JP5042891B2 - センサヘッド、及び誘導型変位検出装置 - Google Patents

センサヘッド、及び誘導型変位検出装置 Download PDF

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Description

本発明は、磁場によって誘導される電流信号を用いて、2つの部材間の移動量又は位置を検知する誘導電流を用いたセンサヘッド、及び誘導型変位検出装置に関する。
誘導型変位検出装置は、直線変位や角度変位などの精密な測定に適しており、例えば、ノギス、マイクロメータ、インジケータ、リニヤスケール等に応用される。従来、誘導型変位検出装置は、磁束結合部材となるプレート又は磁束結合巻線を所定ピッチで配列したスケールと、このスケールに対して相対移動可能に対抗配置されると共にプレート又は磁束結合巻線と磁束結合が可能な送信巻線及び受信巻線が配置されたセンサヘッドと、により構成される(例えば、特許文献1)。
従来の誘導型変位検出装置において、複数の送信巻線は、測長方向に直交する直交方向に所定の間隔をもって配置される。また、それに対応して、複数の磁束結合巻線は、直交方向に所定の間隔をもって配置され、複数の受信巻線は、測長直交方向に所定の間隔をもって配置される。
特開平8−313295号公報(図4)
しかしながら、受信巻線を直交方向に複数配置した場合、それら受信巻線、及び対応する磁束結合巻線の直交方向の位置関係は、厳格に定めなければ、必要とする信号強度を得ることができない。つまり、受信巻線、及び対応する磁束結合巻線間のアライメント許容値が狭いという問題がある。
そこで、本発明は、受信巻線、及び対応する磁束結合巻線間のアライメント許容値を緩和するセンサヘッド、及び誘導型変位検出装置を提供することを目的とする。
本発明に係るセンサヘッドは、スケールと対向すると共に前記スケールに対して測定軸方向に相対移動可能に構成されたセンサヘッドであって、前記スケールの測定軸に沿って配設された複数の第1磁束結合部材に磁束を供給する第1送信巻線と、前記第1磁束結合部材から前記スケールの前記測定軸に直交する直交方向に所定間隔を設けて配置され、且つ前記測定軸に沿って配設された複数の第2磁束結合部材に磁束を供給する第2送信巻線と、前記第1送信巻線の磁束に基づき前記複数の第1磁束結合部材と磁束結合可能な第1受信巻線と、前記第2送信巻線の磁束に基づき前記複数の第2磁束結合部材と磁束結合可能な第2受信巻線とを備え、前記第1送信巻線及び前記第2送信巻線は、前記測定軸に沿って矩形状に構成され、且つ互いに前記直交方向に所定間隔を設けて配置され、前記第1受信巻線は、前記第1送信巻線に取り囲まれる位置に設けられ、前記第2受信巻線は、前記第2送信巻線に取り囲まれる位置に設けられ、前記第1送信巻線の前記直交方向の中心は、前記第1受信巻線の前記直交方向の中心から前記直交方向に前記第2受信巻線から離れるように第1の長さをもって位置し、前記第2送信巻線の前記直交方向の中心は、前記第2受信巻線の前記直交方向の中心から前記直交方向に前記第1受信巻線から離れるように前記第1の長さをもって位置することを特徴とする。
上記構成における前記第1送信巻線の前記直交方向の中心の位置、及び前記第2送信巻線の前記直交方向の中心の位置により、第1及び第2受信巻線から得られる信号強度が最大となる直交方向のずれ量を、所定範囲内におさめることができる。ここで、直交方向のずれ量は、第1磁束結合部材の直交方向の中心と第1受信巻線の直交方向の中心との間の長さを示す。また、直交方向のずれ量は、第2磁束結合部材の直交方向の中心と第2受信巻線の直交方向の中心との間の長さを示す。
前記第1の長さは、0μmより大きく、150μm以下が望ましい。さらに、前記第1の長さは、150μmが望ましい。
また、前記第2磁束結合部材から前記スケールの前記測定軸に直交する直交方向に所定間隔を設けて配置され、且つ測定軸に沿って配設された複数の第3磁束結合部材に磁束を供給する第3送信巻線と、前記第3送信巻線の磁束に基づき前記複数の第3磁束結合部材と磁束結合可能な第3受信巻線とを備える構成であってもよい。
本発明に係る誘導型変位検出装置は、スケールと、当該スケールと対向すると共に前記スケールに対して測定軸方向に相対移動可能に構成されたセンサヘッドとを備える誘導型変位検出装置であって、前記スケールは、前記測定軸に沿って配設された複数の第1磁束結合部材と、当該第1磁束結合部材から前記測定軸に直交する直交方向に所定間隔を設けて配置され、且つ前記測定軸に沿って配設された複数の第2磁束結合部材とを備え、前記センサヘッドは、前記複数の第1磁束結合部材に磁束を供給する第1送信巻線と、前記複数の第2磁束結合部材に磁束を供給する第2送信巻線と、前記第1送信巻線の磁束に基づき前記複数の第1磁束結合部材と磁束結合可能な第1受信巻線と、前記第2送信巻線の磁束に基づき前記複数の第2磁束結合部材と磁束結合可能な第2受信巻線とを備え、前記第1送信巻線及び前記第2送信巻線は、前記測定軸に沿って矩形状に構成され、且つ互いに前記直交方向に所定間隔を設けて配置され、前記第1受信巻線は、前記第1送信巻線に取り囲まれる位置に設けられ、前記第2受信巻線は、前記第2送信巻線に取り囲まれる位置に設けられ、前記第1送信巻線の前記直交方向の中心は、前記第1受信巻線の前記直交方向の中心から前記直交方向に前記第2受信巻線から離れるように第1の長さをもって位置し、前記第2送信巻線の前記直交方向の中心は、前記第2受信巻線の前記直交方向の中心から前記直交方向に前記第1受信巻線から離れるように前記第1の長さをもって位置することを特徴とする。
本発明によれば、受信巻線、及び対応する磁束結合巻線間のアライメント許容値を緩和するセンサヘッド、及び誘導型変位検出装置を提供することが可能となる。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るセンサヘッド、及び誘導型変位検出装置について説明する。
(誘導型変位検出装置の構成)
先ず、図1〜図3を参照して、実施形態に係る誘導型変位検出装置1の構成について説明する。図1は、実施形態に係る誘導型変位検出装置1の概略斜視図である。誘導型変位検出装置1は、主に、図1に示すようにスケール3、及びこのスケール3に対向するように配置されたセンサヘッド5から構成される。図1において、スケール3は、長手方向の一部のみが記載されている。スケール3の長手方向が測定軸Xとなる。センサヘッド5は、スケール3に対して所定ギャップを介して対向し、測定軸Xに沿って移動可能に配置される。なお、センサヘッド5が固定され、スケール3が移動する構成でもよい。すなわち、センサヘッド5とスケール3とは、測定軸X方向に相対移動可能にされていればよい。また、以下の説明において、測定軸Xに直交する方向を直交方向Yとする。
スケール3は、ガラスエポキシ樹脂からなる絶縁基板7、及び複数の第1磁束結合巻線9A(磁束結合部材の一例)、第2磁束結合巻線9B、及び第3磁束結合巻線9Cを備える(図1及び図2参照)。絶縁基板7は、ガラスやシリコン等の材料から構成してもよい。なお、図2は、スケール3の概略上面図である。
第1〜第3磁束結合巻線9A〜9Cは、絶縁基板7のセンサヘッド5に対向する面側に設けられている。各第1〜第3磁束結合巻線9A〜9Cは、測定軸X方向に延びるように配列されている。第1〜第3磁束結合巻線9A〜9Cは、直交方向Yに所定間隔を設けて順番に配置されている。具体的には、第1磁束結合巻線9Aと第2磁束結合巻線9Bとの間の直交方向Yの長さa1は、650μmである。また、第2磁束結合巻線9Bと第3磁束結合巻線9Cとの間の直交方向Yの長さa2は、300μmである。
第1磁束結合巻線9Aは、測定軸X方向に第1ピッチp1を設けて配置された複数の矩形の線状導体から構成されている。第1磁束結合巻線9Aは、直交方向Yに長さd1(例えば、3050μm)をもって形成されている。第1磁束結合巻線9Aの直交方向Yの中心を示す中心線CL1は、後述する第1受信巻線15Aの直交方向Yの中心を示す中心線CL7と一致するように設けられている。
第2磁束結合巻線9Bは、第1磁束結合巻線9Aと略同様に、測定軸X方向に第2ピッチp2を設けて配列された複数の矩形の線状導体から構成されている。第2磁束結合巻線9Bは、直交方向Yに長さd1(例えば、3050μm)をもって形成されている。第2磁束結合巻線9Bの直交方向Yの中心を示す中心線CL2は、後述する第2受信巻線15Bの直交方向Yの中心を示す中心線CL8と一致するように設けられている。
第3磁束結合巻線9Cは、第1パターン9C1、及び第2パターン9C2にて構成されている。第1パターン9C1、及び第2パターン9C2は、測定軸X方向に交互に設けられている。
第1パターン9C1は、一対の接続部91にて接続された第1ループ部92及び第2ループ部93を有する。同様に、第2パターン9C2は、一対の接続部94にて接続された第1ループ部95及び第2ループ部96を有する。第1ループ部92、95は、測定軸X方向に長手を有する略矩形状に構成されている。第2ループ部93、96は、直交方向Yに長手を有する略矩形状に構成されている。
第1パターン9C1の第1ループ部92は、第2磁束結合巻線9Bの近傍に設けられている。一方、第1パターン9C1の第2ループ部93は、第3磁束結合巻線9Cの中央に設けられている。第1ループ部92は、直交方向Yに長さd2(例えば、1810μm)をもって形成されている。第2ループ部93は、直交方向Yに長さd4(例えば、2000μm)をもって形成されている。接続部91は、第1ループ部92と第2ループ部93との間に長さd3(例えば、800μm)をもって形成されている。
第2パターン9C2の第1ループ部95は、絶縁基板7の一方の側部のエッジに沿って設けられている。一方、第2パターン9C2の第2ループ部96は、第3磁束結合巻線9Cの中央に設けられている。第1ループ部95は、直交方向Yに長さd2(例えば、1810μm)をもって形成されている。第2ループ部96は、直交方向Yに長さd4(例えば、2000μm)をもって形成されている。接続部94は、第1ループ部95と第2ループ部96との間に長さd3(例えば、 800μm)をもって形成されている。
第1パターン9C1の第2ループ部93、及び第2パターン9C2の第2ループ部96は、測定軸X方向に第3ピッチp3を設けて交互に配置されている。
第3磁束結合巻線9Cの直交方向Yの中心を示す中心線CL3は、後述する第3受信巻線15Cの直交方向Yの中心を示す中心線CL9と一致するように設けられている。なお、第3磁束結合巻線9Cの中心線CL3は、第2ループ部93,96の直交方向Yの中心を示す。
第1〜第3磁束結合巻線9A〜9Cを構成する線状導体は、アルミニウム、銅、金などの電気抵抗が低い材料から構成される。これら第1〜第3磁束結合巻線9A〜9Cを覆うように、絶縁基板7上に図示しない保護膜としてのパッシベーション膜が形成されている。また、第1〜第3磁束結合巻線9A〜9Cに替えて、磁束結合を阻害する金属プレートを磁束結合部材として測定軸Xに沿って周期的に配置してもよい。このような場合であっても、第1〜第3磁束結合巻線9A〜9Cを配置した場合と同様に、センサヘッド5の位置に依存する周期的信号が第1〜第3受信巻線15A〜15Cから得られるので変位検出が可能である。
センサヘッド5は、ガラスエポキシ樹脂からなる絶縁基板11、第1〜第3送信巻線13A〜13C(送信部材の一例)、及び第1〜第3受信巻線15A〜15Cを有する(図1及び図3参照)。絶縁基板11は、ガラスやシリコン等の材料から構成してもよい。なお、図3は、センサヘッド5の概略上面図である。
第1〜第3送信巻線13A〜13Cは、絶縁基板11のスケール3と対向する面側に設けられている。第1〜第3送信巻線13A〜13Cは、直交方向Yに所定の間隔を設けて順番に配置されている。具体的には、例えば、第1送信巻線13Aと第2送信巻線13Bとの間の直交方向Yの長さb1は、970μmである。また、例えば、第2送信巻線13Bと第3送信巻線13Cとの間の直交方向Yの長さb2は、400μmである。
第1送信巻線13A及び第2送信巻線13Bは、測定軸X方向に長手を有する略矩形状に形成されている。第1送信巻線13A及び第2送信巻線13Bは、直交方向Yに長さL1(例えば、2920μm)をもって構成されている。
第3送信巻線13Cは、第1パターン13C1及び第2パターン13C2を有する。第1パターン13C1及び第2パターン13C2は、直交方向Yに所定の間隔を設けて配置されている。具体的には、例えば、第1パターン13C1と第2パターン13C2との間の直交方向Yの長さb3は、3630μmである。
第1パターン13C1及び第2パターン13C2は、測定軸X方向に長手を有する略矩形状に形成されている。第1パターン13C1及び第2パターン13C2は、直交方向Yに長さL2(例えば、1530μm)をもって構成されている。
第1〜第3受信巻線15A〜15Cは、絶縁基板11のスケール3と対向する面側及び反対側(又は中間層)に設けられている。
第1受信巻線15Aは、第1送信巻線13Aに取り囲まれる位置に設けられている。同様に、第2受信巻線15Bは、第2送信巻線13Bに取り囲まれる位置に設けられている。第3受信巻線15Cは、直交方向Yにおける第3送信巻線13Cの第1パターン13C1と第2パターン13C2との間に設けられている。第1〜第3受信巻線15A〜15Cは、第1〜第3磁束結合巻線9A〜9Cと磁束結合可能に構成されている。
第1受信巻線15Aは、図4に示すように、3相の第1〜第3パターン15A1〜15A3から構成されている。各々の第1〜第3パターン15A1〜15A3は、測定軸Xに沿って所定ピッチで絶縁基板11上に並べられた複数の囲繞形状を有する受信ループ17により構成される。受信ループ17は、本実施形態においては、略菱形に構成されている。測定軸Xに隣接する受信ループ17は、電流の流れる向き(時計回り、反時計回り)が異なる。ここで、測定軸Xに隣接する受信ループ17は、それらを合わせてペアループ19と称する。
第1〜第3パターン15A1〜15A3は、互いに絶縁された状態で図1のように重ね合わされて3相の第1受信巻線15Aを形成している。第1〜第3パターン15A1〜15A3は、測定軸X方向に互いに位相をずらして配置されている。
第1受信巻線15Aは、直交方向Yに長さH1(例えば、2000μm)をもって形成されている。つまり、第1〜第3パターン15A1〜15A3は、直交方向Yに長さH1をもって形成されている。
第2受信巻線15B、及び第3受信巻線15Cは、上述した第1受信巻線15Aと同様の構成を有する。つまり、第2受信巻線15Bは、第1受信巻線15Aと同様に、3相の第1〜第3パターン15B1〜15B3から構成されている。また、第3受信巻線15Cは、第1受信巻線15Aと同様に、3相の第1〜第3パターン15C1〜15C3から構成されている。
図3に示すように、第1送信巻線13Aの直交方向Yの中心を示す中心線CL4は、第1受信巻線15Aの中心線CL7から直交方向Yに第2受信巻線15Bから離れるように移動距離(第1の長さ)δをもって位置する。
図3に示すように、第2送信巻線13Bの直交方向Yの中心を示す中心線CL5は、第2受信巻線15Bの中心線CL8から直交方向Yに第1受信巻線15Aから離れるように移動距離δをもって位置する。
本実施形態において、上述した移動距離δは、150μmである。
図3に示すように、直交方向Yにおいて、第3送信巻線13Cの直交方向Yの中心を示す中心線CL6は、第3受信巻線15Cの中心線CL9と一致する。なお、中心線CL6は、直交方向Yにおける第1パターン13C1と第2パターン13C2との間の中心を示す。
(誘導型変位検出装置1の動作)
次に、図2及び図3を参照して、誘導型変位検出装置1の動作を説明する。
先ず、送信用励振信号(単層交流)が、第1〜第3送信巻線13A〜13Cに送られる。これにより、ある時刻に着目すると、図3に示すように、第1〜第3送信巻線13A〜13Cには時計回りに第1〜第3励振電流i11〜i13が流れる。
続いて、第1〜第3励振電流i11〜i13により第1〜第3送信巻線13A〜13Cから交番磁束が生成され、第1〜第3磁束結合巻線9A〜9Cと磁束結合する。これにより、図2に示すように、第1〜第3磁束結合巻線9A〜9Cには反時計回りに第1〜第3誘導電流i21〜i23が流れる。
次に、第1〜第3磁束結合巻線9A〜9Cから発生される交番磁束が第1〜第3受信巻線15A〜15Cに磁束結合する。この磁束結合により、第1〜第3受信巻線15A〜15Cには、第1〜第3誘導電流i31〜i33が流れる。図5は、第1受信巻線15Aの第1パターン15A1に流れる第1誘導電流i31を示す図である。図5に示すように、第1誘導電流i31は、測定軸X方向に並ぶ受信ループ17ごとに、交互に時計回り、反時計回りに流れる。なお、第1受信巻線15Aの第2パターン15A2及び第3パターン15A1にも同様に、第1誘導電流i31が流れる。また、第2受信巻線15Bの第1〜第3パターン15B1〜15B3にも、同様に第2誘導電流i32が流れる。また、第3受信巻線15Cの第1〜第3パターン15C1〜15C3にも同様に第3誘導電流i33が流れる。
そして、スケール3に対してセンサヘッド5が相対移動すると、第1〜第3磁束結合巻線9A〜9Cと第1〜第3受信巻線15A〜15Cの磁束結合状態が、各々の移動周期で変化する。この磁束結合状態の変化により、第1〜第3受信巻線15A〜15Cの交番電流も変化する。
この第1〜第3受信巻線15A〜15Cに流れる交番電流の変化に基づき、スケール3に対するセンサヘッド5の相対移動により第1〜第3受信巻線15A〜15Cから各々の周期の正弦波状の出力信号が図示しないIC回路に送られる。IC回路は出力信号Sをサンプリングし、ディジタル値に変換して、スケール3に対するセンサヘッド5の位置を演算する。
(誘導型変位検出装置1の効果)
次に、図6及び図7を参照して、上記実施形態に係る誘導型変位検出装置1の効果について説明する。図6は、本実施形態に係る直交方向のずれ量(μm)に伴う信号強度の変化を示している。ここで、直交方向のずれ量は、第1磁束結合巻線9Aの中心線CL1と第1受信巻線15Aの中心線CL7との間の直交方向Yの長さを示す。また、直交方向のずれ量は、第2磁束結合巻線9Bの中心線CL2と第2受信巻線15Bの中心線CL8との間の直交方向Yの長さを示す。また、直交方向のずれ量は、第3磁束結合巻線9Cの中心線CL3と第3受信巻線15Cの中心線CL9との間の直交方向Yの長さを示す。なお、図6においては、第3磁束結合巻線9C及び第3受信巻線15Cに係る信号強度の最大値を100%となるように規格化している。
上述したように、本実施形態に係る誘導型変位検出装置1において、第1送信巻線13Aの直交方向Yの中心を示す中心線CL4は、第1受信巻線15Aの直交方向Yの中心を示す中心線CL7から直交方向Yに第2受信巻線15Bから離れるように移動距離δをもって位置する。また、第2送信巻線13Bの直交方向Yの中心を示す中心線CL5は、第2受信巻線15Bの直交方向Yの中心を示す中心線CL8から直交方向Yに第1受信巻線15Aから離れるように移動距離δをもって位置する。そして、本実施形態において、移動距離δは、150μmとしている。
上記構成により、本実施形態に係る誘導型変位検出装置1によれば、第1磁束結合巻線9A及び第1受信巻線15Aに係る直交方向のずれ量、第2磁束結合巻線9B及び第2受信巻線15Bに係る直交方向のずれ量、及び第3磁束結合巻線9C及び第3受信巻線15Cに係る直交方向のずれ量が、「0μm」となる状態において、各第1〜第3受信巻線15A〜15Cより得られる信号強度は、最大値をとる。
例えば、本実施形態に係る誘導型変位検出装置1において、図6に示すように、各々信号強度の最大値の110%〜85%まで許容可能とすれば、その組み立て時における直交方向ずれ量は、略−300μm〜+300μmまで許容することができる。
ここで、本実施形態に係る効果を説明するため、比較例を考える。比較例は、第1送信巻線13A及び第2送信巻線13Bの移動距離δが「0」となるように構成されている。すなわち、比較例において、第1送信巻線13Aの中心線CL4は、第1受信巻線15Aの中心線CL7と直交方向Yにて一致するように位置する。また、比較例において、第2送信巻線13Bの中心線CL5は、第2受信巻線15Bの中心線CL8と直交方向Yにて一致するように位置する。比較例におけるその他の構成は、本実施形態と同様である。
図7は、上記の比較例に係る第1磁束結合巻線9Aの中心線CL1と第1受信巻線15Aの中心線CL7との間の直交方向のずれ量(μm)に伴う信号強度の変化を示している。また、図7は、比較例に係る第2磁束結合巻線9Bの中心線CL2と第2受信巻線15Bの中心線CL8との間の直交方向のずれ量、及び第3磁束結合巻線9Cの中心線CL3と第3受信巻線15Cの中心線CL9との間の直交方向のずれ量に伴う信号強度の変化を示している。
上述したように比較例に係る誘導型変位検出装置は、第1送信巻線13A及び第2送信巻線13Bの移動距離δが「0」となるように構成されている。これにより、本実施形態と異なり、図7に示すように比較例においては、第1磁束結合巻線9A及び第1受信巻線15Aに係る直交方向ずれ量が「−200μm」となる状態において、第1磁束結合巻線9A及び第1受信巻線15Aに係る信号強度は最大値をとる。また、本実施形態と異なり、比較例においては、第2磁束結合巻線9B及び第2受信巻線15Bに係る直交方向ずれ量が「+200μm」となる状態において、第2磁束結合巻線9B及び第2受信巻線15Bに係る信号強度は最大値をとる。
例えば、比較例において、図7に示すように、各々信号強度の最大値の110%〜85%まで許容可能とすれば、その組み立て時における直交方向のずれ量は、略−200μm〜+200μmまでしか許容することができない。
つまり、本実施形態に係る誘導型変位検出装置1は、比較例と比べて、直交方向のずれ量に対する各信号強度の最大値を揃えることができる。したがって、本実施形態においてセンサヘッド5をスケール3に対して正確に取り付けた場合、比較例よりも、各信号強度を大きくすることができる。
そして、上記効果と共に、本実施形態に係る誘導型変位検出装置1は、比較例と比べて、直交方向のずれ量を許容することができる。つまり、受信巻線、及び対応する磁束結合巻線間のアライメント許容値を緩和することができる。これにより、本実施形態に係る誘導型変位検出装置1は、比較例と比べて、アライメントの再調整、及びアライメントの再調査の回数を削減することができる。
また、本実施形態に係る誘導型変位検出装置1は、比較例と比べて、センサヘッド5及びスケール3の直交方向の幅を広げることなく、上記効果を得ることができる。
また、上記実施形態に係る誘導型変位検出装置1は、電磁誘導式であるので、水、油に強い。
(その他実施形態の構成)
以上、発明の実施形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更、追加、置換等が可能である。
図8は、移動距離δ(μm)に伴うピークオフセット量(μm)の関係を示す図である。ここで、ピークオフセット量(μm)は、各々の第1〜第3受信巻線15A〜15Cの信号強度が最大となる直交方向Yのずれ量を示す。
また、図8において、移動距離δは、第1受信巻線15A(又は第2受信巻線15B)から離れる直交方向Yへの第1送信巻線13A(又は第2送信巻線13B)の移動に対して正の値(+)で表す。また、移動距離δは、第1受信巻線15A(又は第2受信巻線15B)に近づく直交方向Yへの第1送信巻線13A(又は第2送信巻線13B)の移動に対して負の値(−)で表す(図3参照)。
図8に示すように、移動距離δが、0<δ≦150を満たす時、上述した比較例よりもピークオフセット量は、小さくなる。つまり、本発明に係る実施形態において、第1送信巻線13Aの中心線CL4は、第1受信巻線15Aの中心線CL7から直交方向Yに第2受信巻線15Bから離れるように、0μmより大きく、150μm以下の長さをもって位置する構成であればよい。また、第2送信巻線13Bの中心線CL5は、第2受信巻線15Bの中心線CL8から直交方向Yに第1受信巻線15Aから離れるように、0μmより大きく、150μm以下の長さをもって位置する構成であればよい。
実施形態に係る誘導型変位検出装置1の概略構成を示す斜視図である。 スケール3の上面図である。 センサヘッド5の上面図である。 第1受信巻線15A、及びその第1〜第3パターン15A1〜15A3を示す図である。 第1受信巻線15Aの第1パターン15A1に流れる第1誘導電流i31を示す図である。 本実施形態に係る直交方向のずれ量に対する信号強度を示す図である。 比較例に係る直交方向のずれ量に対する信号強度を示す図である。 移動距離δに対するピークオフセット量を示す図である。
符号の説明
1…誘導型変位検出装置、3…スケール、5…センサヘッド、7…絶縁基板、9A〜9C…第1〜第3磁束結合巻線、11…絶縁基板、13A〜13C…第1〜第3送信巻線、15A〜15C…第1〜第3受信巻線。

Claims (5)

  1. スケールと対向すると共に前記スケールに対して測定軸方向に相対移動可能に構成されたセンサヘッドであって、
    前記スケールの測定軸に沿って配設された複数の第1磁束結合部材に磁束を供給する第1送信巻線と、
    前記第1磁束結合部材から前記スケールの前記測定軸に直交する直交方向に所定間隔を設けて配置され、且つ前記測定軸に沿って配設された複数の第2磁束結合部材に磁束を供給する第2送信巻線と、
    前記第1送信巻線の磁束に基づき前記複数の第1磁束結合部材と磁束結合可能な第1受信巻線と、
    前記第2送信巻線の磁束に基づき前記複数の第2磁束結合部材と磁束結合可能な第2受信巻線と
    を備え、
    前記第1送信巻線及び前記第2送信巻線は、
    前記測定軸に沿って矩形状に構成され、且つ互いに前記直交方向に所定間隔を設けて配置され、
    前記第1受信巻線は、
    前記第1送信巻線に取り囲まれる位置に設けられ、
    前記第2受信巻線は、
    前記第2送信巻線に取り囲まれる位置に設けられ、
    前記第1送信巻線の前記直交方向の中心は、前記第1受信巻線の前記直交方向の中心から前記直交方向に前記第2受信巻線から離れるように第1の長さをもって位置し、
    前記第2送信巻線の前記直交方向の中心は、前記第2受信巻線の前記直交方向の中心から前記直交方向に前記第1受信巻線から離れるように前記第1の長さをもって位置する
    ことを特徴とするセンサヘッド。
  2. 前記第1の長さは、0μmより大きく、150μm以下である
    ことを特徴とする請求項1記載のセンサヘッド。
  3. 前記第1の長さは、150μmである
    ことを特徴とする請求項1記載のセンサヘッド。
  4. 前記第2磁束結合部材から前記スケールの前記測定軸に直交する直交方向に所定間隔を設けて配置され、且つ測定軸に沿って配設された複数の第3磁束結合部材に磁束を供給する第3送信巻線と、
    前記第3送信巻線の磁束に基づき前記複数の第3磁束結合部材と磁束結合可能な第3受信巻線と
    を備える
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載のセンサヘッド。
  5. スケールと、当該スケールと対向すると共に前記スケールに対して測定軸方向に相対移動可能に構成されたセンサヘッドとを備える誘導型変位検出装置であって、
    前記スケールは、
    前記測定軸に沿って配設された複数の第1磁束結合部材と、
    当該第1磁束結合部材から前記測定軸に直交する直交方向に所定間隔を設けて配置され、且つ前記測定軸に沿って配設された複数の第2磁束結合部材と
    を備え、
    前記センサヘッドは、
    前記複数の第1磁束結合部材に磁束を供給する第1送信巻線と、
    前記複数の第2磁束結合部材に磁束を供給する第2送信巻線と、
    前記第1送信巻線の磁束に基づき前記複数の第1磁束結合部材と磁束結合可能な第1受信巻線と、
    前記第2送信巻線の磁束に基づき前記複数の第2磁束結合部材と磁束結合可能な第2受信巻線と
    を備え、
    前記第1送信巻線及び前記第2送信巻線は、
    前記測定軸に沿って矩形状に構成され、且つ互いに前記直交方向に所定間隔を設けて配置され、
    前記第1受信巻線は、
    前記第1送信巻線に取り囲まれる位置に設けられ、
    前記第2受信巻線は、
    前記第2送信巻線に取り囲まれる位置に設けられ、
    前記第1送信巻線の前記直交方向の中心は、前記第1受信巻線の前記直交方向の中心から前記直交方向に前記第2受信巻線から離れるように第1の長さをもって位置し、
    前記第2送信巻線の前記直交方向の中心は、前記第2受信巻線の前記直交方向の中心から前記直交方向に前記第1受信巻線から離れるように前記第1の長さをもって位置する
    ことを特徴とする誘導型変位検出装置。
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