JP2016070776A - 分光分析装置、及び分光分析装置の校正方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】生体検査装置1は、測定対象の分光スペクトルを測定する分光測定部と、既知の成分に対する固有波長を記憶した参照データを記憶する記憶部21と、参照データを用いて測定された分光スペクトルにおける固有波長に対応した特徴点を特定する特徴特定部224と、分光スペクトルにおける特徴点の波長を固有波長として補正する波長補正部226と、を備えた。
【選択図】図1
Description
特許文献1に記載の装置は、波長校正処理において、波長校正用フィルターを光路上にセットし、波長校正用の吸光スペクトル測定を実施する。そして、測定した吸収スペクトルのピーク波長を検出して、そのピーク波長に対応する回折格子の角度を特定する。
これにより、測定対象の分光スペクトルが測定されれば、記憶部に記憶された固有波長を用いて波長校正を行うことができる。従って、白色基準板等の波長校正板を用いることなく、容易に波長校正を実施することができる。
本適用例では、固有波長と特徴点の波長との関係を示した補正関数を算出し、その補正関数に基づいて分光スペクトルにおける各波長を補正する。これにより、特徴点に対する波長のみならず、測定された分光スペクトルの広い波長域内に対して適正な波長校正を行うことができる。
本適用例では、固有波長近傍の所定波長域内における光量の測定間隔(第一波長間隔)を、波長域外における光量の測定波長間隔(第二波長間隔)よりも短くする。これにより、分光スペクトルにおける固有波長近傍の特徴点が現れる部分のスペクトルの測定精度が向上し、特徴点を精度よく検出(特定)することができる。また、固有波長から離れた波長域に対して第二波長間隔で光量測定を実施することで、測定に係る時間を短縮できる。
本適用例では、記憶部において、既知の成分に対して複数の固有波長が記憶されている。例えば、物質の成分は、複数の吸光波長を有し、当該吸光波長は成分固有の値となり、固有波長の間隔も決まった値となる。本適用例では、分光スペクトルにおいて、このような成分固有の複数の固有波長の間隔を用いて、分光スペクトルにおける特徴点を特定する。例えば、分光スペクトルにおいて、既知の成分の吸光波長の間隔と同一の間隔でピーク位置が現れる場合、そのピーク位置を特徴点として特定する。これにより、容易かつ精度よく分光スペクトルの特徴点を特定することができる。
本適用例では、分光スペクトルを分析して、各波長域のスペクトルベクトルを算出し、既知の成分の固有波長におけるスペクトルベクトルを同一ベクトルとなる点を特徴点として特定する。これにより、分光スペクトルの形状的な特徴により、特徴点を高精度に求めることができる。
照明光にピーク波長が存在する場合、分光スペクトルに当該照明光のピーク波長が含まれることになり、固有波長に対応する特徴点の検出が困難となる。これに対して、本適用例では、照明スペクトル取得部により、照明スペクトルを取得することで、当該照明光のピーク波長を分離して特徴点を特定することができる。したがって、吸光波長に対する特徴点をより効率的に特定することができる。
本適用例では、分光スペクトルにおける既知成分の固有波長に相当する特徴点を特定し、その特徴点を固有波長として分光スペクトルの波長を補正する。これにより、白色基準板等の波長校正板を用いることなく、容易に波長校正を実施することができる。
以下、本発明に係る第一実施形態について説明する。
図1は、第一実施形態の分光分析装置である生体検査装置の概略構成を示すブロック図である。
本実施形態の生体検査装置1は、図1に示すように、本発明の分光測定部を構成する光学プローブ10と、光学プローブ10から入力された検出信号に基づいて生体分析等を実施する制御装置20と、を備えている。そして、この生体検査装置1は、測定者の例えば腕に対して光を照射し、その分光スペクトルを取得して分析することで、生体に含まれる成分を分析する。本実施形態では、一例として、体内を流れる血液の酸素飽和度を測定する構成を例示する。
光学プローブ10は、図1に示すように、光源部11、波長可変干渉フィルター5、及び受光部12を有する。
より具体的には、光学プローブ10は、図示略のプローブケースを有する。このプローブケースは、例えば遮光性部材により構成されており、一部に開口窓が設けられている。そして、この開口窓に臨んで、光源部11、波長可変干渉フィルター5、及び受光部12が配置される。
図2は、波長可変干渉フィルター5の概略構成を示す断面図である。
この波長可変干渉フィルター5は、透光性の固定基板51及び可動基板52を備え、これらの固定基板51及び可動基板52が、例えばシロキサンを主成分とするプラズマ重合膜などにより構成された接合膜53により接合されることで、一体的に構成されている。このような波長可変干渉フィルター5は、例えば分光素子としてAOTF(Acousto-Optic Tunable Filter)やLCTF(Liquid crystal tunable filter)を用いる場合等に比べて素子サイズが小さくでき、光学プローブ10の小型化を図ることができる。
固定電極561は、電極配置溝511において、例えば反射膜設置部512を囲う環状に形成されている。
この固定反射膜54としては、例えばAg等の金属膜や、Ag合金等の合金膜を用いることができる。また、例えば高屈折層をTiO2、低屈折層をSiO2とした誘電体多層膜を用いてもよい。さらに、誘電体多層膜上に金属膜(または合金膜)を積層した反射膜や、金属膜(または合金膜)上に誘電体多層膜を積層した反射膜、単層の屈折層(TiO2やSiO2等)と金属膜(または合金膜)とを積層した反射膜などを用いてもよい。
可動部521は、保持部522よりも厚み寸法が大きく形成され、例えば、本実施形態では、可動基板52の厚み寸法と同一寸法に形成されている。この可動部521は、フィルター平面視において、少なくとも反射膜設置部512の外周縁の径寸法よりも大きい径寸法に形成されている。そして、この可動部521には、可動電極562及び可動反射膜55が設けられている。
なお、本実施形態では、ダイアフラム状の保持部522を例示するが、これに限定されず、例えば、平面中心点を中心として、等角度間隔で配置された梁状の保持部が設けられる構成などとしてもよい。
次に、制御装置20について説明する。
制御装置20は、図1に示すように、記憶部21及び演算処理部22を備えている。
記憶部21は、例えばメモリーやハードディスクドライブ等により構成されている。この記憶部21は、生体検査装置1の全体動作を制御するためのOS(Operating System)や、各種プログラム、各種データを記憶する。
そして、記憶部21は、前記データとして、波長可変干渉フィルター5の静電アクチュエーター56を駆動させるためのV−λデータ等が記憶される。
図3は、参照データの一例である。図3に示すように、各成分は、それぞれ固有の吸収波長を複数有しており、例えば、酸化ヘモグロビンは、414nm、540nm、576nm、924nmにおいて吸収波長を有し、還元ヘモグロビンは、433nm、555nm、757nm、914nmにおいて吸収波長を有する。参照データには、これらの吸収波長を固有波長とした吸光スペクトルが記録されている。
さらに、記憶部21には、光源部11から出射される照明光のスペクトル(照明スペクトル)が記憶されている。すなわち、照明光におけるピーク波長が記憶されている。
スペクトル取得部222は、受光部12から入力された検出信号に基づいて、測定対象の分光スペクトルを取得する。
特徴特定部224は、解析された各スペクトル成分のピーク位置の間隔と、参照データにおける固有波長の間隔とを比較して、特徴点となるピーク位置を特定する。すなわち、分光スペクトルにおける各成分の吸光波長の位置を特定して対応付ける。
補正関数算出部225は、特徴特定部224にて特定された特徴点(測定波長位置)と、当該特徴点に対応する吸光波長とに基づいて、分光スペクトルにおける波長シフト量を補正するための補正関数を算出する。
波長補正部226は、算出された補正関数に基づいて、分光スペクトルにおける各波長を補正した補正分光スペクトルを算出する。
解析部227は、算出された補正分光スペクトルに基づいて、生体に含まれる各成分を解析する。
次に、上記のような生体検査装置1における分光分析方法(校正方法を含む)について説明する。
図4は、本実施形態の分光分析方法を示すフローチャートである。
本実施形態の生体検査装置1は、まず、測定対象の分光スペクトルを測定する(ステップS1)。すなわち、測定者は、光学プローブ10の開口窓を測定対象である生体の皮膚(例えば腕等)に押し当て、制御装置20に設けられた図示略の操作手段を操作して測定開始指示を入力する。これにより、プローブ制御部221は、光源部11を駆動させて照明光を照射させるとともに、波長可変干渉フィルター5の静電アクチュエーター56に印加する駆動電圧を順次変化させる。これにより、波長可変干渉フィルター5を透過する透過光の波長が順次変化され、プローブ制御部221は、これらの各波長の透過光の光量をそれぞれ検出する。そして、スペクトル取得部222は、検出された各波長の光量に基づいて測定対象の分光スペクトルを測定する。
また、本実施形態では、このステップS1において、参照データに記録された各固有波長(吸収波長)近傍において、測定波長間隔を密にし、その他の波長域に対して測定波長間隔を疎にする。例えば、414nm、433nmが参照データに記録されている場合では、414nm、433nmを中心とした例えば20nm波長帯域内において、測定間隔を5nmに設定し、その他の波長帯域では、20nm間隔に設定する等である。これにより、吸光波長近傍において精度の高い分光スペクトルの測定が可能となり、後述するステップS2やステップS3における処理精度を向上させることができる。
なお、分光スペクトルの測定は、複数点(例えば3か所)の測定箇所に対して実施される。これには、測定者の操作により測定箇所を変化させてもよく、例えば、光学プローブ10において、波長可変干渉フィルター5及び受光部12の位置又は姿勢を変化させてもよい。後者の場合では、例えば光学プローブ10内に、波長可変干渉フィルター5及び受光部12を移動させる移動機構や、光軸方向を変化させる回動機構を持たせることで実現できる。
また、受光部12としてイメージセンサーを用いて撮像画像を取得する場合では、複数画素に対する分光スペクトルをそれぞれ取得すればよく、この場合、上記の測定者の操作や、上述のような移動機構や回動機構を設ける構成を不要にできる。
例えば、図3に示すように、酸化ヘモグロビンは、414nm、540nm、576nm、924nmに吸収波長を有し、これらの波長間隔は、126nm、36nm、348nmとなる。一方、測定対象において、酸化ヘモグロビンが含まれる場合、これらの波長成分の光は吸収量が多くなり、測定された分光スペクトルにおいて、当該波長成分の光量が小さくなる。従って、特徴特定部224は、ステップS2により分離された各波長のスペクトル成分のうち、他のスペクトル成分と比べてピーク位置の受光量が少なく、かつ、波長間隔が126nm、36nm、348nmとなる4つのスペクトル成分を特定し、そのピーク位置を特徴点として特定する。下記表1は、固有波長(参照データに含まれる吸収波長)と、測定された吸収ピーク波長(ステップS3により特徴点として特定された波長)との一例を示す表である。なお、測定された吸収ピーク波長は、例えば、環境変化等の要因により、V−λデータに対して、実際に波長可変干渉フィルター5から出射される光の波長がずれて誤差分が含まれる。したがって、表1に示すように、固有波長と、実際に測定された光の波長にずれが生じる。
このステップS3では、ステップS2で測定された複数の測定点に対する分光スペクトルに対して実施される。したがって、これらの分光スペクトルから、吸光波長とは異なる他の共通する波長成分(例えば照明光の波長成分や、参照データに記録されていないその他の成分に対する波長成分)を除外することができる。これにより、吸光波長に対応した特徴点をより精度よく特定することができる。
図5は、固有波長と、測定された特徴点の波長(誤差含む)とを関連付けた図である。
この図5は、上記表1の例をグラフ化しており、この場合、補正関数算出部225は、図5に示すように、各点を通る直線を例えば最小二乗法等により算出して補正関数としている。
なお、補正関数としては、図5に示すような1次式に限定されない。例えば、波長が長くなる(又は短くなる)にしたがって、波長シフト量が大きくなる場合もあり、このような場合では、2次以上の高次補正関数を算出してもよい。
本実施形態の生体検査装置1では、測定対象に含まれる成分における固有波長(吸収波長)を参照データとして記憶部21に記憶しており、特徴特定部224は、実際に測定された分光スペクトルと参照データから、固有波長に対する位置である特徴点を特定する。そして、波長補正部226は、特定された特徴点の波長を、固有波長として補正することで分光スペクトルを補正する。
これにより、別途白色板等の基準校正板を用いることなく、測定された分光スペクトルを適切に、かつ簡単な構成で容易に補正することができる。
これにより、分光スペクトルにおける、吸収波長等の固有波長の位置のみならず、その他の波長に対しても補正関数を用いて正確な波長に補正することができ、分光スペクトルの測定精度を向上できる。よって、分光スペクトルを用いた解析部227により解析処理においても精度よく解析処理を実施でき、正確な分析結果を得ることができる。
次に、本発明に係る第二実施形態について説明する。
上記第一実施形態では、特徴特定部224は、特定成分の固有波長の間隔に基づいて特徴点を特定する例を示した。これに対して、本実施形態では、分光スペクトルのスペクトルベクトルに基づいて特徴点を特定する点で上記第一実施形態と相違する。
なお、本実施形態では、上記第一実施形態と同様の構成を有し、記憶部21に記憶される参照データ、及び特徴特定部224の処理内容が相違するものであるので、上記第一実施形態と同様の図1に基づいて以下説明する。
また、本実施形態の主成分分析部223は、分光スペクトルの主成分分析において、分光スペクトルをそのバンド数と等しい次元をもつ空間内のベクトル(対象スペクトルベクトル)に分類する。
そして、本実施形態の特徴特定部224は、参照スペクトルベクトルと、対象スペクトルベクトルの角度(スペクトル角度)を計算することで、両者の類似性を判定する。すなわち、特徴特定部224は、スペクトル角度が最も小さくなる対象スペクトルベクトルを、特徴点として特定する。
したがって、波長補正部226は、特徴点として特定された対象スペクトルベクトルの波長を参照スペクトルベクトルの波長として補正する。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
また、固有波長として吸収波長を例示したがこれに限定されない。
例えば、所定波長の励起光を照射することで、蛍光波長を発する測定対象の分光スペクトルを測定する場合では、当該蛍光波長を固有波長として記憶してもよい。また、所定波長に対してのみ強い反射特性を示す測定対象の分光スペクトルを測定する場合では、その反射波長を固有波長として記録していてもよい。
Claims (7)
- 測定対象の分光スペクトルを測定する分光測定部と、
既知の成分に対する固有波長を記憶する記憶部と、
前記分光スペクトルにおける前記固有波長に対応した特徴点を特定する特徴特定部と、
前記分光スペクトルにおける前記特徴点の波長を前記固有波長として補正する波長補正部と、
を備えたことを特徴とする分光分析装置。 - 請求項1に記載の分光分析装置において、
前記固有波長と、前記特徴点の波長との関係を近似する補正関数を算出する補正関数算出部を備え、
前記波長補正部は、前記分光スペクトルの各波長を前記補正関数に基づいて補正する
ことを特徴とする分光分析装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の分光分析装置において、
前記分光測定部は、前記固有波長から所定の波長域内において第一波長間隔で前記測定対象からの光の光量を検出し、前記波長域外において前記第一波長間隔よりも長い第二波長間隔で前記測定対象からの光の光量を検出して前記分光スペクトルを測定する
ことを特徴とする分光分析装置。 - 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の分光分析装置において、
前記記憶部には、前記既知の成分に対して複数の前記固有波長が記憶され、
前記特徴特定部は、前記複数の固有波長の間隔に基づいて、前記特徴点を特定する
ことを特徴とする分光分析装置。 - 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の分光分析装置において、
前記記憶部に記憶される前記固有波長は、スペクトルベクトルを含み、
前記特徴特定部は、前記分光スペクトルのスペクトルベクトルを算出するとともに、前記固有波長におけるスペクトルベクトルと同一のスペクトルベクトルを特定して前記特徴点を特定する
ことを特徴とする分光分析装置。 - 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の分光分析装置において、
前記測定対象に対して照射される照明光の照明スペクトルを取得する照明スペクトル取得部を有する
ことを特徴とする分光分析装置。 - 測定対象の分光スペクトルを測定する分光測定部と、既知の成分に対する固有波長を記憶する記憶部と、を有する分光分析装置の校正方法であって、
前記分光測定部により測定された前記分光スペクトルにおける前記固有波長に対応した特徴点を特定し、
前記分光スペクトルにおける前記特徴点の波長を前記固有波長として補正する
ことを特徴とする分光分析装置の校正方法。
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