JP2004236942A - 可撓性の改良されたステント - Google Patents
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Abstract
【解決手段】生体管腔を開存状態に保つための円筒状の管腔径保持部1が長手方向に部分的に点接続されてなる管状部材であって、管腔径保持部1は、その展開された状態において上下方向に連続する反復模様に形成されている。この反復模様は、横方向への伸張軸を有する第1の曲線模様部分11と、上下方向への伸張軸を有する第2の曲線模様部分12と第3の曲線模様部分13とを含んでなり、上下に隣合う第1の曲線模様部分11同士は、一方の側の端部同士が第2の曲線模様部分12で接続され、他方の側の端部同士が第3の曲線模様部分13で接続されている。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は血管等の体内管腔の管腔径維持を目的として生体内に埋め込まれる所謂ステントに関する。
【0002】
【従来の技術】
血管等の管腔径を広げ、得られた管腔のサイズを維持するために、従来、ステントが採用されている。ステントの拡張方法としては、バルーンによる拡張、形状記憶材料を用いた自己拡張、機械的拡張などがあるが、バルーンによる拡張が一般的である。バルーンによる拡張の場合、ステントはバルーンカテーテルと一緒に身体の所望の位置まで導入され、バルーンの膨張により拡張されて管腔径を広げる。ステントは、通常、血管等の管腔径を広げて保持する管腔径保持部と、それらを長手方向に繋ぐジョイント部からなり、拡張後の形状は維持される。
このような管腔径保持部とジョイント部からなるステントとしては、半径方向に独立に膨張可能な複数の円筒要素が、共通の軸線に略整列するように連結されたもの(特許文献1)や、相互に交差する複数の細長い部材によって形成された半径方向に伸張可能な管状部材からなるもの(特許文献2)、軸曲げ部にて一体的に接続された複数個の実質的に真っ直ぐで重なり合っていないセグメントを形成するように曲げられた少なくとも2つの単一のワイヤー状円形部材を備え、円形部材同士が軸曲げ部で堅固に接続されてなるもの(特許文献3)、第一及び第二方向に広がる軸を有する第一及び第二メアンダー模様をもつ模様形状の管よりなるもの(特許文献4)、斜め方向の相互連結素子で複数の円筒形セグメントを纏めてなり、末端が結合した支柱からなる開放構造型のもの(特許文献5)等が提案されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−181933号公報
【0004】
【特許文献2】
特開昭62−231657号公報
【0005】
【特許文献3】
特開平8−155035号公報
【0006】
【特許文献4】
特開表10−503676号公報
【0007】
【特許文献5】
特表平11−505441号公報
【0008】
しかしながら、これら従来のステントは、改良されているとはいえ、依然としてステントエッジ付近においてステントが血管等の管腔に負荷を与えるものであるため、管腔等の閉塞や狭窄が生じることがあり、十分な可撓性を有しているものとは言えない。また、管腔等が三次元的に蛇行している場合、目的部位にステントを運ぶことが困難なこともある。さらには、ステントを目的部位に運ぶ際に血管を傷つけてしまう場合もある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、如上の事情に鑑みてなされたもので、管腔径の開存状態を保持するのに十分な強度を持ち、三次元的に蛇行した管腔を通過可能であり、管腔等への追従性に優れたステントを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記課題を解決するために、鋭意検討の結果、横方向への伸張軸を有する複数の第1の曲線模様部分同士を、上下方向への伸張軸を有する第2の曲線模様部分と第3の曲線模様部分で連結し、その展開された状態において上下方向に連続する反復模様に形成すれば、管腔径保持部がステントの長手方向にも半径方向にも十分伸張可能になり、円筒形状を維持しながらステント自体の可撓性を向上させることが出来ることに想到し、本発明を完成した。すなわち本発明は、生体管腔を開存状態に保つための円筒状の管腔径保持部が長手軸方向に部分的に点接続されてなる管状部材であって、前記管腔径保持部は、その展開された状態において上下方向に連続する反復模様に形成されており、該反復模様が、第1の端部と第2の端部を有し横方向への伸張軸を有する、上下方向に並列された複数の第1の曲線模様部分と、上下方向への伸張軸を有し、下端から偶数番目の第1の曲線模様部分の第1の端部と下隣の第1の曲線模様部分の第1の端部を接続する第2の曲線模様部分と、上下方向への伸張軸を有し、前記偶数番目の第1の曲線模様部分の第2の端部と上隣の第1の曲線模様部分の第2の端部を接続する第3の曲線模様部分、とを含んでなり、前記点接続が、隣合う第1の曲線模様部分と第2の曲線模様部分の間でなされている、可撓性の改良されたステントを採用している。尚、本発明において曲線模様という場合、屈折した模様を含むものとする。
【0011】
ここで、1つの管腔径保持部とこれに隣接する管腔径保持部の点接続は、2〜3つ置きの反復模様部分同士の間で行われるのがよい。
ステントは生体適合性材料または生体吸収性材料で形成されるのが好ましく、生体適合性材料としては、ステンレス鋼、タングステン、タンタル、ニッケル−チタン合金の群から選ばれる1つが好ましい。また、生体吸収性材料としては、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリグラクチン、ポリジオキサノン、ポリグリコネート、ポリグリコール酸とイプシロン−カプロラクトンの共重合体、乳酸とイプシロン−カプロラクトンの共重合体、の群から選ばれる1つが好ましい。ステントは生体適合性材料でコーティングされたものであってもよい。この場合、生体適合性材料としては、カーボン、金、白金、ホスホリルコリン、ヘパリン、フィブリンの群から選ばれる1つが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施例に係るステントの斜視図であり、図2は図1に示すステントの展開図、図3は図1に示すステントを拡張した状態を示す平面図である。また、図4〜図7はそれぞれ本発明のステントと従来のステントの可撓性、リコイル率、ショートニング、血管径保持力を比較する図である。
本発明のステントは、図1〜図3に示すように、生体管腔を開存状態に保つための円筒状の管腔径保持部1が長手方向に部分的に点接続されてなる管状部材であって、管腔径保持部1は、その展開された状態において上下方向に連続する反復模様に形成されている。この反復模様は、横方向への伸張軸を有する第1の曲線模様部分11と、上下方向への伸張軸を有する第2の曲線模様部分12と第3の曲線模様部分13とを含んでなり、上下に隣合う第1の曲線模様部分11同士は、一方の側の端部同士が第2の曲線模様部分12で接続され、他方の側の端部同士が第3の曲線模様部分13で接続されている。
【0013】
管腔径保持部1は、生体管腔を開存状態に保つための円筒状部材であって、これを展開して平面状にした状態において上下方向に連続する反復模様に形成されている。この反復模様は、第1、第2、第3の曲線模様部分11、12、13を含んでなり、第1の曲線模様部分11は、第1の端部111と第2の端部112を有し、横方向への伸張軸を有しており、上下方向に並列されている。第2の曲線模様部分12は、上下方向への伸張軸を有しており、下端から偶数番目に位置する第1の曲線模様部分11の第1の端部111と、その下隣に位置する第1の曲線模様部分11の第1の端部111を接続している。また、第3の曲線模様部分13は、第2の曲線模様部分12と同様に上下方向への伸張軸を有しており、前記偶数番目に位置する第1の曲線模様部分11の第2の端部112と、その上隣の第1の曲線模様部分11の第2の端部112を接続している。
【0014】
第2、第3の曲線模様部分12、13は、上下方向への伸張軸を有しているため、円筒状の管腔径保持部1が半径方向へ拡張するのを許しており、管腔径保持部1は半径方向への拡張に伴い長手方向が縮小する。一方、第1の曲線模様部分11は、横方向(左右方向)への伸張軸を有しているので、管腔径保持部1の長手方向への拡張を許している。そのため管腔保持部1の長手方向の縮小によるステントの縮小は、第1の曲線模様部分11の伸張によって略補われるようになっている。
【0015】
隣接する管腔径保持部1同士は、接続点2で長手方向に点接続されており、点接続は、一方の第2の曲線模様部分12と他方の第3の曲線模様部分13間で行われる。同じ断面形状を有する場合、断面積が小さいほど、また、接続点2の数が少ないほどステントの可撓性が良くなり、従って管腔等に対する追従性がよくなる。しかしながら、接続点2の数が少なすぎると、拡張および屈曲時に管腔径保持部1の接続点2を含まない部分が外側に突出するので、この突出部分が管腔壁に対する負荷の原因となる。一方、ステントの拡張時および屈曲時の円筒形状は、接続点2が多いほど安定しステント表面が滑らかになるが、接続点2の数が多くなるほど、ステントの可撓性が悪くなり、従って管腔等への追従性が悪くなる。そしてその結果、ステントエッジ付近において血管等の管腔壁に大きな負荷を与える虞がある。従って、隣接する管腔径保持部1同士の接続は、接続点2が2〜3個になるように、2〜3つ置きの反復模様同士の間で行うのが好ましい。また、両端の管腔径保持部1とこれに隣接する管腔径保持部1の接続を、2〜3つ置きの反復模様同士の間で行い、中間部分の隣接する管腔径保持部1の反復模様は1つ置きで接続する様にしてもよい。
半径方向の剛性など、ステントの特性は、第1、第2、第3の曲線模様部分11、12、13の形状を変化させることにより変えることができる。また、管腔径保持部1の数および半径は、適用部位の長さおよび径の大きさによって適宜選択される。
【0016】
ステントの形成材料については、表面が生体適合性材料で被覆されていれば、拡張後の形状が維持されるものである限り特に限定されないが、生体適合性材料または生体吸収性材料が好ましい。生体適合性材料としては、金、銀、ステンレス鋼、タングステン、タンタル、ニッケル−チタン合金などが採用可能であり、ニッケル−チタン合金については、その形状記憶性が利用される。生体吸収性材料としては、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリグラクチン、ポリジオキサノン、ポリグリコネート、ポリグリコール酸とイプシロン−カプロラクトンの共重合体、乳酸とイプシロン−カプロラクトンの共重合体などが採用可能である。
ステントはこれを生体適合性を有しない材料で形成し、その表面に生体適合性材料の被膜を形成してもよい。この場合、コーティング用生体適合性材料としては、カーボンや金、白金、ホスホリルコリン、ヘパリン、フィブリンなどが採用可能である。
また、ステントの表面には、シロリムス、タキソール、アクチノマイシン−Dなどの再狭窄防止のための薬剤を塗布してもよい。
【0017】
〔可撓性試験およびリコイル率試験〕 表1に示すような展開図を有するステントについて、その可撓性およびリコイル率(バルーン除去後の径/バルーン除去前の径)を比較したところ、図4および図5のような結果が得られた。
図4および図5から、本発明のステントが従来のステントと比較してはるかに優れた可撓性およびリコイル率を有していることが分かる。
尚、表1に示すような展開図を有するステントについて、拡張時におけるショートニング(管長の短縮)や血管径保持力については、図6および図7のような結果が得られており、従来のステントと略同等の性能を示している。
試験方法については、可撓性試験は、ステントの片端を固定し、固定端から10mm離れた位置を一定距離(1〜5mm)押した場合の過重を引張り試験器(島津製作所製)を用いて測定した。また、リコイル率試験は、外径1mmのステントを3.0mmに拡張(拡張圧8atm、加圧時間30秒)したときのステントの直径を、バルーンの抜き去り前後でマイクロスコープ(キーエンス社製)を用いて測定した。また、ショートニング試験は、リコイル率試験において3.0mmに拡張(拡張圧8atm、加圧時間30秒)したときのステントの直径を投影機(ミツトヨ社製)を用いて測定した。血管径保持力試験は、ステントをシリコーンチューブ(内径3.0mm)に留置した後、シリコーンチューブを任意圧力(0〜300mmHg)で圧縮した場合の、シリコーンチューブの外径をマイクロスコープ(キーエンス社製)を用いて測定した。
【0018】
【表1】
【0019】
【発明の効果】
以上述べたことから明らかなように、本発明によれば、以下のような効果が期待できる。
管腔径保持部が、その展開された状態において上下方向に連続する反復模様に形成されており、その反復模様が、上下方向に並列された横方向への伸張軸を有する第1の曲線模様部分と、上下方向に隣接する第1の曲線模様部分の同じ側の端部同士を接続する、上下方向の伸張軸を有する第2の曲線模様部分と第3の曲線模様部分を含んでいるので、管腔径保持部は、管腔径の開存状態を保持するのに十分な強度を持っている。また、可撓性が改良され管腔等への追従性が優れているので、管腔壁等への負荷が小さく、三次元的に蛇行した管腔も通過可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るステントの斜視図である。
【図2】図1に示すステントの展開図である。
【図3】図1に示すステントを拡張した状態を示す平面図である。
【図4】本発明のステントと従来のステントの可撓性を比較する図である。
【図5】本発明のステントと従来のステントのコイル率を比較する図である。
【図6】本発明のステントと従来のステントのショートニングを比較する図である。
【図7】本発明のステントと従来のステントの血管径保持力を比較する図である。
【図8】従来のステントの展開図である。
【図9】従来のステントの展開図である。
【図10】従来のステントの展開図である。
【符号の説明】
1 管腔径保持部
11 第1の曲線模様部分
111 第1の端部
112 第2の端部
12 第2の曲線模様部分
13 第3の曲線模様部分
2 接続点
Claims (7)
- 生体管腔を開存状態に保つための円筒状の管腔径保持部が長手軸方向に部分的に点接続されてなる管状部材であって、前記管腔径保持部は、その展開された状態において上下方向に連続する反復模様に形成されており、該反復模様が、第1の端部と第2の端部を有し横方向への伸張軸を有する、上下方向に並列された複数の第1の曲線模様部分と、上下方向への伸張軸を有し、下端から偶数番目の第1の曲線模様部分の第1の端部と下隣の第1の曲線模様部分の第1の端部を接続する第2の曲線模様部分と、上下方向への伸張軸を有し、前記偶数番目の第1の曲線模様部分の第2の端部と上隣の第1の曲線模様部分の第2の端部を接続する第3の曲線模様部分、とを含んでなり、前記点接続が、隣合う第1の曲線模様部分と第2の曲線模様部分の間でなされている、可撓性の改良されたステント。
- 1つの管腔径保持部とこれに隣接する管腔径保持部の接続が、2〜3つ置きの反復模様部分同士の間で行われてなる請求項2に記載のステント。
- 生体適合性材料または生体吸収性材料で形成されてなる請求項1または2に記載のステント。
- 生体適合性材料がステンレス鋼、タングステン、タンタル、ニッケル−チタン合金の群から選ばれる1つである請求項3に記載のステント。
- 生体吸収性材料がポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリグラクチン、ポリジオキサノン、ポリグリコネート、ポリグリコール酸とイプシロン−カプロラクトンの共重合体、乳酸とイプシロン−カプロラクトンの共重合体、の群から選ばれる1つである請求項3に記載のステント。
- 生体適合性材料でコーティングされてなる請求項1または2に記載のステント。
- 生体適合性材料がカーボン、金、白金、ホスホリルコリン、ヘパリン、フィブリンの群から選ばれる1つである請求項6に記載のステント。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003030743A JP2004236942A (ja) | 2003-02-07 | 2003-02-07 | 可撓性の改良されたステント |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004236942A true JP2004236942A (ja) | 2004-08-26 |
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ID=32957552
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JP2003030743A Pending JP2004236942A (ja) | 2003-02-07 | 2003-02-07 | 可撓性の改良されたステント |
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-
2003
- 2003-02-07 JP JP2003030743A patent/JP2004236942A/ja active Pending
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