JP2004243006A - 遮光・断熱性カーテン用布帛 - Google Patents
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Abstract
【課題】遮光性・断熱性共に優れたカーテン用布帛を提供する。
【解決手段】樹脂が含浸されていないニードルパンチ不織布の片面に太陽光を反射する性能を有する微粒子を含有する遮光性樹脂層が形成され、反対面にはウレタン発泡樹脂等による断熱性発泡樹脂層が形成されている遮光性・断熱性カーテン用布帛。布帛片面の遮光性樹脂層は、視界を遮る機能だけでなく、太陽光等の侵入を防止し、優れた遮光性を奏する。また中心部にニードルパンチ処理が施されて繊維間空間を有する不織布が存在し、かつ反対面に発泡樹脂層が形成されているので、熱伝導性の小さい空気を多く含み、特に優れた断熱性を有するものとなる。
【選択図】 なし
【解決手段】樹脂が含浸されていないニードルパンチ不織布の片面に太陽光を反射する性能を有する微粒子を含有する遮光性樹脂層が形成され、反対面にはウレタン発泡樹脂等による断熱性発泡樹脂層が形成されている遮光性・断熱性カーテン用布帛。布帛片面の遮光性樹脂層は、視界を遮る機能だけでなく、太陽光等の侵入を防止し、優れた遮光性を奏する。また中心部にニードルパンチ処理が施されて繊維間空間を有する不織布が存在し、かつ反対面に発泡樹脂層が形成されているので、熱伝導性の小さい空気を多く含み、特に優れた断熱性を有するものとなる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、遮光性と断熱性に優れたカーテン用布帛に関するものでる。
【0002】
【従来の技術】
従来からカーテンとしては、視界を遮るという基本的な機能に、遮光性、遮熱・断熱性、遮音性等の機能を付加したものが使用されている。遮光性を付加したものとしては、カーテン生地を黒と赤の糸条を用いて二重織としたいわゆる暗幕があり、生地の裏面に黒顔料をコーティングして遮光性を保持したもの等がある。また金属板やプラスチック板を用いたブラインドカーテンも用いられている。
【0003】
また、遮熱性を付加するものとしては、太陽等の輻射熱を反射させるためにアルミニウム等の微粒子を混練してコーティングしたものがある。
【0004】
不織布をベース生地とし、遮光性あるいは遮熱性を付与することを提案したものとしては、例えば、特許文献1、特許文献2があり、これらは農業用ハウスカーテンに用いるのに適したものとして提案されている。特許文献1には、カーボンブラック、酸化鉄、酸化チタン、アルミニウム粉等の着色剤を含有する発泡樹脂液を不織布にコーティングすることにより遮光性を得ることが記載されている。また、特許文献2には、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛等の太陽輻射熱の反射機能を有する微粒子を含有する樹脂液を不織布にコーティングすることにより遮熱性を得ることが記載されている。
【0005】
しかし、遮光性および遮熱性(断熱性)の両者を同時に満足しようというものは提案されていない。
【0006】
【特許文献1】
特許第2755521号公報
【0007】
【特許文献2】
特開平11−18588号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のごとき現状を鑑みてなされたものであり、遮光性・断熱性共に優れたカーテン用布帛を提供することを課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するものであり、樹脂が含浸されていないニードルパンチ不織布の片面に遮光性樹脂層が形成され、反対面には断熱性発泡樹脂層が形成されていることを特徴とする遮光・断熱性カーテン用布帛を要旨とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について具体的に説明する。
【0011】
本発明の遮光・断熱性カーテン用布帛は、樹脂が含浸されていないニードルパンチ不織布を基布とするものである。基布として使用するニードルパンチ不織布としては、短繊維からなる不織布、あるいは長繊維からなる不織布のいずれであってもよい。
【0012】
短繊維不織布の原料繊維としては、綿、麻等の天然繊維、レーヨン、溶剤紡糸レーヨン(登録商標リヨセル)等の再生繊維からなる短繊維、ポリエステル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の繊維形成性重合体からなる合成短繊維、これらの繊維形成性重合体と同種または異種の繊維形成性重合体とからなる芯鞘型等の複合繊維からなる短繊維等を用いることができる。またこれらの短繊維を混綿して用いることができる。短繊維ウェブとしては、カードウェブ方式やランダムウェブ方式により製造されるものを用いることができる。本発明のカーテン用布帛の基布をして用いられる短繊維不織布は、上記の方法でウェブを形成した後にニードルパンチ処理を行うことにより得ることができる。
【0013】
不織布が長繊維から構成される場合、原料としてはポリエステル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の繊維形成性重合体が挙げられ、これらの繊維形成性重合体単独で形成された繊維からなるもの、これらの繊維形成性重合体と同種または異種の繊維形成性重合体とからなる芯鞘型等の複合繊維からなるもの、また、上記の異なる2種以上の繊維が混繊したもの等がある。長繊維不織布の製造方法としては、スパンボンド法、メルトブロー法等が挙げられるが、スパンボンド法によるものが好ましい。本発明のカーテン用布帛の基布をして用いられる長繊維不織布は、上記の方法等で不織ウェブを得た後、ニードルパンチ処理を行って得ることができる。この際、不織ウェブを複数枚重ねてニードルパンチ処理を行うこともできる。
【0014】
本発明のカーテン用布帛の基布として用いられる不織布は、短繊維不織布、長繊維不織布のいずれの場合であっても、その厚みは、1mm以上であることが好ましい。厚みが1mm未満であると、後工程であるコーティング処理において、不織布の繊維間の空隙が少なくなり、あるいは空隙がほとんどなくなってしまって、断熱効果が低減してしまうおそれがある。また、良好な繊維間の空隙を得るために、単繊維繊度は3デシテックス以上であるのが好ましく、目付については100g/m2以上であることが好ましい。
【0015】
本発明の遮光・断熱性カーテン用布帛は、樹脂が含浸されていない状態で上記の不織布の片面に遮光性樹脂層が形成されている。この遮光性樹脂層は遮光性コーティングを施すことによって形成されている。遮光性コーティングとは、遮光性を有する微粒子を樹脂液に混合して不織布の表面に付与するものである。遮光性を有する微粒子としては、カーボンブラック、酸化鉄、酸化チタン、カリオン、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、タルク等が挙げられる。樹脂液としては、熱可塑性樹脂の溶融状態のもの、水系エマルジョン樹脂の樹脂液、溶剤可溶性樹脂の樹脂溶液等が挙げられる。
【0016】
熱可塑性樹脂の溶融状態のものとしては、塩化ビニルやエチレンビニルアルコール等の熱可塑性樹脂が熱溶融状態のものが挙げられ、この場合には、溶融樹脂で薄い皮膜を形成させつつ被コーティング物に樹脂を転写させるカレンダー方式のコーティング法(キスコーティング)が採用される。
【0017】
樹脂液が水系エマルジョン樹脂液である場合の水系エマルジョン樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系ラテックス樹脂等がある。また合成樹脂を溶媒に溶解した樹脂液を用いることができる。水系エマルジョン樹脂の樹脂液、溶剤可溶性樹脂の樹脂溶液等を用いる場合には、ナイフコータ、リバースロールコータ、グラビアコータ、キスコータ等を用いてコーティングを行う。
【0018】
遮光性樹脂層における樹脂量は、20〜150g/m2が好ましく、遮光性を有する微粒子の量は、樹脂量の30〜120質量%であるのが好ましい。樹脂液の粘度を調整して、できるだけ不織布の内部に樹脂液が浸透しない状態でコーティングすることが好ましい。
【0019】
本発明の遮光・断熱性カーテン用布帛の他の面には、断熱性樹脂層が形成されている。この断熱性樹脂層は発泡性樹脂液をコーティングすることによって形成されている。発泡性樹脂液は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系ラテックス樹脂等の水系エマルジョン樹脂に整泡剤を併用し、空気を吹き込みながら撹拌発泡させることによって得ることができる。コーティング方法としては、ナイフコータ、リバースロールコータ、グラビアコータ等を用いる方法が採用できる。
【0020】
断熱性樹脂層における樹脂量は、20〜100g/m2が好ましい。樹脂液の粘度を調整して、できるだけ不織布の内部に樹脂液が浸透しない状態でコーティングされるのが好ましい。
【0021】
【作用】
本発明の遮光・断熱性カーテン用布帛は、不織布の片面に遮光性を有する微粒子を含有している遮光性樹脂層が形成されているので、視界を遮る機能だけでなく、太陽光等の侵入を防止し、優れた遮光性を有する。また中心部にニードルパンチ処理が施されて繊維間空間を有する不織布が存在し、かつ反対面に発泡樹脂層が形成されていて、熱伝導性の小さい空気を多く含むことが可能な形態となっているので、特に優れた断熱性を有するものとなる。
【0022】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例における各物性値は、下記の方法にて測定した値である。
(1)遮光率
JIS L1906に準じた装置にて、光源としてレフランプカラー用500W(品番:PRF−500)を用い、試料取り付け部から30cmの位置に置き、光源の光度を照度計が10000ルックスを示すように調整し、試料取り付け部に試料を取り付け、その時の照度計の値Aを読み取る。そして遮光率を次式により算出する。
遮光率(%)=((10000−A)/10000)×100
【0023】
(2)断熱率
冷板に0.8cmの空気層を設けて試料を置き、試料より30cm上方からライト光を照射した時の冷板の消費熱量Aを測定し、また試料を置かなかった時の冷板の消費熱量Bを測定して、次式により断熱率を算出する。
断熱率(%)=((B−A)/B)×100
測定条件は下記の通りとした。
環境条件:20℃×65%RH
ライト:レフランプカラー用500W(品番:PRF−500)
放射照度:7000Lx
冷板の大きさ:12cm×12cm
試料の大きさ:13cm×13cm
熱量測定機:サーモラボIIF7(カトーテック株式会社製)
測定時間:15分間
【0024】
実施例1
ポリエチレンテレフタレートを用いてスパンボンド法により得た単糸繊度が3.5デシテックスで、目付が200g/m2のポリエステル長繊維不織ウエブに、難燃剤を付与したニードルパンチ油剤を塗布した後、針密度40パンチ/cm2のニードルパンチ処理を施して、厚さが2mmのニードルパンチ不織布を得た。得られたニードルパンチ不織布の片面に、アクリル系水系エマルジョン樹脂(大日本インキ株式会社製<ボンコートu965>、有効成分45%)に酸化チタンを樹脂の有効成分量と等量混合した樹脂液を用いて、ドクターナイフコート法により有効成分量20g/m2コーティング処理を行い、遮光性樹脂層を形成し、遮光性樹脂層を設けた面とは反対面に発砲性ウレタン樹脂をドクターナイフコート法により有効成分量20g/m2コーティング処理を施して、断熱発砲樹脂層を形成して、厚さが2.3mmで、目付が250g/m2の本発明の遮光性・断熱性カーテン用布帛を得た。
【0025】
実施例2
実施例1で用いたニードルパンチ不織布を用いて、その片面にアクリル系水系エマルジョン樹脂(大日本インキ株式会社製<ボンコートu965>、有効成分45%)にカーボンブラックをアクリル系水系エマルジョン樹脂の有効成分量9に対して1の比率で混合した樹脂液を用いてドクターナイフコート法により有効成分量70g/m2コーティング処理を施して遮光性樹脂層を形成し、遮光性樹脂層を設けた面とは反対面に塩化ビニル樹脂100質量部に整泡剤10質量部混合した樹脂液を撹拌発泡させてドクターナイフコート法により20g/m2コーティングして断熱樹脂発砲層を形成し、厚さが2.5mmで、目付が300g/m2の本発明の遮光性・断熱性カーテン用布帛を得た。
【0026】
比較例1
実施例1において、ポリエステル長繊維不織ウエブとして目付200g/m2としたこと、ニードルパンチ処理を施さず熱エンボス加工(ロール表面温度220℃、圧接面積率15%)を施したこと以外は、実施例1と同様にして、両面コーティング不織布を得た。
【0027】
比較例2
実施例1において、遮光性樹脂層を形成させず、90g/m2の断熱発砲樹脂層を形成させ、厚さが2.3mmで、目付が300g/m2の片面コーティング不織布を得た。
【0028】
得られた実施例1〜2及び比較例1〜2の評価結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
表1から明らかなように、中間層としてニ−ドルパンチ処理を行なった繊維間空間の多い不織布を有する実施例1及び実施例2は、繊維間空間の少ない熱圧接タイプのスパンボンド不織布を中間とする比較例1や片面だけに樹脂層を有しているだけの比較例2に比して、断熱性が優れていて、遮光性と断熱性が共に優れた遮光性・断熱性カーテン用布帛を提供できるものであった。
【0030】
【発明の効果】
本発明のように、樹脂が含浸されていないニードルパンチ不織布の片面に遮光性樹脂層が形成し、反対面には断熱性発泡樹脂層が形成しておくと、視界を遮る機能だけでなく優れた遮光性を有し、中心部と発泡樹脂層に熱伝導性の小さい空気を多く含むものとなって優れた断熱性を示す遮光性・断熱性カーテン用布帛を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、遮光性と断熱性に優れたカーテン用布帛に関するものでる。
【0002】
【従来の技術】
従来からカーテンとしては、視界を遮るという基本的な機能に、遮光性、遮熱・断熱性、遮音性等の機能を付加したものが使用されている。遮光性を付加したものとしては、カーテン生地を黒と赤の糸条を用いて二重織としたいわゆる暗幕があり、生地の裏面に黒顔料をコーティングして遮光性を保持したもの等がある。また金属板やプラスチック板を用いたブラインドカーテンも用いられている。
【0003】
また、遮熱性を付加するものとしては、太陽等の輻射熱を反射させるためにアルミニウム等の微粒子を混練してコーティングしたものがある。
【0004】
不織布をベース生地とし、遮光性あるいは遮熱性を付与することを提案したものとしては、例えば、特許文献1、特許文献2があり、これらは農業用ハウスカーテンに用いるのに適したものとして提案されている。特許文献1には、カーボンブラック、酸化鉄、酸化チタン、アルミニウム粉等の着色剤を含有する発泡樹脂液を不織布にコーティングすることにより遮光性を得ることが記載されている。また、特許文献2には、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛等の太陽輻射熱の反射機能を有する微粒子を含有する樹脂液を不織布にコーティングすることにより遮熱性を得ることが記載されている。
【0005】
しかし、遮光性および遮熱性(断熱性)の両者を同時に満足しようというものは提案されていない。
【0006】
【特許文献1】
特許第2755521号公報
【0007】
【特許文献2】
特開平11−18588号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のごとき現状を鑑みてなされたものであり、遮光性・断熱性共に優れたカーテン用布帛を提供することを課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するものであり、樹脂が含浸されていないニードルパンチ不織布の片面に遮光性樹脂層が形成され、反対面には断熱性発泡樹脂層が形成されていることを特徴とする遮光・断熱性カーテン用布帛を要旨とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について具体的に説明する。
【0011】
本発明の遮光・断熱性カーテン用布帛は、樹脂が含浸されていないニードルパンチ不織布を基布とするものである。基布として使用するニードルパンチ不織布としては、短繊維からなる不織布、あるいは長繊維からなる不織布のいずれであってもよい。
【0012】
短繊維不織布の原料繊維としては、綿、麻等の天然繊維、レーヨン、溶剤紡糸レーヨン(登録商標リヨセル)等の再生繊維からなる短繊維、ポリエステル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の繊維形成性重合体からなる合成短繊維、これらの繊維形成性重合体と同種または異種の繊維形成性重合体とからなる芯鞘型等の複合繊維からなる短繊維等を用いることができる。またこれらの短繊維を混綿して用いることができる。短繊維ウェブとしては、カードウェブ方式やランダムウェブ方式により製造されるものを用いることができる。本発明のカーテン用布帛の基布をして用いられる短繊維不織布は、上記の方法でウェブを形成した後にニードルパンチ処理を行うことにより得ることができる。
【0013】
不織布が長繊維から構成される場合、原料としてはポリエステル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の繊維形成性重合体が挙げられ、これらの繊維形成性重合体単独で形成された繊維からなるもの、これらの繊維形成性重合体と同種または異種の繊維形成性重合体とからなる芯鞘型等の複合繊維からなるもの、また、上記の異なる2種以上の繊維が混繊したもの等がある。長繊維不織布の製造方法としては、スパンボンド法、メルトブロー法等が挙げられるが、スパンボンド法によるものが好ましい。本発明のカーテン用布帛の基布をして用いられる長繊維不織布は、上記の方法等で不織ウェブを得た後、ニードルパンチ処理を行って得ることができる。この際、不織ウェブを複数枚重ねてニードルパンチ処理を行うこともできる。
【0014】
本発明のカーテン用布帛の基布として用いられる不織布は、短繊維不織布、長繊維不織布のいずれの場合であっても、その厚みは、1mm以上であることが好ましい。厚みが1mm未満であると、後工程であるコーティング処理において、不織布の繊維間の空隙が少なくなり、あるいは空隙がほとんどなくなってしまって、断熱効果が低減してしまうおそれがある。また、良好な繊維間の空隙を得るために、単繊維繊度は3デシテックス以上であるのが好ましく、目付については100g/m2以上であることが好ましい。
【0015】
本発明の遮光・断熱性カーテン用布帛は、樹脂が含浸されていない状態で上記の不織布の片面に遮光性樹脂層が形成されている。この遮光性樹脂層は遮光性コーティングを施すことによって形成されている。遮光性コーティングとは、遮光性を有する微粒子を樹脂液に混合して不織布の表面に付与するものである。遮光性を有する微粒子としては、カーボンブラック、酸化鉄、酸化チタン、カリオン、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、タルク等が挙げられる。樹脂液としては、熱可塑性樹脂の溶融状態のもの、水系エマルジョン樹脂の樹脂液、溶剤可溶性樹脂の樹脂溶液等が挙げられる。
【0016】
熱可塑性樹脂の溶融状態のものとしては、塩化ビニルやエチレンビニルアルコール等の熱可塑性樹脂が熱溶融状態のものが挙げられ、この場合には、溶融樹脂で薄い皮膜を形成させつつ被コーティング物に樹脂を転写させるカレンダー方式のコーティング法(キスコーティング)が採用される。
【0017】
樹脂液が水系エマルジョン樹脂液である場合の水系エマルジョン樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系ラテックス樹脂等がある。また合成樹脂を溶媒に溶解した樹脂液を用いることができる。水系エマルジョン樹脂の樹脂液、溶剤可溶性樹脂の樹脂溶液等を用いる場合には、ナイフコータ、リバースロールコータ、グラビアコータ、キスコータ等を用いてコーティングを行う。
【0018】
遮光性樹脂層における樹脂量は、20〜150g/m2が好ましく、遮光性を有する微粒子の量は、樹脂量の30〜120質量%であるのが好ましい。樹脂液の粘度を調整して、できるだけ不織布の内部に樹脂液が浸透しない状態でコーティングすることが好ましい。
【0019】
本発明の遮光・断熱性カーテン用布帛の他の面には、断熱性樹脂層が形成されている。この断熱性樹脂層は発泡性樹脂液をコーティングすることによって形成されている。発泡性樹脂液は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系ラテックス樹脂等の水系エマルジョン樹脂に整泡剤を併用し、空気を吹き込みながら撹拌発泡させることによって得ることができる。コーティング方法としては、ナイフコータ、リバースロールコータ、グラビアコータ等を用いる方法が採用できる。
【0020】
断熱性樹脂層における樹脂量は、20〜100g/m2が好ましい。樹脂液の粘度を調整して、できるだけ不織布の内部に樹脂液が浸透しない状態でコーティングされるのが好ましい。
【0021】
【作用】
本発明の遮光・断熱性カーテン用布帛は、不織布の片面に遮光性を有する微粒子を含有している遮光性樹脂層が形成されているので、視界を遮る機能だけでなく、太陽光等の侵入を防止し、優れた遮光性を有する。また中心部にニードルパンチ処理が施されて繊維間空間を有する不織布が存在し、かつ反対面に発泡樹脂層が形成されていて、熱伝導性の小さい空気を多く含むことが可能な形態となっているので、特に優れた断熱性を有するものとなる。
【0022】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例における各物性値は、下記の方法にて測定した値である。
(1)遮光率
JIS L1906に準じた装置にて、光源としてレフランプカラー用500W(品番:PRF−500)を用い、試料取り付け部から30cmの位置に置き、光源の光度を照度計が10000ルックスを示すように調整し、試料取り付け部に試料を取り付け、その時の照度計の値Aを読み取る。そして遮光率を次式により算出する。
遮光率(%)=((10000−A)/10000)×100
【0023】
(2)断熱率
冷板に0.8cmの空気層を設けて試料を置き、試料より30cm上方からライト光を照射した時の冷板の消費熱量Aを測定し、また試料を置かなかった時の冷板の消費熱量Bを測定して、次式により断熱率を算出する。
断熱率(%)=((B−A)/B)×100
測定条件は下記の通りとした。
環境条件:20℃×65%RH
ライト:レフランプカラー用500W(品番:PRF−500)
放射照度:7000Lx
冷板の大きさ:12cm×12cm
試料の大きさ:13cm×13cm
熱量測定機:サーモラボIIF7(カトーテック株式会社製)
測定時間:15分間
【0024】
実施例1
ポリエチレンテレフタレートを用いてスパンボンド法により得た単糸繊度が3.5デシテックスで、目付が200g/m2のポリエステル長繊維不織ウエブに、難燃剤を付与したニードルパンチ油剤を塗布した後、針密度40パンチ/cm2のニードルパンチ処理を施して、厚さが2mmのニードルパンチ不織布を得た。得られたニードルパンチ不織布の片面に、アクリル系水系エマルジョン樹脂(大日本インキ株式会社製<ボンコートu965>、有効成分45%)に酸化チタンを樹脂の有効成分量と等量混合した樹脂液を用いて、ドクターナイフコート法により有効成分量20g/m2コーティング処理を行い、遮光性樹脂層を形成し、遮光性樹脂層を設けた面とは反対面に発砲性ウレタン樹脂をドクターナイフコート法により有効成分量20g/m2コーティング処理を施して、断熱発砲樹脂層を形成して、厚さが2.3mmで、目付が250g/m2の本発明の遮光性・断熱性カーテン用布帛を得た。
【0025】
実施例2
実施例1で用いたニードルパンチ不織布を用いて、その片面にアクリル系水系エマルジョン樹脂(大日本インキ株式会社製<ボンコートu965>、有効成分45%)にカーボンブラックをアクリル系水系エマルジョン樹脂の有効成分量9に対して1の比率で混合した樹脂液を用いてドクターナイフコート法により有効成分量70g/m2コーティング処理を施して遮光性樹脂層を形成し、遮光性樹脂層を設けた面とは反対面に塩化ビニル樹脂100質量部に整泡剤10質量部混合した樹脂液を撹拌発泡させてドクターナイフコート法により20g/m2コーティングして断熱樹脂発砲層を形成し、厚さが2.5mmで、目付が300g/m2の本発明の遮光性・断熱性カーテン用布帛を得た。
【0026】
比較例1
実施例1において、ポリエステル長繊維不織ウエブとして目付200g/m2としたこと、ニードルパンチ処理を施さず熱エンボス加工(ロール表面温度220℃、圧接面積率15%)を施したこと以外は、実施例1と同様にして、両面コーティング不織布を得た。
【0027】
比較例2
実施例1において、遮光性樹脂層を形成させず、90g/m2の断熱発砲樹脂層を形成させ、厚さが2.3mmで、目付が300g/m2の片面コーティング不織布を得た。
【0028】
得られた実施例1〜2及び比較例1〜2の評価結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
表1から明らかなように、中間層としてニ−ドルパンチ処理を行なった繊維間空間の多い不織布を有する実施例1及び実施例2は、繊維間空間の少ない熱圧接タイプのスパンボンド不織布を中間とする比較例1や片面だけに樹脂層を有しているだけの比較例2に比して、断熱性が優れていて、遮光性と断熱性が共に優れた遮光性・断熱性カーテン用布帛を提供できるものであった。
【0030】
【発明の効果】
本発明のように、樹脂が含浸されていないニードルパンチ不織布の片面に遮光性樹脂層が形成し、反対面には断熱性発泡樹脂層が形成しておくと、視界を遮る機能だけでなく優れた遮光性を有し、中心部と発泡樹脂層に熱伝導性の小さい空気を多く含むものとなって優れた断熱性を示す遮光性・断熱性カーテン用布帛を提供することができる。
Claims (2)
- 樹脂が含浸されていないニードルパンチ不織布の片面に遮光性樹脂層が形成され、反対面には断熱性発泡樹脂層が形成されていることを特徴とする遮光・断熱性カーテン用布帛。
- 不織布がポリエステルスパンボンド不織布である請求項1記載の遮光・断熱性カーテン用布帛。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003038188A JP2004243006A (ja) | 2003-02-17 | 2003-02-17 | 遮光・断熱性カーテン用布帛 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003038188A JP2004243006A (ja) | 2003-02-17 | 2003-02-17 | 遮光・断熱性カーテン用布帛 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004243006A true JP2004243006A (ja) | 2004-09-02 |
Family
ID=33022778
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003038188A Pending JP2004243006A (ja) | 2003-02-17 | 2003-02-17 | 遮光・断熱性カーテン用布帛 |
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
FR2889238A1 (fr) * | 2005-07-27 | 2007-02-02 | Paul Riedel | Store rideau isolant ajoure pour la protection contre les rayonnements |
JP2012095724A (ja) * | 2010-10-29 | 2012-05-24 | Suminoe Textile Co Ltd | 遮熱カーテン |
CN110613295A (zh) * | 2019-02-21 | 2019-12-27 | 李宏江 | 节能窗帘布 |
KR20200016015A (ko) * | 2018-08-06 | 2020-02-14 | 주식회사 나경 | 터치감이 우수한 롤스크린용 암막직물의 제조방법 |
JP2021534025A (ja) * | 2019-02-28 | 2021-12-09 | 江蘇君霖紡織科技有限公司Jiangsu Junlin Textile Technology Ltd. | 遮光複合フィルム、その製造方法及び使用 |
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2003
- 2003-02-17 JP JP2003038188A patent/JP2004243006A/ja active Pending
Cited By (8)
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JP7142168B2 (ja) | 2019-02-28 | 2022-09-26 | 江蘇君霖紡織科技有限公司 | 遮光複合フィルム、その製造方法及び使用 |
EP3932666A4 (en) * | 2019-02-28 | 2022-10-19 | Jiangsu Junlin Textile Technology Ltd. | LIGHT SHIELDING COMPOSITE FILM, METHOD FOR MANUFACTURING IT AND ITS USE |
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