JP2004249708A - インクジェット記録材料及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】乾燥方法等に制約されることなくインク受理層の表面亀裂の発生が防止され、写真印画紙並の優れた光沢性を有し、写像性、印字濃度及びインク吸収性に優れたインクジェット記録材料及びその製造方法を提供することにある。
【解決手段】耐水性支持体上に、少なくとも平均一次粒子径が3nm〜40nmの微粒子と結着剤を含有するインク受理層を設けたインクジェット記録材料において、該インク受理層が湿潤状態の間に凝固液によって凝固処理され、乾燥されて形成されたものであることを特徴とするインクジェット記録材料。
【選択図】 なし
【解決手段】耐水性支持体上に、少なくとも平均一次粒子径が3nm〜40nmの微粒子と結着剤を含有するインク受理層を設けたインクジェット記録材料において、該インク受理層が湿潤状態の間に凝固液によって凝固処理され、乾燥されて形成されたものであることを特徴とするインクジェット記録材料。
【選択図】 なし
Description
本発明は、インクジェット記録材料及びその製造方法に関するものであり、さらに詳しくはインク受理層表面に微細なひび割れがなく、写真印画紙並の優れた光沢性と高い画像濃度を備えたインクジェット記録材料及びその製造方法に関するものである。
インクジェット記録方式は、種々の作動原理によりインクの微小液滴を飛翔させて紙などの被記録媒体に付着させ、画像・文字などの記録を行なうものであるが、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターンの融通性が大きい、現像−定着が不要等の特徴があり、漢字を含め各種図形及びカラー画像等の記録装置として種々の用途に於いて急速に普及している。更に、多色インクジェット方式により形成される画像は、製版方式による多色印刷やカラー写真方式による印画に比較して、遜色のない記録を得ることが可能である。又、作成部数が少なくて済む用途に於いては、写真技術によるよりも安価であることからフルカラー画像記録分野にまで広く応用されつつある。
インクジェット記録方式に使用される記録材料として、通常の紙やインクジェット記録材料と称される支持体上に非晶質シリカ等の顔料をポリビニルアルコール等の水溶性バインダーからなる多孔質のインク受理層を設けてなる記録材料が知られている。
近年のデジタルカメラの普及からデジタルカメラで撮影した画像を自宅で印字するという要望が多くなり、インクジェットプリンタの性能もインク液滴の微小化など写真画質に対応した改良がなされてきている。それに呼応して、インクジェット記録材料への要求品質も年々高まってきており、最近では写真印画紙並(フォトライク)の光沢性、写像性及び画像濃度を持つ記録材料が要求されてきている。
上記したフォトライクな記録材料として、ポリオレフィン樹脂被覆紙のような耐水性支持体に気相法シリカのような超微粒子からなるインク受理層を設けた記録材料が提案されている。例えば、特開2000−351270号、特開2001−63204号、特開2001−63205号、特開2001−96898号、特開2001−270232号、特開2002−67476号公報用に開示されている。
同様に、高い光沢が得られるという観点から、耐水性支持体にアルミナやアルミナ水和物を含有するインク受理層を設けた記録材料が知られている。例えば、特開2000−301829号、特開2002−225423号、特開2002−225424号公報等に記載されている。
気相法シリカやアルミナあるいはアルミナ水和物は超微粒子であり、高い光沢が得られるが、その反面インク受理層の塗工乾燥時に微細なひび割れ(表面亀裂)が発生しやすいという問題がある。かかる問題は、特にポリオレフィン樹脂被覆紙やプラスチック樹脂フィルムのような耐水性支持体を用いたときに起こりやすくなった。
従来から一般的に用いられてきた紙支持体は、それ自体がインク受理層としての役割を有していたが、前述したポリオレフィン樹脂被覆紙等の耐水性支持体は、紙支持体と違ってインクを吸収することができないため、支持体上に設けられたインク受理層のインク吸収性が重要であり、インク受理層の空隙率を高める必要がある。従って、気相法シリカ等の無機顔料の塗布量を多くし、更に、結着剤の比率を低くする必要があるが、耐水性支持体に空隙率の高いインク受理層を設けた場合、特にインク受理層の塗布乾燥時に表面亀裂が発生しやすくなった。
上述した表面亀裂を防止する方法として、塗布後一旦冷却してセットさせる方法、あるいは比較的低い温度で乾燥する方法が提案されている。例えば、特開2000−351268号、特開2001−96900号、特開2002−2094号公報に記載されている(特許文献1、2、3)。しかしながら、これらの製造方法は、相対的に生産効率が低く、また冷却するための冷却装置が必要になったり、乾燥効率を上げるために乾燥風の風量や風速を上げるとインク受理層に乾燥ムラが発生したり、あるいは乾燥風を除湿するための除湿器を設置する必要が生じるなどの問題があった。
一方、特開平7−40647号公報には、疎水性バインダーからなるインク受理層を湿式凝固法により多孔質層にすることが開示されている(特許文献4)。しかし、当該技術は、疎水性バインダーをDMF等の有機溶媒で溶解して作製したインク受理層を塗工後、水からなる凝固浴に通して、インク受理層に空孔を設けるというものであり、本発明とは基本的に異なるものである。
また一方、インクジェット記録材料に表面光沢を付与する方法として、スーパーカレンダー、グロスカレンダー等のカレンダー装置を用い、圧力や温度をかけたロール間に通紙することでインク受理層表面を平滑化する方法が一般的である。しかしながら、インクジェット記録材料に表面光沢を付与する目的で、高線圧下でカレンダー処理を行うと、表面光沢は向上するが、インク受理層中の空隙が減少し、インク吸収性の悪化を招くことになる。また、ポリオレフィン樹脂被覆紙(紙の両面にポリエチレン等のポリオレフィン樹脂をラミネートしたもの)やポリエステルフィルム等の耐水性支持体上に一次粒子径が3nm〜40nmの微粒子を含有したインク受理層を設けたインクジェット記録材料に高線圧下でカレンダー処理を行うとインク受理層自体にひび割れが生じてしまう。
また一方、キャスト処理法によって高光沢を得る方法が知られている。このキャスト処理法としては、湿潤状態にある塗被層を加熱された鏡面ロール(以下キャストドラムと略す)に圧接する直接法、湿潤状態の塗被層を一旦乾燥した後、再湿潤により可塑化してキャストドラムに圧接する再湿潤法、湿潤状態の塗被層を凝固状態にしてキャストドラムに圧接する凝固法が知られている。凝固法を利用したキャスト処理として、例えば特開2002−248850号、特開2003−103914号公報等に記載されている(特許文献5、6)。
しかし、上述したキャスト処理法は、加熱した鏡面ドラム(キャストドラム)に湿潤状態のインク受理層を圧接して水分を蒸発させて乾燥することによってインク受理層表面に鏡面ドラムの鏡面を転写するものであるが、このキャスト処理は、蒸発した水分は支持体である紙を通して反対面から放出することによって初めて可能となる。従って、支持体は紙のような水及び空気の透過性を有するものが必須である。本発明が対象とする耐水性支持体を用いた場合、キャストドラムに圧接している際にインク受理層から発生する蒸発水分の逃げ道がなくインク受理層表面にパンク等が発生して光沢を得るどころか多数の欠点を有したインク受理層となってしまうので、耐水性支持体にキャスト処理を実施することは不可能である。また、キャスト処理は、上記したカレンダー処理と同様に、インク吸収性を低下させる方向に作用する。
特開2000−351268号公報
特開2001−96900号公報
特開2002−2094号公報
特開平7−40647号公報
特開2002−248850号公報
特開2003−103914号公報
従って、本発明の目的は、乾燥方法等に制約されることなくインク受理層の表面亀裂の発生が防止され、写真印画紙並の優れた光沢性を有し、写像性、印字濃度及びインク吸収性に優れたインクジェット記録材料及びその製造方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の発明によって基本的に達成された。
(1)耐水性支持体上に、少なくとも平均一次粒子径が3nm〜40nmの微粒子と結着剤を含有するインク受理層を設けたインクジェット記録材料において、該インク受理層が湿潤状態の間に凝固液によって凝固処理され、乾燥されて形成されたものであることを特徴とするインクジェット記録材料。
(2)該結着剤がポリビニルアルコールまたはカゼインである上記(1)に記載のインクジェット記録材料。
(3)該ポリビニルアルコールが、重合度1000以上である上記(2)に記載のインクジェット記録材料。
(4)該ポリビニルアルコールが、シラノール変性ポリビニルアルコールである上記(2)または(3)に記載のインクジェット記録材料。
(5)該凝固液が、水溶性の多価金属塩を含有する上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載のインクジェット記録材料。
(6)該凝固液が、更に硼酸を含有する上記(5)に記載のインクジェット記録材料。
(7)該微粒子が、平均二次粒子径が400nm以下の、気相法シリカ、湿式法シリカ及びアルミナ水和物の中の少なくとも一種である上記(1)に記載のインクジェット記録材料。
(8)該耐水性支持体が、紙の片面あるいは両面に樹脂被覆層を設けた樹脂被覆紙である上記(1)に記載のインクジェット記録材料。
(9)耐水性支持体上に、少なくとも平均一次粒子径が3nm〜40nmの微粒子と結着剤を含有するインク受理層の塗布液を塗布し、湿潤状態の間に凝固液を用いて凝固処理した後、非接触の乾燥手段で乾燥することを特徴とするインクジェット記録材料の製造方法。
(1)耐水性支持体上に、少なくとも平均一次粒子径が3nm〜40nmの微粒子と結着剤を含有するインク受理層を設けたインクジェット記録材料において、該インク受理層が湿潤状態の間に凝固液によって凝固処理され、乾燥されて形成されたものであることを特徴とするインクジェット記録材料。
(2)該結着剤がポリビニルアルコールまたはカゼインである上記(1)に記載のインクジェット記録材料。
(3)該ポリビニルアルコールが、重合度1000以上である上記(2)に記載のインクジェット記録材料。
(4)該ポリビニルアルコールが、シラノール変性ポリビニルアルコールである上記(2)または(3)に記載のインクジェット記録材料。
(5)該凝固液が、水溶性の多価金属塩を含有する上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載のインクジェット記録材料。
(6)該凝固液が、更に硼酸を含有する上記(5)に記載のインクジェット記録材料。
(7)該微粒子が、平均二次粒子径が400nm以下の、気相法シリカ、湿式法シリカ及びアルミナ水和物の中の少なくとも一種である上記(1)に記載のインクジェット記録材料。
(8)該耐水性支持体が、紙の片面あるいは両面に樹脂被覆層を設けた樹脂被覆紙である上記(1)に記載のインクジェット記録材料。
(9)耐水性支持体上に、少なくとも平均一次粒子径が3nm〜40nmの微粒子と結着剤を含有するインク受理層の塗布液を塗布し、湿潤状態の間に凝固液を用いて凝固処理した後、非接触の乾燥手段で乾燥することを特徴とするインクジェット記録材料の製造方法。
本発明によれば、乾燥条件の制約を受けず、従って生産効率の向上が図られ、かつ、高光沢、高インク吸収性、高印字濃度、及び高写像性のインクジェット記録材料が得られる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のインクジェット記録材料は、耐水性支持体上に少なくとも平均一次粒子径が3nm〜40nmの微粒子と結着剤を含有するインク受理層を有する。そして、該インク受理層は、湿潤状態の間に凝固液によって凝固処理され、乾燥されて形成されたものである。
本発明のインクジェット記録材料は、耐水性支持体上に少なくとも平均一次粒子径が3nm〜40nmの微粒子と結着剤を含有するインク受理層を有する。そして、該インク受理層は、湿潤状態の間に凝固液によって凝固処理され、乾燥されて形成されたものである。
本発明に用いられる耐水性支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリカーボネート等のプラスチック樹脂フィルムや、紙の片面あるいは両面に樹脂被覆層を有する樹脂被覆紙が挙げられる。本発明は、写真印画紙に相当する記録材料を目指すという意味において、樹脂被覆紙が好ましく用いられる。
以下に樹脂被覆紙について詳しく説明する。樹脂被覆紙を構成する原紙は、特に制限はなく、一般に用いられている紙が使用できるが、より好ましくは例えば写真用支持体に用いられているような平滑な原紙が好ましい。原紙を構成するパルプとしては天然パルプ、再生パルプ、合成パルプ等を1種もしくは2種以上混合して用いられる。この原紙には一般に製紙で用いられているサイズ剤、紙力増強剤、填料、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料等の添加剤が配合される。
さらに、表面サイズ剤、表面紙力剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、染料、アンカー剤等が表面塗布されていてもよい。
また、原紙の厚みに関しては特に制限はないが、紙を抄造中または抄造後カレンダー等にて圧力を印加して圧縮するなどした表面平滑性の良いものが好ましく、その坪量は30〜250g/m2が好ましく、特に50〜250g/m2が好ましい。
樹脂被覆紙の樹脂としては、ポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂や電子線や紫外線で硬化する樹脂を用いることができる。ポリオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテンなどのオレフィンのホモポリマーまたはエチレン−プロピレン共重合体などのオレフィンの2つ以上からなる共重合体及びこれらの混合物であり、各種の密度、溶融粘度指数(メルトインデックス)のものを単独にあるいはそれらを混合して使用できる。
また、樹脂被覆紙の樹脂中には、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウムなどの白色顔料、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミドなどの脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩、イルガノックス1010、イルガノックス1076などの酸化防止剤、コバルトブルー、群青、セシリアンブルー、フタロシアニンブルーなどのブルーの顔料や染料、コバルトバイオレット、ファストバイオレット、マンガン紫などのマゼンタの顔料や染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤などの各種の添加剤を適宜組み合わせて加えるのが好ましい。
樹脂被覆紙は、走行する原紙上にポリオレフィン樹脂の場合は、加熱溶融した樹脂を流延する、いわゆる押出コーティング法により製造され、その片面もしくは両面が樹脂により被覆される。また、電子線や紫外線により硬化する樹脂の場合は、グラビアコーター、ブレードコーターなど一般に用いられるコーターにより樹脂を塗布した後、電子線や紫外線を照射し、樹脂を硬化させて被覆する。また、樹脂を原紙に被覆する前に、原紙にコロナ放電処理、火炎処理などの活性化処理を施すことが好ましい。
原紙の片面に樹脂被覆層を有する場合は、インク受理層が塗布される面(表面)に樹脂被覆層を設けるのが好ましい。裏面には樹脂被覆層を必ずしも被覆する必要はないが、カール防止の点から樹脂被覆層を設けたほうが好ましい。表面あるいは必要に応じて表裏両面にもコロナ放電処理、火炎処理などの活性処理を施すことができる。また、樹脂被覆層の厚みとしては5〜50μmの範囲が好ましく、特に10〜45μmの範囲が好ましい。
本発明における支持体には帯電防止性、搬送性、カール防止性などのために、各種のバックコート層を塗設することができる。バックコート層には無機帯電防止剤、有機帯電防止剤、親水性バインダー、ラテックス、硬化剤、顔料、界面活性剤などを適宜組み合わせて含有せしめることができる。また、支持体の両面にインク受理層を設けても良い。また、インク受理層と支持体の間に接着性を向上させるための下引き層を設けるのは好ましい。
本発明のインク受理層は、平均一次粒子径が3〜40nmの微粒子を含有する。該微粒子は無機微粒子が好ましい。該無機微粒子は、好ましくは平均二次粒子径が400nm以下のものである。平均二次粒子径が400nm以下であれば印字の際のインク吸収性とインク受理層の光沢のバランスが非常によいものができる。例えば、特開平1−97678号公報、同2−275510号公報、同3−281383号公報、同3−285814号公報、同3−285815号公報、同4−92183号公報、同4−267180号公報、同4−275917号公報などに開示されているアルミナ水和物である擬ベーマイトゾル、特開昭60−219083号公報、同61−19389号公報、同61−188183号公報、同63−178074号公報、特開平5−51470号公報などに記載されているようなコロイダルシリカ、特公平4−19037号公報、特開昭62−286787号公報に記載されているようなシリカ/アルミナハイブリッドゾル、特開平10−119423号公報、特開平10−217601号公報に記載されているような、気相法シリカを高速ホモジナイザーで分散したようなシリカゾル、特開平10−181191号、特開う平10−272833号、特開2001−199158号及び特開2002−331747号公報に記載されているような、機械的に粉砕した湿式法シリカ、その他にもヘクタイト、モンモリロナイトなどのスメクタイト粘土(特開平7−81210号公報)、ジルコニアゾル、クロミアゾル、イットリアゾル、セリアゾル、酸化鉄ゾル、ジルコンゾル、酸化アンチモンゾルなどを代表的なものとして挙げることができる。
これらの無機微粒子の中でも、気相法シリカ、アルミナ化合物(アルミナ水和物あるいは酸化アルミニウム微粒子)、粉砕した湿式法シリカを好適に用いることができる。本発明において特に好ましくは気相法シリカである。気相法シリカは、高光沢と高インク吸収性が得られるが、塗工乾燥時にひび割れが発生しやすく、本発明は特に有効である。
シリカ微粒子は、乾量基準でSiO293%以上、Al2O3約5%以下、Na2O約5%以下から構成される微粒子であり、いわゆるホワイトカーボン、シリカゲルや微粉末シリカなどの非晶質シリカがある。非晶質シリカ微粒子の製造方法としては、液相法、粉砕固相法、晶析固相法および気相法がある。液相法とは、いわゆる液中に存在する珪酸化合物等を化学変化または物理変化によって固体状態に析出させる微粒子製造方法である。粉砕固相法とはシリカ固体を機械的に粉砕する方法であり、晶析固相法とは溶融や固体の相転移などを利用した微粒子製造方法である。気相法とは、揮発性金属化合物の蒸気の熱分解や、原材料の加熱、蒸発、生成した気相種の冷却、凝縮による微粒子製造方法である。
アルミナ水和物は、下記の一般式により表すことができる。
Al2O3・nH2O
アルミナ水和物は組成や結晶形態の違いにより、ジプサイト、バイアライト、ノルストランダイト、ベーマイト、ベーマイトゲル(擬ベーマイト)、ジアスポア、無定形非晶質等に分類される。中でも、上記の式中、nの値が1である場合はベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが1を越え3未満である場合は擬ベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが3以上では非晶質構造のアルミナ水和物を表す。特に、本発明に好ましいアルミナ水和物は、少なくともnが1を越え3未満の擬ベーマイト構造のアルミナ水和物である。
Al2O3・nH2O
アルミナ水和物は組成や結晶形態の違いにより、ジプサイト、バイアライト、ノルストランダイト、ベーマイト、ベーマイトゲル(擬ベーマイト)、ジアスポア、無定形非晶質等に分類される。中でも、上記の式中、nの値が1である場合はベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが1を越え3未満である場合は擬ベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが3以上では非晶質構造のアルミナ水和物を表す。特に、本発明に好ましいアルミナ水和物は、少なくともnが1を越え3未満の擬ベーマイト構造のアルミナ水和物である。
本発明に用いられるアルミナ水和物の形状は、平板状、繊維状、針状、球状、棒状等のいずれでもよく、インク吸収性の観点から好ましい形状は平板状である。平板状のアルミナ水和物は、平均アスペクト比3〜8であり、好ましくは平均アスペクト比が3〜6である。アスペクト比は、粒子の「厚さ」に対する「直径」の比で表される。ここで粒子の直径とは、アルミナ水和物を電子顕微鏡で観察したときの粒子の投影面積に等しい円の直径を表す。
本発明に用いられるアルミナ水和物は、アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等公知の方法によって製造することができる。また、アルミナ水和物の粒子径、細孔径、細孔容積、比表面積等の物性は、析出温度、熟成温度、熟成時間、液のpH、液の濃度、共存化合物等の条件によって制御することができる。
本発明のインクジェット記録材料には、市販のアルミナ水和物も好適に用いることができる。以下にその一例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、アルミナ水和物としては、カタロイドAS−1、カタロイドAS−2、カタロイドAS−3(以上、触媒化学工業製)アルミナゾル100、アルミナゾル200、アルミナゾル520(以上、日産化学工業製)、M−200(以上、水澤化学工業製)、アルミゾル10、アルミゾル20、アルミゾル132、アルミゾル132S、アルミゾルSH5、アルミゾルCSA55、アルミゾルSV102、アルミゾルSB52(以上、川研ファインケミカル製)などを挙げることができる。
本発明において用いられる酸化アルミニウム超微粒子は、γ型結晶であるγ型酸化アルミニウム微粒子が好ましく用いられる。γ型結晶は結晶学的に分類すると、さらにγグループとδグループに分けることができる。δグループの結晶形態を有する微粒子の方が好ましい。
γ型結晶微粒子のアルミナは、1次粒子の平均粒子径を10nm程度にまで小さくすることが可能であるが、一般に、1次粒子は2次凝集形態(以下、2次粒子と記す)を形成して、数千から数万nmにまで粒子径が大きくなる。このような大粒子径のγ型アルミナ結晶微粒子を使用すると、インク受理層の印字性、吸収性は良好であるものの、透明性に欠け、塗膜欠陥が発生しやすくなる。
γ型アルミナ結晶微粒子ゾルを得るには、通常、数千から数万nmの2次粒子となっているγ型アルミナ結晶をビーズミルや超音波ホモジナイザー、高圧式ホモジナイザー等の粉砕手段によって、平均二次粒子径が400nm以下、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下の超微粒子になるまで粉砕する。粉砕手段としては、超音波ホモジナイザーや高圧式ホモジナイザーを用いる方法が好ましく、ビーズミル等の他の粉砕方法では、γ型アルミナ結晶が硬い結晶であるために、粉砕容器から異物が混入しやすく、透明性の低下や欠陥の発生の原因となる。γ型アルミナ結晶微粒子は、インク吸収性に優れ、乾燥性、インク定着性等の印字品質もよく、超微粒子化することで、高比率でインク受理層に含有させても透明性に優れたインクジェット記録媒体を得ることができる。
γ型アルミナ結晶微粒子は、市販品として、δグループに属する酸化アルミニウムC(日本アエロジル(株)製)、γグループに属するAKP−G015(住友化学(株)製)などとして入手できる。
本発明のインク受理層には、上記した平均一次粒子径が3〜40nmの無機微粒子を、該インク受理層の全固形分に対して50質量%以上含有するのが好ましく、特に60〜90質量%の範囲で含有させるのが好ましい。
本発明のインク受理層には、上記した無機微粒子とともに結着剤を含有する。かかる結着剤としては親水性ポリマーが好ましく、例えば、ポリビニルアルコール、各種変性ポリビニルアルコール、カゼイン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、ゼラチン、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。これらの中でもポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、カゼインが好ましく用いられ、特にポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコールが好ましい。このような結着剤と本発明の凝固処理を組み合わせることによって、光沢性やインク吸収性等が一段と向上する。
ポリビニルアルコールの中でも平均重合度が1000以上のものが好ましく、これによってインク受理層に一層の光沢性と高い画像濃度を付与できる。
変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、エチレン共重合体変性ポリビニルアルコール、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール等を挙げることができる。
インク受理層における結着剤の含有比率は、前述した無機微粒子に対して5〜80質量%が好ましく、10〜50質量%が好ましく、特に10〜30質量%が好ましく、さらには10〜25質量%が好ましい。このように、無機微粒子に対する結着剤の比率を低くすることによって空隙率が高くなりインク吸収性が向上するが、その反面、塗層強度が低下し、特にインク受理層の塗工乾燥時にひび割れ等の表面欠陥が発生しやすくなる。従って、本発明はインク吸収性を向上させかつひび割れ等を防止する上で極めて有意義な技術である。
本発明のインク受理層には、結着剤として上記した親水性ポリマーと組み合わせて、ポリマーラテックスやポリマーエマルジョン等のポリマーの水系分散物を用いることができる。例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体等の等のアクリル系重合体等のアクリル系重合体ラテックス、エチレン酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス、或いはこれら各種重合体のカルボキシル基等の官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス、ポリメチルメタクリレート等のアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマーを挙げることができる。上記したポリマーラテックスやポリマーエマルジョン等は、親水性ポリマーに対して20質量%以下の範囲で併用するのが好ましい。
インク受理層には、更にカチオン性ポリマーを含有するのが好ましい。カチオン性ポリマーとしては、例えば、分子内に1〜3級アミン、4級アンモニウム塩を有する高分子で、具体的には、ポリエチレンポリアミンやポリプロピレンポリアミンなどのポリアルキレンポリアミン類またはその誘導体、2級アミン、3級アミン、4級アンモニウム塩を有するアクリル樹脂、ポリビニルアミン、ポリビニルアミジン類、ジシアンジアミド−ホルマリン重縮合物に代表されるジシアン系カチオン樹脂、ジシアンジアミド−ジエチレントリアミン重縮合物に代表されるポリアミン系カチオン樹脂、エピクロロヒドリン−ジメチルアミン付加重合物、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物、ジアリルアミン塩重合物、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物、アリルアミン塩の重合物、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩重合物、アクリルアミド−ジアリルアミン塩共重合物、ポリビニルアルコール−カチオンモノマーグラフト重合物等が挙げられる。カチオン性ポリマーの数平均分子量としては10万以下が好ましく、下限は3千程度である。
本発明のインク受理層には、更にホウ酸あるいはホウ酸塩を含有するのが好ましい。また更にインク受理層には、着色染料、着色顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤、界面活性剤などの公知の各種添加剤を添加することもできる。
インク受理層の乾燥後の塗層厚みは1〜100μmの範囲であることが好ましく、特に25〜60μmの範囲が好ましく、更に30〜60μの範囲が好ましい。無機微粒子の塗工量としては、10〜50g/m2の範囲が好ましく、特に15〜40g/m2の範囲が好ましい。
次に、本発明の製造方法について説明する。
本発明の製造方法は、耐水性支持体上に、少なくとも平均一次粒子径が3nm〜40nmの微粒子と結着剤を含有するインク受理層の塗布液を塗布し、塗布されたインク受理層が湿潤状態の間に凝固液を用いて凝固処理した後、非接触の乾燥手段で乾燥することを特徴とするインクジェット記録材料の製造方法である。
本発明の製造方法は、耐水性支持体上に、少なくとも平均一次粒子径が3nm〜40nmの微粒子と結着剤を含有するインク受理層の塗布液を塗布し、塗布されたインク受理層が湿潤状態の間に凝固液を用いて凝固処理した後、非接触の乾燥手段で乾燥することを特徴とするインクジェット記録材料の製造方法である。
インク受理層の構成は前述したとおりであるが、インク受理層の塗布液は水系である。即ち、塗布液の溶媒としては水を主体とするものであり、粘度調整等のために全溶媒の20質量%以下の有機溶媒を用いても良い。塗布液中の固形分濃度は、5〜30質量%の範囲に調整するのが好ましい。
インク受理層塗布液の塗布方法は特に制限されず、任意の方法が用いられ、例えばスライドリップ方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、エアナイフ方式、ロールコーティング方式、ロッドバーコーティング方式等がある。また、塗布時インク受理層塗布液の粘性を調整する目的で該インク受理層塗布液を加温しても良い。
インク受理層の塗布液を耐水性支持体に塗布した後、該インク受理層が湿潤状態の間に凝固処理する。塗布してから凝固処理を開始するまでの数十秒〜数分の間が好ましい。該塗布と該凝固処理の間であまり時間が空いてしまうと該インク受理層塗布液の乾燥が開始してしまい、本発明の効果が低いものとなってしまう。
凝固処理後の乾燥条件も特に制限されないが、生産効率の面から、乾燥過程における最高温度が60℃以上であるのが好ましく、特に70℃以上であるのが好ましい。但し、樹脂被覆紙を構成する樹脂が軟化したり溶融することがない温度に設定することが好ましい。乾燥手段としては、非接触型の乾燥手段が用いられ、前述したようにキャスト処理法は用いることができない。非接触型の乾燥手段としては、熱風乾燥、赤外線照射等がある。
凝固処理は、インク受理層が湿潤状態にある間に凝固液を満たした凝固浴中を通過させるか、あるいは塗布面上方より凝固液を噴霧(スプレー)して、該インク受理層を凝固する処理である。この際、過剰な凝固液はスクイズロール、エアナイフ等の手段で除去してもよい。
本発明において、凝固液とは凝固剤を含有するの水溶液をいう。該凝固剤として、例えば、蟻酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、塩酸、硝酸、リン酸、リンゴ酸、アクリル酸等のカルシウム、亜鉛、バリウム、鉛、マグネシウム、カドミウム、アルミニウム等との各種金属塩やアンモニウム塩等から選ばれる少なくとも1種以上が用いられるが、塗布層中の結着剤や無機微粒子を効果的に凝固させるとの観点から、多価金属の水溶性塩が好ましく、特に蟻酸カルシウムが好ましく用いられる。該凝固液の濃度としては、1〜25質量%が好ましい。
本発明においては、凝固液中に更にホウ酸を加えることが好ましい。ホウ酸を加えることにより作製されたインクジェット記録材料のインクジェット適性、特に画像濃度が高くなる。ホウ酸の代わりとして、ホウ酸塩、ホウ砂を使用することもできる。ホウ酸の凝固液中の濃度は0.5〜4質量%が好ましい。
以下に、本発明の実施例をあげて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また、実施例、及び比較例において「部」及び「%」は、特に明示しない限り質量部及び質量%を示す。なお、配合において示す部数は実質成分(固形分)の数量である。
<アルミナ水和物の合成>
イオン交換水1200g、イソプロピルアルコール900gを3Lの反応器に仕込み、75℃に加熱した。アルミニウムイソプロポキシド408gを加え、75gで24時間、続き95℃で10時間加水分解を行った。加水分解後、硝酸24g加えて95℃で48時間攪拌した。次に、固形分濃度が15質量%になるように濃縮し、白色の超微粒子状アルミナ水和物の分散液を得た。このゾルを室温で乾燥させ、X線回折を測定したところ、擬ベーマイト構造を示した。また、透過型電子顕微鏡で平均粒子径を測定したところ、30nmであり、アスペクト比6.0の平板状の超微粒子状アルミナ水和物であった。また、窒素吸着脱離方法によって平均細孔半径、細孔容積およびBET比表面積を測定したところ、それぞれ7.1nm、0.65ml/gそして200m2/gであった。
イオン交換水1200g、イソプロピルアルコール900gを3Lの反応器に仕込み、75℃に加熱した。アルミニウムイソプロポキシド408gを加え、75gで24時間、続き95℃で10時間加水分解を行った。加水分解後、硝酸24g加えて95℃で48時間攪拌した。次に、固形分濃度が15質量%になるように濃縮し、白色の超微粒子状アルミナ水和物の分散液を得た。このゾルを室温で乾燥させ、X線回折を測定したところ、擬ベーマイト構造を示した。また、透過型電子顕微鏡で平均粒子径を測定したところ、30nmであり、アスペクト比6.0の平板状の超微粒子状アルミナ水和物であった。また、窒素吸着脱離方法によって平均細孔半径、細孔容積およびBET比表面積を測定したところ、それぞれ7.1nm、0.65ml/gそして200m2/gであった。
<インク受理層塗布液>
水に下記配合を加えてなるインク受理層塗布液(固形分濃度17%)を作製した。
水に下記配合を加えてなるインク受理層塗布液(固形分濃度17%)を作製した。
アルミナ水和物 100部
ポリビニルアルコール 20部
(商品名:PVA205、(株)クラレ製、けん化度88.0%、平均重合度500)
ホウ酸 0.2部
支持体として、LBKP(50部)とLBSP(50部)のパルプ配合からなる120g/m2の基紙の表面に低密度ポリエチレン(70部)と高密度ポリエチレン(20部)と酸化チタン(10部)からなる樹脂組成物を25g/m2塗布し、裏面に高密度ポリエチレン(50部)と低密度ポリエチレン(50部)からなる樹脂組成物を25g/m2塗布してなる樹脂被覆紙を用意した。
ポリビニルアルコール 20部
(商品名:PVA205、(株)クラレ製、けん化度88.0%、平均重合度500)
ホウ酸 0.2部
支持体として、LBKP(50部)とLBSP(50部)のパルプ配合からなる120g/m2の基紙の表面に低密度ポリエチレン(70部)と高密度ポリエチレン(20部)と酸化チタン(10部)からなる樹脂組成物を25g/m2塗布し、裏面に高密度ポリエチレン(50部)と低密度ポリエチレン(50部)からなる樹脂組成物を25g/m2塗布してなる樹脂被覆紙を用意した。
該支持体の表面に該インク受理層塗布液をドクターブレードで乾燥後の膜の厚みが40μmとなるように塗布し、1分後に凝固浴(蟻酸カルシウム1%水溶液)を通して凝固処理をした後、100℃で5分間乾燥して本発明のインクジェット記録材料を得た。
ポリビニルアルコールを平均重合度が1000、けん化度88.0%のもの(商品名:PVA210、(株)クラレ製、けん化度88.0%、平均重合度1000)に変更した以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録材料を得た。
下記配合にてインク受理層塗布液を作製した以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録材料を得た。
<インク受理層塗布液>
アルミナ水和物 100部
ポリビニルアルコール 20部
(商品名:PVA110、(株)クラレ製、けん化度98.5%、平均重合度1000)
<インク受理層塗布液>
アルミナ水和物 100部
ポリビニルアルコール 20部
(商品名:PVA110、(株)クラレ製、けん化度98.5%、平均重合度1000)
ポリビニルアルコールを平均重合度が3500のもの(商品名:PVA235、(株)クラレ製、けん化度88.0%、平均重合度3500)に変更した以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録材料を得た。
下記配合にてインク受理層塗布液を作製した以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録材料を得た。
<インク受理層塗布液>
アルミナ水和物 100部
シラノール変性ポリビニルアルコール 20部
(商品名:R2105、(株)クラレ製、けん化度98.5%、平均重合度500)
<インク受理層塗布液>
アルミナ水和物 100部
シラノール変性ポリビニルアルコール 20部
(商品名:R2105、(株)クラレ製、けん化度98.5%、平均重合度500)
ポリビニルアルコールを平均重合度が1700、けん化度98.5%のシラノール変性ポリビニルアルコール(商品名:R1130、(株)クラレ製、けん化度98.5%、平均重合度1700)に変更した以外は実施例5と同様にして本発明のインクジェット記録材料を得た。
凝固液中にホウ酸を濃度が0.5%となるように加えた以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録材料を得た。
凝固液中にホウ酸を濃度が0.5%となるように加えた以外は実施例3と同様にして本発明のインクジェット記録材料を得た。
凝固液中にホウ酸を濃度が0.5%となるように加えた以外は実施例5と同様にして本発明のインクジェット記録材料を得た。
アルミナ水和物を気相法シリカ(日本アエロジル(株)、アエロジル380、一次粒子径7nm)に変更した以外は実施例9と同様にして本発明のインクジェット記録材料を得た。
アルミナ水和物をコロイダルシリカ(日産化学工業(株)、スノーテックスOL40、一次粒子径40nm)に変更した以外は実施例9と同様にして本発明のインクジェット記録材料を得た。
ポリビニルアルコールをカゼインに変更した以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録材料を得た。
ポリビニルアルコールをカゼインに変更し、かつアルミナ水和物を気相法シリカ(日本アエロジル(株)、アエロジル380、一次粒子径7nm)に変更した以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録材料を得た。
凝固浴を通して凝固処理する代わりに、塗布面上に凝固液を噴霧する以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録材料を得た。
(比較例1)
実施例1において、インク受理層塗布液を塗布後、凝固処理せず、すぐに100℃で5分間乾燥してインクジェット記録材料を得た。
実施例1において、インク受理層塗布液を塗布後、凝固処理せず、すぐに100℃で5分間乾燥してインクジェット記録材料を得た。
(比較例2)
実施例2において、インク受理層塗布液を塗布後、凝固処理せず、すぐに100℃で5分間乾燥してインクジェット記録材料を得た。
実施例2において、インク受理層塗布液を塗布後、凝固処理せず、すぐに100℃で5分間乾燥してインクジェット記録材料を得た。
(比較例3)
実施例5において、インク受理層塗布液を塗布後、凝固処理せず、すぐに100℃で5分間乾燥してインクジェット記録材料を得た。
実施例5において、インク受理層塗布液を塗布後、凝固処理せず、すぐに100℃で5分間乾燥してインクジェット記録材料を得た。
(比較例4)
実施例1において、凝固処理後、直ちに表面温度110℃に加熱された鏡面ロールにプレス線圧980N/cmで圧接、乾燥してインクジェット記録材料を得た。ただし、圧接、乾燥中に該インク受理層表面で多数のパンクが発生した。
実施例1において、凝固処理後、直ちに表面温度110℃に加熱された鏡面ロールにプレス線圧980N/cmで圧接、乾燥してインクジェット記録材料を得た。ただし、圧接、乾燥中に該インク受理層表面で多数のパンクが発生した。
(比較例5)
実施例10において、インク受理層塗布液を塗布後、凝固処理せず、すぐに100℃で5分間乾燥してインクジェット記録材料を得た。
実施例10において、インク受理層塗布液を塗布後、凝固処理せず、すぐに100℃で5分間乾燥してインクジェット記録材料を得た。
〈試験方法〉
1)表面光沢
実施例及び比較例で作製したインクジェット記録材料の表面光沢度をJIS Z8741・P8142に準拠し、村上色彩技術研究所製デジタル光沢計GM−26D型を用いて入反射角度が75度でそれぞれ測定した。
1)表面光沢
実施例及び比較例で作製したインクジェット記録材料の表面光沢度をJIS Z8741・P8142に準拠し、村上色彩技術研究所製デジタル光沢計GM−26D型を用いて入反射角度が75度でそれぞれ測定した。
2)印字濃度
実施例及び比較例で作製したインクジェット記録材料をA4判に断裁した後、インクジェットプリンター(エプソン製 PM950C PM写真用紙モード、推奨設定)でブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色100%のベタ印字を行い、マクベスRD919で印字部の濃度を測定した。値は大きい方が印字濃度が高く印字性が良好であることを示す。
実施例及び比較例で作製したインクジェット記録材料をA4判に断裁した後、インクジェットプリンター(エプソン製 PM950C PM写真用紙モード、推奨設定)でブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色100%のベタ印字を行い、マクベスRD919で印字部の濃度を測定した。値は大きい方が印字濃度が高く印字性が良好であることを示す。
3)ひび割れ具合
実施例及び比較例で作製したインクジェット記録シートのインク受理層面を目視で観察して、ひび割れの発生具合を観察した。インク受理層表面にひび割れが全く観察されないものをひび割れ具合が優、細かなひび割れが僅かに観察されるものをひび割れ具合が並、多数の細かなひび割れや大きなインク受理層の裂けが観察されるものはひび割れ具合が劣と判定した。
実施例及び比較例で作製したインクジェット記録シートのインク受理層面を目視で観察して、ひび割れの発生具合を観察した。インク受理層表面にひび割れが全く観察されないものをひび割れ具合が優、細かなひび割れが僅かに観察されるものをひび割れ具合が並、多数の細かなひび割れや大きなインク受理層の裂けが観察されるものはひび割れ具合が劣と判定した。
4)水性染料インク吸収性
水性染料インク吸収性の評価は、インクジェットプリンタ(セイコーエプソン(株) PM950C 水性染料インク使用)を使い、実施例および比較例で作製したインクジェット記録シートにシアンインク、マゼンタインク、イエローインクで重色の矩形パターンを印字した。重ねるインク量が各色全て100%の時を300%とし、全て90%の時を270%とし、以下同様に240%、210%、180%、150%の矩形パターンを作成して印字した。この印字パターンを印字直後、印字部にPPC用紙を貼り付け、PPC用紙へのインクの転写を評価した。
◎:300%の印字部において転写されない。
○:270%未満の印字部では転写されない。
△:210%未満の印字部では転写されない。
×:180%未満の印字部では転写されない。
良好なインク吸収性を示すのは、◎であり、実用上問題ないレベルは○である。
水性染料インク吸収性の評価は、インクジェットプリンタ(セイコーエプソン(株) PM950C 水性染料インク使用)を使い、実施例および比較例で作製したインクジェット記録シートにシアンインク、マゼンタインク、イエローインクで重色の矩形パターンを印字した。重ねるインク量が各色全て100%の時を300%とし、全て90%の時を270%とし、以下同様に240%、210%、180%、150%の矩形パターンを作成して印字した。この印字パターンを印字直後、印字部にPPC用紙を貼り付け、PPC用紙へのインクの転写を評価した。
◎:300%の印字部において転写されない。
○:270%未満の印字部では転写されない。
△:210%未満の印字部では転写されない。
×:180%未満の印字部では転写されない。
良好なインク吸収性を示すのは、◎であり、実用上問題ないレベルは○である。
5)写像性
写像性は、JIS H 8686に準拠し、光学的装置の光学くしを通して得られた光量の波形から写像性を像鮮明度として求める方法である。光学くしは暗部明部の比が1:1で、その幅は0.125、0.5、1.0および2.0mmの各種のものがある。測定は、光学くしを移動させ、記録紙上の最高波形(M)、および最低波形(m)を読み取り、次式により像鮮明度を求める。
写像性は、JIS H 8686に準拠し、光学的装置の光学くしを通して得られた光量の波形から写像性を像鮮明度として求める方法である。光学くしは暗部明部の比が1:1で、その幅は0.125、0.5、1.0および2.0mmの各種のものがある。測定は、光学くしを移動させ、記録紙上の最高波形(M)、および最低波形(m)を読み取り、次式により像鮮明度を求める。
C=(M−m)/(M+m)×100
ここで、C:像鮮明度(%)、M:最高波形、m:最低波形である。
ここで、C:像鮮明度(%)、M:最高波形、m:最低波形である。
像鮮明度Cは、値が大きければ写像性が良く、小さければ「ボケ」又は「歪み」をもっていることを示す指標である。この画像の「ボケ」または「歪み」が少なければ、光沢計での光沢値が同じ場合であっても、目視による光沢感が向上することが分かっている。光学的装置には、スガ試験機製ICM−1DPを用いて反射角度45度で測定した。
表1、2より明らかなように本発明のインクジェット記録材料は、ひび割れがなく、高い光沢性を有し、高いインク吸収性及び高い印字濃度を実現し、更に写像性に優れている。
Claims (9)
- 耐水性支持体上に、少なくとも平均一次粒子径が3nm〜40nmの微粒子と結着剤を含有するインク受理層を設けたインクジェット記録材料において、該インク受理層が湿潤状態の間に凝固液によって凝固処理され、乾燥されて形成されたものであることを特徴とするインクジェット記録材料。
- 該結着剤がポリビニルアルコールまたはカゼインである請求項1に記載のインクジェット記録材料。
- 該ポリビニルアルコールが、重合度1000以上である請求項2に記載のインクジェット記録材料。
- 該ポリビニルアルコールが、シラノール変性ポリビニルアルコールである請求項2または3に記載のインクジェット記録材料。
- 該凝固液が、水溶性の多価金属塩を含有する請求項1〜4のいずれか1項記載のインクジェット記録材料。
- 該凝固液が、更に硼酸を含有する請求項5に記載のインクジェット記録材料。
- 該微粒子が、平均二次粒子径が400nm以下の、気相法シリカ、湿式法シリカ及びアルミナ水和物の中の少なくとも一種である請求項1に記載のインクジェット記録材料。
- 該耐水性支持体が、紙の片面あるいは両面に樹脂被覆層を設けた樹脂被覆紙である請求項1に記載のインクジェット記録材料。
- 耐水性支持体上に、少なくとも平均一次粒子径が3nm〜40nmの微粒子と結着剤を含有するインク受理層の塗布液を塗布し、湿潤状態の間に凝固液を用いて凝固処理した後、非接触の乾燥手段で乾燥することを特徴とするインクジェット記録材料の製造方法。
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