JP2004235273A - 太陽電池素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】半導体基板の割れを防止できるとともに、出力特性の良好な太陽電池素子の形成方法を提供する。
【解決手段】半導体接合部を有する半導体基板1の一主面側に銀を主成分とする表面電極4を焼きつけるとともに、他の主面側に銀を主成分とする出力取出電極5とアルミニウムを主成分とする集電電極6からなる裏面電極を焼きつける太陽電池素子の製造方法であって、上記出力取出電極5は銀ペーストを塗布して酸性ガスを含む雰囲気中でアニールした後に焼きつける。
【選択図】 図1
【解決手段】半導体接合部を有する半導体基板1の一主面側に銀を主成分とする表面電極4を焼きつけるとともに、他の主面側に銀を主成分とする出力取出電極5とアルミニウムを主成分とする集電電極6からなる裏面電極を焼きつける太陽電池素子の製造方法であって、上記出力取出電極5は銀ペーストを塗布して酸性ガスを含む雰囲気中でアニールした後に焼きつける。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は太陽電池素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来のシリコン太陽電池の代表的な製造工程を図1に示す。まず図1(a)のようにP型半導体基板1を準備する。そして、図1(b)に示すように、半導体基板1をN型不純物雰囲気中で熱処理などして、半導体基板1の一主面側近傍全面に一定の深さまでN型不純物を拡散させてN型を呈する拡散層2を形成する。
次に、図1(c)に示すように、半導体基板1の一主面側にCVD法などで反射防止膜3を形成する。次に、拡散層2を分離した後、一主面側側に表面電極4を形成するとともに、他の主面側に出力取出電極6と集電電極5とを形成することにより図1(d)に示すような太陽電池素子を得る。
【0003】
表面電極4は例えば反射防止膜3の上に表面電極材料を塗布して焼成することによって表面電極材料の下の反射防止膜3を溶融させて半導体基板1と直接接触させるいわゆるファイヤースルー法によって形成される。
【0004】
裏面電極5、6は例えば半導体基板1の他の主面側の一領域に銀ペーストを塗布して乾燥したのち、その領域の周辺部に一部が重なるようにアルミニウムペーストを塗布して同時に焼成する同時焼成法(一段階焼成)によって形成される(例えば特許文献1参照)。
【0005】
図3は裏面電極5、6の構造を説明するための図であり、(a)は太陽電池素子を他の主面側から見たときの図、(b)は太陽電池素子の断面を示す。図3において、1は半導体基板、5は出力取出電極、6は集電電極、7は合金層を示す。
【0006】
この従来の太陽電池素子の形成方法では、焼成の際に集電電極5のアルミニウムと出力取出電極6の銀との重なり部、つまり熱膨張係数の異なる半導体基板1とアルミニウムと銀との重なり部に合金層7が形成されて応力が発生して半導体基板1の割れの原因になるという問題があった。
【0007】
この問題を解決するため、アルミニウムペーストを半導体基板1の他の主面側の一部を除いた大部分に塗布して乾燥して1回目の焼成を行った後、その周縁部を覆うようにアルミニウムペーストを塗布しなかった部分に銀ペーストを塗布して乾燥した後、半導体基板1の一主面側に銀ペーストを塗布して乾燥して2回目の焼成を行う方法もある(例えば特許文献1参照。)。
【0008】
この方法によればアルミニウムと銀の重なり部分に応力が発生するという問題は緩和されるものの、表面電極4をファイヤースルー法で形成する場合、焼成温度が低すぎると反射防止膜3を充分に溶融させることができず、表面電極4と半導体基板1との接触抵抗を十分に低下させることができないという問題が発生する。また、焼成温度が高すぎると集電電極5のアルミニウムと出力取出電極6の銀との重なり部、つまり熱膨張係数の異なる半導体基板1とアルミニウムと銀との重なり部に応力が発生して半導体基板1の割れの原因になるという問題が再度発生する。さらに、焼成が2回になり高温プロセスが増えるため、製造コストの上昇を招いたり、太陽電池素子の出力特性の低下を招くという問題が発生することがあった。
【0009】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、半導体基板の割れを防止できるとともに、出力特性の良好な太陽電池素子の形成方法を提供することを目的とする。
【0010】
【特許文献1】
特開平10−335267号公報
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る太陽電池素子の製造方法によれば、半導体接合部を有する半導体基板の一主面側に銀を主成分とする表面電極を焼きつけるとともに、他の主面側に銀を主成分とする出力取出電極とアルミニウムを主成分とする集電電極からなる裏面電極を焼きつける太陽電池素子の製造方法において、前記出力取出電極は銀ペーストを塗布して酸性ガスを含む雰囲気中でアニールした後に焼きつけられることを特徴とする。
【0012】
上記太陽電池素子の製造方法では、前記アニールを50℃以上300℃以下の温度ですることが望ましい。
【0013】
また、上記太陽電池モジュールの製造方法では、前記酸性ガスは塩化水素ガスあるいは弗化水素ガスであることが望ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて詳細に説明する。本発明に係る太陽電池素子の製造方法も基本的には従来の太陽電池素子の製造方法と同様である。つまり図1(a)のようにP型半導体基板1を準備する。そして、図1(b)に示すように、半導体基板1をN型不純物雰囲気中で熱処理などして、半導体基板1の一主面側近傍全面に一定の深さまでN型不純物を拡散させてN型を呈する拡散層2を形成する。次に、図1(c)に示すように、半導体基板1の一主面側にCVD法などで反射防止膜3を形成する。拡散層2を分離した後、一主面側に表面電極4を形成するとともに、他の主面側には裏面電極5、6を形成する。
【0015】
図2は本発明に係る太陽電池素子の裏面電極の構造の一例を示す図であり、(a)は太陽電池素子を他の主面側から見たときの図、(b)は太陽電池素子の断面を示す。図2において、1は半導体基板、5は出力取出電極、6は集電電極を示す。
【0016】
図2に示すように、出力取出電極5となる銀ペーストを塗布した後、その一部と重なるように集電電極6となるアルミニウムペーストを塗布する。また、半導体基板1の一主面側には表面電極4となる銀ペーストを塗布して焼きつけることにより、図1(d)に示すような太陽電池素子を得る。
【0017】
この銀ペーストは例えば銀と有機ビヒクルとガラスフリットを銀100重量部に対してそれぞれ10〜30重量部、0.1〜5重量部を添加してぺースト状にしたもので、アルミニウムペーストは例えばアルミニウム粉末が70重量部、ガラスフリットが1重量部、有機結合剤が3重量部、有機溶剤が26重量部などでペースト状にしたものである。
【0018】
本発明による太陽電池素子の製造方法によれば、出力取出電極5となる銀ペーストを塗布したあと、酸性ガスを含む雰囲気中でアニ−ルする。このようにすることにより、出力取出電極5となる銀ペースト中に含まれる銀の表面が酸性ガスと反応して酸化される。これによってその後に焼成を行っても集電電極6となるアルミニウムと合金化するのを極力抑えることができる。
【0019】
図3(b)に示すように、従来の太陽電池素子の製造方法で製造した太陽電池素子では、出力取出電極5と集電電極6の重なり部に合金層7が形成されるのに対し、本発明による太陽電池素子の製造方法で製造した太陽電池素子では図2(b)に示すように、出力取出電極5と集電電極6の重なり部に合金層が形成されず、従来問題であった半導体基板1とアルミニウムと銀との重なり部に応力が発生して半導体基板1が割れるという問題を解決できる。
【0020】
このときのアニ−ルの温度は50℃以上300℃以下であったほうがよい。50℃以下になると出力取出電極5となる銀ペースト中に含まれる銀の表面が酸化されるのに長時間を要するため生産性が悪い。また、逆に300℃以上になると酸化が著しく進行するため、焼きつけて出力取出電極5となったときの抵抗が増大し、太陽電池素子の出力の低下を招く。時間は使用するガスにより反応の強さが違うので一概には言えないが、例えば5〜60分程度行う。5分以下であれば効果は現れず、60分以上になれば生産性の問題で不適当である。
【0021】
さらに、上記酸性ガスとしては塩化水素ガスまたは弗化水素ガスを用いることが望ましい。これらのガスは金属に対しての酸化力が強いためにアニ−ル時間を短くでき、生産性の向上を図れる。これらの酸性ガスの濃度はガスの種類により反応の強さが異なるので一概には言えないが、数ppmでも効果はある。
【0022】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく本発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正および変更を加えうることはもちろんである。例えばアルミニウムペーストと銀ペーストを塗布する順番を逆にすることも可能である。つまり集電電極6となるアルミニウムペーストを塗布した後、その一部と重なるように出力取出電極5となる銀ペーストを塗布する。そのあと酸性ガスを含む雰囲気中でアニ−ルしても同様の効果を得られる。また、図2の裏面電極パターンはその一例であって、この形状に制限されるものではない。
【0023】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示す。図1(a)に示すように、半導体基板1として15cm角で厚さ0.3mm、比抵抗1.5Ω・cmのP型シリコン基板を準備した。そして、図1(b)に示すように、熱拡散法でオキシ塩化リン(POCl3)を拡散源として、深さ0.5μmのN型拡散層2を形成した。
【0024】
次に、一主面側にプラズマCVD法で窒化シリコンの反射防止膜3を800Åの厚さで形成した後、拡散層2を分離した。
【0025】
最後に、図2(a)に示すパターンで他の主面側に銀ペーストを塗布してから各条件ごとに振り分けた。アニ−ル有りのものについては塩化水素を100ppm含む雰囲気中でそれぞれ30℃、50℃、150℃、300℃、400℃で20minのアニール処理を施した。この後アニ−ルなしのものも含めた全ての素子にアルミニウムペーストを塗布し、一主面側にも銀ペーストを塗布して800℃で焼成することにより表面電極4、出力取出電極5および集電電極6を形成した。
【0026】
このとき、アニール処理を行わなかった素子には、図2に示すように、出力取出電極5と集電電極6の重なり部とその周辺の約0.5mmの領域に合金層7が形成された。一方、アニール処理を行った素子には図3に示すような合金層は目視では確認されなかった。その後全ての素子を溶融半田に浸漬して引き上げることで集電電極5と表面電極4の表面を半田で被覆して太陽電池素子を得た。この太陽電池素子の後工程における集電電極6と出力取出電極5の重なり部の周辺を起点とする割れの発生率と変換効率を表1に示した。全条件ともそれぞれ1000枚を作成し、変換効率は割れなかった素子測定した平均値である。
【0027】
【表1】
【0028】
表1に示すようにアニ−ル処理を行わなかった太陽電池素子の割れ発生率が2.5%であったのに対し、アニ−ル処理を行った太陽電池素子の割れ発生率はアニ−ル温度が30℃の条件では1.1%で、アニ−ル温度が50℃以上の条件では0.5%以下と大きく減少した。
【0029】
一方、変換効率はアニ−ル処理を行わなかった太陽電池素子の平均が16.2%であったのに対し、400℃でアニ−ルを行ったものは15.8%であり、300℃以下でアニ−ル処理を行った太陽電池素子の平均が16.1〜16.3%とほぼ同等の結果となった。
【0030】
50℃以上300℃以下の温度でアニ−ル処理を行ったものについては、アニ−ル処理を行わなかったものと比較して割れの発生率が低下し、変換効率はほぼ同等の結果となった。
【0031】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る太陽電池素子の製造方法によれば、半導体基板の他の主面側の出力取出電極は銀ペーストを塗布して酸性ガスを含む雰囲気中でアニールした後に焼きつけられることから、出力取出電極となる銀ペースト中に含まれる銀の表面が酸性ガスと反応して集電電極となるアルミニウムと合金化するのを極力抑えることができる。そのため、従来問題であった半導体基板とアルミニウムと銀との重なり部に応力が発生して半導体基板が割れるという問題を解消できる。
【0032】
また、上記アニールを50℃以上300℃以下の温度ですることにより、半導体基板が割れるという問題を解決できるとともに、太陽電池素子の変換効率の低下も防ぐことができる。
【0033】
さらに、上記酸性ガスが金属に対する酸化力の強い塩化水素ガスあるいは弗化水素ガスであれば、半導体基板が割れるという問題を解決できるとともに、アニ−ル時間を短くして生産性の向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る太陽電池素子の製造方法を説明するための図である。
【図2】本発明に係る太陽電池素子の製造方法によって得られる太陽電池素子を示す図であり、(a)は太陽電池素子の他の主面側、(b)は断面を示す図である。
【図3】従来の太陽電池素子の製造方法によって得られる太陽電池素子を示す図であり、(a)は太陽電池素子の他の主面側、(b)は断面を示す図である。
【符号の説明】
1・・・・・・半導体基板、2・・・・・・拡散層、3・・・・・・反射防止膜、4・・・・・・・表面電極、5・・・・・・・出力取出電極、6・・・・・・集電電極、7・・・・・・合金層
【発明の属する技術分野】
本発明は太陽電池素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来のシリコン太陽電池の代表的な製造工程を図1に示す。まず図1(a)のようにP型半導体基板1を準備する。そして、図1(b)に示すように、半導体基板1をN型不純物雰囲気中で熱処理などして、半導体基板1の一主面側近傍全面に一定の深さまでN型不純物を拡散させてN型を呈する拡散層2を形成する。
次に、図1(c)に示すように、半導体基板1の一主面側にCVD法などで反射防止膜3を形成する。次に、拡散層2を分離した後、一主面側側に表面電極4を形成するとともに、他の主面側に出力取出電極6と集電電極5とを形成することにより図1(d)に示すような太陽電池素子を得る。
【0003】
表面電極4は例えば反射防止膜3の上に表面電極材料を塗布して焼成することによって表面電極材料の下の反射防止膜3を溶融させて半導体基板1と直接接触させるいわゆるファイヤースルー法によって形成される。
【0004】
裏面電極5、6は例えば半導体基板1の他の主面側の一領域に銀ペーストを塗布して乾燥したのち、その領域の周辺部に一部が重なるようにアルミニウムペーストを塗布して同時に焼成する同時焼成法(一段階焼成)によって形成される(例えば特許文献1参照)。
【0005】
図3は裏面電極5、6の構造を説明するための図であり、(a)は太陽電池素子を他の主面側から見たときの図、(b)は太陽電池素子の断面を示す。図3において、1は半導体基板、5は出力取出電極、6は集電電極、7は合金層を示す。
【0006】
この従来の太陽電池素子の形成方法では、焼成の際に集電電極5のアルミニウムと出力取出電極6の銀との重なり部、つまり熱膨張係数の異なる半導体基板1とアルミニウムと銀との重なり部に合金層7が形成されて応力が発生して半導体基板1の割れの原因になるという問題があった。
【0007】
この問題を解決するため、アルミニウムペーストを半導体基板1の他の主面側の一部を除いた大部分に塗布して乾燥して1回目の焼成を行った後、その周縁部を覆うようにアルミニウムペーストを塗布しなかった部分に銀ペーストを塗布して乾燥した後、半導体基板1の一主面側に銀ペーストを塗布して乾燥して2回目の焼成を行う方法もある(例えば特許文献1参照。)。
【0008】
この方法によればアルミニウムと銀の重なり部分に応力が発生するという問題は緩和されるものの、表面電極4をファイヤースルー法で形成する場合、焼成温度が低すぎると反射防止膜3を充分に溶融させることができず、表面電極4と半導体基板1との接触抵抗を十分に低下させることができないという問題が発生する。また、焼成温度が高すぎると集電電極5のアルミニウムと出力取出電極6の銀との重なり部、つまり熱膨張係数の異なる半導体基板1とアルミニウムと銀との重なり部に応力が発生して半導体基板1の割れの原因になるという問題が再度発生する。さらに、焼成が2回になり高温プロセスが増えるため、製造コストの上昇を招いたり、太陽電池素子の出力特性の低下を招くという問題が発生することがあった。
【0009】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、半導体基板の割れを防止できるとともに、出力特性の良好な太陽電池素子の形成方法を提供することを目的とする。
【0010】
【特許文献1】
特開平10−335267号公報
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る太陽電池素子の製造方法によれば、半導体接合部を有する半導体基板の一主面側に銀を主成分とする表面電極を焼きつけるとともに、他の主面側に銀を主成分とする出力取出電極とアルミニウムを主成分とする集電電極からなる裏面電極を焼きつける太陽電池素子の製造方法において、前記出力取出電極は銀ペーストを塗布して酸性ガスを含む雰囲気中でアニールした後に焼きつけられることを特徴とする。
【0012】
上記太陽電池素子の製造方法では、前記アニールを50℃以上300℃以下の温度ですることが望ましい。
【0013】
また、上記太陽電池モジュールの製造方法では、前記酸性ガスは塩化水素ガスあるいは弗化水素ガスであることが望ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて詳細に説明する。本発明に係る太陽電池素子の製造方法も基本的には従来の太陽電池素子の製造方法と同様である。つまり図1(a)のようにP型半導体基板1を準備する。そして、図1(b)に示すように、半導体基板1をN型不純物雰囲気中で熱処理などして、半導体基板1の一主面側近傍全面に一定の深さまでN型不純物を拡散させてN型を呈する拡散層2を形成する。次に、図1(c)に示すように、半導体基板1の一主面側にCVD法などで反射防止膜3を形成する。拡散層2を分離した後、一主面側に表面電極4を形成するとともに、他の主面側には裏面電極5、6を形成する。
【0015】
図2は本発明に係る太陽電池素子の裏面電極の構造の一例を示す図であり、(a)は太陽電池素子を他の主面側から見たときの図、(b)は太陽電池素子の断面を示す。図2において、1は半導体基板、5は出力取出電極、6は集電電極を示す。
【0016】
図2に示すように、出力取出電極5となる銀ペーストを塗布した後、その一部と重なるように集電電極6となるアルミニウムペーストを塗布する。また、半導体基板1の一主面側には表面電極4となる銀ペーストを塗布して焼きつけることにより、図1(d)に示すような太陽電池素子を得る。
【0017】
この銀ペーストは例えば銀と有機ビヒクルとガラスフリットを銀100重量部に対してそれぞれ10〜30重量部、0.1〜5重量部を添加してぺースト状にしたもので、アルミニウムペーストは例えばアルミニウム粉末が70重量部、ガラスフリットが1重量部、有機結合剤が3重量部、有機溶剤が26重量部などでペースト状にしたものである。
【0018】
本発明による太陽電池素子の製造方法によれば、出力取出電極5となる銀ペーストを塗布したあと、酸性ガスを含む雰囲気中でアニ−ルする。このようにすることにより、出力取出電極5となる銀ペースト中に含まれる銀の表面が酸性ガスと反応して酸化される。これによってその後に焼成を行っても集電電極6となるアルミニウムと合金化するのを極力抑えることができる。
【0019】
図3(b)に示すように、従来の太陽電池素子の製造方法で製造した太陽電池素子では、出力取出電極5と集電電極6の重なり部に合金層7が形成されるのに対し、本発明による太陽電池素子の製造方法で製造した太陽電池素子では図2(b)に示すように、出力取出電極5と集電電極6の重なり部に合金層が形成されず、従来問題であった半導体基板1とアルミニウムと銀との重なり部に応力が発生して半導体基板1が割れるという問題を解決できる。
【0020】
このときのアニ−ルの温度は50℃以上300℃以下であったほうがよい。50℃以下になると出力取出電極5となる銀ペースト中に含まれる銀の表面が酸化されるのに長時間を要するため生産性が悪い。また、逆に300℃以上になると酸化が著しく進行するため、焼きつけて出力取出電極5となったときの抵抗が増大し、太陽電池素子の出力の低下を招く。時間は使用するガスにより反応の強さが違うので一概には言えないが、例えば5〜60分程度行う。5分以下であれば効果は現れず、60分以上になれば生産性の問題で不適当である。
【0021】
さらに、上記酸性ガスとしては塩化水素ガスまたは弗化水素ガスを用いることが望ましい。これらのガスは金属に対しての酸化力が強いためにアニ−ル時間を短くでき、生産性の向上を図れる。これらの酸性ガスの濃度はガスの種類により反応の強さが異なるので一概には言えないが、数ppmでも効果はある。
【0022】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく本発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正および変更を加えうることはもちろんである。例えばアルミニウムペーストと銀ペーストを塗布する順番を逆にすることも可能である。つまり集電電極6となるアルミニウムペーストを塗布した後、その一部と重なるように出力取出電極5となる銀ペーストを塗布する。そのあと酸性ガスを含む雰囲気中でアニ−ルしても同様の効果を得られる。また、図2の裏面電極パターンはその一例であって、この形状に制限されるものではない。
【0023】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示す。図1(a)に示すように、半導体基板1として15cm角で厚さ0.3mm、比抵抗1.5Ω・cmのP型シリコン基板を準備した。そして、図1(b)に示すように、熱拡散法でオキシ塩化リン(POCl3)を拡散源として、深さ0.5μmのN型拡散層2を形成した。
【0024】
次に、一主面側にプラズマCVD法で窒化シリコンの反射防止膜3を800Åの厚さで形成した後、拡散層2を分離した。
【0025】
最後に、図2(a)に示すパターンで他の主面側に銀ペーストを塗布してから各条件ごとに振り分けた。アニ−ル有りのものについては塩化水素を100ppm含む雰囲気中でそれぞれ30℃、50℃、150℃、300℃、400℃で20minのアニール処理を施した。この後アニ−ルなしのものも含めた全ての素子にアルミニウムペーストを塗布し、一主面側にも銀ペーストを塗布して800℃で焼成することにより表面電極4、出力取出電極5および集電電極6を形成した。
【0026】
このとき、アニール処理を行わなかった素子には、図2に示すように、出力取出電極5と集電電極6の重なり部とその周辺の約0.5mmの領域に合金層7が形成された。一方、アニール処理を行った素子には図3に示すような合金層は目視では確認されなかった。その後全ての素子を溶融半田に浸漬して引き上げることで集電電極5と表面電極4の表面を半田で被覆して太陽電池素子を得た。この太陽電池素子の後工程における集電電極6と出力取出電極5の重なり部の周辺を起点とする割れの発生率と変換効率を表1に示した。全条件ともそれぞれ1000枚を作成し、変換効率は割れなかった素子測定した平均値である。
【0027】
【表1】
【0028】
表1に示すようにアニ−ル処理を行わなかった太陽電池素子の割れ発生率が2.5%であったのに対し、アニ−ル処理を行った太陽電池素子の割れ発生率はアニ−ル温度が30℃の条件では1.1%で、アニ−ル温度が50℃以上の条件では0.5%以下と大きく減少した。
【0029】
一方、変換効率はアニ−ル処理を行わなかった太陽電池素子の平均が16.2%であったのに対し、400℃でアニ−ルを行ったものは15.8%であり、300℃以下でアニ−ル処理を行った太陽電池素子の平均が16.1〜16.3%とほぼ同等の結果となった。
【0030】
50℃以上300℃以下の温度でアニ−ル処理を行ったものについては、アニ−ル処理を行わなかったものと比較して割れの発生率が低下し、変換効率はほぼ同等の結果となった。
【0031】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る太陽電池素子の製造方法によれば、半導体基板の他の主面側の出力取出電極は銀ペーストを塗布して酸性ガスを含む雰囲気中でアニールした後に焼きつけられることから、出力取出電極となる銀ペースト中に含まれる銀の表面が酸性ガスと反応して集電電極となるアルミニウムと合金化するのを極力抑えることができる。そのため、従来問題であった半導体基板とアルミニウムと銀との重なり部に応力が発生して半導体基板が割れるという問題を解消できる。
【0032】
また、上記アニールを50℃以上300℃以下の温度ですることにより、半導体基板が割れるという問題を解決できるとともに、太陽電池素子の変換効率の低下も防ぐことができる。
【0033】
さらに、上記酸性ガスが金属に対する酸化力の強い塩化水素ガスあるいは弗化水素ガスであれば、半導体基板が割れるという問題を解決できるとともに、アニ−ル時間を短くして生産性の向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る太陽電池素子の製造方法を説明するための図である。
【図2】本発明に係る太陽電池素子の製造方法によって得られる太陽電池素子を示す図であり、(a)は太陽電池素子の他の主面側、(b)は断面を示す図である。
【図3】従来の太陽電池素子の製造方法によって得られる太陽電池素子を示す図であり、(a)は太陽電池素子の他の主面側、(b)は断面を示す図である。
【符号の説明】
1・・・・・・半導体基板、2・・・・・・拡散層、3・・・・・・反射防止膜、4・・・・・・・表面電極、5・・・・・・・出力取出電極、6・・・・・・集電電極、7・・・・・・合金層
Claims (3)
- 半導体接合部を有する半導体基板の一主面側に銀を主成分とする表面電極を焼きつけるとともに、他の主面側に銀を主成分とする出力取出電極とアルミニウムを主成分とする集電電極からなる裏面電極を焼きつける太陽電池素子の製造方法において、前記出力取出電極は銀ペーストを塗布して酸性ガスを含む雰囲気中でアニールした後に焼きつけられることを特徴とする太陽電池素子の製造方法。
- 前記アニールを50℃以上300℃以下の温度ですることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池素子の製造方法。
- 前記酸性ガスが塩化水素ガスあるいは弗化水素ガスであることを特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池素子の製造方法。
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JP2003019534A JP2004235273A (ja) | 2003-01-28 | 2003-01-28 | 太陽電池素子の製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007288954A (ja) * | 2006-04-19 | 2007-11-01 | Toyo Electric Mfg Co Ltd | 分散電源用発電装置の直流出力回路 |
KR100775733B1 (ko) | 2005-04-14 | 2007-11-09 | 이 아이 듀폰 디 네모아 앤드 캄파니 | 반도체 소자의 제조 방법 및 그에 사용되는 전도성 조성물 |
-
2003
- 2003-01-28 JP JP2003019534A patent/JP2004235273A/ja active Pending
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