JP2004246120A - 有機感光体、画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は感光体の帯電手段として、帯電ローラ等の接触帯電部材を用い、電子写真画像を形成する際に発生しやすい電荷リークによる白点、黒ポチやブラックスポット等の画像欠陥を防止し、高濃度、高解像力の鮮明な画像が安定して得られる有機感光体、画像形成方法、画像形成装置を提供すること。
【解決手段】有機感光体上に帯電部材を接触させて帯電する帯電工程、像露光工程、トナー像への現像工程、トナー像の転写工程、記録紙の分離工程及び定着工程の各工程を繰り返して、多数枚の電子写真画像を形成する画像形成方法に用いる有機感光体において、該有機感光体が、導電性支持体上に電荷発生層、電荷輸送層の積層構造を有し、該電荷輸送層が分子量550〜2000の電荷輸送物質を含有することを特徴とする有機感光体。
【選択図】 図5
【解決手段】有機感光体上に帯電部材を接触させて帯電する帯電工程、像露光工程、トナー像への現像工程、トナー像の転写工程、記録紙の分離工程及び定着工程の各工程を繰り返して、多数枚の電子写真画像を形成する画像形成方法に用いる有機感光体において、該有機感光体が、導電性支持体上に電荷発生層、電荷輸送層の積層構造を有し、該電荷輸送層が分子量550〜2000の電荷輸送物質を含有することを特徴とする有機感光体。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式の画像形成に用いる有機感光体、画像形成方法及び画像形成装置に関し、更に詳しくは、複写機やプリンターの分野で用いられる電子写真方式の画像形成に用いる有機感光体、画像形成方法、及び画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
有機感光体はセレン系感光体、アモルファスシリコン感光体のような無機感光体に比して素材の選択の幅が広いこと、環境適性に優れていること、生産コストが安いこと等の大きなメリットがあり、近年無機感光体に代わって電子写真感光体の主流となっている。
【0003】
他方カールソン法に基づく画像形成方法においては、電子写真感光体上に帯電、静電潜像を形成し、トナー画像を形成した後、該トナー画像を転写紙に転写し、これを定着して最終画像が形成される。
【0004】
上記帯電手段の部材として従来代表的に用いられている帯電部材はコロナ放電器が最もよく知られている。コロナ放電器は安定した帯電を行えるという利点を有する。しかし、コロナ放電器は高電圧を印加しなければならないため、イオン化された酸素、オゾン、水分、酸化窒素化合物等の発生量が多いため、有機感光体(以後感光体とも云う)の劣化を招いたり、人体に悪影響を及ぼす等の問題点を有している。
【0005】
そこで、最近ではコロナ放電器を利用しない接触帯電方式を利用することが検討されている。具体的には帯電部材である磁気ブラシや導電性ローラに電圧を印加して、被帯電体である感光体に接触させ、感光体表面を所定の電位に帯電させるものである。このような接触帯電方式を用いればコロナ放電器を用いた非接触帯電方式と比較して低電圧化がはかれ、オゾン発生量も減少する。しかしながら接触帯電方式の問題として、有機感光体に帯電ローラ等が直接接触して帯電することから、感光層に小さな亀裂、クラック、汚染等が発生しやすく、その結果、これら小さな亀裂、クラック、汚染等の部分に電荷が集中し、電荷リークを起し、白点、黒ポチ、ブラックスポット(苺状の斑点)等の画像欠陥の発生を引き起こしやすい。特に高温高湿、低温低湿等の厳しい条件下でこれらの問題が発生しやすい。
【0006】
一方、近年の電子写真方式の画像形成方法は、パソコンのハードコピー用のプリンターとして、また通常の複写機においても画像処理の容易さや複合機への展開の容易さから、LEDやレーザを像露光光源とするデジタル方式の画像形成方式が急激に浸透してきた。更に、デジタル画像の精細化を進めて、高画質の電子写真画像を作製する技術が開発されている。例えば、スポット面積の小さいレーザ光で像露光を行い、ドット潜像の密度を上げて、高精細の潜像を形成し、該潜像を小粒径トナーで現像し、高画質の電子写真画像を作製する技術が公開されている。(特許文献1)
このような高画質のデジタル画像の形成に際しては、高感度で且つ温湿度環境の変化に対して安定な特性を有する電子写真感光体が要求される。
【0007】
従来、上記のような電子写真感光体の要求を満たすために、有機感光体は、感光層を電荷発生層と電荷輸送層に機能分離した層構成にし、該電荷輸送層に、分子量500前後の低分子量の電荷輸送物質を多量に含有させた構成にしていた。しかしながら、このような構成の電荷輸送層では、表面層の電荷輸送層がトナー中の外添剤や紙粉等で傷つきやすく、前記した帯電ローラを用いた帯電手段に適用すると、電荷リークによる白点、黒ポチやブラックスポットが発生しやすい。そこで、電荷輸送層中の電荷輸送物質を減量して、電荷輸送層の表面を傷つきにくくすると、低温低湿環境等で、十分な感度が得られず、文字細り等が発生し、鮮鋭性が低下した電子写真画像と成りやすい。
【0008】
又、感光体表面の汚染を防止するために、表面層にフッ素系樹脂粒子を含有させた有機感光体が提案されている(特許文献2)。しかしながら、フッ素系樹脂粒子を含有させた有機感光体は、画像ボケが発生しやすい。又表面層のフッソ粒子が離脱しやすく、前記帯電ローラ等の接触帯電方式との併用において、必ずしも良好な電子写真画像を提供し得ていない。
【0009】
【特許文献1】
特開2001−255685号公報
【0010】
【特許文献2】
特開昭63−65449号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記のような課題を解決するために提案されたものであり、その目的とするところは、感光体の帯電手段として、帯電ローラ等の接触帯電部材を用い、電子写真画像を形成する際に発生しやすい電荷リークによる白点、黒ポチやブラックスポット等の画像欠陥を防止し、且つ低温低湿環境下で発生しやすい文字細り等を防止し、高濃度、高解像力の鮮明な画像が安定して得られる有機感光体、画像形成方法、画像形成装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は鋭意検討の結果、本発明の上記課題を解決するためには、有機感光体の表面を、接触帯電部材で表面を摺擦しても、紙粉やトナー成分が付着しにくい表面特性にし、白点、黒ポチやブラックスポット等の画像欠陥を発生させないことが重要であることに気付き本発明を完成した。又、このような表面特性を有する有機感光体に帯電ローラ等の接触帯電手段を併用した系で、特定のトナー形状等を組み合わせ併用することにより、白点、黒ポチやブラックスポット等の画像欠陥がより顕著に改良され、且つ低温低湿環境下でも文字細り等を防止して、鮮鋭性が良好な電子写真画像を提供することができる。
【0013】
本発明の目的は、下記構成のいずれかを採ることにより達成される。
1.有機感光体上に帯電部材を接触させて帯電する帯電工程、像露光工程、トナー像への現像工程、トナー像の転写工程、記録紙の分離工程及び定着工程の各工程を繰り返して、多数枚の電子写真画像を形成する画像形成方法に用いる有機感光体において、該有機感光体が、導電性支持体上に電荷発生層、電荷輸送層の積層構造を有し、該電荷輸送層が分子量550〜2000の電荷輸送物質を含有することを特徴とする有機感光体。
【0014】
2.導電性支持体と電荷発生層の間に中間層を有し、該中間層が平均粒径10〜500nmの無機微粒子を含有することを特徴とする前記1に記載の有機感光体。
【0015】
3.有機感光体上に帯電工程、像露光工程、トナー像への現像工程、トナー像の転写工程、記録紙の分離工程及び定着工程の各工程を繰り返して、多数枚の電子写真画像を形成する画像形成方法において、該有機感光体が、導電性支持体上に電荷発生層、分子量550〜2000の電荷輸送物質を含有する電荷輸送層の積層構造を有し、該有機感光体に帯電部材を接触させて帯電することを特徴とする画像形成方法。
【0016】
4.有機感光体上に帯電工程、像露光工程、トナー像への現像工程、トナー像の転写工程、記録紙の分離工程及び定着工程の各工程を繰り返して、多数枚の電子写真画像を形成する画像形成方法において、該有機感光体が導電性支持体上に電荷発生層、分子量550〜2000の電荷輸送物質を含有する電荷輸送層の積層構造を有し、前記帯電工程は有機感光体上に帯電部材を接触させて帯電し、前記現像工程で用いるトナーは、形状係数1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子を65個数%以上含有することを特徴とする画像形成方法。
【0017】
5.有機感光体上に帯電工程、像露光工程、トナー像への現像工程、トナー像の転写工程、記録紙の分離工程及び定着工程の各工程を繰り返して、多数枚の電子写真画像を形成する画像形成方法において、該有機感光体が導電性支持体上に電荷発生層、分子量550〜2000の電荷輸送物質を含有する電荷輸送層の積層構造を有し、前記帯電工程は有機感光体上に帯電部材を接触させて帯電し、前記現像工程で用いるトナーは、トナー粒子の粒径をD(μm)とするとき、自然対数lnDを横軸にとり、この横軸を0.23間隔で複数の階級に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムにおける最頻階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m1)と、前記最頻階級の次に頻度の高い階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m2)との和(M)が70%以上であることを特徴とする画像形成方法。
【0018】
6.有機感光体上に帯電工程、像露光工程、トナー像への現像工程、トナー像の転写工程、記録紙の分離工程及び定着工程の各工程を繰り返して、多数枚の電子写真画像を形成する画像形成方法において、該有機感光体が導電性支持体上に電荷発生層、分子量550〜2000の電荷輸送物質を含有する電荷輸送層の積層構造を有し、前記帯電工程は有機感光体上に帯電部材を接触させて帯電し、前記現像工程で用いるトナーは、角がないトナー粒子を50個数%以上含有することを特徴とする画像形成方法。
【0019】
7.前記帯電部材が、帯電ローラであることを特徴とする前記3〜6のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【0020】
8.前記帯電部材が、磁気ブラシであることを特徴とする前記3〜6のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【0021】
9.前記3〜8のいずれか1項に記載の画像形成方法を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【0022】
以下、本発明の構成をさらに具体的に説明する。
まず、本発明の接触帯電方式を用いた画像形成方法について説明する。
【0023】
《帯電工程》
本発明は感光体に帯電部材を接触させて帯電する(以下、接触帯電部材を用いた帯電方法とも云う)。このような帯電部材としては、磁気ブラシ方式、帯電ローラ方式、ブレード方式等各種帯電部材を用いることができるが、これらの中でも帯電部材として帯電ローラ方式、或いは磁気ブラシ方式が最も好ましく本発明に用いられる。即ち、帯電の均一性が得られやすい帯電ローラ、或いは磁気ブラシが良い。以下、帯電ローラ方式、及び磁気ブラシ方式の帯電手段について記載する。
【0024】
本発明においては、導電性弾性部材により構成された帯電ローラを感光体(像担持体)に接触させ、該帯電ローラに電圧を印加して感光体(像担持体)を帯電することが出来る。
【0025】
このような帯電ローラ方式は、直流電圧をローラに印加する直流帯電方式、交流電圧をローラに印加する誘導帯電方式のいずれでもよい。
【0026】
又誘導帯電方式で印加される電圧の周波数fは任意のものが用いられるが、ストロービングすなわち縞模様を防止するために、導電性弾性ローラ及び像担持体部材の相対速度に応じて適当な周波数を選択できる。該相対速度は導電性弾性ローラと像担持体との接触領域の大きさによって決めることができる。
【0027】
導電性弾性ローラは芯金の外周に導電性弾性部材よりなる層(単に導電性弾性層又H、導電性ゴム層ともいう)を被覆したものである。
【0028】
前記導電性ゴム層に用いることのできるゴム組成物としては、ポリノルボルネンゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。これらのゴムは、単独でまたは2種以上の混合ゴムとして使用することができる。
【0029】
導電性を付与するために、これらのゴム組成物に導電性付与剤を配合して使用する。適当な導電性付与剤としては、公知のカーボンブラック(ファーネス系カーボンブラックまたはケツチエンブラック)、酸化錫等の金属粉が挙げられる。導電性付与剤の使用量はゴム組成物全量に対して約5〜約50質量部である。
【0030】
ゴム組成物には、ゴム基材、発泡剤、導電性付与剤以外に必要に応じて、ゴム用薬品、ゴム添加剤を配合して導電性発泡ゴム組成物とすることもできる。ゴム用薬品、ゴム添加剤としては、硫黄、パーオキサイド等の加硫剤、亜鉛華、ステアリン酸等の加硫促進助剤、スルフェンアミド系、チラウム系、チアゾール系、グラニジン系等の加硫促進剤、アミン系、フェノール系、硫黄系、リン系等の老化防止剤、または酸化防止剤、紫外線吸収剤、オゾン劣化防止剤、粘着付与剤等を使用することができ、さらに各種の補強剤、摩擦係数調整剤、シリカ、タルク、クレイ等の無機充填剤も任意に選択し使用し得る。これらの導電性ゴム層は103〜107Ωcmの範囲の直流体積抵抗率を有することが好ましい。
【0031】
更にこれら導電性弾性層の外側には、感光体表面に残留したトナー等の帯電部材への付着を防止する目的で、離型性被覆層を設けてもよい。該被覆層は又弾性層からのオイルの浸みだしの防止をはかると共に弾性層の抵抗ムラをキャンセルし、抵抗の均一化をはかる、帯電ローラの表面を保護する、帯電ローラの硬度を調整する、等の機能を果たしている。被覆層は上記物性を満足するものであれば、いずれのものでも良く、ひとつの層でも、複数の層でも良い。材料としてはヒドリンゴム、ウレタンゴム、ナイロン、ポリ弗化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン等の樹脂が挙げられる。また、被覆層の厚みは100〜1000μmであることが好ましく、抵抗値は105〜109Ω・cmであることが好ましい。また、表層に近づくにつれ抵抗値は大きくなっていることが好ましい。抵抗を調整する方法としては、被覆層にカーボンブラック、金属及び金属酸化物等の導電性物質を含有させること等が挙げられる。
【0032】
本発明の帯電ローラの表面粗さRzを調整するには帯電ローラの表面層(導電性弾性層又は被覆層)に粉体を含有させることが好ましい。本発明に用いられる粒体は、無機物あるいは有機物のいずれでもよいが、無機物の場合、シリカ粉末が特に好ましい。有機物の場合、たとえばウレタン樹脂粒子、ナイロン粒子、シリコーンゴム粒子、エポキシ樹脂粒子等が挙げられる。これらの粒子は単独でまたは2種以上混合して用いられる。適当な粒体は表面層の表面粗度Rzを0.05〜10.0μmの範囲に調製できる物質を選べばよいが、粒体の粒子径が1〜20μmの範囲にあると所望の表面粗度範囲が達成されやすい。粒子径が20μmを超すと、表面粗度Rzも10.0μmを超し、所期の目的を果さない。逆に、粒子径が1μm未満であると、表面粗度Rzが0.05μm未満となりやすくこれも所期の目的を果さない。
【0033】
表面粗度Rzを0.05〜10.0μmの範囲に設定する理由は、10.0μmを超すとローラ表面に対するトナーのフィルミングが顕著になるからであり、0.05μm未満であると帯電ローラと感光体ドラムの密着性が高まり、すなわち接触面積が大きくなるので帯電音の抑制ができなくなるからである。
【0034】
粉体の表面層中の配合割合は、樹脂100質量部に対して約5〜約20質量部の割合で配合し、分散することが好ましい。
【0035】
本発明の帯電ローラは、たとえば次のようにして製造することができる。すなわち、まず円筒状成形空間を有する成形型内に、金属製の回転軸(芯金)を入れ成形型内に導電性弾性体層形成材料を充填し、加硫を行うことにより回転軸の外周面に導電性弾性体層を形成する。次いで、導電性弾性体層の形成された回転軸を成形型から取出す。一方、ウレタン樹脂等の材と、粒体、導電付与剤その他の添加剤を配合し、この配合物をボールミル等を用いて混合、撹拌し表面層形成材料混合物を調製する。そしてこの混合物をディップ法、ロールコート法、スプレーコーティング法等によって前記導電性弾性体層の形成された回転軸表面に均一な厚みに塗工して乾燥し、加熱硬化することにより2層構造の帯電ローラを製造することができる。このようにして得られる帯電ローラは、その最外層である表面層の表面の粗度Rzが0.05〜10.0μmに形成される。
【0036】
次に本発明の画像形成装置について述べる。
図5はローラ帯電を行う画像形成装置の1例を示す図である。この画像形成装置は本発明を実施するためのものであり、静電潜像形成のための帯電極に帯電ローラを感光体ドラムに接触させて帯電せしめ(帯電工程)、又トナーを転写紙へ転写するための転写極に転写ローラを用いている(転写工程)。この転写ローラを直接或いは転写紙を挟んで感光体ドラムに接触させることによりオゾンの発生を回避させた態様のものでいわゆる接触帯電方式を採用しており、そして非接触現像により静電潜像を現像するものである。
【0037】
図5(a)において帯電ローラ1によって帯電された感光体ドラム2上に静電潜像が形成される(像露光工程)。そして、この静電潜像は、感光体ドラム2に近接して配置された現像装置3の現像剤担持体である現像スリーブ4によってトナー像に現像される(現像工程)。そして、転写前の除電ランプ5によって感光体ドラム2の電荷が除電された後、トナー像は、給紙カセットから搬送ローラ8によって搬送されてきた転写紙Pに、転写ローラ6によりトナーと逆極性の電荷が付与され、この逆極性の電荷の静電気力により転写紙Pにトナーが転写される。トナー転写後の転写紙Pは、感光体ドラム2から分離された後、搬送ベルト7によって定着装置へ送られ、加熱ローラと押圧ローラによってトナー像が転写紙Pに定着される(定着工程)。
【0038】
前記帯電ローラ1(及び転写ローラ6)には電源9(10)からDC及びAC成分から成るバイアス電圧が印加され、オゾン発生量が極めて少い状態で感光体ドラム2への帯電及びトナー像の転写紙Pへの帯電が行なわれる。前記電圧は通常±500〜1000VのDCバイアスとこれに重畳して100Hz〜10KHz、200〜3500V(p−p)のACバイアスとからなる。
【0039】
前記帯電ローラ1及び転写ローラ6は感光体ドラム2への圧接下に従動又は強制回転される。
【0040】
前記感光体ドラム2への圧接は10〜100g/cmとされローラの回転は感光体ドラム2の周速の1〜8倍とされる。
【0041】
図5(b)に示すように前記帯電ローラ1(及び転写ローラ6)は芯金20と、その外周に設けられた導電性弾性部材であるクロルプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等のゴム層又はそれらのスポンジ層21から成り、好ましくは最外層に0.01〜1μm厚の離型性弗素系樹脂又はシリコーン樹脂層から成る保護層22を設けて構成される。
【0042】
転写後の感光体ドラム2はクリーニング器11のクリーニングブレード12の圧接によりクリーニングされ次の画像形成に供えられる。
【0043】
電子写真画像形成装置としては、感光体と、現像器、クリーニング器等の構成要素をプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このユニットを装置本体に対して着脱自在に構成しても良い。又像露光器、現像器、転写又は分離器、クリーニング器の少なくとも1つを感光体とともに一体に支持してプロセスカートリッジを形成し、装置本体に着脱自在の単一ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としても良い。
【0044】
尚、前記図5においては、帯電器、及び転写極ともローラ帯電器を用いているが、本発明においては、本発明の必須構成要件は帯電器に帯電ローラを用いることであり、転写極には転写ローラ以外の転写手段を用いても良い。
【0045】
次に、帯電用磁気ブラシを形成する磁気粒子について説明する。
図6は接触式の磁気ブラシ帯電装置の図、図7は図6の帯電装置による交流バイアス電圧と帯電電位との関係を示す図である。
【0046】
一般に帯電用磁気ブラシを形成する磁気粒子の体積平均粒径が大きいと、帯電用磁気粒子搬送体(搬送担体)上に形成される磁気ブラシの穂の状態が粗いために、電界による振動を与えながら帯電しても、磁気ブラシにムラが現れ易く、帯電ムラの問題が起こる。この問題を解消するには、磁気粒子の体積平均粒径を小さくすればよく、実験の結果、体積平均粒径が200μm以下でその効果が現れ始め、特に150μm以下になると、実質的に磁気ブラシの穂の粗に伴う問題が生じなくなる。しかし、粒子が細か過ぎると帯電時に感光体ドラム50面に付着するようになったり、飛散し易くなったりする。これらの現象は、粒子に作用する磁界の強さ、それによる粒子の磁化の強さにも関係するが、一般的には、粒子の体積平均粒径が20μm以下に顕著に現れるようになる。
【0047】
以上から、磁気粒子の粒径は体積平均粒径が200μm以下、20μm以上であり、且つ該磁気粒子の個数平均粒径の1/2倍以下の粒径を有する磁気粒子を30個数%以下とすることが必要である。なお、磁化の強さは30〜100emu/gのものが好ましく用いられる。
【0048】
このような磁気粒子は、磁性体として前述した従来の二成分現像剤の磁性キャリヤ粒子におけると同様の、鉄、クロム、ニッケル、コバルト等の金属、あるいはそれらの化合物や合金、例えば四三酸化鉄、γ−酸化第二鉄、二酸化クロム、酸化マンガン、フェライト、マンガン−銅系合金、と云った強磁性体の粒子、又はそれら磁性体粒子の表面をスチレン系樹脂、ビニル系樹脂、エチレン系樹脂、ロジン変性樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等の樹脂で被覆するか、あるいは、磁性体微粒子を分散して含有した樹脂で作るかして得られた粒子を従来公知の平均粒径選別手段で粒径選別することによって得られる。
【0049】
なお、磁気粒子を球状に形成することは、搬送担体に形成される粒子層が均一となり、また搬送担体に高いバイアス電圧を均一に印加することが可能となると云う効果も与える。即ち、磁気粒子が球形化されていることは、(1)一般に、磁気粒子は長軸方向に磁化吸着され易いが、球形化によってその方向性がなくなり、従って、磁気粒子層が均一に形成され、局所的に抵抗の低い領域や層厚のムラの発生を防止する、(2)磁気粒子の高抵抗化と共に、従来の粒子に見られるようなエッジ部が無くなって、エッジ部への電界の集中が起こらなくなり、その結果、帯電用磁気粒子の搬送担体に高いバイアス電圧を印加しても、感光体ドラム50面に均一に放電して帯電ムラが起こらない、という効果を与える。
【0050】
以上のような効果を奏する球形粒子には磁気粒子の抵抗率が105〜1010Ωcmであるように導電性の磁気粒子を形成したものが好ましい。この抵抗率は、粒子を0.50cm2の断面積を有する容器に入れてタッピングした後、詰められた粒子上に1kg/cm2の荷重を掛け、荷重と底面電極との間に1000V/cmの電界が生ずる電圧を印加したときの電流値を読み取ることで得られる値であり、この抵抗率が低いと、搬送担体にバイアス電圧を印加した場合に、磁気粒子に電荷が注入されて、感光体ドラム50面に磁気粒子が付着し易くなったり、あるいはバイアス電圧による感光体ドラム50の絶縁破壊が起こり易くなったりする。また、抵抗率が高いと電荷注入が行われず帯電が行われない。
【0051】
さらに、接触式の磁気ブラシ帯電装置120に用いられる磁気粒子は、それにより構成される磁気ブラシが振動電界により軽快に動き、しかも外部飛散が起きないように、比重が小さく、且つ適度の最大磁化を有するものが望ましい。具体的には真比重が6以下で最大磁化が30〜100emu/gのもの、特に40〜80emu/gを用いると好結果が得られることが判明した。
【0052】
以上を総合して、磁気粒子は、少なくとも長軸と短軸の比が3倍以下であるように球形化されており、針状部やエッジ部等の突起が無く、抵抗率は好ましくは105〜1010Ωcmの範囲にあることが望まれる。そして、このような球状の磁気粒子は、磁性体粒子にできるだけ球形のものを選ぶこと、磁性体微粒子分散系の粒子では、できるだけ磁性体の微粒子を用いて、分散樹脂粒子形成後に球形化処理を施すこと、あるいはスプレードライの方法によって分散樹脂粒子を形成すること等によって製造される。
【0053】
図6又は図7によれば、帯電装置としての磁気ブラシ帯電装置120は回転する感光体ドラム50と対向し、感光体ドラム50との近接部(帯電部T)において同方向(反時計方向)に回転される帯電用磁気粒子搬送体としての、例えばアルミ材やステンレス材を用いた円筒状の帯電スリーブ120aと、該帯電スリーブ120aの内部に設けられるN、S極よりなる磁石体121と、該磁石体121により帯電スリーブ120aの外周面上に形成され感光体ドラム50を帯電する磁気粒子からなる磁気ブラシと、磁石体121のN−N磁極部において該帯電スリーブ120a上の磁気ブラシを掻取るスクレーパ123と、磁気ブラシ帯電装置120内の磁気粒子を撹拌或いは磁気粒子供給時に使用済み磁気粒子を磁気ブラシ帯電装置120の排出口125より溢れさせて排出する撹拌スクリュウ124と、磁気ブラシの穂立ち規制板126とにより構成される。帯電スリーブ120aは磁石体121に対し回動可能になっていて、感光体ドラム50との対向位置で感光体ドラム50の移動方向と同方向(反時計方向)に0.1〜1.0倍の周速度で回転させられるのが好ましい。また帯電スリーブ120aは、帯電バイアス電圧を印加し得る導電性の搬送担体が用いられるが、特に、表面に粒子層が形成される導電性の帯電スリーブ120aの内部に複数の磁極を有する磁石体121が設けられている構造のものが好ましく用いられる。このような搬送担体においては、磁石体121との相対的な回転によって、導電性の帯電スリーブ120aの表面に形成される磁気粒子層が波状に起伏して移動するようになるから、新しい磁気粒子が次々と供給され、帯電スリーブ120a表面の磁気粒子層に多少の層厚の不均一があっても、その影響は上記波状の起伏によって実際上問題とならないように十分カバーされる。帯電スリーブ120aの表面は磁気粒子の安定な均一搬送のために表面の平均粗さを5.0〜30μmとすることが好ましい、平滑であると搬送は十分に行えなく、粗すぎると表面の凸部から過電流が流れ、どちらにしても帯電ムラが生じ易い。上記の表面粗さとするにはサンドブラスト処理が好ましく用いられる。また、帯電スリーブ120aの外径は5.0〜20mmが好ましい。これにより、帯電に必要な接触領域を確保する。接触領域が必要以上に大きいと帯電電流が過大となるし、小さいと帯電ムラが生じ易い。また上記のように小径とした場合、遠心力により磁気粒子が飛散あるいは感光体ドラム50に付着し易いために、帯電スリーブ120aの線速度は感光体ドラム50の移動速度と殆ど同じか、それよりも遅いことが好ましい。
【0054】
また、帯電スリーブ120a上に形成する磁気粒子層の厚さは、規制手段によって十分に掻き落されて均一な層となる厚さであることが好ましい。帯電領域において帯電スリーブ120aの表面上の磁気粒子の存在量が多すぎると磁気粒子の振動が十分に行われず感光体の摩耗や帯電ムラを起こすとともに過電流が流れ易く、帯電スリーブ120aの駆動トルクが大きくなるという欠点がある。反対に磁気粒子の帯電領域における帯電スリーブ120a上の存在量が少な過ぎると感光体ドラム50への接触に不完全な部分を生じ磁気粒子の感光体ドラム50上への付着や帯電ムラを起こすことになる。実験を重ねた結果、帯電領域における磁気粒子の好ましい付着量は100〜400mg/cm2であり、特に好ましくは200〜300mg/cm2であることが判明している。なお、この付着量は、磁気ブラシの帯電領域における平均値である。
【0055】
帯電装置としての磁気ブラシ帯電装置120には、直流(DC)バイアスE3に必要により交流(AC)バイアスAC3が重畳される帯電バイアス、例えば直流バイアスE3としてトナーと同極性(本実施形態においてはマイナス極性)の−100〜−500Vが、また交流バイアスAC3として周波数1〜5kHz、電圧300〜500VP−Pの帯電バイアスが印加される帯電スリーブ120aにより、感光体ドラム50の周面が接触、摺擦されて感光体ドラム50が帯電される。帯電スリーブ120aと感光体ドラム50との間には前記交流バイアスAC3の電圧印加による振動電界が形成されているので、磁気ブラシを経て感光体層10a上への電荷の注入が円滑に行われて一様に高速な帯電が行われる。
【0056】
感光体ドラム50を帯電した帯電スリーブ120a上の磁気ブラシは、磁石体121に設けられるN−N磁極部において、スクレーパ123により帯電スリーブ120a上より落下され帯電スリーブ120aとの近接部において帯電スリーブ120aと逆方向(反時計方向)に回転する撹拌スクリュウ124により撹拌された後、再度磁気ブラシ形成され帯電部Tに搬送される。
【0057】
図7に示すように、帯電バイアスの交流バイアスAC3のピーク・ピーク電圧(VP−P)と帯電電位との関係は、ピーク・ピーク電圧VP−Pが大きくなるに従い帯電電位が大きくなり、帯電電位はピーク・ピーク電圧が一定のV1で帯電バイアスの直流バイアスE3の値VSとほぼ等しい値で飽和し、それ以上ピーク・ピーク電圧VP−Pを大きくしても帯電電位は殆ど変化しないという特性がある。磁気粒子の電気抵抗は環境条件によっても変化するが、また使用するに従い磁気粒子の表面にトナーが融着するなどして電気抵抗は高くなる。このため、特性曲線は使用初期の新しい磁気粒子の場合は実線で示す(a)のように左側に、長期間使用した磁気粒子の場合は前記特性曲線は点線で示す(b)のように右側に位置することになる。
【0058】
本発明の画像形成装置の接触方式による帯電装置では、装着電源のon時或いはプリント開始前に帯電電位に相当する直流バイアスE3の電圧値を所定値とし、交流バイアスAC3のピーク・ピーク電圧(VP−P)を低い値から次第に大きくした帯電バイアスを印加してその時変化する感光体ドラム50の帯電電位を電位計ESによって検出する。検出される帯電電位はA/D変換器によってディジタル値に変換されたのち制御部(CPU)に入力される。制御部ではこの帯電電位が所定値VSの飽和点に達した時のVP−Pの値を適正バイアス値V1と規定してプリント動作とする。
【0059】
即ち、プリントが行われる時交流バイアスAC3を低い値から次第に大きくして(スイープして)交流バイアスAC3のVP−Pの値V1を求め、制御部からバイアス信号が出力される。この制御信号はD/A変換器によってアナログ値に変換された後交流バイアスAC3に送出され、交流バイアスAC3は決定されたピーク・ピーク電圧V1を出力する。その際のピーク・ピーク電圧V1の値とメモリに格納された磁気粒子の劣化により交換すべき規定値V2を読み出しこれと比較する。磁気粒子はトナーの混入により抵抗が増加するので、プリントの使用に従い適正バイアス値V1が増加する。これに伴い印加するVP−Pが増加し帯電不能な状態が生じることになる。測定した電圧値が帯電不能を示す規定値V2より小さい間は画像形成を続けるが、規定値V2より大きくなると、制御部より画像形成動作停止信号が送出され画像形成動作を停止し、不図示の操作部の表示部に帯電装置異常の表示を行う。この表示に基づき、帯電用の磁気粒子の供給ボトル220を磁気ブラシ帯電装置120にセットし、供給ボトル220底面の不図示の開閉蓋を開口して磁気粒子を磁気ブラシ帯電装置120に落下、供給する。上記において感光体ドラム50の電位の測定に電位計ESを用いたが、バイアス電源に直流電流計を繋いで用いて交流バイアスVP−Pを変化させ、この電流値が飽和点に達した時のVP−Pを適正バイアス値V1と設定し、規定値V2との比較を行いV1を越えた時磁気粒子の供給を行うようにしてもよい。
【0060】
またメンテナンス時或いは例えば5万プリント等の定期時に、帯電用の磁気粒子の交換が行われる。メモリに記憶されたメンテナンスプリント毎や例えば5万プリント毎の定期時に、制御部を通して交換信号が出され、不図示の駆動モータの駆動により予めセットされた帯電用の磁気粒子の供給ボトル220の供給ローラ221が回転され、供給ボトル220内の磁気粒子が磁気ブラシ帯電装置120内に全量が1回で落下される。供給後空の供給ボトル220を外し、新たな供給ボトル220をセットすることにより画像形成装置が作動状態となるように制御することも可能である。また、定期時に制御部より不図示の操作部に例えばランプの点滅等による供給信号を表示し、供給ボトル220を磁気ブラシ帯電装置120にセットし、供給ボトル220底面の不図示の開閉蓋を開口して磁気粒子を供給するようにしてもよい。
【0061】
落下された磁気粒子は回転される帯電スリーブ120aにより搬送され、スクレーパ123により帯電スリーブ120a表面より掻落とされて磁気ブラシ帯電装置120の底部に補給される。これに伴い、反時計方向に回転される撹拌スクリュウ124により磁気ブラシ帯電装置120内部に収納されている使用済みの磁気粒子が排出口125より溢れ出され、ダクトDBを通して共通の磁気粒子回収容器300に回収される。この際、供給ボトル220より磁気ブラシ帯電装置120内に供給される1回の磁気粒子供給量は磁気ブラシ帯電装置120内に収納される全磁気粒子に対して、20〜50質量%が好ましい。20質量%未満では新規に供給される磁気粒子量が少な過ぎ交換効果がなく良好な帯電が行われず、50質量%を越えると新規の磁気粒子が溢れ出てしまう。
【0062】
上記により、帯電装置内の磁気粒子が劣化されることなく良好な帯電性能が長期に維持される。
【0063】
図8は本発明の磁気ブラシ帯電器を有する画像形成装置の1例を示す断面図である。図8において50は像担持体である感光体ドラム(感光体)で、有機感光層をドラム上に塗布し、その上に本発明の構成を有する感光体で、接地されて時計方向に駆動回転される。52は磁気ブラシ帯電器で、感光体ドラム50周面に対し一様な帯電を与えられる(帯電工程)。この帯電器52による帯電に先だって、前画像形成での感光体の履歴をなくすために発光ダイオード等を用いた露光部51による露光を行って感光体周面の除電をしてもよい。
【0064】
感光体への一様帯電ののち像露光器53により画像信号に基づいた像露光が行われる(像露光工程)。この図の像露光器53は図示しないレーザダイオードを露光光源とする。回転するポリゴンミラー531、fθレンズ等を経て反射ミラー532により光路を曲げられた光により感光体ドラム上の走査がなされ、静電潜像が形成される。
【0065】
その静電潜像は次いで現像器54で現像される(現像工程)。感光体ドラム50周縁にはトナーとキャリアとから成る現像剤を内蔵した現像器54が設けられていて、マグネットを内蔵し現像剤を保持して回転する現像スリーブ541によって現像が行われる。現像剤は、例えば前述のフェライトをコアとしてそのまわりに絶縁性樹脂をコーティングしたキャリアと、前述のスチレンアクリル系樹脂を主材料としてカーボンブラック等の着色剤と荷電制御剤と低分子量ポリオレフィンからなる着色粒子に、シリカ、酸化チタン等を外添したトナーとからなるもので、現像剤は図示していない層形成手段によって現像スリーブ541上に100〜600μmの層厚に規制されて現像域へと搬送され、現像が行われる。この時通常は感光体ドラム50と現像スリーブ541の間に直流バイアス、必要に応じて交流バイアス電圧をかけて現像が行われる。また、現像剤は感光体に対して接触あるいは非接触の状態で現像される。
【0066】
転写材(記録紙とも云う)Pは画像形成後、転写のタイミングの整った時点で給紙ローラ57の回転作動により転写域へと給紙される。
【0067】
転写域においては転写のタイミングに同期して感光体ドラム50の周面に転写ローラ(転写器)58が圧接され、給紙された転写材Pを挟着して転写される(転写工程)。
【0068】
次いで転写材Pは転写ローラとほぼ同時に圧接状態とされた分離ブラシ(分離器)59によって除電がなされ、感光体ドラム50の周面により分離して定着装置60に搬送され、熱ローラ601と圧着ローラ602の加熱、加圧によってトナーを溶着したのち(定着工程)排紙ローラ61を介して装置外部に排出される。なお前記の転写ローラ58及び分離ブラシ59は転写材Pの通過後感光体ドラム50の周面より退避離間して次なるトナー像の形成に備える。
【0069】
一方転写材Pを分離した後の感光体ドラム50は、クリーニング器62のクリーニングブレード621の圧接により残留トナーを除去・清掃し、再び露光部51による除電と帯電器52による帯電を受けて次なる画像形成のプロセスに入る。
【0070】
尚、70は感光体、帯電器、転写器・分離器及びクリーニング器を一体化されている着脱可能なプロセスカートリッジである。
【0071】
画像形成装置としては、上述の感光体と、現像器、クリーニング器等の構成要素をプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このユニットを装置本体に対して着脱自在に構成しても良い。又、帯電器、像露光器、現像器、転写又は分離器、及びクリーニング器の少なくとも1つを感光体とともに一体に支持してプロセスカートリッジを形成し、装置本体に着脱自在の単一ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としても良い。
【0072】
像露光は、画像形成装置を複写機やプリンターとして使用する場合には、原稿からの反射光や透過光を感光体に照射すること、或いはセンサーで原稿を読み取り信号化し、この信号に従ってレーザビームの走査、LEDアレイの駆動、又は液晶シャッターアレイの駆動を行い感光体に光を照射することなどにより行われる。
【0073】
尚、ファクシミリのプリンターとして使用する場合には、像露光器13は受信データをプリントするための露光を行うことになる。
【0074】
本発明の画像形成装置は、複写機、レーザプリンター、LEDプリンター、液晶シャッター式プリンター等の電子写真装置一般に適用し得るものであるが、更には電子写真技術を応用したディスプレイ、記録、軽印刷、製版、ファクシミリ等の装置にも広く適用し得るものである。
【0075】
有機感光体の構成
本発明に用いられる有機感光体は、導電性支持体上に電荷発生層、電荷輸送層の積層構造を有し、該電荷輸送層が分子量550〜2000の電荷輸送物質を含有することを特徴とする。
【0076】
有機感光体に帯電ローラ等の帯電部材を接触させて帯電し、多数枚の電子写真画像を形成する画像形成方法においては、表面層となる電荷輸送層に、分子量が550〜2000、好ましくは800〜1800の電荷輸送物質を用いることにより、トナー成分や紙粉成分の感光体表面への埋め込みを防止でき、小さな亀裂やクラック或いは電荷リークが発生しやすい外添剤の埋め込みを防止し、ブラックスポットや白点、黒ポチ等の画像欠陥を防止でき、併せて低温低湿下で発生しやすい文字細りを防止することができる。電荷輸送物質の分子量が550未満では、表面層の電荷輸送層にトナー成分や紙粉成分が感光体表面へ埋め込まれやすく、ブラックスポットや白点、黒ポチ等の画像欠陥を発生しやすい。一方、電荷輸送物質の分子量が2000より大きいと、電荷輸送物質と電荷輸送層のバインダー樹脂との溶解性が悪くなりやすく、感度や帯電能の電子写真特性を劣化させやすい。
【0077】
又、前記分子量の電荷輸送物質は、電荷輸送層に低モル数、即ち電荷輸送層のバインダー樹脂の単位質量当たり、1.0×10−4(mol/g)〜1.0×10−3(mol/g)電荷輸送物質を含有させることにより、電荷輸送層の膜物性を低下させずに、しかも良好な電子写真特性を有する有機感光体を達成できる。更に、電荷輸送層のバインダー樹脂の単位質量当たり、2.0×10−4(mol/g)〜9.0×10−4(mol/g)電荷輸送物質を含有させることがより好ましい。即ち、電荷輸送層に、比較的大きい分子量の電荷輸送物質を、バインダー樹脂の単位質量当たり低モル数で用いることにより、バインダー樹脂と電荷輸送物質の絡み合いを強め、その結果、電荷輸送層の表面が汚染されにくい構造を得ることができる。
【0078】
本発明の分子量を有する電荷輸送物質としては、ビス(アリールエテニルフェニル)アニリン系化合物又はビス又はトリブタジエン系化合物が好ましい。
【0079】
ビス(アリールエテニルフェニル)アニリン系化合物とはアニリンの窒素原子に同一化学構造のアリールエテニルフェニル基を2個有する化合物群を云うが、好ましくは下記一般式(1)で示される化合物である。
【0080】
【化1】
【0081】
一般式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5は各々水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基である。Ar1は水素原子又は置換、無置換の芳香族基、Ar2は置換、無置換の芳香族基を示す。
【0082】
又、一般式(1)のAr1、Ar2の置換、無置換の芳香族基が下記一般式(2)であることが好ましい。
【0083】
【化2】
【0084】
一般式(2)中、R6〜R17は各々水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、炭素原子数1〜4のハロゲン化アルキル基、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基である。
【0085】
以下に、本発明の好ましいビス(アリールエテニルフェニル)アニリン系化合物の例を挙げるが、本発明は下記の化合物例に限定されない。又、これらの化合物はいずれも立体異性体構造を持つことができる。
【0086】
【化3】
【0087】
【化4】
【0088】
【化5】
【0089】
【化6】
【0090】
【化7】
【0091】
【化8】
【0092】
【化9】
【0093】
一方、ビス又はトリブタジエン系化合物とは窒素原子を介して、ブタジエン構造2個又は3個を対称的に有する化合物を意味し、下記一般式(3)、一般式(4)で示される化合物が好ましい。
【0094】
【化10】
【0095】
一般式(3)中、R1,R2,R3,R4,R5,R6はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。m2及びn2は0又は1を示す。
【0096】
【化11】
【0097】
一般式(4)中、R7〜R13はそれぞれ同一であっても異なってもよく、水素原子、低級アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子又は置換していてもよいアリール基を示し、m3及びn3は0又は1を示す。
【0098】
以下に、ビス又はトリブタジエン系化合物の電荷輸送物質の化合物例を挙げるが、本発明は下記の化合物例に限定されない。又、これらの化合物の合成法については特開平4−290852号、特開平9−244278号等に記載されている。
【0099】
【化12】
【0100】
【化13】
【0101】
【化14】
【0102】
【化15】
【0103】
【化16】
【0104】
【化17】
【0105】
【化18】
【0106】
【化19】
【0107】
【化20】
【0108】
【化21】
【0109】
次に、上記のような電荷輸送物質を用いた有機感光体の層構成について記載する。
【0110】
本発明の有機感光体とは電子写真感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能及び電荷輸送機能の少なくとも一方の機能を有機化合物に持たせて構成された電子写真感光体を意味し、公知の有機電荷発生物質又は有機電荷輸送物質から構成された感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能を高分子錯体で構成した感光体等公知の有機電子写真感光体を全て含有する。
【0111】
以下に本発明に用いられる有機感光体の構成について記載する。
導電性支持体
感光体に用いられる導電性支持体としてはシート状、円筒状のどちらを用いても良いが、画像形成装置をコンパクトに設計するためには円筒状導電性支持体の方が好ましい。
【0112】
円筒状導電性支持体とは回転することによりエンドレスに画像を形成できるに必要な円筒状の支持体を意味し、真直度で0.1mm以下、振れ0.1mm以下の範囲にある導電性の支持体が好ましい。この真直度及び振れの範囲を超えると、良好な画像形成が困難になる。
【0113】
導電性の材料としてはアルミニウム、ニッケルなどの金属ドラム、又はアルミニウム、酸化錫、酸化インジュウムなどを蒸着したプラスチックドラム、又は導電性物質を塗布した紙・プラスチックドラムを使用することができる。導電性支持体としては常温で比抵抗103Ωcm以下が好ましい。
【0114】
本発明で用いられる導電性支持体は、その表面に封孔処理されたアルマイト膜が形成されたものを用いても良い。アルマイト処理は、通常例えばクロム酸、硫酸、シュウ酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸等の酸性浴中で行われるが、硫酸中での陽極酸化処理が最も好ましい結果を与える。硫酸中での陽極酸化処理の場合、硫酸濃度は100〜200g/L、アルミニウムイオン濃度は1〜10g/L、液温は20℃前後、印加電圧は約20Vで行うのが好ましいが、これに限定されるものではない。又、陽極酸化被膜の平均膜厚は、通常20μm以下、特に10μm以下が好ましい。
【0115】
中間層
本発明においては導電性支持体と感光層の間に、バリヤー機能を備え、電荷リークを防止できる中間層を設けることが好ましい。
【0116】
本発明においては導電性支持体と前記感光層のとの接着性改良、或いは該支持体からの電荷注入を防止するために、該支持体と前記感光層の間に中間層(下引層も含む)を設けることもできる。該中間層の材料としては、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂が挙げられる。これら下引き樹脂の中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を小さくできる樹脂としてはポリアミド樹脂が好ましい。又、これら樹脂を用いた中間層の膜厚は0.01〜0.5μmが好ましい。
【0117】
又、本発明に好ましく用いられる中間層はシランカップリング剤、チタンカップリング剤等の有機金属化合物を熱硬化させた硬化性金属樹脂を用いた中間層が挙げられる。硬化性金属樹脂を用いた中間層の膜厚は、0.1〜2μmが好ましい。
【0118】
又、本発明に好ましく用いられる中間層は無機粒子をバインダー樹脂中に分散した中間層が挙げられる。無機粒子の平均粒径は0.01〜0.5μmが好ましい。特に、表面処理をしたN型半導性微粒子をバインダー中に分散した中間層が好ましい。例えばシリカ・アルミナ処理及びシラン化合物で表面処理した平均粒径が0.01〜0.5μmの酸化チタンをポリアミド樹脂中に分散した中間層が挙げられる。このような中間層の膜厚は、1〜20μmが好ましい。このような中間層を設けることにより、導電性支持体からの電荷注入を防止すると共に、感光体表面に埋め込まれた外添剤や小さな亀裂等からの電荷リークを防止でき、ブラックスポットや白点、黒ポチの発生を防止することが出来る。
【0119】
N型半導性微粒子とは、導電性キャリアを電子とする性質をもつ微粒子を示す。すなわち、導電性キャリアを電子とする性質とは、該N型半導性微粒子を絶縁性バインダーに含有させることにより、基体からのホール注入を効率的にブロックし、また、感光層からの電子に対してはブロッキング性を示さない性質を有するものをいう。
【0120】
ここで、N型半導性粒子の判別方法について説明する。
導電性支持体上に膜厚5μmの中間層(中間層を構成するバインダー樹脂中に粒子を50質量%分散させた分散液を用いて中間層を形成する)を形成する。該中間層に負極性に帯電させて、光減衰特性を評価する。又、正極性に帯電させて同様に光減衰特性を評価する。
【0121】
N型半導性粒子とは、上記評価で、負極性に帯電させた時の光減衰が正極性に帯電させた時の光減衰よりも大きい場合に、中間層に分散された粒子をN型半導性粒子という。
【0122】
前記N型半導性微粒子は、具体的には酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)等の微粒子が挙げられるが、本発明では、特に酸化チタンが好ましく用いられる。
【0123】
本発明に用いられるN型半導性微粒子の平均粒径は、数平均一次粒径において10nm以上500nm以下の範囲のものが好ましく、より好ましくは10nm〜200nm、特に好ましくは、15nm〜50nmである。
【0124】
数平均一次粒径の値が前記範囲内にあるN型半導性微粒子を用いた中間層は層内での分散を緻密なものとすることができ、十分な電位安定性、及び白点、黒ポチ発生防止機能を有する。
【0125】
前記N型半導性微粒子の数平均一次粒径は、例えば酸化チタンの場合、透過型電子顕微鏡観察によって10000倍に拡大し、ランダムに100個の粒子を一次粒子として観察し、画像解析によりフェレ径の数平均径として測定される。
【0126】
本発明に用いられるN型半導性微粒子の形状は、樹枝状、針状および粒状等の形状があり、このような形状のN型半導性微粒子は、例えば酸化チタン粒子では、結晶型としては、アナターゼ型、ルチル型及びアモルファス型等があるが、いずれの結晶型のものを用いてもよく、また2種以上の結晶型を混合して用いてもよい。その中でもルチル型のものが最も良い。
【0127】
N型半導性微粒子に行われる疎水化表面処理の1つは、複数回の表面処理を行い、かつ該複数回の表面処理の中で、最後の表面処理が反応性有機ケイ素化合物による表面処理を行うものである。また、該複数回の表面処理の中で、少なくとも1回の表面処理がアルミナ、シリカ、及びジルコニアから選ばれる少なくとも1種類以上の表面処理であり、最後に反応性有機ケイ素化合物の表面処理を行うことが好ましい。
【0128】
尚、アルミナ処理、シリカ処理、ジルコニア処理とはN型半導性微粒子表面にアルミナ、シリカ、或いはジルコニアを析出させる処理を云い、これらの表面に析出したアルミナ、シリカ、ジルコニアにはアルミナ、シリカ、ジルコニアの水和物も含まれる。又、反応性有機ケイ素化合物の表面処理とは、処理液に反応性有機ケイ素化合物を用いることを意味する。
【0129】
この様に、酸化チタン粒子の様なN型半導性微粒子の表面処理を少なくとも2回以上行うことにより、N型半導性微粒子表面が均一に表面被覆(処理)され、該表面処理されたN型半導性微粒子を中間層に用いると、中間層内における酸化チタン粒子等のN型半導性微粒子の分散性が良好で、かつ白点、黒ポチ等の画像欠陥を発生させない良好な感光体を得ることができるのである。
【0130】
感光層
本発明の感光体の感光層構成は前記中間層上に電荷発生機能と電荷輸送機能を1つの層に持たせた単層構造の感光層構成でも良いが、より好ましくは感光層の機能を電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)に分離した構成をとるのがよい。機能を分離した構成を取ることにより繰り返し使用に伴う残留電位増加を小さく制御でき、その他の電子写真特性を目的に合わせて制御しやすい。負帯電用の感光体では中間層の上に電荷発生層(CGL)、その上に電荷輸送層(CTL)の構成を取ることが好ましい。正帯電用の感光体では前記層構成の順が負帯電用感光体の場合の逆となる。本発明の最も好ましい感光層構成は前記機能分離構造を有する負帯電感光体構成である。
【0131】
以下に機能分離負帯電感光体の感光層構成について説明する。
電荷発生層
電荷発生層には電荷発生物質(CGM)を含有する。その他の物質としては必要によりバインダー樹脂、その他添加剤を含有しても良い。
【0132】
電荷発生物質(CGM)としては公知の電荷発生物質(CGM)を用いることができる。例えばフタロシアニン顔料、アゾ顔料、ペリレン顔料、アズレニウム顔料などを用いることができる。これらの中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできるCGMは複数の分子間で安定な凝集構造をとりうる立体、電位構造を有するものであり、具体的には特定の結晶構造を有するフタロシアニン顔料、ペリレン顔料のCGMが挙げられる。例えばCu−Kα線に対するブラッグ角2θが27.2°に最大ピークを有するチタニルフタロシアニン、同2θが12.4に最大ピークを有するベンズイミダゾールペリレン等のCGMは繰り返し使用に伴う劣化がほとんどなく、残留電位増加を小さくすることができる。
【0133】
電荷発生層にCGMの分散媒としてバインダーを用いる場合、バインダーとしては公知の樹脂を用いることができるが、最も好ましい樹脂としてはホルマール樹脂、ブチラール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性ブチラール樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。バインダー樹脂と電荷発生物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し20〜600質量部が好ましい。これらの樹脂を用いることにより、繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできる。電荷発生層の膜厚は0.01μm〜2μmが好ましい。
【0134】
電荷輸送層
本発明で電荷輸送層とは、電荷発生物質等で発生した電荷キャリア(電子又はホール)を輸送する機能を有する層を意味する。
【0135】
本発明の電荷輸送層は分子量550〜2000の電荷輸送物質(CTM)を含有することを特徴とする。該電荷輸送層はCTMを分散し製膜するバインダー樹脂を含有する。その他の物質としては必要により酸化防止剤等の添加剤を含有しても良い。又、分子量が550未満又は2000より大きい電荷輸送物質を併用することも可能であるが、本発明外の分子量の電荷輸送物質は本発明内の電荷輸送物質の当モル未満で用いることが好ましい。
【0136】
電荷輸送物質(CTM)としては前記した電荷輸送物質の他に公知の電荷輸送物質を併用して用いることもできる。例えばトリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物などを併用して、用いることができる。これら電荷輸送物質は通常、適当なバインダー樹脂中に溶解して層形成が行われる。
【0137】
電荷輸送層(CTL)に用いられる樹脂としては、例えばポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂。又これらの絶縁性樹脂の他、ポリ−N−ビニルカルバゾール等の高分子有機半導体が挙げられる。
【0138】
これらCTLのバインダーとして最も好ましいものはポリカーボネート樹脂である。ポリカーボネート樹脂はCTMの分散性、電子写真特性を良好にすることにおいて、最も好ましい。又電荷輸送層が表面層となる感光体の場合は、機械的摩耗に強いポリカーボネートが好ましく、このようなポリカーボネートとしては平均分子量が40,000〜25,000のポリカーボネートが好ましい。ここで平均分子量は数平均分子量、重量平均分子量、及び粘度平均分子量のいずれのものでもよい。バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し10〜200質量部が好ましい。又、電荷輸送層の膜厚は10〜40μmが好ましい。
【0139】
又、電荷輸送層には酸化防止剤を含有させることが好ましい。該酸化防止剤とは、その代表的なものは有機感光体中ないしは有機感光体表面に存在する自動酸化性物質に対して、光、熱、放電等の条件下で酸素の作用を防止ないし、抑制する性質を有する物質である。代表的には下記の化合物群が挙げられる。
【0140】
【化22】
【0141】
【化23】
【0142】
【化24】
【0143】
【化25】
【0144】
電荷輸送層は2層以上の層構成にしてもよい。この場合は表面の電荷輸送層が本発明の構成を満たせばよい。
【0145】
中間層、感光層、保護層等の層形成に用いられる溶媒又は分散媒としては、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ等が挙げられる。本発明はこれらに限定されるものではないが、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン等が好ましく用いられる。また、これらの溶媒は単独或いは2種以上の混合溶媒として用いることもできる。
【0146】
本発明の有機感光体を製造するための塗布加工方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、円形量規制型塗布等の塗布加工法が用いられるが、感光層の上層側の塗布加工は下層の膜を極力溶解させないため、又、均一塗布加工を達成するためスプレー塗布又は円形量規制型(円形スライドホッパ型がその代表例)塗布等の塗布加工方法を用いるのが好ましい。なお前記スプレー塗布については例えば特開平3−90250号及び特開平3−269238号公報に詳細に記載され、前記円形量規制型塗布については例えば特開昭58−189061号公報に詳細に記載されている。
【0147】
現像用トナーの構成
次に、本発明の現像工程でに用いられるトナーについて説明する。
【0148】
トナー像の形成の為に用いられるトナーは、
▲1▼トナー粒子の形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子の割合が65個数%以上、
▲2▼角がないトナー粒子の割合が50個数%以上、
▲3▼トナー粒子の粒径をD(μm)とするとき、自然対数lnDを横軸にとり、この横軸を0.23間隔で複数の階級に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムにおける最頻階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m1)と、前記最頻階級の次に頻度の高い階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m2)との和(M)が70%以上。
【0149】
即ち、本発明の画像形成方法では、前記した有機感光体に加え、現像剤のトナーとして、上記▲1▼〜▲3▼の少なくとも1つ以上の条件を満たしたトナーを含有した現像剤を用いて本発明の有機感光体に適用することにより、有機感光体の表面の汚染や亀裂をより効果的に防止し、反転現像におけるブラックスポットや白点、黒ポチ等の画像欠陥の発生を防止し、接触部材を用いても、良好な電子写真画像を得ることができる。
【0150】
即ち、トナー自体の形状分布を均一化することにより、感光体表面へのトナー成分の汚染防止が容易になり、接触帯電部材を用いたときの電荷リークをよりよく防止することができる。
【0151】
又、本発明者等は鋭意検討した結果、角がないトナー粒子ではその表面の平滑性により、その平滑な表面性により、感光体表面へのトナー成分の埋め込みが防止され、接触帯電部材を用いたときの電荷リークをよりよく防止することができる。
【0152】
又、トナー自体の粒度分布をシャープにすることにより、感光体表面へのトナー成分の汚染防止が容易になり、接触帯電部材を用いたときの電荷リークをよりよく防止することができる。
【0153】
本発明者等は、接触帯電部材を有する画像形成装置では、画像形成を繰り返した場合には、形が不揃いなトナー粒子、角となる部分を有するトナー粒子、粒径が特に大きい或いは小さいトナーが、感光体表面を汚染させやすく、その結果、感光体表面に小さな突起や亀裂を発生し、電荷リーク点を増大させやすい傾向がある。この理由については明確ではないが、トナー粒子の形が不揃いである場合には現像装置内部での攪拌等による機械的ストレスを受けやすく、過大なストレスが加わる部分が発生することによって、トナーが破壊され、有機感光体表面に付着し、接触帯電部材等と摩擦することにより、小さな突起や亀裂を発生しやすいと考えられる。
【0154】
又、上記▲1▼〜▲3▼の全ての条件を満たしたトナーと前記した有機感光体、即ち、分子量が550〜2000の電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を表面層として有する有機感光体と併用することにより、ブラックスポットや白点、黒ポチの画像欠陥を顕著に改善し、鮮鋭性が良好な電子写真画像を得ることができる。
【0155】
又、上記▲1▼〜▲3▼の条件以外に、下記の▲4▼、▲5▼の条件、形状係数のバラツキ、個数粒度分布のバラツキを小さくしたトナーを用いることが、より好ましい。
▲4▼トナー粒子の形状係数の変動係数が16%以下、
▲5▼トナー粒子の個数粒度分布における個数変動係数が27%以下、
以下、上記▲1▼〜▲5▼のトナーについて説明する。
【0156】
トナーの形状係数(=トナー粒子の形状係数)
トナー粒子の形状係数は、下記式により示されるものであり、トナー粒子の丸さの度合いを示す。
【0157】
形状係数=((最大径/2)2×π)/投影面積
ここに、最大径とは、トナー粒子の平面上への投影像を2本の平行線ではさんだとき、その平行線の間隔が最大となる粒子の幅をいう。また、投影面積とは、トナー粒子の平面上への投影像の面積をいう。
【0158】
本発明では、この形状係数は、走査型電子顕微鏡により2000倍にトナー粒子を拡大した写真を撮影し、ついでこの写真に基づいて「SCANNING IMAGE ANALYZER」(日本電子社製)を使用して写真画像の解析を行うことにより測定した。この際、100個のトナー粒子を使用して形状係数を上記算出式にて測定したものである。
【0159】
本発明のトナーは、この形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子の割合を65個数%以上であり、好ましくは、70個数%以上である。
【0160】
本発明では前記分子量550〜2000の電荷輸送物質を含有する表面層を有する有機感光体上に形成された潜像をこの形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子の割合を65個数%以上含有する現像剤により現像することにより、ブラックスポットや白点、黒ポチ等の画像欠陥の発生を防止し、接触帯電部材を用いても、鮮鋭性の良好な電子写真画像が得られる。
【0161】
この形状係数を制御する方法は特に限定されるものではない。例えば、トナー粒子を熱気流中に噴霧する方法、トナー粒子を気相中において衝撃力による機械的エネルギーを繰り返して付与する方法、トナーを溶解しない溶媒中に添加し旋回流を付与する方法等により、形状係数を1.2〜1.6にしたトナー粒子を調製し、これを通常のトナー中へ本発明の範囲内になるように添加して調製する方法がある。また、いわゆる重合法トナーを調製する段階で全体の形状を制御し、形状係数を1.2〜1.6に調製したトナー粒子を同様に通常のトナーへ添加して調製する方法がある。
【0162】
上記方法の中では重合法トナーが製造方法として簡便である点と、粉砕トナーに比較して表面の均一性に優れる点等で好ましい。該重合法トナー(重合トナーとも云う)とはトナー用バインダーの樹脂の生成とトナー形状がバインダー樹脂の原料モノマーの重合と、必要により、その後の化学的処理により形成されるトナーを意味する。より具体的には懸濁重合、乳化重合等の重合反応と、必要により、その後に行われる粒子同士の融着工程を経て得られるトナーを意味する。
【0163】
重合トナーは原料モノマーを水系で均一に分散した後に重合させトナーを製造することから、トナーの粒度分布、及び形状が均一なトナーが得られる。
【0164】
トナーの形状係数の変動係数(=トナー粒子の形状係数の変動係数)
本発明のトナー粒子の「形状係数の変動係数」は下記式から算出される。
【0165】
変動係数=〔S/K〕×100(%)
〔式中、S1は100個のトナー粒子の形状係数の標準偏差を示し、Kは形状係数の平均値を示す。〕
本発明のトナーは、この形状係数の変動係数が16%以下であり、好ましくは14%以下である。
【0166】
本発明では前記分子量550〜2000の電荷輸送物質を含有する表面層を有する有機感光体上に形成された潜像をこの形状係数の変動係数が16%以下であるトナーを用いた現像剤により現像することにより、ブラックスポットや白点、黒ポチ等の画像欠陥の発生を防止し、接触帯電部材を用いても、鮮鋭性の良好な電子写真画像が得られる。
【0167】
このトナーの形状係数および形状係数の変動係数を、極めてロットのバラツキなく均一に制御するために、本発明のトナーを構成する樹脂粒子(重合体粒子)を調製(重合)、当該樹脂粒子を融着、形状制御させる工程において、形成されつつあるトナー粒子(着色粒子)の特性をモニタリングしながら適正な工程終了時期を決めてもよい。
【0168】
モニタリングするとは、インラインに測定装置を組み込みその測定結果に基づいて、工程条件の制御をするという意味である。すなわち、形状などの測定をインラインに組み込んで、例えば樹脂粒子を水系媒体中で会合あるいは融着させることで形成する重合法トナーでは、融着などの工程で逐次サンプリングを実施しながら形状や粒径を測定し、所望の形状になった時点で反応を停止する。
【0169】
モニタリング方法としては、特に限定されるものではないが、フロー式粒子像分析装置FPIA−2000(東亜医用電子社製)を使用することができる。本装置は試料液を通過させつつリアルタイムで画像処理を行うことで形状をモニタリングできるため好適である。すなわち、反応場よりポンプなどを使用し、常時モニターし、形状などを測定することを行い、所望の形状などになった時点で反応を停止するものである。
【0170】
トナーの個数変動係数(=トナー粒子の個数変動係数)
本発明のトナー粒子の個数粒度分布および個数変動係数はコールターカウンターTA−あるいはコールターマルチサイザー(コールター社製)で測定されるものである。本発明においてはコールターマルチサイザーを用い、粒度分布を出力するインターフェース(日科機製)、パーソナルコンピューターを接続して使用した。前記コールターマルチサイザーにおいて使用するアパーチャーとしては100μmのものを用いて、2μm以上のトナーの体積、個数を測定して粒度分布および平均粒径を算出した。個数粒度分布とは、粒子径に対するトナー粒子の相対度数を表すものであり、個数平均粒径とは、個数粒度分布におけるメジアン径を表すものである。トナー粒子の「個数粒度分布における個数変動係数」は下記式から算出される。
【0171】
個数変動係数=〔S/Dn〕×100(%)
〔式中、S2は個数粒度分布における標準偏差を示し、Dnは個数平均粒径(μm)を示す。〕
本発明のトナー粒子の個数変動係数は27%以下であり、好ましくは25%以下である。
【0172】
本発明では前記分子量550〜2000の電荷輸送物質を含有する表面層を有する有機感光体上に形成された潜像をトナー粒子の個数変動係数は27%以下であるトナーを用いた現像剤により現像することにより、ブラックスポットや白点、黒ポチ等の画像欠陥の発生を防止し、接触帯電部材を用いても、鮮鋭性の良好な電子写真画像が得られる。
【0173】
本発明のトナーにおける個数変動係数を制御する方法は特に限定されるものではない。例えば、トナー粒子を風力により分級する方法も使用できるが、個数変動係数をより小さくするためには液中での分級が効果的である。この液中で分級する方法としては、遠心分離機を用い、回転数を制御してトナー粒子径の違いにより生じる沈降速度差に応じてトナー粒子を分別回収し調製する方法がある。
【0174】
特に懸濁重合法によりトナーを製造する場合、個数粒度分布における個数変動係数を27%以下とするためには分級操作が必須である。懸濁重合法では、重合前に重合性単量体を水系媒体中にトナーとしての所望の大きさの油滴に分散させることが必要である。すなわち、重合性単量体の大きな油滴に対して、ホモミキサーやホモジナイザーなどによる機械的な剪断を繰り返して、トナー粒子程度の大きさまで油滴を小さくすることとなるが、このような機械的な剪断による方法では、得られる油滴の個数粒度分布は広いものとなり、従って、これを重合してなるトナーの粒度分布も広いものとなる。このために分級操作が必須となる。
【0175】
角がないトナー粒子の割合
本発明のトナーを構成するトナー粒子中、角がないトナー粒子の割合は50個数%以上であることが必要とされ、この割合が70個数%以上であることが好ましい。
【0176】
本発明のトナーを構成するトナー粒子中、角がないトナー粒子の割合は50個数%以上であることが好ましく、更に好ましくは70個数%以上とされる。
【0177】
本発明では前記分子量550〜2000の電荷輸送物質を含有する表面層を有する有機感光体上に形成された潜像を角がないトナー粒子の割合は50個数%以上であるトナーを用いた現像剤により現像することにより、ブラックスポットや白点、黒ポチ等の画像欠陥の発生を防止し、接触帯電部材を用いても、鮮鋭性の良好な電子写真画像が得られる。
【0178】
ここに、「角がないトナー粒子」とは、電荷の集中するような突部またはストレスにより摩耗しやすいような突部を実質的に有しないトナー粒子を言い、具体的には以下のトナー粒子を角がないトナー粒子という。すなわち、図1(a)に示すように、トナー粒子Tの長径をLとするときに、半径(L/10)の円Cで、トナー粒子Tの周囲線に対し1点で内側に接しつつ内側をころがした場合に、当該円CがトナーTの外側に実質的にはみださない場合を「角がないトナー粒子」という。「実質的にはみ出さない場合」とは、はみ出す円が存在する突起が1箇所以下である場合をいう。また、「トナー粒子の長径」とは、当該トナー粒子の平面上への投影像を2本の平行線ではさんだとき、その平行線の間隔が最大となる粒子の幅をいう。なお、図1(b)および(c)は、それぞれ角のあるトナー粒子の投影像を示している。
【0179】
角がないトナー粒子の割合の測定は次のようにして行った。先ず、走査型電子顕微鏡によりトナー粒子を拡大した写真を撮影し、さらに拡大して15,000倍の写真像を得る。次いでこの写真像について前記の角の有無を測定する。この測定を100個のトナー粒子について行った。
【0180】
角がないトナーを得る方法は特に限定されるものではない。例えば、形状係数を制御する方法として前述したように、トナー粒子を熱気流中に噴霧する方法、またはトナー粒子を気相中において衝撃力による機械的エネルギーを繰り返して付与する方法、あるいはトナーを溶解しない溶媒中に添加し、旋回流を付与することによって得ることができる。
【0181】
また、樹脂粒子を会合あるいは融着させることで形成する重合法トナーにおいては、融着停止段階では融着粒子表面には多くの凹凸があり、表面は平滑でないが、形状制御工程での温度、攪拌翼の回転数および攪拌時間等の条件を適当なものとすることによって、角がないトナーが得られる。これらの条件は、樹脂粒子の物性により変わるものであるが、例えば、樹脂粒子のガラス転移点温度以上で、より高回転数とすることにより、表面は滑らかとなり、角がないトナーが形成できる。
【0182】
トナー粒子の粒径
本発明のトナーの粒径は、個数平均粒径で3.0〜8.5μmのものが好ましい。この粒径は、重合法によりトナー粒子を形成させる場合には、後に詳述するトナーの製造方法において、凝集剤の濃度や有機溶媒の添加量、または融着時間、さらには重合体自体の組成によって制御することができる。
【0183】
個数平均粒径が3.0〜8.5μmであることにより、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドット等の画質が向上する。
【0184】
本発明のトナーは、トナー粒子の粒径をD(μm)とするとき、自然対数lnDを横軸にとり、この横軸を0.23間隔で複数の階級に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムにおいて、最頻階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m1)と、前記最頻階級の次に頻度の高い階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m2)との和(M)が70%以上であるトナーである。
【0185】
本発明では前記分子量550〜2000の電荷輸送物質を含有する表面層を有する有機感光体上に形成された潜像を相対度数(m1)と相対度数(m2)との和(M)が70%以上であるトナーを用いた現像剤により現像することにより、ブラックスポットや白点、黒ポチ等の画像欠陥の発生を防止し、接触帯電部材を用いても、鮮鋭性の良好な電子写真画像が得られる。
【0186】
本発明において、前記の個数基準の粒度分布を示すヒストグラムは、自然対数lnD(D:個々のトナー粒子の粒径)を0.23間隔で複数の階級(0〜0.23:0.23〜0.46:0.46〜0.69:0.69〜0.92:0.92〜1.15:1.15〜1.38:1.38〜1.61:1.61〜1.84:1.84〜2.07:2.07〜2.30:2.30〜2.53:2.53〜2.76・・・)に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムであり、このヒストグラムは、下記の条件に従って、コールターマルチサイザーにより測定されたサンプルの粒径データを、I/Oユニットを介してコンピュータに転送し、当該コンピュータにおいて、粒度分布分析プログラムにより作製されたものである。
〔測定条件〕
(1)アパーチャー:100μm
(2)サンプル調製法:電解液〔ISOTON R−11(コールターサイエンティフィックジャパン社製)〕50〜100mlに界面活性剤(中性洗剤)を適量加えて攪拌し、これに測定試料10〜20mgを加える。この系を超音波分散機にて1分間分散処理することにより調製する。
【0187】
トナーの製造方法
本発明のトナーは、少なくとも重合性単量体を水系媒体中で重合せしめて得られる重合トナーであることが好ましく、また、少なくとも樹脂粒子を水系媒体中で会合させて得られる重合トナーであることが好ましい。以下、本発明の重合トナー(以後、単にトナーとも云う)を製造する方法について詳細に説明する。
【0188】
重合トナーは、懸濁重合法や、必要な添加剤の乳化液を加えた液中(水系媒体中)にて単量体を乳化重合して微粒の重合体粒子(樹脂粒子)を調製し、その後に、有機溶媒、凝集剤等を添加して当該樹脂粒子を会合する方法で製造することができる。ここで「会合」とは、前記樹脂粒子が複数個融着することをいい、当該樹脂粒子と他の粒子(例えば着色剤粒子)とが融着する場合も含むものとする。
【0189】
尚、本発明で重合トナーとは、トナー用バインダーの樹脂の生成とトナー形状がバインダー樹脂の原料モノマーの重合と、必要によりその後の化学的処理により形成されるトナーを意味する。より具体的には懸濁重合、乳化重合等の重合反応と、必要によりその後に行われる粒子同士の融着工程を経て形成されるトナーを意味する。
【0190】
重合トナーを製造する方法の一例を示せば、重合性単量体中に着色剤や必要に応じて離型剤、荷電制御剤、さらに重合開始剤等の各種構成材料を添加し、ホモジナイザー、サンドミル、サンドグラインダー、超音波分散機などで重合性単量体に各種構成材料を溶解あるいは分散させる。この各種構成材料が溶解あるいは分散された重合性単量体を分散安定剤を含有した水系媒体中にホモミキサーやホモジナイザーなどを使用しトナーとしての所望の大きさの油滴に分散させる。その後、攪拌機構が後述の攪拌翼である反応装置(攪拌装置)へ移し、加熱することで重合反応を進行させる。反応終了後、分散安定剤を除去し、濾過、洗浄し、さらに乾燥することで本発明のトナーを調製する。
【0191】
なお、本発明でいうところの「水系媒体」とは、少なくとも水が50質量%以上含有されたものを示す。
【0192】
また、重合トナーを製造する方法として樹脂粒子を水系媒体中で会合あるいは融着させて調製する方法も挙げることができる。この方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、特開平5−265252号公報や特開平6−329947号公報、特開平9−15904号公報に示す方法を挙げることができる。すなわち、樹脂粒子と着色剤などの構成材料の分散粒子、あるいは樹脂および着色剤等より構成される微粒子を複数以上会合させる方法、特に水中にてこれらを乳化剤を用いて分散した後に、臨界凝集濃度以上の凝集剤を加え塩析させると同時に、形成された重合体自体のガラス転移点温度以上で加熱融着させて融着粒子を形成しつつ徐々に粒径を成長させ、目的の粒径となったところで水を多量に加えて粒径成長を停止し、さらに加熱、攪拌しながら粒子表面を平滑にして形状を制御し、その粒子を含水状態のまま流動状態で加熱乾燥することにより、本発明のトナーを形成することができる。なお、ここにおいて凝集剤と同時に水に対して無限溶解する溶媒を加えてもよい。
【0193】
樹脂を構成する重合性単量体として使用されるものは、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの様なスチレンあるいはスチレン誘導体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル誘導体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等の、アクリル酸エステル誘導体、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン系ビニル類、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のビニルケトン類、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物、ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体がある。これらビニル系単量体は単独あるいは組み合わせて使用することができる。
【0194】
また、樹脂を構成する重合性単量体としてイオン性解離基を有するものを組み合わせて用いることがさらに好ましい。例えば、カルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基等の置換基を単量体の構成基として有するもので、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマール酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、スチレンスルフォン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。
【0195】
さらに、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等の多官能性ビニル類を使用して架橋構造の樹脂とすることもできる。
【0196】
これら重合性単量体はラジカル重合開始剤を用いて重合することができる。この場合、懸濁重合法では油溶性重合開始剤を用いることができる。この油溶性重合開始剤としては、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系またはジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンペルオキサイド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキサイド、t−ブチルヒドロペルオキサイド、ジ−t−ブチルペルオキサイド、ジクミルペルオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジンなどの過酸化物系重合開始剤や過酸化物を側鎖に有する高分子開始剤などを挙げることができる。
【0197】
また、乳化重合法を用いる場合には水溶性ラジカル重合開始剤を使用することができる。水溶性重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸およびその塩、過酸化水素等を挙げることができる。
【0198】
分散安定剤としては、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ等を挙げることができる。さらに、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、エチレンオキサイド付加物、高級アルコール硫酸ナトリウム等の界面活性剤として一般的に使用されているものを分散安定剤として使用することができる。
【0199】
本発明において優れた樹脂としては、ガラス転移点が20〜90℃のものが好ましく、軟化点が80〜220℃のものが好ましい。ガラス転移点は示差熱量分析方法で測定されるものであり、軟化点は高化式フローテスターで測定することができる。さらに、これら樹脂としてはゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される分子量が数平均分子量(Mn)で1000〜100000、重量平均分子量(Mw)で2000〜1000000のものが好ましい。さらに、分子量分布として、Mw/Mnが1.5〜100、特に1.8〜70のものが好ましい。
【0200】
前記樹脂粒子を水系媒体中で会合させる際に使用される凝集剤としては特に限定されるものではないが、金属塩から選択されるものが好適に使用される。具体的には、一価の金属として例えばナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属の塩、二価の金属として例えばカルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類の金属塩、マンガン、銅等の二価の金属の塩、鉄、アルミニウム等の三価の金属の塩等が挙げられ、具体的な塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン等を挙げることができる。これらは組み合わせて使用してもよい。
【0201】
これらの凝集剤は臨界凝集濃度以上添加することが好ましい。この臨界凝集濃度とは、水性分散物の安定性に関する指標であり、凝集剤を添加して凝集が発生する濃度を示すものである。この臨界凝集濃度は、乳化された成分および分散剤自体によって大きく変化するものである。例えば、岡村誠三他著「高分子化学 17、601(1960)日本高分子学会編」等に記述されており、詳細な臨界凝集濃度を求めることができる。また、別な手法として、目的とする粒子分散液に所望の塩を濃度を変えて添加し、その分散液のζ(ゼータ)電位を測定し、この値が変化する塩濃度を臨界凝集濃度として求めることもできる。
【0202】
凝集剤の添加量は、臨界凝集濃度以上であればよいが、好ましくは臨界凝集濃度の1.2倍以上、さらに好ましくは、1.5倍以上添加することがよい。
【0203】
凝集剤と共に使用される「水に対して無限溶解する溶媒」としては、形成される樹脂を溶解させないものが選択される。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、t−ブタノール、メトキシエタノール、ブトキシエタノール等のアルコール類、アセトニトリル等のニトリル類、ジオキサン等のエーテル類を挙げることができる。特に、エタノール、プロパノール、イソプロパノールが好ましい。
【0204】
この水に対して無限溶解する溶媒の添加量は、凝集剤を添加した重合体含有分散液に対して1〜100体積%が好ましい。
【0205】
なお、粒子形状を均一化させるためには、着色粒子を調製し、濾過した後に粒子に対して10質量%以上の水が存在したスラリーを流動乾燥させることが好ましいが、この際、特に重合体中に極性基を有するものが好ましい。この理由としては、極性基が存在している重合体に対して、存在している水が多少膨潤する効果を発揮するために、形状の均一化が特に図られやすいからであると考えられる。
【0206】
本発明のトナーは少なくとも樹脂と着色剤を含有するものであるが、必要に応じて定着性改良剤である離型剤や荷電制御剤等を含有することもできる。さらに、上記樹脂と着色剤を主成分とするトナー粒子に対して無機微粒子や有機微粒子等で構成される外添剤を添加したものであってもよい。
【0207】
本発明のトナーに使用する着色剤としてはカーボンブラック、磁性体、染料、顔料等を任意に使用することができ、カーボンブラックとしてはチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等が使用される。磁性体としては鉄、ニッケル、コバルト等の強磁性金属、これらの金属を含む合金、フェライト、マグネタイト等の強磁性金属の化合物、強磁性金属を含まないが熱処理する事により強磁性を示す合金、例えばマンガン−銅−アルミニウム、マンガン−銅−錫等のホイスラー合金と呼ばれる種類の合金、二酸化クロム等を用いる事ができる。
【0208】
染料としてはC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等を用いる事ができ、またこれらの混合物も用いる事ができる。顔料としてはC.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同93、同94、同138、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブルー15:3、同60等を用いる事ができ、これらの混合物も用いる事ができる。数平均一次粒子径は種類により多様であるが、概ね10〜200nm程度が好ましい。
【0209】
着色剤の添加方法としては、乳化重合法で調製した重合体粒子を、凝集剤を添加することで凝集させる段階で添加し重合体を着色する方法や、単量体を重合させる段階で着色剤を添加し、重合し、着色粒子とする方法等を使用することができる。なお、着色剤は重合体を調製する段階で添加する場合はラジカル重合性を阻害しない様に表面をカップリング剤等で処理して使用することが好ましい。
【0210】
さらに、定着性改良剤としての低分子量ポリプロピレン(数平均分子量=1500〜9000)や低分子量ポリエチレン等を添加してもよい。
【0211】
荷電制御剤も同様に種々の公知のもので、且つ水中に分散することができるものを使用することができる。具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体等が挙げられる。
【0212】
なお、これら荷電制御剤や定着性改良剤の粒子は、分散した状態で数平均一次粒子径が10〜500nm程度とすることが好ましい。
【0213】
本発明のトナーでは、外添剤として無機微粒子や有機微粒子などの微粒子を添加して使用することでより効果を発揮することができる。この理由としては、外添剤の埋没や脱離を効果的に抑制することができるため、その効果が顕著にでるものと推定される。
【0214】
この無機微粒子としては、シリカ、チタニア、アルミナ等の無機酸化物粒子の使用が好ましく、さらに、これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤等によって疎水化処理されていることが好ましい。疎水化処理の程度としては特に限定されるものでは無いが、メタノールウェッタビリティーとして40〜95のものが好ましい。メタノールウェッタビリティーとは、メタノールに対する濡れ性を評価するものである。この方法は、内容量200mlのビーカー中に入れた蒸留水50mlに、測定対象の無機微粒子を0.2g秤量し添加する。メタノールを先端が液体中に浸せきされているビュレットから、ゆっくり攪拌した状態で無機微粒子の全体が濡れるまでゆっくり滴下する。この無機微粒子を完全に濡らすために必要なメタノールの量をa(ml)とした場合に、下記式により疎水化度が算出される。
【0215】
疎水化度=(a/(a+50))×100
この外添剤の添加量としては、トナー中に0.1〜5.0質量%、好ましくは0.5〜4.0質量%である。また、外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
【0216】
いわゆる重合性単量体中に着色剤などのトナー構成成分を分散あるいは溶解したものを水系媒体中に懸濁し、ついで重合せしめてトナーを得る懸濁重合法トナーでは、重合反応を行う反応容器中での媒体の流れを制御することによりトナー粒子の形状を制御することができる。すなわち、形状係数が1.2以上の形状を有するトナー粒子を多く形成させる場合には、反応容器中での媒体の流れを乱流とし、重合が進行して懸濁状態で水系媒体中に存在している油滴が次第に高分子化することで油滴が柔らかい粒子となった時点で、粒子の衝突を行うことで粒子の合一を促進させ、形状が不定形となった粒子が得られる。また、形状係数が1.2より小さいほぼ球形のトナー粒子を形成させる場合には、反応容器中での媒体の流れを層流として、粒子の衝突を避けることによりほぼ球形の粒子が得られる。この方法により、トナー形状の分布を本発明の範囲内に制御できるものである。
【0217】
次に、重合トナーの製造に好ましく用いられる反応装置について説明する。図2および図3は、それぞれ、重合トナー反応装置の一例を示す斜視図および断面図である。図2および図3に示す反応装置において、熱交換用のジャケット1jを外周部に装着した縦型円筒状の攪拌槽2j内の中心部に回転軸3jを垂設し、該回転軸3jに攪拌槽2jの底面に近接させて配設された下段の攪拌翼40jと、より上段に配設された攪拌翼50jとが設けられている。上段の攪拌翼50jは、下段に位置する攪拌翼40jに対して回転方向に先行した交差角αをもって配設されている。本発明のトナーを製造する場合において、交差角αは90度(°)未満であることが好ましい。この交差角αの下限は特に限定されるものでは無いが、5°程度以上であることが好ましく、更に、好ましくは10°以上である。なお、三段構成の攪拌翼を設ける場合には、それぞれ隣接している攪拌翼間で交差角αが90度未満であることが好ましい。
【0218】
このような構成とすることで、上段に配設されている攪拌翼50jによりまず媒体が攪拌され、下側への流れが形成される。ついで、下段に配設された攪拌翼40jにより、上段の攪拌翼50jで形成された流れがさらに下方へ加速されるとともにこの攪拌翼50j自体でも下方への流れが別途形成され、全体として流れが加速されて進行するものと推定される。この結果、乱流として形成された大きなズリ応力を有する流域が形成されるために、得られるトナー粒子の形状を制御できるものと推定される。
【0219】
なお、図2および図3中、矢印は回転方向を示し、7jは上部材料投入口、8jは下部材料投入口、9jは攪拌を有効にするための乱流形成部材である。
【0220】
ここにおいて攪拌翼の形状については、特に限定はないが、方形板状のもの、翼の一部に切り欠きのあるもの、中央部に一つ以上の中孔部分、いわゆるスリットがあるものなどを使用することができる。これらの具体例を図4に記載する。図4(a)に示す攪拌翼5aは中孔部のないもの、同図(b)に示す攪拌翼5bは中央に大きな中孔部6bがあるもの、同図(c)に示す攪拌翼5cは横長の中孔部6c(スリット)があるもの、同図(d)に示す攪拌翼5dは縦長の中孔部6d(スリット)があるものである。また、三段構成の攪拌翼を設ける場合において、上段の攪拌翼に形成される中孔部と、下段の攪拌翼に形成される中孔部とは異なるものであっても、同一のものであってもよい。
【0221】
なお、上記の構成を有する上段と下段の攪拌翼の間隙は特に限定されるものでは無いが、少なくとも攪拌翼の間に間隙を有していることが好ましい。この理由としては明確では無いが、その間隙を通じて媒体の流れが形成されるため、攪拌効率が向上するものと考えられる。但し、間隙としては、静置状態での液面高さに対して0.5〜50%の幅、好ましくは1〜30%の幅である。
【0222】
さらに、攪拌翼の大きさは特に限定されるものでは無いが、全攪拌翼の高さの総和が静置状態での液面高さの50%〜100%、好ましくは60%〜95%である。
【0223】
一方、樹脂粒子を水系媒体中で会合あるいは融着させる重合法トナーでは、融着段階での反応容器内の媒体の流れおよび温度分布を制御することで、さらには融着後の形状制御工程において加熱温度、攪拌回転数、時間を制御することで、トナー全体の形状分布および形状を任意に変化させることができる。
【0224】
すなわち、樹脂粒子を会合あるいは融着させる重合法トナーでは、反応装置内の流れを層流とし、内部の温度分布を均一化することができる攪拌翼および攪拌槽を使用して、融着工程および形状制御工程での温度、回転数、時間を制御することにより、所期の形状係数および均一な形状分布を有するトナーを形成することができる。この理由は、層流を形成させた場で融着させると、凝集および融着が進行している粒子(会合あるいは凝集粒子)に強いストレスが加わらず、かつ流れが加速された層流においては攪拌槽内の温度分布が均一である結果、融着粒子の形状分布が均一になるからであると推定される。さらに、その後の形状制御工程での加熱、攪拌により融着粒子は徐々に球形化し、トナー粒子の形状を任意に制御できる。
【0225】
樹脂粒子を会合あるいは融着させる重合法トナーを製造する際に使用される攪拌槽としては、前述の懸濁重合法と同様のものが使用できる。この場合、攪拌槽内には乱流を形成させるような邪魔板等の障害物を設けないことが必要である。
【0226】
この攪拌翼の形状についても、層流を形成させ、乱流を形成させないものであれば特に限定されないが、図4(c)に示した方形板状のもの等、連続した面により形成されるものが好ましく、曲面を有していてもよい。
【0227】
本発明のトナーは、例えば磁性体を含有させて一成分磁性トナーとして使用する場合、いわゆるキャリアと混合して二成分現像剤として使用する場合、非磁性トナーを単独で使用する場合等が考えられ、いずれも好適に使用することができるが、本発明ではキャリアと混合して使用する二成分現像剤として使用することが好ましい。
【0228】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0229】
下記のごとくして、感光体を作製した。
感光体1の作製
〈中間層〉
ポリアミド樹脂(アミランCM−8000:東レ社製) 60g
無機微粒子:酸化チタンSMT500SAS(テイカ社製;表面処理は、シリカ処理、アルミナ処理、及びメチルハイドロジェンポリシロキサン処理)180g
メタノール 1600ml
1−ブタノール 400ml
上記成分を混合溶解して中間層塗布液を調製した。この塗布液を直径80mm、長さ360mmの円筒状アルミニウム基体上に浸漬塗布法で塗布し、膜厚0.3μmの中間層を形成した。
〈電荷発生層〉
チタニルフタロシアニン 60g
シリコーン樹脂溶液
(KR5240、15%キシレン−ブタノール溶液:信越化学社製)700g
2−ブタノン 2000ml
上記成分を混合し、サンドミルを用いて10時間分散し、電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液を前記中間層の上に浸漬塗布法で塗布し、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。チタニルフタロシアニンのCu−Kα特性X線回折スペクトルを測定した結果、ブラッグ角2θの最大ピークが27.2°に認められた。
〈電荷輸送層〉
電荷輸送物質:例示化合物T65(分子量:947) 150g
ビスフェノールZ型ポリカーボネート
(ユーピロンZ300:三菱ガス化学社製) 300g
酸化防止剤(サノールLS2626:三共社製) 1.7g
テトラヒドロフラン(沸点:64.5℃) 2200g
上記成分を混合溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法で塗布し、100℃40分間乾燥して、膜厚25μmの電荷輸送層を形成し感光体1を作製した。
【0230】
感光体2〜14の作製
感光体1において、中間層の無機粒子の種類、電荷輸送層の電荷輸送物質及びその量、溶媒、乾燥条件を変えて、感光体2〜14を作製した。
【0231】
【表1】
【0232】
表1中、Hはシリカ・アルミナ処理及びメチルハイドロジェンポリシロキサン処理の表面処理をした酸化チタン(数平均粒径35nm)
Iはシリカ・アルミナ処理及びオクチルトリメトキシシラン処理の表面処理をした酸化チタン(数平均粒径35nm)
Jはシリカ・ジルコニア処理及びメチルトリメトキシシラン処理の表面処理をした酸化チタン(数平均粒径35nm)
Kはシリカ・アルミナ処理及びオクチルトリメトキシシラン処理の表面処理をした酸化亜鉛(数平均粒径180nm)
又、表1中の電荷輸送物質T70、T71は下記の化合物を示す。
【0233】
【化26】
【0234】
現像剤の作製
トナー及び現像剤の作製
(トナー製造例1:乳化重合会合法の例)
n−ドデシル硫酸ナトリウム0.90kgと純水10.0リットルを入れ攪拌溶解した。この溶液に、リーガル330R(キャボット社製カーボンブラック)1.20kgを徐々に加え、1時間よく攪拌した後に、サンドグラインダー(媒体型分散機)を用いて、20時間連続分散した。このものを「着色剤分散液1」とする。
【0235】
また、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.055kgとイオン交換水4.0リットルとからなる溶液を「アニオン界面活性剤溶液A」とする。
【0236】
ノニルフェノールポリエチレンオキサイド10モル付加物0.014kgとイオン交換水4.0リットルとからなる溶液を「ノニオン界面活性剤溶液B」とする。
【0237】
過硫酸カリウム223.8gをイオン交換水12.0リットルに溶解した溶液を「開始剤溶液C」とする。
【0238】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置を付けた容積100リットルのGL(グラスライニング)反応釜に、WAXエマルジョン(数平均分子量3000のポリプロピレンエマルジョン:数平均一次粒子径=120nm/固形分濃度=29.9%)3.41kgと「アニオン界面活性剤溶液A」全量と「ノニオン界面活性剤溶液B」全量とを入れ、攪拌を開始した。次いで、イオン交換水44.0リットルを加えた。
【0239】
加熱を開始し、液温度が75℃になったところで、「開始剤溶液C」全量を滴下して加えた。その後、液温度を75℃±1℃に制御しながら、スチレン12.1kgとアクリル酸n−ブチル2.88kgとメタクリル酸1.04kgとt−ドデシルメルカプタン548gとを滴下しながら投入した。滴下終了後、液温度を80℃±1℃に上げて、6時間加熱攪拌を行った。ついで、液温度を40℃以下に冷却し攪拌を停止し、ポールフィルターで濾過してラテックスを得た。これを「ラテックス−A」とする。
【0240】
なお、ラテックス−A中の樹脂粒子のガラス転移温度は57℃、軟化点は121℃、分子量分布は、重量平均分子量=1.27万、重量平均粒径は120nmであった。
【0241】
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.055kgをイオン交換純水4.0リットルに溶解した溶液を「アニオン界面活性剤溶液D」とする。
【0242】
また、ノニルフェノールポリエチレンオキサイド10モル付加物0.014kgをイオン交換水4.0リットルに溶解した溶液を「ノニオン界面活性剤溶液E」とする。
【0243】
過硫酸カリウム(関東化学社製)200.7gをイオン交換水12.0リットルに溶解した溶液を「開始剤溶液F」とする。
【0244】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置、櫛形バッフルを付けた100リットルのGL反応釜に、WAXエマルジョン(数平均分子量3000のポリプロピレンエマルジョン:数平均一次粒子径=120nm/固形分濃度 29.9%)3.41kgと「アニオン界面活性剤溶液D」全量と「ノニオン界面活性剤溶液E」全量とを入れ、攪拌を開始した。
【0245】
次いで、イオン交換水44.0リットルを投入した。加熱を開始し、液温度が70℃になったところで、「開始剤溶液F」を添加した。ついで、スチレン11.0kgとアクリル酸n−ブチル4.00kgとメタクリル酸1.04kgとt−ドデシルメルカプタン9.02gとをあらかじめ混合した溶液を滴下した。滴下終了後、液温度を72℃±2℃に制御して、6時間加熱攪拌を行った。さらに、液温度を80℃±2℃に上げて、12時間加熱攪拌を行った。液温度を40℃以下に冷却し攪拌を停止した。ポールフィルターで濾過し、この濾液を「ラテックス−B」とする。
【0246】
なお、ラテックス−B中の樹脂粒子のガラス転移温度は58℃、軟化点は132℃、分子量分布は、重量平均分子量=24.5万、重量平均粒径は110nmであった。
【0247】
塩析剤としての塩化ナトリウム5.36kgをイオン交換水20.0リットルに溶解した溶液を「塩化ナトリウム溶液G」とする。
【0248】
フッ素系ノニオン界面活性剤1.00gをイオン交換水1.00リットルに溶解した溶液を「ノニオン界面活性剤溶液H」とする。
【0249】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置、粒径および形状のモニタリング装置を付けた100リットルのSUS反応釜(図2に示した構成の反応装置、交差角αは25°)に、上記で作製したラテックス−A=20.0kgとラテックス−B=5.2kgと着色剤分散液1=0.4kgとイオン交換水20.0kgとを入れ攪拌した。ついで、40℃に加温し、塩化ナトリウム溶液G、イソプロパノール(関東化学社製)6.00kg、ノニオン界面活性剤溶液Hをこの順に添加した。その後、10分間放置した後に、昇温を開始し、液温度85℃まで60分で昇温し、85±2℃にて0.5〜3時間加熱攪拌して塩析/融着させながら粒径成長させた(塩析/融着工程)。次に純水2.1リットルを添加して粒径成長を停止させ、融着粒子分散液を作製した。
【0250】
温度センサー、冷却管、粒径および形状のモニタリング装置を付けた5リットルの反応容器(図2に示した構成の反応装置、交差角αは20°)に、上記で作製した融着粒子分散液5.0kgを入れ、液温度85℃±2℃にて、0.5〜15時間加熱攪拌して形状制御した(形状制御工程)。その後、40℃以下に冷却し攪拌を停止した。次に遠心分離機を用いて、遠心沈降法により液中にて分級を行い、目開き45μmの篩いで濾過し、この濾液を会合液とする。ついで、ヌッチェを用いて、会合液よりウェットケーキ状の非球形状粒子を濾取した。その後、イオン交換水により洗浄した。この非球形状粒子をフラッシュジェットドライヤーを用いて吸気温度60℃にて乾燥させ、ついで流動層乾燥機を用いて60℃の温度で乾燥させた。得られた着色粒子の100質量部に、シリカ微粒子1質量部をヘンシェルミキサーにて外添混合して乳化重合会合法によるトナーを得た。
【0251】
前記塩析/融着工程および形状制御工程のモニタリングにおいて、攪拌回転数、および加熱時間を制御することにより、形状および形状係数の変動係数を制御し、さらに液中分級により、粒径および粒度分布の変動係数を任意に調製して、表2に示す形状特性および粒度分布特性を有するトナー粒子からなるトナー1〜10を得た。
【0252】
【表2】
【0253】
〔現像剤の製造〕
トナー1〜10の各々10質量部と、スチレン−メタクリレート共重合体で被覆した45μmフェライトキャリア100質量部とを混合することにより、評価用の現像剤1〜10を製造した。
【0254】
評価1(現像剤を固定した評価)
以上のようにして得た感光体1〜14、現像剤(トナー)及び帯電手段に、下記構成のNo.1〜No.3の帯電ローラを組み込んだコニカ(株)製の反転現像方式デジタル複写機「Konica7050」の改造機を用い、表3のように各条件を組み合わせて装着し、高温高湿(30℃80%RH)と低温低湿(10℃20%RH)の環境下で、それぞれ評価項目を変えて評価した。
【0255】
帯電ローラNo.1
導電性弾性体層の材料として、ポリノルボルネンゴム/カーボンブラック/ナフテン系オイル及び必要に応じて加硫剤、加硫促進剤、添加剤等を混合、調整し、金型充填し、導電性弾性体層を形成した。この層の上に、被覆層形成材料としてポリエステルウレタン、粒径約0.5μmの樹脂粉体、カーボンブラック、溶剤(MEK/ジメチルホルムアミド)から成る組成物液中に浸漬し、コーティング、乾燥、加熱処理し、ウレタン層からなる被覆層を形成し、帯電ローラNo.1を得た。導電性弾性層の抵抗は3.2×104Ωcm、被覆層の抵抗は5.2×105Ωcmであり、帯電ローラの表面粗さは十点平均粗さRzが0.1であった。
【0256】
帯電ローラNo.2
被覆層形成材料として粒径約0.5μmの樹脂粉体の代わりに粒径約8μmの樹脂粉体を使用した以外はNo.1と同様にして、帯電ローラNo.2を得た。導電性弾性層の抵抗は3.2×104Ωcm、被覆層の抵抗は5.0×105Ωcmであり、帯電ローラの表面粗さは十点平均粗さRzが7.0であった。
【0257】
帯電ローラNo.3
導電性弾性体層の材料として、発泡ウレタンゴムにカーボンブラックを分散、必要に応じて加硫剤、老化防止剤、添加剤等を混合し、調整したものを用い、導電性弾性体層を形成、更に研磨した。この層の上に、被覆層形成材料としてポリアクリルウレタン、カーボンブラック、粒径約5μmの樹脂粉体、溶剤から成る組成物液中に浸漬し、コーティング、乾燥、加熱処理し、帯電ローラNo.3を得た。導電性弾性層の抵抗は2.1×105Ωcm、被覆層の抵抗は6.5×106Ωcmであり、帯電ローラの表面粗さは十点平均粗さRzが3.5であった。
【0258】
評価1(現像剤を固定した評価)
評価条件
帯電条件
帯電器;前記帯電ローラNo.1〜3を用い、感光体への帯電条件を表3のように変化させた。但し、表3中のDC及びACの帯電圧はそれぞれ負帯電の電圧を意味する。又、線圧は感光体への圧接線圧を示す。
【0259】
感光体の線速:280mm/sec
露光条件
露光部電位目標:−50V〜−100Vにする露光量に設定。
【0260】
露光ビーム:ドット密度800dpi(dpiとは2.54cm当たりのドット数)の像露光を行った。レーザビームスポット面積:0.8×10−9m2、レーザは780nmの半導体レーザを使用
転写条件:コロトロン電極を用いた静電転写
分離条件:交流バイアスを印可した分離電極の分離手段を用いた
クリーニング:ゴム弾性ブレードを用い、感光体への当接角度:20°、当接荷重:20(g/cm)になるように調整した。
【0261】
画像欠陥の評価方法
評価は、高温高湿(30℃80%RH)の環境下で、画素率が7%の文字画像、人物顔写真、ベタ白画像、ベタ黒画像がそれぞれ1/4等分にあるオリジナル画像をA4で1枚間欠モードにて5万枚の複写を行い、1000枚毎にハーフトーン、ベタ白画像、ベタ黒画像を複写し、ブラックスポット、白点、黒ポチを評価した。
【0262】
ブラックスポット
ハーフトーン画像に、周期性が感光体の周期と一致し、ブラックスポット(苺状のスポット画像)がA4サイズ当たり何個あるかで判定した。
【0263】
◎:0.4mm以上のブラックスポットの発生頻度:全ての複写画像が3個/A4以下(良好)
○:0.4mm以上のブラックスポットの発生頻度:4個/A4以上、10個/A4以下が1枚以上発生(実用上問題なし)
×:0.4mm以上のブラックスポットの発生頻度:11個/A4以上が1枚以上発生(実用上問題有り)
白点、黒ポチ
ベタ白画像に、周期性が感光体の周期と一致し、目視できる白点、黒ポチが、A4サイズ当たり何個あるかで判定した。
【0264】
◎:0.4mm以上の白点、黒ポチ頻度:全ての複写画像が3個/A4以下(良好)
○:0.4mm以上の白点、黒ポチ頻度:4個/A4以上、10個/A4以下が1枚以上発生(実用上問題なし)
×:0.4mm以上の白点、黒ポチ頻度:11個/A4以上が1枚以上発生(実用上問題有り)
クラック
上記デジタル複写機Konica7050を30℃、80%RHの環境下で、感光体を搭載したまま、電源をoffにし、2日間放置した。感光体周辺の部材はこの間動作を停止しているだけの状態、即ち、クリーニングブレード、クリーニングローラ、現像剤搬送体等の部材は、感光体に当接したままにした。その後、感光体の表面を観察し、クラックの発生の有無を観察した。又、画像評価も行い、クラック発生に伴う筋状の画像欠陥の発生の有無も評価した。
【0265】
◎:100本の感光体を評価し、クラックの発生も、筋状の画像欠陥の発生もなし
◯:100本の感光体を評価し、微細なクラックの発生はあるが、筋状の画像欠陥の発生はない
×:100本の感光体を評価し、クラックの発生と筋状の画像欠陥の発生が見られる
文字細り、カブリ、画像濃度の評価
低温低湿(10℃20%RH)の環境下で、画素率が7%の文字画像、人物顔写真、ベタ白画像、ベタ黒画像がそれぞれ1/4等分にあるオリジナル画像をA4で1枚間欠モードにて5万枚の複写を行い、1万枚毎に、線画像、ベタ白画像、ベタ黒画像を複写し、カブリ、画像濃度を評価した。
【0266】
文字細り
0.1mm、0.2mm幅の線画像が印刷されたオリジナル画像を複写し、評価した。
【0267】
◎:複写画像の線幅がオリジナル画像の線幅の75%以上で再現されている:良好
○:複写画像の線幅がオリジナル画像の線幅の40%〜74%で再現されている:実用上問題ないレベル
×:複写画像の線幅がオリジナル画像の線幅の39%以下、又は線幅が切断されている:実用上問題となるレベル
カブリ
◎:カブリの発生なし
○:相対濃度(複写していないA4紙の濃度を0.00とする)で、0.01未満のカブリの発生が時々ある:実用上問題ないレベル
×:相対濃度で、0.02以上のカブリの発生がある:実用上問題となるレベル
画像濃度
相対濃度(複写していないA4紙の濃度を0.00とする)で評価した
◎:1.2以上:良好
○:1.2未満〜0.8:実用上問題ないレベル
×:0.8未満:実用上問題となるレベル
(鮮鋭性)
画像の鮮鋭性は、低温低湿(10℃20%RH)環境において画像を出し、文字潰れで評価した。3ポイント、5ポイントの文字画像を形成し、下記の判断基準で評価した。
【0268】
◎:3ポイント、5ポイントとも明瞭であり、容易に判読可能
○:3ポイントは一部判読不能、5ポイントは明瞭であり、容易に判読可能
×:3ポイントは殆ど判読不能、5ポイントも一部あるいは全部が判読不能
【0269】
【表3】
【0270】
表3より、分子量が550〜2000の範囲にある電荷輸送物質を用いた感光体1〜12は、帯電ローラの条件を変化してもブラックスポット、白点、黒ポチ、クラック等の画像欠陥の発生が防止され、カブリ、画像濃度、文字細り、鮮鋭性の評価も実用上問題ないレベル以上である。特に、分子量が800〜1800の範囲にある電荷輸送物質を用いた感光体1〜6、9〜11は改善効果が大きい。一方、分子量が本発明外の感光体13(分子量533)はブラックスポット、白点、黒ポチの発生が多く、文字細りも劣り、鮮鋭性が低下している。感光体14(分子量2366)は、T71の分散性が低下し、その結果、クラックが発生し、白点、黒ポチ、カブリの評価が劣り、鮮鋭性も低下している。
【0271】
評価2(現像剤を変化させた評価)
帯電部材及びその条件、感光体、現像剤(トナーNo.)を、表4のように組み合わせ、コニカ社製デジタル複写機Konica7050改造機(反転現像プロセスを用いている)に装着し、評価1と同様の評価方法及び評価基準で評価した。
【0272】
【表4】
【0273】
表4より、本発明の感光体を用いても、トナーの形状係数、個数基準の粒度分布や角がないトナー粒子の含有率により、本発明の効果に影響を与えることを示している。即ち、下記の条件を多く満たしたトナーを用いた場合に、改善効果が大きいことが見出される。
▲1▼トナー粒子の形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子の割合が65個数%以上、
▲2▼角がないトナー粒子の割合が50個数%以上、
▲3▼トナー粒子の粒径をD(μm)とするとき、自然対数lnDを横軸にとり、この横軸を0.23間隔で複数の階級に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムにおける最頻階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m1)と、前記最頻階級の次に頻度の高い階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m2)との和(M)が70%以上。
【0274】
評価3(磁気ブラシを用いた画像形成方法)
〈評価条件〉
評価1及び2で用いた帯電ローラを磁気ブラシ帯電器に変更し、更に、感光体の線速:140mm/secに改造して実写評価を実施した。前記以外の条件は前記帯電ローラの条件と同一である。
【0275】
(磁気ブラシ帯電器)
図6の構造を有す。
【0276】
磁気粒子の作製
帯電用磁気ブラシを形成する磁気粒子を下記のように作製した。
【0277】
磁気粒子1の作製
Fe2O3:50モル%
CuO:24モル%
ZnO:24モル%
以上を粉砕、混合し分散剤およびバインダーと水を加えスラリーとした後、スプレードライヤーで造粒操作を行い、分級した後1125℃にて焼成を行った。得られた磁気粒子を解砕処理の後、分級を行い、体積平均粒径が27μmである磁気粒子1を得た。磁気粒子の抵抗率は2×107Ωcm、磁化の強さは65emu/gであった。
【0278】
磁気粒子2の作製
上記磁気粒子1を100質量部に対して0.05質量部のチタンカップリング剤(イソプロポキシトリイソステアロイルチタネート)及びメチルエチルケトンを加え、撹拌して磁気粒子表面に有機質の被膜を形成後、磁気粒子を分離し、180℃で加熱乾燥を行った。体積平均粒径が37μmである磁気粒子2を得た。磁気粒子の抵抗率は2×107Ωcm、磁化の強さは70emu/gであった。
【0279】
磁気粒子3の作製
Fe2O3:50モル%
MnO:30モル%
MgO:20モル%
以上を粉砕、混合し分散剤およびバインダーと水を加えスラリーとした後、スプレードライヤーで造粒操作を行い、分級した後に抵抗調整の為に酸素濃度を調整した雰囲気中、1130℃にて焼成を行った。得られた磁気粒子を解砕処理の後、分級を行い、体積平均粒径が70μmである磁気粒子3を得た。磁気粒子の抵抗率は9×105Ωcm、磁化の強さは63emu/gであった。
【0280】
磁気粒子の体積平均粒径の測定方法
キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
【0281】
抵抗率(Ωcm)の測定法
磁気粒子を0.50cm2の断面積を有する容器に入れてタッピングした後、詰められた粒子上に1kg/cm2の荷重を掛け、荷重と底面電極との間に1000V/cmの電界が生ずる電圧を印加したときの電流値を読み取ることで得られる値。
【0282】
帯電条件
帯電スリーブ;10mmφのステンレス鋼
帯電スリーブに印可される電圧;直流電圧450Vに交流電圧を重畳
帯電領域の磁性粒子量;250mg/cm2
帯電スリーブ/感光体の線速比;0.8
表5のように組合せた感光体、トナー(現像剤)、及び磁性粒子を用いた磁気ブラシ(磁気ブラシNo.は磁性粒子No.と同じ)等を前記コニカ製デジタル複写機7050の改造機に搭載し評価を行った。評価方法は前記帯電ローラの時と同様に行った。
【0283】
〈評価〉
【0284】
【表5】
【0285】
表5より、磁気ブラシを用いた接触帯電方式の画像形成方法においても、本発明の感光体又は感光体とトナーとの組み合わせの発明の効果は帯電ローラによる接触帯電の場合とほぼ同等の効果が得られている。
【0286】
【発明の効果】
本発明の電子写真感光体、画像形成方法、画像形成装置を用いることにより、接触帯電部材を用いた帯電方法で発生しやすいブラックスポット、白点、黒ポチ、クラック等の画像欠陥を防止し、鮮鋭性が良好な電子写真画像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、角のないトナー粒子の投影像を示す説明図であり、(b)および(c)は、それぞれ角のあるトナー粒子の投影像を示す説明図である。
【図2】重合トナー反応装置の一例を示す斜視図である。
【図3】重合トナー反応装置の一例を示す断面図である。
【図4】攪拌翼の形状の具体例を示す概略図である。
【図5】ローラ帯電を行う画像形成装置の1例を示す図である。
【図6】接触式の磁気ブラシ帯電装置の図である。
【図7】図6の帯電装置による交流バイアス電圧と帯電電位との関係を示す図である。
【図8】本発明の磁気ブラシ帯電器を有する画像形成装置の1例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 帯電ローラ
2 感光体ドラム
3 現像装置
4 現像スリーブ
5 除電ランプ
6 転写ローラ
7 搬送ベルト
8 搬送ローラ
20 芯金
50 感光体ドラム
51 露光部
52 磁気ブラシ帯電器
53 像露光器
54 現像器
120 磁気ブラシ帯電装置
120a 帯電スリーブ
220 供給ボトル
300 磁気粒子回収容器
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式の画像形成に用いる有機感光体、画像形成方法及び画像形成装置に関し、更に詳しくは、複写機やプリンターの分野で用いられる電子写真方式の画像形成に用いる有機感光体、画像形成方法、及び画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
有機感光体はセレン系感光体、アモルファスシリコン感光体のような無機感光体に比して素材の選択の幅が広いこと、環境適性に優れていること、生産コストが安いこと等の大きなメリットがあり、近年無機感光体に代わって電子写真感光体の主流となっている。
【0003】
他方カールソン法に基づく画像形成方法においては、電子写真感光体上に帯電、静電潜像を形成し、トナー画像を形成した後、該トナー画像を転写紙に転写し、これを定着して最終画像が形成される。
【0004】
上記帯電手段の部材として従来代表的に用いられている帯電部材はコロナ放電器が最もよく知られている。コロナ放電器は安定した帯電を行えるという利点を有する。しかし、コロナ放電器は高電圧を印加しなければならないため、イオン化された酸素、オゾン、水分、酸化窒素化合物等の発生量が多いため、有機感光体(以後感光体とも云う)の劣化を招いたり、人体に悪影響を及ぼす等の問題点を有している。
【0005】
そこで、最近ではコロナ放電器を利用しない接触帯電方式を利用することが検討されている。具体的には帯電部材である磁気ブラシや導電性ローラに電圧を印加して、被帯電体である感光体に接触させ、感光体表面を所定の電位に帯電させるものである。このような接触帯電方式を用いればコロナ放電器を用いた非接触帯電方式と比較して低電圧化がはかれ、オゾン発生量も減少する。しかしながら接触帯電方式の問題として、有機感光体に帯電ローラ等が直接接触して帯電することから、感光層に小さな亀裂、クラック、汚染等が発生しやすく、その結果、これら小さな亀裂、クラック、汚染等の部分に電荷が集中し、電荷リークを起し、白点、黒ポチ、ブラックスポット(苺状の斑点)等の画像欠陥の発生を引き起こしやすい。特に高温高湿、低温低湿等の厳しい条件下でこれらの問題が発生しやすい。
【0006】
一方、近年の電子写真方式の画像形成方法は、パソコンのハードコピー用のプリンターとして、また通常の複写機においても画像処理の容易さや複合機への展開の容易さから、LEDやレーザを像露光光源とするデジタル方式の画像形成方式が急激に浸透してきた。更に、デジタル画像の精細化を進めて、高画質の電子写真画像を作製する技術が開発されている。例えば、スポット面積の小さいレーザ光で像露光を行い、ドット潜像の密度を上げて、高精細の潜像を形成し、該潜像を小粒径トナーで現像し、高画質の電子写真画像を作製する技術が公開されている。(特許文献1)
このような高画質のデジタル画像の形成に際しては、高感度で且つ温湿度環境の変化に対して安定な特性を有する電子写真感光体が要求される。
【0007】
従来、上記のような電子写真感光体の要求を満たすために、有機感光体は、感光層を電荷発生層と電荷輸送層に機能分離した層構成にし、該電荷輸送層に、分子量500前後の低分子量の電荷輸送物質を多量に含有させた構成にしていた。しかしながら、このような構成の電荷輸送層では、表面層の電荷輸送層がトナー中の外添剤や紙粉等で傷つきやすく、前記した帯電ローラを用いた帯電手段に適用すると、電荷リークによる白点、黒ポチやブラックスポットが発生しやすい。そこで、電荷輸送層中の電荷輸送物質を減量して、電荷輸送層の表面を傷つきにくくすると、低温低湿環境等で、十分な感度が得られず、文字細り等が発生し、鮮鋭性が低下した電子写真画像と成りやすい。
【0008】
又、感光体表面の汚染を防止するために、表面層にフッ素系樹脂粒子を含有させた有機感光体が提案されている(特許文献2)。しかしながら、フッ素系樹脂粒子を含有させた有機感光体は、画像ボケが発生しやすい。又表面層のフッソ粒子が離脱しやすく、前記帯電ローラ等の接触帯電方式との併用において、必ずしも良好な電子写真画像を提供し得ていない。
【0009】
【特許文献1】
特開2001−255685号公報
【0010】
【特許文献2】
特開昭63−65449号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記のような課題を解決するために提案されたものであり、その目的とするところは、感光体の帯電手段として、帯電ローラ等の接触帯電部材を用い、電子写真画像を形成する際に発生しやすい電荷リークによる白点、黒ポチやブラックスポット等の画像欠陥を防止し、且つ低温低湿環境下で発生しやすい文字細り等を防止し、高濃度、高解像力の鮮明な画像が安定して得られる有機感光体、画像形成方法、画像形成装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は鋭意検討の結果、本発明の上記課題を解決するためには、有機感光体の表面を、接触帯電部材で表面を摺擦しても、紙粉やトナー成分が付着しにくい表面特性にし、白点、黒ポチやブラックスポット等の画像欠陥を発生させないことが重要であることに気付き本発明を完成した。又、このような表面特性を有する有機感光体に帯電ローラ等の接触帯電手段を併用した系で、特定のトナー形状等を組み合わせ併用することにより、白点、黒ポチやブラックスポット等の画像欠陥がより顕著に改良され、且つ低温低湿環境下でも文字細り等を防止して、鮮鋭性が良好な電子写真画像を提供することができる。
【0013】
本発明の目的は、下記構成のいずれかを採ることにより達成される。
1.有機感光体上に帯電部材を接触させて帯電する帯電工程、像露光工程、トナー像への現像工程、トナー像の転写工程、記録紙の分離工程及び定着工程の各工程を繰り返して、多数枚の電子写真画像を形成する画像形成方法に用いる有機感光体において、該有機感光体が、導電性支持体上に電荷発生層、電荷輸送層の積層構造を有し、該電荷輸送層が分子量550〜2000の電荷輸送物質を含有することを特徴とする有機感光体。
【0014】
2.導電性支持体と電荷発生層の間に中間層を有し、該中間層が平均粒径10〜500nmの無機微粒子を含有することを特徴とする前記1に記載の有機感光体。
【0015】
3.有機感光体上に帯電工程、像露光工程、トナー像への現像工程、トナー像の転写工程、記録紙の分離工程及び定着工程の各工程を繰り返して、多数枚の電子写真画像を形成する画像形成方法において、該有機感光体が、導電性支持体上に電荷発生層、分子量550〜2000の電荷輸送物質を含有する電荷輸送層の積層構造を有し、該有機感光体に帯電部材を接触させて帯電することを特徴とする画像形成方法。
【0016】
4.有機感光体上に帯電工程、像露光工程、トナー像への現像工程、トナー像の転写工程、記録紙の分離工程及び定着工程の各工程を繰り返して、多数枚の電子写真画像を形成する画像形成方法において、該有機感光体が導電性支持体上に電荷発生層、分子量550〜2000の電荷輸送物質を含有する電荷輸送層の積層構造を有し、前記帯電工程は有機感光体上に帯電部材を接触させて帯電し、前記現像工程で用いるトナーは、形状係数1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子を65個数%以上含有することを特徴とする画像形成方法。
【0017】
5.有機感光体上に帯電工程、像露光工程、トナー像への現像工程、トナー像の転写工程、記録紙の分離工程及び定着工程の各工程を繰り返して、多数枚の電子写真画像を形成する画像形成方法において、該有機感光体が導電性支持体上に電荷発生層、分子量550〜2000の電荷輸送物質を含有する電荷輸送層の積層構造を有し、前記帯電工程は有機感光体上に帯電部材を接触させて帯電し、前記現像工程で用いるトナーは、トナー粒子の粒径をD(μm)とするとき、自然対数lnDを横軸にとり、この横軸を0.23間隔で複数の階級に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムにおける最頻階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m1)と、前記最頻階級の次に頻度の高い階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m2)との和(M)が70%以上であることを特徴とする画像形成方法。
【0018】
6.有機感光体上に帯電工程、像露光工程、トナー像への現像工程、トナー像の転写工程、記録紙の分離工程及び定着工程の各工程を繰り返して、多数枚の電子写真画像を形成する画像形成方法において、該有機感光体が導電性支持体上に電荷発生層、分子量550〜2000の電荷輸送物質を含有する電荷輸送層の積層構造を有し、前記帯電工程は有機感光体上に帯電部材を接触させて帯電し、前記現像工程で用いるトナーは、角がないトナー粒子を50個数%以上含有することを特徴とする画像形成方法。
【0019】
7.前記帯電部材が、帯電ローラであることを特徴とする前記3〜6のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【0020】
8.前記帯電部材が、磁気ブラシであることを特徴とする前記3〜6のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【0021】
9.前記3〜8のいずれか1項に記載の画像形成方法を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【0022】
以下、本発明の構成をさらに具体的に説明する。
まず、本発明の接触帯電方式を用いた画像形成方法について説明する。
【0023】
《帯電工程》
本発明は感光体に帯電部材を接触させて帯電する(以下、接触帯電部材を用いた帯電方法とも云う)。このような帯電部材としては、磁気ブラシ方式、帯電ローラ方式、ブレード方式等各種帯電部材を用いることができるが、これらの中でも帯電部材として帯電ローラ方式、或いは磁気ブラシ方式が最も好ましく本発明に用いられる。即ち、帯電の均一性が得られやすい帯電ローラ、或いは磁気ブラシが良い。以下、帯電ローラ方式、及び磁気ブラシ方式の帯電手段について記載する。
【0024】
本発明においては、導電性弾性部材により構成された帯電ローラを感光体(像担持体)に接触させ、該帯電ローラに電圧を印加して感光体(像担持体)を帯電することが出来る。
【0025】
このような帯電ローラ方式は、直流電圧をローラに印加する直流帯電方式、交流電圧をローラに印加する誘導帯電方式のいずれでもよい。
【0026】
又誘導帯電方式で印加される電圧の周波数fは任意のものが用いられるが、ストロービングすなわち縞模様を防止するために、導電性弾性ローラ及び像担持体部材の相対速度に応じて適当な周波数を選択できる。該相対速度は導電性弾性ローラと像担持体との接触領域の大きさによって決めることができる。
【0027】
導電性弾性ローラは芯金の外周に導電性弾性部材よりなる層(単に導電性弾性層又H、導電性ゴム層ともいう)を被覆したものである。
【0028】
前記導電性ゴム層に用いることのできるゴム組成物としては、ポリノルボルネンゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。これらのゴムは、単独でまたは2種以上の混合ゴムとして使用することができる。
【0029】
導電性を付与するために、これらのゴム組成物に導電性付与剤を配合して使用する。適当な導電性付与剤としては、公知のカーボンブラック(ファーネス系カーボンブラックまたはケツチエンブラック)、酸化錫等の金属粉が挙げられる。導電性付与剤の使用量はゴム組成物全量に対して約5〜約50質量部である。
【0030】
ゴム組成物には、ゴム基材、発泡剤、導電性付与剤以外に必要に応じて、ゴム用薬品、ゴム添加剤を配合して導電性発泡ゴム組成物とすることもできる。ゴム用薬品、ゴム添加剤としては、硫黄、パーオキサイド等の加硫剤、亜鉛華、ステアリン酸等の加硫促進助剤、スルフェンアミド系、チラウム系、チアゾール系、グラニジン系等の加硫促進剤、アミン系、フェノール系、硫黄系、リン系等の老化防止剤、または酸化防止剤、紫外線吸収剤、オゾン劣化防止剤、粘着付与剤等を使用することができ、さらに各種の補強剤、摩擦係数調整剤、シリカ、タルク、クレイ等の無機充填剤も任意に選択し使用し得る。これらの導電性ゴム層は103〜107Ωcmの範囲の直流体積抵抗率を有することが好ましい。
【0031】
更にこれら導電性弾性層の外側には、感光体表面に残留したトナー等の帯電部材への付着を防止する目的で、離型性被覆層を設けてもよい。該被覆層は又弾性層からのオイルの浸みだしの防止をはかると共に弾性層の抵抗ムラをキャンセルし、抵抗の均一化をはかる、帯電ローラの表面を保護する、帯電ローラの硬度を調整する、等の機能を果たしている。被覆層は上記物性を満足するものであれば、いずれのものでも良く、ひとつの層でも、複数の層でも良い。材料としてはヒドリンゴム、ウレタンゴム、ナイロン、ポリ弗化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン等の樹脂が挙げられる。また、被覆層の厚みは100〜1000μmであることが好ましく、抵抗値は105〜109Ω・cmであることが好ましい。また、表層に近づくにつれ抵抗値は大きくなっていることが好ましい。抵抗を調整する方法としては、被覆層にカーボンブラック、金属及び金属酸化物等の導電性物質を含有させること等が挙げられる。
【0032】
本発明の帯電ローラの表面粗さRzを調整するには帯電ローラの表面層(導電性弾性層又は被覆層)に粉体を含有させることが好ましい。本発明に用いられる粒体は、無機物あるいは有機物のいずれでもよいが、無機物の場合、シリカ粉末が特に好ましい。有機物の場合、たとえばウレタン樹脂粒子、ナイロン粒子、シリコーンゴム粒子、エポキシ樹脂粒子等が挙げられる。これらの粒子は単独でまたは2種以上混合して用いられる。適当な粒体は表面層の表面粗度Rzを0.05〜10.0μmの範囲に調製できる物質を選べばよいが、粒体の粒子径が1〜20μmの範囲にあると所望の表面粗度範囲が達成されやすい。粒子径が20μmを超すと、表面粗度Rzも10.0μmを超し、所期の目的を果さない。逆に、粒子径が1μm未満であると、表面粗度Rzが0.05μm未満となりやすくこれも所期の目的を果さない。
【0033】
表面粗度Rzを0.05〜10.0μmの範囲に設定する理由は、10.0μmを超すとローラ表面に対するトナーのフィルミングが顕著になるからであり、0.05μm未満であると帯電ローラと感光体ドラムの密着性が高まり、すなわち接触面積が大きくなるので帯電音の抑制ができなくなるからである。
【0034】
粉体の表面層中の配合割合は、樹脂100質量部に対して約5〜約20質量部の割合で配合し、分散することが好ましい。
【0035】
本発明の帯電ローラは、たとえば次のようにして製造することができる。すなわち、まず円筒状成形空間を有する成形型内に、金属製の回転軸(芯金)を入れ成形型内に導電性弾性体層形成材料を充填し、加硫を行うことにより回転軸の外周面に導電性弾性体層を形成する。次いで、導電性弾性体層の形成された回転軸を成形型から取出す。一方、ウレタン樹脂等の材と、粒体、導電付与剤その他の添加剤を配合し、この配合物をボールミル等を用いて混合、撹拌し表面層形成材料混合物を調製する。そしてこの混合物をディップ法、ロールコート法、スプレーコーティング法等によって前記導電性弾性体層の形成された回転軸表面に均一な厚みに塗工して乾燥し、加熱硬化することにより2層構造の帯電ローラを製造することができる。このようにして得られる帯電ローラは、その最外層である表面層の表面の粗度Rzが0.05〜10.0μmに形成される。
【0036】
次に本発明の画像形成装置について述べる。
図5はローラ帯電を行う画像形成装置の1例を示す図である。この画像形成装置は本発明を実施するためのものであり、静電潜像形成のための帯電極に帯電ローラを感光体ドラムに接触させて帯電せしめ(帯電工程)、又トナーを転写紙へ転写するための転写極に転写ローラを用いている(転写工程)。この転写ローラを直接或いは転写紙を挟んで感光体ドラムに接触させることによりオゾンの発生を回避させた態様のものでいわゆる接触帯電方式を採用しており、そして非接触現像により静電潜像を現像するものである。
【0037】
図5(a)において帯電ローラ1によって帯電された感光体ドラム2上に静電潜像が形成される(像露光工程)。そして、この静電潜像は、感光体ドラム2に近接して配置された現像装置3の現像剤担持体である現像スリーブ4によってトナー像に現像される(現像工程)。そして、転写前の除電ランプ5によって感光体ドラム2の電荷が除電された後、トナー像は、給紙カセットから搬送ローラ8によって搬送されてきた転写紙Pに、転写ローラ6によりトナーと逆極性の電荷が付与され、この逆極性の電荷の静電気力により転写紙Pにトナーが転写される。トナー転写後の転写紙Pは、感光体ドラム2から分離された後、搬送ベルト7によって定着装置へ送られ、加熱ローラと押圧ローラによってトナー像が転写紙Pに定着される(定着工程)。
【0038】
前記帯電ローラ1(及び転写ローラ6)には電源9(10)からDC及びAC成分から成るバイアス電圧が印加され、オゾン発生量が極めて少い状態で感光体ドラム2への帯電及びトナー像の転写紙Pへの帯電が行なわれる。前記電圧は通常±500〜1000VのDCバイアスとこれに重畳して100Hz〜10KHz、200〜3500V(p−p)のACバイアスとからなる。
【0039】
前記帯電ローラ1及び転写ローラ6は感光体ドラム2への圧接下に従動又は強制回転される。
【0040】
前記感光体ドラム2への圧接は10〜100g/cmとされローラの回転は感光体ドラム2の周速の1〜8倍とされる。
【0041】
図5(b)に示すように前記帯電ローラ1(及び転写ローラ6)は芯金20と、その外周に設けられた導電性弾性部材であるクロルプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等のゴム層又はそれらのスポンジ層21から成り、好ましくは最外層に0.01〜1μm厚の離型性弗素系樹脂又はシリコーン樹脂層から成る保護層22を設けて構成される。
【0042】
転写後の感光体ドラム2はクリーニング器11のクリーニングブレード12の圧接によりクリーニングされ次の画像形成に供えられる。
【0043】
電子写真画像形成装置としては、感光体と、現像器、クリーニング器等の構成要素をプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このユニットを装置本体に対して着脱自在に構成しても良い。又像露光器、現像器、転写又は分離器、クリーニング器の少なくとも1つを感光体とともに一体に支持してプロセスカートリッジを形成し、装置本体に着脱自在の単一ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としても良い。
【0044】
尚、前記図5においては、帯電器、及び転写極ともローラ帯電器を用いているが、本発明においては、本発明の必須構成要件は帯電器に帯電ローラを用いることであり、転写極には転写ローラ以外の転写手段を用いても良い。
【0045】
次に、帯電用磁気ブラシを形成する磁気粒子について説明する。
図6は接触式の磁気ブラシ帯電装置の図、図7は図6の帯電装置による交流バイアス電圧と帯電電位との関係を示す図である。
【0046】
一般に帯電用磁気ブラシを形成する磁気粒子の体積平均粒径が大きいと、帯電用磁気粒子搬送体(搬送担体)上に形成される磁気ブラシの穂の状態が粗いために、電界による振動を与えながら帯電しても、磁気ブラシにムラが現れ易く、帯電ムラの問題が起こる。この問題を解消するには、磁気粒子の体積平均粒径を小さくすればよく、実験の結果、体積平均粒径が200μm以下でその効果が現れ始め、特に150μm以下になると、実質的に磁気ブラシの穂の粗に伴う問題が生じなくなる。しかし、粒子が細か過ぎると帯電時に感光体ドラム50面に付着するようになったり、飛散し易くなったりする。これらの現象は、粒子に作用する磁界の強さ、それによる粒子の磁化の強さにも関係するが、一般的には、粒子の体積平均粒径が20μm以下に顕著に現れるようになる。
【0047】
以上から、磁気粒子の粒径は体積平均粒径が200μm以下、20μm以上であり、且つ該磁気粒子の個数平均粒径の1/2倍以下の粒径を有する磁気粒子を30個数%以下とすることが必要である。なお、磁化の強さは30〜100emu/gのものが好ましく用いられる。
【0048】
このような磁気粒子は、磁性体として前述した従来の二成分現像剤の磁性キャリヤ粒子におけると同様の、鉄、クロム、ニッケル、コバルト等の金属、あるいはそれらの化合物や合金、例えば四三酸化鉄、γ−酸化第二鉄、二酸化クロム、酸化マンガン、フェライト、マンガン−銅系合金、と云った強磁性体の粒子、又はそれら磁性体粒子の表面をスチレン系樹脂、ビニル系樹脂、エチレン系樹脂、ロジン変性樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等の樹脂で被覆するか、あるいは、磁性体微粒子を分散して含有した樹脂で作るかして得られた粒子を従来公知の平均粒径選別手段で粒径選別することによって得られる。
【0049】
なお、磁気粒子を球状に形成することは、搬送担体に形成される粒子層が均一となり、また搬送担体に高いバイアス電圧を均一に印加することが可能となると云う効果も与える。即ち、磁気粒子が球形化されていることは、(1)一般に、磁気粒子は長軸方向に磁化吸着され易いが、球形化によってその方向性がなくなり、従って、磁気粒子層が均一に形成され、局所的に抵抗の低い領域や層厚のムラの発生を防止する、(2)磁気粒子の高抵抗化と共に、従来の粒子に見られるようなエッジ部が無くなって、エッジ部への電界の集中が起こらなくなり、その結果、帯電用磁気粒子の搬送担体に高いバイアス電圧を印加しても、感光体ドラム50面に均一に放電して帯電ムラが起こらない、という効果を与える。
【0050】
以上のような効果を奏する球形粒子には磁気粒子の抵抗率が105〜1010Ωcmであるように導電性の磁気粒子を形成したものが好ましい。この抵抗率は、粒子を0.50cm2の断面積を有する容器に入れてタッピングした後、詰められた粒子上に1kg/cm2の荷重を掛け、荷重と底面電極との間に1000V/cmの電界が生ずる電圧を印加したときの電流値を読み取ることで得られる値であり、この抵抗率が低いと、搬送担体にバイアス電圧を印加した場合に、磁気粒子に電荷が注入されて、感光体ドラム50面に磁気粒子が付着し易くなったり、あるいはバイアス電圧による感光体ドラム50の絶縁破壊が起こり易くなったりする。また、抵抗率が高いと電荷注入が行われず帯電が行われない。
【0051】
さらに、接触式の磁気ブラシ帯電装置120に用いられる磁気粒子は、それにより構成される磁気ブラシが振動電界により軽快に動き、しかも外部飛散が起きないように、比重が小さく、且つ適度の最大磁化を有するものが望ましい。具体的には真比重が6以下で最大磁化が30〜100emu/gのもの、特に40〜80emu/gを用いると好結果が得られることが判明した。
【0052】
以上を総合して、磁気粒子は、少なくとも長軸と短軸の比が3倍以下であるように球形化されており、針状部やエッジ部等の突起が無く、抵抗率は好ましくは105〜1010Ωcmの範囲にあることが望まれる。そして、このような球状の磁気粒子は、磁性体粒子にできるだけ球形のものを選ぶこと、磁性体微粒子分散系の粒子では、できるだけ磁性体の微粒子を用いて、分散樹脂粒子形成後に球形化処理を施すこと、あるいはスプレードライの方法によって分散樹脂粒子を形成すること等によって製造される。
【0053】
図6又は図7によれば、帯電装置としての磁気ブラシ帯電装置120は回転する感光体ドラム50と対向し、感光体ドラム50との近接部(帯電部T)において同方向(反時計方向)に回転される帯電用磁気粒子搬送体としての、例えばアルミ材やステンレス材を用いた円筒状の帯電スリーブ120aと、該帯電スリーブ120aの内部に設けられるN、S極よりなる磁石体121と、該磁石体121により帯電スリーブ120aの外周面上に形成され感光体ドラム50を帯電する磁気粒子からなる磁気ブラシと、磁石体121のN−N磁極部において該帯電スリーブ120a上の磁気ブラシを掻取るスクレーパ123と、磁気ブラシ帯電装置120内の磁気粒子を撹拌或いは磁気粒子供給時に使用済み磁気粒子を磁気ブラシ帯電装置120の排出口125より溢れさせて排出する撹拌スクリュウ124と、磁気ブラシの穂立ち規制板126とにより構成される。帯電スリーブ120aは磁石体121に対し回動可能になっていて、感光体ドラム50との対向位置で感光体ドラム50の移動方向と同方向(反時計方向)に0.1〜1.0倍の周速度で回転させられるのが好ましい。また帯電スリーブ120aは、帯電バイアス電圧を印加し得る導電性の搬送担体が用いられるが、特に、表面に粒子層が形成される導電性の帯電スリーブ120aの内部に複数の磁極を有する磁石体121が設けられている構造のものが好ましく用いられる。このような搬送担体においては、磁石体121との相対的な回転によって、導電性の帯電スリーブ120aの表面に形成される磁気粒子層が波状に起伏して移動するようになるから、新しい磁気粒子が次々と供給され、帯電スリーブ120a表面の磁気粒子層に多少の層厚の不均一があっても、その影響は上記波状の起伏によって実際上問題とならないように十分カバーされる。帯電スリーブ120aの表面は磁気粒子の安定な均一搬送のために表面の平均粗さを5.0〜30μmとすることが好ましい、平滑であると搬送は十分に行えなく、粗すぎると表面の凸部から過電流が流れ、どちらにしても帯電ムラが生じ易い。上記の表面粗さとするにはサンドブラスト処理が好ましく用いられる。また、帯電スリーブ120aの外径は5.0〜20mmが好ましい。これにより、帯電に必要な接触領域を確保する。接触領域が必要以上に大きいと帯電電流が過大となるし、小さいと帯電ムラが生じ易い。また上記のように小径とした場合、遠心力により磁気粒子が飛散あるいは感光体ドラム50に付着し易いために、帯電スリーブ120aの線速度は感光体ドラム50の移動速度と殆ど同じか、それよりも遅いことが好ましい。
【0054】
また、帯電スリーブ120a上に形成する磁気粒子層の厚さは、規制手段によって十分に掻き落されて均一な層となる厚さであることが好ましい。帯電領域において帯電スリーブ120aの表面上の磁気粒子の存在量が多すぎると磁気粒子の振動が十分に行われず感光体の摩耗や帯電ムラを起こすとともに過電流が流れ易く、帯電スリーブ120aの駆動トルクが大きくなるという欠点がある。反対に磁気粒子の帯電領域における帯電スリーブ120a上の存在量が少な過ぎると感光体ドラム50への接触に不完全な部分を生じ磁気粒子の感光体ドラム50上への付着や帯電ムラを起こすことになる。実験を重ねた結果、帯電領域における磁気粒子の好ましい付着量は100〜400mg/cm2であり、特に好ましくは200〜300mg/cm2であることが判明している。なお、この付着量は、磁気ブラシの帯電領域における平均値である。
【0055】
帯電装置としての磁気ブラシ帯電装置120には、直流(DC)バイアスE3に必要により交流(AC)バイアスAC3が重畳される帯電バイアス、例えば直流バイアスE3としてトナーと同極性(本実施形態においてはマイナス極性)の−100〜−500Vが、また交流バイアスAC3として周波数1〜5kHz、電圧300〜500VP−Pの帯電バイアスが印加される帯電スリーブ120aにより、感光体ドラム50の周面が接触、摺擦されて感光体ドラム50が帯電される。帯電スリーブ120aと感光体ドラム50との間には前記交流バイアスAC3の電圧印加による振動電界が形成されているので、磁気ブラシを経て感光体層10a上への電荷の注入が円滑に行われて一様に高速な帯電が行われる。
【0056】
感光体ドラム50を帯電した帯電スリーブ120a上の磁気ブラシは、磁石体121に設けられるN−N磁極部において、スクレーパ123により帯電スリーブ120a上より落下され帯電スリーブ120aとの近接部において帯電スリーブ120aと逆方向(反時計方向)に回転する撹拌スクリュウ124により撹拌された後、再度磁気ブラシ形成され帯電部Tに搬送される。
【0057】
図7に示すように、帯電バイアスの交流バイアスAC3のピーク・ピーク電圧(VP−P)と帯電電位との関係は、ピーク・ピーク電圧VP−Pが大きくなるに従い帯電電位が大きくなり、帯電電位はピーク・ピーク電圧が一定のV1で帯電バイアスの直流バイアスE3の値VSとほぼ等しい値で飽和し、それ以上ピーク・ピーク電圧VP−Pを大きくしても帯電電位は殆ど変化しないという特性がある。磁気粒子の電気抵抗は環境条件によっても変化するが、また使用するに従い磁気粒子の表面にトナーが融着するなどして電気抵抗は高くなる。このため、特性曲線は使用初期の新しい磁気粒子の場合は実線で示す(a)のように左側に、長期間使用した磁気粒子の場合は前記特性曲線は点線で示す(b)のように右側に位置することになる。
【0058】
本発明の画像形成装置の接触方式による帯電装置では、装着電源のon時或いはプリント開始前に帯電電位に相当する直流バイアスE3の電圧値を所定値とし、交流バイアスAC3のピーク・ピーク電圧(VP−P)を低い値から次第に大きくした帯電バイアスを印加してその時変化する感光体ドラム50の帯電電位を電位計ESによって検出する。検出される帯電電位はA/D変換器によってディジタル値に変換されたのち制御部(CPU)に入力される。制御部ではこの帯電電位が所定値VSの飽和点に達した時のVP−Pの値を適正バイアス値V1と規定してプリント動作とする。
【0059】
即ち、プリントが行われる時交流バイアスAC3を低い値から次第に大きくして(スイープして)交流バイアスAC3のVP−Pの値V1を求め、制御部からバイアス信号が出力される。この制御信号はD/A変換器によってアナログ値に変換された後交流バイアスAC3に送出され、交流バイアスAC3は決定されたピーク・ピーク電圧V1を出力する。その際のピーク・ピーク電圧V1の値とメモリに格納された磁気粒子の劣化により交換すべき規定値V2を読み出しこれと比較する。磁気粒子はトナーの混入により抵抗が増加するので、プリントの使用に従い適正バイアス値V1が増加する。これに伴い印加するVP−Pが増加し帯電不能な状態が生じることになる。測定した電圧値が帯電不能を示す規定値V2より小さい間は画像形成を続けるが、規定値V2より大きくなると、制御部より画像形成動作停止信号が送出され画像形成動作を停止し、不図示の操作部の表示部に帯電装置異常の表示を行う。この表示に基づき、帯電用の磁気粒子の供給ボトル220を磁気ブラシ帯電装置120にセットし、供給ボトル220底面の不図示の開閉蓋を開口して磁気粒子を磁気ブラシ帯電装置120に落下、供給する。上記において感光体ドラム50の電位の測定に電位計ESを用いたが、バイアス電源に直流電流計を繋いで用いて交流バイアスVP−Pを変化させ、この電流値が飽和点に達した時のVP−Pを適正バイアス値V1と設定し、規定値V2との比較を行いV1を越えた時磁気粒子の供給を行うようにしてもよい。
【0060】
またメンテナンス時或いは例えば5万プリント等の定期時に、帯電用の磁気粒子の交換が行われる。メモリに記憶されたメンテナンスプリント毎や例えば5万プリント毎の定期時に、制御部を通して交換信号が出され、不図示の駆動モータの駆動により予めセットされた帯電用の磁気粒子の供給ボトル220の供給ローラ221が回転され、供給ボトル220内の磁気粒子が磁気ブラシ帯電装置120内に全量が1回で落下される。供給後空の供給ボトル220を外し、新たな供給ボトル220をセットすることにより画像形成装置が作動状態となるように制御することも可能である。また、定期時に制御部より不図示の操作部に例えばランプの点滅等による供給信号を表示し、供給ボトル220を磁気ブラシ帯電装置120にセットし、供給ボトル220底面の不図示の開閉蓋を開口して磁気粒子を供給するようにしてもよい。
【0061】
落下された磁気粒子は回転される帯電スリーブ120aにより搬送され、スクレーパ123により帯電スリーブ120a表面より掻落とされて磁気ブラシ帯電装置120の底部に補給される。これに伴い、反時計方向に回転される撹拌スクリュウ124により磁気ブラシ帯電装置120内部に収納されている使用済みの磁気粒子が排出口125より溢れ出され、ダクトDBを通して共通の磁気粒子回収容器300に回収される。この際、供給ボトル220より磁気ブラシ帯電装置120内に供給される1回の磁気粒子供給量は磁気ブラシ帯電装置120内に収納される全磁気粒子に対して、20〜50質量%が好ましい。20質量%未満では新規に供給される磁気粒子量が少な過ぎ交換効果がなく良好な帯電が行われず、50質量%を越えると新規の磁気粒子が溢れ出てしまう。
【0062】
上記により、帯電装置内の磁気粒子が劣化されることなく良好な帯電性能が長期に維持される。
【0063】
図8は本発明の磁気ブラシ帯電器を有する画像形成装置の1例を示す断面図である。図8において50は像担持体である感光体ドラム(感光体)で、有機感光層をドラム上に塗布し、その上に本発明の構成を有する感光体で、接地されて時計方向に駆動回転される。52は磁気ブラシ帯電器で、感光体ドラム50周面に対し一様な帯電を与えられる(帯電工程)。この帯電器52による帯電に先だって、前画像形成での感光体の履歴をなくすために発光ダイオード等を用いた露光部51による露光を行って感光体周面の除電をしてもよい。
【0064】
感光体への一様帯電ののち像露光器53により画像信号に基づいた像露光が行われる(像露光工程)。この図の像露光器53は図示しないレーザダイオードを露光光源とする。回転するポリゴンミラー531、fθレンズ等を経て反射ミラー532により光路を曲げられた光により感光体ドラム上の走査がなされ、静電潜像が形成される。
【0065】
その静電潜像は次いで現像器54で現像される(現像工程)。感光体ドラム50周縁にはトナーとキャリアとから成る現像剤を内蔵した現像器54が設けられていて、マグネットを内蔵し現像剤を保持して回転する現像スリーブ541によって現像が行われる。現像剤は、例えば前述のフェライトをコアとしてそのまわりに絶縁性樹脂をコーティングしたキャリアと、前述のスチレンアクリル系樹脂を主材料としてカーボンブラック等の着色剤と荷電制御剤と低分子量ポリオレフィンからなる着色粒子に、シリカ、酸化チタン等を外添したトナーとからなるもので、現像剤は図示していない層形成手段によって現像スリーブ541上に100〜600μmの層厚に規制されて現像域へと搬送され、現像が行われる。この時通常は感光体ドラム50と現像スリーブ541の間に直流バイアス、必要に応じて交流バイアス電圧をかけて現像が行われる。また、現像剤は感光体に対して接触あるいは非接触の状態で現像される。
【0066】
転写材(記録紙とも云う)Pは画像形成後、転写のタイミングの整った時点で給紙ローラ57の回転作動により転写域へと給紙される。
【0067】
転写域においては転写のタイミングに同期して感光体ドラム50の周面に転写ローラ(転写器)58が圧接され、給紙された転写材Pを挟着して転写される(転写工程)。
【0068】
次いで転写材Pは転写ローラとほぼ同時に圧接状態とされた分離ブラシ(分離器)59によって除電がなされ、感光体ドラム50の周面により分離して定着装置60に搬送され、熱ローラ601と圧着ローラ602の加熱、加圧によってトナーを溶着したのち(定着工程)排紙ローラ61を介して装置外部に排出される。なお前記の転写ローラ58及び分離ブラシ59は転写材Pの通過後感光体ドラム50の周面より退避離間して次なるトナー像の形成に備える。
【0069】
一方転写材Pを分離した後の感光体ドラム50は、クリーニング器62のクリーニングブレード621の圧接により残留トナーを除去・清掃し、再び露光部51による除電と帯電器52による帯電を受けて次なる画像形成のプロセスに入る。
【0070】
尚、70は感光体、帯電器、転写器・分離器及びクリーニング器を一体化されている着脱可能なプロセスカートリッジである。
【0071】
画像形成装置としては、上述の感光体と、現像器、クリーニング器等の構成要素をプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このユニットを装置本体に対して着脱自在に構成しても良い。又、帯電器、像露光器、現像器、転写又は分離器、及びクリーニング器の少なくとも1つを感光体とともに一体に支持してプロセスカートリッジを形成し、装置本体に着脱自在の単一ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としても良い。
【0072】
像露光は、画像形成装置を複写機やプリンターとして使用する場合には、原稿からの反射光や透過光を感光体に照射すること、或いはセンサーで原稿を読み取り信号化し、この信号に従ってレーザビームの走査、LEDアレイの駆動、又は液晶シャッターアレイの駆動を行い感光体に光を照射することなどにより行われる。
【0073】
尚、ファクシミリのプリンターとして使用する場合には、像露光器13は受信データをプリントするための露光を行うことになる。
【0074】
本発明の画像形成装置は、複写機、レーザプリンター、LEDプリンター、液晶シャッター式プリンター等の電子写真装置一般に適用し得るものであるが、更には電子写真技術を応用したディスプレイ、記録、軽印刷、製版、ファクシミリ等の装置にも広く適用し得るものである。
【0075】
有機感光体の構成
本発明に用いられる有機感光体は、導電性支持体上に電荷発生層、電荷輸送層の積層構造を有し、該電荷輸送層が分子量550〜2000の電荷輸送物質を含有することを特徴とする。
【0076】
有機感光体に帯電ローラ等の帯電部材を接触させて帯電し、多数枚の電子写真画像を形成する画像形成方法においては、表面層となる電荷輸送層に、分子量が550〜2000、好ましくは800〜1800の電荷輸送物質を用いることにより、トナー成分や紙粉成分の感光体表面への埋め込みを防止でき、小さな亀裂やクラック或いは電荷リークが発生しやすい外添剤の埋め込みを防止し、ブラックスポットや白点、黒ポチ等の画像欠陥を防止でき、併せて低温低湿下で発生しやすい文字細りを防止することができる。電荷輸送物質の分子量が550未満では、表面層の電荷輸送層にトナー成分や紙粉成分が感光体表面へ埋め込まれやすく、ブラックスポットや白点、黒ポチ等の画像欠陥を発生しやすい。一方、電荷輸送物質の分子量が2000より大きいと、電荷輸送物質と電荷輸送層のバインダー樹脂との溶解性が悪くなりやすく、感度や帯電能の電子写真特性を劣化させやすい。
【0077】
又、前記分子量の電荷輸送物質は、電荷輸送層に低モル数、即ち電荷輸送層のバインダー樹脂の単位質量当たり、1.0×10−4(mol/g)〜1.0×10−3(mol/g)電荷輸送物質を含有させることにより、電荷輸送層の膜物性を低下させずに、しかも良好な電子写真特性を有する有機感光体を達成できる。更に、電荷輸送層のバインダー樹脂の単位質量当たり、2.0×10−4(mol/g)〜9.0×10−4(mol/g)電荷輸送物質を含有させることがより好ましい。即ち、電荷輸送層に、比較的大きい分子量の電荷輸送物質を、バインダー樹脂の単位質量当たり低モル数で用いることにより、バインダー樹脂と電荷輸送物質の絡み合いを強め、その結果、電荷輸送層の表面が汚染されにくい構造を得ることができる。
【0078】
本発明の分子量を有する電荷輸送物質としては、ビス(アリールエテニルフェニル)アニリン系化合物又はビス又はトリブタジエン系化合物が好ましい。
【0079】
ビス(アリールエテニルフェニル)アニリン系化合物とはアニリンの窒素原子に同一化学構造のアリールエテニルフェニル基を2個有する化合物群を云うが、好ましくは下記一般式(1)で示される化合物である。
【0080】
【化1】
【0081】
一般式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5は各々水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基である。Ar1は水素原子又は置換、無置換の芳香族基、Ar2は置換、無置換の芳香族基を示す。
【0082】
又、一般式(1)のAr1、Ar2の置換、無置換の芳香族基が下記一般式(2)であることが好ましい。
【0083】
【化2】
【0084】
一般式(2)中、R6〜R17は各々水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、炭素原子数1〜4のハロゲン化アルキル基、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基である。
【0085】
以下に、本発明の好ましいビス(アリールエテニルフェニル)アニリン系化合物の例を挙げるが、本発明は下記の化合物例に限定されない。又、これらの化合物はいずれも立体異性体構造を持つことができる。
【0086】
【化3】
【0087】
【化4】
【0088】
【化5】
【0089】
【化6】
【0090】
【化7】
【0091】
【化8】
【0092】
【化9】
【0093】
一方、ビス又はトリブタジエン系化合物とは窒素原子を介して、ブタジエン構造2個又は3個を対称的に有する化合物を意味し、下記一般式(3)、一般式(4)で示される化合物が好ましい。
【0094】
【化10】
【0095】
一般式(3)中、R1,R2,R3,R4,R5,R6はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。m2及びn2は0又は1を示す。
【0096】
【化11】
【0097】
一般式(4)中、R7〜R13はそれぞれ同一であっても異なってもよく、水素原子、低級アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子又は置換していてもよいアリール基を示し、m3及びn3は0又は1を示す。
【0098】
以下に、ビス又はトリブタジエン系化合物の電荷輸送物質の化合物例を挙げるが、本発明は下記の化合物例に限定されない。又、これらの化合物の合成法については特開平4−290852号、特開平9−244278号等に記載されている。
【0099】
【化12】
【0100】
【化13】
【0101】
【化14】
【0102】
【化15】
【0103】
【化16】
【0104】
【化17】
【0105】
【化18】
【0106】
【化19】
【0107】
【化20】
【0108】
【化21】
【0109】
次に、上記のような電荷輸送物質を用いた有機感光体の層構成について記載する。
【0110】
本発明の有機感光体とは電子写真感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能及び電荷輸送機能の少なくとも一方の機能を有機化合物に持たせて構成された電子写真感光体を意味し、公知の有機電荷発生物質又は有機電荷輸送物質から構成された感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能を高分子錯体で構成した感光体等公知の有機電子写真感光体を全て含有する。
【0111】
以下に本発明に用いられる有機感光体の構成について記載する。
導電性支持体
感光体に用いられる導電性支持体としてはシート状、円筒状のどちらを用いても良いが、画像形成装置をコンパクトに設計するためには円筒状導電性支持体の方が好ましい。
【0112】
円筒状導電性支持体とは回転することによりエンドレスに画像を形成できるに必要な円筒状の支持体を意味し、真直度で0.1mm以下、振れ0.1mm以下の範囲にある導電性の支持体が好ましい。この真直度及び振れの範囲を超えると、良好な画像形成が困難になる。
【0113】
導電性の材料としてはアルミニウム、ニッケルなどの金属ドラム、又はアルミニウム、酸化錫、酸化インジュウムなどを蒸着したプラスチックドラム、又は導電性物質を塗布した紙・プラスチックドラムを使用することができる。導電性支持体としては常温で比抵抗103Ωcm以下が好ましい。
【0114】
本発明で用いられる導電性支持体は、その表面に封孔処理されたアルマイト膜が形成されたものを用いても良い。アルマイト処理は、通常例えばクロム酸、硫酸、シュウ酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸等の酸性浴中で行われるが、硫酸中での陽極酸化処理が最も好ましい結果を与える。硫酸中での陽極酸化処理の場合、硫酸濃度は100〜200g/L、アルミニウムイオン濃度は1〜10g/L、液温は20℃前後、印加電圧は約20Vで行うのが好ましいが、これに限定されるものではない。又、陽極酸化被膜の平均膜厚は、通常20μm以下、特に10μm以下が好ましい。
【0115】
中間層
本発明においては導電性支持体と感光層の間に、バリヤー機能を備え、電荷リークを防止できる中間層を設けることが好ましい。
【0116】
本発明においては導電性支持体と前記感光層のとの接着性改良、或いは該支持体からの電荷注入を防止するために、該支持体と前記感光層の間に中間層(下引層も含む)を設けることもできる。該中間層の材料としては、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂が挙げられる。これら下引き樹脂の中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を小さくできる樹脂としてはポリアミド樹脂が好ましい。又、これら樹脂を用いた中間層の膜厚は0.01〜0.5μmが好ましい。
【0117】
又、本発明に好ましく用いられる中間層はシランカップリング剤、チタンカップリング剤等の有機金属化合物を熱硬化させた硬化性金属樹脂を用いた中間層が挙げられる。硬化性金属樹脂を用いた中間層の膜厚は、0.1〜2μmが好ましい。
【0118】
又、本発明に好ましく用いられる中間層は無機粒子をバインダー樹脂中に分散した中間層が挙げられる。無機粒子の平均粒径は0.01〜0.5μmが好ましい。特に、表面処理をしたN型半導性微粒子をバインダー中に分散した中間層が好ましい。例えばシリカ・アルミナ処理及びシラン化合物で表面処理した平均粒径が0.01〜0.5μmの酸化チタンをポリアミド樹脂中に分散した中間層が挙げられる。このような中間層の膜厚は、1〜20μmが好ましい。このような中間層を設けることにより、導電性支持体からの電荷注入を防止すると共に、感光体表面に埋め込まれた外添剤や小さな亀裂等からの電荷リークを防止でき、ブラックスポットや白点、黒ポチの発生を防止することが出来る。
【0119】
N型半導性微粒子とは、導電性キャリアを電子とする性質をもつ微粒子を示す。すなわち、導電性キャリアを電子とする性質とは、該N型半導性微粒子を絶縁性バインダーに含有させることにより、基体からのホール注入を効率的にブロックし、また、感光層からの電子に対してはブロッキング性を示さない性質を有するものをいう。
【0120】
ここで、N型半導性粒子の判別方法について説明する。
導電性支持体上に膜厚5μmの中間層(中間層を構成するバインダー樹脂中に粒子を50質量%分散させた分散液を用いて中間層を形成する)を形成する。該中間層に負極性に帯電させて、光減衰特性を評価する。又、正極性に帯電させて同様に光減衰特性を評価する。
【0121】
N型半導性粒子とは、上記評価で、負極性に帯電させた時の光減衰が正極性に帯電させた時の光減衰よりも大きい場合に、中間層に分散された粒子をN型半導性粒子という。
【0122】
前記N型半導性微粒子は、具体的には酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)等の微粒子が挙げられるが、本発明では、特に酸化チタンが好ましく用いられる。
【0123】
本発明に用いられるN型半導性微粒子の平均粒径は、数平均一次粒径において10nm以上500nm以下の範囲のものが好ましく、より好ましくは10nm〜200nm、特に好ましくは、15nm〜50nmである。
【0124】
数平均一次粒径の値が前記範囲内にあるN型半導性微粒子を用いた中間層は層内での分散を緻密なものとすることができ、十分な電位安定性、及び白点、黒ポチ発生防止機能を有する。
【0125】
前記N型半導性微粒子の数平均一次粒径は、例えば酸化チタンの場合、透過型電子顕微鏡観察によって10000倍に拡大し、ランダムに100個の粒子を一次粒子として観察し、画像解析によりフェレ径の数平均径として測定される。
【0126】
本発明に用いられるN型半導性微粒子の形状は、樹枝状、針状および粒状等の形状があり、このような形状のN型半導性微粒子は、例えば酸化チタン粒子では、結晶型としては、アナターゼ型、ルチル型及びアモルファス型等があるが、いずれの結晶型のものを用いてもよく、また2種以上の結晶型を混合して用いてもよい。その中でもルチル型のものが最も良い。
【0127】
N型半導性微粒子に行われる疎水化表面処理の1つは、複数回の表面処理を行い、かつ該複数回の表面処理の中で、最後の表面処理が反応性有機ケイ素化合物による表面処理を行うものである。また、該複数回の表面処理の中で、少なくとも1回の表面処理がアルミナ、シリカ、及びジルコニアから選ばれる少なくとも1種類以上の表面処理であり、最後に反応性有機ケイ素化合物の表面処理を行うことが好ましい。
【0128】
尚、アルミナ処理、シリカ処理、ジルコニア処理とはN型半導性微粒子表面にアルミナ、シリカ、或いはジルコニアを析出させる処理を云い、これらの表面に析出したアルミナ、シリカ、ジルコニアにはアルミナ、シリカ、ジルコニアの水和物も含まれる。又、反応性有機ケイ素化合物の表面処理とは、処理液に反応性有機ケイ素化合物を用いることを意味する。
【0129】
この様に、酸化チタン粒子の様なN型半導性微粒子の表面処理を少なくとも2回以上行うことにより、N型半導性微粒子表面が均一に表面被覆(処理)され、該表面処理されたN型半導性微粒子を中間層に用いると、中間層内における酸化チタン粒子等のN型半導性微粒子の分散性が良好で、かつ白点、黒ポチ等の画像欠陥を発生させない良好な感光体を得ることができるのである。
【0130】
感光層
本発明の感光体の感光層構成は前記中間層上に電荷発生機能と電荷輸送機能を1つの層に持たせた単層構造の感光層構成でも良いが、より好ましくは感光層の機能を電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)に分離した構成をとるのがよい。機能を分離した構成を取ることにより繰り返し使用に伴う残留電位増加を小さく制御でき、その他の電子写真特性を目的に合わせて制御しやすい。負帯電用の感光体では中間層の上に電荷発生層(CGL)、その上に電荷輸送層(CTL)の構成を取ることが好ましい。正帯電用の感光体では前記層構成の順が負帯電用感光体の場合の逆となる。本発明の最も好ましい感光層構成は前記機能分離構造を有する負帯電感光体構成である。
【0131】
以下に機能分離負帯電感光体の感光層構成について説明する。
電荷発生層
電荷発生層には電荷発生物質(CGM)を含有する。その他の物質としては必要によりバインダー樹脂、その他添加剤を含有しても良い。
【0132】
電荷発生物質(CGM)としては公知の電荷発生物質(CGM)を用いることができる。例えばフタロシアニン顔料、アゾ顔料、ペリレン顔料、アズレニウム顔料などを用いることができる。これらの中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできるCGMは複数の分子間で安定な凝集構造をとりうる立体、電位構造を有するものであり、具体的には特定の結晶構造を有するフタロシアニン顔料、ペリレン顔料のCGMが挙げられる。例えばCu−Kα線に対するブラッグ角2θが27.2°に最大ピークを有するチタニルフタロシアニン、同2θが12.4に最大ピークを有するベンズイミダゾールペリレン等のCGMは繰り返し使用に伴う劣化がほとんどなく、残留電位増加を小さくすることができる。
【0133】
電荷発生層にCGMの分散媒としてバインダーを用いる場合、バインダーとしては公知の樹脂を用いることができるが、最も好ましい樹脂としてはホルマール樹脂、ブチラール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性ブチラール樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。バインダー樹脂と電荷発生物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し20〜600質量部が好ましい。これらの樹脂を用いることにより、繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできる。電荷発生層の膜厚は0.01μm〜2μmが好ましい。
【0134】
電荷輸送層
本発明で電荷輸送層とは、電荷発生物質等で発生した電荷キャリア(電子又はホール)を輸送する機能を有する層を意味する。
【0135】
本発明の電荷輸送層は分子量550〜2000の電荷輸送物質(CTM)を含有することを特徴とする。該電荷輸送層はCTMを分散し製膜するバインダー樹脂を含有する。その他の物質としては必要により酸化防止剤等の添加剤を含有しても良い。又、分子量が550未満又は2000より大きい電荷輸送物質を併用することも可能であるが、本発明外の分子量の電荷輸送物質は本発明内の電荷輸送物質の当モル未満で用いることが好ましい。
【0136】
電荷輸送物質(CTM)としては前記した電荷輸送物質の他に公知の電荷輸送物質を併用して用いることもできる。例えばトリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物などを併用して、用いることができる。これら電荷輸送物質は通常、適当なバインダー樹脂中に溶解して層形成が行われる。
【0137】
電荷輸送層(CTL)に用いられる樹脂としては、例えばポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂。又これらの絶縁性樹脂の他、ポリ−N−ビニルカルバゾール等の高分子有機半導体が挙げられる。
【0138】
これらCTLのバインダーとして最も好ましいものはポリカーボネート樹脂である。ポリカーボネート樹脂はCTMの分散性、電子写真特性を良好にすることにおいて、最も好ましい。又電荷輸送層が表面層となる感光体の場合は、機械的摩耗に強いポリカーボネートが好ましく、このようなポリカーボネートとしては平均分子量が40,000〜25,000のポリカーボネートが好ましい。ここで平均分子量は数平均分子量、重量平均分子量、及び粘度平均分子量のいずれのものでもよい。バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し10〜200質量部が好ましい。又、電荷輸送層の膜厚は10〜40μmが好ましい。
【0139】
又、電荷輸送層には酸化防止剤を含有させることが好ましい。該酸化防止剤とは、その代表的なものは有機感光体中ないしは有機感光体表面に存在する自動酸化性物質に対して、光、熱、放電等の条件下で酸素の作用を防止ないし、抑制する性質を有する物質である。代表的には下記の化合物群が挙げられる。
【0140】
【化22】
【0141】
【化23】
【0142】
【化24】
【0143】
【化25】
【0144】
電荷輸送層は2層以上の層構成にしてもよい。この場合は表面の電荷輸送層が本発明の構成を満たせばよい。
【0145】
中間層、感光層、保護層等の層形成に用いられる溶媒又は分散媒としては、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ等が挙げられる。本発明はこれらに限定されるものではないが、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン等が好ましく用いられる。また、これらの溶媒は単独或いは2種以上の混合溶媒として用いることもできる。
【0146】
本発明の有機感光体を製造するための塗布加工方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、円形量規制型塗布等の塗布加工法が用いられるが、感光層の上層側の塗布加工は下層の膜を極力溶解させないため、又、均一塗布加工を達成するためスプレー塗布又は円形量規制型(円形スライドホッパ型がその代表例)塗布等の塗布加工方法を用いるのが好ましい。なお前記スプレー塗布については例えば特開平3−90250号及び特開平3−269238号公報に詳細に記載され、前記円形量規制型塗布については例えば特開昭58−189061号公報に詳細に記載されている。
【0147】
現像用トナーの構成
次に、本発明の現像工程でに用いられるトナーについて説明する。
【0148】
トナー像の形成の為に用いられるトナーは、
▲1▼トナー粒子の形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子の割合が65個数%以上、
▲2▼角がないトナー粒子の割合が50個数%以上、
▲3▼トナー粒子の粒径をD(μm)とするとき、自然対数lnDを横軸にとり、この横軸を0.23間隔で複数の階級に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムにおける最頻階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m1)と、前記最頻階級の次に頻度の高い階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m2)との和(M)が70%以上。
【0149】
即ち、本発明の画像形成方法では、前記した有機感光体に加え、現像剤のトナーとして、上記▲1▼〜▲3▼の少なくとも1つ以上の条件を満たしたトナーを含有した現像剤を用いて本発明の有機感光体に適用することにより、有機感光体の表面の汚染や亀裂をより効果的に防止し、反転現像におけるブラックスポットや白点、黒ポチ等の画像欠陥の発生を防止し、接触部材を用いても、良好な電子写真画像を得ることができる。
【0150】
即ち、トナー自体の形状分布を均一化することにより、感光体表面へのトナー成分の汚染防止が容易になり、接触帯電部材を用いたときの電荷リークをよりよく防止することができる。
【0151】
又、本発明者等は鋭意検討した結果、角がないトナー粒子ではその表面の平滑性により、その平滑な表面性により、感光体表面へのトナー成分の埋め込みが防止され、接触帯電部材を用いたときの電荷リークをよりよく防止することができる。
【0152】
又、トナー自体の粒度分布をシャープにすることにより、感光体表面へのトナー成分の汚染防止が容易になり、接触帯電部材を用いたときの電荷リークをよりよく防止することができる。
【0153】
本発明者等は、接触帯電部材を有する画像形成装置では、画像形成を繰り返した場合には、形が不揃いなトナー粒子、角となる部分を有するトナー粒子、粒径が特に大きい或いは小さいトナーが、感光体表面を汚染させやすく、その結果、感光体表面に小さな突起や亀裂を発生し、電荷リーク点を増大させやすい傾向がある。この理由については明確ではないが、トナー粒子の形が不揃いである場合には現像装置内部での攪拌等による機械的ストレスを受けやすく、過大なストレスが加わる部分が発生することによって、トナーが破壊され、有機感光体表面に付着し、接触帯電部材等と摩擦することにより、小さな突起や亀裂を発生しやすいと考えられる。
【0154】
又、上記▲1▼〜▲3▼の全ての条件を満たしたトナーと前記した有機感光体、即ち、分子量が550〜2000の電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を表面層として有する有機感光体と併用することにより、ブラックスポットや白点、黒ポチの画像欠陥を顕著に改善し、鮮鋭性が良好な電子写真画像を得ることができる。
【0155】
又、上記▲1▼〜▲3▼の条件以外に、下記の▲4▼、▲5▼の条件、形状係数のバラツキ、個数粒度分布のバラツキを小さくしたトナーを用いることが、より好ましい。
▲4▼トナー粒子の形状係数の変動係数が16%以下、
▲5▼トナー粒子の個数粒度分布における個数変動係数が27%以下、
以下、上記▲1▼〜▲5▼のトナーについて説明する。
【0156】
トナーの形状係数(=トナー粒子の形状係数)
トナー粒子の形状係数は、下記式により示されるものであり、トナー粒子の丸さの度合いを示す。
【0157】
形状係数=((最大径/2)2×π)/投影面積
ここに、最大径とは、トナー粒子の平面上への投影像を2本の平行線ではさんだとき、その平行線の間隔が最大となる粒子の幅をいう。また、投影面積とは、トナー粒子の平面上への投影像の面積をいう。
【0158】
本発明では、この形状係数は、走査型電子顕微鏡により2000倍にトナー粒子を拡大した写真を撮影し、ついでこの写真に基づいて「SCANNING IMAGE ANALYZER」(日本電子社製)を使用して写真画像の解析を行うことにより測定した。この際、100個のトナー粒子を使用して形状係数を上記算出式にて測定したものである。
【0159】
本発明のトナーは、この形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子の割合を65個数%以上であり、好ましくは、70個数%以上である。
【0160】
本発明では前記分子量550〜2000の電荷輸送物質を含有する表面層を有する有機感光体上に形成された潜像をこの形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子の割合を65個数%以上含有する現像剤により現像することにより、ブラックスポットや白点、黒ポチ等の画像欠陥の発生を防止し、接触帯電部材を用いても、鮮鋭性の良好な電子写真画像が得られる。
【0161】
この形状係数を制御する方法は特に限定されるものではない。例えば、トナー粒子を熱気流中に噴霧する方法、トナー粒子を気相中において衝撃力による機械的エネルギーを繰り返して付与する方法、トナーを溶解しない溶媒中に添加し旋回流を付与する方法等により、形状係数を1.2〜1.6にしたトナー粒子を調製し、これを通常のトナー中へ本発明の範囲内になるように添加して調製する方法がある。また、いわゆる重合法トナーを調製する段階で全体の形状を制御し、形状係数を1.2〜1.6に調製したトナー粒子を同様に通常のトナーへ添加して調製する方法がある。
【0162】
上記方法の中では重合法トナーが製造方法として簡便である点と、粉砕トナーに比較して表面の均一性に優れる点等で好ましい。該重合法トナー(重合トナーとも云う)とはトナー用バインダーの樹脂の生成とトナー形状がバインダー樹脂の原料モノマーの重合と、必要により、その後の化学的処理により形成されるトナーを意味する。より具体的には懸濁重合、乳化重合等の重合反応と、必要により、その後に行われる粒子同士の融着工程を経て得られるトナーを意味する。
【0163】
重合トナーは原料モノマーを水系で均一に分散した後に重合させトナーを製造することから、トナーの粒度分布、及び形状が均一なトナーが得られる。
【0164】
トナーの形状係数の変動係数(=トナー粒子の形状係数の変動係数)
本発明のトナー粒子の「形状係数の変動係数」は下記式から算出される。
【0165】
変動係数=〔S/K〕×100(%)
〔式中、S1は100個のトナー粒子の形状係数の標準偏差を示し、Kは形状係数の平均値を示す。〕
本発明のトナーは、この形状係数の変動係数が16%以下であり、好ましくは14%以下である。
【0166】
本発明では前記分子量550〜2000の電荷輸送物質を含有する表面層を有する有機感光体上に形成された潜像をこの形状係数の変動係数が16%以下であるトナーを用いた現像剤により現像することにより、ブラックスポットや白点、黒ポチ等の画像欠陥の発生を防止し、接触帯電部材を用いても、鮮鋭性の良好な電子写真画像が得られる。
【0167】
このトナーの形状係数および形状係数の変動係数を、極めてロットのバラツキなく均一に制御するために、本発明のトナーを構成する樹脂粒子(重合体粒子)を調製(重合)、当該樹脂粒子を融着、形状制御させる工程において、形成されつつあるトナー粒子(着色粒子)の特性をモニタリングしながら適正な工程終了時期を決めてもよい。
【0168】
モニタリングするとは、インラインに測定装置を組み込みその測定結果に基づいて、工程条件の制御をするという意味である。すなわち、形状などの測定をインラインに組み込んで、例えば樹脂粒子を水系媒体中で会合あるいは融着させることで形成する重合法トナーでは、融着などの工程で逐次サンプリングを実施しながら形状や粒径を測定し、所望の形状になった時点で反応を停止する。
【0169】
モニタリング方法としては、特に限定されるものではないが、フロー式粒子像分析装置FPIA−2000(東亜医用電子社製)を使用することができる。本装置は試料液を通過させつつリアルタイムで画像処理を行うことで形状をモニタリングできるため好適である。すなわち、反応場よりポンプなどを使用し、常時モニターし、形状などを測定することを行い、所望の形状などになった時点で反応を停止するものである。
【0170】
トナーの個数変動係数(=トナー粒子の個数変動係数)
本発明のトナー粒子の個数粒度分布および個数変動係数はコールターカウンターTA−あるいはコールターマルチサイザー(コールター社製)で測定されるものである。本発明においてはコールターマルチサイザーを用い、粒度分布を出力するインターフェース(日科機製)、パーソナルコンピューターを接続して使用した。前記コールターマルチサイザーにおいて使用するアパーチャーとしては100μmのものを用いて、2μm以上のトナーの体積、個数を測定して粒度分布および平均粒径を算出した。個数粒度分布とは、粒子径に対するトナー粒子の相対度数を表すものであり、個数平均粒径とは、個数粒度分布におけるメジアン径を表すものである。トナー粒子の「個数粒度分布における個数変動係数」は下記式から算出される。
【0171】
個数変動係数=〔S/Dn〕×100(%)
〔式中、S2は個数粒度分布における標準偏差を示し、Dnは個数平均粒径(μm)を示す。〕
本発明のトナー粒子の個数変動係数は27%以下であり、好ましくは25%以下である。
【0172】
本発明では前記分子量550〜2000の電荷輸送物質を含有する表面層を有する有機感光体上に形成された潜像をトナー粒子の個数変動係数は27%以下であるトナーを用いた現像剤により現像することにより、ブラックスポットや白点、黒ポチ等の画像欠陥の発生を防止し、接触帯電部材を用いても、鮮鋭性の良好な電子写真画像が得られる。
【0173】
本発明のトナーにおける個数変動係数を制御する方法は特に限定されるものではない。例えば、トナー粒子を風力により分級する方法も使用できるが、個数変動係数をより小さくするためには液中での分級が効果的である。この液中で分級する方法としては、遠心分離機を用い、回転数を制御してトナー粒子径の違いにより生じる沈降速度差に応じてトナー粒子を分別回収し調製する方法がある。
【0174】
特に懸濁重合法によりトナーを製造する場合、個数粒度分布における個数変動係数を27%以下とするためには分級操作が必須である。懸濁重合法では、重合前に重合性単量体を水系媒体中にトナーとしての所望の大きさの油滴に分散させることが必要である。すなわち、重合性単量体の大きな油滴に対して、ホモミキサーやホモジナイザーなどによる機械的な剪断を繰り返して、トナー粒子程度の大きさまで油滴を小さくすることとなるが、このような機械的な剪断による方法では、得られる油滴の個数粒度分布は広いものとなり、従って、これを重合してなるトナーの粒度分布も広いものとなる。このために分級操作が必須となる。
【0175】
角がないトナー粒子の割合
本発明のトナーを構成するトナー粒子中、角がないトナー粒子の割合は50個数%以上であることが必要とされ、この割合が70個数%以上であることが好ましい。
【0176】
本発明のトナーを構成するトナー粒子中、角がないトナー粒子の割合は50個数%以上であることが好ましく、更に好ましくは70個数%以上とされる。
【0177】
本発明では前記分子量550〜2000の電荷輸送物質を含有する表面層を有する有機感光体上に形成された潜像を角がないトナー粒子の割合は50個数%以上であるトナーを用いた現像剤により現像することにより、ブラックスポットや白点、黒ポチ等の画像欠陥の発生を防止し、接触帯電部材を用いても、鮮鋭性の良好な電子写真画像が得られる。
【0178】
ここに、「角がないトナー粒子」とは、電荷の集中するような突部またはストレスにより摩耗しやすいような突部を実質的に有しないトナー粒子を言い、具体的には以下のトナー粒子を角がないトナー粒子という。すなわち、図1(a)に示すように、トナー粒子Tの長径をLとするときに、半径(L/10)の円Cで、トナー粒子Tの周囲線に対し1点で内側に接しつつ内側をころがした場合に、当該円CがトナーTの外側に実質的にはみださない場合を「角がないトナー粒子」という。「実質的にはみ出さない場合」とは、はみ出す円が存在する突起が1箇所以下である場合をいう。また、「トナー粒子の長径」とは、当該トナー粒子の平面上への投影像を2本の平行線ではさんだとき、その平行線の間隔が最大となる粒子の幅をいう。なお、図1(b)および(c)は、それぞれ角のあるトナー粒子の投影像を示している。
【0179】
角がないトナー粒子の割合の測定は次のようにして行った。先ず、走査型電子顕微鏡によりトナー粒子を拡大した写真を撮影し、さらに拡大して15,000倍の写真像を得る。次いでこの写真像について前記の角の有無を測定する。この測定を100個のトナー粒子について行った。
【0180】
角がないトナーを得る方法は特に限定されるものではない。例えば、形状係数を制御する方法として前述したように、トナー粒子を熱気流中に噴霧する方法、またはトナー粒子を気相中において衝撃力による機械的エネルギーを繰り返して付与する方法、あるいはトナーを溶解しない溶媒中に添加し、旋回流を付与することによって得ることができる。
【0181】
また、樹脂粒子を会合あるいは融着させることで形成する重合法トナーにおいては、融着停止段階では融着粒子表面には多くの凹凸があり、表面は平滑でないが、形状制御工程での温度、攪拌翼の回転数および攪拌時間等の条件を適当なものとすることによって、角がないトナーが得られる。これらの条件は、樹脂粒子の物性により変わるものであるが、例えば、樹脂粒子のガラス転移点温度以上で、より高回転数とすることにより、表面は滑らかとなり、角がないトナーが形成できる。
【0182】
トナー粒子の粒径
本発明のトナーの粒径は、個数平均粒径で3.0〜8.5μmのものが好ましい。この粒径は、重合法によりトナー粒子を形成させる場合には、後に詳述するトナーの製造方法において、凝集剤の濃度や有機溶媒の添加量、または融着時間、さらには重合体自体の組成によって制御することができる。
【0183】
個数平均粒径が3.0〜8.5μmであることにより、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドット等の画質が向上する。
【0184】
本発明のトナーは、トナー粒子の粒径をD(μm)とするとき、自然対数lnDを横軸にとり、この横軸を0.23間隔で複数の階級に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムにおいて、最頻階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m1)と、前記最頻階級の次に頻度の高い階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m2)との和(M)が70%以上であるトナーである。
【0185】
本発明では前記分子量550〜2000の電荷輸送物質を含有する表面層を有する有機感光体上に形成された潜像を相対度数(m1)と相対度数(m2)との和(M)が70%以上であるトナーを用いた現像剤により現像することにより、ブラックスポットや白点、黒ポチ等の画像欠陥の発生を防止し、接触帯電部材を用いても、鮮鋭性の良好な電子写真画像が得られる。
【0186】
本発明において、前記の個数基準の粒度分布を示すヒストグラムは、自然対数lnD(D:個々のトナー粒子の粒径)を0.23間隔で複数の階級(0〜0.23:0.23〜0.46:0.46〜0.69:0.69〜0.92:0.92〜1.15:1.15〜1.38:1.38〜1.61:1.61〜1.84:1.84〜2.07:2.07〜2.30:2.30〜2.53:2.53〜2.76・・・)に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムであり、このヒストグラムは、下記の条件に従って、コールターマルチサイザーにより測定されたサンプルの粒径データを、I/Oユニットを介してコンピュータに転送し、当該コンピュータにおいて、粒度分布分析プログラムにより作製されたものである。
〔測定条件〕
(1)アパーチャー:100μm
(2)サンプル調製法:電解液〔ISOTON R−11(コールターサイエンティフィックジャパン社製)〕50〜100mlに界面活性剤(中性洗剤)を適量加えて攪拌し、これに測定試料10〜20mgを加える。この系を超音波分散機にて1分間分散処理することにより調製する。
【0187】
トナーの製造方法
本発明のトナーは、少なくとも重合性単量体を水系媒体中で重合せしめて得られる重合トナーであることが好ましく、また、少なくとも樹脂粒子を水系媒体中で会合させて得られる重合トナーであることが好ましい。以下、本発明の重合トナー(以後、単にトナーとも云う)を製造する方法について詳細に説明する。
【0188】
重合トナーは、懸濁重合法や、必要な添加剤の乳化液を加えた液中(水系媒体中)にて単量体を乳化重合して微粒の重合体粒子(樹脂粒子)を調製し、その後に、有機溶媒、凝集剤等を添加して当該樹脂粒子を会合する方法で製造することができる。ここで「会合」とは、前記樹脂粒子が複数個融着することをいい、当該樹脂粒子と他の粒子(例えば着色剤粒子)とが融着する場合も含むものとする。
【0189】
尚、本発明で重合トナーとは、トナー用バインダーの樹脂の生成とトナー形状がバインダー樹脂の原料モノマーの重合と、必要によりその後の化学的処理により形成されるトナーを意味する。より具体的には懸濁重合、乳化重合等の重合反応と、必要によりその後に行われる粒子同士の融着工程を経て形成されるトナーを意味する。
【0190】
重合トナーを製造する方法の一例を示せば、重合性単量体中に着色剤や必要に応じて離型剤、荷電制御剤、さらに重合開始剤等の各種構成材料を添加し、ホモジナイザー、サンドミル、サンドグラインダー、超音波分散機などで重合性単量体に各種構成材料を溶解あるいは分散させる。この各種構成材料が溶解あるいは分散された重合性単量体を分散安定剤を含有した水系媒体中にホモミキサーやホモジナイザーなどを使用しトナーとしての所望の大きさの油滴に分散させる。その後、攪拌機構が後述の攪拌翼である反応装置(攪拌装置)へ移し、加熱することで重合反応を進行させる。反応終了後、分散安定剤を除去し、濾過、洗浄し、さらに乾燥することで本発明のトナーを調製する。
【0191】
なお、本発明でいうところの「水系媒体」とは、少なくとも水が50質量%以上含有されたものを示す。
【0192】
また、重合トナーを製造する方法として樹脂粒子を水系媒体中で会合あるいは融着させて調製する方法も挙げることができる。この方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、特開平5−265252号公報や特開平6−329947号公報、特開平9−15904号公報に示す方法を挙げることができる。すなわち、樹脂粒子と着色剤などの構成材料の分散粒子、あるいは樹脂および着色剤等より構成される微粒子を複数以上会合させる方法、特に水中にてこれらを乳化剤を用いて分散した後に、臨界凝集濃度以上の凝集剤を加え塩析させると同時に、形成された重合体自体のガラス転移点温度以上で加熱融着させて融着粒子を形成しつつ徐々に粒径を成長させ、目的の粒径となったところで水を多量に加えて粒径成長を停止し、さらに加熱、攪拌しながら粒子表面を平滑にして形状を制御し、その粒子を含水状態のまま流動状態で加熱乾燥することにより、本発明のトナーを形成することができる。なお、ここにおいて凝集剤と同時に水に対して無限溶解する溶媒を加えてもよい。
【0193】
樹脂を構成する重合性単量体として使用されるものは、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの様なスチレンあるいはスチレン誘導体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル誘導体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等の、アクリル酸エステル誘導体、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン系ビニル類、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のビニルケトン類、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物、ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体がある。これらビニル系単量体は単独あるいは組み合わせて使用することができる。
【0194】
また、樹脂を構成する重合性単量体としてイオン性解離基を有するものを組み合わせて用いることがさらに好ましい。例えば、カルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基等の置換基を単量体の構成基として有するもので、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマール酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、スチレンスルフォン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。
【0195】
さらに、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等の多官能性ビニル類を使用して架橋構造の樹脂とすることもできる。
【0196】
これら重合性単量体はラジカル重合開始剤を用いて重合することができる。この場合、懸濁重合法では油溶性重合開始剤を用いることができる。この油溶性重合開始剤としては、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系またはジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンペルオキサイド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキサイド、t−ブチルヒドロペルオキサイド、ジ−t−ブチルペルオキサイド、ジクミルペルオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジンなどの過酸化物系重合開始剤や過酸化物を側鎖に有する高分子開始剤などを挙げることができる。
【0197】
また、乳化重合法を用いる場合には水溶性ラジカル重合開始剤を使用することができる。水溶性重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸およびその塩、過酸化水素等を挙げることができる。
【0198】
分散安定剤としては、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ等を挙げることができる。さらに、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、エチレンオキサイド付加物、高級アルコール硫酸ナトリウム等の界面活性剤として一般的に使用されているものを分散安定剤として使用することができる。
【0199】
本発明において優れた樹脂としては、ガラス転移点が20〜90℃のものが好ましく、軟化点が80〜220℃のものが好ましい。ガラス転移点は示差熱量分析方法で測定されるものであり、軟化点は高化式フローテスターで測定することができる。さらに、これら樹脂としてはゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される分子量が数平均分子量(Mn)で1000〜100000、重量平均分子量(Mw)で2000〜1000000のものが好ましい。さらに、分子量分布として、Mw/Mnが1.5〜100、特に1.8〜70のものが好ましい。
【0200】
前記樹脂粒子を水系媒体中で会合させる際に使用される凝集剤としては特に限定されるものではないが、金属塩から選択されるものが好適に使用される。具体的には、一価の金属として例えばナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属の塩、二価の金属として例えばカルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類の金属塩、マンガン、銅等の二価の金属の塩、鉄、アルミニウム等の三価の金属の塩等が挙げられ、具体的な塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン等を挙げることができる。これらは組み合わせて使用してもよい。
【0201】
これらの凝集剤は臨界凝集濃度以上添加することが好ましい。この臨界凝集濃度とは、水性分散物の安定性に関する指標であり、凝集剤を添加して凝集が発生する濃度を示すものである。この臨界凝集濃度は、乳化された成分および分散剤自体によって大きく変化するものである。例えば、岡村誠三他著「高分子化学 17、601(1960)日本高分子学会編」等に記述されており、詳細な臨界凝集濃度を求めることができる。また、別な手法として、目的とする粒子分散液に所望の塩を濃度を変えて添加し、その分散液のζ(ゼータ)電位を測定し、この値が変化する塩濃度を臨界凝集濃度として求めることもできる。
【0202】
凝集剤の添加量は、臨界凝集濃度以上であればよいが、好ましくは臨界凝集濃度の1.2倍以上、さらに好ましくは、1.5倍以上添加することがよい。
【0203】
凝集剤と共に使用される「水に対して無限溶解する溶媒」としては、形成される樹脂を溶解させないものが選択される。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、t−ブタノール、メトキシエタノール、ブトキシエタノール等のアルコール類、アセトニトリル等のニトリル類、ジオキサン等のエーテル類を挙げることができる。特に、エタノール、プロパノール、イソプロパノールが好ましい。
【0204】
この水に対して無限溶解する溶媒の添加量は、凝集剤を添加した重合体含有分散液に対して1〜100体積%が好ましい。
【0205】
なお、粒子形状を均一化させるためには、着色粒子を調製し、濾過した後に粒子に対して10質量%以上の水が存在したスラリーを流動乾燥させることが好ましいが、この際、特に重合体中に極性基を有するものが好ましい。この理由としては、極性基が存在している重合体に対して、存在している水が多少膨潤する効果を発揮するために、形状の均一化が特に図られやすいからであると考えられる。
【0206】
本発明のトナーは少なくとも樹脂と着色剤を含有するものであるが、必要に応じて定着性改良剤である離型剤や荷電制御剤等を含有することもできる。さらに、上記樹脂と着色剤を主成分とするトナー粒子に対して無機微粒子や有機微粒子等で構成される外添剤を添加したものであってもよい。
【0207】
本発明のトナーに使用する着色剤としてはカーボンブラック、磁性体、染料、顔料等を任意に使用することができ、カーボンブラックとしてはチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等が使用される。磁性体としては鉄、ニッケル、コバルト等の強磁性金属、これらの金属を含む合金、フェライト、マグネタイト等の強磁性金属の化合物、強磁性金属を含まないが熱処理する事により強磁性を示す合金、例えばマンガン−銅−アルミニウム、マンガン−銅−錫等のホイスラー合金と呼ばれる種類の合金、二酸化クロム等を用いる事ができる。
【0208】
染料としてはC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等を用いる事ができ、またこれらの混合物も用いる事ができる。顔料としてはC.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同93、同94、同138、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブルー15:3、同60等を用いる事ができ、これらの混合物も用いる事ができる。数平均一次粒子径は種類により多様であるが、概ね10〜200nm程度が好ましい。
【0209】
着色剤の添加方法としては、乳化重合法で調製した重合体粒子を、凝集剤を添加することで凝集させる段階で添加し重合体を着色する方法や、単量体を重合させる段階で着色剤を添加し、重合し、着色粒子とする方法等を使用することができる。なお、着色剤は重合体を調製する段階で添加する場合はラジカル重合性を阻害しない様に表面をカップリング剤等で処理して使用することが好ましい。
【0210】
さらに、定着性改良剤としての低分子量ポリプロピレン(数平均分子量=1500〜9000)や低分子量ポリエチレン等を添加してもよい。
【0211】
荷電制御剤も同様に種々の公知のもので、且つ水中に分散することができるものを使用することができる。具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体等が挙げられる。
【0212】
なお、これら荷電制御剤や定着性改良剤の粒子は、分散した状態で数平均一次粒子径が10〜500nm程度とすることが好ましい。
【0213】
本発明のトナーでは、外添剤として無機微粒子や有機微粒子などの微粒子を添加して使用することでより効果を発揮することができる。この理由としては、外添剤の埋没や脱離を効果的に抑制することができるため、その効果が顕著にでるものと推定される。
【0214】
この無機微粒子としては、シリカ、チタニア、アルミナ等の無機酸化物粒子の使用が好ましく、さらに、これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤等によって疎水化処理されていることが好ましい。疎水化処理の程度としては特に限定されるものでは無いが、メタノールウェッタビリティーとして40〜95のものが好ましい。メタノールウェッタビリティーとは、メタノールに対する濡れ性を評価するものである。この方法は、内容量200mlのビーカー中に入れた蒸留水50mlに、測定対象の無機微粒子を0.2g秤量し添加する。メタノールを先端が液体中に浸せきされているビュレットから、ゆっくり攪拌した状態で無機微粒子の全体が濡れるまでゆっくり滴下する。この無機微粒子を完全に濡らすために必要なメタノールの量をa(ml)とした場合に、下記式により疎水化度が算出される。
【0215】
疎水化度=(a/(a+50))×100
この外添剤の添加量としては、トナー中に0.1〜5.0質量%、好ましくは0.5〜4.0質量%である。また、外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
【0216】
いわゆる重合性単量体中に着色剤などのトナー構成成分を分散あるいは溶解したものを水系媒体中に懸濁し、ついで重合せしめてトナーを得る懸濁重合法トナーでは、重合反応を行う反応容器中での媒体の流れを制御することによりトナー粒子の形状を制御することができる。すなわち、形状係数が1.2以上の形状を有するトナー粒子を多く形成させる場合には、反応容器中での媒体の流れを乱流とし、重合が進行して懸濁状態で水系媒体中に存在している油滴が次第に高分子化することで油滴が柔らかい粒子となった時点で、粒子の衝突を行うことで粒子の合一を促進させ、形状が不定形となった粒子が得られる。また、形状係数が1.2より小さいほぼ球形のトナー粒子を形成させる場合には、反応容器中での媒体の流れを層流として、粒子の衝突を避けることによりほぼ球形の粒子が得られる。この方法により、トナー形状の分布を本発明の範囲内に制御できるものである。
【0217】
次に、重合トナーの製造に好ましく用いられる反応装置について説明する。図2および図3は、それぞれ、重合トナー反応装置の一例を示す斜視図および断面図である。図2および図3に示す反応装置において、熱交換用のジャケット1jを外周部に装着した縦型円筒状の攪拌槽2j内の中心部に回転軸3jを垂設し、該回転軸3jに攪拌槽2jの底面に近接させて配設された下段の攪拌翼40jと、より上段に配設された攪拌翼50jとが設けられている。上段の攪拌翼50jは、下段に位置する攪拌翼40jに対して回転方向に先行した交差角αをもって配設されている。本発明のトナーを製造する場合において、交差角αは90度(°)未満であることが好ましい。この交差角αの下限は特に限定されるものでは無いが、5°程度以上であることが好ましく、更に、好ましくは10°以上である。なお、三段構成の攪拌翼を設ける場合には、それぞれ隣接している攪拌翼間で交差角αが90度未満であることが好ましい。
【0218】
このような構成とすることで、上段に配設されている攪拌翼50jによりまず媒体が攪拌され、下側への流れが形成される。ついで、下段に配設された攪拌翼40jにより、上段の攪拌翼50jで形成された流れがさらに下方へ加速されるとともにこの攪拌翼50j自体でも下方への流れが別途形成され、全体として流れが加速されて進行するものと推定される。この結果、乱流として形成された大きなズリ応力を有する流域が形成されるために、得られるトナー粒子の形状を制御できるものと推定される。
【0219】
なお、図2および図3中、矢印は回転方向を示し、7jは上部材料投入口、8jは下部材料投入口、9jは攪拌を有効にするための乱流形成部材である。
【0220】
ここにおいて攪拌翼の形状については、特に限定はないが、方形板状のもの、翼の一部に切り欠きのあるもの、中央部に一つ以上の中孔部分、いわゆるスリットがあるものなどを使用することができる。これらの具体例を図4に記載する。図4(a)に示す攪拌翼5aは中孔部のないもの、同図(b)に示す攪拌翼5bは中央に大きな中孔部6bがあるもの、同図(c)に示す攪拌翼5cは横長の中孔部6c(スリット)があるもの、同図(d)に示す攪拌翼5dは縦長の中孔部6d(スリット)があるものである。また、三段構成の攪拌翼を設ける場合において、上段の攪拌翼に形成される中孔部と、下段の攪拌翼に形成される中孔部とは異なるものであっても、同一のものであってもよい。
【0221】
なお、上記の構成を有する上段と下段の攪拌翼の間隙は特に限定されるものでは無いが、少なくとも攪拌翼の間に間隙を有していることが好ましい。この理由としては明確では無いが、その間隙を通じて媒体の流れが形成されるため、攪拌効率が向上するものと考えられる。但し、間隙としては、静置状態での液面高さに対して0.5〜50%の幅、好ましくは1〜30%の幅である。
【0222】
さらに、攪拌翼の大きさは特に限定されるものでは無いが、全攪拌翼の高さの総和が静置状態での液面高さの50%〜100%、好ましくは60%〜95%である。
【0223】
一方、樹脂粒子を水系媒体中で会合あるいは融着させる重合法トナーでは、融着段階での反応容器内の媒体の流れおよび温度分布を制御することで、さらには融着後の形状制御工程において加熱温度、攪拌回転数、時間を制御することで、トナー全体の形状分布および形状を任意に変化させることができる。
【0224】
すなわち、樹脂粒子を会合あるいは融着させる重合法トナーでは、反応装置内の流れを層流とし、内部の温度分布を均一化することができる攪拌翼および攪拌槽を使用して、融着工程および形状制御工程での温度、回転数、時間を制御することにより、所期の形状係数および均一な形状分布を有するトナーを形成することができる。この理由は、層流を形成させた場で融着させると、凝集および融着が進行している粒子(会合あるいは凝集粒子)に強いストレスが加わらず、かつ流れが加速された層流においては攪拌槽内の温度分布が均一である結果、融着粒子の形状分布が均一になるからであると推定される。さらに、その後の形状制御工程での加熱、攪拌により融着粒子は徐々に球形化し、トナー粒子の形状を任意に制御できる。
【0225】
樹脂粒子を会合あるいは融着させる重合法トナーを製造する際に使用される攪拌槽としては、前述の懸濁重合法と同様のものが使用できる。この場合、攪拌槽内には乱流を形成させるような邪魔板等の障害物を設けないことが必要である。
【0226】
この攪拌翼の形状についても、層流を形成させ、乱流を形成させないものであれば特に限定されないが、図4(c)に示した方形板状のもの等、連続した面により形成されるものが好ましく、曲面を有していてもよい。
【0227】
本発明のトナーは、例えば磁性体を含有させて一成分磁性トナーとして使用する場合、いわゆるキャリアと混合して二成分現像剤として使用する場合、非磁性トナーを単独で使用する場合等が考えられ、いずれも好適に使用することができるが、本発明ではキャリアと混合して使用する二成分現像剤として使用することが好ましい。
【0228】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0229】
下記のごとくして、感光体を作製した。
感光体1の作製
〈中間層〉
ポリアミド樹脂(アミランCM−8000:東レ社製) 60g
無機微粒子:酸化チタンSMT500SAS(テイカ社製;表面処理は、シリカ処理、アルミナ処理、及びメチルハイドロジェンポリシロキサン処理)180g
メタノール 1600ml
1−ブタノール 400ml
上記成分を混合溶解して中間層塗布液を調製した。この塗布液を直径80mm、長さ360mmの円筒状アルミニウム基体上に浸漬塗布法で塗布し、膜厚0.3μmの中間層を形成した。
〈電荷発生層〉
チタニルフタロシアニン 60g
シリコーン樹脂溶液
(KR5240、15%キシレン−ブタノール溶液:信越化学社製)700g
2−ブタノン 2000ml
上記成分を混合し、サンドミルを用いて10時間分散し、電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液を前記中間層の上に浸漬塗布法で塗布し、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。チタニルフタロシアニンのCu−Kα特性X線回折スペクトルを測定した結果、ブラッグ角2θの最大ピークが27.2°に認められた。
〈電荷輸送層〉
電荷輸送物質:例示化合物T65(分子量:947) 150g
ビスフェノールZ型ポリカーボネート
(ユーピロンZ300:三菱ガス化学社製) 300g
酸化防止剤(サノールLS2626:三共社製) 1.7g
テトラヒドロフラン(沸点:64.5℃) 2200g
上記成分を混合溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法で塗布し、100℃40分間乾燥して、膜厚25μmの電荷輸送層を形成し感光体1を作製した。
【0230】
感光体2〜14の作製
感光体1において、中間層の無機粒子の種類、電荷輸送層の電荷輸送物質及びその量、溶媒、乾燥条件を変えて、感光体2〜14を作製した。
【0231】
【表1】
【0232】
表1中、Hはシリカ・アルミナ処理及びメチルハイドロジェンポリシロキサン処理の表面処理をした酸化チタン(数平均粒径35nm)
Iはシリカ・アルミナ処理及びオクチルトリメトキシシラン処理の表面処理をした酸化チタン(数平均粒径35nm)
Jはシリカ・ジルコニア処理及びメチルトリメトキシシラン処理の表面処理をした酸化チタン(数平均粒径35nm)
Kはシリカ・アルミナ処理及びオクチルトリメトキシシラン処理の表面処理をした酸化亜鉛(数平均粒径180nm)
又、表1中の電荷輸送物質T70、T71は下記の化合物を示す。
【0233】
【化26】
【0234】
現像剤の作製
トナー及び現像剤の作製
(トナー製造例1:乳化重合会合法の例)
n−ドデシル硫酸ナトリウム0.90kgと純水10.0リットルを入れ攪拌溶解した。この溶液に、リーガル330R(キャボット社製カーボンブラック)1.20kgを徐々に加え、1時間よく攪拌した後に、サンドグラインダー(媒体型分散機)を用いて、20時間連続分散した。このものを「着色剤分散液1」とする。
【0235】
また、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.055kgとイオン交換水4.0リットルとからなる溶液を「アニオン界面活性剤溶液A」とする。
【0236】
ノニルフェノールポリエチレンオキサイド10モル付加物0.014kgとイオン交換水4.0リットルとからなる溶液を「ノニオン界面活性剤溶液B」とする。
【0237】
過硫酸カリウム223.8gをイオン交換水12.0リットルに溶解した溶液を「開始剤溶液C」とする。
【0238】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置を付けた容積100リットルのGL(グラスライニング)反応釜に、WAXエマルジョン(数平均分子量3000のポリプロピレンエマルジョン:数平均一次粒子径=120nm/固形分濃度=29.9%)3.41kgと「アニオン界面活性剤溶液A」全量と「ノニオン界面活性剤溶液B」全量とを入れ、攪拌を開始した。次いで、イオン交換水44.0リットルを加えた。
【0239】
加熱を開始し、液温度が75℃になったところで、「開始剤溶液C」全量を滴下して加えた。その後、液温度を75℃±1℃に制御しながら、スチレン12.1kgとアクリル酸n−ブチル2.88kgとメタクリル酸1.04kgとt−ドデシルメルカプタン548gとを滴下しながら投入した。滴下終了後、液温度を80℃±1℃に上げて、6時間加熱攪拌を行った。ついで、液温度を40℃以下に冷却し攪拌を停止し、ポールフィルターで濾過してラテックスを得た。これを「ラテックス−A」とする。
【0240】
なお、ラテックス−A中の樹脂粒子のガラス転移温度は57℃、軟化点は121℃、分子量分布は、重量平均分子量=1.27万、重量平均粒径は120nmであった。
【0241】
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.055kgをイオン交換純水4.0リットルに溶解した溶液を「アニオン界面活性剤溶液D」とする。
【0242】
また、ノニルフェノールポリエチレンオキサイド10モル付加物0.014kgをイオン交換水4.0リットルに溶解した溶液を「ノニオン界面活性剤溶液E」とする。
【0243】
過硫酸カリウム(関東化学社製)200.7gをイオン交換水12.0リットルに溶解した溶液を「開始剤溶液F」とする。
【0244】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置、櫛形バッフルを付けた100リットルのGL反応釜に、WAXエマルジョン(数平均分子量3000のポリプロピレンエマルジョン:数平均一次粒子径=120nm/固形分濃度 29.9%)3.41kgと「アニオン界面活性剤溶液D」全量と「ノニオン界面活性剤溶液E」全量とを入れ、攪拌を開始した。
【0245】
次いで、イオン交換水44.0リットルを投入した。加熱を開始し、液温度が70℃になったところで、「開始剤溶液F」を添加した。ついで、スチレン11.0kgとアクリル酸n−ブチル4.00kgとメタクリル酸1.04kgとt−ドデシルメルカプタン9.02gとをあらかじめ混合した溶液を滴下した。滴下終了後、液温度を72℃±2℃に制御して、6時間加熱攪拌を行った。さらに、液温度を80℃±2℃に上げて、12時間加熱攪拌を行った。液温度を40℃以下に冷却し攪拌を停止した。ポールフィルターで濾過し、この濾液を「ラテックス−B」とする。
【0246】
なお、ラテックス−B中の樹脂粒子のガラス転移温度は58℃、軟化点は132℃、分子量分布は、重量平均分子量=24.5万、重量平均粒径は110nmであった。
【0247】
塩析剤としての塩化ナトリウム5.36kgをイオン交換水20.0リットルに溶解した溶液を「塩化ナトリウム溶液G」とする。
【0248】
フッ素系ノニオン界面活性剤1.00gをイオン交換水1.00リットルに溶解した溶液を「ノニオン界面活性剤溶液H」とする。
【0249】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置、粒径および形状のモニタリング装置を付けた100リットルのSUS反応釜(図2に示した構成の反応装置、交差角αは25°)に、上記で作製したラテックス−A=20.0kgとラテックス−B=5.2kgと着色剤分散液1=0.4kgとイオン交換水20.0kgとを入れ攪拌した。ついで、40℃に加温し、塩化ナトリウム溶液G、イソプロパノール(関東化学社製)6.00kg、ノニオン界面活性剤溶液Hをこの順に添加した。その後、10分間放置した後に、昇温を開始し、液温度85℃まで60分で昇温し、85±2℃にて0.5〜3時間加熱攪拌して塩析/融着させながら粒径成長させた(塩析/融着工程)。次に純水2.1リットルを添加して粒径成長を停止させ、融着粒子分散液を作製した。
【0250】
温度センサー、冷却管、粒径および形状のモニタリング装置を付けた5リットルの反応容器(図2に示した構成の反応装置、交差角αは20°)に、上記で作製した融着粒子分散液5.0kgを入れ、液温度85℃±2℃にて、0.5〜15時間加熱攪拌して形状制御した(形状制御工程)。その後、40℃以下に冷却し攪拌を停止した。次に遠心分離機を用いて、遠心沈降法により液中にて分級を行い、目開き45μmの篩いで濾過し、この濾液を会合液とする。ついで、ヌッチェを用いて、会合液よりウェットケーキ状の非球形状粒子を濾取した。その後、イオン交換水により洗浄した。この非球形状粒子をフラッシュジェットドライヤーを用いて吸気温度60℃にて乾燥させ、ついで流動層乾燥機を用いて60℃の温度で乾燥させた。得られた着色粒子の100質量部に、シリカ微粒子1質量部をヘンシェルミキサーにて外添混合して乳化重合会合法によるトナーを得た。
【0251】
前記塩析/融着工程および形状制御工程のモニタリングにおいて、攪拌回転数、および加熱時間を制御することにより、形状および形状係数の変動係数を制御し、さらに液中分級により、粒径および粒度分布の変動係数を任意に調製して、表2に示す形状特性および粒度分布特性を有するトナー粒子からなるトナー1〜10を得た。
【0252】
【表2】
【0253】
〔現像剤の製造〕
トナー1〜10の各々10質量部と、スチレン−メタクリレート共重合体で被覆した45μmフェライトキャリア100質量部とを混合することにより、評価用の現像剤1〜10を製造した。
【0254】
評価1(現像剤を固定した評価)
以上のようにして得た感光体1〜14、現像剤(トナー)及び帯電手段に、下記構成のNo.1〜No.3の帯電ローラを組み込んだコニカ(株)製の反転現像方式デジタル複写機「Konica7050」の改造機を用い、表3のように各条件を組み合わせて装着し、高温高湿(30℃80%RH)と低温低湿(10℃20%RH)の環境下で、それぞれ評価項目を変えて評価した。
【0255】
帯電ローラNo.1
導電性弾性体層の材料として、ポリノルボルネンゴム/カーボンブラック/ナフテン系オイル及び必要に応じて加硫剤、加硫促進剤、添加剤等を混合、調整し、金型充填し、導電性弾性体層を形成した。この層の上に、被覆層形成材料としてポリエステルウレタン、粒径約0.5μmの樹脂粉体、カーボンブラック、溶剤(MEK/ジメチルホルムアミド)から成る組成物液中に浸漬し、コーティング、乾燥、加熱処理し、ウレタン層からなる被覆層を形成し、帯電ローラNo.1を得た。導電性弾性層の抵抗は3.2×104Ωcm、被覆層の抵抗は5.2×105Ωcmであり、帯電ローラの表面粗さは十点平均粗さRzが0.1であった。
【0256】
帯電ローラNo.2
被覆層形成材料として粒径約0.5μmの樹脂粉体の代わりに粒径約8μmの樹脂粉体を使用した以外はNo.1と同様にして、帯電ローラNo.2を得た。導電性弾性層の抵抗は3.2×104Ωcm、被覆層の抵抗は5.0×105Ωcmであり、帯電ローラの表面粗さは十点平均粗さRzが7.0であった。
【0257】
帯電ローラNo.3
導電性弾性体層の材料として、発泡ウレタンゴムにカーボンブラックを分散、必要に応じて加硫剤、老化防止剤、添加剤等を混合し、調整したものを用い、導電性弾性体層を形成、更に研磨した。この層の上に、被覆層形成材料としてポリアクリルウレタン、カーボンブラック、粒径約5μmの樹脂粉体、溶剤から成る組成物液中に浸漬し、コーティング、乾燥、加熱処理し、帯電ローラNo.3を得た。導電性弾性層の抵抗は2.1×105Ωcm、被覆層の抵抗は6.5×106Ωcmであり、帯電ローラの表面粗さは十点平均粗さRzが3.5であった。
【0258】
評価1(現像剤を固定した評価)
評価条件
帯電条件
帯電器;前記帯電ローラNo.1〜3を用い、感光体への帯電条件を表3のように変化させた。但し、表3中のDC及びACの帯電圧はそれぞれ負帯電の電圧を意味する。又、線圧は感光体への圧接線圧を示す。
【0259】
感光体の線速:280mm/sec
露光条件
露光部電位目標:−50V〜−100Vにする露光量に設定。
【0260】
露光ビーム:ドット密度800dpi(dpiとは2.54cm当たりのドット数)の像露光を行った。レーザビームスポット面積:0.8×10−9m2、レーザは780nmの半導体レーザを使用
転写条件:コロトロン電極を用いた静電転写
分離条件:交流バイアスを印可した分離電極の分離手段を用いた
クリーニング:ゴム弾性ブレードを用い、感光体への当接角度:20°、当接荷重:20(g/cm)になるように調整した。
【0261】
画像欠陥の評価方法
評価は、高温高湿(30℃80%RH)の環境下で、画素率が7%の文字画像、人物顔写真、ベタ白画像、ベタ黒画像がそれぞれ1/4等分にあるオリジナル画像をA4で1枚間欠モードにて5万枚の複写を行い、1000枚毎にハーフトーン、ベタ白画像、ベタ黒画像を複写し、ブラックスポット、白点、黒ポチを評価した。
【0262】
ブラックスポット
ハーフトーン画像に、周期性が感光体の周期と一致し、ブラックスポット(苺状のスポット画像)がA4サイズ当たり何個あるかで判定した。
【0263】
◎:0.4mm以上のブラックスポットの発生頻度:全ての複写画像が3個/A4以下(良好)
○:0.4mm以上のブラックスポットの発生頻度:4個/A4以上、10個/A4以下が1枚以上発生(実用上問題なし)
×:0.4mm以上のブラックスポットの発生頻度:11個/A4以上が1枚以上発生(実用上問題有り)
白点、黒ポチ
ベタ白画像に、周期性が感光体の周期と一致し、目視できる白点、黒ポチが、A4サイズ当たり何個あるかで判定した。
【0264】
◎:0.4mm以上の白点、黒ポチ頻度:全ての複写画像が3個/A4以下(良好)
○:0.4mm以上の白点、黒ポチ頻度:4個/A4以上、10個/A4以下が1枚以上発生(実用上問題なし)
×:0.4mm以上の白点、黒ポチ頻度:11個/A4以上が1枚以上発生(実用上問題有り)
クラック
上記デジタル複写機Konica7050を30℃、80%RHの環境下で、感光体を搭載したまま、電源をoffにし、2日間放置した。感光体周辺の部材はこの間動作を停止しているだけの状態、即ち、クリーニングブレード、クリーニングローラ、現像剤搬送体等の部材は、感光体に当接したままにした。その後、感光体の表面を観察し、クラックの発生の有無を観察した。又、画像評価も行い、クラック発生に伴う筋状の画像欠陥の発生の有無も評価した。
【0265】
◎:100本の感光体を評価し、クラックの発生も、筋状の画像欠陥の発生もなし
◯:100本の感光体を評価し、微細なクラックの発生はあるが、筋状の画像欠陥の発生はない
×:100本の感光体を評価し、クラックの発生と筋状の画像欠陥の発生が見られる
文字細り、カブリ、画像濃度の評価
低温低湿(10℃20%RH)の環境下で、画素率が7%の文字画像、人物顔写真、ベタ白画像、ベタ黒画像がそれぞれ1/4等分にあるオリジナル画像をA4で1枚間欠モードにて5万枚の複写を行い、1万枚毎に、線画像、ベタ白画像、ベタ黒画像を複写し、カブリ、画像濃度を評価した。
【0266】
文字細り
0.1mm、0.2mm幅の線画像が印刷されたオリジナル画像を複写し、評価した。
【0267】
◎:複写画像の線幅がオリジナル画像の線幅の75%以上で再現されている:良好
○:複写画像の線幅がオリジナル画像の線幅の40%〜74%で再現されている:実用上問題ないレベル
×:複写画像の線幅がオリジナル画像の線幅の39%以下、又は線幅が切断されている:実用上問題となるレベル
カブリ
◎:カブリの発生なし
○:相対濃度(複写していないA4紙の濃度を0.00とする)で、0.01未満のカブリの発生が時々ある:実用上問題ないレベル
×:相対濃度で、0.02以上のカブリの発生がある:実用上問題となるレベル
画像濃度
相対濃度(複写していないA4紙の濃度を0.00とする)で評価した
◎:1.2以上:良好
○:1.2未満〜0.8:実用上問題ないレベル
×:0.8未満:実用上問題となるレベル
(鮮鋭性)
画像の鮮鋭性は、低温低湿(10℃20%RH)環境において画像を出し、文字潰れで評価した。3ポイント、5ポイントの文字画像を形成し、下記の判断基準で評価した。
【0268】
◎:3ポイント、5ポイントとも明瞭であり、容易に判読可能
○:3ポイントは一部判読不能、5ポイントは明瞭であり、容易に判読可能
×:3ポイントは殆ど判読不能、5ポイントも一部あるいは全部が判読不能
【0269】
【表3】
【0270】
表3より、分子量が550〜2000の範囲にある電荷輸送物質を用いた感光体1〜12は、帯電ローラの条件を変化してもブラックスポット、白点、黒ポチ、クラック等の画像欠陥の発生が防止され、カブリ、画像濃度、文字細り、鮮鋭性の評価も実用上問題ないレベル以上である。特に、分子量が800〜1800の範囲にある電荷輸送物質を用いた感光体1〜6、9〜11は改善効果が大きい。一方、分子量が本発明外の感光体13(分子量533)はブラックスポット、白点、黒ポチの発生が多く、文字細りも劣り、鮮鋭性が低下している。感光体14(分子量2366)は、T71の分散性が低下し、その結果、クラックが発生し、白点、黒ポチ、カブリの評価が劣り、鮮鋭性も低下している。
【0271】
評価2(現像剤を変化させた評価)
帯電部材及びその条件、感光体、現像剤(トナーNo.)を、表4のように組み合わせ、コニカ社製デジタル複写機Konica7050改造機(反転現像プロセスを用いている)に装着し、評価1と同様の評価方法及び評価基準で評価した。
【0272】
【表4】
【0273】
表4より、本発明の感光体を用いても、トナーの形状係数、個数基準の粒度分布や角がないトナー粒子の含有率により、本発明の効果に影響を与えることを示している。即ち、下記の条件を多く満たしたトナーを用いた場合に、改善効果が大きいことが見出される。
▲1▼トナー粒子の形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子の割合が65個数%以上、
▲2▼角がないトナー粒子の割合が50個数%以上、
▲3▼トナー粒子の粒径をD(μm)とするとき、自然対数lnDを横軸にとり、この横軸を0.23間隔で複数の階級に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムにおける最頻階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m1)と、前記最頻階級の次に頻度の高い階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m2)との和(M)が70%以上。
【0274】
評価3(磁気ブラシを用いた画像形成方法)
〈評価条件〉
評価1及び2で用いた帯電ローラを磁気ブラシ帯電器に変更し、更に、感光体の線速:140mm/secに改造して実写評価を実施した。前記以外の条件は前記帯電ローラの条件と同一である。
【0275】
(磁気ブラシ帯電器)
図6の構造を有す。
【0276】
磁気粒子の作製
帯電用磁気ブラシを形成する磁気粒子を下記のように作製した。
【0277】
磁気粒子1の作製
Fe2O3:50モル%
CuO:24モル%
ZnO:24モル%
以上を粉砕、混合し分散剤およびバインダーと水を加えスラリーとした後、スプレードライヤーで造粒操作を行い、分級した後1125℃にて焼成を行った。得られた磁気粒子を解砕処理の後、分級を行い、体積平均粒径が27μmである磁気粒子1を得た。磁気粒子の抵抗率は2×107Ωcm、磁化の強さは65emu/gであった。
【0278】
磁気粒子2の作製
上記磁気粒子1を100質量部に対して0.05質量部のチタンカップリング剤(イソプロポキシトリイソステアロイルチタネート)及びメチルエチルケトンを加え、撹拌して磁気粒子表面に有機質の被膜を形成後、磁気粒子を分離し、180℃で加熱乾燥を行った。体積平均粒径が37μmである磁気粒子2を得た。磁気粒子の抵抗率は2×107Ωcm、磁化の強さは70emu/gであった。
【0279】
磁気粒子3の作製
Fe2O3:50モル%
MnO:30モル%
MgO:20モル%
以上を粉砕、混合し分散剤およびバインダーと水を加えスラリーとした後、スプレードライヤーで造粒操作を行い、分級した後に抵抗調整の為に酸素濃度を調整した雰囲気中、1130℃にて焼成を行った。得られた磁気粒子を解砕処理の後、分級を行い、体積平均粒径が70μmである磁気粒子3を得た。磁気粒子の抵抗率は9×105Ωcm、磁化の強さは63emu/gであった。
【0280】
磁気粒子の体積平均粒径の測定方法
キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
【0281】
抵抗率(Ωcm)の測定法
磁気粒子を0.50cm2の断面積を有する容器に入れてタッピングした後、詰められた粒子上に1kg/cm2の荷重を掛け、荷重と底面電極との間に1000V/cmの電界が生ずる電圧を印加したときの電流値を読み取ることで得られる値。
【0282】
帯電条件
帯電スリーブ;10mmφのステンレス鋼
帯電スリーブに印可される電圧;直流電圧450Vに交流電圧を重畳
帯電領域の磁性粒子量;250mg/cm2
帯電スリーブ/感光体の線速比;0.8
表5のように組合せた感光体、トナー(現像剤)、及び磁性粒子を用いた磁気ブラシ(磁気ブラシNo.は磁性粒子No.と同じ)等を前記コニカ製デジタル複写機7050の改造機に搭載し評価を行った。評価方法は前記帯電ローラの時と同様に行った。
【0283】
〈評価〉
【0284】
【表5】
【0285】
表5より、磁気ブラシを用いた接触帯電方式の画像形成方法においても、本発明の感光体又は感光体とトナーとの組み合わせの発明の効果は帯電ローラによる接触帯電の場合とほぼ同等の効果が得られている。
【0286】
【発明の効果】
本発明の電子写真感光体、画像形成方法、画像形成装置を用いることにより、接触帯電部材を用いた帯電方法で発生しやすいブラックスポット、白点、黒ポチ、クラック等の画像欠陥を防止し、鮮鋭性が良好な電子写真画像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、角のないトナー粒子の投影像を示す説明図であり、(b)および(c)は、それぞれ角のあるトナー粒子の投影像を示す説明図である。
【図2】重合トナー反応装置の一例を示す斜視図である。
【図3】重合トナー反応装置の一例を示す断面図である。
【図4】攪拌翼の形状の具体例を示す概略図である。
【図5】ローラ帯電を行う画像形成装置の1例を示す図である。
【図6】接触式の磁気ブラシ帯電装置の図である。
【図7】図6の帯電装置による交流バイアス電圧と帯電電位との関係を示す図である。
【図8】本発明の磁気ブラシ帯電器を有する画像形成装置の1例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 帯電ローラ
2 感光体ドラム
3 現像装置
4 現像スリーブ
5 除電ランプ
6 転写ローラ
7 搬送ベルト
8 搬送ローラ
20 芯金
50 感光体ドラム
51 露光部
52 磁気ブラシ帯電器
53 像露光器
54 現像器
120 磁気ブラシ帯電装置
120a 帯電スリーブ
220 供給ボトル
300 磁気粒子回収容器
Claims (9)
- 有機感光体上に帯電部材を接触させて帯電する帯電工程、像露光工程、トナー像への現像工程、トナー像の転写工程、記録紙の分離工程及び定着工程の各工程を繰り返して、多数枚の電子写真画像を形成する画像形成方法に用いる有機感光体において、該有機感光体が、導電性支持体上に電荷発生層、電荷輸送層の積層構造を有し、該電荷輸送層が分子量550〜2000の電荷輸送物質を含有することを特徴とする有機感光体。
- 導電性支持体と電荷発生層の間に中間層を有し、該中間層が平均粒径10〜500nmの無機微粒子を含有することを特徴とする請求項1に記載の有機感光体。
- 有機感光体上に帯電工程、像露光工程、トナー像への現像工程、トナー像の転写工程、記録紙の分離工程及び定着工程の各工程を繰り返して、多数枚の電子写真画像を形成する画像形成方法において、該有機感光体が、導電性支持体上に電荷発生層、分子量550〜2000の電荷輸送物質を含有する電荷輸送層の積層構造を有し、該有機感光体に帯電部材を接触させて帯電することを特徴とする画像形成方法。
- 有機感光体上に帯電工程、像露光工程、トナー像への現像工程、トナー像の転写工程、記録紙の分離工程及び定着工程の各工程を繰り返して、多数枚の電子写真画像を形成する画像形成方法において、該有機感光体が導電性支持体上に電荷発生層、分子量550〜2000の電荷輸送物質を含有する電荷輸送層の積層構造を有し、前記帯電工程は有機感光体上に帯電部材を接触させて帯電し、前記現像工程で用いるトナーは、形状係数1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子を65個数%以上含有することを特徴とする画像形成方法。
- 有機感光体上に帯電工程、像露光工程、トナー像への現像工程、トナー像の転写工程、記録紙の分離工程及び定着工程の各工程を繰り返して、多数枚の電子写真画像を形成する画像形成方法において、該有機感光体が導電性支持体上に電荷発生層、分子量550〜2000の電荷輸送物質を含有する電荷輸送層の積層構造を有し、前記帯電工程は有機感光体上に帯電部材を接触させて帯電し、前記現像工程で用いるトナーは、トナー粒子の粒径をD(μm)とするとき、自然対数lnDを横軸にとり、この横軸を0.23間隔で複数の階級に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムにおける最頻階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m1)と、前記最頻階級の次に頻度の高い階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m2)との和(M)が70%以上であることを特徴とする画像形成方法。
- 有機感光体上に帯電工程、像露光工程、トナー像への現像工程、トナー像の転写工程、記録紙の分離工程及び定着工程の各工程を繰り返して、多数枚の電子写真画像を形成する画像形成方法において、該有機感光体が導電性支持体上に電荷発生層、分子量550〜2000の電荷輸送物質を含有する電荷輸送層の積層構造を有し、前記帯電工程は有機感光体上に帯電部材を接触させて帯電し、前記現像工程で用いるトナーは、角がないトナー粒子を50個数%以上含有することを特徴とする画像形成方法。
- 前記帯電部材が、帯電ローラであることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記帯電部材が、磁気ブラシであることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 請求項3〜8のいずれか1項に記載の画像形成方法を用いたことを特徴とする画像形成装置。
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- 2003-02-14 JP JP2003036455A patent/JP2004246120A/ja active Pending
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