JPS6254124B2 - - Google Patents

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JPS6254124B2
JPS6254124B2 JP9221280A JP9221280A JPS6254124B2 JP S6254124 B2 JPS6254124 B2 JP S6254124B2 JP 9221280 A JP9221280 A JP 9221280A JP 9221280 A JP9221280 A JP 9221280A JP S6254124 B2 JPS6254124 B2 JP S6254124B2
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JP
Japan
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acid
water
resin
emulsion
methacrylate
Prior art date
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Application number
JP9221280A
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English (en)
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JPS5718715A (en
Inventor
Yosei Nakayama
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Kansai Paint Co Ltd
Original Assignee
Kansai Paint Co Ltd
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Publication date
Application filed by Kansai Paint Co Ltd filed Critical Kansai Paint Co Ltd
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Publication of JPS5718715A publication Critical patent/JPS5718715A/ja
Publication of JPS6254124B2 publication Critical patent/JPS6254124B2/ja
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  • Graft Or Block Polymers (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
本発明はウレタン結合、尿素結合及びアミド結
合から選ばれる少なくとも1種の結合を有する樹
脂(以下「極性樹脂」ということもある」)を含
有するエマルジヨン組成物に関し、さらに詳しく
は、被覆用組成物にして基質上に塗布したとき、
その表面が粘着性を持たず且つ肌ざわり感が良
く、耐水性、耐黄変性、耐ガソリン性、研磨性及
びその他の物性において優れた塗膜を形成し得る
極性樹脂を含有するエマルジヨン組成物に関す
る。 近年、水性エマルジヨン組成物が、従来油性系
塗料が使用されていた分野における油性系塗料に
代わる省資源無公害型塗料として広く使用される
ようになつてきた。ところが、水性エマルジヨン
組成物としてイオン性又は非イオン性の低分子又
は高分子界面活性剤を用いて得られる従来のエマ
ルジヨン組成物は、造膜助剤を多量に使用すると
エマルジヨンの系が不安定になり易く、さらにエ
マルジヨン組成物を塗料分野で使用するに際して
形成される皮膜を非常に緻密なものにするため該
エマルジヨン組成物、通常水溶性樹脂が添加され
ているが、この水溶性樹脂は通常中和剤及び水溶
性有機溶剤が含まれており、これら成分によつて
エマルジヨンの系が非常に不安定になる傾向があ
り、さらに加えて、従来の水性エマルジヨン組成
物では一般に、界面活性剤としてイオン性又は非
イオン性の低分子又は高分子物質が使用されてい
るため被膜の耐水性が劣る。などの種々の欠点が
あるため、これまで実用に供することができなか
つた。 また、上記従来の水性エマルジヨン組成物は、
それを接着剤の成分として使用する場合、該エマ
ルジヨン組成物中に含まれる界面活性剤が適用さ
れた接着剤表面に滲出してきて表面を汚すという
欠陥がある。 そこで、通常のイオン性又は非イオン性の低分
子又は高分子界面活性剤を分散安定剤として含む
従来の水性エマルジヨン組成物が示す上記のよう
な欠点を有さない水性エマルジヨン組成物を得る
試みが種々行なわれており、その1つに分散安定
剤として水溶性樹脂を使用することが提案されて
いる。例えば、水溶性アクリル樹脂、マレイン化
ポリブタジエン、マレイン化油、マレイン化アル
キド樹脂などの水溶性樹脂を分散安定剤として使
用することが提案されている。しかしながら、上
記水溶性アクリル樹脂は性能的には好ましいもの
であるが、反面、上記分子骨格における親水性部
分と非親水性部分が明確に分かれていないため、
この水溶性アクリル樹脂を分散安定剤として使用
して優れた安定性を有するエマルジヨン組成物を
得ることは困難である。このために該水溶性アク
リル樹脂をブロツク共重合体又はグラフト共重合
体に変性して使用することが種々試みられている
が、所望の性能を有するブロツク共重合体及びグ
ラフト共重合体は現在までのところ見出されてい
ない。一方、マレイン化ポリブタジエン、マレイ
ン化油、マレイン化アルキド樹脂などの水溶性樹
脂は、それ自体軟質な樹脂であつて且つ酸化硬化
する基を多数有しているため、これらの水溶性樹
脂を分散安定剤として用いた水性エマルジヨン組
成物は、それから形成された硬化塗膜表面が初期
において粘着性を示し、かつ長期間の暴露によつ
て塗膜が黄変してくる性質があるため、その用途
が制限されているという大きな欠点がある。 本発明者らは、上記の欠点をもたない水性エマ
ルジヨン組成物、すなわち分散安定性に優れ、且
つ耐水性、耐黄変性などの性能に優れ、硬化の初
期においても塗膜表面が粘着感を呈さず肌ざわり
感の良い硬化塗膜を形成し、さらに塗膜を研磨し
た場合磨擦熱によつて軟化することのない性質
(以下この性質を研磨性という)や耐ガソリン
性、その他の物性にも優れた塗膜を与える水性エ
マルジヨン組成物を提供することを目的として、
分散安定剤として従来の酸化硬化型の水溶性樹脂
とは異なる型の水溶性樹脂を用い、得られるエマ
ルジヨン粒子内に分子間凝集力の強いウレタン結
合、尿素結合及び/又はアミド結合を有する極性
樹脂を、エマルジヨンの安定性を破壊することな
く導入することについて鋭意検討を行なつた。 もつとも、従来においても高分子化合物をエマ
ルジヨン粒子内に導入することが提案されている
(特開昭51−28188号公報参照)。すなわち、上記
公開公報には、水、表面活性剤、少くとも1種の
重合体及び少くとも1種の単量体を混合して重合
体−単量体粒子の水性分散液を形成せしめ、次い
で該粒子内の単量体のラジカル重合させて水性エ
マルジヨン組成物を生成させていることが開示さ
れている。 しかしながら、この方法においては、重合前に
重合体−単量体の乳化をエマルジヨン単位、すな
わち平均粒径が0.01〜5μとなるまで十分に行な
うことが必要であり、このために比較的多量の表
面活性剤物質を使用しなければならず、そのする
と必然的にかくして得られる水性エマルジヨン組
成物から形成される皮膜は耐水性に劣るという欠
点が生ずる。また、本発明で用いるウレタン結
合、尿素結合及び/又はアミド結合を有する樹脂
は一般にエマルジヨン重合に用いる単量体に不溶
のものが多く、上記方法を適用することが困難で
ある。さらに、分子間凝集力の強い極性樹脂を用
いて上記の方法で得られる水性エマルジヨン組成
物は、一般に造膜助剤を添加しないと被覆用組成
物として役に立たない。ところが、前記従来の例
におけるように、分散安定剤として通常のイオン
性又は非イオン性の低分子又は高分子表面活性剤
物質を用いて得られる水性エマルジヨン組成物
は、造膜助剤を多量に使用するとエマルジヨンの
系が不安定になつたり、また、造膜助剤として非
水溶性の造膜助剤を用いた場合にはエマルジヨン
組成物が引火性を持つようになつたりする欠点が
あり、また、該エマルジヨン組成物に水溶性樹脂
を添加すると、その中に含まれる中和剤や水溶性
有機溶剤によつてもエマルジヨンの系が不安定に
なる、などの欠点があるため実用に供するに至つ
ていない。 そこで、本発明者らは、造膜助剤の添加等によ
りエマルジヨンの安定性を損なわない一般に公知
の水溶性樹脂をそのまま分散安定剤として用い
て、極性樹脂−ラジカル重合性不飽和単量体の混
合系をエマルジヨン重合することにより、エマル
ジヨン粒子内に分子間凝集力の強い極性樹脂を導
入することを目標に鋭意研究を行なつた。 その結果、一般に公知の水溶性樹脂をそのまま
分散安定剤として用いたのでは前記の目的を達成
することはできないが、他方、水溶性樹脂とし
て、1分子中にラジカル重合性不飽和基とグラフ
ト重合性不飽和基の両者を含有する単量体を必須
の構成成分としてなる、非酸化硬化型で且つ極性
樹脂と相溶性を有する水溶性樹脂を使用し、且つ
水に対して強い親和性を示す極性樹脂と組合わせ
て使用すれば、前記本発明の目的を達成すること
ができ、さらに該水溶性樹脂と極性樹脂を共存さ
せて得られるエマルジヨンはより優れた安定性を
示すことを見い出し、本発明を完成した。 かくして、本発明に従えば (a) 1分子中に下記式 〔式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、
R′は
【式】
【式】フエニレン又は 低級アルケニレン基を示し、R″は水素原子、メ
チル基又はエチル基を示す〕 で示される1個のラジカル重合性不飽和基と少く
とも1個のグラフト重合性不飽和基とを含有する
単量体 (b) α、β−エチレン性不飽和酸及び/又はポリ
アルキレングリコールとアクリル酸又はメタクリ
ル酸とのモノエステル化物、並びに (c) 他のラジカル重合性不飽和単量体 の共重合体より成る水溶性樹脂(以下、単に「水
溶性樹脂」ということもある)(A)の存在下に、少
なくとも1種のラジカル重合性不飽和単量体(B)
と、ウレタン結合、尿素結合及びアミド結合から
選ばれる少なくとも1種の結合を有する極性樹脂
(C)とから成る系をエマルジヨン重合して得られる
極性樹脂を含有するエマルジヨン組成物が提供さ
れる。 以下、本発明の極性樹脂を含有するエマルジヨ
ン組成物についてさらに詳細に説明する。 本発明の極性樹脂を含有するエマルジヨン組成
物は、分散安定剤として使用する水溶性樹脂が樹
脂骨格中に連鎖移動が少なく、且つ長鎖の側鎖を
グラフト形成することのできる不飽和基を有して
いるため、少量の使用によつてもエマルジヨン重
合中に該水溶性樹脂がラジカル重合性不飽和単量
体と適度にグラフト反応して長鎖の側鎖を形成
し、かくして形成されたグラフト化物と共存する
極性樹脂とがその場で重合するために良く絡み合
い非常に分散安定性に優れたものである。 しかも本発明のエマルジヨン組成物は、分散安
定剤として通常のイオン性又は非イオン性の低分
子又は高分子界面活性物質及び水溶性酸化硬化型
水溶性樹脂を使用しておらず、その上分子間凝集
力の強い極性樹脂をエマルジヨン粒子内に安定な
状態で含有しているので、被覆用組成物にして基
質上に塗布したときにも塗膜表面が粘着感を示さ
ず且つ肌ざわり感が良く、さらに耐水性、耐黄変
性、耐ガソリン性、研磨性及びその他の物性に優
れた塗膜を形成できるという優れた特徴を有す
る。 さらに加うるに、本発明の極性樹脂を含有する
エマルジヨン組成物は接着剤の成分として使用し
た場合にも分散安定剤が表面に滲出してきて接着
剤表面を汚すような欠点も有さない利点がある。 極性樹脂 (C) 本発明の極性樹脂を含有するエマルジヨン組成
物において、エマルジヨン粒子内に導入される極
性樹脂としては、得られるエマルジヨン組成物を
基質に塗布したときに塗膜表面が粘着感を示さず
肌ざわり感が良く、研磨性及びその他の物性に優
れた塗膜を与えるものであつて、且つ水に対する
親和力の強い基を有するものでなければならな
い。この目的を達成できる極性樹脂としては、ウ
レタン結合、尿素結合及び/又はアミド結合を樹
脂骨格中に含有する親水性及び分子間凝集力の強
いものであつて、一般に約500〜約100000、好ま
しくは約1000〜約20000の範囲内の平均分子量を
有する樹脂である。これらの極性樹脂は分散安定
剤として使用される水溶性樹脂と相溶性を有する
か及び/又はエマルジヨン重合により生成する水
溶性樹脂とラジカル重合性不飽和単量体とのグラ
フト化物と相溶性を有することが非常に望まし
い。 しかして、本発明において使用される極性樹脂
の代表例としては次のものが挙げられる。 (i) ウレタン結合及び/又は尿素結合を含有する
樹脂: ジイソシアネート化合物をポリオール化合物、
ポリアミン化合物又はアルカノールアミン化合物
と常法により反応させて得られるイソシアネート
基、水酸基又はアミノ基−末端樹脂であり、好ま
しくは、該樹脂をさらにモノイソシアネート化合
物、モノヒドロキシ化合物又はモノアミン化合物
でブロツクすることにより得られるものである。 かかる樹脂の製造に用いうるジイソシアネート
化合物の具体例としては次のものを挙げることが
できる。 OCN−(CH2)−dNCO(d=2〜12)、OCN−
CH2−CH2−S−CH2−CH2−NCO、 OCN−CH2−CH2−CH2−O−CH2−CH2−CH2
−NCO リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシ
アネートなど。 これらジイソシアネート化合物はそれぞれ単独
で用いることができ、或いは2種又はそれ以上組
合わせて用いてもよい。 また、前記したジイソシアネート化合物と反応
させて極性樹脂を形成するのに用いうるポリオー
ル化合物、ポリアミン化合物及びアルカノールア
ミン化合物としては次のものを具体例として挙げ
ることができる。 (1) ポリオール化合物としては、1分子中、殊に
分子末端に水酸基を2個もしくはそれ以上有す
る数平均分子量が一般に約60〜約10000、好ま
しくは約60〜約2000の範囲内にある公知の任意
のポリオール化合物が使用され、その代表例と
しては、エチレングリコール、ジエチレングリ
コール、トリメチレングリコール、トリエチレ
ングリコール、ポリエチレングリコール、プロ
ピレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、ブチレングリコール、ヘキサメチレングリ
コール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジ
オール、ヘキサンジオール、1,4−シクロヘ
キサンジメタノール、トリシクロデカンジメタ
ノール、エステルジオール204(ユニオンカー
バイド社製、商品名)などの2価アルコール
類;トリメチロールエタン、トリメチロールプ
ロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトー
ル、グリセリン、ジグリセロールなどの3価又
はそれ以上の多価アルコール類;これらアルコ
ール類の他に、これらアルコール類を末端成分
とするアルキド樹脂、エポキシ樹脂又はウレタ
ン樹脂用エラストマーをつくる際に使用される
エステル化合物及びエーテル化合物(例えば、
ポリオキシプロピレングリコール、ボリオキシ
ブチレングリコール、ポリオキシエチレングリ
コール、ポリオキシテトラメチレングリコー
ル、アジピン酸ジオール、ダイマー酸グリコー
ル、アジピン酸−フタル酸−トリオール−ジオ
ールなど)などが挙げられる。 (2) ポリアミン化合物としては、1分子中、殊に
分子末端にアミノ基を2個もしくはそれ以上有
す公知の任意化合物であつて、数平均分子量が
約60〜約5000、好ましくは約60〜約2000の範囲
内にある化合物を用いることができ、その代表
例としては、ヒドラジン、エチレンジアミン、
N−アルキル(特にメチル、エチルなどの低級
アルキル基、以下同様)置換エチレンジアミ
ン、テトラメチレンジアミン、N−アルキル置
換テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジ
アミン、N−アルキル置換ペンタメチレンジア
ミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレ
ンジアミン、ノナメチレンジアミン、オクタデ
カメチレンジアミン、ビス(4−アミノシクロ
ヘキシル)メタン、ビス(4−アミノ−1,2
−メチルシクロヘキシル)メタンなどが挙げら
れる。 (3) アルカノールアミン化合物としては、分子末
端にアミノ基と水酸基の両方を有する公知の任
意化合物であつて、分子量が約60〜約5000、好
ましくは約60〜約2000の範囲内にある化合物が
用いられ、例えば、エタノールアミン、N−ア
ルキル(特にメチル、エチルなどの低級アルキ
ル基)置換エタノールアミン、ジエタノールア
ミン、イソプロパノールアミン、1−アミノブ
タン−4−オール、1−アミノペンタン−5−
オールなどが挙げられる。 また、上記のウレタン結合及び/又は尿素結合
を含有する樹脂(i)における樹脂骨格の末端成分を
構成しうるモノイソシアネート化合物、モノヒド
ロキシ化合物及びモノアミン化合物は特に限定さ
れるものではなく通常公知の任意のものが使用さ
れる。モノイソシアネート化合物としては、例え
ば、メチルイソシアネート、エチルイソシアネー
ト、イソプロピルイソシアネート、フエニルイソ
シアネートなどの脂肪族及び芳香族モノイソシア
ネート化合物が挙げられ、モノアルコール化合物
としては、例えば、メチルアルコール、エチルア
ルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコー
ルなどの脂肪族飽和1価アルコール;アリルアル
コールなどの脂肪族不飽和1価アルコール;ベン
ジルアルコールなどの芳香族1価アルコール;セ
ロソルブ系アルコール、カルビトール系アルコー
ルなどが挙げられ、またモノアミン化合物として
は、例えば、メチルアミン、イソプロピルアミ
ン、ベンジルアミンなどの脂肪族又は芳香族アミ
ンが挙げられる。 本発明で使用される上記のウレタン結合及び/
又は尿素結合を含有する樹脂(i)は、上記したジイ
ソシアネート化合物とポリオール化合物、ポリア
ミン化合物又はアルカノールアミン化合物を非反
応性溶媒中で又は溶媒の不在下に、通常0〜150
℃程度の範囲内の温度で約0.5〜約20時間当モル
反応させ、ついで必要に応じて同じ反応条件下に
モノイソシアネート化合物、モノアルコール化合
物又はモノアミン化合物を反応させて反応を停止
することによつて合成することができる。 該ウレタン結合及び/又は尿素結合を含有する
樹脂が充分な親水性及び分子間凝集力を発揮する
ためにはジイソシアネート化合物の使用量は生成
樹脂の重量を基準にして5〜90重量%、好ましく
は10〜80重量%の範囲にあることが望ましい。 (ii) アミド結合を含有する樹脂: ポリアミン化合物とポリカルボン酸化合物もし
くはその反応性誘導体又はアミノ酸化合物との縮
合反応、ラクタム化合物の開環重合、アクリルア
ミドの転移重合等により形成される樹脂の末端
を、モノアミン化合物又はモノカルボン酸化合物
でブロツクしたものである。 かかる樹脂の製造に用いうるポリアミン化合物
としては、前記(i)において述べたと同様のものを
挙げることができる。 また、このポリアミン化合物と反応させて極性
樹脂を形成するのに用いうるポリカルボン酸もし
くはその反応性誘導体及びアミノ酸化合物として
は、数平均分子量が一般に約100〜約10000、好ま
しくは約100〜約2000の範囲内にある公知の任意
の化合物を使用することができる。しかして、ポ
リカルボン酸の代表例としては、例えば、シユウ
酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン
酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セ
バシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジ
カルボン酸、ブラシリン酸、ダイマー酸、エチル
グルタル酸、フマル酸、マレイン酸、メチルフマ
ル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、
ヘキサヒドロフタル酸、ハイミツク酸、トリメリ
ツト酸、ピロメリツト酸、イタコン酸などが挙げ
られ、これらポリカルボン酸の反応性誘導体とし
ては、無水物、ハライド、エステル化合物等が挙
げられる。 また、アミノ酸化合物としては、例えば、グリ
シン、アラニン、イミドジプロピオン酸、アミノ
酪酸、リジン、グルタミン酸、δ−アミノ吉草
酸、ε−アミノカプロン酸、ζ−アミノエナント
酸、η−アミノカプリル酸、θ−アミノペラルゴ
ン酸、ρ−アミノカプリン酸、アミノウンデカン
酸、13−アミノトリデカン酸などを挙げることが
できる。 さらにラクタム化合物としては、例えば、プロ
ピオラクタム、カプロラクタム、ラウロラクタム
などが包含される。 一方、アミド結合を含有する樹脂(ii)における樹
脂骨格の末端成分を提供するモノアミン化合物及
びモノカルボン酸化合物は特に制限されるもので
はなく、通常公知の任意のものを使用することが
できるが、一般には、モノアミン化合物として
は、例えばウレタン結合及び/又は尿素結合を含
有する樹脂(i)の合成において示した脂肪族又は芳
香族アミンが挙げられる。 また、モノカルボン酸化合物としては、例えば
酢酸、プロピオン酸、カプロン酸、ラウリン酸、
ステアリン酸などのC1〜C26の脂肪族モノカルボ
ン酸;安息香酸、p−t−ブチル安息香酸などの
芳香族モノカルボン酸が挙げられる。 上記アミド結合を含有する樹脂(ii)は、上記した
反応成分を常法に従つて重合させることにより製
造することができる。例えば、100〜250℃の温度
で1〜20時間酸価と粘度を測定しながら脱水反応
を行なうことによつて合成することができる。該
アミド結合を含有する樹脂(ii)が充分な親水性及び
分子間凝集力を発揮するためには、ポリアミン成
分が生成樹脂中の5〜90重量%、好ましくは10〜
80重量%の範囲にあることができる。 上記した如き極性基含有樹脂はそれぞれ単独で
使用することができ、或いは2種又はそれ以上組
合わせて使用してもよい。 水溶性樹脂 (A) 本発明の水性エマルジヨン組成物において、分
散安定剤として使用される水溶性樹脂は、その樹
脂自体が水溶化可能で、且つ十分耐久性を有する
被膜を形成し得る能力のある樹脂であることがで
きる。 本発明で用いられる水溶性樹脂は、 (a) 1分子中に下記式 〔式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、
R′は
【式】
【式】フエニレン又は 低級アルケニレン基を示し、R″は水素原子、メ
チル基又はエチル基を示す〕 で示される1個のラジカル重合性不飽和基と少く
とも1個のクラフト重合性不飽和基とを含有する
単量体; (b) α、β−エチレン性不飽和酸、及び/又はポ
リエチレングリコールとアクリル酸又はメタクリ
ル酸とのモノエステル化物;及び (c) 他のラジカル重合性不飽和単量体 を共重合させることによつて調製される共重合体
から成る。 上記した単量体成分aに含まれる「ラジカル重
合性不飽和基」は上記式()で示されるもので
あり、具体的には、例えばCH2=CHCOO−、
CH2=C(CH3)COO−、
【式】
【式】CH2=CHCONH −、CH2=C(CH3)CONH−、CH2=CH−CH
=CH−などが挙げられる。この中でも特に好適
なものは、CH2=CHCOO−およびCH2=(CH3
COO−である。 他方、「グラフト重合性不飽和基」とは、不飽
和基のβ位にラジカル連鎖移動反応に対して活性
な水素原子を有する不飽和化合物から誘導される
ものであり、ラジカル重合反応に対して低い活性
を示し、上記単量体成分a,b及びcのラジカル
重合後の共重合体にグラフト活性点として残存す
ることのできるものである。 かかるグラフト重合性不飽和基の好調な群の基
には下記式 〔式中、R1は各々H又はC1のアルキ
ル基を示す〕 で示される不飽和基が包含され、また、他の適す
る群の不飽和基としては、環内炭素−炭素二重結
合を含む5員環又は6員環化合物から誘導された
基、例えば 等が挙げられる。 上記式()又は()で示されるグラフト重
合性不飽和基の具体例には、例えば CH2=CH−CH2−O−、CH3−CH=CH−CH2
−O−、CH2=CH(CH3)−CH2−O−、CH2
CH−CH(CH3)−O−、 等が挙げられ、殊にCH2=CH−CH2−O−及び が好ましい。 単量体成分aは上記ラジカル重合性不飽和基を
1個及びグラフト重合性不飽和基を1個又はそれ
以上、有利には1〜3個含有することができ、さ
らに、単量体aは上記2種の不飽和基以外に、重
合に対して不活性な原子団を含有することもで
き、全体として単量体aは一般に100〜400の範囲
内の分子量をもつことができる。かかる単量体成
分aの具体例を示せば次のとおりである。 (i) アクリル酸又はメタクリル酸と、アリルアル
コール、エチレングリコールモノアリルエーテ
ル、トリメチロールプロパンジアリルエーテ
ル、及びアクロレインとトリメチロールエタ
ン、トリメチロールプロパン、グリセリンなど
との縮合体などから選ばれる1価アルコールと
のエステル化物。 (ii) アクリル酸又はメタクリル酸とアリルグリシ
ジルエーテルとの付加物。 (iii) 水酸基含有アクリル系単量体〔例えば、ヒド
ロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチル
メタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレ
ート、ヒドロキシプロピルメタクリレートなど
のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート〕
及び上記(i)において述べた1価アルコールを、
ジイソシアネート化合物(脂肪族系、脂環式
系、芳香族系などポリウレタンの製造に際し通
常使用されるもの)に反応させたもの。 (iv) テトラヒドロ無水フタル酸、無水ハイミツク
酸等と上記(iii)において述べた如き水酸基含有ア
クリル系単量体とのエステル化物。 (v) ジシクロペンテニルメタクリレート。 また、得られる共重合体樹脂に水溶性を付与す
るために使用される単量体成分、すなわちα、β
−エチレン性不飽和酸bとしては炭素原子数3〜
22個、好ましくは3〜6個の脂肪族不飽和モノ−
又はジーカルボン酸或いは該ジカルボン酸の無水
物又はモノエステル、及び炭素原子数8〜12個の
ビニル芳香族モノージースルホン酸が包含され、
具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル
酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、無水
マレイン酸、フマル酸、マレイン酸モノ−(C1
C8)アルキルエステルなどのα、β−エチレン性
不飽和カルボン酸;スチレンスルホン酸などの
α、β−エチレン性不飽和スルホン酸が挙げられ
る。これらはそれぞれ単独で又は2種以上組合わ
せて使用することができる。 また、成分bとして使用しうる「ポリアルキレ
ングリコールとアクリル酸又はメタクリル酸との
モノエステル化物」としては、通常、分子量が40
〜500、好ましくは80〜400のポリエチレングリコ
ール又はポリプロピレングリコールの2価のOH
の1つがアクリル酸又はメタクリル酸でエステル
化された生成物が包含される。 このモノエステル化物は成分bとして単独で使
用してもよく、或いは上記α、β−エチレン性不
飽和酸を併用することもできる。 さらに、上記した単量体成分a及びbとラジカ
ル共重合可能な「他のラジカル重合性不飽和単量
体」cとしては、ラジカル重合性のエチレン性不
飽和結合(〓C=C〓)を有する限り、特に制約
がないが、アリル基のようなグラフト重合可能な
不飽和基によつて重合が阻害されないために、
「Q−e論」におけるQ値が0.1以上の値をとる単
量体であれば、最終製品としての水性エマルジヨ
ン組成物に望まれる性能に応じて広範に選択する
ことができる。かかる不飽和単量体の代表例を示
せば次のとおりである。 (イ) アクリル酸又はメタクリル酸のエステル:例
えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、
アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピ
ル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、
アクリル酸オクチル、アクリル酸ラウリル、ア
クリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸メチ
ル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピ
ル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸
ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸
オクチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル
酸シクロヘキシル等のアクリル酸又はメタクリ
ル酸のC118アルキル又はシクロアルキルエス
テル;ポリプロピレングリコールモノアクリレ
ート、ポリプロピレングリコールモノメタクリ
レート等のアクリル酸又はメタクリル酸とポリ
プロプレングリコールとのモノエステル;グリ
シジルアクリレート、グリシジルメタクリレー
ト;グリシジルアクリレート又はグリシジルメ
タクリレートとC218脂肪族モノカルボン酸化
合物(例えば酢酸、プロピオン酸、オレイン
酸、ステアリン酸、ラウリン酸等)との付加
物。 (ロ) ビニル芳香族化合物:例えば、スチレン、α
―メチルスチレン、ビニルトルエン、p−クロ
ルスチレン、ビニルピリジン。 (ハ) ポリオレフイン系化合物:例えば、ブタジエ
ン、イソプレン、クロロプレン。 (ニ) アクリル酸又はメタクリル酸のアミド:例え
ば、アクリルアミド、N−メチロールアクリル
アミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド。 (ホ) その他:アクリロニトリル、メタクリロニト
リル。 これら不飽和単量体は所望の物性に応じて適宜
選択され、それぞれ単独で用いてもよく、或いは
2種又はそれ以上組合わせて使用することができ
る。 上記した単量体成分a,b及びcの共重合は、
アクリル系共重合体を製造するためのそれ自体公
知の方法に従い、例えば溶液重合法、乳化重合
法、懸濁重合法等を用いて行なうことができる。
有利には、溶液重合法に従つて行なうことが好ま
しく、上記2成分を適当な不活性溶媒中で、重合
触媒の存在下に、通常約0〜約180℃、好ましく
は約40〜約170℃の反応温度において、約0.5〜約
20時間、好ましくは約2〜約10時間反応をつづけ
ることにより行なうことができる。 使用する溶媒としては、該共重合反応中にゲル
化が生じないように、生成する共重合体を溶解し
且つ水と混和し得る溶媒を使用することが望まし
い。かかる溶媒としては例えばセロソルブ系溶
媒、カルビトール系溶媒、グライム系溶媒、セロ
ソルブアセテート系溶媒、アルコール系溶媒など
を使用することができる。 また、重合触媒としては、例えばアゾ系化合物
パーオキサイド系化合物、スルフイド類、スルフ
イン類、ジアゾ化合物、ニトロソ化合物、レドツ
クス系等の通常のラジカル重合用のラジカル開始
剤が使用される。 共重合を行なう場合の上記3成分の配合割合は
最終製品の水性エマルジヨン組成物に望まれる性
能に応じて変えることができるが、上記3成分の
合計の重量を基準にして下記の割合で配合するの
が適当である。 単量体成分(a):0.1〜50重量%、好ましくは0.05
〜15重量% 単量体成分(b):α、β−エチレン性不飽和酸が使
用される場合:2〜70重量%、好まし
くは5〜30重量%;ポリアルキレング
リコールとアクリル酸又はメタクリル
酸とのモノエステル化物が使用される
場合:10〜80重量%、好ましくは20〜
50重量%;なお両者が併用される場合
には上記モノエステル化物の使用量は
10重量%以下でも構わない。 単量体(c):10〜97.9重量%、好ましくは50〜90重
量%。 かくして得られる水溶性樹脂の数平均分子量は
500〜100000、好ましくは800〜20000の範囲にあ
ることが好適である。また、酸価は一般に10〜
350、好適には30〜200の範囲内にあることができ
る。 該水溶性樹脂の水溶性化は常法により、例えば
樹脂中に存在するカルボキシル基又はスルホン基
を従来公知の中和剤(例えばアミン、アンモニ
ア、アルカリ金属の水酸化物など)で中和処理す
ることにより行なうことができる。なお、該水溶
性樹脂を構成する単量体成分bとして、ポリエチ
レングリコールとアクリル酸又はメタクリル酸と
のモノエステル化物を使用した場合には、一般に
そのままで水溶性化が達成される。勿論カルボキ
シル基又はスルホン基の中和による水溶性を併用
しても一向に構わない。 ラジカル重合性不飽和単量体 (B) 本発明に従えば、以上に述べた水溶性樹脂(A)を
分散安定剤として用い、その存在下にラジカル重
合性不飽和単量体(B)及び極性樹脂(C)からなる系を
水溶性媒体中でエマルジヨン重合せしめられる。
かかるラジカル重合性不飽和単量体は、該水溶性
樹脂と相溶性を有し、且つ親水性が左程強くない
ものであれば特に制限はないが、その代表例を示
せば次のとおりである。 (i) ビニル芳香族化合物: 例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビ
ニルトルエン等のC810ビニルベンゼン誘導
体;ビニルピリジンの如きビニル複素芳香族化
合物。 (ii) アクリル酸又はメタクリル酸のエステル: 例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロ
ピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシ
ル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸シクロヘ
キシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エ
チル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イ
ソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル
酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリ
ル酸ラウリル、メタクリル酸シクロヘキシル等
のアクリル酸又はメタクリル酸C120アルキル
又はシクロアルキルエステル;グリシジルアク
リレート又はグリシジルメタクリレートとC2
18モノカルボン酸化合物(例えば、酢酸、プ
ロピオン酸、オレイン酸、ステアリン酸、ラウ
リン酸など)との付加物;アクリル酸メトキシ
ブチル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル
酸エトキシブチル、メタクリル酸メトキシブチ
ル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル
酸エトキシブチル等のアクリル酸又はメタクリ
ル酸のアルコキシアルキルエステル;アリルア
クリレート、アリルメタクリレート等のアクリ
ル酸又はメタクリル酸のアルケニルエステル;
ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエ
チルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタ
クリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸の
C2ヒドロキシアルキルエステルと上記C2
26モノカルボン酸化合物との縮合体。 (iii) ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなど
の炭素原子数2〜8個のポリオレフイン。 (iv) 酢酸ビニル、ベオバモノマー(シエル化学社
製)等のカルボン酸ビニルエステル。 (v) その他:N−n−ブトキシアクリルアミド、
塩化ビニル、塩化ビニリデン、モノオレフイン
(例えばエチレン、プロピレン、イソブテンな
ど)等。 これらラジカル重合性不飽和単量体のうち、本
発明において特に好適なものとしてはビニル芳香
族化合物及びアクリル酸又はメタクリル酸のエス
テルが挙げられる。 これら不飽和単量体は最終のエマルジヨン組成
物に望まれる物性に応じて適宜選択され、それぞ
れ単独で用いてもよく、或いは2種又はそれ以上
組合わせて使用することができる。さらに、上記
単量体中には、用いる単量体の全量の50重量%以
下、好ましくは30重量%以下の量で親水性の不飽
和単量体と存在させてもよい。存在させ得る親水
性の不飽和単量体の例としては、2−ヒドロキシ
エチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタ
クリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレー
ト、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ア
クリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル
酸、メタクリル酸、グリシジルアクリレート、グ
リシジルメタクリレート、アクリルアミド、N−
メチロールアクリルアミド、メタクリルアミドな
どがあり、これら2種又はそれ以上組合わせて使
用することができる。 エマルジヨン重合 本発明に従えば、以上に述べた水溶性樹脂を分
散安定剤として用い、その存在下に、上記ラジカ
ル重合性不飽和単量体及び極性樹脂を含む系が水
性媒体中でエマルジヨン重合せしめられる。 該エマルジヨン重合の方法としては、通常公知
の方法が用いられる。例えば前記した分散安定剤
の存在下で、必要に応じて先に記載した重合開始
剤を用いて撹拌しながら又は静置状態で氷点乃至
水性媒体の沸点間の温度で行なわれる。上記重合
の反応媒体である水性媒体としては水の他に、水
と先に記載した水−混和性有機溶媒との混合物も
また使用することができる。 ここで、分散安定剤として使用される水溶性樹
脂Aの使用量は、生成するエマルジヨン中の全固
形分に対して一般に2〜90重量%、好ましくは5
〜50重量%になるような割合とすることができ
る。 また、本発明において生成するエマルジヨン粒
子中に導入するために使用される極性樹脂Cの使
用量は、生成するエマルジヨン中の全固形分(水
溶性樹脂、極性樹脂及びラジカル重合性不飽和単
量体の合計)から分散安定剤として使用される水
溶性樹脂Aの前記使用量を差し引いた残りの固形
分に対して一般に3〜97重量%、好ましくは5〜
70重量%の割合とすることができる。従つて、前
記ラジカル重合性不飽和単量体Bの使用量はその
残りの量であることができる。 なお、前記水溶性媒体の使用量は、得られるエ
マルジヨンの固形分が15〜60重量%、好ましくは
25〜50重量%の範囲にある量であることができ
る。 極性樹脂を含有するエマルジヨン組成物 本発明により得られる極性樹脂を含有するエマ
ルジヨン組成物は、通常半透明状であり、エマル
ジヨンの粒子径は平均で一般に1ミクロン以下、
好適には0.5ミクロン以下の小さな粒子からなる
ことができる。また、該エマルジヨン組成物は分
散安定剤である水溶性樹脂Aがエマルジヨン重合
中にラジカル重合性不飽和単量体Bとグラフト重
合を行なつて、エマルジヨン粒子に固定している
ために、機械安定性、有機溶剤に対する安定性な
どにすぐれている。さらにエマルジヨン重合が、
導入された極性樹脂Cの存在するその場で行なわ
れるので、生成するグラフト化物と極性樹脂がよ
く絡み合い、且つ極性樹脂は親水性基を有してい
るので水中で凝集してブツを発生することもなく
安定に存在することができる。 かくして得られる極性樹脂含有エマルジヨン組
成物は、必要により塗装に適する粘度に希釈し又
は増粘した後、そのまま皮膜形成成分として被覆
用組成物に使用することができ、さらに接着剤の
成分としても使用することができる。また、該エ
マルジヨン組成物には、必要に応じて、他の水溶
性樹脂、体質顔料、着色顔料、防錆剤、可塑剤、
有機溶媒等を通常用いられている量で含有させる
こともできる。 本発明の極性樹脂を含有するエマルジヨン組成
物は、そこに含まれるエマルジヨン粒子内に分子
間凝集力の強い極性樹脂を含有するため、該エマ
ルジヨン組成物から形成される乾燥塗膜表面は粘
着性を呈さず優れた肌ざわり感を示す。また、該
エマルジヨン組成物を用いて形成される塗膜は、
研磨性、耐ガソリン性、その他の物性にも非常に
優れているという利点がある。さらに加うるに、
本発明のエマルジヨン組成物は、分散安定剤とし
て前記の如き特定の水溶性樹脂を用いていること
により、該エマルジヨン組成物から形成される塗
膜は耐水性、耐黄変性、光沢等においても非常に
優れている。 本発明の極性樹脂を含有するエマルジヨン組成
物は、そのまま又は他の水溶性樹脂もしくは水分
散性樹脂と併用して般用塗料として使用すること
ができる。また、形成された皮膜は常温でも十分
に硬化するが、必要に応じて加熱硬化せしめても
よい。さらに本発明のエマルジヨン組成物は塗料
以外に接着剤、樹脂加工用としても使用すること
ができる。 次に、実施例により本発明をさらに説明する。
なお、実施例中「%」は特に断らないかぎり「重
量%」を示す。 実施例 1 2の4ツ口フラスコに、ブチルセロソルブ
556gを加えてて60℃に加熱する。このものにエ
チルアクリレート77g、メチルメタクリレート
173g、アクリル酸90g、2−エチルヘキシルメ
タクリレート201g、アリルメタクリレート15g
及びアゾビスジメチルバレロニトリル32gの混合
物を3時間にわたつて滴下した。 また、同時に別の口からtert−ドデシルメルカ
プタン5gをブチルセロソルブ50gに溶解した溶
液を滴下した。滴下終了1時間後にアゾビスジメ
チルバレロニトリル5gを加え、さらに同温度で
2時間加熱反応を行なつた。かくして酸価135及
び固形分48.4%の水溶性樹脂溶液が得られた。 一方、別の2の4ツ口フラスコに、ジオキサ
ン300g及びネオペンチルグリコール312gを入れ
100℃に加熱する。このものに666gイソホロンジ
イソシアネートを2時間にわたつて滴下する。そ
の後温度を110℃に保ちながら2時間反応を行な
う。ついでブチルセロソルブ400gを加えて反応
させた後、減圧蒸留でジオキサン及び一部のブチ
ルセロソルブを除去した。かくして固形分87.6%
のウレタン樹脂溶液を得た。この樹脂溶液をジオ
キサンで50%まで希釈したときのガードナー粘度
はS〜Rであつた。 つぎに、1の4ツ口フラスコに上記水溶性樹
脂溶液130g、30%アンモニア水8c.c.及び脱イオ
ン水280gを加え溶解する。この溶液に上記ウレ
タン樹脂溶液56gをn−ブチルメタクリレート
114gに溶解したものを加えよく撹拌する。つい
で、このものに過硫酸アンモニウム0.5gを脱イ
オン水5gに溶解したものを加えて、80℃に加熱
する。加熱1時間後にカヤブチルH−70(tert−
ブチルヒドロキシパーオキサイド、日本化薬社
製)を1g加えさらに3時間加熱を行なう。かく
して得られたエマルジヨン組成物の性能を後記第
1表に示す。 比較のため、水溶性樹脂の合成において使用し
たアリルメタクリレートの代わりに2−エチルヘ
キシルメタクリレートをその分だけ増量し、且つ
連鎖移動剤を使用しないで合成した水溶性樹脂を
使用して、同じ方法でエマルジヨン組成物を合成
したが、安定なエマルジヨン組成物は得られなか
つた。また、ウレタン樹脂の含有量を15%に下げ
た配合で得られたエマルジヨンであつても、それ
から得られた塗膜はかなりのにごりを示した。 実施例 2 2の4ツ口フラスコにジオキサン300g及び
ネオペンチルグリコール286gを加え100℃に加熱
する。このものに1,6−ヘキサンジイソシアネ
ート460gを2時間にわたつて滴下する。最後は
120℃に加熱し、ブチルセロソルブ400gを加え、
減圧蒸留によつてジオキサンと一部のブチルセロ
ソルブを除去した。かくして、固形分87.2%のウ
レタン樹脂溶液を得た。この樹脂溶液をジオキサ
ンで50%に希釈したときのガードナー粘度はI〜
Jであつた。 つぎに、1の4ツ口フラスコに実施例1で使
用したと同じ水溶性樹脂溶液130g、30%アンモ
ニア水8c.c.及び水280gを加え溶解する。この溶
液に上記ウレタン樹脂溶液56gとn−ブチルメタ
クリレート114gの混合物を加えよく撹拌する。
さらに、このものに過硫酸アンモニウム0.5gを
水5gに溶解した溶液を加え80℃に加熱する。加
熱1時間後にカヤブチルH−70の1g加え、さら
に3時間加熱する。かくして生成したエマルジヨ
ン組成物の性能を後記第1表に示す。 実施例 3 実施例1における水溶性樹脂の合成において、
エチルアクリレート及びメチルメタクリレートの
合計量を、i−ブチルメタクリレートに代える以
外は実施例1と同じ方法で水溶性樹脂を合成し
た。かくして樹脂酸価135.5及び固形分48%の水
溶性樹脂溶液が得られた。 1の4ツ口フラスコに上記水溶性樹脂溶液
165g、30%アンモニア水12c.c.及び脱イオン水340
gを加え混合溶解する。この溶液に実施例1で使
用したと同じウレタン樹脂溶液47gをスチレン84
gとn−ブチルアクリレート84gの混合物に溶解
したものを加えてよく撹拌する。さらに、このも
のに過硫酸アンモニウム0.5gを脱イオン水5g
に溶解した溶液を加え、80℃に加熱する。加熱1
時間後にカヤブチルH−70の1gを加え、さらに
4時間加熱する。かくして生成したエマルジヨン
組成物の性能を後記第1表に示す。 実施例 4 1の4口フラスコにジオキサン100g及びイ
ソホロンジイソシアネート111gを入れ混合溶解
し70℃に加熱する。このものに2−メチルアミノ
エタノール32.5gとジオキサン50gとの混合物を
1時間にわたつて滴下する。滴下終了後110〜120
℃で4時間加熱した後、ブチルセロソルブ150g
を加えて減圧蒸留によつてジオキサンとブチルセ
ロソルブの一部を除去した。かくして、固形分
77.6%のウレタン・ウレア樹脂溶液を得た。この
ウレタン・ウレア樹脂溶液をブチルセロソルブで
50%に希釈したときのガードナー粘度はV+であ
つた。 1の4ツ口フラスコに、実施例3で使用した
と同じ水溶性樹脂溶液165gと上記ウレタン・ウ
レア樹脂溶液53gを加え60℃に加熱して溶解す
る。この溶液に30%アンモニア水11c.c.を脱イオン
水362gに混合したものを加えよく撹拌してエマ
ルジヨン化する。ついで、このものにn−ブチル
メタクリレート168gを加え、さらに、過硫酸ア
ンモニウム0.5gを脱イオン水5gに混合溶解し
たものを加え、80℃に加熱する。80℃でカヤブチ
ルH−70の1gを加え5時間加熱する。かくして
生成したエマルジヨン組成物の性能を後記第1表
に示す。 実施例 5 1の4ツ口フラスコに実施例3で使用したと
同じ水溶性樹脂溶液121g及びトーマイド90(富
士化成社製ポリアミド樹脂)31gを入れ、80℃に
加熱して溶解する。この溶液に30%アンモニア水
9c.c.を脱イオン水265gに混合したものを加え、
よく撹拌してエマルジヨン化する。ついで、この
ものにn−ブチルメタクリレート123gを加え、
さらに、過硫酸アンモニウム0.5gを脱イオン水
5gに溶解したものを加え、80℃に加熱する。80
℃でカヤブチルH−70の1gを加えさらに6時間
加熱する。かくして生成したエマルジヨン組成物
の性能を後記第1表に示す。
【表】 エマルジヨンの性状及び塗膜性能の試験方法 透明性:エマルジヨン層を通して透明ガラス板に
密着させた12級活字が読めるエマルジヨン
層の厚さで示す。 エマルジヨンの状態:沈澱物が生じないかどうか
肉眼で観察。 粘度:ブルツクフイールド粘度計を用い、6rpm
及び30rpmで測定。 粘着性:70℃に調整した間接熱風炉の中に、表面
処理鋼板に塗装した10日間乾燥後の塗面を
上向きにして水平に置き、塗面の中央に50
mm平方のガーゼを5枚重ねて、中央に40mm
φ、500gのおもりをのせる。1時間おい
て取り出し、ガーゼを塗面から引離し、塗
面とガーゼとの粘着の程度及び塗面につい
た布目の跡を調べる。 光沢:ガラス板上に塗装した10日間乾燥後の塗膜
の20゜鏡面反射を測定。 硬度:表面処理鋼板に塗装した塗膜について1日
及び10日乾燥後の鉛筆硬度を測定。 耐水性:表面処理鋼板に塗装した10日乾燥後の塗
面に水をのせて1時間後の塗膜の変化を観
察。 耐ガソリン性:表面処理鋼板に塗装した10日乾燥
後の塗面にガソリンをのせて蒸発した後の
状態を観察。 研磨性:400番の耐水研磨紙で10日乾燥後の塗面
を10回研磨した後、研磨紙にカラミが生じ
ていないかを観察。 付着性:1mm幅のゴバン目を100個作り、その上
にセロフアン粘着テープをはりつけ、それ
を勢いよくはがした後の剥離しないで残つ
た個数で示す。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 (a) 1分子中に下記式 〔式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、R′は
    【式】【式】フエニレン又は低級ア ルケニレン基を示し、R″は水素原子、メチル基
    又はエチル基を示す〕 で示される1個のラジカル重合性不飽和基と少く
    とも1個のグラフト重合性不飽和基とを含有する
    単量体、 (b) α、β−エチレン性不飽和酸、及び/又はポ
    リアルキレングリコールとアクリル酸又はメタク
    リル酸とのモノエステル化物、並びに (c) 他のラジカル重合性不飽和単量体 の共重合体より成る水溶性樹脂の存在下に、少な
    くとも1種のラジカル重合性不飽和単量体と、ウ
    レタン結合、尿素結合及びアミド結合から選ばれ
    る少なくとも1種の結合を有する極性樹脂とから
    なる系をエマルジヨン重合して得られる極性樹脂
    を含有するエマルジヨン組成物。
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