JP2004249631A - インクジェット記録装置 - Google Patents
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Abstract
【目的】複数の吐出口列のインク吐出量が異なる場合でも、インク吐出性能が回復するまでに要する吸引時間の増加を防ぎながら、全吐出口列を均等にかつ十分に回復させることができ、回復処理におけるインク消費量の節減を可能にする。
【構成】キャップのインク排出口51、52の大きさ又は数、吸引ポンプ70に接続するチューブ61、62の内径又は長さ、キャップの各領域に配置されるインク吸収材の密度などを異ならせることにより、複数の吐出口列1、2のそれぞれに対応する領域に発生する負圧の大きさを調整することで、各吐出口列のインク吐出性能が回復するまでに要する吸引時間の均等化を図る。
【選択図】 図4
【構成】キャップのインク排出口51、52の大きさ又は数、吸引ポンプ70に接続するチューブ61、62の内径又は長さ、キャップの各領域に配置されるインク吸収材の密度などを異ならせることにより、複数の吐出口列1、2のそれぞれに対応する領域に発生する負圧の大きさを調整することで、各吐出口列のインク吐出性能が回復するまでに要する吸引時間の均等化を図る。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録手段から被記録材へインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置に関し、詳しくは、記録手段に設けられた複数の吐出口列を覆うためのキャップと該キャップに接続された負圧発生源とを有する吸引回復機構を備えたインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリンタ、複写機、ファクシミリなどの機能を有する記録装置、あるいはコンピュータやワードプロセッサなどを含む電子機器の出力機器として用いられる記録装置は、画像情報に基づいて用紙やプラスチックシート材等の被記録材(記録媒体)に画像を記録するように構成されている。このような記録装置における一つの記録方式として、記録手段から被記録材へインクを吐出して記録を行うインクジェット記録方式が採用されており、そのためのインクジェット記録装置が普及している。
【0003】
上記インクジェット記録装置は、記録手段としての記録ヘッドに形成された吐出口から吐出される微小なインク液滴を記録用紙等の被記録材に付着させることで記録物(印刷物等)を得るものであり、電子写真方式等の他の記録方式に比べて装置が安価であり、小型化が容易であり、高速で高画質の記録を行うことが可能であり、普通紙への事務文書の記録からプラスチック等の特殊シート、さらには糸や布等から成る被記録材への写真画像等の記録まで幅広い記録物を手軽に得ることができることから、広く普及している。さらに、小型化に有利な点を生かして携帯型のインクジェット記録装置も提案されている。
また、インクジェット記録装置においては、異なるインクを貯留している複数のインクタンクのそれぞれと流路で連結された複数の吐出口列(複数の吐出口を配列して構成された吐出口群)を有する記録手段とを用いることにより、記録の多色化や高速化を実現している。
【0004】
このようなインクジェット記録装置においては、記録情報に基づいて記録ヘッド(記録手段)の吐出口に通じる流路に設けられた吐出エネルギー発生手段を駆動することで該流路中のインクに吐出エネルギーを付与し、吐出口からインク滴を吐出することにより被記録材上に記録がなされる。その際、インク吐出に伴って発生する微小気泡が前記液路内に滞留したり、あるいは、インク供給系やその接続部等を介して混入する気泡が記録ヘッドの長期放置によって大気泡に成長し、この大気泡がインク供給系内等に滞留する場合がある。これらの滞留気泡は、記録ヘッドのインク吐出に悪影響を与え、インクの吐出方向の偏向や吐出不良等の吐出状態の乱れに起因する記録画像の画質低下の原因になることがある。
【0005】
また、記録が行われない状態で放置されると、吐出口からインク中の水分が蒸発してインクの粘度が増加したり、インク中の染料濃度が増大することがあり、その結果、吐出口内のインクの増粘や固着による不吐出や記録濃度の変化(乱れ)を招くことになる。また、空気中に滞留しているゴミや被記録材の紙粉等が記録ヘッドの吐出口近傍に付着したり吐出口内に進入することによっても、同様のインク吐出不良を招くことがある。
【0006】
このようなインクの吐出不良を防止する手段として、記録手段としての記録ヘッドの吐出口面に当接可能なキャップを配設し、該キャップで吐出口を覆うことによりインクの蒸発を低減したり、該キャップに接続された吸引ポンプ等の負圧発生源を作動させることにより吐出口からインクと共に気泡やゴミ等を吸引除去する回復処理が行われている。さらには、ワイパーブレード等の掃拭手段によって吐出口面に付着したインクやゴミ等を除去するワイピングによる回復処理を行うこともある。このような回復処理は、一般的に、記録手段の移動範囲内であって記録領域外に配設された吐出回復装置によって行われる。
【0007】
また、カラー画像を記録するインクジェット記録装置においては、例えばイエロー、シアン、マゼンタ等の複数色のインクを吐出する複数の記録ヘッドを設け、各々の記録ヘッドごとにキャップで吐出口を覆うキャッピング手段と該キャッピング手段を介して吐出口からインクを吸引する吸引ポンプ等の負圧発生手段とを配設することにより、吐出口におけるインクの増粘や固着によって発生する目詰まりを防止したり、このような目詰まりを解消して吐出性能を回復させることが行われている。
【0008】
図17はインクジェット記録装置における複数(2つ)の吐出口列を有する記録手段と該記録手段のインク吐出性能を維持回復するための吸引回復機構とを例示する模式的斜視図である。図17において、210はインクタンク一体型のインクジェット記録ヘッド(記録手段)であり、211、212は異なるインク(例えば色が異なるインク)を貯留している複数(2つ)のインクタンクであり、201、202は各インクタンク211、212に連通された複数の吐出口列である。各インクタンク211、212と記録ヘッド210の各吐出口列201、202とはフィルタを有する流路を介して連通されている。図示の構成では、前記記録ヘッド210は、記録用紙等の被記録材に沿って往復移動(主走査)可能なキャリッジ502上に搭載されている。
【0009】
例えば、記録動作中のインク吐出回数(インク吐出量)が少なかった吐出口列では、吐出口内のインクが乾燥などにより固着し、吐出不良に起因する記録不良が発生する場合がある。このような記録ヘッド210の吐出不良を解消するために、吐出口内のインクを強制的に吸引排出することにより該吐出口内のインクをリフレッシュしてインク吐出性能を回復させる吸引回復機構が設けられている。この吸引回復機構は、記録ヘッド210の吐出口列201、202を覆うためのキャップ301と、該キャップ301にチューブ等を介して接続された吸引ポンプ等から成る負圧発生源302と、吐出口列201、202から排出されたインクを回収するために該負圧発生源302に接続された廃インクタンク303と、で構成されている。これらの吸引回復機構の構成要素は互いに連通している。
【0010】
前記キャップ301は、記録手段としての記録ヘッド210の吐出口面に形成された全ての吐出口(全ての吐出口列)201、202の領域を覆って密閉可能な形状寸法を有している。記録ヘッド210におけるインク吐出不良(記録不良)が発生した場合は、該記録ヘッドをキャリッジ502とともに所定の吸引位置(通常記録領域を外れた位置)に移動させ、キャップ301を移動(上昇)させて記録ヘッド210の吐出口面に密着させて各吐出口列201、202を覆ってキャッピングし、このキャッピング状態で負圧発生源としての前記吸引ポンプ302を作動させることで吐出口列201、202に負圧を作用させ、それによって全ての吐出口内のインクを吸引して排出させる。その際、各インクタンク211、212から各吐出口列201、202までのインク流路の該インクタンク側の境界部位にはインク中の塵埃等を除去するためのフィルタが設けられており、上記吸引による回復処理時には、例えば、前記吐出口から前記フィルタまでのインクが吸引される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の記録ヘッドにおいて複数の吐出口列を設ける場合、各吐出口列とも同じ径の吐出口を配列して構成されるものが多かったが、近年では、吐出口列ごとに吐出口の径を異ならせることにより、記録画像に階調性を持たせたり、記録画像の粒状感を低減したりすることで、記録の高画質化や高速化を図ることが可能となっている。
【0012】
このような異なる径の吐出口で構成される複数の吐出口列を有する記録ヘッドの場合、一般的に、各吐出口列ごとに(又は異なる径の吐出口ごとに)インク流路における流動抵抗(流れ抵抗)が異なることになる。従って、このような記録ヘッドに対して前述のような吸引回復処理を行うと、流動抵抗の高い吐出口列では、流動抵抗の低い吐出口列よりも吸引力が弱くなり、そのため、流動抵抗の高い吐出口列を完全に回復させるまでの吸引時間が流動抵抗の低い吐出口列を完全に回復させるまでの吸引時間より長くなったり、また、流動抵抗の高い吐出口列に通じる流路内にリフレッシュされないインクが残留するなどの不都合が生じることがある。さらに、全ての吐出口列のインク吐出性能を回復させるためには、流動抵抗の高い吐出口列に合わせた長い時間にわたって吸引する必要があり、そのため、流動抵抗の低い吐出口列では、必要以上の無駄なインクを吸引しなければならず、インクの消費量が増大したり、過剰な吸引によって吐出口内に気泡が生じて記録不良になるなどの不都合が発生することがある。
【0013】
本発明はこのような技術的課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、インク吐出量が異なる複数の吐出口列を有する記録手段を使用する場合でも、各吐出口列のインク吐出性能が回復するまでに要する吸引時間の増加を防ぎながら、全吐出口列を均等にかつ十分に回復させることができ、回復処理におけるインク消費量を節減することができる吸引回復機構を備えたインクジェット記録装置を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明(請求項1に係る発明)は、上記目的を達成するため、記録手段に設けられた複数の吐出口列を覆うためのキャップと該キャップに接続された負圧発生源とを有する吸引回復機構を備えたインクジェット記録装置において、前記キャップの各吐出口列に対応する領域で発生する負圧を異ならせることにより、各吐出口列のインク吐出性能が回復するまでに要する吸引時間の差が減少するように各吐出口列におけるインク吸引量を調整することを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を具体的に説明する。なお、各図面を通して同一符号は同一又は対応部分を示すものである。
図1は本発明を適用するのに好適なインクジェット記録装置の一実施例500の概略構成を一部破断して示す模式的斜視図である。図1において、Pは被記録材としてのシート材を示し、記録用紙等のシート材Pは不図示の給紙装置(給送装置)によって記録装置内部の所定位置まで給送され、さらに搬送ローラ515及び従動ローラ516によって記録領域を通して紙送り(搬送)される。一方、この記録領域には、シート材Pに沿って往復移動するキャリッジ502が設けられ、該キャリッジ502上に記録手段としての記録ヘッド10が搭載されている。本実施例における記録ヘッド10は、インクタンク11、12を一体化したインクジェットカートリッジで構成されている。
【0016】
前記キャリッジ502は、装置本体に設置されたガイドシャフト511に沿って往復移動可能に案内支持されており、不図示のキャリッジ駆動モータの駆動によりタイミングベルト552を介して両矢印A方向に往復移動(主走査)させられる。このキャリッジ502の主走査移動に同期して記録ヘッド10を記録情報に基づいて駆動することにより、該記録ヘッド10からシート材Pにインクを吐出して記録が行われる。そして、1ライン分の記録が終了するとシート材Pを所定ピッチだけ紙送りし、次のラインの記録を行う。このようなライン記録とピッチ送りを繰り返すことによりシート材P全体の記録が行われる。記録が行われたシート材Pは搬送ローラ517及び従動ローラ518によって排出部へと送り出される。
【0017】
図1のインクジェット記録装置500のキャリッジ502の移動範囲内であって記録領域を外れた所定位置(例えば記録ヘッド10のホームポジション又はその近傍)には、記録ヘッド10のインク吐出性能を回復(維持回復)させるための回復処理を行う吐出回復装置30が配設されている。この吐出回復装置30による記録手段の回復処理は、記録していない待機中に実行されたり、記録動作の前後や記録動作中の任意のタイミングで実行されたりする。
なお、前記吐出回復装置30には、記録ヘッド10の吐出口面にキャップ40を当接させて吐出口を覆うキャッピング機構と、該キャップに接続された吸引ポンプ70等の負圧発生源と、記録ヘッド10の吐出口面をワイパーブレード等により拭き取り清掃するワイピング機構と、が設けられている。
【0018】
図2は図1中のキャリッジ502に搭載された記録ヘッド10を吐出口面側(下側)の斜め方向から見て示す模式的斜視図であり、図3は図2中の記録ヘッド10の吐出口面に設けられた吐出口列を示す模式的底面図である。図2及び図3において、記録手段としての記録ヘッド10には、キャリッジ502に装着された状態で記録用紙等の被記録材Pと対向する部位に吐出口面20が形成され、該吐出口面20には複数(図示の例では2列)の吐出口列1、2が設けられている。また、キャリッジ502の上部には、記録ヘッド10の各吐出口列1、2の吐出口(又はその液路を形成するノズル)にインクを供給するためのインクタンク11、12が装着されている。
【0019】
本実施例では、各インクタンク11、12は記録ヘッド10と一体に構成されており、各吐出口列1、2に対応する種類(色等)のインクを供給するように接続されている。その場合、例えば、吐出口列1がインクタンク11と連通するとともに吐出口列2がインクタンク12と連通する構成、あるいは1つの吐出口列がインクタンク11に連通した吐出口とインクタンク12に連通した吐出口を有するような構成など、種々の連通構造を採ることができる。
前記記録手段(記録ヘッド)10は、熱エネルギーを利用してインクを吐出するインクジェット記録手段であって、熱エネルギーを発生するための電気熱変換体を備えたものである。また、前記記録ヘッド10は前記電気熱変換体によって印加される熱エネルギーにより生じる膜沸騰により気泡の成長、収縮により生じる圧力変化を利用して、吐出口よりインクを吐出させることで記録を行うものである。
【0020】
図16は、記録手段としての記録ヘッド10(110)のインク吐出部の構造を模式的に示す部分斜視図である。図16において、記録用紙等の被記録材(シート材)Pと所定の隙間(例えば、約0.2〜約2.0ミリ程度) をおいて対面する吐出口面20(120)には、所定のピッチで複数の吐出口82から成る吐出口列が形成され、共通液室83と各吐出口82とを連通する各液路84の壁面に沿ってインク吐出用のエネルギーを発生するための電気熱変換体(発熱抵抗体など)85が配設されている。記録ヘッド10(110)は、前記複数の吐出口82が主走査方向(記録ヘッドの移動方向)と交叉する方向に並ぶような位置関係で、キャリッジ502に搭載されている。こうして、画像信号または吐出信号に基づいて対応する電気熱変換体85を駆動(通電)して、液路84内のインクを膜沸騰させ、その時に発生する圧力によって吐出口82からインクを吐出させる記録ヘッド(記録手段)10(110)が構成されている。
【0021】
すなわち、前記吐出口列1、2を構成する各吐出口82に通じる液路(インク流路)にはヒータ等の電気熱変換体85が配置され、記録情報に基づいて各吐出口82の電気熱変換体85を選択的に駆動(電圧印加)する該吐出口からインク滴を吐出して記録するように構成されている。
その際、例えば、吐出口列1におけるインク吐出量が2plとなり、吐出口列2におけるインク吐出量が4plとなるように、各吐出口列1、2を構成する吐出口の径(大きさ)は異なる値(大きさ)に設定されている。そのため、吐出口列1と吐出口列2とでは、インクタンク11、12との間のインク流路の流れ抵抗が異なるように構成されている。本実施例では、吐出口列1の流路抵抗の方が吐出口列2の流路抵抗よりも大きいように構成されている。
【0022】
図4は本発明を適用したインクジェット記録装置の吸引回復機構の第1実施例を示す模式的斜視図である。図4において、前記吐出回復装置30に設けられた吸引回復機構は、記録ヘッド10に設けられた複数の吐出口列1、2を覆うためのキャップ40と該キャップに接続された負圧発生源としての吸引ポンプ70とを備えている。キャップ40はキャップホルダ45に取り付けられており、該キャップホルダ45を移動させることによりキャップ40を記録ヘッド10の吐出口面20に対して当接(キャッピング)、離間(アンキャッピング)するように構成されている。キャップ40は、吐出口面20に形成された吐出口列1、2の全ての吐出口を覆うことができる周壁部(周縁リブ)43を有するゴム状弾性体で形成されている。図示の例では、キャップ40の内部は、前記周壁部43と同じ高さを有する仕切り壁44によって、複数(2つ)の吐出口列1、2に対応する複数(2つ)の吸引室41、42に分割されている。
【0023】
各吸引室41、42には、インク排出口51、52が設けられている。図示の例では、吸引室41には比較的大きなインク排出口51が2箇所に形成され、吸引室42には比較的小さなインク排出口52が2箇所に形成されている。また、大径の排出口51には比較的大きな内径を有するチューブ61が接続され、小径の排出口52には比較的小さな内径を有するチューブ62が接続されている。各チューブ61、62は、チューブ結合部66で一本化された後で吸引ポンプ(負圧発生源)70に接続されている。前記キャップホルダ45は、前記キャップ40を保持するとともに、不図示の駆動機構によって記録ヘッド10の吐出口面20に対して当接、離間する方向に駆動される。このような構成により、吸引回復動作の際に吸引室41の方に吸引室42よりも大きな負圧を発生させることができる吸引回復機構(吐出回復装置30の)が構成されている。。
【0024】
次に、図4に示すような吸引回復機構のキャップ40を記録ヘッド10の吐出口面20に当接させて吸引回復処理を行うときの動作及び吐出回復特性について説明する。図4において、上下可動機構によりキャップホルダ45を上昇させてキャップ40を記録ヘッド10の吐出口面に適当な密着力で当接させたキャッピング状態にし、このキャッピング状態でポンプ70を作動させると吐出口面20とキャップ40との間に負圧が発生し、各吐出口列1、2の吐出口(又はその液路を形成するノズル)からインクが吸引される。このキャッピング状態では、その場合、前記吐出口列1は吸引室41によって密閉され、前記吐出口列2は吸引室42によって密閉される。
その場合、前述のように吐出口列1の流路抵抗は吐出口列2の流路抵抗よりも高いが、吸引室列1に連通するチューブ61の内径の方が吸引室2に連通するチューブ62の内径より大きいので、吐出口列1に対向する吸引室41に発生する負圧の方が吐出口列2に対向する吸引室42に発生する負圧より大きい負圧となる。
【0025】
従って、吐出口列1と吐出口列2とにおいて、吐出口の流路抵抗が異なる場合でも、インク吐出性能が回復するまでに要する吸引時間の差が減少するように(必要吸引時間がほぼ均等になるように)各吐出口列1、2におけるインク吸引量を調整することができる。その結果、全ての吐出口列1、2において、吐出口内(又はその液路を形成するノズル内)の増粘インクや気泡を吸引除去する吸引回復動作をほぼ均等に過不足なく行うことが可能になり、各吐出口列のインク吐出性能が回復するまでに要する吸引時間の増加を防ぎながら、全吐出口列を均等にかつ十分に回復させることができ、回復処理におけるインク消費量を節減することが可能になる。
【0026】
図5は図4の吸引回復機構のキャップ40の第1変更例を示す模式的斜視図である。図4の吸引回復機構では、キャップ40のほぼ中央に仕切り壁44を設けたが、図5のキャップ40では、仕切り壁44の位置を片側へずらすことにより吸引室41、42の体積が異なるように構成されている。図5に示すように吸引室41、42の体積を異ならせる(図示の例では吸引室41の体積を吸引室42の体積より小さくする)ことにより、吐出口列1の吐出口の流路抵抗が吐出口列2の吐出口の流路抵抗より大きい(異なる)場合でも、吸引室41に発生する負圧を吸引室42に発生する負圧より大きくすることができ、図4の構成の場合と同様に、吐出口列1と吐出口列2とにおいてインク吐出性能が回復するまでに要する吸引時間の差が減少するように各吐出口列1、2におけるインク吸引量を調整することができ、吐出口内の増粘インクや気泡を吸引除去する吸引回復動作をほぼ均等に過不足なく行うことが可能になる。
【0027】
図6は図4の吸引回復機構のキャップ40の第2変更例を示す模式的斜視図である。図4及び図5に示すキャップ40では、2つの吸引室41、42を1つの周壁部43と仕切り壁44によって構成したが、図6のように2つの独立した周壁部43、43によって2つの吸引室41、42を形成しても良い。また、吸引室41の排出口51と吸引室42の排出口52の径を同じにし、これらの排出口に接続されるチューブ61、62の内径を異ならせることにより、吐出口列1と吐出口列2とにおけるインク吸引量を調整して吐出性能が回復するまでに要する吸引時間の差が減少するように構成しても良い。
【0028】
図7は本発明を適用したインクジェット記録装置の吸引回復機構の第2実施例を示す模式的斜視図である。図7の第2実施例では、吸引室41の排出口51の径と吸引室42の排出口52の径を同じにし、排出口の数を吸引室41と吸引室42とで異ならせ(図示の例では、吸引室41では2箇所、吸引室42では1箇所)、かつ各排出口51、52に接続されるチューブ61、62の内径を同じにするように構成されている。図7の第2実施例は、以上の点で図4の第1実施例と相違しているが、その他の点では実質的に同じ構成を有している。このような図7の構成によっても、各吐出口列1、2に対応する各吸引室41、42の負圧を変えることにより、各吐出口列の吐出口の流路抵抗が異なる場合でも、各吐出口列におけるインク吸引量を調整して吐出性能が回復するまでに要する吸引時間の差を減少させることができる。
【0029】
図8は本発明を適用したインクジェット記録装置の吸引回復機構の第3実施例を示す模式的斜視図である。図8の第3実施例では、吸引室41の排出口51の径と吸引室42の排出口52の径を同じにし、各排出口51、52に接続されるチューブ61、62はそれらの内径は同じであるがそれらの経路長さが異なる(吐出口列2に対応するチューブ62のポンプ70までの長さをチューブ61より長くする)ように構成されている。図8の第3実施例は、以上の点で図4の第1実施例と相違しているが、その他の点では実質的に同じ構成を有している。このような図8の構成によっても、各吐出口列1、2に対応する各吸引室41、42の負圧を変える(吸引室41の負圧を大きくする)ことにより、各吐出口列の吐出口の流路抵抗が異なる(吸引室41に対応する吐出口列1の流路抵抗が大きい)場合でも、各吐出口列におけるインク吸引量を調整して吐出性能が回復するまでに要する吸引時間の差を減少させることができる。
【0030】
図9は本発明を適用したインクジェット記録装置の吸引回復機構の第4実施例を示す模式的斜視図である。図9の第4実施例では、2つの吸引室41、42のそれぞれに独立したポンプ71、72を接続し、各ポンプ71、72の吸引力(発生負圧)を互いに異ならせるように構成されている。つまり、各ポンプ71、72の吸引力を異ならせて各吐出口列1、2に対応する各吸引室41、42の負圧を変える(吸引室41の負圧を大きくする)ことにより、各吐出口列の吐出口の流路抵抗が異なる(吸引室41に対応する吐出口列1の流路抵抗が大きい)場合でも、各吐出口列におけるインク吸引量を調整して吐出性能が回復するまでに要する吸引時間の差を減少させることができる。図9の構成では、構造的もしくは電気的等の手段により制御をかけることで、吐出口列1、2の様々なインク吐出量に自由に対応することが可能である。
【0031】
図10は本発明を適用したインクジェット記録装置の記録手段及びキャリッジの別の実施例を吐出口面側から斜めに見て示す模式的斜視図であり、図11は図10中の記録手段の吐出口列の配置を示す模式的底面図である。図10及び図11において、シート材Pに沿って移動するキャリッジ502には記録手段としての記録ヘッド110が搭載されており、該記録ヘッド110の記録用紙等の被記録材(シート材)Pと対向する部位に吐出口面120が形成され、該吐出口面120には複数列(3列)の吐出口列101、102、103が設けられている。また、キャリッジ502の上部には、記録ヘッド110の各吐出口列101、102、103の吐出口(又はその液路を形成するノズル)にインクを供給するための異種インク(異色インク等)のインクタンク111、112が装着されている。本実施例における記録ヘッド110は、インクタンク111、112を一体化したインクジェットカートリッジで構成されている。
【0032】
前記インクタンク111、112のインクは前記吐出口列101、102、103に種々の態様で連通させることができ、例えば、吐出口列101と102をインクタンク111に連通させ、吐出口列103をインクタンク112に連通させる構成、あるいは、1つの吐出口列にインクタンク111に連通された吐出口とインクタンク112に連通された吐出口が混在する構成など、種々の構成を採ることができる。なお、吐出口列101、102、103の吐出口のインク吐出方法及び構成は前述の各実施例の場合と実質的に同じである。
そして、図10及び図11に示す記録ヘッド110においては、吐出口列101及び103ではインク吐出量が2plとなり、吐出口列102ではインク吐出量が4plとなるように、各吐出口列の吐出口の大きさ(例えば直径)が選定されている。そのため、吐出口列101及び103の流路抵抗は吐出口列102の流路抵抗よりも大きく(高く)なっている。
【0033】
図12は、図10及び図11に示す記録手段を用いるインクジェット記録装置において本発明を適用したインクジェット記録装置の吸引回復機構の第5実施例を示す模式的斜視図である。図12において、記録ヘッド110の吐出口面120に対して接近、離反方向に移動可能なキャップホルダ145にはゴム状弾性体のキャップ140が取り付けられており、該キャップ140には前記吐出口列101、102、103の全てを覆った状態で吐出口面120に密着可能な周壁部143が形成され、該周壁部143の内部に吸引室141が形成されている。本実施例では、キャップ141内に吸引室を仕切るような仕切り壁(前述の実施例における仕切り壁44)は設けられていない。
【0034】
前記吸引室141内の前記吐出口列101、102、103に対向する位置またはその近傍位置にインク排出口151、152、153が設けられている。その場合、吐出口の流路抵抗が比較的大きい吐出口列101、103に対応するインク排出口151、153の大きさ(例えば直径)は、吐出口の流路抵抗が比較的小さい吐出口列102のインク排出口152より小さくなっている。また、これらのインク排出口に接続されたチューブに関しても、インク排出口151、153に接続されたチューブ161、163の内径はインク排出口152に接続されたチューブ162の内径よりも小さく選定され、それぞれのチューブが吸引ポンプ170に接続されている。キャップホルダ145は、前記キャップ140を保持し、不図示の駆動機構によって図示上下方向に移動可能になっている。
【0035】
図12の第5実施例に係る吸引回復機構によれば、前述のように吐出口列101、103の吐出口の流路抵抗が吐出口列2の吐出口の流路抵抗よりも高いが、インク排出口151、153に接続されたチューブ161、163の内径の方がインク排出口152に接続されたチューブ162の内径より大きいので、吐出口列101、103に対向する領域に発生する負圧を吐出口列102に対向する領域に発生する負圧より大きくすることができる。その結果、吐出口列101、103と吐出口列102とにおいて、吐出口内(又はその液路を形成するノズル内)の増粘インクや気泡を吸引除去する吸引回復動作をほぼ均等に過不足なく行うことが可能になる。
【0036】
つまり、吐出口列101、103と吐出口列102とにおいて、吐出口の流路抵抗が異なる場合でも、インク吐出性能が回復するまでに要する吸引時間の差が減少するように(必要吸引時間がほぼ均等になるように)各吐出口列101、102、103におけるインク吸引量を調整することができる。
その結果、各吐出口列のインク吐出性能が回復するまでに要する吸引時間の増加を防ぎながら、全吐出口列を均等にかつ十分に回復させることができ、回復処理におけるインク消費量を節減することが可能になる。
【0037】
図13は本発明を適用したインクジェット記録装置の吸引回復機構の第6実施例を示す模式的斜視図である。本実施例は、図12の第5実施例に係る吸引回復機構においてキャップ140の内部にインク吸収材181、182、183を配置したものである。すなわち、前記インク排出口151、152、153に対応する位置、従って吐出口列101、102、103に対応する位置のそれぞれにインク吸収材181、182、183が配置されている。そして、流路抵抗が大きい吐出口列101、103に対応するインク吸収材181、183の密度は、流路抵抗が小さい吐出口列102に対応するインク吸収材182の密度より比較的低く選定されている。つまり、インク吸収材182は、インク吸収材181、183よりも密度が高い素材を用いて作られている。図13の構成(第6実施例)は、以上の点で図12の構成(第5実施例)と相違しているが、その他の点では実質的に同じ構成を有している。
【0038】
図13の第6実施例によれば、吸収室141内において、吐出口の流路抵抗が大きい吐出口列101、103に対応する吸引領域(吸引エリア)191、193では、吐出口の流路抵抗が小さい吐出口列102に対応する吸引領域(吸引エリア)192よりも高い負圧を発生することができる。従って、図13の第6実施例によっても、吐出口列101、103と吐出口列102とにおいて、吐出口の流路抵抗が異なる場合でも、インク吐出性能が回復するまでに要する吸引時間の差が減少するように(必要吸引時間がほぼ均等になるように)各吐出口列101、102、103におけるインク吸引量を調整することができる。その結果、全ての吐出口列101、102、103において、吐出口内の増粘インクや気泡を吸引除去する吸引回復動作をほぼ均等に過不足なく行うことが可能になり、各吐出口列のインク吐出性能が回復するまでに要する吸引時間の増加を防ぎながら、全吐出口列を均等にかつ十分に回復させることができ、回復処理におけるインク消費量を節減することが可能になる。
【0039】
なお、図12及び図13に示すような実施例においては、前記インク吸収材181、182、183を用いない構成、あるいは、インク排出口151、152、153の径を同じにしてチューブ161、162、163の径を異ならせる構成などによって、各吐出口列に対応する領域の負圧を調整することにより同様の効果を達成することができる。また、インク排出口151、152、153を同じ径にしたり、チューブ161、162、163を同じ径にする場合でも、インク吸収材の密度を変えて各吸引エリア別に負圧を変化させることも可能であり、このような構成によっても同様の効果を達成することができる。さらに、一部のインク排出口(例えばインク排出口152)やチューブ(例えばチューブ162)を省略することによっても、同様の負圧調整機能を有する吸引回復機構を構成することができる。
【0040】
図14は図12の第5実施例及び図13の第6実施例に係る吸引回復機構のキャップの変更例を示す模式的斜視図である。図14において、インク排出口151、152、153の大きさ(例えば径)は全て同じであるが、各吐出口列に対応するキャップ内エリアにおけるインク排出口の数が異なるように構成されている。本実施例では、例えば、吐出口列101、103に対応する領域(エリア)のインク排出口151、153の数を多く(それぞれ2箇所)し、吐出口列102に対応する領域のインク排出口152の数を少なく(1箇所)するように構成されている。このように、キャップ140内の吸引エリア191、193の負圧を高くするとともに、吸引エリア192の負圧を他の吸引エリアよりも低くすることも可能であり、このような構成によっても、図12及び図13の各実施例の場合と同様の効果を得ることができる。
【0041】
また、図12〜図14の構成においても、前述の図8の第3実施例に習ってインク排出口から吸引ポンプまでの各経路(チューブ)の長さを変化させて各領域(各吸引エリア)の発生負圧を調整したり、前述の図9の第4実施例に習って複数の吸引ポンプを用いて各領域(各吸引エリア)の発生負圧を制御したりすることができ、このような構成によっても種々の吐出口列のインク吐出量に対応することができ、同様の効果を達成することができる。
さらに、図12及び図13の実施例では、記録ヘッド110の吐出口列101、103の吐出量が吐出口列102の吐出量より小さい場合を例に挙げて説明したが、これとは逆に吐出口列101、103の吐出量が吐出口列102より多い場合にも同様に実施することは当然のことであり、そのような場合には、インク排出口の大小、チューブの内径の大小、インク吸収材の密度の高低などを逆に変えることにより、吸引エリア192における発生負圧を吸引エリア191、193における発生負圧よりも大きくすることができ、それによって同様の効果を達成することができる。
【0042】
図15は記録手段の吐出口面における複数の吐出口列が1列に配置される場合を例示する説明図である。図15において、記録ヘッドの吐出口面には流路抵抗が小さい吐出口から成る吐出口列201と流路抵抗が大きい吐出口から成る吐出口列202の2つの吐出口列が1列に並べた状態で形成されている。このような構成の記録手段の場合にも、各吐出口列に対応するインク排出口の大きさ及び数、チューブの内径及び長さ、インク吸収材の密度などを異ならせることにより、各吐出口列ごとに発生負圧の大きさを調整することができ、それによって、各吐出口列のインク吐出性能が回復するまでに要する吸引時間の増加を防ぎながら、全吐出口列を均等にかつ十分に回復させることができ、回復処理におけるインク消費量を節減することができる吸引回復機構を備えたインクジェット記録装置を提供することができる。
【0043】
以上説明した実施例においては、以下に列挙するような本発明の実施態様が記載されている。
実施態様1:記録手段に設けられた複数の吐出口列を覆うためのキャップと該キャップに接続された負圧発生源とを有する吸引回復機構を備えたインクジェット記録装置において、前記キャップの各吐出口列に対応する領域で発生する負圧を異ならせることにより、各吐出口列のインク吐出性能が回復するまでに要する吸引時間の差が減少するように各吐出口列におけるインク吸引量を調整することを特徴とするインクジェット記録装置。
【0044】
上記実施態様1の構成によれば、インク吐出量が異なる複数の吐出口列を有する記録手段を使用する場合でも、各吐出口列のインク吐出性能が回復するまでに要する吸引時間の増加を防ぎながら、全吐出口列を均等にかつ十分に回復させることができ、回復処理におけるインク消費量を節減することができる吸引回復機構を備えたインクジェット記録装置が提供される。
【0045】
実施態様2:前記キャップの各吐出口列に対応する領域は壁で仕切られた吸引室で構成されていることを特徴とする実施態様1に記載のインクジェット記録装置。
実施態様3:前記キャップの各吐出口列に対応する領域は独立したキャップで構成されていることを特徴とする実施態様1に記載のインクジェット記録装置。
実施態様4:前記複数の吐出口列はインク吐出量が異なる吐出口列であることを特徴とする実施態様1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【0046】
実施態様5:前記キャップの各吐出口列に対応する領域のそれぞれにインク排出口が設けられ、各インク排出口から前記負圧発生源までの流路抵抗が異なることを特徴とする実施態様1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
実施態様6:前記キャップの各吐出口列に対応する領域のそれぞれに密度が異なるインク吸収材が配置されていることを特徴とする実施態様1〜5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
実施態様7:前記キャップの各吐出口列に対応する領域のそれぞれに独立した負圧発生源が接続されていることを特徴とする実施態様1〜6のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【0047】
なお、以上の実施例では、記録手段の吐出口面に設けられる複数の吐出口列が2列及び3列の場合を例に挙げて説明したが、当然のことながら、本発明は、この吐出口列の数が4列以上の場合にも同様に適用可能なものであり、同様の作用効果を奏するものであり、これらが本発明の範囲内に含まれることはもちろんのことである。
また、以上の実施例では、記録手段としての記録ヘッドを主走査方向に移動させながら記録するシリアル型のインクジェット記録装置を例に挙げて説明したが、本発明は、被記録材の全幅または一部をカバーする長さのラインタイプのインクジェットヘッドを用いて副走査(紙送り)のみで記録するライン方式のインクジェット記録装置の場合にも、同様に適用することができ、同様の効果を達成し得るものである。
【0048】
さらに、本発明は、記録ヘッドの数にも関わりなく自由に実施できるものであり、1個の記録ヘッドを用いるインクジェット記録装置の他、異なる色のインクを使用する複数の記録ヘッドを用いるカラー記録用のインクジェット記録装置、あるいは同一色彩で異なる濃度のインクを使用する複数の記録ヘッドを用いる階調記録用のインクジェット記録装置、さらには、これらを組み合わせたインクジェット記録装置の場合にも、同様に適用することができ、同様の効果を達成し得るものである。
【0049】
さらにまた、本発明は、記録ヘッドとインクタンクを一体化した交換可能なヘッドカートリッジを用いる構成、記録ヘッドとインクタンクを別体にし、その間をインク供給用のチューブ等で接続する構成など、記録ヘッドとインクタンクの配置構成がどのような場合にも同様に適用することができ、同様の効果が得られるものである。
なお、本発明は、熱エネルギーを利用してインクを吐出する方式のインクジェット記録ヘッドを使用するインクジェット記録装置の他、例えば、ピエゾ素子等の電気機械変換体等を用いしインクを吐出する方式のインクジェット記録ヘッドを使用するインクジェット記録装置など、他のインク吐出方式を用いるインクジェット記録装置に対しても同様に提供することができ、同様の作用、効果を達成できるものである。
【0050】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなごとく、本発明(請求項1)によれば、記録手段に設けられた複数の吐出口列を覆うためのキャップと該キャップに接続された負圧発生源とを有する吸引回復機構を備えたインクジェット記録装置において、前記キャップの各吐出口列に対応する領域で発生する負圧を異ならせることにより、各吐出口列のインク吐出性能が回復するまでに要する吸引時間の差が減少するように各吐出口列におけるインク吸引量を調整する構成としたので、
インク吐出量が異なる複数の吐出口列を有する記録手段を使用する場合でも、各吐出口列のインク吐出性能が回復するまでに要する吸引時間の増加を防ぎながら、全吐出口列を均等にかつ十分に回復させることができ、回復処理におけるインク消費量を節減することができる吸引回復機構を備えたインクジェット記録装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用するのに好適なインクジェット記録装置の一実施例の概略構成を一部破断して示す模式的斜視図である。
【図2】図1中のキャリッジに搭載された記録手段を吐出口面側(下側)の斜め方向から見て示す模式的斜視図である。
【図3】図2中の記録手段の吐出口面に設けられた吐出口列を示す模式的底面図である。
【図4】本発明を適用したインクジェット記録装置の吸引回復機構の第1実施例を示す模式的斜視図である。
【図5】図4の吸引回復機構のキャップの第1変更例を示す模式的斜視図である。
【図6】図4の吸引回復機構のキャップの第2変更例を示す模式的斜視図である。
【図7】本発明を適用したインクジェット記録装置の吸引回復機構の第2実施例を示す模式的斜視図である。
【図8】本発明を適用したインクジェット記録装置の吸引回復機構の第3実施例を示す模式的斜視図である。
【図9】本発明を適用したインクジェット記録装置の吸引回復機構の第4実施例を示す模式的斜視図である。
【図10】本発明を適用したインクジェット記録装置の記録手段及びキャリッジの別の実施例を吐出口面側から斜めに見て示す模式的斜視図である。
【図11】図10中の記録手段の吐出口列の配置を示す模式的底面図である。
【図12】図10及び図11に示す記録手段を用いるインクジェット記録装置において本発明を適用したインクジェット記録装置の吸引回復機構の第5実施例を示す模式的斜視図である。
【図13】本発明を適用したインクジェット記録装置の吸引回復機構の第6実施例を示す模式的斜視図である。
【図14】図12の第5実施例及び図13の第6実施例に係る吸引回復機構のキャップの変更例を示す模式的斜視図である。
【図15】記録手段の吐出口面における複数の吐出口列が1列に配置される場合を例示する説明図である。
【図16】図1中の記録手段のインク吐出部の構造を模式的に示す部分斜視図である。
【図17】インクジェット記録装置における複数の吐出口列を有する記録手段と該記録手段のインク吐出性能を維持回復するための吸引回復機構とを例示する模式的斜視図である。
【符号の説明】
1、2、101、102、103 吐出口列
10、110 記録手段(記録ヘッド)
11、12、111、112 インクタンク
20、120 吐出口面
30 吐出回復装置
40、140 キャップ
41、42、141 吸引室
43、143 周壁部
44 仕切り壁
45、145 キャップホルダ
51、52、151、152、153 インク排出口
61、62、161、162、163 チューブ
70、71、72、170 負圧発生源(吸引ポンプ)
181、182、183 インク吸収材
191、192、193 負圧発生領域(吸引エリア)
201、202 吐出口列
500 インクジェット記録装置
502 キャリッジ
511 ガイドシャフト
515、517 搬送ローラ
516、518 従動ローラ
P 被記録材(シート材、記録用紙)
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録手段から被記録材へインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置に関し、詳しくは、記録手段に設けられた複数の吐出口列を覆うためのキャップと該キャップに接続された負圧発生源とを有する吸引回復機構を備えたインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリンタ、複写機、ファクシミリなどの機能を有する記録装置、あるいはコンピュータやワードプロセッサなどを含む電子機器の出力機器として用いられる記録装置は、画像情報に基づいて用紙やプラスチックシート材等の被記録材(記録媒体)に画像を記録するように構成されている。このような記録装置における一つの記録方式として、記録手段から被記録材へインクを吐出して記録を行うインクジェット記録方式が採用されており、そのためのインクジェット記録装置が普及している。
【0003】
上記インクジェット記録装置は、記録手段としての記録ヘッドに形成された吐出口から吐出される微小なインク液滴を記録用紙等の被記録材に付着させることで記録物(印刷物等)を得るものであり、電子写真方式等の他の記録方式に比べて装置が安価であり、小型化が容易であり、高速で高画質の記録を行うことが可能であり、普通紙への事務文書の記録からプラスチック等の特殊シート、さらには糸や布等から成る被記録材への写真画像等の記録まで幅広い記録物を手軽に得ることができることから、広く普及している。さらに、小型化に有利な点を生かして携帯型のインクジェット記録装置も提案されている。
また、インクジェット記録装置においては、異なるインクを貯留している複数のインクタンクのそれぞれと流路で連結された複数の吐出口列(複数の吐出口を配列して構成された吐出口群)を有する記録手段とを用いることにより、記録の多色化や高速化を実現している。
【0004】
このようなインクジェット記録装置においては、記録情報に基づいて記録ヘッド(記録手段)の吐出口に通じる流路に設けられた吐出エネルギー発生手段を駆動することで該流路中のインクに吐出エネルギーを付与し、吐出口からインク滴を吐出することにより被記録材上に記録がなされる。その際、インク吐出に伴って発生する微小気泡が前記液路内に滞留したり、あるいは、インク供給系やその接続部等を介して混入する気泡が記録ヘッドの長期放置によって大気泡に成長し、この大気泡がインク供給系内等に滞留する場合がある。これらの滞留気泡は、記録ヘッドのインク吐出に悪影響を与え、インクの吐出方向の偏向や吐出不良等の吐出状態の乱れに起因する記録画像の画質低下の原因になることがある。
【0005】
また、記録が行われない状態で放置されると、吐出口からインク中の水分が蒸発してインクの粘度が増加したり、インク中の染料濃度が増大することがあり、その結果、吐出口内のインクの増粘や固着による不吐出や記録濃度の変化(乱れ)を招くことになる。また、空気中に滞留しているゴミや被記録材の紙粉等が記録ヘッドの吐出口近傍に付着したり吐出口内に進入することによっても、同様のインク吐出不良を招くことがある。
【0006】
このようなインクの吐出不良を防止する手段として、記録手段としての記録ヘッドの吐出口面に当接可能なキャップを配設し、該キャップで吐出口を覆うことによりインクの蒸発を低減したり、該キャップに接続された吸引ポンプ等の負圧発生源を作動させることにより吐出口からインクと共に気泡やゴミ等を吸引除去する回復処理が行われている。さらには、ワイパーブレード等の掃拭手段によって吐出口面に付着したインクやゴミ等を除去するワイピングによる回復処理を行うこともある。このような回復処理は、一般的に、記録手段の移動範囲内であって記録領域外に配設された吐出回復装置によって行われる。
【0007】
また、カラー画像を記録するインクジェット記録装置においては、例えばイエロー、シアン、マゼンタ等の複数色のインクを吐出する複数の記録ヘッドを設け、各々の記録ヘッドごとにキャップで吐出口を覆うキャッピング手段と該キャッピング手段を介して吐出口からインクを吸引する吸引ポンプ等の負圧発生手段とを配設することにより、吐出口におけるインクの増粘や固着によって発生する目詰まりを防止したり、このような目詰まりを解消して吐出性能を回復させることが行われている。
【0008】
図17はインクジェット記録装置における複数(2つ)の吐出口列を有する記録手段と該記録手段のインク吐出性能を維持回復するための吸引回復機構とを例示する模式的斜視図である。図17において、210はインクタンク一体型のインクジェット記録ヘッド(記録手段)であり、211、212は異なるインク(例えば色が異なるインク)を貯留している複数(2つ)のインクタンクであり、201、202は各インクタンク211、212に連通された複数の吐出口列である。各インクタンク211、212と記録ヘッド210の各吐出口列201、202とはフィルタを有する流路を介して連通されている。図示の構成では、前記記録ヘッド210は、記録用紙等の被記録材に沿って往復移動(主走査)可能なキャリッジ502上に搭載されている。
【0009】
例えば、記録動作中のインク吐出回数(インク吐出量)が少なかった吐出口列では、吐出口内のインクが乾燥などにより固着し、吐出不良に起因する記録不良が発生する場合がある。このような記録ヘッド210の吐出不良を解消するために、吐出口内のインクを強制的に吸引排出することにより該吐出口内のインクをリフレッシュしてインク吐出性能を回復させる吸引回復機構が設けられている。この吸引回復機構は、記録ヘッド210の吐出口列201、202を覆うためのキャップ301と、該キャップ301にチューブ等を介して接続された吸引ポンプ等から成る負圧発生源302と、吐出口列201、202から排出されたインクを回収するために該負圧発生源302に接続された廃インクタンク303と、で構成されている。これらの吸引回復機構の構成要素は互いに連通している。
【0010】
前記キャップ301は、記録手段としての記録ヘッド210の吐出口面に形成された全ての吐出口(全ての吐出口列)201、202の領域を覆って密閉可能な形状寸法を有している。記録ヘッド210におけるインク吐出不良(記録不良)が発生した場合は、該記録ヘッドをキャリッジ502とともに所定の吸引位置(通常記録領域を外れた位置)に移動させ、キャップ301を移動(上昇)させて記録ヘッド210の吐出口面に密着させて各吐出口列201、202を覆ってキャッピングし、このキャッピング状態で負圧発生源としての前記吸引ポンプ302を作動させることで吐出口列201、202に負圧を作用させ、それによって全ての吐出口内のインクを吸引して排出させる。その際、各インクタンク211、212から各吐出口列201、202までのインク流路の該インクタンク側の境界部位にはインク中の塵埃等を除去するためのフィルタが設けられており、上記吸引による回復処理時には、例えば、前記吐出口から前記フィルタまでのインクが吸引される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の記録ヘッドにおいて複数の吐出口列を設ける場合、各吐出口列とも同じ径の吐出口を配列して構成されるものが多かったが、近年では、吐出口列ごとに吐出口の径を異ならせることにより、記録画像に階調性を持たせたり、記録画像の粒状感を低減したりすることで、記録の高画質化や高速化を図ることが可能となっている。
【0012】
このような異なる径の吐出口で構成される複数の吐出口列を有する記録ヘッドの場合、一般的に、各吐出口列ごとに(又は異なる径の吐出口ごとに)インク流路における流動抵抗(流れ抵抗)が異なることになる。従って、このような記録ヘッドに対して前述のような吸引回復処理を行うと、流動抵抗の高い吐出口列では、流動抵抗の低い吐出口列よりも吸引力が弱くなり、そのため、流動抵抗の高い吐出口列を完全に回復させるまでの吸引時間が流動抵抗の低い吐出口列を完全に回復させるまでの吸引時間より長くなったり、また、流動抵抗の高い吐出口列に通じる流路内にリフレッシュされないインクが残留するなどの不都合が生じることがある。さらに、全ての吐出口列のインク吐出性能を回復させるためには、流動抵抗の高い吐出口列に合わせた長い時間にわたって吸引する必要があり、そのため、流動抵抗の低い吐出口列では、必要以上の無駄なインクを吸引しなければならず、インクの消費量が増大したり、過剰な吸引によって吐出口内に気泡が生じて記録不良になるなどの不都合が発生することがある。
【0013】
本発明はこのような技術的課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、インク吐出量が異なる複数の吐出口列を有する記録手段を使用する場合でも、各吐出口列のインク吐出性能が回復するまでに要する吸引時間の増加を防ぎながら、全吐出口列を均等にかつ十分に回復させることができ、回復処理におけるインク消費量を節減することができる吸引回復機構を備えたインクジェット記録装置を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明(請求項1に係る発明)は、上記目的を達成するため、記録手段に設けられた複数の吐出口列を覆うためのキャップと該キャップに接続された負圧発生源とを有する吸引回復機構を備えたインクジェット記録装置において、前記キャップの各吐出口列に対応する領域で発生する負圧を異ならせることにより、各吐出口列のインク吐出性能が回復するまでに要する吸引時間の差が減少するように各吐出口列におけるインク吸引量を調整することを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を具体的に説明する。なお、各図面を通して同一符号は同一又は対応部分を示すものである。
図1は本発明を適用するのに好適なインクジェット記録装置の一実施例500の概略構成を一部破断して示す模式的斜視図である。図1において、Pは被記録材としてのシート材を示し、記録用紙等のシート材Pは不図示の給紙装置(給送装置)によって記録装置内部の所定位置まで給送され、さらに搬送ローラ515及び従動ローラ516によって記録領域を通して紙送り(搬送)される。一方、この記録領域には、シート材Pに沿って往復移動するキャリッジ502が設けられ、該キャリッジ502上に記録手段としての記録ヘッド10が搭載されている。本実施例における記録ヘッド10は、インクタンク11、12を一体化したインクジェットカートリッジで構成されている。
【0016】
前記キャリッジ502は、装置本体に設置されたガイドシャフト511に沿って往復移動可能に案内支持されており、不図示のキャリッジ駆動モータの駆動によりタイミングベルト552を介して両矢印A方向に往復移動(主走査)させられる。このキャリッジ502の主走査移動に同期して記録ヘッド10を記録情報に基づいて駆動することにより、該記録ヘッド10からシート材Pにインクを吐出して記録が行われる。そして、1ライン分の記録が終了するとシート材Pを所定ピッチだけ紙送りし、次のラインの記録を行う。このようなライン記録とピッチ送りを繰り返すことによりシート材P全体の記録が行われる。記録が行われたシート材Pは搬送ローラ517及び従動ローラ518によって排出部へと送り出される。
【0017】
図1のインクジェット記録装置500のキャリッジ502の移動範囲内であって記録領域を外れた所定位置(例えば記録ヘッド10のホームポジション又はその近傍)には、記録ヘッド10のインク吐出性能を回復(維持回復)させるための回復処理を行う吐出回復装置30が配設されている。この吐出回復装置30による記録手段の回復処理は、記録していない待機中に実行されたり、記録動作の前後や記録動作中の任意のタイミングで実行されたりする。
なお、前記吐出回復装置30には、記録ヘッド10の吐出口面にキャップ40を当接させて吐出口を覆うキャッピング機構と、該キャップに接続された吸引ポンプ70等の負圧発生源と、記録ヘッド10の吐出口面をワイパーブレード等により拭き取り清掃するワイピング機構と、が設けられている。
【0018】
図2は図1中のキャリッジ502に搭載された記録ヘッド10を吐出口面側(下側)の斜め方向から見て示す模式的斜視図であり、図3は図2中の記録ヘッド10の吐出口面に設けられた吐出口列を示す模式的底面図である。図2及び図3において、記録手段としての記録ヘッド10には、キャリッジ502に装着された状態で記録用紙等の被記録材Pと対向する部位に吐出口面20が形成され、該吐出口面20には複数(図示の例では2列)の吐出口列1、2が設けられている。また、キャリッジ502の上部には、記録ヘッド10の各吐出口列1、2の吐出口(又はその液路を形成するノズル)にインクを供給するためのインクタンク11、12が装着されている。
【0019】
本実施例では、各インクタンク11、12は記録ヘッド10と一体に構成されており、各吐出口列1、2に対応する種類(色等)のインクを供給するように接続されている。その場合、例えば、吐出口列1がインクタンク11と連通するとともに吐出口列2がインクタンク12と連通する構成、あるいは1つの吐出口列がインクタンク11に連通した吐出口とインクタンク12に連通した吐出口を有するような構成など、種々の連通構造を採ることができる。
前記記録手段(記録ヘッド)10は、熱エネルギーを利用してインクを吐出するインクジェット記録手段であって、熱エネルギーを発生するための電気熱変換体を備えたものである。また、前記記録ヘッド10は前記電気熱変換体によって印加される熱エネルギーにより生じる膜沸騰により気泡の成長、収縮により生じる圧力変化を利用して、吐出口よりインクを吐出させることで記録を行うものである。
【0020】
図16は、記録手段としての記録ヘッド10(110)のインク吐出部の構造を模式的に示す部分斜視図である。図16において、記録用紙等の被記録材(シート材)Pと所定の隙間(例えば、約0.2〜約2.0ミリ程度) をおいて対面する吐出口面20(120)には、所定のピッチで複数の吐出口82から成る吐出口列が形成され、共通液室83と各吐出口82とを連通する各液路84の壁面に沿ってインク吐出用のエネルギーを発生するための電気熱変換体(発熱抵抗体など)85が配設されている。記録ヘッド10(110)は、前記複数の吐出口82が主走査方向(記録ヘッドの移動方向)と交叉する方向に並ぶような位置関係で、キャリッジ502に搭載されている。こうして、画像信号または吐出信号に基づいて対応する電気熱変換体85を駆動(通電)して、液路84内のインクを膜沸騰させ、その時に発生する圧力によって吐出口82からインクを吐出させる記録ヘッド(記録手段)10(110)が構成されている。
【0021】
すなわち、前記吐出口列1、2を構成する各吐出口82に通じる液路(インク流路)にはヒータ等の電気熱変換体85が配置され、記録情報に基づいて各吐出口82の電気熱変換体85を選択的に駆動(電圧印加)する該吐出口からインク滴を吐出して記録するように構成されている。
その際、例えば、吐出口列1におけるインク吐出量が2plとなり、吐出口列2におけるインク吐出量が4plとなるように、各吐出口列1、2を構成する吐出口の径(大きさ)は異なる値(大きさ)に設定されている。そのため、吐出口列1と吐出口列2とでは、インクタンク11、12との間のインク流路の流れ抵抗が異なるように構成されている。本実施例では、吐出口列1の流路抵抗の方が吐出口列2の流路抵抗よりも大きいように構成されている。
【0022】
図4は本発明を適用したインクジェット記録装置の吸引回復機構の第1実施例を示す模式的斜視図である。図4において、前記吐出回復装置30に設けられた吸引回復機構は、記録ヘッド10に設けられた複数の吐出口列1、2を覆うためのキャップ40と該キャップに接続された負圧発生源としての吸引ポンプ70とを備えている。キャップ40はキャップホルダ45に取り付けられており、該キャップホルダ45を移動させることによりキャップ40を記録ヘッド10の吐出口面20に対して当接(キャッピング)、離間(アンキャッピング)するように構成されている。キャップ40は、吐出口面20に形成された吐出口列1、2の全ての吐出口を覆うことができる周壁部(周縁リブ)43を有するゴム状弾性体で形成されている。図示の例では、キャップ40の内部は、前記周壁部43と同じ高さを有する仕切り壁44によって、複数(2つ)の吐出口列1、2に対応する複数(2つ)の吸引室41、42に分割されている。
【0023】
各吸引室41、42には、インク排出口51、52が設けられている。図示の例では、吸引室41には比較的大きなインク排出口51が2箇所に形成され、吸引室42には比較的小さなインク排出口52が2箇所に形成されている。また、大径の排出口51には比較的大きな内径を有するチューブ61が接続され、小径の排出口52には比較的小さな内径を有するチューブ62が接続されている。各チューブ61、62は、チューブ結合部66で一本化された後で吸引ポンプ(負圧発生源)70に接続されている。前記キャップホルダ45は、前記キャップ40を保持するとともに、不図示の駆動機構によって記録ヘッド10の吐出口面20に対して当接、離間する方向に駆動される。このような構成により、吸引回復動作の際に吸引室41の方に吸引室42よりも大きな負圧を発生させることができる吸引回復機構(吐出回復装置30の)が構成されている。。
【0024】
次に、図4に示すような吸引回復機構のキャップ40を記録ヘッド10の吐出口面20に当接させて吸引回復処理を行うときの動作及び吐出回復特性について説明する。図4において、上下可動機構によりキャップホルダ45を上昇させてキャップ40を記録ヘッド10の吐出口面に適当な密着力で当接させたキャッピング状態にし、このキャッピング状態でポンプ70を作動させると吐出口面20とキャップ40との間に負圧が発生し、各吐出口列1、2の吐出口(又はその液路を形成するノズル)からインクが吸引される。このキャッピング状態では、その場合、前記吐出口列1は吸引室41によって密閉され、前記吐出口列2は吸引室42によって密閉される。
その場合、前述のように吐出口列1の流路抵抗は吐出口列2の流路抵抗よりも高いが、吸引室列1に連通するチューブ61の内径の方が吸引室2に連通するチューブ62の内径より大きいので、吐出口列1に対向する吸引室41に発生する負圧の方が吐出口列2に対向する吸引室42に発生する負圧より大きい負圧となる。
【0025】
従って、吐出口列1と吐出口列2とにおいて、吐出口の流路抵抗が異なる場合でも、インク吐出性能が回復するまでに要する吸引時間の差が減少するように(必要吸引時間がほぼ均等になるように)各吐出口列1、2におけるインク吸引量を調整することができる。その結果、全ての吐出口列1、2において、吐出口内(又はその液路を形成するノズル内)の増粘インクや気泡を吸引除去する吸引回復動作をほぼ均等に過不足なく行うことが可能になり、各吐出口列のインク吐出性能が回復するまでに要する吸引時間の増加を防ぎながら、全吐出口列を均等にかつ十分に回復させることができ、回復処理におけるインク消費量を節減することが可能になる。
【0026】
図5は図4の吸引回復機構のキャップ40の第1変更例を示す模式的斜視図である。図4の吸引回復機構では、キャップ40のほぼ中央に仕切り壁44を設けたが、図5のキャップ40では、仕切り壁44の位置を片側へずらすことにより吸引室41、42の体積が異なるように構成されている。図5に示すように吸引室41、42の体積を異ならせる(図示の例では吸引室41の体積を吸引室42の体積より小さくする)ことにより、吐出口列1の吐出口の流路抵抗が吐出口列2の吐出口の流路抵抗より大きい(異なる)場合でも、吸引室41に発生する負圧を吸引室42に発生する負圧より大きくすることができ、図4の構成の場合と同様に、吐出口列1と吐出口列2とにおいてインク吐出性能が回復するまでに要する吸引時間の差が減少するように各吐出口列1、2におけるインク吸引量を調整することができ、吐出口内の増粘インクや気泡を吸引除去する吸引回復動作をほぼ均等に過不足なく行うことが可能になる。
【0027】
図6は図4の吸引回復機構のキャップ40の第2変更例を示す模式的斜視図である。図4及び図5に示すキャップ40では、2つの吸引室41、42を1つの周壁部43と仕切り壁44によって構成したが、図6のように2つの独立した周壁部43、43によって2つの吸引室41、42を形成しても良い。また、吸引室41の排出口51と吸引室42の排出口52の径を同じにし、これらの排出口に接続されるチューブ61、62の内径を異ならせることにより、吐出口列1と吐出口列2とにおけるインク吸引量を調整して吐出性能が回復するまでに要する吸引時間の差が減少するように構成しても良い。
【0028】
図7は本発明を適用したインクジェット記録装置の吸引回復機構の第2実施例を示す模式的斜視図である。図7の第2実施例では、吸引室41の排出口51の径と吸引室42の排出口52の径を同じにし、排出口の数を吸引室41と吸引室42とで異ならせ(図示の例では、吸引室41では2箇所、吸引室42では1箇所)、かつ各排出口51、52に接続されるチューブ61、62の内径を同じにするように構成されている。図7の第2実施例は、以上の点で図4の第1実施例と相違しているが、その他の点では実質的に同じ構成を有している。このような図7の構成によっても、各吐出口列1、2に対応する各吸引室41、42の負圧を変えることにより、各吐出口列の吐出口の流路抵抗が異なる場合でも、各吐出口列におけるインク吸引量を調整して吐出性能が回復するまでに要する吸引時間の差を減少させることができる。
【0029】
図8は本発明を適用したインクジェット記録装置の吸引回復機構の第3実施例を示す模式的斜視図である。図8の第3実施例では、吸引室41の排出口51の径と吸引室42の排出口52の径を同じにし、各排出口51、52に接続されるチューブ61、62はそれらの内径は同じであるがそれらの経路長さが異なる(吐出口列2に対応するチューブ62のポンプ70までの長さをチューブ61より長くする)ように構成されている。図8の第3実施例は、以上の点で図4の第1実施例と相違しているが、その他の点では実質的に同じ構成を有している。このような図8の構成によっても、各吐出口列1、2に対応する各吸引室41、42の負圧を変える(吸引室41の負圧を大きくする)ことにより、各吐出口列の吐出口の流路抵抗が異なる(吸引室41に対応する吐出口列1の流路抵抗が大きい)場合でも、各吐出口列におけるインク吸引量を調整して吐出性能が回復するまでに要する吸引時間の差を減少させることができる。
【0030】
図9は本発明を適用したインクジェット記録装置の吸引回復機構の第4実施例を示す模式的斜視図である。図9の第4実施例では、2つの吸引室41、42のそれぞれに独立したポンプ71、72を接続し、各ポンプ71、72の吸引力(発生負圧)を互いに異ならせるように構成されている。つまり、各ポンプ71、72の吸引力を異ならせて各吐出口列1、2に対応する各吸引室41、42の負圧を変える(吸引室41の負圧を大きくする)ことにより、各吐出口列の吐出口の流路抵抗が異なる(吸引室41に対応する吐出口列1の流路抵抗が大きい)場合でも、各吐出口列におけるインク吸引量を調整して吐出性能が回復するまでに要する吸引時間の差を減少させることができる。図9の構成では、構造的もしくは電気的等の手段により制御をかけることで、吐出口列1、2の様々なインク吐出量に自由に対応することが可能である。
【0031】
図10は本発明を適用したインクジェット記録装置の記録手段及びキャリッジの別の実施例を吐出口面側から斜めに見て示す模式的斜視図であり、図11は図10中の記録手段の吐出口列の配置を示す模式的底面図である。図10及び図11において、シート材Pに沿って移動するキャリッジ502には記録手段としての記録ヘッド110が搭載されており、該記録ヘッド110の記録用紙等の被記録材(シート材)Pと対向する部位に吐出口面120が形成され、該吐出口面120には複数列(3列)の吐出口列101、102、103が設けられている。また、キャリッジ502の上部には、記録ヘッド110の各吐出口列101、102、103の吐出口(又はその液路を形成するノズル)にインクを供給するための異種インク(異色インク等)のインクタンク111、112が装着されている。本実施例における記録ヘッド110は、インクタンク111、112を一体化したインクジェットカートリッジで構成されている。
【0032】
前記インクタンク111、112のインクは前記吐出口列101、102、103に種々の態様で連通させることができ、例えば、吐出口列101と102をインクタンク111に連通させ、吐出口列103をインクタンク112に連通させる構成、あるいは、1つの吐出口列にインクタンク111に連通された吐出口とインクタンク112に連通された吐出口が混在する構成など、種々の構成を採ることができる。なお、吐出口列101、102、103の吐出口のインク吐出方法及び構成は前述の各実施例の場合と実質的に同じである。
そして、図10及び図11に示す記録ヘッド110においては、吐出口列101及び103ではインク吐出量が2plとなり、吐出口列102ではインク吐出量が4plとなるように、各吐出口列の吐出口の大きさ(例えば直径)が選定されている。そのため、吐出口列101及び103の流路抵抗は吐出口列102の流路抵抗よりも大きく(高く)なっている。
【0033】
図12は、図10及び図11に示す記録手段を用いるインクジェット記録装置において本発明を適用したインクジェット記録装置の吸引回復機構の第5実施例を示す模式的斜視図である。図12において、記録ヘッド110の吐出口面120に対して接近、離反方向に移動可能なキャップホルダ145にはゴム状弾性体のキャップ140が取り付けられており、該キャップ140には前記吐出口列101、102、103の全てを覆った状態で吐出口面120に密着可能な周壁部143が形成され、該周壁部143の内部に吸引室141が形成されている。本実施例では、キャップ141内に吸引室を仕切るような仕切り壁(前述の実施例における仕切り壁44)は設けられていない。
【0034】
前記吸引室141内の前記吐出口列101、102、103に対向する位置またはその近傍位置にインク排出口151、152、153が設けられている。その場合、吐出口の流路抵抗が比較的大きい吐出口列101、103に対応するインク排出口151、153の大きさ(例えば直径)は、吐出口の流路抵抗が比較的小さい吐出口列102のインク排出口152より小さくなっている。また、これらのインク排出口に接続されたチューブに関しても、インク排出口151、153に接続されたチューブ161、163の内径はインク排出口152に接続されたチューブ162の内径よりも小さく選定され、それぞれのチューブが吸引ポンプ170に接続されている。キャップホルダ145は、前記キャップ140を保持し、不図示の駆動機構によって図示上下方向に移動可能になっている。
【0035】
図12の第5実施例に係る吸引回復機構によれば、前述のように吐出口列101、103の吐出口の流路抵抗が吐出口列2の吐出口の流路抵抗よりも高いが、インク排出口151、153に接続されたチューブ161、163の内径の方がインク排出口152に接続されたチューブ162の内径より大きいので、吐出口列101、103に対向する領域に発生する負圧を吐出口列102に対向する領域に発生する負圧より大きくすることができる。その結果、吐出口列101、103と吐出口列102とにおいて、吐出口内(又はその液路を形成するノズル内)の増粘インクや気泡を吸引除去する吸引回復動作をほぼ均等に過不足なく行うことが可能になる。
【0036】
つまり、吐出口列101、103と吐出口列102とにおいて、吐出口の流路抵抗が異なる場合でも、インク吐出性能が回復するまでに要する吸引時間の差が減少するように(必要吸引時間がほぼ均等になるように)各吐出口列101、102、103におけるインク吸引量を調整することができる。
その結果、各吐出口列のインク吐出性能が回復するまでに要する吸引時間の増加を防ぎながら、全吐出口列を均等にかつ十分に回復させることができ、回復処理におけるインク消費量を節減することが可能になる。
【0037】
図13は本発明を適用したインクジェット記録装置の吸引回復機構の第6実施例を示す模式的斜視図である。本実施例は、図12の第5実施例に係る吸引回復機構においてキャップ140の内部にインク吸収材181、182、183を配置したものである。すなわち、前記インク排出口151、152、153に対応する位置、従って吐出口列101、102、103に対応する位置のそれぞれにインク吸収材181、182、183が配置されている。そして、流路抵抗が大きい吐出口列101、103に対応するインク吸収材181、183の密度は、流路抵抗が小さい吐出口列102に対応するインク吸収材182の密度より比較的低く選定されている。つまり、インク吸収材182は、インク吸収材181、183よりも密度が高い素材を用いて作られている。図13の構成(第6実施例)は、以上の点で図12の構成(第5実施例)と相違しているが、その他の点では実質的に同じ構成を有している。
【0038】
図13の第6実施例によれば、吸収室141内において、吐出口の流路抵抗が大きい吐出口列101、103に対応する吸引領域(吸引エリア)191、193では、吐出口の流路抵抗が小さい吐出口列102に対応する吸引領域(吸引エリア)192よりも高い負圧を発生することができる。従って、図13の第6実施例によっても、吐出口列101、103と吐出口列102とにおいて、吐出口の流路抵抗が異なる場合でも、インク吐出性能が回復するまでに要する吸引時間の差が減少するように(必要吸引時間がほぼ均等になるように)各吐出口列101、102、103におけるインク吸引量を調整することができる。その結果、全ての吐出口列101、102、103において、吐出口内の増粘インクや気泡を吸引除去する吸引回復動作をほぼ均等に過不足なく行うことが可能になり、各吐出口列のインク吐出性能が回復するまでに要する吸引時間の増加を防ぎながら、全吐出口列を均等にかつ十分に回復させることができ、回復処理におけるインク消費量を節減することが可能になる。
【0039】
なお、図12及び図13に示すような実施例においては、前記インク吸収材181、182、183を用いない構成、あるいは、インク排出口151、152、153の径を同じにしてチューブ161、162、163の径を異ならせる構成などによって、各吐出口列に対応する領域の負圧を調整することにより同様の効果を達成することができる。また、インク排出口151、152、153を同じ径にしたり、チューブ161、162、163を同じ径にする場合でも、インク吸収材の密度を変えて各吸引エリア別に負圧を変化させることも可能であり、このような構成によっても同様の効果を達成することができる。さらに、一部のインク排出口(例えばインク排出口152)やチューブ(例えばチューブ162)を省略することによっても、同様の負圧調整機能を有する吸引回復機構を構成することができる。
【0040】
図14は図12の第5実施例及び図13の第6実施例に係る吸引回復機構のキャップの変更例を示す模式的斜視図である。図14において、インク排出口151、152、153の大きさ(例えば径)は全て同じであるが、各吐出口列に対応するキャップ内エリアにおけるインク排出口の数が異なるように構成されている。本実施例では、例えば、吐出口列101、103に対応する領域(エリア)のインク排出口151、153の数を多く(それぞれ2箇所)し、吐出口列102に対応する領域のインク排出口152の数を少なく(1箇所)するように構成されている。このように、キャップ140内の吸引エリア191、193の負圧を高くするとともに、吸引エリア192の負圧を他の吸引エリアよりも低くすることも可能であり、このような構成によっても、図12及び図13の各実施例の場合と同様の効果を得ることができる。
【0041】
また、図12〜図14の構成においても、前述の図8の第3実施例に習ってインク排出口から吸引ポンプまでの各経路(チューブ)の長さを変化させて各領域(各吸引エリア)の発生負圧を調整したり、前述の図9の第4実施例に習って複数の吸引ポンプを用いて各領域(各吸引エリア)の発生負圧を制御したりすることができ、このような構成によっても種々の吐出口列のインク吐出量に対応することができ、同様の効果を達成することができる。
さらに、図12及び図13の実施例では、記録ヘッド110の吐出口列101、103の吐出量が吐出口列102の吐出量より小さい場合を例に挙げて説明したが、これとは逆に吐出口列101、103の吐出量が吐出口列102より多い場合にも同様に実施することは当然のことであり、そのような場合には、インク排出口の大小、チューブの内径の大小、インク吸収材の密度の高低などを逆に変えることにより、吸引エリア192における発生負圧を吸引エリア191、193における発生負圧よりも大きくすることができ、それによって同様の効果を達成することができる。
【0042】
図15は記録手段の吐出口面における複数の吐出口列が1列に配置される場合を例示する説明図である。図15において、記録ヘッドの吐出口面には流路抵抗が小さい吐出口から成る吐出口列201と流路抵抗が大きい吐出口から成る吐出口列202の2つの吐出口列が1列に並べた状態で形成されている。このような構成の記録手段の場合にも、各吐出口列に対応するインク排出口の大きさ及び数、チューブの内径及び長さ、インク吸収材の密度などを異ならせることにより、各吐出口列ごとに発生負圧の大きさを調整することができ、それによって、各吐出口列のインク吐出性能が回復するまでに要する吸引時間の増加を防ぎながら、全吐出口列を均等にかつ十分に回復させることができ、回復処理におけるインク消費量を節減することができる吸引回復機構を備えたインクジェット記録装置を提供することができる。
【0043】
以上説明した実施例においては、以下に列挙するような本発明の実施態様が記載されている。
実施態様1:記録手段に設けられた複数の吐出口列を覆うためのキャップと該キャップに接続された負圧発生源とを有する吸引回復機構を備えたインクジェット記録装置において、前記キャップの各吐出口列に対応する領域で発生する負圧を異ならせることにより、各吐出口列のインク吐出性能が回復するまでに要する吸引時間の差が減少するように各吐出口列におけるインク吸引量を調整することを特徴とするインクジェット記録装置。
【0044】
上記実施態様1の構成によれば、インク吐出量が異なる複数の吐出口列を有する記録手段を使用する場合でも、各吐出口列のインク吐出性能が回復するまでに要する吸引時間の増加を防ぎながら、全吐出口列を均等にかつ十分に回復させることができ、回復処理におけるインク消費量を節減することができる吸引回復機構を備えたインクジェット記録装置が提供される。
【0045】
実施態様2:前記キャップの各吐出口列に対応する領域は壁で仕切られた吸引室で構成されていることを特徴とする実施態様1に記載のインクジェット記録装置。
実施態様3:前記キャップの各吐出口列に対応する領域は独立したキャップで構成されていることを特徴とする実施態様1に記載のインクジェット記録装置。
実施態様4:前記複数の吐出口列はインク吐出量が異なる吐出口列であることを特徴とする実施態様1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【0046】
実施態様5:前記キャップの各吐出口列に対応する領域のそれぞれにインク排出口が設けられ、各インク排出口から前記負圧発生源までの流路抵抗が異なることを特徴とする実施態様1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
実施態様6:前記キャップの各吐出口列に対応する領域のそれぞれに密度が異なるインク吸収材が配置されていることを特徴とする実施態様1〜5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
実施態様7:前記キャップの各吐出口列に対応する領域のそれぞれに独立した負圧発生源が接続されていることを特徴とする実施態様1〜6のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【0047】
なお、以上の実施例では、記録手段の吐出口面に設けられる複数の吐出口列が2列及び3列の場合を例に挙げて説明したが、当然のことながら、本発明は、この吐出口列の数が4列以上の場合にも同様に適用可能なものであり、同様の作用効果を奏するものであり、これらが本発明の範囲内に含まれることはもちろんのことである。
また、以上の実施例では、記録手段としての記録ヘッドを主走査方向に移動させながら記録するシリアル型のインクジェット記録装置を例に挙げて説明したが、本発明は、被記録材の全幅または一部をカバーする長さのラインタイプのインクジェットヘッドを用いて副走査(紙送り)のみで記録するライン方式のインクジェット記録装置の場合にも、同様に適用することができ、同様の効果を達成し得るものである。
【0048】
さらに、本発明は、記録ヘッドの数にも関わりなく自由に実施できるものであり、1個の記録ヘッドを用いるインクジェット記録装置の他、異なる色のインクを使用する複数の記録ヘッドを用いるカラー記録用のインクジェット記録装置、あるいは同一色彩で異なる濃度のインクを使用する複数の記録ヘッドを用いる階調記録用のインクジェット記録装置、さらには、これらを組み合わせたインクジェット記録装置の場合にも、同様に適用することができ、同様の効果を達成し得るものである。
【0049】
さらにまた、本発明は、記録ヘッドとインクタンクを一体化した交換可能なヘッドカートリッジを用いる構成、記録ヘッドとインクタンクを別体にし、その間をインク供給用のチューブ等で接続する構成など、記録ヘッドとインクタンクの配置構成がどのような場合にも同様に適用することができ、同様の効果が得られるものである。
なお、本発明は、熱エネルギーを利用してインクを吐出する方式のインクジェット記録ヘッドを使用するインクジェット記録装置の他、例えば、ピエゾ素子等の電気機械変換体等を用いしインクを吐出する方式のインクジェット記録ヘッドを使用するインクジェット記録装置など、他のインク吐出方式を用いるインクジェット記録装置に対しても同様に提供することができ、同様の作用、効果を達成できるものである。
【0050】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなごとく、本発明(請求項1)によれば、記録手段に設けられた複数の吐出口列を覆うためのキャップと該キャップに接続された負圧発生源とを有する吸引回復機構を備えたインクジェット記録装置において、前記キャップの各吐出口列に対応する領域で発生する負圧を異ならせることにより、各吐出口列のインク吐出性能が回復するまでに要する吸引時間の差が減少するように各吐出口列におけるインク吸引量を調整する構成としたので、
インク吐出量が異なる複数の吐出口列を有する記録手段を使用する場合でも、各吐出口列のインク吐出性能が回復するまでに要する吸引時間の増加を防ぎながら、全吐出口列を均等にかつ十分に回復させることができ、回復処理におけるインク消費量を節減することができる吸引回復機構を備えたインクジェット記録装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用するのに好適なインクジェット記録装置の一実施例の概略構成を一部破断して示す模式的斜視図である。
【図2】図1中のキャリッジに搭載された記録手段を吐出口面側(下側)の斜め方向から見て示す模式的斜視図である。
【図3】図2中の記録手段の吐出口面に設けられた吐出口列を示す模式的底面図である。
【図4】本発明を適用したインクジェット記録装置の吸引回復機構の第1実施例を示す模式的斜視図である。
【図5】図4の吸引回復機構のキャップの第1変更例を示す模式的斜視図である。
【図6】図4の吸引回復機構のキャップの第2変更例を示す模式的斜視図である。
【図7】本発明を適用したインクジェット記録装置の吸引回復機構の第2実施例を示す模式的斜視図である。
【図8】本発明を適用したインクジェット記録装置の吸引回復機構の第3実施例を示す模式的斜視図である。
【図9】本発明を適用したインクジェット記録装置の吸引回復機構の第4実施例を示す模式的斜視図である。
【図10】本発明を適用したインクジェット記録装置の記録手段及びキャリッジの別の実施例を吐出口面側から斜めに見て示す模式的斜視図である。
【図11】図10中の記録手段の吐出口列の配置を示す模式的底面図である。
【図12】図10及び図11に示す記録手段を用いるインクジェット記録装置において本発明を適用したインクジェット記録装置の吸引回復機構の第5実施例を示す模式的斜視図である。
【図13】本発明を適用したインクジェット記録装置の吸引回復機構の第6実施例を示す模式的斜視図である。
【図14】図12の第5実施例及び図13の第6実施例に係る吸引回復機構のキャップの変更例を示す模式的斜視図である。
【図15】記録手段の吐出口面における複数の吐出口列が1列に配置される場合を例示する説明図である。
【図16】図1中の記録手段のインク吐出部の構造を模式的に示す部分斜視図である。
【図17】インクジェット記録装置における複数の吐出口列を有する記録手段と該記録手段のインク吐出性能を維持回復するための吸引回復機構とを例示する模式的斜視図である。
【符号の説明】
1、2、101、102、103 吐出口列
10、110 記録手段(記録ヘッド)
11、12、111、112 インクタンク
20、120 吐出口面
30 吐出回復装置
40、140 キャップ
41、42、141 吸引室
43、143 周壁部
44 仕切り壁
45、145 キャップホルダ
51、52、151、152、153 インク排出口
61、62、161、162、163 チューブ
70、71、72、170 負圧発生源(吸引ポンプ)
181、182、183 インク吸収材
191、192、193 負圧発生領域(吸引エリア)
201、202 吐出口列
500 インクジェット記録装置
502 キャリッジ
511 ガイドシャフト
515、517 搬送ローラ
516、518 従動ローラ
P 被記録材(シート材、記録用紙)
Claims (1)
- 記録手段に設けられた複数の吐出口列を覆うためのキャップと該キャップに接続された負圧発生源とを有する吸引回復機構を備えたインクジェット記録装置において、
前記キャップの各吐出口列に対応する領域で発生する負圧を異ならせることにより、各吐出口列のインク吐出性能が回復するまでに要する吸引時間の差が減少するように各吐出口列におけるインク吸引量を調整することを特徴とするインクジェット記録装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003043620A JP2004249631A (ja) | 2003-02-21 | 2003-02-21 | インクジェット記録装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003043620A JP2004249631A (ja) | 2003-02-21 | 2003-02-21 | インクジェット記録装置 |
Publications (1)
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JP2004249631A true JP2004249631A (ja) | 2004-09-09 |
Family
ID=33026567
Family Applications (1)
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JP2003043620A Pending JP2004249631A (ja) | 2003-02-21 | 2003-02-21 | インクジェット記録装置 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2004249631A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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2003
- 2003-02-21 JP JP2003043620A patent/JP2004249631A/ja active Pending
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