JP2004247034A - 光ピックアップ光学系 - Google Patents

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Abstract

【課題】
規格の異なる複数の保護層厚の光ディスクに互換性を有する光ピックアップ光学系において、ディスク保護層厚が相対的に厚いディスクに適用する場合にも大きな作動距離と良好な収差特性を持つ光ピックアップ光学系を提供すること。
【解決手段】
光ディスク用対物レンズは、少なくとも、第一の光ディスクに対して情報の記録または再生を行う時において、複数の光源のうちのいずれか一つから照射され、カップリングレンズを介して対物レンズに入射する光束は、球面収差を有した発散光である。系全体の球面収差は、発散光の球面収差と対物レンズおよびディスク保護層で発生する球面収差によって補正され、また対物レンズシフトした際の系全体のコマ収差は、カップリングレンズの持つ球面収差に起因したコマ収差成分と、対物レンズおよびディスク保護層で発生するコマ収差成分とによって補正されるように構成にした。
【選択図】 図1

Description

この発明は、保護層の厚さの異なる複数種類の光ディスクに対するデータの記録または再生を行う光ディスク装置に用いられる光ピックアップ光学系に関する。
光ディスクには保護層厚の異なる複数の規格が存在する。例えば保護層厚1.2mmのCD(コンパクトディスク)やCD−R(CD−レコーダブル)と、保護層厚0.6mmのDVD(デジタルバーサタイルディスク)はその好例である。
CDやCD−RとDVDは、ディスク全体のサイズや厚さが同一であるため、本来、同一の光ピックアップ装置で情報の記録または再生できることが望ましい。しかし、規格ごとにディスク保護層厚が異なるために該保護層で発生する球面収差の量が異なる。そのため、実際には複数の規格の光ディスクに対して完全同一の光学系、特に同一の対物レンズを用いて記録や再生を行うことは容易ではない。そこで従来、両ディスクに互換性を持つ光ピックアップ光学系として、多くの構成が提案されている。
例えば特開2000−81566号公報には、光ピックアップ装置において、CD(CD−R)とDVDに対する情報の記録または再生に必要とされる光の波長が異なることから複数の波長の光源が用意されていることを利用し、回折構造を対物レンズ表面に設けて波長による回折作用の差でディスク保護層厚の差による球面収差を補正した構成が提案されている。上記のような回折構造を備える対物レンズは樹脂材料でなければ製造が困難となる。しかし樹脂では温度変化に対して性能変化が大きい、つまり温度特性が良好ではないため環境変化に対する安定性が問題となる。そこで、上記公報に例示されるような装置の構成に、該対物レンズの温度特性も回折作用を利用して補正する手法を採り入れた構成(例えば、特開平11−337818号公報参照)が、現在のCD(CD−R)とDVDに対して互換性を有する光ピックアップ光学系における主流となっている。
しかし、上記構成は、ディスク保護層厚の厚いCD(CD−R)を使用したときにおける対物レンズからディスク表面までの距離(以下、作動距離という)がディスク保護層厚の薄いDVD使用時に比べて短いという欠点がある。そのため、CD(CD−R)使用時に最低限必要な作動距離を確保しようとするとDVD使用時では必要以上の作動距離となってしまい、光ピックアップ装置を小型化することができない。
このことは、近年多用されるノートタイプパソコン用の光ディスクドライブ等といった小型化の要求が厳しい装置では極めて重要な問題となる。なお、光ピックアップ光学系の小型化を実現するために、CD(CD−R)使用時の作動距離を犠牲にすると、対物レンズとCD(CD−R)の接触による傷の発生や故障などの問題が発生してしまう。このような問題を解決する手段として、特許文献1や特許文献2に例示される光学系がある。
特開平9−43510号公報 特開2000−338395号公報
特許文献1には対物レンズで発生する球面収差の物体距離依存性を利用した光学系が提案されている。具体的には、DVD使用時において対物レンズに平行光を入射させると、系全体として球面収差が補正される構成にする。また、CD(CD−R)使用時では対物レンズには発散光が入射する構成にする。発散光を対物レンズに入射させると、対物レンズで発生する球面収差はDVD使用時よりも補正不足となり、CDのディスク保護層により補正過剰になった球面収差と相殺される。これにより、CD使用時であっても系全体として球面収差が補正される。この際、CDの作動距離はCD、DVDとも平行光(あるいは同じ物体距離の光)を入射させた場合に比べて伸びるため、CDの作動距離が小さくなりすぎるという問題が緩和される。
特許文献1の構成では、CD(CD−R)とDVDのどちらを使用したときも球面収差は補正されている。しかし、対物レンズに平行光を入射させて使用する場合に比べて、軸外で発生するコマ収差は大きくなる。従って、組み立て誤差やトラッキングのために対物レンズを光軸に略直交する面内で横ずれ(以下、対物レンズシフトという)させた場合に発生するコマ収差の量が大きくなってしまう。再生専用の光ピックアップ光学系においては、情報再生時に必要とされる像側での開口数(Numerical Aperture;NA)が比較的小さいため、該コマ収差の量は許容範囲であるとして特許文献1の構成を使用することも可能である。しかし、必要とする像側NAが大きく収差に対する許容が小さい情報記録用途の光ピックアップ光学系には特許文献1の構成は適切ではない。
また特許文献2では、有限の物体距離で使用するCDに対する情報の記録または再生用の光学系におけるカップリングレンズを以下のように設計している。すなわち、対物レンズシフトをしていないときの光束透過範囲(中央部分)は無収差で、対物レンズシフトしたときの光束透過範囲(周辺部分)は球面収差を発生させるようにカップリングレンズを設計する。そして、発生した球面収差を用いて、対物レンズシフトに伴って対物レンズおよびディスクの保護層で発生するコマ収差の一部を相殺する。しかし、特許文献2に記載のカップリングレンズは、製造および収差の検査が困難である。さらに点対称に発生するコマ収差波面のうち片側しか補正できないため十分なコマ収差の補正効果が得られず、高次のコマ収差が残存するといった問題もある。
そこで本発明は上記の事情に鑑み、規格の異なる複数の光ディスクに互換性を有する光ピックアップ光学系において、ディスク保護層厚が相対的に厚いディスクに対して情報を記録または再生する場合にも十分長い作動距離を確保できると共に、良好な収差特性を持つ光ピックアップ光学系を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の光ピックアップ光学系は、最もディスク保護層厚の厚い第一の光ディスクと、該第一の光ディスクよりも相対的にディスク保護層厚の薄い第二の光ディスクと、の少なくとも2種類の保護層厚の光ディスクに対して情報の記録または再生が可能な光ピックアップ光学系であって、各光ディスクに対応する複数の光源と、カップリングレンズと、各光ディスクに対して共通に用いられる対物レンズと、を有し、少なくとも、第一の光ディスクに対して情報の記録または再生を行う時において、以下のように構成されることを特徴とする。すなわち、第一の光ディスクに対応する光源から照射され、カップリングレンズを介して対物レンズに入射する光束は、球面収差を有した発散光であり、系全体の球面収差は、該発散光の持つ球面収差と、対物レンズおよびディスク保護層で発生する球面収差とによって補正され、トラッキングのために対物レンズシフトした際の系全体のコマ収差は、カップリングレンズから射出される発散光の持つ横ずれした球面収差に起因するコマ収差相当成分と、対物レンズおよびディスク保護層で発生するコマ収差成分とが相殺されることにより補正される。
このように請求項1に記載の発明によれば、対物レンズシフトした状態で保護層の厚い第一の光ディスクに対して情報の記録または再生を行う場合に、カップリングレンズから射出される発散光は横ずれした球面収差を持つ。横ずれした球面収差に含まれるコマ収差成分は、対物レンズと保護層で発生するコマ収差と逆向きであるため両者は相殺される。これにより、対物レンズシフトの際のコマ収差の発生が抑えられる。また、第一の光ディスクに対しては発散光を使用するため、十分に長い作動距離を確保することができる。なお、第一の光ディスクとは例えばCDやCD−Rが該当する。また、第二の光ディスクとは例えばDVDが該当する。
対物レンズシフトの際にカップリングレンズから射出される光束の持つ横ずれした球面収差に起因するコマ収差成分を、対物レンズおよびディスク保護層で発生するコマ収差成分に対して逆向きに発生させるためには、カップリングレンズから射出される発散光が、該カップリングレンズの中心軸から離れるにつれて波面が遅れるような球面収差を有することが望ましい(請求項2)。これにより二つのコマ収差成分は相殺され、良好な収差特性が得られる。
また、請求項3に記載の発明によれば、第一の光ディスクに対する情報の記録または再生時に使用される光束が最も発散度の大きい発散光とするとよい。これにより、第一の光ディスクに対して情報の記録または再生をする際により十分長い作動距離を確保することができる。
第一の光ディスクに対する情報の記録または再生時に使用される光束の発散度としては、第一の光ディスクに対する情報の記録または再生時の前記対物レンズ単独の倍率MOBL1が以下の条件(1)を満たすように構成するのが好ましい(請求項4)。
−0.15<MOBL1<−0.03・・・(1)
条件(1)における下限を下回ると、第一の光ディスクに対する情報の記録または再生時に必要な像側NAを確保するための対物レンズの有効径が大きくなりすぎて、対物レンズが大型化してしまう。また、上限を上回ると第一の光ディスクと第二の光ディスクとで情報の記録または再生時の作動距離の差を抑える効果が十分に得られない。
さらに、第一の光ディスクと第二の光ディスクに対して、異なるカップリングレンズを使用しても良い(請求項5)し、共通の光路にカップリングレンズを配設し、共通して使用するような構成を採ることもできる(請求項6)。なお、異なるカップリングレンズには、カップリングレンズの機能を2以上の素子に分割し、一部を第一の光ディスク(あるいは第二の光ディスク)のみに対応する光路中に配設し、一部は共通の光路中に配設するような構成も含まれる。具体的には、第一の光ディスクのみに対応する光路中に所定の球面収差を付加するような素子を配設し、第一の光ディスクおよび第二の光ディスクの共通の光路中に光束の発散度を変換する素子を配設するような構成が考えられる。
第一の光ディスクおよび第二の光ディスクに対して同一のカップリングレンズを使用する場合、第一の光ディスクに対して所望の球面収差を発生させるような設計を行うと第二の光ディスクに対しても球面収差が発生してしまう場合がある。そこで、情報の記録または再生時に使用される光の波長が第一の光ディスクおよび第二の光ディスクで異なるように構成する。そして、カップリングレンズは、少なくとも一面に回折構造を有しており、第一の光ディスクに対応する波長の光が入射した場合には球面収差を有した発散光が射出され、第一の光ディスクとは異なる保護層厚を持つ第二の光ディスクに対応する波長の光が入射した場合には略無収差の光束が射出されるよう構成されていると良い(請求項7)。
また、第二の光ディスクに対する情報の記録または再生時では、作動距離が第一の光ディスクに比べて相対的に長くなる。従って、カップリングレンズから射出される光束を発散光とする必要がない。そこでこのような場合、請求項8に記載の発明によれば、該光束を平面波、つまり平行光とすることにより、第二の光ディスクに対する情報の記録または再生時に対物レンズシフトに対してコマ収差や非点収差の発生を避けることができる。具体的には第二の光ディスクに対する情報の記録または再生時において、前記第二の光ディスクに対する情報の記録または再生時の前記対物レンズ単独の倍率MOBL2が以下の条件(2)、
−0.01<MOBL2<0.01・・・(2)
を満たすように構成する(請求項9)。倍率MOBL2が条件(2)の範囲内であれば、発生するコマ収差や非点収差の量が十分抑えられる。
上記対物レンズは、第一の光ディスク以外の所定の光ディスクに対する情報の記録または再生時において、入射する光束が該対物レンズの光軸に対して傾いた場合にコマ収差が発生しないように構成されていることが望ましい(請求項10)。これにより、所定の光ディスクに対応する光学系においては光源から照射される光束の光路途中に配置される光路折り返しミラーの角度誤差などにより対物レンズに入射する光束の角度に誤差が生じてもコマ収差が発生せず組み立て誤差の許容を大きくとることができる。
より具体的には、コマ収差などに対する許容量が小さくなってしまう、情報の記録または再生に必要となる像側NAが最も大きい光ディスクを上記所定の光ディスクとして設計することができる(請求項11)。
別の観点からみると、上記の各発明において、第一の光ディスク使用時において、対物レンズは、該レンズ単独の倍率の絶対値が、該対物レンズを第一の光ディスクと組み合わせた状態で第一の光ディスクに対応する波長の無収差の発散光を入射させた場合に対物レンズおよび保護層で発生する球面収差の合計が最小となる倍率の絶対値よりも、大きくなるように構成され、かつカップリングレンズは、透過した光束の波面が光軸から離れるにつれて遅れるように構成されていることを特徴とする(請求項12)。すなわち、第一の光ディスクに対する情報の記録または再生時は、より発散度の大きな光束が対物レンズに入射することを特徴とする。
請求項12に記載の発明によれば、該対物レンズに起因する球面収差は補正不足(レンズ中心軸から離れるにつれて波面が進む状態)となる。そこで、カップリングレンズからの射出光が光軸から離れるにつれて波面が遅れる状態にすることにより該球面収差を打ち消している。このように構成することにより、対物レンズシフトの際にカップリングレンズから射出される光束の持つ横ずれした球面収差に起因するコマ収差成分と、対物レンズおよびディスク保護層で発生するコマ収差成分とが互いに逆向きに発生して相殺される。さらには第一の光ディスクに対する情報の記録または再生時における作動距離をより長くする効果が得られる。
以下、この発明に係る光ピックアップ光学系の実施形態を説明する。以下に詳説する各実施形態の光ピックアップ光学系は、比較的厚い保護層を有する第一の光ディスク(例えば、CDやCD−R)D1と該第一の光ディスクD1よりも薄い保護層を有する第二の光ディスク(例えば、DVDやDVD−R)D2とに対して情報の記録または再生が可能な光ピックアップ装置に搭載される。ここで、互換性を持つ光ピックアップ装置には、記録専用装置、再生専用装置、および記録、再生兼用装置の全てが含まれる。
図1は、第一の実施形態の光ピックアップ光学系100を表す図である。図1に示すように、光ピックアップ光学系100は、第一の光ディスクD1に対する情報の記録または再生に使用される第一光学系OP1、第二の光ディスクD2に対する情報の記録または再生に使用される第二光学系OP2を有する。第一実施形態における第一光学系OP1は、第一光源11、第一カップリングレンズ12、第一光分岐素子17、第一受光素子18を含む。また、第一実施形態における第二光学系OP2は、第二光源13、第二カップリングレンズ14、第二光分岐素子19、第二受光素子20を含む。ビームスプリッタ15、対物レンズ16は各光学系OP1、OP2に共通の部材である。
第一実施形態の第一光学系OP1の具体的数値構成は表1に示される。
Figure 2004247034
表1中、倍率MALL1は第一光学系OP1全系の倍率を、倍率MOBL1は第一光学系OP1の対物レンズ16の倍率をそれぞれ表す。設計波長とは、情報の記録または再生に用いられる光ディスクに最も適した波長のことである。設計NAは像側の開口数である。また表1中の備考は各面番号が示す光学部材を表す。rはレンズ各面の曲率半径(単位:mm)、dはレンズ厚またはレンズ間隔(単位:mm)、nはd線(588nm)での屈折率、νはd線でのアッベ数である。以下の各表においても同様である。
表1中、第一カップリングレンズ12の第二面12a(面番号2)および対物レンズ16の第一面(面番号5)と第二面(面番号6)は非球面である。各非球面の形状は光軸からの高さがhとなる非球面上の座標点の光軸上での接平面からの距離(サグ量)をX(h)、非球面の光軸上での曲率(1/r)をC、円錐係数をK、4次、6次、8次、10次、12次の非球面係数をA,A,A,A10,A12として、以下の式で表される。
Figure 2004247034
第一光学系OP1における各非球面を規定する円錐係数と非球面係数は、表2に示される。なお、表1や表2に示すように対物レンズ16の第一面(面番号5)は、レンズの内側領域(h<1.30)と外側領域(h≧1.30)とによって曲率半径rや非球面の形状が異なっている。
Figure 2004247034
さらに、対物レンズ16の第一面(面番号5)の外側領域に形成された回折構造は、以下の光路差関数φ(h)により表される。
Figure 2004247034
光路差関数φ(h)は、回折面(第一面10a)上での光軸からの高さhの点において、回折構造により回折されなかった場合の仮想の光線と、回折構造により回折された光線との光路長差を示す。P、P、P、…はそれぞれ2次、4次、6次、…の係数である。該回折構造を規定する光路差関数係数P、…は、表3に示される。nは回折次数を表す。この発明の各実施形態ではn=1としている。
Figure 2004247034
また、第一実施形態の第二光学系OP2の具体的数値構成は表4に示される。
Figure 2004247034
表4中、倍率MALL2は第一光学系OP2全系の倍率を、倍率MOBL2は第二光学系OP2における対物レンズ16の倍率をそれぞれ表す。以下に説明する他の実施形態においても同様である。表4中、第二カップリングレンズ14の第二面14a(面番号2)は非球面である。第二カップリングレンズ14の第二面14a(面番号2)を規定する円錐係数と非球面係数は、表5に示される。なお、対物レンズ16の各面を規定する係数は上記表2と表3を参照する。
Figure 2004247034
第一光源11は、表1に示した設計波長と同一の発振波長を持つ。また第二光源13は、表4に示した設計波長と同一の発振波長を持つ。
第一光源11から発振されたレーザ光束は、第一カップリングレンズ12を介してビームスプリッタ15に入射する。第一カップリングレンズ12は、該レンズ12の中心軸から離れるにつれて波面が遅れるような球面収差を有した発散光が射出されるように構成される。図2は、カップリングレンズ12から射出された光束の波面収差を表す概念図である。カップリングレンズ12から射出された光束は発散光であるので、波面は球面波に収差成分が付加された形になるが、図2では球面波の成分は除いて収差成分のみを示している。図2中、横軸が収差量、縦軸が瞳座標を、それぞれ表す。図2中、太い点線に示すように、第一カップリングレンズ12を透過した光束は中心軸を基準として対称に波面収差が発生している。なお、図2中、対物レンズシフトしない位置(初期位置)の対物レンズ16に入射する光束は、瞳座標が約±1.0の範囲にある。
第一カップリングレンズ12から射出されたレーザ光束は、ビームスプリッタ15で反射して対物レンズ16に入射する。第一カップリングレンズ12から射出されて図2に示すような球面収差を有する発散光は、初期位置の対物レンズ16を透過すると、第一の光ディスクD1の記録面上で集光し、良好なスポットを形成する。
また、第二光源13から発振されたレーザ光束は、第二カップリングレンズ14によって平行光束に変換された後、ビームスプリッタ15を介して対物レンズ16に入射する。すなわち、第二カップリングレンズ14はコリメートレンズである。なお、第二カップリングレンズ14は、透過する光束が無収差となるように構成される。第二カップリングレンズ14から射出された無収差の平行光束は、初期位置の対物レンズ16を透過すると、第二の光ディスクD2の記録面上で集光し、良好なスポットを形成する。
すなわち、第一光学系OP1は、第一カップリングレンズ12から射出される発散光が有する球面収差を対物レンズ16と第一の光ディスクD1の保護層によって発生する球面収差で打ち消すことができるように設計されている。図3は、第一カップリングレンズ12の球面収差図である。横軸は発散光の虚像における球面収差の量(単位:mm)を示し、縦軸は第一カップリングレンズの第二面12aでの光線の入射高さ(単位:mm)を示している。図3に示すように第一カップリングレンズ12の球面収差は補正過剰の状態になっている。なお、図3をはじめ後述の各実施形態で示すカップリングレンズの球面収差図では、該レンズの第二面12aの有効径hよりも外側にあるレンズ最大径(1.80mm)まで示している。図3に示す第一カップリングレンズ12の第二面12aでの有効径hは0.90である。一方、対物レンズ16は、入射する光束が無収差の発散光である場合に第一の光ディスクD1の記録面上での球面収差が最小になる倍率MREFよりも倍率MOBL1の絶対値を大きく設定する。本明細書では倍率MREFは−0.0725倍である。第一実施形態の倍率MOBL1は、表1に示すように−0.0814倍に設定される。このように倍率MOBL1の絶対値を倍率MREFよりも大きく設定することにより、対物レンズ16および第一の光ディスクD1の保護層により発生する球面収差が補正不足の状態になると同時に、対物レンズ16から像までの距離が伸びて作動距離が長くなる。図4は、第一光学系OP1全体としての球面収差図である。図3と図4に示すように、第一カップリングレンズ12の持つ球面収差を利用することにより、系全体としては球面収差が良好に抑えられている。
また第二光学系OP2は、第二カップリングレンズ14と初期位置の対物レンズ16との関係において、第二カップリングレンズ14から射出された無収差の平行光束が第二の光ディスクD2の記録面上に良好なスポットを形成するように球面収差が補正されている。
ここで、第二カップリングレンズ14から射出された平行光束は、対物レンズ16に向かう光路中に設けられた図示しない折り返しミラー等の取り付け誤差等によって、対物レンズ16の光軸に対して傾いて入射してしまうおそれがある。そこで、対物レンズ16は、第二カップリングレンズ14から射出された平行光束が対物レンズ16の光軸に対して傾いて入射した場合であっても良好なスポットが形成されるように、コマ収差の発生を抑えた設計がなされている。
なお同様の理由から、第一カップリングレンズ12から射出された発散光も対物レンズ16の光軸に対して傾いて入射する場合もありうる。そのため対物レンズ16は、該発散光入射時においても、コマ収差の発生が抑えられるように設計するほうが好ましい。しかし、保護層厚の比較的厚い第一の光ディスクD1の場合、情報の記録または再生時に要求されるNAが第二の光ディスクよりも小さくてすむため、対物レンズ16に入射する発散光の光軸に対する傾きの許容範囲が比較的大きくなる。従って、第一カップリングレンズ12から射出された発散光に対する対物レンズ16の収差補正は、第二カップリングレンズ14から射出された平行光束に対する収差補正ほど高い精度をもって行わなくても良い。
第一の光ディスクD1の記録面で反射した光束は、入射時の光路と同一の光路を経て第一光分岐素子17に入射する。第一光分岐素子17は回折構造を有している。従って、第一光分岐素子17に入射した記録面からの戻り光は、第一光源11から対物レンズ16に向かう光束の光路から分岐され、第一受光素子18に入射する。第一受光素子18は、入射した光束を電気信号に変換し、図示しない所定の信号処理回路に送信する。該信号処理回路では、第一受光素子18から送信された電気信号に基づいて再生信号、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号等を適宜生成する。
第二の光ディスクD2の記録面で反射した光束は、入射時の光路と同一の光路を戻る。そして戻り光は、第二光分岐素子19を介して受光素子20に受光される。第二光分岐素子19や第二受光素子20の作用は、上記の第一光分岐素子17、第一受光素子18と略同一であるため、ここでの説明は省略する。
上述した構成において、対物レンズ16がトラッキング等を行うためにシフトした場合、情報の記録または再生は以下のようにして行われる。
対物レンズシフトすると、対物レンズ16からみた第一カップリングレンズ12による第一光源11の像は対物レンズ16の光軸からずれた位置にある。つまり、対物レンズ16に入射する発散光は軸外光となる。そのため、対物レンズ16と第一の光ディスクD1の保護層とによってコマ収差が発生することになる。そこで、該コマ収差を良好に補正する必要がある。本実施形態の光ピックアップ光学系100では、以下のようにして該コマ収差を良好に抑えている。
対物レンズシフトすると、対物レンズ16には、第一カップリングレンズ12において中心軸からずれた位置を透過する光束が入射する。例えば、図2に示す収差図において瞳座標が約+1.2〜−0.8の範囲にある光束が、シフトした対物レンズ16に入射する。そのため、対物レンズシフト時に情報の記録または再生に使用される発散光は、細い実線で示すような横ずれした収差を有する。
上記の横ずれした収差は、図5に示すように主としてコマ収差成分(一点鎖線)と球面収差成分(二点鎖線)とに分解することができる。ここで、図2に示すように第一カップリングレンズ12によって発生する球面収差は、中心軸から離れるにつれ波面が遅くなる収差である。そのため、上記コマ収差成分および球面収差成分は、対物レンズ16と第一の光ディスクD1の保護層とに起因して発生するコマ収差や球面収差と逆向きになっている。従って対物レンズシフトした場合であっても、コマ収差、球面収差共に、発散光の横ずれした球面収差の成分によって相殺される。図6に、第一光学系OP1の対物レンズシフトに対する諸収差の発生量を示す。横軸は対物レンズシフト量、縦軸は諸収差の発生量である。図6からわかるように、対物レンズシフトした場合に、第一光学系OP1においてコマ収差は高次成分まで含めてほとんど発生していない。つまり、第一の光ディスクD1の記録面上には良好なスポットが形成される。
なお、図7に従来の光ピックアップ光学系の対物レンズシフトに対する諸収差の発生量を示す。従来の光ピックアップ光学系としては、第一実施形態と同一対物レンズを使い、CDに対応する光学系(本実施形態での第一光学系)で球面収差の補正されたカップリングレンズを使用したものを想定している。図6と図7を比較すればわかるように、第一実施形態の構成によれば、コマ収差を含め全体の収差が従来例の約半分以下に抑えられている。
第二の光ディスクD2に対する情報の記録または再生に使用するレーザ光は平行光束であるため、対物レンズシフトすることによって新たな収差が発生することはない。つまり第二の光ディスクD2に対しては、対物レンズシフトしても、上述した対物レンズシフトしていない状態と略同様の状態で情報の記録または再生を行うことができる。
また、一般に複数種類の光ディスクを単一の対物レンズに対して同一の倍率になるよう配設して使用する従来の光学系においては、各光ディスクの保護層厚の差によって作動距離に差が生じる。たとえば、第一の光ディスクD1としてCDを、第二の光ディスクD2としてDVDを想定した場合、両者に対する情報の記録または再生時における作動距離には、約0.38mmの差がある。
第一実施形態の光ピックアップ光学系100では、第一光学系OP1の対物レンズ16の単独の倍率MOBL1が以下の条件(1)を満たす。
−0.15<mOBL1<−0.03・・・(1)
倍率MOBL1が条件(1)を満たすことにより、対物レンズ16を大型化させることなく、第一の光ディスクD1(CD)に対する情報の記録または再生時に発散光を使用することができる。また、第二光学系OP2の対物レンズ16の単独の倍率MOBL2が以下の条件(2)を満たす。
−0.01<mOBL2<0.01・・・(2)
つまり、第二の光ディスクD2(DVD)に対する情報の記録または再生時には平行光束が使用される。
条件(1)、(2)を共に満たすことにより、作動距離の差は約0.18mmとなる。よって従来の光学系に比べ、約半分以下にまで差を縮めることができる。つまり、保護層厚の厚い光ディスク使用時にも十分な作動距離を確保することができる。このように本実施形態の光ピックアップ光学系100は、より一層の小型化の要求が高いノートパソコン等の光ディスクドライブ用の光ピックアップ装置にも好適といえる。
以上のように、第一実施形態の光ピックアップ光学系100は、単一の対物レンズでディスク保護層厚の異なる複数種類の光ディスクに対する情報の記録または再生を可能とする光学系に関し、対物レンズシフトをした場合であっても、各ディスク使用時における収差の発生を良好に抑えることができる。さらに、該光学系100は、各ディスクに対する情報の記録または再生時の作動距離の差を小さく抑えることができる。従って、より小型化された光ピックアップ装置に組み込むことができる。
次いで、第二実施形態の光ピックアップ光学系200について説明する。図8は、光ピックアップ光学系200を表す図である。図8中、第一実施形態の光ピックアップ光学系100中の部材と同一の部材には同一の符号を付してある。光ピックアップ光学系200では、第一および第二カップリングレンズ12、14の代わりに、光源11、13からの各光束の共通の光路中に第三カップリングレンズ21を設けている。
第二実施形態の第一光学系OP1の具体的数値構成は表6に、第二光学系OP2の具体的数値構成は表7に、それぞれ示される。
Figure 2004247034
Figure 2004247034
表6、表7中、第三カップリングレンズ21の第二面21a(面番号4)は回折構造を有する非球面である。第三カップリングレンズ21は、回折面21aの作用により、第一光源11から発振される光束に対しては、図2に示すように中心軸から離れるにつれて波面が遅れるような球面収差を付加するとともに、第二光源13から発振される光束に対しては、球面収差が補正されるような構造を有する。なお、対物レンズ16は第一実施形態と同一の設計がなされている。各非球面を規定する円錐係数と非球面係数は表8に、各回折面を規定する光路差関数係数は表9に、それぞれ示される。
Figure 2004247034
Figure 2004247034
第一光源11は、表6に示した設計波長の光に対する第三カップリングレンズ21の前側焦点位置よりも第三カップリングレンズ21側に配設される。従って、第一光源11から発振されて第三カップリングレンズ21を透過するレーザ光は発散光束となっている。また、第三カップリングレンズ21の回折面21aを透過することにより、所定の収差が付加される。所定の収差とは、図2に示すような波面収差である。
第二光源13は、表7に示した設計波長の光に対する第三カップリングレンズ21の前側焦点位置に配設される。従って、第二光源13から発振されて第三カップリングレンズ21から射出されるレーザ光は平行光束となっている。すなわち、第三カップリングレンズ21は、第二光源13から発振されたレーザ光束に対してコリメートレンズとして機能する。また、第三カップリングレンズ21の回折面21aを透過することにより、該平行光束は無収差状態に補正される。
第一光源11から発振され、第三カップリングレンズ21を透過した球面収差を有する発散光は、初期位置の対物レンズ16を透過すると、第一の光ディスクD1の記録面上で集光し、良好なスポットを形成する。また、第二光源13から発振され、第三カップリングレンズ21を透過した無収差の平行光束は、初期位置の対物レンズ16を透過すると、第二の光ディスクD2の記録面上で集光し、良好なスポットを形成する。
すなわち、第一光学系OP1は、第三カップリングレンズ21から射出される発散光が有する球面収差を対物レンズ16と第一の光ディスクD1の保護層によって発生する球面収差で打ち消すことができるように設計されている。図9は、第三カップリングレンズ21の球面収差図である。図9に示す第三カップリングレンズ21の第二面21aの有効径hは1.06である。第二実施形態の対物レンズ16は、倍率MOBL1が−0.0802倍(表6参照)とされており、倍率MREFより大きな絶対値を採る。従って、対物レンズ16および第一の光ディスクD1の保護層により発生する球面収差が補正不足の状態になると同時に、対物レンズ16から像までの距離が伸びて作動距離が長くなる。図10は、第一光学系OP1全体としての球面収差図である。図9と図10に示すように、第三カップリングレンズ21の持つ球面収差を利用することにより、系全体としては球面収差が良好に抑えられている。
また第二光学系OP2は、第三カップリングレンズ21と初期位置の対物レンズ16との関係において、第三カップリングレンズ21から射出された無収差の平行光束が入射すると、第二の光ディスクD2の記録面上に良好なスポットを形成するように球面収差が補正されている。
なお、対物レンズ16は、第一実施形態における対物レンズ16と同様に、各光源11、13から発振された光束の光路中に配設される光学部材の取り付け誤差等によって発生するコマ収差を抑えるように設計される。
各光ディスクD1、D2の記録面からの戻り光は、第一実施形態と同様に、それぞれ各光分岐素子17、19を経て各受光素子18、20で受光される。
上述した構成において、対物レンズ16がトラッキング等を行うためにシフトした場合、対物レンズ16に入射する発散光は軸外光となるため、対物レンズ16と第一の光ディスクD1の保護層とによってコマ収差が発生することになる。そこで第二実施形態においても、上記第一実施形態と同様の構成をもって該コマ収差を良好に補正している。つまり、第三カップリングレンズ21から射出される発散光の横ずれした収差の各成分を利用して系全体の収差を相殺する。図11に、第一光学系OP1の対物レンズシフトに対する収差の発生量を示す。図11からわかるように、対物レンズシフトした場合に、第一光学系OP1において、コマ収差は高次成分まで含めてほとんど発生していない。つまり、第一の光ディスクD1の記録面上には良好なスポットが形成される。なお図11と図7を比較すれば明らかであるが、第二実施形態の光ピックアップ光学系200も従来の光ピックアップ光学系より、対物レンズシフトの量に対する収差の量が低減されている。
なお第二の光ディスクD2に対する情報の記録または再生に使用するレーザ光は平行光束であるため、対物レンズシフトすることによって新たな収差が発生することはない。そのため、第二の光ディスクD2に対しては、対物レンズシフトしても、上述した対物レンズシフトしていない状態と略同様の状態で情報の記録または再生を行うことができる。
以上のように、第二実施形態の光ピックアップ光学系200は、単一の対物レンズでディスク保護層厚の異なる複数種類の光ディスクに対する情報の記録または再生を可能とする光学系に関し、対物レンズシフトをした場合であっても、各ディスク使用時における収差の発生を良好に抑えることができる。さらに、該光学系200では、倍率MOBL1が条件(1)を、倍率MOBL2が条件(2)をそれぞれ満たす。つまり、第二実施形態も第一実施形態と同様に、発散光束、平行光束を適宜使い分けて使用する光ディスクの保護層厚に対応した情報の記録または再生を実現している。これにより、各光ディスクに対する情報の記録または再生時の作動距離の差を小さく抑え、保護層厚の厚い光ディスク使用時にも十分な作動距離を確保することができる。さらに、該光学系200によれば、第一光学系OP1と第二光学系OP2におけるカップリングレンズを共通化することにより、部品点数の削減や組み立て、調整工数の削減が実現され、より安価でかつ小型化された光ピックアップ装置を提供することができる。
なお図5に示すように、第一カップリングレンズ12(または第三カップリングレンズ21)の横ずれした収差を分解すると、実際には、コマ収差成分および球面収差成分以外に点線で示すようなデフォーカス成分が発生する。従って、対物レンズシフトした状態で第一の光ディスクD1に対する情報の記録または再生を行う場合、該デフォーカス成分に起因する非点収差が発生してしまう。
そこで次に、対物レンズシフトした状態で第一の光ディスクD1に対する情報の記録または再生時における非点収差の発生を抑えた第三実施形態の光ピックアップ光学系の説明をする。第三実施形態の光ピックアップ光学系を構成する各部材や配置は、第二実施形態の光ピックアップ光学系200と同様であるため、図8を参照してここでは詳述しない。第三実施形態の第一光学系OP1の具体的数値構成は表10に、第二光学系OP2の具体的数値構成は表11に、それぞれ示される。
Figure 2004247034
Figure 2004247034
第三カップリングレンズ21の第二面21a(面番号4)は第二実施形態と同様に回折構造を有する非球面である。対物レンズ16は第一実施形態同様の設計がなされている。各非球面を規定する円錐係数と非球面係数は表12に、各回折面を規定する光路差関数係数は表13に、それぞれ示される。
Figure 2004247034
Figure 2004247034
第三実施形態の第三カップリングレンズ21は、上述したデフォーカス成分を抑えるため、第二実施形態に比べ少ない球面収差を持つように構成される。図12は、第三カップリングレンズ21の球面収差図である。図12に示す第三カップリングレンズ21の第二面21aの有効径hは1.07である。第三実施形態の対物レンズ16は、倍率MOBL1が−0.0785倍(表10参照)とされており、倍率MREFより大きな絶対値を採る。従って、対物レンズ16および第一の光ディスクD1の保護層により発生する球面収差が補正不足の状態になると同時に、対物レンズ16から像までの距離が伸びて作動距離が長くなる。図13は、第一光学系OP1全体としての球面収差図である。図12と図13を比較すればわかるように、第三カップリングレンズ21の持つ球面収差を利用することにより、系全体としては球面収差が良好に抑えられている。
ここで、第三カップリングレンズ21の球面収差の量を第二実施形態に比べ少なく構成したため、図14に示したようにシフトした対物レンズ16および第一光ディスクD1の保護層に起因して発生するコマ収差を第二実施形態ほどは補正できないものの、実用上支障ない範囲内に抑えることができている。しかも、非点収差の発生量も実用上支障ない範囲に抑えられている。球面収差については第二実施形態と同様に良好な補正がなされる。つまり、第一光学系OP1全体としては、実用上支障ないコマ収差および非点収差が若干残る状態となるため、第一の光ディスクD1の記録面上には良好なスポットが形成される。なお図11と図7を比較しても、第二実施形態の光ピックアップ光学系200が従来の光ピックアップ光学系より収差の量が略半分程度まで低減されていることがわかる。
このように第三実施形態でも、第二実施形態とほぼ同様な効果が得られる。さらに、本実施形態では第三カップリングレンズ21の球面収差の量を少なめに設計しているため、第三カップリングレンズ21自身の設置位置誤差に対する許容を大きくすることができる。また、本実施形態のようにコマ収差の補正目標を完全補正ではなく実用上問題ないレベルまでに控えておくことにより、非点収差の発生量を小さく抑えることが可能である。
なお、第三実施形態では第二実施形態の光学系と同一構成を利用して非点収差を抑えている。第一実施形態の光学系においても、第一カップリングレンズ12の球面収差量を抑えることにより、第三実施形態と略同様の効果を得ることができる。
また上記の各実施形態は、いずれも二種類の保護層厚の光ディスクD1、D2に互換性ある光ピックアップ光学系であったため、相対的に保護層厚の厚い第一の光ディスクD1に対して発散光を使用している。二種類以上の光ディスクに互換性有する光ピックアップ光学系の場合、最も保護層厚の厚い光ディスクに対して最も発散度の高い光束を使用するとよい。これにより、最も保護層厚の厚い光ディスクに対しても十分長い作動距離を確保することができる。
本発明の第一実施形態の光ピックアップ光学系を表す概略図である。 本発明の第一の光ディスクに対応するカップリングレンズの波面収差を表す概念図である。 第一カップリングレンズの球面収差を表す収差図である。 第一実施形態の第一光学系全体の球面収差を表す収差図である。 本発明の第一の光ディスクに対応するカップリングレンズを透過した発散光束が有する横ずれした収差を各成分に分解した状態を表す概念図である。 第一実施形態の対物レンズシフトに対する諸収差の発生量を表すグラフである。 従来の光ピックアップ光学系の対物レンズシフトに対する諸収差の発生量を表すグラフである。 本発明の第二実施形態および第三実施形態の光ピックアップ光学系を表す概略図である。 第二実施形態の第三カップリングレンズの球面収差を表す収差図である。 第二実施形態の第一光学系全体の球面収差を表す収差図である。 第二実施形態の対物レンズシフトに対する諸収差の発生量を表すグラフである。 第三実施形態の第三カップリングレンズの球面収差を表す収差図である。 第三実施形態の第一光学系全体の球面収差を表す収差図である。 第三実施形態の対物レンズシフトに対する諸収差の発生量を表すグラフである。
符号の説明
11 第一光源
12 第一カップリングレンズ
13 第二光源
14 第二カップリングレンズ
16 対物レンズ
21 第三カップリングレンズ
D1 第一の光ディスク
D2 第二の光ディスク
100、200 光ピックアップ光学系

Claims (12)

  1. 最もディスク保護層厚の厚い第一の光ディスクと、該第一の光ディスクよりも相対的にディスク保護層厚の薄い第二の光ディスクと、の少なくとも2種類の保護層厚の光ディスクに対して情報の記録または再生が可能な光ピックアップ光学系であって、
    各光ディスクに対応する複数の光源と、
    カップリングレンズと、
    前記各光ディスクに対して共通に用いられる対物レンズと、を有し、
    少なくとも、前記第一の光ディスクに対して情報の記録または再生を行う時において、
    前記第一の光ディスクに対応する光源から照射され、前記カップリングレンズを介して前記対物レンズに入射する光束は、球面収差を有した発散光であり、
    前記光ピックアップ光学系全体の球面収差は、前記発散光の持つ球面収差と、前記対物レンズおよびディスク保護層で発生する球面収差とによって補正され、
    対物レンズシフトした際の前記光ピックアップ光学系全体のコマ収差は、前記カップリングレンズから射出されて前記対物レンズに入射する前記発散光の持つ横ずれした球面収差に起因するコマ収差相当成分と、前記対物レンズおよびディスク保護層で発生するコマ収差成分とが相殺されることにより補正されることを特徴とする光ピックアップ光学系。
  2. 請求項1に記載の光ピックアップ光学系は、前記第一の光ディスクに対する情報の記録または再生時において、
    前記発散光は、前記カップリングレンズの中心軸から離れるにつれて波面が遅れるような球面収差を有することを特徴とする光ピックアップ光学系。
  3. 請求項1または2に記載の光ピックアップ光学系において、
    前記第一の光ディスクに対する情報の記録または再生時に使用される光束が最も発散度の大きい発散光であることを特徴とする光ピックアップ光学系。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の光ピックアップ光学系において、
    前記第一の光ディスクに対する情報の記録または再生時の前記対物レンズ単独の倍率MOBL1が以下の条件(1)、
    −0.15<MOBL1<−0.03・・・(1)
    を満たすことを特徴とする光ピックアップ光学系。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載の光ピックアップ光学系において、
    前記第一の光ディスクに対する情報の記録または再生時と前記第二の光ディスクに対する情報の記録または再生時とで、異なるカップリングレンズが使用されることを特徴とする光ピックアップ光学系。
  6. 請求項1から請求項5のいずれかに記載の光ピックアップ光学系において、
    前記第一の光ディスクに対する情報の記録または再生時と前記第二の光ディスクに対する情報の記録または再生時とで、共通のカップリングレンズが使用されることを特徴とする光ピックアップ光学系。
  7. 請求項6に記載の光ピックアップ光学系において、
    前記第一の光ディスクに対する情報の記録または再生時と前記第二の光ディスクに対する情報の記録または再生時とで、使用される光の波長が異なっており、
    前記カップリングレンズは、少なくとも一面に回折構造を有しており、前記第一の光ディスクに対応する波長の光が入射した場合には球面収差を有した発散光が射出され、前記第二の光ディスクに対応する波長の光が入射した場合には略無収差の光束が射出されることを特徴とする光ピックアップ光学系。
  8. 請求項1から請求項7のいずれかに記載の光ピックアップ光学系において、
    前記第二の光ディスクに対する情報の記録または再生時において、前記カップリングレンズから射出される光束の波面がほぼ平面であることを特徴とする光ピックアップ光学系。
  9. 請求項8に記載の光ピックアップ光学系において、
    前記第二の光ディスクに対する情報の記録または再生時における、前記対物レンズ単独の倍率MOBL2が以下の条件(2)、
    −0.01<MOBL2<0.01・・・(2)
    を満たすことを特徴とする光ピックアップ光学系。
  10. 請求項1から請求項9のいずれかに記載の光ピックアップ光学系において、
    前記対物レンズは、前記第一の光ディスク以外の所定の光ディスクに対する情報の記録または再生時において、入射光束が該対物レンズの光軸に対して傾いた場合に、コマ収差が発生しないように構成されていることを特徴とする光ピックアップ光学系。
  11. 請求項10に記載の光ピックアップ光学系において、
    前記所定の光ディスクは、情報の記録または再生に必要となる像側NAが最も大きい光ディスクであることを特徴とする光ピックアップ用光学系。
  12. 請求項1から請求項11のいずれかに記載の光ピックアップ光学系は、前記第一の光ディスクに対して情報の記録または再生を行う時において、
    前記対物レンズは、前記第一の光ディスクに対する情報の記録または再生時における前記対物レンズ単独の倍率の絶対値が、該対物レンズを前記第一の光ディスクと組み合わせた状態で前記第一の光ディスクに対応する波長の無収差の発散光を入射させた場合に前記対物レンズおよび前記第一の光ディスクの保護層で発生する球面収差の合計が最小となる倍率の絶対値よりも、大きくなるように構成され、
    前記カップリングレンズは、透過した光束の波面が光軸から離れるにつれて遅れるように構成されていることを特徴とする光ピックアップ用光学系。
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