JP2004244567A - 光ディスクの基板用ポリカーボネート樹脂 - Google Patents

光ディスクの基板用ポリカーボネート樹脂 Download PDF

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Takayasu Fujimori
崇泰 藤森
Hiroaki Oki
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Abstract

【課題】吸湿に伴うそりの小さい光ディスクの基板用ポリカーボネート樹脂を提供する。
【解決手段】2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン20〜70モル%と4,4’−ブチチデン(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)80〜30モル%から誘導されるポリカーボネート樹脂であって、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が25,000〜65,000である光ディスクの基板用ポリカーボネート樹脂。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸湿に伴うそりの小さい光ディスクの基板用ポリカーボネート樹脂に関するものである。また、光線が透過することのない基板上に形成された情報信号部と、その上層に形成された光透過性の保護膜からなる光ディスクにおいて、該基板が該ポリカーボネート樹脂からなる、光ディスクの基板(以下、レプリカ基板と記述する)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、光線透過型の光ディスク基板が広く用いられている。例えば、アクリル基板、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称:ビスフェノールA)からなるポリカーボネート基板あるいは非晶質ポリオレフィン基板などが、CD基板(光透過厚さ1.2mm)あるいはDVD基板(光透過厚さ0.6mm)用途に広く用いられている。これらのディスクは、透明な基板に凸凹を転写し、その転写面の上にアルミニウムなどの金属反射膜からなる情報記録層を形成し、更にその上層に保護膜を形成することにより成り立ち、基板に転写された凸凹を赤色レーザーを用いて読みとる方式を用いている。その際、レーザー光線は照射光、反射光とも光ディスク基板内部を透過する。従って、光ディスク基板の複屈折が大きいと、信号の読み取りエラーが起こりやすくなることが知られており、それ故、現行の光ディスクの基板には複屈折が小さいことが強く要求されている。
【0003】
そのため、現在まで、様々な低複屈折透明樹脂の開発が精力的に行われてきた。中でもポリカーボネート樹脂は、透明性の高さ、力学物性バランスの良さ、耐熱性の高さから、数多くの低複屈折材料の開発が行われてきた。
【0004】
しかしながら、近年、凸凹を小さくし、光ディスクの記録密度を飛躍的に高められる、青色レーザーを用いて信号を読み取る記録方式が開発された。この方式では、現行法と同様な、基板内部を光が透過する光ディスクを用いると、わずかな複屈折でも読み取りエラーが起こる。このような読み取りエラーを無くすためには、基板の厚さを0.1mm程度まで薄くする必要が生じるが、射出成形で凸凹を転写しながらこのような薄い基板を成形するのは技術的に極めて困難である。
【0005】
そのため、青色レーザーを用いて情報の読み取りを行う場合には、凸凹をレプリカ基板に転写し、この転写面の上に記録膜や反射膜からなる情報信号部を形成し、さらにその上部に光透過性シートと紫外線硬化透明樹脂よりなる膜厚100μmの保護層を形成し、光透過性シート側から青色レーザーを照射し、情報を読み取る方式が検討されている。なお、情報信号部は反射膜、光磁気材料からなる膜、相変化材料からなる膜、または有機色素膜などからなる。光ディスクが再生専用の場合には情報信号部は、反射膜を少なくとも有する、単層膜または積層膜から構成される。他方、光ディスクが書き換え可能型であるならば、情報信号部は光磁気材料からなる膜や相変化材料からなる膜を少なくとも有する単層膜もしくは積層膜から構成され、追記型光ディスクの場合には、例えば有機色素材料からなる膜を少なくとも有する単層膜もしくは積層膜から構成される(例えば、特許文献1、2あるいは3)。この方式では、光が透過するのは光透過性シートおよび紫外線硬化透明樹脂層からなる透明保護層のみとなるため、レプリカ基板の光学的性能は一切不要となり、不透明でも構わなくなる。この点から、レプリカ基板は従来の光学材料とは一線を画する全く新しい概念に基づく基板であると言える。
【0006】
けれども、樹脂製のレプリカ基板は、単板であるため、透明保護層を形成していない側からは吸湿およびそれに伴う寸法増大すなわち膨張がある。その反面、保護層を形成した光線照射側からは吸湿がほとんど無いため寸法は変化しない。
そのため、光ディスクに吸湿によるそりが生じる。そして、このそりが大きな読み取りエラーを引き起こすことが知られている。そのために、吸湿に伴うそりが小さく、なおかつレプリカ基板に必要な優れた力学物性バランス、耐熱性、転写性および成形特性を備えた低価格の基板用樹脂が求められている。
【0007】
現在市販されている安価な樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリオキシメチレン、ナイロン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ABS樹脂、変性PPE樹脂、PET樹脂、PBT樹脂、ポリエーテルスルホン、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリエーテルエーテルケトンなどはいずれも上記の特性をすべて備えているわけではなく、実用に耐えるものではない。
【0008】
一方、ポリカーボネート樹脂は、例えばビスフェノールAからなるポリカーボネート樹脂に代表されるように、優れた力学物性バランス、耐熱性、転写性および成形特性を備えており、CD基板およびDVD基板としての実績もあり、なおかつ安価である。しかし、ビスフェノールAからなるポリカーボネート樹脂は、吸水による膨張が大きいため、レプリカ基板に成形して情報記録層および保護層を形成した場合、そりが大きくなり、レプリカ基板としては実用上使用できない。したがって、ビスフェノールAからなるポリカーボネート樹脂に比較して、吸水に伴う膨張が小さい樹脂が求められている。
【0009】
例えば、ポリカーボネート樹脂の光ディスクについて、吸水率が小さくなるほど変形が小さくなると解釈される記載があるものの、実際には23℃の水中に24時間浸漬したときの吸水率が検討されたのみで、吸水に伴う膨張そのものは検討されていない(例えば、特許文献4)。本発明者らの検討によれば、吸水率が小さくなるほど膨張が小さくなるとは限らず、相対的に比較して、吸水率が高いにもかかわらず膨張は小さいポリカーボネート樹脂も存在する。この点から吸水率と膨張との間に明確な相関関係はないことが分った。
【0010】
また、ポリカーボネート共重合体を情報伝達媒体に使用することが記載されている(例えば、特許文献5)。けれども、ポリカーボネート樹脂の内部を光線が透過することを前提とした用途であり、実施例においては、光弾性係数あるいは成形体の複屈折が議論されている。しかし、レプリカ基板は、内部を光線が透過しない基板であるため、光学性能は一切無関係である。よって、レプリカ基板は、該特許の指向する用途とは本質的に異なる新しい概念に基づく用途である。
【0011】
更には、従来は、ポリカーボネート樹脂の力学特性が議論されていない。該ポリカーボネート樹脂からなるレプリカ基板が実用に耐えうる強度を有していなければ、基板として利用することはできない(例えば、特許文献4および5)。
【0012】
その他にも、本願発明と同じポリカーボネート共重合体が記載されている(例えば、特許文献6)。しかしながら、該ポリカーボネート樹脂を選択性分離膜に用いることが記載されているのみで、吸水率に関する記載はなく、本願発明に示される光ディスクおよびレプリカ基板についての用途に関しては一切記載されていない。
【0013】
【特許文献1】
特開2002−8269号公報
【特許文献2】
特開2002−74749号公報
【特許文献3】
特開平10−283683号公報
【特許文献4】
特開平4−4222号公報
【特許文献5】
特開平10−176046号公報
【特許文献6】
特開平59−120206号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術における上記課題を解決しようとするものであり、吸水に伴う膨張の小さく、優れた力学物性バランスを有するポリカーボネート樹脂およびそれからなるレプリカ基板を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を重ねた結果、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン20〜70モル%と4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)80〜30モル%から誘導されるポリカーボネート樹脂であって、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が25,000〜65,000である光ディスクの基板用ポリカーボネート樹脂を用いることにより上記課題を解決出来ることを見出し本発明に到達した。また、光線が透過することのない基板上に形成された情報信号部と、その上方に形成された光透過性の保護層からなる光ディスクにおいて、該基板が該ポリカーボネート樹脂からなる光ディスク用レプリカ基板を用いることにより上記課題を解決出来ることを見出し本発明に到達した。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明を具体的に説明する。本発明に用いられるポリカーボネート樹脂は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン20〜70モル%及び4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)80〜30モル%と、炭酸ジエステルもしくは塩化カルボニルとを反応させて得られる。
【0017】
本発明に関わるポリカーボネート樹脂は、ランダム、ブロックあるいは交互共重合構造を含むものであり、優れた力学物性バランス、耐熱性、転写性、成形特性および低吸水膨張特性を示す。低吸水膨張特性とは、該ポリカーボネート樹脂を円盤状の成形体に成形したのち、(1)100℃で2.5時間真空乾燥する、(2)23℃の水中にこのディスク基板を浸漬し、経時的に取り出して直径方向の寸法変化を測定した後再び23℃の水中に浸漬する、(3)直径方向の寸法が最大になったことを確認した後、(最大寸法−初期直径)/(初期直径)を直径方向の最大膨張率とした場合、該最大膨張率が0.03%以下を示すことであり、好ましくは該最大膨張率が0.02%以下を示すことである。
【0018】
また、本発明におけるポリカーボネート樹脂のガラス転移温度は150℃以上170℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度が150℃より低いと耐熱性が悪くなり、使用環境が限定されるため好ましくない。また、ガラス転移温度が170℃より高いと、流動性が悪くなり、成形条件が厳しくなるため好ましくなく、また、流動性を確保するために低分子量に抑えると脆くなるため好ましくない。
【0019】
本発明に用いられるポリカーボネート樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は25,000〜65,000であり、より好ましくは35,000〜55,000である。Mwが25,000未満であると成形体が脆くなり、Mwが65,000を超えると溶融状態での流動性が悪くなり成形条件が厳しくなるため好ましくない。
【0020】
本発明に用いられるポリカーボネート樹脂からなる成形体の曲げ弾性率は1800MPa以上、曲げ強度は45MPa以上である。より好ましくは曲げ弾性率2000MPa以上、曲げ強度55MPa以上である。曲げ弾性率が1800MPaより小さいと、成形体がたわみやすくなり好ましくない。また、曲げ強度が45MPaより小さいと成形体が割れやすくなるため好ましくない。
【0021】
以下に本発明に関わるポリカーボネート樹脂の製造方法について述べる。1つの方法として、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを塩基性化合物触媒の存在下反応させる公知のエステル交換法が用いられる。
【0022】
炭酸ジエステルとしては、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート等が挙げらる。これらの中でも特にジフェニルカーボネートが好ましい。ジフェニルカーボネートは、ジヒドロキシ化合物の合計1モルに対して0.97〜1.10モルの比率で用いられることが好ましく、更に好ましくは0.98〜1.03モルの比率である。
【0023】
塩基性化合物触媒としては、特にアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物、含窒素化合物等があげられる。
【0024】
このような化合物としては、アルカリ金属およびアルカリ土類金属化合物等の有機酸塩、無機塩、酸化物、水酸化物、水素化物あるいはアルコキシド、4級アンモニウムヒドロキシドおよびそれらの塩、アミン類等が好ましく用いられ、これらの化合物は単独もしくは組み合わせて用いることができる。
【0025】
アルカリ金属化合物としては、具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸セシウム、ステアリン酸リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸セシウム、安息香酸リチウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、フェニルリン酸2ナトリウム、ビスフェノールAの2ナトリウム塩、2カリウム塩、2セシウム塩、2リチウム塩、フェノールのナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩、リチウム塩等が用いられる。
【0026】
アルカリ土類金属化合物としては、具体的には、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸水素バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、安息香酸カルシウム、フェニルリン酸マグネシウム等が用いられる。
【0027】
含窒素化合物としては、具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等のアルキル、アリール、基等を有する4級アンモニウムヒドロキシド類、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン等の3級アミン類、ジエチルアミン、ジブチルアミン等の2級アミン類、プロピルアミン、ブチルアミン等の1級アミン類、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、ベンゾイミダゾール等のイミダゾール類、あるいは、アンモニア、テトラメチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルアンモニウムテトラフェニルボレート等の塩基あるいは塩基性塩等が用いられる。
【0028】
これらの触媒は、ジヒドロキシ化合物の合計1モルに対して、10−9〜10−3モルの比率で、好ましくは10−7〜10−5モルの比率で用いられる。
【0029】
本発明にかかわるエステル交換反応は、公知の溶融重縮合法により行うことができる。すなわち、前記の原料、および触媒を用いて、加熱下に常圧または減圧下にエステル交換反応により副生成物を除去しながら溶融重縮合を行うものである。反応は、一般には二段以上の多段工程で実施される。
【0030】
具体的には、第一段目の反応を120〜260℃、好ましくは180〜240℃の温度で0.1〜5時間、好ましくは0.5〜3時間反応させる。次いで反応系の減圧度を上げながら反応温度を高めてジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの反応を行い、最終的には1mmHg以下の減圧下、200〜350℃の温度で重縮合反応を行う。このような反応は、連続式で行っても良くまたバッチ式で行ってもよい。上記の反応を行うに際して用いられる反応装置は、錨型攪拌翼、マックスブレンド攪拌翼、ヘリカルリボン型攪拌翼等を装備した縦型であっても、パドル翼、格子翼、メガネ翼等を装備した横型であってもスクリューを装備した押出機型であってもよく、また、これらを重合物の粘度を勘案して適宜組み合わせた反応装置を使用することが好適に実施される。
【0031】
本発明にかかわるポリカーボネート樹脂は、重合反応終了後、熱安定性および加水分解安定性を保持するために、触媒を除去もしくは失活させる。一般的には、公知の酸性物質の添加による触媒の失活を行う方法が好適に実施される。これらの物質としては、具体的には、p−トルエンスルホン酸等の芳香族スルホン酸類、p−トルエンスルホン酸ブチル、p−トルエンスルホン酸ヘキシル等の芳香族スルホン酸エステル類、p−トルエンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩等の芳香族スルホン酸塩類、ステアリン酸クロライド、塩化ベンゾイル、p−トルエンスルホン酸クロライド等の有機ハロゲン化物、ジメチル硫酸等のアルキル硫酸、塩化ベンジル等の有機ハロゲン化物等が好適に用いられる。
【0032】
触媒失活後、ポリマー中の低沸点化合物を0.1〜1mmHgの圧力、200〜350℃の温度で脱揮除去する工程を設けても良く、このためには、パドル翼、格子翼、メガネ翼等、表面更新能の優れた攪拌翼を備えた横型装置、あるいは薄膜蒸発器が好適に用いられる。
【0033】
本発明に関わるポリカーボネート樹脂のもう1つの製造方法として、ジヒドロキシ化合物を溶媒および末端停止剤および酸結合剤の存在下、ホスゲンと反応させる界面重合法がある。通常、酸結合剤の水溶液にジヒドロキシ化合物および末端停止剤を溶解し、有機溶媒の存在下に反応させる。
【0034】
酸結合剤としては、例えば、ピリジンあるいは水酸化ナトリウムあるいは水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物が好適に用いられ、また、溶媒としては、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、キシレンなどが好適に使用される。さらに、重合反応を促進するために、触媒としてトリエチルアミンのような第三級アミンあるいはテトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド等の第四級アンモニウム塩等が使用される。
【0035】
また、重合度の調節に用いられる末端停止剤としては、フェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノール、長鎖アルキル置換フェノール等の一官能ヒドロキシ化合物が使用される。
【0036】
さらに、所望に応じて、亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイトナトリウム等の酸化防止剤を少量添加しても良い。
【0037】
反応は、通常0〜150℃、好ましくは5〜40℃の範囲で行われる。反応時間は反応温度によって左右されるが、通常0.5分〜10時間、好ましくは1分〜2時間である。また、反応中は反応系のpHを10以上に保持することが好ましい。
【0038】
本発明におけるポリカーボネート樹脂には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、離型剤、流動性改良剤、帯電防止剤、抗菌剤等を添加することが好適に実施される。
【0039】
本発明におけるポリカーボネート樹脂よりレプリカ基板を製造する場合には、射出成形機(射出圧縮成形機を含む)が用いられる。射出成形機は一般に使用されるもので構わないが、炭化物の発生を抑制し、レプリカ基板の信頼性を高める観点から、シリンダーやスクリューと樹脂との付着性が低く、かつ耐食性、耐摩耗性を示す材料を使用しているものを用いるのが好ましい。
【0040】
射出成形の条件としては、シリンダー温度270〜400℃、金型温度55〜150℃が好ましく、これにより優れたレプリカ基板を得ることが出来る。また、成形に供する樹脂は、ペレット状であることが好ましく、事前に充分乾燥して水分を除去することや、溶融樹脂の分解を引き起こすような滞留を起こさないことも肝要である。
【0041】
【実施例】
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に何らの制限を受けるものではない。
【0042】
[得られたポリカーボネート樹脂の物性測定]
ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw):クロロホルムを展開溶媒としてGPCにより計測した。検量線は既知分子量の分散の小さいポリスチレンを用いて作成した。
2)ガラス転移温度(Tg):DSC(示差走査熱量計)を用いて測定した。
3)レプリカ基板の射出成形には住友重機械工業社製DISK3を用いた。
4)レプリカ基板の直径方向の寸法:マイクロメーターにより計測した。
5)曲げ試験片および引っ張り試験片の射出成形には新潟鉄工所製MIN7を用いた。
6)曲げ弾性率、曲げ強度および引っ張り弾性率の測定には、島津製作所製オートグラフAG−5000Bを用いた。
【0043】
実施例1
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン5.137kg(22.50モル)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)8.608kg(22.50モル)、ジフェニルカーボネート10.41kg(48.60モル)、および炭酸水素ナトリウム0.01512g(1.800×10−4モル)を攪拌機および留出装置付きの50リットル反応器に入れ、窒素雰囲気760Torrの下1時間かけて200℃に加熱した。
その後、20分かけて減圧度を100Torrに調整し、200℃、100Torrの条件下で50分間保持しエステル交換反応を行った。さらに10分かけて15Torrに調整すると同時に60℃/hrの速度で235℃まで昇温を行い、40分間その温度および圧力に保持しエステル交換反応を行った。その後、20分かけて1Torr以下に調整すると同時に90℃/hrの速度で260℃まで昇温を行い、260℃、1Torr以下の条件下で75分撹拌下重合した。反応終了後、反応器内に窒素を吹き込み加圧にし、生成したポリカーボネート樹脂をペレタイズしながら抜き出した。得られたポリカーボネート樹脂のMw=46300、Tg=159℃であった。このポリカーボネート樹脂10.0kgを100℃で24時間真空乾燥し、p−トルエンスルホン酸n−ブチルを樹脂中の炭酸水素ナトリウムの10倍モル、モノステアリン酸グリセリドを樹脂に対して300ppm、トリス(2,4−ジ−tret−ブチルフェニル)ホスファイトを樹脂に対して25ppmを添加して押し出し機により混練してペレタイズしペレットを得た。このペレットのMw=45800であった。
このペレットを120℃で3時間熱風乾燥後、シリンダー温度340℃、金型温度130℃でDISK3により射出成形し、外径120mm、厚さ1.18mmで、中心に内径15mmの空孔を持つ円盤状のレプリカ基板を得た。
このレプリカ基板を100℃で2.5時間真空乾燥した後、23℃の真空デシケーター中で24時間放置し、しかる後、23℃の水に浸漬した。168時間後の吸水率は0.300%、吸水に伴う直径方向の寸法増大(膨張)は0.017%であった。280時間後の吸水率、膨張は168時間後と変化が無く、168時間で最大となることが確かめられた。
また、このペレットを120℃で3時間熱風乾燥後、シリンダー温度280℃、金型温度90℃でMIN7により射出成形し、長さ89mm、幅12.65mm、厚さ3.23mmの曲げ試験片を得た。曲げ弾性率=2050MPa、曲げ強度=74MPa(降伏)、引っ張り弾性率=920MPaと充分な強度を有していた。
【0044】
実施例2
攪拌機、ホスゲン吹き込み装置、冷却装置を有する110Lの反応器に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン4.109kg(18.00モル)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)10.33kg(27.00モル)、7.2%水酸化ナトリウム水溶液50L(水酸化ナトリウム90.00モル)およびハイドロサルファイトナトリウム22.17g(0.1267モル)を仕込んで撹拌下溶解し、更に、撹拌下、メチレンクロライド28.7L、48.5%水酸化ナトリウム水溶液1.826L(水酸化ナトリウム0.02214モル)、分子量調節剤としてp−tert−ブチルフェノール396.2g(2.637モル)および触媒としてトリエチルアミン327.6ml(2.353モル)を添加した。この混合液に撹拌下、ホスゲン5.674kg(49.38モル)を反応液の温度を25℃に保ちながら3時間かけて吹き込み、吹き込み終了後更に25℃で3時間撹拌し反応を終了させた。撹拌を停止し、混合液よりメチレンクロライド層を分離して水洗を5回繰り返した後、メチレンクロライド溶液の0.25重量部に当たるn−ヘプタンを添加混合し、混合溶液を温水中に滴下し、100℃まで温度を上げて溶媒を留去してスラリー状のポリカーボネート樹脂粉末を得た。この粉末を濾過し、110℃で8時間乾燥した。得られたポリカーボネート樹脂は13.8kg、Mw=46600、Tg=161℃であった。このポリカーボネート樹脂10.0kgを100℃で24時間真空乾燥し、モノステアリン酸グリセリドを樹脂に対して300ppm、トリス(2,4−ジ−tret−ブチルフェニル)ホスファイトを樹脂に対して25ppmを添加して押し出し機により混練してペレタイズしペレットを得た。このペレットのMw=46500であった。
このペレットを120℃で3時間熱風乾燥後、シリンダー温度340℃、金型温度130℃でDISK3により射出成形し、外径120mm、厚さ1.18mmで、中心に内径15mmの空孔を持つ円盤状のレプリカ基板を得た。
このレプリカ基板を100℃で2.5時間真空乾燥した後、23℃の真空デシケーター中で24時間放置し、しかる後、23℃の水に浸漬した。168時間後の吸水率は0.281%、吸水に伴う直径方向の寸法増大(膨張)は0.016%であった。280時間後の吸水率、膨張は168時間後と変化が無く、168時間で最大となることが確かめられた。
また、このペレットを120℃で3時間熱風乾燥後、シリンダー温度280℃、金型温度90℃でMIN7により射出成形し、長さ89mm、幅12.65mm、厚さ3.23mmの曲げ試験片を得た。曲げ弾性率=2090MPa、曲げ強度=72MPa(降伏)、引っ張り弾性率=930MPaと充分な強度を有していた。
【0045】
比較例1
実施例1において、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)の代わりに1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシ−5−イソプロピル−2−メチルフェニル)メタン15.23kg(45.00モル)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。反応後、得られたポリカーボネート樹脂はMw=45900、Tg=177℃であり、添加剤を混練して押し出した後のMw=45700であった。このペレットはシリンダー温度340〜360℃では樹脂圧が上昇しすぎて成形できなかった。シリンダー温度370℃で射出成形して得たレプリカ基板は分解に伴うシルバーが多発しており、168時間後の吸水率は0.305%、吸水に伴う直径方向の膨張は0.031%であった。280時間後の吸水率、膨張は168時間後と変化が無く、168時間で飽和することが確かめられた。また、曲げ試験片の曲げ弾性率=2370MPa、曲げ強度=39MPa(破断)、引っ張り弾性率=990MPaであり成形体は脆かった。
【0046】
比較例2
実施例1において、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンの代わりに2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン5.768kg(22.50モル)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)の代わりに1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシ−5−イソプロピル−2−メチルフェニル)メタン8.742kg(22.50モル)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。反応後、得られたポリカーボネート樹脂はMw=47200、Tg=146℃であり、添加剤を混練して押し出した後のMw=46000であった。このペレットを実施例1と同一条件で射出成形して得たレプリカ基板の168時間後の吸水率は0.315%、吸水に伴う直径方向の膨張は0.033%であった。280時間後の吸水率、膨張は168時間後と変化が無く、168時間で飽和することが確かめられた。また、曲げ試験片の曲げ弾性率=2310MPa、曲げ強度=43MPa(破断)、引っ張り弾性率=930MPaであり成形体は脆かった。
【0047】
比較例3
実施例1において、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)を用いず、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン10.27kg(45.00モル)を用い、260℃、1Torr以下の条件下で45分撹拌下反応した以外は、実施例1と同様の操作を行った。反応後、得られたポリカーボネート樹脂はMw=40200、Tg=149℃であり、添加剤を混練して押し出した後のMw=39900であった。このペレットを実施例1と同一条件で射出成形して得たレプリカ基板の168時間後の吸水率は0.346%、吸水に伴う直径方向の膨張は0.039%であった。280時間後の吸水率、膨張は168時間後と変化が無く、168時間で飽和することが確かめられた。また、曲げ試験片の曲げ弾性率=2280MPa、曲げ強度=88MPa(降伏)、引っ張り弾性率=920MPaであった。
【0048】
【発明の効果】
本発明により、吸湿に伴う膨張が、ビスフェノールAからなるポリカーボネート樹脂の膨張より小さなポリカーボネート樹脂を得ることができ、極めて有用である。ビスフェノールAからなるポリカーボネート樹脂は吸湿に伴う膨張が大きいため、レプリカ基板に成形した場合、吸湿に伴うそりが大きく青色レーザーに対応して使用することはできないが、本発明により得られたポリカーボネート樹脂は、ビスフェノールAからなるポリカーボネート樹脂に比較して吸湿に伴う膨張率は3/4以下であるため、該光ディスクとした場合のそりは小さくなり、青色レーザーに対応する光ディスクの基板に使用でき、大変有用である。また、力学特性的にも充分な強度を示すので、光ディスクの基板に使用でき有用である。

Claims (2)

  1. 2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン20〜70モル%と4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)80〜30モル%から誘導されるポリカーボネート樹脂であって、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が25,000〜65,000であることを特徴とする光ディスクの基板用ポリカーボネート樹脂。
  2. 光線が透過することのない基板上に形成された情報信号部と、その上方に形成された光透過性の保護層からなる光ディスクにおいて、該基板が請求項1に記載のポリカーボネート樹脂からなる光ディスク用基板。
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