JP2004238569A - 複合樹脂エマルジョン組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、耐水性、密着性に優れる皮膜を形成し、かつ貯蔵安定性に優れた水性樹脂エマルジョン組成物を提供することにある。
【解決手段】分子内に官能基(a0)を3個以上有するポリマー(a)を含む微粒子(A0)の表面を、多価金属塩もしくは多価金属アルコキシドの形のポリマー(B)及び/又は多価金属塩もしくは多価金属アルコキシドの形の界面活性剤(B’)で被覆されてなる被覆型ポリマー微粒子(A)と架橋剤(C)を含有するエマルジョン組成物を使用する。
【選択図】 なし
【解決手段】分子内に官能基(a0)を3個以上有するポリマー(a)を含む微粒子(A0)の表面を、多価金属塩もしくは多価金属アルコキシドの形のポリマー(B)及び/又は多価金属塩もしくは多価金属アルコキシドの形の界面活性剤(B’)で被覆されてなる被覆型ポリマー微粒子(A)と架橋剤(C)を含有するエマルジョン組成物を使用する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は合成樹脂エマルジョンを利用する接着剤あるいは塗料バインダー等々に適用可能な密着性、耐水性等の皮膜特性に優れた水性樹脂エマルジョン組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、水性系の接着剤、粘着剤あるいは塗料用バインダーには合成樹脂エマルジョンが利用されてきた。これら水性系の接着剤、粘着剤あるいは塗料用バインダーはその用途から密着性、耐水性等の皮膜物性が要求される。
【0003】
合成樹脂エマルジョンの皮膜形成機構はエマルジョン粒子同士の融着によるものであり、形成した皮膜は溶剤型の樹脂からなる皮膜より耐水性等の皮膜物性が十分でなかった。
【0004】
これに対し、密着性、耐溶剤性等の皮膜物性向上のため、融着という皮膜の形成機構以外の方法が開示されている。(例えば、特許文献1参照。)特許文献1では造膜時ヒドラジンとカルボニル基の反応により常温での粒子間架橋ができるとしている。
【0005】
【特許文献1】
特開昭63−101435号公報(第2頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、該水性樹脂エマルジョン組成物は耐水性、貯蔵安定性が充分でないという問題点を有していた。
本発明の目的は、耐水性、密着性に優れる皮膜を形成し、かつ貯蔵安定性に優れた水性樹脂エマルジョン組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、分子内に官能基(a0)を3個以上有するポリマー(a)を含む微粒子(A0)の表面が、多価金属塩もしくは多価金属アルコキシドの形のポリマー(B)及び/又は多価金属塩もしくは多価金属アルコキシドの形の界面活性剤(B’)で被覆されてなる被覆型ポリマー微粒子(A)と架橋剤(C)を含有するエマルジョン組成物、及び該エマルジョン組成物からなる接着剤又は塗料である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の水性エマルジョン組成物を構成する被覆型微粒子(A)は、分子内に官能基(a0)を3個以上有するポリマー(a)を含む微粒子(A0)を多価金属塩もしくは多価金属アルコキシドの形のポリマー(B)及び/又は多価金属塩もしくは多価金属アルコキシドの形の界面活性剤(B’)で被覆されてなる。この被覆により、該エマルジョン組成物が形成する皮膜の耐水性が特に優れ、かつエマルジョン組成物の貯蔵安定性、すなわちエマルジョン組成物の粘度、粒子同士の凝集および粒子の分散状態等の経時的変化が少なくなる効果が得られる。
【0009】
(B)は、カルボン酸多価金属塩、スルホン酸多価金属塩、硫酸エステル多価金属塩、リン酸エステル多価金属塩、及び多価金属アルコキシドからなる群より選ばれる少なくとも1種の形のポリマーである。
(B)としては、例えば、以下の多価金属塩のビニルモノマー(Q)の少なくとも1種を必須成分とし以下のビニルモノマー(R)を任意成分とするポリマー(B1)、カルボン酸多価金属塩、硫酸エステル多価金属塩およびリン酸エステル多価金属塩を含有するポリエステル又はポリウレタン(B2)(例えば特公昭63−46886公報に記載されているもの)、アニオン性共重合ポリウレタンの多価金属塩(例えば特公昭42−24192公報に記載されているもの)、スルホン酸、ホスホン酸、カルボン酸の多価金属塩を含有するポリエステル(例えば特公昭45−10794公報に記載されているもの)等が挙げられる。 (B1)は(Q)を単独重合又は共重合、必要により(R)を共重合させることにより得られる。また該ポリマーは通常のラジカル重合もしくはイオン重合によって得られるものである。
(Q)と(R)の重量比は、(Q)100重量部に対し(R)は0〜400重量部が好ましく、40〜80重量部がさらに好ましい。
【0010】
(Q)としては、
(1)カルボキシル基含有ビニル系モノマーの多価金属塩
以下に示す酸の多価金属塩が挙げられる。
(メタ)アクリル酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、フマル酸モノアルキルエステル、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、イタコン酸グリコールモノエーテル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキルエステル、桂皮酸等のカルボキシル基含有ビニル系モノマー。
【0011】
(2)スルホン酸基含有ビニル系モノマー、ビニル系硫酸エステルの多価金属塩以下に示す酸の多価金属塩が挙げられる。
ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、メチルビニルスルフォネート、スチレンスルホン酸、α−メチルスチレンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、スルホコハク酸アルキル(炭素数3〜18)アリル、ポリ(n=2〜30)オキシアルキレン(エチレン、プロピレン、ブチレン:単独、ランダム、ブロックでもよい)モノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル化物[ポリ(n=5〜15)オキシプロピレンモノメタクリレート硫酸エステル化物等]、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル、その他以下の一般式で示される化合物等。
【0012】
【化1】
(式中、Rは炭素数1〜15のアルキル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基を示し、nが複数の場合同一でも異なっていてもよく、異なる場合はランダムでもブロックでもよい。Arはベンゼン環を示し、nは1〜50の整数を示す。)
【0013】
【化2】
(式中、Rは炭素数1〜15のアルキル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基を示し、nが複数の場合同一でも異なっていてもよく、異なる場合はランダムでもブロックでもよい。Arはベンゼン環を示し、nは1〜50の整数を示す。)
【化3】
(式中、R’はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルキル基)
【0014】
(3)酸性燐酸エステル基含有ビニル系モノマーの多価金属塩
以下に示す酸の多価金属塩が挙げられる。
(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル燐酸モノエステル、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート、フェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシアルカンホスホン酸類、例えば、2−アクリロイルオキシエタンホスホン酸。
【0015】
(4)ヒドロキシル基含有ビニル系モノマーの金属アルコキシド
以下に示すモノマーの金属アルコキシドが挙げられる。
ヒドロキシスチレン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−ブテン−1,4−ジオール、プロパルギルアルコール、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル、蔗糖アリルエーテル、等。
【0016】
(R)としては、
(a)ビニル系炭化水素
(a1)脂肪族ビニル系炭化水素:エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン、ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、前記以外のα−オレフィン等。
(a2)脂環式ビニル系炭化水素:シクロヘキセン、(ジ)シクロペンタジエン、ピネン、リモネン、インデン、ビニルシクロヘキセン、エチリデンビシクロヘプテン等。
(a3)芳香族ビニル系炭化水素:スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、ジビニルケトン、トリビニルベンゼン等。
【0017】
(b)カルボキシル基含有ビニル系モノマー
上記(1)で挙げた多価金属塩に対応する酸、これらの1価金属塩、アンモニウム塩、アミン塩が挙げられる。
(c)スルホン基含有ビニル系モノマー、ビニル系硫酸モノエステル化物
上記(2)で挙げた多価金属塩に対応する酸、これらの1価金属塩、アンモニウム塩、アミン塩が挙げられる。
(d)燐酸基含有ビニル系モノマー
上記(3)で挙げた多価金属塩に対応する酸、これらの1価金属塩、アンモニウム塩、アミン塩が挙げられる。
(e)ヒドロキシル基含有ビニル系モノマー
上記(4)で挙げた多価金属アルコキシドに対応するヒドロキシル基含有ビニル系モノマー、これらの1価金属アルコキシドが挙げられる。
【0018】
(f)含窒素ビニル系モノマー
(f1)アミノ基含有ビニル系モノマー:アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4ービニルピリジン、2ービニルピリジン、クロチルアミン、N,N−ジメチルアミノスチレン、メチルα−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルチオピロリドン、N−アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾール、アミノメルカプトチアゾール、これらの塩等。
(f2)アミド基含有ビニル系モノマー:(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド、メタクリルホルムアミド、N−メチルN−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン等。
(f3)ニトリル基含有ビニル系モノマー:(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン等。
(f4)4級アンモニウムカチオン基含有ビニル系モノマー:ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジアリルアミン等の3級アミン基含有ビニル系モノマーの4級化物(メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、ジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの)。
(f5)ニトロ基含有ビニル系モノマー:ニトロスチレン等。
【0019】
(g)エポキシ基含有ビニル系モノマー
グルシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、p−ビニルフェニルフェニルオキサイド等。
【0020】
(h)ハロゲン元素含有ビニル系モノマー
塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、アリルクロライド、クロルスチレン、ブロムスチレン、ジクロルスチレン、クロロメチルスチレン、テトラフルオロスチレン、クロロプレン等。
【0021】
(i)ビニルエステル[アルキル(メタ)アクリレートを除く]、ビニルエーテル、ビニルケトン類
酢酸ビニル、ビニルブチレート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニル2−エチルヘキシルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニル2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、ビニル2−ブトキシエチルエーテル、3,4−ジヒドロ1,2−ピラン、2−ブトキシ−2’−ビニロキシジエチルエーテル、ビニル2−エチルメルカプトエチルエーテル、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルフェニルケトン、ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン類[ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタン、テトラメタアリロキシエタン等]等。
【0022】
(j)アルキル(メタ)アクリレート
炭素数1〜50のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート等。
【0023】
(k)ポリアルキレン(炭素数2〜4)グリコール鎖を有するビニル系モノマー
[分子量100〜700]
ポリエチレングリコール(分子量300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(分子量500)モノアクリレート、メチルアルコールエチレンオキサイド10モル付加物(メタ)アクリレート、ラウリルアルコールエチレンオキサイド30モル付加物(メタ)アクリレート等。
【0024】
(l)ポリ(メタ)アクリレート類
多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等。
【0025】
(m)その他のビニル系モノマー
アセトキシスチレン、フェノキシスチレン、エチルα−エトキシアクリレート、イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、シアノアクリレート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルメチルベンジルイソシアネート、ジビニルサルファイド、p−ビニルジフェニルサルファイド、ビニルエチルサルファイド、ビニルエチルスルフォン、ジビニルスルフォン、ジビニルスルフォキサイド等。
【0026】
上記(B)の好ましい例としては、カルボン酸多価金属塩のビニル重合体、スルホン酸多価金属塩のビニル重合体及び酸性燐酸エステル多価金属塩のビニル重合体が挙げられる。
【0027】
(B)の数平均分子量は、好ましくは3,000〜1,000,000、さらに好ましくは5,000〜100,000である。
(B)の数平均分子量は、 ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法[以下GPCと略記、測定溶媒:ジメチルフォルムアミド(以下DMFと略記)]で測定することができる。
GPC測定機器としては例えばHLC−8220、東ソー・テクノシステム(株)製が使用できる。以下、本発明のポリマーの分子量は本測定法で測定するものとする。
【0028】
界面活性剤(B’)はアニオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種類から選ばれる。以下本段落の金属塩は多価金属塩を表す。アニオン性界面活性剤としてはカルボン酸の金属塩;炭素数8〜24の炭化水素基を有するエーテルカルボン酸の金属塩[(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテル酢酸の金属塩]、炭素数8〜24の炭化水素基を有する脂肪酸の金属塩[ラウリン酸の金属塩等]および炭素数8〜24の炭化水素基を有するアシル化アミノ酸の金属塩[ヤシ油脂肪酸サルコシンの金属塩、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸の金属塩、ラウロイルメチル−β−アラニンの金属塩等]、
硫酸エステルの金属塩;炭素数8〜24の炭化水素基を有する硫酸エステルもしくはエーテル硫酸エステルの金属塩[ラウリル硫酸の金属塩、(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリル硫酸エステルの金属塩、(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸エステルの金属塩など]、
スルホン酸の金属塩;炭素数8〜24の炭化水素基を有するスルホン酸の金属塩[ドデシルベンゼンスルホン酸の金属塩等]、アルキル(炭素数8〜20)ジフェニルエーテルジスルホン酸の金属塩、炭素数8〜24の炭化水素基を1個もしくは2個有するスルホコハク酸エステルの金属塩、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンの金属塩、リン酸エステルの金属塩;炭素数8〜24の炭化水素基を有するリン酸エステルもしくはエーテルリン酸エステルの金属塩[ラウリルリン酸エステルの金属塩、(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテルリン酸エステルの金属塩等]等が挙げられる。
【0029】
また、両性界面活性剤としては、ベタイン型両性界面活性剤の金属塩[ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ラウロイルアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタインヒドロキシプロピルリン酸の金属塩等]、アミノ酸型両性界面活性剤[β−ラウリルアミノプロピオン酸の金属塩等]が挙げられる。又、米国特許4331447号公報、米国特許3929678号公報に記載の両性界面活性剤が挙げられる。
これらの中で好ましいものはアニオン性界面活性剤であり、特に好ましいのは炭化水素基を有するエーテルカルボン酸の金属塩である。
【0030】
(B)及び(B’)の金属塩の金属は価数が2〜4の多価金属である。多価金属としては2族、4族、8族、11族、12族及び13族の金属からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む。具体的には、銅、バリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、アルミニウム、チタンが挙げられる。
【0031】
(B)及び(B’)は(A0)に対してエマルジョンの貯蔵安定性の観点から0.1重量%以上被覆していることが好ましく、さらに好ましくは1重量%以上である。また融着性の観点より20重量%以下の被覆であることが好ましく、さらに好ましくは10重量%以下である。
【0032】
該(B)、(B’)の溶解性パラメーター(以下SP値と略記)は9〜20が好ましく、さらに好ましくは11〜14である。なお、ここでいうSP値は、「Polymer Engineering anB Science,Vol.14,No.2,p147〜154(1974)」記載の方法により計算される値である。すなわちSP値δ(25℃)は次式により与えられる。
【0033】
【数1】
ここに、ΔE、V:それぞれ凝集エネルギー密度、モル体積。
Δei、Δvi:それぞれ原子または原子団の蒸発エネルギー、モル体積。
但し、Tg>25℃の樹脂についてはモル体積に次の値が加算される。
n<3のとき、+Δvi=4n
n≧3のとき、+Δvi=2n
ここに、n:ポリマーの最少繰返し単位中の主鎖骨格原子の数。
【0034】
微粒子(A0)のエマルジョン組成物を得る方法としては例えば、▲1▼酸基又は水酸基を有する界面活性剤(E’)を用いてモノマーを乳化重合する方法、▲2▼酸基又は水酸基を有するポリマー(E)を保護コロイドとして使用して乳化重合する方法等が挙げられる。界面活性剤(E’)とポリマー(E)は併用して用いても良い。(E)及び(E’)の添加量はエマルションの安定性の観点から(A0)に対して1〜30重量%であることが好ましい。
【0035】
(A0)を(B)又は(B’)で被覆して(A)とするためには、上記の方法で(A0)のエマルジョンを調整後、これに多価金属を有する相分離剤(F)を加え(E)及び/又は(E’)を多価金属塩もしくは多価金属アルコキシドに置換し、(B)及び/又は(B’)を微粒子(A0)の表面上に析出させることによって(A0)を被覆化させてなる被覆型微粒子(A)とする。
【0036】
ポリマー(E)としては、上記(B)の対応する酸の1価金属塩(又はアンモニウム塩又はアミン塩)又は該酸の部分中和1価金属塩(又はアンモニウム塩又はアミン塩)が挙げられる。
また、界面活性剤(E’)としては、上記(B’)の対応する酸の1価金属塩又は該酸の部分中和1価金属塩が挙げられる。
(E)及び(E’)において、1価金属としては1価の金属であれば特に限定されることはない。そのなかでナトリウム及びカリウムが好ましく、ナトリウムが特に好ましい。。
【0037】
相分離剤(F)としては、2族、4族、8族、11族、12族及び13族の金属からなる群から選ばれる少なくとも1種の多価金属の無機塩、水酸化物及び酸化物が挙げられる。具体的には、多価金属の硫酸塩、水酸化物、炭酸塩、酸化物等が用いられる。例えば、多価金属の硫酸塩[硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛、硫酸マグネシウム、硫酸チタン]、多価金属の水酸化物[水酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化銅]、多価金属の炭酸塩[炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸コバルト、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸マンガン]、多価金属の酸化物[酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化銅、酸化マンガン]が挙げられる。
相分離剤(F)の添加量はポリマー(E)及び/又は界面活性剤(E’)の添加量100重量部に対し1〜80重量部、好ましくは10〜50重量部である。
【0038】
本発明において使用されるポリマー(a)は、官能基(a0)を分子内に有し、架橋剤(C)と反応しうるものである。
(a)としてはウレタン樹脂、ウレタンウレア樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、スチレン/アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン/酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、スチレン/ブタジエン樹脂、ブタジエン/アクリロニトリル樹脂、エチレン/プロピレン樹脂、ブタジエン樹脂、天然ゴム等のエマルジョンが挙げられる。これらのうちウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、スチレン/ブタジエン樹脂およびアクリル樹脂が好ましい。
【0039】
本発明の組成物において使用することができるポリマー(a)は、皮膜強度の観点から好ましくは2000〜100000、さらに好ましくは10000〜80000の数平均分子量と、融着性の観点から−100℃〜300℃、更に好ましくは−10℃〜50℃のTgを有する。
【0040】
ポリマー(a)が有する官能基(a0)としては、カルボキシル基、カルボニル基、水酸基、アミノ基、メチロール基、ケトン基、炭素−炭素不飽和基、エポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。このうちカルボキシル基、水酸基、カルボニル基またはメチロール基が好ましい。
【0041】
ポリマー(a)1分子中における官能基(a0)の個数は通常3個以上であって被膜物性の点から好ましくは5個以上、さらに好ましくは10個以上であって、エマルジョンの貯蔵安定性の点から好ましくは200個以下、さらに好ましくは100個以下である。2個以下では架橋反応が起こらず耐水性等の皮膜物性に劣る。
【0042】
ポリマー(a)に官能基を導入する方法としては、特に限定されないが、例えば上記官能基(a0)を有するモノマー等を共重合させ、ポリマー骨格に組み込む方法などが挙げられる。カルボキシル基を含有する化合物としてはジメチロールプロピオン酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。カルボニル基を含有する化合物としてはアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド酸等が挙げられる。水酸基、メチロール基を含有する化合物としてはNーメチロールアクリルアミド、Nーメチロールメタクリルアミド等が挙げられる。
【0043】
微粒子(A0)は官能基を有するポリマー(a)を含有していれば良く、必要に応じて他の樹脂を含んでいても良い。ポリマー(a)の含有量は硬化後の被膜物性の観点より微粒子の固形分重量に対して好ましくは50〜100重量%である。
【0044】
他の樹脂としてはポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミノ酸樹脂、が挙げられる。これらのうちポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂が好ましい。
【0045】
架橋剤(C)としては、メチロール化合物、ポリエポキシ化合物、アミノ樹脂、ポリアジリジン化合物、ポリオキサゾリン化合物、ポリイソシアネート化合物、硫黄系化合物、ヒドラジン系化合物、シランカップリング剤、キレート剤などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、水溶性または水分散性の、メチロール化合物、ヒドラジン系化合物、アミノ樹脂、ポリアジリジン化合物およびポリイソシアネート化合物である。
(C)の添加方法は、例えば、ポリマー(E)又は界面活性剤(E’)を用いてモノマーを乳化重合する際にエマルジョンに添加する、相分離剤(F)を加える際にエマルジョンに添加する、微粒子(A0)を含むエマルジョンを調製後添加する方法等が挙げられる。これらの方法の中で、微粒子(A0)を含むエマルジョンを調製後添加する方法が好ましい。
【0046】
(C)の重量は、(A0)の重量に対し、皮膜物性の観点より好ましくは1〜50重量%、さらに好ましくは5〜20重量%である。
【0047】
本発明の微粒子(A0)の数平均粒径は、レオロジー特性の観点から好ましくは0.01μm以上、さらに好ましくは0.04μm以上であり、融着性の観点から好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下、特に好ましくは1μm以下である。
【0048】
本発明の微粒子(A)の数平均粒径は、好ましくは0.01μm以上、さらに好ましくは0.04μm以上であり、融着性の観点から好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下、特に好ましくは1μm以下である。(A)及び(A0)の数平均粒径は、レーザー散乱式粒度分布測定装置例えばLA−920(堀場製作所(株)製)で測定可能である。
【0049】
本発明の微粒子(A0)および被覆型微粒子(A)の粒子形状は不定形であっても球状であってもよいが、常温下でのエマルジョンの流動性、融着時の融着性の点で球状の粒子を50%以上含有するのが好ましい。ここで、球状というのは粒子の長径/短径の比が1.0〜1.5の範囲にあるものを指す。
【0050】
本発明のエマルジョン組成物対する(A)の含有量は、好ましくは1〜75重量%、さらに好ましくは10〜50重量%である。
本発明のエマルジョン組成物の固形物濃度は好ましくは20〜70重量%、さらに好ましくは40〜60重量%である。ここでいう固形物濃度とはエマルジョンを150℃において1時間乾燥したとき残存する固形分の元のエマルジョンの重量に対する割合である。
【0051】
本発明のエマルジョン組成物には、必要に応じて非イオン界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤、カルボキシメチルセルロース等の増粘剤、シリコーン系等の消泡剤、フッ素変性アクリルポリマー等のレベリング剤等が配合される。配合重量はエマルジョン全体に対して通常0〜5重量%である。
【0052】
非イオン界面活性剤としてはペンタエリスリトールモノラウレート、エチレングリコールモノオレートエチレンオキサイド付加物、エチレングリコールモノステアレートエチレンオキサイド8モル付加物、ペンタエリスリトールモノブチルエーテルソルビタンモノステアリルエーテルエチレンオキサイド付加物、メチルグリコシドエチレンオキサイド4モルプロピレンオキサイド4モルランダム付加物などが挙げられる。
アニオン性界面活性剤としてはオクチルアルコールカルボキシメチル化ナトリウム塩、オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、2エチルヘキシルアルコールリン酸エステル塩等が挙げられる。 両性界面活性剤としてはステアリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等が挙げられる。これらのうち好ましいのはアニオン性界面活性剤であり、オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、オクチルアルコールカルボキシメチル化ナトリウム塩等が好適に用いられる。
【0053】
本発明のエマルジョン組成物は従来のものと比較して耐水性がよく、一液で使用可能であり、さらに貯蔵安定性が良好であることより一般塗料、床あるいは屋上コート剤、紙、繊維の防水処理剤、接着剤等として有用である。特にポリ塩化ビニルシートと布などの接着剤として広く応用することができる。
【0054】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下の記載において「部」は重量部、「%」は重量%を示す。
【0055】
製造例1
平均分子量4000のグリセリンのプロピレンオキシド付加物400部、ジメチロールプロピオン酸40部およびトリレンジイソシアナート120部を80℃にて4時間反応させ、イソシアネート末端ウレタン樹脂を得た。これをトリエチルアミン30部で中和した後、撹拌下、徐々にポリカルボン酸ソーダ共重合体(ポリアクリル酸(中和度60%)とポリスチレンの共重合体(共重合比40/60) Mn=9000)5%水溶液885部を加えてカルボキシル基を有する樹脂(a−1)の水性エマルジョン(A0−1)(固形分濃度40%、1分子中のカルボキシル基の個数55個)を得た。
この分散液に、硫酸アルミニウムを5部添加し、25℃で10分間攪拌し被覆処理を行い複合樹脂エマルジョン組成物(A−1)を得た。(a−1)の数平均分子量(GPC測定による、以下同様)は、40,000、Tg(DSC測定による、以下同様)は、25℃、(A0−1)におけるエマルジョン粒子の平均粒径は、0.1μmであった。
【0056】
製造例2
撹拌機、滴下ボンベ、窒素ガス導入管、温度計を備えた加圧反応容器に乳化剤としてドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム水溶液(固形分濃度50% SP値=9.9)5部、水150部、スチレン32部、メチルメタクリレート9部、アクリルアミド9部、過硫酸ナトリウム1部およびラウリルメルカプタン0.2部を仕込み、撹拌下、系内を窒素ガスで置換後、滴下ボンベからブタジエン45部を圧入し、50℃に昇温し、同温度で30時間反応させた。水酸化ナトリウム水溶液でpH8.5に調整し、減圧下未反応モノマーをストリッピングすることによって、カルボニル基を有するSBR樹脂(a−2)の水性エマルジョン(A0−2)(固形分濃度40%、1分子中のカルボニル基(a0)の個数45個)を得た。水相の乳化剤量は0.0003mmol/g(樹脂)であった。
この分散液に、炭酸マグネシウムを18部添加し、25℃で10分間攪拌し被覆処理を行い複合樹脂エマルジョン組成物(A−2)を得た。(a−2)の数平均分子量は、35,000、Tgは、15℃、(A0−2)におけるエマルジョン粒子の平均粒径は、0.05μmであった。
【0057】
製造例3
製造例2と同様にして、スチレン20部、N−メチロールアクリルアミド10部、ブチルアクリレート35部、2−エチルヘキシルアクリレート20部、メタクリル酸9部、アクリロニトリル5部およびメタクリロイルオキシポリオキシプロピレン(重合度=12)硫酸エステルNa塩5部を重合して、メチロール基を有するスチレン/アクリル樹脂(a−3)の水性エマルジョン(A0−3)(固形分濃度40%、1分子中のメチロール基(a0)の個数34個)を得た。
この分散液に、炭酸亜鉛を10部添加し、25℃で10分間攪拌し被覆処理を行い複合樹脂エマルジョン組成物(A−3)を得た。(a−3)の数平均分子量は、35,000、Tgは、10℃、(A0−3)におけるエマルジョン粒子の平均粒径は、0.08μmであった。
【0058】
実施例1〜3、比較例1〜3
各樹脂および架橋剤を表1の処方の重量で配合し(水で固形分濃度を40%に調整)、エマルジョン組成物を得た。容器は200gのビーカーを用い、配合後架橋剤が均一に混ざるよう10分間手で攪拌を行った。これをJIS A−5403に規定するフレキシブル板{縦7.5cm、横15cm、厚さ0.5cm}上に50μの厚さが得られるように塗布し、20℃で1週間乾燥させて試験片を作成した。各樹脂から得られたフィルムの100%モデュラス及び永久伸び率、常態剥離強度、耐水剥離強度、貯蔵安定性を測定し表2に示した。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
架橋剤C−1 ;メチロール化メラミン樹脂系架橋剤[住友化学(株)製「スミテックスレジンM−3」]
架橋剤C−2 ;ヒドラジンヒドラート
【0062】
[評価試験]
次いで、上記で調製した各組成物について、以下の項目の試験を行った。
1.100%モデュラス;試験片の作成はJIS K6301に準じ、打ち抜き機器を用いダンベル状試験片3号の形状に打ち抜く。測定は同JIS K6301に準じて、毎分500±25mmの移動速さで引っ張り、100%伸び時点での荷重を読みとる。
【0063】
2.永久伸び率;試験片の作成はJIS K6301に準じ、打ち抜き機器を用いダンベル状試験片3号の形状に打ち抜く。測定は同JIS K6301に準じて、試験片の引っ張り率を伸びの50%、引っ張り保持時間を10分間、収縮後測定までの時間を10分間として標線距離を測定し、以下の計算式により計算し永久伸び率を求める。
永久伸び率(%)=(収縮後の標線距離−標線距離)×100/標線距離
【0064】
3.剥離強度測定;
(1)試験片の作成
軟質ポリ塩化ビニルシート(20×12cm)に上記エマルジョン組成物を40g/m2になるようにアプリケーターで塗布し、100℃、2分間乾燥機で乾燥する。
つぎに、スフ(20×12cm)を貼合わせ、140℃、1分間、50g/cm2で熱圧着後、室温で3日間放置する。
(2)剥離強度測定
3−1.常態剥離強度
試験片を巾2.5cm(長さ12cm)にカットし、剥離試験機のつまみ移動速さ200mm/minで25℃の剥離強度を測定する。
3−2.耐水剥離強度
試験片を巾2.5cm(長さ12cm)にカットし、20℃の水に10分間浸漬後ただちに剥離試験機のつまみ移動速さ200mm/minで剥離強度を測定する
【0065】
4.貯蔵安定性測定
4−1.ゲル化日数・・配合物物を100mlのガラス製のサンプル瓶に40℃、14日間密閉保存後安定性をチェックする。状態に変化がないものを○、ゲル化したものを×とする。
4−2.増粘率・・ 各組成物を、35℃、7日間保管した。全ての組成物について、粘度を測定した。評価は、増粘率を下記の式に従って算出することによって行った。
増粘率=保管後粘度/初期粘度
×:保管後の粘度測定不可能なほど増粘(増粘率10以上)
【0066】
上記における粘度値はBH形粘度計(東京計器(株)製)にて温度25℃、回転数20rpm、ロータNO.2において測定した値である。
【0067】
上記における数平均粒径の測定は、酢酸エチルを溶媒にしてレーザー散乱式粒度分布測定装置例えばLA−920(堀場製作所(株)製)で行うことができる。
【0068】
上記におけるガラス転位温度Tgの測定は、示差走査熱量測定法(DSC)で測定が可能であり、例えば示差走査熱量計UV−DSC220C(セイコー(株)製)で行うことができる。
【0069】
表1及び表2に示した如く、実施例1は比較例1に比べ耐水性の性能が向上し、かつ貯蔵安定性に優れる。同様に実施例2、3についてもそれぞれ比較例2、3に比べ耐水性の性能が向上し、かつ貯蔵安定性に優れる。
【0070】
【発明の効果】
本発明の複合樹脂エマルジョン組成物は下記の効果を奏する。
本発明のエマルジョン組成物から得られる皮膜は耐水性に特に優れる。また本発明のエマルジョン組成物の粘度の増加率は長期間にわたって小さいすなわち貯蔵安定性が良好である。
上記効果を奏することから、本発明のエマルジョン組成物は、一般塗料特にバインダー、床あるいは屋上コート剤、紙、繊維の防水処理剤、接着剤、粘着剤等に有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明は合成樹脂エマルジョンを利用する接着剤あるいは塗料バインダー等々に適用可能な密着性、耐水性等の皮膜特性に優れた水性樹脂エマルジョン組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、水性系の接着剤、粘着剤あるいは塗料用バインダーには合成樹脂エマルジョンが利用されてきた。これら水性系の接着剤、粘着剤あるいは塗料用バインダーはその用途から密着性、耐水性等の皮膜物性が要求される。
【0003】
合成樹脂エマルジョンの皮膜形成機構はエマルジョン粒子同士の融着によるものであり、形成した皮膜は溶剤型の樹脂からなる皮膜より耐水性等の皮膜物性が十分でなかった。
【0004】
これに対し、密着性、耐溶剤性等の皮膜物性向上のため、融着という皮膜の形成機構以外の方法が開示されている。(例えば、特許文献1参照。)特許文献1では造膜時ヒドラジンとカルボニル基の反応により常温での粒子間架橋ができるとしている。
【0005】
【特許文献1】
特開昭63−101435号公報(第2頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、該水性樹脂エマルジョン組成物は耐水性、貯蔵安定性が充分でないという問題点を有していた。
本発明の目的は、耐水性、密着性に優れる皮膜を形成し、かつ貯蔵安定性に優れた水性樹脂エマルジョン組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、分子内に官能基(a0)を3個以上有するポリマー(a)を含む微粒子(A0)の表面が、多価金属塩もしくは多価金属アルコキシドの形のポリマー(B)及び/又は多価金属塩もしくは多価金属アルコキシドの形の界面活性剤(B’)で被覆されてなる被覆型ポリマー微粒子(A)と架橋剤(C)を含有するエマルジョン組成物、及び該エマルジョン組成物からなる接着剤又は塗料である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の水性エマルジョン組成物を構成する被覆型微粒子(A)は、分子内に官能基(a0)を3個以上有するポリマー(a)を含む微粒子(A0)を多価金属塩もしくは多価金属アルコキシドの形のポリマー(B)及び/又は多価金属塩もしくは多価金属アルコキシドの形の界面活性剤(B’)で被覆されてなる。この被覆により、該エマルジョン組成物が形成する皮膜の耐水性が特に優れ、かつエマルジョン組成物の貯蔵安定性、すなわちエマルジョン組成物の粘度、粒子同士の凝集および粒子の分散状態等の経時的変化が少なくなる効果が得られる。
【0009】
(B)は、カルボン酸多価金属塩、スルホン酸多価金属塩、硫酸エステル多価金属塩、リン酸エステル多価金属塩、及び多価金属アルコキシドからなる群より選ばれる少なくとも1種の形のポリマーである。
(B)としては、例えば、以下の多価金属塩のビニルモノマー(Q)の少なくとも1種を必須成分とし以下のビニルモノマー(R)を任意成分とするポリマー(B1)、カルボン酸多価金属塩、硫酸エステル多価金属塩およびリン酸エステル多価金属塩を含有するポリエステル又はポリウレタン(B2)(例えば特公昭63−46886公報に記載されているもの)、アニオン性共重合ポリウレタンの多価金属塩(例えば特公昭42−24192公報に記載されているもの)、スルホン酸、ホスホン酸、カルボン酸の多価金属塩を含有するポリエステル(例えば特公昭45−10794公報に記載されているもの)等が挙げられる。 (B1)は(Q)を単独重合又は共重合、必要により(R)を共重合させることにより得られる。また該ポリマーは通常のラジカル重合もしくはイオン重合によって得られるものである。
(Q)と(R)の重量比は、(Q)100重量部に対し(R)は0〜400重量部が好ましく、40〜80重量部がさらに好ましい。
【0010】
(Q)としては、
(1)カルボキシル基含有ビニル系モノマーの多価金属塩
以下に示す酸の多価金属塩が挙げられる。
(メタ)アクリル酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、フマル酸モノアルキルエステル、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、イタコン酸グリコールモノエーテル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキルエステル、桂皮酸等のカルボキシル基含有ビニル系モノマー。
【0011】
(2)スルホン酸基含有ビニル系モノマー、ビニル系硫酸エステルの多価金属塩以下に示す酸の多価金属塩が挙げられる。
ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、メチルビニルスルフォネート、スチレンスルホン酸、α−メチルスチレンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、スルホコハク酸アルキル(炭素数3〜18)アリル、ポリ(n=2〜30)オキシアルキレン(エチレン、プロピレン、ブチレン:単独、ランダム、ブロックでもよい)モノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル化物[ポリ(n=5〜15)オキシプロピレンモノメタクリレート硫酸エステル化物等]、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル、その他以下の一般式で示される化合物等。
【0012】
【化1】
(式中、Rは炭素数1〜15のアルキル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基を示し、nが複数の場合同一でも異なっていてもよく、異なる場合はランダムでもブロックでもよい。Arはベンゼン環を示し、nは1〜50の整数を示す。)
【0013】
【化2】
(式中、Rは炭素数1〜15のアルキル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基を示し、nが複数の場合同一でも異なっていてもよく、異なる場合はランダムでもブロックでもよい。Arはベンゼン環を示し、nは1〜50の整数を示す。)
【化3】
(式中、R’はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルキル基)
【0014】
(3)酸性燐酸エステル基含有ビニル系モノマーの多価金属塩
以下に示す酸の多価金属塩が挙げられる。
(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル燐酸モノエステル、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート、フェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシアルカンホスホン酸類、例えば、2−アクリロイルオキシエタンホスホン酸。
【0015】
(4)ヒドロキシル基含有ビニル系モノマーの金属アルコキシド
以下に示すモノマーの金属アルコキシドが挙げられる。
ヒドロキシスチレン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−ブテン−1,4−ジオール、プロパルギルアルコール、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル、蔗糖アリルエーテル、等。
【0016】
(R)としては、
(a)ビニル系炭化水素
(a1)脂肪族ビニル系炭化水素:エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン、ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、前記以外のα−オレフィン等。
(a2)脂環式ビニル系炭化水素:シクロヘキセン、(ジ)シクロペンタジエン、ピネン、リモネン、インデン、ビニルシクロヘキセン、エチリデンビシクロヘプテン等。
(a3)芳香族ビニル系炭化水素:スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、ジビニルケトン、トリビニルベンゼン等。
【0017】
(b)カルボキシル基含有ビニル系モノマー
上記(1)で挙げた多価金属塩に対応する酸、これらの1価金属塩、アンモニウム塩、アミン塩が挙げられる。
(c)スルホン基含有ビニル系モノマー、ビニル系硫酸モノエステル化物
上記(2)で挙げた多価金属塩に対応する酸、これらの1価金属塩、アンモニウム塩、アミン塩が挙げられる。
(d)燐酸基含有ビニル系モノマー
上記(3)で挙げた多価金属塩に対応する酸、これらの1価金属塩、アンモニウム塩、アミン塩が挙げられる。
(e)ヒドロキシル基含有ビニル系モノマー
上記(4)で挙げた多価金属アルコキシドに対応するヒドロキシル基含有ビニル系モノマー、これらの1価金属アルコキシドが挙げられる。
【0018】
(f)含窒素ビニル系モノマー
(f1)アミノ基含有ビニル系モノマー:アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4ービニルピリジン、2ービニルピリジン、クロチルアミン、N,N−ジメチルアミノスチレン、メチルα−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルチオピロリドン、N−アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾール、アミノメルカプトチアゾール、これらの塩等。
(f2)アミド基含有ビニル系モノマー:(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド、メタクリルホルムアミド、N−メチルN−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン等。
(f3)ニトリル基含有ビニル系モノマー:(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン等。
(f4)4級アンモニウムカチオン基含有ビニル系モノマー:ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジアリルアミン等の3級アミン基含有ビニル系モノマーの4級化物(メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、ジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの)。
(f5)ニトロ基含有ビニル系モノマー:ニトロスチレン等。
【0019】
(g)エポキシ基含有ビニル系モノマー
グルシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、p−ビニルフェニルフェニルオキサイド等。
【0020】
(h)ハロゲン元素含有ビニル系モノマー
塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、アリルクロライド、クロルスチレン、ブロムスチレン、ジクロルスチレン、クロロメチルスチレン、テトラフルオロスチレン、クロロプレン等。
【0021】
(i)ビニルエステル[アルキル(メタ)アクリレートを除く]、ビニルエーテル、ビニルケトン類
酢酸ビニル、ビニルブチレート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニル2−エチルヘキシルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニル2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、ビニル2−ブトキシエチルエーテル、3,4−ジヒドロ1,2−ピラン、2−ブトキシ−2’−ビニロキシジエチルエーテル、ビニル2−エチルメルカプトエチルエーテル、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルフェニルケトン、ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン類[ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタン、テトラメタアリロキシエタン等]等。
【0022】
(j)アルキル(メタ)アクリレート
炭素数1〜50のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート等。
【0023】
(k)ポリアルキレン(炭素数2〜4)グリコール鎖を有するビニル系モノマー
[分子量100〜700]
ポリエチレングリコール(分子量300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(分子量500)モノアクリレート、メチルアルコールエチレンオキサイド10モル付加物(メタ)アクリレート、ラウリルアルコールエチレンオキサイド30モル付加物(メタ)アクリレート等。
【0024】
(l)ポリ(メタ)アクリレート類
多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等。
【0025】
(m)その他のビニル系モノマー
アセトキシスチレン、フェノキシスチレン、エチルα−エトキシアクリレート、イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、シアノアクリレート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルメチルベンジルイソシアネート、ジビニルサルファイド、p−ビニルジフェニルサルファイド、ビニルエチルサルファイド、ビニルエチルスルフォン、ジビニルスルフォン、ジビニルスルフォキサイド等。
【0026】
上記(B)の好ましい例としては、カルボン酸多価金属塩のビニル重合体、スルホン酸多価金属塩のビニル重合体及び酸性燐酸エステル多価金属塩のビニル重合体が挙げられる。
【0027】
(B)の数平均分子量は、好ましくは3,000〜1,000,000、さらに好ましくは5,000〜100,000である。
(B)の数平均分子量は、 ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法[以下GPCと略記、測定溶媒:ジメチルフォルムアミド(以下DMFと略記)]で測定することができる。
GPC測定機器としては例えばHLC−8220、東ソー・テクノシステム(株)製が使用できる。以下、本発明のポリマーの分子量は本測定法で測定するものとする。
【0028】
界面活性剤(B’)はアニオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種類から選ばれる。以下本段落の金属塩は多価金属塩を表す。アニオン性界面活性剤としてはカルボン酸の金属塩;炭素数8〜24の炭化水素基を有するエーテルカルボン酸の金属塩[(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテル酢酸の金属塩]、炭素数8〜24の炭化水素基を有する脂肪酸の金属塩[ラウリン酸の金属塩等]および炭素数8〜24の炭化水素基を有するアシル化アミノ酸の金属塩[ヤシ油脂肪酸サルコシンの金属塩、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸の金属塩、ラウロイルメチル−β−アラニンの金属塩等]、
硫酸エステルの金属塩;炭素数8〜24の炭化水素基を有する硫酸エステルもしくはエーテル硫酸エステルの金属塩[ラウリル硫酸の金属塩、(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリル硫酸エステルの金属塩、(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸エステルの金属塩など]、
スルホン酸の金属塩;炭素数8〜24の炭化水素基を有するスルホン酸の金属塩[ドデシルベンゼンスルホン酸の金属塩等]、アルキル(炭素数8〜20)ジフェニルエーテルジスルホン酸の金属塩、炭素数8〜24の炭化水素基を1個もしくは2個有するスルホコハク酸エステルの金属塩、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンの金属塩、リン酸エステルの金属塩;炭素数8〜24の炭化水素基を有するリン酸エステルもしくはエーテルリン酸エステルの金属塩[ラウリルリン酸エステルの金属塩、(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテルリン酸エステルの金属塩等]等が挙げられる。
【0029】
また、両性界面活性剤としては、ベタイン型両性界面活性剤の金属塩[ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ラウロイルアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタインヒドロキシプロピルリン酸の金属塩等]、アミノ酸型両性界面活性剤[β−ラウリルアミノプロピオン酸の金属塩等]が挙げられる。又、米国特許4331447号公報、米国特許3929678号公報に記載の両性界面活性剤が挙げられる。
これらの中で好ましいものはアニオン性界面活性剤であり、特に好ましいのは炭化水素基を有するエーテルカルボン酸の金属塩である。
【0030】
(B)及び(B’)の金属塩の金属は価数が2〜4の多価金属である。多価金属としては2族、4族、8族、11族、12族及び13族の金属からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む。具体的には、銅、バリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、アルミニウム、チタンが挙げられる。
【0031】
(B)及び(B’)は(A0)に対してエマルジョンの貯蔵安定性の観点から0.1重量%以上被覆していることが好ましく、さらに好ましくは1重量%以上である。また融着性の観点より20重量%以下の被覆であることが好ましく、さらに好ましくは10重量%以下である。
【0032】
該(B)、(B’)の溶解性パラメーター(以下SP値と略記)は9〜20が好ましく、さらに好ましくは11〜14である。なお、ここでいうSP値は、「Polymer Engineering anB Science,Vol.14,No.2,p147〜154(1974)」記載の方法により計算される値である。すなわちSP値δ(25℃)は次式により与えられる。
【0033】
【数1】
ここに、ΔE、V:それぞれ凝集エネルギー密度、モル体積。
Δei、Δvi:それぞれ原子または原子団の蒸発エネルギー、モル体積。
但し、Tg>25℃の樹脂についてはモル体積に次の値が加算される。
n<3のとき、+Δvi=4n
n≧3のとき、+Δvi=2n
ここに、n:ポリマーの最少繰返し単位中の主鎖骨格原子の数。
【0034】
微粒子(A0)のエマルジョン組成物を得る方法としては例えば、▲1▼酸基又は水酸基を有する界面活性剤(E’)を用いてモノマーを乳化重合する方法、▲2▼酸基又は水酸基を有するポリマー(E)を保護コロイドとして使用して乳化重合する方法等が挙げられる。界面活性剤(E’)とポリマー(E)は併用して用いても良い。(E)及び(E’)の添加量はエマルションの安定性の観点から(A0)に対して1〜30重量%であることが好ましい。
【0035】
(A0)を(B)又は(B’)で被覆して(A)とするためには、上記の方法で(A0)のエマルジョンを調整後、これに多価金属を有する相分離剤(F)を加え(E)及び/又は(E’)を多価金属塩もしくは多価金属アルコキシドに置換し、(B)及び/又は(B’)を微粒子(A0)の表面上に析出させることによって(A0)を被覆化させてなる被覆型微粒子(A)とする。
【0036】
ポリマー(E)としては、上記(B)の対応する酸の1価金属塩(又はアンモニウム塩又はアミン塩)又は該酸の部分中和1価金属塩(又はアンモニウム塩又はアミン塩)が挙げられる。
また、界面活性剤(E’)としては、上記(B’)の対応する酸の1価金属塩又は該酸の部分中和1価金属塩が挙げられる。
(E)及び(E’)において、1価金属としては1価の金属であれば特に限定されることはない。そのなかでナトリウム及びカリウムが好ましく、ナトリウムが特に好ましい。。
【0037】
相分離剤(F)としては、2族、4族、8族、11族、12族及び13族の金属からなる群から選ばれる少なくとも1種の多価金属の無機塩、水酸化物及び酸化物が挙げられる。具体的には、多価金属の硫酸塩、水酸化物、炭酸塩、酸化物等が用いられる。例えば、多価金属の硫酸塩[硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛、硫酸マグネシウム、硫酸チタン]、多価金属の水酸化物[水酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化銅]、多価金属の炭酸塩[炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸コバルト、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸マンガン]、多価金属の酸化物[酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化銅、酸化マンガン]が挙げられる。
相分離剤(F)の添加量はポリマー(E)及び/又は界面活性剤(E’)の添加量100重量部に対し1〜80重量部、好ましくは10〜50重量部である。
【0038】
本発明において使用されるポリマー(a)は、官能基(a0)を分子内に有し、架橋剤(C)と反応しうるものである。
(a)としてはウレタン樹脂、ウレタンウレア樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、スチレン/アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン/酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、スチレン/ブタジエン樹脂、ブタジエン/アクリロニトリル樹脂、エチレン/プロピレン樹脂、ブタジエン樹脂、天然ゴム等のエマルジョンが挙げられる。これらのうちウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、スチレン/ブタジエン樹脂およびアクリル樹脂が好ましい。
【0039】
本発明の組成物において使用することができるポリマー(a)は、皮膜強度の観点から好ましくは2000〜100000、さらに好ましくは10000〜80000の数平均分子量と、融着性の観点から−100℃〜300℃、更に好ましくは−10℃〜50℃のTgを有する。
【0040】
ポリマー(a)が有する官能基(a0)としては、カルボキシル基、カルボニル基、水酸基、アミノ基、メチロール基、ケトン基、炭素−炭素不飽和基、エポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。このうちカルボキシル基、水酸基、カルボニル基またはメチロール基が好ましい。
【0041】
ポリマー(a)1分子中における官能基(a0)の個数は通常3個以上であって被膜物性の点から好ましくは5個以上、さらに好ましくは10個以上であって、エマルジョンの貯蔵安定性の点から好ましくは200個以下、さらに好ましくは100個以下である。2個以下では架橋反応が起こらず耐水性等の皮膜物性に劣る。
【0042】
ポリマー(a)に官能基を導入する方法としては、特に限定されないが、例えば上記官能基(a0)を有するモノマー等を共重合させ、ポリマー骨格に組み込む方法などが挙げられる。カルボキシル基を含有する化合物としてはジメチロールプロピオン酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。カルボニル基を含有する化合物としてはアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド酸等が挙げられる。水酸基、メチロール基を含有する化合物としてはNーメチロールアクリルアミド、Nーメチロールメタクリルアミド等が挙げられる。
【0043】
微粒子(A0)は官能基を有するポリマー(a)を含有していれば良く、必要に応じて他の樹脂を含んでいても良い。ポリマー(a)の含有量は硬化後の被膜物性の観点より微粒子の固形分重量に対して好ましくは50〜100重量%である。
【0044】
他の樹脂としてはポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミノ酸樹脂、が挙げられる。これらのうちポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂が好ましい。
【0045】
架橋剤(C)としては、メチロール化合物、ポリエポキシ化合物、アミノ樹脂、ポリアジリジン化合物、ポリオキサゾリン化合物、ポリイソシアネート化合物、硫黄系化合物、ヒドラジン系化合物、シランカップリング剤、キレート剤などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、水溶性または水分散性の、メチロール化合物、ヒドラジン系化合物、アミノ樹脂、ポリアジリジン化合物およびポリイソシアネート化合物である。
(C)の添加方法は、例えば、ポリマー(E)又は界面活性剤(E’)を用いてモノマーを乳化重合する際にエマルジョンに添加する、相分離剤(F)を加える際にエマルジョンに添加する、微粒子(A0)を含むエマルジョンを調製後添加する方法等が挙げられる。これらの方法の中で、微粒子(A0)を含むエマルジョンを調製後添加する方法が好ましい。
【0046】
(C)の重量は、(A0)の重量に対し、皮膜物性の観点より好ましくは1〜50重量%、さらに好ましくは5〜20重量%である。
【0047】
本発明の微粒子(A0)の数平均粒径は、レオロジー特性の観点から好ましくは0.01μm以上、さらに好ましくは0.04μm以上であり、融着性の観点から好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下、特に好ましくは1μm以下である。
【0048】
本発明の微粒子(A)の数平均粒径は、好ましくは0.01μm以上、さらに好ましくは0.04μm以上であり、融着性の観点から好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下、特に好ましくは1μm以下である。(A)及び(A0)の数平均粒径は、レーザー散乱式粒度分布測定装置例えばLA−920(堀場製作所(株)製)で測定可能である。
【0049】
本発明の微粒子(A0)および被覆型微粒子(A)の粒子形状は不定形であっても球状であってもよいが、常温下でのエマルジョンの流動性、融着時の融着性の点で球状の粒子を50%以上含有するのが好ましい。ここで、球状というのは粒子の長径/短径の比が1.0〜1.5の範囲にあるものを指す。
【0050】
本発明のエマルジョン組成物対する(A)の含有量は、好ましくは1〜75重量%、さらに好ましくは10〜50重量%である。
本発明のエマルジョン組成物の固形物濃度は好ましくは20〜70重量%、さらに好ましくは40〜60重量%である。ここでいう固形物濃度とはエマルジョンを150℃において1時間乾燥したとき残存する固形分の元のエマルジョンの重量に対する割合である。
【0051】
本発明のエマルジョン組成物には、必要に応じて非イオン界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤、カルボキシメチルセルロース等の増粘剤、シリコーン系等の消泡剤、フッ素変性アクリルポリマー等のレベリング剤等が配合される。配合重量はエマルジョン全体に対して通常0〜5重量%である。
【0052】
非イオン界面活性剤としてはペンタエリスリトールモノラウレート、エチレングリコールモノオレートエチレンオキサイド付加物、エチレングリコールモノステアレートエチレンオキサイド8モル付加物、ペンタエリスリトールモノブチルエーテルソルビタンモノステアリルエーテルエチレンオキサイド付加物、メチルグリコシドエチレンオキサイド4モルプロピレンオキサイド4モルランダム付加物などが挙げられる。
アニオン性界面活性剤としてはオクチルアルコールカルボキシメチル化ナトリウム塩、オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、2エチルヘキシルアルコールリン酸エステル塩等が挙げられる。 両性界面活性剤としてはステアリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等が挙げられる。これらのうち好ましいのはアニオン性界面活性剤であり、オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、オクチルアルコールカルボキシメチル化ナトリウム塩等が好適に用いられる。
【0053】
本発明のエマルジョン組成物は従来のものと比較して耐水性がよく、一液で使用可能であり、さらに貯蔵安定性が良好であることより一般塗料、床あるいは屋上コート剤、紙、繊維の防水処理剤、接着剤等として有用である。特にポリ塩化ビニルシートと布などの接着剤として広く応用することができる。
【0054】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下の記載において「部」は重量部、「%」は重量%を示す。
【0055】
製造例1
平均分子量4000のグリセリンのプロピレンオキシド付加物400部、ジメチロールプロピオン酸40部およびトリレンジイソシアナート120部を80℃にて4時間反応させ、イソシアネート末端ウレタン樹脂を得た。これをトリエチルアミン30部で中和した後、撹拌下、徐々にポリカルボン酸ソーダ共重合体(ポリアクリル酸(中和度60%)とポリスチレンの共重合体(共重合比40/60) Mn=9000)5%水溶液885部を加えてカルボキシル基を有する樹脂(a−1)の水性エマルジョン(A0−1)(固形分濃度40%、1分子中のカルボキシル基の個数55個)を得た。
この分散液に、硫酸アルミニウムを5部添加し、25℃で10分間攪拌し被覆処理を行い複合樹脂エマルジョン組成物(A−1)を得た。(a−1)の数平均分子量(GPC測定による、以下同様)は、40,000、Tg(DSC測定による、以下同様)は、25℃、(A0−1)におけるエマルジョン粒子の平均粒径は、0.1μmであった。
【0056】
製造例2
撹拌機、滴下ボンベ、窒素ガス導入管、温度計を備えた加圧反応容器に乳化剤としてドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム水溶液(固形分濃度50% SP値=9.9)5部、水150部、スチレン32部、メチルメタクリレート9部、アクリルアミド9部、過硫酸ナトリウム1部およびラウリルメルカプタン0.2部を仕込み、撹拌下、系内を窒素ガスで置換後、滴下ボンベからブタジエン45部を圧入し、50℃に昇温し、同温度で30時間反応させた。水酸化ナトリウム水溶液でpH8.5に調整し、減圧下未反応モノマーをストリッピングすることによって、カルボニル基を有するSBR樹脂(a−2)の水性エマルジョン(A0−2)(固形分濃度40%、1分子中のカルボニル基(a0)の個数45個)を得た。水相の乳化剤量は0.0003mmol/g(樹脂)であった。
この分散液に、炭酸マグネシウムを18部添加し、25℃で10分間攪拌し被覆処理を行い複合樹脂エマルジョン組成物(A−2)を得た。(a−2)の数平均分子量は、35,000、Tgは、15℃、(A0−2)におけるエマルジョン粒子の平均粒径は、0.05μmであった。
【0057】
製造例3
製造例2と同様にして、スチレン20部、N−メチロールアクリルアミド10部、ブチルアクリレート35部、2−エチルヘキシルアクリレート20部、メタクリル酸9部、アクリロニトリル5部およびメタクリロイルオキシポリオキシプロピレン(重合度=12)硫酸エステルNa塩5部を重合して、メチロール基を有するスチレン/アクリル樹脂(a−3)の水性エマルジョン(A0−3)(固形分濃度40%、1分子中のメチロール基(a0)の個数34個)を得た。
この分散液に、炭酸亜鉛を10部添加し、25℃で10分間攪拌し被覆処理を行い複合樹脂エマルジョン組成物(A−3)を得た。(a−3)の数平均分子量は、35,000、Tgは、10℃、(A0−3)におけるエマルジョン粒子の平均粒径は、0.08μmであった。
【0058】
実施例1〜3、比較例1〜3
各樹脂および架橋剤を表1の処方の重量で配合し(水で固形分濃度を40%に調整)、エマルジョン組成物を得た。容器は200gのビーカーを用い、配合後架橋剤が均一に混ざるよう10分間手で攪拌を行った。これをJIS A−5403に規定するフレキシブル板{縦7.5cm、横15cm、厚さ0.5cm}上に50μの厚さが得られるように塗布し、20℃で1週間乾燥させて試験片を作成した。各樹脂から得られたフィルムの100%モデュラス及び永久伸び率、常態剥離強度、耐水剥離強度、貯蔵安定性を測定し表2に示した。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
架橋剤C−1 ;メチロール化メラミン樹脂系架橋剤[住友化学(株)製「スミテックスレジンM−3」]
架橋剤C−2 ;ヒドラジンヒドラート
【0062】
[評価試験]
次いで、上記で調製した各組成物について、以下の項目の試験を行った。
1.100%モデュラス;試験片の作成はJIS K6301に準じ、打ち抜き機器を用いダンベル状試験片3号の形状に打ち抜く。測定は同JIS K6301に準じて、毎分500±25mmの移動速さで引っ張り、100%伸び時点での荷重を読みとる。
【0063】
2.永久伸び率;試験片の作成はJIS K6301に準じ、打ち抜き機器を用いダンベル状試験片3号の形状に打ち抜く。測定は同JIS K6301に準じて、試験片の引っ張り率を伸びの50%、引っ張り保持時間を10分間、収縮後測定までの時間を10分間として標線距離を測定し、以下の計算式により計算し永久伸び率を求める。
永久伸び率(%)=(収縮後の標線距離−標線距離)×100/標線距離
【0064】
3.剥離強度測定;
(1)試験片の作成
軟質ポリ塩化ビニルシート(20×12cm)に上記エマルジョン組成物を40g/m2になるようにアプリケーターで塗布し、100℃、2分間乾燥機で乾燥する。
つぎに、スフ(20×12cm)を貼合わせ、140℃、1分間、50g/cm2で熱圧着後、室温で3日間放置する。
(2)剥離強度測定
3−1.常態剥離強度
試験片を巾2.5cm(長さ12cm)にカットし、剥離試験機のつまみ移動速さ200mm/minで25℃の剥離強度を測定する。
3−2.耐水剥離強度
試験片を巾2.5cm(長さ12cm)にカットし、20℃の水に10分間浸漬後ただちに剥離試験機のつまみ移動速さ200mm/minで剥離強度を測定する
【0065】
4.貯蔵安定性測定
4−1.ゲル化日数・・配合物物を100mlのガラス製のサンプル瓶に40℃、14日間密閉保存後安定性をチェックする。状態に変化がないものを○、ゲル化したものを×とする。
4−2.増粘率・・ 各組成物を、35℃、7日間保管した。全ての組成物について、粘度を測定した。評価は、増粘率を下記の式に従って算出することによって行った。
増粘率=保管後粘度/初期粘度
×:保管後の粘度測定不可能なほど増粘(増粘率10以上)
【0066】
上記における粘度値はBH形粘度計(東京計器(株)製)にて温度25℃、回転数20rpm、ロータNO.2において測定した値である。
【0067】
上記における数平均粒径の測定は、酢酸エチルを溶媒にしてレーザー散乱式粒度分布測定装置例えばLA−920(堀場製作所(株)製)で行うことができる。
【0068】
上記におけるガラス転位温度Tgの測定は、示差走査熱量測定法(DSC)で測定が可能であり、例えば示差走査熱量計UV−DSC220C(セイコー(株)製)で行うことができる。
【0069】
表1及び表2に示した如く、実施例1は比較例1に比べ耐水性の性能が向上し、かつ貯蔵安定性に優れる。同様に実施例2、3についてもそれぞれ比較例2、3に比べ耐水性の性能が向上し、かつ貯蔵安定性に優れる。
【0070】
【発明の効果】
本発明の複合樹脂エマルジョン組成物は下記の効果を奏する。
本発明のエマルジョン組成物から得られる皮膜は耐水性に特に優れる。また本発明のエマルジョン組成物の粘度の増加率は長期間にわたって小さいすなわち貯蔵安定性が良好である。
上記効果を奏することから、本発明のエマルジョン組成物は、一般塗料特にバインダー、床あるいは屋上コート剤、紙、繊維の防水処理剤、接着剤、粘着剤等に有用である。
Claims (9)
- 分子内に官能基(a0)を3個以上有するポリマー(a)を含む微粒子(A0)の表面が、多価金属塩もしくは多価金属アルコキシドの形のポリマー(B)及び/又は多価金属塩もしくは多価金属アルコキシドの形の界面活性剤(B’)で被覆されてなる被覆型ポリマー微粒子(A)と架橋剤(C)を含有するエマルジョン組成物。
- 前記ポリマー(a)がウレタン樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、及びスチレン/ブタジエン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の組成物。
- 前記ポリマー(B)及び前記界面活性剤(B’)の多価金属が2族、4族、8族、11族、12族及び13族の金属からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2記載の組成物。
- 前記ポリマー(B)及び前記界面活性剤(B’)がそれぞれ、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、酸性リン酸エステル塩、及びアルコキシドからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3いずれか記載の組成物。
- 前記界面活性剤(B’)がアニオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか記載の組成物。
- 前記被覆型ポリマー微粒子(A)の平均粒径が0.01μm以上10μm以下である請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
- 前記官能基(a0)がカルボキシル基、カルボニル基、水酸基、及びメチロール基からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜6いずれか記載の組成物。
- 前記架橋剤(C)がヒドラジン系化合物、アミノ樹脂、ポリアジリジン化合物、メチロール化合物、及びポリイソシアネート化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜7いずれか記載の組成物。
- 請求項1〜8いずれかに記載のエマルジョン組成物からなる接着剤又は塗料。
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CN105647332A (zh) * | 2016-02-27 | 2016-06-08 | 柳州市够旺贸易有限公司 | 环保木地板 |
CN116457396A (zh) * | 2020-12-21 | 2023-07-18 | 竹本油脂株式会社 | 无机纤维用上浆剂、无机纤维及其制造方法以及复合材料 |
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2003
- 2003-02-07 JP JP2003031141A patent/JP2004238569A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN105647332A (zh) * | 2016-02-27 | 2016-06-08 | 柳州市够旺贸易有限公司 | 环保木地板 |
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