元イメージセンサ553は2次元イメージセンサと同様に多くの汎用品が存在し、これらは高品質のものが安価に提供されている。しかも1次元イメージセンサ553の方が2次元イメージセンサよりも一般には小型であり安価である。したがって、装置が更に小型化され、安価となる。このため、生体や各種産業用の波長の監視等のモニタのために広く使用することができる。
【0133】
なお、以上説明した各実施例および変形例では誘電体膜を形成する基板にショット(SCHOTT)社の商品名「BK7」のガラス基板(屈折率1.5)を使用したが、これに限られるものではない。基板としては使用波長域で透明な広範囲の材料を使用可能である。たとえば光学結晶、光学ガラス、石英、透明プラスチック、ポリマ材が使用可能である。
【0134】
誘電体多層膜バンドパスフィルタを構成する光学膜膜材料については、適用波長域で透明で、屈折率が1.23〜5.67までの一般に知られている各種の材料の中から選択することができる。一例を挙げると次のようになる。フッ化カルシウムCaF2(屈折率1.23)、フッ化マグネシウムMgF2(屈折率1.38)、二酸化シリコンSiO2(屈折率1.46)、酸化マグネシウムMgO(屈折率1.80)、五酸化タンタルTa2O5(屈折率2.15)、五酸化ニオブNb2O5(屈折率2.24)、二酸化チタンTiO2(屈折率2.45)、セレン化亜鉛ZnSe(屈折率2.40)、テルル化鉛PbTe(屈折率5.67)、窒化アルミニウムAlN(屈折率1.94)、窒化シリコンSi3N4(屈折率1.95)、シリコンSi(屈折率3.4)、ゲルマニウムGe(屈折率4.0)。
【0135】
これらの光学薄膜は、電子ビーム蒸着法、イオンアシスト蒸着法、DCマグネトロンスパッタ法、RFマグネトロンスパッタ法、イオンプレーティング法、イオンビームスパッタ法、分子線エピタキシ(MBE)法、化学気相蒸着(CVC)法、ディップコーティング法等の従来から用いられている方法を使用して基板上に形成することができる。
【0136】
また、フィルタを構成する多層膜の設計については、市販されている各種の膜設計のソフトウェアを使用することができる。たとえばTFCalc(Software Spectra,Inc.)、Essential Macload(Thin−Film Center,Inc.)は光通信をはじめ光エレクトロニクス関係の業務一般に使用されている。
【0137】
更に実施例では基板上に誘電体多層膜を形成した任意波長選択フィルタ部材を短冊状に切断したもの同士の側面を接着あるいは他の手法で固定して任意波長選択フィルタを構成したが、同一の基板上にそれぞれ選択する波長の範囲が異なる複数の誘電体多層膜を直接形成したり、薄膜状の誘電体多層膜を支持基板上に何らかの手法で固定して任意波長選択フィルタとしてもよい。また、任意波長選択フィルタを構成する任意波長選択フィルタ部材は必ずしも短冊状である必要はないことは当然である。
【0138】
更に実施例ではマルチチャネルモニタの応用製品として生体検査装置を例に挙げたが、医療用だけでなく、工業用あるいは環境保全の調査用等の多くの分野で簡易かつ高品質の製品として活用を図ることができることはいうまでもない。
【0139】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1記載の発明の任意波長選択フィルタによれば、それぞれ異なった波長域で位置に応じて波長を連続して変化させる複数の任意波長選択フィルタ部材を同一受光面のそれぞれ異なった領域を担当するように配置したので、1つの受光面を形成する任意波長選択フィルタが比較的広範囲の波長の光成分を受光面で2次元的に分離することになり、任意波長選択フィルタの小型化が可能になる。また、2次元イメージセンサ等の2次元受光手段を使用して波長の監視等のモニタを安価に行うことができる。更に、任意波長選択フィルタ部材はたとえば誘電体多層膜フィルタとして形成することができ、設計や製造が容易である。また誘電体膜自体は昨今の光通信用フィルタとして広く使用されておりその環境に対する信頼性の高さが実証されている。
【0140】
また、請求項2記載の発明によれば、1つの受光面を形成する任意波長選択フィルタが比較的広範囲の波長の光成分を2次元的に分離することになり、任意波長選択フィルタの小型化が可能になる。また、2次元イメージセンサ等の2次元受光手段を使用して波長の監視等のモニタを安価に行うことができる。更に1枚の支持基板上に複数の任意波長選択フィルタ部材を配置して任意波長選択フィルタを構成しているので、機械的な衝撃に対して安定する。また、任意波長選択フィルタ部材はたとえば誘電体多層膜フィルタとして形成することができ、設計や製造が容易である。また誘電体膜自体は昨今の光通信用フィルタとして広く使用されておりその環境に対する信頼性の高さが実証されている。
【0141】
更に請求項3記載の発明によれば、請求項1記載の発明と同様の効果を得ることができるだけでなく光源から発せられ任意波長選択フィルタを透過した光を2次元受光手段で処理するので、受光手段もコンパクトで安価なものを使用することができ、しかも迅速な信号処理を行うことができる。更に、任意波長選択フィルタ部材はたとえば誘電体多層膜フィルタとして形成することができ、設計や製造が容易である。また誘電体膜自体は昨今の光通信用フィルタとして広く使用されておりその環境に対する信頼性の高さが実証されている。
【0142】
また請求項4記載の発明によれば、請求項2記載の発明と同様の効果を得ることができるだけでなく光源から発せられ任意波長選択フィルタを透過した光を2次元受光手段で処理するので、受光手段もコンパクトで安価なものを使用することができ、しかも迅速な信号処理を行うことができる。
【0143】
更に請求項5記載の発明によれば、任意波長選択フィルタが1つの任意波長選択フィルタ部材によって構成されていることを特徴としている。したがって、光源から発せられ任意波長選択フィルタを透過した光を受光する際にも1次元受光手段を用いることができ、波長の監視等のモニタを安価かつ高速に行うことができる。
【0144】
また、請求項6記載の発明によれば、請求項3記載のマルチチャネルモニタを使用し、その結果を演算手段で演算することで血糖値のように生体における特定の物質の存在する値を演算するようにしているので、生体検査装置を小型かつ安価に製造することができ、パーソナルユースを含めた装置として普及させることができる。
【0145】
更に請求項7記載の発明によれば、請求項4記載のマルチチャネルモニタを使用し、その結果を演算手段で演算することで血糖値のように生体における特定の物質の存在する値を演算するようにしているので、生体検査装置を小型かつ安価に製造することができ、パーソナルユースを含めた装置として普及させることができる。
【0146】
また請求項8記載の発明によれば、請求項5記載のマルチチャネルモニタを使用し、その結果を演算手段で演算することで血糖値のように生体における特定の物質の存在する値を演算するようにしているので、生体検査装置を小型かつ安価に製造することができ、パーソナルユースを含めた装置として普及させることができる。
【0147】
更に請求項9記載の発明によれば、2次元受光手段として2次元イメージセンサを使用するので、汎用品によるコストダウンを図ることができる。また、画素(ピクセル)の数が多いものを使用すれば分解能を十分高めることができる。
【0148】
また、請求項10記載の発明によれば、任意波長選択フィルタが本来透過すべき波長域以外の波長域を透過させるような特性があるときは、バンドパスフィルタを光源と任意波長選択フィルタの間に使用して、不要な光がモニタされないようにしているので、任意波長選択フィルタのコストダウンだけでなく、マルチチャネルモニタの品質の向上も図ることができる。
【0149】
更に請求項11記載の発明によれば、バンドパスフィルタとしてバンド反射ミラーを使用するので、高精度に不要な波長成分をカットすることができる。また、回折格子と比較すると透過率がたとえば90パーセント以上と高く、回折効率が50パーセント程度であるのと比較すると、光源の小型化が可能である。更に、バンド反射ミラー(ノッチフィルタ)はたとえば誘電体多層膜フィルタとして形成することができ、設計や製造が容易である。また誘電体膜自体は昨今の光通信用フィルタとして広く使用されておりその環境に対する信頼性の高さが実証されている。
【0150】
また、請求項12記載の発明によれば、バンドパスフィルタとして回折格子とこの回折光を所定の波長範囲のみ通過させる開口部材を使用するので、バンド反射ミラーに比してコストダウンを一層図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の任意波長選択フィルタを構成するそれぞれの任意波長選択フィルタ部材を示した斜視図である。
【図2】組み立て後の第1の実施例の任意波長選択フィルタを示す斜視図である。
【図3】本実施例で使用される任意波長選択フィルタ部材の原理的な構成を示した断面図である。
【図4】任意波長選択フィルタ部材の膜構造を示した要部断面図である。
【図5】式(5)で与えられるバンドパスフィルタを相対波数で表わしたフィルタ透過特性図である。
【図6】ZnOとSiO2を2種類の誘電体薄膜として使用した場合のバンド反射ミラーの反射特性を示した特性図である。
【図7】図6に示したバンド反射ミラーの最適化処理後の反射特性を示した特性図である。
【図8】任意波長選択フィルタ部材にバンド反射ミラーを使用した場合の光検出器の検出感度を示した説明図である。
【図9】第1の実施例における任意波長選択フィルタ部材の製造装置の概略構成図である。
【図10】膜構造の光学モニタチャートの一例を示した特性図である。
【図11】本発明の第2の実施例におけるマルチチャネルモニタを示した概略構成図である。
【図12】第2の実施例で任意波長選択フィルタと2次元イメージセンサの配置関係を表わした配置説明図である。
【図13】第2の実施例で第1の任意波長選択フィルタ部材の波長可変特性を示した特性図である。
【図14】第2の実施例で第2の任意波長選択フィルタ部材の波長可変特性を示した特性図である。
【図15】第2の実施例で第3の任意波長選択フィルタ部材の波長可変特性を示した特性図である。
【図16】第2の実施例で第4の任意波長選択フィルタ部材の波長可変特性を示した特性図である。
【図17】第2の実施例で第5の任意波長選択フィルタ部材の波長可変特性を示した特性図である。
【図18】第2の実施例で第6の任意波長選択フィルタ部材の波長可変特性を示した特性図である。
【図19】第2の実施例で第7の任意波長選択フィルタ部材の波長可変特性を示した特性図である。
【図20】第2の実施例で第8の任意波長選択フィルタ部材の波長可変特性を示した特性図である。
【図21】第2の実施例で第9の任意波長選択フィルタ部材の波長可変特性を示した特性図である。
【図22】第2の実施例で第10の任意波長選択フィルタ部材の波長可変特性を示した特性図である。
【図23】第2の実施例でバンド反射ミラーと入射光および反射光の関係を表わした説明図である。
【図24】第2の実施例でバンド反射ミラーとこれに入射する広帯域光の位置関係を示した説明図である。
【図25】第2の実施例の1つの変形として回折格子と入射光および回折光の関係を表わした説明図である。
【図26】回折格子とこれに入射する広帯域光のビーム径の位置関係を表わした説明図である。
【図27】図11に示したマルチチャネルモニタをより具体的に表わした概略構成図である。
【図28】第2の実施例の2次元イメージセンサの一部を表わした平面図である。
【図29】第2の実施例の駆動・分析部の概要を示したブロック図である。
【図30】本発明の第3の実施例のマルチチャネルモニタの概略構成図である。
【図31】本発明の第4の実施例の生体検査装置の使用状態を示す説明図である。
【図32】尿分析試料の透過特性を示す特性図である。
【図33】本発明の第4の実施例の第1の変形例におけるマルチチャネルモニタの要部斜視図である。
【図34】この第1の変形例における光ビームと固定フィルタ素子の位置関係を示す説明図である。
【図35】本発明の第4の実施例の第2の変形例におけるマルチチャネルモニタの要部斜視図である。
【図36】この第2の変形例における光ビームと固定フィルタ素子の位置関係を示す説明図である。
【図37】従来提案された血糖値測定装置の概要を示したブロック図である。
【図38】この提案による波長と吸光度との関係を示す特性図である。
【図39】従来のマルチチャネルアナライザの第1の例を示した概略構成図である。
【図40】第1の例における光の各波長の透過率と回転角の関係を示した特性図である。
【図41】従来のマルチチャネルアナライザの第2の例を示した概略構成図である。
【図42】従来のマルチチャネルアナライザの第3の例を示した概略構成図である。
【符号の説明】
201〜205 任意波長選択フィルタ部材
211、305、521、551 任意波長選択フィルタ
221 基板
222 第1の誘電体薄膜
223 第2の誘電体薄膜
261 真空チャンバ
262、263 蒸着源
269 モニタガラス
300 マルチチャネルモニタ
301 バンド反射ミラー
302 広帯域光
304 反射光
306 光
307 2次元イメージセンサ
308 データ
345 回折格子
346 開口部材
350 白色光源
352 第1のコリメータレンズ
353 サンプル
354 第2のコリメータレンズ
501 第1のプローブ
502 第2のプローブ
503 光分析部
505 検査部位
522、523、524、525 固定フィルタ素子
531 2次元受光部
532、533、534、535 フォトダイオード
553 1次元イメージセンサ(1次元アレイセンサ)
Claims (12)
- それぞれ異なった波長域で位置に応じて波長を連続して変化させる複数の任意波長選択フィルタ部材を同一受光面のそれぞれ異なった領域を担当するように配置したことを特徴とする任意波長選択フィルタ。
- 1枚の支持基板と、
この支持基板上の互いに異なった位置に配置され、それぞれ異なった波長域で位置に応じて波長を連続して変化させる複数の任意波長選択フィルタ部材
とを具備することを特徴とする任意波長選択フィルタ。 - 白色光源等の所定範囲の波長の光を出力する光源と、
この光源の出力する光を入射し、それぞれ異なった波長域で位置に応じて波長を連続して変化させる複数の任意波長選択フィルタ部材を同一受光面のそれぞれ異なった領域を担当するように配置してなる任意波長選択フィルタと、
前記光源から発せられ任意波長選択フィルタを透過した光を受光する2次元受光手段
とを具備することを特徴とするマルチチャネルモニタ。 - 白色光源等の所定範囲の波長の光を出力する光源と、
1枚の支持基板と、この支持基板上の互いに異なった位置に配置され、前記光源の出力する光を入射してそれぞれ異なった波長域で位置に応じて波長を連続して変化させる複数の任意波長選択フィルタ部材とを備えた任意波長選択フィルタと、
前記光源から発せられ任意波長選択フィルタを透過した光を受光する2次元受光手段
とを具備することを特徴とするマルチチャネルモニタ。 - 白色光源等の所定範囲の波長の光を出力する光源と、
この光源の出力する光を入射し、所定の波長域で位置に応じて波長を連続して変化させる任意波長選択フィルタと、
この任意波長選択フィルタの波長が変化する方向に複数の受光素子を一列に配置し、前記光源から発せられ任意波長選択フィルタを透過した光を受光する1次元受光手段
とを具備することを特徴とするマルチチャネルモニタ。 - 白色光源等の所定範囲の波長の光を出力する光源と、この光源の出力する光を入射し、それぞれ異なった波長域で位置に応じて波長を連続して変化させる複数の任意波長選択フィルタを同一受光面のそれぞれ異なった領域を担当するように配置した任意波長選択フィルタと、前記光源から発せられ任意波長選択フィルタを透過した光を受光する受光素子が2次元的に配置された2次元受光手段とを備えたマルチチャネルモニタと、
このマルチチャネルモニタの波長ごとの受光結果を演算して生体における特定の物質の存在する値を算出する演算手段
とを具備することを特徴とする生体検査装置。 - 白色光源等の所定範囲の波長の光を出力する光源と、1枚の支持基板と、この支持基板上の互いに異なった位置に配置され、それぞれ異なった波長域で位置に応じて波長を連続して変化させる複数の任意波長選択フィルタ部材とを備えた任意波長選択フィルタと、前記光源から発せられ任意波長選択フィルタを透過した光を受光する2次元受光手段とを備えたマルチチャネルモニタと、
このマルチチャネルモニタの波長ごとの受光結果を演算して生体における特定の物質の存在する値を算出する演算手段
とを具備することを特徴とする生体検査装置。 - 白色光源等の所定範囲の波長の光を出力する光源と、この光源の出力する光を入射し、所定の波長域で位置に応じて波長を連続して変化させる任意波長選択フィルタと、この任意波長選択フィルタの波長が変化する方向に複数の受光素子を一列に配置し、前記光源から発せられ任意波長選択フィルタを透過した光を受光する1次元受光手段とを備えたマルチチャネルモニタと、
このマルチチャネルモニタの波長ごとの受光結果を演算して生体における特定の物質の存在する値を算出する演算手段
とを具備することを特徴とする生体検査装置。 - 前記2次元受光手段は2次元イメージセンサであることを特徴とする請求項3または請求項4記載のマルチチャネルモニタ。
- 前記光源と任意波長選択フィルタの間に配置され、前記任意波長選択フィルタ部材の本来透過すべき波長域以外の波長域の透過を阻止するバンドパスフィルタを具備することを特徴とする請求項3または請求項4記載のマルチチャネルモニタ。
- 前記バンドパスフィルタはバンド反射ミラーによって構成されていることを特徴とする請求項10記載のマルチチャネルモニタ。
- 前記バンドパスフィルタは回折格子とこの回折光を所定の波長範囲のみ通過させる開口部材とによって構成されていることを特徴とする請求項10記載のマルチチャネルモニタ。
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