JP2588551B2 - 引張強度と引裂強度の高い連続網状繊維不織布 - Google Patents

引張強度と引裂強度の高い連続網状繊維不織布

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JP2588551B2 JP62295978A JP29597887A JP2588551B2 JP 2588551 B2 JP2588551 B2 JP 2588551B2 JP 62295978 A JP62295978 A JP 62295978A JP 29597887 A JP29597887 A JP 29597887A JP 2588551 B2 JP2588551 B2 JP 2588551B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は特殊素材として各種の面材料として使用しう
る有用な連続網状繊維不織布に関する。より詳しくは、
高密度ポリエチレンより成る高度にフィブリル化した連
続する網状形態を有する繊維からなる不透明性が高く、
被覆力にすぐれた高強度な不織布に関する。
〔従来の技術〕
三次元網状繊維、及びその繊維より成る不織布は従来
から知られている。即ち、 三次元網状繊維を得る技術として、ポリマーと溶剤を
高温・高圧条件からノズルより低温・低圧域へ吐出し、
溶剤をフラッシュさせて繊維とするフラッシュ紡糸技術
が知られている。そしてこの繊維は、例えば特公昭40−
28125号に示されるごとく、三次元状に繊維状の連続し
た、単一の、縦軸方向に引き伸ばされ且つ、本質的に自
由端を含まず、各、フィブリルの厚さが2μ以下である
フィブリルから成る網状組織で形成されいる。
前記繊維から成る不織シート状物も公知であり、特公
昭36−16460号公報に開示されているように短繊維から
シート化した不織布、あるいは特公昭42−19520号公報
に開示されているように、溶融フィラメントからシート
化した不織布が知られている。特に後者に示されるフラ
ッシュ紡糸した繊維を邪魔板等にあて、網状繊維を広げ
て堆積し不織シートとする方法は好ましい方法である。
即ち、フラッシュ紡糸においては溶剤のフラッシュ力を
利用するものであり、通常その紡糸速度は4,900m/分以
上で9,000〜13,500m/分に達することが知れており、生
産性よく不織シートを得る方法として極めて有用であ
る。
この紡糸したままの連続した網状繊維を広げて、ラン
ダムな方向に配置した不織シートは、不織布としての形
態の保持、強度の発現やその他目的応じて熱接着され
る。その熱接着された各種不織布も各種も知られてお
り、カレンダーロール、エンボスロールによる接着やフ
エルトカレンダーによる接着等によって熱接着されてい
る。即ち、表面がフラットな紙様表面の不織布、エンボ
ス模様を有する不織布等であり、微細なフィブリルの網
状繊維から成ることにより不透明性・被覆力や白度、平
面の平滑性、耐毛羽性、あるいは柔軟性、そして一定レ
ベルの機械的強度を活かしたものとしての活用が期待さ
れている。
又、この網状繊維の不織布となるポリマーとしては、
各種のポリマーが用いられているが、ポリオレフィン、
とりわけ高密度ポリエチレンがフラッシュ紡糸繊維から
成る不織布に適するものとして多くの研究が成されてい
る。
〔発明が解決しようとする問題点〕
三次元網状構造を有するフラッシュ紡糸された繊維を
用いる不織布は、その独特の構造による特性を活用し
て、各種用途に用いられている。そして、その不織布は
先述の特公昭42−19520号報に示される如く紡糸したま
まの繊維が用いられる。即ち、フラッシュ紡糸した繊維
を邪魔板等で広げてシート状にして、熱接着するシンプ
ルなプロセスが採用されている。
三次元網状繊維が有する不透明性・被覆力と機械適強
度をある程度兼ね備えた紙様の不織布が、USP3,532,589
号公報に開示されている。即ちこの不織布はシートの厚
み方向にわたって配置された層のいずれもが0.5〜5.0m2
/gの比表面積を有し且つ、内層の比表面積いずれもの外
層よりも少なくとも0.3m2/g高い値である三次元網状繊
維から成る不織布構造を有する。
しかしながら、本発明者らの検討によれば、このよう
な構造であっても、その不織布の性能が満足すべきもの
ではないことが明らかとなった。また従来公知のいかな
る構造であろうとも、機械的強度と被覆力の双方を満足
する不織布は得られていない。即ち、三次元網状繊維不
織布として期待される物性である。不透明性・被覆力及
び引張強度と引裂強度については極めて不満足なもので
あった。
周知の如く、不織布においては、同じ非接着の繊維シ
ートを用いて熱接着を実施した場合、引張強度と引裂強
度は略ね逆相関する。そして、これらの二つの強度の
内、一方の強度を満足させるためには他方の強度を犠牲
にしなければならないという問題がある。一般に、非接
着の繊維シートは大きな引裂強度を有しているものの引
張強力が弱く、表面の毛羽も全くとめられていない。こ
れを熱接着することによって引張力を高めて表面網羽も
良好なものとすることができるが引裂強度が低下してい
く。そして熱接着の程度を強める程、この傾向が強ま
る。
一方、網状繊維より成る不織布においては、この繊維
特有の高い被覆力を活かした用途も多く、不透明性も重
要な物性である。上記の如く、例えば引張強度の増大を
目指し熱接着の程度を強くしていくことは、この不透明
性を損うことになる。そしてあまりに強く熱接着するこ
とは透明性のあるフイルムライクなものとなってしま
う。
従って、好ましい引張強度と引裂強度の関係を有し、
かつ不透明性にすぐれた網状繊維不織布が要望されてお
り、特に60g/m2以下の目付の低い領域で絶対強度が高
く、不透明性・被覆力にすぐれた不織布が待ち望まれて
おり、本発明はこのような不織布を提供することを目的
とする。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者等は、高密度ポリエチレン系のフィブリル化
された連続三次元網状繊維が、ランダムな方向に堆積さ
れ、互いに強固に熱接着された表面層と、表面層よりも
弱くフィルム状繊維層に熱接着された内層とからなる一
体化された不織布において、前記の内層の比表面積が5.
0m2/gをこえ、該不織布の機械物性のタテ/ヨコ比が1.3
/1〜1/1.3の範囲にあり、かつ該不織布の引裂強度をX
(kg/50g/m2−エレメンドルフ法)、引張強度をY(kg/
3cm/50g/m2)として(いずれの強度も不織布の目付を標
準目付50g/m2に比例換算した値)、X≧0.4で、かつ−2
0X+28≦Y≦30であることを特徴とする引張強度と引裂
強度の高い連続網状繊維不織布であることを特徴とす
る。
本発明の不織布について、添付図面を参照して以下に
詳細に説明する。
本発明の不織布は、高密度ポリエチレン系の三次元連
続網状繊維より成っており、これらはランダムに配置さ
れ、堆積されている。即ちフラッシュ紡糸された実質的
に末端を含まない三次元網状繊維が広げられて各繊維要
素が全方向に対して、おおむね均一になるように配置さ
れ、堆積されて不織状となっている。
そして紙様の不織布としての形態保持、あるいは機械
的強度の発揮のために、表面層において繊維が熱接着さ
れている。この表面層の熱接着は強固であり、表面を指
で強く摩擦しても毛羽立つことはない。そして、この強
固に接着された層は、表面及び裏面の画面、又はいずれ
か一面を形成している。
本発明の不織布は、その表面層とは熱接着程度の異な
る内層を有している。即ち、内層では、熱接着程度が該
表面層に較べてゆるやかであり、繊維形態をより多く残
しているフイルム状繊維層である。そして、この表面層
と内層とが一体となって不織布構造を形成している。
このような不織布の断面構造自体は公知のものであ
り、先述のUSP3,532,589号報にも示されている。
しかし、本発明の不織布は従来公知の紙様の三次元網
状繊維不織布よりも、各層の比表面積が高いことを特徴
しており、それにも拘ら、かつてない高い機械的物性を
有するものである。
本発明でいう内層のフイルム状繊維層とは、一部がフ
イルム状で一部が繊維状である層をいい、無理に他の層
と剥離された層において、剥離により露出した繊維状物
の一端部を把持し、繊維として剥離しようとしても、10
〜数10cm以上の長さを有する独立した三次元網状繊維の
連続体としては採取できず途中で切断される程度の熱着
をうけた層を言う。
本発明においては、この内層の比表面積が5.0m2/gを
こえることを特徴としている。即ち、紙様の三次元網状
繊維不織布を構成する層として従来にない高い比表面積
を有し、不透明性・被覆力にすぐれた不織布である。
即ち、三次元網状繊維状物において、大きな比表面積
は、光の乱反射を生じ、不透明性・被覆力や白度を増加
させるからである。
本発明において、層の比表面積は、表面層と内装を機
械的に剥離し、剥離時に層間にまたがるフイルム状物、
又は繊維状物をあまり強く引きはがさず、カッター等で
切断して層に分離し、各層の比表面を測定することで求
められる。本発明ではこの比表面積の測定は窒素吸着の
BET法によって実施し、カルロエルバ社製ソープトマチ
ック1800を用いて測定した。
本発明において好ましくは、不織布の内層・表面層を
剥離することなく測定した不織布の比表面積が50m2/g以
上である。
本発明の不織布は、このような比表面積を有している
にも拘らず、従来にない高い機械的強度を有している。
三次元網状繊維の不織布において、比表面積が大きいこ
とは繊維間の接着が不十分であり、機械的強度は期待で
きないものであるが、本発明においては、この両者が同
時に達成されており驚くべきことである。
即ち、不織布の機械的強度を代表する引張強度と引裂
強度の関係がかつてなく良好な不織布である。
即ち、引張強度Y(kg/3cm巾/50g/m2)とエレメンド
ルフ、引裂強度×(kg/50g/m2)の間に、X≧0.4 −20X+28≦Y≦30の関係を有している。
ここにおいて、不織布の強度は基準目付に比例換算し
た値であり、本発明では基準目付を50g/m2としている。
即ち、本発明の不織布の目付は15〜200g/m2であってよ
いが、好ましくは20〜120g/m2であり、中心となる目付
が50g/m2であるためである。
この引張強度と引裂強度の関係は第1図に示される。
即ち、本発明は範囲はX=0.4,Y=30とY=−20X+28
及びX=0にかこまれる領域であることを示す。
本発明の範囲に記されたプロットは実施例で示すデー
タであり、同一繊維を用いたものは同一の印でプロット
したものである。
一方、本発明の範囲外の点線及び一点鎖線は比較例に
あげた繊維を用いたデータでの関係を示している。
不織布は、通常方向性があるために、その機械的物性
を測定するにおいて、タテ方向及びヨコ方向、そして必
要に応じて斜め方向が測定される。本発明の不織布は、
先述の如く網状繊維の各繊維要素が全方向に堆しておお
むね均一になるように配置されているため、タテ方向と
ヨコ方向の物性を測定し、その平均が採用されてよい。
そして、このタテ/ヨコの物性比は本発明においては1.
3/1〜1/1.3の範囲に含まれる。
また、不織布中の繊維の方向性については、各方向に
対するマイクロ波偏波の透過率からも比較的容易に求め
ることが可能で本発明の不織布の方向に対する均一性を
確認できる。そして、マイクロ波から求められる方向性
と機械的強度、特に引張強度の方向性はほぼ一致する。
このマイクロ波により不織布の方向性は、例えば神崎
製紙社製「マイクロ波分子配向計」MOA−2001Aを用いて
測定できる。
本発明において、不織布の引張強度はJIS−L−1068
によって測定し、これを基準目付50g/m2に比例換算した
ものをY(kg/3cm巾/50g/m2)とした。又、不織布のエ
レメンドルフ引裂強度は、JIS−L−1085によって測定
し、同じく基準目付に換算したものをX(kg/50g/m2
とした。
次に本発明の三次元網状繊維不織布を得る好適を例に
示す。
通常、熱接着不織布を製造するにおいて、不織布の物
理的性質は基本的にそれぞれ構成する繊維の性質によっ
ていることは明らかである。即ち、繊維を広げてシート
可す方法、あるいはそのシートを熱接着する方法にいか
に工夫をこらしても得られる不織布の物理的な性質は、
構成する繊維の機械的性質、熱的性質、光学的性質等に
依存している。例えば、熱接着された不織布の機械的性
質は、構成する繊維の機械的性質及び熱的性質によって
いること、また、不織布の光学的性質は、繊維の光学的
性質及び熱的性質によっていること等は容易に理解され
るであろう。
フラッシュ紡糸繊維シートを熱接着する方法は各種公
知の方法が採られる。そして、高密度ポリエチレンで
は、不織布としての強度の発現や形態保持、そして表面
毛羽止めのためには結晶融点に近い温度で接着される。
従って、熱接着不織布を考える場合、繊維間のの熱接着
性が強固であると共に、熱接着時に収縮が生じにくいこ
とが、接着温度近傍の高温で繊維の機械強度が高いこと
等が繊維として要求される。
このような意味から、従来公知の紡糸したままの三次
元状繊維で満足すべき繊維は知られていない。即ち、機
械的強度が劣っている、接着温度近辺での劣化が大き
い、そして熱接着不織布とした場合の機械的強度(引張
・引裂等)が悪い、白度・被覆力が不十分である、斑が
目立つ等の問題点を有していた。
そして、本発明者らは、熱接着不織布に適する三次元
網状繊維を得るに至り、本発明に示される新規な三次元
網状繊維不織布を完成したのである。
本発明の不織布を得る繊維は、高密度ポリエチレン系
のポリマーから構成された繊維である。そして、多数の
微細なフィブリルより成り、本質的に自由端を含まない
連続した三次元網状繊維である。
このような三次元網状繊維は前述の如く、フラッシュ
紡糸から得られることは公知である。しかし、本発明の
三次元網状繊維は、繊維の微細構造において、そして フィブリル形態の細かさ及び機械的強度において、従
来公知の繊維とは異なる三次元網状繊維である。それ故
に、機械的に強度及び高温時の特性や接着性にすぐれた
ものである。
この繊維は、微細構造上、繊維軸方向の長周期構造に
特徴を有している。そして、このことはX線小角散乱を
測定することによって明確にされる。
第2図にこの繊維のX線小角散乱写真を模式的に図示
する。
直射ビーム1の近くの赤道線上にフィブリルやボイド
の存在を示す散乱像2を示すと共に、小午線上に層線状
散乱像3を提する。一般に高分子物質の長周期のX線小
角散乱像として、円環状散乱、層線状散乱、層線様二点
散乱、層線状四点散乱等が知れており、この繊維は、通
常の紡糸・延伸を経る延伸糸の長周期構造に類似してい
ることが判る。
そして、子午線方向の位置敏感型比例計数管(PSPC)
による測定での散乱ピークの解析によれば、この網状繊
維は150〜200Åの長周期を有している。さらに、長周期
による散乱強度が大きくないという予想外の特徴を見い
出した。即ち、長周期の散乱強度の意味から考えれば、
散乱強度が小さいということは、長周期構造を不均一で
ある、あるいは明確でないと考えられ、繊維の微細構造
としては機械的物性上、又熱的特性上好ましくないこと
が予想された。しかし以外にもこの構造故に融点近辺の
高温特性にすぐれており、熱接着不織布に適する三次元
網状繊維となっている。
長周期及びその散乱強度比は次のように定量される。
子午線方向のPSPCによる、実測散乱強度対角度プロッ
トを第3図に示す。
散乱強度曲線のピーク又はショルダーの部分の極大を
示す位置を長周期散乱角度(2θ)とし、この値をMと
する。この位置が求めにくい場合は、実測散乱強度にLo
rentz因子L=(2sinθ/λ)をかけて求めたInvaria
nt強度のプロット、即ちInvariantプロットより求め
た。
そして、第3図における長周期散乱ピーク又はショル
ダーの両端の変曲部の共通接線Pを描く。角度Mの実測
散乱強度値Aとし、線P上の値をBとする。一方角度
(2θ)2.5゜の実測散乱強度(ブランク)の値をCと
して、散乱強度比DをD=(A−B)/Cとして求める。
長周期はBraggの式 に2θ=Mを入れることによって求められる。
このようにした本発明の新次元網状繊維は長周期が15
0〜200Åであり、長周期散乱強度比は40以下である。
このX線小角散乱は、次に示す装置・方法を用いて測
定された。X線回折装置は理学電機社製RV−200−PL、
X線はCu−Kdで1.54Å、ピンホールスリットとして1st
SLIT0.5mmφ、2nd SLIT0.3mmφを用いた。測定電圧は4.
5kV、電流は140mAで照射時間は2×103secとした。測定
用のサンプルは、網状繊維を揃えて照射部分のサンプル
巾が約2.5mmになるように作った。
この繊維は、特有の微細繊維構造を有しており、融点
近傍での熱機能物性や接着性にすぐれている。
繊維の熱的な特質は各種方法の測定で知ることが出来
る。そして、この熱物理的な測定は、不織布としての使
用を想定し、撚りのない状態で行なわれる。
この網状繊維は熱接着温度近傍での熱機械特性が良好
で加熱時の伸長率が小さいことを特徴を有している。即
ち、熱機械試験機(TMA)と試験において、デニールの1
/10の一定荷重下で昇温する時の130℃での伸長率が好ま
しくは3%以下であり、さらに好ましくは2%以下であ
る。測定は、真空理工社製「TM−3000」を用いて、2℃
/分の昇温速度で測定された。
又、バイブロンによる測定においても、熱的及び動的
性質を知ることが出来る。即ち、本発明の網状繊維は、
高温でも高い動的弾性率を示し、例えば動的弾性率が10
10dyn/cm2になる温度は、115℃以上が好ましい。
さらに、高温時の結晶の安定性はtanδの結晶分散は
開始温度で評価される。そして、この繊維は結晶分散の
開始温度が好ましくは123℃以上、さらに好ましくは125
℃以上の高い値を示し、接着温度近傍での結晶の安定性
にすぐれていることが判る。これらの測定は、動的粘弾
性測定装置を用いて実施され、本発明では東洋ボールド
ウィン社製「RHEOVIB RON DDV−II−EA」を用い、周波
数110Hz、昇温1℃/分で行った。
この網状繊維は、また高度に配向された繊維であり、
このことはX線回折により結晶配向角を測定することに
より明らかになる。即ち、X線による配向度は30゜以下
が好ましい。さらに好ましくは20゜以下である。
また、赤外吸収二色性からも高分子の結晶部と非晶部
の配向が測定されることが知られており、二色比配向係
数▲F20 D▼で評価される。ポリエチレンの平行二色性
バンドである2017cm-1での繊維の二色比配向係数は0.3
以上であることが好ましい。ここでは、日本電子社製
「JIR−100」のFT−IR装置を使用し、ATR結晶としてKRS
−5を用いる方法で測定した。
さらに、マイクロ波による繊維の複屈折測定も分子の
配向の程度を現わすものとして用いることが出来る。不
織布中の繊維の配向方向の評価に用いたのと同じ神崎製
紙社製「マイクロ波分子配置向計」MOA−2001A型による
4GHzの複屈折において、この網状繊維は好ましくは0.13
以上の複屈折の値を示す。
三次元網状繊維は、極めて繊維的強度がすぐれてい
る。三次元網状繊維は、網状に分岐しており、そのまま
で糸の強伸度を測定する場合、繊維要素間ですり抜け等
が生じ値のバラツキが大きくなる。従って、引張試験に
おいて、4回/cmの撚りをかけて測定した。このような
測定における繊維は、初期モジュラスが20〜50g/dであ
り、好ましくは20〜50g/dであり、破断強度は4.0g/d以
上、好ましくは7.0g/d以上である。
この三次元網状繊維は、そのフィブリル化の形態にお
いて、極めて微細なフィブリルから成っていることが好
ましい。そして、この三次元網状繊維の比表面積が30m2
/g以上であることが好ましい。
本発明者らは、この三次元網状繊維を次のようなフラ
ッシュ紡糸機構より得た。即ちポリマーの均一溶液に瞬
間的に活性化を与え、従来公知の一液相から二液相への
変化による相分離構造とは異なっ活性化構造とした後、
紡糸ノズルより紡出し、その活性化構造に基づく繊維構
造を結成させることにある。ここでいう「活性化」と
は、減圧オリフィスと通過する際の圧力損失を大きくす
ることであり、少なくとも80kg/cm2、さらに好ましくは
120kg/cm2以上の圧力損失とすることによって活性化を
行うことにある。この活性化は、密度や濃度の大きなゆ
らぎによって生じるものであり、溶液に極めて微細に相
分離したかの如き構造を一時的に与える。
そして、この状態で紡糸ノズルより吐出することによ
ってこの三次元合状繊維が得られる。即ちこの微細な活
性化構造から低圧・低温域に開放された溶剤が急激に気
化し、膨張しようとするフラッシュ力が凝固をはじめる
ポリマーに配向を与えることになり、高度に配向した三
次元網状繊維を形成する。
この活動化は瞬間的なものであり、静的平衡状態で測
定される相図の一液相領域内からの紡糸でも好ましい三
次元網状繊維を得ることが出来る。従って、この活性化
構造から得られる繊維は、従来公知の繊維とは異なり、
比表面積が30m2/g以上の極めて微細なフィブリルより成
っている。そして、独特な長周期構造を有する高強度の
三次元網状繊維である。
そして、このポリマーと溶剤とから成る溶液の活性化
は、重合度が大きく、かつ分子量分布の狭いポリマーに
対して、上記の圧力損失を大きくすることが有効に作用
することが本発明者らの研究で明らかにされた。
上記の如く、極めて微細なフィブリルより成り、長周
期に独特の構造を有し、かつ高温特性にすぐれた網状繊
維から成る熱接着布が本発明の不織布であり、その高い
機械的強度によって特徴づけられる。
三次元網状繊維不織布については、前述の特公昭42−
19520号報,特公昭43−21112号報をはじめ、多くの研究
が成され、すでに一部は商品として市販(Lu Pout社:Ty
vek )されている。それにも拘らず本発明に示される
如く良好な機械的物性を有するものは知られていない。
本発明の不織布は不透明性にすぐれていることもその
特徴である。即ち、従来公知の熱接着方法によっても、
本来その網状繊維が有する比表面積が大きいために光を
乱反射しやすくすぐれた不透明性を有する。さらに、機
械的強度が高く、高温特性が良好であるため、熱接着に
よって繊維が損傷されることが少なく、接着程度を高く
せずとも機械的強度が発現されることと相まって、不透
明性にすぐれた不織布となっている。
この不織布の不透明性は、包材、筒封、衣料等の被覆
材として非常に重要な性質であり、肉眼での観察結果と
合致する方法として、He−Neレーザー透過光量を測定す
る方法が推奨される。この測定は暗室内で出力5mWビー
ム径2.5mmφのレーザー光を不織布を照射させ、不織布
を透過する光量をレーザーパワーメーターで測定し、こ
の位置を連続してずらして平均することによって求め
た。
当然不織布の目付によって透過光量が変化し、目付が
増加すれば光量は減少する。本発明の不織布において
は、目付けが25g/m2で25μW以下の光量であり、40g/m2
では20μW以下、50g/m2では18μW、以下、60g/m2では
16μW以下であり、比較的低い目付においても従来にな
い良好な被覆力を示している。さらに、25g/m2で22μW
以下、40g/m2で16μW以下、50g/m2で14μW以下、60g/
m2で12μW以下であることが好ましい。
又、本発明の不織布は、上記の如き機械的強度と不透
明性を保持しつつ、その他の有用な物性を有することが
できる。
即ち、如何なる接着方法を採るかによって、これらの
バラエティーを持たせることが可能である。即ち、本発
明の不織布は、その熱接着において、従来公知のいかな
る方法も採ることが出来る。そしてその不織布の機械的
強度が高いことをめざすため、接着面積を多くできる熱
接着法が採用される。即ち、フラットロールを用いる、
1000個/cm2以上の浅いエンボスロール、あるいはサンド
ブラストロールを用いるロールプレス法やロールカレン
ダー法、そしてフエルトカレンダー法が採られてよい。
これらから得られる本発明の不織布は接着表面は平滑な
外観を提する。
そしてこれらから付与できるその他の物性として、10
00mmH2O以上5000mmH2O以下の耐水圧や1〜104゜sec/50m
lの範囲ガーレー・ヒル透気度の不織布であり、各種の
用途に使いうる。
耐水圧の測定はJIS L1092に従って測定した。又ガー
レー・ヒル透気度はB型ガーレ式デンソメーターで測定
した。
本発明の不織布は、高密度ポリエチレン系より成って
いる。主として用いられる高密度ポリエチレンに特に制
限はなく密度0.94以上の高密度ポリエチレンでよい。
又、100%エチレン単位から成るものの外、10モル%以
内のエチレン以外のモノマー成分をランダム又はブロッ
クで共重合したポリマーであってもよい。(当然、ポリ
マー中に添加剤が含まれることも任意であり、熱安定
剤、紫外線安定剤、滑剤や顔料等も本発明を損わない範
囲の量で含まれていてよい)又、この高密度ポリエチレ
ンと他のポリマーをブレンドして成ることも当然可能で
あり、目的に応じて用いることが出来る。特にこの三次
元網状繊維はその特殊な構造故に高強度であり、従来高
密度ポリエチレンに他のポリマーをブレンドすることで
強度低下を生じ実用できなかった種類のポリマーをブレ
ンドすることも可能である。高密度ポリエチレンとブレ
ンドされるポリマーとしては、低密度ポリエチレン、エ
チレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、ポリプロ
ピレン、ポリスチレン、ポリメチレンメタクリレート等
が挙げられる。
本発明の網状繊維不織布を成す高密度ポリエチレン
は、重合度は高いことが好ましい。紡出され不織布化さ
れた繊維のメルトインデックス(MI)は1以下であるこ
とが好ましい。さらに好ましくは0.5以下である。(MI
の測定はASTM D−1238−57T条件Eによる)そして、不
織布を構成するポリマーの分子量分布が狭いことも重要
である。即ち、同様のMIであっても分子量分布が広けれ
ば、本発明の不織布よりも性能の劣ったものになる。本
発明の分子量分布はMw/Mnで15以下、さらに好ましくは1
0以下である。当然ながら本発明の繊維を得るために用
いる原料ポリマーのMIは、本発明の繊維のMIと等しい
か、それ以下のポリマーが用いられる。本発明の不織布
は、フラッシュ紡糸されたままの三次元網状繊維を広げ
て繊維要素がランダムな方向に配置された堆積された非
接着シートを先述の如く熱接着したものである。この非
接着シートを得るためのプロセスは従来公知の任意のプ
ロセスが選択されてよい。
本発明の不織布を構成する繊維を得るための溶解プロ
セスは、特に制限されることはなく、従来公知の溶解プ
ロセスを用いることが出来る。この繊維は、高分子量で
分子量分布の狭い高密度ポリエチレンから成っており、
原料ポリマーを短時間で溶剤に溶解し、紡糸してポリマ
ーの変質を防止することが必要であり、又、紡糸機構か
ら高圧での溶解を必要としている。これらの意味から、
本発明者らがすでに出願している特願61−91254,及び特
願61−96826に示される如きプロセスが、本発明の実施
に適している。
又、そのために用いる溶剤も特に制限されることな
く、従来公知の溶剤が用いられてもよい。好ましくは、
トリクロロフルオロメタンであり、塩化メチレン、トリ
クロロトリフルオロエタン等のハロゲン化炭化水素、シ
クロヘキサン等の炭化水素が用いられる。
又、この繊維を得るための紡口アセンブリーは先述の
紡糸機構をとり得るものであれば制限されることはな
い。即ち、均一溶液を活性化するための減圧用オリフィ
ス、減圧室やノズル等は従来公知の形状のものが任意に
用いられてよい。
又、この三次元網状繊維を広げて、非接着の不織シー
トとする方法としても従来公知の如何なる方法・装置が
用いられてもよい。基本適には、紡出される網状繊維を
広げる衝突装置、衝突して広がった繊維の進行方向を決
める装置、広がった繊維に電荷を与える装置、繊維を受
け取る堆積させる装置より成っている。即ち、特公昭42
−19520号報、特公昭44−21817号報やUSP3,456,156号
報、さらにそれらの改良等多数の方法が公知であり、こ
れらを用いることができ、特に制限されることはない。
〔実施例〕
以下に実施例をあげて本発明を具体的に説明する。
実施例1 ポリマーを連続して溶融供給する押出機、溶剤を連続
注入する定量ポンプ、及びこれらを連続的に混合するた
めの装置より成り溶液調整設備と、減圧オリフィス、容
積が約2ccの減圧室、そして紡糸ノズルより成る紡口ア
センプリーが連続しフラッシュ紡糸を行う。
高密度ポリエチレン(MI=0.31,Mw/Mn=4.8,密度0.96
0)とトリクロロフルオロメタンからポリマー濃度9.2wt
%の均一溶液を調整し、0.55mmφ−5mmLの減圧オリフィ
ス、0.55mmφ−0.55mmLの孔とそれに続く3mmφ−3mmLの
トンネルフレアーを有する紡糸ノズルから成る紡口アセ
ンブリーを用いてフラッシュ紡糸を実施した。
ポリマー流速7.5kg/Hrにおいて、溶液は191℃で325kg
/cm2Gを示し、減圧室内では温度191℃、圧力110kg/cm2G
に変化して、紡糸ノズルより繊度が10.1dで純白の連続
した三次元網状繊維を得た。
この繊維は、比表面積が41m2/gであった。
そして、X線小角散乱による長周期が162Åで、長周
期による散乱強度比は8.4であった。
撚り回数が4回/cmでの引張試験において、初期モジ
ュラスが38.5g/d、破断強度が9.3g/dであった。
又、TMAでの130℃での伸長率は1.5%、バイブロンで
の動的弾性率が1010dyn/cm2である温度122℃、tanδの
結晶分散開始温度は126℃であった。
そして、X線回折による配向角は18゜で、波数2017cm
-1での赤外吸収二色性による配向係数▲F20 D▼は0.43
の値を示した。また、マイクロ波複屈折は0.147であ
る。
この繊維はMI=0.34,Mw/Mn=4.8であった。
次にこの繊維を、USP3,456,156号報に示されるが如
き、回転偏向板、コロナ放電装置を有する分散装置を用
いて、移動するネットコンベア上に捕集した。この時、
紡口から吐出する三次元網状繊維は、巾が30〜60mmに広
がった状態でネットコンベア上に連続的に左右に振られ
ながら堆積された。この非接着シートを全面圧着ロール
(温度135℃)とゴムロールの間で線圧13kg/cmのプレス
を表裏各1回、10m/分で実施した。
このようにして得られた振織布は内層及び表面層に剥
離した時のそれぞれの比表面が8.6m2/g、6.0m2/gであっ
た。又、層を剥離することなく不織布全体として測定し
た比表面積は6.4m2/gであった。
この不織布は、目付40g/m2で引張強度がタテ/ヨコが
13.8/14.2(kg/3cm幅)、エレメンドルフ引裂強度1.02/
1.02(kg)、これを基準目付50g/m2に換算した値は引張
強度がタテ/ヨコが17.3/17.7(kg/3cm巾)、エレムン
ドルフ引裂強度が、1.28/1.28(kg)という高強力不織
布であった。
又、この不織布のレーザー透過光量は13.7μWであ
り、十分な不透明性を有していた。
そして、この不織布は、耐水札3600mmH2Oで、ガーヒ
ーヒル通気度は900sec/50mlであった。
また、不織布のMI及び分子量分布は繊維のそれと変わ
らなかった。
実施例2〜5 実施例1と同じ方法で得た非接着不織シートを同じプ
レスロールを使用して各種の条件で接着を実施した。接
着は表裏各1回実施し、その結果を表1に示す。
実施例6〜9 実施例1と同じ溶解装置及び紡口アセンブリーを用い
て、高密度ポリエチレンをMI=0.78、Mw/Mn=8.0、密度
0.962に変更し、トリクロロフルオロメタンの12.4wt%
の溶液を作製して紡糸を行った。
ポリマー流速9.7kg/Hrで溶液圧力210kg/cm2Gから減圧
室内圧力83kg/cm2Gに変化し(減圧室温度190℃)、紡糸
ノズルから吐出される繊度145dの純白な連続した三次元
網状繊維を得た。
この繊維は比表面積が33m2/gであった。
そして、X線小角散乱での長周期が173Åで長周期の
強度比が19.2であった。
この繊維は撚り回数4回/cmでの引張試験において、
初期モジュラスが23.6g/d、破断強度は7.4g/dの値を示
した。
また、TAM測定の130℃での伸長率は1.7%であり、バ
イブロンでの動的弾性率が1010dyn/cm2になる温度は116
℃、tanδの発散開始温度が124℃の高温特性を有してい
る。
そして、X線回折による結晶配向角は27℃であり、波
数2017cm-1での赤外配向係数▲F20 D▼は0.51である。
また、マイクロ波複屈折は0.133の値を示した。
なお、この紡糸した繊維は、MI=0.94でMw/Mn=6.0と
測定された。 この繊維を、実施例1と同様にして、30
〜65mmに広げながら、左右に振りつつ、ネットコンベア
上に捕集した。実施例1〜5に使用したロールを用いて
熱接着を行った。表・裏の各1回を処理し、表2の結果
を得た。
実施例10〜13 実施例6〜9の溶解装置を用い、同じポリマーで濃度
12.0wt%のトリクロロフルオロメタン溶液を作製して紡
糸を行った。但し、この時、減圧オリフィスは0.6mmφ
−5mmL、紡糸ノズルは0.5mmφ−0.5mmLの孔と4mmφ−4m
mLのトンネルフレアーから成る紡口アセンブリーを用い
た。
ポリマー流速7.4kg/Hrにおいて、溶液圧力270kg/cm2G
から減圧室圧力98kg/cm2G(温度186℃)に減じ、紡糸ノ
ズルより吐出された繊維は繊度106dの純白の連続した三
次元網状繊維であった。
この繊維は、比表面積が38m2/gであり、4回/cmの撚
りでの引張試験で、初期モジュラスが33g/d、破断強度
が7.9g/dの値を示した。
又、この繊維のX線小角散乱から、長周期は175Åで
長周期散乱強度比は150であることが判った。
そして、TMAの130℃での伸長率は1.5%であり、バイ
ブロンで動的弾性率が1010dyn/cm2になる温度は120℃、
tanδの結晶分散開始温度は124℃であった。
この繊維のX線回折による配向角は20゜で、赤外での
配向係数▲F20 D▼は0.53であり、繊維のMI=0.93はMw/
Mn=6.3である。
この繊維を実施例1と同様にネットコンベア上に非接
着シートとして捕集した後、同様にロールで両面を接着
した。この結果を表3に示す。
比較例1 実施例1の溶解装置を用いて、高密度ポリエチレン
(MI=5.0、Mw/Mn=7.0 密度0.969)のトリクロロフル
オロメタン10wt%溶液を作成した紡糸した。この際、減
圧オリフィスを0.7mmφ−5mmL、紡糸ノズルを0.7mmφ−
0.7mmLの孔とそれに続く4mmφ−4mmLのトンネルフレア
ーを有する紡口アセンブリーを用いた。
ポリマー流速8.8kg/Hrにおいて、溶液圧力130kg/cm2G
が減圧室圧力53kg/cm2G(温度173℃)に低下し紡糸ノズ
ルよ、繊度157dの連続した三次元網状繊維を得た。
この繊維は、比表面積が18m2/gであり、撚り回数4回
/cmの引張試験での初期モジュラスが10.8g/d、破断強度
は3.8g/dにすぎなかった。
又、X線小角散乱の測定では、長周期が133Åで、散
乱強度比は52.4であった。
そして、TMAによる130℃での伸長率は3.6%であり、
バイブロンでのtanδの結晶分散開始温度は113℃で熱的
性質が劣るものであった。
この繊維を用いて実施例と同じように比接着ウエブを
得て同様の熱接着を行った。
表面毛羽を止め、引張強力を有するように接着する場
合張強度、引裂強度の関係は第1図の破線に示される領
域であり、内層の比表面積は2.5〜4.0m2/gの値を示し
た。又、レーザー透過光量による不透明評価も劣ったも
のである。
比較例2 三次元網状繊維不織布で市販されているDu Pout社のT
yvek の紙様タイプ(10タイプ)について、本発明の三
次元網状繊維不織布と比較した。
いずれも内層の比表面積が5.0m2/g未満であり、レー
ザー透過光量で示される不透明性や引張・引裂強度が本
発明の不織布にう劣ったものであった。
実施例14 押出機、第一溶剤注入部、スルリューに付設された機
械的混合部、第二溶剤注入部、静的混合部、紡糸装置か
ら成る装置を用いて、フラッシュ紡糸を行った。
機械的混合部はスクリュー(径35mmφ)に連続したダ
ルメージ部及びピンミキサー部から成る。
静的混合素子はスルザー社製ミキサーSMX型(呼び径1
5mmφ)で、形態は金属細片が井桁状に溶接されそれら
が90゜ずつ角度をずらせて連結されている。このものを
50段用いた。
溶剤注入部は、二連の定量プランジャーポンプと連結
されている。
紡糸装置は、ろ過用フィルター、0.6mmφ−5mmLの減
圧用オリフィス、約2ccの減圧室、0.55mmφ、0.55mmLの
孔とそれに続く3mmφ、3mmLのトンネルフレアーを有す
る紡糸ノズルの組み合せとした。
ポリマーとして、高密度ポリエチレン(MI=0.31、Mw
/Mn=4.8、密度0.960)を押出機のホッパーより供給
し、二台の定量ポンプから同一量のフロン−11を供給す
る。ポリマー流速8.8kg/Hrにおいてポリマー濃度を12wt
%とした。この時溶液は温度190℃、圧力350kg/cm2Gを
示し、減圧室内では温度190℃で圧力110kg/cm2Gであっ
た。従って減圧オリフィス前後の圧力差は240kg/cm2
あり、減圧室内の条件は1液相領域内の条件であった。
その結果、紡糸ノズルより高度にフィブリル化した純白
の連続した三次元網状繊維が吐出された。
この繊維は、繊度が112dで、比表面積は48m2/mであっ
た。そして、X線小角散乱による長周期が165Åで長周
期による散乱強度比は6.7であった。
撚り回数が4回/cmでの引張試験において初期モジュ
ラスが40.3g/d、破断強度が9.5g/dであった。
又、TMAでの130℃で伸長率は1.5%、バイブロンでの
動的粘弾性率が1010dyn/cm2である温度は123℃、tanδ
の結晶分開始温度は127℃であった。
そして、X線回折による配向角は16゜で、波数2017cm
-1での赤外吸収二色性による配向係数▲F20 D▼は0.50
の値を示した。また、マイクロ波複屈折は0.149であ
る。
この繊維はMI=0.35、Mw/Mn=4.6であった。
この三次元網状繊維から実施例1と同様にして比接着
不織ウエブを得た。この非接着不織ウエブをフェルトカ
レンダーで両面処理した。136℃に加熱したドラムで35m
/分の高速で処理し、表面が熱接着された紙様の不織布
を得た。
この不織布の内層部の比表面積は5.2m2/gであった。
また、この不織布は目付60g/m2でレーザー平均透過光量
が8μWで、ガーレヒル透気度は44secであり、被覆力
にすぐれた通気性のある不織布であり、封筒、ラベル、
通気性包装材、その他多様な紙的用途に利用しうるもの
である。この不織布のタテ/ヨコの物性は目付50g/m2
換算して引張強力が、17.1/17.6(kg/3cm)でエレメン
ドルフ引裂強力は1.0/1.1(kg)であった。第4図(写
真)(a)は得られた不織布の長手方向に切断して現わ
れた断面の顕微鏡写真である。第4図(写真)(b)は
後述の比較例2のTyvek Cの同様にして得た断面の顕
微鏡写真である。本実施例の不織布は、比較例と比べて
同様の目付であるにもかかわらず、厚さが大で三次元網
状繊維より密に詰まっている。これは、二次元網状繊維
のフィブリルがより細かいことを示している。
〔発明の効果〕
本発明の紙様の三次元網状繊維不織布は、それを構成
する繊維の機械特性、熱接着特性から、比表面積の大き
な内層と、大きな機械的強度(引張強度と引裂強度)を
有する新規な不織布である。そのため、被覆力、均一
性、機械的強度の点で従来にない性能の展開が可能とな
り、比較的低目付領域(25〜70g/m2)に適用されるのが
好ましい。
本発明の不織布の用途としては、封筒、ブックカバ
ー、壁装材、ハウスラップ・屋根下材等の建材用途、減
菌包装材、衛生材料等の他、ろ過性能を活かしたフィル
ター等に使用でき、非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の不織布の引張・引裂強度の関係図、 第2図は本発明を得るための繊維のX線小角散乱像を示
す模式図、 第3図は本発明を得るための繊維のX線小角散乱のPSPC
における長周期による散乱強度比を求める方法を説明す
るための図。 第4図は不織布の断面を示す顕微鏡写真であって第4図
(a)は本発明による不織布、第4図(b)図は、比較
例の不織布の断面をそれぞれ示す。 1……直射ビーム、2……赤道線上の散乱像、3……子
午線上の散乱像。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高密度ポリエチレン系のフィブリル化され
    た連続三次元網状繊維が、ランダムな方向に堆積され、
    互いに強固に熱接着された表面層と、表面層よりも弱く
    フィルム状繊維層に熱接着された内層とからなる一体化
    された不織布において、前記の内層の比表面積が5.0m2/
    gをこえ、該不織布の機械物性のタテ/ヨコ比が1.3/1〜
    1/1.3の範囲にあり、かつ該不織布の引裂強度をX(kg/
    50g/m2−エレメンドルフ法)、引張強度をY(kg/3cm/5
    0g/m2)として(いずれの強度も不織布の目付を標準目
    付50g/m2に比例換算した値)、X≧0.4で、かつ−20X+
    28≦Y≦30であることを特徴とする引張強度と引裂強度
    の高い連続網状繊維不織布。
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