JP2004245662A - 内燃機関のガスセンサおよびガス濃度検出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ガスセンサの個体差によるガス濃度の検出誤差を防止することである。
【解決手段】固体電解質材に1対の電極を形成したセルを有し、該セルとして、排気ガスが導入されるチャンバ内に臨む一方の電極がNOx に対し還元活性を呈するセルを設けて、排気ガス中のNOx 濃度に応じた検出信号を出力するガスセンサSに、ガスセンサS個々の検出特性特性を規定する個別データとして、検出感度等を記憶する情報記憶媒体51を設け、製造ばらつき等に基因して検出特性がガスセンサS間で異なっても、ECU32が情報記憶媒体51に記憶された個別データに基づいて高精度にNOx 濃度の検出し得るようにする。
【選択図】 図9
【解決手段】固体電解質材に1対の電極を形成したセルを有し、該セルとして、排気ガスが導入されるチャンバ内に臨む一方の電極がNOx に対し還元活性を呈するセルを設けて、排気ガス中のNOx 濃度に応じた検出信号を出力するガスセンサSに、ガスセンサS個々の検出特性特性を規定する個別データとして、検出感度等を記憶する情報記憶媒体51を設け、製造ばらつき等に基因して検出特性がガスセンサS間で異なっても、ECU32が情報記憶媒体51に記憶された個別データに基づいて高精度にNOx 濃度の検出し得るようにする。
【選択図】 図9
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関のガスセンサおよびガス濃度検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガスセンサを備えたガス濃度検出装置は種々の分野で用いられており、例えば、ガスセンサを内燃機関の排気管に設けて、各気筒から排出される排気ガス中の酸素濃度を検出し、空燃比を制御するものが広く普及している。また、今日、排気ガスを再循環せしめるようにしたEGR方式の内燃機関や、排気管にNOx を吸蔵可能なNOx 吸蔵還元型触媒を設けた内燃機関において、排気ガス規制に対処すべく、排気ガス中のNOx の濃度を検出して、排気ガスの再循環量の適正化や、NOx 吸蔵還元型触媒におけるNOx の吸蔵および脱離の時期の適正化を企図したものもある。
【0003】
内燃機関用のガスセンサは、今日、ジルコニア等を含む酸素イオン導電性の固体電解質材を用いたものが一般的である。例えば、被測定ガスが存在するガスセンサ外部とガスセンサ内部とで酸素が行き来可能にチャンバーを形成し、固体電解質材に1対の電極を形成したセルによりチャンバー内の酸素を汲み出す構造のものがある。このものでは、電極間に、電極と接続された信号線を介して電圧を印加して固体電解質材の内部にキャリアとしての酸素イオンを移動させることで、酸素を汲み出すようになっている。このようなセルを2つ設けて、チャンバ内に臨む電極のうち、一方のセルのものをNOx に対して還元活性とするとともに、他方のセルのものを不活性として、NOx の濃度に応じて電極表面で生成される酸素の量に応じた差が生じるようにしている。NOx に感応しない前記他方のセル(モニタセル)を設けることで、成分ガスに感応する前記一方のセル(センサセル)の検出信号に含まれるチャンバ内の残留酸素の影響を排除して、NOx の検出精度の向上を図っている(特許文献1等参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−202285号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記ガスセンサのように高い検出精度が期待できる検出原理を用いたものでも、生産技術等が追随できなければ製造ばらつきにより所期の検出精度を実現できず、厳しい要求仕様の元では歩留りの低下等をもたらすおそれがある。
【0006】
本発明は前記実情に鑑みなされたもので、高精度なガス濃度検出を実現することのできる内燃機関のガスセンサおよびガス濃度検出装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明では、固体電解質材に1対の電極が形成されたセルを備え、該セルとして、前記1対の電極のうち一方の電極が、内燃機関から排出された排気ガスが導入されるチャンバー内に臨み、かつ、NOx に対し還元活性を示すセンサセルを有し、該センサセルから前記排気ガス中のNOx 濃度に応じた検出信号を出力する内燃機関のガスセンサにおいて、
ガスセンサ個々の検出特性のデータとして、前記NOx 濃度の検出感度または零点のオフセット量を記憶した情報記憶媒体を具備せしめて、前記検出特性データに基づいてガスセンサ間の検出特性差を相殺するようにする。
【0008】
NOx 濃度の検出感度または零点のオフセット量のばらつきに基因したNOx 濃度の検出誤差をなくすことができるので、検出精度を向上することができる。
【0009】
請求項2記載の発明では、請求項1の発明の構成において、前記検出特性データとして、前記検出感度は、複数の濃度範囲と1対1に対応した複数の検出感度からなるものとする。
【0010】
濃度範囲によって検出感度が変化するような特性を有するガスセンサであっても、濃度範囲ごとに検出感度のばらつきをなくすことができるので、広い検出レンジにわたって、検出精度を向上することができる。実質的に検出レンジを広げることができる。
【0011】
請求項3記載の発明では、請求項1または2の発明の構成において、前記セルとして、前記1対の電極のうち一方の電極がチャンバー内に臨み、前記1対の電極間に電圧を印加することでチャンバー内の酸素を汲み出し、前記1対の電極間に前記排気ガス中の酸素濃度に応じた電流を流すポンプセルを有し、
前記情報記憶媒体には、前記酸素濃度の検出感度または零点のオフセット量を記憶せしめる。
【0012】
請求項4記載の発明では、請求項1または2の発明の構成において、前記セルとして、前記1対の電極のうち一方の電極がチャンバー内に臨み、前記1対の電極間に電圧を印加することでチャンバー内の酸素を汲み出し、前記1対の電極間に前記排気ガス中の酸素濃度に応じた限界電流を流すポンプセルを有し、
前記情報記憶媒体には、前記ポンプセルの電極間に流れる電流に対して前記電極間に印加される電圧が対応するマップを記憶せしめる。
【0013】
ガスセンサ個々に適合したマップに基づいてポンプセルの電極間に印加される電圧が調整されるので、ガスセンサの固体差によらず、ポンプセルを限界電流域で作動せしめることができる。
【0014】
ポンプセルの検出感度または零点のオフセット量のばらつきに基因した酸素濃度の検出誤差をなくすことができるので、検出精度を向上することができる。
【0015】
請求項5記載の発明では、請求項1ないし4の発明の構成において、前記セルを加熱する電気式のヒータを有し、
前記情報記憶媒体には、ガスセンサ個々の温度特性のデータとして、セル温度が所定の温度のときのアドミタンスを記憶せしめて、前記温度特性データに基づいてガスセンサ間の温度特性差を相殺するようにする。
【0016】
セルのアドミタンスはその温度に依存するので、温度によりガス濃度の検出精度が影響を受ける。ここで、セルのアドミタンスが一定になるようにヒータを制御しても、ガスセンサの個体差に基因して、維持される温度のばらつきや、温度がハンチングを起こすなどのヒータ制御上の不具合が生じる。セル温度が所定の温度のときのアドミタンス、例えば、ヒータ制御において目標とするアドミタンスをガスセンサ個々に設定することで、セル温度を揃えることができる。セルの温度特性のガスセンサ間ばらつきに基因したガス濃度の検出誤差をなくすことができるので、検出精度を向上することができる。
【0017】
請求項6記載の発明では、請求項1ないし5の発明の構成において、前記情報記憶媒体は、光学的に読み取り可能なコードが形成されてなり、前記検出特性データまたは温度特性データを、前記コードにより表す。
【0018】
ガスセンサの情報記憶媒体を電気的な手段と接続することなく、コードリーダをコードに近接せしめるだけで検出特性データまたは温度特性データを読み出すことができる。エンジンの組み立てラインのような流れ作業の中においても、エンジンに組付けられるガスセンサや既に組付けられたガスセンサの検出特性データまたは温度特性データを簡易な作業で取得することができる。
【0019】
請求項7記載の発明では、内燃機関のガス濃度検出装置を、請求項1ないし6いずれか記載の内燃機関のガスセンサと、該ガスセンサの前記検出特性データまたは温度特性データを書き込み可能な記憶手段と、該記憶手段に記憶された前記検出特性データまたは温度特性データに基づいて、前記ガスセンサの駆動制御および検出信号処理を行う制御手段とを具備する構成とする。
【0020】
常時、ガスセンサの情報記憶媒体にアクセス可能でなくとも、当該ガスセンサの検出特性データまたは温度特性データが反映したガスセンサの駆動制御および検出信号処理を行うことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1に本発明のガス濃度検出装置を示す。ガス濃度検出装置は、図示しない内燃機関であるエンジンの排気管41にその管壁を貫通してガスセンサSが設けてあり、排気管41を流通する排気ガス中の酸素濃度やNOx 濃度(以下、ガス濃度という)に応じた検出信号を出力するようになっている。ガスセンサSは、排気管41の取り付け穴に固定されるハウジング21と、ハウジング21内に絶縁保持されるセンサ素子1を有し、センサ素子1の先端部は、ハウジング21の下端に固定されて排気管41内に突出する素子カバー22内に位置している。素子カバー22は二重構造で、側壁および底壁に設けた排気口221から、排気管41内の排気ガスを取り込むようになっている。ハウジング21上端には、側壁に大気口231を有する筒状部材23が固定される。排気管41外の空気がこの大気口231からセンサ素子1内部の後述するダクト104,105に導入され、基準酸素濃度のガスとなる。
【0022】
制御回路31はガスセンサ素子1を構成する後述する各セル1a〜1cやヒータ13を駆動制御するとともに、ガスセンサSにおける後述するポンプセル電流およびセンサ電流の検出信号を、制御回路31とともに制御手段3を構成するECU32に出力する。
【0023】
ECU32は、ポンプセル電流およびセンサ電流の検出信号を処理するもので、該検出信号に基づいて、排気ガス中の酸素濃度およびNOx 濃度(以下、適宜、ガス濃度という)を演算処理する。ガス濃度は、EGR量を調整するEGRバルブの制御等、種々の制御に供される。
【0024】
センサ素子1は図2、図3、図4に示すように、ジルコニア等の酸素イオン伝導性の固体電解質材である固体電解質層111,112、アルミナ等の絶縁材料からなる絶縁層113,114,115等が板厚方向に積層する積層構造を有し、面方向に細長の全体形状が与えられている。固体電解質層111,112で挟まれた絶縁層114は一部が板厚方向に打ち抜かれており、固体電解質層111,112の間に、絞り部103を介して互いに連通する2つのチャンバー101,102が形成される。チャンバー101,102はガスセンサ1の長手方向に配置され、センサ素子1の先端側の第1のチャンバー101よりもセンサ素子1の基端側の第2のチャンバー102は2倍程度幅広である。
【0025】
各固体電解質層111,112をそれぞれ挟んでチャンバー101,102と反対側には各固体電解質層111,112をダクト壁の一部とする大気ダクト104,105がそれぞれ形成されている。各大気ダクト104,105はガスセンサ1の基端で大気に開放している。第1の大気ダクト104は固体電解質層112を挟んで第1チャンバー104と対向する位置まで伸びており、第2のダクト105は固体電解質層111を挟んで第2チャンバー102と対向する位置まで伸びている。大気ダクト104,105は前記のごとく基準酸素濃度の空間となる。
【0026】
第1のチャンバー101位置で、図2中、上側の固体電解質層111には、これを板厚方向に貫通するピンホール106が形成されており、ピンホール106を介して当該センサ素子1の周囲の排気ガスが第1チャンバー101内に導入される。ピンホール106の開口端は多孔質アルミナ等の多孔質拡散層116により覆われており、排気微粒子のチャンバー101内への侵入を防止している。
【0027】
第1チャンバー101位置で固体電解質層112の上下面には固体電解質層112を挟んで対向する1対の電極121,122が形成されており、固体電解質層112と電極121,122とでポンプセル1aが構成される。ポンプセル1aを構成する電極121,122のうち、チャンバー101に面した電極121はNOX の分解(還元)に不活性なAu−Pt等の貴金属により構成されている。以下、適宜、チャンバー101に面した電極121をチャンバー側ポンプ電極121といい、大気ダクト104に面した電極122を大気側ポンプ電極122という。
【0028】
第2チャンバー102位置で固体電解質層111の上下面には、大気ダクト105に面した電極125を共通として、固体電解質層112を挟んで対向する2組の1対の電極123,125、電極124,125が形成されている。固体電解質層111と電極123,125とでモニタセル1bが構成される。また、固体電解質層111と電極124,125とでセンサセル1cが構成される。チャンバー102に面した電極123,124のうち、モニタセル1bの電極123がNOX の分解(還元)に不活性なAu−Pt 等の貴金属により構成され、センサセル1cの電極124がNOx の分解(還元)に活性なPt 等の貴金属により構成される。以下、適宜、モニタセル1bのチャンバー102に面した電極123をチャンバー側モニタ電極123といい、センサセル1cのチャンバー102に面した電極124をチャンバー側センサ電極124という。また、モニタセル1bとセンサセル1cとに共通の大気ダクト105に面した電極125を大気側センサ/ポンプ電極125という。
【0029】
また、固体電解質層112とともに大気ダクト104のダクト壁をなす絶縁層115には、Pt等の線パターンが埋設されて、ガスセンサ1全体を加熱するヒータ13としてある。ヒータ13は通電によりジュール熱を発生する電気式のものである。
【0030】
ヒータ13は制御回路31からの給電で発熱し、制御回路31は、温度に依存する電極121,122間等のアドミタンスを演算して、該アドミタンスが、固体電解質層111,112の活性温度域の温度に対応する所定値(以下、適宜、目標アドミタンスという)になるように、ヒータ13を制御し、通電量を調整する。ヒータ13の制御は、例えば通電デューティのPWM制御によりなし得る。また、前記アドミタンスは、例えばセル1a〜1cに印加電圧を所定量変化させてそのときの電流変化を印加電圧変化で除した値から求めることができる。
【0031】
制御回路31はポンプセル1aに大気側ポンプ電極122側を正として電極121,122間に電圧を印加するようになっている(以下、適宜、電極121,122間に印加される電圧をポンプセル電圧VP という)。また、電極121,122間に流れる電流(以下、適宜、ポンプセル電流IP という)を検出するようになっている。ガスセンサSの周囲を流れる排気ガスが多孔質拡散層116およびピンホール106を通って第1チャンバー101に導入されると、排気ガス中の酸素がチャンバ側ポンプ電極122で分解、イオン化して固体電解質層111を通り大気ダクト104へと排出される。このとき、第1チャンバー101内への酸素の流入はピンホール106の流通抵抗が支配的となっている。ポンプセル電圧VP を後述するように限界電流域に設定すれば、ポンプセル電流IP から排気ガス中の酸素濃度が知られる。チャンバ側ポンプ電極121がNOx の分解に不活性であるからNOx は第1チャンバー101内に残留する。
【0032】
印加電圧は、ポンプセル電流IP に基づいて制御される。図5は、ポンプセル1aの特性を示すもので、ポンプセル電流IP がポンプセル電圧VP に依存しない領域が限界電流域である。制御回路31は、常に限界電流域で作動し得るように、図中、一点鎖線で示すポンプセル電流IP とポンプセル電圧VP との関係を予め制御回路31のROMにマップとして記憶しておき、ポンプセル電圧Vp を設定する。
【0033】
排気ガスは第1チャンバー101から絞り部103を介して第2チャンバー102へと拡散するから、第2チャンバー102には酸素濃度が低下した被測定ガスである排気ガスが存在している。
【0034】
また、制御回路31は、モニタセル1b、センサセル1cに対し、それぞれ大気側センサ/ポンプ電極125側を正として、電極123,125間および電極124,125間に電圧を印加する(以下、適宜、電極123,125間に印加される電圧をモニタセル電圧VM 、電極124,125間に印加される電圧をセンサセル電圧VS という)。また、電極123,125間に流れる電流(以下、モニタセル電流IM という)および電極124,125間に流れる電流(以下、センサセル電流IS という)を検出する。モニタセル電圧VM 、センサセル電圧VS の印加により、各セル1b,1cではチャンバー102内の余剰酸素が大気ダクト105へと排出される。モニタセル電圧VM 、センサセル電圧VS の電圧値を適当に選んでモニタセル1b、センサセル1cに、それぞれ限界電流を流す。ここで、第2チャンバー102に面した電極123,124のうち、チャンバ側センサ電極124のみがNOx の分解に対して活性であるから、センサセル電流IS の方がモニタセル電流IM よりも、チャンバ側センサ電極124においてNOx が分解することで生じる酸素イオンの分、電流値が多くなる。モニタセル電流IM とセンサセル電流IS との差に基づいて排気ガスのNOx 濃度が得られることになる。
【0035】
なお、ポンプセル電流IP 、モニタセル電流IM 、センサセル電流IS はいずれも、各セル1a〜1c用の電圧印加回路に、セル1a〜1cに直列に抵抗器を接続し、該抵抗器の電圧降下として読み得る。
【0036】
ECU32を構成するマイクコンピュータには、これと接続されるガスセンサS個々の検出特性に対応したデータ(以下、適宜、個別データという)を格納するROM321が設けてある。ROM321は書き込み可能なEEPROM等が用いられる。
【0037】
個別データについて図6、図7により説明する。
【0038】
図6はポンプセル電流IP と酸素濃度の対応関係を示すもので、ROM321には、検出感度(酸素濃度の変化に対するポンプセル電流IP の変化率)が記憶されている。これは、酸素濃度が既知の試験用のガスを使ってガスセンサS個々に、図6のポンプセル電流IP と酸素濃度の対応関係を予め計測し、計測結果に基づいて定められる。
【0039】
図7は、センサセル電流IS とモニタセル電流IM との差分(以下、適宜、センサ電流という)とNOx 濃度の対応関係を示すもので、ROM321には、センサ電流について、検出感度(NOx 濃度の変化に対するセンサ電流(IS −IM )の変化率)および零点(NOx 濃度=0)におけるオフセット量が記憶されている。これは、NOx 濃度が既知の試験用のガスを使ってガスセンサS個々に、図7のセンサ電流とNOx 濃度の対応関係を予め計測し、計測結果に基づいて定められる。
【0040】
この場合、NOx 濃度が例えば0〜100ppmまでの少量の範囲と100ppm〜の多量の範囲とについて、それぞれ検出感度を記憶し、ガスセンサS個々の検出特性にさらに適合させるのもよい。
【0041】
また、図8のように、酸素濃度を変えてセンサ電流とNOx 濃度の対応関係を予め計測し、複数の酸素濃度の範囲ごとに、センサ電流とNOx 濃度の対応関係を特定する検出感度および零点オフセットを記憶するようにしてもよい。この場合、ECU321において、センサ電流からNOx 濃度を得るに際し、ポンプセル電流IP から知られる酸素濃度が参照されて、当該酸素濃度に対応した検出感度およびオフセットに基づいてNOx 濃度が演算されることになる。
【0042】
さて、ROM321に記憶されるこれらのデータは、ECU32と組み合わされるガスセンサSのものにする必要がある訳であるが、以下、組付けようとするガスセンサS個々の個別データの取得と、ROM321への書き込みについて説明する。ガスセンサSは、図9(A)に示すように、先端部分が排気管41内に位置し、排気管41外へ突出する基端部分の側面には情報記憶媒体であるQRコード51が形成してある。QRコード51は、図9(B)に示すように、二次元コードであり、ガスセンサSの筒状部材23の表面へのレーザマーキングや、コードを印刷したラベルの貼付により、ガスセンサSと一体化する。QRコード51は、これが形成されるガスセンサS個々の個別データがコード化されたものである。
【0043】
QRコード51のコードデータは、予めガスセンサSの製造工場で、完成したものについて、前記個別データを求める計測試験を実施することで、取得される。
【0044】
QRコード51は、車両の組み立て工場において、例えば排気管41およびガスセンサSともに組付けられた状態で、コードリーダ52により光学的に読み取られ、個別データがコンピュータ53に記憶される。そして、ROMライタによりECU32のROM321に書き込まれる。個別データはガスセンサSに専属するものであるから、ガスセンサSとECU32との不整合を回避すべく、コンピュータに個別データを車両の製造番号に対応づけて記憶する等、ROM321の書き込みやECU32の車両への組付けが完了するまで、対になるガスセンサSとECU32とを追跡可能な状態にしておくことになる。
【0045】
なお、検出特性データは前記記載のものに限られない。図10はポンプセル電流IP にポンプセル電圧VP を対応させる印加電圧マップであり、ガスセンサS個々に特化してある。これは、ガスセンサS個々について図5のVP −IP 特性を予め計測し、計測結果に基づいて定められる。印加電圧マップは、排気ガス中の酸素濃度によらずポンプセル1aが限界電流域で作動し得るように、ガスセンサS個々について適合されている。具体的には、限界電流域は、低圧側の、ポンプセル電流IP がポンプセル電圧VP に応じて増大する領域、および、高圧側の、NOx の分解が発生しポンプセル電流IP が増大する領域に対する余裕度を考慮してガスセンサS個々に設定されることになる。
【0046】
また、図11はセル1a〜1cの電極121,122間、電極123,125間、電極124,125間のアドミタンスとセンサ素子1の温度の対応関係を示すもので、これが変化すると、アドミタンスが目標アドミタンスとなるようにヒータ13を制御しても、固体電解質材の温度がガスセンサS間でばらつく。ヒータ13制御で到達する固体電解質材の温度がガスセンサS間で揃うように、ROM321には、セル1a〜1cの温度が予め設定した個体電解質材の活性温度域の所定温度のときのアドミタンスが前記目標アドミタンスとしてガスセンサSごとに記憶されている。
【0047】
また、常温から活性温度域に到る範囲の温度特性のガスセンサS間の相違を考慮して、ガスセンサS個々にPI制御におけるゲインを最適化して、これをROM321に記憶するのもよい。
【0048】
これらの印加電圧マップや目標アドミタンス等は、制御回路31で必要になるものであるため、エンジンの作動開始に先立ち、ROM321の個別データを制御回路31のRAMに移すことになる。
【0049】
なお、前記実施形態では、ポンプセル電圧VP をポンプセル電流IP に基づいて印加電圧マップにしたがって設定する、図12に示す制御方式をとっているが、図13に示すように、モニタセル電流IM に基づいて、モニタセル電流IM が所定値をとるようにポンプセル電圧VM をフィードバック制御するものにも本発明は適用することができる。この制御方式でも、NOx 濃度はセンサ電流(IS −IM )から得られ、酸素濃度はポンプセル電圧IM から得られることになる。
【0050】
また、センサ構造についても図例のものに限られない。図14は本発明を適用し得るガスセンサの一例を示すもので、このガスセンサ1Aは、ジルコニア等の固体電解質材である固体電解質層151,152,153、多孔質アルミナ等の絶縁材料からなる律速層154、アルミナ等の絶縁材料からなる絶縁層155等が板厚方向に積層する積層構造を有し、面方向に細長の全体形状が与えられている。
【0051】
固体電解質層152および律速層154は固体電解質層151と固体電解質層153とで挟まれた同じ層を形成しており、ガスセンサの先端側に律速層154が位置し、基端側に固体電解質層152が位置する。固体電解質層152および律速層154は、一部が板厚方向に打ち抜かれており、固体電解質層151,152の間に、ガスセンサ1Aの長手方向に配置された2つのチャンバー141,142が形成されている。律速層154は、ガスセンサの先端側で第1のチャンバー141にガスセンサ1A外部の被測定ガスを導入するとともに、第1のチャンバー141と第2のチャンバー142との境界部で両チャンバー141,142を連通せしめている。
【0052】
固体電解質層153を挟んでチャンバー141,142と反対側には固体電解質層153をダクト壁の一部とする大気ダクト143が形成されている。大気ダクト143は先端側が固体電解質層153を挟んで第1チャンバー141と対向する位置まで伸び、ガスセンサ1Aの基端で大気に開放している。ガスセンサ1Aが内燃機関に適用される場合には、ガスセンサ1Aがこれを保持するホルダ部材等とともに排気管の管壁を貫通して設けられて、大気ダクト143が排気管外部と連通する。
【0053】
第1チャンバー141位置で固体電解質層151の上下面には固体電解質層151を挟んで対向する1対の電極161,162が形成されており、固体電解質層151と電極161,162とでポンプセル1dが構成される。ポンプセル1dを構成する電極161,162のうち、チャンバー141に面した電極161はNOx の分解(還元)に不活性なAu−Pt等の貴金属により構成されている。
【0054】
また、第1チャンバー141および大気ダクト143位置で固体電解質層153の上下面には固体電解質層153を挟んで対向する1対の電極163,165が形成されており、固体電解質層153と電極163,165とでモニタセル1eが構成される。モニタセル1eを構成する電極163,165のうち、チャンバー141に面した電極163はNOx の分解(還元)に不活性なAu−Pt等の貴金属により構成されている。なお、大気ダクト143に面した電極165は第2チャンバー142位置まで伸びる、電極163よりも長い電極であり、後述するセンサセル1f、別のポンプセル1gと共通の電極である。
【0055】
第2チャンバー142位置で固体電解質層153の上下面には、固体電解質層153を挟んで対向する1対の電極164,165が形成されている。固体電解質層153と電極164,165とでセンサセル1fが構成される。
【0056】
また、第2チャンバー142に面して固体電解質層151には、電極166が形成されており、固体電解質層151〜153と電極166,165とで別のポンプセル1gが構成される。この別のポンプセル1gはセンサセル1fと同様に、一方の電極164,166が第2チャンバー142に面し、他方の電極165が大気ダクト143に面した構造となっている。
【0057】
第2チャンバー142に面した電極164,166のうち、センサセル1fの電極164はNOx の分解(還元)に活性なPt等の貴金属により構成され、別のポンプセル1gの電極166がNOx の分解(還元)に不活性なAu−Pt等の貴金属により構成される。
【0058】
また、固体電解質層153とともに大気ダクト143のダクト壁をなす絶縁層155には、図2のものと同様にPt等の線パターンが埋設されて、ガスセンサ全体を加熱するヒータ17としてある。
【0059】
このガスセンサ1Aでは、モニタセル1eで発生する起電圧(以下、適宜、モニタセル起電圧という)VM1に基づいて、該モニタセル起電圧VM1が基準電圧となるように、すなわち、第1チャンバー141内の酸素濃度が一定かつ低濃度となるように、ポンプセル1dの印加電圧がフィードバック制御され、第1チャンバー141内の酸素が排出される。第1チャンバー141と連通する第2チャンバー142内の酸素も同程度に排出される。
【0060】
そして、第2チャンバー142内に残った酸素が別のポンプセル1gにより排出される。センサセル1fには、第2チャンバー142に面した電極164におけるNOx の分解に基因した電流IS が流れる。この電流IS は第2チャンバー142内のNOx の濃度に応じたものとなる。また、ポンプセル1gには、第2チャンバー142内の酸素の濃度に応じた電流IP2が流れる。
【0061】
かかる構造のガスセンサ1Aでは、NOx 濃度はセンサ電流(IS −IP2)から得られ、酸素濃度はポンプセル電流IP1から得られることになる。ガスセンサ1Aにおいても、その検出特性や温度特性の個別データを予め計測し、ECUや制御回路において、ガスセンサ1Aの個体差を吸収するように補正等を行うことで、検出精度を向上せしめることができる。
【0062】
あるいは、図15に示すガスセンサにも適用することができる。ガスセンサ1Bは、電極の構成以外は図14のものと同じである。電極は、図14の電極163を省略した構成となっている。そして、固体電解質層151とこれを挟む電極161,162とにより第1のポンプセル1dが構成され、固体電解質層151〜153と電極162,165とにより第1のモニタセル1hが構成される。第1のモニタセル1hで発生する起電圧(以下、適宜、モニタセル起電圧という)VM1に基づいて、該モニタセル起電圧VM1が基準電圧となるように、すなわち、第1チャンバー141内の酸素濃度が一定かつ低濃度となるように、第1ポンプセル1dの電極161,162間への印加電圧がフィードバック制御され、第1チャンバー141内の酸素が排出される。
【0063】
また、固体電解質層151とこれを挟む電極166,162とにより第2のポンプセル1iが構成され、固体電解質層151〜153と電極166,165とにより第2のモニタセル1jが構成される。第2のモニタセル1jで発生する起電圧(以下、適宜、モニタセル起電圧という)VM2に基づいて、該モニタセル起電圧VM2が基準電圧となるように、すなわち、第2チャンバー142内の酸素濃度が一定かつ低濃度となるように、第2ポンプセル1iの電極166,162間への印加電圧がフィードバック制御され、第2チャンバー142内の酸素が排出される。
【0064】
固体電解質層153とこれを挟む電極164,165とによりセンサセル1fが構成され、第2チャンバー142に面した電極164におけるNOx の分解に基因した電流IS が流れる。この電流IS は第2チャンバー142内のNOx の濃度に応じたものとなる。
【0065】
かかる構造のガスセンサ1Bでは、NOx 濃度はセンサセル電流IS から得られ、酸素濃度はポンプセル電圧IP1から得られることになる。ガスセンサ1Bにおいても、その検出特性や温度特性の個別データを予め計測し、ECUや制御回路において、ガスセンサ1Bの個体差を吸収する補正等を行うことで、検出精度を向上せしめることができる。
【0066】
なお、QRコード51は、ガスセンサSの筒状部材23の側面に設けているが、制御回路31との接続用のリード線を、筒状部材23の端面ではなく、筒状部材23の側面から突出する構造として、筒状部材23の端面に設けてもよい。コードスキャナ52での読み取り作業をスムーズに行い得るように、ガスセンサSの設置場所等を考慮してガスセンサSの基端部分を設計し、QRコード51位置を設定するのがよい。また、個別データを記憶する情報記憶媒体としてQRコードを用いた例を示したが、バーコード等、他のコードでもよいし、また、抵抗器やROM等をガスセンサに搭載してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガスセンサおよびガス濃度検出装置の構成図である。
【図2】図1におけるAの拡大断面図である。
【図3】図2におけるIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図2におけるIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】前記ガスセンサおよびガス濃度検出装置の作動を示す第1のグラフである。
【図6】前記ガスセンサおよびガス濃度検出装置の作動を示す第2のグラフである。
【図7】前記ガスセンサおよびガス濃度検出装置の作動を示す第3のグラフである。
【図8】前記ガスセンサおよびガス濃度検出装置の変形例を示すグラフである。
【図9】(A),(B)はそれぞれ前記ガスセンサおよびガス濃度検出装置を示す図である。
【図10】前記ガスセンサおよびガス濃度検出装置の別の変形例を示すグラフである。
【図11】前記ガスセンサおよびガス濃度検出装置のさらに別の変形例を示すグラフである。
【図12】前記ガスセンサの制御方式を示す図である。
【図13】前記ガスセンサの別の制御方式を示す図である。
【図14】前記ガスセンサの変形例を示す要部断面図である。
【図15】前記ガスセンサの別の変形例を示す要部断面図である。
【符号の説明】
S ガスセンサ
1,1A,1B ガスセンサ本体
1a,1d,1g,1i ポンプセル
1b,1h,1j モニタセル
1c,1f センサセル
13,17 ヒータ
101,102,104,105 チャンバー
111,112,151,152,153 固体電解質層
121,122,123,124,125,161,162,163,164,165,166 電極
3 制御手段
31 制御回路
32 ECU
41 排気管
51 QRコード(情報記憶媒体)
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関のガスセンサおよびガス濃度検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガスセンサを備えたガス濃度検出装置は種々の分野で用いられており、例えば、ガスセンサを内燃機関の排気管に設けて、各気筒から排出される排気ガス中の酸素濃度を検出し、空燃比を制御するものが広く普及している。また、今日、排気ガスを再循環せしめるようにしたEGR方式の内燃機関や、排気管にNOx を吸蔵可能なNOx 吸蔵還元型触媒を設けた内燃機関において、排気ガス規制に対処すべく、排気ガス中のNOx の濃度を検出して、排気ガスの再循環量の適正化や、NOx 吸蔵還元型触媒におけるNOx の吸蔵および脱離の時期の適正化を企図したものもある。
【0003】
内燃機関用のガスセンサは、今日、ジルコニア等を含む酸素イオン導電性の固体電解質材を用いたものが一般的である。例えば、被測定ガスが存在するガスセンサ外部とガスセンサ内部とで酸素が行き来可能にチャンバーを形成し、固体電解質材に1対の電極を形成したセルによりチャンバー内の酸素を汲み出す構造のものがある。このものでは、電極間に、電極と接続された信号線を介して電圧を印加して固体電解質材の内部にキャリアとしての酸素イオンを移動させることで、酸素を汲み出すようになっている。このようなセルを2つ設けて、チャンバ内に臨む電極のうち、一方のセルのものをNOx に対して還元活性とするとともに、他方のセルのものを不活性として、NOx の濃度に応じて電極表面で生成される酸素の量に応じた差が生じるようにしている。NOx に感応しない前記他方のセル(モニタセル)を設けることで、成分ガスに感応する前記一方のセル(センサセル)の検出信号に含まれるチャンバ内の残留酸素の影響を排除して、NOx の検出精度の向上を図っている(特許文献1等参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−202285号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記ガスセンサのように高い検出精度が期待できる検出原理を用いたものでも、生産技術等が追随できなければ製造ばらつきにより所期の検出精度を実現できず、厳しい要求仕様の元では歩留りの低下等をもたらすおそれがある。
【0006】
本発明は前記実情に鑑みなされたもので、高精度なガス濃度検出を実現することのできる内燃機関のガスセンサおよびガス濃度検出装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明では、固体電解質材に1対の電極が形成されたセルを備え、該セルとして、前記1対の電極のうち一方の電極が、内燃機関から排出された排気ガスが導入されるチャンバー内に臨み、かつ、NOx に対し還元活性を示すセンサセルを有し、該センサセルから前記排気ガス中のNOx 濃度に応じた検出信号を出力する内燃機関のガスセンサにおいて、
ガスセンサ個々の検出特性のデータとして、前記NOx 濃度の検出感度または零点のオフセット量を記憶した情報記憶媒体を具備せしめて、前記検出特性データに基づいてガスセンサ間の検出特性差を相殺するようにする。
【0008】
NOx 濃度の検出感度または零点のオフセット量のばらつきに基因したNOx 濃度の検出誤差をなくすことができるので、検出精度を向上することができる。
【0009】
請求項2記載の発明では、請求項1の発明の構成において、前記検出特性データとして、前記検出感度は、複数の濃度範囲と1対1に対応した複数の検出感度からなるものとする。
【0010】
濃度範囲によって検出感度が変化するような特性を有するガスセンサであっても、濃度範囲ごとに検出感度のばらつきをなくすことができるので、広い検出レンジにわたって、検出精度を向上することができる。実質的に検出レンジを広げることができる。
【0011】
請求項3記載の発明では、請求項1または2の発明の構成において、前記セルとして、前記1対の電極のうち一方の電極がチャンバー内に臨み、前記1対の電極間に電圧を印加することでチャンバー内の酸素を汲み出し、前記1対の電極間に前記排気ガス中の酸素濃度に応じた電流を流すポンプセルを有し、
前記情報記憶媒体には、前記酸素濃度の検出感度または零点のオフセット量を記憶せしめる。
【0012】
請求項4記載の発明では、請求項1または2の発明の構成において、前記セルとして、前記1対の電極のうち一方の電極がチャンバー内に臨み、前記1対の電極間に電圧を印加することでチャンバー内の酸素を汲み出し、前記1対の電極間に前記排気ガス中の酸素濃度に応じた限界電流を流すポンプセルを有し、
前記情報記憶媒体には、前記ポンプセルの電極間に流れる電流に対して前記電極間に印加される電圧が対応するマップを記憶せしめる。
【0013】
ガスセンサ個々に適合したマップに基づいてポンプセルの電極間に印加される電圧が調整されるので、ガスセンサの固体差によらず、ポンプセルを限界電流域で作動せしめることができる。
【0014】
ポンプセルの検出感度または零点のオフセット量のばらつきに基因した酸素濃度の検出誤差をなくすことができるので、検出精度を向上することができる。
【0015】
請求項5記載の発明では、請求項1ないし4の発明の構成において、前記セルを加熱する電気式のヒータを有し、
前記情報記憶媒体には、ガスセンサ個々の温度特性のデータとして、セル温度が所定の温度のときのアドミタンスを記憶せしめて、前記温度特性データに基づいてガスセンサ間の温度特性差を相殺するようにする。
【0016】
セルのアドミタンスはその温度に依存するので、温度によりガス濃度の検出精度が影響を受ける。ここで、セルのアドミタンスが一定になるようにヒータを制御しても、ガスセンサの個体差に基因して、維持される温度のばらつきや、温度がハンチングを起こすなどのヒータ制御上の不具合が生じる。セル温度が所定の温度のときのアドミタンス、例えば、ヒータ制御において目標とするアドミタンスをガスセンサ個々に設定することで、セル温度を揃えることができる。セルの温度特性のガスセンサ間ばらつきに基因したガス濃度の検出誤差をなくすことができるので、検出精度を向上することができる。
【0017】
請求項6記載の発明では、請求項1ないし5の発明の構成において、前記情報記憶媒体は、光学的に読み取り可能なコードが形成されてなり、前記検出特性データまたは温度特性データを、前記コードにより表す。
【0018】
ガスセンサの情報記憶媒体を電気的な手段と接続することなく、コードリーダをコードに近接せしめるだけで検出特性データまたは温度特性データを読み出すことができる。エンジンの組み立てラインのような流れ作業の中においても、エンジンに組付けられるガスセンサや既に組付けられたガスセンサの検出特性データまたは温度特性データを簡易な作業で取得することができる。
【0019】
請求項7記載の発明では、内燃機関のガス濃度検出装置を、請求項1ないし6いずれか記載の内燃機関のガスセンサと、該ガスセンサの前記検出特性データまたは温度特性データを書き込み可能な記憶手段と、該記憶手段に記憶された前記検出特性データまたは温度特性データに基づいて、前記ガスセンサの駆動制御および検出信号処理を行う制御手段とを具備する構成とする。
【0020】
常時、ガスセンサの情報記憶媒体にアクセス可能でなくとも、当該ガスセンサの検出特性データまたは温度特性データが反映したガスセンサの駆動制御および検出信号処理を行うことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1に本発明のガス濃度検出装置を示す。ガス濃度検出装置は、図示しない内燃機関であるエンジンの排気管41にその管壁を貫通してガスセンサSが設けてあり、排気管41を流通する排気ガス中の酸素濃度やNOx 濃度(以下、ガス濃度という)に応じた検出信号を出力するようになっている。ガスセンサSは、排気管41の取り付け穴に固定されるハウジング21と、ハウジング21内に絶縁保持されるセンサ素子1を有し、センサ素子1の先端部は、ハウジング21の下端に固定されて排気管41内に突出する素子カバー22内に位置している。素子カバー22は二重構造で、側壁および底壁に設けた排気口221から、排気管41内の排気ガスを取り込むようになっている。ハウジング21上端には、側壁に大気口231を有する筒状部材23が固定される。排気管41外の空気がこの大気口231からセンサ素子1内部の後述するダクト104,105に導入され、基準酸素濃度のガスとなる。
【0022】
制御回路31はガスセンサ素子1を構成する後述する各セル1a〜1cやヒータ13を駆動制御するとともに、ガスセンサSにおける後述するポンプセル電流およびセンサ電流の検出信号を、制御回路31とともに制御手段3を構成するECU32に出力する。
【0023】
ECU32は、ポンプセル電流およびセンサ電流の検出信号を処理するもので、該検出信号に基づいて、排気ガス中の酸素濃度およびNOx 濃度(以下、適宜、ガス濃度という)を演算処理する。ガス濃度は、EGR量を調整するEGRバルブの制御等、種々の制御に供される。
【0024】
センサ素子1は図2、図3、図4に示すように、ジルコニア等の酸素イオン伝導性の固体電解質材である固体電解質層111,112、アルミナ等の絶縁材料からなる絶縁層113,114,115等が板厚方向に積層する積層構造を有し、面方向に細長の全体形状が与えられている。固体電解質層111,112で挟まれた絶縁層114は一部が板厚方向に打ち抜かれており、固体電解質層111,112の間に、絞り部103を介して互いに連通する2つのチャンバー101,102が形成される。チャンバー101,102はガスセンサ1の長手方向に配置され、センサ素子1の先端側の第1のチャンバー101よりもセンサ素子1の基端側の第2のチャンバー102は2倍程度幅広である。
【0025】
各固体電解質層111,112をそれぞれ挟んでチャンバー101,102と反対側には各固体電解質層111,112をダクト壁の一部とする大気ダクト104,105がそれぞれ形成されている。各大気ダクト104,105はガスセンサ1の基端で大気に開放している。第1の大気ダクト104は固体電解質層112を挟んで第1チャンバー104と対向する位置まで伸びており、第2のダクト105は固体電解質層111を挟んで第2チャンバー102と対向する位置まで伸びている。大気ダクト104,105は前記のごとく基準酸素濃度の空間となる。
【0026】
第1のチャンバー101位置で、図2中、上側の固体電解質層111には、これを板厚方向に貫通するピンホール106が形成されており、ピンホール106を介して当該センサ素子1の周囲の排気ガスが第1チャンバー101内に導入される。ピンホール106の開口端は多孔質アルミナ等の多孔質拡散層116により覆われており、排気微粒子のチャンバー101内への侵入を防止している。
【0027】
第1チャンバー101位置で固体電解質層112の上下面には固体電解質層112を挟んで対向する1対の電極121,122が形成されており、固体電解質層112と電極121,122とでポンプセル1aが構成される。ポンプセル1aを構成する電極121,122のうち、チャンバー101に面した電極121はNOX の分解(還元)に不活性なAu−Pt等の貴金属により構成されている。以下、適宜、チャンバー101に面した電極121をチャンバー側ポンプ電極121といい、大気ダクト104に面した電極122を大気側ポンプ電極122という。
【0028】
第2チャンバー102位置で固体電解質層111の上下面には、大気ダクト105に面した電極125を共通として、固体電解質層112を挟んで対向する2組の1対の電極123,125、電極124,125が形成されている。固体電解質層111と電極123,125とでモニタセル1bが構成される。また、固体電解質層111と電極124,125とでセンサセル1cが構成される。チャンバー102に面した電極123,124のうち、モニタセル1bの電極123がNOX の分解(還元)に不活性なAu−Pt 等の貴金属により構成され、センサセル1cの電極124がNOx の分解(還元)に活性なPt 等の貴金属により構成される。以下、適宜、モニタセル1bのチャンバー102に面した電極123をチャンバー側モニタ電極123といい、センサセル1cのチャンバー102に面した電極124をチャンバー側センサ電極124という。また、モニタセル1bとセンサセル1cとに共通の大気ダクト105に面した電極125を大気側センサ/ポンプ電極125という。
【0029】
また、固体電解質層112とともに大気ダクト104のダクト壁をなす絶縁層115には、Pt等の線パターンが埋設されて、ガスセンサ1全体を加熱するヒータ13としてある。ヒータ13は通電によりジュール熱を発生する電気式のものである。
【0030】
ヒータ13は制御回路31からの給電で発熱し、制御回路31は、温度に依存する電極121,122間等のアドミタンスを演算して、該アドミタンスが、固体電解質層111,112の活性温度域の温度に対応する所定値(以下、適宜、目標アドミタンスという)になるように、ヒータ13を制御し、通電量を調整する。ヒータ13の制御は、例えば通電デューティのPWM制御によりなし得る。また、前記アドミタンスは、例えばセル1a〜1cに印加電圧を所定量変化させてそのときの電流変化を印加電圧変化で除した値から求めることができる。
【0031】
制御回路31はポンプセル1aに大気側ポンプ電極122側を正として電極121,122間に電圧を印加するようになっている(以下、適宜、電極121,122間に印加される電圧をポンプセル電圧VP という)。また、電極121,122間に流れる電流(以下、適宜、ポンプセル電流IP という)を検出するようになっている。ガスセンサSの周囲を流れる排気ガスが多孔質拡散層116およびピンホール106を通って第1チャンバー101に導入されると、排気ガス中の酸素がチャンバ側ポンプ電極122で分解、イオン化して固体電解質層111を通り大気ダクト104へと排出される。このとき、第1チャンバー101内への酸素の流入はピンホール106の流通抵抗が支配的となっている。ポンプセル電圧VP を後述するように限界電流域に設定すれば、ポンプセル電流IP から排気ガス中の酸素濃度が知られる。チャンバ側ポンプ電極121がNOx の分解に不活性であるからNOx は第1チャンバー101内に残留する。
【0032】
印加電圧は、ポンプセル電流IP に基づいて制御される。図5は、ポンプセル1aの特性を示すもので、ポンプセル電流IP がポンプセル電圧VP に依存しない領域が限界電流域である。制御回路31は、常に限界電流域で作動し得るように、図中、一点鎖線で示すポンプセル電流IP とポンプセル電圧VP との関係を予め制御回路31のROMにマップとして記憶しておき、ポンプセル電圧Vp を設定する。
【0033】
排気ガスは第1チャンバー101から絞り部103を介して第2チャンバー102へと拡散するから、第2チャンバー102には酸素濃度が低下した被測定ガスである排気ガスが存在している。
【0034】
また、制御回路31は、モニタセル1b、センサセル1cに対し、それぞれ大気側センサ/ポンプ電極125側を正として、電極123,125間および電極124,125間に電圧を印加する(以下、適宜、電極123,125間に印加される電圧をモニタセル電圧VM 、電極124,125間に印加される電圧をセンサセル電圧VS という)。また、電極123,125間に流れる電流(以下、モニタセル電流IM という)および電極124,125間に流れる電流(以下、センサセル電流IS という)を検出する。モニタセル電圧VM 、センサセル電圧VS の印加により、各セル1b,1cではチャンバー102内の余剰酸素が大気ダクト105へと排出される。モニタセル電圧VM 、センサセル電圧VS の電圧値を適当に選んでモニタセル1b、センサセル1cに、それぞれ限界電流を流す。ここで、第2チャンバー102に面した電極123,124のうち、チャンバ側センサ電極124のみがNOx の分解に対して活性であるから、センサセル電流IS の方がモニタセル電流IM よりも、チャンバ側センサ電極124においてNOx が分解することで生じる酸素イオンの分、電流値が多くなる。モニタセル電流IM とセンサセル電流IS との差に基づいて排気ガスのNOx 濃度が得られることになる。
【0035】
なお、ポンプセル電流IP 、モニタセル電流IM 、センサセル電流IS はいずれも、各セル1a〜1c用の電圧印加回路に、セル1a〜1cに直列に抵抗器を接続し、該抵抗器の電圧降下として読み得る。
【0036】
ECU32を構成するマイクコンピュータには、これと接続されるガスセンサS個々の検出特性に対応したデータ(以下、適宜、個別データという)を格納するROM321が設けてある。ROM321は書き込み可能なEEPROM等が用いられる。
【0037】
個別データについて図6、図7により説明する。
【0038】
図6はポンプセル電流IP と酸素濃度の対応関係を示すもので、ROM321には、検出感度(酸素濃度の変化に対するポンプセル電流IP の変化率)が記憶されている。これは、酸素濃度が既知の試験用のガスを使ってガスセンサS個々に、図6のポンプセル電流IP と酸素濃度の対応関係を予め計測し、計測結果に基づいて定められる。
【0039】
図7は、センサセル電流IS とモニタセル電流IM との差分(以下、適宜、センサ電流という)とNOx 濃度の対応関係を示すもので、ROM321には、センサ電流について、検出感度(NOx 濃度の変化に対するセンサ電流(IS −IM )の変化率)および零点(NOx 濃度=0)におけるオフセット量が記憶されている。これは、NOx 濃度が既知の試験用のガスを使ってガスセンサS個々に、図7のセンサ電流とNOx 濃度の対応関係を予め計測し、計測結果に基づいて定められる。
【0040】
この場合、NOx 濃度が例えば0〜100ppmまでの少量の範囲と100ppm〜の多量の範囲とについて、それぞれ検出感度を記憶し、ガスセンサS個々の検出特性にさらに適合させるのもよい。
【0041】
また、図8のように、酸素濃度を変えてセンサ電流とNOx 濃度の対応関係を予め計測し、複数の酸素濃度の範囲ごとに、センサ電流とNOx 濃度の対応関係を特定する検出感度および零点オフセットを記憶するようにしてもよい。この場合、ECU321において、センサ電流からNOx 濃度を得るに際し、ポンプセル電流IP から知られる酸素濃度が参照されて、当該酸素濃度に対応した検出感度およびオフセットに基づいてNOx 濃度が演算されることになる。
【0042】
さて、ROM321に記憶されるこれらのデータは、ECU32と組み合わされるガスセンサSのものにする必要がある訳であるが、以下、組付けようとするガスセンサS個々の個別データの取得と、ROM321への書き込みについて説明する。ガスセンサSは、図9(A)に示すように、先端部分が排気管41内に位置し、排気管41外へ突出する基端部分の側面には情報記憶媒体であるQRコード51が形成してある。QRコード51は、図9(B)に示すように、二次元コードであり、ガスセンサSの筒状部材23の表面へのレーザマーキングや、コードを印刷したラベルの貼付により、ガスセンサSと一体化する。QRコード51は、これが形成されるガスセンサS個々の個別データがコード化されたものである。
【0043】
QRコード51のコードデータは、予めガスセンサSの製造工場で、完成したものについて、前記個別データを求める計測試験を実施することで、取得される。
【0044】
QRコード51は、車両の組み立て工場において、例えば排気管41およびガスセンサSともに組付けられた状態で、コードリーダ52により光学的に読み取られ、個別データがコンピュータ53に記憶される。そして、ROMライタによりECU32のROM321に書き込まれる。個別データはガスセンサSに専属するものであるから、ガスセンサSとECU32との不整合を回避すべく、コンピュータに個別データを車両の製造番号に対応づけて記憶する等、ROM321の書き込みやECU32の車両への組付けが完了するまで、対になるガスセンサSとECU32とを追跡可能な状態にしておくことになる。
【0045】
なお、検出特性データは前記記載のものに限られない。図10はポンプセル電流IP にポンプセル電圧VP を対応させる印加電圧マップであり、ガスセンサS個々に特化してある。これは、ガスセンサS個々について図5のVP −IP 特性を予め計測し、計測結果に基づいて定められる。印加電圧マップは、排気ガス中の酸素濃度によらずポンプセル1aが限界電流域で作動し得るように、ガスセンサS個々について適合されている。具体的には、限界電流域は、低圧側の、ポンプセル電流IP がポンプセル電圧VP に応じて増大する領域、および、高圧側の、NOx の分解が発生しポンプセル電流IP が増大する領域に対する余裕度を考慮してガスセンサS個々に設定されることになる。
【0046】
また、図11はセル1a〜1cの電極121,122間、電極123,125間、電極124,125間のアドミタンスとセンサ素子1の温度の対応関係を示すもので、これが変化すると、アドミタンスが目標アドミタンスとなるようにヒータ13を制御しても、固体電解質材の温度がガスセンサS間でばらつく。ヒータ13制御で到達する固体電解質材の温度がガスセンサS間で揃うように、ROM321には、セル1a〜1cの温度が予め設定した個体電解質材の活性温度域の所定温度のときのアドミタンスが前記目標アドミタンスとしてガスセンサSごとに記憶されている。
【0047】
また、常温から活性温度域に到る範囲の温度特性のガスセンサS間の相違を考慮して、ガスセンサS個々にPI制御におけるゲインを最適化して、これをROM321に記憶するのもよい。
【0048】
これらの印加電圧マップや目標アドミタンス等は、制御回路31で必要になるものであるため、エンジンの作動開始に先立ち、ROM321の個別データを制御回路31のRAMに移すことになる。
【0049】
なお、前記実施形態では、ポンプセル電圧VP をポンプセル電流IP に基づいて印加電圧マップにしたがって設定する、図12に示す制御方式をとっているが、図13に示すように、モニタセル電流IM に基づいて、モニタセル電流IM が所定値をとるようにポンプセル電圧VM をフィードバック制御するものにも本発明は適用することができる。この制御方式でも、NOx 濃度はセンサ電流(IS −IM )から得られ、酸素濃度はポンプセル電圧IM から得られることになる。
【0050】
また、センサ構造についても図例のものに限られない。図14は本発明を適用し得るガスセンサの一例を示すもので、このガスセンサ1Aは、ジルコニア等の固体電解質材である固体電解質層151,152,153、多孔質アルミナ等の絶縁材料からなる律速層154、アルミナ等の絶縁材料からなる絶縁層155等が板厚方向に積層する積層構造を有し、面方向に細長の全体形状が与えられている。
【0051】
固体電解質層152および律速層154は固体電解質層151と固体電解質層153とで挟まれた同じ層を形成しており、ガスセンサの先端側に律速層154が位置し、基端側に固体電解質層152が位置する。固体電解質層152および律速層154は、一部が板厚方向に打ち抜かれており、固体電解質層151,152の間に、ガスセンサ1Aの長手方向に配置された2つのチャンバー141,142が形成されている。律速層154は、ガスセンサの先端側で第1のチャンバー141にガスセンサ1A外部の被測定ガスを導入するとともに、第1のチャンバー141と第2のチャンバー142との境界部で両チャンバー141,142を連通せしめている。
【0052】
固体電解質層153を挟んでチャンバー141,142と反対側には固体電解質層153をダクト壁の一部とする大気ダクト143が形成されている。大気ダクト143は先端側が固体電解質層153を挟んで第1チャンバー141と対向する位置まで伸び、ガスセンサ1Aの基端で大気に開放している。ガスセンサ1Aが内燃機関に適用される場合には、ガスセンサ1Aがこれを保持するホルダ部材等とともに排気管の管壁を貫通して設けられて、大気ダクト143が排気管外部と連通する。
【0053】
第1チャンバー141位置で固体電解質層151の上下面には固体電解質層151を挟んで対向する1対の電極161,162が形成されており、固体電解質層151と電極161,162とでポンプセル1dが構成される。ポンプセル1dを構成する電極161,162のうち、チャンバー141に面した電極161はNOx の分解(還元)に不活性なAu−Pt等の貴金属により構成されている。
【0054】
また、第1チャンバー141および大気ダクト143位置で固体電解質層153の上下面には固体電解質層153を挟んで対向する1対の電極163,165が形成されており、固体電解質層153と電極163,165とでモニタセル1eが構成される。モニタセル1eを構成する電極163,165のうち、チャンバー141に面した電極163はNOx の分解(還元)に不活性なAu−Pt等の貴金属により構成されている。なお、大気ダクト143に面した電極165は第2チャンバー142位置まで伸びる、電極163よりも長い電極であり、後述するセンサセル1f、別のポンプセル1gと共通の電極である。
【0055】
第2チャンバー142位置で固体電解質層153の上下面には、固体電解質層153を挟んで対向する1対の電極164,165が形成されている。固体電解質層153と電極164,165とでセンサセル1fが構成される。
【0056】
また、第2チャンバー142に面して固体電解質層151には、電極166が形成されており、固体電解質層151〜153と電極166,165とで別のポンプセル1gが構成される。この別のポンプセル1gはセンサセル1fと同様に、一方の電極164,166が第2チャンバー142に面し、他方の電極165が大気ダクト143に面した構造となっている。
【0057】
第2チャンバー142に面した電極164,166のうち、センサセル1fの電極164はNOx の分解(還元)に活性なPt等の貴金属により構成され、別のポンプセル1gの電極166がNOx の分解(還元)に不活性なAu−Pt等の貴金属により構成される。
【0058】
また、固体電解質層153とともに大気ダクト143のダクト壁をなす絶縁層155には、図2のものと同様にPt等の線パターンが埋設されて、ガスセンサ全体を加熱するヒータ17としてある。
【0059】
このガスセンサ1Aでは、モニタセル1eで発生する起電圧(以下、適宜、モニタセル起電圧という)VM1に基づいて、該モニタセル起電圧VM1が基準電圧となるように、すなわち、第1チャンバー141内の酸素濃度が一定かつ低濃度となるように、ポンプセル1dの印加電圧がフィードバック制御され、第1チャンバー141内の酸素が排出される。第1チャンバー141と連通する第2チャンバー142内の酸素も同程度に排出される。
【0060】
そして、第2チャンバー142内に残った酸素が別のポンプセル1gにより排出される。センサセル1fには、第2チャンバー142に面した電極164におけるNOx の分解に基因した電流IS が流れる。この電流IS は第2チャンバー142内のNOx の濃度に応じたものとなる。また、ポンプセル1gには、第2チャンバー142内の酸素の濃度に応じた電流IP2が流れる。
【0061】
かかる構造のガスセンサ1Aでは、NOx 濃度はセンサ電流(IS −IP2)から得られ、酸素濃度はポンプセル電流IP1から得られることになる。ガスセンサ1Aにおいても、その検出特性や温度特性の個別データを予め計測し、ECUや制御回路において、ガスセンサ1Aの個体差を吸収するように補正等を行うことで、検出精度を向上せしめることができる。
【0062】
あるいは、図15に示すガスセンサにも適用することができる。ガスセンサ1Bは、電極の構成以外は図14のものと同じである。電極は、図14の電極163を省略した構成となっている。そして、固体電解質層151とこれを挟む電極161,162とにより第1のポンプセル1dが構成され、固体電解質層151〜153と電極162,165とにより第1のモニタセル1hが構成される。第1のモニタセル1hで発生する起電圧(以下、適宜、モニタセル起電圧という)VM1に基づいて、該モニタセル起電圧VM1が基準電圧となるように、すなわち、第1チャンバー141内の酸素濃度が一定かつ低濃度となるように、第1ポンプセル1dの電極161,162間への印加電圧がフィードバック制御され、第1チャンバー141内の酸素が排出される。
【0063】
また、固体電解質層151とこれを挟む電極166,162とにより第2のポンプセル1iが構成され、固体電解質層151〜153と電極166,165とにより第2のモニタセル1jが構成される。第2のモニタセル1jで発生する起電圧(以下、適宜、モニタセル起電圧という)VM2に基づいて、該モニタセル起電圧VM2が基準電圧となるように、すなわち、第2チャンバー142内の酸素濃度が一定かつ低濃度となるように、第2ポンプセル1iの電極166,162間への印加電圧がフィードバック制御され、第2チャンバー142内の酸素が排出される。
【0064】
固体電解質層153とこれを挟む電極164,165とによりセンサセル1fが構成され、第2チャンバー142に面した電極164におけるNOx の分解に基因した電流IS が流れる。この電流IS は第2チャンバー142内のNOx の濃度に応じたものとなる。
【0065】
かかる構造のガスセンサ1Bでは、NOx 濃度はセンサセル電流IS から得られ、酸素濃度はポンプセル電圧IP1から得られることになる。ガスセンサ1Bにおいても、その検出特性や温度特性の個別データを予め計測し、ECUや制御回路において、ガスセンサ1Bの個体差を吸収する補正等を行うことで、検出精度を向上せしめることができる。
【0066】
なお、QRコード51は、ガスセンサSの筒状部材23の側面に設けているが、制御回路31との接続用のリード線を、筒状部材23の端面ではなく、筒状部材23の側面から突出する構造として、筒状部材23の端面に設けてもよい。コードスキャナ52での読み取り作業をスムーズに行い得るように、ガスセンサSの設置場所等を考慮してガスセンサSの基端部分を設計し、QRコード51位置を設定するのがよい。また、個別データを記憶する情報記憶媒体としてQRコードを用いた例を示したが、バーコード等、他のコードでもよいし、また、抵抗器やROM等をガスセンサに搭載してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガスセンサおよびガス濃度検出装置の構成図である。
【図2】図1におけるAの拡大断面図である。
【図3】図2におけるIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図2におけるIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】前記ガスセンサおよびガス濃度検出装置の作動を示す第1のグラフである。
【図6】前記ガスセンサおよびガス濃度検出装置の作動を示す第2のグラフである。
【図7】前記ガスセンサおよびガス濃度検出装置の作動を示す第3のグラフである。
【図8】前記ガスセンサおよびガス濃度検出装置の変形例を示すグラフである。
【図9】(A),(B)はそれぞれ前記ガスセンサおよびガス濃度検出装置を示す図である。
【図10】前記ガスセンサおよびガス濃度検出装置の別の変形例を示すグラフである。
【図11】前記ガスセンサおよびガス濃度検出装置のさらに別の変形例を示すグラフである。
【図12】前記ガスセンサの制御方式を示す図である。
【図13】前記ガスセンサの別の制御方式を示す図である。
【図14】前記ガスセンサの変形例を示す要部断面図である。
【図15】前記ガスセンサの別の変形例を示す要部断面図である。
【符号の説明】
S ガスセンサ
1,1A,1B ガスセンサ本体
1a,1d,1g,1i ポンプセル
1b,1h,1j モニタセル
1c,1f センサセル
13,17 ヒータ
101,102,104,105 チャンバー
111,112,151,152,153 固体電解質層
121,122,123,124,125,161,162,163,164,165,166 電極
3 制御手段
31 制御回路
32 ECU
41 排気管
51 QRコード(情報記憶媒体)
Claims (7)
- 固体電解質材に1対の電極が形成されたセルを備えてなり、該セルとして、前記1対の電極のうち一方の電極が、内燃機関から排出された排気ガスが導入されるチャンバー内に臨み、かつ、NOx に対し還元活性を示すセンサセルを設けて前記排気ガス中のNOx 濃度に応じた検出信号を出力する内燃機関のガスセンサにおいて、
ガスセンサ個々の検出特性のデータとして、前記NOx 濃度の検出感度または零点のオフセット量を記憶した情報記憶媒体を具備せしめて、前記検出特性データに基づいてガスセンサ間の検出特性差を相殺するようにしたことを特徴とする内燃機関のガスセンサ。 - 請求項1記載の内燃機関のガスセンサにおいて、前記検出特性データとして、前記検出感度は、複数の濃度範囲と1対1に対応した複数の検出感度からなる内燃機関のガスセンサ。
- 請求項1または2いずれか記載の内燃機関のガスセンサにおいて、前記セルとして、前記1対の電極のうち一方の電極がチャンバー内に臨み、前記1対の電極間に電圧を印加することでチャンバー内の酸素を汲み出し、前記1対の電極間に前記排気ガス中の酸素濃度に応じた電流を流すポンプセルを有し、
前記情報記憶媒体には、前記酸素濃度の検出感度または零点のオフセット量を記憶した内燃機関のガスセンサ。 - 請求項1または2いずれか記載の内燃機関のガスセンサにおいて、前記セルとして、前記1対の電極のうち一方の電極がチャンバー内に臨み、前記1対の電極間に電圧を印加することでチャンバー内の酸素を汲み出し、前記1対の電極間に前記排気ガス中の酸素濃度に応じた限界電流を流すポンプセルを有し、
前記情報記憶媒体には、前記ポンプセルの電極間に流れる電流に対して前記電極間に印加される電圧が対応するマップを記憶せしめた内燃機関のガスセンサ。 - 請求項1ないし4いずれか記載の内燃機関のガスセンサにおいて、前記セルを加熱する電気式のヒータを有し、
前記情報記憶媒体には、ガスセンサ個々の温度特性のデータとして、セル温度が所定の温度のときのアドミタンスを記憶せしめて、前記温度特性データに基づいてガスセンサ間の温度特性差を相殺するようにした内燃機関のガスセンサ。 - 請求項1ないし5いずれか記載の内燃機関のガスセンサにおいて、前記情報記憶媒体は、光学的に読み取り可能なコードが形成されてなり、前記検出特性データまたは温度特性データを、前記コードにより表した内燃機関のガスセンサ。
- 請求項1ないし6いずれか記載の内燃機関のガスセンサと、該ガスセンサの前記検出特性データまたは温度特性データを書き込み可能な記憶手段と、該記憶手段に記憶された前記検出特性データまたは温度特性データに基づいて、前記ガスセンサの駆動制御および検出信号処理を行う制御手段とを具備することを特徴とする内燃機関のガス濃度検出装置。
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