JP2004242422A - 電動機の回転駆動制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は同期電動機をセンサレスで効率よく駆動するための電動機の回転駆動制御装置に関し、電動機の効率的な駆動を可能とすることを目的とする。
【解決手段】電動機のコイルの通電状態を切り換えるスイッチング素子とそのスイッチング素子に併設される還流ダイオードとを含むインバータを設ける。コイルが無通電状態となった後(時刻t2)、コイルに生ずる逆起電圧(正弦波)の積分値と、電動機の中性点電位の積分値を求め、両者が一致した時点で、無通電状態のコイルが通電状態となるように、インバータ内の状態を切り換える。逆起電圧の積分手段は、無通電状態のコイルに還流電流が流通する期間(t2−t3)は、還流電流の影響が排除されるように端子電圧に補正を施す(図4(C)、t2−t4)。
【選択図】 図4
【解決手段】電動機のコイルの通電状態を切り換えるスイッチング素子とそのスイッチング素子に併設される還流ダイオードとを含むインバータを設ける。コイルが無通電状態となった後(時刻t2)、コイルに生ずる逆起電圧(正弦波)の積分値と、電動機の中性点電位の積分値を求め、両者が一致した時点で、無通電状態のコイルが通電状態となるように、インバータ内の状態を切り換える。逆起電圧の積分手段は、無通電状態のコイルに還流電流が流通する期間(t2−t3)は、還流電流の影響が排除されるように端子電圧に補正を施す(図4(C)、t2−t4)。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動機の回転駆動制御装置に係り、特に、同期電動機をセンサレスで効率よく駆動するうえで好適な電動機の回転駆動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、同期電動機をセンサレスで駆動する装置としては、例えば、米国特許第4,928,043号公報に開示される装置が知られている。この装置は、電動機が有する3つのコイルのそれぞれに対応する3組のスイッチング素子対と、個々のスイッチング素子に併設された6つの還流ダイオードとを含むインバータ回路を備えている。インバータ回路は、いわゆる120度通電の手法で制御されるため、電動機が有する3つのコイルは、それぞれ、120度通電される毎に60度無通電状態とされる。
【0003】
コイルが無通電状態とされる60度の間は、そのコイルに逆起電圧が発生する。そして、その逆起電圧は、コイルが無通電状態とされた後、電動機の中性点電位より低い(または高い)値から、その中性点電位より高い(または低い)値に変化する。ここで、120度通電の手法で電動機を駆動する場合、優れた駆動効率を得るために、コイルに生ずる逆起電力が、そのコイルが無通電状態とされる60度のほぼ中央で上記の中性点電位と一致することが望ましい。換言すると、120度通電の手法で電動機を駆動する場合、無通電状態のコイルに生ずる逆起電力が電動機の中性点電位より低くなる期間と、その逆起電力が中性点電位より高くなる期間とがほぼ均衡するようにインバータを制御することが、高い駆動効率を得る上で有効である。
【0004】
従来の装置は、上記の要求に応えるべく、コイルが無通電状態になった後、コイルの端子に生ずる逆起電圧と、3相コイルの電圧から得られた中性点電位との差分より得られる誤差の積分値に基づいて、そのコイルの無通電状態を解除すべくインバータの状態を変化させる。より具体的には、従来の装置は、通常は逆起電圧と中性点電位との差分の積分値がゼロとなる時点でコイルの無通電状態を解除すべくインバータの状態を変化させる。また、この装置は、駆動パルスの基準となるVCO信号の周波数を上昇或いは下降させることにより、目標回転数との差異を縮小するための通電時間制御を併せて行っている。
【0005】
【特許文献1】
米国特許4,928,043号公報
【特許文献2】
特開2002−95283号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の装置において、インバータに内蔵される個々のスイッチング素子がオン状態からオフ状態に変化した直後には、そのスイッチング素子に併設されている還流ダイオードを通って還流電流が流通する。具体的には、電動機のU相を通過した電流を接地電位線に流通させるためのスイッチング素子がオンからオフに変化した直後は、U相コイルに蓄えられているエネルギが消費されるまでの間、U相コイルには還流電流が流通し続ける。
【0007】
この還流電流は、インバータの内部において、U相コイルから電源電位線に向かう電流の流れを許容する還流ダイオードを通って流通する。そして、その電流が流通している間は、U相コイルの端子電圧が電源電位にまで上昇し、還流電流が消滅して初めて、U相コイルの端子電圧は、本来の電位、つまり、逆起電圧に起因する電位となる。
【0008】
このように、上述した従来の装置において、無通電状態のコイルの端子電位は、必ずしも常にそのコイルに発生する逆起電圧の大きさと一致しない。このため、コイルの端子電圧と中性点電位との差分の積分値に基づいて、そのコイルを無通電状態から通電状態に変化させたのでは、電動機を効率良く駆動するうえでの理想的なタイミングでインバータを動作させることはできない。この点、従来の装置は、電動機を効率的に駆動するうえで、未だ改良の余地を残すものであった。
【0009】
本発明は、上記のような点に鑑みてなされたものであり、無通電状態のコイルを通電状態に変化させるタイミングを、電動機を効率的に駆動するうえでの理想的なタイミングに設定することのできる電動機の回転駆動制御装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、上記の目的を達成するため、電動機の回転駆動制御装置であって、
電動機のコイルの通電状態を切り換えるスイッチング素子と当該スイッチング素子に併設される還流ダイオードとを含む通電制御手段と、
無通電状態のコイルに生ずる逆起電圧の積分値を求める逆起電圧積分手段と、
前記コイルが無通電状態となった後の電動機の中性点電位の積分値を求める中性点電位積分手段と、
前記逆起電圧の積分値と前記中性点電位の積分値とが一致した時点で、無通電状態の前記コイルが通電状態となるように、前記スイッチング素子の状態を切り換えるスイッチング素子制御手段とを備え、
前記逆起電圧積分手段は、
無通電状態のコイルの端子電圧を検出する端子電圧検出手段と、
無通電状態のコイルに還流電流が流通する期間は、当該還流電流の影響が排除されるように前記端子電圧に補正を施す補正手段と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
また、第2の発明は、電動機の回転駆動制御装置であって、
電動機のコイルの通電状態を切り換えるスイッチング素子と当該スイッチング素子に併設される還流ダイオードとを含む通電制御手段と、
無通電状態のコイルに生ずる逆起電圧と、前記コイルが無通電状態となった後の電動機の中性点電位との差分の積分値を求める差分電位積分手段と、
前記差分の積分値の正負判断に基づいて、無通電状態の前記コイルを通電状態とするための前記スイッチング素子の状態切り換えを行うスイッチング素子制御手段とを備え、
前記差分電位積分手段は、
無通電状態のコイルの端子電圧を検出する端子電圧検出手段と、
無通電状態のコイルに還流電流が流通する期間は、当該還流電流の影響が排除されるように前記端子電圧に補正を施す補正手段と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、前記補正手段は、無通電中のコイルの端子電圧を、所定の逆起電圧相当値に置き換える疑似電圧発生手段を含むことを特徴とする。
【0013】
また、第4の発明は、第3の発明において、
前記補正手段は、電動機のコイルが無通電状態に維持されるべき期間より短く、かつ、無通電中のコイルに還流電流が流通する期間以上のマスク期間を設定するマスク期間設定手段を備え、
前記疑似電圧発生手段は、電動機のコイルが無通電状態となった後、前記マスク期間が経過するまでの間、当該コイルの端子電圧を前記逆起電力相当値に置き換えることを特徴とする。
【0014】
また、第5の発明は、第4の発明において、
電動機の回転数を検出する回転数検出手段を備え、
前記マスク期間設定手段は、前記回転数に基づいて前記マスク期間を設定することを特徴とする。
【0015】
また、第6の発明は、第3乃至第5の発明の何れかにおいて、
電動機の回転数を検出する回転数検出手段を備え、
前記疑似電圧発生手段は、前記回転数に基づいて前記逆起電圧相当値を設定することを特徴とする。
【0016】
また、第7の発明は、第6の発明において、前記疑似電圧発生手段は、前記回転数に基づいて、当該回転数が高いほど、前記スイッチング素子の状態が切り換えられる時期が進角されるように前記逆起電圧相当値を設定することを特徴とする。
【0017】
また、第8の発明は、第1乃至第7の発明において、前記電動機は、内燃機関のターボチャージャを電動駆動するためのものであることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態について説明する。尚、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0019】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1の構成を説明するための図を示す。図1に示すように、本実施形態は、内燃機関10を備えている。内燃機関10には、吸気通路12および排気通路14が連通している。吸気通路12と排気通路14の間には、ターボチャージャユニット16が配置されている。
【0020】
ターボチャージャユニット16は、排気通路14側に位置するタービン18と、吸気通路12側に位置するコンプレッサ20とを備えている。更に、タービン18とコンプレッサ20との間には、それらと回転軸22を共通にする電動機24が配置されている。ターボチャージャ16は、排気エネルギによりタービン18を回転させることにより、或いは、電動機24により回転軸22を回転させることにより、コンプレッサ20を駆動することができる。コンプレッサ20は、このようにして駆動されることにより、その下流に高い過給圧を発生させることができる。
【0021】
吸気通路12には、コンプレッサ20の上流と下流とを連通するバイパス通路26が設けられている。バイパス通路26には、過給圧が過剰になった場合に開弁するバイパス弁28が設けられている。また、コンプレッサ20の下流には、インタークーラ30、およびスロットルバルブ32が配置されている。スロットルバルブ32は、アクセル開度などに基づいてスロットルモータ34により駆動される電子制御式のバルブである。スロットルバルブ32の近傍には、スロットル開度を検出するためのスロットルポジションセンサ36、およびアクセル開度を検出するためのアクセルポジションセンサ38が配置されている。
【0022】
排気通路14には、タービン18の上流においてEGR(Exhaust Gas Recirculation) 通路40が連通している。EGR通路40は、排気ガスの一部を吸気系に還流させるための通路であり、EGRバルブ42を介して吸気通路12に連通している。また、排気通路14には、タービン18の下流に触媒44が配置されている。内燃機関10から排出された排気ガスは、タービン18を通過した後、触媒44において浄化された後、大気に放出される。
【0023】
本実施形態のシステムは、システム全体を制御するためのECU50、電動機24の状態制御するためのコントローラ52、およびシステムの作動に必要な電力を供給するバッテリ54を備えている。本実施形態のシステムは、電動機24の制御に関する部分に特徴を有しているため、以下、その特徴を説明するうえで必要な範囲で、ECU50やコントローラ52の内容を説明する。
【0024】
図2は、本実施形態のシステムが電動機24を駆動するために備えている構成の内容を説明するためのブロック図である。本実施形態において、電動機24は、永久磁石式の同期電動機であり、U相、V相、およびW相の3つのコイルを有している。
【0025】
図2に示す構成は、インバータ60を備えている。インバータ60の内部には、電動機24のU相コイルに対応するスイッチング素子対62,64、および還流ダイオード対66,68が設けられている。また、その内部には、V相コイルに対応するスイッチング素子対70,72、および還流ダイオード対74,76、並びに、W相コイルに対応するスイッチング素子対78,80、および還流ダイオード対82,84が設けられている。
【0026】
インバータ60にはバッテリ54が接続されており、上述した3つのスイッチング素子対、および3つの還流ダイオード対の両側には、電源電圧が印加されている。インバータ60によれば、内蔵するスイッチング素子を適当にオン・オフさせることにより、U相コイル、V相コイルおよびW相コイルに、順次適当な磁界を発生させて電動機24を適当に同期運転させることができる。
【0027】
図2に示すシステムは、センサレスコントロールIC86と、マスク制御回路88を備えている。これらは、何れも図1に示すコントローラ52に含まれる要素である。マスク制御回路88は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせにより、或いは、ソフトウェアを利用せず、ハードウェアのみで構成された回路であり、電動機24の各相コイルの端子電圧を検出し、それらの端子電圧を、直接、或いは、必要な場合には補正して、センサレスコントロールIC86に供給する機能を有している。以下、電動機24のU相コイル、V相コイル、およびW相コイルに生ずる端子電圧を、それぞれ「U電圧」、「V電圧」、および「W相電圧」と称す。
【0028】
センサレスコントロールIC86は、U相コイルに対応する電圧を受けるためのU端子、V相コイルに対応する電圧を受けるためのV端子、およびW相コイルに対応する電圧を受けるためのW端子を備えている。また、センサレスコントロールIC86は、それらの端子に供給される電圧に基づいて電動機24のロータ位置を検出し、その検出位置に基づいて、インバータ60に内蔵される6つのスイッチング素子のそれぞれに適当なゲート信号を供給する機能を有している。更に、センサレスコントロールIC86は、電動機24のロータ位置が検出された後に、電動機24の回転速度に応じた周期で変動するVCO信号を発する機能を有している。
【0029】
センサレスコントロールIC86は、ターボチャージャユニット16の電力アシストが必要となると、図1に示すECU50により起動が要求される。そして、センサレスコントロールICは、その起動が要求された後、定常状態では、図3に示すようなタイミングチャートに則って電動機24の回転を制御する。
【0030】
図3は、定常状態におけるセンサレスコントロールIC86の動作を説明するためのタイミングチャートである。より具体的には、図3(A)は、センサレスコントロールIC86により生成されるVCO信号の波形である。図3に示す♯1〜♯6の領域は、それぞれ60度のロータ回転角に対応している。従って、VCO信号は、ロータが60度回転する毎に一周期の変化を示す信号である。
【0031】
図3(B)〜図3(G)は、インバータ60に内蔵される6つのスイッチング素子に対して供給されるゲート信号波形を示す。尚、これらの図に示すU1、V1、W1は、それぞれU相、V相、W相の電源電位側のスイッチング素子62,70,78を意味しており、一方、U2、V2、W2は、それぞれU相、V相、W相の接地電位側のスイッチング素子64,72,80を意味している。
【0032】
図3(B)〜図3(G)に示すように、本実施形態では、電動機24の各相コイルに対応するスイッチング素子が、1サイクルの過程で120度相当期間だけオン状態とされるいわゆる120度通電の駆動方式が用いられている。このため、本実施形態のシステムでは、1サイクルの過程中に、各相コイルに対応する2つのスイッチング素子が何れもオフ状態となる期間、つまり、各相コイルが無通電状態となる期間が2回づつ(各回の無通電期間は60度相当期間)確保されている。具体的には、U相コイルは、♯3,♯6の期間において無通電状態となる。V相コイルは、♯2,♯5の期間において無通電状態となる。また、W相コイルは、♯1,♯4の期間において無通電状態となる。
【0033】
図3(H)〜図3(J)は、センサレスコントロールIC86が、U端子、V端子、およびW端子に供給される電圧をサンプリングするタイミングを示す。これらの図が示すように、センサレスコントロールIC86は、各相コイルに対応する電圧を、そのコイルが無通電状態となる期間、つまり、そのコイルに逆起電圧が発生する期間においてサンプリングする。センサレスコントロールIC86は、それらのサンプリング期間において検出された電圧に基づき、電動機の回転位置を判断して、電動機24が同期運転を継続するようにゲート信号の切り換えを行う。
【0034】
図4は、センサレスコントロールIC86が、特定相のコイルに対応する電圧に基づいてゲート信号を切り換える手法を説明するためのタイミングチャートである。より具体的には、図4(A)は、理想的な切り換え動作を説明するための波形を示す。図4(B)は、U電圧、V電圧、およびW電圧を直接センサレスコントロールIC86に供給した場合に実現される動作を説明するための波形を示す。また、図4(C)は、本実施形態のシステムにより実現される動作を説明するための波形を示す。
【0035】
図4(A)〜図4(C)において、破線または実線で示された正弦波は、特定の相のコイルに発生する逆起電力のイメージを示す。また、各図において、その正弦波の山および谷と重なるように描かれた実線の矩形波は、インバータ60内のスイッチング素子がオンとなることによりそのコイルに印加される電圧の波形である。コイルが無通電状態となる60度の期間中に、そのコイルの端子電圧が逆起電圧と一致するとすれば、そのコイルの端子電圧は、図4(A)に実線で示すように、120度相当の期間だけ維持される印加電圧と、60度相当の期間だけ表れる正弦波との組み合わせで構成されることになる。
【0036】
120度通電の手法で電動機24を効率良く駆動するためには、各相コイルに発生する逆起電力の正弦波の山と谷が、スイッチング素子がオンとされる120度相当の期間と同期していることが望ましい。つまり、電動機24を効率良く駆動するためには、各相コイルが無通電状態となる60度相当の期間中、そのコイルの端子電圧(逆起電圧)が電動機24の中性点電位より低い期間(T1)と、その端子電圧(逆起電圧)が電動機24の中性点電位より高い期間(T2)とが等しくなることが望ましい。換言すると、コイルの端子電圧と中性点電位との差を期間T1に渡って積分した値(面積S1に相当)と、その差を期間T2に渡って積分した値(面積S2に相当)とが等しくなるようにスイッチング素子の状態が切り換えられることが望ましい。
【0037】
図4(A)において、コイルが無通電状態となる60度相当の期間中、コイルの端子電圧(逆起電圧)の積分値と、電動機24の中性点電位の積分値とは、上記の面積S1とS2が等しくなる時点で、つまり、期間T1とT2が等しくなる時点で一致する。従って、無通電中のコイルの端子電圧が逆起電力と一致した変化を示すとすれば、その積分値と中性点電位の積分値が一致した時点でスイッチング素子の状態を切り換えることにより、電動機24を効率よく駆動することが可能である。
【0038】
センサレスコントロールIC86は、無通電状態のコイルに対応する端子(U端子、V端子、またはW端子)に供給される電圧の積分値と、電動機24の中性点電位の積分値とが一致した時点で、そのコイルが再び通電状態となるようにゲート信号の切り換えタイミングを制御する機能を有している。従って、コイルが無通電状態となる期間中に、そのコイルの端子電圧が図4(A)に示すように逆起電圧と一致しているとすれば、U電圧、V電圧、およびW電圧をU端子、V端子、およびW端子に直接供給することで、電動機24を効率的に駆動することが可能である。
【0039】
しかしながら、本実施形態のシステムにおいて、コイルの端子電圧は、現実には、図4(A)に示すような変化を示さず、図4(B)中に実線で示すような変化を示す。以下、便宜上図4(B)に示す波形は、U相コイルに対応するものであるとする。この場合、時刻t1−t2における印加電圧(接地電位)は、U相コイルに対応する接地電位側スイッチング素子64がオンとなることで実現される。この間、U相コイルには、インバータ60に向かって流出する方向の電流Iが流通している。
【0040】
時刻t2においてスイッチング素子64がオフとされた後も、U相コイルに蓄えられているエネルギ(L・I2/2、但しLはU相コイルのインダクタンス)が消滅するまでは、その電流IはU相コイルを流れ続けようとする。この電流Iは、還流ダイオード66を通ってのみ流通することができる。そして、還流ダイオード66のカソードには電源電圧が印加されているため、電流Iがそこを流れる間は、還流ダイオード66のアノード電位、つまり、U相コイルの端子電位は電源電圧にまで上昇する。このため、図4(B)に示すように、U相コイルの端子電圧は、現実には、スイッチング素子64がオフとされた時刻t2の後、電流Iの還流が終了する時刻t3までの間、電源電圧となり、その後逆起電圧に一致するという変化を示す。
【0041】
図4(B)に示す面積S3は、U相コイルの端子電圧と中性点電位との差を、電流Iの還流期間にわたって積分した値に相当している。センサレスコントロールIC86のU端子、V端子およびW端子に、各相コイルの端子電圧、つまり、U電圧、V電圧およびW電圧が直接供給されるとすれば、U相コイルの電源電位側スイッチング素子62は、面積S3と面積S2との和が面積S1と等しくなった時点でオンされることになる。この場合、面積S3が大きくなるに連れて、スイッチング素子62がオンとされるタイミングが不当に進角される事態が生ずる。このため、センサレスコントロールIC86に対して、電動機24のU電圧、V電圧およびW電圧を直接供給したのでは、特に、還流電流Iが大きい運転状況下において、電動機24の駆動効率が低下しやすい。
【0042】
図4(C)は、コイルが無通電状態とされる時刻t2の後、所定のマスク期間θの間、コイルの端子電圧を所定電圧Vxに置き換えた波形を示している。ここで、上記のマスク期間θは、無通電状態となったコイルに還流電流Iが流れる期間以上であり、60度相当期間より短い適当な期間である。また、所定電圧Vxは、マスク期間にわたるその値Vxの積分値が、その期間中における逆起電圧の積分値と等しくなるように設定された値である。尚、マスク期間θおよび所定電圧Vxを設定する手法については、後に詳細に説明する。
【0043】
本実施形態のシステムにおいて、マスク制御回路88は、上記のマスク期間の間だけ、U電圧、V電圧、およびW電圧を、それぞれ所定電圧Vxに補正してセンサレスコントロールIC86に供給する。この場合、センサレスコントロールIC86は、マスク期間にわたる所定電圧Vxの積分値と、その後の端子電圧(逆起電圧)の積分値との和が、中性点電位の積分値と等しくなった時点で無通電状態のコイルを通電状態とすべくスイッチング素子の状態を切り換える。そして、マスク期間にわたる所定電圧Vxの積分値は、その期間中における逆起電圧の積分値に等しいため、上記の処理によれば、逆起電圧が中性点電位より低くなる期間T1と、その逆の関係が成立する期間T2とが等しくなることを常に保証することができる。このため、本実施形態のシステムによれば、還流電流Iの発生に影響されることなく、電動機24を常に効率よく駆動することができる。
【0044】
図5は、所定電圧Vxの設定手法を説明するための波形を示す。図5に示す正弦波、および矩形波は、上記図4(A)に示す場合と同様に、各相コイルに表れる逆起電圧のイメージ波形、およびスイッチング素子がオンとなることで発生するコイルに対する印加電圧波形を示している。また、図5に示す横軸は、1目盛りが60度に相当している。更に、図5に示す電圧V0およびVθは、それぞれ、コイルが無通電状態となった時点での逆起電圧の値、およびマスク期間θが終了した時点での逆起電圧の値を示している。
【0045】
所定電圧Vxは、マスク期間θにわたる積分値が、マスク期間θにわたる逆起電圧の積分値と等しくなるように設定されるべき値である。そして、その値Vxは、マスク期間θにおいて逆起電圧が線形に変化すると見なせるとすれば、次式により近似的に求めることができる。
Vx=(V0+Vθ)/2 ・・・(1)
【0046】
図5に示す逆起電圧は、電源電圧Vbの1/2の値、つまり、Vb/2を中心とする正弦波であると考えられる。そして、コイルが無通電状態となる60度の期間中、逆起電力がその中心電圧Vb/2より低い期間と、その逆の関係が成立する期間とが等しいとすれば、すなわち、双方の期間がそれぞれ30度づつであるとすれば、図5に示すV0と中心電圧Vb/2との差は(Vp−Vb/2)・sin30°であり、また、図5に示すVθと中心電圧Vb/2との差は(Vp−Vb/2)・sin(30−θ)である。但し、Vpは正弦波のピーク電圧である。
【0047】
従って、図5に示すV0およびVθは、電源電圧Vb、逆起電圧のピーク電圧Vp、およびマスク期間θを用いて、それぞれ次式のように表すことができる。
V0 =Vb/2−(Vp−Vb/2)・sin30° ・・・(2)
Vθ=Vb/2−(Vp−Vb/2)・sin(30−θ) ・・・(3)
【0048】
電源電圧Vbは、容易に検知することができる。また、逆起電圧のピーク電圧Vpは、電動機24の回転数に対してほぼ一義的に決まる値である。このため、その値Vpは、予めマップ等を準備しておくことにより、電動機24の回転数に基づいて検知することができる。このため、本実施形態のシステムによれば、マスク期間θが定まれば、上記(1)式〜(3)式に従って、図5に示すV0およびVθに対応する所定電圧Vxを精度良く設定することが可能である。
【0049】
ところで、本実施形態のシステムでは、各相コイルに対応する接地電位側のスイッチング素子64,72,80がオフ状態に切り替わった直後に電流Iの還流が生ずると共に、各相コイルに対応する電源電位側のスイッチング素子62,70,78がオフ状態に切り替わった直後にも電流Iの還流が生ずる。従って、マスク期間θは、各相コイルについて、1サイクルの間に上記2つの場面において設ける必要がある。
【0050】
図5に示すマスク期間θは、接地電位側のスイッチング素子がオフ状態に切り替わった直後に設定されるマスク期間である。このような場面では、コイルに発生する逆起電圧は、Vb/2(電源電圧Vbの半分)より小さな値となる。このため、このような場面では、上記(2)式および(3)式により、V0およびVθを精度良く算出することができる。
【0051】
これに対して、マスク期間θを設定すべきもう一つの場面、つまり、電源電位側のスイッチング素子がオンからオフに切り替わった直後の場面では、各相コイルに発生する逆起電圧がVb/2より高い値となる。従って、この期間のV0およびVθは、上記(2)式および(3)式では得ることができず、それぞれ以下の演算式により算出することが必要である。
V0 =Vb/2+(Vp−Vb/2)・sin30° ・・・(4)
Vθ=Vb/2+(Vp−Vb/2)・sin(30−θ) ・・・(5)
【0052】
本実施形態において、マスク制御回路88は、各相コイルに対応する接地電位側のスイッチング素子64,72,80がオンからオフに切り替わった直後のマスク期間θにおいては、上記(1)〜(3)式の関係に従って所定電圧Vxを算出する。一方、各相コイルに対応する電源電位側のスイッチング素子62,70,78がオンからオフに切り替わった直後のマスク期間θにおいては、上記(1)式、(4)式および(5)式の関係に従って所定電圧Vxを算出する。このため、マスク制御回路88によれば、何れの場面においても、各相コイルに発生する逆起電圧に対応する所定電圧Vxを精度良く設定することができる。
【0053】
上述したマスク期間θ(単位は角度)は、電流Iの還流期間(単位は角度)以上であり、かつ、コイルを無通電状態に維持すべき60度より短い期間(角度)に設定することが必要である。電流Iの還流期間は、消滅すべきエネルギ(L・I2/2)が大きいほど長期間となり、また、電動機24の回転数が高いほど大きな値となる。従って、その還流期間は、電動機24を流れる電流Iと、電動機24の回転数とにより求めることができる。
【0054】
本実施形態において、マスク制御回路回路88は、電動機24を流れる電流Iと電動機24の回転数との関係で、その電流Iの還流期間より僅かに長いマスク期間θを定めたマップを記憶している。このため、マスク制御回路88は、電動機電流および電動機回転数に基づいて、還流期間以上の適正なマスク期間θを設定することができる。
【0055】
図6は、本実施形態のシステムにおいて、センサレスコントロールIC86が実行する処理の手順を説明するためのフローチャートを示す。
図6に示すように、センサレスコントロールIC86は、起動要求が生じたか否かを監視している(ステップ100)。
【0056】
ターボチャージャユニット16の電動アシストが要求され、センサレスコントロールIC86の起動が要求されると、上記ステップ100の条件が成立したと判断される。この場合、次に、VCO信号の立ち上げ動作が行われる(ステップ102)。
図3に示す通り、センサレスコントロールIC86は、VCO信号の立ち上がりを受けてゲート信号等の切り換え動作を行う。従って、本ステップ102の処理が実行されると、VCO信号の立ち上がりを受けて、センサレスコントロールIC86の内部において、ゲート信号の切り換え処理等が実行される。
【0057】
次に、端子電圧積分値ΣVm、および中性点電位積分値ΣVcがクリアされる(ステップ104)。
端子電圧積分値ΣVmは、U端子、V端子、或いはW端子から入力される電圧、つまり、マスク制御回路88を介して供給される電動機24の各相コイルの端子電圧、またはその補正値(所定電圧Vx)を積分した値である。一方、中性点電位積分値ΣVcは、電動機24の中性点電位Vcを積分した値である。尚、本実施形態において、センサレスコントロールIC86は、U電圧、V電圧、およびW電圧の平均値(U電圧+V電圧+W電圧)/3を、中性点電位Vcとしている。
【0058】
図6に示すルーチンでは、次に、端子電圧積分値ΣVm、および中性点電位積分値ΣVcが演算される(ステップ106)。
上記の処理によれば、VCO信号が立ち上がる毎に、つまり、ゲート信号の切り換えが行われる毎に、端子電圧積分値ΣVm、および中性点電位積分値ΣVcがクリアされ、その後新たにそれらの積分を開始することができる。
【0059】
センサレスコントロールIC86は、次に、起動要求が消滅していないかを判別する(ステップ108)。
【0060】
その結果、起動要求が既に消滅していると判別された場合は、速やかに今回のルーチンが終了される。一方、未だ起動要求が消滅していないと判別された場合は、次に、端子電圧積分値ΣVmと、中性点電位積分値ΣVcとが等しいか否かが判別される(ステップ110)。
【0061】
端子電圧積分値ΣVmと中性点電位積分値ΣVcとが未だ等しくないと判別された場合は、ゲート信号を切り換えるタイミング、つまり、無通電状態のコイルを通電状態に切り換えるタイミングが未だ到来していないと判断される。そして、この場合は、再び上記ステップ106以降の処理が繰り返される。一方、端子電圧積分値ΣVmと中性点電位積分値ΣVcとが一致していると判別された場合は、ゲート信号を切り換えるタイミングが到来したと判断される。この場合、センサレスコントロールIC86は、以後、上記ステップ102に戻って上記の処理を繰り返す。その結果、VCO信号の立ち上げ、およびゲート信号の切り換えが行われ、再び端子電圧積分値ΣVmと、中性点電位積分値ΣVcの演算が新たに開始される。
【0062】
以上説明した通り、図6に示すルーチンによれば、センサレスコントロールIC86のU端子、V端子、およびW端子に入力される電圧の積分値ΣVmと、中性点電位の積分値ΣVcとが一致する毎に、無通電状態のコイルが通電状態となるように(その結果、他の相では、通電状態であったコイルが無通電状態となる)、インバータ60を駆動するゲート信号を適切に切り換えることができる。
【0063】
図7は、マスク制御回路88が、センサレスコントロールIC86に適正な電圧信号を供給するために実行する処理の手順を説明するためのフローチャートを示す。図7に示す通り、マスク制御回路88では、先ず、センサレスコントロールIC86により生成されるVCO信号の立ち上がりが監視される(ステップ120)。
【0064】
VCO信号の立ち上がりが検知された場合は、回転角δがリセットされる(ステップ122)。
一方、VCO信号の立ち上がりが検知されない場合は、ステップ122の処理がジャンプされ、速やかに以後、ステップ124の処理が実行される。
上記の処理によれば、回転角δは、インバータ60に供給されるゲート信号が切り換えられる毎に、つまり、無通電状態であったコイルが通電状態に切り換えられる毎にリセットされることになる。
【0065】
図7に示すルーチンでは、次に、回転角δが更新される(ステップ124)。
上記の処理によれば、マスク制御回路88は、インバータ60に供給されるゲート信号が切り換えられた後の回転角をδとして検知することができる。
【0066】
次に、回転角δがマスク期間θ以下であるかが判別される(ステップ126)。
δ≦θが成立すると判別された場合は、今回の処理サイクルは、マスク期間中に実行されたものであると判断できる。この場合、マスク回路84は、所定電圧Vxを、電動機24の端子電圧としてセンサレスコントロールIC86に供給する(ステップ128)。
一方、δ≦θが成立しないと判別された場合、つまり、マスク期間θが既に終了していると判別された場合は、電動機24の各相コイルの端子電圧Vm(U電圧、V電圧、またはW電圧)が、そのままセンサレスコントロールIC86に供給される(ステップ130)。
【0067】
以上説明した通り、マスク制御回路88は、図7に示す手順で処理を実行することにより、ゲート信号が切り換えられた後、マスク期間θが終了するまでの間は、電動機24の各相コイルの端子電圧(U電圧、V電圧、またはW電圧)に代えて、所定電圧VxをセンサレスコントロールIC86に供給し、マスク期間θが終了した後は、各相コイルの端子電圧をそのままセンサレスコントロールIC86に供給することができる。このため、センサレスコントロールIC86は、上記図6に示すルーチンに沿った処理を行うことにより、各相コイルに生ずる逆起電力が中性点電位より低くなる期間と、その逆の関係が成立する期間とが等しくなるタイミングにおいて、適切にゲート信号を切り換え(図4(C)参照)、電動機24を効率的に駆動することができる。
【0068】
図8は、マスク制御回路88が、マスク期間θおよび所定電圧Vxを更新(演算)するために実行する処理の手順を説明するためのフローチャートである。図8に示す通り、マスク制御回路88では、先ず、VCO信号の立ち上がりが監視される(ステップ140)。
【0069】
VCO信号の立ち上がりが検知されない場合は、マスク期間θおよび所定電圧Vxの更新時期が未だ到来していないと判断される。この場合、以後速やかに今回の処理サイクルが終了される。一方、VCO信号の立ち上がりが検知されると、それらの更新時期が到来したと判断され、以後、ステップ142以降の処理が実行される。尚、図8に示す手順は、VCO信号が立ち上がる毎に、つまり、ゲート信号が切り換えられる毎にマスク期間θおよび所定電圧Vxを更新することを前提として、その更新時期が到来したか否かを判断するためにVCO信号の立ち上がりを監視している。しかし、マスク期間θおよび所定電圧Vxの更新時期は、このタイミングに限定されるものではなく、従って、上記ステップ140において監視されるべきは、VCO信号の立ち上がりに限定されるものではない。つまり、上記ステップ140では、マスク期間θおよび所定電圧Vxの定期的な更新を可能とすべく、定期的に切り替わる何らかの事項を監視していればよい。
【0070】
図8に示す手順によれば、VCO信号の立ち上がりが検知された後、電源電圧Vb、電動機24の回転数N、および電動機電流Iが順次検出される(ステップ142,144,146)。
【0071】
次いで、電動機24の回転数Nと逆起電圧のピーク電圧Vpとの関係を定めたマップを参照して、現在の回転数Nに対応するピーク電圧Vpが求められる(ステップ148)。
【0072】
更に、電動機電流Iおよび回転数Nと、マスク期間θとの関係を定めたマップを参照して、現在の電流Iおよび回転数Nに対応するマスク期間θが演算される(ステップ150)。
【0073】
そして、マスク制御回路88は、上記の如く検出または演算した電源電圧Vb、ピーク電圧Vp、およびマスク期間θに基づいて、上記(1)式乃至(3)式、或いは、上記(1)式、(4)式および(5)式に従って、所定電圧Vxを算出する(ステップ152,154,156)。
【0074】
以上説明した通り、図8に示す手順によれば、VCO信号が立ち上がる毎に、マスク期間θ、および所定電圧Vxをその時点の状況に応じた最適な値に更新することができる。マスク制御回路88は、このようにして適宜更新されるマスク期間θおよび所定電圧Vxの最新値を用いて上記図7に示す処理を実行する。このため、本実施形態のシステムによれば、電動機24が如何なる状態で運転しているかに関わらず、常に最適なタイミングでゲート信号を切り換えることができ、電動機24を常に優れた効率で駆動することができる。
【0075】
ところで、上述した実施の形態1においては、電動機24の各相コイルに発生する逆起電圧を正弦波のまま扱い、接地電位側のスイッチング素子64,72,80がオンからオフに切り替わった直後と、電源電位側のスイッチング素子62,70,78がオンからオフに切り替わった直後とで、所定電圧Vxの演算式を異ならしめることとしている。しかしながら、所定電圧Vxの演算手法は、これに限定されるものではない。すなわち、マスク制御回路88の内部において、Vb/2を上限または下限として各相コイルの端子電圧を折り返し(整流し)、所定電圧Vxを、常に上記(1)式〜(3)式、或いは、常に上記(1)式、(4)式および(5)式に基づいて演算することとしてもよい。
【0076】
また、上述した実施の形態1では、端子電圧積分値ΣVmと中性点電位積分値ΣVcとをそれぞれ算出し、それら両者が一致した時点でVCOを立ち上げることとしているが、VCOの立ち上げタイミングを決める手法はこれに限定されるものではない。すなわち、VCOの立ち上げタイミングは、電動機24の各相コイルの端子電圧と中性点電位との差分の積算値を演算すると共に、その積算値の正負に基づいて、より具体的には、その積算値がゼロとなる時点に決定してもよい。
【0077】
尚、上述した実施の形態1においては、インバータ60が前記第1の発明における「通電制御手段」に相当していると共に、センサレスコントロールICが上記ステップ106においてΣVmおよびΣVcを算出することにより前記第1の発明における「逆起電圧積分手段」および「中性点電位積分手段」が、上記ステップ110および102の処理を実行することにより前記第1の発明における「スイッチング素子制御手段」が実現されている。また、マスク制御回路88が、各相コイルの端子電圧(U電圧、V電圧、W電圧)を検出することにより前記第1の発明における「端子電圧検出手段」が、上記ステップ126〜130の処理を実行することにより前記第1の発明における「補正手段」が実現されている。
【0078】、
また、上述した実施の形態1においては、所定電圧Vxが前記第3の発明における「逆起電圧相当値」に相当していると共に、マスク制御回路88が、上記ステップ128の処理を実行することにより前記第3の発明における「疑似電圧発生手段」が実現されている。
また、上述した実施の形態1においては、マスク制御回路88が、上記ステップ150の処理を実行することにより、前記第4の発明における「マスク期間設定手段」が実現されている。
また、上述した実施の形態1においては、マスク制御回路88が、上記ステップ144の処理を実行することにより、前記第5または6の発明における「回転数検出手段」が実現されている。
【0079】
実施の形態2.
次に、図9を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。
本実施形態のシステムは、実施の形態1のシステムにおいて、マスク制御回路88に、上記図8に示す手順に代えて、図9に示す手順で所定電圧Vxを設定させることにより実現することができる。
【0080】
図9は、本実施形態において、マスク制御回路88が、マスク期間θおよび所定電圧Vxを設定するために実行する処理の手順を説明するためのフローチャートである。図9に示すフローチャートは、ステップ156に続いてステップ160および162の処理が実行される点を除き、図8に示すフローチャートと同様である。
【0081】
すなわち、本実施形態にいおいて、マスク制御回路88は、先ず、実施の形態1の場合と同様の手順でマスク回路θを設定し、かつ、所定電圧Vxを算出する(ステップ140〜156)。
これらの処理が終了すると、マスク制御回路88は、次に、電動機電流Iおよび電動機回転数Nに基づき、進角補正係数Kを算出する(ステップ160)。
そして、上記ステップ156において算出された所定電圧Vxに進角補正係数Kを掛け合わせた値が、最終的な所定電圧Vxとして設定される(ステップ162)。
【0082】
上述した進角補正係数Kは、電動機電流Iが大きいほど、また、電動機回転数Nが大きいほど小さな値に設定される(標準値は1.0)。このため、図9に示す手順によれば、電動機24が大きなトルクを要求するほど、所定電圧Vxは、上記ステップ156において算出される値(以下、「標準値」と称す)より小さな値となる。
【0083】
センサレスコントロールIC86は、マスク期間θ中の所定電圧Vxの積分値と、マスク期間θ後の端子電圧の積分値との和(ΣVm)が、中性点電位の積分値(ΣVc)と等しくなった時点でゲート信号の切り換えを行う。前者(ΣVm)と後者(ΣVc)は、所定電圧Vxが小さいほど(つまり、Vmが小さいほど)、積分が開始された後短期間で一致する。このため、図9に示す手順によれば、電動機24が大きなトルクを要求するほど、ゲート信号の切り換え時期が進角側にシフトする。
【0084】
電動機24において大きなトルクを確保するうえでは、ゲート信号の切り換え時期を適度に進角側にシフトすることが有効であることは広く知られている。本実施形態の装置によれば、電動機回転数Nの上昇、および電動機電流Iの情報に応じて、そのような有効な進角制御を適宜実現することができる。このため、本実施形態の装置によれば、高負荷領域において、実施の形態1の装置に比して更に効率的に電動機24を駆動することが可能である。
【0085】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように構成されているので、以下に示すような効果を奏する。
第1または第2の発明によれば、電動機の中性点電位の積分値と、無通電のコイルに生ずる逆起電圧の積分値とが等しくなった時点でスイッチング素子の状態を切り換えることにより、電動機を効率的に駆動することができる。そして、無通電状態のコイルに還流電流が流通する期間は、そのコイルの端子電圧に補正を施すことができるため、還流電流の影響を受けることなくコイルに発生する逆起電力を常に正しく検知することができる。
【0086】
第3の発明によれば、無通電中のコイルの端子電圧を逆起電圧相当値に置き換えることにより、還流電流の流通中における逆起電圧が、現実の値から大きく外れた値として検知されるのを確実に防ぐことができる。
【0087】
第4の発明によれば、適正なマスク期間を設定して、その期間中はコイルの端子電圧を逆起電力相当値に置き換えることにより、還流電流の流通に伴うコイルの端子電圧の影響を適切に排除することができる。
【0088】
第5の発明によれば、電動機の回転数に基づいてマスク期間を設定することができる。コイルに還流電流が流通する時間は、電動機の回転角により影響される。このため、マスク期間を回転数に基づいて設定すると、還流電流の消滅に要する期間に対応する適正なマスク期間を設定することができる。
【0089】
第6の発明によれば、電動機の回転数に基づいて逆起電圧相当値を設定することができる。コイルに生ずる逆起電力は、電動機の回転数により決定される。このため、逆起電力相当値を回転数に基づいて設定することによれば、逆起電力相当値を現実の逆起電力に近い値に設定することができる。
【0090】
第7の発明によれば、電動機の回転数が高いほど、スイッチング素子の状態が切り換えられる時期を進角側にシフトさせることができる。このため、本発明によれば、高回転領域において、電動機を効率的に駆動することができる。
【0091】
第8の発明によれば、内燃機関のターボチャージャを電動駆動する電動機を効率的に駆動することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の構成を説明するための図である。
【図2】本発明の実施の形態1のシステムが、電動機を駆動するために備えている構成を説明するためのブロック図である。
【図3】図2に示すセンサレスコントロールICの基本動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図4】図4(A)は、ゲート信号の理想的な切り換え動作を説明するための波形である。
図4(B)は、各相コイルの端子電圧をセンサレスコントロールICに直接供給した場合に実現される動作を説明するための波形である。
図4(C)は、実施形態1のシステムにより実現される動作を説明するための波形である。
【図5】所定電圧Vxの設定手法を説明するための波形を示す。
【図6】実施形態1のシステムにおいて、センサレスコントロールICが実行する処理の手順を説明するためのフローチャートである。
【図7】実施形態1のシステムにおいて、マスク制御回路が、センサレスコントロールICに適正な電圧信号を供給するために実行する処理の手順を説明するためのフローチャートである。
【図8】実施形態1のシステムにおいて、マスク制御回路が、マスク期間θおよび所定電圧Vxを更新(演算)するために実行する処理の手順を説明するためのフローチャートである。
【図9】実施形態2のシステムにおいて、マスク制御回路が、マスク期間θおよび所定電圧Vxを更新(演算)するために実行する処理の手順を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
10 内燃機関
12 吸気通路
14 排気通路
16 ターボチャージャユニット
18 タービン
20 コンプレッサ
22 回転軸
24 電動機
50 ECU(Electronic Control Unit)
52 コントローラ
54 バッテリ
60 インバータ
62,64,70,72,78,80 スイッチング素子
86 センサレスコントロールIC
88 マスク制御回路
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動機の回転駆動制御装置に係り、特に、同期電動機をセンサレスで効率よく駆動するうえで好適な電動機の回転駆動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、同期電動機をセンサレスで駆動する装置としては、例えば、米国特許第4,928,043号公報に開示される装置が知られている。この装置は、電動機が有する3つのコイルのそれぞれに対応する3組のスイッチング素子対と、個々のスイッチング素子に併設された6つの還流ダイオードとを含むインバータ回路を備えている。インバータ回路は、いわゆる120度通電の手法で制御されるため、電動機が有する3つのコイルは、それぞれ、120度通電される毎に60度無通電状態とされる。
【0003】
コイルが無通電状態とされる60度の間は、そのコイルに逆起電圧が発生する。そして、その逆起電圧は、コイルが無通電状態とされた後、電動機の中性点電位より低い(または高い)値から、その中性点電位より高い(または低い)値に変化する。ここで、120度通電の手法で電動機を駆動する場合、優れた駆動効率を得るために、コイルに生ずる逆起電力が、そのコイルが無通電状態とされる60度のほぼ中央で上記の中性点電位と一致することが望ましい。換言すると、120度通電の手法で電動機を駆動する場合、無通電状態のコイルに生ずる逆起電力が電動機の中性点電位より低くなる期間と、その逆起電力が中性点電位より高くなる期間とがほぼ均衡するようにインバータを制御することが、高い駆動効率を得る上で有効である。
【0004】
従来の装置は、上記の要求に応えるべく、コイルが無通電状態になった後、コイルの端子に生ずる逆起電圧と、3相コイルの電圧から得られた中性点電位との差分より得られる誤差の積分値に基づいて、そのコイルの無通電状態を解除すべくインバータの状態を変化させる。より具体的には、従来の装置は、通常は逆起電圧と中性点電位との差分の積分値がゼロとなる時点でコイルの無通電状態を解除すべくインバータの状態を変化させる。また、この装置は、駆動パルスの基準となるVCO信号の周波数を上昇或いは下降させることにより、目標回転数との差異を縮小するための通電時間制御を併せて行っている。
【0005】
【特許文献1】
米国特許4,928,043号公報
【特許文献2】
特開2002−95283号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の装置において、インバータに内蔵される個々のスイッチング素子がオン状態からオフ状態に変化した直後には、そのスイッチング素子に併設されている還流ダイオードを通って還流電流が流通する。具体的には、電動機のU相を通過した電流を接地電位線に流通させるためのスイッチング素子がオンからオフに変化した直後は、U相コイルに蓄えられているエネルギが消費されるまでの間、U相コイルには還流電流が流通し続ける。
【0007】
この還流電流は、インバータの内部において、U相コイルから電源電位線に向かう電流の流れを許容する還流ダイオードを通って流通する。そして、その電流が流通している間は、U相コイルの端子電圧が電源電位にまで上昇し、還流電流が消滅して初めて、U相コイルの端子電圧は、本来の電位、つまり、逆起電圧に起因する電位となる。
【0008】
このように、上述した従来の装置において、無通電状態のコイルの端子電位は、必ずしも常にそのコイルに発生する逆起電圧の大きさと一致しない。このため、コイルの端子電圧と中性点電位との差分の積分値に基づいて、そのコイルを無通電状態から通電状態に変化させたのでは、電動機を効率良く駆動するうえでの理想的なタイミングでインバータを動作させることはできない。この点、従来の装置は、電動機を効率的に駆動するうえで、未だ改良の余地を残すものであった。
【0009】
本発明は、上記のような点に鑑みてなされたものであり、無通電状態のコイルを通電状態に変化させるタイミングを、電動機を効率的に駆動するうえでの理想的なタイミングに設定することのできる電動機の回転駆動制御装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、上記の目的を達成するため、電動機の回転駆動制御装置であって、
電動機のコイルの通電状態を切り換えるスイッチング素子と当該スイッチング素子に併設される還流ダイオードとを含む通電制御手段と、
無通電状態のコイルに生ずる逆起電圧の積分値を求める逆起電圧積分手段と、
前記コイルが無通電状態となった後の電動機の中性点電位の積分値を求める中性点電位積分手段と、
前記逆起電圧の積分値と前記中性点電位の積分値とが一致した時点で、無通電状態の前記コイルが通電状態となるように、前記スイッチング素子の状態を切り換えるスイッチング素子制御手段とを備え、
前記逆起電圧積分手段は、
無通電状態のコイルの端子電圧を検出する端子電圧検出手段と、
無通電状態のコイルに還流電流が流通する期間は、当該還流電流の影響が排除されるように前記端子電圧に補正を施す補正手段と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
また、第2の発明は、電動機の回転駆動制御装置であって、
電動機のコイルの通電状態を切り換えるスイッチング素子と当該スイッチング素子に併設される還流ダイオードとを含む通電制御手段と、
無通電状態のコイルに生ずる逆起電圧と、前記コイルが無通電状態となった後の電動機の中性点電位との差分の積分値を求める差分電位積分手段と、
前記差分の積分値の正負判断に基づいて、無通電状態の前記コイルを通電状態とするための前記スイッチング素子の状態切り換えを行うスイッチング素子制御手段とを備え、
前記差分電位積分手段は、
無通電状態のコイルの端子電圧を検出する端子電圧検出手段と、
無通電状態のコイルに還流電流が流通する期間は、当該還流電流の影響が排除されるように前記端子電圧に補正を施す補正手段と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、前記補正手段は、無通電中のコイルの端子電圧を、所定の逆起電圧相当値に置き換える疑似電圧発生手段を含むことを特徴とする。
【0013】
また、第4の発明は、第3の発明において、
前記補正手段は、電動機のコイルが無通電状態に維持されるべき期間より短く、かつ、無通電中のコイルに還流電流が流通する期間以上のマスク期間を設定するマスク期間設定手段を備え、
前記疑似電圧発生手段は、電動機のコイルが無通電状態となった後、前記マスク期間が経過するまでの間、当該コイルの端子電圧を前記逆起電力相当値に置き換えることを特徴とする。
【0014】
また、第5の発明は、第4の発明において、
電動機の回転数を検出する回転数検出手段を備え、
前記マスク期間設定手段は、前記回転数に基づいて前記マスク期間を設定することを特徴とする。
【0015】
また、第6の発明は、第3乃至第5の発明の何れかにおいて、
電動機の回転数を検出する回転数検出手段を備え、
前記疑似電圧発生手段は、前記回転数に基づいて前記逆起電圧相当値を設定することを特徴とする。
【0016】
また、第7の発明は、第6の発明において、前記疑似電圧発生手段は、前記回転数に基づいて、当該回転数が高いほど、前記スイッチング素子の状態が切り換えられる時期が進角されるように前記逆起電圧相当値を設定することを特徴とする。
【0017】
また、第8の発明は、第1乃至第7の発明において、前記電動機は、内燃機関のターボチャージャを電動駆動するためのものであることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態について説明する。尚、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0019】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1の構成を説明するための図を示す。図1に示すように、本実施形態は、内燃機関10を備えている。内燃機関10には、吸気通路12および排気通路14が連通している。吸気通路12と排気通路14の間には、ターボチャージャユニット16が配置されている。
【0020】
ターボチャージャユニット16は、排気通路14側に位置するタービン18と、吸気通路12側に位置するコンプレッサ20とを備えている。更に、タービン18とコンプレッサ20との間には、それらと回転軸22を共通にする電動機24が配置されている。ターボチャージャ16は、排気エネルギによりタービン18を回転させることにより、或いは、電動機24により回転軸22を回転させることにより、コンプレッサ20を駆動することができる。コンプレッサ20は、このようにして駆動されることにより、その下流に高い過給圧を発生させることができる。
【0021】
吸気通路12には、コンプレッサ20の上流と下流とを連通するバイパス通路26が設けられている。バイパス通路26には、過給圧が過剰になった場合に開弁するバイパス弁28が設けられている。また、コンプレッサ20の下流には、インタークーラ30、およびスロットルバルブ32が配置されている。スロットルバルブ32は、アクセル開度などに基づいてスロットルモータ34により駆動される電子制御式のバルブである。スロットルバルブ32の近傍には、スロットル開度を検出するためのスロットルポジションセンサ36、およびアクセル開度を検出するためのアクセルポジションセンサ38が配置されている。
【0022】
排気通路14には、タービン18の上流においてEGR(Exhaust Gas Recirculation) 通路40が連通している。EGR通路40は、排気ガスの一部を吸気系に還流させるための通路であり、EGRバルブ42を介して吸気通路12に連通している。また、排気通路14には、タービン18の下流に触媒44が配置されている。内燃機関10から排出された排気ガスは、タービン18を通過した後、触媒44において浄化された後、大気に放出される。
【0023】
本実施形態のシステムは、システム全体を制御するためのECU50、電動機24の状態制御するためのコントローラ52、およびシステムの作動に必要な電力を供給するバッテリ54を備えている。本実施形態のシステムは、電動機24の制御に関する部分に特徴を有しているため、以下、その特徴を説明するうえで必要な範囲で、ECU50やコントローラ52の内容を説明する。
【0024】
図2は、本実施形態のシステムが電動機24を駆動するために備えている構成の内容を説明するためのブロック図である。本実施形態において、電動機24は、永久磁石式の同期電動機であり、U相、V相、およびW相の3つのコイルを有している。
【0025】
図2に示す構成は、インバータ60を備えている。インバータ60の内部には、電動機24のU相コイルに対応するスイッチング素子対62,64、および還流ダイオード対66,68が設けられている。また、その内部には、V相コイルに対応するスイッチング素子対70,72、および還流ダイオード対74,76、並びに、W相コイルに対応するスイッチング素子対78,80、および還流ダイオード対82,84が設けられている。
【0026】
インバータ60にはバッテリ54が接続されており、上述した3つのスイッチング素子対、および3つの還流ダイオード対の両側には、電源電圧が印加されている。インバータ60によれば、内蔵するスイッチング素子を適当にオン・オフさせることにより、U相コイル、V相コイルおよびW相コイルに、順次適当な磁界を発生させて電動機24を適当に同期運転させることができる。
【0027】
図2に示すシステムは、センサレスコントロールIC86と、マスク制御回路88を備えている。これらは、何れも図1に示すコントローラ52に含まれる要素である。マスク制御回路88は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせにより、或いは、ソフトウェアを利用せず、ハードウェアのみで構成された回路であり、電動機24の各相コイルの端子電圧を検出し、それらの端子電圧を、直接、或いは、必要な場合には補正して、センサレスコントロールIC86に供給する機能を有している。以下、電動機24のU相コイル、V相コイル、およびW相コイルに生ずる端子電圧を、それぞれ「U電圧」、「V電圧」、および「W相電圧」と称す。
【0028】
センサレスコントロールIC86は、U相コイルに対応する電圧を受けるためのU端子、V相コイルに対応する電圧を受けるためのV端子、およびW相コイルに対応する電圧を受けるためのW端子を備えている。また、センサレスコントロールIC86は、それらの端子に供給される電圧に基づいて電動機24のロータ位置を検出し、その検出位置に基づいて、インバータ60に内蔵される6つのスイッチング素子のそれぞれに適当なゲート信号を供給する機能を有している。更に、センサレスコントロールIC86は、電動機24のロータ位置が検出された後に、電動機24の回転速度に応じた周期で変動するVCO信号を発する機能を有している。
【0029】
センサレスコントロールIC86は、ターボチャージャユニット16の電力アシストが必要となると、図1に示すECU50により起動が要求される。そして、センサレスコントロールICは、その起動が要求された後、定常状態では、図3に示すようなタイミングチャートに則って電動機24の回転を制御する。
【0030】
図3は、定常状態におけるセンサレスコントロールIC86の動作を説明するためのタイミングチャートである。より具体的には、図3(A)は、センサレスコントロールIC86により生成されるVCO信号の波形である。図3に示す♯1〜♯6の領域は、それぞれ60度のロータ回転角に対応している。従って、VCO信号は、ロータが60度回転する毎に一周期の変化を示す信号である。
【0031】
図3(B)〜図3(G)は、インバータ60に内蔵される6つのスイッチング素子に対して供給されるゲート信号波形を示す。尚、これらの図に示すU1、V1、W1は、それぞれU相、V相、W相の電源電位側のスイッチング素子62,70,78を意味しており、一方、U2、V2、W2は、それぞれU相、V相、W相の接地電位側のスイッチング素子64,72,80を意味している。
【0032】
図3(B)〜図3(G)に示すように、本実施形態では、電動機24の各相コイルに対応するスイッチング素子が、1サイクルの過程で120度相当期間だけオン状態とされるいわゆる120度通電の駆動方式が用いられている。このため、本実施形態のシステムでは、1サイクルの過程中に、各相コイルに対応する2つのスイッチング素子が何れもオフ状態となる期間、つまり、各相コイルが無通電状態となる期間が2回づつ(各回の無通電期間は60度相当期間)確保されている。具体的には、U相コイルは、♯3,♯6の期間において無通電状態となる。V相コイルは、♯2,♯5の期間において無通電状態となる。また、W相コイルは、♯1,♯4の期間において無通電状態となる。
【0033】
図3(H)〜図3(J)は、センサレスコントロールIC86が、U端子、V端子、およびW端子に供給される電圧をサンプリングするタイミングを示す。これらの図が示すように、センサレスコントロールIC86は、各相コイルに対応する電圧を、そのコイルが無通電状態となる期間、つまり、そのコイルに逆起電圧が発生する期間においてサンプリングする。センサレスコントロールIC86は、それらのサンプリング期間において検出された電圧に基づき、電動機の回転位置を判断して、電動機24が同期運転を継続するようにゲート信号の切り換えを行う。
【0034】
図4は、センサレスコントロールIC86が、特定相のコイルに対応する電圧に基づいてゲート信号を切り換える手法を説明するためのタイミングチャートである。より具体的には、図4(A)は、理想的な切り換え動作を説明するための波形を示す。図4(B)は、U電圧、V電圧、およびW電圧を直接センサレスコントロールIC86に供給した場合に実現される動作を説明するための波形を示す。また、図4(C)は、本実施形態のシステムにより実現される動作を説明するための波形を示す。
【0035】
図4(A)〜図4(C)において、破線または実線で示された正弦波は、特定の相のコイルに発生する逆起電力のイメージを示す。また、各図において、その正弦波の山および谷と重なるように描かれた実線の矩形波は、インバータ60内のスイッチング素子がオンとなることによりそのコイルに印加される電圧の波形である。コイルが無通電状態となる60度の期間中に、そのコイルの端子電圧が逆起電圧と一致するとすれば、そのコイルの端子電圧は、図4(A)に実線で示すように、120度相当の期間だけ維持される印加電圧と、60度相当の期間だけ表れる正弦波との組み合わせで構成されることになる。
【0036】
120度通電の手法で電動機24を効率良く駆動するためには、各相コイルに発生する逆起電力の正弦波の山と谷が、スイッチング素子がオンとされる120度相当の期間と同期していることが望ましい。つまり、電動機24を効率良く駆動するためには、各相コイルが無通電状態となる60度相当の期間中、そのコイルの端子電圧(逆起電圧)が電動機24の中性点電位より低い期間(T1)と、その端子電圧(逆起電圧)が電動機24の中性点電位より高い期間(T2)とが等しくなることが望ましい。換言すると、コイルの端子電圧と中性点電位との差を期間T1に渡って積分した値(面積S1に相当)と、その差を期間T2に渡って積分した値(面積S2に相当)とが等しくなるようにスイッチング素子の状態が切り換えられることが望ましい。
【0037】
図4(A)において、コイルが無通電状態となる60度相当の期間中、コイルの端子電圧(逆起電圧)の積分値と、電動機24の中性点電位の積分値とは、上記の面積S1とS2が等しくなる時点で、つまり、期間T1とT2が等しくなる時点で一致する。従って、無通電中のコイルの端子電圧が逆起電力と一致した変化を示すとすれば、その積分値と中性点電位の積分値が一致した時点でスイッチング素子の状態を切り換えることにより、電動機24を効率よく駆動することが可能である。
【0038】
センサレスコントロールIC86は、無通電状態のコイルに対応する端子(U端子、V端子、またはW端子)に供給される電圧の積分値と、電動機24の中性点電位の積分値とが一致した時点で、そのコイルが再び通電状態となるようにゲート信号の切り換えタイミングを制御する機能を有している。従って、コイルが無通電状態となる期間中に、そのコイルの端子電圧が図4(A)に示すように逆起電圧と一致しているとすれば、U電圧、V電圧、およびW電圧をU端子、V端子、およびW端子に直接供給することで、電動機24を効率的に駆動することが可能である。
【0039】
しかしながら、本実施形態のシステムにおいて、コイルの端子電圧は、現実には、図4(A)に示すような変化を示さず、図4(B)中に実線で示すような変化を示す。以下、便宜上図4(B)に示す波形は、U相コイルに対応するものであるとする。この場合、時刻t1−t2における印加電圧(接地電位)は、U相コイルに対応する接地電位側スイッチング素子64がオンとなることで実現される。この間、U相コイルには、インバータ60に向かって流出する方向の電流Iが流通している。
【0040】
時刻t2においてスイッチング素子64がオフとされた後も、U相コイルに蓄えられているエネルギ(L・I2/2、但しLはU相コイルのインダクタンス)が消滅するまでは、その電流IはU相コイルを流れ続けようとする。この電流Iは、還流ダイオード66を通ってのみ流通することができる。そして、還流ダイオード66のカソードには電源電圧が印加されているため、電流Iがそこを流れる間は、還流ダイオード66のアノード電位、つまり、U相コイルの端子電位は電源電圧にまで上昇する。このため、図4(B)に示すように、U相コイルの端子電圧は、現実には、スイッチング素子64がオフとされた時刻t2の後、電流Iの還流が終了する時刻t3までの間、電源電圧となり、その後逆起電圧に一致するという変化を示す。
【0041】
図4(B)に示す面積S3は、U相コイルの端子電圧と中性点電位との差を、電流Iの還流期間にわたって積分した値に相当している。センサレスコントロールIC86のU端子、V端子およびW端子に、各相コイルの端子電圧、つまり、U電圧、V電圧およびW電圧が直接供給されるとすれば、U相コイルの電源電位側スイッチング素子62は、面積S3と面積S2との和が面積S1と等しくなった時点でオンされることになる。この場合、面積S3が大きくなるに連れて、スイッチング素子62がオンとされるタイミングが不当に進角される事態が生ずる。このため、センサレスコントロールIC86に対して、電動機24のU電圧、V電圧およびW電圧を直接供給したのでは、特に、還流電流Iが大きい運転状況下において、電動機24の駆動効率が低下しやすい。
【0042】
図4(C)は、コイルが無通電状態とされる時刻t2の後、所定のマスク期間θの間、コイルの端子電圧を所定電圧Vxに置き換えた波形を示している。ここで、上記のマスク期間θは、無通電状態となったコイルに還流電流Iが流れる期間以上であり、60度相当期間より短い適当な期間である。また、所定電圧Vxは、マスク期間にわたるその値Vxの積分値が、その期間中における逆起電圧の積分値と等しくなるように設定された値である。尚、マスク期間θおよび所定電圧Vxを設定する手法については、後に詳細に説明する。
【0043】
本実施形態のシステムにおいて、マスク制御回路88は、上記のマスク期間の間だけ、U電圧、V電圧、およびW電圧を、それぞれ所定電圧Vxに補正してセンサレスコントロールIC86に供給する。この場合、センサレスコントロールIC86は、マスク期間にわたる所定電圧Vxの積分値と、その後の端子電圧(逆起電圧)の積分値との和が、中性点電位の積分値と等しくなった時点で無通電状態のコイルを通電状態とすべくスイッチング素子の状態を切り換える。そして、マスク期間にわたる所定電圧Vxの積分値は、その期間中における逆起電圧の積分値に等しいため、上記の処理によれば、逆起電圧が中性点電位より低くなる期間T1と、その逆の関係が成立する期間T2とが等しくなることを常に保証することができる。このため、本実施形態のシステムによれば、還流電流Iの発生に影響されることなく、電動機24を常に効率よく駆動することができる。
【0044】
図5は、所定電圧Vxの設定手法を説明するための波形を示す。図5に示す正弦波、および矩形波は、上記図4(A)に示す場合と同様に、各相コイルに表れる逆起電圧のイメージ波形、およびスイッチング素子がオンとなることで発生するコイルに対する印加電圧波形を示している。また、図5に示す横軸は、1目盛りが60度に相当している。更に、図5に示す電圧V0およびVθは、それぞれ、コイルが無通電状態となった時点での逆起電圧の値、およびマスク期間θが終了した時点での逆起電圧の値を示している。
【0045】
所定電圧Vxは、マスク期間θにわたる積分値が、マスク期間θにわたる逆起電圧の積分値と等しくなるように設定されるべき値である。そして、その値Vxは、マスク期間θにおいて逆起電圧が線形に変化すると見なせるとすれば、次式により近似的に求めることができる。
Vx=(V0+Vθ)/2 ・・・(1)
【0046】
図5に示す逆起電圧は、電源電圧Vbの1/2の値、つまり、Vb/2を中心とする正弦波であると考えられる。そして、コイルが無通電状態となる60度の期間中、逆起電力がその中心電圧Vb/2より低い期間と、その逆の関係が成立する期間とが等しいとすれば、すなわち、双方の期間がそれぞれ30度づつであるとすれば、図5に示すV0と中心電圧Vb/2との差は(Vp−Vb/2)・sin30°であり、また、図5に示すVθと中心電圧Vb/2との差は(Vp−Vb/2)・sin(30−θ)である。但し、Vpは正弦波のピーク電圧である。
【0047】
従って、図5に示すV0およびVθは、電源電圧Vb、逆起電圧のピーク電圧Vp、およびマスク期間θを用いて、それぞれ次式のように表すことができる。
V0 =Vb/2−(Vp−Vb/2)・sin30° ・・・(2)
Vθ=Vb/2−(Vp−Vb/2)・sin(30−θ) ・・・(3)
【0048】
電源電圧Vbは、容易に検知することができる。また、逆起電圧のピーク電圧Vpは、電動機24の回転数に対してほぼ一義的に決まる値である。このため、その値Vpは、予めマップ等を準備しておくことにより、電動機24の回転数に基づいて検知することができる。このため、本実施形態のシステムによれば、マスク期間θが定まれば、上記(1)式〜(3)式に従って、図5に示すV0およびVθに対応する所定電圧Vxを精度良く設定することが可能である。
【0049】
ところで、本実施形態のシステムでは、各相コイルに対応する接地電位側のスイッチング素子64,72,80がオフ状態に切り替わった直後に電流Iの還流が生ずると共に、各相コイルに対応する電源電位側のスイッチング素子62,70,78がオフ状態に切り替わった直後にも電流Iの還流が生ずる。従って、マスク期間θは、各相コイルについて、1サイクルの間に上記2つの場面において設ける必要がある。
【0050】
図5に示すマスク期間θは、接地電位側のスイッチング素子がオフ状態に切り替わった直後に設定されるマスク期間である。このような場面では、コイルに発生する逆起電圧は、Vb/2(電源電圧Vbの半分)より小さな値となる。このため、このような場面では、上記(2)式および(3)式により、V0およびVθを精度良く算出することができる。
【0051】
これに対して、マスク期間θを設定すべきもう一つの場面、つまり、電源電位側のスイッチング素子がオンからオフに切り替わった直後の場面では、各相コイルに発生する逆起電圧がVb/2より高い値となる。従って、この期間のV0およびVθは、上記(2)式および(3)式では得ることができず、それぞれ以下の演算式により算出することが必要である。
V0 =Vb/2+(Vp−Vb/2)・sin30° ・・・(4)
Vθ=Vb/2+(Vp−Vb/2)・sin(30−θ) ・・・(5)
【0052】
本実施形態において、マスク制御回路88は、各相コイルに対応する接地電位側のスイッチング素子64,72,80がオンからオフに切り替わった直後のマスク期間θにおいては、上記(1)〜(3)式の関係に従って所定電圧Vxを算出する。一方、各相コイルに対応する電源電位側のスイッチング素子62,70,78がオンからオフに切り替わった直後のマスク期間θにおいては、上記(1)式、(4)式および(5)式の関係に従って所定電圧Vxを算出する。このため、マスク制御回路88によれば、何れの場面においても、各相コイルに発生する逆起電圧に対応する所定電圧Vxを精度良く設定することができる。
【0053】
上述したマスク期間θ(単位は角度)は、電流Iの還流期間(単位は角度)以上であり、かつ、コイルを無通電状態に維持すべき60度より短い期間(角度)に設定することが必要である。電流Iの還流期間は、消滅すべきエネルギ(L・I2/2)が大きいほど長期間となり、また、電動機24の回転数が高いほど大きな値となる。従って、その還流期間は、電動機24を流れる電流Iと、電動機24の回転数とにより求めることができる。
【0054】
本実施形態において、マスク制御回路回路88は、電動機24を流れる電流Iと電動機24の回転数との関係で、その電流Iの還流期間より僅かに長いマスク期間θを定めたマップを記憶している。このため、マスク制御回路88は、電動機電流および電動機回転数に基づいて、還流期間以上の適正なマスク期間θを設定することができる。
【0055】
図6は、本実施形態のシステムにおいて、センサレスコントロールIC86が実行する処理の手順を説明するためのフローチャートを示す。
図6に示すように、センサレスコントロールIC86は、起動要求が生じたか否かを監視している(ステップ100)。
【0056】
ターボチャージャユニット16の電動アシストが要求され、センサレスコントロールIC86の起動が要求されると、上記ステップ100の条件が成立したと判断される。この場合、次に、VCO信号の立ち上げ動作が行われる(ステップ102)。
図3に示す通り、センサレスコントロールIC86は、VCO信号の立ち上がりを受けてゲート信号等の切り換え動作を行う。従って、本ステップ102の処理が実行されると、VCO信号の立ち上がりを受けて、センサレスコントロールIC86の内部において、ゲート信号の切り換え処理等が実行される。
【0057】
次に、端子電圧積分値ΣVm、および中性点電位積分値ΣVcがクリアされる(ステップ104)。
端子電圧積分値ΣVmは、U端子、V端子、或いはW端子から入力される電圧、つまり、マスク制御回路88を介して供給される電動機24の各相コイルの端子電圧、またはその補正値(所定電圧Vx)を積分した値である。一方、中性点電位積分値ΣVcは、電動機24の中性点電位Vcを積分した値である。尚、本実施形態において、センサレスコントロールIC86は、U電圧、V電圧、およびW電圧の平均値(U電圧+V電圧+W電圧)/3を、中性点電位Vcとしている。
【0058】
図6に示すルーチンでは、次に、端子電圧積分値ΣVm、および中性点電位積分値ΣVcが演算される(ステップ106)。
上記の処理によれば、VCO信号が立ち上がる毎に、つまり、ゲート信号の切り換えが行われる毎に、端子電圧積分値ΣVm、および中性点電位積分値ΣVcがクリアされ、その後新たにそれらの積分を開始することができる。
【0059】
センサレスコントロールIC86は、次に、起動要求が消滅していないかを判別する(ステップ108)。
【0060】
その結果、起動要求が既に消滅していると判別された場合は、速やかに今回のルーチンが終了される。一方、未だ起動要求が消滅していないと判別された場合は、次に、端子電圧積分値ΣVmと、中性点電位積分値ΣVcとが等しいか否かが判別される(ステップ110)。
【0061】
端子電圧積分値ΣVmと中性点電位積分値ΣVcとが未だ等しくないと判別された場合は、ゲート信号を切り換えるタイミング、つまり、無通電状態のコイルを通電状態に切り換えるタイミングが未だ到来していないと判断される。そして、この場合は、再び上記ステップ106以降の処理が繰り返される。一方、端子電圧積分値ΣVmと中性点電位積分値ΣVcとが一致していると判別された場合は、ゲート信号を切り換えるタイミングが到来したと判断される。この場合、センサレスコントロールIC86は、以後、上記ステップ102に戻って上記の処理を繰り返す。その結果、VCO信号の立ち上げ、およびゲート信号の切り換えが行われ、再び端子電圧積分値ΣVmと、中性点電位積分値ΣVcの演算が新たに開始される。
【0062】
以上説明した通り、図6に示すルーチンによれば、センサレスコントロールIC86のU端子、V端子、およびW端子に入力される電圧の積分値ΣVmと、中性点電位の積分値ΣVcとが一致する毎に、無通電状態のコイルが通電状態となるように(その結果、他の相では、通電状態であったコイルが無通電状態となる)、インバータ60を駆動するゲート信号を適切に切り換えることができる。
【0063】
図7は、マスク制御回路88が、センサレスコントロールIC86に適正な電圧信号を供給するために実行する処理の手順を説明するためのフローチャートを示す。図7に示す通り、マスク制御回路88では、先ず、センサレスコントロールIC86により生成されるVCO信号の立ち上がりが監視される(ステップ120)。
【0064】
VCO信号の立ち上がりが検知された場合は、回転角δがリセットされる(ステップ122)。
一方、VCO信号の立ち上がりが検知されない場合は、ステップ122の処理がジャンプされ、速やかに以後、ステップ124の処理が実行される。
上記の処理によれば、回転角δは、インバータ60に供給されるゲート信号が切り換えられる毎に、つまり、無通電状態であったコイルが通電状態に切り換えられる毎にリセットされることになる。
【0065】
図7に示すルーチンでは、次に、回転角δが更新される(ステップ124)。
上記の処理によれば、マスク制御回路88は、インバータ60に供給されるゲート信号が切り換えられた後の回転角をδとして検知することができる。
【0066】
次に、回転角δがマスク期間θ以下であるかが判別される(ステップ126)。
δ≦θが成立すると判別された場合は、今回の処理サイクルは、マスク期間中に実行されたものであると判断できる。この場合、マスク回路84は、所定電圧Vxを、電動機24の端子電圧としてセンサレスコントロールIC86に供給する(ステップ128)。
一方、δ≦θが成立しないと判別された場合、つまり、マスク期間θが既に終了していると判別された場合は、電動機24の各相コイルの端子電圧Vm(U電圧、V電圧、またはW電圧)が、そのままセンサレスコントロールIC86に供給される(ステップ130)。
【0067】
以上説明した通り、マスク制御回路88は、図7に示す手順で処理を実行することにより、ゲート信号が切り換えられた後、マスク期間θが終了するまでの間は、電動機24の各相コイルの端子電圧(U電圧、V電圧、またはW電圧)に代えて、所定電圧VxをセンサレスコントロールIC86に供給し、マスク期間θが終了した後は、各相コイルの端子電圧をそのままセンサレスコントロールIC86に供給することができる。このため、センサレスコントロールIC86は、上記図6に示すルーチンに沿った処理を行うことにより、各相コイルに生ずる逆起電力が中性点電位より低くなる期間と、その逆の関係が成立する期間とが等しくなるタイミングにおいて、適切にゲート信号を切り換え(図4(C)参照)、電動機24を効率的に駆動することができる。
【0068】
図8は、マスク制御回路88が、マスク期間θおよび所定電圧Vxを更新(演算)するために実行する処理の手順を説明するためのフローチャートである。図8に示す通り、マスク制御回路88では、先ず、VCO信号の立ち上がりが監視される(ステップ140)。
【0069】
VCO信号の立ち上がりが検知されない場合は、マスク期間θおよび所定電圧Vxの更新時期が未だ到来していないと判断される。この場合、以後速やかに今回の処理サイクルが終了される。一方、VCO信号の立ち上がりが検知されると、それらの更新時期が到来したと判断され、以後、ステップ142以降の処理が実行される。尚、図8に示す手順は、VCO信号が立ち上がる毎に、つまり、ゲート信号が切り換えられる毎にマスク期間θおよび所定電圧Vxを更新することを前提として、その更新時期が到来したか否かを判断するためにVCO信号の立ち上がりを監視している。しかし、マスク期間θおよび所定電圧Vxの更新時期は、このタイミングに限定されるものではなく、従って、上記ステップ140において監視されるべきは、VCO信号の立ち上がりに限定されるものではない。つまり、上記ステップ140では、マスク期間θおよび所定電圧Vxの定期的な更新を可能とすべく、定期的に切り替わる何らかの事項を監視していればよい。
【0070】
図8に示す手順によれば、VCO信号の立ち上がりが検知された後、電源電圧Vb、電動機24の回転数N、および電動機電流Iが順次検出される(ステップ142,144,146)。
【0071】
次いで、電動機24の回転数Nと逆起電圧のピーク電圧Vpとの関係を定めたマップを参照して、現在の回転数Nに対応するピーク電圧Vpが求められる(ステップ148)。
【0072】
更に、電動機電流Iおよび回転数Nと、マスク期間θとの関係を定めたマップを参照して、現在の電流Iおよび回転数Nに対応するマスク期間θが演算される(ステップ150)。
【0073】
そして、マスク制御回路88は、上記の如く検出または演算した電源電圧Vb、ピーク電圧Vp、およびマスク期間θに基づいて、上記(1)式乃至(3)式、或いは、上記(1)式、(4)式および(5)式に従って、所定電圧Vxを算出する(ステップ152,154,156)。
【0074】
以上説明した通り、図8に示す手順によれば、VCO信号が立ち上がる毎に、マスク期間θ、および所定電圧Vxをその時点の状況に応じた最適な値に更新することができる。マスク制御回路88は、このようにして適宜更新されるマスク期間θおよび所定電圧Vxの最新値を用いて上記図7に示す処理を実行する。このため、本実施形態のシステムによれば、電動機24が如何なる状態で運転しているかに関わらず、常に最適なタイミングでゲート信号を切り換えることができ、電動機24を常に優れた効率で駆動することができる。
【0075】
ところで、上述した実施の形態1においては、電動機24の各相コイルに発生する逆起電圧を正弦波のまま扱い、接地電位側のスイッチング素子64,72,80がオンからオフに切り替わった直後と、電源電位側のスイッチング素子62,70,78がオンからオフに切り替わった直後とで、所定電圧Vxの演算式を異ならしめることとしている。しかしながら、所定電圧Vxの演算手法は、これに限定されるものではない。すなわち、マスク制御回路88の内部において、Vb/2を上限または下限として各相コイルの端子電圧を折り返し(整流し)、所定電圧Vxを、常に上記(1)式〜(3)式、或いは、常に上記(1)式、(4)式および(5)式に基づいて演算することとしてもよい。
【0076】
また、上述した実施の形態1では、端子電圧積分値ΣVmと中性点電位積分値ΣVcとをそれぞれ算出し、それら両者が一致した時点でVCOを立ち上げることとしているが、VCOの立ち上げタイミングを決める手法はこれに限定されるものではない。すなわち、VCOの立ち上げタイミングは、電動機24の各相コイルの端子電圧と中性点電位との差分の積算値を演算すると共に、その積算値の正負に基づいて、より具体的には、その積算値がゼロとなる時点に決定してもよい。
【0077】
尚、上述した実施の形態1においては、インバータ60が前記第1の発明における「通電制御手段」に相当していると共に、センサレスコントロールICが上記ステップ106においてΣVmおよびΣVcを算出することにより前記第1の発明における「逆起電圧積分手段」および「中性点電位積分手段」が、上記ステップ110および102の処理を実行することにより前記第1の発明における「スイッチング素子制御手段」が実現されている。また、マスク制御回路88が、各相コイルの端子電圧(U電圧、V電圧、W電圧)を検出することにより前記第1の発明における「端子電圧検出手段」が、上記ステップ126〜130の処理を実行することにより前記第1の発明における「補正手段」が実現されている。
【0078】、
また、上述した実施の形態1においては、所定電圧Vxが前記第3の発明における「逆起電圧相当値」に相当していると共に、マスク制御回路88が、上記ステップ128の処理を実行することにより前記第3の発明における「疑似電圧発生手段」が実現されている。
また、上述した実施の形態1においては、マスク制御回路88が、上記ステップ150の処理を実行することにより、前記第4の発明における「マスク期間設定手段」が実現されている。
また、上述した実施の形態1においては、マスク制御回路88が、上記ステップ144の処理を実行することにより、前記第5または6の発明における「回転数検出手段」が実現されている。
【0079】
実施の形態2.
次に、図9を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。
本実施形態のシステムは、実施の形態1のシステムにおいて、マスク制御回路88に、上記図8に示す手順に代えて、図9に示す手順で所定電圧Vxを設定させることにより実現することができる。
【0080】
図9は、本実施形態において、マスク制御回路88が、マスク期間θおよび所定電圧Vxを設定するために実行する処理の手順を説明するためのフローチャートである。図9に示すフローチャートは、ステップ156に続いてステップ160および162の処理が実行される点を除き、図8に示すフローチャートと同様である。
【0081】
すなわち、本実施形態にいおいて、マスク制御回路88は、先ず、実施の形態1の場合と同様の手順でマスク回路θを設定し、かつ、所定電圧Vxを算出する(ステップ140〜156)。
これらの処理が終了すると、マスク制御回路88は、次に、電動機電流Iおよび電動機回転数Nに基づき、進角補正係数Kを算出する(ステップ160)。
そして、上記ステップ156において算出された所定電圧Vxに進角補正係数Kを掛け合わせた値が、最終的な所定電圧Vxとして設定される(ステップ162)。
【0082】
上述した進角補正係数Kは、電動機電流Iが大きいほど、また、電動機回転数Nが大きいほど小さな値に設定される(標準値は1.0)。このため、図9に示す手順によれば、電動機24が大きなトルクを要求するほど、所定電圧Vxは、上記ステップ156において算出される値(以下、「標準値」と称す)より小さな値となる。
【0083】
センサレスコントロールIC86は、マスク期間θ中の所定電圧Vxの積分値と、マスク期間θ後の端子電圧の積分値との和(ΣVm)が、中性点電位の積分値(ΣVc)と等しくなった時点でゲート信号の切り換えを行う。前者(ΣVm)と後者(ΣVc)は、所定電圧Vxが小さいほど(つまり、Vmが小さいほど)、積分が開始された後短期間で一致する。このため、図9に示す手順によれば、電動機24が大きなトルクを要求するほど、ゲート信号の切り換え時期が進角側にシフトする。
【0084】
電動機24において大きなトルクを確保するうえでは、ゲート信号の切り換え時期を適度に進角側にシフトすることが有効であることは広く知られている。本実施形態の装置によれば、電動機回転数Nの上昇、および電動機電流Iの情報に応じて、そのような有効な進角制御を適宜実現することができる。このため、本実施形態の装置によれば、高負荷領域において、実施の形態1の装置に比して更に効率的に電動機24を駆動することが可能である。
【0085】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように構成されているので、以下に示すような効果を奏する。
第1または第2の発明によれば、電動機の中性点電位の積分値と、無通電のコイルに生ずる逆起電圧の積分値とが等しくなった時点でスイッチング素子の状態を切り換えることにより、電動機を効率的に駆動することができる。そして、無通電状態のコイルに還流電流が流通する期間は、そのコイルの端子電圧に補正を施すことができるため、還流電流の影響を受けることなくコイルに発生する逆起電力を常に正しく検知することができる。
【0086】
第3の発明によれば、無通電中のコイルの端子電圧を逆起電圧相当値に置き換えることにより、還流電流の流通中における逆起電圧が、現実の値から大きく外れた値として検知されるのを確実に防ぐことができる。
【0087】
第4の発明によれば、適正なマスク期間を設定して、その期間中はコイルの端子電圧を逆起電力相当値に置き換えることにより、還流電流の流通に伴うコイルの端子電圧の影響を適切に排除することができる。
【0088】
第5の発明によれば、電動機の回転数に基づいてマスク期間を設定することができる。コイルに還流電流が流通する時間は、電動機の回転角により影響される。このため、マスク期間を回転数に基づいて設定すると、還流電流の消滅に要する期間に対応する適正なマスク期間を設定することができる。
【0089】
第6の発明によれば、電動機の回転数に基づいて逆起電圧相当値を設定することができる。コイルに生ずる逆起電力は、電動機の回転数により決定される。このため、逆起電力相当値を回転数に基づいて設定することによれば、逆起電力相当値を現実の逆起電力に近い値に設定することができる。
【0090】
第7の発明によれば、電動機の回転数が高いほど、スイッチング素子の状態が切り換えられる時期を進角側にシフトさせることができる。このため、本発明によれば、高回転領域において、電動機を効率的に駆動することができる。
【0091】
第8の発明によれば、内燃機関のターボチャージャを電動駆動する電動機を効率的に駆動することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の構成を説明するための図である。
【図2】本発明の実施の形態1のシステムが、電動機を駆動するために備えている構成を説明するためのブロック図である。
【図3】図2に示すセンサレスコントロールICの基本動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図4】図4(A)は、ゲート信号の理想的な切り換え動作を説明するための波形である。
図4(B)は、各相コイルの端子電圧をセンサレスコントロールICに直接供給した場合に実現される動作を説明するための波形である。
図4(C)は、実施形態1のシステムにより実現される動作を説明するための波形である。
【図5】所定電圧Vxの設定手法を説明するための波形を示す。
【図6】実施形態1のシステムにおいて、センサレスコントロールICが実行する処理の手順を説明するためのフローチャートである。
【図7】実施形態1のシステムにおいて、マスク制御回路が、センサレスコントロールICに適正な電圧信号を供給するために実行する処理の手順を説明するためのフローチャートである。
【図8】実施形態1のシステムにおいて、マスク制御回路が、マスク期間θおよび所定電圧Vxを更新(演算)するために実行する処理の手順を説明するためのフローチャートである。
【図9】実施形態2のシステムにおいて、マスク制御回路が、マスク期間θおよび所定電圧Vxを更新(演算)するために実行する処理の手順を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
10 内燃機関
12 吸気通路
14 排気通路
16 ターボチャージャユニット
18 タービン
20 コンプレッサ
22 回転軸
24 電動機
50 ECU(Electronic Control Unit)
52 コントローラ
54 バッテリ
60 インバータ
62,64,70,72,78,80 スイッチング素子
86 センサレスコントロールIC
88 マスク制御回路
Claims (8)
- 電動機のコイルの通電状態を切り換えるスイッチング素子と当該スイッチング素子に併設される還流ダイオードとを含む通電制御手段と、
無通電状態のコイルに生ずる逆起電圧の積分値を求める逆起電圧積分手段と、
前記コイルが無通電状態となった後の電動機の中性点電位の積分値を求める中性点電位積分手段と、
前記逆起電圧の積分値と前記中性点電位の積分値とが一致した時点で、無通電状態の前記コイルが通電状態となるように、前記スイッチング素子の状態を切り換えるスイッチング素子制御手段とを備え、
前記逆起電圧積分手段は、
無通電状態のコイルの端子電圧を検出する端子電圧検出手段と、
無通電状態のコイルに還流電流が流通する期間は、当該還流電流の影響が排除されるように前記端子電圧に補正を施す補正手段と、
を備えることを特徴とする電動機の回転駆動制御装置。 - 電動機のコイルの通電状態を切り換えるスイッチング素子と当該スイッチング素子に併設される還流ダイオードとを含む通電制御手段と、
無通電状態のコイルに生ずる逆起電圧と、前記コイルが無通電状態となった後の電動機の中性点電位との差分の積分値を求める差分電位積分手段と、
前記差分の積分値の正負判断に基づいて、無通電状態の前記コイルを通電状態とするための前記スイッチング素子の状態切り換えを行うスイッチング素子制御手段とを備え、
前記差分電位積分手段は、
無通電状態のコイルの端子電圧を検出する端子電圧検出手段と、
無通電状態のコイルに還流電流が流通する期間は、当該還流電流の影響が排除されるように前記端子電圧に補正を施す補正手段と、
を備えることを特徴とする電動機の回転駆動制御装置。 - 前記補正手段は、無通電中のコイルの端子電圧を、所定の逆起電圧相当値に置き換える疑似電圧発生手段を含むことを特徴とする請求項1または2記載の電動機の回転駆動制御装置。
- 前記補正手段は、
電動機のコイルが無通電状態に維持されるべき期間より短く、かつ、無通電中のコイルに還流電流が流通する期間以上のマスク期間を設定するマスク期間設定手段を備え、
前記疑似電圧発生手段は、電動機のコイルが無通電状態となった後、前記マスク期間が経過するまでの間、当該コイルの端子電圧を前記逆起電力相当値に置き換えることを特徴とする請求項3記載の電動機の回転駆動制御装置。 - 電動機の回転数を検出する回転数検出手段を備え、
前記マスク期間設定手段は、前記回転数に基づいて前記マスク期間を設定することを特徴とする請求項4記載の電動機の回転駆動制御装置。 - 電動機の回転数を検出する回転数検出手段を備え、
前記疑似電圧発生手段は、前記回転数に基づいて前記逆起電圧相当値を設定することを特徴とする請求項3乃至5の何れか1項記載の電動機の回転駆動制御装置。 - 前記疑似電圧発生手段は、前記回転数に基づいて、当該回転数が高いほど、前記スイッチング素子の状態が切り換えられる時期が進角されるように前記逆起電圧相当値を設定することを特徴とする請求項6記載の電動機の回転駆動制御装置。
- 前記電動機は、内燃機関のターボチャージャを電動駆動するためのものであることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項記載の電動機の回転駆動制御装置。
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