JP2004246666A - タッチパネル及びそれを備えた画面入力型表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】タッチパネルの操作性を良くすると共に、上ガラスの割れ等の発生の防止して歩留まりを向上させる。
【解決手段】透明絶縁基板12,2の片面に透明電極13,3と該透明電極に接続する引き回し電極14,15,4,5を設けた上下基板を、前記透明電極側を内側に対向配置し、シール材で上下基板を接着したタッチパネルで、上透明絶縁基板12は薄くて可撓性を有するガラスであり、下透明絶縁基板2は厚くて剛性を有するガラスで、かつ上下ガラスの材質が異なるタッチパネルにおいて、両ガラス間のシール材として、弾性シール材81を用いて上基板の外周域を周回、更に上基板11の隅部では、常温硬化型の固定材83を用いて上下基板を接着、一体化した。高温シーリングを行わないので熱膨張による変形を受けず、上ガラスの割れ等が発生せず、温度環境が変動しても均一な作動荷重が得られる。
【選択図】 図1
【解決手段】透明絶縁基板12,2の片面に透明電極13,3と該透明電極に接続する引き回し電極14,15,4,5を設けた上下基板を、前記透明電極側を内側に対向配置し、シール材で上下基板を接着したタッチパネルで、上透明絶縁基板12は薄くて可撓性を有するガラスであり、下透明絶縁基板2は厚くて剛性を有するガラスで、かつ上下ガラスの材質が異なるタッチパネルにおいて、両ガラス間のシール材として、弾性シール材81を用いて上基板の外周域を周回、更に上基板11の隅部では、常温硬化型の固定材83を用いて上下基板を接着、一体化した。高温シーリングを行わないので熱膨張による変形を受けず、上ガラスの割れ等が発生せず、温度環境が変動しても均一な作動荷重が得られる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ATM、カーナビゲーション、自動販売機、複写機、各種端末機等の機器において、液晶ディスプレイ等の表示画面上に配置し、透視した画面の指示に従って使用者が情報の表示画面を指やペンで直接押してデータの入力が行われるタッチパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術における抵抗膜式タッチパネルは、可撓性を有する透明絶縁基板の下面に透明電極とこの透明電極に接続する引き回し電極を形成した上基板と、同じく上面に透明電極とこの透明電極に接続する引き回し電極を形成し、前記透明電極の上面にドットスペーサを一定間隔に配設した下基板とが、所定の隙間を持って透明電極同士が対面するような配置構造を取っている。そして、このタッチパネルを液晶表示装置等の表示装置の上面側に配置して使用される。表示装置の表示部分に位置する所のタッチパネルを指又はペンで押すことによって、タッチパネルの上基板が撓んでその押した所の透明電極が下基板の透明電極に接触し、そして、その接触点の位置が電気抵抗の測定によって検知されて入力情報が読みとられる。
【0003】
以下、従来例を図6〜9を用いて説明する。図6は従来技術におけるタッチパネルの平面図、図7は図6におけるE−E断面図、図8は図6における下基板の平面図、図9は図6における上基板の平面図を示している。
【0004】
図6、図7、図8、図9に示すように、従来例のタッチパネル20は形状が方形をなす下基板1と可撓性を有する上基板11とを備えている。下基板1は、板厚が1.1mmの透明な方形のガラスからなる下透明絶縁基板2と、この下透明絶縁基板2の上面に方形形状に形成された透明電極3と、この透明電極3の図中上下の対向する両辺に沿って接続形成されて下透明絶縁基板2の片方端にある点線枠で囲ったFPC取付部Sまで延設した一対の引き回し電極4及び5と、FPC取付部S近辺に形成された接続電極6、7と、透明電極3上にマトリックス状に配置したドットスペーサ8とで構成されている。尚、上記接続電極6、7は、後述する上基板11の引き回し電極14、15に導通接続を行うためにFPC取付部S近辺に設けられている。
【0005】
上基板11は、板厚が0.2mmの可撓性のある透明な方形のマイクロガラス(マイクロシートガラス)からなる上透明絶縁基板12と、この上透明絶縁基板12の下面に方形形状に形成されている透明電極13と、この透明電極13の図中左右の対向する両辺に沿って接続形成されてFPC取付部S方向に向かって延設された一対の引き回し電極14、15とで構成されている。
【0006】
そして、上下基板11、1の引き回し電極14、15及び4、5が方形配置となるように対向配置し、上下基板11、1とに10μm前後の隙間を持たせてシール材17で上下基板11、1とを接着して固定すると共に、上下基板11、1の外周域を周回してシールしている。更に、上基板11に設けられた引き回し電極14及び15は、接続部B及びAの場所において、その先端部14a、15aが下基板1に設けた接続電極6及び7と導電性接着剤を介して接続され、導通がとられている。
【0007】
また、図6中の上部中央において、封口部Dを有しており、シール材17の開口部17aを封口材19で封口している。
【0008】
また、防眩性を高めて透視性や品質表示を良くするために、上基板11の上面には偏光板18、下基板1の下面には位相差板16が貼付けられている。また、下基板1のFPC取付部SにはFPC9が取り付けられて外部との導通が図られるようになっている。
【0009】
上記構造を成すタッチパネル20の各構成要素部品は次のようになっている。下基板1を構成する下透明絶縁基板2は透明なガラスが用いられる。このガラスはソーダライムガラスや石英ガラス、アルカリガラス、ほうけい酸ガラス、普通板ガラス等が利用でき、反り等が起きない程度の厚さのものが使われる。多くは0.7〜1.1mmのソーダライムガラスが選択される。上基板11を構成する上透明絶縁基板12は可撓性を必要とするところなので透明な薄板ガラスや透明なプラスチックフイルムが用いられる。一般的に、耐熱性が求められる機器(例えば、カーナビゲーション等)にはガラスが使用される。上記従来例は耐熱性や衝撃性にも強く、且つ可撓性も有する0.2mm厚みのほうけい酸ガラスからなるマイクロガラス(マイクロシートガラス)を使っている。
【0010】
下基板1を構成する透明電極3及び上基板11を構成する透明電極13は錫をドープした酸化インジウムのITO(Indium Tin Oxide)膜で、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、印刷法等で形成する。この透明電極3及び13は高抵抗値であることが求められるため250〜500オングストロームの範囲で非常に薄く形成する。このITO膜は、基板全面に形成したものをフォトリソグラフィにより不要部分を除去し、必要な部分を残して形成する。
【0011】
下基板1を構成する引き回し電極4、5、接続電極6、7、及び上基板11を構成する引き回し電極14、15は、透明電極3、13に電圧印加するために設けるもので、銀粉や銅粉等の高導電性金属粉を熱硬化性のエポキシ樹脂等に混ぜ合わせてインク化したものをスクリーン印刷等の印刷方法で形成する。タッチパネルの性能上、これらの電極の抵抗値が低ければ低いほど良いものであり、一般に、透明電極のシート抵抗値に対してこれらの電極のシート抵抗値は100分の1以下であることが必要とされている。そこで、これらの電極の印刷の厚さを増したり、幅を広くしたりして抵抗値を小さく押さえる設計がなされている。
【0012】
下基板1を構成するドットスペーサ8は、押圧した部分以外の部分の透明電極同士が接触しないために設けるもので、透明なアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、その他の透明な樹脂材料をスクリーン印刷等の方法でドットマトリックス状に一定間隔に形成し、その後、熱または紫外線で硬化処理を施して形成する。このドットスペーサ8は目に見えない大きさであることが求められることから、直径30〜60μm、高さは2〜5μm、ドット間隔は1〜8mmの範囲で設計される。
【0013】
シール材17は、スペーサボールを分散させた熱硬化性のエポキシ樹脂接着剤やアクリル樹脂接着剤等をスクリーン印刷等の方法で印刷して形成する。ここで使われるスペーサボールは上基板11と下基板1との隙間を一定隙間に保持するために設けるもので、所定の大きさの絶縁性のあるプラスチックボールやファイバーガラス等が利用される。このプラスチックボールやファイバーガラスの大きさは、上基板11の上透明絶縁基板12の材質や厚さによって異なるが、0.2mmのマイクロガラスを使用した場合は概ね10μm前後の径のものが選択される。このシール材17は上基板11または下基板1の何れか一方に印刷した後、上基板11と下基板1とを位置を合わせて貼合わせ、加圧の下で加熱処理を施して硬化させ、接着固定を行っている。また、このシール材17は上基板11と下基板1を固定する役目と共に内部に水分やゴミ等の進入を防止するシールの役目も持っている
【0014】
封口部Dにおける封口材19にはUV硬化型のエポキシアクリレート樹脂などが使用される。この封口材19をシール材17の開口部17aの部分に塗布し、開口部17aを塞いだ状態で紫外線を照射して硬化させて封口する。開口部17aは、シール材17で上下基板11、1を接着固定するために加圧の下で約160°C、90分位の加熱処理を施すが、その時のシール内部の膨張した空気を外に逃がすために設けている。
【0015】
偏光板18と位相差板16は防眩性を高めて透視性や表示品質を良くするために設けている。偏光板18は、様々なものが使用されているが一例をあげると、ポリビニールアルコールフイルムを常法により一軸延伸することによって厚さが20μmの偏光フイルムを作成し、この両面に厚さが80μmのセルロース系フイルムを張り合わせて厚さ180μmの偏光板としたもの等が利用できる。また、位相差板16は、ポリカーボネイトを素材として形成され、厚さ80μm程度である。
【0016】
以上従来技術によるタッチパネルについて説明したが、このような、上下基板共にガラスで構成されるタッチパネルは、樹脂基板を用いるものに比較し、温度変化の激しい環境下でも上下基板の熱膨張が少ない良好な耐環境性を有するタッチパネルであることが開示されている。(例えば特許文献1参照。)
【0017】
しかしながら、上下基板共ガラスにて構成されるタッチパネルは、可撓性の高い入力側基板である上基板に対し、指やペン等による入力押圧に変形しない剛性を求められる下基板は、上基板の3〜5倍程度の厚みを設定する必要があり、さらに上基板にマイクロガラス、下基板にソーダライムガラスを用いる場合、以下に説明するように、過酷な温度変化が発生する、例えばカーナビ用タッチパネルなどでは上下基板の熱膨張係数と剛性の関係から、上基板が外側に凸状に変形する問題があった。
【0018】
【特許文献1】
特開平10133817号公報(第3、4頁、第2図)
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
タッチパネルはその製造工程の最後の方で、シール材17を用いて上基板11と下基板1を貼合わせ、接合を行っている。シール材17の主成分としては、従来から密着性や耐水性、耐湿性の観点から、110〜180℃で接着硬化する熱硬化型のエポキシ樹脂剤やアクリル樹脂剤を使用している。上透明絶縁基板12に使用されるマイクロガラスは、ほうけい酸ガラスを用いていて、この熱膨張率は5.1×10ー6 mm/°Cである。一方、下透明絶縁基板2に使用されるソーダライムガラスの熱膨張率は7.2×10ー6 mm/°Cである。このため、高温時には下透明絶縁基板2の方が上透明絶縁基板12より伸びが大きく、その伸びが大きい状態でシール材17によって上下の透明絶縁基板12,2とが接着、固定される。そして常温に戻るに従って、上下の透明絶縁基板12,2は収縮するが、1.1mm厚みの下透明絶縁基板2の方が、0.2mm厚みの上透明絶縁基板12より剛性が高いため、常温に戻った時に上透明絶縁基板12が中央凸状に張り出して湾曲した形状になる。
【0020】
図10は、この様子を図6のE−E断面において模式的に示したものである。左右両端面だけを回転自在に固定し、上下両端面は拘束が無く、また湾曲形状が円弧であると仮定した極く簡単な解析モデルを用いた計算によると、下透明絶縁基板2のガラス幅Sが168mm、温度変化を150°Cとした場合、上下透明絶縁基板の伸び量の差は0.053mmに過ぎないが、この時の中央部での上透明絶縁基板12のガラスの盛り上がり量hは約1.8mmにも達する。
【0021】
上下基板の張り合わせ工程で、タッチパネルの上ガラスが凸形状に大きく変形する結果の弊害として、後工程で偏光板18や位相差板16を貼り付ける時、上ガラスが割れやすくなり、工程歩留まりが劣化し、安価化の妨げになっていた。また上ガラスが凸形状になると、指先での動作荷重が大きくなり、また動作荷重が不安定になり易く操作性が悪くなることが多かった。その結果タッチパネル20の完成品としての歩留まりが悪く、安価化の妨げになっていた。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、この課題を克服する手段として、請求項1に記載の発明は、可撓性を有する上透明絶縁基板を主要構成部品とする上基板と、前記上透明絶縁基板と材質が異なり剛性の高い下透明絶縁基板を主要構成部品とする下基板とを所定の隙間で、前記上基板の外周域に沿って配されたシール材をもって一体化したタッチパネルにおいて、前記シール材として、弾性シール材を用いて上基板の外周域を周回、更に該弾性シール材が周回する外周の一部分では、常温で接着硬化する固定材を用いて上下基板を接着し、一体化したことを特徴とするものである。
【0023】
また、本発明の請求項2に記載の発明は、前記弾性シール材として弾性エポキシ樹脂を用いたことを特徴とするものである。
【0024】
また、請求項3に記載の発明は、前記固定材として、UV硬化型のエポキシ系樹脂を用いたことを特徴とするものである。
【0025】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3に記載のタッチパネルを備えたことを特徴とする画面入力型表示装置である。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態について、先ず図1〜3をもって説明する。図1は本発明のタッチパネルの平面図、図2は図1におけるF−F断面図,図3は本発明のタッチパネル操作時の上透明絶縁基板(上ガラス)の変形を説明するための図1におけるE−E断面概念図である。尚、本発明はタッチパネルの上基板と下基板の貼り合わせに係わる発明であるので、貼り合わせに関係しない箇所の構成は従来例と同じであり、従来例と同一構成部品は同一符号を付し、また説明を省略している。
【0027】
図1〜2に示すように、本発明のタッチパネル40は、長方形で剛性を有し板厚が1.1mmのソーダライムガラスの様な透明なガラス板からなる下透明絶縁基板2を主要構成要素とした下基板1と、横幅は下透明絶縁基板2と略同寸法で、縦幅だけが短い長方形で、且つ可撓性を有し、板厚が0.2mmのほうけい酸ガラス板からなる上透明絶縁基板12を主要構成要素とした上基板11とを、シール部80を介して接合した構造になっている。本発明の主要部分であるシール部80(従来技術の説明ではシール材17の部分に相当するが本発明では形態が異なる)は、直径は10μm前後のスペーサボール82を混入した弾性シール材81を用いて、上透明絶縁基板12である上ガラスの外周に沿って印刷した後、上基板11と下基板1とを位置を合わせて貼合わせている。
【0028】
弾性シール材81は接着硬化後も弾性を有する。この為、弾性シール材81だけの貼合わせでは、上下基板11、1の相対的位置関係はしっかりと確定しない。この為、弾性シール材81のコーナー部(4箇所)を丸めておき、上下基板11,1の最終的な位置合わせを行ってから、コーナー部で、熱を加えないで硬化する固定材83を用いて上下基板11、1を固定した。固定材83としては、ガラスとの密着性が良く、耐水性、耐湿性にも優れるUV硬化のエポキシ系樹脂を使用した。上基板11のコーナー部において、上基板11と下基板1の間に固定材83を注入し、紫外線を照射することで上下両基板11,1は温度上昇がない状態で固定される。
【0029】
弾性シール材81としては、弾性エポキシ樹脂を用いた。具体的には、東レ・レギュレックス樹脂(東レ株式会社)(R)、エポソフト(横浜ゴム株式会社)(R)等である。これらは、シール材の基本的機能として求められる接着性、強靭性は勿論、耐水性、耐湿性に優れているので、水分を透過しにくく、タッチパネル40の内部を長期間安定に保つことができるが、この弾性シール材81で特徴的なのは、常温硬化性と柔軟性である。タッチパネル40のシール材として、この特性を生かすことにより、下記の様な多くの作用効果が発生した。
【0030】
先ず、約5〜50°Cで硬化する常温硬化特性上のメリットとして、従来の熱硬化性のエポキシ樹脂接着剤やアクリル樹脂接着剤等を用いた場合に生じた上透明絶縁基板12(上ガラス)の凸状化現象が起きないことである。この為、後工程で偏光板18や位相差板16を貼り付ける時、上ガラス割れの頻度が減少し、工程歩留まりが向上した。また指先での動作荷重も大きくならず、また動作荷重が安定化して操作性が安定化した。又、接着中に高温にする必要がなくなり、その結果、上下ガラス基板の空隙として形成されるタッチパネル中の空気室で膨張する空気を逃す為の開口部(図6のD部)が不要になり、熟練を要する開口部封止工程が要らなくなり、コストダウンが可能になった。
【0031】
弾性シール材81は、接着硬化後も柔軟性を有するので、図3に示す様に、指先等でタッチパネルの上ガラス(上透明絶縁基板12)を矢印F方向の力で押圧した時、上ガラスの押下部は凹化し、これに伴って、上ガラスの辺部には内側(S方向)に引き込まれる力が作用する。この時、従来の技術で説明した様に辺部が完全に拘束されていれば、上ガラス12内部で弾性変形が生じ、これで引っ張り応力を吸収することになるが、本発明のタッチパネル40では、辺部は弾性シール材81により支えられて拘束が弾性的なので、辺部が横(S方向)に移動することで引っ張り力を吸収、ガラス内部には引張り応力は殆ど発生しない。この為、同じ板厚の上ガラスを使った場合で比較すると、よりソフトタッチでの操作が可能になった。
【0032】
また、この弾性シール材81は、空気中の水分と反応して硬化するので、接着中に、タッチパネル40内部の湿気を除く作用がある。この結果、タッチパネル40内部の引き回し配線等の腐食を生じにくくして、耐久性を向上させる効果も生じた。
【0033】
ところで、この弾性シール材81は通常は常温(約20°C)で硬化させるが、開口部を設けなくても、50°C位までは温度を上げて硬化を促進させ、作業時間を短縮することもできる。
【0034】
本発明のタッチパネル40を構成する上透明絶縁基板12(上ガラス)は、常温状態で平面状を保ったまま固定しているので、タッチパネル40を温度環境の厳しい条件下での画面入力型表示装置へ応用することでその効果を一段と発揮する。図4は、本発明のタッチパネルの環境温度変化に伴う上ガラスの変形を説明する概念図であり、(a)、(c)、(e)図は、図1におけるE−E断面を、(b)、(d)、(f)図は図1のF−F断面を模式的に示している。又、図4(a)、(b)図は、環境温度が常温の時、(c)、(d)図、は環境温度が高温の時、(e)、(f)図は環境温度が低温に移行した時の上下ガラスの関係を示している。
【0035】
図5に示す様に、本タッチパネル40を利用したカーナビゲーション60を装着している車の車中温度が常温の場合、上透明絶縁基板12(上ガラス)と下透明絶縁基板2(下ガラス)は、熱による膨張収縮が無い。この時の上下ガラスの位置関係を図4(a)図、(b)図に示す。
【0036】
しかし、車中の温度が上昇した場合は、図4(c)図、(d)図に示す様に、厚くて剛性が高い下透明絶縁基板2(下ガラス)が、上透明絶縁基板12(上ガラス)よりも沢山熱膨張して長くなる。しかし、上ガラスと下ガラスは、弾性シール材81で接合されているので、固定材83での接合部を除いて拘束は弾性的である。この為、上ガラスの辺部の変形により緩和された引張り力が、上ガラスのコーナー部に作用するが、全周が固定的に拘束された場合に比較して上ガラスの有効利用領域(アクティブエリア)での変形量は少ない。
【0037】
逆に車中の温度が常温より下降した場合、従来のタッチパネル20では上透明絶縁基板12(上ガラス)は常温時から盛り上がっていた上に、更に低温環境に曝されて盛り上がり量を増加してしまう(図10参照)。本発明のタッチパネル40でも、下透明絶縁基板2(下ガラス)の方が上ガラスより大きく縮むので、図4(f)図の様に固定材83からの作用で、上ガラスの盛り上がり現象が発生する。しかし、従来技術を用いた接合温度から常温への温度変化量に比べたら、温度の変化量は格段に少ないし、又、本発明のタッチパネル40では、固定材83による接合部を除く辺部では、(e)図の様に、弾性シール材81で応力を逃がすことができるので上ガラスの有効利用領域(アクティブエリア)での盛り上がり量は少ない。
【0038】
以上の作用から、本タッチパネル40を利用したカーナビゲーション60では、使用温度環境が変動しても、上透明絶縁基板(上ガラス)の変形量が少なく、この結果、画面入力作動加重を均一に操作できるし、耐久性も向上する。また本発明のタッチパネルは使用温度環境が広範囲に変動する可能性があるポータブルナビゲーションシステムの様な携帯型の各種端末機の画面入力型表示装置に利用した場合も同様の効果を発揮する。
【0039】
尚、本願発明の実施の形態では、UV硬化樹脂よりなる固定材を用いて上下基板を固定する箇所として、4隅のコーナー部を固定する方法を説明したが、本願発明においては固定する箇所を4隅のコーナー部に限定されるものではなく、弾性シール材の外周の適当な位置に、4カ所に限らず複数箇所を固定材にて固定しても良い。
【0040】
【発明の効果】
本発明のタッチパネルでは、開口部を廃止することでコストダウンが可能になった。また、上ガラスの周辺部の拘束が弾性的になったことでよりソフトタッチでの操作が可能になった。また、この弾性シール材は接着中に、タッチパネル内部の湿気を除くので、タッチパネルの耐久性を向上させる効果も生じた。また、本発明のタッチパネルは、常温で上透明絶縁基板が凸状化していないので、偏光板や位相差板の貼り付け工程で上透明絶縁基板が割れることがなくなり、工程歩留まりが良くなり安価化が可能になった。また常温環境下での作動加重が大きくならず、更に作動加重が安定するので操作性が悪くならず、完成品の歩留まりが向上し、安価化が計れるようになった。また、このタッチパネルをカーナビゲーションの様な耐寒、耐熱性が求められる画面入力型表示装置に用いることで、表示装置自体の操作安定性の確保と共に耐久性向上のメリットも発生した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のタッチパネルの平面図である。
【図2】図1におけるF−F断面図である。
【図3】本発明のタッチパネル操作時の上ガラスの変形を説明する概念図である。
【図4】本発明のタッチパネルの環境温度変化に伴う上ガラスの変形を説明する概念図である。
【図5】本発明のタッチパネルをカーナビゲーションの液晶表示器に配置した状態を示す概念図である。
【図6】従来技術におけるタッチパネルの平面図である。
【図7】図6におけるE−E断面図である。
【図8】図6における下基板の平面図である。
【図9】図6における上基板の平面図である。
【図10】従来技術におけタッチパネルの上下ガラスの関係を示す概念図である。
【符号の説明】
1 下基板
2 下透明絶縁基板
3、13 透明電極
4、5,14、15 引き回し電極
6、7 接続電極
8 ドットスペーサ
9 FPC
11 上基板
12 上透明絶縁基板
16 位相差板
17 シール材
18 偏光板
20、40 タッチパネル
50 画面入力型表示装置
60 カーナビゲーション
80 シール部
81 弾性シール材
82 シールスペーサー
83 固定材
【発明の属する技術分野】
本発明は、ATM、カーナビゲーション、自動販売機、複写機、各種端末機等の機器において、液晶ディスプレイ等の表示画面上に配置し、透視した画面の指示に従って使用者が情報の表示画面を指やペンで直接押してデータの入力が行われるタッチパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術における抵抗膜式タッチパネルは、可撓性を有する透明絶縁基板の下面に透明電極とこの透明電極に接続する引き回し電極を形成した上基板と、同じく上面に透明電極とこの透明電極に接続する引き回し電極を形成し、前記透明電極の上面にドットスペーサを一定間隔に配設した下基板とが、所定の隙間を持って透明電極同士が対面するような配置構造を取っている。そして、このタッチパネルを液晶表示装置等の表示装置の上面側に配置して使用される。表示装置の表示部分に位置する所のタッチパネルを指又はペンで押すことによって、タッチパネルの上基板が撓んでその押した所の透明電極が下基板の透明電極に接触し、そして、その接触点の位置が電気抵抗の測定によって検知されて入力情報が読みとられる。
【0003】
以下、従来例を図6〜9を用いて説明する。図6は従来技術におけるタッチパネルの平面図、図7は図6におけるE−E断面図、図8は図6における下基板の平面図、図9は図6における上基板の平面図を示している。
【0004】
図6、図7、図8、図9に示すように、従来例のタッチパネル20は形状が方形をなす下基板1と可撓性を有する上基板11とを備えている。下基板1は、板厚が1.1mmの透明な方形のガラスからなる下透明絶縁基板2と、この下透明絶縁基板2の上面に方形形状に形成された透明電極3と、この透明電極3の図中上下の対向する両辺に沿って接続形成されて下透明絶縁基板2の片方端にある点線枠で囲ったFPC取付部Sまで延設した一対の引き回し電極4及び5と、FPC取付部S近辺に形成された接続電極6、7と、透明電極3上にマトリックス状に配置したドットスペーサ8とで構成されている。尚、上記接続電極6、7は、後述する上基板11の引き回し電極14、15に導通接続を行うためにFPC取付部S近辺に設けられている。
【0005】
上基板11は、板厚が0.2mmの可撓性のある透明な方形のマイクロガラス(マイクロシートガラス)からなる上透明絶縁基板12と、この上透明絶縁基板12の下面に方形形状に形成されている透明電極13と、この透明電極13の図中左右の対向する両辺に沿って接続形成されてFPC取付部S方向に向かって延設された一対の引き回し電極14、15とで構成されている。
【0006】
そして、上下基板11、1の引き回し電極14、15及び4、5が方形配置となるように対向配置し、上下基板11、1とに10μm前後の隙間を持たせてシール材17で上下基板11、1とを接着して固定すると共に、上下基板11、1の外周域を周回してシールしている。更に、上基板11に設けられた引き回し電極14及び15は、接続部B及びAの場所において、その先端部14a、15aが下基板1に設けた接続電極6及び7と導電性接着剤を介して接続され、導通がとられている。
【0007】
また、図6中の上部中央において、封口部Dを有しており、シール材17の開口部17aを封口材19で封口している。
【0008】
また、防眩性を高めて透視性や品質表示を良くするために、上基板11の上面には偏光板18、下基板1の下面には位相差板16が貼付けられている。また、下基板1のFPC取付部SにはFPC9が取り付けられて外部との導通が図られるようになっている。
【0009】
上記構造を成すタッチパネル20の各構成要素部品は次のようになっている。下基板1を構成する下透明絶縁基板2は透明なガラスが用いられる。このガラスはソーダライムガラスや石英ガラス、アルカリガラス、ほうけい酸ガラス、普通板ガラス等が利用でき、反り等が起きない程度の厚さのものが使われる。多くは0.7〜1.1mmのソーダライムガラスが選択される。上基板11を構成する上透明絶縁基板12は可撓性を必要とするところなので透明な薄板ガラスや透明なプラスチックフイルムが用いられる。一般的に、耐熱性が求められる機器(例えば、カーナビゲーション等)にはガラスが使用される。上記従来例は耐熱性や衝撃性にも強く、且つ可撓性も有する0.2mm厚みのほうけい酸ガラスからなるマイクロガラス(マイクロシートガラス)を使っている。
【0010】
下基板1を構成する透明電極3及び上基板11を構成する透明電極13は錫をドープした酸化インジウムのITO(Indium Tin Oxide)膜で、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、印刷法等で形成する。この透明電極3及び13は高抵抗値であることが求められるため250〜500オングストロームの範囲で非常に薄く形成する。このITO膜は、基板全面に形成したものをフォトリソグラフィにより不要部分を除去し、必要な部分を残して形成する。
【0011】
下基板1を構成する引き回し電極4、5、接続電極6、7、及び上基板11を構成する引き回し電極14、15は、透明電極3、13に電圧印加するために設けるもので、銀粉や銅粉等の高導電性金属粉を熱硬化性のエポキシ樹脂等に混ぜ合わせてインク化したものをスクリーン印刷等の印刷方法で形成する。タッチパネルの性能上、これらの電極の抵抗値が低ければ低いほど良いものであり、一般に、透明電極のシート抵抗値に対してこれらの電極のシート抵抗値は100分の1以下であることが必要とされている。そこで、これらの電極の印刷の厚さを増したり、幅を広くしたりして抵抗値を小さく押さえる設計がなされている。
【0012】
下基板1を構成するドットスペーサ8は、押圧した部分以外の部分の透明電極同士が接触しないために設けるもので、透明なアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、その他の透明な樹脂材料をスクリーン印刷等の方法でドットマトリックス状に一定間隔に形成し、その後、熱または紫外線で硬化処理を施して形成する。このドットスペーサ8は目に見えない大きさであることが求められることから、直径30〜60μm、高さは2〜5μm、ドット間隔は1〜8mmの範囲で設計される。
【0013】
シール材17は、スペーサボールを分散させた熱硬化性のエポキシ樹脂接着剤やアクリル樹脂接着剤等をスクリーン印刷等の方法で印刷して形成する。ここで使われるスペーサボールは上基板11と下基板1との隙間を一定隙間に保持するために設けるもので、所定の大きさの絶縁性のあるプラスチックボールやファイバーガラス等が利用される。このプラスチックボールやファイバーガラスの大きさは、上基板11の上透明絶縁基板12の材質や厚さによって異なるが、0.2mmのマイクロガラスを使用した場合は概ね10μm前後の径のものが選択される。このシール材17は上基板11または下基板1の何れか一方に印刷した後、上基板11と下基板1とを位置を合わせて貼合わせ、加圧の下で加熱処理を施して硬化させ、接着固定を行っている。また、このシール材17は上基板11と下基板1を固定する役目と共に内部に水分やゴミ等の進入を防止するシールの役目も持っている
【0014】
封口部Dにおける封口材19にはUV硬化型のエポキシアクリレート樹脂などが使用される。この封口材19をシール材17の開口部17aの部分に塗布し、開口部17aを塞いだ状態で紫外線を照射して硬化させて封口する。開口部17aは、シール材17で上下基板11、1を接着固定するために加圧の下で約160°C、90分位の加熱処理を施すが、その時のシール内部の膨張した空気を外に逃がすために設けている。
【0015】
偏光板18と位相差板16は防眩性を高めて透視性や表示品質を良くするために設けている。偏光板18は、様々なものが使用されているが一例をあげると、ポリビニールアルコールフイルムを常法により一軸延伸することによって厚さが20μmの偏光フイルムを作成し、この両面に厚さが80μmのセルロース系フイルムを張り合わせて厚さ180μmの偏光板としたもの等が利用できる。また、位相差板16は、ポリカーボネイトを素材として形成され、厚さ80μm程度である。
【0016】
以上従来技術によるタッチパネルについて説明したが、このような、上下基板共にガラスで構成されるタッチパネルは、樹脂基板を用いるものに比較し、温度変化の激しい環境下でも上下基板の熱膨張が少ない良好な耐環境性を有するタッチパネルであることが開示されている。(例えば特許文献1参照。)
【0017】
しかしながら、上下基板共ガラスにて構成されるタッチパネルは、可撓性の高い入力側基板である上基板に対し、指やペン等による入力押圧に変形しない剛性を求められる下基板は、上基板の3〜5倍程度の厚みを設定する必要があり、さらに上基板にマイクロガラス、下基板にソーダライムガラスを用いる場合、以下に説明するように、過酷な温度変化が発生する、例えばカーナビ用タッチパネルなどでは上下基板の熱膨張係数と剛性の関係から、上基板が外側に凸状に変形する問題があった。
【0018】
【特許文献1】
特開平10133817号公報(第3、4頁、第2図)
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
タッチパネルはその製造工程の最後の方で、シール材17を用いて上基板11と下基板1を貼合わせ、接合を行っている。シール材17の主成分としては、従来から密着性や耐水性、耐湿性の観点から、110〜180℃で接着硬化する熱硬化型のエポキシ樹脂剤やアクリル樹脂剤を使用している。上透明絶縁基板12に使用されるマイクロガラスは、ほうけい酸ガラスを用いていて、この熱膨張率は5.1×10ー6 mm/°Cである。一方、下透明絶縁基板2に使用されるソーダライムガラスの熱膨張率は7.2×10ー6 mm/°Cである。このため、高温時には下透明絶縁基板2の方が上透明絶縁基板12より伸びが大きく、その伸びが大きい状態でシール材17によって上下の透明絶縁基板12,2とが接着、固定される。そして常温に戻るに従って、上下の透明絶縁基板12,2は収縮するが、1.1mm厚みの下透明絶縁基板2の方が、0.2mm厚みの上透明絶縁基板12より剛性が高いため、常温に戻った時に上透明絶縁基板12が中央凸状に張り出して湾曲した形状になる。
【0020】
図10は、この様子を図6のE−E断面において模式的に示したものである。左右両端面だけを回転自在に固定し、上下両端面は拘束が無く、また湾曲形状が円弧であると仮定した極く簡単な解析モデルを用いた計算によると、下透明絶縁基板2のガラス幅Sが168mm、温度変化を150°Cとした場合、上下透明絶縁基板の伸び量の差は0.053mmに過ぎないが、この時の中央部での上透明絶縁基板12のガラスの盛り上がり量hは約1.8mmにも達する。
【0021】
上下基板の張り合わせ工程で、タッチパネルの上ガラスが凸形状に大きく変形する結果の弊害として、後工程で偏光板18や位相差板16を貼り付ける時、上ガラスが割れやすくなり、工程歩留まりが劣化し、安価化の妨げになっていた。また上ガラスが凸形状になると、指先での動作荷重が大きくなり、また動作荷重が不安定になり易く操作性が悪くなることが多かった。その結果タッチパネル20の完成品としての歩留まりが悪く、安価化の妨げになっていた。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、この課題を克服する手段として、請求項1に記載の発明は、可撓性を有する上透明絶縁基板を主要構成部品とする上基板と、前記上透明絶縁基板と材質が異なり剛性の高い下透明絶縁基板を主要構成部品とする下基板とを所定の隙間で、前記上基板の外周域に沿って配されたシール材をもって一体化したタッチパネルにおいて、前記シール材として、弾性シール材を用いて上基板の外周域を周回、更に該弾性シール材が周回する外周の一部分では、常温で接着硬化する固定材を用いて上下基板を接着し、一体化したことを特徴とするものである。
【0023】
また、本発明の請求項2に記載の発明は、前記弾性シール材として弾性エポキシ樹脂を用いたことを特徴とするものである。
【0024】
また、請求項3に記載の発明は、前記固定材として、UV硬化型のエポキシ系樹脂を用いたことを特徴とするものである。
【0025】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3に記載のタッチパネルを備えたことを特徴とする画面入力型表示装置である。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態について、先ず図1〜3をもって説明する。図1は本発明のタッチパネルの平面図、図2は図1におけるF−F断面図,図3は本発明のタッチパネル操作時の上透明絶縁基板(上ガラス)の変形を説明するための図1におけるE−E断面概念図である。尚、本発明はタッチパネルの上基板と下基板の貼り合わせに係わる発明であるので、貼り合わせに関係しない箇所の構成は従来例と同じであり、従来例と同一構成部品は同一符号を付し、また説明を省略している。
【0027】
図1〜2に示すように、本発明のタッチパネル40は、長方形で剛性を有し板厚が1.1mmのソーダライムガラスの様な透明なガラス板からなる下透明絶縁基板2を主要構成要素とした下基板1と、横幅は下透明絶縁基板2と略同寸法で、縦幅だけが短い長方形で、且つ可撓性を有し、板厚が0.2mmのほうけい酸ガラス板からなる上透明絶縁基板12を主要構成要素とした上基板11とを、シール部80を介して接合した構造になっている。本発明の主要部分であるシール部80(従来技術の説明ではシール材17の部分に相当するが本発明では形態が異なる)は、直径は10μm前後のスペーサボール82を混入した弾性シール材81を用いて、上透明絶縁基板12である上ガラスの外周に沿って印刷した後、上基板11と下基板1とを位置を合わせて貼合わせている。
【0028】
弾性シール材81は接着硬化後も弾性を有する。この為、弾性シール材81だけの貼合わせでは、上下基板11、1の相対的位置関係はしっかりと確定しない。この為、弾性シール材81のコーナー部(4箇所)を丸めておき、上下基板11,1の最終的な位置合わせを行ってから、コーナー部で、熱を加えないで硬化する固定材83を用いて上下基板11、1を固定した。固定材83としては、ガラスとの密着性が良く、耐水性、耐湿性にも優れるUV硬化のエポキシ系樹脂を使用した。上基板11のコーナー部において、上基板11と下基板1の間に固定材83を注入し、紫外線を照射することで上下両基板11,1は温度上昇がない状態で固定される。
【0029】
弾性シール材81としては、弾性エポキシ樹脂を用いた。具体的には、東レ・レギュレックス樹脂(東レ株式会社)(R)、エポソフト(横浜ゴム株式会社)(R)等である。これらは、シール材の基本的機能として求められる接着性、強靭性は勿論、耐水性、耐湿性に優れているので、水分を透過しにくく、タッチパネル40の内部を長期間安定に保つことができるが、この弾性シール材81で特徴的なのは、常温硬化性と柔軟性である。タッチパネル40のシール材として、この特性を生かすことにより、下記の様な多くの作用効果が発生した。
【0030】
先ず、約5〜50°Cで硬化する常温硬化特性上のメリットとして、従来の熱硬化性のエポキシ樹脂接着剤やアクリル樹脂接着剤等を用いた場合に生じた上透明絶縁基板12(上ガラス)の凸状化現象が起きないことである。この為、後工程で偏光板18や位相差板16を貼り付ける時、上ガラス割れの頻度が減少し、工程歩留まりが向上した。また指先での動作荷重も大きくならず、また動作荷重が安定化して操作性が安定化した。又、接着中に高温にする必要がなくなり、その結果、上下ガラス基板の空隙として形成されるタッチパネル中の空気室で膨張する空気を逃す為の開口部(図6のD部)が不要になり、熟練を要する開口部封止工程が要らなくなり、コストダウンが可能になった。
【0031】
弾性シール材81は、接着硬化後も柔軟性を有するので、図3に示す様に、指先等でタッチパネルの上ガラス(上透明絶縁基板12)を矢印F方向の力で押圧した時、上ガラスの押下部は凹化し、これに伴って、上ガラスの辺部には内側(S方向)に引き込まれる力が作用する。この時、従来の技術で説明した様に辺部が完全に拘束されていれば、上ガラス12内部で弾性変形が生じ、これで引っ張り応力を吸収することになるが、本発明のタッチパネル40では、辺部は弾性シール材81により支えられて拘束が弾性的なので、辺部が横(S方向)に移動することで引っ張り力を吸収、ガラス内部には引張り応力は殆ど発生しない。この為、同じ板厚の上ガラスを使った場合で比較すると、よりソフトタッチでの操作が可能になった。
【0032】
また、この弾性シール材81は、空気中の水分と反応して硬化するので、接着中に、タッチパネル40内部の湿気を除く作用がある。この結果、タッチパネル40内部の引き回し配線等の腐食を生じにくくして、耐久性を向上させる効果も生じた。
【0033】
ところで、この弾性シール材81は通常は常温(約20°C)で硬化させるが、開口部を設けなくても、50°C位までは温度を上げて硬化を促進させ、作業時間を短縮することもできる。
【0034】
本発明のタッチパネル40を構成する上透明絶縁基板12(上ガラス)は、常温状態で平面状を保ったまま固定しているので、タッチパネル40を温度環境の厳しい条件下での画面入力型表示装置へ応用することでその効果を一段と発揮する。図4は、本発明のタッチパネルの環境温度変化に伴う上ガラスの変形を説明する概念図であり、(a)、(c)、(e)図は、図1におけるE−E断面を、(b)、(d)、(f)図は図1のF−F断面を模式的に示している。又、図4(a)、(b)図は、環境温度が常温の時、(c)、(d)図、は環境温度が高温の時、(e)、(f)図は環境温度が低温に移行した時の上下ガラスの関係を示している。
【0035】
図5に示す様に、本タッチパネル40を利用したカーナビゲーション60を装着している車の車中温度が常温の場合、上透明絶縁基板12(上ガラス)と下透明絶縁基板2(下ガラス)は、熱による膨張収縮が無い。この時の上下ガラスの位置関係を図4(a)図、(b)図に示す。
【0036】
しかし、車中の温度が上昇した場合は、図4(c)図、(d)図に示す様に、厚くて剛性が高い下透明絶縁基板2(下ガラス)が、上透明絶縁基板12(上ガラス)よりも沢山熱膨張して長くなる。しかし、上ガラスと下ガラスは、弾性シール材81で接合されているので、固定材83での接合部を除いて拘束は弾性的である。この為、上ガラスの辺部の変形により緩和された引張り力が、上ガラスのコーナー部に作用するが、全周が固定的に拘束された場合に比較して上ガラスの有効利用領域(アクティブエリア)での変形量は少ない。
【0037】
逆に車中の温度が常温より下降した場合、従来のタッチパネル20では上透明絶縁基板12(上ガラス)は常温時から盛り上がっていた上に、更に低温環境に曝されて盛り上がり量を増加してしまう(図10参照)。本発明のタッチパネル40でも、下透明絶縁基板2(下ガラス)の方が上ガラスより大きく縮むので、図4(f)図の様に固定材83からの作用で、上ガラスの盛り上がり現象が発生する。しかし、従来技術を用いた接合温度から常温への温度変化量に比べたら、温度の変化量は格段に少ないし、又、本発明のタッチパネル40では、固定材83による接合部を除く辺部では、(e)図の様に、弾性シール材81で応力を逃がすことができるので上ガラスの有効利用領域(アクティブエリア)での盛り上がり量は少ない。
【0038】
以上の作用から、本タッチパネル40を利用したカーナビゲーション60では、使用温度環境が変動しても、上透明絶縁基板(上ガラス)の変形量が少なく、この結果、画面入力作動加重を均一に操作できるし、耐久性も向上する。また本発明のタッチパネルは使用温度環境が広範囲に変動する可能性があるポータブルナビゲーションシステムの様な携帯型の各種端末機の画面入力型表示装置に利用した場合も同様の効果を発揮する。
【0039】
尚、本願発明の実施の形態では、UV硬化樹脂よりなる固定材を用いて上下基板を固定する箇所として、4隅のコーナー部を固定する方法を説明したが、本願発明においては固定する箇所を4隅のコーナー部に限定されるものではなく、弾性シール材の外周の適当な位置に、4カ所に限らず複数箇所を固定材にて固定しても良い。
【0040】
【発明の効果】
本発明のタッチパネルでは、開口部を廃止することでコストダウンが可能になった。また、上ガラスの周辺部の拘束が弾性的になったことでよりソフトタッチでの操作が可能になった。また、この弾性シール材は接着中に、タッチパネル内部の湿気を除くので、タッチパネルの耐久性を向上させる効果も生じた。また、本発明のタッチパネルは、常温で上透明絶縁基板が凸状化していないので、偏光板や位相差板の貼り付け工程で上透明絶縁基板が割れることがなくなり、工程歩留まりが良くなり安価化が可能になった。また常温環境下での作動加重が大きくならず、更に作動加重が安定するので操作性が悪くならず、完成品の歩留まりが向上し、安価化が計れるようになった。また、このタッチパネルをカーナビゲーションの様な耐寒、耐熱性が求められる画面入力型表示装置に用いることで、表示装置自体の操作安定性の確保と共に耐久性向上のメリットも発生した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のタッチパネルの平面図である。
【図2】図1におけるF−F断面図である。
【図3】本発明のタッチパネル操作時の上ガラスの変形を説明する概念図である。
【図4】本発明のタッチパネルの環境温度変化に伴う上ガラスの変形を説明する概念図である。
【図5】本発明のタッチパネルをカーナビゲーションの液晶表示器に配置した状態を示す概念図である。
【図6】従来技術におけるタッチパネルの平面図である。
【図7】図6におけるE−E断面図である。
【図8】図6における下基板の平面図である。
【図9】図6における上基板の平面図である。
【図10】従来技術におけタッチパネルの上下ガラスの関係を示す概念図である。
【符号の説明】
1 下基板
2 下透明絶縁基板
3、13 透明電極
4、5,14、15 引き回し電極
6、7 接続電極
8 ドットスペーサ
9 FPC
11 上基板
12 上透明絶縁基板
16 位相差板
17 シール材
18 偏光板
20、40 タッチパネル
50 画面入力型表示装置
60 カーナビゲーション
80 シール部
81 弾性シール材
82 シールスペーサー
83 固定材
Claims (4)
- 可撓性を有する上透明絶縁基板の下面に形成した透明電極と、この透明電極に接続した引き回し電極を有する上基板と、前記上透明絶縁基板と材質が異なる下透明絶縁基板の上面に形成した透明電極と、この透明電極に接続する引き回し電極と前記下透明絶縁基板に形成した透明電極の上面に一定間隔に複数配設したドットスペーサとを有する下基板とを、所定の隙間で両透明電極同士が対面するような配置で、前記上基板の外周域に沿って配されたシール材をもって一体化したタッチパネルにおいて、前記シール材として、弾性シール材を用いて上基板の外周域を周回、更に該弾性シール材が周回する外周の一部分では、常温硬化接着剤からなる固定材を用いて上下基板を接着し、一体化したことを特徴とするタッチパネル。
- 前記弾性シール材として弾性エポキシ樹脂を用いたことを特徴とする請求項1記載のタッチパネル。
- 前記固定材として、UV硬化型のエポキシ系樹脂を用いたことを特徴とする請求項1又は2記載のタッチパネル。
- 液晶表示装置などの表示装置の上面にタッチパネルを備えている画面入力型表示装置であって、前記請求項1乃至3のいずれかに記載のタッチパネルを備えていることを特徴とする画面入力型表示装置。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPWO2015186549A1 (ja) * | 2014-06-06 | 2017-04-20 | 富士フイルム株式会社 | 積層体、転写フィルム、積層体の製造方法、導電膜積層体、静電容量型入力装置および画像表示装置 |
WO2018133383A1 (en) * | 2017-01-20 | 2018-07-26 | Boe Technology Group Co., Ltd. | Flexible touch panel and display apparatus |
US11592918B2 (en) | 2017-01-20 | 2023-02-28 | Boe Technology Group Co., Ltd. | Flexible touch panel and display apparatus |
-
2003
- 2003-02-14 JP JP2003036545A patent/JP2004246666A/ja active Pending
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