JP2004243232A - 塗工装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】アプリケータロールに形成される塗工液の液膜の状態を長期間良好な状態に保つことができ、装置を簡単かつ安価に製造することができる塗工装置を提供する。
【解決手段】製紙工程において、抄紙機から搬送される一続きの原紙Pの表面に塗工液Lを塗布するための装置であって、装置が、表面に塗工液Lの液膜が形成され、その液膜を原紙に転写するアプリケータロール2と、アプリケータロール2の表面に形成される塗工液Lの液膜を調整する膜厚調整部Aとを備えており、膜厚調整部Aが、アプリケータロール2の回転軸と平行な回転軸を有するロッド3と、ロッド3とアプリケータロール2の間に塗工液Lを供給する塗工液供給手段を備えており、ロッド3が、その内部に、冷却水を流すための冷却水通路3hを備えている。
【選択図】 図1
【解決手段】製紙工程において、抄紙機から搬送される一続きの原紙Pの表面に塗工液Lを塗布するための装置であって、装置が、表面に塗工液Lの液膜が形成され、その液膜を原紙に転写するアプリケータロール2と、アプリケータロール2の表面に形成される塗工液Lの液膜を調整する膜厚調整部Aとを備えており、膜厚調整部Aが、アプリケータロール2の回転軸と平行な回転軸を有するロッド3と、ロッド3とアプリケータロール2の間に塗工液Lを供給する塗工液供給手段を備えており、ロッド3が、その内部に、冷却水を流すための冷却水通路3hを備えている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗工装置に関する。製紙機械において、紙やフィルムの美麗性や印刷適性を向上させるために、塗工装置によって原紙の表面に塗工液が塗布される。塗工装置には、ブレードコータ方式やロールコータ方式、アプリケータロールを使用したロッドメタリング方式等があるが、ロッドメタリング方式の場合には、アプリケータロールの表面に塗工液の液膜を形成しこの液膜を原紙に転写することによって塗工液が塗布される。アプリケータロールを使用して塗工液を塗布する塗工装置では、塗工紙の品質は、アプリケータロールの表面に形成される塗工液の液膜の厚さの影響を受けるので、塗工装置には液膜厚さを正確に調整するために膜厚調整部が設けられる。本発明はかかる膜厚調整部を備えた塗工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図2は(A)一般的な塗工装置1の概略説明図であり、(B)従来の膜厚調整部Aの概略説明図である。同図において、符号Pは塗工される原紙を示している。この原紙Pは、図示しない抄紙機から連続紙として送られており、塗工装置1によって塗工液が塗布された後、次工程に搬送される。
図2に示すように、塗工装置1は、前記原紙Pを挟む一対のアプリケータロール2,2を備えており、この一対のアプリケータロール2,2の表面には、それぞれ膜厚調整部A によって所定の厚さの塗工液Lの液膜が形成されている。このため、原紙Pが一対のアプリケータロール2,2によって挟まれると、その両面に塗工液Lが転写されるから、原紙Pを塗工紙Tに加工することができる。
【0003】
図2(B)に示すように、ロッドメタリング式の膜厚調整部Aの場合、アプリケータロール2に並設され、調整部Aのケーシング101 によって回転可能に保持され、図示しない駆動装置によって回転されるロッド103 を備えている。そして、ロッド103 とケーシング101 、アプリケータロール2によって囲まれた部分に、外部から配管104 を通して供給された塗工液をためておくための液溜部Bが設けられている。
このため、アプリケータロール2が図中aの方向に回転すると、アプリケータロール2の回転にともなって塗工液がアプリケータロール2とロッド103 との間に形成されるニップ部に供給される。すると、アプリケータロール2とロッド103 の間の間隔wの厚さの液膜がアプリケータロール2の表面に形成されるから、両者の間の間隔を正確に調整すれば、所望の厚さの液膜をアプリケータロール2の表面に形成することができる。
【0004】
ところで、このロッド103 の表面に汚れが付着すると、アプリケータロール2に形成される液膜の厚さが不均一となったり、アプリケータロール2の表面に設けられているゴムや樹脂等のカバー材に損傷を与える原因となり、塗工欠陥が生じてしまう。このようなロッド103 の表面の汚れは、ロッド103 の表面にクロムメッキ仕上げ等の耐磨耗性を考慮した処理によって防ぐことができるが、塗工作業の作業時間が長くなると塗工液Lの水分が蒸発して乾燥してしまう。すると、乾燥した塗工液Lがロッド103 の表面に付着してしまい、アプリケータロール2に形成される液膜の厚さが不均一となる可能性があるし、乾燥して固まった塗工液Lがアプリケータロール2の表面に形成された塗工液Lの膜内に混在し、そのまま原紙pに転写される可能性もある。また、ロッド103 とケーシング101 の間に入り込みケーシングを磨耗させてしまうこともある。
【0005】
このような問題を防ぐ技術として、特許文献1〜3(従来例1〜3)に示す技術がある。
従来例1の技術は、ロッド103 の上部にアプリケータロール2とロッド103 が近接する部分に蒸気を吹き付けるようにしたものであり、蒸気によってロッド103 の表面に結露させてその表面を湿った状態に保つことができるので、乾燥した塗工液Lがロッド103 の表面に付着することを防ぐことができる。
従来例2の技術は、ロッド103 の表面に、塗工液Lに対する剥離性を有する液体の膜を形成させるものであり、この液体の膜によって乾燥した塗工液Lがロッド103 の表面に付着することを防ぐことができる。
従来例3の技術は、ロッド103 の表面に塗工液の付着を防止するための特殊なコーティングを施してたものであり、このコーティング層を設けているので、乾燥した塗工液Lがロッド103 の表面に付着することを防ぐことができる。
【特許文献1】
特開平8−134798号公報
【特許文献2】
特開2002−113404号公報
【特許文献3】
特開2002−239431号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、従来例1の技術は、蒸気によってロッド103 やその他の周辺機器が高温となるため、アプリケータロール表面のカバー材の寿命が短くなったり、作業者がロッド部分に接近するのが困難になりロッドや塗工状態の点検をすることができない等の問題が生じる。しかも、蒸気は、蒸気を噴出する孔が形成されたパイプ等によって供給されるが、その蒸気の一部はパイプ等水滴となって付着するため、その水滴がロッド103 などに落下すれば、アプリケータロール2の表面に形成される塗工液の液膜に影響を与え、塗工品質を低下させる可能性があるという問題がある。
また、従来例2の技術は、ロッド103 の表面に剥離性を有する液体の液膜を形成させる機構を膜厚調整部Aに設けなければならず、装置の構造が複雑になるし、特殊な液体を使用するためその費用も高くなり、ランニングコストも高くなるという問題がある。
さらに、従来例3の技術は、膜厚調整部Aは一般的な構造を使用できるが、ロッド103 の表面に特殊なコーティングを施すため、ロッド103 自体のコストが高くなるし、コーティング層が損傷すればアプリケータロール2表面に形成される塗工液の液膜に影響を与えるため、ロッド103 のメンテナンスを頻繁に行う必要があるし、ロッド103 自体が高価であるためランニングコストも高くなるという問題がある。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑み、アプリケータロールに形成される塗工液の液膜の状態を長期間良好な状態に保つことができ、装置を簡単かつ安価に製造することができる塗工装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の塗工装置は、製紙工程において、抄紙機から搬送される一続きの原紙の表面に塗工液を塗布するための装置であって、該装置が、表面に塗工液の液膜が形成され、その液膜を原紙に転写するアプリケータロールと、該アプリケータロールの表面に形成される塗工液の液膜を調整する膜厚調整部とを備えており、該膜厚調整部が、前記アプリケータロールの回転軸と平行な回転軸を有するロッドと、該ロッドと前記アプリケータロールの間に塗工液を供給する塗工液供給手段を備えており、前記ロッドが、その内部に、冷却水を流すための冷却水通路を備えていることを特徴とする。
請求項2の塗工装置は、請求項1記載の発明において、前記ロッドの冷却水通路内に、0〜25℃に調整された冷却水が供給されることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1は本実施形態の塗工装置1における膜厚形成部Aの概略説明図である。
図1および図2(A)に示すように、本実施形態の塗工装置1は、アプリケータロール2によって塗工液Lを原紙Pの表面に転写することによって原紙Pを塗工紙Tに加工する装置であって、膜厚形成部Aのロッド3の表面を常に湿った状態とすることによって、アプリケータロール2の表面に形成される塗工液Lの液膜の状態を長期間良好な状態に保つことができるようにしたものである。
【0010】
まず、本発明の塗工装置1の特徴部分である膜厚形成部Aのロッド3を説明する前に、本実施形態の塗工装置1による塗工作業の概略、および膜厚形成部Aの概略を説明する。
図2(A)において、符号Pは塗工される原紙を示している。この原紙Pは、図示しない抄紙機から塗工装置1に連続紙として送られている。
図2(A)に示すように、塗工装置1は、抄紙機から送られた前記原紙Pを挟む一対のアプリケータロール2,2を備えており、この一対のアプリケータロール2,2の表面には、それぞれ膜厚調整部A によって所定の厚さの塗工液Lの液膜が形成されている。
このため、原紙Pが一対のアプリケータロール2,2によって挟まれると、その両面に塗工液Lが転写されるから、原紙Pを塗工紙Tに加工することができる。
【0011】
つぎに、塗工装置1の膜厚形成部Aを説明する。
図1において、符号6は、膜厚形成部Aのフレームを示している。また、符号7は、フレーム6とアプリケータロール2との間に設けられその背面がアプリケータロール2に接触するように配置されたドクター部7を示している。このドクター部7、フレーム6、アプリケータロール2および後述する支持部材4によって囲まれた領域に、塗工液Lをためておくための液溜部Bが形成されており、この液溜部Bには、図示しない配管などによって外部から塗工液Lが供給されている。この液溜部Bおよび図示しない配管が、特許請求の範囲にいう塗工液供給手段である。
なお、液溜部Bには、部材B1が設けられているが、この部材B1は、液溜部Bの幅方向(図1では紙面に垂直な方向)、つまりアプリケータロール2の幅方向における塗工液Lの供給寸法を決定するシールの取付けブラケットであり、幅方向に調整可能な構造となっている。
【0012】
そして、フレーム6の上面には、支持部材4が取り付けられている。この支持部材4は、その前面(アプリケータロール2側の面)の下部に突起部4aが設けられており、この突起部4aが、フレーム6に設けられた溝部6cに差し込まれている。そして、この支持部材4の背面が、フレーム6に設けられた旋回機構を有する押え金具6bによって、溝部6cに向けて押しつけられている。つまり、支持部材4は、その下端を支点としてその上端部が揺動可能に設けられており、その下端を支点として揺動前後に揺動すると、その上端部が前記アプリケータロール2に対して接近離間するのである。
この支持部材4の上端部のアプリケータロール2側の面には、アプリケータロール2の回転軸と平行な回転軸を有するロッド3が、回転自在に取り付けられている。このロッド3は、図示しないモータ等の駆動機構によってアプリケータロール2と同じ方向(図1では反時計回り)に回転されるものである
【0013】
このため、アプリケータロール2が図中aの方向に回転すると、アプリケータロール2の回転にともなって塗工液Lがアプリケータロール2とロッド3との間に形成されるニップ部に供給される。すると、アプリケータロール2とロッド3の間を通過した塗工液Lのみによってアプリケータロール2の表面に液膜が形成される。つまり、アプリケータロール2の表面に、アプリケータロール2とロッド3の間隔wの厚さの液膜を形成することができるのである。
【0014】
図1に示すように、支持部材4の背面、つまり支持部材4においてアプリケータロール2と反対側の面には、支持部材4の上端をアプリケータロール2に向かって接近離間させる移動部材5が設けられている。この移動部材5は、前面にロッド3の回転軸と平行に設けられた2本の溝を有するプレート5aと、プレート5aの溝に取り付けられた2本の中空なゴムチューブ5bとからなり、このゴムチューブ5bの内部に供給する空気圧を調整することによって支持部材4を背面から適正な力で加圧する構造になっている。そして、この移動部材5の背面には、マイクロメータ10の軸の先端が取り付けられている。
このため、マイクロメータ10の軸を進退させれば、移動部材5を介して支持部材4のアプリケータロール2側の面、つまりロッド3をアプリケータロール2に向かって接近離間させることができるから、アプリケータロール2とロッド3の間隔wを正確に調整することができる。よって、アプリケータロール2の表面に、所望の厚さの液膜を形成することができるのである。
【0015】
さて、本発明の特徴であるロッド3を詳細に説明する。
図1に示すように、ロッド3は、その内部に、その回転軸方向と平行に冷却水通路3hが形成されている。この冷却水通路3hには、図示しない冷却水供給装置が連通されており、塗工作業中は、0〜25度に調整された冷却水が供給されている。
すると、ロッド3は冷却水によって冷却され、その温度を装置近傍の気温に比べて低くすることができる。すると、ロッド3表面には気体中の水分が付着するので、その表面を常に湿った状態に維持しておくことができる。
【0016】
このため、ロッド3の表面に塗工液Lが付着して汚れることを防ぐことができるから、アプリケータロール2の表面に形成される塗工液Lの液膜の状態を長期間良好な状態に保つことができる。
しかも、ロッド3の表面に付着する水分は装置周囲の気体中から供給されており、また、ロッド3以外の装置の温度低下もほとんどないので、蒸気を吹き付ける場合のように、ロッド3以外の装置に水分が付着して水滴を形成することがない。すると、ロッド3以外の装置等に付着した水滴が塗工液L等に落下することもないので、塗工品質を損なうこともない。
【0017】
なお、ロッド3の表面の周速度は、例えばアプリケータロール2の周速度が20m/min 〜2500m/min であれば1m/min 〜20m/min であり、常時回転されているため、その表面に付着した水分が水滴にまで成長することはなく、ロッド3の表面に付着した水分によって塗工液Lの状態やアプリケータロール2の表面に形成される塗工液Lの液膜の厚さが悪影響を受けることもない。
【0018】
また、ロッド3に冷却水路3hを設け、その内部に冷却水を流すだけであるから、装置の構造も簡単になるし、ロッド3に特殊な加工を施したりする必要がないので、製造コストやランニングコストを安価にすることができる。
【0019】
しかも、冷却水の水温が、0〜25度に調整されているので、ロッド3の温度を確実に周囲の気温より確実に低くすることができる。よって、塗工液Lの温度や室温の影響を受けることなく確実に常時ロッド3の表面を湿った状態に保つことができるから、塗工欠陥につながるロッド3の汚れ等が生じることもない。
【0020】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、ロッドの温度を装置近傍の気温に比べて低くできるので、ロッド表面には気体中の水分が付着し、その表面を常に湿った状態に維持しておくことができる。このため、ロッド表面に塗工液が付着することを防ぐことができ、アプリケータロールの表面に形成される塗工液の液膜の状態を長期間良好な状態に保つことができる。しかも、装置周囲の気体中の水分がロッドに付着しているだけであるから、蒸気を吹き付ける場合のように、水滴が塗工液等に落下して塗工品質を損なうこともない。また、ロッド内に冷却水路を設け、その内部に冷却水を流すだけであるから、装置の構造も簡単になるし、ロッドに特殊な加工を施したり、特殊な液体等を使用しないので、製造コストやランニングコストを安価にすることができる。
請求項2の発明によれば、ロッドの温度を確実に周囲の気温より確実に低くすることができるので、塗工液の温度や室温の影響を受けることなく確実に常時ロッドの表面を湿った状態に保つことができ、塗工欠陥につながるロッドの汚れ等が生じることもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の塗工装置1の膜厚調整部10の概略説明図である。
【図2】(A)一般的な塗工装置1の概略説明図であり、(B)従来の膜厚調整部Aの概略説明図である。
【符号の説明】
1 塗工装置
2 アプリケータロール
3 ロッド
3h 冷却水通路
A 膜厚調整部
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗工装置に関する。製紙機械において、紙やフィルムの美麗性や印刷適性を向上させるために、塗工装置によって原紙の表面に塗工液が塗布される。塗工装置には、ブレードコータ方式やロールコータ方式、アプリケータロールを使用したロッドメタリング方式等があるが、ロッドメタリング方式の場合には、アプリケータロールの表面に塗工液の液膜を形成しこの液膜を原紙に転写することによって塗工液が塗布される。アプリケータロールを使用して塗工液を塗布する塗工装置では、塗工紙の品質は、アプリケータロールの表面に形成される塗工液の液膜の厚さの影響を受けるので、塗工装置には液膜厚さを正確に調整するために膜厚調整部が設けられる。本発明はかかる膜厚調整部を備えた塗工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図2は(A)一般的な塗工装置1の概略説明図であり、(B)従来の膜厚調整部Aの概略説明図である。同図において、符号Pは塗工される原紙を示している。この原紙Pは、図示しない抄紙機から連続紙として送られており、塗工装置1によって塗工液が塗布された後、次工程に搬送される。
図2に示すように、塗工装置1は、前記原紙Pを挟む一対のアプリケータロール2,2を備えており、この一対のアプリケータロール2,2の表面には、それぞれ膜厚調整部A によって所定の厚さの塗工液Lの液膜が形成されている。このため、原紙Pが一対のアプリケータロール2,2によって挟まれると、その両面に塗工液Lが転写されるから、原紙Pを塗工紙Tに加工することができる。
【0003】
図2(B)に示すように、ロッドメタリング式の膜厚調整部Aの場合、アプリケータロール2に並設され、調整部Aのケーシング101 によって回転可能に保持され、図示しない駆動装置によって回転されるロッド103 を備えている。そして、ロッド103 とケーシング101 、アプリケータロール2によって囲まれた部分に、外部から配管104 を通して供給された塗工液をためておくための液溜部Bが設けられている。
このため、アプリケータロール2が図中aの方向に回転すると、アプリケータロール2の回転にともなって塗工液がアプリケータロール2とロッド103 との間に形成されるニップ部に供給される。すると、アプリケータロール2とロッド103 の間の間隔wの厚さの液膜がアプリケータロール2の表面に形成されるから、両者の間の間隔を正確に調整すれば、所望の厚さの液膜をアプリケータロール2の表面に形成することができる。
【0004】
ところで、このロッド103 の表面に汚れが付着すると、アプリケータロール2に形成される液膜の厚さが不均一となったり、アプリケータロール2の表面に設けられているゴムや樹脂等のカバー材に損傷を与える原因となり、塗工欠陥が生じてしまう。このようなロッド103 の表面の汚れは、ロッド103 の表面にクロムメッキ仕上げ等の耐磨耗性を考慮した処理によって防ぐことができるが、塗工作業の作業時間が長くなると塗工液Lの水分が蒸発して乾燥してしまう。すると、乾燥した塗工液Lがロッド103 の表面に付着してしまい、アプリケータロール2に形成される液膜の厚さが不均一となる可能性があるし、乾燥して固まった塗工液Lがアプリケータロール2の表面に形成された塗工液Lの膜内に混在し、そのまま原紙pに転写される可能性もある。また、ロッド103 とケーシング101 の間に入り込みケーシングを磨耗させてしまうこともある。
【0005】
このような問題を防ぐ技術として、特許文献1〜3(従来例1〜3)に示す技術がある。
従来例1の技術は、ロッド103 の上部にアプリケータロール2とロッド103 が近接する部分に蒸気を吹き付けるようにしたものであり、蒸気によってロッド103 の表面に結露させてその表面を湿った状態に保つことができるので、乾燥した塗工液Lがロッド103 の表面に付着することを防ぐことができる。
従来例2の技術は、ロッド103 の表面に、塗工液Lに対する剥離性を有する液体の膜を形成させるものであり、この液体の膜によって乾燥した塗工液Lがロッド103 の表面に付着することを防ぐことができる。
従来例3の技術は、ロッド103 の表面に塗工液の付着を防止するための特殊なコーティングを施してたものであり、このコーティング層を設けているので、乾燥した塗工液Lがロッド103 の表面に付着することを防ぐことができる。
【特許文献1】
特開平8−134798号公報
【特許文献2】
特開2002−113404号公報
【特許文献3】
特開2002−239431号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、従来例1の技術は、蒸気によってロッド103 やその他の周辺機器が高温となるため、アプリケータロール表面のカバー材の寿命が短くなったり、作業者がロッド部分に接近するのが困難になりロッドや塗工状態の点検をすることができない等の問題が生じる。しかも、蒸気は、蒸気を噴出する孔が形成されたパイプ等によって供給されるが、その蒸気の一部はパイプ等水滴となって付着するため、その水滴がロッド103 などに落下すれば、アプリケータロール2の表面に形成される塗工液の液膜に影響を与え、塗工品質を低下させる可能性があるという問題がある。
また、従来例2の技術は、ロッド103 の表面に剥離性を有する液体の液膜を形成させる機構を膜厚調整部Aに設けなければならず、装置の構造が複雑になるし、特殊な液体を使用するためその費用も高くなり、ランニングコストも高くなるという問題がある。
さらに、従来例3の技術は、膜厚調整部Aは一般的な構造を使用できるが、ロッド103 の表面に特殊なコーティングを施すため、ロッド103 自体のコストが高くなるし、コーティング層が損傷すればアプリケータロール2表面に形成される塗工液の液膜に影響を与えるため、ロッド103 のメンテナンスを頻繁に行う必要があるし、ロッド103 自体が高価であるためランニングコストも高くなるという問題がある。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑み、アプリケータロールに形成される塗工液の液膜の状態を長期間良好な状態に保つことができ、装置を簡単かつ安価に製造することができる塗工装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の塗工装置は、製紙工程において、抄紙機から搬送される一続きの原紙の表面に塗工液を塗布するための装置であって、該装置が、表面に塗工液の液膜が形成され、その液膜を原紙に転写するアプリケータロールと、該アプリケータロールの表面に形成される塗工液の液膜を調整する膜厚調整部とを備えており、該膜厚調整部が、前記アプリケータロールの回転軸と平行な回転軸を有するロッドと、該ロッドと前記アプリケータロールの間に塗工液を供給する塗工液供給手段を備えており、前記ロッドが、その内部に、冷却水を流すための冷却水通路を備えていることを特徴とする。
請求項2の塗工装置は、請求項1記載の発明において、前記ロッドの冷却水通路内に、0〜25℃に調整された冷却水が供給されることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1は本実施形態の塗工装置1における膜厚形成部Aの概略説明図である。
図1および図2(A)に示すように、本実施形態の塗工装置1は、アプリケータロール2によって塗工液Lを原紙Pの表面に転写することによって原紙Pを塗工紙Tに加工する装置であって、膜厚形成部Aのロッド3の表面を常に湿った状態とすることによって、アプリケータロール2の表面に形成される塗工液Lの液膜の状態を長期間良好な状態に保つことができるようにしたものである。
【0010】
まず、本発明の塗工装置1の特徴部分である膜厚形成部Aのロッド3を説明する前に、本実施形態の塗工装置1による塗工作業の概略、および膜厚形成部Aの概略を説明する。
図2(A)において、符号Pは塗工される原紙を示している。この原紙Pは、図示しない抄紙機から塗工装置1に連続紙として送られている。
図2(A)に示すように、塗工装置1は、抄紙機から送られた前記原紙Pを挟む一対のアプリケータロール2,2を備えており、この一対のアプリケータロール2,2の表面には、それぞれ膜厚調整部A によって所定の厚さの塗工液Lの液膜が形成されている。
このため、原紙Pが一対のアプリケータロール2,2によって挟まれると、その両面に塗工液Lが転写されるから、原紙Pを塗工紙Tに加工することができる。
【0011】
つぎに、塗工装置1の膜厚形成部Aを説明する。
図1において、符号6は、膜厚形成部Aのフレームを示している。また、符号7は、フレーム6とアプリケータロール2との間に設けられその背面がアプリケータロール2に接触するように配置されたドクター部7を示している。このドクター部7、フレーム6、アプリケータロール2および後述する支持部材4によって囲まれた領域に、塗工液Lをためておくための液溜部Bが形成されており、この液溜部Bには、図示しない配管などによって外部から塗工液Lが供給されている。この液溜部Bおよび図示しない配管が、特許請求の範囲にいう塗工液供給手段である。
なお、液溜部Bには、部材B1が設けられているが、この部材B1は、液溜部Bの幅方向(図1では紙面に垂直な方向)、つまりアプリケータロール2の幅方向における塗工液Lの供給寸法を決定するシールの取付けブラケットであり、幅方向に調整可能な構造となっている。
【0012】
そして、フレーム6の上面には、支持部材4が取り付けられている。この支持部材4は、その前面(アプリケータロール2側の面)の下部に突起部4aが設けられており、この突起部4aが、フレーム6に設けられた溝部6cに差し込まれている。そして、この支持部材4の背面が、フレーム6に設けられた旋回機構を有する押え金具6bによって、溝部6cに向けて押しつけられている。つまり、支持部材4は、その下端を支点としてその上端部が揺動可能に設けられており、その下端を支点として揺動前後に揺動すると、その上端部が前記アプリケータロール2に対して接近離間するのである。
この支持部材4の上端部のアプリケータロール2側の面には、アプリケータロール2の回転軸と平行な回転軸を有するロッド3が、回転自在に取り付けられている。このロッド3は、図示しないモータ等の駆動機構によってアプリケータロール2と同じ方向(図1では反時計回り)に回転されるものである
【0013】
このため、アプリケータロール2が図中aの方向に回転すると、アプリケータロール2の回転にともなって塗工液Lがアプリケータロール2とロッド3との間に形成されるニップ部に供給される。すると、アプリケータロール2とロッド3の間を通過した塗工液Lのみによってアプリケータロール2の表面に液膜が形成される。つまり、アプリケータロール2の表面に、アプリケータロール2とロッド3の間隔wの厚さの液膜を形成することができるのである。
【0014】
図1に示すように、支持部材4の背面、つまり支持部材4においてアプリケータロール2と反対側の面には、支持部材4の上端をアプリケータロール2に向かって接近離間させる移動部材5が設けられている。この移動部材5は、前面にロッド3の回転軸と平行に設けられた2本の溝を有するプレート5aと、プレート5aの溝に取り付けられた2本の中空なゴムチューブ5bとからなり、このゴムチューブ5bの内部に供給する空気圧を調整することによって支持部材4を背面から適正な力で加圧する構造になっている。そして、この移動部材5の背面には、マイクロメータ10の軸の先端が取り付けられている。
このため、マイクロメータ10の軸を進退させれば、移動部材5を介して支持部材4のアプリケータロール2側の面、つまりロッド3をアプリケータロール2に向かって接近離間させることができるから、アプリケータロール2とロッド3の間隔wを正確に調整することができる。よって、アプリケータロール2の表面に、所望の厚さの液膜を形成することができるのである。
【0015】
さて、本発明の特徴であるロッド3を詳細に説明する。
図1に示すように、ロッド3は、その内部に、その回転軸方向と平行に冷却水通路3hが形成されている。この冷却水通路3hには、図示しない冷却水供給装置が連通されており、塗工作業中は、0〜25度に調整された冷却水が供給されている。
すると、ロッド3は冷却水によって冷却され、その温度を装置近傍の気温に比べて低くすることができる。すると、ロッド3表面には気体中の水分が付着するので、その表面を常に湿った状態に維持しておくことができる。
【0016】
このため、ロッド3の表面に塗工液Lが付着して汚れることを防ぐことができるから、アプリケータロール2の表面に形成される塗工液Lの液膜の状態を長期間良好な状態に保つことができる。
しかも、ロッド3の表面に付着する水分は装置周囲の気体中から供給されており、また、ロッド3以外の装置の温度低下もほとんどないので、蒸気を吹き付ける場合のように、ロッド3以外の装置に水分が付着して水滴を形成することがない。すると、ロッド3以外の装置等に付着した水滴が塗工液L等に落下することもないので、塗工品質を損なうこともない。
【0017】
なお、ロッド3の表面の周速度は、例えばアプリケータロール2の周速度が20m/min 〜2500m/min であれば1m/min 〜20m/min であり、常時回転されているため、その表面に付着した水分が水滴にまで成長することはなく、ロッド3の表面に付着した水分によって塗工液Lの状態やアプリケータロール2の表面に形成される塗工液Lの液膜の厚さが悪影響を受けることもない。
【0018】
また、ロッド3に冷却水路3hを設け、その内部に冷却水を流すだけであるから、装置の構造も簡単になるし、ロッド3に特殊な加工を施したりする必要がないので、製造コストやランニングコストを安価にすることができる。
【0019】
しかも、冷却水の水温が、0〜25度に調整されているので、ロッド3の温度を確実に周囲の気温より確実に低くすることができる。よって、塗工液Lの温度や室温の影響を受けることなく確実に常時ロッド3の表面を湿った状態に保つことができるから、塗工欠陥につながるロッド3の汚れ等が生じることもない。
【0020】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、ロッドの温度を装置近傍の気温に比べて低くできるので、ロッド表面には気体中の水分が付着し、その表面を常に湿った状態に維持しておくことができる。このため、ロッド表面に塗工液が付着することを防ぐことができ、アプリケータロールの表面に形成される塗工液の液膜の状態を長期間良好な状態に保つことができる。しかも、装置周囲の気体中の水分がロッドに付着しているだけであるから、蒸気を吹き付ける場合のように、水滴が塗工液等に落下して塗工品質を損なうこともない。また、ロッド内に冷却水路を設け、その内部に冷却水を流すだけであるから、装置の構造も簡単になるし、ロッドに特殊な加工を施したり、特殊な液体等を使用しないので、製造コストやランニングコストを安価にすることができる。
請求項2の発明によれば、ロッドの温度を確実に周囲の気温より確実に低くすることができるので、塗工液の温度や室温の影響を受けることなく確実に常時ロッドの表面を湿った状態に保つことができ、塗工欠陥につながるロッドの汚れ等が生じることもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の塗工装置1の膜厚調整部10の概略説明図である。
【図2】(A)一般的な塗工装置1の概略説明図であり、(B)従来の膜厚調整部Aの概略説明図である。
【符号の説明】
1 塗工装置
2 アプリケータロール
3 ロッド
3h 冷却水通路
A 膜厚調整部
Claims (2)
- 製紙工程において、抄紙機から搬送される一続きの原紙の表面に塗工液を塗布するための装置であって、
該装置が、
表面に塗工液の液膜が形成され、その液膜を原紙に転写するアプリケータロールと、
該アプリケータロールの表面に形成される塗工液の液膜を調整する膜厚調整部とを備えており、
該膜厚調整部が、
前記アプリケータロールの回転軸と平行な回転軸を有するロッドと、
該ロッドと前記アプリケータロールの間に塗工液を供給する塗工液供給手段を備えており、
前記ロッドが、その内部に、冷却水を流すための冷却水通路を備えている
ことを特徴とする塗工装置。 - 前記ロッドの冷却水通路内に、0〜25℃に調整された冷却水が供給される
ことを特徴とする請求項1記載の塗工装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003036152A JP2004243232A (ja) | 2003-02-14 | 2003-02-14 | 塗工装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003036152A JP2004243232A (ja) | 2003-02-14 | 2003-02-14 | 塗工装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004243232A true JP2004243232A (ja) | 2004-09-02 |
Family
ID=33021328
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003036152A Pending JP2004243232A (ja) | 2003-02-14 | 2003-02-14 | 塗工装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004243232A (ja) |
-
2003
- 2003-02-14 JP JP2003036152A patent/JP2004243232A/ja active Pending
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