ところで、一般的なインクジェットプリンタにおいて、インクジェットヘッドのノズルの吐出不良解消等を目的とする、吸引パージを行うためのキャップが設けられていることが多い。このキャップは、インクジェットヘッドの複数のノズルを覆うキャップ位置と、インクジェットヘッドから離間したアンキャップ位置とに移動可能に構成されている。また、キャップには、吸引ポンプが接続されている。キャップがキャップ位置にあって、インクジェットヘッドのノズルがキャップに覆われている状態で、吸引ポンプを作動させてキャップ内の空間を減圧すると、キャップに覆われた複数のノズルからインクが強制的に排出される。
上記特許文献1のような構成を有するインクジェットプリンタにおいて、吸引パージのためのキャップを設ける場合に、複数のヘッドユニットのノズルを1つのキャップで共通に覆う構成を採用することが考えられる。しかし、この場合には、1つのキャップ内に全ての種類のインクが排出されて互いに混ざり合い、混ざり合ったインクが一部のノズルに逆流して、ノズル内で混色が生じる虞がある。また、ある特定のノズル列にのみ吐出不良が生じている場合など、特定のノズル列についてのみ吸引パージを行いたい場合であっても、必然的に、全てのノズル列について同時に吸引パージが行われてしまうことになり、廃インク量が無駄に増えてしまう。
一方で、異なるインクを吐出する2つのノズル列の間を境にして、キャッピング領域が分割された構成のキャップを採用することも考えられる。しかし、特許文献1では、1つのヘッドユニットが、異なる2色のインクをそれぞれ吐出する2つのノズル列を有する構成である。この場合、1つのヘッドユニットの2つのノズル列の間を境にして、キャッピング領域を分割しようとすると、それら2つのノズル列の間に、領域を分割するための隔壁部分を当接させる必要がある。そのためには、前記隔壁部分が当接する面積を確保するために、2つのノズル列の距離を一定以上に離す必要があるが、そうなると、1つのヘッドユニットのサイズが大きくなり、インクジェットヘッド全体のサイズも大型化する。
本発明の目的は、2種類の液体を吐出するヘッドユニットを複数有する液体吐出装置において、全体のサイズを大型化することなく、吸引パージ時におけるキャップ内での混液抑制、及び、廃液量の減少を図ることにある。
課題を解決するための手段及び発明の効果
第1の発明の液体吐出装置は、第1の液体を吐出する第1ノズルと、前記第1の液体とは異なる第2の液体を吐出する第2ノズルと、を有する第1ヘッドユニットと、前記第1の液体を吐出する第3ノズルと、前記第2の液体を吐出する第4ノズルと、を有し、所定のユニット配列方向において前記第1ヘッドユニットと並んで配置された第2ヘッドユニットと、前記第1の液体及び前記第2の液体とは異なる第3の液体を吐出する第5ノズルを有し、前記ユニット配列方向において、前記第1ヘッドユニットに対して前記第2ヘッドユニットとは反対側に配置された第3ヘッドユニットと、前記第1の液体及び前記第2の液体とは異なる第4の液体を吐出する第6ノズルを有し、前記ユニット配列方向において、前記第2ヘッドユニットに対して前記第1ヘッドユニットとは反対側に配置された第4ヘッドユニットと、前記4つのヘッドユニットのノズルを覆うキャップ位置と、前記4つのヘッドユニットから離間したアンキャップ位置とに移動可能に構成されたキャップと、を備え、
前記キャップは、前記キャップが前記キャップ位置にあるときに前記第1ヘッドユニットと前記第2ヘッドユニットのノズルを共通に覆う、第1凹部と、前記第1凹部と第1隔壁部によって隔てられ、前記キャップが前記キャップ位置にあるときに前記第3ヘッドユニットのノズルを覆う、第2凹部と、前記第1凹部と第2隔壁部によって隔てられ、前記キャップが前記キャップ位置にあるときに前記第4ヘッドユニットのノズルを覆う第3凹部と、を有し、前記キャップが前記キャップ位置にあるときに、前記第1隔壁部及び前記第2隔壁部により、前記第1凹部内の空間と、前記第2凹部内の空間及び前記第3凹部内の空間とが遮断されることを特徴とするものである。
本発明では、第1の液体と第2の液体を吐出する第1ヘッドユニットと第2ヘッドユニットが、第3の液体を吐出する第3ヘッドユニットと、第4の液体を吐出する第4ヘッドユニットによって、ユニット配列方向において挟まれた構成である。その上で、キャップがキャップ位置にあるときに、第1凹部が第1ヘッドユニットと第2ヘッドユニットのノズルを共通に覆う。また、第2凹部が第3ヘッドユニットのノズルを覆い、第3凹部が第4ヘッドユニットのノズルを覆う。さらに、第1凹部内の空間と、第2凹部内の空間及び第3凹部内の空間とは、第1隔壁部と第2隔壁部によって遮断される。
つまり、内側に配置されている第1、第2ヘッドユニットのノズルが、外側の第3、第4ヘッドユニットとは異なる凹部で覆われる。そのため、第1、第2ヘッドユニットから吐出される第1の液体及び第2の液体が、第3ヘッドユニットから吐出される第3の液体、第4ヘッドユニットから吐出される第4の液体と、1つの凹部内で混じり合わない。尚、第1、第2ヘッドユニットが共通の第1凹部で覆われることにより、第1凹部内で、上記の2つのヘッドユニットから吐出される第1の液体と第2の液体は混ざり合う。しかし、全てのヘッドユニットのノズルが1つのキャップで覆われて、4種類の液体の全てが混ざり合ってしまう構成と比べると、混じり合う液体の種類が少ないため、それによる悪影響は小さい。
また、内側の第1、第2ヘッドユニットのノズルについては、1つの第1凹部で覆うため、第1凹部と第2凹部及び第3凹部とを区画する第1、第2隔壁部を、1つのヘッドユニットの2つのノズル列の間に当接させる必要がない。従って、各ヘッドユニットのユニット配列方向におけるサイズが大型化しない。また、吐出不良が生じているノズルを覆う凹部についてのみ、吸引装置で負圧を作用させることができる。つまり、全てのノズルについて同時に吸引パージが行われてしまうことがないため、廃液量を減らすことができる。
第2の発明の液体吐出装置は、前記第1の発明において、前記第2凹部と前記第3凹部は、前記第1凹部によって分離されて配置され、前記キャップの前記第1凹部、前記第2凹部、及び、前記第3凹部とそれぞれ接続された1つの吸引装置を備え、前記第1凹部と前記吸引装置を繋ぐ接続流路の流路抵抗が、前記第2凹部及び前記第3凹部と前記吸引装置をそれぞれ繋ぐ接続流路の流路抵抗よりも、小さいことを特徴とするものである。
キャップの第1凹部は、2つのヘッドユニットのノズルを共通に覆うのに対し、第2凹部と第3凹部は、それぞれ、1つのヘッドユニットのノズルしか覆わない。そのため、4つのヘッドユニットの全てについて、キャップに接続された1つの吸引装置によって同時に吸引パージを行ったときに、第1凹部内に排出される液体の量が、第2凹部及び第3凹部にそれぞれ排出される液体の量よりも多くなる。上記の廃液量の違いによって、第1凹部から吸引装置までの間の圧力損失が大きくなると、第1凹部内の負圧と、第2凹部及び第3凹部内の負圧との間に差が発生し、これによって、個々のノズルから排出される液体の量にばらつきが出て、パージの効果に差がついてしまう。この点、本発明では、第1凹部と吸引装置を繋ぐ接続流路の流路抵抗が、第2凹部及び第3凹部と吸引装置をそれぞれ繋ぐ接続流路の流路抵抗よりも、小さくなっている。そのため、廃液量の多い第1凹部から吸引装置への液体の排出が行われやすくなり、個々のノズルから排出される液体量のばらつきが小さくなる。
第3の発明の液体吐出装置は、前記第1又は第2の発明において、前記キャップの前記第1凹部内には、前記第1ヘッドユニットと前記第2ヘッドユニットのノズルから吐出された前記第1の液体と前記第2の液体とを吸収可能な、吸収体が収容されていることを特徴とするものである。
キャップの第1凹部内に吸収体が配置されているため、第1ヘッドユニットのノズル、及び、第2ヘッドユニットのノズルから、キャップ内に向けて、乾燥防止等を目的としてフラッシングを行わせることができる。また、第1凹部内の吸収体は、第1、第2ヘッドユニットのそれぞれから排出された、第1の液体と第2の液体を吸収する、第1、第2ヘッドユニットに共通の吸収体である。そのため、2つのヘッドユニットのそれぞれに対して個別に吸収体を設ける場合と比べて、吸収体の数を少なくして部品点数を減らすことができ、コストダウンが可能となる。また、吸収体の取り付け等の工数も減らすことができる。さらに、1つのヘッドユニット当たりの吸収体のサイズが大きくなり、吸収できる廃液量が増えるという効果もある。
第4の発明の液体吐出装置は、前記第1〜第3の何れかの発明において、前記第1ヘッドユニットの前記第1ノズルと前記第2ヘッドユニットの前記第3ノズルから吐出される、前記第1の液体がブラックインクであり、前記第3ヘッドユニットの前記第5ノズルから吐出される、前記第3の液体がイエローインクであることを特徴とするものである。
吸引パージ時に、キャップ内でブラックインクとイエローインクとが混ざって、その混ざったインクがイエローのノズル内に入り込んでしまうと、印刷画像の色調への影響が特に大きい。本発明では、ブラックインクは、内側の第1、第2ヘッドユニットから吐出され、イエローインクは、外側の第3ヘッドユニットから吐出される。つまり、ブラックインクを吐出するノズルと、イエローインクを吐出するノズルとが、キャップの、異なる凹部にそれぞれ覆われることになるため、吸引パージの際に、1つの凹部内でブラックインクとイエローインクとが混じり合ってノズル内に逆流することがない。
第5の発明の液体吐出装置は、前記第1の発明において、前記第3ヘッドユニットは、前記第3の液体を吐出する前記第5ノズルに加えて、前記第4の液体を吐出する第7ノズルを有し、前記第4ヘッドユニットは、前記第4の液体を吐出する前記第6ノズルに加えて、前記第3の液体を吐出する第8ノズルを有し、前記キャップは、このキャップが前記キャップ位置にあるときに、前記第2凹部内の空間と前記第3凹部内の空間とを連通させる、連通部を有することを特徴とするものである。
第3ヘッドユニットと第4ヘッドユニットが、共に、第3の液体と第4の液体を吐出するものである場合には、第2凹部と第3凹部のそれぞれにおいて、第3の液体と第4の液体の両方が排出される。つまり、第2凹部と第3凹部とが、分離されていようが、連通していようが、各凹部内で第3の液体と第4の液体が混じり合うことには変わりない。そこで、第2凹部と第3凹部とが連通部によって繋がった構成が採用されてもよい。
次に、本発明の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係るプリンタの概略的な上面図である。まず、図1を参照してインクジェットプリンタ1の概略構成について説明する。尚、図1に示す前後左右の各方向をプリンタの「前」「後」「左」「右」と定義する。また、紙面手前側を「上」、紙面向こう側を「下」とそれぞれ定義する。以下では、前後左右上下の各方向語を適宜使用して説明する。
(プリンタの概略構成)
図1に示すように、インクジェットプリンタ1は、プラテン2と、キャリッジ3と、インクジェットヘッド4と、搬送機構5と、メンテナンス装置6と、制御装置7等を備えている。
プラテン2の上面には、被記録媒体である記録用紙100が載置される。キャリッジ3は、プラテン2と対向する領域において2本のガイドレール10,11に沿って左右方向(以下、走査方向ともいう)に往復移動可能に構成されている。キャリッジ3には無端ベルト14が連結され、キャリッジ駆動モータ15によって無端ベルト14が駆動されることで、キャリッジ3は走査方向に移動する。
インクジェットヘッド4は、キャリッジ3に取り付けられており、キャリッジ3とともに走査方向に移動する。インクジェットヘッド4は、走査方向に並ぶ4つのヘッドユニット20(第1ヘッドユニット201、第2ヘッドユニット202、第3ヘッドユニット203、第4ヘッドユニット204)を備えている。4つのヘッドユニット20(201〜204)は、4色(ブラック、イエロー、シアン、マゼンタ)のインクカートリッジ17が装着されるカートリッジホルダ8と、図示しないチューブによってそれぞれ接続されている。各ヘッドユニット20は、その下面(図1の紙面向こう側の面)に形成された複数のノズル30(図3、図4参照)を有する。各ヘッドユニット20のノズル30は、インクカートリッジ17から供給されたインクを、プラテン2に載置された記録用紙100に向けて吐出する。
尚、以下の説明において、プリンタ1の構成要素のうち、ブラック(K)、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)のインクにそれぞれ対応するものについては、その構成要素を示す符号の後に、どのインクに対応するかが分かるように、適宜、ブラックを示す“k”、イエローを示す“y”、シアンを示す“c”、マゼンタを示す“m”の何れかの記号を付す。例えば、インクカートリッジ17kとは、ブラックインクを貯留するインクカートリッジを指す。
搬送機構5は、前後方向にプラテン2を挟むように配置された2つの搬送ローラ18,19を有する。搬送機構5は、2つの搬送ローラ18,19によって、プラテン2に載置された記録用紙100を前方(以下、搬送方向ともいう)に搬送する。
メンテナンス装置6は、インクジェットヘッド4の吐出性能の維持、回復を目的として吸引パージを行うためのものであり、キャリッジの走査方向における移動範囲のうちの、プラテンよりも右側の位置に配置されている。メンテナンス装置6は、キャップ21と吸引ポンプ24を備えている。キャップ21は、ゴムや合成樹脂等の軟質材料で形成されている。また、キャップ21は、キャップ駆動モータ22を含む適宜構成を有するキャップ駆動機構によって、上下方向(図1の紙面垂直方向)に移動可能に構成されている。そして、キャップ21は、キャップ駆動機構によって上下に駆動されることにより、インクジェットヘッド4の4つのヘッドユニット20のノズル30を覆うキャップ位置と、4つのヘッドユニット20から離間したアンキャップ位置とに移動可能である。吸引ポンプ24は、切り替え装置23を介してキャップ21に接続されている。
吸引パージ時のメンテナンス装置6の動作は、以下の通りである。キャリッジ3がキャップ21と対向する位置にあるときに、キャップ駆動機構によってキャップ21が上方へ駆動される。これにより、キャップ21がキャップ位置に移動し、4つのヘッドユニット20の下面に密着して、それらのノズル30を覆う。この状態で、吸引ポンプ24によってキャップ21内の空間が減圧されると、各ノズル30からインクが強制的に排出される。このとき、ヘッドユニット20内のインク流路に存在する塵、気泡、あるいは、増粘したインクが一緒に排出される。
尚、キャップ21には、3つの凹部25が形成されている。切り替え装置23は、吸引ポンプ24と3つの凹部25との連通状態を切り替えるためのものである。キャップ21の具体的な構成、及び、切り替え装置23の動作等の、メンテナンス装置6の詳細については、後で説明する。
制御装置7は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び、各種制御回路を含むASIC(Application Specific Integrated Circuit)等を備える。 制御装置7は、ROMに格納されたプログラムに従い、ASICにより、記録用紙100への印刷や、インクジェットヘッド4のメンテナンス等の各種処理を実行する。
例えば、印刷処理においては、制御装置7は、PC等の外部装置から入力された印刷指令に基づいて、インクジェットヘッド4やキャリッジ駆動モータ15等を制御して、記録用紙100に画像等を印刷させる。具体的には、キャリッジ3とともにインクジェットヘッド4を走査方向に移動させながらインクを吐出させるインク吐出動作と、搬送ローラ18,19によって記録用紙100を搬送方向に所定量搬送する搬送動作とを、交互に行わせる。また、メンテナンス処理においては、制御装置7は、キャップ駆動モータ22、吸引ポンプ24、切り替え装置23等を制御して、上述した吸引パージを行わせる。
(インクジェットヘッド4の詳細)
次に、インクジェットヘッド4の詳細構成について説明する。図2は、4つのヘッドユニット20が取り付けられたキャリッジ3の断面図である。図3は、インクジェットヘッド4の1つのヘッドユニット20の上面図である。
図1、図2に示すように、キャリッジ3の下部には板状のユニットホルダ33が設けられ、このユニットホルダ33の上面に、4つのヘッドユニット20(201〜204)が走査方向に並べて取り付けられている。図3に示すように、1つのヘッドユニット20の下面には複数のノズル30が形成されている。各ヘッドユニット20の複数のノズル30は、ユニットホルダ33に形成された開口から露出している。複数のノズル30は、搬送方向に沿って配列されて、2つのノズル列31を構成している。尚、2つのノズル列31の間において、ノズル30の位置が搬送方向にずれており、複数のノズル30が、いわゆる千鳥状に配置されている。
また、1つのヘッドユニット20の2つのノズル列31は、それぞれ、異なる色のインクを吐出する。また、4つのヘッドユニット20の全体で、4色のインクをそれぞれ吐出する4種類のノズル列31が左右対称に配置されている。具体的には、4つのヘッドユニット20のうち、走査方向における内側に配置された第1ヘッドユニット201と第2ヘッドユニット202の各々は、内側に位置するブラックのノズル列31kと、外側に位置するマゼンタのノズル列31mを有する。また、第1ヘッドユニット201の左側に配置された第3ヘッドユニット203と、第2ヘッドユニット202の右側に配置された第4ヘッドユニット204、つまり、外側2つのヘッドユニット203,204の各々は、内側に位置するシアンのノズル列31cと、外側に位置するイエローのノズル列31yを有する。
つまり、4つのヘッドユニット20全体で、1色のインクにつき2つのノズル列31、合計8つのノズル列31が存在する。そして、これら8つのノズル列31は、内側から左右両側に向けて、ブラックのノズル列31k、マゼンタのノズル列31m、シアンのノズル列31c、イエローのノズル列31yの順で配置されている。尚、図5において、各色のノズル30及びノズル列31について、左側に配置されているものについては、符号“1”を付し、右側に配置されているものについては、符号“2”を付している。例えば、ノズル30c1とは、左側に配置された、シアンインクを吐出するノズル30のことである。
即ち、中央側からブラック、マゼンタ、シアン、イエローの順で、4色のノズル列31が左右対称に配置されている。上記の構成では、キャリッジ3が左方に移動する場合と右方に移動する場合とで、記録用紙100への4色のインクの着弾順序を同じにすることができる。これにより、双方向印字において、キャリッジ3が左方に移動する際に形成される画像部分と、右方に移動する際に形成される画像部分との間の、色目の違いを小さく抑えることが可能となる。
(ヘッドユニットの構成)
次に、ヘッドユニット20の具体的な構成について説明する。尚、本実施形態のインクジェットヘッド4の4つのヘッドユニット20は、全て同じ構成を有するものであるため、そのうちの1つについて説明を行う。図4は、図3のIV-IV線断面図である。
図3に示すように、ヘッドユニット20は、搬送方向に長尺な、平面視でほぼ矩形状の外形形状を有する。また、図4に示すように、ヘッドユニット20は、ホルダ部材40と、このホルダ部材40に保持されたヘッド本体部43とを有する。ホルダ部材40は、合成樹脂や金属等で形成されている。ホルダ部材40には、インク供給流路44が形成されている。ホルダ部材40のインク供給流路44は、図示しないチューブを介して、カートリッジホルダ8と接続されている。そして、カートリッジホルダ8に装着された2色(ブラックとマゼンタ、あるいは、シアンとイエロー)のインクカートリッジ17のインクが、インク供給流路44を介して、ヘッド本体部43へそれぞれ供給される。
ヘッド本体部43は、第1流路基板46、第2流路基板47、ノズルプレート48、圧電アクチュエータ49、保護部材50等を有する。尚、第1流路基板46、第2流路基板47、ノズルプレート48、及び、保護部材50の材質は、それぞれ特に限定されないが、例えば、シリコンで形成されたものを好適に用いることができる。
第1流路基板46には、複数の圧力室51が形成されている。複数の圧力室51は、複数のノズル30に対応して搬送方向に配列されている。また、第1流路基板46は、複数の圧力室51を覆う振動膜55を有する。
第2流路基板47は、第1流路基板46の下面に接合されている。この第2流路基板47には、ホルダ部材40の2つのインク供給流路44とそれぞれ連通する、2つのマニホールド52が形成されている。2つのマニホールド52は、第1流路基板46の複数の圧力室51と重なる領域において、搬送方向(図4の紙面垂直方向)にそれぞれ延びている。各マニホールド52の下側は、合成樹脂製のフィルム56によって覆われている。また、フィルム56の下側には、ヘッドユニット20を保持するユニットホルダ33が配置されている。第2流路基板47には、マニホールド52と複数の圧力室51とをそれぞれ連通させる、複数の連通孔53が形成されている。さらに、第2流路基板47には、複数の圧力室51と、次述のノズルプレート48に形成された複数のノズル30とをそれぞれ連通させる、複数の連通孔54も形成されている。
ノズルプレート48は、第2流路基板47の下面に接合されている。このノズルプレート48には、搬送方向に配列された複数のノズル30が形成されている。上述したように、複数のノズル30は2つのノズル列31を構成している。各ノズル30は、第2流路基板47に形成された連通孔54を介して、第1流路基板46の圧力室51と連通している。
圧電アクチュエータ49は、第1流路基板46の振動膜55の、上下方向において複数の圧力室51と重なる領域に配置されている。この圧電アクチュエータ49は、圧電材料からなる圧電膜を有し、圧電膜に電圧を印加したときに生じる圧電歪を利用して振動膜55を振動させることにより、圧力室51内のインクに吐出エネルギーを付与するものである。
保護部材50は、第1流路基板46の上面に、圧電アクチュエータ49を覆うように配置されている。この保護部材50は、圧電アクチュエータ49の圧電膜を外気から遮断して、湿気に触れることを防止する等の目的で設けられている。
(メンテナンス装置の詳細)
次に、メンテナンス装置6の詳細について説明する。図5は、キャップ21の平面図である。図6は、キャップ21がキャップ位置にある状態での、キャリッジ3の断面図である。先にも少し述べたが、図6に示すように、キャップ21は、キャップ駆動モータ22(図1参照)を含むキャップ駆動機構によって上下に駆動されることで、インクジェットヘッド4の4つのヘッドユニット20のノズル30を覆うキャップ位置(実線の位置)と、4つのヘッドユニット20から離間したアンキャップ位置(二点鎖線の位置)とで移動可能である。
キャップ21は、搬送方向に長い矩形の平面形状を有する部材である。また、図5、図6に示すように、キャップ21は、底壁部60と、この底壁部60の外縁部に、その全周にわたって形成された矩形枠状のリップ部63と、リップ部63内において、搬送方向にそれぞれ延びる第1隔壁部61と第2隔壁部62とを有する。第1隔壁部61と第2隔壁部62により、キャップ21のリップ部63に囲まれた部分が、3つの凹部25に区画されている。即ち、キャップ21は、左右方向における中央に位置する第1凹部251と、この第1凹部251の左側に位置するする第2凹部252と、第1凹部251の右側に位置する第3凹部253とを有する。第1凹部251と第2凹部252は第1隔壁部61で隔てられ、第1凹部251と第3凹部253は第2隔壁部62で隔てられている。また、第2凹部252と第3凹部253とは、両者の間に位置する第1凹部251により分離されている。
第1凹部251は、2つのヘッドユニット20を共通に覆うものであり、2つのヘッドユニット20の下面だけでなく、これら2つのヘッドユニット20の間の領域も覆っている。そのため、第1凹部251の走査方向における幅は、1つのヘッドユニット20のみを覆う第2凹部252,253の幅の、2倍を超えるものとなっている。ここで、第1凹部251の底面と、第2凹部252及び第3凹部253の底面の高さが同じであると、第1凹部251内の空間の容積が、第2凹部252及び第3凹部253と比べて、ヘッドユニット20から排出されるインク量に対する、凹部内の容積が大きくなりすぎる。凹部内の容積が大きいことは、キャッピング時におけるノズル30内のインクの乾燥に対して不利に働く。そこで、本実施形態では、第1凹部251の容積を小さくするために、図6に示すように、第1凹部251の底面の位置が、第2凹部252及び第3凹部253の底面よりも高くなっている。また、キャップ21の底壁部60の、第1凹部251の底面となる部分、第2凹部252の底面となる部分、及び、第3凹部253の底面となる部分には、それぞれ、排出口251a,252a,253aが形成されている。
図6に示すように、キャップ21がキャップ位置にあるときには、キャップ21のリップ部63と2つの隔壁部61,62が、4つのヘッドユニット20を保持するユニットホルダ33の下面に当接する。より詳細には、第1隔壁部61が、ユニットホルダ33の、第1ヘッドユニット201と第3ヘッドユニット203の間の領域に当接する。第2隔壁部62が、第2ヘッドユニット202と第4ヘッドユニット204との間の領域に当接する。また、矩形枠状のリップ部63の左側部分が、ユニットホルダ33の、第4ヘッドユニット204よりも左側の領域に当接し、リップ部63の右側部分が、ユニットホルダ33の、第3ヘッドユニット203よりも右側の領域に当接する。また、キャップ21の第1凹部251内の空間と第2凹部252内の空間は、第1隔壁部61で遮断される。また、第1凹部251内の空間と第3凹部253内の空間は、第2隔壁部62で遮断される。
キャップ21の第1凹部251により、第1ヘッドユニット201と第2ヘッドユニット202の、ブラックインクを吐出するノズル列31k1,31k2と、マゼンタインクを吐出するノズル列31m1,31m2とが共通に覆われる。また、キャップ21の第2凹部252により、第3ヘッドユニット203の、シアンインクを吐出するノズル列31c1と、イエローインクを吐出するノズル列31y1とが覆われる。また、キャップ21の第3凹部253により、第4ヘッドユニット204の、シアンインクを吐出するノズル列31c2と、イエローインクを吐出するノズル列31y2とが覆われる。
図5、図6に示すように、キャップ21の、第1凹部251、第2凹部252、及び、第3凹部253には、それぞれ、多孔質物質等で形成され、インクを吸収可能な吸収体71,72,73が収容されている。尚、第1凹部251内に収容される吸収体71の幅は、第2凹部252及び第3凹部253内に収容されている吸収体72,73の幅よりも大きい。吸収体71の幅は、吸収体72,73の幅の2倍よりも大きく、例えば2.3倍程度となっている。
図6に示すように、第1凹部251の排出口251a、第2凹部252の排出口252a、及び、第3凹部253の排出口253aは、それぞれ、チューブ64,65,66によって切り替え装置23に接続されている。また、切り替え装置23は吸引ポンプ24に接続され、さらに、吸引ポンプ24は廃液ボックス27(図1参照)に接続されている。切り替え装置23は、吸引ポンプ24と、第1凹部251、第2凹部252、及び、第3凹部253との間の連通状態を、それぞれ切り替えるものである。吸引ポンプ24を、第1凹部251、第2凹部252、及び、第3凹部253の全てと連通させることで、第1凹部251、第2凹部252、及び、第3凹部253の全てにおいて同時に減圧を行い、4つのヘッドユニット20の全てについて同時に吸引パージを行うことができる。あるいは、第1凹部251、第2凹部252、及び、第3凹部253のうちの、何れか1つの凹部25のみと吸引ポンプ24とを連通させることで、吐出特性の回復が必要なヘッドユニット20についてのみ吸引パージを行うことも可能である。
(吸引パージについて)
次に、メンテナンス装置6によって行われる吸引パージの流れについて説明する。吸引パージは、何れかのノズル30に吐出不良が生じる可能性が高い場合に行われる。そのタイミングについては特に限定されないが、例えば、PC等の外部装置、あるいは、プリンタ1の操作パネル(図示省略)から、ユーザーによって吸引パージの実行指示が入力された場合や、前回の吸引パージが実行されてから所定時間経過した場合などに、吸引パージが実行される。
吸引パージを行う際には、キャリッジ駆動モータ15により、キャリッジ3をメンテナンス装置6の位置まで移動させ、インクジェットヘッド4の4つのヘッドユニット20の下面をキャップ21と対向させる。次に、キャップ駆動モータ22を含むキャップ駆動機構によりキャップ21を上昇させてインクジェットヘッド4に当接させ、4つのヘッドユニット20のノズル30を覆うキャップ位置に位置させる。
次に、切り替え装置23により、吸引パージを行う必要のあるヘッドユニット20に対応する凹部25と、吸引ポンプ24とを連通させる。例えば、第1ヘッドユニット201の吸引パージが特に必要な場合には、第1凹部251と吸引ポンプ24とを連通させる。一方、全てのヘッドユニット20の吸引パージが必要な場合には、第1凹部251、第2凹部252、及び、第3凹部253の全てをそれぞれ吸引ポンプ24と連通させる。
その上で、吸引ポンプ24を作動させ、この吸引ポンプ24と連通している凹部25内を減圧させる。これにより、吸引ポンプ24と連通している凹部25内が負圧になり、この凹部25によって覆われているヘッドユニット20のノズル30から、それぞれインクが強制的に排出される。これにより、ヘッドユニット20内のインク流路内に混入した塵や気泡、あるいは、ノズル30における乾燥によって増粘したインクなどを排出することで、吐出性能の維持、及び、回復が可能となる。尚、吸引パージによって、各ヘッドユニット20から排出された廃インクは、廃液ボックス27へ送られる。
ここで、本実施形態では、走査方向における内側に配置されている2つのヘッドユニット201,202のノズル30が、外側に配置されている2つのヘッドユニット203,204とは異なる凹部25で覆われる。そのため、内側2つのヘッドユニット201,202から吐出されるブラックインク及びマゼンタインクが、外側のヘッドユニット203,204から吐出されるシアンインク及びイエローインクと、1つの凹部25内で混じり合わない。尚、内側2つのヘッドユニット201,202が第1凹部251で覆われることにより、第1凹部251内で、ブラックインクとマゼンタインクとが混じり合う。また、第2凹部252内、及び、第3凹部253内では、イエローインクとシアンインクとが混じり合う。しかし、4つ全てのヘッドユニット20のノズル30が1つのキャップで覆われて、4色のインクの全てが混ざり合ってしまう構成と比べると、混じり合うインクの種類が少ないため、それによる悪影響、例えば、画像の色調変化なども小さくなる。
また、1つの凹部25内で混じり合う2色のインクは、混じり合っても色調変化などの悪影響が生じにくいインクの組み合わせであることが好ましい。例えば、イエローインクは、ブラックインクが少し混ざってしまうだけでも、色調に大きな変化を生じさせる。そのため、1つの凹部25内で、ブラックインクとイエローインクとが混ざり、その混ざったインクがイエローのノズル30y内に入り込んでしまうと、印刷画像の影響が特に大きい。そこで、本実施形態では、ブラックインクは、内側2つのヘッドユニット201,202から吐出され、イエローインクは、外側2つのヘッドユニット203,204から吐出される。この構成では、ブラックインクを吐出するノズル30kと、イエローインクを吐出するノズル30yとが、キャップ21の、異なる凹部25にそれぞれ覆われることになるため、1つの凹部25内でブラックインクとイエローインクとが混じり合って、ノズル30内に逆流することがない。
尚、本実施形態において、キャップ21の第1凹部251は、内側2つのヘッドユニット201,202のノズル30を共通に覆うのに対し、第2凹部252と第3凹部253は、それぞれ、1つのヘッドユニット203(204)のノズル30しか覆わない。そのため、4つのヘッドユニット20の全てについて同時に吸引パージを行ったときに、第1凹部251内に排出されるインクの量が、第2凹部252及び第3凹部253にそれぞれ排出されるインクの量よりも多くなる。上記の廃インク量の違いによって、第1凹部251から吸引ポンプ24までの間の圧力損失が大きくなると、第1凹部251内の負圧と、第2凹部252及び第3凹部253内の負圧との間に差が発生し、これによって、個々のノズル30から排出されるインクの量にばらつきが出て、パージの効果に差がついてしまう。そこで、第1凹部251と吸引ポンプ24を繋ぐチューブ64内の流路の流路抵抗が、第2凹部252及び第3凹部253と吸引ポンプ24とをそれぞれ繋ぐチューブ65,66内の流路の流路抵抗よりも、小さくなっていることが好ましい。
尚、上記の流路抵抗とは、同じ流量の液体を流したときの、液体の流れにくさのことを言う。この流路抵抗は、具体的には、チューブの長さ、チューブの径、チューブの内面粗さ、あるいは、チューブの屈曲等に依存する。例えば、第1凹部251と吸引ポンプ24とを繋ぐチューブ64について、第2凹部252、第3凹部253と吸引ポンプ24とを繋ぐチューブ65,66と比べて、長さを短くする、チューブ径を大きくする、チューブの内面粗さを低くする、あるいは、チューブの屈曲を小さくする、等の工夫を行えばよい。このように、第1凹部251と吸引ポンプ24とを繋ぐ流路の流路抵抗を、第2凹部252及び第3凹部253と吸引ポンプ24とを繋ぐ流路の流路抵抗よりも小さくすることにより、廃インク量の多い第1凹部251から、吸引ポンプ24への廃インクの排出が行われやすくなる。これにより、個々のノズル30から排出されるインク量のばらつきが小さくなる。
(フラッシングについて)
本実施形態では、キャップ21の第1凹部251、第2凹部252、及び、第3凹部253には、それぞれ吸収体71,72,73が収容されている。つまり、本実施形態のプリンタ1においては、キャップ21は、吸引パージ時に使用されるだけでなく、乾燥防止等の目的で、各ヘッドユニット20のノズル30からフラッシングを行う際のインク受け部材としても使用されうる。
各ヘッドユニット20のフラッシングを行うタイミングは特に限定されるものではないが、ノズル30内の乾燥による吐出不良を防止するという目的で行う場合、記録用紙100に印刷を行う直前にフラッシングを行うことが多い。また、インクジェットヘッド4が記録用紙100に印刷を行っている最中に行う場合もある。
フラッシングを行う際には、キャリッジ駆動モータ15により、キャリッジ3をメンテナンス装置6の位置まで移動させ、インクジェットヘッド4の4つのヘッドユニット20の下面をキャップ21と対向させる。この状態で、4つのヘッドユニット20のそれぞれのノズル30から、キャップ21の第1凹部251、第2凹部252、及び、第3凹部253に向けて、インクを連続して所定回数吐出させる。フラッシングで吐出されたインクは、3つの凹部25にそれぞれ収容されている吸収体71,72,73にそれぞれ吸収される。
ここで、第1凹部251内に収容された吸収体71は、第1ヘッドユニット201と第2ヘッドユニット202から排出された、ブラックインクとマゼンタインクを吸収可能な、2つのヘッドユニット201,202に共通の吸収体である。そのため、これら2つのヘッドユニット201,202のそれぞれに対して個別に吸収体を設ける場合と比べて、吸収体の数を少なくして部品点数を減らすことができ、コストダウンが可能となる。また、吸収体の取り付け等の工数も減らすことができる。さらに、1つのヘッドユニット201(202)当たりの吸収体のサイズが大きくなり、吸収できる廃液量が増えるという効果もある。例えば、2つのヘッドユニット201,202に対応する吸収体71の幅は、1つのヘッドユニット203(204)に対応する吸収体72(73)の幅の、2倍を超える大きさである。
以上説明した実施形態において、インクジェットプリンタ1が、本発明の「液体吐出装置」に相当する。吸引ポンプ24が、本発明の「吸引装置」に相当する。ブラックインクが本発明の「第1の液体」に相当し、マゼンタインクが本発明の「第2の液体」に相当し、イエローインクが本発明の「第3の液体」に相当し、シアンインクが本発明の「第4の液体」に相当する。また、第1ヘッドユニット201のブラックインクを吐出するノズル30k1が、本発明の「第1ノズル」に相当し、第1ヘッドユニット201のマゼンタインクを吐出するノズル30m1が、本発明の「第2ノズル」に相当する。第2ヘッドユニット202のブラックインクを吐出するノズル30k2が、本発明の「第3ノズル」に相当し、第2ヘッドユニット202のマゼンタインクを吐出するノズル30m2が、本発明の「第4ノズル」に相当する。第3ヘッドユニット203のイエローインクを吐出するノズル30y1が、本発明の「第5ノズル30」に相当し、シアンインクを吐出するノズル30c1が、本発明の「第7ノズル」に相当する。さらに、第4ヘッドユニット204のシアンインクを吐出するノズル30c2が、本発明の「第6ノズル」に相当し、イエローインクを吐出するノズル30y2が、本発明の「第8ノズル」に相当する。
次に、前記実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
1]前記実施形態では、切り替え装置23が、吸引ポンプ24と2以上の凹部25とを同時に連通させることが可能な構成であったが、切り替え装置23が、吸引ポンプ24を、3つの凹部25のうちの1つの凹部25のみと連通させるものであってもよい。この場合、2以上の凹部25について吸引パージを行うときには、これら2以上の凹部25についての吸引パージを、1つずつ順番に行うようにすればよい。
2]前記実施形態では、キャップ21の第1凹部251、第2凹部252、及び、第3凹部253の内部に、それぞれ吸収体71,72,73が収容されているが、このような吸収体が収容されていないキャップ21に対しても、本発明を適用することが可能である。
3]前記実施形態では、4色のインクをそれぞれ吐出するノズル列31が、左右対称に配置されていたが、そうでない形態にも本発明を適用可能である。例えば、図7に示すように、第1ヘッドユニット201と第2ヘッドユニット202の両方において、左側にブラックインクのノズル列31kが配置され、右側にマゼンタインクのノズル列31mが配置されてもよい。つまり、2つのヘッドユニット201,202において、ブラックのノズル列31k1,31k2とマゼンタのノズル列31m1,31m2が、走査方向に交互に並ぶ構成であってもよい。第3ヘッドユニット203と第4ヘッドユニット204も同様であり、例えば、図7に示すように、左側にイエローのノズル列31yが配置され、右側にシアンのノズル列31cが配置される構成であってもよい。
4]2つのヘッドユニット20のノズル30を共通に覆う第1凹部251の、走査方向における幅は、第2凹部252及び第3凹部253よりも大きい。そのため、特に、第1凹部251において、リップ部63のうちの、搬送方向上流側と下流側に位置する部分が、吸引パージ時に作用する負圧によって内側に倒れ込みやすい。そこで、図8に示すように、第1凹部251において、リップ部63の、搬送方向上流側の部分631と下流側の部分632に、それぞれ補強用のリブ80が形成されてもよい。また、上記のリブ80は1つには限られず、複数のリブが設けられてもよい。また、上記リブ80が設けられる代わりに、リップ部63の搬送方向上流側の部分631と下流側の部分632が、それ以外の部分よりも厚みが厚くなっていてもよい。
5]前記実施形態では、キャップ21の第2凹部252と第3凹部253とが、第1凹部251によって分離された構成である。しかし、第3ヘッドユニット203と第4ヘッドユニット204が、共に、シアンインクとイエローインクとを吐出するものである場合には、第2凹部252と第3凹部253のそれぞれにおいて、シアンインクとイエローインクの両方が排出される。つまり、第2凹部252と第3凹部253とが、分離されていようが、連通していようが、凹部252,235内でシアンインクとイエローインクとが混じり合うことには変わりない。そこで、第2凹部252と第3凹部253とが繋がった構成が採用されてもよい。例えば、図9に示すように、キャップ21の、搬送方向上流側部分に、第2凹部252と第3凹部253とを連通させる連通凹部254が形成されてもよい。
尚、キャップ21内に、フラッシングのための吸収体が収容される場合、図9に示すように、連通凹部254内にも吸収体74が収容されることが好ましい。さらに、この連通凹部254内の吸収体74は、第2凹部252内の吸収体72、及び、第3凹部253内の吸収体73と繋がって一体化されていることが好ましい。これにより、ヘッドユニット203,204の各々について、1つ当たりの吸収体のサイズを大きくすることができる。
6]インクジェットヘッド4のヘッドユニット20の数は4つに限られず、インクジェットヘッド4が、5以上のヘッドユニット20を有する構成であってもよい。例えば、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローの他に、ライトマゼンタ、ライトシアン等の別の色のインクを吐出する場合には、上記4つのヘッドユニット20の走査方向両側に、ライトマゼンタ、ライトシアンの2色のインクを吐出する2つのヘッドユニット20がそれぞれ配置されてもよい。また、第1ヘッドユニット201と第2ヘッドユニット202との間に、別のインク(例えば、白色インクなど)を吐出するヘッドユニット20が配置されてもよい。
7]前記実施形態では、4つのヘッドユニット20の各々が、2色のインクを吐出するものであるが、外側2つのヘッドユニット203,204については、1色のインクのみを吐出するものであってもよい。例えば、図6において、左側の第3ヘッドユニット203が、イエローインクを吐出するノズル列31yのみを有するものであり、右側に位置する第4ヘッドユニット204が、シアンインクを吐出するノズル列31cのみを有するものであってもよい。
8]前記実施形態では、4つのヘッドユニット20が互いに分離されているが、ヘッドユニット20を構成する部材の少なくとも一部が一体化されていてもよい。即ち、1つのインクジェットヘッドが、複数のヘッドユニットにそれぞれ個別に設けられた複数の第1部材と、複数のヘッドユニットにわたって設けられた共通の第2部材とを有する構成であってもよい。より具体的には、ヘッドユニット20のうちの、図4に示される、第1流路基板46、第2流路基板47、ノズルプレート48のうちの、少なくとも1種類の流路部材が、隣接するヘッドユニット20にわたって設けられた共通の第2部材であってもよい。
例えば、図10のインクジェットヘッド84では、圧力室51が形成された第1流路基板46と、ノズル30が形成されたノズルプレート48は、4つのヘッドユニット90のそれぞれに個別に設けられている。即ち、第1流路基板46とノズルプレート48が、上記の第1部材に相当する。一方、マニホールド52が形成された第2流路基板87が、4つのヘッドユニット90の間で共通化されている。つまり、第2流路基板87が前記の第2部材に相当する。別の言い方をすれば、1つのヘッドユニット90は、第1流路基板46及びノズルプレート48と、第2流路基板87のうちの、図10の2本の二点鎖線で区切られる部分を含む。また、インク供給流路44が形成され、ヘッドユニット90を保持するホルダ部材91も、4つのヘッドユニット90で共通化されてもよい。
あるいは、第1流路基板46のみが、4つのヘッドユニット90のそれぞれに個別に設けられ、第2流路基板とノズルプレートとが、4つのヘッドユニットで共通化されてもよい。あるいは、ノズルプレート48のみが、4つのヘッドユニット90のそれぞれに個別に設けられ、第1流路基板と第2流路基板とが、4つのヘッドユニットで共通化されてもよい。
以上説明した実施形態及びその変更形態は、本発明を、記録用紙にインクを吐出して画像等を印刷するインクジェットヘッドに適用したものであるが、画像等の印刷以外の様々な用途で使用される液体吐出装置においても本発明は適用されうる。例えば、基板に導電性の液体を吐出して、基板表面に導電パターンを形成する液体吐出装置などにも、本発明を適用することは可能である。