JP2004250017A - レンズの個装箱及びレンズの包装方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】別体の成形トレイを用いることなく、光学面を保護した状態でレンズを包装できる個装箱を提供する。また、個装箱の組立作業や個装箱に対するレンズの包装作業を容易にし、包装コストを低減できる個装箱及びレンズの包装方法を提供する。
【解決手段】レンズの個装箱100′は、底面板101の前後に前面板102及び背面板103を連設し、前面板と背面板の一方から延長された上面板104を設けて、上面板を前面板と背面板の他方に係止可能に構成し、底面板の左右に外側板105、側頂板106及び内側板107を順次連設し、これらを内側に折り込んで底面板上に設置される側枠部を構成し、内側板にレンズ10の側面部を収容する開口部107aを設け、開口部の上縁若しくは下縁を凸曲線状に構成したことを特徴とする。
【選択図】 図2
【解決手段】レンズの個装箱100′は、底面板101の前後に前面板102及び背面板103を連設し、前面板と背面板の一方から延長された上面板104を設けて、上面板を前面板と背面板の他方に係止可能に構成し、底面板の左右に外側板105、側頂板106及び内側板107を順次連設し、これらを内側に折り込んで底面板上に設置される側枠部を構成し、内側板にレンズ10の側面部を収容する開口部107aを設け、開口部の上縁若しくは下縁を凸曲線状に構成したことを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はレンズの個装箱及びレンズの包装方法に係り、特に、最終加工前のレンズ基材を包装して送品する際に好適な個装箱及び包装方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、レンズは、カーブジェネレータや樹脂成形加工などによってレンズ基材を形成した後に、このレンズ基材に対して光学面の精密加工や研磨加工などを施すことによって形成される。従来において、上記レンズやレンズ基材を送品する場合には、一つ一つを個装箱に収容して、複数の個装箱をダンボール箱に詰め込んだ状態とし、このダンボール箱を輸送するようにしていた。
【0003】
たとえば、図7には、従来からレンズ或いはレンズ基材の送品時に行われている包装方法の一例を示してある。図示のレンズ10は、平面形状が略円形で、凸曲面で構成される光学面10aと、凹曲面で構成される光学面10bとを備えている。なお、本明細書においては最終製品としてのレンズだけでなく、レンズ基材などの中間製品を含めて、単に「レンズ」と称することにする。レンズ10は、ポリスチレン(PS)などで形成された成形トレイ11に、図示の姿勢、すなわち凸曲面状の光学面10aを下に向けた姿勢で収容される。ここで、成形トレイ11には、レンズ10を収容するレンズ収容部11aと、このレンズ収容部11aの奥にさらに設けられた奥部11bとを有し、奥部11bが設けられていることによってレンズ10の光学面10aが成形トレイ11の内面に接触しないように構成されている。また、レンズ収容部11aの開口縁には、指でレンズ10の外周面を把持した状態のままレンズ10を出し入れすることができるように、凹部11cを設けてある。
【0004】
上記の成形トレイ11に収容されたレンズ10は、紙などで形成された個装箱12に収容される。成形トレイ11は個装箱12の内部にほぼぴったりと嵌合するように構成されているので、成形トレイ11によってレンズ10は個装箱12内において安定した状態で収容される。このとき、レンズ10の光学面10aは、成形トレイ11の奥部11bによって他部材との接触が防止され、保護された状態となるので、光学面10aを傷付けることなく輸送することが可能になる。
【0005】
ところで、従来の包装箱においては、箱を構成する側板を内側に折り曲げることによって側部材を構成し、この側部材によって製品Gを保持するように構成した段ボール製包装箱が知られている(たとえば、以下の特許文献1参照)。
【0006】
また、筒状に構成した本体の両端に、折り込むことによって構成された、支持孔を備えた端部支持部を設け、この支持孔に製品の端部を嵌合支持させるように構成した包装用カートンも知られている(たとえば、以下の特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−261031号公報(特に図2)
【特許文献2】
特開平11−91764号公報(特に図1)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のレンズの包装方法においては、個装箱12にレンズ10を収容するために別体の成形トレイ11を用いる必要があるため、包装作業に手間がかかるとともに、異なる形状を有する複数種類のレンズ10が存在する場合には異なる形状の成形トレイ11をレンズ10の種類毎に用意する必要があり、包装資材の在庫管理が煩雑になるとともに、包装コストも高くなるという問題点がある。
【0009】
また、上記特許文献1に示される包装箱においては、製品の左右側面を側部材によって支持することにより製品の緩衝性を高めることができるが、製品の寸法が包装箱にぴったりと合致していないと側部材による支持ができないのでその高い緩衝性を発揮できず、また、高い緩衝性を得るためには製品毎に寸法の調整された包装箱を用意する必要があるので、資材コストがかかるという問題点がある。また、この包装箱では、製品の表面を保護することはできず、包装箱の内面が製品の全表面に接触してしまうため、製品の表面の一部を保護した状態で輸送することができないという問題点もある。特に、レンズを包装しようとする場合には、側部材による側面支持だけでは光学面を保護することができないだけでなく、外周面が円筒面になっている場合が多いため、側部材による側面支持状態が安定しない。
【0010】
さらに、上記特許文献2に示される包装用カートンにおいては、端部支持部に設けた支持孔に製品の端部を嵌合保持するようにしているので、単一の部材で包装を行うことができるが、製品の端部を嵌合保持しても支障のない製品にしか用いることができないという問題点がある。特に、レンズを包装しようとする場合には、外周面が円筒面になっている場合が多いため、レンズを端部支持部に嵌合保持させることが難しいとともに、端部支持部に嵌合保持することによって光学面が端部支持部と接触してしまうため、光学面の保護ができない。
【0011】
そこで本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、別体の成形トレイを用いることなく、光学面を保護した状態でレンズを包装することができる個装箱を提供することにある。また、個装箱の組立作業や個装箱に対するレンズの包装作業を容易にし、包装コストを低減することのできる個装箱及びレンズの包装方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明のレンズの個装箱は、底面板、前面板、背面板、及び、前記前面板と前記背面板のうちの一方に連設された上面板を設け、当該上面板を前記前面板と前記背面板のうちの他方に係止可能に構成し、前記底面板の左右において、前記底面板、前記前面板、若しくは、前記背面板に連設された外側板、側頂板、及び、内側板を順次連設し、これらを内側に折り込んで前記底面板上に設置される側枠部を構成し、前記内側板にレンズの側面部を収容する開口部を設け、当該開口部の上縁若しくは下縁を凸状に構成することを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、レンズの側面部を収容する開口部を設け、この開口部の上縁を凸曲線状に構成したことにより、レンズの側面部を開口部に収容することによってレンズを保持することができ、しかも、開口部の上縁若しくは下縁が凸状に構成されているために、レンズの上面若しくは下面が光学面である場合、当該光学面を開口部の上縁若しくは下縁に接触しないように構成できる。したがって、光学面を個装箱の内面に接触させずにレンズを安定保持した状態で収容することが可能になる。また、側枠部によって緩衝性を高めることができるため、レンズの外周部の欠けや割れを防止できる。さらに、個装箱は単一の板状素材で構成できるため、包装資材としての管理が容易になり、また、包装作業も容易になるため、包装コストを低減することが可能になる。ここで、上縁を凸状にするとは上縁を上に向けて凸の形状にすることを意味し、下縁を凸状にするとは下縁を下に向けて凸の形状にすることを意味する。
【0014】
本発明において、前記上縁若しくは下縁を凸曲線状に構成することが好ましい。これによれば、側枠部の開口縁形状がレンズの凸曲面状の光学面に対応する形状となるため、多様なレンズ形状にも対応できるようになることから、開口縁をより確実に光学面に接触しないように構成し、保護することができる。特に、上記上縁若しくは下縁を円弧状に構成することがさらに望ましい。
【0015】
本発明において、前記内側板から延長された突当板を設け、当該突当板を前記底面板に固着することが好ましい。内側板から延長された突当板を底面板に固着することにより、底面板に対して側枠部を固定することができるため、レンズをより確実かつ正確に保持することができる。
【0016】
本発明において、前記側枠部は、外側へ倒すことによって前記底面板と平行な姿勢で平坦に広げることができるように構成されていることが好ましい。突当板を底面板に固着しても、側枠部を外側へ倒すことによって底面板と平行な姿勢で平坦に広げることができることにより、平坦に広げた状態で保管したり搬送したりすることができるから、積み重ねることなどにより多数の個装箱を容易に取り扱うことが可能になり、個装箱の管理が容易になる。
【0017】
本発明において、コートボール紙により形成されていることが好ましい。コートボール紙により形成されていることにより、或る程度の緩衝性を材料そのものによって得ることができるため、レンズの光学面をより確実に保護することが可能になるとともに、コートボール紙の表面がコーティングされていることにより発塵を抑制することができ、レンズへの塵埃の付着を低減できる。
【0018】
次に、本発明のレンズの包装方法は、光学面を有するレンズを一つずつ個装箱に収容するレンズの包装方法であって、前記個装箱は、底面板、前面板、背面板、及び、前記前面板と前記背面板のうちの一方に連設された上面板を設け、当該上面板を前記前面板と前記背面板のうちの他方に係止可能に構成し、前記底面板の左右において、前記底面板、前記前面板、若しくは、前記背面板に連設された外側板、側頂板、及び、内側板を順次連設し、これらを内側に折り込んで前記底面板上に設置される側枠部を構成し、前記内側板にレンズの側面部を収容する開口部を設け、当該開口部の上縁若しくは下縁を凸状に構成したものとし、前記光学面を上に向けた姿勢で前記レンズを前記個装箱に収容することを特徴とする。
【0019】
本発明において、前記上縁若しくは下縁を凸曲線状に構成することが好ましい。これによれば、側枠部の開口縁形状がレンズの凸曲面状の光学面に対応する形状となるため、多様なレンズ形状にも対応できるようになることから、開口縁をより確実に光学面に接触しないように構成し、保護することができる。特に、前記上縁若しくは下縁を円弧状に構成することがさらに望ましい。
【0020】
本発明において、前記レンズの光学面は凸曲面であり、前記開口部の上縁若しくは下縁は、前記レンズが前記開口部の開口縁に当接したときの前記開口部の開口面と交差する前記レンズの断面形状の上縁若しくは下縁よりも曲率が大きい形状を有することが好ましい。これによって、レンズが開口部の開口縁に当接しても光学面が開口部の上縁若しくは下縁に接触することがなくなるため、凸曲面の光学面であっても確実に保護できる。
【0021】
【発明の実施の形態】
次に、添付図面を参照して本発明に係るレンズの個装箱及びレンズの包装方法の実施形態について詳細に説明する。図1は、本実施形態の個装箱の展開体100を示す展開図である。展開体100は、展開図上中央に配置された底面板101と、この底面板101の手前に配置される前面板102と、底面板101の背後に配置される背面板103と、背面板103に続いて設けられた上面板104とを有する。ここで、前面板102の先端には重合片102aが延長形成され、前面板102と重合片102aとの間の折り線に沿って切り込み102bが形成されている。この切り込み102bに沿って図示のように半円形等の適宜の形状の開口を設けてもよい。さらに、上面板104の先端には、係合片104aが突出形成されている。この係合片104aを上記切り込み102bに挿入することによって、上面板104を前面板102に係合保持することができるようになっている。なお、上記切り込み102bに沿って設けられた開口は係合片104aの挿入を容易にする。
【0022】
底面板101の左右にはそれぞれ、外側板105、側頂板106、内側板107及び突当板108が連続して設けられている。外側板105の前後両側には折込片109がそれぞれ延長形成されている。また、内側板107には開口部107aが形成されている。この開口部107aは、後に詳述するように、側頂板106側の開口縁(上縁)の全体が凸曲線状に構成されている。
【0023】
上記の個装箱の展開体100は、一枚の板状材によって構成される。素材としては、各種の紙などを用いることができるが、特に、コートボール紙を用いることが、十分な剛性及び緩衝性を確保しつつ、発塵を抑制し、レンズへの塵埃の付着を低減する上で最も好ましい。
【0024】
図2は、レンズ10の包装前における個装箱100′の構造を示す平面図である。図1に示す展開体100は、底面板101に対して左右の外側板105,105を内側に折り込んで垂直に立ち上げ、外側板105に対して側頂板106を内側に向けて折り込んで水平面に沿うようにし、さらに、側頂板106に対して内側板107を内側に折り込んで垂直に立ち下げることによって側枠部が構成される。このとき、内側板107に対して突当板108を折り込んで底面板101に沿った姿勢となるようにし、突当板108を底面板101に接着剤等によって固着させたものが図2に示す個装箱100′である。
【0025】
上記のように突当板108を底面板101に固着させた状態で、個装箱100′は、図2に示すように広げることができ、この広げた状態で、外側板105、側頂板106及び内側板107によって構成される側枠部が底面板101の板面に沿って平坦に折り畳まれるように構成されている。したがって、図2に示す状態で多数の個装箱100′を積み重ねまとめて輸送したり保管したりすることができるため、包装資材としての使用前及び使用後の管理が可能になる。
【0026】
図3には、図2に示すように広げられた状態の個装箱100′を折り込んで箱状に構成した様子を示す。図2に示す個装箱100′は、底面板101に対して前面板102、背面板103、及び、上記の左右の側枠部をそれぞれ垂直に立ち上げるように折り込むことによって図3に示す状態になる。このとき、左右一対の側枠部においては、内側板107に設けられた開口部107aが相互に対向する状態で個装箱の内部空間に臨む。この状態で、開口部107aの上縁は全体として凸曲線状(図示例では円弧状)に構成されている。
【0027】
図3に示す個装箱100′にレンズ10を収容する場合には、図3に示す状態でそのままレンズ10を箱内に組み込んでもよいが、たとえば、図2に示すように個装箱100′を広げた状態とし、その底面板101上に図示一点鎖線で示すようにレンズ10を配置し、そのままで個装箱100′の前面板102、背面版103及び左右の側枠部を立ち上げるようにして個装箱100′を図4に示す態様に組み立ててもよい。
【0028】
いずれの場合でも、図4に示すように個装箱100′内にレンズ10を収容した状態で、レンズ10の側面部(外周部の一部)は、図4に示すように、相互に対向配置される開口部107a内に挿入された状態になる。また、レンズ10は、その凸曲面状の光学面10aが上に向いた姿勢で個装箱100′に収容される。
【0029】
図4に示すようにレンズ10が個装箱100′に収容されているとき、レンズ10の外形寸法と、個装箱100′の内部空間の寸法との関係によっては、レンズ10は箱内部に固定されない場合がある。この場合でも、通常、レンズ10が箱内部において偏った位置にずれることによりレンズ10の外周部は開口部107aの開口縁に接触する。このとき、基本的にレンズ10の外周部と箱内部とは点接触状態若しくは線接触状態になり、上面の光学面10aは箱内面に接触しない。
【0030】
図4に示す状態で、上面部104を降下させ、その係合片104aを前面板102と重合片102aとの間に形成された切り込み102bに挿入することによって、個装箱100′は完全に閉鎖される。
【0031】
図5A及び図5Bは、レンズ10の寸法と、開口部107aの開口寸法との関係を示す。ここで、開口部107aは、凸曲線状の上縁107a−uと、左右一対の側縁107a−sと、下縁107a−dとを有する。側縁107a−sや下縁107a−dの線形状は特に限定されないが、図示例のように直線状であることが望ましい。
【0032】
開口部107aの寸法としては、図示のように、下縁107a−dから上縁107a−uの最下部までの高さ(以下、単に「高さ」という。)をhとし、上縁107a−uの幅(或いは一対の側縁107a−s間の幅、以下、単に「幅」という。)をwとし、上縁107a−uの曲率半径をRaとする。なお、本明細書の上縁107a−uにおいて、その曲率Caを上記曲率半径Raの逆数とする。すなわち、Ca=1/Raである。
【0033】
また、図示例では上縁107a−uが円弧状に構成され、その曲率が上縁全体に亘って一定であるが、本発明においては必ずしも円弧状である必要はなく、放物線や双曲線などのような任意の凸曲線状に構成されていてもよい。このように上縁の曲率(或いは曲率半径)が一定でない場合には、上縁全体における曲率の平均値を上記曲率Ca(或いは曲率半径Ra)とする。また、本発明においては、上縁107a−uは凸状に構成されていればよく、実際に収容されるレンズの種類や機種における形状寸法の変動範囲に応じて変化する、レンズの開口部107aの開口縁に対する接触位置の変動範囲内において、当該接触位置よりも中央側において上縁107a−uの高さが高くなるように構成されていればよい。この場合には、必ずしも光学面10aの全てを保護することができない場合も考えられるが、少なくとも光学面10aの中央部分を保護することは可能である。
【0034】
また、レンズ10の寸法としては、図示のように、光学面10aの最下部の高さ(以下、単に「高さ」という。)を10hとし、レンズ10が開口部107aの開口縁に当接して位置決めされたときの、開口部107aの開口面と交差する断面形状の幅(以下、単に「幅」という。)を10wとする。なお、本実施形態では、レンズ10は平面視円形であり、外周面は円筒面であるものとする。また、光学面10aは図示例のように凸曲面状であるものとする。そして、レンズ10が開口部107aの開口縁に当接して位置決めされたときの、開口部107aの開口面と交差する断面形状における光学面10aの輪郭線の曲率半径をR10とする。また、当該輪郭線の曲率C10を曲率半径R10の逆数とする。
【0035】
レンズ10の両側面部が開口部107aに挿入され、係合保持される場合、レンズ10が少なくとも一方の開口部107aに当接した状態としては、図5Aと図5Bに示す2つのケースが考えられる。すなわち、図5Aに示すケースでは、レンズ10の厚さ10hとレンズ外径との比が比較的大きいため(すなわち、開口部107の高さhが相対的に低いため)、レンズ10の光学面10aと外周面との間の稜線が開口部107aの上縁107a−uに係合しているのに対して、レンズ10の幅10wが相対的に小さいため(すなわち開口部107aの幅wが相対的に大きいため)にレンズ10の外周面は開口部107aの側縁107a−sに当接していない。
【0036】
一方、図5Bに示す状態では、レンズ10′の厚さ10h′とレンズ外径との比が相対的に小さいため、レンズ10′の幅10w′が大きい(すなわち開口部107aの幅wが相対的に小さい)ことから、レンズ10′の外周部は開口部107aの側縁107a−sに係合しているのに対して、レンズ10′の厚さ10h′が小さいため(開口部107aの高さhが相対的に大きいため)、レンズ10′は開口部107aの上縁107a−uに当接していない。
【0037】
本実施形態では、開口部107aの上縁107a−uの曲率Caが、レンズ10の光学面10a,10a′の上記曲率C10、C10′よりも大きくなるように構成してある。すなわち、曲率半径Raは、曲率半径R10,R10′よりも小さい。このようにすると、開口部107aの上縁107a−uがレンズ10,10′の光学面10a,10a′に接触することがなくなるので、光学面10a,10a′を確実に保護することができる。特に、図5Aに示すようにレンズ10が開口部107aの上縁107a−uに当接する場合には、光学面10aと開口部107aの上縁107a−uとの距離が小さくなるが、光学面10aは確実に保護される。また、図5Bに示す場合には、レンズ10′が図示のように底面部101上に静置されている場合には光学面10a′と開口部107aの上縁107a−uとは相互に離れているが、輸送中などにおいて個装箱100′が揺れたりすると、レンズ10′が開口部107aの上縁107a−uに当接する場合が考えられる。しかし、この場合でも、上記のように構成されていることによって、光学面10a′が上縁107a−uに接触することはなくなる。
【0038】
以上説明したように、本実施形態では、レンズの側面部(外周部の一部)を一対の側枠部(外側板105、側頂板106及び内側板107によって構成される。)によって係合保持することによって十分な緩衝性を得ることができるとともに、側枠部の内面、すなわち内側板107に開口部107aを形成し、この開口部107aにレンズの側面部が挿入される状態で収容することができるため、レンズの収容姿勢を安定させることができる。
【0039】
また、上記の開口部107aの上縁は凸曲線状に構成されているため、レンズの上面に凸曲面状の光学面が設けられている場合にも、当該光学面に対する非接触性を維持することができ、光学面を確実に保護することができる。
【0040】
さらに、本実施形態の個装箱は、一体の板状材で構成されているため、製造が容易でありしかも、保管や輸送が容易であるとともに、レンズの形状に応じたレンズ寸法別の成形トレイが不要になるため、組み立て作業や包装作業の手間も従来よりも低減されるため、包装コストを大幅に低減できる。
【0041】
図6は、本発明に係るレンズの個装箱の別の実施形態を示す斜視図である。この個装箱200において、底面板201、前面板202、背面板203、上面板204、外側板205、側頂板206、内側板207は、図3に示す組み立て状態においては上記実施形態とほぼ同様に配置されている。ただし、本実施形態では、前面板202、背面板203及び左右の外側板205が角筒状に構成されている。この角筒を構成するためには、たとえば、前面板202、背面板203及び外側板205の間の4つの稜線部のうちの3つが連設部となり、一つが接着等によって貼り合わされた構造を有する。
【0042】
また、底面板201は前面板202の下端に連設され、その先端に係合片201aが設けられている。この係合片201aは背面板203の内側に図示点線で示すように下方から挿入され、これによって底面板201が個装箱200の底面部を閉鎖するようになっている。背面板203の上端には上面板204が連設され、その先端には係合片204aが形成されている。この係合片204aは前面板202の内面に沿って挿入され、これによって上面板204が個装箱200の上面部を閉鎖するようになっている。
【0043】
さらに、左右の側枠部においては、外側板205が前面板202と背面板203の一方或いは双方に連設されている。また、内側板207の先にさらに突当板208が形成されている。ここで、この突当板208が底面部に当接している点は先に説明した実施形態と同様であるが、突当板208の折り曲げ方向が先の実施形態とは逆になっている。すなわち、図3に示す実施形態では、突当板108は内側板107の下端から外側板105の内面から離れる方向に伸びる姿勢で折り込まれているが、本実施形態では、突当板208は、内側板207の下端から外側板205の内面に向けて伸びるように折り込まれる。このとき、内側板207に設けられた切り込みによって、内側板207に先の実施形態と同様の開口部207aが形成される。突当板208のうち、折り込み前に開口部207aの内部に配置されていた部分208aについては、先に説明した実施形態とは逆に外側板205から離れる方向に伸びる姿勢で底面部上に配置される。開口部207aは、先の実施形態と同様に、上縁が凸状(或いは凸曲線状)に構成されている。
【0044】
本実施形態では、側枠部を構成する左右の外側板205の底面側にそれぞれ底面重合片209,209が連設され、これらの底面重合片209は上記底面板201の内面上に重なるように配置される。したがって、本実施形態の底面部は、上記底面板201と底面重合片209との2重構造となるため、レンズに対する緩衝作用を高めることが可能になる。
【0045】
尚、本発明の個装箱及びレンズの包装方法は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。たとえば、上記の各実施形態では、開口部107a,207aの上縁を凸状(或いは凸曲線状)に構成しているが、この代わりに、下縁を凸状(或いは凸曲線状)、すなわち下に向けて凸となる形状、に構成することによって、レンズ10の下面に設けられた光学面10bが凸曲面状に構成されている場合にも対応することが可能になる。また、開口部107a,207aの上縁と下縁の双方を凸状(凸曲線状)に構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】個装箱の展開体を示す平面図。
【図2】個装箱を広げた状態を示す平面図。
【図3】個装箱を組み立てた状態を示す斜視図。
【図4】個装箱にレンズを収容した状態を示す斜視図。
【図5】A 開口部とレンズ断面との関係を示す説明図。
B 開口部とレンズ断面との異なる関係を示す説明図。
【図6】個装箱の別の実施形態を示す斜視図。
【図7】従来のレンズの包装方法及び包装箱を示す分解斜視図。
【符号の説明】
10,10′…レンズ、10a,10a′…光学面、100…展開体、100′…個装箱、101…底面板、102…前面板、103…背面板、104…上面板、105…外側板、106…側頂板、107…内側板、107a…開口部、107a−u…上縁、108…突当板
【発明の属する技術分野】
本発明はレンズの個装箱及びレンズの包装方法に係り、特に、最終加工前のレンズ基材を包装して送品する際に好適な個装箱及び包装方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、レンズは、カーブジェネレータや樹脂成形加工などによってレンズ基材を形成した後に、このレンズ基材に対して光学面の精密加工や研磨加工などを施すことによって形成される。従来において、上記レンズやレンズ基材を送品する場合には、一つ一つを個装箱に収容して、複数の個装箱をダンボール箱に詰め込んだ状態とし、このダンボール箱を輸送するようにしていた。
【0003】
たとえば、図7には、従来からレンズ或いはレンズ基材の送品時に行われている包装方法の一例を示してある。図示のレンズ10は、平面形状が略円形で、凸曲面で構成される光学面10aと、凹曲面で構成される光学面10bとを備えている。なお、本明細書においては最終製品としてのレンズだけでなく、レンズ基材などの中間製品を含めて、単に「レンズ」と称することにする。レンズ10は、ポリスチレン(PS)などで形成された成形トレイ11に、図示の姿勢、すなわち凸曲面状の光学面10aを下に向けた姿勢で収容される。ここで、成形トレイ11には、レンズ10を収容するレンズ収容部11aと、このレンズ収容部11aの奥にさらに設けられた奥部11bとを有し、奥部11bが設けられていることによってレンズ10の光学面10aが成形トレイ11の内面に接触しないように構成されている。また、レンズ収容部11aの開口縁には、指でレンズ10の外周面を把持した状態のままレンズ10を出し入れすることができるように、凹部11cを設けてある。
【0004】
上記の成形トレイ11に収容されたレンズ10は、紙などで形成された個装箱12に収容される。成形トレイ11は個装箱12の内部にほぼぴったりと嵌合するように構成されているので、成形トレイ11によってレンズ10は個装箱12内において安定した状態で収容される。このとき、レンズ10の光学面10aは、成形トレイ11の奥部11bによって他部材との接触が防止され、保護された状態となるので、光学面10aを傷付けることなく輸送することが可能になる。
【0005】
ところで、従来の包装箱においては、箱を構成する側板を内側に折り曲げることによって側部材を構成し、この側部材によって製品Gを保持するように構成した段ボール製包装箱が知られている(たとえば、以下の特許文献1参照)。
【0006】
また、筒状に構成した本体の両端に、折り込むことによって構成された、支持孔を備えた端部支持部を設け、この支持孔に製品の端部を嵌合支持させるように構成した包装用カートンも知られている(たとえば、以下の特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−261031号公報(特に図2)
【特許文献2】
特開平11−91764号公報(特に図1)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のレンズの包装方法においては、個装箱12にレンズ10を収容するために別体の成形トレイ11を用いる必要があるため、包装作業に手間がかかるとともに、異なる形状を有する複数種類のレンズ10が存在する場合には異なる形状の成形トレイ11をレンズ10の種類毎に用意する必要があり、包装資材の在庫管理が煩雑になるとともに、包装コストも高くなるという問題点がある。
【0009】
また、上記特許文献1に示される包装箱においては、製品の左右側面を側部材によって支持することにより製品の緩衝性を高めることができるが、製品の寸法が包装箱にぴったりと合致していないと側部材による支持ができないのでその高い緩衝性を発揮できず、また、高い緩衝性を得るためには製品毎に寸法の調整された包装箱を用意する必要があるので、資材コストがかかるという問題点がある。また、この包装箱では、製品の表面を保護することはできず、包装箱の内面が製品の全表面に接触してしまうため、製品の表面の一部を保護した状態で輸送することができないという問題点もある。特に、レンズを包装しようとする場合には、側部材による側面支持だけでは光学面を保護することができないだけでなく、外周面が円筒面になっている場合が多いため、側部材による側面支持状態が安定しない。
【0010】
さらに、上記特許文献2に示される包装用カートンにおいては、端部支持部に設けた支持孔に製品の端部を嵌合保持するようにしているので、単一の部材で包装を行うことができるが、製品の端部を嵌合保持しても支障のない製品にしか用いることができないという問題点がある。特に、レンズを包装しようとする場合には、外周面が円筒面になっている場合が多いため、レンズを端部支持部に嵌合保持させることが難しいとともに、端部支持部に嵌合保持することによって光学面が端部支持部と接触してしまうため、光学面の保護ができない。
【0011】
そこで本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、別体の成形トレイを用いることなく、光学面を保護した状態でレンズを包装することができる個装箱を提供することにある。また、個装箱の組立作業や個装箱に対するレンズの包装作業を容易にし、包装コストを低減することのできる個装箱及びレンズの包装方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明のレンズの個装箱は、底面板、前面板、背面板、及び、前記前面板と前記背面板のうちの一方に連設された上面板を設け、当該上面板を前記前面板と前記背面板のうちの他方に係止可能に構成し、前記底面板の左右において、前記底面板、前記前面板、若しくは、前記背面板に連設された外側板、側頂板、及び、内側板を順次連設し、これらを内側に折り込んで前記底面板上に設置される側枠部を構成し、前記内側板にレンズの側面部を収容する開口部を設け、当該開口部の上縁若しくは下縁を凸状に構成することを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、レンズの側面部を収容する開口部を設け、この開口部の上縁を凸曲線状に構成したことにより、レンズの側面部を開口部に収容することによってレンズを保持することができ、しかも、開口部の上縁若しくは下縁が凸状に構成されているために、レンズの上面若しくは下面が光学面である場合、当該光学面を開口部の上縁若しくは下縁に接触しないように構成できる。したがって、光学面を個装箱の内面に接触させずにレンズを安定保持した状態で収容することが可能になる。また、側枠部によって緩衝性を高めることができるため、レンズの外周部の欠けや割れを防止できる。さらに、個装箱は単一の板状素材で構成できるため、包装資材としての管理が容易になり、また、包装作業も容易になるため、包装コストを低減することが可能になる。ここで、上縁を凸状にするとは上縁を上に向けて凸の形状にすることを意味し、下縁を凸状にするとは下縁を下に向けて凸の形状にすることを意味する。
【0014】
本発明において、前記上縁若しくは下縁を凸曲線状に構成することが好ましい。これによれば、側枠部の開口縁形状がレンズの凸曲面状の光学面に対応する形状となるため、多様なレンズ形状にも対応できるようになることから、開口縁をより確実に光学面に接触しないように構成し、保護することができる。特に、上記上縁若しくは下縁を円弧状に構成することがさらに望ましい。
【0015】
本発明において、前記内側板から延長された突当板を設け、当該突当板を前記底面板に固着することが好ましい。内側板から延長された突当板を底面板に固着することにより、底面板に対して側枠部を固定することができるため、レンズをより確実かつ正確に保持することができる。
【0016】
本発明において、前記側枠部は、外側へ倒すことによって前記底面板と平行な姿勢で平坦に広げることができるように構成されていることが好ましい。突当板を底面板に固着しても、側枠部を外側へ倒すことによって底面板と平行な姿勢で平坦に広げることができることにより、平坦に広げた状態で保管したり搬送したりすることができるから、積み重ねることなどにより多数の個装箱を容易に取り扱うことが可能になり、個装箱の管理が容易になる。
【0017】
本発明において、コートボール紙により形成されていることが好ましい。コートボール紙により形成されていることにより、或る程度の緩衝性を材料そのものによって得ることができるため、レンズの光学面をより確実に保護することが可能になるとともに、コートボール紙の表面がコーティングされていることにより発塵を抑制することができ、レンズへの塵埃の付着を低減できる。
【0018】
次に、本発明のレンズの包装方法は、光学面を有するレンズを一つずつ個装箱に収容するレンズの包装方法であって、前記個装箱は、底面板、前面板、背面板、及び、前記前面板と前記背面板のうちの一方に連設された上面板を設け、当該上面板を前記前面板と前記背面板のうちの他方に係止可能に構成し、前記底面板の左右において、前記底面板、前記前面板、若しくは、前記背面板に連設された外側板、側頂板、及び、内側板を順次連設し、これらを内側に折り込んで前記底面板上に設置される側枠部を構成し、前記内側板にレンズの側面部を収容する開口部を設け、当該開口部の上縁若しくは下縁を凸状に構成したものとし、前記光学面を上に向けた姿勢で前記レンズを前記個装箱に収容することを特徴とする。
【0019】
本発明において、前記上縁若しくは下縁を凸曲線状に構成することが好ましい。これによれば、側枠部の開口縁形状がレンズの凸曲面状の光学面に対応する形状となるため、多様なレンズ形状にも対応できるようになることから、開口縁をより確実に光学面に接触しないように構成し、保護することができる。特に、前記上縁若しくは下縁を円弧状に構成することがさらに望ましい。
【0020】
本発明において、前記レンズの光学面は凸曲面であり、前記開口部の上縁若しくは下縁は、前記レンズが前記開口部の開口縁に当接したときの前記開口部の開口面と交差する前記レンズの断面形状の上縁若しくは下縁よりも曲率が大きい形状を有することが好ましい。これによって、レンズが開口部の開口縁に当接しても光学面が開口部の上縁若しくは下縁に接触することがなくなるため、凸曲面の光学面であっても確実に保護できる。
【0021】
【発明の実施の形態】
次に、添付図面を参照して本発明に係るレンズの個装箱及びレンズの包装方法の実施形態について詳細に説明する。図1は、本実施形態の個装箱の展開体100を示す展開図である。展開体100は、展開図上中央に配置された底面板101と、この底面板101の手前に配置される前面板102と、底面板101の背後に配置される背面板103と、背面板103に続いて設けられた上面板104とを有する。ここで、前面板102の先端には重合片102aが延長形成され、前面板102と重合片102aとの間の折り線に沿って切り込み102bが形成されている。この切り込み102bに沿って図示のように半円形等の適宜の形状の開口を設けてもよい。さらに、上面板104の先端には、係合片104aが突出形成されている。この係合片104aを上記切り込み102bに挿入することによって、上面板104を前面板102に係合保持することができるようになっている。なお、上記切り込み102bに沿って設けられた開口は係合片104aの挿入を容易にする。
【0022】
底面板101の左右にはそれぞれ、外側板105、側頂板106、内側板107及び突当板108が連続して設けられている。外側板105の前後両側には折込片109がそれぞれ延長形成されている。また、内側板107には開口部107aが形成されている。この開口部107aは、後に詳述するように、側頂板106側の開口縁(上縁)の全体が凸曲線状に構成されている。
【0023】
上記の個装箱の展開体100は、一枚の板状材によって構成される。素材としては、各種の紙などを用いることができるが、特に、コートボール紙を用いることが、十分な剛性及び緩衝性を確保しつつ、発塵を抑制し、レンズへの塵埃の付着を低減する上で最も好ましい。
【0024】
図2は、レンズ10の包装前における個装箱100′の構造を示す平面図である。図1に示す展開体100は、底面板101に対して左右の外側板105,105を内側に折り込んで垂直に立ち上げ、外側板105に対して側頂板106を内側に向けて折り込んで水平面に沿うようにし、さらに、側頂板106に対して内側板107を内側に折り込んで垂直に立ち下げることによって側枠部が構成される。このとき、内側板107に対して突当板108を折り込んで底面板101に沿った姿勢となるようにし、突当板108を底面板101に接着剤等によって固着させたものが図2に示す個装箱100′である。
【0025】
上記のように突当板108を底面板101に固着させた状態で、個装箱100′は、図2に示すように広げることができ、この広げた状態で、外側板105、側頂板106及び内側板107によって構成される側枠部が底面板101の板面に沿って平坦に折り畳まれるように構成されている。したがって、図2に示す状態で多数の個装箱100′を積み重ねまとめて輸送したり保管したりすることができるため、包装資材としての使用前及び使用後の管理が可能になる。
【0026】
図3には、図2に示すように広げられた状態の個装箱100′を折り込んで箱状に構成した様子を示す。図2に示す個装箱100′は、底面板101に対して前面板102、背面板103、及び、上記の左右の側枠部をそれぞれ垂直に立ち上げるように折り込むことによって図3に示す状態になる。このとき、左右一対の側枠部においては、内側板107に設けられた開口部107aが相互に対向する状態で個装箱の内部空間に臨む。この状態で、開口部107aの上縁は全体として凸曲線状(図示例では円弧状)に構成されている。
【0027】
図3に示す個装箱100′にレンズ10を収容する場合には、図3に示す状態でそのままレンズ10を箱内に組み込んでもよいが、たとえば、図2に示すように個装箱100′を広げた状態とし、その底面板101上に図示一点鎖線で示すようにレンズ10を配置し、そのままで個装箱100′の前面板102、背面版103及び左右の側枠部を立ち上げるようにして個装箱100′を図4に示す態様に組み立ててもよい。
【0028】
いずれの場合でも、図4に示すように個装箱100′内にレンズ10を収容した状態で、レンズ10の側面部(外周部の一部)は、図4に示すように、相互に対向配置される開口部107a内に挿入された状態になる。また、レンズ10は、その凸曲面状の光学面10aが上に向いた姿勢で個装箱100′に収容される。
【0029】
図4に示すようにレンズ10が個装箱100′に収容されているとき、レンズ10の外形寸法と、個装箱100′の内部空間の寸法との関係によっては、レンズ10は箱内部に固定されない場合がある。この場合でも、通常、レンズ10が箱内部において偏った位置にずれることによりレンズ10の外周部は開口部107aの開口縁に接触する。このとき、基本的にレンズ10の外周部と箱内部とは点接触状態若しくは線接触状態になり、上面の光学面10aは箱内面に接触しない。
【0030】
図4に示す状態で、上面部104を降下させ、その係合片104aを前面板102と重合片102aとの間に形成された切り込み102bに挿入することによって、個装箱100′は完全に閉鎖される。
【0031】
図5A及び図5Bは、レンズ10の寸法と、開口部107aの開口寸法との関係を示す。ここで、開口部107aは、凸曲線状の上縁107a−uと、左右一対の側縁107a−sと、下縁107a−dとを有する。側縁107a−sや下縁107a−dの線形状は特に限定されないが、図示例のように直線状であることが望ましい。
【0032】
開口部107aの寸法としては、図示のように、下縁107a−dから上縁107a−uの最下部までの高さ(以下、単に「高さ」という。)をhとし、上縁107a−uの幅(或いは一対の側縁107a−s間の幅、以下、単に「幅」という。)をwとし、上縁107a−uの曲率半径をRaとする。なお、本明細書の上縁107a−uにおいて、その曲率Caを上記曲率半径Raの逆数とする。すなわち、Ca=1/Raである。
【0033】
また、図示例では上縁107a−uが円弧状に構成され、その曲率が上縁全体に亘って一定であるが、本発明においては必ずしも円弧状である必要はなく、放物線や双曲線などのような任意の凸曲線状に構成されていてもよい。このように上縁の曲率(或いは曲率半径)が一定でない場合には、上縁全体における曲率の平均値を上記曲率Ca(或いは曲率半径Ra)とする。また、本発明においては、上縁107a−uは凸状に構成されていればよく、実際に収容されるレンズの種類や機種における形状寸法の変動範囲に応じて変化する、レンズの開口部107aの開口縁に対する接触位置の変動範囲内において、当該接触位置よりも中央側において上縁107a−uの高さが高くなるように構成されていればよい。この場合には、必ずしも光学面10aの全てを保護することができない場合も考えられるが、少なくとも光学面10aの中央部分を保護することは可能である。
【0034】
また、レンズ10の寸法としては、図示のように、光学面10aの最下部の高さ(以下、単に「高さ」という。)を10hとし、レンズ10が開口部107aの開口縁に当接して位置決めされたときの、開口部107aの開口面と交差する断面形状の幅(以下、単に「幅」という。)を10wとする。なお、本実施形態では、レンズ10は平面視円形であり、外周面は円筒面であるものとする。また、光学面10aは図示例のように凸曲面状であるものとする。そして、レンズ10が開口部107aの開口縁に当接して位置決めされたときの、開口部107aの開口面と交差する断面形状における光学面10aの輪郭線の曲率半径をR10とする。また、当該輪郭線の曲率C10を曲率半径R10の逆数とする。
【0035】
レンズ10の両側面部が開口部107aに挿入され、係合保持される場合、レンズ10が少なくとも一方の開口部107aに当接した状態としては、図5Aと図5Bに示す2つのケースが考えられる。すなわち、図5Aに示すケースでは、レンズ10の厚さ10hとレンズ外径との比が比較的大きいため(すなわち、開口部107の高さhが相対的に低いため)、レンズ10の光学面10aと外周面との間の稜線が開口部107aの上縁107a−uに係合しているのに対して、レンズ10の幅10wが相対的に小さいため(すなわち開口部107aの幅wが相対的に大きいため)にレンズ10の外周面は開口部107aの側縁107a−sに当接していない。
【0036】
一方、図5Bに示す状態では、レンズ10′の厚さ10h′とレンズ外径との比が相対的に小さいため、レンズ10′の幅10w′が大きい(すなわち開口部107aの幅wが相対的に小さい)ことから、レンズ10′の外周部は開口部107aの側縁107a−sに係合しているのに対して、レンズ10′の厚さ10h′が小さいため(開口部107aの高さhが相対的に大きいため)、レンズ10′は開口部107aの上縁107a−uに当接していない。
【0037】
本実施形態では、開口部107aの上縁107a−uの曲率Caが、レンズ10の光学面10a,10a′の上記曲率C10、C10′よりも大きくなるように構成してある。すなわち、曲率半径Raは、曲率半径R10,R10′よりも小さい。このようにすると、開口部107aの上縁107a−uがレンズ10,10′の光学面10a,10a′に接触することがなくなるので、光学面10a,10a′を確実に保護することができる。特に、図5Aに示すようにレンズ10が開口部107aの上縁107a−uに当接する場合には、光学面10aと開口部107aの上縁107a−uとの距離が小さくなるが、光学面10aは確実に保護される。また、図5Bに示す場合には、レンズ10′が図示のように底面部101上に静置されている場合には光学面10a′と開口部107aの上縁107a−uとは相互に離れているが、輸送中などにおいて個装箱100′が揺れたりすると、レンズ10′が開口部107aの上縁107a−uに当接する場合が考えられる。しかし、この場合でも、上記のように構成されていることによって、光学面10a′が上縁107a−uに接触することはなくなる。
【0038】
以上説明したように、本実施形態では、レンズの側面部(外周部の一部)を一対の側枠部(外側板105、側頂板106及び内側板107によって構成される。)によって係合保持することによって十分な緩衝性を得ることができるとともに、側枠部の内面、すなわち内側板107に開口部107aを形成し、この開口部107aにレンズの側面部が挿入される状態で収容することができるため、レンズの収容姿勢を安定させることができる。
【0039】
また、上記の開口部107aの上縁は凸曲線状に構成されているため、レンズの上面に凸曲面状の光学面が設けられている場合にも、当該光学面に対する非接触性を維持することができ、光学面を確実に保護することができる。
【0040】
さらに、本実施形態の個装箱は、一体の板状材で構成されているため、製造が容易でありしかも、保管や輸送が容易であるとともに、レンズの形状に応じたレンズ寸法別の成形トレイが不要になるため、組み立て作業や包装作業の手間も従来よりも低減されるため、包装コストを大幅に低減できる。
【0041】
図6は、本発明に係るレンズの個装箱の別の実施形態を示す斜視図である。この個装箱200において、底面板201、前面板202、背面板203、上面板204、外側板205、側頂板206、内側板207は、図3に示す組み立て状態においては上記実施形態とほぼ同様に配置されている。ただし、本実施形態では、前面板202、背面板203及び左右の外側板205が角筒状に構成されている。この角筒を構成するためには、たとえば、前面板202、背面板203及び外側板205の間の4つの稜線部のうちの3つが連設部となり、一つが接着等によって貼り合わされた構造を有する。
【0042】
また、底面板201は前面板202の下端に連設され、その先端に係合片201aが設けられている。この係合片201aは背面板203の内側に図示点線で示すように下方から挿入され、これによって底面板201が個装箱200の底面部を閉鎖するようになっている。背面板203の上端には上面板204が連設され、その先端には係合片204aが形成されている。この係合片204aは前面板202の内面に沿って挿入され、これによって上面板204が個装箱200の上面部を閉鎖するようになっている。
【0043】
さらに、左右の側枠部においては、外側板205が前面板202と背面板203の一方或いは双方に連設されている。また、内側板207の先にさらに突当板208が形成されている。ここで、この突当板208が底面部に当接している点は先に説明した実施形態と同様であるが、突当板208の折り曲げ方向が先の実施形態とは逆になっている。すなわち、図3に示す実施形態では、突当板108は内側板107の下端から外側板105の内面から離れる方向に伸びる姿勢で折り込まれているが、本実施形態では、突当板208は、内側板207の下端から外側板205の内面に向けて伸びるように折り込まれる。このとき、内側板207に設けられた切り込みによって、内側板207に先の実施形態と同様の開口部207aが形成される。突当板208のうち、折り込み前に開口部207aの内部に配置されていた部分208aについては、先に説明した実施形態とは逆に外側板205から離れる方向に伸びる姿勢で底面部上に配置される。開口部207aは、先の実施形態と同様に、上縁が凸状(或いは凸曲線状)に構成されている。
【0044】
本実施形態では、側枠部を構成する左右の外側板205の底面側にそれぞれ底面重合片209,209が連設され、これらの底面重合片209は上記底面板201の内面上に重なるように配置される。したがって、本実施形態の底面部は、上記底面板201と底面重合片209との2重構造となるため、レンズに対する緩衝作用を高めることが可能になる。
【0045】
尚、本発明の個装箱及びレンズの包装方法は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。たとえば、上記の各実施形態では、開口部107a,207aの上縁を凸状(或いは凸曲線状)に構成しているが、この代わりに、下縁を凸状(或いは凸曲線状)、すなわち下に向けて凸となる形状、に構成することによって、レンズ10の下面に設けられた光学面10bが凸曲面状に構成されている場合にも対応することが可能になる。また、開口部107a,207aの上縁と下縁の双方を凸状(凸曲線状)に構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】個装箱の展開体を示す平面図。
【図2】個装箱を広げた状態を示す平面図。
【図3】個装箱を組み立てた状態を示す斜視図。
【図4】個装箱にレンズを収容した状態を示す斜視図。
【図5】A 開口部とレンズ断面との関係を示す説明図。
B 開口部とレンズ断面との異なる関係を示す説明図。
【図6】個装箱の別の実施形態を示す斜視図。
【図7】従来のレンズの包装方法及び包装箱を示す分解斜視図。
【符号の説明】
10,10′…レンズ、10a,10a′…光学面、100…展開体、100′…個装箱、101…底面板、102…前面板、103…背面板、104…上面板、105…外側板、106…側頂板、107…内側板、107a…開口部、107a−u…上縁、108…突当板
Claims (8)
- 底面板、前面板、背面板、及び、前記前面板と前記背面板のうちの一方に連設された上面板を設け、当該上面板を前記前面板と前記背面板のうちの他方に係止可能に構成し、前記底面板の左右において、前記底面板、前記前面板、若しくは、前記背面板に連設された外側板、側頂板、及び、内側板を順次連設し、これらを内側に折り込んで前記底面板上に設置される側枠部を構成し、前記内側板にレンズの側面部を収容する開口部を設け、当該開口部の上縁若しくは下縁を凸状に構成したことを特徴とするレンズの個装箱。
- 前記上縁若しくは下縁を凸曲線状に構成したことを特徴とする請求項1に記載のレンズの個装箱。
- 前記内側板から延長された突当板を設け、当該突当板を前記底面板に固着したことを特徴とする請求項1又は2に記載のレンズの個装箱。
- 前記側枠部は、外側へ倒すことによって前記底面板と平行な姿勢で平坦に広げることができるように構成されていることを特徴とする請求項3に記載のレンズの個装箱。
- コートボール紙により形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のレンズの個装箱。
- 光学面を有するレンズを一つずつ個装箱に収容するレンズの包装方法であって、
前記個装箱は、底面板、前面板、背面板、及び、前記前面板と前記背面板のうちの一方に連設された上面板を設け、当該上面板を前記前面板と前記背面板のうちの他方に係止可能に構成し、前記底面板の左右において、前記底面板、前記前面板、若しくは、前記背面板に連設された外側板、側頂板、及び、内側板を順次連設し、これらを内側に折り込んで前記底面板上に設置される側枠部を構成し、前記内側板にレンズの側面部を収容する開口部を設け、当該開口部の上縁若しくは下縁を凸状に構成し、
前記光学面を上に向けた姿勢で前記レンズを前記個装箱に収容することを特徴とするレンズの包装方法。 - 前記上縁若しくは下縁を凸曲線状に構成することを特徴とする請求項6に記載のレンズの包装方法。
- 前記レンズの光学面は凸曲面であり、前記開口部の上縁若しくは下縁は、前記レンズが前記開口部の開口縁に当接したときの前記開口部の開口面と交差する前記レンズの断面形状の上縁若しくは下縁よりも曲率が大きい形状を有することを特徴とする請求項7に記載のレンズの包装方法。
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JP2003040342A JP2004250017A (ja) | 2003-02-18 | 2003-02-18 | レンズの個装箱及びレンズの包装方法 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101879362B1 (ko) * | 2017-03-08 | 2018-07-18 | (주)삼원피앤피(Pnp) | 원형렌즈 충격보호용 고정지지대가 내장된 접이식 포장상자용지 및 이를 이용한 원형렌즈 포장상자 |
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CN110844245A (zh) * | 2019-12-16 | 2020-02-28 | 上海出版印刷高等专科学校 | 一种瓷盘缓冲包装盒 |
KR102094282B1 (ko) * | 2019-07-12 | 2020-05-29 | 현용욱 | 친환경 노테이핑 택배포장박스 |
-
2003
- 2003-02-18 JP JP2003040342A patent/JP2004250017A/ja not_active Withdrawn
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