JP2004244554A - 二軸延伸生分解性ポリエステルフィルム及びその製造方法 - Google Patents

二軸延伸生分解性ポリエステルフィルム及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】生分解性に優れ、ヘーズや平行光線透過率の光学特性(透明性)と柔軟性等の機械的物性がバランスした、二軸延伸フィルムを提供する。
【解決手段】分子鎖が、下記一般式(1)、(2)及び(3)で示される繰返し単位:−CO−R−CO−(1)(式中、Rは炭素数1〜12の二価脂肪族基。);−O−R−O−(2)(式中、Rは炭素数2〜12の二価脂肪族基。);−CO−R−O−(3)(式中、Rは炭素数1〜10の二価脂肪族基。)からなり、繰り返し単位(1)及び(2)の量が、それぞれ49.5〜37.5モル%、繰り返し単位(3)の量が、1〜25モル%であり、重量平均分子量が40,000以上である脂肪族ポリエステル共重合体(a)を、面倍率で9倍以上に二軸延伸して、ヘーズが20%以下、平行光線透過率が70%以上およびヤング率が100〜1300MPaの範囲にあるフィルムを得る。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生分解性を有する脂肪族ジカルボン酸残基、脂肪族ジオール残基及び脂肪族ヒドロキシカルボン酸残基に基づくエステル結合を有する特定の脂肪族ポリエステル共重合体を二軸延伸してなる、透明性と柔軟性を兼ね備えた二軸延伸生分解性ポリエステルフィルム及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自然環境中で生分解可能なプラスチックとして、汎用性の高い脂肪族ポリエステルが注目されており、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリエチレンサクシネート(PES)、ポリカプロラクトン(PCL)などが上市されている。
これら生分解性脂肪族ポリエステルの用途の一つとして包装用、農業用、食品用などのフィルム分野があり、用途に応じた高強度、耐熱性および生分解性が、基本性能として要求されている。
【0003】
上記脂肪族ポリエステルの中で、PLAは、延伸あるいは高結晶化させたフィルムあるいは成形品は、高いものでは170℃付近に融点を持ち高耐熱性であるが、硬くあるいは脆いために成形品の伸度は低く、また土中で分解しにくいためコンポスト化設備が必要である。PBSおよびPESは融点が100℃付近で十分な耐熱性を有するが、生分解速度が小さく、実用的には不充分であり、また機械的性質では柔軟性に欠ける。PCLは柔軟性に優れるものの、融点60℃と耐熱性が低いために用途が限定されているが、生分解速度は非常に速い。
このように、脂肪族ポリエステルのホモポリマーでは上記課題を解決するのは困難であるが、例えば特許2997756号公報記載のポリブチレンサクシネート−ポリカプロラクトン共重合体(PBSC)のように、脂肪族ポリエステル共重合体中にカプロラクトンユニットを導入することにより、実用的な柔軟性と適度な生分解性を実現することができ、また、カプロラクトンユニットの含有量を制御することにより、融点を80℃以上として十分な耐熱性を保持することと、生分解性を制御することが可能であることが見出されている(特許文献1)。
【0004】
また、生分解性高分子量脂肪族ポリエステルの改良については、数多くの提案がある。例えば、特開平8−311181号公報には、脂肪族ジカルボン酸又はそのエステルと、脂肪族ジオールと、オキシカルボン酸、オキシカルボン酸エステル又はラクトンを触媒の存在下で重縮合反応させることにより数平均分子量が15,000〜80,000である生分解性高分子量脂肪族ポリエステル共重合体が開示されている(特許文献2)。
しかしながら、上記各技術では、ヘーズや平行光線透過率と柔軟性等の機械的物性をバランスさせた延伸フィルムを得ることは出来なかった。
【0005】
【特許文献1】
特許2997756号公報(請求項1〜3、実施例1〜5)
【特許文献2】
特開平8−311181号公報(請求項、実施例)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、特定の脂肪族ポリエステル共重合体を使用して、生分解性に優れ、ヘーズや平行光線透過率の光学特性(透明性)と柔軟性等の機械的物性がバランスした、二軸延伸フィルムを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、特定の三元共重合脂肪族ポリエステルを、特定の条件で二軸延伸することにより、上記問題を解決できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明の第1は、分子鎖が、下記一般式(1)、(2)及び(3)で示される繰返し単位:
−CO−R−CO− (1)
(式中、Rは炭素数1〜12の二価脂肪族基を表す。)
−O−R−O− (2)
(式中、Rは炭素数2〜12の二価脂肪族基を表す。)
−CO−R−O− (3)
(式中、Rは炭素数1〜10の二価脂肪族基を表す。)
からなり、繰り返し単位(1)及び(2)の量が、それぞれ49.5〜37.5モル%、繰り返し単位(3)の量が、1〜25モル%(ここで、繰り返し単位(1)と(2)の量は実質的に等しく、(1)、(2)及び(3)の量の合計は100モル%である。)であり、重量平均分子量が40,000以上である脂肪族ポリエステル共重合体(a)からなり、ヘーズが20%以下、平行光線透過率が70%以上及びヤング率が100〜1300MPaの範囲にあることを特徴とする二軸延伸生分解性ポリエステルフィルムを提供する。
本発明の第2は、脂肪族ポリエステル共重合体(a)が、該脂肪族ポリエステル共重合体(a)の重合中間体である重量平均分子量5,000以上の低分子量脂肪族ポリエステル共重合体(a’)100重量部に対し、0.1〜5重量部の一般式(7):
−R−X (7)
(式中、X、Xは水酸基またはカルボキシル基と作用して共有結合を形成可能な反応基、Rは単結合、炭素数1〜20の脂肪族基又は芳香族基を表し、X、Xは同一の化学構造であってもよいし、異なってもよい)
で表される2官能性の連結剤(e)を反応させて高分子量化されたものである本発明の第1に記載の二軸延伸生分解性ポリエステルフィルムを提供する。
本発明の第3は、一般式(1)が、コハク酸残基及び/又はアジピン酸残基である本発明の第1又は2に記載の二軸延伸生分解性ポリエステルフィルムを提供する。
本発明の第4は、一般式(2)が、エチレングリコール残基及び/又は1,4−ブタンジオール残基である本発明の第1〜3のいずれか1項に記載の二軸延伸生分解性ポリエステルフィルムを提供する。
本発明の第5は、一般式(3)が、ε−カプロラクトン、4−メチルカプロラクトン、3,5,5−トリメチルカプロラクトン、3,3,5−トリメチルカプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、エナントラクトンからなる群から選ばれた少なくとも1種に基づく基である本発明の第1〜4のいずれか1項に記載の二軸延伸生分解性ポリエステルフィルムを提供する。
本発明の第6は、一般式(7)で表される2官能性の連結剤(e)の反応基がイソシアネート基、イソチオシアネート基、エポキシ基、オキサゾリン基、オキサゾロン基もしくはオキサジノン基、アジリジン基、又はこれらの混合基であることを特徴とする本発明の第2に記載の二軸延伸生分解性ポリエステルフィルムを提供する。
本発明の第7は、本発明の第1〜6のいずれか1項に記載された脂肪族ポリエステル共重合体(a)を、面倍率で9倍以上に、縦横逐次二軸延伸又は同時二軸延伸することを特徴とする二軸延伸生分解性ポリエステルフィルムの製造方法を提供する。
本発明の第8は、縦方向の延伸倍率が3〜6倍及び横方向の延伸倍率が3〜10倍である本発明の第7記載の二軸延伸生分解性ポリエステルフィルムの製造方法を提供する。
本発明の第9は、延伸温度(設定温度)が脂肪族ポリエステル共重合体(a)の融点−30℃〜脂肪族ポリエステル共重合体(a)の融点+20℃である本発明の第7又は8に記載の二軸延伸生分解性ポリエステルフィルムの製造方法を提供する。
本発明の第10は、縦方向の延伸温度が脂肪族ポリエステル共重合体(a)の融点−30℃〜脂肪族ポリエステル共重合体(a)の融点及び横方向の延伸温度が脂肪族ポリエステル共重合体(a)の融点−20℃〜脂肪族ポリエステル共重合体(a)の融点+20℃である本発明の第7又は8に記載の二軸延伸生分解性ポリエステルフィルムの製造方法を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、詳細に説明する。
本発明に係る高分子量脂肪族ポリエステル共重合体(a)は、分子鎖が、下記一般式(1)、(2)及び(3)で示される繰返し単位:
−CO−R−CO− (1)
(式中、Rは炭素数1〜12の二価脂肪族基を表す。)
−O−R−O− (2)
(式中、Rは炭素数2〜12の二価脂肪族基を表す。)
−CO−R−O− (3)
(式中、Rは炭素数1〜10の二価脂肪族基を表す。)
からなり、繰り返し単位(1)及び(2)の量が、それぞれ49.5〜37.5モル%、繰り返し単位(3)の量が、1〜25モル%(繰り返し単位(1)と(2)の量は実質的に等しく、(1)、(2)及び(3)の量の合計は100モル%である)であり、重量平均分子量が40,000以上、通常、70,000〜350,000、好ましくは100,000〜250,000の範囲である。
繰り返し単位(3)の量が1モル%より小さい場合は、得られるポリマーは結晶性が高く柔軟性のない硬いものとなり、さらに生分解性の点でも速度が遅く不十分のものとなる。また、25モル%より大きい場合は、得られるポリマーの融点が低く、さらに結晶性が極端に低下するために耐熱性が無く実用に不向きである。繰返し単位(3)の量は、好ましくは1.5〜15モル%、さらに好ましくは2.5〜12モル%である。
【0010】
本発明に係る高分子量脂肪族ポリエステル共重合体(a)は、また、上記組成からなり、重量平均分子量5,000以上の低分子量脂肪族ポリエステル共重合体(a’)が、該共重合体(a’)100重量部に対し、0.1〜5重量部の一般式(7):
−R−X (7)
(式中、X、Xは水酸基またはカルボキシル基と作用して共有結合を形成可能な反応基、Rは単結合、炭素数1〜20の脂肪族基又は芳香族基を表し、X、Xは同一の化学構造であってもよいし、異なってもよい。)
で表される2官能性の連結剤(e)により連結されて、重量平均分子量が40,000以上となるようにしたものであってもよい。
【0011】
(A)成分
式(1)の脂肪族ジカルボン酸残基を与える(A)成分としては、脂肪族ジカルボン酸、その無水物、又はそのモノまたはジエステル体が挙げられ、下記一般式(4)で表される。
−OCO−R−COO−R (4)
(式中、Rは炭素数1〜12の二価脂肪族基、RおよびRは水素原子、又は炭素数1〜6の脂肪族基もしくは芳香族基を表す。RおよびRは同一でも異なっていてもよい。)
で示される二価脂肪族基としては、好ましくは2〜8の鎖状又は環状のアルキレン基であり、−(CH−、−(CH−、−(CH−等の炭素数2〜6の直鎖状低級アルキレン基が挙げられる。また、Rは反応に不活性な置換基、例えば、アルコキシ基やケト基等を有することができるし、Rは酸素やイオウ等のヘテロ原子を主鎖に含有することができ、例えばエーテル結合、チオエーテル結合等で隔てられた構造を含有することもできる。
【0012】
およびRが水素原子であるときには脂肪族ジカルボン酸を表わす。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、スベリン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、セバシン酸、ジグリコール酸、ケトピメリン酸、マロン酸、メチルマロン酸などが挙げられる。
およびRで示される脂肪族基としては、炭素数1〜6、好ましくは1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基の他、シクロヘキシル基等の炭素数5〜12のシクロアルキル基が挙げられる。
およびRで示される芳香族基としては、フェニル基、ベンジル基等が挙げられる。
中でも、RおよびRは炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜3の低級アルキル基である。このようなジアルキルエステルとしては、例えば、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、グルタル酸ジメチル、グルタル酸ジエチル、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、ピメリン酸ジメチル、アゼライン酸ジメチル、スベリン酸ジメチル、スベリン酸ジエチル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、デカンジカルボン酸ジメチル、ドデカンジカルボン酸ジメチル、ジグリコール酸ジメチル、ケトピメリン酸ジメチル、マロン酸ジメチル、メチルマロン酸ジメチル等が挙げられる。これらのものは単独で用いてもよいし2種以上組合わせて用いてもよい。
【0013】
(B)成分
式(2)の脂肪族ジオール残基を与える(B)成分としては、脂肪族ジオールが挙げられる。
脂肪族ジオールは下記一般式(4’)で表わされる。
HO−R−OH (4’)
(式中、Rは炭素数2〜12の二価脂肪族基を表す。)
二価の脂肪族基としては、炭素数2〜12、好ましくは2〜8の鎖状又は環状のアルキレン基が挙げられる。好ましいアルキレン基は、−(CH−、−(CH−、−(CH−等の炭素数2〜6の直鎖状低級アルキレン基である。また、二価脂肪族基Rは反応に不活性な置換基、例えば、アルコキシ基やケト基等を有することができる。Rは酸素やイオウ等のヘテロ原子を主鎖に含有することができ、例えばエーテル結合、チオエーテル結合等で隔てられた構造を含有することもできる。
脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3‐プロパンジオール、1,2‐プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタメチレングリコール、へキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、ドデカメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、分子量1000以下のポリエチレングリコール等を用いることができる。これらのものは単独でも、2種以上組合せて用いてもよい。さらに1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)プロパン等の三官能アルコールを少量併用してもよい。
【0014】
(C)成分
式(3)の脂肪族ヒドロキシカルボン酸残基を与える(C)成分としては、下記一般式(5)で表されるヒドロキシカルボン酸もしくはヒドロキシカルボン酸エステル、又は下記一般式(6)で表されるラクトン類が挙げられる。
OCO−R−OH (5)
(式中、Rは炭素数1〜10の二価脂肪族基、Rは水素原子または炭素数1〜6の脂肪族基又は芳香族基を表す。)
【0015】
【化1】
Figure 2004244554
【0016】
(式中、Rは炭素数1〜10の二価脂肪族基を表す。)
式(5)で、二価脂肪族基Rとしては、炭素数2〜10、好ましくは2〜8の鎖状又は環状のアルキレン基が挙げられる。また、Rは反応に不活性な置換基、例えば、アルコキシ基やケト基等を有することができる。Rは酸素やイオウ等のヘテロ原子を主鎖に含有することができ、例えばエーテル結合、チオエーテル結合等で隔てられた構造を含有することもできる。
式(5)で、Rは水素、又は脂肪族基もしくは芳香族基である。脂肪族基としては、炭素数1〜6、好ましくは1〜4の直鎖状又は分岐鎖状の低級アルキル基や、シクロヘキシル基等の炭素数5〜12のシクロアルキル基、芳香族基としては、フェニル基、ベンジル基等が挙げられる。
【0017】
ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、グリコール酸、L−乳酸、D−乳酸、D,L−乳酸、2−メチル乳酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−2−メチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、ヒドロキシピバリン酸、ヒドロキシイソカプロン酸、ヒドロキシカプロン酸等を挙げることができる。
前記ヒドロキシカルボン酸はその2分子が結合した環状二量体エステル(ラクチド)であることができる。その具体例としては、グリコール酸から得られるグリコリドや、乳酸から得られるもの等が挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸エステルとしては、例えば、上記ヒドロキシカルボン酸のメチルエステル、エチルエステル等や、酢酸エステル等が挙げられる。
【0018】
ラクトン類としては、前記一般式(6)で表されるものを挙げることができる。
式(6)で、二価脂肪族基Rとしては、炭素数4〜10、好ましくは4〜8の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が挙げられる。また、Rは反応に不活性な置換基、例えば、アルコキシ基やケト基等を有することができる。また、Rは酸素やイオウ等のヘテロ原子を主鎖に含有することができ、例えばエーテル結合、チオエーテル結合等で隔てられた構造を含有することもできる。
ラクトン類の具体例としては、例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、β−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、δ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、4−メチルカプロラクトン、3,5,5−トリメチルカプロラクトン、3,3,5−トリメチルカプロラクトンなどの各種メチル化カプロラクトン;β−メチル−δ−バレロラクトン、エナントラクトン、ラウロラクトン等のヒドロキシカルボン酸の環状1量体エステル;グリコリド、L−ラクチド、D−ラクチド等の上記ヒドロキシカルボン酸の環状2量体エステル;その他、1,3−ジオキソラン−4−オン、1,4−ジオキサン−3−オン、1,5−ジオキセパン−2−オン等の環状エステル−エーテル等を挙げることができる。これらは2種以上のモノマーを混合して使用してもよい。
【0019】
本発明における上記(A)、(B)および(C)の3成分の重合反応によって低分子量脂肪族ポリエステル共重合体(a’)を合成する場合には、合成工程は、使用する原料の種類によって、例えば、前半の脱水反応が主に進行するエステル化工程と、後半のエステル交換反応が主に進行する重縮合工程とに分けることができる。
エステル化工程は80℃〜250℃、好ましくは100℃〜240℃、さらに好ましくは145℃〜230℃の反応温度で、0.5〜5時間、好ましくは1〜4時間、760〜100Torrの条件下で行うことが望ましい。触媒は、必ずしも必要としないが、原料として用いられる脂肪族ジカルボン酸又はジエステル1モルに対して、10−7〜10−3モル、好ましくは10−6〜5×10−4モルの量で用いてもよい。
後半の重縮合工程は、反応系を減圧しながら反応温度を高めて2〜10時間、好ましくは3〜6時間で終了することが望ましく、最終的には180℃〜270℃、好ましくは190℃〜240℃の反応温度で減圧度3Torr以下、好ましくは1Torr以下とすることが望ましい。この工程では、一般的なエステル交換反応触媒を用いる方が好ましく、原料として用いられる脂肪族ジカルボン酸又はジエステル1モルに対して、10−7〜10−3モル、好ましくは10−6〜5×10−4モルの量で用いる。この範囲より触媒量が少なくなると反応がうまく進行せず、反応に長時間を要するようになる。一方、この範囲より多くなると重合時のポリマーの熱分解、架橋、着色等の原因となり、また、ポリマーの成形加工において熱分解等の原因となり好ましくない。
合成工程において、脱水反応が主に進行するエステル化工程と、後半のエステル交換反応が主に進行する重縮合工程との両者において用いることのできる触媒としては、以下のような具体例を挙げることができるが、これらの触媒は単独で用いても、2種以上組合せて用いてもよい。
触媒としては、WO 02−44249号公報に記載のものが使用可能である。
また、必要に応じて前記の3官能以上の多価カルボン酸、多価アルコール、多価ヒドロキシカルボン酸類の原料を用いることもできる。
【0020】
脂肪族ポリエステル共重合体(a)又は(a’)を合成する工程において、原料(A)成分および(B)成分の仕込み比は、以下の条件式(i)に合致するように選択することが望ましい。
1.0≦[B]/[A]≦2.0 (i)
(式中、[A]は(A)成分のモル数、[B]は(B)成分のモル数を表す。)[B]/[A]の値が1より小さいと、所望の分子量の脂肪族ポリエステル共重合体を得ることが難しいだけでなく、生成する脂肪族ポリエステル共重合体のカルボン酸末端の割合が高くなるため加水分解反応を受けやすくなる。また[B]/[A]の値が2より大きくなるにつれて、生成する脂肪族ポリエステル共重合体のカルボン酸末端の割合が小さくなるため、耐加水分解性に優れたものが得られるが、一方、高分子量体を得るために除去すべき(B)成分の量が多くなるために、長時間の反応が必要となる。
本発明では、最終的に実用的なフィルム強度を有する脂肪族ポリエステル共重合体(a)を得るために、溶融状態の低分子量脂肪族ポリエステル共重合体(a’)にジイソシアネート化合物を加えて重量平均分子量を40,000以上に高めるようにしてもよい。
【0021】
重合工程で得られる共重合体(a’)は、重量平均分子量が5,000以上、好ましくは10,000以上であり、酸価と水酸基価の値の合計が1.0から45の間であり、さらに酸価が30以下であることが望ましい。
共重合体(a’)の酸価と水酸基価の値の合計は、共重合体(a’)の末端基の濃度に比例しており、分子量は重量平均分子量が5,000以上の場合、実質上酸価と水酸基価の値の合計は45以下である。酸価と水酸基価の値の合計が45より大きい場合、共重合体(a’)の分子量が低く、連結剤の添加によって所望の分子量まで高めようとするのに、多量の連結剤が必要となる。連結剤の使用量が多い場合には、ゲル化などの問題が生じやすい。酸価と水酸基価の値の合計が1.0以下の場合には、該共重合体(a’)の分子量が高いために溶融状態の粘度が高くなる。この場合は、連結剤の使用量も極少量となるために均一に反応させることが困難で、やはりゲル化などの問題が生じやすい。また、均一に反応させることを目的として溶融温度を上げるとポリマーの熱分解、架橋、着色等の問題が生じる。
本発明に用いる連結剤(e)は前記式(7)によって表される。連結剤(e)の反応基X、及びXとしては、実質上水酸基とのみ反応して共有結合を形成可能な式(9)〜(11):
【0022】
【化2】
Figure 2004244554
【0023】
で表される反応基群及び/又は、実質上カルボキシル基とのみ反応して共有結合を形成可能な一般式(12)〜(15)
【0024】
【化3】
Figure 2004244554
【0025】
で表される3〜8員環の環状反応基群から選ぶことができる。X及びXは同一の化学構造であってもよいし、異なってもよい。
連結剤(e)としては、一連のジイソシアネート化合物のような、WO 02−44249号公報に記載の各種の連結剤が使用可能である。
連結剤(e)の反応基XとXを、実質上水酸基とのみ反応して共有結合を形成可能な前記式(9)〜(11)で表される反応基群から選ぶ場合、前駆体となる低分子量脂肪族ポリエステル共重合体(a’)の酸価は2.0以下、好ましくは1.0以下である。酸価が2.0より大きい場合は、共重合体(a’)の水酸基末端濃度が小さく、連結反応が効率的に行えなかったり、連結反応後、すなわち最終生成物の酸価が大きく、成形加工時の分子量低下が起こり易いなどの問題が生じる。
連結剤(e)の反応基XとXを、実質上カルボキシル基とのみ反応して共有結合を形成可能な前記式(12)〜(15)で表される3〜8員環の環状反応基群から選ぶ場合、共重合体(a’)の酸価は0.5以上30以下であることが好ましい。酸価が0.5より小さい場合は、連結剤の使用量も極少量となるために均一に反応させることが困難となる。酸価が30より大きいと、最終生成物の酸価を低くすることがで出来なかったり、多量の連結剤を用いてゲル化が生じる危険があるなどの問題が生じる。
上記ジイソシアネート化合物としては、好ましくは脂肪族ジイソシアネート化合物であり、具体的にはヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートメチルエステル{OCN−(CH−CH(−NCO)(−COOCH)}、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が例示されるが、中でもヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。またウレタン結合を含む脂肪族ポリエステル共重合体は、重量平均分子量40,000以上、通常70,000〜350,000、好ましくは100,000〜250,000の範囲のものである。
連結剤(e)と低分子量脂肪族ポリエステル共重合体(a’)の反応は、該共重合体(a’)が均一な溶融状態又は少量の溶剤を含有した状態で、容易に攪拌可能な条件下で行われることが望ましい。用いる連結剤(e)の量は、該共重合体(a’)100重量部に対し、0.1〜5重量部であることが望ましい。これより連結剤(e)の量が少ないと、所望の分子量の最終生成物を得ることが困難であり、多いと、ゲル化などの問題が生じやすい。
連結剤(e)を用いて高分子量化する反応は、共重合体(a’)の融点以上で行い、270℃以下、好ましくは250℃以下、さらに好ましくは、230℃以下で行うことができる。この反応は、低分子量脂肪族ポリエステルを製造した反応器に連結剤(e)を添加することにより、重縮合反応と同じ反応器内で実施することができる。また、低分子量脂肪族ポリエステルと連結剤を、通常の押出機あるいはスタティックミキサー等を用いて混合することにより実施することもできる。
【0026】
本発明において、原料(A)成分、(B)成分および(C)成分の仕込み比は以下の条件式(ii’)に合致するように選択することが好ましい。
0.01≦[C]/([A]+[B]+[C])≦0.25 (ii’)
(式中、[A]、[B]、[C]は、それぞれ(A)成分、(B)成分、(C)成分の使用モル数を示す。)
上記式中の[C]/([A]+[B]+[C])は、脂肪族ポリエステル共重合体(a)又は(a’)中に含まれる成分(C)のモル分率を表す。
成分(C)のモル分率は、好ましくは0.015〜0.15、特に好ましくは0.025〜0.10である。
【0027】
本発明に係る高分子量脂肪族ポリエステル共重合体(a)は、重量平均分子量が40,000以上、通常、70,000〜350,000、好ましくは100,000〜250,000の範囲である。また、融点は、通常80℃以上と高く、しかもその融点と分解温度との差は100℃以上と大きく、熱成形も容易である。
本発明に係る脂肪族ポリエステル共重合体において、特に、前記一般式(1)におけるRおよびRが(CHまたは(CHで、Rが(CHであるものは、融点が高くかつ結晶性の高いものである。
前記本発明に使用される脂肪族ポリエステル共重合体において、特に、前記一般式(1)におけるRおよびRが(CHまたは(CHで、Rが(CHであるものは、融点が高くかつ結晶性の高いものである。
【0028】
樹脂添加剤
樹脂添加剤としては可塑剤、熱安定剤、滑剤、ブロッキング防止剤、核剤、光分解剤、生分解促進剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、帯電防止剤、難燃剤、流滴剤、抗菌剤、防臭剤、充填材、着色剤、又はこれらの混合物が挙げられる。
可塑剤としては、脂肪族二塩基酸エステル、フタル酸エステル、ヒドロキシ多価カルボン酸エステル、ポリエステル系可塑剤、脂肪酸エステル、エポキシ系可塑剤、又はこれらの混合物が例示される。具体的には、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOP)、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ジイソデシル(DIDP)等のフタル酸エステル、アジピン酸−ジ−2−エチルヘキシル(DOA)、アジピン酸ジイソデシル(DIDA)等のアジピン酸エステル、アゼライン酸−ジ−2−エチルヘキシル(DOZ)等のアゼライン酸エステル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル、アセチルクエン酸トリブチル等のヒドロキシ多価カルボン酸エステル、ポリプロピレングリコールアジピン酸エステル等のポリエステル系可塑剤であり、これらは一種または二種以上の混合物で用いられる。
これら可塑剤の添加量としては、共重合体100重量部に対して、5〜15重量部の範囲が好ましい。5重量部未満であると、破断伸びや衝撃強度が低くなり、また15重量部を超えると、破断強度や衝撃強度の低下を招く場合がある。
熱安定剤としては、脂肪族カルボン酸塩がある。脂肪族カルボン酸としては、特に脂肪族ヒドロキシカルボン酸が好ましい。脂肪族ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、ヒドロキシ酪酸等の天然に存在するものが好ましい。
塩としては、ナトリウム、カルシウム、アルミニウム、バリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、亜鉛、鉛、銀、銅等の塩が挙げられる。これらは、一種または二種以上の混合物として用いることができる。
添加量としては、共重合体100重量部に対して、0.5〜10重量部の範囲である。上記範囲で熱安定剤を用いると、衝撃強度が向上し、破断伸び、破断強度、衝撃強度のばらつきが小さくなる効果がある。
滑剤としては、内部滑剤、外部滑剤として一般に用いられるものが使用可能である。例えば、脂肪酸エステル、炭化水素樹脂、パラフィン、高級脂肪酸、オキシ脂肪酸、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド、脂肪族ケトン、脂肪酸低級アルコールエステル、脂肪酸多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステル、脂肪族アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリクリセロール、金属石鹸、変性シリコーンまたはこれらの混合物が挙げられる。好ましくは、脂肪酸エステル、炭化水素樹脂等が挙げられる。
滑剤を選択する場合には、脂肪族ポリエステル共重合体(a)の融点に応じて、その融点以下の滑剤を選択する必要がある。例えば、脂肪族ポリエステル共重合体の融点を考慮して、脂肪酸アミドとしては160℃以下の脂肪酸アミドが選ばれる。
配合量は、フィルムを例にとると、樹脂100重量部に対し、滑剤を0.05〜5重量部を添加する。0.05重量部未満であると効果が充分でなく、5重量部を超えるとロールに巻きつかなくなり、物性も低下する。
フィルム用としては、環境汚染を防止する観点から、安全性が高く、且つFDA(米国食品医薬品局)に登録されているエチレンビスステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミドが好ましい。
上記光分解促進剤としては、例えば、ベンゾイン類、ベンゾインアルキルエーテル類、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノンとその誘導体;アセトフェノン、α,α−ジエトキシアセトフェノンなどのアセトフェノンとその誘導体;キノン類;チオキサントン類;フタロシアニンなどの光励起材、アナターゼ型酸化チタン、エチレン−ー酸化炭素共重合体、芳香族ケトンと金属塩との増感剤などが例示される。これらの光分解促進剤は、1種又は2種以上併用できる。
上記生分解促進剤には、例えば、オキソ酸(例えば、グリコール酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸などの炭素数2〜6程度のオキソ酸)、飽和ジカルボン酸(例えば、修酸、マロン酸、コハク酸、無水コハク酸、グルタル酸などの炭素数2〜6程度の低級飽和ジカルボン酸など)などの有機酸;これらの有機酸と炭素数1〜4程度のアルコールとの低級アルキルエステルが含まれる。好ましい生分解促進剤には、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸などの炭素数2〜6程度の有機酸、及び椰子殻活性炭等が含まれる。これらの生分解促進剤は1種又は2種以上併用できる。
上記充填剤(増量剤、ブロッキング防止剤を含む)としては、種々の充填剤、例えば前記の炭酸カルシウムやタルクの他に、マイカ、珪酸カルシウム、微粉末シリカ(無水物)、ホワイトカーボン(含水物)、石綿、陶土(焼成)、麦飯石、各種の酸化チタン、ガラス繊維等の無機充填剤や、天然素材の粒子等の有機充填剤を挙げることができる。
ブロッキングを防止する場合には、粒子径は0.1〜7μmのものが好ましい。
無機充填剤としての微粉末シリカは、湿式法でつくられたシリカや、四塩化ケイ素の酸水素焔中での高温加水分解により製造されたシリカでもよいが、粒径が50nm以下のものが好ましい。
【0029】
脂肪族ポリエステル共重合体(a)及び必要に応じて加えられる樹脂添加剤との混練方法は、一般的な方法が好ましく使用でき、具体的には原料樹脂ペレットや粉体、固体の細片等をヘンシェルミキサーやリボンミキサーで乾式混合し、単軸や2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロールなどの公知の溶融混合機に供給して溶融混練することができる。
【0030】
本発明の二軸延伸生分解性ポリエステルフィルムの厚みは用途に応じて種々決定され得るが、通常は、厚みが5〜100μm、好ましくは10〜30μmにある。
本発明の二軸延伸生分解性ポリエステルフィルムは、上記脂肪族ポリエステル共重合体(a)をチューブラー法又はフラット法により二軸延伸成形して得られる。二軸延伸は同時二軸延伸でも逐次二軸延伸でもよい。
二軸延伸生分解性ポリエステルフィルムの延伸倍率は、通常面倍率で9倍以上、好ましくは12〜60倍の範囲にある。面倍率が9倍未満では、フィルムに未延伸部が残るおそれがある。逐次二軸延伸の場合は、縦方向(MD)の延伸倍率は通常3〜6倍、好ましくは3〜5倍、横方向(TD)の延伸倍率は通常3〜10倍、好ましくは5〜8倍の範囲にある。縦方向の延伸倍率が3倍未満では、得られるフィルムに未延伸部が残るおそれがあり、一方、6倍を超えると横方向に延伸する際に、フィルムが裂ける場合がある。
延伸温度(設定温度)は、逐次二軸延伸の場合は、通常、縦方向をロールで延伸を行う場合は、脂肪族ポリエステル共重合体(a)の融点−30℃〜脂肪族ポリエステル共重合体(a)の融点、好ましくは脂肪族ポリエステル共重合体(a)の融点−20℃〜脂肪族ポリエステル共重合体(a)の融点−10℃であり、横方向をテンター内で延伸を行う場合は、脂肪族ポリエステル共重合体(a)の融点−20℃〜脂肪族ポリエステル共重合体(a)+20℃、好ましくは脂肪族ポリエステル共重合体(a)の融点−10℃〜脂肪族ポリエステル共重合体(a)融点+10℃の範囲にある。
又、同時二軸延伸を行う場合は、通常、脂肪族ポリエステル共重合体(a)の融点−30℃〜脂肪族ポリエステル共重合体(a)の融点+20℃、好ましくは脂肪族ポリエステル共重合体(a)の融点−10℃〜脂肪族ポリエステル共重合体(a)の融点+10℃の範囲にある。
【0031】
本発明の二軸延伸生分解性ポリエステルフィルムは、光学特性として、ヘーズ(HZ)が20%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、及び平行光線透過率(PLT)が70%以上、好ましくは75%以上、より好ましくは85%以上のものである。
本発明の二軸延伸生分解性ポリエステルフィルムは、特に柔軟性としてヤング率が、100〜1300MPa、好ましくは200〜1000MPa、さらに好ましくは300〜800MPaのものである。
【0032】
本発明の二軸延伸生分解性ポリエステルフィルムは、従来のポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリエチレンサクシネート(PES)、ポリカプロラクトン(PCL)などの生分解性ポリエステルからは得られない、柔軟性と透明性を同時に満たしている。
本発明のフィルムは、かかる特徴を活かして、シート、フィルム、テープ等の用途に使用され、例えば食品用としては青果物、米菓、スナック、冷菓、ラーメン袋、パン、おにぎり等、繊維用としてはアンダーウエア、ストッキング、ソックス等の衣類、またその他の用途として衣料品、トイレタリー品等の包装袋及び溶断シール袋;宅配物及び郵便物搬送用のラッピング包装体;精密部品、パソコン、家電製品、車シート等の保護フィルム等に用いることができる。また従来軟質塩ビやポリエチレンフィルム等が用いられてきた農業用フィルム、特に農業用マルチ(防草)フィルム、植生フィルム、ベタ掛けフィルム、根巻きシート;壁紙、マーキングフィルム、インテリアフィルム等の建材用途、排水シート、養生シート、緩衝シート、緩衝材等の土木・建築用途、及びテーブルクロス、分解性ゴミ袋、水切り袋、孔あきフィルムのような家庭用雑貨にも用いることができる。
本発明の二軸延伸生分解性ポリエステルフィルムは、単層でも用いられるが、他の基材との積層体であってもよい。
【0033】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0034】
本発明における各種測定方法は以下の通りである。
(1)重量平均分子量:GPCにより測定し、標準ポリスチレン換算で求めた。
(2)ヘーズ(HZ)及び平行光線透過率(PLT):二軸延伸生分解性ポリエステルフィルムの両表面を傷つけないように、木綿布で拭って美麗にした後、日本電色工業社製ヘイズメーター300Aを用いて、ヘイズ(HZ:%)及び平行光線透過率(PT:%)を測定した。測定値は5回の平均値である。
(3)機械的物性:試験片として、フィルムからMD方向又はTD方向の短冊状フィルム片(長さ150mm、幅15mm)を採取して、チャック間距離100mmで、引張試験を行い、降伏点及び破断点における強度(MPa)、伸度(%)、ヤング率(MPa)を求めた。なお、伸度(%)はチャック間距離の変化とした。
なお、測定条件は以下の通りであり、測定値は5回の平均値である。
使用機器:オリエンテック社製テンシロン万能試験機RTC−1225
クロスヘッドスピード:300mm/分(但し、ヤング率の測定は5mm/分で行った。)
(4)衝撃強度:東洋精機製作所製のフィルムインパクトテスターに半球直径=1/2インチの衝撃頭を取り付けて衝撃強度(J)を測定した。
【0035】
フィルム原料
脂肪族ポリエステル共重合体(a)
ブタンジオール−コハク酸−カプロラクトン三元共重合体として、下記の樹脂を使用した。
ダイセル化学工業(株)社製PCBS−1(ε−カプロラクトン2.7モル%、Mw20.8万、MFR(190℃)1.8、Tm108℃、生分解性良好)、
同PCBS−2(ε−カプロラクトン4モル%、Mw22万、MFR(190℃)0.9、Tm104℃、生分解性良好)、
同PCBS−3(ε−カプロラクトン4.6モル%、Mw22万、MFR(190℃)0.9、Tm102℃、生分解性良好)
【0036】
[実施例1〜5]
上記脂肪族ポリエステル共重合体(a)を用い、連続二軸延伸機(ブルックナー社製、逐次二軸延伸機(65mmφ))で、表1記載の条件で、各々二軸延伸フィルムを得た。フィルムの評価結果を表1に示す。
本発明の二軸延伸フィルムは、ヘーズおよび平行光線透過率が非常に優れ、且つ柔軟性を有する。
【0037】
[実施例6,7]
脂肪族ポリエステル共重合体(a)としてPCBS−2を用い、先端にT−ダイを具備した40mmφのフィルム成形機を用いて厚さ300μmの無延伸フィルムを得た。ついで、該無延伸フィルムから10cm×10cmの試験片を採取し、二軸延伸機(東洋精機製作所製、ヘビー型、パンタグラフ式二軸延伸試験装置)で表1記載の条件で同時二軸延伸を行い、二軸延伸フィルムを得た。フィルムの評価結果を表1に示す。
【0038】
[比較例1]
脂肪族ポリエステル共重合体(a)としてPCBS−2を用い、先端にT−ダイを具備した40mmφのフィルム成形機を用いて厚さ300μmの無延伸フィルムを得た。ついで、該無延伸フィルムから10cm×10cmの試験片を採取し、二軸延伸機(東洋精機製作所製、ヘビー型、パンタグラフ式二軸延伸試験装置)で表1記載の条件で同時二軸延伸を行い、二軸延伸フィルムを得た。フィルムの評価結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
Figure 2004244554
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、機械的物性、生分解性、ヘーズや光線透過率等の光学特性に優れ且つ柔軟性を有する二軸延伸フィルムが得られる。

Claims (10)

  1. 分子鎖が、下記一般式(1)、(2)及び(3)で示される繰返し単位:
    −CO−R−CO− (1)
    (式中、Rは炭素数1〜12の二価脂肪族基を表す。)
    −O−R−O− (2)
    (式中、Rは炭素数2〜12の二価脂肪族基を表す。)
    −CO−R−O− (3)
    (式中、Rは炭素数1〜10の二価脂肪族基を表す。)
    からなり、繰り返し単位(1)及び(2)の量が、それぞれ49.5〜37.5モル%、繰り返し単位(3)の量が、1〜25モル%(ここで、繰り返し単位(1)と(2)の量は実質的に等しく、(1)、(2)及び(3)の量の合計は100モル%である。)であり、重量平均分子量が40,000以上である脂肪族ポリエステル共重合体(a)からなり、ヘーズが20%以下、平行光線透過率が70%以上およびヤング率が100〜1300MPaの範囲にあることを特徴とする二軸延伸生分解性ポリエステルフィルム。
  2. 脂肪族ポリエステル共重合体(a)が、該脂肪族ポリエステル共重合体(a)の重合中間体である重量平均分子量5,000以上の低分子量脂肪族ポリエステル共重合体(a’)100重量部に対し、0.1〜5重量部の一般式(7):
    −R−X (7)
    (式中、X、Xは水酸基またはカルボキシル基と作用して共有結合を形成可能な反応基、Rは単結合、炭素数1〜20の脂肪族基又は芳香族基を表し、X、Xは同一の化学構造であってもよいし、異なってもよい)
    で表される2官能性の連結剤(e)を反応させて高分子量化されたものである請求項1に記載の二軸延伸生分解性ポリエステルフィルム。
  3. 一般式(1)が、コハク酸残基及び/又はアジピン酸残基である請求項1又は2に記載の二軸延伸生分解性ポリエステルフィルム。
  4. 一般式(2)が、エチレングリコール残基及び/又は1,4−ブタンジオール残基である請求項1〜3のいずれか1項に記載の二軸延伸生分解性ポリエステルフィルム。
  5. 一般式(3)が、ε−カプロラクトン、4−メチルカプロラクトン、3,5,5−トリメチルカプロラクトン、3,3,5−トリメチルカプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、エナントラクトンからなる群から選ばれた少なくとも1種に基づく基である請求項1〜4のいずれか1項に記載の二軸延伸生分解性ポリエステルフィルム。
  6. 一般式(7)で表される2官能性の連結剤(e)の反応基がイソシアネート基、イソチオシアネート基、エポキシ基、オキサゾリン基、オキサゾロン基もしくはオキサジノン基、アジリジン基、又はこれらの混合基であることを特徴とする請求項2に記載の二軸延伸生分解性ポリエステルフィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載された脂肪族ポリエステル共重合体(a)を、面倍率で9倍以上に、縦横逐次二軸延伸又は同時二軸延伸することを特徴とする二軸延伸生分解性ポリエステルフィルムの製造方法。
  8. 縦方向の延伸倍率が3〜6倍及び横方向の延伸倍率が3〜10倍である請求項7記載の二軸延伸生分解性ポリエステルフィルムの製造方法。
  9. 延伸温度(設定温度)が脂肪族ポリエステル共重合体(a)の融点−30℃〜脂肪族ポリエステル共重合体(a)の融点+20℃である請求項7又は8に記載の二軸延伸生分解性ポリエステルフィルムの製造方法。
  10. 縦方向の延伸温度が脂肪族ポリエステル共重合体(a)の融点−30℃〜脂肪族ポリエステル共重合体(a)の融点及び横方向の延伸温度が脂肪族ポリエステル共重合体(a)の融点−20℃〜脂肪族ポリエステル共重合体(a)の融点+20℃である請求項7又は8に記載の二軸延伸生分解性ポリエステルフィルムの製造方法。
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