JP2004244654A - 焼結性に優れたニッケル粉末とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】積層セラミックスコンデンサの内部電極形成用などの導電ペーストに用いられる、焼結性に優れたニッケル粉末とその製造方法を提供する。
【解決手段】表面を硫黄換算で0.02〜0.20重量%の硫黄又は硫酸基で被覆してなるニッケル粉末、及びニッケル粉末を、ニッケル粉末に対して0.02〜0.30重量%の水素化物及び/又は酸化物の形態である硫黄を含むガスと接触処理することを特徴とするニッケル粉末の製造方法などによって提供。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、焼結性に優れたニッケル粉末とその製造方法に関し、さらに詳しくは、積層セラミックスコンデンサの内部電極形成用などの導電ペーストに用いられる、焼結性に優れたニッケル粉末とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ニッケル粉末は、厚膜導電体材料として積層セラミックコンデンサや多層セラミック基板等の積層セラミック部品の電極など電気回路の形成のため、導電ペースト材料として使用されている。
近年、積層セラミックコンデンサは、電子部品として急速に成長している。電子部品の高性能化に伴ない、積層セラミックコンデンサは小型化、高容量化が促進され、セラミック誘電体と内部電極は薄層化、多層化されつつある。現在、誘電体層厚2μm以下、内部電極層厚1μm前後、積層数100層以上の部品が作られている。この積層セラミックコンデンサの内部電極として、従来は白金、パラジウム、銀−パラジウム合金等の貴金属が用いられていたが、近年コスト低減のためより安価なニッケル等の卑金属を用いる技術が進歩し、その使用が増えている。
【0003】
積層セラミックコンデンサは、セラミック誘電体と、金属の内部電極とを交互に層状に重ねて圧着し、これを焼成して一体化したものである。内部電極の形成は、ニッケル粉末などを、セルロース系樹脂等の有機バインダーを溶剤に溶解させた有機ビヒクルと混合し、スリーロールミル等によって混練、分散して得た導電ペーストを用いて、セラミック誘電体グリーンシート上に印刷する。その後、積層体を中性又は還元雰囲気下で焼成して得る。
【0004】
一般にニッケル粉末等の内部電極材料は、酸化チタン、チタン酸バリウム、複合ペロブスカイトなどのセラミック誘電体よりも焼結開始温度が低く、しかも熱収縮率が大きい。したがって、焼成に際してセラミック誘電体との収縮度合の不適合が大きくなり、剥離やクラックなどの構造欠陥を起こし易いという問題があった。この問題は、電極を薄層化するほど顕著であり、クラックや剥離が発生した場合には、コンデンサとして機能しなくなる。そこで、積層セラミックスコンデンサの内部電極形成用のニッケル粉末として、焼成での焼結挙動をセラミック誘電体に近づけるために高温に至るまで焼結に伴なう収縮が抑えられたニッケル粉末が望まれている。
【0005】
この解決策として、高温でのニッケル粉末の収縮を抑制する方法が提案されており、代表的なニッケル粉末とその製造方法としては、以下のようなものが挙げられる。
(1)塩化ニッケル蒸気の気相水素還元法で製造された、平均粒径が0.1〜1.0μmで、硫黄含有率が0.02〜1.0%のニッケル超微粉であり、かつ球状粒子である(例えば、特許文献1参照)。ここで、球状粒子であることが、積層セラミックコンデンサの製造工程で高い充填密度の薄層の内部電極を形成し、クラックや剥離を生じない特性を発揮するとしている。また、優れた球状を呈するためには、硫黄の含有率が重要であるとしているが、硫黄の粒子中での存在部位については言及されていない。
(2)硫黄を含有する雰囲気にて、塩化ニッケルの蒸気に気相還元反応を行わせることにより製造した、粒径が0.1〜1.0μmで、硫黄を0.05〜0.2%含有し、かつ硫黄が主として表面部分に存在する球状ニッケル粉末であり、単分散性に優れた結晶性の高い導電ペースト用ニッケル粉末である(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
これらの提案は、化学気相反応法で、1000℃以上の温度で球状のニッケル粉末を生成して、内部電極の形成に際してニッケル粉末の充填密度を高めることによって収縮量を抑制する方法であり、焼成においてクラックや剥離の低減に貢献しているが、未だ特性上及び生産上の課題がある。
これらの粉末特性は、必ずしも、高温に至るまで焼結に伴なう収縮が抑えられ、高温での焼結挙動がセラミック誘電体に近づいたニッケル粉末とはいえない。すなわち、焼成において、充填密度を高めることによって収縮量の抑制が行われても、高温での焼結の進行が速い場合には、セラミック誘電体との収縮の差が大きくなり内部電極のクラックや剥離が発生することとなる。また、化学気相反応法には、高額な反応装置、硫黄濃度の制御等により量産規模で低コストで生産することが困難であるという問題点がある。
以上の状況から、焼成での焼結挙動をセラミック誘電体に近づけるために、高温に至るまで焼結に伴なう収縮が抑えられたニッケル粉末が求められている。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−80817号公報(第1〜3頁)
【特許文献2】
特開平11−80816号公報(第1〜3頁)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、積層セラミックスコンデンサの内部電極形成用などの導電ペーストに好適な、焼結性に優れたニッケル粉末とその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために、種々のニッケル粉末について鋭意研究を重ねた結果、ニッケル粉末の表面を特定量の硫黄又は硫酸基で被覆させたところ、焼結性に優れたニッケル粉末が得られること、さらには、それを得るためには、ニッケル粉末を特定量の硫黄を含むガスと接触処理する方法が最適であることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明の第1の発明によれば表面を硫黄換算で0.02〜0.20重量%の硫黄又は硫酸基で被覆してなるニッケル粉末が提供される。
【0011】
また、本発明の第2の発明によれば、ニッケル粉末を、ニッケル粉末に対して0.02〜0.30重量%の硫黄を含むガスと接触処理することを特徴とする第1の発明のニッケル粉末の製造方法が提供される。
【0012】
また、本発明の第3の発明によれば、第2の発明において、前記硫黄が、硫黄の水素化物及び/又は酸化物の形態であることを特徴とするニッケル粉末の製造方法が提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の焼結性に優れたニッケル粉末とその製造方法を詳細に説明する。
1.ニッケル粉末
本発明に係るニッケル粉末は、積層セラミックスコンデンサの内部電極形成用などの導電ペーストに用いられる、焼結性に優れたニッケル粉末である。
本発明のニッケル粉末は、表面を硫黄換算で0.02〜0.20重量%の硫黄又は硫酸基で被覆してなるニッケル粉末である。本発明のニッケル粉末の表面を被覆する硫黄の形態は、硫黄又は硫酸基である。硫黄又は硫酸基の形態で被覆するのは、硫黄以外の不純物によるニッケル粉末の汚染の防止のためである。
【0014】
本発明において、焼結性の向上に対して、ニッケル粉末の表面を硫黄又は硫酸基で被覆していることが重要である。これによって、前記ニッケル粉末の表面に、硫化ニッケル又は硫酸ニッケルが濃集した被覆膜が形成されて、ニッケル粉末の高温での焼結の進行の抑制が達成される。すなわち、硫化ニッケル又は硫酸ニッケルが濃集した被覆膜は、高温での焼成に際してこれらが分解あるいは拡散されるまでの間、ニッケル粒子間でのニッケルの固相拡散を阻害し、ニッケル粉末の焼結の進行を抑制する役割を担う。
【0015】
本発明のニッケル粉末の硫黄濃度は、0.02〜0.20重量%である。すなわち、前記硫黄濃度が、0.02重量%未満では、焼結を抑制する効果が低く、一方0.20重量%を超えると、高温での焼成に際して分解して腐食性ガスの発生が多くなるので好ましくない。
【0016】
2.製造方法
以下に、本発明の製造方法を説明するが、本発明において、ニッケル粉末の製造方法は、特に限定されるものではなく、ニッケル粉末の表面を硫黄又は硫酸基で被覆できる種々の方法が用いられるが、この中でも、特にニッケル粉末を特定量の硫黄を含むガスと接触処理する方法が好ましい。
【0017】
本発明の製造方法は、ニッケル粉末を、ニッケル粉末に対して所定量の硫黄を含むガスと接触処理するものであり、この方法によって硫黄濃度が0.02〜0.20重量%で、かつ硫黄又は硫酸基で被覆された表面を有するニッケル粉末が得られる。本発明の製造方法によって得られるニッケル粉末は、ニッケル粉末の硫黄濃度が従来の提案の範囲内にかかわらず、特に焼結性に優れているところに特徴がある。
【0018】
本発明の製造方法では、ニッケル粉末を所定量の硫黄を含むガスと接触処理することが重要な意義をもつ。これによって、前記ニッケル粉末の表面にのみ、硫黄又は硫酸基が集中して被覆し、硫化ニッケル又は硫酸ニッケルが濃集した被覆膜が形成される。すなわち、前記ガス中の硫黄はニッケルと速やかに反応して表面に吸着し、かつ前記ガス中の硫黄の大部分がニッケル粉末表面に吸着する。したがって、前記ガス中の硫黄量を制御することで、前記ニッケル粉末の表面を被覆する硫黄又は硫酸基の量の制御ができる。また、ニッケル粉末の表面に吸着した硫黄又は硫酸基が、ニッケルと反応して硫化ニッケル又は硫酸ニッケルが濃集した被覆膜が形成される。
【0019】
本発明の製造方法で用いるニッケル粉末は、特に限定されるものではなく、各種の製造方法によるニッケル粉末とニッケルを主成分とする合金粉末が含まれる。前記合金粉末としては、ニッケルに耐酸化性等の付与のためクロム、リン、亜鉛、貴金属、希土類金属などが添加された合金粉末がある。
【0020】
本発明の製造方法で用いるニッケル粉末の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、固態のニッケル塩を還元剤で還元する固相還元法、ニッケル塩溶液をミストにして熱分解する噴霧熱分解法、ニッケル塩蒸気を水素ガスで還元する化学気相反応法等の乾式法、ニッケル塩等を含有する溶液から還元析出によってニッケル粉末を得る湿式法のいずれの方法で製造された粉末も用いられる。
【0021】
この中で特に、導電ペーストに用いるのに適した形状、及び粒径分布を有する粉末、即ち粒子形状が球状で、平均粒径が0.1μm〜1.0μmの粉末が好ましい。なお、ニッケル粉末が凝集粒子を含むときは、接触処理に先立って解粒処理を行うことが好ましい。この解粒処理は、特に限定されないが、衝撃式、衝突式、摩砕式、高水圧式等の各種の粉砕方式で行える。
【0022】
本発明の製造方法で用いる硫黄量は、特に限定されるものではなく、例えば、接触処理されるニッケル粉末に対して0.02〜0.30重量%が好ましい。すなわち、前記硫黄量が、0.02重量%未満では、焼結を抑制するに足るだけの硫黄又は硫酸基の被覆量を得ることができない。一方、0.30重量%を超えると、硫黄又は硫酸基の被覆量が多くなり過ぎ、製品のニッケル純度が落ちる。本発明の製造方法で得られるニッケル粉末の硫黄濃度は、前記硫黄量を調節することで制御できる。
【0023】
本発明の製造方法で用いる硫黄を含むガスとしては、特に限定されるものではなく、元素状硫黄の他各種の形態で硫黄を含む化合物等使用条件下で気体であるガスをそのままあるいは希釈調製して用いられるが、この中で、特に常温で気体でありかつ不純物の混入の恐れの低い、硫化水素、二硫化酸素等の硫黄以外には水素、酸素のみから構成される硫黄の水素化物及び/又は酸化物が好ましい。また、本発明で用いる希釈用ガスとしては、特に限定されるものではなく、空気の他、不活性ガス、還元性ガスが用いられる。
【0024】
本発明の製造方法における接触処理の温度および時間は、特に限定されるものではなく、使用する硫黄を含むガス種で異なるが、常温で前記ガス中の硫黄はニッケルと速やかに反応して表面に吸着される。
【0025】
【実施例】
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例及び比較例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例および比較例で用いた硫黄の分析方法と焼結での収縮量の測定方法は、以下の通りである。
(1)硫黄の分析:燃焼赤外線吸収法で行った。
(2)焼結での収縮量の測定:得られた試料を、熱機械的分析装置(TMA)を使用して、4容量%水素−窒素ガス中で1200℃までの焼結での収縮量を測定し、収縮開始温度を得た(以下、TMA測定と呼ぶ。)。
【0026】
(実施例1)
化学気相反応法(以下、気相法と呼称する。)で製造されたニッケル粉末(気相法粉A、硫黄濃度0.001重量%)をガラス容器に入れた。次に、前記ニッケル粉末に対して、0.20重量%に相当する硫黄を含む量の硫化水素ガスを前記容器内に封入した。10分間保持後、前記ニッケル粉末を前記容器内から取出し、得られたニッケル粉末の硫黄分析及び焼結での収縮量の測定を行なった。得られたニッケル粉末の硫黄濃度は0.13重量%であつた。図1にTMA測定結果を示す。
【0027】
(実施例2)
湿式法で製造されたニッケル粉末(湿式法粉、硫黄濃度0.001重量%)をガラス容器に入れた。次に、前記ニッケル粉末に対して、0.07重量%に相当する硫黄を含む量の10容量%硫化水素−窒素ガスを前記容器内に封入した。1時間保持後、前記ニッケル粉末を前記容器内から取出し、得られたニッケル粉末の硫黄分析及び焼結での収縮量の測定を行なった。得られたニッケル粉末の硫黄濃度は0.07重量%であつた。図1にTMA測定結果を示す。
【0028】
(実施例3)
実施例1と同様のニッケル粉末(気相法粉A)をガラス容器に入れた。次に、前記ニッケル粉末に対して、0.07重量%に相当する硫黄を含む量の10容量%二酸化硫黄−窒素ガスを前記容器内に封入した。1時間保持後、前記ニッケル粉末を前記容器内から取出し、得られたニッケル粉末の硫黄分析及び焼結での収縮量の測定を行なった。得られたニッケル粉末の硫黄濃度は0.05重量%であつた。図2にTMA測定結果を示す。
【0029】
(実施例4)
実施例1と同様のニッケル粉末(気相法粉A)をガラス容器に入れた。次に、前記ニッケル粉末に対して、0.07重量%に相当する硫黄を含む量の10容量%硫化水素−窒素ガスを前記容器内に封入した。1時間保持後、前記ニッケル粉末を前記容器内から取出し、得られたニッケル粉末の硫黄分析を行なった。得られたニッケル粉末の硫黄濃度は0.05重量%であつた。
次いで、得られたニッケル粉末に、積層セラミックスの内部電極作製時に混合される共材を10重量%添加して、焼結での収縮量の測定を行なった。前記共材として、チタン酸ジルコン酸バリウム(商品名BTZ−01、堺化学工業(株)製)を用いた。図3にTMA測定結果を示す。
【0030】
(比較例1)
実施例1と同様のニッケル粉末(気相法粉A)に接触処理を行なわず、焼結での収縮量の測定を行なった。図1にTMA測定結果を示す。
【0031】
(比較例2)
実施例2と同様のニッケル粉末(湿式法粉)に接触処理を行なわず、焼結での収縮量の測定を行なった。図1にTMA測定結果を示す。
【0032】
(比較例3)
実施例1と同様のニッケル粉末(気相法粉A)に接触処理を行なわず、実施例4と同様に共材を添加し焼結での収縮量の測定を行なった。図3にTMA測定結果を示す。
【0033】
(比較例4)
気相法で製造されたニッケル粉末(気相法粉B、硫黄濃度0.08重量%)に接触処理を行なわず、実施例4と同様に共材を添加し焼結での収縮量の測定を行なった。図3にTMA測定結果を示す。
【0034】
以上、図1及び図2より、実施例1、2、3で得られたニッケル粉末の急激な収縮開始温度はそれぞれ860℃、840℃、830℃であり、誘電体の焼結温度900℃から期待される電極材料の収縮開始温度800℃と比べて高温度であることが分かる。また、比較例1、2のニッケル粉末の急激な収縮開始温度はそれぞれ700℃、720℃であり、前記期待される電極材料の収縮開始温度800℃と比べて低温度であることが分かる。以上の結果から、本発明の製造方法に従い接触処理を行うと、気相法粉及び湿式法粉のいずれもが焼結による収縮開始が高温側に移動することが分かる。
【0035】
また、図3より、実施例4の場合の収縮開始温度は1020℃であり、同様に図3に示す共材単独の場合と比較してもこの温度での収縮量の差が僅かであるのに対して、一方比較例3、4の場合の収縮開始温度はそれぞれ650℃、400℃であり、共材単独の場合と比較すると収縮量が非常に大きいことが分かる。これより、実際の使用条件に近い共材の添加の場合において、本発明の方法に従い接触処理を行うと、高温での収縮の抑制の効果が大きいことがより鮮明に示された。さらに従来の化学気相反応法による硫黄濃度が同程度のニッケル粉末(比較例4)と比べて、本発明の方法に従い得られたニッケル粉末は、高温での収縮が抑えられた、焼結性に優れた性能をあらわす。
以上、本発明の表面を硫黄換算で0.02〜0.20重量%の硫黄又は硫酸基で被覆してなるニッケル粉末は、導電ペーストに好適な、焼結性に優れたニッケル粉末である。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のニッケル粉末は積層セラミックスコンデンサの内部電極形成用などの導電ペーストに好適な、焼結性に優れたニッケル粉末であり、また本発明の製造方法によって該ニッケル粉末を容易に得ることができるので、その工業的価値は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1、2、比較例1、2のTMA測定結果を示す図である。
【図2】実施例3、比較例1のTMA測定結果を示す図である。
【図3】実施例4、比較例3、4のTMA測定結果を示す図である。

Claims (3)

  1. 表面を硫黄換算で0.02〜0.20重量%の硫黄又は硫酸基で被覆してなるニッケル粉末。
  2. ニッケル粉末を、ニッケル粉末に対して0.02〜0.30重量%の硫黄を含むガスと接触処理することを特徴とする請求項1に記載のニッケル粉末の製造方法。
  3. 前記硫黄が、硫黄の水素化物及び/又は酸化物の形態であることを特徴とする請求項2に記載のニッケル粉末の製造方法。
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