JP2004239825A - 光学式エンコーダ及びその出力信号レベルの調整方法 - Google Patents

光学式エンコーダ及びその出力信号レベルの調整方法 Download PDF

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Abstract

【課題】スケールピッチなどエンコーダの構成パラメータから、タルボットイメージ等明暗パターンのコントラストが十分に得られる光源の光ビーム出射窓幅を提供する。
【解決手段】可干渉光源1と、周期的な光学パターンを有し、可干渉光源1に対して相対的に変位するスケール2と、可干渉光源1から出射されスケール2を経由した光ビームを検出するための光検出器3とを有する光学式エンコーダであって、可干渉光源1とスケール2との距離をz1、スケール2と光検出器3との距離をz2,スケール2が有する周期的な光学パターンのピッチをp1としたときに、可干渉光源2のスケール移動方向における光ビーム出射窓幅WLsは、p1×(z1+z2)/(2×z2)以下である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学式エンコーダ及びその出力信号の調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、工作機械のステージや3次元計測定器などにおいては、直線方向の変位量を検出するためのエンコーダが利用されている。また、サーボモータなどにおいては、回転角を検出するための光学式や磁気式などのエンコーダが利用されている。
【0003】
光学式エンコーダは一般的に、ステージ等の変位を検出しようとする部材に固定されたスケールと、このスケールの変位を検出するためのセンサヘッドとによって構成されている。センサヘッドはスケールに光を照射する発光部と、スケールにより透過、反射または回折された光ビームを検出するための受光部とを有しており、受光した光信号の変化によってスケールの移動を検出している。
【0004】
従来技術として、代表的な光学式エンコーダについて図23を参照して説明する。図23は面発光レーザと反射型スケールを用いた従来技術によるレーザエンコーダを示す構成図である。
【0005】
この面発光レーザと反射型スケールを用いたレーザエンコーダについては例えば特開2002−48602に記載されている。
【0006】
このエンコーダは図23に示すように、反射型のスケール20とセンサヘッド30とで構成されている。スケール20の表面には移動量検出用の光学パターン23が形成されており、このパターンは例えばガラス等の透明な部材の表面にアルミニウム等反射率の高い部材をパターニングすることにより形成されている。センサヘッド30は、移動量検出用光検出器37の受光部が半導体基板34上に形成され、その半導体基板34上に移動量検出用の可干渉光源(以下、光源と呼ぶ)321が配置されており、光源321と光検出器37の相対的な位置関係は一定に保たれている。
【0007】
スケール20はステージ(図示せず)等と連動してセンサヘッド30に対して相対的に図23の矢印の方向に移動し、センサヘッド30はこの移動量をスケール20からの回折光の強度変化から検出する。この移動量の検出信号は、例えば図24のような波形で出力される。ここで、A相,B相とは、スケール20の移動に伴って出力される波形で、一般的には擬似的な正弦波となっている。A相とB相は位相が90度異なる出力で、このA相とB相の信号の位相関係からスケール20の移動方向を検出することが可能となっている。スケール20はセンサヘッド30に対して、いわゆるタルボットイメージを形成可能な位置関係を維持しながら変位する。
【0008】
以下にタルボットイメージについて図25を用いて説明する。ここでは簡単のため透過型エンコーダを想定して説明を行うが、反射型エンコーダにおいても全く同様の議論が成立する。
【0009】
図25に示すように、各構成パラメータを以下のように定義する。
【0010】
z1:光源1と、スケール2上の回折格子を形成した面との間隔
z2:スケール2上の回折格子を形成した面と、光検出器3との間隔
p1:スケール2上の回折格子のピッチ
p2:光検出器3の受光面上の回折干渉パターンのピッチ
なお、「スケール2上の回折格子のピッチ」とは、スケール2上に形成される光学特性が変調された光学パターンの空間的な周期を意味する。
【0011】
また、「光検出器3の受光面上の回折干渉パターンのピッチ」とは、受光面上に生成された回折パターンの強度分布(光強度パターン)の空間的な周期を意味する。
【0012】
ところで、光の回折理論によると、上記のように定義されるz1,z2が以下の式(1)に示す関係を満たすような特定の関係にある時には、スケール2の回折格子パターンと相似な光強度パターン、いわゆるタルボットイメージが光検出器3の受光面上に生成される。
【0013】
(1/z1)+(1/z2)=λ/k(p1) …(1)
ここで、λは光源1から出射される光ビームの波長、kは自然数である。
【0014】
このときには、受光面上の回折干渉パターンのピッチp2は以下の式(2)に示すように表すことが出来る。
【0015】
p2=p1×(z1+z2)/z1 …(2)
光源1に対してスケール2が回折格子のピッチ方向に変位すると、同じ空間周期を保った状態で回折干渉パターンの強度分布がスケール2の変位する方向に移動する。
【0016】
従って、光検出器3の受光部4の空間周期p20をp2と同じ値に設定すれば、スケール2がピッチ方向にp1だけ移動する毎に光検出器3から周期的な強度信号が得られるのでスケール2のピッチ方向の変位量を検出する事が出来る。
【0017】
図23に戻って説明を続けると、移動量検出用の光源321と、移動量検出用の光学パターン23および光検出器37の受光部は、上記タルボットイメージを形成可能な位置関係に配置されているため、光検出器37の受光部上にはスケール20上に形成された移動量検出用の光学パターン23と相似な明暗パターンが投影される。この明暗パターンの周期は式(2)により計算される周期p2となっている。光検出器37上の受光部は、このp2の周期を持つように形成されており、このような受光部によって明暗パターンの移動が検出可能である。
【0018】
光学式エンコーダは高精度、高分解能、非接触式であり、かつ電磁波障害耐性に優れるなどの特徴を有しているため、さまざまな分野で利用されており、特に高精度、高分解能を要するエンコーダにおいては、光学式が主流となっている。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の光学式エンコーダでは、以下に示すような問題点が存在する。すなわち、第一の問題点としては、光源と、スケールが有する周期的な光学パターンのピッチすなわちスケールピッチを適切に選ばなければ、タルボットイメージに代表される、光検出器上に投影される明暗パターンのコントラストが十分には得られないと言う点である。これは、光源から出射される光ビームの特性とスケールピッチとの関係が、光検出器上に投影される明暗パターンのコントラストと密接に関連しているためである。例えば、光ビームの出射窓幅においては、一般的には光源の光ビーム出射窓幅がスケールピッチより小さい必要があると言われており、これより大きな光ビーム出射窓幅の光源では、光源のコヒーレンシーが十分であっても、十分な明暗パターンのコントラストを得ることは出来ないと言われている。しかしながら、十分なコントラストの明暗パターンを得るための、光源の光ビーム出射窓幅の限界は明確になっていなかった。このため、上記従来例に使用されている光源としては、例えば端面発光型の半導体レーザや、面発光レーザなど、スケールピッチに比較して小さな光ビーム出射窓幅を有するものが使用されていた。つまり、光源によっては、あるスケールピッチでは使用可能であるが、あるスケールピッチでは使用できない等の問題が起こっていたため、同じ光源を複数のスケールピッチのスケールで使用しようとすると、想定している最も小さなスケールピッチに対応した光源を選ぶ必要があり、半導体レーザなどが使用されることとなるが、一般にこれらの出射窓幅の小さな光源は高価であるため、スケールピッチの比較的大きなスケールを用いたエンコーダではコストアップにもつながっていた。
【0020】
また、第二の問題点としては、光源幅を小さくし、スケールピッチを小さくしてゆくと、光検出器上に投影されるタルボットイメージのピッチは小さくなるため、光検出器のスケール移動方向の幅も小さくする必要があった。光検出器は一般に半導体基板上に形成されたフォトダイオードにより形成されており、このフォトダイオードの幅も半導体製造技術上の下限がある。また、タルボットイメージの拡大率を大きくしようとすると、光源とスケールの距離に対してスケールと光検出器との距離を大きくする必要があり、このように構成した場合、エンコーダヘッドは大型になり、また、光源と光検出器を段差を介して配置する必要があるなど、コストの上昇にもつながっていた。さらに、何種類かの拡大率のエンコーダヘッドを作製しようとすると、光源の位置等を調整する必要があるため、設計、組立上大きな変更が必要となり、コストアップにつながっていた。
【0021】
本発明はこのような課題に着目してなされたものであり、その目的とするところは、スケールピッチなどエンコーダの構成パラメータから、タルボットイメージ等明暗パターンのコントラストが十分に得られる光源の光ビーム出射窓幅を提供することにある。
【0022】
また、光源の光ビーム出射窓幅と比較して小さなスケールピッチのスケールによりタルボットイメージを形成する方法、および、光源の位置を変更することなく、光検出器上に形成されるタルボットイメージの拡大率を調整する方法を提案することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、第1の発明は、可干渉光源と、周期的な光学パターンを有し、前記可干渉光源に対して相対的に変位するスケールと、前記可干渉光源から出射され前記スケールを経由した光ビームを検出するための光検出器とを有する光学式エンコーダであって、前記可干渉光源と前記スケールとの距離をz1、前記スケールと前記光検出器との距離をz2,前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1としたときに、前記可干渉光源のスケール移動方向における光ビーム出射窓幅WLsは、p1×(z1+z2)/(2×z2)以下である。
【0024】
また、第2の発明は、可干渉光源と、周期的な光学パターンを有し、前記可干渉光源に対して相対的に変位するスケールと、前記可干渉光源から出射され前記スケールを経由した光ビームを検出するための光検出器とを有する光学式エンコーダであって、前記可干渉光源と前記スケールとの距離をz1、前記スケールと前記光検出器との距離をz2,前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、nを自然数としたときに、前記可干渉光源のスケール移動方向における光ビーム出射窓幅WLsは、おおよそp1×(2n−1)×(z1+z2)/(2×z2)で表される。
【0025】
また、第3の発明は、可干渉光源と、周期的な光学パターンを有し、前記可干渉光源に対して相対的に変位するスケールと、前記可干渉光源から出射され前記スケールを経由した光ビームを検出するための光検出器とを有する光学式エンコーダであって、前記可干渉光源と前記スケールとの距離をz1、前記スケールと前記光検出器との距離をz2,前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、nを自然数としたときに、前記可干渉光源のスケール移動方向における光ビーム出射窓幅WLsは、p1×(2n−1.5)×(z1+z2)/(2×z2)≦WLs≦p1×(2n−0.5)×(z1+z2)/(2×z2)の関係を満たす。
【0026】
また、第4の発明は、可干渉光源と、周期的な光学パターンを有し、前記可干渉光源に対して相対的に変位するスケールと、前記可干渉光源から出射され前記スケールを経由した光ビームを検出するための光検出器とを有する光学式エンコーダであって、前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、nを自然数としたときに、前記可干渉光源のスケール移動方向における光ビーム出射窓幅WLsは、(2n−1.5)×p1≦WLs≦(2n−0.5)×p1の関係を満たす。
【0027】
また、第5の発明は、第1から第4のいずれかの発明に係る光学式エンコーダにおいて、可干渉光源と前記スケールとの距離をz1、前記スケールと前記光検出器との距離をz2、前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、nを自然数としたときに、前記可干渉光源は、前記光学パターンのピッチp1の(z1+z2)/z2×n倍の位置に、前記スケールの移動方向に複数の光ビーム出射窓を有する。
【0028】
また、第6の発明は、可干渉光源と、周期的な光学パターンを有し、前記可干渉光源に対して相対的に変位するスケールと、前記可干渉光源から出射され前記スケールを経由した光ビームを検出するための光検出器を有する光学式エンコーダであって、前記可干渉光源と前記スケール間に、前記光ビームの所定の部分を透過する光学素子を有する。
【0029】
また、第7の発明は、第1から第6の発明のいずれかに係る光学式エンコーダにおいて、前記可干渉光源と、前記スケールと、前記光検出器とは、タルボットイメージを検出可能な所定の関係に配置されている。
【0030】
また、第8の発明は、第1から第6のいずれかに記載の光学式エンコーダにおいて、前記可干渉光源と前記スケールとの距離をz1、前記スケールと前記光検出器との距離をz2、前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、前記可干渉光源から出射される前記光ビームの波長をλ、nを整数としたときに、前記光学式エンコーダは、おおよそ、1/z1+1/z2=λ/(n(p1))の関係を満たすように構成されている。
【0031】
また、第9の発明は、第6の発明に係る光学式エンコーダにおいて、前記可干渉光源から出射された光ビームの所定の部分を通過させる光学素子と、前記スケールと、前記光検出器とは、タルボットイメージの動きを検出可能な所定の位置関係に配置されている。
【0032】
また、第10の発明は、第6の発明に係る光学式エンコーダにおいて、前記可干渉光源から出射された光ビームの所定の部分を通過させる光学素子と前記スケールとの距離をz3、前記スケールと前記光検出器との距離をz2、前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、前記可干渉光源から出射される前記光ビームの波長をλ、nを整数としたときに、前記光学式エンコーダは、おおよそ、1/z2+1/z3=λ/(n(p1))の関係を満たすように構成されている。
【0033】
また、第11の発明は、第1から第10のいずれかの発明に係る光学式エンコーダにおいて、前記可干渉光源から出射された光ビームが前記スケールを経由して前記光検出器の受光面上に照射された時に形成される前記受光面上の光強度パターンの周期をp2としたときに、前記光検出器は、前記光強度パターンの所定の位相部分を検出する複数の受光部を有する。
【0034】
また、第12の発明は、第6から第11のいずれかの発明に係る光学式エンコーダにおいて、前記スケールと前記光検出器との距離をz2、前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、前記可干渉光源から出射された光ビームの所定の部分を通過させる光学素子と前記スケールとの距離をz3としたときに、前記光検出器の受光部は、前記光検出器の受光面上に形成される前記光強度パターンの周期p2が、おおよそp1×(z2+z3)/z3である光強度パターンの所定の位相部分を検出可能に構成されている。
【0035】
また、第13の発明は、第6から第12のいずれかの発明に係る光学式エンコーダにおいて、前記可干渉光源から出射された光ビームの所定の部分を通過させる光学素子は、前記スケールの移動方向に短軸を有するスリットである。
【0036】
また、第14の発明は、第13の発明に係る光学式エンコーダにおいて、前記スケールと前記光検出器との距離をz2、前記スリットと前記スケールとの距離をz3、前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、nを自然数としたときに、前記スリットの、前記スケールの移動方向の実効的な開口幅Ws は、p1×(z3+z2)/(2×z2)以下である。
【0037】
また、第15の発明は、前記スケールと前記光検出器との距離をz2、前記スリットと前記スケールとの距離をz3、前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、nを自然数としたときに、前記スリットの、前記スケールの移動方向における実効的な開口幅Ws は、おおよそp1×(2n−1)×(z3+z2)/(2×z2)で表される。
【0038】
また、第16の発明は、第13の発明に係る光学式エンコーダにおいて、前記スケールと前記光検出器との距離をz2、前記スリットと前記スケールとの距離をz3、前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、nを自然数としたときに、前記スリットの、前記スケールの移動方向の実効的な開口幅Ws と前記スケールピッチp1との関係は、おおよそ、p1×(2n−1.5)×(z3+z2)/(2×z2)≦Ws ≦p1×(2n−0.5)×(z3+z2)/(2×z2)で表される。
【0039】
また、第17の発明は、第13から第16のいずれかの発明に係る光学式エンコーダにおいて、前記スケールと前記光検出器との距離をz2、前記スリットと前記スケールとの距離をz3、前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、nを自然数としたときに、前記スリットは前記スケールの移動方向に複数の開口部を有し、かつ、前記複数の開口部は前記スケールのピッチp1の(z3+z2)/z2×n倍の位置に配置されている。
【0040】
また、第18の発明は、第13の発明に係る光学式エンコーダにおいて、前記スリットが有する前記スケールの移動方向の実効的な開口幅Ws は、nを自然数として、p1×(2n−1.5)≦Ws ≦p1×(2n−0.5)の関係を満たす。
【0041】
また、第19の発明は、第13または第18の発明に係る光学式エンコーダにおいて、前記スリットは、前記スケールの移動方向に複数の開口部を有し、前記複数の開口部は、前記光検出器のピッチp2の略整数倍の位置に配置されている。
【0042】
また、第20の発明は、第19の発明に係る光学式エンコーダにおいて、前記スリットは、前記スケールの移動方向に、前記スケールのピッチp1の略整数倍の位置に配置されている。
【0043】
また、第21の発明は、第6から第12のいずれかの発明に係る光学式エンコーダにおいて、前記可干渉光源から出射された光ビームの所定の部分を通過させる光学素子は、円形の開口である。
【0044】
また、第22の発明は、第21の発明に係る光学式エンコーダにおいて、前記スケールと前記光検出器との距離をz2、前記円形の開口と前記スケールとの距離をz3、前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、nを自然数としたときに、前記円形の開口の、前記スケールの移動方向の実効的な開口幅Ws は、p1×(z3+z2)/(2×z2)以下である。
【0045】
また、第23の発明は、第21の発明に係る光学式エンコーダにおいて、前記スケールと前記光検出器との距離をz2、前記円形の開口と前記スケールとの距離をz3、前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、nを自然数としたときに、前記円形の開口の、前記スケールの移動方向における実効的な開口幅Ws は、おおよそp1×(2n−1)×(z3+z2)/(2×z2)で表される。
【0046】
また、第24の発明は、第21の発明に係る光学式エンコーダにおいて、前記スケールと前記光検出器との距離をz2、前記開口と前記スケールとの距離をz3、前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、nを自然数としたときに、前記開口の実効的な開口幅Ws は、おおよそp1×(2n−1.5)×(z2+z3)/(2×z2)≦Ws ≦p1×(2n−0.5)×(z2+z3)/(2×z2)の関係を満たす。
【0047】
また、第25の発明は、第1から第24のいずれかの発明に係る光学式エンコーダにおいて、前記スケールと前記光検出器との距離をz2、前記開口と前記スケールとの距離をz3、前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、nを自然数としたときに、前記開口は前記スケールの移動方向に複数の開口部を有し、前記複数の開口部は前記光学パターンのピッチp1の(z2+z3)/z2×n倍の位置に配置されている。
【0048】
また、第26の発明は、第21の発明に係る光学式エンコーダにおいて、前記開口の実効的な開口幅Ws と前記光学パターンのピッチp1とは、nを自然数としたとき、おおよそp1×(2n−1.5)≦Ws ≦p1×(2n−0.5)の関係を満たす。
【0049】
また、第27の発明は、第21または第26の発明に係る光学式エンコーダにおいて、前記開口は、前記スケールの移動方向に前記光検出器の前記受光面上に形成される光強度パターンの周期p2の略整数倍の位置に複数配置されている。
【0050】
また、第28の発明は、第21から第27のいずれかの発明に係る光学式エンコーダにおいて、前記開口は、前記スケールのパターン面と平行な面内で、前記スケールの移動方向と直交する方向に複数配置されている。
【0051】
また、第29の発明は、可干渉光源と、前記可干渉光源から出射された光ビームの所定の部分を通過させる光学素子と、周期的な光学パターンを有し、前記可干渉光源に対して相対的に変位するスケールと、前記可干渉光源から出射され前記スケールを経由した光ビームを検出するための光検出器とを有する光学式エンコーダの、前記光検出器の受光面上に形成される光強度パターンの周期p2に応じた出力信号レベルの調整方法であって、(i)前記光検出器の前記受光面上に形成される光強度パターンを検出するステップと、(ii)前記光検出器により検出される光強度パターンの周期p2に応じた出力信号のレベルを確認するステップと、(iii)前記出力信号のレベルが所定の範囲に含まれるか否かを判断するステップと、(iv)前記出力信号のレベルが前記所定の信号レベルの範囲に含まれない場合には、前記光学素子から前記スケールまでの距離を変化させるステップとを具備し、前記(i)から(iv)までの各ステップを繰り返して実行する。
【0052】
また、第30の発明は、可干渉光源と、周期的な光学パターンを有し、前記可干渉光源に対して相対的に変位するスケールと、前記可干渉光源から出射され前記スケールを経由した光ビームを検出するための光検出器を有する光学式エンコーダであって、前記可干渉光源と前記スケール間に、前記光ビームのビーム拡がり角を所定の値にする光学素子を有する。
【0053】
また、第31の発明は、第30の発明に係る光学式エンコーダにおいて、前記可干渉光源と、前記スケールと、前記光検出器とは、タルボットイメージを検出可能な所定の位置関係に配置されている。
【0054】
また、第32の発明は、第30の発明に係る光学式エンコーダにおいて、前記可干渉光源と前記スケールとの距離をz1、前記スケールと前記光検出器との距離をz2、前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、前記可干渉光源から出射される前記光ビームの波長をλ、nを整数としたときに、前記光学式エンコーダは、おおよそ、1/z1+1/z2=λ/(n(p1))の関係を満たすように構成されている。
【0055】
また、第33の発明は、第30から第32のいずれかの発明に係る光学式エンコーダにおいて、前記可干渉光源から出射された光ビームが前記スケールを経由して前記光検出器の受光面上に照射された時に形成される前記受光面上の光強度パターンの周期をp2としたときに、前記光検出器は、前記光強度パターンの所定の位相部分を検出する複数の受光部を有する。
【0056】
また、第34の発明は、第30から第33の発明のいずれかに係る光学式エンコーダであって、前記スケールと前記光検出器との距離をz2、前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、前記光ビームのビーム拡がり角を所定の値にする光学素子を通過した光ビームの拡がり角から算出される仮想的な点光源の位置から前記スケールまでの距離をz4としたときに、前記光検出器の受光部は、前記光検出器の受光面上に形成される光強度パターンの周期p2が、おおよそ(z2+z4)/z4×p1である光強度パターンの所定の位相部分を検出可能に構成されている。
【0057】
また、第35の発明は、第30から34のいずれかの発明に係る光学式エンコーダにおいて、前記光ビームのビーム拡がり角を所定の値にする光学素子は、レンズである。
【0058】
また、第36の発明は、第35の発明に係る光学式エンコーダにおいて、前記レンズは、凹レンズである。
【0059】
また、第37の発明は、第35の発明に係る光学式エンコーダにおいて、前記レンズは、複数のレンズによって構成される光学系である。
【0060】
また、第38の発明は、第35の発明に係る光学式エンコーダにおいて、前記レンズは、前記スケールの移動方向にのみ光学作用を有するシリンドリカルレンズである。
【0061】
また、第39の発明は、第35の発明に係る光学式エンコーダにおいて、前記レンズは、前記スケールの移動方向では前記光ビームのビーム拡がり角を凹レンズ的に広げる作用を有し、前記スケールの移動方向とは直交し、前記スケールパターンと平行な面内においては前記光ビームのビーム拡がり角を凸レンズ的に集光する作用を有する
また、第40の発明は、可干渉光源と、周期的な光学パターンを有し、前記可干渉光源に対して相対的に変位するスケールと、前記可干渉光源から出射され前記スケールを経由した光ビームを検出するための光検出器とを有する光学式エンコーダの、前記光検出器の受光面上に形成される光強度パターンの周期p2に応じた出力信号レベルの調整方法であって、(i)前記可干渉光源から出射された光ビームのビーム拡がり角を所定の値に設定するステップと、(ii)前記設定されたビーム拡がり角から仮想的な点光源の位置を算出するステップと、(iii)前記光検出器の前記受光面上に形成される光強度パターンを検出するステップと、(iv)前記光検出器により検出される光強度パターンの周期p2に応じた出力信号のレベルを確認するステップと、(v)前記出力信号のレベルが所定の範囲に含まれるか否かを判断するステップと、(vi)前記出力信号のレベルが所定の信号レベルの範囲に含まれる場合は調整を終了し、前記出力信号のレベルが前記所定の信号レベルの範囲に含まれない場合には、前記算出された仮想的な点光源の位置から前記スケールまでの距離を変化させるステップとを具備し、前記(iii)から(vi)までの各ステップを繰り返して実行する。
【0062】
また、第41の発明は、可干渉光源と、周期的な光学パターンを有し、前記可干渉光源に対して相対的に変位するスケールと、前記可干渉光源から出射され前記スケールを経由した光ビームを検出するための光検出器を有する光学式エンコーダであって、前記可干渉光源と前記スケール間に、前記光ビームの所定の部分を透過する光学素子と、前記光ビームのビーム拡がり角を所定の値にする光学素子とを有する。
【0063】
また、第42の発明は、第6から第29のいずれかの発明に係る光学式エンコーダにおいて、前記光ビームの所定の部分を透過する光学素子は、前記光源から出射された光ビームが、前記スケールによって反射された後、前記光検出器の実効的な受光感度を有する領域に向かう光路を遮らないように配置されている。
【0064】
また、第43の発明は、第30から第41のいずれかの発明に係る光学式エンコーダにおいて、前記光ビームのビーム拡がり角を所定の値にする光学素子は、前記可干渉光源から出射された光ビームが、前記スケールによって反射された後、前記光検出器の実効的な受光感度を有する領域に向かう光路を遮らないように配置されている。
【0065】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の光学式エンコーダの概略を説明する。本発明による光学式エンコーダのセンサヘッドは、スケールのピッチ、光源とスケールの距離、スケールと光検出器の距離等から計算される条件を満足する光ビーム出射窓幅を有する可干渉光源を用いることで、光検出器上に投影される光強度パターンのコントラストが十分得られるように構成したものである。このとき、必ずしもスケールピッチより小さな光ビーム出射窓幅を有する可干渉光源を用いなくてもよいことが示されている。
【0066】
また、本発明による光学式エンコーダのセンサヘッドは、光源とスケールの間に、光源から出射された光ビームの所定の部分を透過させる光学素子を設けることで、光源の幅に対して小さなスケールピッチのスケールを用いた場合でもコントラストの大きな光強度パターンを形成させ、これを検出することで、光源の光ビーム出射窓幅と比較して、より小さなスケールピッチのスケールを使用可能にしたものである。
【0067】
さらに本発明の光学式エンコーダは、光源とスケールの間に、光源から出射された光ビームの所定の部分を透過させる光学素子を設けるか、または光源から出射された光ビームのビーム拡がり角を所定の値に設定する光学素子を設けることで、タルボットイメージの拡大率を調節できるため、光検出器を構成するフォトダイオードの幅を小さくすることなく、より小さなスケールピッチのスケールを用いることが可能となり、また、同じスケールを用いた場合でも、タルボットイメージが拡大されているため、より分解能を高めることが可能なように構成したものである。
【0068】
以下に、図面を参照して本発明の光学式エンコーダを詳細に説明する。
【0069】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る光学式エンコーダの構成を示しており、可干渉光源(以下、単に光源と呼ぶ)1と、光源1に対して相対的に変位する、周期的な光学パターンを有するスケール2と、光源1から出射されスケール2を経由した光ビームを検出するための光検出器3とを具備する。光源1とスケール2との間にはスリット100が設けられている。
【0070】
光源1は、波長λの光ビームを出射するLEDであり、スケール2は、スケールピッチp1を有する透過型のスケールである。スリット100はスケールピッチp1と同程度のスリット開口部102を有するスリットである。
【0071】
今、光源1から出射された光ビームは、スリット100に向けて照射されるが、このうちスリット開口部102を通過した光ビームだけがスケール2に向かって照射される。このとき、スリット開口部102を通過した光ビームは、このスリット開口部102を仮想的な点光源とした球面波となってスケール2に向かって照射され、スケール2を経由して光検出器3に入射する。
【0072】
図2は、本実施形態の光検出器3の構成を示す図であり、複数の受光部4を1次元的に配列した受光部群によって構成されている。各受光部は、周期p20を有する明暗パターンの90degずつ位相の異なる4つの位相部分を検出可能なように、それぞれが、周期p20ごとに電気的に接続された4つのグループ、+A,+B,−A,−Bにグループ分けされている。これら4つのグループが検出する信号は、互いに90degずつ位相の異なる4つの信号であり、例えば(+A)と(−A)は位相が180deg異なる反転信号の関係になっている。そして、前記した図25のA相信号,B相信号は、A相信号=(+A)−(−A),B相信号=(+B)−(−B)により出力される。
【0073】
タルボットイメージは、上記した式(1)に示される様に、光源1、スケール2と、光検出器3の位置関係が所定の関係にあるときに光検出器3上に形成されることが知られている。本実施形態においては、スリット100のスリット開口部102が仮想的な光源位置と見なせるため、スリット開口部102とスケール2、及び光検出器3が式(1)の関係で配置されれば、光検出器3上にタルボットイメージが形成されることとなる。式(1)は、この場合、以下のように書くことが出来る。
【0074】
(1/z2)+(1/z3)=λ/k(p1) …(1′)
ここで、
z2:スケール2上の回折格子を形成した面と、光検出器3との距離
z3:スリット開口部102と、スケール2上の回折格子を形成した面との距離
p1:スケール2上の回折格子のピッチ
λ:光源1から出射される光ビームの波長
k:自然数
また、本実施形態における光検出器3上に投影されるタルボットイメージの明暗パターンのピッチp2′は同様に、上記した式(2)に基づいて以下の通り計算される。
【0075】
p2′=p1(z2+z3)/z3 …(2′)
ここで、
p2′:光検出器3の受光面上の回折干渉パターンのピッチ
p20:光検出器3上に形成されたフォトディテクタが検出できる明暗パターンのピッチ
従って、p20とp2′の関係を式(3)のように設定することで、光検出器3がタルボットイメージの動きを検出可能となる。
【0076】
p20=p2′=p1(z2+z3)/z3 …(3)
上記した構成により、スケールピッチと比較して大きな光ビーム出射窓部を有する光源を用いた場合でも、十分なコントラストを有するタルボットイメージを光検出器上に投影する事が可能となり、さらにスリット100の位置を調整することで、光源1や光検出器3の位置を変更することなくタルボットイメージの拡大率を調節することも可能となる。これによって、大きなコストアップとならずによりピッチの小さなスケール2を使用したり、同じフォトディテクタのピッチであってもより高分解能な光学式エンコーダを構成することが可能となる。
【0077】
なお、本実施形態では透過型の光学式エンコーダについて説明したが、図3に示すように、光源1から出射した光ビームをスケール20によって反射させ、光源1と同じ側に配置した光検出器3により当該反射ビームを検出するようにした反射型の光学式エンコーダについても全く同様の構成が可能である。35は光検出器3の受光部35である。
【0078】
このように反射型の光学式エンコーダにおいては、スケール20からの光ビームは光検出器3上に形成された受光部35の実効的な受光感度を有する部分に入射するが、この光ビームの経路をスリット100が遮らないようにすることが望ましい。
【0079】
(第2実施形態)
以下に、本発明の第2実施形態に係る光学式エンコーダについて説明する。第2実施形態の構成およびその動作は、図1を参照して説明した第1実施形態と基本的に同一であるのでここでの構成の詳細な説明は省略するが、第2実施形態では、光源1が図4に示すように、光ビーム出射窓幅WLsを有する電流狭窄型のLEDであり、また、スリット開口部102の、スケール2の移動方向における開口幅が、以下に述べるような実効的な開口幅Ws (図5参照)となっている点が第1実施形態と比較して異なる点である。
【0080】
電流狭窄型のLEDは、通常のLEDがLED全面で発光するのに対し、あるエリアのみで発光するため、単位立体角あたりの光強度が大きく、同じ光強度の光ビームでスケールを照射したい場合、より小さなパワーとすることが可能となるため、光学式エンコーダを効率良く動作させることが可能である。
【0081】
本実施形態では、式(1′)において、z2とz3とが等しくなるようにスリット100とスケール2、及び光検出器3が配置されている。従って、式(2′)より、p2′=p20=2×p1となる。
【0082】
光源1の光ビーム出射窓幅WLsは、スケール2のスケールピッチp1と比較して大きなものとなっており、一方、スリット開口部102の開口幅Ws はスケールピッチp1の奇数倍とされている。
【0083】
ここで、光ビーム出射窓幅WLsがスリットピッチp1より大きな光源1を用い、スリット100がない場合のタルボットイメージについて図6を参照して説明する。
【0084】
光源1が光ビーム出射窓幅WLsを有する場合、出射窓上に複数の点光線がおかれているものと考えることが出来る。図6は、光源1の出射窓上に距離p1離れた二つの点光源1−Lおよび1−Rによるタルボットイメージを示した図である。図6に示されるように、点光源1−Rによるタルボットイメージ7−Rの明部と点光源1−Lによるタルボットイメージ7−Lの暗部が重なり合っており、また、点光源1−Rによるタルボットイメージ7−Rの暗部と点光源1−Lによるタルボットイメージ7−Lの明部が重なり合っているため、結果として両点光源1−L,1−Rによるタルボットイメージは互いに打ち消しあってしまうこととなる。
【0085】
つまり、光源1の出射窓部上の仮想的な二つの点光源間の距離がスケールピッチp1の場合には、互いに打ち消し合ってしまうため、タルボットイメージの形成に寄与しなくなる。理論的には、仮想的な点光源の間隔が光ビームの周期p1の偶数倍となるとき、光源の光ビーム出射窓上の全ての点について、p1の間隔となる点を見いだすことが出来るため、タルボットイメージは完全に消滅することとなる。逆に、p1の奇数倍となるときは、タルボットイメージを打ち消しあわない成分が残ることになる。
【0086】
次に、スケールピッチp1の奇数倍の開口幅Ws を有するスリット100が図1のように挿入された、本発明の第2実施形態態の構成について考える。この場合、光源1から出射された光ビームのうち、スリット100のスリット開口部102を通過した光ビームのみがスケール2に向かうこととなる。このとき、このスリット開口部102を仮想的な光源と見なすことが出来る。このスリット開口部102はスケールピッチp1の奇数倍の幅を有しているため、この光源としてのスリット開口部102を構成する複数の仮想的な点光源は、互いにタルボットイメージを打ち消し合う点光源を除いたとしても、互いに打ち消しあう点光源を見いだせない点光源の集まりが幅p1だけ存在することになる。このため、十分なコントラストのタルボットイメージを形成することが可能な構成となっている。
【0087】
ところで、互いにうち消し合うことでタルボットイメージの形成に寄与しない光ビームは、光検出器3にバックグランド光として入射するため、検出信号のバックグランドを押し上げる結果となり、光検出器3が検出するタルボットイメージの相対的なコントラストを低下させる原因となる。光ビーム出射窓幅WLsがスケールピッチp1と比較して十分に大きくなると、前述のようにバックグランドが高くなるため、光検出器3が検出するタルボットイメージの明暗パターンのコントラストは非常に小さくなり、望ましい構成とはいえない。実用的にはスリット開口部102の開口幅Ws をスケールピッチp1の数倍程度とすることで、コントラストの大きなタルボットイメージの明暗パターンを形成することが可能となる。
【0088】
また、光源1から出射される光ビームが、例えばガウス分布に従うビームプロファイルを有する光源のように光軸上に比べて周辺部の強度が小さい場合には、スリット100を通過する光ビームは、必ずしも均一とはならず、光強度に分布を有するため、スリット開口部102の開口幅Ws はスケールピッチp1の2倍よりやや大きな場合にタルボットイメージのコントラストは最小となる。
【0089】
本実施形態においては、式(1′)における、z2とz3が等しい場合、つまり、タルボットイメージのピッチp2′がスケールピッチp1の2倍の場合について示したが、より一般的な説明を、図7を参照して説明する。
【0090】
光源1の光ビーム出射窓部上の仮想的な点光源から出射された光ビームは、スケール2に照射され、光検出器3の受光面上にタルボットイメージを形成する。図7は、スケール2を光源1に対して固定した場合の、光検出器3の受光面上に形成されるタルボットイメージの明暗パターンの位置を示したものである。ある点から出射された光ビームは、スケール2上のある開口部を通過して光検出器3の受光面に到達する。このとき、光源1の波長、スリット100とスケール2との距離z3、スケール2と光検出器3との距離z2、スケール2のピッチp1が式(1′)の関係を満たしていれば光検出器3の受光面上にタルボットイメージを形成する。
【0091】
いま、スリット開口部102上のある点Pから出射された光ビームは、スケール2上のある開口部を通過して、光検出器3の受光面上の点Tにタルボットイメージのピークを形成する。この点光源Pによるタルボットイメージのピッチp2′は式(2′)より計算されるピッチで、光検出器3の受光面上には図のように周期的に明暗パターンが形成される。次に、この光源Pから距離W2だけ離れた光源P′から出射された光ビームは、スケール2上の同じ開口部を通過して、光検出器3上に形成されたタルボットイメージの、光源pによって形成されたタルボットイメージの、隣のピークの位置T′に到達したとする。この光源Pと光源P′により形成されたタルボットイメージは全く重なっており、互いに強め合う。このときの関係は、式(4)の通りである。
【0092】
W2=P2′×z3/z2=p1×(z2+z3)/z2 …(4)
次に、前記点Tと前記点T′との間の位置にタルボットイメージのピークを形成するような光源1の位置を考える。図7から明らかなように、このような光源1の位置点P″は、点Pと点P′の中間の位置となる。つまり、図のW1は、以下の式により与えられる。
【0093】
Figure 2004239825
つまり、本実施形態の、より一般的な場合としては、スリット開口部102の開口幅Wsは、以下の範囲であれば良いことになる。
【0094】
Figure 2004239825
ここで、Wsが式(6)の範囲からはずれた場合、信号レベルは劣化するものの直ちに使用不能なレベルにまでは劣化しない。従って、Wsは式(6)の範囲がより好適であるが、ここから若干はずれた場合でも、その機能を失するものではない。従って、Wsはおおよそこの範囲に含まれていれば良いことになる。
【0095】
また、本実施形態のように、z2=z1の場合には、式(6)は、以下のようになる。
【0096】
p1×(2n−1.5)≦Ws ≦p1×(2n−0.5) …(6′)
ここで、nは自然数である。
【0097】
上記のように構成することで、よりコントラストの大きなタルボットイメージを形成することが可能となり、光検出器3からの出力信号も強度的に大きな信号とする事が出来る。
【0098】
なお、本実施形態では、スリット開口部102として方形のスリット100の例を示したが、円形のものや、楕円形のもの、四角形を含む多角形のものなど、上記主旨を逸脱しない範囲での変形は可能である。
【0099】
(第3実施形態)
以下に、本発明の第3実施形態に係る光学式エンコーダについて説明する。第3実施形態の構成およびその動作は、図1を参照して説明した第1実施形態と基本的に同一であるのでここでの構成の詳細な説明は省略するが、第3実施形態では、光源1が、図4に示されるような、光ビーム出射窓幅WLsを有する電流狭窄型のLEDであり、また、スリット100のスリット開口部102が、スリットピッチpsで配列された複数個のスリット開口部(図8参照)から構成されている点が第1実施形態と比較して異なる点である。
【0100】
本実施形態では、スリット開口部102のスリットピッチpsは、スケールピッチp1の略整数倍であり、かつ、タルボットイメージのピッチp2の略整数倍と設定されている。
【0101】
図9に、スリットピッチpsだけ離れた二つのスリットから出射される光ビームにより形成されるタルボットイメージの重なりのイメージを示す。図9に示すように、スリットピッチpsをスケールピッチp1の略整数倍とし、かつタルボットイメージのピッチp2の略整数倍となるように設定することで、スリット開口部102−Rを通過した光ビームにより形成されるタルボットイメージ7−Rと、スリット開口部102−Lを通過した光ビームにより形成されるタルボットイメージ7−Lの明暗パターンは互いに重なり合うため、より光強度の大きなタルボットイメージが光検出器3上に形成する事が可能となる。
【0102】
なお、z1とz2とz3が近似的に等しいとおけるような場合、具体的には、スケール2と光検出器3の距離に比較して、光源1の厚さ及びスリット100と光源1の距離が十分に小さい場合は、式(1′)および(2′)より、スリットピッチpsはタルボットイメージのピッチp2の略整数倍、つまり、p1の略偶数倍であればよいこととなる。
【0103】
ここで、より一般的には、式(4)に示されるW2の整数倍の位置にスリット100が配置されれば、つまりnを自然数として、スケール2のピッチp1の、n×(z2+z3)/z2倍の位置にスリット100を配置すれば良いことになる。
【0104】
また、図8ではスリット開口部102を4個設けた例を示したが、2個以上の複数で有ればいくつでもよく、また、スリット開口部102の形状も図10(a)、(b)に示すように、スリット開口部102が円形のもの(図10(a))や方形のもの、多角形のものや楕円など様々なものが可能である。また、それらを図10(b)に示すように2次元的に配列したもの、さらに、光源1から出射される光ビームによるスリット100上のビームスポット104の形状に合わせてそれらを配置したもの(図11(a),(b))など様々な変形が可能である。
【0105】
さらに、スリット100としては、金属等遮蔽部材に貫通孔を設けたタイプや、ガラス板上に製膜した金属をエッチング等の手法によりパターニングしたタイプなど、光ビームの所定の部分を透過するような部材で有ればどのようなものでも構わない。
【0106】
本実施形態のように構成することで、光源1から出射される光ビームの強度を大きくすることなく、光源1から出射される光ビームをより効率的に利用することで光検出器3に入射するタルボットイメージの光強度を大きくすることが可能となる。
【0107】
(第4実施形態)
以下に、本発明の第4実施形態について説明する。本発明の第4実施形態は、光検出器の受光面上に形成される光強度パターンの周期p2に応じて光検出器の出力信号のレベルを調整する方法に関する。図12はこのような調整方法の詳細を説明するためのフローチャートである。まず、光検出器の受光面上に形成される光強度パターンを検出する(ステップS1)。次に、光検出器により出力される、光強度パターンの周期p2に応じた出力信号のレベルの検出を行なう(ステップS2)。次に、検出した出力信号のレベルが所定の範囲内に含まれているか否かを判断する(ステップS3)。ここでの判断がNOの場合には、スケール及び光検出器に対して光学素子の位置を変化させることにより、仮想的な点光源の位置からスケールまでの距離を変化させて、光学素子の位置を調整し(ステップS4)、ステップS1に戻って上記した処理を繰り返す。そして、ステップS3での判断がYESになったときに処理を停止する。
【0108】
ここでの光検出器は、あらかじめ設定された特定の周期(p20)を有する光強度パターンを検出するように構成されている。従って、周期p2がこの設定された周期p20と異なっている場合には効率の良い検出を行うことができず、その結果、出力信号のレベルが低下する。そこで、上記したステップS4において、光学素子の位置を調整することにより出力信号のレベルを改善することができる。
【0109】
(第5実施形態)
以下に、本発明の第5実施形態について説明する。図13は、本発明の第5実施形態に係る光学式エンコーダの構成を示す図である。図13に示す光学式エンコーダは透過型の光学式エンコーダであり、光源1とスケール2との間に凹レンズ200を設けたことを特徴とする。光源1は、波長λの光ビームを出射する電流狭窄型のLEDであり、スケール2は、スケールピッチp1を有するスケール、凹レンズ200は光源1から出射された光ビームのビーム拡がり角を所定の角度に調整する光学素子である。
【0110】
今、光源1から出射された光ビームは、凹レンズ200に向けて照射され、この光ビームは凹レンズ200を通過した後、スケール2に向かって照射される。このとき、凹レンズ200を通過した光ビームは、この凹レンズ200によってそのビーム拡がり角が大きくなり、Xで示す仮想的な点光源位置202に光源が有ると見なすことが出来る。タルボットイメージは、式(1)に示される様に、光源1と、スケール2と、光検出器3の位置関係が所定の関係にあるときに光検出器3上に形成されることが知られている。このタルボットイメージは、光源1から出射された光ビームが、光検出器3上に到達したときの、光ビームの経路ごとの位相差によって明暗パターンを形成するため、光ビームの経路に凹レンズ200が挿入された場合は凹レンズ200の屈折率や屈折角など、凹レンズ200を経由した光ビームの経路において光源1とスケール2の距離を算出しなければならないが、近似的に、光源1、スケール2、光検出器3の位置関係は変わらないと見なすことが出来る。また、実践的には凹レンズ200がない場合の光源1とスケール2および光検出器3を配置して、必要に応じて光検出器3からの出力信号に基づき各部材の位置関係を調整すればよい。
【0111】
一方、光検出器3上に投影されるタルボットイメージの明暗パターンのピッチは、点光源から出射された光ビームがスリットを通過して光検出器3上に投影される位置に明パターンまたは暗パターンを形成するため、点光源とスケールと光検出器の位置関係から、式(2)に従って計算される。ここで、本実施形態においては、仮想的な点光源の位置は図13の202で示される位置であるため、以下に示す式(4)によって決められる。
【0112】
p2″=p1(z4+z2)/z4 …(7)
ここで、
z4:凹レンズ200による仮想的な点光源位置202とスケール2上の回折格子を形成した面の距離であり、仮想的な点光源位置202は、一般に凹レンズ200の後側焦点位置を意味している。
【0113】
p2″:凹レンズ200を設けた場合の光検出器3上に投影されるタルボットイメージの明暗パターンのピッチである。
【0114】
その他のパラメータは第一の実施形態と同様である。
【0115】
このように構成することで、光源1とスケール2と光検出器3の位置関係を変化させることなく、タルボットイメージの拡大率を変化させることが可能となり、ピッチのより小さなスケール2を使用したり、同じフォトディテクタのピッチであってもより高分解能な光学式エンコーダを構成することが可能となる。
【0116】
ここで、本実施形態では、凹レンズ200を用いた例を示したが、レンズの後側焦点位置が光源1とスケール2の間に有るような凸レンズを用いた場合でも、同様の効果を得ることが可能である。
【0117】
なお、本実施形態では透過型の光学式エンコーダについて説明したが、図14に示すように、光源1から出射した光ビームをスケール20によって反射させ、光源1と同じ側に配置した光検出器3により当該反射ビームを検出するようにした反射型の光学式エンコーダについても全く同様の構成が可能である。35は光検出器3の受光部35である。
【0118】
このように反射型の光学式エンコーダにおいては、スケール20からの光ビームは光検出器3上に形成された受光部35の実効的な受光感度を有する部分に入射するが、この光ビームの経路を凹レンズ200が遮らないようにすることが望ましい。
【0119】
(第6実施形態)
以下に、本発明の第6実施形態について説明する。第6実施形態においては、図13を参照して説明した第5実施形態における凹レンズ200が、凸レンズと凹レンズ2枚の組み合わせになっている点で異なっており、それ以外は図13に示される第5実施形態と同様の構成となっている。
【0120】
図15は、第6実施形態に係る光学式エンコーダの光源1の近傍を示した図である。光源1から出射された光ビームはコリメートレンズ200−1によって平行ビームとされて凹レンズ200−2に向かう。凹レンズ200−2に入射した平行ビームはここで所定のビーム拡がり角となり、スケール2に向かって照射される。これ以降の動作は第5実施形態と同様である。
【0121】
このように構成した場合、凹レンズ200−2が図の矢印方向に移動した場合でも、凹レンズ200−2に入射する光ビームは平行光とされているため変化はなく、結果として凹レンズ200−2を通過した光ビームの拡がり角や光ビームの強度分布に変化がなく、より安定した光ビームがスケール2に向かって照射されることとなる。
【0122】
このように構成することで、光源1のビーム拡がり角が不安定な場合でも、スケール2に照射される光ビーム拡がり角は安定したものとなり、結果として光検出器3から出力される信号もより安定になる。
【0123】
なお、本実施形態ではレンズを凹レンズと凸レンズ1枚ずつ計2枚を用いた場合を示したが、3枚以上用いることで、仮想的な点光源202の位置を先端のレンズよりスケール2側としたり、光源1から出射された光ビームが光検出器3に到達するまでの各光路ごとの位相差を調整することで、タルボットイメージのコントラストをより高めることが可能である。
【0124】
(第7実施形態)
以下に、本発明の第7実施形態について説明する。第7実施形態においては、図13で説明した第5実施形態に係る光学式エンコーダの凹レンズが、図16に示されるような1軸方向にのみレンズ作用を有する棒状レンズとなっている点で第4実施形態と異なっているが、それ以外の点では図13で説明した第5実施形態と同様の構成となっている。
【0125】
図16に示されるレンズ200−3は、スケール2の移動方向ではレンズ作用を有しているが、スケール2のパターン面と平行な面内でありスケール2の移動方向とは直交する方向においてはレンズ作用を有していない棒状の凹レンズとなっている。
【0126】
このように構成することで、図17の(a),(b)に示されるように光源1から出射した光ビームはレンズ200−3により、スケール移動方向において所望のビーム拡がり角に広げられるため、光検出器3上に投影されるタルボットイメージの明暗パターンの拡大率を所定の値に設定することが可能となる。また、スケール2のパターン面と平行な面内にありスケール2の移動方向とは直交する方向においては、ビーム拡がり角は広げられないため、光検出器3上の受光部4に入射する光ビームのビーム強度を低下させることがないため、光検出器3が検出する信号強度を十分に得ることが可能な構成となっている。
【0127】
なお、本実施形態においては一方向にレンズ作用を有し、それと直交する方向にはレンズ作用を有さないシリンドリカルレンズを用いているが、図18、19(a),(b)に示されるような、一方向においては凹レンズ的に働き、それと直交する方向においては凸レンズ的に働くシリンドリカルレンズ200−4を用いることも可能である。このように構成することで、本実施形態の機能を損なうことなく、スケール2のパターン面と平行な面内にありスケール2の移動方向とは直交する方向において、光検出器3上の受光部4に集光的に光ビームを入射させることが可能となるため、光検出器3が検出する信号強度をさらに大きくすることが可能となる。
【0128】
(第8実施形態)
以下に、本発明の第8実施形態について説明する。図20は、本発明の第8実施形態に係る光学式エンコーダの構成を示す図である。本実施形態では、光源1とスリット100の間にコリメートレンズ200−5が挿入されている点が第1実施形態と異なっているが、それ以外の点では第1実施形態と同様の構成となっている。
【0129】
この実施形態では、光源1から出射された光ビームは、コリメートレンズ200−5によって平行ビームとされる。そして、この平行ビームはスリット100に照射され、スリット100の開口部102を通過した光ビームはスケール2に向かって照射される。このとき、仮想的な点光源の位置はスリットの開口部102となる。
【0130】
ここで、本実施形態においては、光源を出射した光ビームはレンズ200−5によって平行光とされているため、スリット100を図の上下方向に移動させても、スリット開口部102を通過する光ビームの強度は一定である。そのため、スリット100を移動させても光検出器3が検出するタルボットイメージの光強度は変化しない構成となっている。
【0131】
従って、本実施形態のように構成する事で、スリット100を図の上下方向に移動させることで、光検出器3上に形成されるタルボットイメージの拡大率を調整した場合でも、光検出器3の受光部4が検出するタルボットイメージの光強度は一定となり、より安定して拡大率を調整する事が可能となる。
【0132】
なお、本実施形態では、レンズ200−5を用いて、光源1から出射される光ビームを平行ビームとしたが、図21(a)に示すようにスリット開口部102近傍で集光するように構成することで、光検出器3が検出するタルボットイメージの光強度を増加させることも可能であるし、また、図21(b)に示すように、平行ビームをやや絞ったビーム形状とすることで、スリット100の調整許容度の増加と、タルボットイメージの光強度の増加の両立を図ることも可能である。
【0133】
(第9実施形態)
以下に、本発明の第9実施形態について説明する。本発明の第9実施形態は、基本的には図25に示す構成と同一であるが、ここでの光源1は、図4に示されるような、WLsなる光ビーム出射窓幅を有している電流狭窄型のLEDである。ここで、光ビーム出射窓幅WLsは、式(6)に従って、以下のような範囲とされるものである。
【0134】
【数1】
Figure 2004239825
【0135】
このように構成することで、光源1の光ビーム出射窓幅WLsは必ずしもスケールピッチp1より小さくなくても良くなり、同じ光源1を用いても、上記式(8)を満たす広い範囲のスケールピッチp1を有するスケール2に対して、使用することが可能となる。
【0136】
また、z1=z2の場合には、式(8)は、以下のようになる。
【0137】
p1×(2n−1.5)≦WLs ≦p1×(2n−0.5) …(8′)
また、スケール2の移動方向の光ビーム出射窓幅WLsを、p1×(z1+z2)/(2×z2)以下とするか、または、おおよそp1×(2n−1)×(z1+z2)/(2×z2)とすることで、よりコントラストの高いタルボットイメージを形成する事が可能となる。
【0138】
ここで、WLsが式(8)の範囲からはずれた場合、信号レベルは劣化するものの直ちに使用不能なレベルにまでは劣化しない。従って、WLsは式(8)の範囲がより好適であるが、ここから若干はずれた場合でも、その機能を失するものではない。従って、WLsはおおよそこの範囲に含まれていれば良いことになる。
【0139】
さらに、本実施形態において、光源を面発光型の半導体レーザとすることでも同様の効果を得ることが可能となる。
【0140】
また、スケールピッチp1の(z1+z2)/z2×n倍の位置に複数の光ビーム出射窓を有する発光素子を用いることで、よりコントラストの大きいタルボットイメージを得ることが可能となる。特に、LEDや面発光型の半導体レーザのような面発光素子では、アレイを作製しやすく、また、各光ビーム出射窓部の位置関係を正確に作製出来るので、特に望ましい。
【0141】
(第10実施形態)
以下に、本発明の第10実施形態について説明する。本発明の第10実施形態は、光源から出射された光ビームのビーム広がり角を所定の値にする光学素子を用いたときの光強度パターンの周期p2に応じて、光検出器の出力信号のレベルを調整する方法に関する。図22はこのような調整方法の詳細を説明するためのフローチャートである。まず、光源からの光ビームのビーム拡がり角を所定の値に設定する(ステップS10)。より詳細には、まず、所定のビーム拡がり角設定用の光学素子を選択する(ステップS10−1)。次に、選択した光学素子を光源とスケールとの間に設置する(ステップS10−2)。次に、設定されたビーム拡がり角から仮想的な点光源の位置を算出する(ステップS11)。次に、光検出器の受光面上に形成される光強度パターンを検出する(ステップS12)。次に、光検出器により出力される光強度パターンの周期p2に応じて出力信号の信号レベルを検出する(ステップS13)。次に、検出した出力信号の信号レベルが所定の範囲内に含まれているか否かを判断する(ステップS14)。ここでの判断がNOの場合には、スケール及び光検出器に関する光学素子の位置を変化させることにより、仮想的な点光源の位置からスケールまでの距離を変化させて、光学素子の位置を調整し(ステップS15)、ステップS10に戻って上記した処理を繰り返す。そして、ステップS14での判断がYESになったときに処理を停止する。
【0142】
なお、これまで述べてきたすべての実施形態において、可干渉光源には、面発光レーザや、ストライプ型の半導体レーザや電流狭窄型のLEDや、通常のLEDなどあらゆる可干渉光源を使用することが可能である。
【0143】
また、本発明のいくつかの実施形態では、スリット100と光源1の光ビーム出射窓部とは一定の距離だけ離して配置されているものとして記載したが、スリット100は光源の出射窓部に接していてもよく、さらには、光源の上部電極等によりパターニングされていても構わない。
【0144】
また、本発明の実施形態に記載されているレンズは、ガラスやプラスティックなどを整形した一般的なレンズはもちろん、フレネル型の回折レンズなどを用いることも可能である。
【0145】
本発明は、発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々多くの変形や修整が可能であり、上に説明した実施形態はその一例に過ぎない。
【0146】
なお、本発明の要旨は以下のようにまとめることができる。
【0147】
1. 可干渉光源と、
周期的な光学パターンを有し、前記可干渉光源に対して相対的に変位するスケールと、
前記可干渉光源から出射され前記スケールを経由した光ビームを検出するための光検出器とを有する光学式エンコーダであって、
前記可干渉光源と前記スケールとの距離をz1、前記スケールと前記光検出器との距離をz2,前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1としたときに、前記可干渉光源のスケール移動方向における光ビーム出射窓幅WLsは、p1×(z1+z2)/(2×z2)以下であることを特徴とする光学式エンコーダ。
【0148】
上記のように構成することで、スケールが有する周期的な光学パターンのピッチ、すなわちスケールピッチと、光源の光ビーム出射窓幅とを最適化することが可能となり、様々な光ビーム出射幅を有する可干渉光源を用いてコントラストの大きい回折干渉パターンを光検出器上に形成することが可能となり、より分解能の高いエンコーダを実現することができる。
【0149】
なお、1.の構成の構成の詳細については、少なくとも第8の実施形態に述べられている。
【0150】
2. 可干渉光源と、
周期的な光学パターンを有し、前記可干渉光源に対して相対的に変位するスケールと、
前記可干渉光源から出射され前記スケールを経由した光ビームを検出するための光検出器とを有する光学式エンコーダであって、
前記可干渉光源と前記スケールとの距離をz1、前記スケールと前記光検出器との距離をz2,前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、nを自然数としたときに、前記可干渉光源のスケール移動方向における光ビーム出射窓幅WLsは、おおよそp1×(2n−1)×(z1+z2)/(2×z2)で表されることを特徴とする光学式エンコーダ。
【0151】
上記のように構成することで、スケールが有する周期的な光学パターンのピッチ、すなわちスケールピッチと、光源の光ビーム出射窓幅とを最適化することが可能となり、様々な光ビーム出射幅を有する可干渉光源を用いてコントラストの大きい回折干渉パターンを光検出器上に形成することが可能となり、より分解能の高いエンコーダを実現することができる。
【0152】
なお、上記2.の構成の構成の詳細については、少なくとも第8の実施形態に述べられている。
【0153】
3. 可干渉光源と、
周期的な光学パターンを有し、前記可干渉光源に対して相対的に変位するスケールと、
前記可干渉光源から出射され前記スケールを経由した光ビームを検出するための光検出器とを有する光学式エンコーダであって、
前記可干渉光源と前記スケールとの距離をz1、前記スケールと前記光検出器との距離をz2,前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、nを自然数としたときに、前記可干渉光源のスケール移動方向における光ビーム出射窓幅WLsは、p1×(2n−1.5)×(z1+z2)/(2×z2)≦WLs≦p1×(2n−0.5)×(z1+z2)/(2×z2)の関係を満たすことを特徴とする光学式エンコーダ。
【0154】
上記のように構成することで、スケールが有する周期的な光学パターンのピッチ、すなわちスケールピッチと、光源の光ビーム出射窓幅とを最適化することが可能となり、様々な光ビーム出射幅を有する可干渉光源を用いてコントラストの大きい回折干渉パターンを光検出器上に形成することが可能となり、より分解能の高いエンコーダを実現することができる。
【0155】
なお、上記3.の構成の詳細については、少なくとも第8の実施形態に述べられている。
【0156】
4. 可干渉光源と、
周期的な光学パターンを有し、前記可干渉光源に対して相対的に変位するスケールと、
前記可干渉光源から出射され前記スケールを経由した光ビームを検出するための光検出器とを有する光学式エンコーダであって、
前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、nを自然数としたときに、前記可干渉光源のスケール移動方向における光ビーム出射窓幅WLsは、(2n−1.5)×p1≦WLs≦(2n−0.5)×p1の関係を満たすことを特徴とする光学式エンコーダ。
【0157】
上記のように構成することで、スケールが有する周期的な光学パターンのピッチ、すなわちスケールピッチと、光源の光ビーム出射窓幅とを最適化することが可能となり、様々な光ビーム出射幅を有する可干渉光源を用いてコントラストの大きい回折干渉パターンを光検出器上に形成することが可能となり、より分解能の高いエンコーダを実現することができる。
【0158】
なお、上記4.の構成の詳細については、少なくとも第8の実施形態に述べられている。
【0159】
5. 可干渉光源と前記スケールとの距離をz1、前記スケールと前記光検出器との距離をz2、前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、nを自然数としたときに、前記可干渉光源は、前記光学パターンのピッチp1の(z1+z2)/z2×n倍の位置に、前記スケールの移動方向に複数の光ビーム出射窓を有することを特徴とする1.から4.のいずれかに記載の光学式エンコーダ。
【0160】
上記のように構成することで、複数の出射窓を有する可干渉光源を用いてコントラストの大きい回折干渉パターンを光検出器上に形成することが可能となり、より分解能の高いエンコーダを実現することができる。
【0161】
なお、上記5.の構成の詳細については、少なくとも第8の実施形態に述べられている。
【0162】
6. 可干渉光源と、
周期的な光学パターンを有し、前記可干渉光源に対して相対的に変位するスケールと、
前記可干渉光源から出射され前記スケールを経由した光ビームを検出するための光検出器を有する光学式エンコーダであって、
前記可干渉光源と前記スケール間に、前記光ビームの所定の部分を透過する光学素子を有することを特徴とする光学式エンコーダ。
【0163】
上記のように構成することで、光源の幅に対してより小さなスケールピッチ(スケールが有する周期的な光学パターンのピッチ)をもつスケールを使用することが可能となり、光検出器上に形成される回折干渉パターンのコントラストも大きくなるため、より分解能の高いエンコーダを実現することが可能となる。
【0164】
なお、上記6.の構成の詳細については、少なくとも第1から第3の実施形態に述べられている。
【0165】
7. 前記可干渉光源と、前記スケールと、前記光検出器とは、タルボットイメージを検出可能な所定の関係に配置されていることを特徴とする1.から6.のいずれかに記載の光学式エンコーダ。
【0166】
上記のように構成することで、光源の幅に対してより小さなスケールピッチのスケールを使用することが可能となり、形成されるタルボットイメージのコントラストも大きくなるため、より分解能の高いエンコーダを実現することが可能となる。
【0167】
なお、上記7.の構成の詳細については、少なくとも第1から第3の実施形態に述べられている。
【0168】
8. 前記可干渉光源と前記スケールとの距離をz1、前記スケールと前記光検出器との距離をz2、前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、前記可干渉光源から出射される前記光ビームの波長をλ、nを整数としたときに、前記光学式エンコーダは、おおよそ、1/z1+1/z2=λ/(n(p1))の関係を満たすように構成されていることを特徴とする1.から6.のいずれかに記載の光学式エンコーダ。
【0169】
上記のように構成することで、光源の幅に対してより小さなスケールピッチのスケールを使用することが可能となり、形成されるタルボットイメージのコントラストも大きくなるため、より分解能の高いエンコーダを実現することが可能となる。
【0170】
なお、上記8.の構成の詳細については、少なくとも第1から第3及び第8の実施形態に述べられている。
【0171】
9. 前記可干渉光源から出射された光ビームの所定の部分を通過させる光学素子と、前記スケールと、前記光検出器とは、タルボットイメージの動きを検出可能な所定の位置関係に配置されていることを特徴とする6.に記載の光学式エンコーダ。
【0172】
上記のように構成することで、可干渉光源の幅に対してより小さなスケールピッチのスケールを使用することが可能となり、形成されるタルボットイメージのコントラストも大きくなるため、より分解能の高いエンコーダを実現することが可能となる。
【0173】
なお、上記9.の構成の詳細については、少なくとも第1から第3の実施形態に述べられている。
【0174】
10. 前記可干渉光源から出射された光ビームの所定の部分を通過させる光学素子と前記スケールとの距離をz3、前記スケールと前記光検出器との距離をz2、前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、前記可干渉光源から出射される前記光ビームの波長をλ、nを整数としたときに、前記光学式エンコーダは、おおよそ、1/z2+1/z3=λ/(n(p1))の関係を満たすように構成されていることを特徴とする6.に記載の光学式エンコーダ。
【0175】
上記のように構成することで、光源の幅に対してより小さなスケールピッチのスケールを使用することが可能となり、形成されるタルボットイメージのコントラストも大きくなるため、より分解能の高いエンコーダを実現することが可能となる。
【0176】
なお、上記10.の構成の詳細については、少なくとも第1から第3の実施形態に述べられている。
【0177】
11. 前記可干渉光源から出射された光ビームが前記スケールを経由して前記光検出器の受光面上に照射された時に形成される前記受光面上の光強度パターンの周期をp2としたときに、前記光検出器は、前記光強度パターンの所定の位相部分を検出する複数の受光部を有することを特徴とする1.から10.のいずれかに記載の光学式エンコーダ。
【0178】
上記のように構成することで、光源の幅に対してより小さなスケールピッチのスケールを使用して形成される、タルボットイメージの所定の位相部分を複数の受光部により検出する事が可能となるため、光検出器の受ける信号光の強度を大きくすることが可能となり、より安定した光学式エンコーダを実現することが可能となる。
【0179】
なお、上記11.の構成の詳細については、少なくとも第1から第3の実施形態に述べられている。
【0180】
12. 前記スケールと前記光検出器との距離をz2、前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、前記可干渉光源から出射された光ビームの所定の部分を通過させる光学素子と前記スケールとの距離をz3としたときに、前記光検出器の受光部は、前記光検出器の受光面上に形成される前記光強度パターンの周期p2が、おおよそp1×(z2+z3)/z3である光強度パターンの所定の位相部分を検出可能に構成されていることを特徴とする6.から11.のいずれかに記載の光学式エンコーダ。
【0181】
上記のように構成することで、光源から出射された光ビームの所定の部分を通過させる光学素子を用いた場合の、より拡大されたタルボットイメージの所定の位相部分を複数の受光部により検出する事が可能となるため、光検出器の受ける信号光の強度を大きくすることが可能となり、より安定した高分解能な光学式エンコーダを実現することが可能となる。
【0182】
なお、上記12.の構成の詳細については、少なくとも第1から第3の実施形態に述べられている。
【0183】
13. 前記可干渉光源から出射された光ビームの所定の部分を通過させる光学素子は、前記スケールの移動方向に短軸を有するスリットであることを特徴とする6.から12.のいずれかに記載の光学式エンコーダ。
【0184】
上記のように構成することで、光源から出射された光ビームの所定の部分を通過させるスリットを用いた場合の、より拡大されたタルボットイメージを光検出器上に形成する事が可能となり、より安定した高分解能な光学式エンコーダを実現することが可能となる。
【0185】
なお、上記13.の構成の詳細については、少なくとも第1から第3の実施形態に述べられている。
【0186】
14. 前記スケールと前記光検出器との距離をz2、前記スリットと前記スケールとの距離をz3、前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、nを自然数としたときに、前記スリットの、前記スケールの移動方向の実効的な開口幅Ws は、p1×(z3+z2)/(2×z2)以下であることを特徴とする13.に記載の光学式エンコーダ。
【0187】
上記のように構成することで、光源から出射された光ビームの所定の部分を通過させるスリットを用いた場合の、より拡大されたタルボットイメージの明暗パターンのコントラストをより高めることが可能となるため、より安定した高分解能な光学式エンコーダを実現することが可能となる。
【0188】
なお、上記14.の構成の詳細については、少なくとも第2実施形態に述べられている。
【0189】
15. 前記スケールと前記光検出器との距離をz2、前記スリットと前記スケールとの距離をz3、前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、nを自然数としたときに、前記スリットの、前記スケールの移動方向における実効的な開口幅Ws は、おおよそp1×(2n−1)×(z3+z2)/(2×z2)で表されることを特徴とする13.に記載の光学式エンコーダ。
【0190】
上記のように構成することで、光源から出射された光ビームの所定の部分を通過させるスリットを用いた場合の、より拡大されたタルボットイメージの明暗パターンのコントラストをより高めることが可能となるため、より安定した高分解能な光学式エンコーダを実現することが可能となる。
【0191】
なお、上記15.の構成の詳細については、少なくとも第2実施形態に述べられている。
【0192】
16. 前記スケールと前記光検出器との距離をz2、前記スリットと前記スケールとの距離をz3、前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、nを自然数としたときに、前記スリットの、前記スケールの移動方向の実効的な開口幅Ws と前記スケールピッチp1との関係は、おおよそ、p1×(2n−1.5)×(z3+z2)/(2×z2)≦Ws ≦p1×(2n−0.5)×(z3+z2)/(2×z2)で表されることを特徴とする13.に記載の光学式エンコーダ。
【0193】
上記のように構成することで、光源から出射された光ビームの所定の部分を通過させるスリットを用いた場合の、より拡大されたタルボットイメージの明暗パターンのコントラストをより高めることが可能となるため、より安定した高分解能な光学式エンコーダを実現することが可能となる。
【0194】
なお、上記16.の構成の詳細については、少なくとも第2実施形態に述べられている。
【0195】
17. 前記スケールと前記光検出器との距離をz2、前記スリットと前記スケールとの距離をz3、前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、nを自然数としたときに、前記スリットは前記スケールの移動方向に複数の開口部を有し、かつ、前記複数の開口部は前記光学パターンのピッチp1の(z3+z2)/z2×n倍の位置に配置されていることを特徴とする13.から16.のいずれかに記載の光学式エンコーダ。
【0196】
上記のように構成することで、前記光検出器が受光する信号光の光強度を大きくすることが可能となるため、より安定した高分解能な光学式エンコーダを実現することが可能となる。
【0197】
なお、上記17.の構成の詳細については、少なくとも第3実施形態に述べられている。
【0198】
18. 前記スリットが有する前記スケールの移動方向の実効的な開口幅Ws は、nを自然数として、p1×(2n−1.5)≦Ws ≦p1×(2n−0.5)の関係を満たすことを特徴とする13.に記載の光学式エンコーダ。
【0199】
上記のように構成することで、光源から出射された光ビームの所定の部分を通過させるスリットを用いた場合の、より拡大されたタルボットイメージの明暗パターンのコントラストをより高めることが可能となるため、より安定した高分解能な光学式エンコーダを実現することが可能となる。
【0200】
なお、上記18.の構成の詳細については、少なくとも第2実施形態に述べられている。
【0201】
19. 前記スリットは、前記スケールの移動方向に複数の開口部を有し、前記複数の開口部は、前記光検出器のピッチp2の略整数倍の位置に配置されていることを特徴とする13.または18.に記載の光学式エンコーダ。
【0202】
上記のように構成することで、前記光検出器が受光する信号光の光強度を大きくすることが可能となるため、より安定した高分解能な光学式エンコーダを実現することが可能となる。
【0203】
なお、上記19.の構成の詳細については、少なくとも第3実施形態に述べられている。
【0204】
20. 前記スリットは、前記スケールの移動方向に、前記スケールのピッチp1の略整数倍の位置に配置されていることを特徴とする19.に記載の光学式エンコーダ。
【0205】
上記のように構成することで、前記光検出器が受光する信号光の光強度をより大きくすることが可能となるため、より安定した高分解能な光学式エンコーダを実現することが可能となる。
【0206】
なお、上記20.の構成の詳細については、少なくとも第3実施形態に述べられている。
【0207】
21. 前記可干渉光源から出射された光ビームの所定の部分を通過させる光学素子は、円形の開口であることを特徴とする6.から12.のいずれかに記載の光学式エンコーダ。
【0208】
上記のように構成することで、光源から出射された光ビームの所定の部分を通過させる開口を用いた場合の、より拡大されたタルボットイメージを光検出器上に形成する事が可能となり、より安定した高分解能な光学式エンコーダを実現することが可能となる。
【0209】
なお、上記21.の構成の詳細については、少なくとも第1から第3実施形態に述べられている。
【0210】
22. 前記スケールと前記光検出器との距離をz2、前記円形の開口と前記スケールとの距離をz3、前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、nを自然数としたときに、前記円形の開口の、前記スケールの移動方向の実効的な開口幅Ws は、p1×(z3+z2)/(2×z2)以下であることを特徴とする21.に記載の光学式エンコーダ。
【0211】
上記のように構成することで、光源から出射された光ビームの所定の部分を通過させる開口を用いた場合の、より拡大されたタルボットイメージの明暗パターンのコントラストをより高めることが可能となるため、より安定した高分解能な光学式エンコーダを実現することが可能となる。
【0212】
なお、上記22.の構成の詳細については、少なくとも第2実施形態に述べられている。
【0213】
23. 前記スケールと前記光検出器との距離をz2、前記円形の開口と前記スケールとの距離をz3、前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、nを自然数としたときに、前記円形の開口の、前記スケールの移動方向における実効的な開口幅Ws は、おおよそp1×(2n−1)×(z3+z2)/(2×z2)で表されることを特徴とする21.に記載の光学式エンコーダ。
【0214】
上記のように構成することで、光源から出射された光ビームの所定の部分を通過させる開口を用いた場合の、より拡大されたタルボットイメージの明暗パターンのコントラストをより高めることが可能となるため、より安定した高分解能な光学式エンコーダを実現することが可能となる。
【0215】
なお、上記23.の構成の詳細については、少なくとも第2実施形態に述べられている。
【0216】
24. 前記スケールと前記光検出器との距離をz2、前記開口と前記スケールとの距離をz3、前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、nを自然数としたときに、前記開口の実効的な開口幅Ws は、おおよそp1×(2n−1.5)×(z2+z3)/(2×z2)≦Ws ≦p1×(2n−0.5)×(z2+z3)/(2×z2)の関係を満たすことを特徴とする21.に記載の光学式エンコーダ。
【0217】
上記のように構成することで、光源から出射された光ビームの所定の部分を通過させる開口を用いた場合の、より拡大されたタルボットイメージの明暗パターンのコントラストをより高めることが可能となるため、より安定した高分解能な光学式エンコーダを実現することが可能となる。
【0218】
なお、上記24.の構成の詳細については、少なくとも第2実施形態に述べられている。
【0219】
25. 前記スケールと前記光検出器との距離をz2、前記開口と前記スケールとの距離をz3、前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、nを自然数としたときに、前記開口は前記スケールの移動方向に複数の開口部を有し、前記複数の開口部は前記光学パターンのピッチp1の(z2+z3)/z2×n倍の位置に配置されていることを特徴とする21.から24.のいずれかに記載の光学式エンコーダ。
【0220】
上記のように構成することで、前記光検出器が受光する信号光の光強度を大きくすることが可能となるため、より安定した高分解能な光学式エンコーダを実現することが可能となる。
【0221】
なお、上記25.の構成の詳細については、少なくとも第3実施形態に述べられている。
【0222】
26. 前記開口の実効的な開口幅Ws と前記光学パターンのピッチp1とは、nを自然数としたとき、おおよそp1×(2n−1.5)≦Ws ≦p1×(2n−0.5)の関係を満たすことを特徴とする21.に記載の光学式エンコーダ。
【0223】
上記のように構成することで、光源から出射された光ビームの所定の部分を通過させる開口を用いた場合の、より拡大されたタルボットイメージの明暗パターンのコントラストをより高めることが可能となるため、より安定した高分解能な光学式エンコーダを実現することが可能となる。
【0224】
なお、上記26.の構成の詳細については、少なくとも第2実施形態に述べられている。
【0225】
27. 前記開口は、前記スケールの移動方向に前記光検出器の前記受光面上に形成される光強度パターンの周期p2の略整数倍の位置に複数配置されていることを特徴とする21.または26.に記載の光学式エンコーダ。
【0226】
上記のように構成することで、前記光検出器が受光する信号光の光強度を大きくすることが可能となるため、より安定した高分解能な光学式エンコーダを実現することが可能となる。
【0227】
なお、上記27.の構成の詳細については、少なくとも第3実施形態に述べられている。
【0228】
28. 前記開口は、前記スケールのパターン面と平行な面内で、前記スケールの移動方向と直交する方向に複数配置されていることを特徴とする21.から27.のいずれかに記載の光学式エンコーダ。
【0229】
上記のように構成することで、前記光検出器が受光する信号光の光強度をより大きくすることが可能となるため、より安定した高分解能な光学式エンコーダを実現することが可能となる。
【0230】
なお、上記28.の構成の詳細については、少なくとも第3実施形態に述べられている。
【0231】
29. 可干渉光源と、前記可干渉光源から出射された光ビームの所定の部分を通過させる光学素子と、周期的な光学パターンを有し、前記可干渉光源に対して相対的に変位するスケールと、前記可干渉光源から出射され前記スケールを経由した光ビームを検出するための光検出器とを有する光学式エンコーダの、前記光検出器の受光面上に形成される光強度パターンの周期p2に応じた出力信号レベルの調整方法であって、
(i)前記光検出器の前記受光面上に形成される光強度パターンを検出するステップと、
(ii)前記光検出器により検出される光強度パターンの周期p2に応じた出力信号のレベルを確認するステップと、
(iii)前記出力信号のレベルが所定の範囲に含まれるか否かを判断するステップと、
(iv)前記出力信号のレベルが前記所定の信号レベルの範囲に含まれない場合には、前記光学素子から前記スケールまでの距離を変化させるステップとを具備し、前記(i)から(iv)までの各ステップを繰り返して実行する。
【0232】
上記のように構成することで、光源、スケール、光検出器の配置を変更することなく、光検出器上に形成される光強度パターンの周期p2を調整する事が可能となる。
【0233】
なお、上記29.の構成の詳細については、少なくとも第1から第3実施形態に述べられている。
【0234】
30. 可干渉光源と、
周期的な光学パターンを有し、前記可干渉光源に対して相対的に変位するスケールと、
前記可干渉光源から出射され前記スケールを経由した光ビームを検出するための光検出器を有する光学式エンコーダであって、
前記可干渉光源と前記スケール間に、前記光ビームのビーム拡がり角を所定の値にする光学素子を有することを特徴とする光学式エンコーダ。
【0235】
上記のように構成することで、容易に光検出器上に形成される光強度パターンの周期p2を調整する事が可能となり、より高分解能な光学式エンコーダを実現することが可能となる。
【0236】
なお、上記30.の構成の詳細については、少なくとも第4から第6実施形態に述べられている。
【0237】
31. 前記可干渉光源と、前記スケールと、前記光検出器とは、タルボットイメージを検出可能な所定の位置関係に配置されていることを特徴とする30.に記載の光学式エンコーダ。
【0238】
上記のように構成することで、光検出器上に形成されるタルボットイメージの拡大率を調整する事が可能となり、より高分解能な光学式エンコーダを実現することが可能となる。
【0239】
なお、上記31.の構成の詳細については、少なくとも第4から第6実施形態に述べられている。
【0240】
32. 前記可干渉光源と前記スケールとの距離をz1、前記スケールと前記光検出器との距離をz2、前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、前記可干渉光源から出射される前記光ビームの波長をλ、nを整数としたときに、前記光学式エンコーダは、おおよそ、1/z1+1/z2=λ/(n(p1))の関係を満たすように構成されていることを特徴とする請求項30に記載の光学式エンコーダ。
【0241】
上記のように構成することで、容易に光検出器上に形成されるタルボットイメージの拡大率を調整する事が可能となり、より高分解能な光学式エンコーダを実現することが可能となる。
【0242】
なお、上記32.の構成の詳細については、少なくとも第4から第6実施形態に述べられている。
【0243】
33. 前記可干渉光源から出射された光ビームが前記スケールを経由して前記光検出器の受光面上に照射された時に形成される前記受光面上の光強度パターンの周期をp2としたときに、前記光検出器は、周期p2を有する前記光強度パターンの所定の位相部分を検出する複数の受光部を有することを特徴とする30.から32.のいずれかに記載の光学式エンコーダ。
【0244】
上記のように構成することで、タルボットイメージの所定の位相部分を複数の受光部により検出する事が可能となるため、光検出器の受ける信号光の強度を大きくすることが可能となり、より安定した光学式エンコーダを実現することが可能となる。
【0245】
なお、上記33.の構成の詳細については、少なくとも第4から第6実施形態に述べられている。
【0246】
34. 前記スケールと前記光検出器との距離をz2、前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、前記光ビームのビーム拡がり角を所定の値にする光学素子を通過した光ビームの拡がり角から算出される仮想的な点光源の位置から前記スケールまでの距離をz4としたときに、前記光検出器の受光部は、前記光検出器の受光面上に形成される光強度パターンの周期p2が、おおよそ(z2+z4)/z4×p1である光強度パターンの所定の位相部分を検出可能に構成されていることを特徴とする30.から33.のいずれかに記載の光学式エンコーダ。
【0247】
上記のように構成することで、より安定して拡大されたタルボットイメージを光検出器上に形成する事が可能となるため、より安定した高分解能な光学式エンコーダを実現することが可能となる。
【0248】
なお、上記34.の構成の詳細については、少なくとも第6実施形態に述べられている。
【0249】
35. 前記光ビームのビーム拡がり角を所定の値にする光学素子は、レンズであることを特徴とする30.から34.のいずれかに記載の光学式エンコーダ。
【0250】
上記のように構成することで、より安定して拡大されたタルボットイメージを光検出器上に形成する事が可能となるため、より安定した高分解能な光学式エンコーダを実現することが可能となる。
【0251】
なお、上記35.の構成の詳細については、少なくとも第4から第6実施形態に述べられている。
【0252】
36. 前記レンズは、凹レンズであることを特徴とする35.に記載の光学式エンコーダ。
【0253】
上記のように構成することで、より安定して拡大されたタルボットイメージを光検出器上に形成する事が可能となるため、より安定した高分解能な光学式エンコーダを実現することが可能となる。
【0254】
なお、上記36.の構成の詳細については、少なくとも第4から第6実施形態に述べられている。
【0255】
37. 前記レンズは、複数のレンズによって構成される光学系であることを特徴とする35.に記載の光学式エンコーダ。
【0256】
上記のように構成することで、より安定して拡大されたタルボットイメージを光検出器上に形成する事が可能となり、さらに、タルボットイメージの拡大率をより安定して調整可能となるため、より安定した高分解能な光学式エンコーダを実現することが可能となる。
【0257】
なお、上記37.の構成の詳細については、少なくとも第5実施形態に述べられている。
【0258】
38. 前記レンズは、前記スケールの移動方向にのみ光学作用を有するシリンドリカルレンズであることを特徴とする35.に記載の光学式エンコーダ。
【0259】
上記のように構成することで、より安定して拡大されたタルボットイメージを光検出器上に形成する事が可能となり、さらに、光検出器上に形成される信号光の光強度を大きくすることが可能となるため、より安定した高分解能な光学式エンコーダを実現することが可能となる。
【0260】
なお、上記38.の構成の詳細については、少なくとも第5実施形態に述べられている。
【0261】
39. 前記レンズは、前記スケールの移動方向では前記光ビームのビーム拡がり角を凹レンズ的に広げる作用を有し、前記スケールの移動方向とは直交し、前記スケールパターンと平行な面内においては前記光ビームのビーム拡がり角を凸レンズ的に集光する作用を有することを特徴とする35.に記載の光学式エンコーダ。
【0262】
なお、上記39.の構成の詳細については、少なくとも第4から第6実施形態に述べられている。
【0263】
40. 可干渉光源と、周期的な光学パターンを有し、前記可干渉光源に対して相対的に変位するスケールと、前記可干渉光源から出射され前記スケールを経由した光ビームを検出するための光検出器とを有する光学式エンコーダの、前記光検出器の受光面上に形成される光強度パターンの周期p2に応じた出力信号レベルの調整方法であって、
(i)前記可干渉光源から出射された光ビームのビーム拡がり角を所定の値に設定するステップと、
(ii)前記設定されたビーム拡がり角から仮想的な点光源の位置を算出するステップと、
(iii)前記光検出器の前記受光面上に形成される光強度パターンを検出するステップと、
(iv)前記光検出器により検出される光強度パターンの周期p2に応じた出力信号のレベルを確認するステップと、
(v)前記出力信号のレベルが所定の範囲に含まれるか否かを判断するステップと、
(vi)前記比較した結果が所定の信号レベルの範囲に含まれる場合は調整を終了し、前記比較した結果が前記所定の信号レベルの範囲に含まれない場合、前記算出された仮想的な点光源の位置から前記スケールまでの距離を変化させるステップとを具備し、
前記(iii)から(vi)までの各ステップを繰り返して実行することを特徴とする出力信号レベルの調整方法。
【0264】
上記のように構成することで、光検出器上に形成されたタルボットイメージの拡大率を安定して調整する事が可能となるため、より安定した高分解能な光学式エンコーダを実現することが可能となる。
【0265】
なお、上記40.の構成の詳細については、少なくとも第4から第6実施形態に述べられている。
【0266】
41. 可干渉光源と、
周期的な光学パターンを有し、前記可干渉光源に対して相対的に変位するスケールと、
前記可干渉光源から出射され前記スケールを経由した光ビームを検出するための光検出器を有する光学式エンコーダであって、
前記可干渉光源と前記スケール間に、前記光ビームの所定の部分を透過する光学素子と、前記光ビームのビーム拡がり角を所定の値にする光学素子とを有することを特徴とする光学式エンコーダ。
【0267】
上記のように構成することで、光源の光ビーム出射窓部の大きさに寄らず、より安定して拡大されたタルボットイメージを光検出器上に形成する事が可能となり、さらに、光検出器上に形成される信号光の光強度を大きくすることが可能となり、また、タルボットイメージの拡大率を調整可能となるため、より安定した高分解能な光学式エンコーダを実現することが可能となる。
【0268】
なお、上記41.の構成の詳細については、少なくとも第7実施形態に述べられている。
【0269】
42. 前記光ビームの所定の部分を透過する光学素子は、前記光源から出射された光ビームが、前記スケールによって反射された後、前記光検出器の実効的な受光感度を有する領域に向かう光路を遮らないように配置されていることを特徴とする6.から29.のいずれかまたは41.に記載の光学式エンコーダ。
【0270】
上記のように構成することで、スケールからの信号光を、前記光ビームの所定の部分を通過する光学素子により遮ることが無く、光検出器に入射する信号光の光強度がより安定するため、より安定した高分解能な光学式エンコーダを実現することが可能となる。
【0271】
なお、上記42.の構成の詳細については、少なくとも第1から第3及び第7実施形態に述べられている。
【0272】
43. 前記光ビームのビーム拡がり角を所定の値にする光学素子は、前記可干渉光源から出射された光ビームが、前記スケールによって反射された後、前記光検出器の実効的な受光感度を有する領域に向かう光路を遮らないように配置されていることを特徴とする30.から41.のいずれかに記載の光学式エンコーダ。
【0273】
上記のように構成することで、スケールからの信号光を、前記光ビームのビーム拡がり角を所定の値にする光学素子により遮ることが無く、光検出器に入射する信号光の光強度がより安定するため、より安定した高分解能な光学式エンコーダを実現することが可能となる。
【0274】
なお、上記43.の構成の詳細については、少なくとも第30から第41実施形態に述べられている。
【0275】
44. 前記可干渉光源は、電流狭窄型の発光素子であることを特徴とする1.から43.に記載の光学式エンコーダ。
【0276】
上記のように構成することで、より安定した、より高性能な光学式エンコーダを安価に提供することが可能となる。
【0277】
なお、上記44.の構成の詳細については、少なくとも第1から第8実施形態に述べられている。
【0278】
45. 前記電流狭窄型の発光素子は、複数の光ビーム出射窓部を有することを特徴とする44.に記載の光学式エンコーダ。
【0279】
上記のように構成することで、より安定した、より高性能な光学式エンコーダを安価に提供することが可能となる。
【0280】
なお、上記45.の構成の詳細については、少なくとも第8実施形態に述べられている。
【0281】
46. 前記可干渉光源は、面発光型の半導体レーザで有ることを特徴とする1.〜43.に記載の光学式エンコーダ。
【0282】
上記のように構成することで、より安定した、より高性能な光学式エンコーダを安価に提供することが可能となる。
【0283】
なお、上記46.の構成の詳細については、少なくとも第8実施形態に述べられている。
【0284】
47. 前記面発光型の半導体レーザは、複数の光ビーム出射窓部を有することを特徴とする46.に記載の光学式エンコーダ。
【0285】
上記のように構成することで、より安定した、より高性能な光学式エンコーダを安価に提供することが可能となる。
【0286】
なお、上記47.の構成の詳細については、少なくとも第8実施形態に述べられている。
【0287】
【発明の効果】
本発明によれば、光源の光ビーム射出窓幅を所定の範囲とすることで、形成されるタルボットイメージのコントラストを大きくできるため、より分解能の高いエンコーダを実現することが可能となる。また、所定の間隔の、複数の射出窓を有する光源を用いることで、十分な光強度の光信号を利用することが可能となり、さらに分解能を高めることも可能とする。
【0288】
本発明によれば、光源とスケールの間に、光源から出射された光ビームの所定の部分を透過させる光学素子を設けることで、光源の幅に対してより小さなスケールピッチのスケールを使用することが可能となり、形成されるタルボットイメージのコントラストも大きくなるため、より分解能の高いエンコーダを実現することが可能となる。
【0289】
また、光源とスケールの間に、光源から出射された光ビームの所定の部分を透過させる光学素子を設けるか、または光源から出射された光ビームのビーム拡がり角を所定の値に設定する光学素子を設けることで、スケールと光検出器間の距離を大きくすることなく、タルボットイメージの拡大する事が可能となるため、より小さなスケールピッチのスケールを用いることが可能となり、また、形成されるタルボットイメージより大きく拡大されているため、より分解能の高いエンコーダを実現することが可能となる。
【0290】
また、本発明によると、光源の光ビーム出射窓幅またはスリット開口幅が、エンコーダの他の構造パラメータに対してある条件を満たすようにすることで、よりコントラストの高いタルボットイメージを光検出器上に形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る光学式エンコーダの構成を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態の光検出器3の構成を示す図である。
【図3】第1実施形態の変形例としての反射型の光学式エンコーダの構成を示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態において用いられる光ビーム出射窓幅WLsを有する電流狭窄型のLEDを示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態における開口幅Ws を示す図である。
【図6】光ビーム出射窓幅WLsがスリットピッチp1より大きな可干渉光源1を用い、スリット100がない場合のタルボットイメージについて説明するための図である。
【図7】タルボットイメージについて一般的な説明を行うための図である。
【図8】本発明の第3実施形態において、スリット開口部102がピッチpsで複数配列されている構成を示す図である。
【図9】距離ps離れた二つのスリットから出射される光ビームにより形成されるタルボットイメージの重なりのイメージを示す図である。
【図10】スリット開口部102の形状の一例を示す図である。
【図11】スリット開口部102の形状の他の例を示す図である。
【図12】光検出器の受光面上に形成される光強度パターンの周期p2に応じて光検出器の出力信号のレベルを調整する方法を説明するための図である。
【図13】本発明の第5実施形態に係る光学式エンコーダの構成を示す図である。
【図14】本発明の第5実施形態の変形例としての反射型の光学式エンコーダの構成を示す図である。
【図15】本発明の第6実施形態に係る光学式エンコーダの光源1の近傍を示した図である。
【図16】本発明の第7実施形態において、1軸方向にのみレンズ作用を有する棒状レンズを示す図である。
【図17】図16に示す棒状レンズの作用を説明するための図である。
【図18】一方向においては凹レンズ的に働き、それと直交する方向においては凸レンズ的に働くシリンドリカルレンズを示す図である。
【図19】図18に示すシリンドリカルレンズの作用を説明するための図である。
【図20】本発明の第8実施形態に係る光学式エンコーダの構成を示す図である。
【図21】光源1から出射される光ビームの変形例を説明するための図である。
【図22】本発明の第9実施形態に係る調整方法について説明するための図である。
【図23】従来技術としての代表的な光学式エンコーダの構成を示す図である。
【図24】スケールの移動量を表す検出信号の波形を示す図である。
【図25】タルボットイメージについて説明するための図である。
【符号の説明】
1 可干渉光源
2 スケール
3 光検出器
4 受光部
100 スリット
102 スリット開口部

Claims (43)

  1. 可干渉光源と、
    周期的な光学パターンを有し、前記可干渉光源に対して相対的に変位するスケールと、
    前記可干渉光源から出射され前記スケールを経由した光ビームを検出するための光検出器とを有する光学式エンコーダであって、
    前記可干渉光源と前記スケールとの距離をz1、前記スケールと前記光検出器との距離をz2,前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1としたときに、前記可干渉光源のスケール移動方向における光ビーム出射窓幅WLsは、p1×(z1+z2)/(2×z2)以下であることを特徴とする光学式エンコーダ。
  2. 可干渉光源と、
    周期的な光学パターンを有し、前記可干渉光源に対して相対的に変位するスケールと、
    前記可干渉光源から出射され前記スケールを経由した光ビームを検出するための光検出器とを有する光学式エンコーダであって、
    前記可干渉光源と前記スケールとの距離をz1、前記スケールと前記光検出器との距離をz2,前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、nを自然数としたときに、前記可干渉光源のスケール移動方向における光ビーム出射窓幅WLsは、おおよそp1×(2n−1)×(z1+z2)/(2×z2)で表されることを特徴とする光学式エンコーダ。
  3. 可干渉光源と、
    周期的な光学パターンを有し、前記可干渉光源に対して相対的に変位するスケールと、
    前記可干渉光源から出射され前記スケールを経由した光ビームを検出するための光検出器とを有する光学式エンコーダであって、
    前記可干渉光源と前記スケールとの距離をz1、前記スケールと前記光検出器との距離をz2,前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、nを自然数としたときに、前記可干渉光源のスケール移動方向における光ビーム出射窓幅WLsは、p1×(2n−1.5)×(z1+z2)/(2×z2)≦WLs≦p1×(2n−0.5)×(z1+z2)/(2×z2)の関係を満たすことを特徴とする光学式エンコーダ。
  4. 可干渉光源と、
    周期的な光学パターンを有し、前記可干渉光源に対して相対的に変位するスケールと、
    前記可干渉光源から出射され前記スケールを経由した光ビームを検出するための光検出器とを有する光学式エンコーダであって、
    前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、nを自然数としたときに、前記可干渉光源のスケール移動方向における光ビーム出射窓幅WLsは、(2n−1.5)×p1≦WLs≦(2n−0.5)×p1の関係を満たすことを特徴とする光学式エンコーダ。
  5. 可干渉光源と前記スケールとの距離をz1、前記スケールと前記光検出器との距離をz2、前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、nを自然数としたときに、前記可干渉光源は、前記光学パターンのピッチp1の(z1+z2)/z2×n倍の位置に、前記スケールの移動方向に複数の光ビーム出射窓を有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の光学式エンコーダ。
  6. 可干渉光源と、
    周期的な光学パターンを有し、前記可干渉光源に対して相対的に変位するスケールと、
    前記可干渉光源から出射され前記スケールを経由した光ビームを検出するための光検出器を有する光学式エンコーダであって、
    前記可干渉光源と前記スケール間に、前記光ビームの所定の部分を透過する光学素子を有することを特徴とする光学式エンコーダ。
  7. 前記可干渉光源と、前記スケールと、前記光検出器とは、タルボットイメージを検出可能な所定の関係に配置されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の光学式エンコーダ。
  8. 前記可干渉光源と前記スケールとの距離をz1、前記スケールと前記光検出器との距離をz2、前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、前記可干渉光源から出射される前記光ビームの波長をλ、nを整数としたときに、前記光学式エンコーダは、おおよそ、1/z1+1/z2=λ/(n(p1))の関係を満たすように構成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の光学式エンコーダ。
  9. 前記可干渉光源から出射された光ビームの所定の部分を通過させる光学素子と、前記スケールと、前記光検出器とは、タルボットイメージを検出可能な所定の位置関係に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の光学式エンコーダ。
  10. 前記可干渉光源から出射された光ビームの所定の部分を通過させる光学素子と前記スケールとの距離をz3、前記スケールと前記光検出器との距離をz2、前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、前記可干渉光源から出射される前記光ビームの波長をλ、nを整数としたときに、前記光学式エンコーダは、おおよそ、1/z2+1/z3=λ/(n(p1))の関係を満たすように構成されていることを特徴とする請求項6に記載の光学式エンコーダ。
  11. 前記可干渉光源から出射された光ビームが前記スケールを経由して前記光検出器の受光面上に照射された時に形成される前記受光面上の光強度パターンの周期をp2としたときに、前記光検出器は、前記光強度パターンの所定の位相部分を検出する複数の受光部を有することを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の光学式エンコーダ。
  12. 前記スケールと前記光検出器との距離をz2、前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、前記可干渉光源から出射された光ビームの所定の部分を通過させる光学素子と前記スケールとの距離をz3としたときに、前記光検出器の受光部は、前記光検出器の受光面上に形成される前記光強度パターンの周期p2が、おおよそp1×(z2+z3)/z3である光強度パターンの所定の位相部分を検出可能に構成されていることを特徴とする請求項6から11のいずれかに記載の光学式エンコーダ。
  13. 前記可干渉光源から出射された光ビームの所定の部分を通過させる光学素子は、前記スケールの移動方向に短軸を有するスリットであることを特徴とする請求項6から12のいずれかに記載の光学式エンコーダ。
  14. 前記スケールと前記光検出器との距離をz2、前記スリットと前記スケールとの距離をz3、前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、nを自然数としたときに、前記スリットの、前記スケールの移動方向の実効的な開口幅Ws は、p1×(z3+z2)/(2×z2)以下であることを特徴とする請求項13に記載の光学式エンコーダ。
  15. 前記スケールと前記光検出器との距離をz2、前記スリットと前記スケールとの距離をz3、前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、nを自然数としたときに、前記スリットの、前記スケールの移動方向における実効的な開口幅Ws は、おおよそp1×(2n−1)×(z3+z2)/(2×z2)で表されることを特徴とする請求項13に記載の光学式エンコーダ。
  16. 前記スケールと前記光検出器との距離をz2、前記スリットと前記スケールとの距離をz3、前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、nを自然数としたときに、前記スリットの、前記スケールの移動方向の実効的な開口幅Ws と前記周期的な光学パターンのピッチp1との関係は、おおよそ、p1×(2n−1.5)×(z3+z2)/(2×z2)≦Ws ≦p1×(2n−0.5)×(z3+z2)/(2×z2)で表されることを特徴とする請求項13に記載の光学式エンコーダ。
  17. 前記スケールと前記光検出器との距離をz2、前記スリットと前記スケールとの距離をz3、前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、nを自然数としたときに、前記スリットは前記スケールの移動方向に複数の開口部を有し、かつ、前記複数の開口部は前記光学パターンのピッチp1の(z3+z2)/z2×n倍の位置に配置されていることを特徴とする請求項13から16のいずれかに記載の光学式エンコーダ。
  18. 前記スリットが有する前記スケールの移動方向の実効的な開口幅Ws は、nを自然数として、p1×(2n−1.5)≦Ws ≦p1×(2n−0.5)の関係を満たすことを特徴とする請求項13に記載の光学式エンコーダ。
  19. 前記スリットは、前記スケールの移動方向に複数の開口部を有し、前記複数の開口部は、前記光検出器のピッチp2の略整数倍の位置に配置されていることを特徴とする請求項13または18に記載の光学式エンコーダ。
  20. 前記スリットは、前記スケールの移動方向に、前記スケールのピッチp1の略整数倍の位置に配置されていることを特徴とする請求項19に記載の光学式エンコーダ。
  21. 前記可干渉光源から出射された光ビームの所定の部分を通過させる光学素子は、円形の開口であることを特徴とする請求項6から12のいずれかに記載の光学式エンコーダ。
  22. 前記スケールと前記光検出器との距離をz2、前記円形の開口と前記スケールとの距離をz3、前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、nを自然数としたときに、前記円形の開口の、前記スケールの移動方向の実効的な開口幅Ws は、p1×(z3+z2)/(2×z2)以下であることを特徴とする請求項21に記載の光学式エンコーダ。
  23. 前記スケールと前記光検出器との距離をz2、前記円形の開口と前記スケールとの距離をz3、前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、nを自然数としたときに、前記円形の開口の、前記スケールの移動方向における実効的な開口幅Ws は、おおよそp1×(2n−1)×(z3+z2)/(2×z2)で表されることを特徴とする請求項21に記載の光学式エンコーダ。
  24. 前記スケールと前記光検出器との距離をz2、前記開口と前記スケールとの距離をz3、前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、nを自然数としたときに、前記開口の実効的な開口幅Ws は、おおよそp1×(2n−1.5)×(z2+z3)/(2×z2)≦Ws ≦p1×(2n−0.5)×(z2+z3)/(2×z2)の関係を満たすことを特徴とする請求項21に記載の光学式エンコーダ。
  25. 前記スケールと前記光検出器との距離をz2、前記開口と前記スケールとの距離をz3、前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、nを自然数としたときに、前記開口は前記スケールの移動方向に複数の開口部を有し、前記複数の開口部は前記光学パターンのピッチp1の(z2+z3)/z2×n倍の位置に配置されていることを特徴とする請求項21から24のいずれかに記載の光学式エンコーダ。
  26. 前記開口の実効的な開口幅Ws と前記光学パターンのピッチp1とは、nを自然数としたとき、おおよそp1×(2n−1.5)≦Ws ≦p1×(2n−0.5)の関係を満たすことを特徴とする請求項21に記載の光学式エンコーダ。
  27. 前記開口は、前記スケールの移動方向に前記光検出器の前記受光面上に形成される光強度パターンの周期p2の略整数倍の位置に複数配置されていることを特徴とする請求項21または26に記載の光学式エンコーダ。
  28. 前記開口は、前記スケールのパターン面と平行な面内で、前記スケールの移動方向と直交する方向に複数配置されていることを特徴とする請求項21から27のいずれかに記載の光学式エンコーダ。
  29. 可干渉光源と、前記可干渉光源から出射された光ビームの所定の部分を通過させる光学素子と、周期的な光学パターンを有し、前記可干渉光源に対して相対的に変位するスケールと、前記可干渉光源から出射され前記スケールを経由した光ビームを検出するための光検出器とを有する光学式エンコーダの、前記光検出器の受光面上に形成される光強度パターンの周期p2に応じた出力信号レベルの調整方法であって、
    (i)前記光検出器の前記受光面上に形成される光強度パターンを検出するステップと、
    (ii)前記光検出器により検出される光強度パターンの周期p2に応じた出力信号のレベルを確認するステップと、
    (iii)前記出力信号のレベルが所定の範囲に含まれるか否かを判断するステップと、
    (iv)前記出力信号のレベルが前記所定の信号レベルの範囲に含まれない場合には、前記光学素子から前記スケールまでの距離を変化させるステップと、
    を具備し、
    前記(i)から(iv)までの各ステップを繰り返して実行することを特徴とする、出力信号レベルの調整方法。
  30. 可干渉光源と、
    周期的な光学パターンを有し、前記可干渉光源に対して相対的に変位するスケールと、
    前記可干渉光源から出射され前記スケールを経由した光ビームを検出するための光検出器を有する光学式エンコーダであって、
    前記可干渉光源と前記スケール間に、前記光ビームのビーム拡がり角を所定の値にする光学素子を有することを特徴とする光学式エンコーダ。
  31. 前記可干渉光源と、前記スケールと、前記光検出器とは、タルボットイメージを検出可能な所定の位置関係に配置されていることを特徴とする請求項30に記載の光学式エンコーダ。
  32. 前記可干渉光源と前記スケールとの距離をz1、前記スケールと前記光検出器との距離をz2、前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、前記可干渉光源から出射される前記光ビームの波長をλ、nを整数としたときに、前記光学式エンコーダは、おおよそ、1/z1+1/z2=λ/(n(p1))の関係を満たすように構成されていることを特徴とする請求項30に記載の光学式エンコーダ。
  33. 前記可干渉光源から出射された光ビームが前記スケールを経由して前記光検出器の受光面上に照射された時に形成される前記受光面上の前記光強度パターンの周期をp2としたときに、前記光検出器は、前記光強度パターンの所定の位相部分を検出する複数の受光部を有することを特徴とする請求項30から32のいずれかに記載の光学式エンコーダ。
  34. 前記スケールと前記光検出器との距離をz2、前記スケールが有する前記周期的な光学パターンのピッチをp1、前記光ビームのビーム拡がり角を所定の値にする光学素子を通過した光ビームの拡がり角から算出される仮想的な点光源の位置から前記スケールまでの距離をz4としたときに、前記光検出器の受光部は、前記光検出器の受光面上に形成される光強度パターンの周期p2が、おおよそ(z2+z4)/z4×p1である光強度パターンの所定の位相部分を検出可能に構成されていることを特徴とする請求項30から33のいずれかに記載の光学式エンコーダ。
  35. 前記光ビームのビーム拡がり角を所定の値にする光学素子は、レンズであることを特徴とする請求項30から34のいずれかに記載の光学式エンコーダ。
  36. 前記レンズは、凹レンズであることを特徴とする請求項35に記載の光学式エンコーダ。
  37. 前記レンズは、複数のレンズによって構成される光学系であることを特徴とする請求項35に記載の光学式エンコーダ。
  38. 前記レンズは、前記スケールの移動方向にのみ光学作用を有するシリンドリカルレンズであることを特徴とする請求項35に記載の光学式エンコーダ。
  39. 前記レンズは、前記スケールの移動方向では前記光ビームのビーム拡がり角を凹レンズ的に広げる作用を有し、前記スケールの移動方向とは直交し、前記スケールパターンと平行な面内においては前記光ビームのビーム拡がり角を凸レンズ的に集光する作用を有することを特徴とする請求項35に記載の光学式エンコーダ。
  40. 可干渉光源と、周期的な光学パターンを有し、前記可干渉光源に対して相対的に変位するスケールと、前記可干渉光源から出射され前記スケールを経由した光ビームを検出するための光検出器とを有する光学式エンコーダの、前記光検出器の受光面上に形成される光強度パターンの周期p2に応じた出力信号レベルの調整方法であって、
    (i)前記可干渉光源から出射された光ビームのビーム拡がり角を所定の値に設定するステップと、
    (ii)前記設定されたビーム拡がり角から仮想的な点光源の位置を算出するステップと、
    (iii)前記光検出器の前記受光面上に形成される光強度パターンを検出するステップと、
    (iv)前記光検出器により検出される光強度パターンの周期p2に応じた出力信号のレベルを確認するステップと、
    (v)前記出力信号のレベルが所定の範囲に含まれるか否かを判断するステップと、
    (vi)前記出力信号のレベルが所定の信号レベルの範囲に含まれる場合には調整を終了し、前記出力信号のレベルが前記所定の信号レベルの範囲に含まれない場合には、前記算出された仮想的な点光源の位置から前記スケールまでの距離を変化させるステップと、
    を具備し、
    前記(iii)から(vi)までの各ステップを繰り返して実行することを特徴とする出力信号レベルの調整方法。
  41. 可干渉光源と、
    周期的な光学パターンを有し、前記可干渉光源に対して相対的に変位するスケールと、
    前記可干渉光源から出射され前記スケールを経由した光ビームを検出するための光検出器を有する光学式エンコーダであって、
    前記可干渉光源と前記スケール間に、前記光ビームの所定の部分を透過する光学素子と、前記光ビームのビーム拡がり角を所定の値にする光学素子とを有することを特徴とする光学式エンコーダ。
  42. 前記光ビームの所定の部分を透過する光学素子は、前記可干渉光源から出射された光ビームが、前記スケールによって反射された後、前記光検出器の実効的な受光感度を有する領域に向かう光路を遮らないように配置されていることを特徴とする請求項6から29のいずれかまたは請求項41に記載の光学式エンコーダ。
  43. 前記光ビームのビーム拡がり角を所定の値にする光学素子は、前記可干渉光源から出射された光ビームが、前記スケールによって反射された後、前記光検出器の実効的な受光感度を有する領域に向かう光路を遮らないように配置されていることを特徴とする請求項30から41のいずれかに記載の光学式エンコーダ。
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