JP2004248590A - 乳成分含有ゲル状食品及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】内容成分が均質で「荒れる」という現象が生じておらず、きめが細かく舌触りのよい食感を有する、乳原料、ゲル化剤及びステアロイル乳酸塩を含有する乳成分含有ゲル状食品の提供、及びその製造法の提供。
【解決手段】乳原料、ゲル化剤及びステアロイル乳酸塩を含有する乳成分含有ゲル状食品であって、ステアロイル乳酸塩を含有することを特徴とする食品、好ましくはプリンなどのチルドデザート。ステアロイル乳酸塩を配合する工程を含み、緩慢冷却工程を含むことを特徴とする乳成分含有ゲル状食品の製造方法。
【解決手段】乳原料、ゲル化剤及びステアロイル乳酸塩を含有する乳成分含有ゲル状食品であって、ステアロイル乳酸塩を含有することを特徴とする食品、好ましくはプリンなどのチルドデザート。ステアロイル乳酸塩を配合する工程を含み、緩慢冷却工程を含むことを特徴とする乳成分含有ゲル状食品の製造方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乳成分含有ゲル状食品及びその製造方法に関する。詳細には、本発明は、内容成分が均質で「荒れる」という現象が生じておらず、きめが細かく舌触りのよい食感を有する乳成分含有ゲル状食品、好適にはチルドデザートであるプリン、ムース、ババロア、乳成分含有ゼリーまたは杏仁豆腐等に関する。
【0002】
また、本発明は乳成分含有ゲル状食品を、製造工程で「荒れ」を発生させずにきめ細かで滑らかな食感を呈するように製造する方法に関する。
【0003】
なお、本発明でいう「荒れる」及び「荒れ」とは、乳由来の蛋白質が凝集すること等によって内容成分の均質性が損なわれること及びその均質性が損なわれた状態を意味する。その結果、「荒れた」食品は、外見上、内容成分が凝集・混濁・懸濁したようなざらざらした質感を呈するとともに、舌触りも悪くなり、さらに凝集成分の沈降等によって味が不均一となり、商品価値が著しく損なわれている。
【0004】
【従来の技術】従来から、乳原料を含有する乳成分含有ゲル状食品は、その製造において、100℃以上で加熱殺菌した組成物を最終商品の容器へ充填した後、直ちに10℃以下まで急冷しなければ「荒れ」が生じてしまい、商品価値を著しく損なうことが知られている。
【0005】
しかし、かかる急冷処理は大がかりな急冷装置を必要とし、また光熱費がかかる等の問題がある。また、「荒れ」の現象を防止するには冷却速度が重要なファクターとなるが、特に比較的大きな製品を製造する場合は製品の内部域と外部域とでは冷却むらが生じるため、厳しい管理が要求されている。
【0006】
このため、従来から、簡便でかつ低コストに製造でき、多くの食品に応用できる方法の開発が求められていた。
【0007】
また、プリン等の乳成分含有ゲル状食品については、UHT殺菌等の加熱工程を必要とするため、蛋白質の凝集や沈殿が生じ、ゲルが荒れることがある。この荒れは、乳由来の蛋白質が凝集すること等によって内容成分の均質性が損なわれること及びその均質性が損なわれた状態を意味するが、荒れた乳成分含有ゲル状食品は、通常、外見上、内容成分が凝集・混濁・懸濁したようなざらざらした質感を呈している。また、舌触りも悪く、さらに凝集成分の沈降等によって味が不均一となり、その結果、商品価値が著しく損なわれるという問題がある。
【0008】
よって、これら乳成分含有ゲル状食品は、チルドで流通されるのが一般的である。ここでチルドとは、一般に−5℃〜10℃の温度領域をいい、この温度帯で製造し、流通、消費する食品をチルド食品と呼んでいる。広義には低温で貯蔵、流通される食品のなかで、冷凍食品を除く全てのものをチルド食品という。
【0009】
また、一部では、レトルト殺菌でもゲルが荒れないゲル状食品も検討がなされ(特許文献1)、ミックスの粘度を上げる方法なども知られているが、得られたゲル状食品が糊っぽい食感となり、プリンやムースのような食感にならないという問題点があった。
【0010】
係る問題点を解消するため、従来より様々な検討が行われていた。例えば、ナトリウム塩類を使用してUHT殺菌処理された濃縮牛乳組成物でカスタードプリンの縞模様発生を防止する方法(特許文献2)、プリン原料の混合物に天然ガム質と蛋白質からなる乳化剤で処理したカカオバターを加える方法(特許文献3)が開示されているが、これらの方法では使用原料や配合に制限がある。また、ネイティブジェランガムを添加する方法(特許文献4)も開示されているが、この方法であると食感が制限され、また粘度上昇が生じるため、プリンソース等の充填に問題が発生することがあった。
【0011】
この他、例えば、ゲル化剤として寒天を主として用いれば、チルドデザートの『荒れ』の改善は認められるが、食感がざらざらしたものとなり、つるりとした滑らかな食感が要求される例えばプリン、ムース、ババロア等のチルドデザートには適用できない等、多種多様な食品・チルドデザートの多岐に亘る食感に悪影響を与えることなく、「急冷しなければ荒れる」という現象を充分に改善する技術はこれまで知られていなかった。
【0012】
【特許文献1】特開平11−276136
【特許文献2】特開昭52−25058
【特許文献3】特開平2−303455
【特許文献4】特開平10−136914
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる事情に鑑みて開発されたもので、「荒れ」を生じず内容成分が均質であり食感がきめ細やかな乳成分含有ゲル状食品を提供することを目的とするものである。
【0013】
さらに、本発明は、上記の性質を有する乳成分含有ゲル状食品を簡便かつ低コストで製造する方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねていたところ、乳成分含有ゲル状食品に乳原料、ゲル化剤及びステアロイル乳酸塩を配合することにより、製造に際して、従来は「荒れ」を防止するために必須とされていた急冷工程以外の、緩慢な冷却工程、例えば自然冷却或いは水冷により冷却しても、「荒れ」を全く生じず内容成分が均一で、艶やかできめ細かな舌触りを有した商品価値の高い乳成分含有ゲル状食品が安定して調製できることを見出した。
【0015】
また、更なる研究によって、本発明者らは、従来「荒れ」の問題がなかった乳成分含有ゲル状食品であっても、乳原料、ゲル化剤及びステアロイル乳酸塩を配合することにより、乳原料等の内容成分がより均質にかつ安定に分散されてより一層きめ細かになり、舌触りのよい食感を呈するようになることを確認しており、特に食感の良さが求められる乳成分含有ゲル状食品への広い応用が期待される。
【0016】
すなわち本発明は、乳原料、ゲル化剤及びステアロイル乳酸塩を含有することを特徴とする乳成分含有ゲル状食品に関する。
【0017】
また、本発明は、上記乳成分含有ゲル状食品の中でも、特にプリン、ムース、ババロア、乳成分含有ゼリーまたは杏仁豆腐等のチルドデザートに関する。
【0018】
更に本発明は、乳成分含有ゲル状食品の製造工程において、ステアロイル乳酸塩を加熱殺菌工程前に添加する固化前の乳成分含有ゲル状食品の調製組成物として用い、該乳成分含有ゲル状食品を緩慢冷却により固化させる工程を含む、乳成分含有ゲル状食品の製造方法に関する。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の対象となる乳成分含有ゲル状食品は、少なくとも乳原料、ゲル化剤を利用して調製されるものであり、これらを含有するものであれば特に制限されない。また、常温、冷凍、冷蔵のいずれの状態で製造、貯蔵、流通する製品であってもよいが、好ましくはチルド流通に適した製品である。
【0020】
含有される乳原料としては、牛乳、豆乳及びそれらの加工品等が挙げられ、加工品としては、例えば全脂練乳、脱脂練乳、全脂粉乳、脱脂粉乳などが挙げられる。これらは単独で含まれていてもよいし、また2種以上の組み合わせで含まれていてもよい。また、脱脂乳を含有する場合は、バター、生クリーム、ヤシ油、パーム油等の油成分を含有していてもよい。含まれる乳原料の量は特に制限されないが、通常は、無脂乳固形分で0.1〜30重量%、好ましくは0.3〜15重量%、より好ましくは0.5〜8重量%の範囲が例示される。なお、プリンの場合は3〜8重量%の範囲が特に好ましい。
【0021】
また本発明で用いられるゲル化剤としては、通常食品に使用されるものであれば特に制限されず、食品を液状から固形状態にする作用を有するものであればよく、例えばカラギナン、ローカストビーンガム、キサンタンガム、ファーセレラン、アルギン酸、アルギン酸塩、ペクチン、グアーガム、アラビアガム、ジェランガム、プルラン、寒天、ゼラチン、でんぷん等の天然ガム類が広く例示される。これらは単独で含まれていてもよいし、また2種以上の組み合わせで含まれていてもよい。
【0022】
含まれるゲル化剤の量は、使用されるゲル化剤の種類、製品の種類等に応じて種々選択されるものであり一義的に定めることができないが、製品の一例としてプリンの場合を挙げるとすると、0.05〜4重量%、好ましくは0.1〜2重量%、より好ましくは0.2〜1.5重量%の範囲が例示される。
【0023】
本発明が対象とする乳成分含有ゲル状食品は、上に例示する乳原料を含む内容成分がゲル化剤の作用に基づいて固化してなるものであるが、好適には半固形状物、より好ましくは更にきめ細かでつるりとした滑らかな舌触り・食感が要求されるものである。具体的にはプリン、ムース、ババロア、乳成分含有ゼリー、杏仁豆腐などのいわゆるチルドデザートが例示される。好ましくはチルドデザートであり、より好ましくはプリンである。
【0024】
また、本発明で乳成分含有ゲル状食品とは、上記のような食品加工品のみならず、該食品加工品を調製するための食品組成物をも広く包含するものである。このような食品組成物としては例えばプリン、ムース、ババロア、乳成分含有ゼリー、杏仁豆腐などのチルドデザート調製用の組成物、豆腐類調製用組成物等が挙げられ、その形状は粉末状、顆粒状、液状等、特に制限されない。
【0025】
本発明は、上に挙げるような乳成分含有ゲル状食品であって、その中に乳原料、ゲル化剤及びステアロイル乳酸塩を含有することを特徴とするものである。
【0026】
本発明におけるステアロイル乳酸塩とは、ステアリン酸を主体とする脂肪酸と乳酸類(乳酸同士が重縮合している乳酸重合物を含む)を反応させ、これにカルシウム、もしくはナトリウム等の塩類を結合させたものが主要な成分で、関連する遊離の脂肪酸類や乳酸類およびエステル類とこれらのカルシウム塩類、もしくはナトリウム塩類を含む混合物でも良い。好ましくはステアロイル乳酸ナトリウムである。また、構成脂肪酸は高純度のステアリン酸だけでなく、ステアリン酸を主体としていればパルミチン酸及びその他の高級脂肪酸類を分離精製しない形の混合ステアリン酸(脂肪酸の融点が54℃以上のもの)でもよい。形状は液体、粘調液体、半固体、ペースト、固体等何れの形状のものでもよい。
【0027】
このようなステアロイル乳酸塩は、乳成分含有ゲル状食品の製造工程で添加されることにより、乳成分含有ゲル状食品の味や風味を損なうことなく、製造工程で生じる「荒れ」という現象を防止して、できあがった乳成分含有ゲル状食品の均質性を高め、視覚的に艶やかできめ細かな質感を付与するとともに、つるりとした滑らかな舌触りを付与することができる。また「荒れ」が生じた場合、蛋白質が凝集したざらつきが感じられ、また、外見上もざらざらとした質感を呈したものとなる。
【0028】
特に、チルドデザート等のデザートは、食事の締めくくりに喫食し、飽食時に供されることも多いので、(i)形、色、艶やかさ等の見た目の美しさで食欲をそそること、(ii)食べて美味しいことは勿論、さっぱりしていて喉ごしがよいこと、等が求められる。このことからも、上記の本発明の効果は、品質が高く消費者受けのする商品を提供する上で、極めて有用なものといえる。
【0029】
そして、本発明において特に重要なことは、かかるステアロイル乳酸塩の効果は、製造工程での冷却方法の如何に関わらず、損なわれることがないということである。すなわち、本発明の上記性質を有する乳成分含有ゲル状食品は、ステアロイル乳酸塩を原料の一つとして含むだけで、従来必須であった急冷工程以外の、自然冷却や水冷、空冷等の緩慢な条件下における簡素化工程により、簡便かつ低コストで、安定した品質をもって調製される。
【0030】
以上のことから、本発明は、ステアロイル乳酸塩の「荒れ防止剤」としての用途を提供するものともいえる。
【0031】
本発明の乳成分含有ゲル状食品に含有されるステアロイル乳酸塩の含有量は、乳成分含有ゲル状食品の種類、内容成分、含まれる乳原料やゲル化剤等の種類や量等によって種々異なり、一概に規定することはできないが、例えば、プリンの場合は、プリン100重量部に対して、通常0.07〜0.25重量%、好ましくは0.10〜0.20重量%の範囲が例示される。
【0032】
ステアロイル乳酸塩の含有量が、必要以上に少ないと荒れを充分に防止することができず、一方、0.25重量%より多くなると風味が悪くなり、また、コストもかかる。但し、ステアロイル乳酸塩の味も含めた風味が好ましい場合には、上記範囲を越えてステアロイル乳酸塩を乳成分含有ゲル状食品に配合しても構わない。
【0033】
なお、本発明の乳成分含有ゲル状食品には、上記の成分の他に、食品の分野で広く用いられている糖類、香料、中和剤、カラメル、乳化剤、食塩、食用油脂、安定剤、酸化防止剤、保存料、色素、酸味料などが含まれていてもよい。また、本発明の食品加工品又は食品組成物は、pH3〜8、好ましくはpH4〜8、より好ましくはpH5〜7.5の範囲で調整されていることが望ましい。
【0034】
また、本発明は、「荒れ」を生じず、内容成分が安定して均質で、見た目の美しさときめ細かな舌触りを有しており商品価値の高い乳成分含有ゲル状食品を得ることができる製造方法を提供するものである。
【0035】
乳成分含有ゲル状食品としては前述のものが例示できるが、好ましくはプリン、ババロア、ムース、乳成分含有ゼリー、杏仁豆腐等のチルドデザートであり、より好ましくは従来「荒れ」等の問題が生じるが故に製造に際して急冷を必須としていたチルドデザートである。
【0036】
従来、例えばミルクプリンを製造する場合は:
(i) 乳、乳製品、糖類、卵、ゲル化剤を分散・溶解し、フレーバー、着色料などを添加・配合して食品組成物を調製する
(ii) 均質化する(100〜150 kg/cm2)
(iii) 殺菌又は滅菌する(100〜150 ℃、数秒間)
(iv) 冷却する(60〜70℃)
(v) 充填する
(vi) カラメルソースを充填する
(vii) 蓋剤をシールする
(viii)急冷する(10℃以下)
(ix) 製品化
といった一連の工程が採用されており、中でも特に(viii)の急冷工程は「荒れ」のないプリンを製造するために必要不可欠な工程である。また「荒れ」は冷却速度によって生じたり生じなかったりと極めてセンシティブな現象であるため、かかる急冷工程での冷却速度は厳しく管理されている。
【0037】
一方、本発明の製造方法は、乳成分含有ゲル状食品の製造工程において、ステアロイル乳酸塩を加熱殺菌工程前に添加する固化前の乳成分含有ゲル状食品の調製組成物として用い、該乳成分含有ゲル状食品を緩慢冷却により固化させる工程を含む、乳成分含有ゲル状食品の製造方法であって、これを緩慢冷却によって固化して食品を製造するものである。この方法によると、従来のような冷蔵工程を利用して急冷しなくても簡便に「荒れ」のないきめ細かな、内容成分の均質なチルドデザートを製造することができる。本発明で行われる緩慢冷却は、冷却条件によって何ら限定されるものではない。例えば、冷却温度はゲル化剤が固化する温度であれば何℃でもよく、固化に要する時間も特に制限されない。従って、空冷、放冷、水冷等の各種の冷却手段を、条件に制限されることなく幅広く用いることができる。
【0038】
また、上記工程のうち(iv)の冷却工程は、(viii)工程で急速に冷却できるように予め温度を下げておく等の目的で必要とされるものである。従って、本発明によれば、かかる工程を省くことも可能である。
【0039】
このように、本発明の製造方法は、製品を加熱殺菌する以外は特に温度制御を行う必要がなく、簡便に且つ低コストで、さらには安定して上述する「荒れ」のない上質のチルドデザートを製造する方法である点でも有用である。
【0040】
ステアロイル乳酸塩の配合量は、製造する食品加工品の種類などに応じて種々選択され、一概に規定はできないが、具体的には前述の範囲が例示される。
【0041】
【実施例】以下、本発明の内容を以下の実施例及び比較例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。尚、処方例において「※」で記すものは三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の登録商標であり、「*」で記すものは三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の製品である。
実施例1
<チルドプリンの調製>
砂糖 10.0重量%
脱脂粉乳 6.0
ヤシ油 4.0
ゲル化剤 0.4
(ゲルアップ※PI−800*)
香料 0.1
(プリンフレーバーNo.72724*)
着色料 0.1
(カロチンベースNO.9400−S*)
乳化剤 (内容は下記参照) 0.1
清水にて合計 100 重量%
・乳化剤
実施例:ステアロイル乳酸ナトリウム 100%
比較例:グリセリン脂肪酸エステル 100%
(ホモゲン※DM*)
<製造方法>
清水とヤシ油に砂糖、脱脂粉乳、ゲル化剤、乳化剤の粉体混合物を添加し、80℃−10分間加熱撹拌溶解後、香料、着色料を添加し、蒸発水を補正する。その後均質機(9800kPa=100kg/cm2)にかけ、125℃で4秒間、加熱・殺菌後、容器に充填し、冷却方法としてそれぞれ室温(20℃)で放冷したものと、水道水の流水に浸し冷却したプリンを調製した。
<結果>
ステアロイル乳酸ナトリウムを用いた実施例において、水道水の流水に浸して冷却した場合に荒れはほとんど見られず、室温(20℃)で放冷した場合には、滑らかであるが、ややわずかに荒れが見られた。
【0042】
一方、比較例として、従来よりプリン用の乳化剤として利用されているグリセリン脂肪酸エステルを添加したものでは、流水、室温放冷いずれの冷却方法においても荒れが生じていた。
実施例2
<ステアロイル乳酸ナトリウムの添加量の検討>
実施例1の処方例中の乳化剤を、表1のような種類、添加量としたチルドプリンを調製した。
【0043】
【表1】
【0044】
【0045】
※透明層とは、蛋白質が凝集することにより、内容成分の水分のみが層を成している部分をいう。
<結果>
従来よりプリン用の乳化剤として使われているグリセリン脂肪酸エステルを添加したものでは、いくら添加量を増やしてもプリンの荒れを抑えることはできず、逆に分離が激しくなり、乳化剤自体の味が影響を及ぼすようになった。
【0046】
一方のステアロイル乳酸ナトリウムを添加したプリンは、乳化剤の添加量0.10〜0.23重量%で、水冷により冷却したものはほとんど荒れもなく、比較例で見られたような分離も生じなかった。また、室温放冷により得られたものも、分離、荒れの発生が抑えられたプリンが得られた。
【発明の属する技術分野】本発明は、乳成分含有ゲル状食品及びその製造方法に関する。詳細には、本発明は、内容成分が均質で「荒れる」という現象が生じておらず、きめが細かく舌触りのよい食感を有する乳成分含有ゲル状食品、好適にはチルドデザートであるプリン、ムース、ババロア、乳成分含有ゼリーまたは杏仁豆腐等に関する。
【0002】
また、本発明は乳成分含有ゲル状食品を、製造工程で「荒れ」を発生させずにきめ細かで滑らかな食感を呈するように製造する方法に関する。
【0003】
なお、本発明でいう「荒れる」及び「荒れ」とは、乳由来の蛋白質が凝集すること等によって内容成分の均質性が損なわれること及びその均質性が損なわれた状態を意味する。その結果、「荒れた」食品は、外見上、内容成分が凝集・混濁・懸濁したようなざらざらした質感を呈するとともに、舌触りも悪くなり、さらに凝集成分の沈降等によって味が不均一となり、商品価値が著しく損なわれている。
【0004】
【従来の技術】従来から、乳原料を含有する乳成分含有ゲル状食品は、その製造において、100℃以上で加熱殺菌した組成物を最終商品の容器へ充填した後、直ちに10℃以下まで急冷しなければ「荒れ」が生じてしまい、商品価値を著しく損なうことが知られている。
【0005】
しかし、かかる急冷処理は大がかりな急冷装置を必要とし、また光熱費がかかる等の問題がある。また、「荒れ」の現象を防止するには冷却速度が重要なファクターとなるが、特に比較的大きな製品を製造する場合は製品の内部域と外部域とでは冷却むらが生じるため、厳しい管理が要求されている。
【0006】
このため、従来から、簡便でかつ低コストに製造でき、多くの食品に応用できる方法の開発が求められていた。
【0007】
また、プリン等の乳成分含有ゲル状食品については、UHT殺菌等の加熱工程を必要とするため、蛋白質の凝集や沈殿が生じ、ゲルが荒れることがある。この荒れは、乳由来の蛋白質が凝集すること等によって内容成分の均質性が損なわれること及びその均質性が損なわれた状態を意味するが、荒れた乳成分含有ゲル状食品は、通常、外見上、内容成分が凝集・混濁・懸濁したようなざらざらした質感を呈している。また、舌触りも悪く、さらに凝集成分の沈降等によって味が不均一となり、その結果、商品価値が著しく損なわれるという問題がある。
【0008】
よって、これら乳成分含有ゲル状食品は、チルドで流通されるのが一般的である。ここでチルドとは、一般に−5℃〜10℃の温度領域をいい、この温度帯で製造し、流通、消費する食品をチルド食品と呼んでいる。広義には低温で貯蔵、流通される食品のなかで、冷凍食品を除く全てのものをチルド食品という。
【0009】
また、一部では、レトルト殺菌でもゲルが荒れないゲル状食品も検討がなされ(特許文献1)、ミックスの粘度を上げる方法なども知られているが、得られたゲル状食品が糊っぽい食感となり、プリンやムースのような食感にならないという問題点があった。
【0010】
係る問題点を解消するため、従来より様々な検討が行われていた。例えば、ナトリウム塩類を使用してUHT殺菌処理された濃縮牛乳組成物でカスタードプリンの縞模様発生を防止する方法(特許文献2)、プリン原料の混合物に天然ガム質と蛋白質からなる乳化剤で処理したカカオバターを加える方法(特許文献3)が開示されているが、これらの方法では使用原料や配合に制限がある。また、ネイティブジェランガムを添加する方法(特許文献4)も開示されているが、この方法であると食感が制限され、また粘度上昇が生じるため、プリンソース等の充填に問題が発生することがあった。
【0011】
この他、例えば、ゲル化剤として寒天を主として用いれば、チルドデザートの『荒れ』の改善は認められるが、食感がざらざらしたものとなり、つるりとした滑らかな食感が要求される例えばプリン、ムース、ババロア等のチルドデザートには適用できない等、多種多様な食品・チルドデザートの多岐に亘る食感に悪影響を与えることなく、「急冷しなければ荒れる」という現象を充分に改善する技術はこれまで知られていなかった。
【0012】
【特許文献1】特開平11−276136
【特許文献2】特開昭52−25058
【特許文献3】特開平2−303455
【特許文献4】特開平10−136914
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる事情に鑑みて開発されたもので、「荒れ」を生じず内容成分が均質であり食感がきめ細やかな乳成分含有ゲル状食品を提供することを目的とするものである。
【0013】
さらに、本発明は、上記の性質を有する乳成分含有ゲル状食品を簡便かつ低コストで製造する方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねていたところ、乳成分含有ゲル状食品に乳原料、ゲル化剤及びステアロイル乳酸塩を配合することにより、製造に際して、従来は「荒れ」を防止するために必須とされていた急冷工程以外の、緩慢な冷却工程、例えば自然冷却或いは水冷により冷却しても、「荒れ」を全く生じず内容成分が均一で、艶やかできめ細かな舌触りを有した商品価値の高い乳成分含有ゲル状食品が安定して調製できることを見出した。
【0015】
また、更なる研究によって、本発明者らは、従来「荒れ」の問題がなかった乳成分含有ゲル状食品であっても、乳原料、ゲル化剤及びステアロイル乳酸塩を配合することにより、乳原料等の内容成分がより均質にかつ安定に分散されてより一層きめ細かになり、舌触りのよい食感を呈するようになることを確認しており、特に食感の良さが求められる乳成分含有ゲル状食品への広い応用が期待される。
【0016】
すなわち本発明は、乳原料、ゲル化剤及びステアロイル乳酸塩を含有することを特徴とする乳成分含有ゲル状食品に関する。
【0017】
また、本発明は、上記乳成分含有ゲル状食品の中でも、特にプリン、ムース、ババロア、乳成分含有ゼリーまたは杏仁豆腐等のチルドデザートに関する。
【0018】
更に本発明は、乳成分含有ゲル状食品の製造工程において、ステアロイル乳酸塩を加熱殺菌工程前に添加する固化前の乳成分含有ゲル状食品の調製組成物として用い、該乳成分含有ゲル状食品を緩慢冷却により固化させる工程を含む、乳成分含有ゲル状食品の製造方法に関する。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の対象となる乳成分含有ゲル状食品は、少なくとも乳原料、ゲル化剤を利用して調製されるものであり、これらを含有するものであれば特に制限されない。また、常温、冷凍、冷蔵のいずれの状態で製造、貯蔵、流通する製品であってもよいが、好ましくはチルド流通に適した製品である。
【0020】
含有される乳原料としては、牛乳、豆乳及びそれらの加工品等が挙げられ、加工品としては、例えば全脂練乳、脱脂練乳、全脂粉乳、脱脂粉乳などが挙げられる。これらは単独で含まれていてもよいし、また2種以上の組み合わせで含まれていてもよい。また、脱脂乳を含有する場合は、バター、生クリーム、ヤシ油、パーム油等の油成分を含有していてもよい。含まれる乳原料の量は特に制限されないが、通常は、無脂乳固形分で0.1〜30重量%、好ましくは0.3〜15重量%、より好ましくは0.5〜8重量%の範囲が例示される。なお、プリンの場合は3〜8重量%の範囲が特に好ましい。
【0021】
また本発明で用いられるゲル化剤としては、通常食品に使用されるものであれば特に制限されず、食品を液状から固形状態にする作用を有するものであればよく、例えばカラギナン、ローカストビーンガム、キサンタンガム、ファーセレラン、アルギン酸、アルギン酸塩、ペクチン、グアーガム、アラビアガム、ジェランガム、プルラン、寒天、ゼラチン、でんぷん等の天然ガム類が広く例示される。これらは単独で含まれていてもよいし、また2種以上の組み合わせで含まれていてもよい。
【0022】
含まれるゲル化剤の量は、使用されるゲル化剤の種類、製品の種類等に応じて種々選択されるものであり一義的に定めることができないが、製品の一例としてプリンの場合を挙げるとすると、0.05〜4重量%、好ましくは0.1〜2重量%、より好ましくは0.2〜1.5重量%の範囲が例示される。
【0023】
本発明が対象とする乳成分含有ゲル状食品は、上に例示する乳原料を含む内容成分がゲル化剤の作用に基づいて固化してなるものであるが、好適には半固形状物、より好ましくは更にきめ細かでつるりとした滑らかな舌触り・食感が要求されるものである。具体的にはプリン、ムース、ババロア、乳成分含有ゼリー、杏仁豆腐などのいわゆるチルドデザートが例示される。好ましくはチルドデザートであり、より好ましくはプリンである。
【0024】
また、本発明で乳成分含有ゲル状食品とは、上記のような食品加工品のみならず、該食品加工品を調製するための食品組成物をも広く包含するものである。このような食品組成物としては例えばプリン、ムース、ババロア、乳成分含有ゼリー、杏仁豆腐などのチルドデザート調製用の組成物、豆腐類調製用組成物等が挙げられ、その形状は粉末状、顆粒状、液状等、特に制限されない。
【0025】
本発明は、上に挙げるような乳成分含有ゲル状食品であって、その中に乳原料、ゲル化剤及びステアロイル乳酸塩を含有することを特徴とするものである。
【0026】
本発明におけるステアロイル乳酸塩とは、ステアリン酸を主体とする脂肪酸と乳酸類(乳酸同士が重縮合している乳酸重合物を含む)を反応させ、これにカルシウム、もしくはナトリウム等の塩類を結合させたものが主要な成分で、関連する遊離の脂肪酸類や乳酸類およびエステル類とこれらのカルシウム塩類、もしくはナトリウム塩類を含む混合物でも良い。好ましくはステアロイル乳酸ナトリウムである。また、構成脂肪酸は高純度のステアリン酸だけでなく、ステアリン酸を主体としていればパルミチン酸及びその他の高級脂肪酸類を分離精製しない形の混合ステアリン酸(脂肪酸の融点が54℃以上のもの)でもよい。形状は液体、粘調液体、半固体、ペースト、固体等何れの形状のものでもよい。
【0027】
このようなステアロイル乳酸塩は、乳成分含有ゲル状食品の製造工程で添加されることにより、乳成分含有ゲル状食品の味や風味を損なうことなく、製造工程で生じる「荒れ」という現象を防止して、できあがった乳成分含有ゲル状食品の均質性を高め、視覚的に艶やかできめ細かな質感を付与するとともに、つるりとした滑らかな舌触りを付与することができる。また「荒れ」が生じた場合、蛋白質が凝集したざらつきが感じられ、また、外見上もざらざらとした質感を呈したものとなる。
【0028】
特に、チルドデザート等のデザートは、食事の締めくくりに喫食し、飽食時に供されることも多いので、(i)形、色、艶やかさ等の見た目の美しさで食欲をそそること、(ii)食べて美味しいことは勿論、さっぱりしていて喉ごしがよいこと、等が求められる。このことからも、上記の本発明の効果は、品質が高く消費者受けのする商品を提供する上で、極めて有用なものといえる。
【0029】
そして、本発明において特に重要なことは、かかるステアロイル乳酸塩の効果は、製造工程での冷却方法の如何に関わらず、損なわれることがないということである。すなわち、本発明の上記性質を有する乳成分含有ゲル状食品は、ステアロイル乳酸塩を原料の一つとして含むだけで、従来必須であった急冷工程以外の、自然冷却や水冷、空冷等の緩慢な条件下における簡素化工程により、簡便かつ低コストで、安定した品質をもって調製される。
【0030】
以上のことから、本発明は、ステアロイル乳酸塩の「荒れ防止剤」としての用途を提供するものともいえる。
【0031】
本発明の乳成分含有ゲル状食品に含有されるステアロイル乳酸塩の含有量は、乳成分含有ゲル状食品の種類、内容成分、含まれる乳原料やゲル化剤等の種類や量等によって種々異なり、一概に規定することはできないが、例えば、プリンの場合は、プリン100重量部に対して、通常0.07〜0.25重量%、好ましくは0.10〜0.20重量%の範囲が例示される。
【0032】
ステアロイル乳酸塩の含有量が、必要以上に少ないと荒れを充分に防止することができず、一方、0.25重量%より多くなると風味が悪くなり、また、コストもかかる。但し、ステアロイル乳酸塩の味も含めた風味が好ましい場合には、上記範囲を越えてステアロイル乳酸塩を乳成分含有ゲル状食品に配合しても構わない。
【0033】
なお、本発明の乳成分含有ゲル状食品には、上記の成分の他に、食品の分野で広く用いられている糖類、香料、中和剤、カラメル、乳化剤、食塩、食用油脂、安定剤、酸化防止剤、保存料、色素、酸味料などが含まれていてもよい。また、本発明の食品加工品又は食品組成物は、pH3〜8、好ましくはpH4〜8、より好ましくはpH5〜7.5の範囲で調整されていることが望ましい。
【0034】
また、本発明は、「荒れ」を生じず、内容成分が安定して均質で、見た目の美しさときめ細かな舌触りを有しており商品価値の高い乳成分含有ゲル状食品を得ることができる製造方法を提供するものである。
【0035】
乳成分含有ゲル状食品としては前述のものが例示できるが、好ましくはプリン、ババロア、ムース、乳成分含有ゼリー、杏仁豆腐等のチルドデザートであり、より好ましくは従来「荒れ」等の問題が生じるが故に製造に際して急冷を必須としていたチルドデザートである。
【0036】
従来、例えばミルクプリンを製造する場合は:
(i) 乳、乳製品、糖類、卵、ゲル化剤を分散・溶解し、フレーバー、着色料などを添加・配合して食品組成物を調製する
(ii) 均質化する(100〜150 kg/cm2)
(iii) 殺菌又は滅菌する(100〜150 ℃、数秒間)
(iv) 冷却する(60〜70℃)
(v) 充填する
(vi) カラメルソースを充填する
(vii) 蓋剤をシールする
(viii)急冷する(10℃以下)
(ix) 製品化
といった一連の工程が採用されており、中でも特に(viii)の急冷工程は「荒れ」のないプリンを製造するために必要不可欠な工程である。また「荒れ」は冷却速度によって生じたり生じなかったりと極めてセンシティブな現象であるため、かかる急冷工程での冷却速度は厳しく管理されている。
【0037】
一方、本発明の製造方法は、乳成分含有ゲル状食品の製造工程において、ステアロイル乳酸塩を加熱殺菌工程前に添加する固化前の乳成分含有ゲル状食品の調製組成物として用い、該乳成分含有ゲル状食品を緩慢冷却により固化させる工程を含む、乳成分含有ゲル状食品の製造方法であって、これを緩慢冷却によって固化して食品を製造するものである。この方法によると、従来のような冷蔵工程を利用して急冷しなくても簡便に「荒れ」のないきめ細かな、内容成分の均質なチルドデザートを製造することができる。本発明で行われる緩慢冷却は、冷却条件によって何ら限定されるものではない。例えば、冷却温度はゲル化剤が固化する温度であれば何℃でもよく、固化に要する時間も特に制限されない。従って、空冷、放冷、水冷等の各種の冷却手段を、条件に制限されることなく幅広く用いることができる。
【0038】
また、上記工程のうち(iv)の冷却工程は、(viii)工程で急速に冷却できるように予め温度を下げておく等の目的で必要とされるものである。従って、本発明によれば、かかる工程を省くことも可能である。
【0039】
このように、本発明の製造方法は、製品を加熱殺菌する以外は特に温度制御を行う必要がなく、簡便に且つ低コストで、さらには安定して上述する「荒れ」のない上質のチルドデザートを製造する方法である点でも有用である。
【0040】
ステアロイル乳酸塩の配合量は、製造する食品加工品の種類などに応じて種々選択され、一概に規定はできないが、具体的には前述の範囲が例示される。
【0041】
【実施例】以下、本発明の内容を以下の実施例及び比較例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。尚、処方例において「※」で記すものは三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の登録商標であり、「*」で記すものは三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の製品である。
実施例1
<チルドプリンの調製>
砂糖 10.0重量%
脱脂粉乳 6.0
ヤシ油 4.0
ゲル化剤 0.4
(ゲルアップ※PI−800*)
香料 0.1
(プリンフレーバーNo.72724*)
着色料 0.1
(カロチンベースNO.9400−S*)
乳化剤 (内容は下記参照) 0.1
清水にて合計 100 重量%
・乳化剤
実施例:ステアロイル乳酸ナトリウム 100%
比較例:グリセリン脂肪酸エステル 100%
(ホモゲン※DM*)
<製造方法>
清水とヤシ油に砂糖、脱脂粉乳、ゲル化剤、乳化剤の粉体混合物を添加し、80℃−10分間加熱撹拌溶解後、香料、着色料を添加し、蒸発水を補正する。その後均質機(9800kPa=100kg/cm2)にかけ、125℃で4秒間、加熱・殺菌後、容器に充填し、冷却方法としてそれぞれ室温(20℃)で放冷したものと、水道水の流水に浸し冷却したプリンを調製した。
<結果>
ステアロイル乳酸ナトリウムを用いた実施例において、水道水の流水に浸して冷却した場合に荒れはほとんど見られず、室温(20℃)で放冷した場合には、滑らかであるが、ややわずかに荒れが見られた。
【0042】
一方、比較例として、従来よりプリン用の乳化剤として利用されているグリセリン脂肪酸エステルを添加したものでは、流水、室温放冷いずれの冷却方法においても荒れが生じていた。
実施例2
<ステアロイル乳酸ナトリウムの添加量の検討>
実施例1の処方例中の乳化剤を、表1のような種類、添加量としたチルドプリンを調製した。
【0043】
【表1】
【0044】
【0045】
※透明層とは、蛋白質が凝集することにより、内容成分の水分のみが層を成している部分をいう。
<結果>
従来よりプリン用の乳化剤として使われているグリセリン脂肪酸エステルを添加したものでは、いくら添加量を増やしてもプリンの荒れを抑えることはできず、逆に分離が激しくなり、乳化剤自体の味が影響を及ぼすようになった。
【0046】
一方のステアロイル乳酸ナトリウムを添加したプリンは、乳化剤の添加量0.10〜0.23重量%で、水冷により冷却したものはほとんど荒れもなく、比較例で見られたような分離も生じなかった。また、室温放冷により得られたものも、分離、荒れの発生が抑えられたプリンが得られた。
Claims (4)
- 乳原料、ゲル化剤及びステアロイル乳酸塩を含有することを特徴とする乳成分含有ゲル状食品。
- ステアロイル乳酸塩の添加量が0.07〜0.25重量%である請求項1に記載の乳成分含有ゲル状食品。
- 乳成分含有ゲル状食品の製造工程において、ステアロイル乳酸塩を加熱殺菌工程前に添加する乳成分含有ゲル状食品の調製組成物として用い、該乳成分含有ゲル状食品を緩慢冷却により固化させる工程を含む、乳成分含有ゲル状食品の製造方法。
- ステアロイル乳酸塩の添加量が0.07〜0.25重量%である請求項1に記載の乳成分含有ゲル状食品の製造方法。
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JP2003042995A JP2004248590A (ja) | 2003-02-20 | 2003-02-20 | 乳成分含有ゲル状食品及びその製造方法 |
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