JP2004240113A - 静電荷像現像用トナーおよびその製造方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナーおよびその製造方法 Download PDF

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Mitsutoshi Nakamura
光俊 中村
Hideaki Ueda
秀昭 植田
Shino Hirao
詩乃 平尾
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Abstract

【課題】帯電環境安定性および帯電立ち上がり性に優れた静電荷像現像用トナーおよびその製造方法を提供すること。
【解決手段】湿式法により得られたトナー粒子を水分含有量10%以下まで乾燥させた後、洗浄し、乾燥を行うことを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法および湿式法により得られたトナー粒子を水溶性有機溶剤含有水系媒体中で膨潤させた後、洗浄し、加熱して収縮させ、乾燥を行うことを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法、ならびにそれらの方法によって製造された静電荷像現像用トナー。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は静電荷像現像用トナーおよびその製造方法に関する。詳しくは、本発明は電子写真、静電記録および静電印刷等における静電荷像を現像するために用いられる静電荷像現像用トナーおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
トナーを製造する方法として、いわゆる乳化重合凝集法、乳化重合法、懸濁重合法、乳化分散法等の湿式法が知られている。上記いずれの湿式法も、重合性単量体または樹脂溶液を水系媒体中に分散する工程を含むため、界面活性剤等の親水性物質が一般的に使用されている。特に、乳化重合凝集法では、重合性単量体を乳化重合することによって微小な粒径の樹脂微粒子を形成し、得られた樹脂微粒子と少なくとも着色剤との凝集等を行うため、界面活性剤以外にも凝集剤等の親水性物質が使用されている。
【0003】
そのような親水性物質がトナー粒子表面に残存すると、トナーの使用時においてトナー粒子表面に吸着する水分の量が周囲の環境(特に、湿度)により変動するため、環境変動によって帯電量が変動し、結果として得られる画質の濃度が変動するという問題があった。
【0004】
このため、従来の湿式法では、得られたトナー粒子を大量の水で洗浄して、トナー粒子表面に残存する親水性物質を除去することが一般に行われているが、環境変動による帯電量の変動を十分に防止できなかった。環境変動による帯電量変動の問題は乳化重合凝集法で得られたトナー粒子を含むトナーにおいて特に顕著であった。
【0005】
そこで、親水性物質の除去を目的として、水中に乳化分散してなる重合体微粒子を複数個会合して重合体粒子を製造する方法において、会合後の重合体粒子の洗浄・ろ過工程に、SP値(溶解性パラメーター)が9.9以上23.4未満(cal/cm1/2の有機溶媒を少なくとも一種類用いる技術(特許文献1)、ならびに少なくとも重合性単量体および着色剤を含有する重合性単量体組成物を、水系分散媒体中で懸濁させて重合を行い、着色重合体粒子を生成させた後、酸洗浄を行い、脱水後、35℃以上、かつ着色重合体粒子のガラス転移点Tg−10℃以下の温度の温水で洗浄し、得られた湿潤着色重合体粒子を乾燥する技術、および少なくとも重合性単量体および着色剤を含有する重合性単量体組成物を、水系分散媒体中で懸濁させて重合を行い、着色重合体粒子を生成させた後、35℃以上、かつ着色重合体粒子のガラス転移点Tg−10℃以下の一定温度に加温し、酸洗浄を行った後、脱水し、さらに水洗浄後、脱水し、得られた湿潤着色重合体粒子を乾燥する技術(特許文献2)が報告されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−7809号公報(第2頁請求項1)
【特許文献2】
特開2000−310887号公報(第2頁請求項1および請求項7)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記技術では、トナーの環境変動による帯電量の変動をやはり十分に防止できず、帯電環境安定性に問題が生じた。またトナーを速やかに所定の帯電量まで帯電させることができず、帯電立ち上がり性に問題が生じた。
【0008】
本発明は、帯電環境安定性および帯電立ち上がり性に優れた静電荷像現像用トナーおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、湿式法により得られたトナー粒子を水分含有量10%以下まで乾燥させた後、洗浄し、乾燥を行うことを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法および湿式法により得られたトナー粒子を水溶性有機溶剤含有水系媒体中で膨潤させた後、洗浄し、加熱して収縮させ、乾燥を行うことを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法、ならびにそれらの方法によって製造された静電荷像現像用トナーに関する。
【0010】
本発明においては、トナーを本発明の方法にしたがって製造することにより、残存親水性物質が有効に低減され、良好な帯電立ち上がり性および帯電環境安定性が得られる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法においては、湿式法により得られたトナー粒子を、以下の方法(1)または方法(2)に従って後処理する。
方法(1);湿式法により得られたトナー粒子を水分含有量10%以下まで乾燥させた後、洗浄し、乾燥を行う。
方法(2);湿式法により得られたトナー粒子を水溶性有機溶剤含有水系媒体中で膨潤させた後、洗浄し、加熱して収縮させ、乾燥を行う。
【0012】
方法(1)について説明する。
方法(1)では、まず湿式法により得られたトナー粒子を乾燥させる(第1乾燥工程)。湿式法により得られるトナー粒子は通常、分散液を構成するものであり、乾燥に際しては、該分散液からトナー粒子をろ過して使用すればよい。
【0013】
方法(1)においては、乾燥に先立ち、水により予備洗浄を行ってもよい。水は特に制限されず、例えば、純水、イオン交換水、水道水、電解水、酸性水、塩基性水等であってよいが、帯電環境安定性および帯電立ち上がり性の向上と製造コストの観点からは、乾燥直前の水にはイオン交換水が好ましい。なお、水には後述の水溶性有機溶剤が混合されていてもよい。以下、単に「水」という場合、特記しない限り、当該工程で使用され得る水と同様のものを意味するものとする。予備洗浄時の水の温度は特に制限されず、例えば、トナー粒子を構成する樹脂のガラス転移点以下であればよい。予備洗浄を行うことによってトナー粒子表面に残存する親水性物質をできる限り除去し、乾燥工程で内部の親水性物質をトナー粒子表面に移行させやすくする効果がある。
【0014】
第1乾燥工程において乾燥はトナー粒子の水分含有量が10%以下、特に8〜0.1%、好ましくは5〜0.5%になるまで行う。湿式法により得られたトナー粒子は粒子表面だけでなく、粒子内部、特に表層内部に、その製造過程で使用された後述するような界面活性剤や凝集剤等の親水性物質を有していると考えられる。トナー粒子を上記水分含有量になるまで乾燥させると、トナー粒子内部、特に表層内部の親水性物質が、水分蒸発時の吸引力、特に水分含有量8〜0.1%近辺の水分蒸発時の吸引力により、粒子表面に移行(滲出)すると考えられる。従来では乾燥前にトナー粒子を十分に洗浄したとしても、十分に乾燥した後は一般に洗浄は行わないので、乾燥時にトナー粒子表面に移行した親水性物質がそのまま残留し、帯電環境安定性および帯電立ち上がり性に問題が生じたと考えられる。本発明では、トナー粒子を上記水分含有量になるまで十分に乾燥させた後で洗浄を行って、乾燥時にトナー粒子表面に移行した親水性物質を除去し、かつ親水性物質の残留量を有効に低減するので、帯電環境安定性および帯電立ち上がり性が向上するものと考えられる。そのような帯電環境安定性および帯電立ち上がり性の向上効果は、トナー粒子が乳化重合凝集法により得られたものである場合、特に顕著である。乳化重合凝集法では、後で詳述するように、重合性単量体を乳化重合することによって微小な粒径の樹脂微粒子を形成し、得られた樹脂微粒子と少なくとも着色剤との凝集等を行うため、トナー粒子内部に比較的多量の親水性物質が取り込まれる。そのように比較的多量の親水性物質が取り込まれたトナー粒子であっても、上記の乾燥後、洗浄を行うと、帯電環境安定性および帯電立ち上がり性の向上効果が有効に得られるためである。
【0015】
本明細書中、トナー粒子の水分含有量は完全乾燥状態のトナー粒子重量に対する含有水分重量の割合で示され、以下の方法によって測定された値である。トナー粒子の重量(X)を測定し、該トナー粒子を40℃温風(湿度10%以下)環境下で48時間乾燥させた後のトナー粒子重量(Y)を測定した。このときの水分含有量(%)を式「(X−Y)/Y」に従って算出した。
【0016】
第1乾燥工程後のトナー粒子水分含有量が多すぎると、帯電環境安定性および帯電立ち上がり性が低下し、環境変動による帯電量の変動を十分に防止できなかたり、トナーを速やかに所定の帯電量に帯電させることができない。当該乾燥工程でトナー粒子内部、特に表層内部の親水性物質がトナー粒子表面に十分に移行(滲出)せず、最後の乾燥工程で乾燥した際に、未滲出の親水性物質が顕著に滲出するためと考えられる。
【0017】
第1乾燥工程において乾燥は上記水分含有量が達成される限り、トナーの製造方法の分野で公知のいかなる方法によって行われてもよい。乾燥方法としては、例えば、温風乾燥法、フラッシュドライヤー法、スプレードライヤー法、凍結乾燥法、振動型流動乾燥法、真空乾燥法等が挙げられる。乾燥温度はトナー粒子を構成する樹脂のガラス転移点以下であれば特に制限されず、通常、60〜20℃、特に50〜30℃が好適である。
【0018】
乾燥によってトナー粒子の上記水分含有量を達成した後は、
(A)水による洗浄および乾燥を行って、最終製品としてのトナーを得てもよいし;または
(B)水による洗浄および第1乾燥工程と同様の乾燥を繰り返し行って、最終製品としてのトナーを得ても良い。
帯電環境安定性および帯電立ち上がり性の向上効果をより有効に得る観点からは、上記方法(B)を採用することが好ましい。
【0019】
上記方法(A)を採用する場合、水による洗浄は乾燥工程でトナー粒子表面に移行した親水性物質を除去できる限り特に制限されない。例えば、トナー粒子100重量部を500〜10000重量部の水に分散し、分散系を撹拌し、ろ過すればよい。
なお、水による洗浄において、界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤を添加することにより、一旦乾燥させたトナーの水への分散性が向上し、より高い洗浄の効果が得られる。この界面活性剤は、その後水で洗浄することにより容易に除去することができる。
方法(A)において乾燥はトナーの製造方法の分野で従来から行われているように行われれば良い。例えば、上記第1乾燥工程と同様の乾燥方法および乾燥温度を採用し、トナー粒子の水分含有量が通常、0.5%以下になるまで乾燥する。
【0020】
上記方法(B)を採用する場合、水による洗浄および第1乾燥工程と同様の乾燥の繰り返し回数は通常、2〜10回、好ましくは2〜5回である。当該回数が多いほど、トナー粒子の親水性物質含有量は有効に低減され得るが、多すぎると、製造コストが上昇するため好ましくない。
方法(B)において水による洗浄は方法(A)においてと同様の方法で行えば良い。また方法(B)における最後の乾燥は、方法(A)における乾燥と同様に、トナーの製造方法の分野で従来から行われているように行われれば良い。
【0021】
方法(2)について説明する。
方法(2)では、まず湿式法により得られたトナー粒子を水溶性有機溶剤含有水系媒体中で膨潤させる(膨潤工程)。湿式法により得られるトナー粒子は通常、分散液を構成するものであり、膨潤に際しては、該分散液からろ過して得られるトナー粒子を水溶性有機溶剤含有水系媒体中に添加してもよいし、湿式法により得られたトナー粒子分散液に水溶性有機溶剤を添加してもよい。本発明においては、膨潤に先立ち、方法(1)においてと同様の水による予備洗浄を行ってもよい。
【0022】
膨潤工程において膨潤は、トナー粒子内部、特に表層部の親水性物質が溶出し得る程度に行われれば良い。例えば、トナー粒子を水溶性有機溶剤含有水系媒体中、80〜30℃、好ましくは60〜40℃で10分〜4時間、好ましくは30分〜2時間撹拌することによりトナー粒子を膨潤させる。トナー粒子を膨潤させると、トナー粒子に表面から内部に向かって微細孔が形成されるため、当該微細孔から、トナー粒子内部、特に表層部の親水性物質が粒子表面に滲出して水系媒体中に溶出すると考えられる。またトナー粒子表面に強固に付着されていた物質も、膨潤によって、除去され易くなると考えられる。その結果、トナー粒子における親水性物質等の残留量が有効に低減され、帯電環境安定性および帯電立ち上がり性が向上すると考えられる。そのような帯電環境安定性および帯電立ち上がり性の向上効果は、方法(1)においてと同様の理由より、トナー粒子が乳化重合凝集法により得られたものである場合、特に顕著である。
【0023】
例えば、膨潤温度が低すぎたり、膨潤時間が短すぎたりするなどして、膨潤が十分に行われないと、有効な微細孔がトナー粒子に形成されないため、親水性物質が有効に溶出されず、帯電環境安定性および帯電立ち上がり性の向上効果が得られない。
【0024】
水溶性有機溶剤含有水系媒体は水に水溶性有機溶剤が含有されてなる。水溶性有機溶剤と水との重量比率(有機溶剤/水)は、上記の膨潤が行われる限り、特に制限されないが、通常、1/9〜4/6であってよい。水溶性有機溶剤の比率が大きすぎると、トナー粒子表面の溶解によってトナー粒子が凝集塊を形成し、トナーの製造ができない。
【0025】
水溶性有機溶剤は、上記のような比率で水と相溶し、かつトナー粒子の膨潤を促進し得るものであれば特に制限されない。具体例として、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
【0026】
トナー粒子を膨潤させた後は、水による洗浄、収縮および乾燥を行って、最終製品としてのトナーを得る。
水による洗浄は、膨潤したトナー粒子から親水性物質を有効に除去できる限り特に制限されない。例えば、方法(1)においてと同様に、トナー粒子100重量部を500〜10000重量部の水に分散し、分散系を撹拌し、ろ過すればよい。
【0027】
膨潤および洗浄されたトナー粒子の収縮は、該トナー粒子を水に分散させてなる分散液を、撹拌しながら、トナー粒子を構成する樹脂のガラス転移点からガラス転移点+50℃の間の温度に加熱させることによって達成される。
乾燥はトナーの製造方法の分野で従来から行われているように行われれば良い。例えば、上記方法(1)における第1乾燥工程と同様の乾燥方法および乾燥温度を採用すればよい。
【0028】
また、膨潤および洗浄されたトナー粒子の分散液をスプレードライヤー等で乾燥させながら収縮させることもできる。
また膨潤および洗浄されたトナー粒子を一旦乾燥させた後、気流中で流動させながら加熱する方法でも収縮させることができる。
【0029】
本発明において上記方法(1)および(2)はそれぞれ単独で実施されなければならないというわけではなく、それらを組み合わせて実施されてもよい。例えば、方法(2)に従って、湿式法により得られたトナー粒子を水溶性有機溶剤含有水系媒体中で膨潤させた後、予備洗浄し、その後、方法(1)に従って、水分含有量10%以下まで乾燥させた後、洗浄し、加熱して収縮と乾燥を行えばよい。
【0030】
上記方法(1)および(2)によって後処理されるトナー粒子はいかなる湿式法によって形成されてよく、例えば、いわゆる乳化重合凝集法、乳化重合法、懸濁重合法、乳化分散法等によって製造されてよい。
【0031】
乳化重合凝集法は、重合性単量体を乳化重合することによって、一旦、微小な粒径の樹脂微粒子を形成し、得られた樹脂微粒子と少なくとも着色剤との凝集等を行うことによってトナー粒子を形成する。
乳化重合法は、重合性単量体および着色剤等を含む重合組成物を、重合開始剤を含む水系分散媒体中に乳化分散し、重合することによってトナー粒子を形成する。
懸濁重合法は、重合性単量体、重合開始剤および着色剤等を含む重合組成物を水系分散媒体中に懸濁し、重合することによってトナー粒子を形成する。
乳化分散法は、トナー用結着樹脂および着色剤等を非水溶性有機溶剤に溶解乃至分散してなる樹脂組成物を水系分散媒体中に分散し、加熱によって非水溶性有機溶剤を除去してトナー粒子を形成する。
【0032】
本発明においてトナー粒子は、上記湿式法の中でも、乳化重合凝集法によって形成されることが好ましい。乳化重合凝集法では、微小な樹脂微粒子と少なくとも着色剤との凝集等を行いトナー粒子の形成を行うので、トナー粒子内部に界面活性剤等の親水性物質が取り込まれ易く、得られるトナーは帯電環境安定性および帯電立ち上がり性が低下し易い。本発明においては、そのようなトナー粒子であっても、トナー粒子表面および内部の親水性物質を有効に除去でき、本発明の効果を有効に発揮できる。
【0033】
以下、乳化重合凝集法によってトナー粒子を形成する場合について詳しく説明する。乳化重合凝集法では、まず重合性単量体を乳化重合することによって体積平均粒径が数nm〜数μm、特に10〜500nm程度の樹脂微粒子を形成し、得られた樹脂微粒子と少なくとも着色剤との凝集等を行うことによってトナー粒子を形成する。
【0034】
乳化重合に際して具体的には、重合性単量体を含む重合組成物を、分散媒体に分散し、乳化重合することによって樹脂微粒子を形成してもよいし、または荷電制御剤および離型剤などの添加剤を予め分散媒体に分散させておき、当該分散媒体に、重合性単量体を含む重合組成物を分散し、シード乳化重合することによって樹脂微粒子を形成してもよい。荷電制御剤、磁性粉および離型剤をそれぞれ独立して予め重合組成物に含有させてもよい。
【0035】
乳化重合およびシード乳化重合(以下、「乳化重合等」という)は多段階で行って樹脂微粒子を形成しても良い。すなわち、重合組成物を分散媒体中、シードの存在下または不存在下で乳化重合し、得られた微小樹脂微粒子分散液と別途調製された分散媒体とを混合した後、さらに別途調製された重合組成物を混合・撹拌し、シード乳化重合を行う。このような操作はさらに繰り返し行われても良い。
【0036】
乳化重合等を多段階で行い、かつ離型剤、荷電制御剤、磁性粉等、特に離型剤を重合組成物に添加する場合には、全ての乳化重合等で使用される全ての重合組成物に離型剤等を添加する必要はない。
【0037】
重合組成物を構成する重合性単量体としてはトナーの結着樹脂を形成し得るモノマーであれば特に制限されない。具体例として、例えば、スチレン、メチルスチレン、メトキシスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、クロルスチレン等のスチレン系モノマー;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸エチルヘキシル等のアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル系モノマー;およびアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の酸モノマー等が挙げられる。
重合性単量体とともに架橋性物質としてジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等を用いてもよい。
【0038】
重合組成物には、通常、上記の重合性単量体とともに重合時の重合体の分子量分布を制御するため連鎖移動剤が添加される。
連鎖移動剤としては、例えば、ハロゲン化炭化水素類、アルキルメルカプタン類、メルカプトプロピオン酸エステル類、メルカプトオクタン酸エステル類等が挙げられる。
【0039】
分散媒体には通常、重合開始剤、分散安定剤が添加される。
重合開始剤としては、乳化重合の重合開始剤として一般的に使用されているものが使用可能であり、例えば、パーオキサイド化合物類、過硫酸塩化合物類、アゾ系化合物類等が挙げられる。
【0040】
分散安定剤は分散された分散媒体中の液滴が一体化するのを防止する機能を有する。分散安定剤としては公知の界面活性剤が使用可能であり、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等の中から選ばれる分散安定剤を用いることが出来る。そのような界面活性剤はトナー粒子の表面および内部に取り込まれやすく、トナーの帯電環境安定性および帯電立ち上がり性を低下させる原因となるが、本発明においては、前記した後処理によって、界面活性剤等の親水性物質をトナー粒子から有効に除去できる。
【0041】
カチオン性界面活性剤の具体例としては、例えば、ドデシルアンモニウムクロライド、ドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ドデシルピリジニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイドなどが挙げられる。アニオン性界面活性剤の具体例としては、例えば、ステアリン酸ナトリウム、ドデカン酸ナトリウムなどの脂肪酸石鹸、硫酸ドデシルナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。ノニオン性界面活性剤の具体例としては、例えば、ドデシルポリオキシエチレンエーテル、ヘキサデシルポリオキシエチレンエーテル、ノリルフェニルポリオキシエチレンエーテル、ラルリルポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンモノオレアートポリオキシエチレンエーテル、スチリルフェニルポリオキシエチレンエーテル、モノデカノイルショ糖などが挙げられる。
【0042】
樹脂微粒子を形成した後は、上記重合で得られた樹脂微粒子分散液と、少なくとも着色剤(必要により、離型剤、荷電制御剤、磁性粉等)が分散した1またはそれ以上の分散液とを混合・撹拌して凝集させながら、熱を加えて融着させ、樹脂微粒子と少なくとも着色剤との融着粒子を形成した後(凝集・融着工程)、分散系全体をさらに加熱して、融着粒子の融合を行ってトナー粒子を形成してもよいし(融合工程)、または上記樹脂微粒子分散液と、少なくとも着色剤が分散した分散液とを混合・撹拌して凝集させ、樹脂微粒子と少なくとも着色剤との凝集粒子を形成した後(凝集工程)、分散系全体を加熱して、凝集粒子の融着・融合を行ってトナー粒子を形成してもよい(融着・融合工程)。
【0043】
本明細書中、「凝集」は、樹脂微粒子と着色剤粒子等とが単に付着することを意図する概念で用いるものとする。「凝集」によって、構成粒子は接触しているものの、樹脂微粒子等の溶融による結合は形成されていない、いわゆるヘテロ凝集粒子(群)が形成される。そのような「凝集」によって形成される粒子群を単に「凝集粒子」と呼ぶものとする。
「融着」は、凝集粒子における個々の構成粒子の界面の一部において樹脂微粒子等の溶融による結合が形成されることを意図する概念で用いるものとする。そのような「融着」がなされた粒子群を「融着粒子」と呼ぶものとする。
「融合」は、融着粒子の構成粒子が樹脂微粒子等の溶融によって一体化され、使用、取り扱い単位としての一つの粒子となることを意図する概念で用いるものとする。そのような「融合」がなされた粒子群を「融合粒子」と呼ぶものとする。
【0044】
凝集を行う工程、すなわち上記の「凝集・融着工程」および「凝集工程」では、凝集に際して、通常、凝集粒子の安定化およびトナー粒子の粒径分布制御を目的として、凝集剤を添加する。そのような凝集剤はトナー粒子の表面および内部に取り込まれやすく、トナーの帯電環境安定性および帯電立ち上がり性を低下させる原因となるが、本発明においては、前記した後処理によって、凝集剤等の親水性物質をトナー粒子から有効に除去できる。
【0045】
凝集剤としては樹脂微粒子とは極性の異なるイオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤や金属塩等の一価以上の電荷を有する化合物が使用可能である。具体的には、前記のカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤およびノニオン性界面活性剤等の水溶性界面活性剤類;塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、シュウ酸等の酸類;塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硝酸アルミニウム、硝酸銀、硫酸銅、炭酸ナトリウム等の無機酸の金属塩;酢酸ナトリウム、蟻酸カリウム、シュウ酸ナトリウム、フタル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム等の脂肪族酸、芳香族酸の金属塩;ナトリウムフェノレート等のフェノール類の金属塩;アミノ酸の金属塩;トリエタノールアミン塩酸塩、アニリン塩酸塩等の脂肪族、芳香族アミン類の無機酸塩等が挙げられる。
【0046】
「凝集・融着工程」および「凝集工程」は通常、上記凝集剤を再度、添加して凝集(粒子成長)を停止することにより終了する。
【0047】
樹脂微粒子と凝集される着色剤としては、以下に示されるような有機ないしは無機の各種、各色の顔料が使用可能である。すなわち、黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリン・ブラック、活性炭、非磁性フェライト、磁性フェライト、マグネタイトなどがある。黄色顔料としては、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキなどがある。
【0048】
橙色顔料としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGKなどがある。赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドC、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、キナクリドンなどがある。紫色顔料としては、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキなどがある。
【0049】
青色顔料としては、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、銅フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーススカイブルー、インダスレンブルーBCなどがある。緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マイカライトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGなどがある。白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛などがある。体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイトなどがある。
【0050】
重合組成物に添加されてもよいし、または着色剤とともに樹脂微粒子と凝集されてもよい他のトナー成分について説明する。
荷電制御剤として、静電荷像現像用トナーの分野で公知の正荷電制御剤あるいは負荷電制御剤が使用可能である。正荷電制御剤の具体例としては、例えば、ニグロシンベースEX(オリエント化学工業社製)などのニグロシン系染料、ボントロンP−51(オリエント化学工業社製)、コピーチャージ PX VP435(ヘキストジャパン社製)などの第4級アンモニウム塩、アルコキシ化アミン、アルキルアミド、モリブデン酸キレート顔料、およびPLZ1001(四国化成工業社製)などのイミダゾール化合物等が挙げられるが、もちろんこれらに何ら限定されるものではない。
【0051】
また負荷電制御剤の具体例としては、例えば、ボントロンS−22(オリエント化学工業社製)、ボントロンS−34(オリエント化学工業社製)、ボントロンE−81(オリエント化学工業社製)、ボントロンE−84(オリエント化学工業社製)、スピロンブラックTRH(保土谷化学工業社製)などの金属錯体、チオインジゴ系顔料、コピーチャージNX VP434(ヘキストジャパン社製)などの第4級アンモニウム塩、ボントロンE−89(オリエント化学工業社製)などのカリックスアレーン化合物、LR147(日本カーリット社製)などのホウ素化合物、フッ化マグネシウム、フッ化カーボンなどのフッ素化合物などが挙げられるが、もちろんこれらに何ら限定されるものではない。なお負荷電制御剤と成る金属錯体としては、上記に示したもの以外にもオキシカルボン酸金属錯体、ジカルボン酸金属錯体、アミノ酸金属錯体、ジケトン金属錯体、ジアミン金属錯体、アゾ基含有ベンゼン−ベンゼン誘導体骨格金属体、アゾ基含有ベンゼン−ナフタレン誘導体骨格金属錯体などの各種の構造を有したものが含まれる。
【0052】
離型剤としては、例えば、各種ワックス、特に低分子量ポリプロピレン、ポリエチレン、あるいは、酸化型のポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系ワックスなどが挙げられる。
【0053】
磁性粉としては、例えば、マグネタイト、γ−ヘマタイト、あるいは各種フェライト等が挙げられる。
【0054】
上記のような湿式法により得られたトナー粒子を、前記した後処理に供することによって得られた本発明のトナーは、親水性物質が有効に除去されているため、高温高湿環境下で放置された場合でも、その吸水量は顕著に低い。例えば、本発明のトナーを30℃および85%環境下で24時間放置した後の吸水量は、2.5%以下、特に0.1〜2.5%、好ましくは0.1〜1.5%である。当該吸水量が2.5%を超えると、トナーの環境変動による帯電量の変動が顕著になり、トナーを速やかに所定の帯電量まで帯電させることができない。
【0055】
本発明のトナーの体積平均粒径(d50)は好ましくは1〜10μm程度、より好ましくは3〜7μm程度である。体積平均粒径はコールターマルチサイザー(コールター社製)によって測定された値を用いている。
【0056】
本発明のトナーには、通常、流動化剤および/またはクリーニング助剤が外部添加される。
流動化剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化銅、酸化鉛、酸化アンチモン、酸化イットリウム、酸化マグネシウム、チタン酸バリウム、フェライト、ベンガラ、フッ化マグネシウム、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素、窒化ジルコニウム、マグネタイト、ステアリン酸マグネシウムなどの無機微粒子などがあげられる。この無機微粒子は、トナー粒子表面への分散性向上、環境安定性向上のために、表面処理が行われていてもよい。表面処理剤としてシランカップリング剤、チタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイル等が挙げられる。クリーニング助剤としては、ポリスチレン微粒子、ポリメチルメタクリレート微粒子などが用いられる。これらの流動化剤、クリーニング助剤の添加量はそれぞれ、トナーに対し0.1〜20重量%が好適である。流動化剤およびクリーニング助剤はそれぞれ2種以上の材料を組み合わせて用いてもよく、この場合、流動化剤およびクリーニング助剤それぞれにおいて合計量が上記範囲内であればよい。
【0057】
また、本発明のトナーはキャリアを用いた二成分現像剤およびキャリアを用いない一成分現像剤、いずれの現像剤としても用いる事が出来る。
【0058】
以上のような本発明のトナーは帯電環境安定性および帯電立ち上がり性に優れ、長期にわたって良好な画像特性を提供する。
【0059】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。特記しない限り「部」は「重量部」を意味するものとする。
【0060】
【実施例】
実施例1
攪拌装置、加熱冷却装置、濃縮装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応フラスコに、ドデシルスルホン酸ソーダ1.4部をイオン交換水600部に溶解させた溶液を仕込み、窒素気流下200rpmの攪拌速度で攪拌しながら、内温を80℃に昇温させた。この溶液に、過硫酸カリウム1.8部をイオン交換水40部に溶解させた溶液を添加し、温度を75℃とした後、スチレン14部、n−ブチルアクリレート4部、メタクリル酸2部からなる単量体混合液を30分かけて滴下し、この系を75℃にて重合させ、ラテックスA1を調整した。
【0061】
次に、攪拌装置、加熱冷却装置、濃縮装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応フラスコに、スチレン21部、n−ブチルアクリレート6部、メタクリル酸1.3部、オクタン酸−2−メルカプトエチルエステル1.1部からなる単量体混合液に、ポリエチレンワックス10部を添加し、85℃に加温し溶解させて単量体溶液を調製した。一方、ドデシルスルホン酸ソーダ0.3部をイオン交換水540部に溶解させた溶液を80℃に加熱し、この溶液に前記ラテックスA1を固形分換算で5.6部添加した後、ホモジナイザーTKホモミキサー(特殊機化工業社製)により前記単量体溶液を混合分散させ、乳化液を調製した。次いで、この乳化液に過硫酸カリウム1部をイオン交換水50部に溶解させた溶液と、イオン交換水150部とを添加し、温度を80℃とした後、3時間重合させてラテックスB1を得た。
【0062】
上記のようにして得られたラテックスB1に、過硫酸カリウム1.5部をイオン交換水40部に溶解させた溶液を添加し、温度を80℃とした後、スチレン60部、n−ブチルアクリレート19部、メタクリル酸3部、オクタン酸−2−メルカプトエチルエステル2.1部からなる単量体混合液を30分かけて滴下し、この系を80℃にて2時間重合させた後、30℃まで冷却し、ラテックスC1を得た。
【0063】
n−ドデシル硫酸ナトリウム12部、をイオン交換水300部に攪拌溶解した。この溶液を攪拌しながら、カーボンブラック(リーガル330:キャボット社製)84部を徐々に添加し、次いでTKホモミキサー(特殊機化工業社製)により分散させて着色剤分散液を得た。
【0064】
前記ラテックスC1、84部(固形分換算)と、イオン交換水180部と、前記着色剤分散液33部とを、攪拌装置、加熱冷却装置、濃縮装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応フラスコに入れ攪拌した。内温を30℃に調製した後、この溶液に5Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを11.0に調製した。次いで、塩化マグネシウム6水和物2.4部をイオン交換水200部に溶解した溶液を30℃にて10分間かけて添加した後、この系を6分間かけて90℃まで昇温した(凝集・融着工程)。その後、塩化ナトリウム16部をイオン交換水200部に溶解した溶液を添加して粒子成長を停止させ、さらに熟成処理として系を液温度85℃で2時間保持して(融合工程)、トナー粒子分散液を調製した。その後、分散液を30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを2.0に調整し、攪拌を停止した。
【0065】
生成したトナー粒子分散液中のトナー粒子を、ろ過および35℃のイオン交換水中での分散・撹拌を4回繰り返し行うことにより洗浄した。その後、トナー粒子をろ過し、40℃の温風で水分含有量が1%になるまで乾燥した。次いで、トナー粒子を35℃のイオン交換水500部に再分散させ、撹拌することにより洗浄し、ろ過し、40℃の温風で水分含有量が1%になるまで乾燥した。さらに同様の再分散、撹拌、ろ過および乾燥を行った。最終的に水分含有量0.5%および体積平均粒径6.0μmのトナーを得た。
【0066】
実施例2
生成したトナー粒子分散液を以下の処理に供したこと以外、実施例1と同様の方法によりトナーを得た。
生成したトナー粒子分散液中のトナー粒子を、ろ過および35℃のイオン交換水中での分散・撹拌を4回行うことにより洗浄した。その後、トナー粒子をろ過し、40℃の温風で水分含有量が1%になるまで乾燥した。次いで、トナー粒子を35℃のイオン交換水500部に再分散させ、撹拌することにより洗浄し、ろ過し、40℃の温風で最終的に水分含有量が0.5%になるまで乾燥し、体積平均粒径6.0μmのトナーを得た。
【0067】
実施例3
40℃の温風による乾燥に代えて真空乾燥を水分含有量が0.1%になるまで行ったこと以外、実施例1と同様にしてトナーを得た。なお、最終的に得られたトナーの水分含有量は0.5%であった。
【0068】
実施例4〜7
40℃の温風による乾燥を水分含有量が表1に記載の「乾燥時水分含有量」になるまで行ったこと以外、実施例1と同様にしてトナーを得た。なお、最終的に得られたトナーの水分含有量は0.5%であった。
【0069】
比較例1
生成したトナー粒子分散液を以下の処理に供したこと以外、実施例1と同様の方法によりトナーを得た。
生成したトナー粒子分散液中のトナー粒子を、ろ過および40℃のイオン交換水中での分散・撹拌を5回繰り返し行うことにより洗浄した。その後、トナー粒子をろ過し、40℃の温風で最終的に水分含有量が0.5%になるまで乾燥し、体積平均粒径6.0μmのトナーを得た。
【0070】
比較例2
生成したトナー粒子分散液を以下の処理に供したこと以外、実施例1と同様の方法によりトナーを得た。
生成したトナー粒子分散液中のトナー粒子を、ろ過および35℃のイオン交換水中での分散・撹拌を4回繰り返し行うことにより洗浄した。その後、トナー粒子をろ過し、40℃の温風で水分含有量が30%になるまで乾燥した。次いで、トナー粒子を35℃のイオン交換水500部に再分散させ、撹拌することにより洗浄し、ろ過し、40℃の温風で最終的に水分含有量が0.5%になるまで乾燥し、体積平均粒径6.0μmのトナーを得た。
【0071】
比較例3
40℃の温風による乾燥を水分含有量が12%になるまで行ったこと以外、実施例1と同様にしてトナーを得た。なお、最終的に得られたトナーの水分含有量は0.5%であった。
【0072】
実施例8
生成したトナー粒子分散液を以下の処理に供したこと以外、実施例1と同様の方法によりトナーを得た。
生成したトナー粒子分散液中のトナー粒子を、ろ過および35℃のイオン交換水中での分散・撹拌を4回行うことにより洗浄した。その後、トナー粒子をろ過し、イソプロパノール/水(重量比率=2/8)500部に分散させ、40℃で1時間攪拌を行った(膨潤工程)。次いで、トナー粒子を35℃のイオン交換水500部に再分散させ、撹拌することにより洗浄し、ろ過した。この時点で乾燥を行って得られたトナー粒子の体積平均粒径は8.2μmであった。トナー粒子をイオン交換水100部に分散した後、ディスパーコーターで80℃に加熱収縮させながら(収縮工程)乾燥し、体積平均粒径6.2μmのトナーを得た。
【0073】
実施例9
生成したトナー粒子分散液を以下の処理に供したこと以外、実施例1と同様の方法によりトナーを得た。
生成したトナー粒子分散液中のトナー粒子を、ろ過および35℃のイオン交換水中での分散・撹拌を4回行うことにより洗浄した。その後、トナー粒子をろ過し、エタノール/水(重量比率=2/8)500部に分散させ、40℃で1時間攪拌を行った(膨潤工程)。次いで、トナー粒子を35℃のイオン交換水500に再分散させ、撹拌することにより洗浄し、ろ過した後、40℃の温風で水分含有量が1%になるまで乾燥した。この時点で乾燥を行って得られたトナー粒子の体積平均粒径は7.8μmであった。次に、トナー粒子を35℃のイオン交換水100部に再分散させ、撹拌することにより洗浄し、ディスパーコーターで85℃に加熱し収縮させながら(収縮工程)、乾燥し、体積平均粒径5.9μmのトナーを得た。
【0074】
比較例4
生成したトナー粒子分散液を以下の処理に供したこと以外、実施例1と同様の方法によりトナーを得た。
生成したトナー粒子分散液中のトナー粒子を、ろ過および35℃のイオン交換水中での分散・撹拌を4回行うことにより洗浄した。その後、トナー粒子をろ過し、イソプロパノール/水(重量比率=2/8)500部に分散させ、15℃で30分攪拌を行った。次いで、トナー粒子を35℃のイオン交換水500部に再分散させ、撹拌することにより洗浄し、ろ過した。この時点で乾燥を行って得られたトナー粒子の体積平均粒径は6.2μmであった。トナー粒子をイオン交換水100部に分散し、ディスパーコーターで80℃に加熱乾燥し、体積平均粒径6.1μmのトナーを得た。
【0075】
比較例5
実施例1と同様の方法によって生成したトナー粒子分散液をろ過し、得られたトナー粒子をエタノール/水(重量比率=9/1)500部に分散させたところ、トナー粒子が凝集塊を形成し、トナーの製造は不可能になった。
【0076】
評価
(吸水量)
得られたトナーを30℃、85%環境の中に24時間放置した後、該トナーの吸水量をカールフィシャー法にて測定した。トナーの吸水量は完全乾燥状態のトナー重量に対する吸水量の割合で示される。
【0077】
(帯電量)
環境変動による帯電量の変動について評価した。30℃85%環境下または25℃50%環境下で24時間放置したトナーとシリコーンアクリル樹脂被覆フェライトキャリアとを5/95重量比率で混合して得られた現像剤を使用して帯電量を測定した。30℃/85%帯電量と25℃/50%帯電量との比は0.35以上であればよく、好ましい値は0.4以上、より好ましくは0.5以上である。帯電量は電界分離法に従って測定された値である。これらの帯電量の値は、キャリアとの混合1分後の値であり、測定値から実施例のトナーは十分な帯電立ち上がり性を有していることがわかる。
【0078】
【表1】
Figure 2004240113
【0079】
【発明の効果】
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法によって製造れたトナーはトナー粒子が親水性物質を有効に除去されているため、トナーの環境変動による帯電量の変動が十分に防止されており、また所定の帯電量まで速やかに帯電させることができる。

Claims (5)

  1. 湿式法により得られたトナー粒子を水分含有量10%以下まで乾燥させた後、洗浄し、乾燥を行うことを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
  2. 湿式法により得られたトナー粒子を水溶性有機溶剤含有水系媒体中で膨潤させた後、洗浄し、加熱して収縮させ、乾燥を行うことを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
  3. 膨潤を、トナー粒子を水溶性有機溶剤含有水系媒体中で撹拌しながら加熱することによって行うことを特徴とする請求項2に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法によって製造された体積平均粒径1〜10μmの静電荷像現像用トナー。
  5. 30℃および85%環境下で24時間放置された後の吸水量が2.5%以下である湿式法によって製造された静電荷像現像用トナー。
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JP2009271394A (ja) * 2008-05-09 2009-11-19 Konica Minolta Business Technologies Inc カラー画像形成方法

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