JP2005013302A - 血管追従性および拡張性のよい、血管に優しい柔軟なステント - Google Patents
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Abstract
【課題】管腔等への追従性に優れており、横穴形成が容易で、実質的にショートニングの無い、均一に拡張する、管腔等に優しい柔軟なステントを提供する。
【解決手段】本発明のステントは、長手軸方向に配列された半径方向に拡張可能な複数の環状部材1と、隣り合う環状部材1、1同士を長手軸方向に連結する1つまたは複数の連結要素2を含んでなる。環状部材1は、両端に自由端111、112を有する同じ方向を向いた複数のループ状要素11が接続要素12により接続されて円周方向に連続されてなる。展開された状態において、ループ状要素11は、その両端の自由端111、112を通る直線が長手軸と直交するように上下方向に配列されるとともに、隣り合うループ状要素11、11同士は、直近の自由端111、112で接続されており、隣り合う前記環状部材1、1同士は、直近の接続要素12、12の部分で連結されている。
【選択図】 図2
【解決手段】本発明のステントは、長手軸方向に配列された半径方向に拡張可能な複数の環状部材1と、隣り合う環状部材1、1同士を長手軸方向に連結する1つまたは複数の連結要素2を含んでなる。環状部材1は、両端に自由端111、112を有する同じ方向を向いた複数のループ状要素11が接続要素12により接続されて円周方向に連続されてなる。展開された状態において、ループ状要素11は、その両端の自由端111、112を通る直線が長手軸と直交するように上下方向に配列されるとともに、隣り合うループ状要素11、11同士は、直近の自由端111、112で接続されており、隣り合う前記環状部材1、1同士は、直近の接続要素12、12の部分で連結されている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は血管等の体内管腔の管腔径維持を目的として生体内に埋め込まれる所謂ステントに関する。
【0002】
【従来の技術】
血管等の管腔径を広げ、得られた管腔のサイズを維持するために、従来、ステントが採用されている。ステントの拡張方法としては、バルーンによる拡張、形状記憶材料を用いた自己拡張、機械的拡張などがあるが、バルーンによる拡張が一般的である。バルーンによる拡張の場合、ステントはバルーンカテーテルと一緒に身体の所望の位置まで導入され、バルーンの膨張により拡張されて管腔径を広げる。ステントは、通常、血管等の管腔径を広げて保持する管腔径保持部と、それらを長手方向に繋ぐジョイント部からなり、拡張後の形状は維持される。
このような管腔径保持部とジョイント部からなるステントとしては、半径方向に独立に膨張可能な複数の円筒要素が、共通の軸線に略整列するように連結されたもの(特許文献1)や、相互に交差する複数の細長い部材によって形成された半径方向に伸張可能な管状部材からなるもの(特許文献2)、軸曲げ部にて一体的に接続された複数個の実質的に真っ直ぐで重なり合っていないセグメントを形成するように曲げられた少なくとも2つの単一のワイヤー状円形部材を備え、円形部材同士が軸曲げ部で堅固に接続されてなるもの(特許文献3)、第一及び第二方向に広がる軸を有する第一及び第二メアンダー模様をもつ模様形状の管よりなるもの(特許文献4)、斜め方向の相互連結素子で複数の円筒形セグメントを纏めてなり、末端が結合した支柱からなる開放構造型のもの(特許文献5)等が提案されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−181993号公報
【0004】
【特許文献2】
特開昭62−231657号公報
【0005】
【特許文献3】
特開平8−155035号公報
【0006】
【特許文献4】
特表平10−503676号公報
【0007】
【特許文献5】
特表平11−505441号公報
【0008】
しかしながら、これら従来のステントは、改良されているとはいえ、依然として、拡張したときにステントエッジ付近においてステントが血管等の管腔に負荷を与えるものであるため、管腔等の閉塞や狭窄が生じることがあった。また、十分な可撓性を有しているものとは言えないので、管腔等が三次元的に蛇行している場合、目的部位にステントを運ぶことが困難なこともあった。さらには、ステントを目的部位に運ぶ際に血管を傷つけてしまう場合もあった。また、留置位置に分岐した血管がある場合その留置されたステントに横穴を形成することが困難な場合が多かった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、如上の事情に鑑みてなされたもので、管腔等への追従性に優れており(従って三次元的に蛇行した管腔を通過可能)、横穴形成が容易で、実質的にショートニング(管長の短縮)の無い、均一に拡張する、管腔等に優しい柔軟なステントを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記課題を解決するために、鋭意検討の結果、円周方向に連続する複数のループ状要素からなる環状部材が、径方向への拡張性が良く、横穴形成が容易であり、またステントの全長に亘って一様に拡張すること、採用可能な形状が多様であり屈曲時の出っ張りを極力抑制する形状を選択できること、および、血管への挿入時の追従性は環状部材同士を連結する連結要素の数を適当に決めることにより任意に決められることに想到し、本発明を完成した。すなわち本発明は、長手軸方向に配列された半径方向に拡張可能な複数の環状部材と、隣り合うこの環状部材同士を長手軸方向に連結する1つまたは複数の連結要素を含んでなり、前記環状部材は、両端に自由端を有する同じ方向を向いた複数のループ状要素が接続要素により接続されて円周方向に連続されてなり、展開された状態において、前記ループ状要素は、その両端の自由端を通る直線が長手軸と直交するように上下方向に配列されるとともに、隣り合うループ状要素同士が直近の自由端で接続されており、隣り合う前記環状部材同士は、直近の接続要素の部分で連結されてなる、血管追従性および拡張性のよい、血管に優しい柔軟なステント関する。
ここで、環状部材は、展開された状態において、左右両端の環状部材のループ状要素がそれぞれ左端および右端に位置するように配列されるのがよい。また、左右両端の環状部材の接続要素がそれぞれ左端および右端に位置するように配列されていてもよい。この場合、環状部材は、中央付近でループ状要素の向きが変わるように配列されるのが好ましい。拡張時のバランスを考慮すれば、ループ状要素は、展開された状態において、両端の自由端を結ぶ直線の中心を通る直交軸に関して対称であるのがよい。
【0011】
拡張性を考慮すれば、ループ状要素の長さは、両端の自由端を結ぶ直線の長さより十分に大きくする必要がある。具体的には、ループ状要素の長さは、両端の自由端を結ぶ直線の長さの4〜8倍が好ましい。また、拡張時の変形を考慮すれば、接続要素は、両端のループ状要素との接続部分と直線状部分を含んでなり、この接続部分によりループ状要素と接続要素が滑らかに接続されるようなものが好ましい。柔軟性を考慮すれば、連結要素は等間隔に2〜4本設けられるのが好ましい。
連結要素の形状は直線状(但し、直線で連結可能な場合)であっても曲線状であってもよい。連結要素の形状が曲線状の場合、曲線の形状はS字状や逆S字状、波状が好ましい。曲線の形状が波状である場合、曲線は1つの波の山を有してなるものであっても複数の波の山を有してなるものであってもよい。
尚、本発明において、ループ状要素とは、両端に自由端を有する開いた曲線要素からなるステントの構成要素をいい、自由端を直線状または円弧などの単純な曲線状の要素で接続したときに、閉じた曲線要素の形成が可能なものをいう。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施例に係るステントの斜視図であり、図2は図1に示すステントの展開図、図3は図1に示すステントを拡張した状態を示す平面図である。また、図4はループ状要素の例を示す図、図5〜図8は本発明の他の実施例に係るステントの展開図であり、図9〜図11はそれぞれ本発明のステントと従来のステントの可撓性とショートニング、血管径保持力を比較する図である。
本発明のステントは、図1〜図3に示すように、長手軸方向に配列された半径方向に拡張可能な複数の環状部材1と、隣り合う環状部材1、1同士を長手軸方向に連結する1つまたは複数の連結要素2を含んでなる。環状部材1は、両端に自由端111、112を有する同じ方向を向いた複数のループ状要素11が接続要素12により接続されて円周方向に連続されてなる。展開された状態において、ループ状要素11は、その両端の自由端111、112を通る直線が長手軸と直交するように上下方向に配列されるとともに、隣り合うループ状要素11、11同士は、直近の自由端111、112で接続されており、隣り合う前記環状部材1、1同士は、直近の接続要素12、12の部分で連結されている。
【0013】
環状部材1は、生体管腔を開存状態に保つための半径方向に拡張可能な部材であり、両端に自由端111、112を有する同じ方向を向いた複数のループ状要素11が接続要素12により接続されて円周方向に連続されてなる。ループ状要素11は、展開された状態において、その両端の自由端111、112を通る直線が長手軸と直交するように上下方向に配列されており、隣り合うループ状要素11、11同士は、直近の自由端111、112が接続要素12により接続されている。
ループ状要素11は、両端に自由端111、112を有する開いた曲線要素からなるステントの構成要素をいい、自由端111、112を直線状または円弧などの単純な曲線状の要素で接続したときに、閉じた曲線要素の形成が可能なものをいう。具体的には、図4に示すように、円弧状、楕円状、M字状、ハート状、ダイア状、クラブ状、スペート状、キノコ状、電球状など、凡そ自由端111、112を直線状の要素または円弧などの単純な曲線状の要素で接続したときに、閉じた曲線要素の形成が可能なものであれば、種々の形状のものを採用することができる。
【0014】
環状部材1は、展開された状態において、左右両端の環状部材1、1のループ状要素11がそれぞれ左端および右端に位置するように配列されるのがよい。また、左右両端の環状部材1、1の接続要素12、12がそれぞれ左端および右端に位置するように配列されていてもよい。この場合、環状部材1は、中央付近でループ状要素11の向きが変わるように配列されるのが好ましい。
拡張時のバランスを考慮すれば、ループ状要素11は、展開された状態において、両端の自由端111、112を結ぶ直線の中心を通る直交軸に関して対称であるのがよい。また、拡張性を考慮すれば、ループ状要素11の長さは、両端の自由端111、112を結ぶ直線の長さより十分に大きくする必要がある。具体的には、ループ状要素11の長さは、両端の自由端111、112を結ぶ直線の長さの4〜8倍が好ましい。
また、拡張時の変形を考慮すれば、接続要素12は、両端のループ状要素11との接続部分121、123と直線状部分122を含んでなり、この接続部分121、123によりループ状要素11と接続要素12が滑らかに接続されるようなものが好ましい。すなわち、ループ状要素11と接続要素12は角張ったところのないように接続されるのが好ましい。
【0015】
隣り合う環状部材1、1同士は、直近の接続要素12、12の部分で、通常、その直線状部分122で連結要素2により連結されている。直線状部分122はステント拡張時に変形せず、また、長手方向にも移動しないので、隣り合う環状部材1、1同士を直近の接続要素12、12の直線状部分122、122で連結すれば、連結要素2に起因するショートニングを生じることがない。柔軟性を考慮すれば、連結要素2の数は少ない方がよい。従って、接続要素12、12同士全てを連結要素2で接続するのではなく、連結要素2の数が等間隔に2〜4本になるように、例えば接続要素12の1つ置きないし3つ置きに連結要素2で接続するのが好ましい。
連結要素2の形状は直線状であっても曲線状であっても構わないが、長手方向の柔軟性を考慮した場合、曲線状が好ましく、曲線形状としては、例えばS字状(逆S字状を含む)、波状、折れ線状など種々の形状が採用可能である。曲線が波状の場合、波の山は1つであっても複数であっても構わない。
尚、ステントの形成材料としては、ステンレス鋼、タングステン、タンタル、ニッケル−チタン合金などが採用可能である。
【0016】
〔屈曲性試験および血管径保持力試験など〕 表1に示すような展開図を有するステントについて応力解析を行い、その屈曲性(柔軟性)、ショートニングおよび血管径保持力を比較したところ、図9〜図11のような結果が得られた。
図9から、本発明のステントが従来のステントと比較してきわめて優れた柔軟性を有していることが分かる。また、図10および図11からそれぞれ、拡張時におけるショートニングおよび血管径保持力について、従来のステントと略同等の性能を示していることが分かる。
尚、屈曲性については、ステント片端を固定し、もう片端に1Nの荷重をかけた場合のステント変化量(mm)を解析した。グラフの値は解析値(mm)を個々のステント長さ(mm)で割った値を示している。
また、ショートニングについては、ステントを直径3.0mmに拡張した場合の長さの変化を解析した。グラフはステント長さの変化率を示している。
血管径保持力については、ステントを圧縮(圧力:100mmHg)した場合のステント直径の変化(mm)を解析した。グラフの値は圧縮前のステント直径との割合を示している。
【0017】
【表1】
【0018】
【発明の効果】
以上述べたことから明らかなように、本発明によれば、以下のような効果が期待できる。すなわち、1)ステントの管壁を構成する環状部材が、円周方向に連続するループ状模様の繰り返しからなるので、径方向への拡張性が良く、横穴形成も容易である。またステントの全長に亘って一様に拡張するので、拡張時のバランスが良い。また、採用可能な形状が多様であり屈曲時の出っ張りを極力抑制する形状を選択できるので、血管に優しいステントを提供することができる。2)環状部材をその接続要素部分で連結しているので、連結要素の数を減らすことにより拡張時のバランスが損なわれることがない。従って、連結要素の数を少なくでき、ステント全体を曲げに対して柔軟にすることができるので、管腔等への追従性に優れたステントを提供することができる。3)隣り合う環状部材同士が、接続要素の直線状部分で連結要素により連結されているので、連結要素に起因するショートニングを生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るステントの斜視図である。
【図2】図1に示すステントの展開図である。
【図3】図1に示すステントの拡張した状態を示す平面図である。
【図4】本発明の波状要素の例を示す図である。
【図5】本発明の他の実施例に係るステントの展開図である。
【図6】本発明の他の実施例に係るステントの展開図である。
【図7】本発明の他の実施例に係るステントの展開図である。
【図8】本発明の他の実施例に係るステントの展開図である。
【図9】本発明のステントと従来のステントの可撓性を比較する図である。
【図10】本発明のステントと従来のステントのショートニングを比較する図である。
【図11】本発明のステントと従来のステントの血管径保持力を比較する図である。
【図12】従来のステントの展開図である。
【図13】従来のステントの展開図である。
【図14】従来のステントの展開図である。
【符号の説明】
1 環状部材
11 ループ状要素
111、112 自由端
12 接続要素
121、123 接続部分
122 直線状部分
2 連結要素
【発明の属する技術分野】
本発明は血管等の体内管腔の管腔径維持を目的として生体内に埋め込まれる所謂ステントに関する。
【0002】
【従来の技術】
血管等の管腔径を広げ、得られた管腔のサイズを維持するために、従来、ステントが採用されている。ステントの拡張方法としては、バルーンによる拡張、形状記憶材料を用いた自己拡張、機械的拡張などがあるが、バルーンによる拡張が一般的である。バルーンによる拡張の場合、ステントはバルーンカテーテルと一緒に身体の所望の位置まで導入され、バルーンの膨張により拡張されて管腔径を広げる。ステントは、通常、血管等の管腔径を広げて保持する管腔径保持部と、それらを長手方向に繋ぐジョイント部からなり、拡張後の形状は維持される。
このような管腔径保持部とジョイント部からなるステントとしては、半径方向に独立に膨張可能な複数の円筒要素が、共通の軸線に略整列するように連結されたもの(特許文献1)や、相互に交差する複数の細長い部材によって形成された半径方向に伸張可能な管状部材からなるもの(特許文献2)、軸曲げ部にて一体的に接続された複数個の実質的に真っ直ぐで重なり合っていないセグメントを形成するように曲げられた少なくとも2つの単一のワイヤー状円形部材を備え、円形部材同士が軸曲げ部で堅固に接続されてなるもの(特許文献3)、第一及び第二方向に広がる軸を有する第一及び第二メアンダー模様をもつ模様形状の管よりなるもの(特許文献4)、斜め方向の相互連結素子で複数の円筒形セグメントを纏めてなり、末端が結合した支柱からなる開放構造型のもの(特許文献5)等が提案されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−181993号公報
【0004】
【特許文献2】
特開昭62−231657号公報
【0005】
【特許文献3】
特開平8−155035号公報
【0006】
【特許文献4】
特表平10−503676号公報
【0007】
【特許文献5】
特表平11−505441号公報
【0008】
しかしながら、これら従来のステントは、改良されているとはいえ、依然として、拡張したときにステントエッジ付近においてステントが血管等の管腔に負荷を与えるものであるため、管腔等の閉塞や狭窄が生じることがあった。また、十分な可撓性を有しているものとは言えないので、管腔等が三次元的に蛇行している場合、目的部位にステントを運ぶことが困難なこともあった。さらには、ステントを目的部位に運ぶ際に血管を傷つけてしまう場合もあった。また、留置位置に分岐した血管がある場合その留置されたステントに横穴を形成することが困難な場合が多かった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、如上の事情に鑑みてなされたもので、管腔等への追従性に優れており(従って三次元的に蛇行した管腔を通過可能)、横穴形成が容易で、実質的にショートニング(管長の短縮)の無い、均一に拡張する、管腔等に優しい柔軟なステントを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記課題を解決するために、鋭意検討の結果、円周方向に連続する複数のループ状要素からなる環状部材が、径方向への拡張性が良く、横穴形成が容易であり、またステントの全長に亘って一様に拡張すること、採用可能な形状が多様であり屈曲時の出っ張りを極力抑制する形状を選択できること、および、血管への挿入時の追従性は環状部材同士を連結する連結要素の数を適当に決めることにより任意に決められることに想到し、本発明を完成した。すなわち本発明は、長手軸方向に配列された半径方向に拡張可能な複数の環状部材と、隣り合うこの環状部材同士を長手軸方向に連結する1つまたは複数の連結要素を含んでなり、前記環状部材は、両端に自由端を有する同じ方向を向いた複数のループ状要素が接続要素により接続されて円周方向に連続されてなり、展開された状態において、前記ループ状要素は、その両端の自由端を通る直線が長手軸と直交するように上下方向に配列されるとともに、隣り合うループ状要素同士が直近の自由端で接続されており、隣り合う前記環状部材同士は、直近の接続要素の部分で連結されてなる、血管追従性および拡張性のよい、血管に優しい柔軟なステント関する。
ここで、環状部材は、展開された状態において、左右両端の環状部材のループ状要素がそれぞれ左端および右端に位置するように配列されるのがよい。また、左右両端の環状部材の接続要素がそれぞれ左端および右端に位置するように配列されていてもよい。この場合、環状部材は、中央付近でループ状要素の向きが変わるように配列されるのが好ましい。拡張時のバランスを考慮すれば、ループ状要素は、展開された状態において、両端の自由端を結ぶ直線の中心を通る直交軸に関して対称であるのがよい。
【0011】
拡張性を考慮すれば、ループ状要素の長さは、両端の自由端を結ぶ直線の長さより十分に大きくする必要がある。具体的には、ループ状要素の長さは、両端の自由端を結ぶ直線の長さの4〜8倍が好ましい。また、拡張時の変形を考慮すれば、接続要素は、両端のループ状要素との接続部分と直線状部分を含んでなり、この接続部分によりループ状要素と接続要素が滑らかに接続されるようなものが好ましい。柔軟性を考慮すれば、連結要素は等間隔に2〜4本設けられるのが好ましい。
連結要素の形状は直線状(但し、直線で連結可能な場合)であっても曲線状であってもよい。連結要素の形状が曲線状の場合、曲線の形状はS字状や逆S字状、波状が好ましい。曲線の形状が波状である場合、曲線は1つの波の山を有してなるものであっても複数の波の山を有してなるものであってもよい。
尚、本発明において、ループ状要素とは、両端に自由端を有する開いた曲線要素からなるステントの構成要素をいい、自由端を直線状または円弧などの単純な曲線状の要素で接続したときに、閉じた曲線要素の形成が可能なものをいう。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施例に係るステントの斜視図であり、図2は図1に示すステントの展開図、図3は図1に示すステントを拡張した状態を示す平面図である。また、図4はループ状要素の例を示す図、図5〜図8は本発明の他の実施例に係るステントの展開図であり、図9〜図11はそれぞれ本発明のステントと従来のステントの可撓性とショートニング、血管径保持力を比較する図である。
本発明のステントは、図1〜図3に示すように、長手軸方向に配列された半径方向に拡張可能な複数の環状部材1と、隣り合う環状部材1、1同士を長手軸方向に連結する1つまたは複数の連結要素2を含んでなる。環状部材1は、両端に自由端111、112を有する同じ方向を向いた複数のループ状要素11が接続要素12により接続されて円周方向に連続されてなる。展開された状態において、ループ状要素11は、その両端の自由端111、112を通る直線が長手軸と直交するように上下方向に配列されるとともに、隣り合うループ状要素11、11同士は、直近の自由端111、112で接続されており、隣り合う前記環状部材1、1同士は、直近の接続要素12、12の部分で連結されている。
【0013】
環状部材1は、生体管腔を開存状態に保つための半径方向に拡張可能な部材であり、両端に自由端111、112を有する同じ方向を向いた複数のループ状要素11が接続要素12により接続されて円周方向に連続されてなる。ループ状要素11は、展開された状態において、その両端の自由端111、112を通る直線が長手軸と直交するように上下方向に配列されており、隣り合うループ状要素11、11同士は、直近の自由端111、112が接続要素12により接続されている。
ループ状要素11は、両端に自由端111、112を有する開いた曲線要素からなるステントの構成要素をいい、自由端111、112を直線状または円弧などの単純な曲線状の要素で接続したときに、閉じた曲線要素の形成が可能なものをいう。具体的には、図4に示すように、円弧状、楕円状、M字状、ハート状、ダイア状、クラブ状、スペート状、キノコ状、電球状など、凡そ自由端111、112を直線状の要素または円弧などの単純な曲線状の要素で接続したときに、閉じた曲線要素の形成が可能なものであれば、種々の形状のものを採用することができる。
【0014】
環状部材1は、展開された状態において、左右両端の環状部材1、1のループ状要素11がそれぞれ左端および右端に位置するように配列されるのがよい。また、左右両端の環状部材1、1の接続要素12、12がそれぞれ左端および右端に位置するように配列されていてもよい。この場合、環状部材1は、中央付近でループ状要素11の向きが変わるように配列されるのが好ましい。
拡張時のバランスを考慮すれば、ループ状要素11は、展開された状態において、両端の自由端111、112を結ぶ直線の中心を通る直交軸に関して対称であるのがよい。また、拡張性を考慮すれば、ループ状要素11の長さは、両端の自由端111、112を結ぶ直線の長さより十分に大きくする必要がある。具体的には、ループ状要素11の長さは、両端の自由端111、112を結ぶ直線の長さの4〜8倍が好ましい。
また、拡張時の変形を考慮すれば、接続要素12は、両端のループ状要素11との接続部分121、123と直線状部分122を含んでなり、この接続部分121、123によりループ状要素11と接続要素12が滑らかに接続されるようなものが好ましい。すなわち、ループ状要素11と接続要素12は角張ったところのないように接続されるのが好ましい。
【0015】
隣り合う環状部材1、1同士は、直近の接続要素12、12の部分で、通常、その直線状部分122で連結要素2により連結されている。直線状部分122はステント拡張時に変形せず、また、長手方向にも移動しないので、隣り合う環状部材1、1同士を直近の接続要素12、12の直線状部分122、122で連結すれば、連結要素2に起因するショートニングを生じることがない。柔軟性を考慮すれば、連結要素2の数は少ない方がよい。従って、接続要素12、12同士全てを連結要素2で接続するのではなく、連結要素2の数が等間隔に2〜4本になるように、例えば接続要素12の1つ置きないし3つ置きに連結要素2で接続するのが好ましい。
連結要素2の形状は直線状であっても曲線状であっても構わないが、長手方向の柔軟性を考慮した場合、曲線状が好ましく、曲線形状としては、例えばS字状(逆S字状を含む)、波状、折れ線状など種々の形状が採用可能である。曲線が波状の場合、波の山は1つであっても複数であっても構わない。
尚、ステントの形成材料としては、ステンレス鋼、タングステン、タンタル、ニッケル−チタン合金などが採用可能である。
【0016】
〔屈曲性試験および血管径保持力試験など〕 表1に示すような展開図を有するステントについて応力解析を行い、その屈曲性(柔軟性)、ショートニングおよび血管径保持力を比較したところ、図9〜図11のような結果が得られた。
図9から、本発明のステントが従来のステントと比較してきわめて優れた柔軟性を有していることが分かる。また、図10および図11からそれぞれ、拡張時におけるショートニングおよび血管径保持力について、従来のステントと略同等の性能を示していることが分かる。
尚、屈曲性については、ステント片端を固定し、もう片端に1Nの荷重をかけた場合のステント変化量(mm)を解析した。グラフの値は解析値(mm)を個々のステント長さ(mm)で割った値を示している。
また、ショートニングについては、ステントを直径3.0mmに拡張した場合の長さの変化を解析した。グラフはステント長さの変化率を示している。
血管径保持力については、ステントを圧縮(圧力:100mmHg)した場合のステント直径の変化(mm)を解析した。グラフの値は圧縮前のステント直径との割合を示している。
【0017】
【表1】
【0018】
【発明の効果】
以上述べたことから明らかなように、本発明によれば、以下のような効果が期待できる。すなわち、1)ステントの管壁を構成する環状部材が、円周方向に連続するループ状模様の繰り返しからなるので、径方向への拡張性が良く、横穴形成も容易である。またステントの全長に亘って一様に拡張するので、拡張時のバランスが良い。また、採用可能な形状が多様であり屈曲時の出っ張りを極力抑制する形状を選択できるので、血管に優しいステントを提供することができる。2)環状部材をその接続要素部分で連結しているので、連結要素の数を減らすことにより拡張時のバランスが損なわれることがない。従って、連結要素の数を少なくでき、ステント全体を曲げに対して柔軟にすることができるので、管腔等への追従性に優れたステントを提供することができる。3)隣り合う環状部材同士が、接続要素の直線状部分で連結要素により連結されているので、連結要素に起因するショートニングを生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るステントの斜視図である。
【図2】図1に示すステントの展開図である。
【図3】図1に示すステントの拡張した状態を示す平面図である。
【図4】本発明の波状要素の例を示す図である。
【図5】本発明の他の実施例に係るステントの展開図である。
【図6】本発明の他の実施例に係るステントの展開図である。
【図7】本発明の他の実施例に係るステントの展開図である。
【図8】本発明の他の実施例に係るステントの展開図である。
【図9】本発明のステントと従来のステントの可撓性を比較する図である。
【図10】本発明のステントと従来のステントのショートニングを比較する図である。
【図11】本発明のステントと従来のステントの血管径保持力を比較する図である。
【図12】従来のステントの展開図である。
【図13】従来のステントの展開図である。
【図14】従来のステントの展開図である。
【符号の説明】
1 環状部材
11 ループ状要素
111、112 自由端
12 接続要素
121、123 接続部分
122 直線状部分
2 連結要素
Claims (15)
- 長手軸方向に配列された半径方向に拡張可能な複数の環状部材と、隣り合う該環状部材同士を長手軸方向に連結する1つまたは複数の連結要素を含んでなり、前記環状部材は、両端に自由端を有する同じ方向を向いた複数のループ状要素が接続要素により接続されて円周方向に連続されてなり、展開された状態において、前記ループ状要素は、その両端の自由端を通る直線が長手軸と直交するように上下方向に配列されるとともに、隣り合う該ループ状要素同士が直近の自由端で接続されており、隣り合う前記環状部材同士は、直近の接続要素の部分で連結されてなる、血管追従性および拡張性のよい、血管に優しい柔軟なステント。
- 環状部材は、展開された状態において、左右両端の環状部材のループ状要素がそれぞれ左端および右端に位置するように配列されてなる請求項1に記載のステント。
- 環状部材は、展開された状態において、左右両端の環状部材の接続要素がそれぞれ左端および右端に位置するように配列されてなる請求項1に記載のステント。
- 中央付近でループ状要素の向きが変わるように環状部材が配列されてなる請求項2または3に記載のステント。
- ループ状要素は、展開された状態において、両端の自由端を結ぶ直線の中心を通る直交軸に関して対称である請求項1〜4のいずれかに記載のステント。
- ループ状要素の長さが、両端の自由端を結ぶ直線の長さより十分に大きい請求項1〜5のいずれかに記載のステント。
- ループ状要素の長さが、両端の自由端を結ぶ直線の長さの4〜8倍である請求項6に記載のステント。
- 接続要素は、両端のループ状要素との接続部分と直線状部分を含んでなり、該接続部分によりループ状要素と接続要素が滑らかに接続されてなる請求項1〜7のいずれかに記載のステント。
- 連結要素が等間隔に2〜4本設けられてなる請求項1〜8のいずれかに記載のステント。
- 連結要素の形状が直線状である請求項1〜8のいずれかに記載のステント。
- 連結要素の形状が曲線状である請求項1〜10のいずれかに記載のステント。
- 曲線の形状がS字状または逆S字状である請求項11に記載のステント。
- 曲線の形状が波状である請求項11に記載のステント。
- 曲線が1つの波の山を有してなる請求項13に記載のステント。
- 曲線が複数の波の山を有してなる請求項13に記載のステント。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2003
- 2003-06-24 JP JP2003178941A patent/JP2005013302A/ja active Pending
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