JP2004248367A - ハーネス用外装部材およびハーネス配索構造 - Google Patents

ハーネス用外装部材およびハーネス配索構造 Download PDF

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鈴木  康広
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Abstract

【課題】安価で作業性良くワイヤハーネスの電線に取付可能とされると共に、屈曲半径が自在に設定可能とされるハーネス用外装部材を提供する。
【解決手段】一方のハーネス保護部材10と、一方のハーネス保護部材10に合わせられる他方のハーネス保護部材20とを備え、一方のハーネス保護部材10および他方のハーネス保護部材20は、二分割のものとされ、一方のハーネス保護部材10の内側10aと、他方のハーネス保護部材20の内側20aとに電線31が通され、一方のハーネス保護部材10と、他方のハーネス保護部材20とが合わせられて曲げられた際に、一方のハーネス保護部材10と、他方のハーネス保護部材20との内外径差を吸収可能な寸法差吸収部2が設けられた。前記寸法差吸収部2は、係止部3と、この係止部3に対応し且つ係止部3が移動可能とされる係合部4とを備えるものとして構成された。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車の車両とスライドドアとの間に渡されるワイヤハーネスに容易に装着可能で屈曲性に優れるハーネス用外装部材およびそのようなハーネス用外装部材を備えるハーネス配索構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図12(a)〜(e)は、従来のワイヤハーネス保持用コルゲート管の一形態(特許文献1参照)を示すものある。
図12(a),(b)において、521は、外周部が凹凸状に形成された弾性体からなるコルゲート管であり、このコルゲート管521は、一端縁がヒンジ部522を介して開閉自在に連結され、半円状に形成された一対の半管体523a,523bから構成されている。
【0003】
図12(c),(d)の如く、この半管体523a,523bの他端縁には、一定の間隔をおいて相互に係合可能な係合手段524が設けられている。この係合手段524は、一方の半管体523aにおける他端縁の下部側から他方の半管体523bの他端縁側に向かって延在し、溝部525aが形成された舌部(第1係合部)525と、他方の半管体523bにおける他端縁の上部側から一方の半管体523aの他端縁側に向かって延在し、前記溝部525aに係合される突起526a(突部)が下面に形成された舌部(第2係合部)526とから構成されている。なお、図12(e)中、527は、複数の電線527aからなるワイヤハーネスである。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−74638号公報(第3頁、図1,図2)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のワイヤハーネス保持用コルゲート管にあっては、屈曲され難いものである点が問題とされていた。コルゲート管521を屈曲させた場合、前記第1係合部525と、前記第2係合部526とは、内外径差が吸収できない構造のものであるため、コルゲート管521自体が永久変形される可能性があった。
【0006】
本発明は、上記した点に鑑み、例えば車両などにおいて可動されるようなワイヤハーネス用外装部材として、安価で作業性良くワイヤハーネスの電線に取付可能とされると共に、屈曲半径が自在に設定可能とされるハーネス用外装部材およびそのようなハーネス用外装部材を備えるハーネス配索構造を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係るハーネス用外装部材は、一方のハーネス保護部材と、該一方のハーネス保護部材に合わせられる他方のハーネス保護部材とを備え、該一方のハーネス保護部材および該他方のハーネス保護部材は、二分割のものとされ、該一方のハーネス保護部材の内側と、該他方のハーネス保護部材の内側とに電線が通され、該一方のハーネス保護部材と、該他方のハーネス保護部材とが合わせられて曲げられた際に、該一方のハーネス保護部材と、該他方のハーネス保護部材との内外径差を吸収可能な寸法差吸収部が設けられたことを特徴とする。
上記構成により、ハーネス用外装部材が屈曲されても、ハーネス用外装部材を構成する一方のハーネス保護部材と、他方のハーネス保護部材とは、スムーズに動かされることとなり、ハーネス用外装部材は、屈曲動作に対応することとなる。従って、ハーネス用外装部材を構成する一方のハーネス保護部材と、他方のハーネス保護部材とに無理な力が加えられ、一方のハーネス保護部材や、他方のハーネス保護部材が変形されるといった不具合の発生は、未然に防止されることとなる。
また、一方のハーネス保護部材と、他方のハーネス保護部材とを備えるハーネス用外装部材は、二分割のものとされているから、二つのハーネス保護部材が合わせられて曲げられても、それぞれのハーネス保護部材の屈曲半径は、自在に変化されることとなる。従って、屈曲性に優れるハーネス用外装部材が提供されることとなる。
また、一方のハーネス保護部材と、他方のハーネス保護部材とを備えるハーネス用外装部材は、二分割された構造のものとされているから、各電線が束ねられるなどされてワイヤハーネスが構成された後に、ワイヤハーネスの電線の部分に、一方のハーネス保護部材と、他方のハーネス保護部材とを取付けて、電線にハーネス用外装部材を装着させるということも可能とされる。例えばハーネス用外装部材が非分割とされるものであると、ワイヤハーネスが組上げられる際に、予め、ハーネス用外装部材に電線を通しておくといった電線の先通し作業が必要とされていた。しかしながら、この発明のハーネス用外装部材は、二分割された構造のものとされているから、前記電線の先通し作業は、必要とされなくなる。従って、ワイヤハーネスを構成する電線にハーネス用外装部材を装着させるといった組立工程において、ワイヤハーネスの組立工程の自由度が増すこととなる。このようなことから、ワイヤハーネスに対するハーネス用外装部材の取付作業性は、向上されることとなる。
【0008】
請求項2に係るハーネス用外装部材は、請求項1に係るハーネス用外装部材において、前記寸法差吸収部は、係止部と、該係止部に対応し且つ該係止部が移動可能とされる係合部とを備えることを特徴とする。
上記構成により、ハーネス用外装部材に備えられた係止部と、係合部とが合わせられることで、一方のハーネス保護部材と、他方のハーネス保護部材とが合わせられ、ハーネス用外装部材が構成されることとなる。従って、ハーネス用外装部材の内側に電線が挿入された後に、ハーネス用外装部材の外側にテープ巻きが行われるといった作業は、必要とされなくなる。このようなことから、電線に対するハーネス用外装部材の取付作業性は、向上されることとなる。
【0009】
請求項3に係るハーネス用外装部材は、請求項2に係るハーネス用外装部材において、前記係止部は、突出部として形成され、前記係合部は、該突出部が移動可能とされる長孔部として形成されたことを特徴とする。
上記構成により、ハーネス用外装部材が屈曲されたときに、突出部として形成された係止部は、長孔部として形成された係合部内を自在に移動できることとなる。従って、ハーネス用外装部材を構成する一方のハーネス保護部材と、他方のハーネス保護部材とは、スムーズにずらされて動かされることとなる。これにより、ハーネス用外装部材が屈曲された際に、一方のハーネス保護部材と、他方のハーネス保護部材との内外径差は、スムーズに吸収されることとなる。
【0010】
請求項4に係るハーネス用外装部材は、請求項3に係るハーネス用外装部材において、前記突出部は、支柱部と、該支柱部の先端部に設けられた球状部とを備え、該支柱部の直径は、前記長孔部の幅狭長さと略同じとされ、該球状部の球径は、該長孔部の該幅狭長さよりも大きいことを特徴とする。
上記構成により、ハーネス用外装部材が屈曲されたときに、突出部の支柱部の先端部に設けられた球状部は、長孔部上に係り合せられた状態として維持されつつ、突出部の支柱部は、長孔部内を自在に移動することとなる。従って、一方のハーネス保護部材と、他方のハーネス保護部材とが合わせられることで構成されたハーネス用外装部材が屈曲された際に、ハーネス用外装部材が二つに開くということは回避され、一方のハーネス保護部材と、他方のハーネス保護部材とは、合わせられた状態に維持されながら、一方のハーネス保護部材と、他方のハーネス保護部材との内外径差は、スムーズに吸収されることとなる。
【0011】
請求項5に係るハーネス用外装部材は、請求項3又は4に係るハーネス用外装部材において、前記長孔部の略中央部に、前記突出部の球状部に対応した湾曲状切欠き部が設けられたことを特徴とする。
上記構成により、一方のハーネス保護部材と、他方のハーネス保護部材とが合わせられて、ハーネス用外装部材が構成される際に、長孔部の略中央部に設けられた湾曲状切欠き部に、突出部の球状部を合わせて通すことで、突出部として形成された係止部は、長孔部として形成された係合部に容易に係り合せられることとなる。これにより、一方のハーネス保護部材と、他方のハーネス保護部材とは、容易に合わせられることとなる。従って、ハーネス用外装部材の組付け作業性は、向上されることとなる。
【0012】
請求項6に係るハーネス用外装部材は、請求項1〜5の何れか1項に係るハーネス用外装部材において、前記一方のハーネス保護部材にフランジ部が設けられ、該フランジ部に対応して、前記他方のハーネス保護部材にフランジ部が設けられ、前記寸法差吸収部は、各フランジ部に備えられたことを特徴とする。
上記構成により、寸法差吸収部は、フランジ部に容易に備えられることが可能となる。具体的に説明すると、寸法差吸収部を構成する係止部および係合部などは、フランジ部の任意の位置に任意の数で設定可能なものとなる。従って、ハーネス用外装部材に、係止部および係合部などの寸法差吸収部が設けられる際の設計の自由度が向上されることとなる。
【0013】
請求項7に係るハーネス用外装部材は、請求項1〜6の何れか1項に係るハーネス用外装部材において、前記一方のハーネス保護部材または前記他方のハーネス保護部材の一端部側に、位置決め用係止部が設けられ、該位置決め用係止部に対応して、該他方のハーネス保護部材または該一方のハーネス保護部材の該一端部側に、位置決め用係合部が設けられたことを特徴とする。
上記構成により、一方のハーネス保護部材と、他方のハーネス保護部材とが合わせられて構成されたハーネス用外装部材が屈曲されるときに、位置決め用係止部と、位置決め用係合部とが合わせられた一端部側が基準とされて、ハーネス用外装部材は屈曲されることとなる。従って、ハーネス用外装部材が屈曲されたときに、一方のハーネス保護部材の他端部と、他方のハーネス保護部材の他端部とにずれが生じることとなる。このようなずれが、一方のハーネス保護部材と、他方のハーネス保護部材との内外径差とされる。
【0014】
請求項8に係るハーネス用外装部材は、請求項1〜7の何れか1項に係るハーネス用外装部材において、前記一方のハーネス保護部材は、複数の一形態の突条部を備える蛇腹状に形成され、前記他方のハーネス保護部材は、該一形態の突条部と異なる複数の他形態の突条部を備える蛇腹状に形成されたことを特徴とする。
上記構成により、ハーネス用外装部材が一方のハーネス保護部材側に屈曲された時と、ハーネス用外装部材が他方のハーネス保護部材側に屈曲された時とで、ハーネス用外装部材の屈曲半径は、異なるものとなる。これにより、ハーネス用外装部材が相手側のものと共に用いられる際に、ハーネス用外装部材を相手側のものに向けて屈曲させ難いように装備させることが可能となる。従って、ハーネス用外装部材が相手側のものと干渉され、ハーネス用外装部材が損傷されるということは、未然に回避されることとなる。
【0015】
請求項9に係るハーネス用外装部材は、請求項8に係るハーネス用外装部材において、前記一形態の突条部同士の距離と、前記他形態の突条部同士の距離とは、異なる距離に設定されたことを特徴とする。
上記構成により、複数の一形態の突条部を備える一方のハーネス保護部材の最小屈曲半径と、複数の他形態の突条部を備える他方のハーネス保護部材の最小屈曲半径とは、異なる値に設定可能となる。
例えば、一方のハーネス保護部材に並設された各一形態の突条部同士の距離よりも、他方のハーネス保護部材に並設された各他形態の突条部同士の距離のほうが短い距離に設定された場合、他方のハーネス保護部材に並設された各他形態の突条部同士の距離は短いから、ハーネス用外装部材が他方のハーネス保護部材側に緩やかに撓まされた状態において、各他形態の突条部同士は当接されることとなり、ハーネス用外装部材の屈曲は停止されることとなる。従って、その状態における屈曲半径が、他方のハーネス保護部材側に曲げられたときのハーネス用外装部材の最小屈曲半径となる。このように、他方のハーネス保護部材側に曲げられたときのハーネス用外装部材の最小屈曲半径は、比較的大きい値として設定されることとなる。
これに対し、ハーネス用外装部材が一方のハーネス保護部材側に撓まされた状態においては、一方のハーネス保護部材に並設された各一形態の突条部同士の距離は、前記各他形態の突条部同士の距離よりも長いから、ハーネス用外装部材が一方のハーネス保護部材側に大きく撓まされたときに、各一形態の突条部同士が当接されて、ハーネス用外装部材の屈曲が停止されることとなる。従って、その状態における屈曲半径が、一方のハーネス保護部材側に曲げられたときのハーネス用外装部材の最小屈曲半径となる。このように、一方のハーネス保護部材側に曲げられたときのハーネス用外装部材の最小屈曲半径は、比較的小さい値として設定されることとなる。
【0016】
請求項10に係るハーネス用外装部材は、請求項8又は9に係るハーネス用外装部材において、前記他方のハーネス保護部材は、複数の前記一形態の突条部をさらに備えることを特徴とする。
上記構成により、他方のハーネス保護部材は、複数の一形態の突条部と、一形態の突条部と異なる複数の他形態の突条部との両方を備えた蛇腹状に形成されることとなる。このような形態の他方のハーネス保護部材がハーネス用外装部材に備えられていれば、ハーネス用外装部材が用いられる箇所に対応して、ハーネス用外装部材の屈曲半径は、自在に設定可能なものとなる。
【0017】
請求項11に係るハーネス用外装部材は、請求項1〜10の何れか1項に係るハーネス用外装部材において、前記一方のハーネス保護部材および/または前記他方のハーネス保護部材は、合成重合体が用いられて形成されたことを特徴とする。
上記構成により、可撓性や屈曲性に優れるハーネス用外装部材が提供されることとなる。また、合成重合体として、例えばポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂が用いられて、一方のハーネス保護部材や、他方のハーネス保護部材が形成されていれば、安価なハーネス用外装部材が提供されることとなる。
【0018】
請求項12に係るハーネス用外装部材は、請求項1〜11の何れか1項に係るハーネス用外装部材において、前記ハーネス用外装部材は、固定構造体と、該固定構造体に対しスライド移動が可能とされるスライド構造体との間に渡された電線を保護するコルゲートチューブとして用いられたことを特徴とする。
上記構成により、固定構造体に対し、スライド構造体がスライド移動された際に、固定構造体と、スライド構造体との間に渡された電線を保護するためのコルゲートチューブに無理な力が加えられるということは、回避されることとなる。コルゲートチューブを構成する一方のハーネス保護部材と、他方のハーネス保護部材との内外径差は、係止部および係合部などの寸法差吸収部によって吸収されるから、コルゲートチューブに永久変形が生じるということは回避され、コルゲートチューブは適度に湾曲されることとなる。
【0019】
請求項13に係るハーネス配策構造は、請求項1〜12の何れか1項に記載の前記ハーネス用外装部材の一端部側に、回動部材が装着され、該回動部材は、固定構造体に装着されるハーネス固定部材に装備されたことを特徴とするハーネス配策構造。
上記構成により、固定構造体に対して電線が撓まされ、これと共に電線を保護するハーネス用外装部材が撓まされるときに、ハーネス用外装部材は、左右または上下といった平面的な動きから、回動といった立体的な動きにも対応することが可能となる。従って、本発明のハーネス配策構造が構成されることにより、ハーネス用外装部材は、無理な力が加えられることなく、あらゆる方向に屈曲可能なものとなる。
【0020】
請求項14に係るハーネス配策構造は、請求項13に係るハーネス配策構造において、前記ハーネス用外装部材にフランジ部が設けられ、該フランジ部に対応して、前記回動部材に溝部が設けられ、該溝部に該フランジ部が合わせられることで、該回動部材と共に該ハーネス用外装部材が回動可能とされることを特徴とする。
上記構成により、固定構造体に対して電線が撓まされ、これと共に電線を保護するハーネス用外装部材が撓まされるときに、固定構造体に対し、ハーネス用外装部材は、回動部材と共にスムーズに回動されることとなる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に本発明に係るハーネス用外装部材およびハーネス配索構造の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図5および図7〜図11は、本発明に係るハーネス用外装部材の第一の実施形態を示すものである。
【0022】
図1の如く、このハーネス用外装部材1は、略円筒状のものが略二分割された形状の一方のハーネス保護部材10と、この一方のハーネス保護部材10に合わせられ(図4)、同じく略円筒状のものが略二分割された形状の他方のハーネス保護部材20(図1)とを備えるものとして構成されている。図1,図7の如く、一方のハーネス保護部材10および他方のハーネス保護部材20を備えるハーネス用外装部材1は、ヒンジなどで連結されることなく、完全に二分割に分離可能な構造のものとされている。
【0023】
図1,図7,図9,図10の如く、一方のハーネス保護部材10の内側10aと、他方のハーネス保護部材20の内側20aとに、複数の電線31を備えるワイヤハーネス30が添えられる。電線31(図1,図9)は、通電可能とされる導体32と、軟銅製の導体32を保護する合成重合体製の絶縁被覆体33とを備える線状体として構成されている。図1,図7,図9,図10の如く、複数の電線31が束ねられてワイヤハーネス30が構成され、このワイヤハーネス30の電線31の束ねられた部分が、ハーネス用外装部材1の収容部1a(図2〜図5,図9,図10)内に挿通された状態で位置するものとされる。
【0024】
図1に示される一方のハーネス保護部材10と、他方のハーネス保護部材20とが合わせられて、ハーネス用外装部材1(図4,図9,図10)が構成される。図10に示される如く、ハーネス用外装部材1が曲げられた際に、一方のハーネス保護部材10と、他方のハーネス保護部材20との内外径差Fを吸収可能な寸法差吸収部2が、図1,図2,図7の如く、ハーネス用外装部材1に設けられている。
【0025】
寸法差吸収部2がハーネス用外装部材1に設けられていることにより、図10の如く、ハーネス用外装部材1が屈曲されても、ハーネス用外装部材1を構成する一方のハーネス保護部材10と、他方のハーネス保護部材20とは、スムーズに動かされ、ハーネス用外装部材1は、屈曲動作に迅速に対応することとなる。従って、ハーネス用外装部材1が曲げられた際に、ハーネス用外装部材1を構成する一方のハーネス保護部材10と、他方のハーネス保護部材20とに無理な力が加えられ、一方のハーネス保護部材10や、他方のハーネス保護部材20に永久変形が生じるといった不具合の発生は、未然に防止される。
【0026】
また、図1,図7の如く、一方のハーネス保護部材10と、他方のハーネス保護部材20とを備えるハーネス用外装部材1は、ヒンジなどで連結されることなく、完全に二分割に分離可能な構造のものとされているから、二つのハーネス保護部材10,20が合わせられて、図4,図9の如く、一つのハーネス用外装部材1が構成され、図10の如く、このハーネス用外装部材1が曲げられても、一方のハーネス保護部材10の屈曲半径R10と、他方のハーネス保護部材20の屈曲半径R20とは、それぞれ自在に変化することとなる。従って、屈曲性に優れるハーネス用外装部材1が提供可能となる。
【0027】
また、ハーネス用外装部材1は、図1の如く、一方のハーネス保護部材10と、他方のハーネス保護部材20とが組合されて構成される完全に二分割が可能な二部品のものとされているから、図7の如く、軟質チューブ35などが用いられて、各電線31が束ねられるなどされてワイヤハーネス30が構成された後に、ワイヤハーネス30の電線31の部分に、一方のハーネス保護部材10と、他方のハーネス保護部材20とを取付けて、ワイヤハーネス30の電線31の部分にハーネス用外装部材1を装着させるということも可能とされる。
【0028】
例えばハーネス用外装部材が非分割とされる円筒状のもの(図示せず)であると、ワイヤハーネス30が組上げられる際に、予め、ハーネス用外装部材に電線31を通しておくといったいわゆる電線31の先通し作業が必要とされていた。しかしながら、図1,図7に示される如く、ハーネス用外装部材1は、二分割された構造のものとされているから、電線31の先通し作業は、必要とされなくなる。従って、ワイヤハーネス30を構成する電線31の部分に、ハーネス用外装部材1を装着させるといった組立工程において、ワイヤハーネス30の組立工程の自由度が増すこととなる。このようなことから、ワイヤハーネス30に対するハーネス用外装部材1の取付作業性が向上される。
【0029】
図1,図2,図7の如く、ハーネス用外装部材1に備えられた寸法差吸収部2は、複数の係止部3と、各係止部3に対応し且つ各係止部3が移動可能とされる複数の係合部4とを備えるものとして構成されている。
【0030】
図1,図7の如く、ハーネス用外装部材1を構成する一方のハーネス保護部材10の一方のフランジ部12aに設けられた三箇所の係止部3と、他方のハーネス保護部材20の一方のフランジ部22a(図2)に設けられた三箇所の係合部4とが係り合せられ、他方のハーネス保護部材20の他方のフランジ部22b(図1,図4)に設けられた三箇所の係止部3と、一方のハーネス保護部材10(図1)の他方のフランジ部12bに設けられた三箇所の係合部4とが係り合せられることで、一方のハーネス保護部材10と、他方のハーネス保護部材20とが合わせられる(図4,図9,図10)。
【0031】
従って、ハーネス用外装部材1の内側10a,20aに電線31が挿入された後に、ハーネス用外装部材1の外側10b,20b(図1,図4)にテープ巻きが行われるといった作業は、必要とされなくなる。このようなことから、電線31に対するハーネス用外装部材1の取付作業性は、向上される。また、これと共に、ハーネス用外装部材1の外側10b,20bに巻付けられ、二分割構造のハーネス用外装部材1を合わせるためのテープも不必要なものとなる。
【0032】
図1,図2,図7の如く、一方のハーネス保護部材10と、他方のハーネス保護部材20とに設けられた係止部3は、突出部3として形成されている。また、一方のハーネス保護部材10と、他方のハーネス保護部材20とに設けられた係合部4は、前記突出部3が移動可能とされる長孔部4として形成されている。図1,図2の如く、係合部4は、幅狭長さ4dおよび幅広長さ4eとされる長孔部4として形成されている。
【0033】
このようにすることで、ハーネス用外装部材1が屈曲されたときに(図10)、突出部3として形成された係止部3は、長孔部4(図2)として形成された係合部4内を自在に移動できる。従って、ハーネス用外装部材1を構成する一方のハーネス保護部材10と、他方のハーネス保護部材20とは、スムーズにずらされて動かされることとなる。これにより、図10の如く、ハーネス用外装部材1が屈曲された際に、一方のハーネス保護部材10と、他方のハーネス保護部材20との内外径差Fは、スムーズに吸収される。
【0034】
図1の如く、係止部3とされる突出部3は、根元部3rから立設された支柱部3cと、支柱部3cの先端部3pに設けられた球状部3gとを備えるものとして形成されている。支柱部3cの直径3dは、長孔部4の幅狭長さ4d(図1,図2)と略同じ寸法に設定されている。また、球状部3gの球径3fは、長孔部4の幅狭長さ4dよりも大きい寸法に設定されている。
【0035】
このようにすることで、ハーネス用外装部材1が屈曲されたときに(図10)、突出部3の支柱部3c(図1)の先端部3pに設けられた球状部3gは、長孔部4(図2)上に係り合せられた状態として維持されつつ、突出部3の支柱部3cは、長孔部4内を自在に移動できる。従って、一方のハーネス保護部材10と、他方のハーネス保護部材20とが合わせられることで構成されたハーネス用外装部材1が屈曲された際に(図10)、ハーネス用外装部材1が二つに開くということは回避され、一方のハーネス保護部材10と、他方のハーネス保護部材20とは、合わせられた状態に維持されながら、一方のハーネス保護部材10と、他方のハーネス保護部材20との内外径差Fは、寸法差吸収部2を構成する長孔部4(図1,図2)によってスムーズに吸収される。
【0036】
図1の如く、長孔部4の略中央部4cに、湾曲状切欠き部4bが設けられている。この湾曲状切欠き部4bは、突出部3の球状部3gに対応して形成されている。また、湾曲状切欠き部4bは、円孔の一部として形成されている。
【0037】
一方のハーネス保護部材10と、他方のハーネス保護部材20とが合わせられて、ハーネス用外装部材1が構成される際に、長孔部4の略中央部4cに設けられた湾曲状切欠き部4bに、突出部3の球状部3gを合わせて通すことで、突出部3として形成された係止部3は、長孔部4として形成された係合部4に容易に係り合せられる。これにより、一方のハーネス保護部材10と、他方のハーネス保護部材20とは、容易に合わせられる。従って、ハーネス用外装部材1の組付け作業性が向上される。
【0038】
湾曲状切欠き部4bの直径4fは、球状部3gの球径3fと略等しい寸法に設定されている。このようにすれば、突出部3の球状部3gは、長孔部4の湾曲状切欠き部4bに容易に通されると共に、突出部3の球状部3gは、長孔部4の湾曲状切欠き部4bから抜け出され難いものとなる。湾曲状切欠き部4bの直径4fが、球状部3gの球径3fよりも僅かに小さい場合、突出部3の球状部3gは、長孔部4の湾曲状切欠き部4bにやや挿入され難いものとなるが、これにより、突出部3の球状部3gは、長孔部4の湾曲状切欠き部4bから抜け出され難いものとなる。また、湾曲状切欠き部4bの直径4fが、球状部3gの球径3fよりも僅かに大きい場合、突出部3の球状部3gは、長孔部4の湾曲状切欠き部4bから抜け出され易いものとなるが、これにより、突出部3の球状部3gは、長孔部4の湾曲状切欠き部4bに挿入され易いものとなる。
【0039】
図1,図7の如く、一方のハーネス保護部材10に、長手方向に沿って延長された略平板状の鍔部とされる両フランジ部12a,12bが設けられている。また、前記両フランジ部12a,12bに対応して、図1,図2の如く、他方のハーネス保護部材20にも、同じく長手方向に沿って延長された略平板状の鍔部とされる両フランジ部22a,22bが設けられている。
【0040】
寸法差吸収部2を構成する上記係止部3は、一方のハーネス保護部材10の一方のフランジ部12a(図1)と、他方のハーネス保護部材20の他方のフランジ部22b(図1,図4)とに並設されている。また、寸法差吸収部2を構成する上記係合部4は、一方のハーネス保護部材10の他方のフランジ部12b(図1)と、他方のハーネス保護部材20の一方のフランジ部22a(図2)とに並設されている。
【0041】
前記各フランジ部12a,12b,22a,22bがハーネス用外装部材1に設けられていれば、寸法差吸収部2を構成する上記係止部3と、上記係合部4とは、フランジ部12a,12b,22a,22bに容易に形成可能となる。具体的に説明すると、寸法差吸収部2を構成する係止部3および係合部4などは、フランジ部12a,12b,22a,22bの任意の位置に任意の数で設定可能なものとなる。従って、ハーネス用外装部材1に、係止部3および係合部4などの寸法差吸収部2が設けられる際に、設計の自由度が向上される。
【0042】
図1,図7の如く、一方のハーネス保護部材10を形成する一方のフランジ部12aの一端部11a側に、位置決め用係止部5が設けられている。この位置決め用係止部5に対応して、他方のハーネス保護部材20を形成する一方のフランジ部22aの一端部21a側に、位置決め用係合部6(図1)が設けられている。また、他方のハーネス保護部材20を形成する他方のフランジ部22bの一端部21a側に、位置決め用係止部5(図1,図4)が設けられている。この位置決め用係止部5に対応して、図1の如く、一方のハーネス保護部材10を形成する他方のフランジ部12bの一端部11a側に、位置決め用係合部6が設けられている。
【0043】
前記位置決め用係止部5は、位置決め用突出部5として形成されている。また、位置決め用突出部5は、根元部5rから立設された支柱部5cと、支柱部5cの先端部5pに設けられた球状部5gとを備えるものとして形成されている。また、前記位置決め用係合部6は、位置決め用円孔部6として形成されている。この位置決め用円孔部6の直径は、球状部5gの球径と略等しい寸法に設定されている。このようにすれば、位置決め用突出部5の球状部5gは、位置決め用円孔部6に容易に通されると共に、位置決め用突出部5の球状部5gは、位置決め用円孔部6から抜け出され難いものとなる。
【0044】
位置決め用円孔部6の直径が、球状部5gの球径よりも僅かに小さい場合、位置決め用突出部5の球状部5gは、位置決め用円孔部6にやや挿入され難いものとなるが、これにより、位置決め用突出部5の球状部5gは、位置決め用円孔部6から抜け出され難いものとなる。また、位置決め用円孔部6の直径が、球状部5gの球径よりも僅かに大きい場合、位置決め用突出部5の球状部5gは、位置決め用円孔部6から抜け出され易いものとなるが、これにより、位置決め用突出部5の球状部5gは、位置決め用円孔部6に挿入され易いものとなる。
【0045】
一方のハーネス保護部材10(図10)と、他方のハーネス保護部材20とが合わせられて構成されたハーネス用外装部材1が屈曲されるときに、位置決め用係止部5(図1,図4)と、位置決め用係合部6とが合わせられた一端部11a,21a側が基準とされ、半円筒部11c,21cを備える一端部11a,21a側は、固定端部11a,21a側とされる。
【0046】
このような状態で、ハーネス用外装部材1は屈曲される。従って、図10の如く、ハーネス用外装部材1が屈曲されたときに、一方のハーネス保護部材10の他端部11bと、他方のハーネス保護部材20の他端部21bとが自由端部11b,21bとなり、半円筒部11d,21dを備える両自由端部11b,21bに「ずれ」が生じることとなる。このような「ずれ」が、一方のハーネス保護部材10と、他方のハーネス保護部材20との内外径差Fとされる。ハーネス用外装部材1が自然状態とされたときに、前記内外径差Fは略0となる。
【0047】
図1,図4,図7の如く、複数の一形態の突条部7が長手方向に並設されて、一方のハーネス保護部材10は、複数の一形態の突条部7を備える蛇腹状に形成されている。図2〜図4の如く、一形態の突条部7は、略半円状の外周壁7cの両側に、溝底部7dに向けて略ハ字状に広げられて傾斜形成された一対の側壁7sを備えるものとして形成されている。図1〜図5の如く、一形態の突条部7は、幅広な略半円状に形成された他形態の突条部8よりも幅狭な略半円状の突条部7とされ、各幅狭な突条部7間に、他形態の溝部8gよりも幅広な溝部7gが設けられたものとされている。
【0048】
また、図1,図4,図7の如く、前記一形態の突条部7と異なる複数の他形態の突条部8が長手方向に並設されて、他方のハーネス保護部材20は、一側S1(図2,図4)に複数の他形態の突条部8を備える蛇腹状に形成されている。図2〜図4の如く、他形態の突条部8は、略半円状の外周壁8cの両側に、溝底部8dに向けて略ハ字状に広げられて傾斜形成された一対の側壁8sを備えるものとして形成されている。図1〜図4の如く、他形態の突条部8は、略半円状の幅広な突条部8とされ、各幅広な突条部8間に幅狭な溝部8gが設けられたものとされている。
【0049】
このような各突条部7,8を備えるハーネス用外装部材1が形成されていれば、ハーネス用外装部材1(図10)が一方のハーネス保護部材10側に大きく屈曲された時と、ハーネス用外装部材1が他方のハーネス保護部材20側に大きく屈曲された時とで、ハーネス用外装部材1の屈曲半径R1は、異なるものとなる。
【0050】
これにより、例えば図11の如く、ハーネス用外装部材1が、スライドドア400を備える自動車200に用いられた際に、ハーネス用外装部材1を車両ボディ300のセンタピラー350に向けて屈曲させ難いように、自動車200にハーネス用外装部材1を装備させることが可能となる。
【0051】
図示された如く、車両ボディ300のセンタピラー350側に、ハーネス用外装部材1を構成する屈曲され難い他方のハーネス保護部材20(図9〜図11)が位置するものとされている。従って、ドア全開時(図11(b))に、ハーネス用外装部材1が車両ボディ300のセンタピラー350と干渉され、ハーネス用外装部材1や、ハーネス用外装部材1内の電線31が損傷されるということは、未然に回避されることとなる。ハーネス用外装部材1は、ワイヤハーネス30の電線31の経路を安全な方へ矯正する経路矯正部材として機能するものとされている。また、ドア全閉時(図11(a))に、スライドドア400に備えられたドアトリムなどに、ハーネス用外装部材1が干渉するということも未然に回避される。
【0052】
一形態の突条部と、一形態の突条部と異なる形態とされる他形態の突条部とは、図1〜図4に例示された一形態の突条部7と、他形態の突条部8とに限られることなく、あらゆる形態や形状のものとして形成可能とされる。
例えば、図1〜図4,図7,図9,図10に示される他方のハーネス保護部材20において、ハーネス保護部材20の一側S1(図2〜図4)に並設された幅広な突条部8の両側壁8s(図3)の肉厚を、突条部(8)の内側に向けて厚くさせ、これにより、ハーネス用外装部材(1)を、ハーネス保護部材(20)側に屈曲させ難いものとさせることも可能とされる。
【0053】
また、図1〜図4,図7,図9,図10に示される他方のハーネス保護部材20において、ハーネス保護部材20の他側S2(図2〜図4)に並設された幅狭な突条部7の側壁7sに、隣の側壁7sに当接される小さい突部(図示せず)または小さい断面形状とされる突条(図示せず)が突出形成され、これにより、ハーネス用外装部材(1)は、ハーネス保護部材(20)側に屈曲され難いものとさせることも可能とされる。さらに、前記小さい突部(図示せず)または前記小さい断面形状とされる突条(図示せず)が、全ての突条部(7)の両側壁(7s)に設けられたものも使用可能とされる。
【0054】
図1,図3,図4の如く、複数の一形態の突条部7は、一方のハーネス保護部材10の一側S1(図3,図4)と、他側S2とに並設されている。一方のハーネス保護部材10の一端部11aから他端部11bにかけて、各一形態の突条部7が並設されている。また、図1〜図4の如く、複数の他形態の突条部8は、他方のハーネス保護部材20の半分側とされる一側S1(図2〜図4)にまとめて並設されている。
【0055】
図示された如く、一形態の突条部7同士の距離Daと、他形態の突条部8同士の距離Dbとは、異なる距離に設定されている。各一形態の突条部7同士の距離Daは、突条部7を構成する外周壁7cの端部7eと、その隣の突条部7を構成する外周壁7cの端部7eとの間の距離Daとされている。また、各他形態の突条部8同士の距離Dbは、突条部8を構成する外周壁8cの端部8eと、その隣の突条部8を構成する外周壁8cの端部8eとの間の距離Dbとされている。各他形態の突条部8同士の距離Dbは、各一形態の突条部7同士の距離Daよりも短い距離に設定されている。
【0056】
このようにすることで、複数の一形態の突条部7を備える一方のハーネス保護部材10の最小屈曲半径と、複数の他形態の突条部8を備える他方のハーネス保護部材20の最小屈曲半径とは、異なる値に設定可能となる。
【0057】
図3,図4の如く、一方のハーネス保護部材10に並設された各一形態の突条部7同士の距離Daよりも、他方のハーネス保護部材20に並設された各他形態の突条部8同士の距離Dbのほうが短い距離に設定された場合、他方のハーネス保護部材20に並設された各他形態の突条部8同士の距離Dbは短いから、ハーネス用外装部材1が他方のハーネス保護部材20側に緩やかに撓まされた状態において、各他形態の突条部8同士は当接され、ハーネス用外装部材1の屈曲は停止されることとなる。
【0058】
従って、その状態における屈曲半径が、他方のハーネス保護部材20側に曲げられたときのハーネス用外装部材1の最小屈曲半径となる。このように、他方のハーネス保護部材20側に曲げられたときのハーネス用外装部材1の最小屈曲半径は、比較的大きい値として設定される。
【0059】
これに対し、図10の如く、ハーネス用外装部材1が一方のハーネス保護部材10側に撓まされた状態においては、一方のハーネス保護部材10に並設された各一形態の突条部7同士の距離Da(図3,図4)は、前記各他形態の突条部8同士の距離Dbよりも長いから、ハーネス用外装部材1が一方のハーネス保護部材10側に大きく撓まされたときに、各一形態の突条部7同士が当接されて、ハーネス用外装部材1の屈曲が停止されることとなる。
【0060】
従って、その状態における屈曲半径が、一方のハーネス保護部材10側に曲げられたときのハーネス用外装部材1の最小屈曲半径となる。このように、一方のハーネス保護部材10側に曲げられたときのハーネス用外装部材1の最小屈曲半径は、比較的小さい値として設定される。
【0061】
上述した如く、一形態の突条部7同士の距離Da(図2〜図4)他形態の突条部8同士の距離Dbとは、異なる距離に設定されているが、各一形態の突条部7同士のピッチPと、各他形態の突条部8同士のピッチPとは、同じピッチPとされている。ピッチPとは、隣接する対応物の何らかの規定された方向での均一な間隔を定義した寸法を意味する。ここでは、溝底部7d,8dの中心部と、その隣の溝底部7d,8dの中心部との距離とされている。
【0062】
幅狭な突条部7と、幅狭な突条部7との間に、幅広な溝部7gが設けられ、且つ、幅広な突条部8と、幅広な突条部8との間に、幅狭な溝部8gが設けられることで、各一形態の突条部7同士のピッチPと、各他形態の突条部8同士のピッチPとは、等しい値として設定される。
【0063】
図2〜図4の如く、他方のハーネス保護部材20の略中間部20cで、他方のハーネス保護部材20は、一側S1と、一側S1の反対側とされる他側S2とに分けられている。他方のハーネス保護部材20は、他側S2に、複数の一形態の突条部7をさらに備えるものとして形成されている。複数の一形態の突条部7は、他方のハーネス保護部材20の他側S2において、長手方向に並設されている。前記他側S2の反対側とされる一側S1に、複数の他形態の突条部8が長手方向に並設されている。このように、他方のハーネス保護部材20は、二種以上の形態の突条部7,8を備えるものとして形成されている。
【0064】
図示された如く、他方のハーネス保護部材20は、複数の一形態の突条部7と、一形態の突条部7と異なる複数の他形態の突条部8との両方を備えた蛇腹状に形成されている。このような形態の他方のハーネス保護部材20がハーネス用外装部材1に備えられていれば、ハーネス用外装部材1が用いられる箇所に対応して、ハーネス用外装部材1の屈曲半径は、自在に設定可能なものとなる。
【0065】
ハーネス用外装部材1(図3,図4)の一側S1において、ハーネス用外装部材1は、一方のハーネス保護部材10側には曲げられ易いものとされているが、他方のハーネス保護部材20側には曲げられ難いものとされている。また、ハーネス用外装部材1の他側S2において、ハーネス用外装部材1は、一方のハーネス保護部材10側または他方のハーネス保護部材20側の何れの側にも曲げられ易いものとされている。
【0066】
図4の如く、一方のハーネス保護部材10の一端部11aから他端部11bにかけて並設された各一形態の突条部7のピッチPと、他方のハーネス保護部材20の他側S2に並設された一形態の突条部7のピッチPと、他方のハーネス保護部材20の一側S1に並設された他形態の突条部8のピッチPとは、全て等しいピッチPとして設定されているが、例えば前記ピッチPが変更されたものも使用可能とされる。
【0067】
例えば、図2〜図4に示される他方のハーネス保護部材20において、ハーネス保護部材20の一側S1に並設された他形態の突条部8に代えて、ハーネス保護部材20の他側S2に並設された一形態の突条部7と略同形状の突条部(7)が、ハーネス保護部材(20)の一側(S1)に並設され、しかも、複数の突条部(7)は、距離(Da)よりも狭い間隔とされる距離(Db)の間隔で並設され、複数の突条部(7)のピッチ(P)は、図示されたピッチPよりも狭められたハーネス保護部材(図示せず)なども使用可能とされる。
【0068】
また、例えば図4に示される他方のハーネス保護部材20に代えて、距離(Da)よりも狭い間隔とされる距離(Db)の間隔で、一端部(21a)から他端部(21b)にかけて複数の突条部(7)が並設されたハーネス保護部材(図示せず)なども使用可能とされる。
【0069】
また、図1〜図5,図7,図9〜図11に示されるハーネス用外装部材1に代えて、例えば図6に示されるハーネス用外装部材1iが用いられたものも使用可能とされる。
【0070】
図6は、本発明に係るハーネス用外装部材の第二の実施形態を示すものである。図1〜図5に示されるハーネス用外装部材1と、図6に示されるハーネス用外装部材1iとは、各フランジ部12a,12b,22a,22b(図1,図2,図4,図5)、12ai,12bi,22ai,22bi(図6)の形状を除き略共通の形状のものとされている。図6に示される各部において、図1〜図5に示される各部と共通とされる部分については、同じ符号を付し、その詳しい説明を省略した。
【0071】
図6に示されるハーネス用外装部材1iは、一方のハーネス保護部材10iと、この一方のハーネス保護部材10iに合わせられる他方のハーネス保護部材20iとを備えるものとして構成されている。一方のハーネス保護部材10iと、他方のハーネス保護部材20iとは、略円筒状のものが略二分割された形状のものとされている。
【0072】
一方のハーネス保護部材10iの内側10ai、又は、他方のハーネス保護部材20iの内側20aiに、複数の電線31(図1)を備えるワイヤハーネス30が添えられる。その後、一方のハーネス保護部材10iと、他方のハーネス保護部材20iとが組合わせられて、ハーネス用外装部材1iが構成される。ワイヤハーネス30を構成する複数の電線31は、組立てられたハーネス用外装部材1iの収容部1a内に挿通された状態で位置する。
【0073】
また、一方のハーネス保護部材10iを形成する一方のフランジ部12aiの一端部11ai側に、位置決め用係止部5が設けられている。この位置決め用係止部5に対応して、他方のハーネス保護部材20iを形成する一方のフランジ部22aiの一端部21ai側に、位置決め用係合部6が設けられている。また、他方のハーネス保護部材20iを形成する他方のフランジ部22biの一端部21ai側に、位置決め用係止部5が設けられている。この位置決め用係止部5に対応して、一方のハーネス保護部材10iを形成する他方のフランジ部12biの一端部11ai側に、位置決め用係合部6が設けられている。
【0074】
ハーネス用外装部材1iの一端部11ai,21ai側を基準として、ハーネス用外装部材1iが曲げられた際に、一方のハーネス保護部材10iの他端部11bi側に設けられた半円筒部11dと、他方のハーネス保護部材20iの他端部21bi側に設けられた半円筒部21dとの「位置ずれ」を吸収可能な寸法差吸収部2が、ハーネス用外装部材1iに設けられている。ハーネス用外装部材1iに備えられた寸法差吸収部2は、複数の係止部3と、各係止部3に対応し且つ各係止部3が移動可能とされる複数の係合部4,4i,4iiとを備えるものとして構成されている。
【0075】
他方のハーネス保護部材20iを形成する一方のフランジ部22aiと、他方のフランジ部22biとに、各突出部13a,13b,13c,13dが設けられると共に、一方のフランジ部22aiと、他方のフランジ部22biとに、各切欠き部14a,14b,14cが設けられている。また、一方のハーネス保護部材10iを形成する一方のフランジ部12aiと、他方のフランジ部12biとに、各突出部13a,13b,13c,13dが設けられると共に、一方のフランジ部12aiと、他方のフランジ部12biとに、各切欠き部14a,14b,14cが設けられている。
【0076】
略長方形に形成された突出部13aに、係合部4が設けられている。この係合部4は、両端部が略コ字状または逆略コ字状に形成された長孔部4とされている。また、略台形状に形成された突出部13bに、係合部4iが設けられている。この係合部4iは、両端部が略く字状または逆略く字状に形成された長孔部4iとされている。また、緩やかな湾曲突出形状に形成された突出部13cに、係合部4iiが設けられている。この係合部4iiは、両端部が略湾曲状に形成された長孔部4iiとされている。また、突出部13dは、略半円状に形成された突出部13dとされている。
【0077】
図2に示されるハーネス用外装部材1と、図6に示されるハーネス用外装部材1iとを比較した場合、図6に示されるハーネス用外装部材1iにおいては、各フランジ部12ai,12bi,22ai,22biに、切欠き部14a,14b,14cが設けられているから、ハーネス用外装部材1iに用いられる材料の必要な量が削減化され、これに伴って、ハーネス用外装部材1iの価格の低減化が図られることとなる。
【0078】
他方のハーネス保護部材20iの略中間部20ciで、他方のハーネス保護部材20iは、一側S1iと、一側S1iの反対側とされる他側S2iとに分けられている。ハーネス用外装部材1iの一端部11ai,21ai側の外側20biに、二つ割の回動部材40(図7)が装着される。
【0079】
図1〜図5に示される一方のハーネス保護部材10および他方のハーネス保護部材20や、図6に示される一方のハーネス保護部材10iおよび他方のハーネス保護部材20iは、ポリプロピレン樹脂(PPと略称する)などの熱可塑性樹脂などとされる合成重合体が用いられて形成されている。ポリプロピレン樹脂などの合成重合体は、可撓性合成樹脂とされている。
【0080】
前記合成樹脂などの合成重合体が用いられて、一方のハーネス保護部材10,10iや、他方のハーネス保護部材20,20iが形成されていれば、可撓性や屈曲性に優れるハーネス用外装部材1,1iが提供されることとなる。また、可撓性合成樹脂などの合成重合体として、例えばポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂が用いられて、一方のハーネス保護部材10や、他方のハーネス保護部材20が大量生産性に優れる射出成形法により形成されていれば、安価なハーネス用外装部材1,1iが提供されることとなる。ポリプロピレン樹脂として、例えば、日本ポリケム製のものなどが挙げられる。また、前記合成樹脂に代えて、前記合成重合体として、例えば合成ゴムが用いられて形成されたハーネス用外装部材も使用可能とされる。
【0081】
図7〜図11は、本発明に係るハーネス配索構造の一実施形態を示すものである。図7〜図11に示されるハーネス配索構造は、図1〜図5に示される第一の実施形態のハーネス用外装部材1が用いられたハーネス配索構造とされている。
【0082】
図11に例示される如く、上記ハーネス用外装部材1は、自動車200を構成する車両ボディ300と、車両ボディ300に対してスライド移動が可能とされるスライドドア400との間に橋渡しされた複数の電線31を保護するコルゲートチューブ1として用いられている。コルゲートチューブ1は、車両ボディ300のセンタピラー350近傍の渡り部320上に位置する。また、符号420は、スライドドア400の外側に装着された取っ手420とされている。
【0083】
図7,図9,図10の如く、ゴム材、ビニル材などが用いられて形成された軟質チューブ35により、複数の電線31が束ねられ、組電線もしくは組配線とされるワイヤハーネス30が構成される。前記軟質チューブ35に代えて、集束テープ(図示せず)が用いられて、複数の電線31の略全体がテープ巻きされたワイヤハーネス(図示せず)や、不図示の集束テープが用いられて、複数の電線31の一部が部分巻きいわゆる荒巻きされたワイヤハーネス(図示せず)も使用可能とされる。ワイヤハーネス30は、自動車200(図11)の車両ボディ300側からスライドドア400側に常時給電を行わせるものとして用いられる。
【0084】
スライドドア400の余長吸収装置330内に設けられた弾性部材(図示せず)などにより、ワイヤハーネス30を構成する電線31が引っ張られて電線31に適度な張力が発生される。これにより、ワイヤハーネス30の電線31の余長部が不用意に他の部分に引掛けられて、電線31が損傷されるといった不具合の発生は、未然に防止される。余長吸収装置330により、ワイヤハーネス30を構成する電線31は、スライドドア400の全閉時に自動車200の前方に向けて引っ張られ、スライドドア400の全開時に自動車200の後方に向けて引っ張られる。
【0085】
上記ハーネス用外装部材1がコルゲートチューブ1として用いられていれば、図11(b)の如く、車両ボディ300に対し、スライドドア400が自動車200の後側に向けてスライド移動されて、スライドドア400が開けられた際に、車両ボディ300と、スライドドア400との間に橋渡しされたワイヤハーネス30の複数の電線31が、車両ボディ300のセンタピラー350に当接され、このことから、ワイヤハーネス30を構成する各電線31に無理な力が加えられ、電線31が損傷されるといった不具合の発生は、回避される。
【0086】
また、図1,図2,図7の如く、コルゲートチューブ1に、係止部3および係合部4を備える寸法差吸収部2が設けられているから、図11(b)の如く、車両ボディ300に対し、スライドドア400が自動車200の後側に向けてスライド移動されて、コルゲートチューブ1が大きく撓まされた際に、一方のハーネス保護部材10と、他方のハーネス保護部材20との内外径差F(図10)は、係止部3および係合部4を備える寸法差吸収部2(図1,図2,図7)により適度に吸収され、複数の電線31(図10,図11)を保護するためのコルゲートチューブ1に無理な力が加えられるということも回避される。
【0087】
図10に例示される如く、コルゲートチューブ1を構成する一方のハーネス保護部材10と、他方のハーネス保護部材20との位置ずれにより生じる内外径差Fは、係止部3および係合部4などの寸法差吸収部2(図1,図2,図7)によって吸収されるから、コルゲートチューブ1(図10,図11)に永久変形が生じるということは回避され、コルゲートチューブ1は、適度に湾曲されることとなる。図11(a)の如く、ドア全閉時にハーネス用外装部材1を貫通するワイヤハーネス30の電線31は、自動車200の前方側へ引っ張られ、これに追従してコルゲートチューブ1が可動される。また、図11(b)の如く、ドア全開時にハーネス用外装部材1を貫通するワイヤハーネス30の電線31は、自動車200の後方側へ引っ張られ、これに追従してコルゲートチューブ1が可動される。
【0088】
図7の如く、上記ハーネス用外装部材1の一端部11a,21a側の外側10b,20bに、合成樹脂製の二つ割の回動部材40が装着される。回動部材40は、合成樹脂製の半円筒状の一部材50と、同じく合成樹脂製の半円筒状の他部材60とを備えるものとして構成されている。
【0089】
半円筒状の一部材50は、回動摺接およびスラスト受け用の一対の半円状大径部51A,51Bと、スラスト補助受け用の半円板部51Cと、一側の半円状大径部51Aと、他側の半円状大径部51Bとを連結する小径の半円筒部52とを備えるものとして形成されている。また、半円筒状の一部材50と組合わせられる半円筒状の他部材60は、回動摺接およびスラスト受け用の一対の半円状大径部61A,61Bと、スラスト補助受け用の半円板部61Cと、一側の半円状大径部61Aと、他側の半円状大径部61Bとを連結する小径の半円筒部62とを備えるものとして形成されている。
【0090】
また、二つ割の回動部材40は、例えば車両ボディ300(図11)のステップ310に装着される二つ割のハーネス固定部材70(図7,図9,図10)に装備される。回動部材40は、上記ハーネス用外装部材1をスムーズに回動させる回動補助部材もしくは回転補助部材とされている。
【0091】
図7の如く、ハーネス固定部材70は、合成樹脂製の一方のカバー90と、合成樹脂製の一方のカバー90に組付けられる他方のカバー80とを備える合成樹脂製のケース70として構成されている。自動車200(図11)の車両ボディ300に装備されるハーネス固定具100は、図7の如く、二つ割の前記回動部材40と、二つ割の前記ケース70とを少なくとも備えるものとされている。
【0092】
このようなハーネス配策構造がハーネス固定具100に構成されていれば、図11の如く、車両ボディ300に対し、スライドドア400が開方向または閉方向にスライド移動される際に、車両ボディ300に対してワイヤハーネス30を構成する電線31が撓まされ、これと共に電線31を保護するハーネス用外装部材1が撓まされるときに、ハーネス用外装部材1(図9)は、例えば左右または上下といった平面的な動きから、回動といった立体的な動きにも対応することが可能となる。従って、このようなハーネス配策構造が構成されることにより、ハーネス用外装部材1は、無理な力が加えられることなく、あらゆる方向に屈曲可能なものとなる。
【0093】
また、車両ボディ300のセンタピラー350と、ハーネス用外装部材1との干渉を防ぐために、ハーネス固定具100から導出されたハーネス用外装部材1は、自然状態において、車両ボディ300の側部から斜め前側に向けて突出されるようにして、自動車200に装備される。そのようにするために、ハーネス用外装部材1が挿着されたハーネス固定具100は、ハーネス用外装部材1が自然状態において車両ボディ300の側部から斜め前側に突出される方向に沿って、車両ボディ300のステップ310に斜めに固定されている。
【0094】
ハーネス固定部材70(図11)を備えるハーネス固定具100の取付位置は、自動車200の車両ボディ300のステップ310に限られることなく、自動車(200)の仕様などにより、自動車(200)の車両ボディ(300)の所望部に装着可能とされ、その取付角度も、適宜、設定可能なものとされる。また、ハーネス固定部材(70)の形状も各種形状に形成可能とされる。
【0095】
図7の如く、ハーネス用外装部材1を構成する一方のハーネス保護部材10に、一対のフランジ部12a,12bが設けられている。また、ハーネス用外装部材1を構成する他方のハーネス保護部材20に、一対のフランジ部22a,22bが設けられている。フランジ部12a,22aまたはフランジ部12b,22bに対応して、回動部材40を構成する一部材50に、スリット状の溝部52sが設けられている。また、フランジ部12a,22aまたはフランジ部12b,22bに対応して、回動部材40を構成する他部材60に、スリット状の溝部62sが設けられている。前記溝部52s,62sに、前記フランジ部12a,12b,22a,22bが合わせられることで、回動部材40と共にハーネス用外装部材1が回動可能とされる(図9)。
【0096】
このようなハーネス配策構造が構成されていれば、図11の如く、車両ボディ300や、スライドドア400に対して、ワイヤハーネス30を構成する電線31が撓まされ、これと共に電線31を保護するハーネス用外装部材1が撓まされるときに、車両ボディ300に対し、ハーネス用外装部材1は、回動部材40と共にスムーズに回動される。
【0097】
また、回動部材40が回動角度において90度を越えて回動されることを規制する回動停止部(図示せず)が、回動部材40およびハーネス固定部材70に設けられたものも使用可能とされる。例えば車両ボディ300(図11(b))に対してスライドドア400が全開状態とされたときに、余長吸収装置330に内蔵された弾性部材(図示せず)により、ワイヤハーネス30の電線31に張力が発生されるから、車両ボディ300に装備されたハーネス固定具100からスライドドア400に装備された余長吸収装置330にかけて配索されたワイヤハーネス30の電線31の渡り部は、車両ボディ300に装備されたハーネス固定具100と、スライドドア400に装備された余長吸収装置330とを最短距離で結ぼうとする。
【0098】
その際に、車両ボディ300のセンタピラー350側に、ハーネス用外装部材1の一方のハーネス保護部材10(図1,図4)が位置するということを回避させ、一方のハーネス保護部材10よりも屈曲され難い他方のハーネス保護部材20(図9〜図11)が、車両ボディ300のセンタピラー350側に必ず位置するものとさせるために、回動部材40およびハーネス固定部材70に、回動角度において90度を越えて回動部材40が回動されることを規制する回動停止部(図示せず)が設けられる。実際には、不図示の前記回動停止部は、回動部材40の回動角度の範囲が、0度を越え45度以内とされるように、回動部材40およびハーネス固定部材70に設けられる。
【0099】
ハーネス用外装部材1およびハーネス固定具100の組付方法の一例について、図1〜図5,図7〜図11を用いて説明する。
図1の如く、先ず、一方のハーネス保護部材10の内側10a、又は、他方のハーネス保護部材20の内側20aに、ワイヤハーネス30を構成する複数の電線31を備える。
【0100】
次に、一方のハーネス保護部材10および他方のハーネス保護部材20に設けられた位置決め用係止部5と、位置決め用係合部6とを係り合せると共に、各係止部3と、各係合部5とを係り合せ、ハーネス用外装部材1を組立てる(図2〜図5)。これにより、ワイヤハーネス30(図1)を構成する複数の電線31は、組立てられたハーネス用外装部材1の収容部1a(図3〜図5)内に位置することとなる。
【0101】
次に、組立てられたハーネス用外装部材1の固定端部11a,21a(図2,図4)側に、図7,図8に示される回動部材40の一部材50と、他部材60とを合せて組付ける。
【0102】
その際に、回動部材40(図7)を構成する他部材60の半円筒部62の内側に立設されたリブ57と、一方のハーネス保護部材10(図4)の固定端側11a側に設けられた溝部7gとを合せる。これと共に、回動部材40(図7)を構成する他部材60のスリット状溝部62sに、組立てられたハーネス用外装部材1の両フランジ部12a,22a(図2,図5)が挿入される。
【0103】
また、回動部材40(図7)を構成する一部材50の半円筒部52の内側に立設されたリブ(図示せず)と、他方のハーネス保護部材20(図2,図4)の固定端側21a側に設けられた溝部8gとを合せる。これと共に、回動部材40(図7)を構成する一部材50のスリット状溝部52sに、組立てられたハーネス用外装部材1の両フランジ部12b,22b(図2,図4,図5)が挿入される。
【0104】
次に、図8の如く、半円筒状の一部材50の合せ面56に設けられた係合穴状の係合部55と、半円筒状の他部材60の合せ面66に設けられた係止突起状の係止部65とを係り合せる。一部材50の合せ面56に設けられた係合穴状の係合部55は、係止突起状の係止部65の係止面65aに対応した係合面55aと、係止部65の傾斜摺接面65bに対応した傾斜面55bと、係止部65の摺接面65cに対応した摺接面55cと、係止部65の一面65dに対応した他の摺接面55dと、係止部65の頂面65eに対応した奥面55eとを備えるものとして形成されている。係合穴状の係合部55と、係止突起状の係止部65とは、互いに対応したものとされている。
【0105】
半円筒状の一部材50の合せ面56に設けられた係合部55と、半円筒状の他部材60の合せ面66に設けられた係止部65とが係り合せられることで、半円筒状の一部材50の合せ面56と、半円筒状の他部材60の合せ面66とが当接され、略円筒状の回動部材40(図7)が組立てられる。
【0106】
組立てられたハーネス用外装部材1の固定端部11a,21a(図2,図4)側に、半円筒状の一部材50(図7,図8)と、半円筒状の他部材60とが組付けられて、回動部材40(図7)が組立てられることで、回動部材40に対し、ハーネス用外装部材1(図2,図4)がハーネス用外装部材1の長手方向に沿って移動されるということは回避され、ハーネス用外装部材1の固定端部11a,21a側は、回動部材40(図7)の収容部40a内に固定される。また、ハーネス用外装部材1の回動と共に、回動部材40が回される。
【0107】
回動部材(40)の仕様などにより、図8に示される半円筒状の一部材(50)の合せ面(56)に、係合穴状の係合部(55)が設けられることなく省略され、これと共に、半円筒状の他部材(60)の合せ面(66)に、係止突起状の係止部(65)が設けられることなく省略されたものも使用可能とされる。
【0108】
また、図8に示される前記係止部55および前記係合部65に代えて、例えば、図7に示される回動部材(40)を構成する一部材(50)の半円筒部(52)の外周部に、掛止突起状の掛止部(図示せず)が設けられ、不図示の前記掛止部に対応して、回動部材(40)を構成する他部材(60)の半円筒部(62)の外周部に、掛合枠状の掛合部(図示せず)が設けられたものも使用可能とされる。
【0109】
ワイヤハーネス30(図1,図7)の電線31が束ねられた部分に、ハーネス用外装部材1が取付けられ、このハーネス用外装部材1の一端部11a,21a側に回動部材40が組付けられ、このものに、ハーネス固定部材70を構成する一方のカバー90と、ハーネス固定部材70を構成する他方のカバー80とが組付けられる。
【0110】
図7の如く、一方のカバー90は、一側の小さい周壁93と、他側の大きい周壁94と、各周壁93,94に設けられた略係合枠状の各係合部95a〜95cと、周壁94に設けられた固定部99Aと、周壁93に設けられた他の固定部99Bとを備えるものとして形成されている。
【0111】
また、図7,図10の如く、他方のカバー80は、一側の小さい周壁83と、他側の大きい周壁84と、各周壁83,84に連成された各補強用のリブ86a,86b(図10)と、各補強用のリブ86a,86bに設けられた略係止突起状の各係止部85a〜85c(図7)と、周壁84に設けられた固定部89Aとを備えるものとして形成されている。
【0112】
一方のカバー90に他方のカバー80が組付けられる際に、ワイヤハーネス30の各電線31は、一方のカバー90の一側周壁93により形成された収容部93aと、他方のカバー80の一側周壁83により形成された収容部83aとに導入される(図7,図9,図10)。
【0113】
また、一方のカバー90に他方のカバー80が組付けられる際に、組立てられた略円筒状の回動部材40は、一方のカバー90の収容部94aと、他方のカバー80の収容部84aとに収納される。一端部11a,21a側に回動部材40が組付けられたハーネス用外装部材1は、一方のカバー90の他側周壁94により形成された収容部94aと、他方のカバー80の他側周壁84により形成された収容部84aとから導出される(図7,図9,図10)。
【0114】
図7の如く、一方のカバー90に設けられた略係合枠状の各係合部95a〜95cに、他方のカバー80に設けられた略係止突起状の各係止部85a〜85cが係り合せられることで、図9,図10の如く、ハーネス固定具100が組立てられる。図9の如く、ハーネス用外装部材1は、組立てられたハーネス固定具100の大きな開口部100aから導出される。ハーネス固定具100に装着されたハーネス用外装部材1が、自在に屈曲可能なものとされ、また、自在に回動可能なものとされるために、ハーネス用外装部材1が導出されるハーネス固定具100の開口部100aは、十分に大きな開口部100aとして形成されている。
【0115】
次に、ハーネス固定具100に設けられた固定部99Bの取付用突出部99pを、車両ボディ300(図11)などの固定構造体300に設けられた取付用穴部(図示せず)に差込む。
【0116】
次に、固定部99B(図9)の取付用突出部99pを中心として、ハーネス固定具100を回動させて、ハーネス固定具100に設けられた固定部89A,99A(図10)の止具取付孔89h,99hと、車両ボディ300(図11)などの固定構造体300に設けられた止具取付穴(図示せず)とを合わせ、ハーネス固定具100の位置決め作業などを行う。
【0117】
次に、ハーネス固定具100(図10)に設けられた固定部89A,99Aの止具取付孔89h,99hに、ボルト(図示せず)などの止具を差込み、車両ボディ300(図11)などの固定構造体300に設けられた止具取付穴(図示せず)に、不図示とされる前記ボルトなどの止具を螺合などさせて、ハーネス固定具100を車両ボディ300などの固定構造体300に固定させる。
ハーネス用外装部材1およびハーネス固定具100の組付方法は、このような工順で行われる。
【0118】
また、例えば車両ボディ300(図11)などの固定構造体300に対し、スライドドア400などのスライド構造体400が略二次元的に開閉される場合、図7〜図9,図11に示されるハーネス固定具(100)において、ハーネス固定部材(70)内の回動部材(40)が装備されることなく省略され、ハーネス固定部材(70)に、直接、図1〜図5に例示されるハーネス用外装部材(1)が固定されたものも使用可能とされる。
【0119】
この場合、図11に例示される如く、車両ボディ(300)のセンタピラー(350)側に、一方のハーネス保護部材(10)よりも屈曲され難い他方のハーネス保護部材(20)が必ず位置するものとされるように、ハーネス用外装部材(1)をハーネス固定部材(70)に固定させる。そのようなハーネス配策構造が構成されていれば、部品点数が削減化されるから、コストダウンが図られると共に、小型・軽量化されたハーネス配策構造を備えるものが提供可能となる。
【0120】
【発明の効果】
以上の如く、請求項1記載の発明によれば、ハーネス用外装部材が屈曲されても、ハーネス用外装部材を構成する一方のハーネス保護部材と、他方のハーネス保護部材とは、スムーズに動かされ、ハーネス用外装部材は、屈曲動作に対応する。従って、ハーネス用外装部材を構成する一方のハーネス保護部材と、他方のハーネス保護部材とに無理な力が加えられ、一方のハーネス保護部材や、他方のハーネス保護部材が変形されるといった不具合の発生は、未然に防止される。
また、一方のハーネス保護部材と、他方のハーネス保護部材とを備えるハーネス用外装部材は、二分割のものとされているから、二つのハーネス保護部材が合わせられて曲げられても、それぞれのハーネス保護部材の屈曲半径は、自在に変化される。従って、屈曲性に優れるハーネス用外装部材を提供することができる。
また、一方のハーネス保護部材と、他方のハーネス保護部材とを備えるハーネス用外装部材は、二分割された構造のものとされているから、各電線が束ねられるなどされてワイヤハーネスが構成された後に、ワイヤハーネスの電線の部分に、一方のハーネス保護部材と、他方のハーネス保護部材とを取付けて、電線にハーネス用外装部材を装着させるということも可能となる。例えばハーネス用外装部材が非分割とされるものであると、ワイヤハーネスが組上げられる際に、予め、ハーネス用外装部材に電線を通しておくといった電線の先通し作業が必要とされていた。しかしながら、この発明のハーネス用外装部材は、二分割された構造のものとされているから、前記電線の先通し作業は、必要とされなくなる。従って、ワイヤハーネスを構成する電線にハーネス用外装部材を装着させるといった組立工程において、ワイヤハーネスの組立工程の自由度が増すこととなる。このように、ワイヤハーネスに対するハーネス用外装部材の取付作業性を向上させることができる。
【0121】
請求項2記載の発明によれば、ハーネス用外装部材に備えられた係止部と、係合部とが合わせられることで、一方のハーネス保護部材と、他方のハーネス保護部材とが合わせられ、ハーネス用外装部材が構成される。従って、ハーネス用外装部材の内側に電線が挿入された後に、ハーネス用外装部材の外側にテープ巻きが行われるといった作業は、必要とされなくなる。このように、電線に対するハーネス用外装部材の取付作業性を向上させることができる。
【0122】
請求項3記載の発明によれば、ハーネス用外装部材が屈曲されたときに、突出部として形成された係止部は、長孔部として形成された係合部内を自在に移動できる。従って、ハーネス用外装部材を構成する一方のハーネス保護部材と、他方のハーネス保護部材とは、スムーズにずらされて動かされる。このように、ハーネス用外装部材が屈曲された際に、一方のハーネス保護部材と、他方のハーネス保護部材との内外径差を、スムーズに吸収させることができる。
【0123】
請求項4記載の発明によれば、ハーネス用外装部材が屈曲されたときに、突出部の支柱部の先端部に設けられた球状部は、長孔部上に係り合せられた状態として維持されつつ、突出部の支柱部は、長孔部内を自在に移動する。従って、一方のハーネス保護部材と、他方のハーネス保護部材とが合わせられることで構成されたハーネス用外装部材が屈曲された際に、ハーネス用外装部材が二つに開くということは回避され、一方のハーネス保護部材と、他方のハーネス保護部材とを、合わせられた状態に維持させながら、一方のハーネス保護部材と、他方のハーネス保護部材との内外径差を、スムーズに吸収させることが可能となる。
【0124】
請求項5記載の発明によれば、一方のハーネス保護部材と、他方のハーネス保護部材とが合わせられて、ハーネス用外装部材が構成される際に、長孔部の略中央部に設けられた湾曲状切欠き部に、突出部の球状部を合わせて通すことで、突出部として形成された係止部は、長孔部として形成された係合部に容易に係り合せられる。これにより、一方のハーネス保護部材と、他方のハーネス保護部材とを、容易に合わせることが可能となる。従って、ハーネス用外装部材の組付け作業性を向上させることができる。
【0125】
請求項6記載の発明によれば、寸法差吸収部は、フランジ部に容易に備えられることが可能となる。具体的に説明すると、寸法差吸収部を構成する係止部および係合部などは、フランジ部の任意の位置に任意の数で設定可能なものとなる。従って、ハーネス用外装部材に、係止部および係合部などの寸法差吸収部が設けられる際の設計の自由度を、向上させることができる。
【0126】
請求項7記載の発明によれば、一方のハーネス保護部材と、他方のハーネス保護部材とが合わせられて構成されたハーネス用外装部材が屈曲されるときに、位置決め用係止部と、位置決め用係合部とが合わせられた一端部側が基準とされて、ハーネス用外装部材は屈曲される。従って、ハーネス用外装部材が屈曲されたときに、一方のハーネス保護部材の他端部と、他方のハーネス保護部材の他端部とにずれが生じる。このようなずれが、一方のハーネス保護部材と、他方のハーネス保護部材との内外径差とされる。
【0127】
請求項8記載の発明によれば、ハーネス用外装部材が一方のハーネス保護部材側に屈曲された時と、ハーネス用外装部材が他方のハーネス保護部材側に屈曲された時とで、ハーネス用外装部材の屈曲半径は、異なるものとなる。これにより、ハーネス用外装部材が相手側のものと共に用いられる際に、ハーネス用外装部材を相手側のものに向けて屈曲させ難いように装備させることが可能となる。従って、ハーネス用外装部材が相手側のものと干渉され、ハーネス用外装部材が損傷されるということは、未然に回避される。
【0128】
請求項9記載の発明によれば、複数の一形態の突条部を備える一方のハーネス保護部材の最小屈曲半径と、複数の他形態の突条部を備える他方のハーネス保護部材の最小屈曲半径とは、異なる値に設定可能となる。
例えば、一方のハーネス保護部材に並設された各一形態の突条部同士の距離よりも、他方のハーネス保護部材に並設された各他形態の突条部同士の距離のほうが短い距離に設定された場合、他方のハーネス保護部材に並設された各他形態の突条部同士の距離は短いから、ハーネス用外装部材が他方のハーネス保護部材側に緩やかに撓まされた状態において、各他形態の突条部同士は当接され、ハーネス用外装部材の屈曲は停止される。従って、その状態における屈曲半径が、他方のハーネス保護部材側に曲げられたときのハーネス用外装部材の最小屈曲半径となる。このように、他方のハーネス保護部材側に曲げられたときのハーネス用外装部材の最小屈曲半径は、比較的大きい値に設定可能とされる。
これに対し、ハーネス用外装部材が一方のハーネス保護部材側に撓まされた状態においては、一方のハーネス保護部材に並設された各一形態の突条部同士の距離は、前記各他形態の突条部同士の距離よりも長いから、ハーネス用外装部材が一方のハーネス保護部材側に大きく撓まされたときに、各一形態の突条部同士が当接されて、ハーネス用外装部材の屈曲が停止される。従って、その状態における屈曲半径が、一方のハーネス保護部材側に曲げられたときのハーネス用外装部材の最小屈曲半径となる。このように、一方のハーネス保護部材側に曲げられたときのハーネス用外装部材の最小屈曲半径は、比較的小さい値に設定可能とされる。
【0129】
請求項10記載の発明によれば、他方のハーネス保護部材は、複数の一形態の突条部と、一形態の突条部と異なる複数の他形態の突条部との両方を備えた蛇腹状に形成される。このような形態の他方のハーネス保護部材がハーネス用外装部材に備えられていれば、ハーネス用外装部材が用いられる箇所に対応して、ハーネス用外装部材の屈曲半径は、自在に設定可能なものとなる。
【0130】
請求項11記載の発明によれば、可撓性や屈曲性に優れるハーネス用外装部材が提供可能となる。また、合成重合体として、例えばポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂が用いられて、一方のハーネス保護部材や、他方のハーネス保護部材が形成されていれば、安価なハーネス用外装部材を提供することができる。
【0131】
請求項12記載の発明によれば、固定構造体に対し、スライド構造体がスライド移動された際に、固定構造体と、スライド構造体との間に渡された電線を保護するためのコルゲートチューブに無理な力が加えられるということは、回避される。コルゲートチューブを構成する一方のハーネス保護部材と、他方のハーネス保護部材との内外径差は、係止部および係合部などの寸法差吸収部によって吸収されるから、コルゲートチューブに永久変形が生じるということは回避され、コルゲートチューブは適度に湾曲される。
【0132】
請求項13記載の発明によれば、固定構造体に対して電線が撓まされ、これと共に電線を保護するハーネス用外装部材が撓まされるときに、ハーネス用外装部材は、左右または上下といった平面的な動きから、回動といった立体的な動きにも対応することが可能となる。従って、本発明のハーネス配策構造が構成されることにより、ハーネス用外装部材は、無理な力が加えられることなく、あらゆる方向に屈曲可能なものとなる。
【0133】
請求項14記載の発明によれば、固定構造体に対して電線が撓まされ、これと共に電線を保護するハーネス用外装部材が撓まされるときに、固定構造体に対し、回動部材と共にハーネス用外装部材をスムーズに回動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るハーネス用外装部材の第一の実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】図1の矢視Iに沿ってハーネス用外装部材を眺めた状態を示す説明図である。
【図3】図2のII−II断面図である。
【図4】図2の矢視III に沿ってハーネス用外装部材を眺めた状態を示す説明図である。
【図5】図2の矢視IVに沿ってハーネス用外装部材を眺めた状態を示す説明図である。
【図6】本発明に係るハーネス用外装部材の第二の実施形態を示す説明図である。
【図7】本発明に係るハーネス配索構造の一実施形態を示す分解斜視図である。
【図8】同じく回動部材の要部を示す拡大断面図である。
【図9】同じくハーネス配索構造を示す斜視図である。
【図10】同じくハーネス配索構造を示す平面図である。
【図11】(a)は固定構造体に対しスライド構造体が全閉状態とされたときのハーネス配索構造を示す説明図、(b)は固定構造体に対しスライド構造体が全開状態とされたときのハーネス配索構造を示す説明図である。
【図12】従来のワイヤハーネス保持用コルゲート管の一形態を示し、(a)はその斜視図、(b)はその半管体を解放した状態を示す図、(c)は第1,2係合部の構成図、(d)はその第1係合部の溝部に第2係合部の突部が係合された状態を示す要部断面図、(e)はコルゲート管にワイヤハーネスが取付けられた状態における図12(a)のV−V断面図である。
【符号の説明】
1,1i コルゲートチューブ(ハーネス用外装部材)
2 寸法差吸収部
3 突出部(係止部)
3c 支柱部
3d 直径
3f 球径
3g 球状部
3p 先端部
3r 根元部
4,4i,4ii 長孔部(係合部)
4b 切欠き部
4c 中央部
4d 幅狭長さ
5 位置決め用突出部(位置決め用係止部)
6 位置決め用円孔部(位置決め用係合部)
7 一形態の突条部(突条部)
8 他形態の突条部(突条部)
10,10i 一方のハーネス保護部材(ハーネス保護部材)
10a,10ai,20a,20ai 内側
11a,11ai,21a,21ai 固定端部(一端部)
12a,12ai,22a,22ai 一方のフランジ部(フランジ部)
12b,12bi,22b,22bi 他方のフランジ部(フランジ部)
20,20i 他方のハーネス保護部材(ハーネス保護部材)
30 ワイヤハーネス
31 電線
40 回動部材
52s,62s 溝部
70 ケース(ハーネス固定部材)
300 車両ボディ(固定構造体)
400 スライドドア(スライド構造体)
Da,Db 距離
F 内外径差

Claims (14)

  1. 一方のハーネス保護部材と、該一方のハーネス保護部材に合わせられる他方のハーネス保護部材とを備え、該一方のハーネス保護部材および該他方のハーネス保護部材は、二分割のものとされ、該一方のハーネス保護部材の内側と、該他方のハーネス保護部材の内側とに電線が通され、該一方のハーネス保護部材と、該他方のハーネス保護部材とが合わせられて曲げられた際に、該一方のハーネス保護部材と、該他方のハーネス保護部材との内外径差を吸収可能な寸法差吸収部が設けられたことを特徴とするハーネス用外装部材。
  2. 前記寸法差吸収部は、係止部と、該係止部に対応し且つ該係止部が移動可能とされる係合部とを備えることを特徴とする請求項1記載のハーネス用外装部材。
  3. 前記係止部は、突出部として形成され、前記係合部は、該突出部が移動可能とされる長孔部として形成されたことを特徴とする請求項2記載のハーネス用外装部材。
  4. 前記突出部は、支柱部と、該支柱部の先端部に設けられた球状部とを備え、該支柱部の直径は、前記長孔部の幅狭長さと略同じとされ、該球状部の球径は、該長孔部の該幅狭長さよりも大きいことを特徴とする請求項3記載のハーネス用外装部材。
  5. 前記長孔部の略中央部に、前記突出部の球状部に対応した湾曲状切欠き部が設けられたことを特徴とする請求項3又は4記載のハーネス用外装部材。
  6. 前記一方のハーネス保護部材にフランジ部が設けられ、該フランジ部に対応して、前記他方のハーネス保護部材にフランジ部が設けられ、前記寸法差吸収部は、各フランジ部に備えられたことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のハーネス用外装部材。
  7. 前記一方のハーネス保護部材または前記他方のハーネス保護部材の一端部側に、位置決め用係止部が設けられ、該位置決め用係止部に対応して、該他方のハーネス保護部材または該一方のハーネス保護部材の該一端部側に、位置決め用係合部が設けられたことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のハーネス用外装部材。
  8. 前記一方のハーネス保護部材は、複数の一形態の突条部を備える蛇腹状に形成され、前記他方のハーネス保護部材は、該一形態の突条部と異なる複数の他形態の突条部を備える蛇腹状に形成されたことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載のハーネス用外装部材。
  9. 前記一形態の突条部同士の距離と、前記他形態の突条部同士の距離とは、異なる距離に設定されたことを特徴とする請求項8記載のハーネス用外装部材。
  10. 前記他方のハーネス保護部材は、複数の前記一形態の突条部をさらに備えることを特徴とする請求項8又は9記載のハーネス用外装部材。
  11. 前記一方のハーネス保護部材および/または前記他方のハーネス保護部材は、合成重合体が用いられて形成されたことを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載のハーネス用外装部材。
  12. 前記ハーネス用外装部材は、固定構造体と、該固定構造体に対しスライド移動が可能とされるスライド構造体との間に渡された電線を保護するコルゲートチューブとして用いられたことを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載のハーネス用外装部材。
  13. 請求項1〜12の何れか1項に記載の前記ハーネス用外装部材の一端部側に、回動部材が装着され、該回動部材は、固定構造体に装着されるハーネス固定部材に装備されたことを特徴とするハーネス配策構造。
  14. 前記ハーネス用外装部材にフランジ部が設けられ、該フランジ部に対応して、前記回動部材に溝部が設けられ、該溝部に該フランジ部が合わせられることで、該回動部材と共に該ハーネス用外装部材が回動可能とされることを特徴とする請求項13記載のハーネス配策構造。
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