JP2004251120A - 冷却装置における油圧駆動ファンの回転制御装置 - Google Patents
冷却装置における油圧駆動ファンの回転制御装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】簡易な構成で、油圧駆動ファンの回転変速および逆回転が可能な、水冷式内燃機関に用いられる油圧駆動ファン式の冷却装置を提供する。
【解決手段】冷却装置における油圧駆動ファンの回転制御装置において、油圧駆動ファンモータ(3)と、前記油圧駆動ファンモータ(3)の回転変速操作、および逆回転切換え操作を可能とする、ファン変速・逆転制御弁(20)と、水温センサ(32)と、ファン逆転スイッチ(31)と、水温センサ(32)またはファン逆転スイッチ(31)からの信号に対応して、所定の信号を前記ファン変速・逆転制御弁(20)に与えるコントローラ(30)とを設けた、ことを特徴とする冷却装置における油圧駆動ファンの回転制御装置。
【選択図】 図1
【解決手段】冷却装置における油圧駆動ファンの回転制御装置において、油圧駆動ファンモータ(3)と、前記油圧駆動ファンモータ(3)の回転変速操作、および逆回転切換え操作を可能とする、ファン変速・逆転制御弁(20)と、水温センサ(32)と、ファン逆転スイッチ(31)と、水温センサ(32)またはファン逆転スイッチ(31)からの信号に対応して、所定の信号を前記ファン変速・逆転制御弁(20)に与えるコントローラ(30)とを設けた、ことを特徴とする冷却装置における油圧駆動ファンの回転制御装置。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水冷式内燃機関に用いられる油圧駆動ファン式の冷却装置において、その油圧駆動ファンの回転制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ラジエータを有する動力機械の水冷式内燃機関におけるラジエータ(冷却器)冷却用には、小型軽量化が可能で、スペース効率もよいので、ラジエータ(冷却器)と、このラジエータへ冷却風を通風する軸流ファンとで構成された、軸流ファン式のラジエータ冷却装置が多用されている。
これらラジエータ冷却装置は、水冷式のエンジンを冷却するために設けたラジエータへ軸流ファンにより冷却風を吹き付ける(または吸引する)ことにより、ラジエータ内を循環するエンジン冷却水の保有熱を廃熱し、水冷式のエンジンを冷却している。つまり、軸流ファンによって発生する空気流は、ラジエータの受風面に垂直に設けられた冷却通路を通ってラジエータのコアを通過することにより、コアチューブ内を流下するエンジン冷却水の放熱を行っている。
【0003】
ところで、水冷式内燃機関はその出力効率を良好に維持するため、その温度を所定の温度範囲に保つ必要がある。
このため、エンジン温度が低い場合にはそのエンジン冷却水の昇温を早めるため、エンジン冷却水の放熱を行う冷却器(熱交換器)への送風用の、ファン回転を停止状態とする、またエンジン過熱時には、冷却器に適量の冷却風量を通風し、エンジン温度を所定の温度に保つようにファンを最適な回転数に変速するなど、エンジン温度に対応してファンの回転数を変速して、冷却装置の冷却能力を制御し、エンジン温度を最適温度範囲に保持する技術が用いられている。
また、ファンの変速回転駆動方式として、電動モータの採用が主力ではあるものの、油圧作動が主な作動機械においては、その発生油圧を流用した、油圧モータの採用例も見られる。
【0004】
例えば非特許文献1には、エンジン冷却水の冷却装置のファンを油圧モータにより変速回転駆動する技術が記載されている。
従来技術になる冷却装置の油圧モータによるファン変速回転駆動の例を示す図として本願発明に記載した、図4を用いて、本非特許文献1の技術内容を以下に説明する。
一般の油圧ファン駆動システムは、ポンプ101、モータ102、クーラ103の3主要部品で構成されている。
そして、ファン羽根105回転用のモータ102は油圧ギヤモータであり、ディーゼルエンジン120からの機械的な出力取出し手段121(PTO・パワーテイクオフ)に設けられた、油圧ポンプ101によって駆動される。
モータ102の運転時には、回転中のファン羽根105は、押出しまたは吸引によりクーラ103へ通風する冷却風を発生させる。ここで、加熱されたエンジンオイルはこの通風によって冷却される。モータ102の配管口の一方は油圧ポンプ101からの油圧が連通されており、また他方は直接タンク111へ連通されている。
モータ102に直接配設されたリリーフ弁112は、これに付属した制御手段104(ECU)により、エンジンオイル、およびエンジン冷却水の温度を検知するそれぞれの油温センサ108、水温センサ109からの2種のアナログ信号と、空気の温度を伝達する空気温度信号110からのデジタル信号との、3種の入力信号に対応してこれらを変換、増幅した出力により、タンク111へバイパスさせるリリーフ油量を適性に制御することによって、ファン羽根105の回転を変速制御している。
【0005】
また、動力機械の作業環境を考えると、その殆どの作業が屋外であり、また特に、自走式の動力機械にあっては、その駆動装置から周囲の塵埃を巻き上げるなどして、それらのエンジンに備えた冷却装置へ冷却風として取り入れた空気中には塵埃が多く存在する。よって、軸流ファンにより外気より採り込まれた空気流が冷却装置に設けたラジエータコアを通過する際に、空気中の塵埃も同時に運ばれるので、このラジエータのコアには、塵埃が多く付着することになる。そして、この塵埃の付着量は時間経過とともに増し、ラジエータの目詰まり現象を加速してエンジンの冷却効率を下げ、ついにはエンジンのオーバーヒートをも招く事態が発生する。
このため従来、ラジエータの受風面側(風上側)に防塵網(フィルター)を設置し、ラジエータコアへの塵埃付着を防ぐ技術、およびこのフィルターのメンテナンスを改善する方策として、このフィルターを、ファンの逆風により自動的に清掃するなど、次に述べるような高度な技術が開発されてきている。
【0006】
例えば特許文献1には、その図7に見られるように、エンジン冷却用のファンと、冷却風路に冷却風から除塵する防塵網とを設け、このファンを、内燃エンジンからの機械的な伝動回転出力により、逆回転させ逆送風洗浄(逆洗浄)して防塵網を除塵する技術が開示されている。
該特許文献1によると、この発明は、コンバインなど作業機のエンジン冷却装置で、詳しくは、エンジン冷却用のファン、冷却風路に冷却風から除塵する防風網、および、その防風網を通して吸気するようにファンを正転駆動する冷却用の第1駆動状態と、防塵網を通して排気するようにファンを逆転駆動する除塵用の第2駆動状態とに切換自在な駆動手段を設けている。そして、第1設定時間にわたりこの駆動手段を第1駆動状態に切換えるとともに、第2設定時間にわたり駆動手段を第2駆動状態に切換えることを一インターバルとして繰り返すように駆動手段を制御する制御装置を設けた構成としている。
そして本構成による効果として、インターバル毎にエンジン性能を維持する上で除塵が必要な作業条件下では、そのインターバル毎の除塵を行って所期のエンジン冷却を確実に行うことができる。のみならず、除塵頻度が少ない条件下では、作業者判断に基づく必要な除塵を行ってエンジン性能を維持した状態で、駆動手段の耐久性が低下する一因である、駆動手段の不必要な駆動状態の切換えを抑制して、駆動手段の耐久性を向上できた、としている。
【0007】
また従来、冷却装置のファンの回転駆動を、油圧モータを採用して冷却時の変速回転駆動と清掃時の逆転回転駆動とを共に行わせる技術がある。
例えばこの1実施例として、本願発明に従来例として掲載し、従来技術になる冷却装置の油圧モータによるファンの変速回転駆動および逆転回転駆動の例を示す図である、図5を用いてこれを説明する。
【0008】
図5において、本冷却システムは、冷却器203と、冷却器203へ通風するファン羽根202とファン羽根202を回転駆動させる油圧モータ201と、油圧モータ201を変速回転させる可変吐出型ポンプ204と、油圧モータ201の回転方向を切換える電磁方向切換弁206とで構成されている。
冷却装置の冷却時には、電磁操作制御弁205は、(図示しない)制御装置から、エンジン水温、作動油油温などに応じて設定した可変吐出量の指令を受けて、可変吐出型ポンプ204の吐出量変換機構を作動させ、吐出油量を所定の油量に設定する。そして、可変吐出型ポンプ204はこの所定油量を吐出し、この送油が方向電磁弁206を経由して定容量型の油圧モータ201に送られ、これを所定の回転数で回し、ファン羽根202を回転させて所定の冷却風量を冷却器203に送りこれを冷却している。
また、冷却器203の清掃時には、電磁方向切換弁206を切換え、油圧モータ201への油圧の入出力を入れ替えて、これを可変吐出型ポンプ204からの給油により所定の回転数で逆回転させる。そして、油圧モータ201はファン羽根202を逆回転させて(冷却時のファン回転に対し)逆風を冷却器203に通風し、冷却時の冷却風通過時に塵埃が目詰まりした、冷却器203の除塵をしている。
【0009】
【特許文献1】
特開平11−193717号公報(第2−3頁、図7)
【非特許文献1】
Haldex Hydraulics Hof/Germany,J.Berthold 作成、Haldex社カタログ、「Principles of fan drives」の項、2002年5月発行。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように従来、ラジエータを有する動力機械、発電機等などの水冷式内燃機関には、エンジンを冷却するラジエータ(冷却器)と、このラジエータへ冷却風を押出しまたは吸引により通風する軸流ファンとで構成された冷却装置が多く採用されている。
ところが、動力機械、発電装置などの作業環境は、その殆どが屋外作業であり、それらのエンジン冷却用に設けた冷却装置へ冷却風として取り入れる空気中には塵埃が多く存在する。よって、軸流ファンによりこの空気流が通過するラジエータのコアには、塵埃が多く付着し、エンジンの冷却効率を下げる事態となる。
そこで、前述の特許文献1に見られるように、ラジエータの塵埃による目詰まりを防ぐため、ラジエータの受風面側(風上側)に防塵網(フィルター)を設置し、かつ、この冷却装置の軸流ファンを逆転起動して、防塵網へ冷却時に対する逆風を送り、これを自動的に除塵する技術が開示されてきた。
【0011】
また、エンジン効率を良好に維持するためには、エンジン冷却水温を適性水温になるよう、また作動油の粘性を適度に保ち、油圧作動機器の作動効率を良くするためには作動油油温を一定になるようこれら、エンジン冷却水、作動油などの冷却媒体を冷却装置により最適に冷却制御する必要がある。
このため、従来、エンジン冷却水温、作動油油温、などに対応して冷却ファンの回転数を制御し、冷却装置の熱交換器(冷却器)への風量を制御することで、エンジン効率、油圧作動機器の作動効率などの適性化を図っている技術があることを、また、この冷却ファンの油圧回転駆動方式の1例として非特許文献1を紹介した。
【0012】
しかし、前述の、逆風圧による防塵網の除塵(逆洗浄)の技術を開示した、特許文献1においては以下の問題がある。
この発明は、冷却風の流れ方向を、防塵網に目詰まり現象を起こした冷却時の流れ方向に対して軸流ファンの逆回転によって逆風となし、この逆風を防塵網に通風した風圧により、防塵網に付着した塵埃を流入方向に押し戻すことにより除去する、所謂、風圧による逆洗浄の技術を開示している。
しかし、この発明においては、冷却ファンモータの回転駆動はエンジンからのPTO(パワーテイクオフ)であり、エンジン回転の流用である。従って、本技術を転用して、本発明の意図するように冷却ファンの回転を適宜所望の回転に変速するには難がある。
【0013】
また非特許文献1においては、以下の問題がある。
前述の非特許文献1には、ディーゼルエンジンから出力取出しした定吐出型のポンプの圧油により定容量型の油圧モータを回転させるに際し、その作動油量をリリーフ弁によりタンクへリリーフ調整して、エンジン冷却水の冷却装置のファンを変速回転駆動する技術が記載されている。
しかしこの場合、ファン羽根を逆回転駆動してクーラの除塵を行う技術の開示は無く、リリーフ弁によりリリーフ油量を制御してファンの変速回転制御をしているだけの構成なので、敢えてファン羽根の逆回転操作を行おうとしても、このリリーフ弁の操作では不可能である。
【0014】
またさらに、本願発明の図5に示したような、油圧モータを採用し、冷却時のファン変速回転駆動と清掃時のファン逆転回転駆動とを共に行わせる従来技術も紹介した。
この技術は、冷却装置のファンの回転駆動を定吐出型油圧モータを採用して、冷却時は、可変吐出型ポンプにより送油量を制御して、これに装着したファンを変速回転駆動させ、また冷却器の清掃時には、油圧モータの入出力管路中に設けた電磁方向切換弁を切換えて、ファンの逆転回転駆動をも行わせる技術であるが、以下の問題がある。
即ち、この技術では、冷却時にファンを変速回転駆動させるためには、これを回転駆動している定吐出型油圧モータへの送油量を可変制御する必要があるが、この送油量の制御は、可変吐出型ポンプにより行われている。この場合、例え機械の作動に油圧を採用し、可変吐出型ポンプを採用している場合であっても、その機械作動油量の制御と、このファン用の油圧モータを回転制御するための送油量の制御とは異なり、この可変吐出型ポンプと、ファン回転の油圧モータ用のポンプとの共用はできない。つまり、このファン駆動油圧モータ用の変速可変吐出型ポンプは専用に設ける必要がある。
よって、これら油圧装置は大掛かりとなり設置スペースを要するのは勿論のこと、その設備費は高価となる。
【0015】
また本技術では、油圧モータを逆回転させて、ファン逆回転により冷却器に逆風を送り、塵埃の目詰まりした冷却器を清掃するため、油圧モータの入出力管路に専用の電磁方向切換弁を設けている。このため、先の可変吐出型ポンプとの併用で油圧機器がコストアップとなるのは避けられない。
しかも、変速可変吐出型ポンプの可変油量制御と電磁方向切換弁の油圧モータの逆回転切換制御とそれぞれ個別の制御が必要となり、これらの制御装置が高価となる。
【0016】
なお、ファンを変速回転させる手段として、前述の従来例の変速可変吐出型ポンプに換え、可変吐出型のモータを採用することも考えられるが、この場合、可変吐出型のモータが高価であるデメリットがあるのは勿論、モータ自体が大型であり、これを組み込んだ冷却装置はその回転軸方向に大きくなってしまう。ところで通常、冷却装置の回転軸はエンジンの回転軸方向と平行にレイアウトするが、エンジンの回転軸方向には機器の配置スペースがないのが実情である。
よって、可変吐出型モータのファン駆動への採用は、小型化が要求される動力機械の水冷式内燃機関のラジエータ(冷却器)冷却用には不向きであると言える。
【0017】
本発明は、上記の問題点に着目してなされたもので、簡易な構成で、油圧駆動ファンの回転変速および逆回転が可能な、水冷式内燃機関に用いられる油圧駆動ファン式の冷却装置を提供することを目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
上記目的を達成するため、第1発明は、冷却装置における油圧駆動ファンの回転制御装置において、油圧駆動ファンモータと、前記油圧駆動ファンモータの回転変速操作、および逆回転切換え操作を可能とする、ファン変速・逆転制御弁と、温度センサと、ファン逆転スイッチと、温度センサまたはファン逆転スイッチ(31)からの信号に対応して、所定の信号を前記ファン変速・逆転制御弁に与えるコントローラとを設けた冷却装置における油圧駆動ファンの回転制御装置としている。
【0019】
第1発明によれば、水冷式内燃機関に用いられる油圧駆動ファン式の冷却装置において、エンジンの冷却時には、コントローラによりエンジン冷却水の径路中に設けられた温度センサにより実測したエンジン水温に対応して、ファン変速・逆転制御弁を自動操作して、前記油圧駆動ファンモータの回転を最適な回転数(正転)に変速させ、適正な冷却風量を冷却器へ送風することにより、エンジン冷却水を適切な水温に制御できる。また、ファン変速・逆転制御弁により、温度センサにより実測した機械作動油の温度に対応して、油圧駆動ファンモータを通過する作動油量を所定の量に絞ることが可能となり、油圧駆動ファンモータの回転を任意に変速でき、機械作動油の温度を適切な油温に制御できる。
また、前記冷却器自体、あるいは防塵ネットの除塵時には、コントローラが、ファン逆転スイッチからの信号を受けて前記と同一のファン変速・逆転制御弁に逆回転出力を与えることにより、その入出力ポートを切換え、油圧駆動ファンモータの回転を逆回転させてファンを逆回転させ、冷却器、あるいは防塵ネットに(冷却時の送風方向に対し)逆風を送ることにより、これらの除塵を行うことができる。
このように、冷却時における油圧駆動ファンモータの変速回転を行うための油量制御と、除塵時における油圧駆動ファンモータの逆回転を行うための油路の切換えとを、1つの機器で行える、ファン変速・逆転制御弁を設けたので、本油圧システムは極めて簡素な構成となり、安価となる。
そしてさらに、変速回転制御と、逆回転制御に際し、変速回転指令信号と、逆回転指令信号とは1系統で済み、かつ1個のファン変速・逆転制御弁の制御のみでよいのでその制御は簡単になり、制御装置のコスト低減が出来る。
【0020】
また、油圧駆動ファンモータの変速回転の際、その油量変換はファン変速・逆転制御弁にて行うので、油圧駆動源は一定の油量供給でよく、定吐出型ポンプが採用できる。よって、ポンプは安価であるのみならず、機械の油圧作業装置の駆動用ポンプなどとまとめて1モータ駆動による多連ポンプ構成にでき、その駆動装置は簡易、かつ廉価となる。
【0021】
また、冷却ファンの回転騒音は作業機械の騒音の一大要因となっており、作業環境改善の社会要請からしてもこの低騒音化は必達事項といえる。
本願発明採用の油圧駆動システムによれば、エンジン冷却水温に対応した回転制御により、冷却ファンの最高回転数を低減出来るので、冷却ファンの回転騒音を低減できる。
しかも、この制御によりファン回転の出力を低減できるので、その動力源であるエンジン出力のロス馬力の低減も図れ、燃費低減にも寄与できる。
そして、エンジン加熱時には、エンジン温度に対応して冷却ファンを高回転に変速して冷却装置の能力を上げ、エンジン温度を適温に保てるので、エンジン稼動を良好な状態に維持でき燃費改善に寄与できる。
【0022】
またさらに、冷却器(ラジエータ)自体、あるいは防塵ネットの塵埃付着時には、ファン変速・逆転制御弁により、その入出力ポートを切換え、油圧駆動ファンモータの回転を逆回転させてファンの逆回転による逆風を送り、これらの除塵を行うことができる。このように、冷却器自体、あるいは防塵ネットは、適宜逆風で清掃されるので、冷却水の熱交換を司るラジエータコアには、冷却風の通風によって粉塵が堆積することがない。
従って、本願発明による冷却装置は、ラジエータコアへの粉塵の付着に起因する冷却効率の低下、および防塵ネットの目詰まりによるラジエ−タへの軸流ファンの通風量の減少を、自動的に、かつ長時間にわたって防止でき、常に冷却効率の良い、冷却装置を提供することができる。
さらに、ラジエータコアを常時清浄に保てて、エンジンの冷却水の水温管理を常に高水準に保てることから、エンジン性能を常に良好な状態に維持できる。
【0023】
上記目的を達成するため、第2発明は、前記第1発明記載の、冷却装置における油圧駆動ファンの回転制御装置において、前記ファン変速・逆転制御弁を、前記油圧駆動ファンモータと、前記油圧駆動ファンモータの駆動油圧源との間の管路に配設した、ことを特徴とする冷却装置における油圧駆動ファンの回転制御装置としている。
【0024】
本願発明の第2発明によれば、水冷式内燃機関に用いられる油圧駆動ファン式の冷却装置において、エンジン冷却時の、エンジン水温に対応した送油油量の制御による油圧駆動ファンモータの回転変速操作と、冷却器自体、あるいは防塵ネットの除塵時における、油圧駆動ファンモータの逆回転操作とを可能にした、1個のファン変速・逆転制御弁を、油圧駆動ファンモータと油圧駆動ファンモータの駆動油圧源との間の管路に配設している。
この1個のファン変速・逆転制御弁のみの採用により、油圧回路は極めて簡易な構成となるので、油圧システム装置全体がコンパクトにでき、しかも廉価に製作できることから、作業機械への搭載が容易になる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本願発明になる冷却装置の油圧モータによるファン変速回転駆動の油圧回路システム図であり、図2は、本願発明になるファン変速・逆転制御弁の、ファン正回転時の作動油の流れを示した一部断面図であり、そして図3は、本願発明になるファン変速・逆転制御弁の、ファン逆回転時の作動油の流れを示した一部断面図である。
【0026】
まず、本発明の実施形態になる実施例の構成を、図1〜図3を用いて説明する。
図1において、冷却装置10は、建設車両の内燃機関の冷却用に用いた装置であり、冷却器1と、この冷却器1に冷却風または逆風を送り込むファン2と、ファン2を駆動させる油圧駆動ファンモータ3とで構成されている。
ここでファン2は、冷却風押出し式の軸流ファンで、定吐出型の油圧駆動ファンモータ3の回転軸端に回転軸と同軸に固着されたボスの外径部に径方向へ放射状に複数枚設けられたファン羽根によりなっている。
冷却器1は、その内部にエンジン冷却水を流下させ放熱を行う複数のコアを有した水クーラ1aと、作業機油圧装置45からの戻り油を流下させ放熱を行う複数のコアを有したオイルクーラ1bとを有している。そして、それらの受風面はファン2の回転軸に対して垂直かつ並列に配設されている。
【0027】
そして、油圧駆動ファンモータ3の変速回転駆動を行うための油圧機器としては、建設車両のエンジン40の出力をトランスミッション41を介して取出し回転させる、定吐出型のファン駆動油圧ポンプ42と、このファン駆動油圧ポンプ42の油量を調整するファン変速・逆転制御弁20と、リリーフ弁47とを具備している。
ファン変速・逆転制御弁20は、油圧駆動ファンモータ3と油圧駆動源である油圧ポンプ42との間の管路に配設され、その入出力ポート(図1におけるA,Bポート)を油圧駆動ファンモータ3の入出力ポート(図1におけるA1,B1ポート)に、またその圧力ポート(図1におけるPポート)を油圧ポンプ42の吐出口にそれぞれ管路で連通して設けられている。
【0028】
このファン変速・逆転制御弁20の配置構成によれば、油圧回路は極めて簡易な構成となるので、冷却装置の油圧システム全体がコンパクトにでき、しかも廉価に製作できる。よって、この冷却装置の作業機械への搭載が容易となる。
【0029】
また、水クーラ1aへエンジン40の冷却水を循環させる機器としては、エンジン40の出力を取出し回転させる、定吐出型の冷却水ポンプ43と、冷却媒体である冷却水の冷却水温を計測する温度センサである水温センサ32とを設けている。
【0030】
またさらに、オイルクーラ1bへ作業機械の作動油圧油を循環させる機器としては、エンジン40の出力をトランスミッション41を介して取出し回転させる、定吐出型の作動油圧ポンプ44と、この作動油圧ポンプ44よりの吐出油を制御して作業機械を駆動させる(図示しない)、制御バルブ、アクチュエータなどで構成される作業機油圧装置45と、冷却媒体である作動油の油温を計測する温度センサである油温センサ33とを有している。
なお、前述のファン駆動油圧ポンプ42と作動油圧ポンプ44とはいずれも定吐出型でそれらの回転軸を同軸に連結し、トランスミッション41からの入力軸を共用した組合せポンプである。
【0031】
制御装置としては、油圧駆動ファンモータ3の変速回転駆動制御または逆転回転駆動を行うためのコントローラ30と、このコントローラ30へ逆回転指令を指示するファン逆転スイッチ31とが設けられている。
【0032】
図2によりファン変速・逆転制御弁20の詳細構成を説明する。
ファン変速・逆転制御弁20は主として、ファン変速・逆転制御弁本体21とEPC弁(電磁パイロット制御弁)25とで構成される。
【0033】
ここでファン変速・逆転制御弁本体21は、制御弁本体22、およびメインスプール23よりなる。
そして、ファン変速・逆転制御弁本体21の制御弁本体22は、ファン駆動油圧ポンプ42よりの圧油を入力するPポートと、タンク46へ戻し油するTポートと、油圧駆動ファンモータ3のA1ポートと連通するAポートと、油圧駆動ファンモータ3のB1ポートと連通するBポートと、これらのポートをそれぞれ連通する管路と、その中央にメインスプール23を挿通する穴とを有する。さらに制御弁本体22は、メインスプール23よりリークした油をタンク46へ排油するDポートと、スプリング24を挿通すると共にメインスプール23が移動の際にその軸方向反力を支持するスプリング24の支持部とを有する。
メインスプール23は、その軸方向に所定のスプール径を有した3個のスプールを持ち、このスプール間に圧油または戻し油を連通する2箇所の小径部と、スプリング24の受け座であるスプリング座24aを受ける、(図の左方に)段付き部とを有する。3個の内の中央に位置するスプールにはその両端外径部に、PポートからAポートまたは、PポートからBポートへの圧油量を絞り調整するために、軸方向に長手の小さな切欠き溝をなす、スプール切欠き23a、スプール切欠き23bをそれぞれ有する。このスプール切欠き23aは、メインスプール23がスプリング24側へ移動するに従い、PポートからAポートへ連通するスプール切欠き23a部の断面積が少なくなる溝形状をなしている。またスプール切欠き23bは、メインスプール23がスプリング24の反対側へ移動するに従い、PポートからBポートへ連通するスプール切欠き23b部の断面積が少なくなる溝形状をなしている。
【0034】
また、ファン変速・逆転制御弁本体21のEPC弁25は、EPC弁本体26、パイロットスプール28、および電磁ソレノイド27よりなっている。
EPC弁本体26はパイロット入力ポートと、パイロット圧をメインスプール23の一端へ加圧する圧力室(図2中のS部)と、これらのパイロット圧入力ポートとS部の間を連通する管路と、この管路途中にパイロットスプール28が摺動自在に挿通する穴とを有する。
パイロットスプール28は、パイロット圧入力ポートとS部の間を連通する管路においてパイロット圧力を絞り調整するため、その外径部にリング状の溝を有すると共に、その他端側は電磁ソレノイド27へ挿入されている。
電磁ソレノイド27は、コントローラ30からEPC弁出力信号25aを受けてパイロットスプール28を摺動させ、パイロット圧力を絞り調整するためのソレノイドコイル27aを有している。
【0035】
なお、本実施例には設けていないが、冷却風の通風時に冷却器1へ塵埃が付着するのを防止すると共に、その清掃を容易化するため(図示しない)防塵ネットを設けても良い。
この防塵ネットは、少なくとも冷却器1の受風面の面積を覆う大きさの薄板形状をなし、冷却風中の塵埃を捕捉するに最適な大きさの網目を有したフィルターで構成されており、冷却器1の受風面側にこれと近接して平行に、(これを取出して除塵するため)着脱自在に取付けられているのが望ましい。
【0036】
次に、本発明の実施形態になる実施例の作用を説明する。
本実施例では、同一のファン変速・逆転制御弁20を用いて、(1)冷却器1の冷却時にはファン2の回転数を変速し、また、(2)冷却器1の清掃時にはファン2を逆回転させてこれの除塵を行っているが、この作用を図1〜図3を用いて説明する。
【0037】
(1)エンジン稼動時における冷却器1の冷却時には、ファン変速・逆転制御弁20により油圧駆動ファンモータ3への作動油量を制御して、これの回転数を変え、ファン2の回転数を変速することで冷却器1の通風量を変換しているが、この作用を図1、図2を用いて以下に詳述する。
【0038】
通常、エンジン稼動時には、冷却器1である、水クーラ1aにはエンジンの冷却水が、また、オイルクーラ1bには作業機の作動油が流されている。
水クーラ1aには、エンジン40からその出力を取出し回転させた、定吐出型の冷却水ポンプ43により、エンジンの冷却水を通水循環させている。
また、オイルクーラ1bには、エンジン40の出力をトランスミッション41を介して取出し、定吐出型の作動油圧ポンプ44を回転させて、タンク46から吸い込んだ作動油を吐出し、(図示しない)制御バルブ、アクチュエータなどで構成される作業機油圧装置45を用いて作業機械を駆動させた後の、作動油の戻り油を通油させている。
【0039】
一方、ファン2は、油圧駆動ファンモータ3により回されて、冷却器1に冷却風を通風しこれを冷却する。この際、油圧駆動ファンモータ3は、作動油圧ポンプ44と回転軸を同軸に連結し、トランスミッション41からの入力軸を共用した、定吐出型のファン駆動油圧ポンプ42により、タンク46から吸込んだ作動油を送油して回転(正回転)させられるが、このとき、ファン変速・逆転制御弁20によりその回転が変速される。
【0040】
この油圧駆動ファンモータ3の変速の作用を説明する。
油圧駆動ファンモータ3の正方向最高回転の際には、ファン変速・逆転制御弁20のメインスプールスプール23は、スプリンング24に押されて(図2の右方向の)ストローク端にある。そして、ファン駆動油圧ポンプ42より送油された圧油はその全量が、(図2に示した圧油の流れ方向に沿って)制御弁本体22のPポートからAポートを経由して、油圧駆動ファンモータ3の入力ポートであるA1へ入りこれを正方向に最高回転させる。そして油圧駆動ファンモータ3の出口ポートあるB1から(図2に示した圧油の流れ方向に沿って)制御弁本体22のBポートを経由してタンクポートTへ排出され、その後オイルクーラ1bを通過して、ここで冷却されタンク46へ戻る。
変速回転時には、コントローラ30は、冷却水の管路に設けた水温センサ32からの水温信号32aと、作動油の管路に設けた油温センサ33からの油温信号33aとを受け、これらの信号に対応したEPC弁出力信号25aをEPC弁(電磁パイロット制御弁)25の電磁ソレノイド27に送信する。そして、ソレノイドコイル27aは、このEPC弁出力信号25aにより、パイロットスプール28を(図2の下方へ)所定ストローク量移動させて、メインスプール23の一端に連通する圧力室(図2中のS部)に所定のパイロット圧を導く。このパイロット圧力はスプリング24の弾性力に対抗して、メインスプール23を図の左方へ所定量移動させ、メインスプール23中央のスプール切欠き23a部により絞ることにより、制御弁本体22のPポートからAポートへ流れる圧油を所定量に制限する。この際、油圧駆動ファンモータ3を所要の回転数回転させるに必要とする油量以外の余分な油量は、リリーフ弁47によりオイルクーラ1bを経由してタンク46へ返される。
なお、メインスプール23をスプリング24側へ移動していくに従って、PポートからAポートへ連通するスプール切欠き23a部の断面積が少なくなるので、この部分での通過油量が少なくなり、油圧駆動ファンモータ3の回転は低くなっていく。そしてこのスプール切欠き23a部の断面積が0になった時点で、圧油はPポートからAポートへ流れなくなり、油圧駆動ファンモータ3は停止する。
【0041】
このようにして本実施例では、ファン変速・逆転制御弁20により、機械作動油の温度または冷却水の温度に対応して、油圧駆動ファンモータ3を通過する作動油量を所定の量に絞ることが可能となり、油圧駆動ファンモータ3の回転を任意に変速できる。
エンジン40の冷却時には、コントローラ30により冷却水管路に設けられた水温センサ32により実測したエンジン水温に対応して、ファン変速・逆転制御弁20を自動操作して、油圧駆動ファンモータ3の回転を最適な回転数(正転)に変速させ、適正な冷却風量を冷却器1へ送風することにより、エンジン効率を良好に維持するように、エンジン冷却水を適切な水温に制御している。
また、ファン2の回転騒音は作業機械の騒音の一大要因となっており、作業環境改善の社会要請からしてもこの低騒音化は必達事項といえが、本実施例の油圧駆動システムにおいては、この騒音対応として、エンジン冷却水温、作動油油温、に応じた回転制御により、ファン2の最高回転数を低減し、その騒音を低く押さえるように配慮している。
また、エンジン冷却時の冷却水の温度が低い、または機械作動油の温度が低い場合の低騒音対策として、ファン2を低速で回転させている。
そして、エンジン加熱時には、エンジン温度を適温に保ちエンジン稼動を良好な状態に維持できるよう、エンジン温度に対応して冷却ファンを高回転に変速して冷却装置の能力を上げる操作を行っている。このように最適な回転数制御により、ファン回転の無駄な出力を低減できるので、その動力源であるエンジン出力のロス馬力の低減も図れ、燃費低減にも寄与できている。
【0042】
(2)冷却器1の清掃時には、ファン変速・逆転制御弁20により油圧駆動ファンモータ3への作動圧油の流入・排出方向を切換えて、油圧駆動ファンモータ3を逆回転させ、ファン2を逆回転させて冷却器1へ逆通風することにより、冷却器1に付着した塵埃の除去を行っている。
この作用を以下に詳述する。
【0043】
図1に示すように、コントローラ30は、ファン逆転スイッチ31の操作によりファン逆転指令31aを受けて、ファン変速・逆転制御弁20のEPC弁(電磁パイロット制御弁)25へEPC弁出力信号25aを出す。
EPC弁(電磁パイロット制御弁)25は、ファン逆転のEPC弁出力信号25aを受けて、電磁ソレノイド27のソレノイドコイル27aを電磁作動させ、パイロットスプール28を(図3の下方へ)所定ストローク量移動させて、メインスプール23の一端に連通する圧力室(図3中のS部)に所定のパイロット圧を導く。このパイロット圧力はスプリング24の弾性力に対抗して、メインスプール23を図の左方へそのストローク端まで移動させる。ここで、ファン変速・逆転制御弁本体21の圧油流路位置は、図1におけるファン変速・逆転制御弁本体21の右ポジション(図3に示すスプール位置)に切り替わる。そして、ポンプ42からの圧油は、制御弁本体22のPポートから入り、Bポートを経由して、油圧駆動ファンモータ3のB1ポートへ流れ、油圧駆動ファンモータ3を逆回転駆動させる。そして、油圧駆動ファンモータ3のA1ポートからの戻り油は、制御弁本体22のAポートから入り、Tポートを経由してオイルクーラ1bを通過し、タンク46へ戻される。
この際、油圧駆動ファンモータ3を所要の回転数だけ回転させるに必要な油量以外の余分な油量は、リリーフ弁47によりオイルクーラ1bを経由してタンク46へ戻される。
このようにして、冷却器1に塵埃が付着しその清掃を要する時には、ファン逆転スイッチ31を操作して、ファン変速・逆転制御弁の入出力ポートを切換え、油圧駆動ファンモータ3を逆回転(冷却時を正回転として)させて、ファン2を逆回転させる。そして、このファン2の逆回転により吸引された通風は、冷却器1を冷却時の方向と逆方向に通過し、ここで、冷却時に目詰まりした塵埃を、(目詰まり方向と逆方向に)押戻すことにより、効率良く冷却器1から離脱させ、除去している。
【0044】
なお、本実施例ではメインスプール23を(図3のように)左側へ押切り、PポートからBポートへの流路を全開して、最高回転により油圧駆動ファンモータ3を逆回転させたが、この逆回転を変速することもできる。即ち、EPC弁25によりパイロット圧を調整して、メインスプール23中央のスプール切欠き23b部により絞ることにより、制御弁本体22のPポートからBポートへ流れる圧油を所定量に制限すればよい。
【0045】
また、前述したように、冷却器1の受風面側に防塵ネットを設けて、冷却器1の防塵を行う場合があるが、この際は本実施例のような冷却器1の清掃ではなく、油圧駆動ファンモータ3を冷却時の通風方向と逆回転させて、ファン2を逆回転(冷却時に対し)させ、逆風を防塵ネットに通風することにより、防塵ネットの除塵を行うことになる。
【0046】
ところで、以上説明した実施例での冷却装置10においては、その油圧駆動ファンモータ3の正回転時の送風を、冷却器の受風面側に押出す、軸流押出しファン方式の冷却装置としていた。しかし、本願発明の冷却装置10は、この実施例に限定されることなく、油圧駆動ファンモータ3の正回転時の通風を、冷却器1から吸引する、冷却風の吸引方式の冷却装置であってもよい。この場合においても、前述の実施例と同様、本願発明特有の効果を得られるものである。
【0047】
前述の実施例での冷却器1は、エンジン冷却水用の水クーラ1aと作動油冷却用のオイルクーラ1bとで構成していたが、本願発明の冷却器は、これに限定されることなく、少なくともエンジン冷却水用のラジエータより構成されていればよく、場合によっては、例えばエンジン排気冷却用のアフタークーラ(エアークーラ)などを併合して装備してもよい。
【0048】
本願発明によれば次のような効果が得られる。
本願発明によれば、水冷式内燃機関に用いられる油圧駆動ファン式の冷却装置において、1個のファン変速・逆転制御弁のみを採用することにより、水クーラ、オイルクーラなどの冷却器を適正に冷却するための油圧駆動ファンモータの回転変速操作と、冷却器自体あるいは防塵ネットなどに逆風を送ってこれらの清掃を行うための油圧駆動ファンモータの逆回転操作とを可能にした。
即ち、従来のように、冷却時における油圧駆動ファンモータの変速回転を行うための油量制御と、除塵時における油圧駆動ファンモータの逆回転を行うための油路の切換え、とをそれぞれ別個の制御弁を用いる必要がなく、1つの機器で行える。よって、本これらの油圧システムは極めて簡易な構成となり、小型化が可能となる。しかもこれらの装置は低コストに製作できる。
そしてさらに、油圧駆動ファンモータの変速回転制御と、逆回転制御に際し、制御装置からの変速回転指令信号と、逆回転指令信号は1系統で済み、かつEPC弁の制御のみでよいので、その制御は簡単になり制御装置も簡素となると共に、そのコストの低減ができる。
【0049】
また、本願発明によれば、1個のファン変速・逆転制御弁を、油圧駆動ファンモータと油圧ポンプとの間に、それぞれの入出力口を管路で連通して配設している。よって、油圧回路は極めて簡易な構成となるので、油圧システム装置全体がコンパクトにでき、しかも廉価に製作できることから、作業機械への搭載が容易になる。
【0050】
本発明では、油圧駆動ファンモータを変速回転する際の油量変換は、ファン変速・逆転制御弁を用いて行うので、油圧駆動源は一定の油量供給でよく、定吐出型のポンプが採用できる。よって、このファン駆動ポンプ自体が安価で済むのみならず、同一機械の油圧作業装置の駆動用ポンプなどとその回転軸を同軸に連結して、多連ポンプ構成(組合せポンプ)にできると共に、1つの駆動電気モータの共用が可能となる。
これらの理由から、本発明の油圧駆動ファンモータの駆動装置はコンパクトにでき、省スペース化、省電力化が図れる。また、当然ながら装置のローコスト化にも寄与できる。
【0051】
さらに、本願発明の油圧駆動ファン式の冷却装置において、エンジンを冷却する時には、コントローラにより、温度センサにより実測したエンジン水温に対応して、ファン変速・逆転制御弁を自動操作して、前記油圧駆動ファンモータの回転を最適な回転数(正転)に変速させ、適正な冷却風量を冷却器へ送風することにより、エンジン冷却水を最適な水温に制御できる。よって、エンジン温度は適温に保てるので、エンジン稼動を良好な状態に維持でき燃費改善に寄与できる。
【0052】
本願発明採用の油圧駆動システムによれば、エンジン冷却水温、作業機械の作動油油温などに応じた冷却ファンの回転制御により、その最高回転数をタイムリーに落とすことにより、作業機械の騒音の一大要因となっている冷却ファンの回転騒音を低減でき、作業環境を改善できる。
また特に騒音規制の厳しい街中での機械作動時などでは、ファンの最高回転数を適宜適正な回転数に落として低騒音運転をするなど、臨機応変に環境規制に対応することもできる
しかも、この制御によりファン回転の無駄な出力を低減できるので、その動力源であるエンジン出力のロス馬力の低減も図れると共に、燃費低減にも寄与できる。
【0053】
冷却器(ラジエータ)自体、あるいは防塵ネットの塵埃付着時には、ファン逆転スイッチを操作してファン変速・逆転制御弁の入出力ポートを切換え、油圧駆動ファンモータの回転を逆回転させてファンを逆回転させ、逆風を送って、これらの除塵を行うことができる。このように、冷却器自体、あるいは防塵ネットは、適宜逆風で清掃されるので、冷却水の熱交換を司るラジエータコアには、冷却風の通風によって粉塵が堆積することがない。
従って、本願発明による冷却装置は、ラジエータコアへの粉塵の付着に起因する冷却効率の低下、および防塵ネットの目詰まりによるラジエ−タへの軸流ファンの通風量の減少を、自動的に、かつ長時間にわたって防止でき、常に冷却効率の良い、冷却装置を提供することができる。
さらに、ラジエータコアを常時清浄に保てて、エンジンの冷却水の水温管理を常に高水準に保てることから、エンジン性能を常に良好な状態に維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明になる冷却装置の油圧モータによるファン変速回転駆動の油圧回路システム図である。
【図2】本願発明になるファン変速・逆転制御弁の、ファン正回転時の作動油の流れを示した一部断面図である。
【図3】本願発明になるファン変速・逆転制御弁の、ファン逆回転時の作動油の流れを示した一部断面図である。
【図4】従来技術になる冷却装置の油圧モータによるファン変速回転駆動の例を示す図である。
【図5】従来技術になる冷却装置の油圧モータによるファンの変速回転駆動および逆転回転駆動の例を示す図である。
【符号の説明】
1…冷却器、1a…水クーラ、1b…オイルクーラ、2…ファン、3…油圧駆動ファンモータ、10…冷却装置、20…ファン変速・逆転制御弁、21…ファン変速・逆転制御弁本体、22…制御弁本体、23…メインスプール、23a…スプール切欠き、23b…スプール切欠き、24…スプリング、24a…スプリング座、25…EPC弁(電磁パイロット制御弁)、25a…EPC弁出力信号、26…EPC弁本体、27…電磁ソレノイド、27a…ソレノイドコイル、28…パイロットスプール、30…コントローラ、31…ファン逆転スイッチ、31a…ファン逆転信号、32…水温センサ、32a…水温信号、33…油温センサ、33a…油温信号、40…エンジン、41…トランスミッション、42…ファン駆動油圧ポンプ、43…冷却水ポンプ、44…作動油圧ポンプ、45…作業機油圧装置、46…タンク、47…リリーフ弁、101…ポンプ、102…モータ、103…クーラ、104…制御手段、105…ファン羽根、106…オイルクーラ、107…水クーラ、108…油温センサ、109…水温センサ、110…空気温度信号、111…タンク、120…ディーゼルエンジン、121…出力取出し手段、201…油圧モータ、202…ファン羽根、203…冷却器、204…可変吐出型ポンプ、205…電磁操作制御弁、206…電磁方向切換弁、207…タンク。
【発明の属する技術分野】
本発明は、水冷式内燃機関に用いられる油圧駆動ファン式の冷却装置において、その油圧駆動ファンの回転制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ラジエータを有する動力機械の水冷式内燃機関におけるラジエータ(冷却器)冷却用には、小型軽量化が可能で、スペース効率もよいので、ラジエータ(冷却器)と、このラジエータへ冷却風を通風する軸流ファンとで構成された、軸流ファン式のラジエータ冷却装置が多用されている。
これらラジエータ冷却装置は、水冷式のエンジンを冷却するために設けたラジエータへ軸流ファンにより冷却風を吹き付ける(または吸引する)ことにより、ラジエータ内を循環するエンジン冷却水の保有熱を廃熱し、水冷式のエンジンを冷却している。つまり、軸流ファンによって発生する空気流は、ラジエータの受風面に垂直に設けられた冷却通路を通ってラジエータのコアを通過することにより、コアチューブ内を流下するエンジン冷却水の放熱を行っている。
【0003】
ところで、水冷式内燃機関はその出力効率を良好に維持するため、その温度を所定の温度範囲に保つ必要がある。
このため、エンジン温度が低い場合にはそのエンジン冷却水の昇温を早めるため、エンジン冷却水の放熱を行う冷却器(熱交換器)への送風用の、ファン回転を停止状態とする、またエンジン過熱時には、冷却器に適量の冷却風量を通風し、エンジン温度を所定の温度に保つようにファンを最適な回転数に変速するなど、エンジン温度に対応してファンの回転数を変速して、冷却装置の冷却能力を制御し、エンジン温度を最適温度範囲に保持する技術が用いられている。
また、ファンの変速回転駆動方式として、電動モータの採用が主力ではあるものの、油圧作動が主な作動機械においては、その発生油圧を流用した、油圧モータの採用例も見られる。
【0004】
例えば非特許文献1には、エンジン冷却水の冷却装置のファンを油圧モータにより変速回転駆動する技術が記載されている。
従来技術になる冷却装置の油圧モータによるファン変速回転駆動の例を示す図として本願発明に記載した、図4を用いて、本非特許文献1の技術内容を以下に説明する。
一般の油圧ファン駆動システムは、ポンプ101、モータ102、クーラ103の3主要部品で構成されている。
そして、ファン羽根105回転用のモータ102は油圧ギヤモータであり、ディーゼルエンジン120からの機械的な出力取出し手段121(PTO・パワーテイクオフ)に設けられた、油圧ポンプ101によって駆動される。
モータ102の運転時には、回転中のファン羽根105は、押出しまたは吸引によりクーラ103へ通風する冷却風を発生させる。ここで、加熱されたエンジンオイルはこの通風によって冷却される。モータ102の配管口の一方は油圧ポンプ101からの油圧が連通されており、また他方は直接タンク111へ連通されている。
モータ102に直接配設されたリリーフ弁112は、これに付属した制御手段104(ECU)により、エンジンオイル、およびエンジン冷却水の温度を検知するそれぞれの油温センサ108、水温センサ109からの2種のアナログ信号と、空気の温度を伝達する空気温度信号110からのデジタル信号との、3種の入力信号に対応してこれらを変換、増幅した出力により、タンク111へバイパスさせるリリーフ油量を適性に制御することによって、ファン羽根105の回転を変速制御している。
【0005】
また、動力機械の作業環境を考えると、その殆どの作業が屋外であり、また特に、自走式の動力機械にあっては、その駆動装置から周囲の塵埃を巻き上げるなどして、それらのエンジンに備えた冷却装置へ冷却風として取り入れた空気中には塵埃が多く存在する。よって、軸流ファンにより外気より採り込まれた空気流が冷却装置に設けたラジエータコアを通過する際に、空気中の塵埃も同時に運ばれるので、このラジエータのコアには、塵埃が多く付着することになる。そして、この塵埃の付着量は時間経過とともに増し、ラジエータの目詰まり現象を加速してエンジンの冷却効率を下げ、ついにはエンジンのオーバーヒートをも招く事態が発生する。
このため従来、ラジエータの受風面側(風上側)に防塵網(フィルター)を設置し、ラジエータコアへの塵埃付着を防ぐ技術、およびこのフィルターのメンテナンスを改善する方策として、このフィルターを、ファンの逆風により自動的に清掃するなど、次に述べるような高度な技術が開発されてきている。
【0006】
例えば特許文献1には、その図7に見られるように、エンジン冷却用のファンと、冷却風路に冷却風から除塵する防塵網とを設け、このファンを、内燃エンジンからの機械的な伝動回転出力により、逆回転させ逆送風洗浄(逆洗浄)して防塵網を除塵する技術が開示されている。
該特許文献1によると、この発明は、コンバインなど作業機のエンジン冷却装置で、詳しくは、エンジン冷却用のファン、冷却風路に冷却風から除塵する防風網、および、その防風網を通して吸気するようにファンを正転駆動する冷却用の第1駆動状態と、防塵網を通して排気するようにファンを逆転駆動する除塵用の第2駆動状態とに切換自在な駆動手段を設けている。そして、第1設定時間にわたりこの駆動手段を第1駆動状態に切換えるとともに、第2設定時間にわたり駆動手段を第2駆動状態に切換えることを一インターバルとして繰り返すように駆動手段を制御する制御装置を設けた構成としている。
そして本構成による効果として、インターバル毎にエンジン性能を維持する上で除塵が必要な作業条件下では、そのインターバル毎の除塵を行って所期のエンジン冷却を確実に行うことができる。のみならず、除塵頻度が少ない条件下では、作業者判断に基づく必要な除塵を行ってエンジン性能を維持した状態で、駆動手段の耐久性が低下する一因である、駆動手段の不必要な駆動状態の切換えを抑制して、駆動手段の耐久性を向上できた、としている。
【0007】
また従来、冷却装置のファンの回転駆動を、油圧モータを採用して冷却時の変速回転駆動と清掃時の逆転回転駆動とを共に行わせる技術がある。
例えばこの1実施例として、本願発明に従来例として掲載し、従来技術になる冷却装置の油圧モータによるファンの変速回転駆動および逆転回転駆動の例を示す図である、図5を用いてこれを説明する。
【0008】
図5において、本冷却システムは、冷却器203と、冷却器203へ通風するファン羽根202とファン羽根202を回転駆動させる油圧モータ201と、油圧モータ201を変速回転させる可変吐出型ポンプ204と、油圧モータ201の回転方向を切換える電磁方向切換弁206とで構成されている。
冷却装置の冷却時には、電磁操作制御弁205は、(図示しない)制御装置から、エンジン水温、作動油油温などに応じて設定した可変吐出量の指令を受けて、可変吐出型ポンプ204の吐出量変換機構を作動させ、吐出油量を所定の油量に設定する。そして、可変吐出型ポンプ204はこの所定油量を吐出し、この送油が方向電磁弁206を経由して定容量型の油圧モータ201に送られ、これを所定の回転数で回し、ファン羽根202を回転させて所定の冷却風量を冷却器203に送りこれを冷却している。
また、冷却器203の清掃時には、電磁方向切換弁206を切換え、油圧モータ201への油圧の入出力を入れ替えて、これを可変吐出型ポンプ204からの給油により所定の回転数で逆回転させる。そして、油圧モータ201はファン羽根202を逆回転させて(冷却時のファン回転に対し)逆風を冷却器203に通風し、冷却時の冷却風通過時に塵埃が目詰まりした、冷却器203の除塵をしている。
【0009】
【特許文献1】
特開平11−193717号公報(第2−3頁、図7)
【非特許文献1】
Haldex Hydraulics Hof/Germany,J.Berthold 作成、Haldex社カタログ、「Principles of fan drives」の項、2002年5月発行。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように従来、ラジエータを有する動力機械、発電機等などの水冷式内燃機関には、エンジンを冷却するラジエータ(冷却器)と、このラジエータへ冷却風を押出しまたは吸引により通風する軸流ファンとで構成された冷却装置が多く採用されている。
ところが、動力機械、発電装置などの作業環境は、その殆どが屋外作業であり、それらのエンジン冷却用に設けた冷却装置へ冷却風として取り入れる空気中には塵埃が多く存在する。よって、軸流ファンによりこの空気流が通過するラジエータのコアには、塵埃が多く付着し、エンジンの冷却効率を下げる事態となる。
そこで、前述の特許文献1に見られるように、ラジエータの塵埃による目詰まりを防ぐため、ラジエータの受風面側(風上側)に防塵網(フィルター)を設置し、かつ、この冷却装置の軸流ファンを逆転起動して、防塵網へ冷却時に対する逆風を送り、これを自動的に除塵する技術が開示されてきた。
【0011】
また、エンジン効率を良好に維持するためには、エンジン冷却水温を適性水温になるよう、また作動油の粘性を適度に保ち、油圧作動機器の作動効率を良くするためには作動油油温を一定になるようこれら、エンジン冷却水、作動油などの冷却媒体を冷却装置により最適に冷却制御する必要がある。
このため、従来、エンジン冷却水温、作動油油温、などに対応して冷却ファンの回転数を制御し、冷却装置の熱交換器(冷却器)への風量を制御することで、エンジン効率、油圧作動機器の作動効率などの適性化を図っている技術があることを、また、この冷却ファンの油圧回転駆動方式の1例として非特許文献1を紹介した。
【0012】
しかし、前述の、逆風圧による防塵網の除塵(逆洗浄)の技術を開示した、特許文献1においては以下の問題がある。
この発明は、冷却風の流れ方向を、防塵網に目詰まり現象を起こした冷却時の流れ方向に対して軸流ファンの逆回転によって逆風となし、この逆風を防塵網に通風した風圧により、防塵網に付着した塵埃を流入方向に押し戻すことにより除去する、所謂、風圧による逆洗浄の技術を開示している。
しかし、この発明においては、冷却ファンモータの回転駆動はエンジンからのPTO(パワーテイクオフ)であり、エンジン回転の流用である。従って、本技術を転用して、本発明の意図するように冷却ファンの回転を適宜所望の回転に変速するには難がある。
【0013】
また非特許文献1においては、以下の問題がある。
前述の非特許文献1には、ディーゼルエンジンから出力取出しした定吐出型のポンプの圧油により定容量型の油圧モータを回転させるに際し、その作動油量をリリーフ弁によりタンクへリリーフ調整して、エンジン冷却水の冷却装置のファンを変速回転駆動する技術が記載されている。
しかしこの場合、ファン羽根を逆回転駆動してクーラの除塵を行う技術の開示は無く、リリーフ弁によりリリーフ油量を制御してファンの変速回転制御をしているだけの構成なので、敢えてファン羽根の逆回転操作を行おうとしても、このリリーフ弁の操作では不可能である。
【0014】
またさらに、本願発明の図5に示したような、油圧モータを採用し、冷却時のファン変速回転駆動と清掃時のファン逆転回転駆動とを共に行わせる従来技術も紹介した。
この技術は、冷却装置のファンの回転駆動を定吐出型油圧モータを採用して、冷却時は、可変吐出型ポンプにより送油量を制御して、これに装着したファンを変速回転駆動させ、また冷却器の清掃時には、油圧モータの入出力管路中に設けた電磁方向切換弁を切換えて、ファンの逆転回転駆動をも行わせる技術であるが、以下の問題がある。
即ち、この技術では、冷却時にファンを変速回転駆動させるためには、これを回転駆動している定吐出型油圧モータへの送油量を可変制御する必要があるが、この送油量の制御は、可変吐出型ポンプにより行われている。この場合、例え機械の作動に油圧を採用し、可変吐出型ポンプを採用している場合であっても、その機械作動油量の制御と、このファン用の油圧モータを回転制御するための送油量の制御とは異なり、この可変吐出型ポンプと、ファン回転の油圧モータ用のポンプとの共用はできない。つまり、このファン駆動油圧モータ用の変速可変吐出型ポンプは専用に設ける必要がある。
よって、これら油圧装置は大掛かりとなり設置スペースを要するのは勿論のこと、その設備費は高価となる。
【0015】
また本技術では、油圧モータを逆回転させて、ファン逆回転により冷却器に逆風を送り、塵埃の目詰まりした冷却器を清掃するため、油圧モータの入出力管路に専用の電磁方向切換弁を設けている。このため、先の可変吐出型ポンプとの併用で油圧機器がコストアップとなるのは避けられない。
しかも、変速可変吐出型ポンプの可変油量制御と電磁方向切換弁の油圧モータの逆回転切換制御とそれぞれ個別の制御が必要となり、これらの制御装置が高価となる。
【0016】
なお、ファンを変速回転させる手段として、前述の従来例の変速可変吐出型ポンプに換え、可変吐出型のモータを採用することも考えられるが、この場合、可変吐出型のモータが高価であるデメリットがあるのは勿論、モータ自体が大型であり、これを組み込んだ冷却装置はその回転軸方向に大きくなってしまう。ところで通常、冷却装置の回転軸はエンジンの回転軸方向と平行にレイアウトするが、エンジンの回転軸方向には機器の配置スペースがないのが実情である。
よって、可変吐出型モータのファン駆動への採用は、小型化が要求される動力機械の水冷式内燃機関のラジエータ(冷却器)冷却用には不向きであると言える。
【0017】
本発明は、上記の問題点に着目してなされたもので、簡易な構成で、油圧駆動ファンの回転変速および逆回転が可能な、水冷式内燃機関に用いられる油圧駆動ファン式の冷却装置を提供することを目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
上記目的を達成するため、第1発明は、冷却装置における油圧駆動ファンの回転制御装置において、油圧駆動ファンモータと、前記油圧駆動ファンモータの回転変速操作、および逆回転切換え操作を可能とする、ファン変速・逆転制御弁と、温度センサと、ファン逆転スイッチと、温度センサまたはファン逆転スイッチ(31)からの信号に対応して、所定の信号を前記ファン変速・逆転制御弁に与えるコントローラとを設けた冷却装置における油圧駆動ファンの回転制御装置としている。
【0019】
第1発明によれば、水冷式内燃機関に用いられる油圧駆動ファン式の冷却装置において、エンジンの冷却時には、コントローラによりエンジン冷却水の径路中に設けられた温度センサにより実測したエンジン水温に対応して、ファン変速・逆転制御弁を自動操作して、前記油圧駆動ファンモータの回転を最適な回転数(正転)に変速させ、適正な冷却風量を冷却器へ送風することにより、エンジン冷却水を適切な水温に制御できる。また、ファン変速・逆転制御弁により、温度センサにより実測した機械作動油の温度に対応して、油圧駆動ファンモータを通過する作動油量を所定の量に絞ることが可能となり、油圧駆動ファンモータの回転を任意に変速でき、機械作動油の温度を適切な油温に制御できる。
また、前記冷却器自体、あるいは防塵ネットの除塵時には、コントローラが、ファン逆転スイッチからの信号を受けて前記と同一のファン変速・逆転制御弁に逆回転出力を与えることにより、その入出力ポートを切換え、油圧駆動ファンモータの回転を逆回転させてファンを逆回転させ、冷却器、あるいは防塵ネットに(冷却時の送風方向に対し)逆風を送ることにより、これらの除塵を行うことができる。
このように、冷却時における油圧駆動ファンモータの変速回転を行うための油量制御と、除塵時における油圧駆動ファンモータの逆回転を行うための油路の切換えとを、1つの機器で行える、ファン変速・逆転制御弁を設けたので、本油圧システムは極めて簡素な構成となり、安価となる。
そしてさらに、変速回転制御と、逆回転制御に際し、変速回転指令信号と、逆回転指令信号とは1系統で済み、かつ1個のファン変速・逆転制御弁の制御のみでよいのでその制御は簡単になり、制御装置のコスト低減が出来る。
【0020】
また、油圧駆動ファンモータの変速回転の際、その油量変換はファン変速・逆転制御弁にて行うので、油圧駆動源は一定の油量供給でよく、定吐出型ポンプが採用できる。よって、ポンプは安価であるのみならず、機械の油圧作業装置の駆動用ポンプなどとまとめて1モータ駆動による多連ポンプ構成にでき、その駆動装置は簡易、かつ廉価となる。
【0021】
また、冷却ファンの回転騒音は作業機械の騒音の一大要因となっており、作業環境改善の社会要請からしてもこの低騒音化は必達事項といえる。
本願発明採用の油圧駆動システムによれば、エンジン冷却水温に対応した回転制御により、冷却ファンの最高回転数を低減出来るので、冷却ファンの回転騒音を低減できる。
しかも、この制御によりファン回転の出力を低減できるので、その動力源であるエンジン出力のロス馬力の低減も図れ、燃費低減にも寄与できる。
そして、エンジン加熱時には、エンジン温度に対応して冷却ファンを高回転に変速して冷却装置の能力を上げ、エンジン温度を適温に保てるので、エンジン稼動を良好な状態に維持でき燃費改善に寄与できる。
【0022】
またさらに、冷却器(ラジエータ)自体、あるいは防塵ネットの塵埃付着時には、ファン変速・逆転制御弁により、その入出力ポートを切換え、油圧駆動ファンモータの回転を逆回転させてファンの逆回転による逆風を送り、これらの除塵を行うことができる。このように、冷却器自体、あるいは防塵ネットは、適宜逆風で清掃されるので、冷却水の熱交換を司るラジエータコアには、冷却風の通風によって粉塵が堆積することがない。
従って、本願発明による冷却装置は、ラジエータコアへの粉塵の付着に起因する冷却効率の低下、および防塵ネットの目詰まりによるラジエ−タへの軸流ファンの通風量の減少を、自動的に、かつ長時間にわたって防止でき、常に冷却効率の良い、冷却装置を提供することができる。
さらに、ラジエータコアを常時清浄に保てて、エンジンの冷却水の水温管理を常に高水準に保てることから、エンジン性能を常に良好な状態に維持できる。
【0023】
上記目的を達成するため、第2発明は、前記第1発明記載の、冷却装置における油圧駆動ファンの回転制御装置において、前記ファン変速・逆転制御弁を、前記油圧駆動ファンモータと、前記油圧駆動ファンモータの駆動油圧源との間の管路に配設した、ことを特徴とする冷却装置における油圧駆動ファンの回転制御装置としている。
【0024】
本願発明の第2発明によれば、水冷式内燃機関に用いられる油圧駆動ファン式の冷却装置において、エンジン冷却時の、エンジン水温に対応した送油油量の制御による油圧駆動ファンモータの回転変速操作と、冷却器自体、あるいは防塵ネットの除塵時における、油圧駆動ファンモータの逆回転操作とを可能にした、1個のファン変速・逆転制御弁を、油圧駆動ファンモータと油圧駆動ファンモータの駆動油圧源との間の管路に配設している。
この1個のファン変速・逆転制御弁のみの採用により、油圧回路は極めて簡易な構成となるので、油圧システム装置全体がコンパクトにでき、しかも廉価に製作できることから、作業機械への搭載が容易になる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本願発明になる冷却装置の油圧モータによるファン変速回転駆動の油圧回路システム図であり、図2は、本願発明になるファン変速・逆転制御弁の、ファン正回転時の作動油の流れを示した一部断面図であり、そして図3は、本願発明になるファン変速・逆転制御弁の、ファン逆回転時の作動油の流れを示した一部断面図である。
【0026】
まず、本発明の実施形態になる実施例の構成を、図1〜図3を用いて説明する。
図1において、冷却装置10は、建設車両の内燃機関の冷却用に用いた装置であり、冷却器1と、この冷却器1に冷却風または逆風を送り込むファン2と、ファン2を駆動させる油圧駆動ファンモータ3とで構成されている。
ここでファン2は、冷却風押出し式の軸流ファンで、定吐出型の油圧駆動ファンモータ3の回転軸端に回転軸と同軸に固着されたボスの外径部に径方向へ放射状に複数枚設けられたファン羽根によりなっている。
冷却器1は、その内部にエンジン冷却水を流下させ放熱を行う複数のコアを有した水クーラ1aと、作業機油圧装置45からの戻り油を流下させ放熱を行う複数のコアを有したオイルクーラ1bとを有している。そして、それらの受風面はファン2の回転軸に対して垂直かつ並列に配設されている。
【0027】
そして、油圧駆動ファンモータ3の変速回転駆動を行うための油圧機器としては、建設車両のエンジン40の出力をトランスミッション41を介して取出し回転させる、定吐出型のファン駆動油圧ポンプ42と、このファン駆動油圧ポンプ42の油量を調整するファン変速・逆転制御弁20と、リリーフ弁47とを具備している。
ファン変速・逆転制御弁20は、油圧駆動ファンモータ3と油圧駆動源である油圧ポンプ42との間の管路に配設され、その入出力ポート(図1におけるA,Bポート)を油圧駆動ファンモータ3の入出力ポート(図1におけるA1,B1ポート)に、またその圧力ポート(図1におけるPポート)を油圧ポンプ42の吐出口にそれぞれ管路で連通して設けられている。
【0028】
このファン変速・逆転制御弁20の配置構成によれば、油圧回路は極めて簡易な構成となるので、冷却装置の油圧システム全体がコンパクトにでき、しかも廉価に製作できる。よって、この冷却装置の作業機械への搭載が容易となる。
【0029】
また、水クーラ1aへエンジン40の冷却水を循環させる機器としては、エンジン40の出力を取出し回転させる、定吐出型の冷却水ポンプ43と、冷却媒体である冷却水の冷却水温を計測する温度センサである水温センサ32とを設けている。
【0030】
またさらに、オイルクーラ1bへ作業機械の作動油圧油を循環させる機器としては、エンジン40の出力をトランスミッション41を介して取出し回転させる、定吐出型の作動油圧ポンプ44と、この作動油圧ポンプ44よりの吐出油を制御して作業機械を駆動させる(図示しない)、制御バルブ、アクチュエータなどで構成される作業機油圧装置45と、冷却媒体である作動油の油温を計測する温度センサである油温センサ33とを有している。
なお、前述のファン駆動油圧ポンプ42と作動油圧ポンプ44とはいずれも定吐出型でそれらの回転軸を同軸に連結し、トランスミッション41からの入力軸を共用した組合せポンプである。
【0031】
制御装置としては、油圧駆動ファンモータ3の変速回転駆動制御または逆転回転駆動を行うためのコントローラ30と、このコントローラ30へ逆回転指令を指示するファン逆転スイッチ31とが設けられている。
【0032】
図2によりファン変速・逆転制御弁20の詳細構成を説明する。
ファン変速・逆転制御弁20は主として、ファン変速・逆転制御弁本体21とEPC弁(電磁パイロット制御弁)25とで構成される。
【0033】
ここでファン変速・逆転制御弁本体21は、制御弁本体22、およびメインスプール23よりなる。
そして、ファン変速・逆転制御弁本体21の制御弁本体22は、ファン駆動油圧ポンプ42よりの圧油を入力するPポートと、タンク46へ戻し油するTポートと、油圧駆動ファンモータ3のA1ポートと連通するAポートと、油圧駆動ファンモータ3のB1ポートと連通するBポートと、これらのポートをそれぞれ連通する管路と、その中央にメインスプール23を挿通する穴とを有する。さらに制御弁本体22は、メインスプール23よりリークした油をタンク46へ排油するDポートと、スプリング24を挿通すると共にメインスプール23が移動の際にその軸方向反力を支持するスプリング24の支持部とを有する。
メインスプール23は、その軸方向に所定のスプール径を有した3個のスプールを持ち、このスプール間に圧油または戻し油を連通する2箇所の小径部と、スプリング24の受け座であるスプリング座24aを受ける、(図の左方に)段付き部とを有する。3個の内の中央に位置するスプールにはその両端外径部に、PポートからAポートまたは、PポートからBポートへの圧油量を絞り調整するために、軸方向に長手の小さな切欠き溝をなす、スプール切欠き23a、スプール切欠き23bをそれぞれ有する。このスプール切欠き23aは、メインスプール23がスプリング24側へ移動するに従い、PポートからAポートへ連通するスプール切欠き23a部の断面積が少なくなる溝形状をなしている。またスプール切欠き23bは、メインスプール23がスプリング24の反対側へ移動するに従い、PポートからBポートへ連通するスプール切欠き23b部の断面積が少なくなる溝形状をなしている。
【0034】
また、ファン変速・逆転制御弁本体21のEPC弁25は、EPC弁本体26、パイロットスプール28、および電磁ソレノイド27よりなっている。
EPC弁本体26はパイロット入力ポートと、パイロット圧をメインスプール23の一端へ加圧する圧力室(図2中のS部)と、これらのパイロット圧入力ポートとS部の間を連通する管路と、この管路途中にパイロットスプール28が摺動自在に挿通する穴とを有する。
パイロットスプール28は、パイロット圧入力ポートとS部の間を連通する管路においてパイロット圧力を絞り調整するため、その外径部にリング状の溝を有すると共に、その他端側は電磁ソレノイド27へ挿入されている。
電磁ソレノイド27は、コントローラ30からEPC弁出力信号25aを受けてパイロットスプール28を摺動させ、パイロット圧力を絞り調整するためのソレノイドコイル27aを有している。
【0035】
なお、本実施例には設けていないが、冷却風の通風時に冷却器1へ塵埃が付着するのを防止すると共に、その清掃を容易化するため(図示しない)防塵ネットを設けても良い。
この防塵ネットは、少なくとも冷却器1の受風面の面積を覆う大きさの薄板形状をなし、冷却風中の塵埃を捕捉するに最適な大きさの網目を有したフィルターで構成されており、冷却器1の受風面側にこれと近接して平行に、(これを取出して除塵するため)着脱自在に取付けられているのが望ましい。
【0036】
次に、本発明の実施形態になる実施例の作用を説明する。
本実施例では、同一のファン変速・逆転制御弁20を用いて、(1)冷却器1の冷却時にはファン2の回転数を変速し、また、(2)冷却器1の清掃時にはファン2を逆回転させてこれの除塵を行っているが、この作用を図1〜図3を用いて説明する。
【0037】
(1)エンジン稼動時における冷却器1の冷却時には、ファン変速・逆転制御弁20により油圧駆動ファンモータ3への作動油量を制御して、これの回転数を変え、ファン2の回転数を変速することで冷却器1の通風量を変換しているが、この作用を図1、図2を用いて以下に詳述する。
【0038】
通常、エンジン稼動時には、冷却器1である、水クーラ1aにはエンジンの冷却水が、また、オイルクーラ1bには作業機の作動油が流されている。
水クーラ1aには、エンジン40からその出力を取出し回転させた、定吐出型の冷却水ポンプ43により、エンジンの冷却水を通水循環させている。
また、オイルクーラ1bには、エンジン40の出力をトランスミッション41を介して取出し、定吐出型の作動油圧ポンプ44を回転させて、タンク46から吸い込んだ作動油を吐出し、(図示しない)制御バルブ、アクチュエータなどで構成される作業機油圧装置45を用いて作業機械を駆動させた後の、作動油の戻り油を通油させている。
【0039】
一方、ファン2は、油圧駆動ファンモータ3により回されて、冷却器1に冷却風を通風しこれを冷却する。この際、油圧駆動ファンモータ3は、作動油圧ポンプ44と回転軸を同軸に連結し、トランスミッション41からの入力軸を共用した、定吐出型のファン駆動油圧ポンプ42により、タンク46から吸込んだ作動油を送油して回転(正回転)させられるが、このとき、ファン変速・逆転制御弁20によりその回転が変速される。
【0040】
この油圧駆動ファンモータ3の変速の作用を説明する。
油圧駆動ファンモータ3の正方向最高回転の際には、ファン変速・逆転制御弁20のメインスプールスプール23は、スプリンング24に押されて(図2の右方向の)ストローク端にある。そして、ファン駆動油圧ポンプ42より送油された圧油はその全量が、(図2に示した圧油の流れ方向に沿って)制御弁本体22のPポートからAポートを経由して、油圧駆動ファンモータ3の入力ポートであるA1へ入りこれを正方向に最高回転させる。そして油圧駆動ファンモータ3の出口ポートあるB1から(図2に示した圧油の流れ方向に沿って)制御弁本体22のBポートを経由してタンクポートTへ排出され、その後オイルクーラ1bを通過して、ここで冷却されタンク46へ戻る。
変速回転時には、コントローラ30は、冷却水の管路に設けた水温センサ32からの水温信号32aと、作動油の管路に設けた油温センサ33からの油温信号33aとを受け、これらの信号に対応したEPC弁出力信号25aをEPC弁(電磁パイロット制御弁)25の電磁ソレノイド27に送信する。そして、ソレノイドコイル27aは、このEPC弁出力信号25aにより、パイロットスプール28を(図2の下方へ)所定ストローク量移動させて、メインスプール23の一端に連通する圧力室(図2中のS部)に所定のパイロット圧を導く。このパイロット圧力はスプリング24の弾性力に対抗して、メインスプール23を図の左方へ所定量移動させ、メインスプール23中央のスプール切欠き23a部により絞ることにより、制御弁本体22のPポートからAポートへ流れる圧油を所定量に制限する。この際、油圧駆動ファンモータ3を所要の回転数回転させるに必要とする油量以外の余分な油量は、リリーフ弁47によりオイルクーラ1bを経由してタンク46へ返される。
なお、メインスプール23をスプリング24側へ移動していくに従って、PポートからAポートへ連通するスプール切欠き23a部の断面積が少なくなるので、この部分での通過油量が少なくなり、油圧駆動ファンモータ3の回転は低くなっていく。そしてこのスプール切欠き23a部の断面積が0になった時点で、圧油はPポートからAポートへ流れなくなり、油圧駆動ファンモータ3は停止する。
【0041】
このようにして本実施例では、ファン変速・逆転制御弁20により、機械作動油の温度または冷却水の温度に対応して、油圧駆動ファンモータ3を通過する作動油量を所定の量に絞ることが可能となり、油圧駆動ファンモータ3の回転を任意に変速できる。
エンジン40の冷却時には、コントローラ30により冷却水管路に設けられた水温センサ32により実測したエンジン水温に対応して、ファン変速・逆転制御弁20を自動操作して、油圧駆動ファンモータ3の回転を最適な回転数(正転)に変速させ、適正な冷却風量を冷却器1へ送風することにより、エンジン効率を良好に維持するように、エンジン冷却水を適切な水温に制御している。
また、ファン2の回転騒音は作業機械の騒音の一大要因となっており、作業環境改善の社会要請からしてもこの低騒音化は必達事項といえが、本実施例の油圧駆動システムにおいては、この騒音対応として、エンジン冷却水温、作動油油温、に応じた回転制御により、ファン2の最高回転数を低減し、その騒音を低く押さえるように配慮している。
また、エンジン冷却時の冷却水の温度が低い、または機械作動油の温度が低い場合の低騒音対策として、ファン2を低速で回転させている。
そして、エンジン加熱時には、エンジン温度を適温に保ちエンジン稼動を良好な状態に維持できるよう、エンジン温度に対応して冷却ファンを高回転に変速して冷却装置の能力を上げる操作を行っている。このように最適な回転数制御により、ファン回転の無駄な出力を低減できるので、その動力源であるエンジン出力のロス馬力の低減も図れ、燃費低減にも寄与できている。
【0042】
(2)冷却器1の清掃時には、ファン変速・逆転制御弁20により油圧駆動ファンモータ3への作動圧油の流入・排出方向を切換えて、油圧駆動ファンモータ3を逆回転させ、ファン2を逆回転させて冷却器1へ逆通風することにより、冷却器1に付着した塵埃の除去を行っている。
この作用を以下に詳述する。
【0043】
図1に示すように、コントローラ30は、ファン逆転スイッチ31の操作によりファン逆転指令31aを受けて、ファン変速・逆転制御弁20のEPC弁(電磁パイロット制御弁)25へEPC弁出力信号25aを出す。
EPC弁(電磁パイロット制御弁)25は、ファン逆転のEPC弁出力信号25aを受けて、電磁ソレノイド27のソレノイドコイル27aを電磁作動させ、パイロットスプール28を(図3の下方へ)所定ストローク量移動させて、メインスプール23の一端に連通する圧力室(図3中のS部)に所定のパイロット圧を導く。このパイロット圧力はスプリング24の弾性力に対抗して、メインスプール23を図の左方へそのストローク端まで移動させる。ここで、ファン変速・逆転制御弁本体21の圧油流路位置は、図1におけるファン変速・逆転制御弁本体21の右ポジション(図3に示すスプール位置)に切り替わる。そして、ポンプ42からの圧油は、制御弁本体22のPポートから入り、Bポートを経由して、油圧駆動ファンモータ3のB1ポートへ流れ、油圧駆動ファンモータ3を逆回転駆動させる。そして、油圧駆動ファンモータ3のA1ポートからの戻り油は、制御弁本体22のAポートから入り、Tポートを経由してオイルクーラ1bを通過し、タンク46へ戻される。
この際、油圧駆動ファンモータ3を所要の回転数だけ回転させるに必要な油量以外の余分な油量は、リリーフ弁47によりオイルクーラ1bを経由してタンク46へ戻される。
このようにして、冷却器1に塵埃が付着しその清掃を要する時には、ファン逆転スイッチ31を操作して、ファン変速・逆転制御弁の入出力ポートを切換え、油圧駆動ファンモータ3を逆回転(冷却時を正回転として)させて、ファン2を逆回転させる。そして、このファン2の逆回転により吸引された通風は、冷却器1を冷却時の方向と逆方向に通過し、ここで、冷却時に目詰まりした塵埃を、(目詰まり方向と逆方向に)押戻すことにより、効率良く冷却器1から離脱させ、除去している。
【0044】
なお、本実施例ではメインスプール23を(図3のように)左側へ押切り、PポートからBポートへの流路を全開して、最高回転により油圧駆動ファンモータ3を逆回転させたが、この逆回転を変速することもできる。即ち、EPC弁25によりパイロット圧を調整して、メインスプール23中央のスプール切欠き23b部により絞ることにより、制御弁本体22のPポートからBポートへ流れる圧油を所定量に制限すればよい。
【0045】
また、前述したように、冷却器1の受風面側に防塵ネットを設けて、冷却器1の防塵を行う場合があるが、この際は本実施例のような冷却器1の清掃ではなく、油圧駆動ファンモータ3を冷却時の通風方向と逆回転させて、ファン2を逆回転(冷却時に対し)させ、逆風を防塵ネットに通風することにより、防塵ネットの除塵を行うことになる。
【0046】
ところで、以上説明した実施例での冷却装置10においては、その油圧駆動ファンモータ3の正回転時の送風を、冷却器の受風面側に押出す、軸流押出しファン方式の冷却装置としていた。しかし、本願発明の冷却装置10は、この実施例に限定されることなく、油圧駆動ファンモータ3の正回転時の通風を、冷却器1から吸引する、冷却風の吸引方式の冷却装置であってもよい。この場合においても、前述の実施例と同様、本願発明特有の効果を得られるものである。
【0047】
前述の実施例での冷却器1は、エンジン冷却水用の水クーラ1aと作動油冷却用のオイルクーラ1bとで構成していたが、本願発明の冷却器は、これに限定されることなく、少なくともエンジン冷却水用のラジエータより構成されていればよく、場合によっては、例えばエンジン排気冷却用のアフタークーラ(エアークーラ)などを併合して装備してもよい。
【0048】
本願発明によれば次のような効果が得られる。
本願発明によれば、水冷式内燃機関に用いられる油圧駆動ファン式の冷却装置において、1個のファン変速・逆転制御弁のみを採用することにより、水クーラ、オイルクーラなどの冷却器を適正に冷却するための油圧駆動ファンモータの回転変速操作と、冷却器自体あるいは防塵ネットなどに逆風を送ってこれらの清掃を行うための油圧駆動ファンモータの逆回転操作とを可能にした。
即ち、従来のように、冷却時における油圧駆動ファンモータの変速回転を行うための油量制御と、除塵時における油圧駆動ファンモータの逆回転を行うための油路の切換え、とをそれぞれ別個の制御弁を用いる必要がなく、1つの機器で行える。よって、本これらの油圧システムは極めて簡易な構成となり、小型化が可能となる。しかもこれらの装置は低コストに製作できる。
そしてさらに、油圧駆動ファンモータの変速回転制御と、逆回転制御に際し、制御装置からの変速回転指令信号と、逆回転指令信号は1系統で済み、かつEPC弁の制御のみでよいので、その制御は簡単になり制御装置も簡素となると共に、そのコストの低減ができる。
【0049】
また、本願発明によれば、1個のファン変速・逆転制御弁を、油圧駆動ファンモータと油圧ポンプとの間に、それぞれの入出力口を管路で連通して配設している。よって、油圧回路は極めて簡易な構成となるので、油圧システム装置全体がコンパクトにでき、しかも廉価に製作できることから、作業機械への搭載が容易になる。
【0050】
本発明では、油圧駆動ファンモータを変速回転する際の油量変換は、ファン変速・逆転制御弁を用いて行うので、油圧駆動源は一定の油量供給でよく、定吐出型のポンプが採用できる。よって、このファン駆動ポンプ自体が安価で済むのみならず、同一機械の油圧作業装置の駆動用ポンプなどとその回転軸を同軸に連結して、多連ポンプ構成(組合せポンプ)にできると共に、1つの駆動電気モータの共用が可能となる。
これらの理由から、本発明の油圧駆動ファンモータの駆動装置はコンパクトにでき、省スペース化、省電力化が図れる。また、当然ながら装置のローコスト化にも寄与できる。
【0051】
さらに、本願発明の油圧駆動ファン式の冷却装置において、エンジンを冷却する時には、コントローラにより、温度センサにより実測したエンジン水温に対応して、ファン変速・逆転制御弁を自動操作して、前記油圧駆動ファンモータの回転を最適な回転数(正転)に変速させ、適正な冷却風量を冷却器へ送風することにより、エンジン冷却水を最適な水温に制御できる。よって、エンジン温度は適温に保てるので、エンジン稼動を良好な状態に維持でき燃費改善に寄与できる。
【0052】
本願発明採用の油圧駆動システムによれば、エンジン冷却水温、作業機械の作動油油温などに応じた冷却ファンの回転制御により、その最高回転数をタイムリーに落とすことにより、作業機械の騒音の一大要因となっている冷却ファンの回転騒音を低減でき、作業環境を改善できる。
また特に騒音規制の厳しい街中での機械作動時などでは、ファンの最高回転数を適宜適正な回転数に落として低騒音運転をするなど、臨機応変に環境規制に対応することもできる
しかも、この制御によりファン回転の無駄な出力を低減できるので、その動力源であるエンジン出力のロス馬力の低減も図れると共に、燃費低減にも寄与できる。
【0053】
冷却器(ラジエータ)自体、あるいは防塵ネットの塵埃付着時には、ファン逆転スイッチを操作してファン変速・逆転制御弁の入出力ポートを切換え、油圧駆動ファンモータの回転を逆回転させてファンを逆回転させ、逆風を送って、これらの除塵を行うことができる。このように、冷却器自体、あるいは防塵ネットは、適宜逆風で清掃されるので、冷却水の熱交換を司るラジエータコアには、冷却風の通風によって粉塵が堆積することがない。
従って、本願発明による冷却装置は、ラジエータコアへの粉塵の付着に起因する冷却効率の低下、および防塵ネットの目詰まりによるラジエ−タへの軸流ファンの通風量の減少を、自動的に、かつ長時間にわたって防止でき、常に冷却効率の良い、冷却装置を提供することができる。
さらに、ラジエータコアを常時清浄に保てて、エンジンの冷却水の水温管理を常に高水準に保てることから、エンジン性能を常に良好な状態に維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明になる冷却装置の油圧モータによるファン変速回転駆動の油圧回路システム図である。
【図2】本願発明になるファン変速・逆転制御弁の、ファン正回転時の作動油の流れを示した一部断面図である。
【図3】本願発明になるファン変速・逆転制御弁の、ファン逆回転時の作動油の流れを示した一部断面図である。
【図4】従来技術になる冷却装置の油圧モータによるファン変速回転駆動の例を示す図である。
【図5】従来技術になる冷却装置の油圧モータによるファンの変速回転駆動および逆転回転駆動の例を示す図である。
【符号の説明】
1…冷却器、1a…水クーラ、1b…オイルクーラ、2…ファン、3…油圧駆動ファンモータ、10…冷却装置、20…ファン変速・逆転制御弁、21…ファン変速・逆転制御弁本体、22…制御弁本体、23…メインスプール、23a…スプール切欠き、23b…スプール切欠き、24…スプリング、24a…スプリング座、25…EPC弁(電磁パイロット制御弁)、25a…EPC弁出力信号、26…EPC弁本体、27…電磁ソレノイド、27a…ソレノイドコイル、28…パイロットスプール、30…コントローラ、31…ファン逆転スイッチ、31a…ファン逆転信号、32…水温センサ、32a…水温信号、33…油温センサ、33a…油温信号、40…エンジン、41…トランスミッション、42…ファン駆動油圧ポンプ、43…冷却水ポンプ、44…作動油圧ポンプ、45…作業機油圧装置、46…タンク、47…リリーフ弁、101…ポンプ、102…モータ、103…クーラ、104…制御手段、105…ファン羽根、106…オイルクーラ、107…水クーラ、108…油温センサ、109…水温センサ、110…空気温度信号、111…タンク、120…ディーゼルエンジン、121…出力取出し手段、201…油圧モータ、202…ファン羽根、203…冷却器、204…可変吐出型ポンプ、205…電磁操作制御弁、206…電磁方向切換弁、207…タンク。
Claims (2)
- 冷却装置における油圧駆動ファンの回転制御装置において、
油圧駆動ファンモータ(3)と、
前記油圧駆動ファンモータ(3)の回転変速操作、および逆回転切換え操作を可能とする、ファン変速・逆転制御弁(20)と、
温度センサと、
ファン逆転スイッチ(31)と、
温度センサまたはファン逆転スイッチ(31)からの信号に対応して、所定の信号を前記ファン変速・逆転制御弁(20)に与えるコントローラ(30)とを設けた、
ことを特徴とする冷却装置における油圧駆動ファンの回転制御装置。 - 前記請求項1記載の、冷却装置における油圧駆動ファンの回転制御装置において、
前記ファン変速・逆転制御弁(20)を、前記油圧駆動ファンモータ(3)と、前記油圧駆動ファンモータの駆動油圧源との間の管路に配設した、
ことを特徴とする冷却装置における油圧駆動ファンの回転制御装置。
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