JP2004245738A - 誘導型位置検出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】所望の形態の受信部(例えば任意のピッチ、単相の信号検出用、3相の信号検出用)を簡単に実現することができる誘導型位置検出装置を提供する。
【解決手段】誘導型位置検出装置のセンサヘッドに配置された受信部55は、スケール3の磁束結合巻線33と磁束結合が可能にされている。受信部55は、スケール3が延びる方向の仮想線Lに沿って、一列に配置された複数のコイル57を備えている。コイル57の腕部59で隣り合うコイル57を接続することにより、受信部55が構成される。コイル57は仮想線Lを中心にエナメル線が巻かれた構造をしている。
【選択図】 図2
【解決手段】誘導型位置検出装置のセンサヘッドに配置された受信部55は、スケール3の磁束結合巻線33と磁束結合が可能にされている。受信部55は、スケール3が延びる方向の仮想線Lに沿って、一列に配置された複数のコイル57を備えている。コイル57の腕部59で隣り合うコイル57を接続することにより、受信部55が構成される。コイル57は仮想線Lを中心にエナメル線が巻かれた構造をしている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ノギスやマイクロメータに代表される小型の測定工具、リニアエンコーダおよびセンサ機器に応用される、電磁結合を利用して位置検出を行う誘導型位置検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
誘導型位置検出装置は、直線変位や角度変位などの精密な測定に利用される。従来の誘導型位置検出装置は、磁束結合巻線(磁束変調器)を所定ピッチで配列したスケールと、このスケールに対して相対移動可能に対向配置されると共に磁束結合巻線と磁束結合が可能な送信巻線および受信巻線が配置されたセンサヘッド(読み出しヘッド)とにより構成される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
センサヘッドの受信巻線としては、エナメル被覆銅からなるワイヤーをワイヤーボンディングで基板にボンディングしたもの(例えば、特許文献2参照)や、ビルドアップ基板の異なる層にそれぞれ形成された第1の検出コイルと第2の検出コイルとをコンタクト孔で接続したものがある(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−318781号公報([0003]〜[0005]、図1)
【特許文献2】
特表2002−502497号公報(第19頁第15行〜第27行、FIG.1、FIG.4)
【特許文献3】
特開2001−255108号公報([0028]、[0032]、図2、図3)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
センサヘッドの受信部となる受信巻線をビルドアップ基板で作製した場合、受信部の形態(例えば受信巻線のピッチ)はビルドアップ基板のルールに制限され、所望の形態の受信部を得ることが困難なことがある。特に狭ピッチな受信巻線は、コンタクト孔の大きさやコンタクト孔のピッチなどにより制限されるため、狭ピッチ化には限界がありかつコストもかかる。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、所望の形態の受信部や送信部を簡単に実現できる誘導型位置検出装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る誘導型位置検出装置は、磁束結合巻線が設けられたスケールと、磁束結合巻線と磁束結合が可能な送信部および受信部が設けられると共にスケールに対して相対移動可能に対向配置されたセンサヘッドと、を備えた誘導型位置検出装置であって、送信部および受信部の少なくとも一方は、スケールが延びる方向に所定ピッチで配列された互いに接続された複数のコイルを備えて構成され、複数のコイルは、スケールが延びる方向に同軸配置され、それぞれが絶縁材料で被覆された導電線を巻いたものであることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る誘導型位置検出装置によれば、絶縁材料で被覆された導電線からなる複数のコイルを互いに接続することにより、送信部および受信部の少なくとも一方を構成している。したがって、所望の形態の受信部(例えば任意のピッチ、単相の信号検出用、3相の信号検出用)や送信部を簡単に実現することができる。
【0009】
本発明に係る誘導型位置検出装置において、隣り合うコイル間にスペーサが配置されているようにしてもよい。これによれば、スペーサの厚みを変えることにより、コイルのピッチを簡単に所望の値にすることができる。また、微細な受信部や送信部であっても、コイルのピッチを正確に保つことができる。
【0010】
本発明に係る誘導型位置検出装置において、スペーサのコイルと向かい合う面には強磁性の性質を有する軟磁性体膜が形成されているようにしてもよい。これによれば、誘導型位置検出装置が小型化しても、受信部で受信される信号や送信部から送信される信号の強度を高めることができる。
【0011】
本発明に係る誘導型位置検出装置において、コイルからこれと接続された次のコイルに電流が流れたとき、これらのコイルで発生する磁界の向きが互いに逆になるように、これらのコイルが接続されているようにしてもよい。これによれば、受信部や送信部を外部からの磁界の影響を受けにくいようにすることができる。
【0012】
本発明に係る誘導型位置検出装置において、複数のコイルは、異なる位相の信号を検出する複数のグループに分けられているようにしてもよい。これによれば、コイルの接続関係を変えるだけで、異なる位相(例えば2相や3相)の信号を検出できる受信部にすることができる。
【0013】
本発明に係る誘導型位置検出装置において、受信部の中央部分のコイルの巻数は、受信部の端部分のコイルの巻数よりも多いようにしてもよい。これによれば、センサヘッドがスケールに対してミスアライメントされても、誘導型位置検出装置の特性が変化しにくいので、誘導型位置検出装置の信頼性を向上させることができる。
【0014】
本発明に係る誘導型位置検出装置において、コイルには、強磁性の性質を有する軟磁性体部材が挿入されているようにしてもよい。これによれば、誘導型位置検出装置が小型化しても、受信部で受信される信号や送信部から送信される信号の強度を高めることができる。
【0015】
本発明に係る誘導型位置検出装置において、複数のコイルが一筆書き状に並べて配置されたシートを、山折りと谷折りが交互になるように折り曲げることによって、受信部が構成されるようにしてもよい。これによれば、各コイルの接続の手間を省くことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。図1は、この実施形態に係る誘導型位置検出装置1の概略構成を示す斜視図である。この実施形態は受信部の構造を主な特徴としているが、この理解の前提として装置1について説明する。まず、装置1の構成を説明する。誘導型位置検出装置1は誘導型エンコーダとも言い、スケール3とこれに対向して配置されたセンサヘッド5とから構成される。スケール3の長手方向が測定軸xである。センサヘッド5は、スケール3に対して所定ギャップをもって測定軸x方向に移動可能に配置される。なお、センサヘッドが固定でスケールが移動する構成でもよい。すなわち、センサヘッドとスケールとは、互いに相対移動可能に配置されていればよい。
【0017】
センサヘッド5は、ガラスや樹脂のような絶縁基板51を備え、絶縁基板51のスケール3と対向する面51A側には、長手方向がx方向である矩形状の送信巻線からなる送信部53が、その端子53T1,53T2と共に配置されている。送信部53の隣には、受信部55が、その端子55T1,55T2と共に配置されている。受信部55は測定軸x方向に沿って配置された複数のコイル57により構成される。図1では、受信部55やコイル57をこれらの形ではなく、ブロックとして示している。
【0018】
送信部53や受信部55の端子は、これらの一方の端部側に配置されている。これらの端子は図示しない配線を介して、変位を測定するための演算や制御などをするIC回路7と接続されている。IC回路7はセンサヘッド5に配置されていてもよいし、これとは別の部品に取り付けられていてもよい。
【0019】
一方、スケール3は、例えばガラスや樹脂からなる絶縁基板31を備え、この基板31のセンサヘッド5に対向する面31A側には、スケールピッチλでx方向に沿って多数の磁束結合巻線33が配置されている。磁束結合巻線33は、送信部53と対向するように配置された第1結合ループ35と、受信部55と対向するように配置された第2結合ループ37とにより構成される。これにより、磁束結合巻線33は送信部53や受信部55と磁束結合が可能となる。送信部53や磁束結合巻線33は、アルミニウム、銅、金などの電気抵抗が低い材料で構成され、一方、受信部55のコイル57は絶縁材料で被覆された導電線(例えばエナメル線)で構成される。
【0020】
次に、誘導型位置検出装置1の動作について図1を参照して簡単に説明する。IC回路7の発生回路9で生成された送信用励振信号(単相交流)は端子53T1,53T2を経由して送信部53に送られる。これにより、ある時刻に着目すると、送信部53には反時計回りに励振電流i1が流れる。そして、この励振電流i1により送信部53から交番磁束が生成され、第1結合ループ35と磁束結合する。より具体的にいえば、送信部53の測定軸x方向の部分である巻線導体部53A,53Bが、第1結合ループ35を構成する巻線導体部35A,35Bと平行に相対向して電磁結合する。これにより、第1結合ループ35には誘導電流i2が流れ、そして、電流i3として第2結合ループ37に流れる。これにより第2結合ループ37から発生される交番磁束が受信部55に磁束結合する。そして、正弦波状(または矩形状)の信号が受信信号として端子55T1,55T2を経由してIC回路7の処理回路11に送られる。処理回路11はこれらの受信信号をサンプリングし、ディジタル値に変換してIC回路7の演算制御回路13に送る。演算制御回路13では、このディジタル値を基にしてスケール3に対するセンサヘッド5の位置を演算する。なお、演算制御回路13は発生回路9を制御する機能も有する。
【0021】
さて、本実施形態の主な特徴は受信部55であり、受信部55の詳細を説明する。図2は図1のスケール3のII(a)−II(b)断面からみた受信部55の一部を示す模式図である。受信部55は、複数のコイル57をスケール3が延びる方向に同軸配置(言い換えれば、複数のコイル57をスケール3が延びる方向の仮想線Lに沿って一列に配置)することにより構成されるコイルアレイである。
【0022】
コイル57のピッチはスケールピッチλと同じである。コイル57は、仮想線Lを中心にエナメル線が円状に複数回巻かれたものである。したがって、仮想線Lはコイル57と交わることなく、コイル57の中を通っている。上記複数回巻かれた箇所から延びたものがコイル57の腕部59である。隣り合うコイル57は腕部59で互いに接続されている。コイル57の巻数は、受信部55に要求される性能に応じて決められ、一回でもよい。コイル57の形状は円形に限らず、他の形状(例えば四角形)でもよい。
【0023】
以上のように本実施形態に係る誘導型位置検出装置1の受信部55は、エナメル線からなる複数のコイル57を、コイル57の腕部59を利用して互いに接続することにより構成される。したがって、所望の形態(例えば任意のピッチ、単相の信号検出用、3相の信号検出用)の受信部55を簡単に実現することができる。特に、細いエナメル線(例えば径10〜20μm)を用いてコイル57を作製することにより、小型で狭ピッチな受信部55を安価に提供することができる。
【0024】
本実施形態に係る誘導型位置検出装置1に備えられる受信部55の形態の具体例としては、次の第1〜第8例がある。なお、これらの例を説明する図において、既に説明した図の符号で示すものと同一のものについては、同一符号を付すことにより説明を省略する。
【0025】
[受信部の第1例]
受信部の第1例の一部を示す模式図が図3であり、図2と対応している。第1例の受信部55Aでは、隣り合うコイル57間にスペーサ61が配置されている。スペーサ61の材料としては非磁性の絶縁体(例えばテフロン)である。隣り合うコイル57は腕部59の端部63で配線65により接続されている。この例ではスペーサ61の厚みTを変えることにより、コイル57のピッチが所望の値となる受信部55Aを容易に実現することができる。
【0026】
誘導型位置検出装置の小型化を進めると、それに伴い受信部55が微細化する。したがって、コイル57のみでは強度が不十分となり、コイル57のピッチを正確に保ち続けるのが困難となる。この例によれば、隣り合うコイル57間にスペーサ61が設けられているので、受信部55Aが微細化してもコイル57のピッチを正確に保つことができる。
【0027】
受信部55Aの製造方法の一例について簡単に説明する。図4〜図6は上記製造方法を示す工程図である。まず、図4に示す円形突起67が表面に形成された板69を用意する。図5に示すように、円形突起67に沿ってエナメル線71を巻くことにより、所望の巻数のコイル57を作製する。そして、図6に示すように、複数のコイル57を重ねて、隣り合うコイル57の腕部59の端部を配線65で接続する。配線65の長さはコイル57のピッチ(要求される信号ピッチ)と同じにする。以上により、単相のコイルアレイである受信部55Aを得ることができる。
【0028】
[受信部の第2例]
図7は受信部の第2例の一部を示す模式図であり、図2や図3と対応している。第2例の受信部55Bが図3の受信部55Aと相違する点は、スペーサ61のコイル57と向かい合う面に強磁性の性質を有する軟磁性体膜73が形成されていることである。軟磁性とは磁化や減磁が比較的容易にできる磁性体のことである。軟磁性体膜73としては、例えばパーマロイ膜やアモルファスメタル膜がある。
【0029】
軟磁性体膜73を配置することによって、コイル57の近くに磁束を集中させることができるため、受信部55Bのコイル57と磁束結合巻線33の間の磁束結合を大きくすることができる。したがって、誘導型位置検出装置が小型化しても、受信部55Bで受信される信号の強度を高めることができる。
【0030】
[受信部の第3例]
受信部の第3例は図8に示されている。図8は図2と対応し、第3例の受信部55Cの一部を示す模式図である。受信部55Cが図2の受信部55と異なる点は、以下の通りである。コイル57のピッチはスケールピッチλの半分にされている。あるコイル57とこれに接続された次のコイル57(この例では隣り合うコイル)とが逆接続されている。すなわち、あるコイル57からこれと接続された次のコイル57に電流Iが流れたとき、これらのコイル57で発生する磁界の向きが互いに逆になるように、これらのコイル57が接続されている。
【0031】
したがって、この例によれば、外部からの何らかの磁界により受信部55Cに電流が流れた場合、各コイル57から生じる磁界は相殺されるため、ノイズが発生しにくくなる。よって、外部からの磁界の影響を受けにくいようにすることができる。
【0032】
[受信部の第4例]
図9は第4例の受信部55Dの一部を示す模式図であり、図2と対応している。第4例が図2の受信部55と異なる点は、複数のコイル57が三つのグループに分けられており、これにより3相の信号を検出できることである。つまり、受信部55Dが三つの受信巻線から構成されていることである。詳しくは、コイル57のピッチはスケールピッチλの三分の一である。隣り合うコイルが接続されているのではなく、コイル57は二つおきに互いに接続して構成されている。これにより、A相、B相、C相の変位信号、すなわち120°ずつ位相がずれた3相の変位信号を検出することができる。この例によれば、コイル57の接続関係を変えるだけで、3相の信号を検出する受信部にすることができる。なお、3相に限らず、2相や4相以上の多相でも可能である。例えば、2相の場合、コイル57のピッチをスケールピッチλの半分にして、コイル57は一つおきに互いに接続して構成するのである。
【0033】
[受信部の第5例]
受信部の第5例を図10で説明する。この図は第5例の受信部55Eの一部を示す模式図であり、図2と対応している。第5例は、図8の第3例と図9の第4例の組み合わせである。すなわち、コイル57は二つおきに互いに接続され、かつあるコイル57とこれに接続された次のコイル57とが逆接続されている。/A相、/B相、/C相のコイル57は、それぞれA相、B相、C相のコイル57に逆接続されたコイル57である。この例によれば、外部からの磁界の影響を受けにくくし、かつ120°ずつ位相がずれた3相の変位信号を得ることができる。
【0034】
[受信部の第6例]
図11は第6例の受信部55Fの一部を示す模式図であり、図2と対応している。この例では、受信部55Fの中央部分75に位置するコイル57を、端部分77に位置するコイル57よりも、巻数を多くしている。これにより生じる効果を説明する。
【0035】
誘導型位置検出装置1(図1)の製作の際にセンサヘッド5(図1)がスケール3に対してミスアライメントされることにより、受信部55Fのうち一方の端部分77(例えば端部分77A)がスケール3に近づき、他方の端部分77(例えば端部分77B)がスケール3から遠ざかることがある。この場合でも中央部分75とスケール3との距離の変動は小さい。中央部分75はコイルの巻数が多いので、端部分77よりも信号の受信に寄与する度合いが高い。したがって、ミスアライメントが発生しても受信部55Fの信号強度は不安定になりにくい。また、組み立て後の実際の測定時においてミスアライメントが発生したとしても上記と同様の効果が得られる。以上説明したように、ミスアライメントが発生しても、誘導型位置検出装置1の特性は変化しにくいので、誘導型位置検出装置1の信頼性を向上させることができる。
【0036】
[受信部の第7例]
続いて受信部の第7例を説明する。図12は第7例の受信部55Gの一部を示す模式図であり、図2と対応している。この例では、コイル57の中に強磁性の性質を有する軟磁性体部材79が挿入されている。この例によれば、図7の第2例と同じ理由により、誘導型位置検出装置が小型化しても、受信部で受信される信号の強度を高めることができる。
【0037】
なお、図4の円形突起67の材料を強磁性の性質を有する軟磁性体にし、かつ円形突起67を板69から取り外し可能にすることにより、軟磁性体部材79が挿入されたコイル57を得ることができる。
【0038】
[受信部の第8例]
最後に受信部の第8例を説明する。図13は第8例の受信部を構成するコイル57が配置されたシート81の一部を平面的に示す模式図である。シート81は折り曲げ可能な樹脂(例えば、ポリイミド)により構成される。シート81が折り曲げられる箇所となる仮想の折り曲げ線L1,L2の間に各コイル57が位置するように、複数のコイル57がシート81上に一筆書き状に並べられている。折り曲げ線L1が山折りの箇所で、折り曲げ線L2が谷折りの箇所となる。折り曲げ線L1,L2でシート81を、山折りと谷折りが交互になるように折り曲げることによって、図14に示す受信部55Hが構成される。
【0039】
図13に示すように、腕部59同士の接続を隣り合う腕部59同士ではなく、一つ飛ばした位置にある腕部59にしている。これにより、図14の受信部55Hに一方向に電流を流した場合、各コイル57に流れる電流の向きは、図8の受信部55Cと同じではなく、図2の受信部55と同じになる。
【0040】
この例によれば、これまでの例のように、コイル57の腕部59の端部63に配線65を接続することによりコイル57を互いに接続する、という面倒な作業が不要となる。
【0041】
図13に示すシート81の作製方法の一例を簡単に説明する。図15に示すように、円形突起67が形成された板69を用意する。そして、円形突起67にエナメル線71を複数回巻付け、続けて隣の円形突起67にエナメル線71を複数回巻付ける動作を繰り返す。エナメル線71なので交差箇所で導通することはなく、したがって、一筆書きで複数のコイル57を形成することができる。
【0042】
その後、コイル57が覆われるように樹脂を板69上に塗布して固める。この硬化した樹脂を板69から剥がし、円形突起67の箇所にさらに樹脂を埋め込むことにより、図13のシート81が完成する。
【0043】
以上、本実施形態について受信部55で説明したが、送信部53についても受信部55の形態を応用することができる。
【0044】
【発明の効果】
以上述べたように本発明に係る誘導型位置検出装置によれば、所望の形態の受信部(例えば任意のピッチ、単相の信号検出用、3相の信号検出用)や送信部を簡単に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る誘導型位置検出装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1のスケールのII(a)−II(b)断面からみた受信部の一部を示す模式図である。
【図3】受信部の第1例の一部を示す模式図である。
【図4】受信部の第1例を製造する方法の一例の第1工程図である。
【図5】受信部の第1例を製造する方法の一例の第2工程図である。
【図6】受信部の第1例を製造する方法の一例の第3工程図である。
【図7】受信部の第2例の一部を示す模式図である。
【図8】受信部の第3例の一部を示す模式図である。
【図9】受信部の第4例の一部を示す模式図である。
【図10】受信部の第5例の一部を示す模式図である。
【図11】受信部の第6例の一部を示す模式図である。
【図12】受信部の第7例の一部を示す模式図である。
【図13】受信部の第8例を構成するコイルが配置されたシートの一部を平面的に示す模式図である。
【図14】受信部の第8例の一部を示す模式図である。
【図15】受信部の第8例を作製する方法の一例を説明するための図である。
【符号の説明】
1・・・誘導型位置検出装置、3・・・スケール、5・・・センサヘッド、7・・・IC回路、9・・・発生回路、11・・・処理回路、13・・・演算制御回路、31・・・絶縁基板、31A・・・面、33・・・磁束結合巻線、35・・・第1結合ループ、35A,35B・・・巻線導体部、37・・・第2結合ループ、51・・・絶縁基板、51A・・・面、53・・・送信部、53T1,52T2・・・端子、55,55A〜55H・・・受信部、55T1,55T2・・・端子、57・・・コイル、59・・・腕部、61・・・スペーサ、63・・・端部、65・・・配線、67・・・円形突起、69・・・板、71・・・エナメル線、73・・・軟磁性体膜、75・・・中央部分、77,77A,77B・・・端部分、79・・・軟磁性体部材、81・・・シート、L・・・仮想線、L1,L2・・・折り曲げ線
【発明の属する技術分野】
本発明は、ノギスやマイクロメータに代表される小型の測定工具、リニアエンコーダおよびセンサ機器に応用される、電磁結合を利用して位置検出を行う誘導型位置検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
誘導型位置検出装置は、直線変位や角度変位などの精密な測定に利用される。従来の誘導型位置検出装置は、磁束結合巻線(磁束変調器)を所定ピッチで配列したスケールと、このスケールに対して相対移動可能に対向配置されると共に磁束結合巻線と磁束結合が可能な送信巻線および受信巻線が配置されたセンサヘッド(読み出しヘッド)とにより構成される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
センサヘッドの受信巻線としては、エナメル被覆銅からなるワイヤーをワイヤーボンディングで基板にボンディングしたもの(例えば、特許文献2参照)や、ビルドアップ基板の異なる層にそれぞれ形成された第1の検出コイルと第2の検出コイルとをコンタクト孔で接続したものがある(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−318781号公報([0003]〜[0005]、図1)
【特許文献2】
特表2002−502497号公報(第19頁第15行〜第27行、FIG.1、FIG.4)
【特許文献3】
特開2001−255108号公報([0028]、[0032]、図2、図3)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
センサヘッドの受信部となる受信巻線をビルドアップ基板で作製した場合、受信部の形態(例えば受信巻線のピッチ)はビルドアップ基板のルールに制限され、所望の形態の受信部を得ることが困難なことがある。特に狭ピッチな受信巻線は、コンタクト孔の大きさやコンタクト孔のピッチなどにより制限されるため、狭ピッチ化には限界がありかつコストもかかる。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、所望の形態の受信部や送信部を簡単に実現できる誘導型位置検出装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る誘導型位置検出装置は、磁束結合巻線が設けられたスケールと、磁束結合巻線と磁束結合が可能な送信部および受信部が設けられると共にスケールに対して相対移動可能に対向配置されたセンサヘッドと、を備えた誘導型位置検出装置であって、送信部および受信部の少なくとも一方は、スケールが延びる方向に所定ピッチで配列された互いに接続された複数のコイルを備えて構成され、複数のコイルは、スケールが延びる方向に同軸配置され、それぞれが絶縁材料で被覆された導電線を巻いたものであることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る誘導型位置検出装置によれば、絶縁材料で被覆された導電線からなる複数のコイルを互いに接続することにより、送信部および受信部の少なくとも一方を構成している。したがって、所望の形態の受信部(例えば任意のピッチ、単相の信号検出用、3相の信号検出用)や送信部を簡単に実現することができる。
【0009】
本発明に係る誘導型位置検出装置において、隣り合うコイル間にスペーサが配置されているようにしてもよい。これによれば、スペーサの厚みを変えることにより、コイルのピッチを簡単に所望の値にすることができる。また、微細な受信部や送信部であっても、コイルのピッチを正確に保つことができる。
【0010】
本発明に係る誘導型位置検出装置において、スペーサのコイルと向かい合う面には強磁性の性質を有する軟磁性体膜が形成されているようにしてもよい。これによれば、誘導型位置検出装置が小型化しても、受信部で受信される信号や送信部から送信される信号の強度を高めることができる。
【0011】
本発明に係る誘導型位置検出装置において、コイルからこれと接続された次のコイルに電流が流れたとき、これらのコイルで発生する磁界の向きが互いに逆になるように、これらのコイルが接続されているようにしてもよい。これによれば、受信部や送信部を外部からの磁界の影響を受けにくいようにすることができる。
【0012】
本発明に係る誘導型位置検出装置において、複数のコイルは、異なる位相の信号を検出する複数のグループに分けられているようにしてもよい。これによれば、コイルの接続関係を変えるだけで、異なる位相(例えば2相や3相)の信号を検出できる受信部にすることができる。
【0013】
本発明に係る誘導型位置検出装置において、受信部の中央部分のコイルの巻数は、受信部の端部分のコイルの巻数よりも多いようにしてもよい。これによれば、センサヘッドがスケールに対してミスアライメントされても、誘導型位置検出装置の特性が変化しにくいので、誘導型位置検出装置の信頼性を向上させることができる。
【0014】
本発明に係る誘導型位置検出装置において、コイルには、強磁性の性質を有する軟磁性体部材が挿入されているようにしてもよい。これによれば、誘導型位置検出装置が小型化しても、受信部で受信される信号や送信部から送信される信号の強度を高めることができる。
【0015】
本発明に係る誘導型位置検出装置において、複数のコイルが一筆書き状に並べて配置されたシートを、山折りと谷折りが交互になるように折り曲げることによって、受信部が構成されるようにしてもよい。これによれば、各コイルの接続の手間を省くことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。図1は、この実施形態に係る誘導型位置検出装置1の概略構成を示す斜視図である。この実施形態は受信部の構造を主な特徴としているが、この理解の前提として装置1について説明する。まず、装置1の構成を説明する。誘導型位置検出装置1は誘導型エンコーダとも言い、スケール3とこれに対向して配置されたセンサヘッド5とから構成される。スケール3の長手方向が測定軸xである。センサヘッド5は、スケール3に対して所定ギャップをもって測定軸x方向に移動可能に配置される。なお、センサヘッドが固定でスケールが移動する構成でもよい。すなわち、センサヘッドとスケールとは、互いに相対移動可能に配置されていればよい。
【0017】
センサヘッド5は、ガラスや樹脂のような絶縁基板51を備え、絶縁基板51のスケール3と対向する面51A側には、長手方向がx方向である矩形状の送信巻線からなる送信部53が、その端子53T1,53T2と共に配置されている。送信部53の隣には、受信部55が、その端子55T1,55T2と共に配置されている。受信部55は測定軸x方向に沿って配置された複数のコイル57により構成される。図1では、受信部55やコイル57をこれらの形ではなく、ブロックとして示している。
【0018】
送信部53や受信部55の端子は、これらの一方の端部側に配置されている。これらの端子は図示しない配線を介して、変位を測定するための演算や制御などをするIC回路7と接続されている。IC回路7はセンサヘッド5に配置されていてもよいし、これとは別の部品に取り付けられていてもよい。
【0019】
一方、スケール3は、例えばガラスや樹脂からなる絶縁基板31を備え、この基板31のセンサヘッド5に対向する面31A側には、スケールピッチλでx方向に沿って多数の磁束結合巻線33が配置されている。磁束結合巻線33は、送信部53と対向するように配置された第1結合ループ35と、受信部55と対向するように配置された第2結合ループ37とにより構成される。これにより、磁束結合巻線33は送信部53や受信部55と磁束結合が可能となる。送信部53や磁束結合巻線33は、アルミニウム、銅、金などの電気抵抗が低い材料で構成され、一方、受信部55のコイル57は絶縁材料で被覆された導電線(例えばエナメル線)で構成される。
【0020】
次に、誘導型位置検出装置1の動作について図1を参照して簡単に説明する。IC回路7の発生回路9で生成された送信用励振信号(単相交流)は端子53T1,53T2を経由して送信部53に送られる。これにより、ある時刻に着目すると、送信部53には反時計回りに励振電流i1が流れる。そして、この励振電流i1により送信部53から交番磁束が生成され、第1結合ループ35と磁束結合する。より具体的にいえば、送信部53の測定軸x方向の部分である巻線導体部53A,53Bが、第1結合ループ35を構成する巻線導体部35A,35Bと平行に相対向して電磁結合する。これにより、第1結合ループ35には誘導電流i2が流れ、そして、電流i3として第2結合ループ37に流れる。これにより第2結合ループ37から発生される交番磁束が受信部55に磁束結合する。そして、正弦波状(または矩形状)の信号が受信信号として端子55T1,55T2を経由してIC回路7の処理回路11に送られる。処理回路11はこれらの受信信号をサンプリングし、ディジタル値に変換してIC回路7の演算制御回路13に送る。演算制御回路13では、このディジタル値を基にしてスケール3に対するセンサヘッド5の位置を演算する。なお、演算制御回路13は発生回路9を制御する機能も有する。
【0021】
さて、本実施形態の主な特徴は受信部55であり、受信部55の詳細を説明する。図2は図1のスケール3のII(a)−II(b)断面からみた受信部55の一部を示す模式図である。受信部55は、複数のコイル57をスケール3が延びる方向に同軸配置(言い換えれば、複数のコイル57をスケール3が延びる方向の仮想線Lに沿って一列に配置)することにより構成されるコイルアレイである。
【0022】
コイル57のピッチはスケールピッチλと同じである。コイル57は、仮想線Lを中心にエナメル線が円状に複数回巻かれたものである。したがって、仮想線Lはコイル57と交わることなく、コイル57の中を通っている。上記複数回巻かれた箇所から延びたものがコイル57の腕部59である。隣り合うコイル57は腕部59で互いに接続されている。コイル57の巻数は、受信部55に要求される性能に応じて決められ、一回でもよい。コイル57の形状は円形に限らず、他の形状(例えば四角形)でもよい。
【0023】
以上のように本実施形態に係る誘導型位置検出装置1の受信部55は、エナメル線からなる複数のコイル57を、コイル57の腕部59を利用して互いに接続することにより構成される。したがって、所望の形態(例えば任意のピッチ、単相の信号検出用、3相の信号検出用)の受信部55を簡単に実現することができる。特に、細いエナメル線(例えば径10〜20μm)を用いてコイル57を作製することにより、小型で狭ピッチな受信部55を安価に提供することができる。
【0024】
本実施形態に係る誘導型位置検出装置1に備えられる受信部55の形態の具体例としては、次の第1〜第8例がある。なお、これらの例を説明する図において、既に説明した図の符号で示すものと同一のものについては、同一符号を付すことにより説明を省略する。
【0025】
[受信部の第1例]
受信部の第1例の一部を示す模式図が図3であり、図2と対応している。第1例の受信部55Aでは、隣り合うコイル57間にスペーサ61が配置されている。スペーサ61の材料としては非磁性の絶縁体(例えばテフロン)である。隣り合うコイル57は腕部59の端部63で配線65により接続されている。この例ではスペーサ61の厚みTを変えることにより、コイル57のピッチが所望の値となる受信部55Aを容易に実現することができる。
【0026】
誘導型位置検出装置の小型化を進めると、それに伴い受信部55が微細化する。したがって、コイル57のみでは強度が不十分となり、コイル57のピッチを正確に保ち続けるのが困難となる。この例によれば、隣り合うコイル57間にスペーサ61が設けられているので、受信部55Aが微細化してもコイル57のピッチを正確に保つことができる。
【0027】
受信部55Aの製造方法の一例について簡単に説明する。図4〜図6は上記製造方法を示す工程図である。まず、図4に示す円形突起67が表面に形成された板69を用意する。図5に示すように、円形突起67に沿ってエナメル線71を巻くことにより、所望の巻数のコイル57を作製する。そして、図6に示すように、複数のコイル57を重ねて、隣り合うコイル57の腕部59の端部を配線65で接続する。配線65の長さはコイル57のピッチ(要求される信号ピッチ)と同じにする。以上により、単相のコイルアレイである受信部55Aを得ることができる。
【0028】
[受信部の第2例]
図7は受信部の第2例の一部を示す模式図であり、図2や図3と対応している。第2例の受信部55Bが図3の受信部55Aと相違する点は、スペーサ61のコイル57と向かい合う面に強磁性の性質を有する軟磁性体膜73が形成されていることである。軟磁性とは磁化や減磁が比較的容易にできる磁性体のことである。軟磁性体膜73としては、例えばパーマロイ膜やアモルファスメタル膜がある。
【0029】
軟磁性体膜73を配置することによって、コイル57の近くに磁束を集中させることができるため、受信部55Bのコイル57と磁束結合巻線33の間の磁束結合を大きくすることができる。したがって、誘導型位置検出装置が小型化しても、受信部55Bで受信される信号の強度を高めることができる。
【0030】
[受信部の第3例]
受信部の第3例は図8に示されている。図8は図2と対応し、第3例の受信部55Cの一部を示す模式図である。受信部55Cが図2の受信部55と異なる点は、以下の通りである。コイル57のピッチはスケールピッチλの半分にされている。あるコイル57とこれに接続された次のコイル57(この例では隣り合うコイル)とが逆接続されている。すなわち、あるコイル57からこれと接続された次のコイル57に電流Iが流れたとき、これらのコイル57で発生する磁界の向きが互いに逆になるように、これらのコイル57が接続されている。
【0031】
したがって、この例によれば、外部からの何らかの磁界により受信部55Cに電流が流れた場合、各コイル57から生じる磁界は相殺されるため、ノイズが発生しにくくなる。よって、外部からの磁界の影響を受けにくいようにすることができる。
【0032】
[受信部の第4例]
図9は第4例の受信部55Dの一部を示す模式図であり、図2と対応している。第4例が図2の受信部55と異なる点は、複数のコイル57が三つのグループに分けられており、これにより3相の信号を検出できることである。つまり、受信部55Dが三つの受信巻線から構成されていることである。詳しくは、コイル57のピッチはスケールピッチλの三分の一である。隣り合うコイルが接続されているのではなく、コイル57は二つおきに互いに接続して構成されている。これにより、A相、B相、C相の変位信号、すなわち120°ずつ位相がずれた3相の変位信号を検出することができる。この例によれば、コイル57の接続関係を変えるだけで、3相の信号を検出する受信部にすることができる。なお、3相に限らず、2相や4相以上の多相でも可能である。例えば、2相の場合、コイル57のピッチをスケールピッチλの半分にして、コイル57は一つおきに互いに接続して構成するのである。
【0033】
[受信部の第5例]
受信部の第5例を図10で説明する。この図は第5例の受信部55Eの一部を示す模式図であり、図2と対応している。第5例は、図8の第3例と図9の第4例の組み合わせである。すなわち、コイル57は二つおきに互いに接続され、かつあるコイル57とこれに接続された次のコイル57とが逆接続されている。/A相、/B相、/C相のコイル57は、それぞれA相、B相、C相のコイル57に逆接続されたコイル57である。この例によれば、外部からの磁界の影響を受けにくくし、かつ120°ずつ位相がずれた3相の変位信号を得ることができる。
【0034】
[受信部の第6例]
図11は第6例の受信部55Fの一部を示す模式図であり、図2と対応している。この例では、受信部55Fの中央部分75に位置するコイル57を、端部分77に位置するコイル57よりも、巻数を多くしている。これにより生じる効果を説明する。
【0035】
誘導型位置検出装置1(図1)の製作の際にセンサヘッド5(図1)がスケール3に対してミスアライメントされることにより、受信部55Fのうち一方の端部分77(例えば端部分77A)がスケール3に近づき、他方の端部分77(例えば端部分77B)がスケール3から遠ざかることがある。この場合でも中央部分75とスケール3との距離の変動は小さい。中央部分75はコイルの巻数が多いので、端部分77よりも信号の受信に寄与する度合いが高い。したがって、ミスアライメントが発生しても受信部55Fの信号強度は不安定になりにくい。また、組み立て後の実際の測定時においてミスアライメントが発生したとしても上記と同様の効果が得られる。以上説明したように、ミスアライメントが発生しても、誘導型位置検出装置1の特性は変化しにくいので、誘導型位置検出装置1の信頼性を向上させることができる。
【0036】
[受信部の第7例]
続いて受信部の第7例を説明する。図12は第7例の受信部55Gの一部を示す模式図であり、図2と対応している。この例では、コイル57の中に強磁性の性質を有する軟磁性体部材79が挿入されている。この例によれば、図7の第2例と同じ理由により、誘導型位置検出装置が小型化しても、受信部で受信される信号の強度を高めることができる。
【0037】
なお、図4の円形突起67の材料を強磁性の性質を有する軟磁性体にし、かつ円形突起67を板69から取り外し可能にすることにより、軟磁性体部材79が挿入されたコイル57を得ることができる。
【0038】
[受信部の第8例]
最後に受信部の第8例を説明する。図13は第8例の受信部を構成するコイル57が配置されたシート81の一部を平面的に示す模式図である。シート81は折り曲げ可能な樹脂(例えば、ポリイミド)により構成される。シート81が折り曲げられる箇所となる仮想の折り曲げ線L1,L2の間に各コイル57が位置するように、複数のコイル57がシート81上に一筆書き状に並べられている。折り曲げ線L1が山折りの箇所で、折り曲げ線L2が谷折りの箇所となる。折り曲げ線L1,L2でシート81を、山折りと谷折りが交互になるように折り曲げることによって、図14に示す受信部55Hが構成される。
【0039】
図13に示すように、腕部59同士の接続を隣り合う腕部59同士ではなく、一つ飛ばした位置にある腕部59にしている。これにより、図14の受信部55Hに一方向に電流を流した場合、各コイル57に流れる電流の向きは、図8の受信部55Cと同じではなく、図2の受信部55と同じになる。
【0040】
この例によれば、これまでの例のように、コイル57の腕部59の端部63に配線65を接続することによりコイル57を互いに接続する、という面倒な作業が不要となる。
【0041】
図13に示すシート81の作製方法の一例を簡単に説明する。図15に示すように、円形突起67が形成された板69を用意する。そして、円形突起67にエナメル線71を複数回巻付け、続けて隣の円形突起67にエナメル線71を複数回巻付ける動作を繰り返す。エナメル線71なので交差箇所で導通することはなく、したがって、一筆書きで複数のコイル57を形成することができる。
【0042】
その後、コイル57が覆われるように樹脂を板69上に塗布して固める。この硬化した樹脂を板69から剥がし、円形突起67の箇所にさらに樹脂を埋め込むことにより、図13のシート81が完成する。
【0043】
以上、本実施形態について受信部55で説明したが、送信部53についても受信部55の形態を応用することができる。
【0044】
【発明の効果】
以上述べたように本発明に係る誘導型位置検出装置によれば、所望の形態の受信部(例えば任意のピッチ、単相の信号検出用、3相の信号検出用)や送信部を簡単に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る誘導型位置検出装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1のスケールのII(a)−II(b)断面からみた受信部の一部を示す模式図である。
【図3】受信部の第1例の一部を示す模式図である。
【図4】受信部の第1例を製造する方法の一例の第1工程図である。
【図5】受信部の第1例を製造する方法の一例の第2工程図である。
【図6】受信部の第1例を製造する方法の一例の第3工程図である。
【図7】受信部の第2例の一部を示す模式図である。
【図8】受信部の第3例の一部を示す模式図である。
【図9】受信部の第4例の一部を示す模式図である。
【図10】受信部の第5例の一部を示す模式図である。
【図11】受信部の第6例の一部を示す模式図である。
【図12】受信部の第7例の一部を示す模式図である。
【図13】受信部の第8例を構成するコイルが配置されたシートの一部を平面的に示す模式図である。
【図14】受信部の第8例の一部を示す模式図である。
【図15】受信部の第8例を作製する方法の一例を説明するための図である。
【符号の説明】
1・・・誘導型位置検出装置、3・・・スケール、5・・・センサヘッド、7・・・IC回路、9・・・発生回路、11・・・処理回路、13・・・演算制御回路、31・・・絶縁基板、31A・・・面、33・・・磁束結合巻線、35・・・第1結合ループ、35A,35B・・・巻線導体部、37・・・第2結合ループ、51・・・絶縁基板、51A・・・面、53・・・送信部、53T1,52T2・・・端子、55,55A〜55H・・・受信部、55T1,55T2・・・端子、57・・・コイル、59・・・腕部、61・・・スペーサ、63・・・端部、65・・・配線、67・・・円形突起、69・・・板、71・・・エナメル線、73・・・軟磁性体膜、75・・・中央部分、77,77A,77B・・・端部分、79・・・軟磁性体部材、81・・・シート、L・・・仮想線、L1,L2・・・折り曲げ線
Claims (8)
- 磁束結合巻線が設けられたスケールと、前記磁束結合巻線と磁束結合が可能な送信部および受信部が設けられると共に前記スケールに対して相対移動可能に対向配置されたセンサヘッドと、を備えた誘導型位置検出装置であって、
前記送信部および前記受信部の少なくとも一方は、前記スケールが延びる方向に所定ピッチで配列された互いに接続された複数のコイルを備えて構成され、
前記複数のコイルは、前記スケールが延びる方向に同軸配置され、それぞれが絶縁材料で被覆された導電線を巻いたものであることを特徴とする誘導型位置検出装置。 - 隣り合う前記コイル間にスペーサが配置されていることを特徴とする請求項1記載の誘導型位置検出装置。
- 前記スペーサの前記コイルと向かい合う面には強磁性の性質を有する軟磁性体膜が形成されていることを特徴とする請求項2記載の誘導型位置検出装置。
- 前記コイルからこれと接続された次の前記コイルに電流が流れたとき、これらのコイルで発生する磁界の向きが互いに逆になるように、これらのコイルが接続されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の誘導型位置検出装置。
- 複数の前記コイルは、異なる位相の信号を検出する複数のグループに分けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の誘導型位置検出装置。
- 前記受信部の中央部分の前記コイルの巻数は、前記受信部の端部分の前記コイルの巻数よりも多いことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の誘導型位置検出装置。
- 前記コイルには、強磁性の性質を有する軟磁性体部材が挿入されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の誘導型位置検出装置。
- 複数の前記コイルが一筆書き状に並べて配置されたシートを、山折りと谷折りが交互になるように折り曲げることによって、前記受信部が構成されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の誘導型位置検出装置。
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2003
- 2003-02-14 JP JP2003037217A patent/JP2004245738A/ja active Pending
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