JP2004244450A - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents

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Shinya Nishimura
真也 西村
Katsuyoshi Ishida
克義 石田
Tomohisa Watanabe
知久 渡辺
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Fujikura Ltd
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Fujikura Ltd
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Abstract

【課題】本発明は、合成レザーなどとして使用される難燃性に優れた難燃性樹脂組成物を提供するものである。
【解決手段】かゝる本発明は、アクリルゴム系樹脂100重量部に対して、難燃剤のメラミンシアヌレート化合物60〜180重量部添加してなる難燃性樹脂組成物にあり、アクリルゴム系樹脂の弾性体による、適度の柔軟性と伸びが得られると共に、アクリルゴム系樹脂自体及びメラミンシアヌレート化合物の難燃機能により、優れた難燃性も得ることができる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成レザー材料などとして使用される難燃性に優れた難燃性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、自動車などの内装などに使用される合成レザー材料としては、ポリ塩化ビニル(PVC)や熱可塑性エラストマー(TPE)が用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、こような従来の合成レザー材料にあっては、次のような問題点があった。(1)先ず、PVCでは、分解の際に塩素や塩素系の物質を発生するため、その処理が難しかった。(2)また、PVCの場合、そのリサイクルにおいて、脱塩化水素の分解を起こすため、環境を汚染するなどの問題があった。(3)さらに、PVCは延焼すると、塩化水素を発生し、やはり環境を汚染するという問題があった。(4)また、PVCでは、可塑剤としてフタル酸エステルを用いるが、この物質が環境ホルモンとしての疑いがあり、埋め立て処理などを行った場合、土壌汚染を招くなどの問題があった。(5)また、安定剤として鉛が使用された場合、やはり埋め立て処理などを行う場合、土壌汚染を招くなどの問題があった。(6)一方、TPEでは、難燃化を行った場合、物性が低下したり、加工性が低下するなどの問題があった。
【0004】
そこで、本発明者等は、合成レザーのベース材料として、PVCやTPE以外の別の樹脂材料に着目すると共に、その採用した樹脂材料に対して、難燃剤として、メラミンシアヌレート化合物を使用することを着想した。そして、実際に、アクリルゴム系樹脂や、これとポリオレフィン系樹脂の混和物、さらにポリスチレン系エラストマーの混和物を採用し、これに、所定量のメラミンシアヌレート化合物を添加したことろ、合成レザー材料として必要とされる、適度の柔軟性と伸びが得られ、かつ、高い難燃性が得られることも見い出した。特に、メラミンシアヌレート化合物は、難燃剤として、燃焼時内部からガスを発生して消火機能を果たすものと考えられる(例えば特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−42552号公報 4頁、段落番号0015
【0006】
本発明は、このような本発明者等の独自の着想とその後の試験結果によりなされたもので、合成レザー材料などとして使用された場合、適度の柔軟性と伸び、及び高い難燃性を呈するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明は、アクリルゴム系樹脂100重量部に対して、難燃剤のメラミンシアヌレート化合物60〜180重量部添加してなることを特徴とする難燃性樹脂組成物にある。
【0008】
請求項2記載の本発明は、アクリルゴム系樹脂とポリオレフィン系樹脂の混和物100重量部に対して、難燃剤のメラミンシアヌレート化合物60〜180重量部添加してなることを特徴とする難燃性樹脂組成物にある。
【0009】
請求項3記載の本発明は、アクリルゴム系樹脂とポリスチレン系エラストマーの混和物100重量部に対して、難燃剤のメラミンシアヌレート化合物60〜180重量部添加してなることを特徴とする難燃性樹脂組成物にある。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明で用いるアクリルゴム系樹脂(ACM)というのは、アクリル酸アルキルエステルを主成分とする弾性体の総称であって、種々の組成のものが提供されている。これらの材料を、例えば、合成レザー材料のベース樹脂成分として捉えた場合、その弾性特性から、当然適度の柔軟性と伸びが得られ、また、以下のように、難燃性についても、優れた特性が得られる。
【0011】
例えば、アクリルゴム系樹脂として、エチレンとアクリル酸アルキルとカルボキシル基を側鎖に有する不飽和炭化水素との3元系のアクリルゴムや、エチレンとアクリル酸アルキルとの2元系のアクリルゴムなどがあるが、3元系のアクリルゴムの場合、燃焼時に表面に炭化層が形成されるため、この炭化層によって、所定の難燃機能が得られる。また、2元系のアクリルゴムの場合でも、燃焼時に内部に発泡層ができると推測され、この発泡層による熱遮断作用により、難燃機能の向上が期待できる。勿論、これらを併用することもできる。併用すれば、上記炭化層と発泡層の相乗効果により、より良好な難燃機能が得られる。
【0012】
本発明では、このアクリルゴム系樹脂に対して、より高い難燃性を得るため、メラミンシアヌレート化合物を、難燃剤として、添加する。このメラミンシアヌレート化合物の難燃機能としては、上記したように、燃焼時に内部からガスを発することで、消火作用を呈するものと推測される。
【0013】
このメラミンシアヌレート化合物の添加量は、ベース樹脂である、アクリルゴム系樹脂100重量部に対して、60〜180重量部添加することが必要とされる。その理由は、60重量部未満の添加では、所望の難燃性が得られず、逆に、180重量部を越える添加では、伸びが低下するようになるからである。
【0014】
本発明では、アクリルゴム系樹脂を、上記のように、単独のベース樹脂としてもよいが、他の樹脂と混和することもできる。この混和樹脂としては、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、スチレンエチレンエチレンポリプロピレンスチレン共重合体(SEEPS)などのポリスチレン系エラストマーなどを挙げることができる。ここで、ポリプロピレンを混和すると、アクリルゴム系樹脂部分を未架橋で用いても、この混和により強靱性や耐熱性を付与することができる。また、アクリルゴム系樹脂部分を架橋させる場合でも、ポリプロピレン部分が架橋しないような製造方法、架橋剤を選ぶことで、熱可塑性樹脂として使用可能となるなどの利点が得られる。また、ポリスチレン系エラストマーを混和する場合も、上記ポリプロピレンの場合と同様のことが言える。さらに、ポリスチレン系エラストマーの混和では、ポリプロピレンの混和に比べて、耐熱性の点では低くなるが、柔軟でより強靱な樹脂組成物が得られる。
【0015】
これらの混和物において、アクリルゴム系樹脂とポリプロピレンとの配合比としては、70/30程度が好ましい。その理由は、ポリプロピレンの混和量が多くなると(30を越えるようになると、例えば40では)、柔軟性が大きくなる過ぎると同時に、伸びも低下するようになるからである。また、アクリルゴム系樹脂とポリスチレン系エラストマーとの配合比としては、30/70程度が好ましい。その理由は、ポリスチレン系エラストマーの混和量が多くなると(70を越えるようになると、例えば80では)、やはり柔軟性が大きくなる過ぎると同時に、伸びも低下するようになるからである。
【0016】
本発明の樹脂組成物には、上記成分材料の他に、必要により、他の材料を適宜添加することができる。例えば、脂肪酸、脂肪酸金属塩、低分子量ワックス、シリコン化合物などの加工助剤、滑剤、分散剤、酸化防止剤、金属不活性剤、カップリング材、酸変性ポマリなどである。さらに、難燃性を促進するものとして、ヒドロキシ錫酸亜鉛、ホウ酸亜鉛、赤リンなどの難燃助剤を添加することもできる。
【0017】
〈実施例、比較例〉
表1〜4に示した配合からなる、本発明の難燃性樹脂組成物(実施例1〜27)と、本発明の条件を欠く樹脂組成物(比較例1〜12)により、サンプル材料をシート状(シート厚1mm)に成形した。ここで、アクリルゴム系樹脂としてはエチレンアクリルゴム1〜3を使用した。エチレンアクリルゴム1はデンカER5300(電気化学工業社製)、エチレンアクリルゴム2はベイマックD(三井・デュポンポリケミカル社製)、エチレンアクリルゴム3はベイマックG(三井・デュポンポリケミカル社製)である。ポリスチレン系エラストマーとしてはスチレンエチレンエチレンポリプロピレンスチレン共重合体(SEEPS)を使用した。メラミンシアヌレート化合物としてはMC−610(日産化学工業社製)を使用した。
【0018】
これらのサンプル材料について、柔軟性、引張伸び、難燃性の評価を行った。なお、柔軟性については、ショアD硬度が40以下のものを合格とし、40を越えるものを不合格とした。引張伸びについては、JIS−C3005に準拠した試験を行い、300%以上のものを合格とし、300%未満のものを不合格とした。難燃性にあっては、UL94規格による垂直燃焼試験によりを行い、1mm厚さのシートで、V−0を達成するものを合格とし、それ以外ものものを不合格とした。
【0019】
【表1】
Figure 2004244450
【0020】
【表2】
Figure 2004244450
【0021】
【表3】
Figure 2004244450
【0022】
【表4】
Figure 2004244450
【0023】
上記表1〜3から、本発明の難燃性樹脂組成物(実施例1〜27)にあっては、すべての特性、即ち柔軟性、引張伸び、難燃性について、良好な結果が得られていることが判る。これに対して、本発明の要件を欠く比較例1〜12では、いずれかの特性において問題があることが判る。
【0024】
つまり、比較例1〜3では、メラミンシアヌレート化合物の添加量が少な過ぎるため、難燃性が不十分であることが判る。比較例4〜6では、メラミンシアヌレート化合物の添加量が多過ぎるため、引張伸びが不良であることが判る。比較例7〜9では、ポリオレフィン系樹脂であるポリプロピレンの添加量が多過ぎるため、柔軟性及び引張伸びで不良であることが判る。比較例10〜12では、ポリスチレン系エラストマーの添加量が多過ぎるため、やはり柔軟性及び引張伸びで不良であることが判る。
【0025】
なお、上記の説明では、本発明の難燃性樹脂組成物の用途として自動車などの内装に使用される合成レザー材料としてあるが、本発明はこれに限定されるものではない。同種の条件が求められる他の用途にも勿論使用することができる。
【0026】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によると、ベース樹脂として、アクリルゴム系樹脂、これとポリオレフィン系樹脂の混和物、さらにポリスチレン系エラストマーの混和物を採用し、これに、所定量のメラミンシアヌレート化合物を添加してなり、この組成により、適度の柔軟性と伸びが得られ、かつ、高い難燃性も得られる。したがって、自動車などの内装などに使用される合成レザー材料として、最適の難燃性樹脂組成物を提供することができる。勿論、従来のPVCの使用に伴う種々の問題は、根本的に解消される。

Claims (3)

  1. アクリルゴム系樹脂100重量部に対して、難燃剤のメラミンシアヌレート化合物60〜180重量部添加してなることを特徴とする難燃性樹脂組成物。
  2. アクリルゴム系樹脂とポリオレフィン系樹脂の混和物100重量部に対して、難燃剤のメラミンシアヌレート化合物60〜180重量部添加してなることを特徴とする難燃性樹脂組成物。
  3. アクリルゴム系樹脂とポリスチレン系エラストマーの混和物100重量部に対して、難燃剤のメラミンシアヌレート化合物60〜180重量部添加してなることを特徴とする難燃性樹脂組成物。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015218410A (ja) * 2014-05-20 2015-12-07 コニシ株式会社 エアバッグ用基布

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