JP2004248795A - 電気圧力鍋 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】温度センサー12による検出温度に基づいて圧力調理を行うべくIHコイル9の出力を制御する出力制御手段を備えた電気圧力鍋において、前記出力制御手段による圧力調理中に前記IHコイル9の出力を低減していないにもかかわらず前記温度センサー12による検出温度が低下した場合に圧力異常を報知する報知手段を付設して、蓋パッキン(シールパッキン22)の取付不良等に起因して圧力容器2の圧力が上昇するにしたがって圧力抜けが発生した場合には、当該事実が報知手段によりユーザに報知されるようにしている。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、電気圧力鍋に関し、さらに詳しくは電気圧力鍋における圧力異常時の対策に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、圧力鍋を用いて圧力調理する場合、圧力容器内に被加熱物を収容して加熱手段により沸騰温度(例えば、130℃)まで加熱し、この状態を維持することにより圧力容器内を加圧状態として被加熱物を圧力調理するのが通例であり、圧力調理中においては前記沸騰温度を維持するように加熱手段の出力制御が行われることとなっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開昭61−146217号公報。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、圧力鍋を用いて圧力調理する場合、圧力調理開始時には正確に圧力がかかる場合であっても、蓋パッキンの取付不良等に起因して圧力容器の圧力が上昇するにしたがって圧力抜けが発生することがあるし、蓋パッキンの取付忘れ・破損とか取付不良、あるいは圧力調整機構として作用させるため蒸気抜き穴に取り付けられる重りの取付不良等により圧力調理の開始時から圧力容器内の圧力が上昇せず、所定の沸騰維持温度に到達しないことがある。このような圧力異常(換言すれば、圧力不足)が発生したままで、圧力調理を定められた時間だけ行うと、被加熱物(即ち、調理物)の出来上がり状態が悪くなってしまう。
【0005】
また、加熱装置に対して鍋を取り外し可能に構成し、圧力容器を用いた圧力調理とガラス蓋などを有する鍋を用いた普通調理(この場合、鍋内は略大気圧とされる)とが行えるようにしたものもあるが、この場合、圧力容器を用いて普通調理を行うと、必要以上の加熱により圧力容器内の圧力が異常に上昇し、多量の蒸気が蒸気バルブから噴出するおそれがあり、安全性が問題となる。
【0006】
また、加熱手段の出力を制御する出力制御手段としての機能を有するマイコンに不具合が発生した場合にも、必要以上の加熱により圧力容器内の圧力が異常に上昇し、多量の蒸気が蒸気バルブから噴出するおそれがあり、安全性が問題となる。
【0007】
本願発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、圧力容器内に圧力異常が生じた場合にこれを温度異常として検知し、当該事実をユーザに報知することにより、最適な対応ができるようにすることを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本願発明では、上記課題を解決するための第1の手段として、被加熱物を収容する圧力容器と、該圧力容器を加熱する加熱手段と、前記圧力容器の温度を検出する温度検出手段と、該温度検出手段による検出温度に基づいて圧力調理を行うべく前記加熱手段の出力を制御する出力制御手段とを備えた電気圧力鍋において、前記出力制御手段による圧力調理中に前記加熱手段の出力を低減していないにもかかわらず前記温度検出手段による検出温度が低下した場合に圧力異常を報知する報知手段を付設している。
【0009】
上記のように構成したことにより、蓋パッキンの取付不良等に起因して圧力容器の圧力が上昇するにしたがって圧力抜けが発生した場合(即ち、加熱手段の出力を低減していないにもかかわらず温度検出手段による検出温度が低下した場合)には、当該事実が報知手段によりユーザに報知されることとなる。従って、ユーザは最適な対応を行うことができる。
【0010】
本願発明では、上記課題を解決するための第2の手段として、被加熱物を収容する圧力容器と、該圧力容器を加熱する加熱手段と、前記圧力容器の温度を検出する温度検出手段と、該温度検出手段による検出温度に基づいて圧力調理を行うべく前記加熱手段の出力を制御する出力制御手段とを備えた電気圧力鍋において、前記出力制御手段による圧力調理開始後所定時間が経過しても前記温度検出手段による検出温度が所定温度まで上昇しない場合に圧力異常を報知する報知手段を付設している。
【0011】
上記のように構成したことにより、蓋パッキンの取付忘れ・破損とか取付不良、あるいは圧力調整機構として作用させるため蒸気抜き穴に取り付けられる重りの取付不良等により圧力調理の開始時から圧力容器内の圧力が上昇せず、所定の沸騰温度に到達しない場合(圧力調理開始後所定時間が経過しても温度検出手段による検出温度が所定温度まで上昇しない場合)には、当該事実が報知手段によりユーザに報知されることとなる。従って、ユーザは最適な対応を行うことができる。
【0012】
本願発明では、上記課題を解決するための第3の手段として、被加熱物を収容する圧力容器と、該圧力容器を加熱する加熱手段と、前記圧力容器の温度を検出する温度検出手段と、該温度検出手段による検出温度に基づいて圧力調理を行うべく前記加熱手段の出力を制御する出力制御手段とを備えた電気圧力鍋において、前記出力制御手段による出力制御を行わない普通調理中に前記温度検出手段による検出温度が異常温度にまで上昇した場合に前記加熱手段による加熱を停止しあるいは前記加熱手段の出力を低減する加熱制御手段と、該加熱制御手段の作動と同時に圧力異常を報知する報知手段とを付設している。
【0013】
上記のように構成したことにより、圧力容器を用いて普通調理を行った場合(普通調理中に温度検出手段による検出温度が異常温度にまで上昇した場合)には、加熱手段による加熱を停止しあるいは加熱手段の出力を低減すると同時に、当該事実が報知手段によりユーザに報知されることとなる。従って、必要以上の加熱により圧力容器内の圧力が異常に上昇することがなくなり、安全性が向上するとともに、ユーザは最適な対応を行うことができる。
【0014】
本願発明では、上記課題を解決するための第4の手段として、被加熱物を収容する圧力容器と、該圧力容器を加熱する加熱手段と、前記圧力容器の温度を検出する温度検出手段と、該温度検出手段による検出温度に基づいて圧力調理を行うべく前記加熱手段の出力を制御する出力制御手段とを備えた電気圧力鍋において、前記出力制御手段による圧力調理中に前記温度検出手段による検出温度が所定温度を超えて上昇し続けた場合に前記加熱手段による加熱を停止しあるいは前記加熱手段の出力を低減する加熱制御手段と、該加熱制御手段の作動と同時に圧力異常を報知する報知手段とを付設している。
【0015】
上記のように構成したことにより、加熱手段の出力を制御する出力制御手段としての機能を有するマイコンに不具合が発生した場合(即ち、圧力調理中に温度検出手段による検出温度が所定温度を超えて上昇し続けた場合)には、加熱手段による加熱を停止しあるいは加熱手段の出力を低減すると同時に、当該事実が報知手段によりユーザに報知されることとなる。従って、必要以上の加熱により圧力容器内の圧力が異常に上昇することがなくなり、安全性が向上するとともに、ユーザは最適な対応を行うことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照して、本願発明の幾つかの好適な実施の形態について詳述する。
【0017】
まず、本願発明の実施の形態にかかる電気圧力鍋の構造について、以下に詳述する。
【0018】
この電気圧力鍋は、図1ないし図3に示すように、加熱装置として作用する本体1と、該本体1に対して着脱自在に載置される圧力容器2とからなっている。
【0019】
前記本体1は、合成樹脂製の上面板3と、合成樹脂製の底板4と、前記上面板3と底板4との間に空気流通空間6を形成するように介設される非磁性体金属(例えば、アルミ合金等)からなる胴板5とからなっている。該胴板5の一部は、切り欠涸れており、該切欠部には、前記底板4から一体に立ち上がる操作パネル部7が設けられている。
【0020】
前記上面板3の外周部には、前記圧力容器2の位置決めを行う位置決め部8が形成されている。また、前記上面板3の中央部には、加熱手段として作用する電磁誘導コイル(以下、IHコイルという)9を配設するためのコイルダイ10が一体に形成されている。
【0021】
また、前記上面板3上には、セラミックプレート11が水密状態で載置固定されている。前記コイルダイ10の中心部には、前記圧力容器2の温度Tを検出する温度検出手段として作用する温度センサー12が設け照られている。この温度センサー12は、圧力容器2の温度Tをセラミックプレート11の穴11aを介して直接検出されることとなっている。
【0022】
前記本体1内の空間部6の底部には、電源・制御基板13が水平に配置されており、該電源・制御基板13の上面に位置して電源・制御基板13に配設された電子部品(例えば、IGBT等)を冷却するためのヒートシンク14が設けられている。該ヒートシンク14は、前向き平行に形成された多数の放熱フィン14a,14a・・を有している。そして、このヒートシンク14の背面側には、該ヒートシンク14側に吹出口を有する冷却ファン15が配設されている。
【0023】
前記操作パネル部7の背面側には、各種操作スイッチ類および操作基板が配設される。
【0024】
前記圧力容器2は、被加熱物(即ち、調理物)を収容する容器本体(換言すれば、鍋)16と該容器本体16の上部開口部を密閉する圧力蓋17とからなっており、該圧力蓋17には、圧力調整機構18および加圧状態を表示する圧力表示ピン19とを備えている。前記圧力調整機構18は、前記圧力蓋17の中心部に形成された蒸気抜きパイプ18aと、該蒸気抜きパイプ18aに被嵌される重り18bとからなっており、重り18bの重さに対応して蒸気の排出量(換言すれば、圧力容器2の内圧)を調整できるようになっている。また、前記圧力表示ピン19は、圧力容器2内が所定圧力以上に上昇すると、突出する構成とされており、圧力表示ピン19の突出によりユーザは圧力容器2内の内圧が所定値以上に上昇していることを確認できるようになっている。
【0025】
符号20,21は容器本体16側および圧力蓋17側に設けられた把手であり、該両把手20,21を、図1および図2に示すように、一致させた状態において容器本体16に対して圧力蓋17がヘリコイド(図示省略)により係合されることとなっている。符号22はシールパッキンである。
【0026】
なお、本実施の形態にかかる電気圧力鍋においては、前記圧力蓋17に代えてガラス蓋(図示省略)を用いることにより、圧力容器2の内圧を略大気圧とした普通調理(換言すれば、非加圧調理)を行うこともできる。
【0027】
前記操作パネル部7には、図1に示すよう、調理スタートキー23、取消キー24、圧力選択キー25、オートメニュー選択キー26、アップ・ダウンキー27A,27Bおよび液晶表示装置28が設けられている。前記圧力選択キー25を1回押圧操作すると圧力調理が選択され、2回押圧操作すると普通調理(即ち、非加圧調理)が選択されることとなっている。前記液晶表示装置28には、調理時間等を表示する時間表示部28aと、メニュー選択時のメニュー表示(液晶表示装置28aの周囲に表示されている)を指示する指標28bおよび保温状態表示部28c等が設けられている。
【0028】
次に、本実施の形態にかかる電気圧力鍋における電気的要素について図4を参照して説明する。既に説明した電気的要素については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0029】
図4において、符号29は交流電源、30は整流回路、31は温度ヒューズ、32は平滑コンデンサ、33は共振コンデンサ、34はIGBT、35は同期トリガ回路、36はマイコン制御ユニット(CPU)、37はIGBT駆動回路、38はPWM回路、39は表示部、40は操作部、41はセンサ入力回路、42は報知手段として作用するブザーである。
【0030】
前記マイコン制御ユニット36は、操作部40、PWM回路38およびセンサ入力回路41から入力される各種情報信号に基づいて各種演算処理を行い、その結果を制御信号として表示部39、IGBT駆動回路37、PWM回路38およびブザー42に出力することとなっている。
【0031】
(I) 圧力漏れ検知
図5には、圧力漏れ時における検知および報知制御にかかるフローチャートが示されている。
【0032】
ステップS1においてIHコイル9が100%の出力で通電されると(即ち、圧力調理が開始されると)、ステップS2において温度センサー12からの検出温度Tがマイコン制御ユニット36に入力され、ステップS3において当該検出温度Tと圧力調理開始温度である130℃との比較がなされ、ここで、T≧130℃と判定された場合には、ステップS4において圧力調理タイマがスタートされる。T<130℃と判定されている間は、ステップS1に戻り、IHコイル9による加熱が継続される。
【0033】
ついで、ステップS5において検出温度Tと圧力調理温度である130℃との比較がなされ、ここで、T≧130℃と判定された場合には、ステップS6においてIHコイル9への通電が停止され、T<130℃と判定された場合には、ステップS7においてIHコイル9への通電が開始される。つまり、検出温度Tを130℃に維持する沸騰維持制御が行われるのである。
【0034】
上記制御中にステップS8において検出温度Tと圧力漏れ検知温度である110℃との比較がなされ、ここで、T>110℃と判定された場合には、圧力漏れ無しとしてステップS9において圧力調理タイマの時限が経過した否かの判定がなされる。ここで、肯定判定されると、圧力調理が終了したとして、ステップS10においてIHコイル9への通電が停止され、ステップS11においてブザー42を吹鳴させることにより、終了報知が行われ、その後制御は終了するが、否定判定された場合には、ステップS5に戻り、IHコイル9による加熱制御が継続される。
【0035】
一方、ステップS8においてT≦110℃と判定されると、ステップS12においてIHコイル9への通電が停止され、ステップS13において圧力漏れ報知がブザー42の吹鳴により行われ、その後制御は終了する。
【0036】
なお、ブザー42による報知は、圧力調理終了報知と圧力漏れ報知とで音量あるいは音調等を異ならせるのが望ましい。
【0037】
上記したように、この場合、圧力調理中にIHコイル9の出力を低減していないにもかかわらず温度センサー12による検出温度Tが低下した場合に圧力異常を報知するようになっている。この時の検知温度Tの時間的変化は、図6のタイムチャートに示す通りである。
【0038】
上記のようにしたことにより、蓋パッキン(即ち、シールパッキン22)の取付不良等に起因して圧力容器2の圧力が上昇するにしたがって圧力抜けが発生した場合(即ち、IHコイル9の出力を低減していないにもかかわらず温度センサー9による検出温度Tが低下した場合)には、当該事実がブザー42の吹鳴によりユーザに報知されることとなる。従って、ユーザは最適な対応(例えば、圧力調理を続行しつつ圧力調理時間を延長する等)を行うことができる。
【0039】
(II) 圧力非上昇検知
図7には、圧力非上昇時における検知および報知制御にかかるフローチャートが示されている。
【0040】
ステップS1においてタイマがスタートされ、ステップS2においてIHコイル9が100%の出力で通電されると(即ち、圧力調理が開始されると)、ステップS3において温度センサー12からの検出温度Tがマイコン制御ユニット36に入力され、ステップS4において当該検出温度Tと圧力調理開始温度である130℃との比較がなされ、ここで、T≧130℃と判定された場合には、ステップS5に進んで圧力調理タイマがスタートされる。
【0041】
ついで、ステップS6において検出温度Tと圧力調理温度である130℃との比較がなされ、ここで、T≧130℃と判定された場合には、ステップS7においてIHコイル9への通電が停止され、T<130℃と判定された場合には、ステップS8においてIHコイル9への通電が開始される。つまり、検出温度Tを130℃に維持する沸騰維持制御が行われるのである。ステップS6においてT<130℃と判定されている間は、ステップS6に戻り、IHコイル9による加熱が継続される。
【0042】
ステップS9において圧力調理タイマの時限が経過した否かの判定がなされる。ここで、肯定判定されると、圧力調理が終了したとして、ステップS10においてIHコイル9への通電が停止され、ステップS11においてブザー42を吹鳴させることにより、終了報知が行われ、その後制御は終了する。
【0043】
一方、ステップS4においてT<130℃と判定された場合には、ステップS12に進み、タイマの時限が経過したか否かの判定がなされ、ここで、否定判定されている間はステップS2に戻り、IHコイル9による加熱が継続されるが、肯定判定されると、ステップS13において圧力エラー(即ち、圧力容器2内の圧力が非上昇状態にある)と判断し、ステップS14にある液晶表示装置28にエラー表示がなされる。
【0044】
ついで、ステップS15において圧力調理時間(即ち、圧力調理タイマの時限)が2倍に設定し直され、ステップS16において圧力調理タイマが再びスタートされる。
【0045】
次に、ステップS17において検出温度Tと圧力非上昇状態での沸騰温度である100℃との比較がなされ、ここで、T≧100℃と判定された場合には、ステップS18においてIHコイル9への通電が停止され、T<100℃と判定された場合には、ステップS19においてIHコイル9への通電が開始される。つまり、検出温度Tを100℃に維持する制御が行われるのである。
【0046】
ステップS20において圧力調理タイマの時限が経過した否かの判定がなされる。ここで、肯定判定されると、圧力調理が終了したとして、ステップS21においてIHコイル9への通電が停止され、ステップS22においてブザー42を吹鳴させることにより、終了報知が行われるが、否定判定された場合には、ステップS17に戻り、IHコイル9による加熱制御が継続される。
【0047】
その後、ステップS23において液晶表示装置28にエラー表示がなされ、ステップS24において取消キーがON操作されたと確認されると、ステップS25において液晶表示装置28へのエラー表示が消灯され、その後制御は終了する。
【0048】
上記したように、この場合、圧力調理開始後所定時間(即ち、タイマの時限)が経過しても温度センサー12による検出温度Tが所定温度(例えば、圧力調理開始温度=130℃)まで上昇しない場合に圧力異常を報知することとなっている。
【0049】
上記のようにしたことにより、蓋パッキン(シールパッキン22)の取付忘れ・破損とか取付不良、あるいは圧力調整機構18として作用させるため蒸気抜きパイプ18aに取り付けられる重り18bの取付不良等により圧力調理の開始時から圧力容器2内の圧力が上昇せず、所定の沸騰温度に到達しない場合(圧力調理開始後所定時間が経過しても温度センサー12の検出温度Tが所定温度=130℃まで上昇しない場合)には、当該事実がブザー42によりユーザに報知されることとなる。従って、ユーザは最適な対応を行うことができる。この場合、圧力調理時間を2倍に延長して調理を行うようにしている。
【0050】
(III) 鍋誤使用検知
図8には、鍋誤使用時における検知および報知制御にかかるフローチャートが示されている。
【0051】
ステップS1において普通調理パターンが選択された状態でIHコイル9が100%の出力で通電されると、ステップS2において温度センサー12からの検出温度Tがマイコン制御ユニット36に入力され、ステップS3において出力調整キー(図示省略)が押し下げ操作されたか否かの判定がなされ、ここで肯定判定された場合には、ステップS4において出力変更処理が行われた後に、ステップS5に進むが、否定判定された場合(即ち、普通調理が続行された場合)には、そのままステップS5に進む。
【0052】
ステップS5において取消キー24が押し下げ操作されたか否かの判定がなされ、ここで肯定判定された場合には、ステップS6においてIHコイル9への通電が停止され、ステップS7においてブザー42の吹鳴による警告表示がなされ、その後制御は終了する。
【0053】
一方、ステップS5による否定判定された場合には、ステップS8において温度センサー12の検出温度Tと所定温度(即ち、加圧状態の沸騰温度=120℃)との比較がなされ、ここで、T<120℃と判定された場合には、ステップS1に戻るが、T≧120℃と判定された場合には、ステップS9においてIHコイル9への通電が停止され、ステップS10において圧力容器2が検出されたことが確認され、ステップS11において誤使用がブザー42の吹鳴によりユーザに報知される。
【0054】
なお、この場合にも、ブザー42による報知は、圧力調理終了報知と圧力異常報知とで音量あるいは音調等を異ならせるのが望ましい。
【0055】
上記したように、この場合、普通調理中に温度センサー12による検出温度Tが異常温度(=120℃)にまで上昇した場合にIHコイル9による加熱を停止すると同時に、圧力異常をブザー42の吹鳴により報知することとなっている。なお、IHコイル9への通電停止に代えて出力低減とすることもできる。
【0056】
上記のようにしたことにより、圧力容器2を用いて普通調理を行った場合(普通調理中に温度センサー12による検出温度Tが異常温度=120℃にまで上昇した場合)には、IHコイル9による加熱を停止しあるいは出力を低減すると同時に、当該事実がブザー42の吹鳴によりユーザに報知されることとなる。従って、必要以上の加熱により圧力容器2内の圧力が異常に上昇することがなくなり、安全性が向上するとともに、ユーザは最適な対応を行うことができる。
【0057】
(IV) マイコン制御ユニット36の故障検知
図9には、マイコン制御ユニット36の故障時の検知・報知制御にかかるフローチャートが示されている。
【0058】
ステップS1においてIHコイル9が100%の出力で通電されると(即ち、圧力調理が開始されると)、ステップS2において温度センサー12からの検出温度Tがマイコン制御ユニット36に入力され、ステップS3において当該検出温度Tと圧力調理開始温度である130℃との比較がなされ、ここで、T≧130℃と判定された場合には、ステップS4において圧力調理タイマがスタートされる。T<130℃と判定されている間は、ステップS1に戻り、IHコイル9による加熱が継続される。
【0059】
ついで、ステップS5において検出温度Tと圧力調理温度である130℃との比較がなされ、ここで、T≧130℃と判定された場合には、ステップS6においてIHコイル9への通電が停止されているか否かの判定がなされ、ここで、肯定判定された場合には、ステップS8において圧力調理タイマの時限が経過したか否かの判定がなされ、ここで否定判定されると、ステップS5に戻り、同様な制御が繰り返されるが、ステップS5においてT<130℃と判定された場合には、ステップS7においてIHコイル9への通電が開始される。つまり、圧力調理タイマの時限が経過するまで、検出温度Tを130℃に維持する制御が行われることとなっているのである。
【0060】
ステップS8において肯定判定されると、ステップS9においてIHコイル9への通電が停止され、ステップS10においてブザー42を吹鳴させることにより、終了報知が行われ、その後制御は終了する。
【0061】
一方、ステップS6において否定判定された場合には、ステップS11においてIHコイル9への通電が停止され、ステップS12においてマイコン制御ユニット36の故障がブザー42の吹鳴により報知される、その後制御は終了する。
【0062】
なお、この場合にも、ブザー42による報知は、圧力調理終了報知と故障報知とで音量あるいは音調等を異ならせるのが望ましい。
【0063】
上記したように、この場合、圧力調理中に温度センサー12による検出温度Tが所定温度=130℃を超えて上昇し続けた場合にIHコイル9による加熱を停止すると同時に、圧力異常をブザー42の吹鳴により報知することとなっている。なお、IHコイル9への通電停止に代えて出力低減とすることもできる。
【0064】
上記のようにしたことにより、IHコイル9の出力を制御する出力制御手段としての機能を有するマイコン制御ユニット36に不具合が発生した場合(即ち、圧力調理中に温度センサー12による検出温度Tが所定温度=130℃を超えて上昇し続けた場合)には、IHコイル9による加熱を停止しあるいは出力を低減すると同時に、当該事実がブザー42の吹鳴によりユーザに報知されることとなる。従って、必要以上の加熱により圧力容器2内の圧力が異常に上昇することがなくなり、安全性が向上するとともに、ユーザは最適な対応を行うことができる。
【0065】
なお、上記実施の形態においては、報知手段としてブザー42を採用しているが、液晶表示装置28への文字表示、音声表示等を採用することもできる。
【0066】
【発明の効果】
本願発明の第1の手段によれば、被加熱物を収容する圧力容器と、該圧力容器を加熱する加熱手段と、前記圧力容器の温度を検出する温度検出手段と、該温度検出手段による検出温度に基づいて圧力調理を行うべく前記加熱手段の出力を制御する出力制御手段とを備えた電気圧力鍋において、前記出力制御手段による圧力調理中に前記加熱手段の出力を低減していないにもかかわらず前記温度検出手段による検出温度が低下した場合に圧力異常を報知する報知手段を付設して、蓋パッキン(シールパッキン)の取付不良等に起因して圧力容器の圧力が上昇するにしたがって圧力抜けが発生した場合(即ち、加熱手段の出力を低減していないにもかかわらず温度検出手段による検出温度が低下した場合)には、当該事実が報知手段によりユーザに報知されるようにしたので、ユーザは最適な対応を行うことができるという効果がある。
【0067】
本願発明の第2の手段によれば、被加熱物を収容する圧力容器と、該圧力容器を加熱する加熱手段と、前記圧力容器の温度を検出する温度検出手段と、該温度検出手段による検出温度に基づいて圧力調理を行うべく前記加熱手段の出力を制御する出力制御手段とを備えた電気圧力鍋において、前記出力制御手段による圧力調理開始後所定時間が経過しても前記温度検出手段による検出温度が所定温度まで上昇しない場合に圧力異常を報知する報知手段を付設して、蓋パッキン(シールパッキン)の取付忘れ・破損とか取付不良、あるいは圧力調整機構として作用させるため蒸気抜き穴に取り付けられる重りの取付不良等により圧力調理の開始時から圧力容器内の圧力が上昇せず、所定の沸騰温度に到達しない場合(圧力調理開始後所定時間が経過しても温度検出手段による検出温度が所定温度まで上昇しない場合)には、当該事実が報知手段によりユーザに報知されるようにしたので、ユーザは最適な対応を行うことができるという効果がある。
【0068】
本願発明の第3の手段によれば、被加熱物を収容する圧力容器と、該圧力容器を加熱する加熱手段と、前記圧力容器の温度を検出する温度検出手段と、該温度検出手段による検出温度に基づいて圧力調理を行うべく前記加熱手段の出力を制御する出力制御手段とを備えた電気圧力鍋において、前記出力制御手段による出力制御を行わない普通調理中に前記温度検出手段による検出温度が異常温度にまで上昇した場合に前記加熱手段による加熱を停止しあるいは前記加熱手段の出力を低減する加熱制御手段と、該加熱制御手段の作動と同時に圧力異常を報知する報知手段とを付設して、圧力容器を用いて普通調理を行った場合(普通調理中に温度検出手段による検出温度が異常温度にまで上昇した場合)には、加熱手段による加熱を停止しあるいは加熱手段の出力を低減すると同時に、当該事実が報知手段によりユーザに報知されるようにしたので、必要以上の加熱により圧力容器内の圧力が異常に上昇することがなくなり、安全性が向上するとともに、ユーザは最適な対応を行うことができるという効果がある。
【0069】
本願発明の第4の手段によれば、被加熱物を収容する圧力容器と、該圧力容器を加熱する加熱手段と、前記圧力容器の温度を検出する温度検出手段と、該温度検出手段による検出温度に基づいて圧力調理を行うべく前記加熱手段の出力を制御する出力制御手段とを備えた電気圧力鍋において、前記出力制御手段による圧力調理中に前記温度検出手段による検出温度が所定温度を超えて上昇し続けた場合に前記加熱手段による加熱を停止しあるいは前記加熱手段の出力を低減する加熱制御手段と、該加熱制御手段の作動と同時に圧力異常を報知する報知手段とを付設して、加熱手段の出力を制御する出力制御手段としての機能を有するマイコンに不具合が発生した場合(即ち、圧力調理中に温度検出手段による検出温度が所定温度を超えて上昇し続けた場合)には、加熱手段による加熱を停止しあるいは加熱手段の出力を低減すると同時に、当該事実が報知手段によりユーザに報知されるようにしたので、必要以上の加熱により圧力容器内の圧力が異常に上昇することがなくなり、安全性が向上するとともに、ユーザは最適な対応を行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の実施の形態にかかる電気圧力鍋の正面図である。
【図2】本願発明の実施の形態にかかる電気圧力鍋の縦断側面図である。
【図3】本願発明の実施の形態にかかる電気圧力鍋の縦断正面図である。
【図4】本願発明の実施の形態にかかる電気圧力鍋における電気的要素の結線図である。
【図5】本願発明の実施の形態にかかる電気圧力鍋における圧力漏れ検知時の制御の内容を示すフローチャートである。
【図6】本願発明の実施の形態にかかる電気圧力鍋における圧力漏れ検知時の温度変化を示すタイムチャートである。
【図7】本願発明の実施の形態にかかる電気圧力鍋における圧力非上昇時の制御の内容を示すフローチャートである。
【図8】本願発明の実施の形態にかかる電気圧力鍋における鍋誤使用時の制御の内容を示すフローチャートである。
【図9】本願発明の実施の形態にかかる電気圧力鍋におけるマイコン制御ユニットの故障時の制御の内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1は本体、2は圧力容器、9は電磁誘導コイル(IHコイル)、12は温度検出手段(温度センサー)、16容器本体、17は圧力蓋、18は圧力調整機構、22はシールパッキン、28は液晶表示装置、36はマイコン制御ユニット、42は報知手段(ブザー)。
Claims (4)
- 被加熱物を収容する圧力容器と、該圧力容器を加熱する加熱手段と、前記圧力容器の温度を検出する温度検出手段と、該温度検出手段による検出温度に基づいて圧力調理を行うべく前記加熱手段の出力を制御する出力制御手段とを備えた電気圧力鍋であって、前記出力制御手段による圧力調理中に前記加熱手段の出力を低減していないにもかかわらず前記温度検出手段による検出温度が低下した場合に圧力異常を報知する報知手段を付設したことを特徴とする電気圧力鍋。
- 被加熱物を収容する圧力容器と、該圧力容器を加熱する加熱手段と、前記圧力容器の温度を検出する温度検出手段と、該温度検出手段による検出温度に基づいて圧力調理を行うべく前記加熱手段の出力を制御する出力制御手段とを備えた電気圧力鍋であって、前記出力制御手段による圧力調理開始後所定時間が経過しても前記温度検出手段による検出温度が所定温度まで上昇しない場合に圧力異常を報知する報知手段を付設したことを特徴とする電気圧力鍋。
- 被加熱物を収容する圧力容器と、該圧力容器を加熱する加熱手段と、前記圧力容器の温度を検出する温度検出手段と、該温度検出手段による検出温度に基づいて圧力調理を行うべく前記加熱手段の出力を制御する出力制御手段とを備えた電気圧力鍋であって、前記出力制御手段による出力制御を行わない普通調理中に前記温度検出手段による検出温度が異常温度にまで上昇した場合に前記加熱手段による加熱を停止しあるいは前記加熱手段の出力を低減する加熱制御手段と、該加熱制御手段の作動と同時に圧力異常を報知する報知手段とを付設したことを特徴とする電気圧力鍋。
- 被加熱物を収容する圧力容器と、該圧力容器を加熱する加熱手段と、前記圧力容器の温度を検出する温度検出手段と、該温度検出手段による検出温度に基づいて圧力調理を行うべく前記加熱手段の出力を制御する出力制御手段とを備えた電気圧力鍋であって、前記出力制御手段による圧力調理中に前記温度検出手段による検出温度が所定温度を超えて上昇し続けた場合に前記加熱手段による加熱を停止しあるいは前記加熱手段の出力を低減する加熱制御手段と、該加熱制御手段の作動と同時に圧力異常を報知する報知手段とを付設したことを特徴とする電気圧力鍋。
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