JP2004235108A - 電界放射型電子源の調整方法および駆動方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】調整工程では、事前に行った調整準備工程において、例えば、図1に示すようにそれぞれ異なる駆動電圧−エミッション電流特性A,B,C,Dが得られたとすると、図1中で同一の駆動電圧でのエミッション電流が最も大きな駆動電圧−エミッション電流特性Aが得られた電子源素子を代表電子源源素子とし、図1のB,C,Dの駆動電圧−エミッション電流特性が得られた電子源素子を調整対象電子源素子として、調整対象電子源素子の駆動電圧−エミッション電流特性B,C,Dを代表電子源素子の駆動電圧−エミッション電流特性Aに近づけるように、調整対象電子源素子の駆動電圧−エミッション電流特性B,C,Dを変化させる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電界放射により電子線を放射する電子源素子を備えた電界放射型電子源の調整方法および駆動方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電界放射型電子源として、下部電極と、下部電極に対向する金属薄膜よりなる表面電極(上部電極)と、下部電極と表面電極との間に介在し下部電極と表面電極との間に表面電極を高電位側として電圧を印加したときに作用する電界により下部電極から表面電極へ向かう向きへ電子が通過する電子通過層とを備え、電子通過層を通過した電子が表面電極を通して放射されるものが知られている。なお、この種の電界放射型電子源としては、電子通過層として酸化若しくは窒化した多孔質多結晶シリコン層からなる強電界ドリフト層を採用した構成のもの(例えば、特許文献1参照)や、電子通過層として酸化若しくは窒化した単結晶シリコン層を採用した構成のものや、電子通過層として絶縁体層を採用した構成のMIM(Metal−Insulator−Metal)型の電界放射型電子源などが知られている。
【0003】
上述の強電界ドリフト層を有する電界放射型電子源は、例えば、図11に示すように構成されている。図11に示す構成の電界放射型電子源10は、導電性基板としてのn形シリコン基板1の主表面側に酸化した多孔質多結晶シリコン層(多孔質化された多結晶シリコン層)よりなる強電界ドリフト層6が形成され、強電界ドリフト層6上に金属薄膜(例えば、金薄膜)よりなる表面電極7が形成されている。また、n形シリコン基板1の裏面にはオーミック電極2が形成されており、n形シリコン基板1とオーミック電極2とで下部電極12を構成している。なお、図11に示す例では、n形シリコン基板1と強電界ドリフト層6との間にノンドープの多結晶シリコン層3を介在させてあるが、多結晶シリコン層3を介在させずにn形シリコン基板1の主表面上に強電界ドリフト層6を形成した構成も提案されている。
【0004】
図11に示す構成の電界放射型電子源10から電子を放射させるには、表面電極7に対向配置されたコレクタ電極21を設け、表面電極7とコレクタ電極21との間を真空とした状態で、表面電極7が下部電極12に対して高電位側となるように表面電極7と下部電極12との間に直流電圧Vpsを印加するとともに、コレクタ電極21が表面電極7に対して高電位側となるようにコレクタ電極21と表面電極7との間に直流電圧Vcを印加する。各直流電圧Vps,Vcを適宜に設定すれば、下部電極12から注入された電子が強電界ドリフト層6をドリフトし表面電極7を通して放射される(図11中の一点鎖線は表面電極7を通して放射された電子e−の流れを示す)。なお、表面電極7の厚さは10〜15nm程度に設定されている。
【0005】
ところで、上述の図11に示した電界放射型電子源10では、n形シリコン基板1とオーミック電極2とで下部電極12を構成しているが、図12に示すように、例えばガラス基板よりなる絶縁性基板11の一表面上に金属材料よりなる下部電極12を形成した電界放射型電子源10も提案されている。ここに、上述の図11に示した電界放射型電子源10と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0006】
図12に示す構成の電界放射型電子源10から電子を放射させるには、表面電極7に対向配置されたコレクタ電極21を設け、表面電極7とコレクタ電極21との間を真空とした状態で、表面電極7が下部電極12に対して高電位側となるように表面電極7と下部電極12との間に直流電圧Vpsを印加するとともに、コレクタ電極21が表面電極7に対して高電位側となるようにコレクタ電極21と表面電極7との間に直流電圧Vcを印加する。各直流電圧Vps,Vcを適宜に設定すれば、下部電極12から注入された電子が強電界ドリフト層6をドリフトし表面電極7を通して放射される(図12中の一点鎖線は表面電極7を通して放射された電子e−の流れを示す)。
【0007】
上述の各電界放射型電子源10では、表面電極7と下部電極12との間に流れる電流をダイオード電流Ipsと呼び、コレクタ電極21と表面電極7との間に流れる電流をエミッション電流(放出電子電流)Ieと呼ぶことにすれば(図11および図12参照)、ダイオード電流Ipsに対するエミッション電流Ieの比率(=Ie/Ips)が大きいほど電子放出効率が高くなる。なお、上述の各電界放射型電子源10では、表面電極7と下部電極12との間に印加する直流電圧Vpsを10〜20V程度の低電圧としても電子を放射させることができ、直流電圧Vpsが大きいほどエミッション電流Ieが大きくなる。
【0008】
また、図12に示した電界放射型電子源10を例えばマルチカラーの画像表示装置のような表示装置の電子源として応用する場合には、例えば図13に示す構成を採用すればよい。
【0009】
図13に示す電界放射型電子源10は、ガラス基板よりなる絶縁性基板11と、絶縁性基板11の一表面上に列設された複数の導電性層(例えば、n形多結晶シリコン)よりなる下部電極12aと、下部電極12aの間を埋めるノンドープの多結晶シリコンよりなる絶縁部12bと、下部電極12aに重なる形で形成された複数の酸化した多孔質半導体層たる多孔質多結晶シリコン層よりなるドリフト部6aおよびドリフト部6aの間を埋める多結晶シリコン層よりなる分離部6bとを有する強電界ドリフト層6と、強電界ドリフト層6の上で下部電極12aに交差する方向に形成された複数の表面電極7とを備えている。なお、下部電極12aは短冊状に形成され、長手方向の両端部上にそれぞれパッド27が形成されている。また、表面電極7は短冊状に形成され、長手方向の両端部でそれぞれパッド28に接続されている。
【0010】
この電界放射型電子源10では、絶縁性基板11の一表面上に列設された複数の下部電極12aと、強電界ドリフト層6上に形成された複数の表面電極7との間に強電界ドリフト層6のドリフト部6aが挟まれているから、表面電極7と下部電極12aとの組を適宜選択して選択した組間に電圧を印加することにより、選択された表面電極7と下部電極12aとの交点に相当する部位のドリフト部6aにのみ強電界が作用して電子が放出される。つまり、表面電極7と下部電極12aとからなるマトリクス(格子)の格子点に、表面電極7と下部電極12aとドリフト部6aとからなる電子源素子10aを1つずつ配置したことに相当し、電圧を印加する表面電極7と下部電極12aとの組を選択することによって所望の電子源素子10aから電子を放射させることが可能になる。ところで、電界放射型電子源10にはガラス製のフェースプレート(図示せず)が対向配置されており、フェースプレートにおける電界放射型電子源10との対向面には透明な導電膜(例えば、ITO膜)よりなるアノード電極が形成され、アノード電極における電界放射型電子源10との対向面には、画素ごとに形成された蛍光物質と蛍光物質間に形成された黒色材料からなるブラックストライプとが設けられている(蛍光物質およびブラックストライプはフェースプレートにおける表示領域に設けられている)。また、蛍光物質はアノード電極における電界放射型電子源10との対向面に塗布されており、電子源素子10aから放射される電子線によって可視光を発光する。なお、蛍光物質には電子源素子10aから放射されアノード電極に印加された電圧によって加速された高エネルギの電子が衝突するようになっている。蛍光物質としてはR(赤色),G(緑色),B(青色)の各発光色のものを用いている。
【0011】
また、多数の電子源素子を備えた電界放射型電子源としては、上部電極と下部電極と電子通過層である絶縁体層とからなるMIM型の電子源素子をマトリクス状に配置したものも知られている。
【0012】
また、多数の電子源素子をマトリクス状に配置した電子源において、配線抵抗のばらつきを低減することで画素の輝度の均一化を図ることが提案されている(例えば、特許文献2)。
【0013】
【特許文献1】
特許第2987140号公報(第4頁−第7頁、図1、図3)
【特許文献2】
特開2002−203475号公報(第4頁−第6頁)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図13に示した従来構成のように多数の電子源素子10aをマトリクス状に配置した電界放射型電子源10を表示パネルの電子源として利用した場合、各電子源素子10aそれぞれの表面電極7の表面に不純物や吸着ガスなどが付着しており、各電子源素子10aごとに表面電極7の表面状態が異なるので、各電子源素子10aの電子放出特性(駆動電圧−エミッション電流特性)が不均一になり、結果として画素の輝度が不均一になってしまうという不具合があった。
【0015】
また、上記特許文献2に開示されている技術を利用したとしても、配線抵抗のばらつきが低減されるのみであって、各電子源素子10aそれぞれの表面状態に起因した電子放出特性のばらつきを低減することはできない。
【0016】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、表示パネルの電子源として用いる場合に表示パネルの各画素の輝度のばらつきを低減できる電界放射型電子源の調整方法および駆動方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、電界放射により電子線を放射させる多数の電子源素子と電子源素子から放射された電子線により発光する蛍光物質とを備えた表示パネルの電子源として用いられる電界放射型電子源の調整方法であって、調整後において表示パネルにおける各画素それぞれの輝度が各電子源素子の駆動用電極間に印加する駆動電圧を同一としても許容範囲内に入るように、各電子源素子の駆動用電極間へ初期エージング用の調整電圧を印加する調整工程を行うことを特徴とし、各電子源素子へ調整電圧を印加することにより各電子源素子それぞれの電子放出面に付着していた不純物や吸着ガスなどが電子放出面から脱離して電子放出面が清浄化されるので、各電子源素子の電子放出特性を略揃えることができ、表示パネルの電子源として用いる場合に表示パネルの各画素の輝度のばらつきを低減できる。
【0018】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記調整工程では、前記駆動電圧における前記各電子源素子のエミッション電流の電流値が前記許容範囲に応じて設定した規定範囲内に入るまで、前記各電子源素子に前記調整電圧を印加するので、前記各電子源素子それぞれの前記駆動用電極間に前記調整電圧を印加してエミッション電流の電流値を調整すればよいから、調整が容易であり、且つ調整のための特別な装置を必要としない。
【0019】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記規定範囲は、あらかじめ設定した電流基準値の±5%の範囲とするので、前記各電子源素子のエミッション電流の電流値のばらつきをあらかじめ設定した電流基準値の±5%の範囲内に収めることができる。
【0020】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記調整工程では、前記調整電圧の印加以前に前記駆動電圧における前記各電子源素子それぞれのエミッション電流の電流値を測定して得られた最大電流値を前記電流基準値として設定するので、前記各電子源素子のエミッション電流をより大きくすることができる。
【0021】
請求項5の発明は、請求項1の発明において、前記調整工程では、前記駆動電圧における前記各画素の輝度が前記許容範囲内に入るまで、前記各電子源素子に前記調整電圧を印加するので、前記画素ごとに前記蛍光物質の発光特性にばらつきがあっても前記各画素の輝度のばらつきが小さくなるように調整することができる。
【0022】
請求項6の発明は、請求項2または請求項5の発明において、前記調整工程では、前記調整電圧を、前記駆動電圧における画素の輝度が前記許容範囲の下限値に比べて小さいほどパルス幅が大きく設定されたパルス電圧とするので、前記調整工程に要する時間を比較的短くしながらも精密な調整を行うことができる。
【0023】
請求項7の発明は、請求項5または請求項6の発明において、前記許容範囲は、あらかじめ設定した輝度基準値の±5%の範囲とするので、前記各画素の輝度のばらつきをあらかじめ設定した輝度基準値の±5%の範囲内に収めることができる。
【0024】
請求項8の発明は、請求項7の発明において、前記調整工程では、前記調整電圧の印加以前に前記駆動電圧印加時の前記各画素それぞれの輝度を測定して得られた最大輝度を前記輝度基準値として設定するので、前記各画素の輝度をより大きくすることができる。
【0025】
請求項9の発明は、請求項6の発明において、前記パルス幅を輝度の0〜400階調の範囲で設定するので、より精密な調整が可能になるとともに、前記調整電圧の印加時に前記電子源素子が絶縁破壊するのを防止することができる。
【0026】
請求項10の発明は、請求項2または請求項5の発明において、前記調整電圧の電圧値の上限値を前記電子源素子の絶縁耐圧の90%の電圧値とするので、前記調整電圧の電圧値が電源電圧の変動などに起因してやや大きくなっても前記電子源素子が絶縁破壊するのを防止することができる。
【0027】
請求項11の発明は、請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の電界放射型電子源の調整方法によって調整された電界放射型電子源の前記各電子源素子から電子線を放射させる際には前記電子源素子ごとに前記駆動用電極間へ前記駆動電圧を印加することを特徴とし、前記表示パネルの輝度のばらつきを小さくすることができる。
【0028】
請求項12の発明は、請求項11の発明において、前記各電子源素子の前記駆動用電極間へ前記駆動電圧を印加した後には、前記駆動用電極間に前記駆動電圧とは逆極性の逆バイアス電圧を印加するので、前記各電子源素子の長寿命化を図ることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
本実施形態では、まず図4に示す構成の電界放射型電子源10について説明し、その後、電界放射型電子源10の調整方法および駆動方法について説明する。
【0030】
図4に示す電界放射型電子源10は、ガラス基板よりなる絶縁性基板11と、絶縁性基板11の一表面上に列設された複数の導電性層(例えば、n形多結晶シリコン)よりなる下部電極12aと、下部電極12aの間を埋めるノンドープの多結晶シリコンよりなる絶縁部12bと、下部電極12aに重なる形で形成された複数の複合ナノ結晶層(後述の第2の複合ナノ結晶層)よりなるドリフト部6aおよびドリフト部6aの間を埋めるノンドープの多結晶シリコン層よりなる分離部6bとを有する強電界ドリフト層6と、強電界ドリフト層6の上で下部電極12aに交差する方向に形成された複数の表面電極7とを備えている。なお、下部電極12aは帯板状に形成され、長手方向の両端部上にそれぞれパッド27が形成されている。また、表面電極7は帯板状に形成され、長手方向の両端部でそれぞれパッド28に接続されている。
【0031】
ところで、ドリフト部6aは、絶縁性基板11の上記一表面側に下部電極12aを形成した後に絶縁性基板11の上記一表面側に強電界ドリフト層6の元となる半導体層であるノンドープの多結晶シリコン層を堆積させ、当該多結晶シリコン層の一部に後述のナノ結晶化プロセスおよび後述の酸化プロセスを行うことにより形成されており、図5に示すように、少なくとも、下部電極12aの表面側に列設された柱状の多結晶シリコンのグレイン(半導体結晶)51と、グレイン51の表面に形成された薄いシリコン酸化膜52と、グレイン51間に介在する多数のナノメータオーダのシリコン微結晶(半導体微結晶)63と、シリコン微結晶63の表面に形成され当該シリコン微結晶63の結晶粒径よりも小さな膜厚の絶縁膜であるシリコン酸化膜64とから構成されると考えられる。ここに、各グレイン51は、下部電極12aの厚み方向に延びている(つまり、絶縁性基板11の厚み方向に延びている)。
【0032】
なお、上述のナノ結晶化プロセスでは、例えば、55wt%のフッ化水素水溶液とエタノールとを略1:1で混合した混合液よりなる電解液を用い、下部電極12aを陽極とし、電解液中において上記多結晶シリコン層に白金電極よりなる陰極を対向配置して、500Wのタングステンランプからなる光源により上記多結晶シリコン層の主表面に光照射を行いながら、電源から陽極と陰極との間に定電流(例えば、電流密度が12mA/cm2の電流)を所定時間(例えば、10秒)だけ流すことによって、多結晶シリコンのグレイン51およびシリコン微結晶63を含む第1の複合ナノ結晶層をドリフト部6aの形成予定領域に形成する。また、上述の酸化プロセスでは、エチレングリコールからなる有機溶媒中に0.04mol/lの硝酸カリウムからなる溶質を溶かした溶液よりなる電解液を用い、下部電極12aを陽極とし、電解液中において第1の複合ナノ結晶層に白金電極よりなる陰極を対向配置して、下部電極12aを陽極とし、電源から陽極と陰極との間に定電流(例えば、電流密度が0.1mA/cm2の電流)を流し陽極と陰極との間の電圧が20Vだけ上昇するまで第1の複合ナノ結晶層を電気化学的に酸化することによって、上述のグレイン51、シリコン微結晶63、各シリコン酸化膜52,64を含む第2の複合ナノ結晶層からなるドリフト部6aを形成するようになっている。ここにおいて、ノンドープの多結晶シリコン層のうち隣り合うドリフト部6aの間を埋める部分が上述の分離部6bとなる。なお、本実施形態では、上述のナノ結晶化プロセスを行うことによって形成される第1の複合ナノ結晶層においてグレイン51、シリコン微結晶63以外の領域はアモルファスシリコンからなるアモルファス領域となっており、ドリフト部6aにおいてグレイン51、シリコン微結晶63、各シリコン酸化膜52,64以外の領域がアモルファスシリコン若しくは一部が酸化したアモルファスシリコンからなるアモルファス領域65となっているが、ナノ結晶化プロセスの条件によってはアモルファス領域65が孔となり、このような場合の第2の複合ナノ結晶層は従来例と同様の酸化した多孔質多結晶シリコン層と同じ構成とみなすことができる。
【0033】
本実施形態における電界放射型電子源10では、絶縁性基板11の一表面上に列設された複数の下部電極12aと、強電界ドリフト層6上に形成された複数の表面電極7との間に強電界ドリフト層6のドリフト部6aが挟まれているから、表面電極7と下部電極12aとの組を適宜選択して選択した組間に電圧を印加することにより、選択された表面電極7と下部電極12aとの交点に相当する部位のドリフト部6aにのみ強電界が作用して電子が放射される。つまり、表面電極7と下部電極12aとからなるマトリクス(格子)の格子点に、表面電極7と下部電極12aとドリフト部6aとからなる電子源素子10aを1つずつ配置したことに相当し(電子源素子10aをマトリクス状に配置したことに相当し)、電圧を印加する表面電極7と下部電極12aとの組を選択することによって所望の電子源素子10aから電子を放射させることが可能になる。
【0034】
ここに、本実施形態における電子源素子10aでは、次のようなモデルで電子放出が起こると考えられる。すなわち、例えば、図6に示すように、表面電極7に対向配置されたコレクタ電極21を設け、表面電極7とコレクタ電極21との間を真空とした状態で、表面電極7が下部電極12aに対して高電位側となるように表面電極7と下部電極12aとの間に駆動電源Vaから駆動電圧を印加するとともに、コレクタ電極21が表面電極7に対して高電位側となるようにコレクタ電極21と表面電極7との間に直流電圧Vcを印加する。上記駆動電圧および直流電圧Vcを適宜に設定すれば、下部電極12aから注入された電子がドリフト部6aをドリフトし表面電極7を通して放射される(図6中の一点鎖線は表面電極7を通して放出された電子e−の流れを示す)。ここに、表面電極7の厚さは10〜15nm程度に設定されている。なお、本実施形態では、下部電極12a上にドリフト部6aが形成されているが、ドリフト部6aと下部電極12aとの間にノンドープの多結晶シリコン層が介在していてもよい。また、本実施形態では、表面電極7の表面が電子線の放出される電子放出面を構成し、表面電極7と下部電極12aとが電子源素子10aの駆動用電極を構成している。
【0035】
本実施形態の電界放射型電子源10はマルチカラーの画像表示装置の表示パネルにおける電子源として用いるものであって、例えば図7に示した構成の駆動回路30により駆動される。なお、駆動回路30は、複数の表面電極7からなるX電極群の各表面電極7の電位を制御するX制御部33と、複数の下部電極12aからなるY電極群の各下部電極12aの電位を制御するY制御部34と、入力された映像信号をマトリクス電子源10の駆動用の信号に変換する信号処理部31と、信号処理部31により変換された信号に基づいてX制御部33およびY制御部34に指示を与える駆動信号制御部32とを備えている。なお、表示パネルは、電界放射型電子源10にガラス製のフェースプレート40(図4参照)が対向配置されており、フェースプレート40には、図6におけるコレクタ電極21に相当する透明電極からなるアノード電極(図示せず)が設けられている。ここに、フェースプレート40における電界放射型電子源10との対向面には透明な導電膜(例えば、ITO膜)よりなるアノード電極が形成され、アノード電極における電界放射型電子源10との対向面には、画素ごとに形成された蛍光物質と蛍光物質間に形成された黒色材料からなるブラックストライプとが設けられている(蛍光物質およびブラックストライプはフェースプレートにおける表示領域に設けられている)。また、蛍光物質はアノード電極における電界放射型電子源10との対向面に塗布されており、電子源素子10aから放射される電子線によって可視光を発光する。なお、蛍光物質には電子源素子10aから放射されアノード電極に印加された電圧によって加速された高エネルギの電子が衝突するようになっている。蛍光物質としてはR(赤色),G(緑色),B(青色)の各発光色のものを用いている。
【0036】
以下、上述の電界放射型電子源10の出荷前(通常使用前)の調整方法について説明する。なお、ここでは、説明を簡単にするために図2に示すように4つの電子源素子10aを備えた電界放射型電子源10について説明するが、電子源素子10aの数は特に限定するものではない。
【0037】
まず、4つの各電子源素子10aそれぞれの駆動電圧−エミッション電流特性を測定する調整準備工程を行い、調整準備工程での測定結果に基づいて調整工程を行う。
【0038】
調整工程では、事前に行った調整準備工程において、例えば、図1に示すようにそれぞれ異なる駆動電圧−エミッション電流特性A,B,C,Dが得られたとすると、図1中で同一の駆動電圧でのエミッション電流が最も大きな駆動電圧−エミッション電流特性Aが得られた電子源素子10a(ここでは、図2の左上の電子源素子10aとする)を代表電子源源素子10Aとし、図1のBの駆動電圧−エミッション電流特性が得られた電子源素子10a(ここでは、図2の右上の電子源素子10aとする)を調整対象電子源素子10B、図1のCの駆動電圧−エミッション電流特性が得られた電子源素子10a(ここでは、図2の左下の電子源素子10aとする)を調整対象電子源素子10C、図1のDの駆動電圧−エミッション電流特性が得られた電子源素子10a(ここでは、図2の右下の電子源素子10aとする)を調整対象電子源素子10Dとして、調整対象電子源素子10aの駆動電圧−エミッション電流特性B,C,Dを代表電子源素子10Aの駆動電圧−エミッション電流特性Aに近づけるように、調整対象電子源素子10B,10C,10Dの駆動電圧−エミッション電流特性B,C,Dを変化させる。
【0039】
具体的には、駆動電圧−エミッション電流特性Aにおいて基準駆動電圧値(例えば、15V)でのエミッション電流の電流値を基準電流値として、調整対象電子源素子10B,10C,10Dそれぞれを上記基準駆動電圧値で駆動したときのエミッション電流の電流値が規定範囲(基準電流値±5%の範囲)内に入るまで、調整対象電子源素子10B,10C,10Dの駆動電圧−エミッション電流特性B,C,Dを変化させる。なお、上記規定範囲は、表示パネルにおける各画素それぞれの輝度が各電子源素子10aの駆動用電極間に印加する駆動電圧を同一の駆動電圧(例えば、上記基準駆動電圧値)としても許容範囲内に入るように設定する。
【0040】
調整工程において調整対象電子源素子10B,10C,10Dの駆動電圧−エミッション電流特性を変化させるにあたっては、上記基準駆動電圧値における各電子源素子10B,10C,10Dのエミッション電流の電流値が上記許容範囲に応じて設定した規定範囲内に入るまで、調整対象電子源素子10B,10C,10Dそれぞれの表面電極7と下部電極12aとの間に、下部電極12aを基準電位側として図3に示すような電圧波形の調整電圧を印加する。
【0041】
図3に示す調整電圧では、表面電極7が高電位側となる順バイアス電圧の電圧値をV1、下部電極12aが高電位側となる逆バイアス電圧の電圧値をV2、順バイアス電圧のパルス幅をH1、逆バイアス電圧のパルス幅をH2、順バイアス電圧を印加している期間と逆バイアス電圧を印加している期間との間の時間幅をH0とすれば、調整用電子源素子10C,10B,10Dには、順バイアス電圧と逆バイアス電圧とが一定時間(上記時間幅H0)間隔で交互に印加されることになる。
【0042】
調整電圧における順バイアス電圧は、表面電極7の表面を清浄化する(表面電極7の表面に付着している不純物や吸着ガスなどを脱離させる)ために印加する電圧であり、順バイアス電圧の電圧値V1は、上記基準駆動電圧値よりも大きな電圧値(例えば、20V)に設定してある。また、調整電圧における逆バイアス電圧は、順バイアス電圧印加時に電子源素子10aのドリフト部6a中のトラップ(例えば、欠陥、不純物、ダングリングボンドなど)に捕獲された電子をドリフト部6a外に放出させることにより、ドリフト部6a中のトラップに捕獲された電子に起因した電界の緩和を抑制して電子源素子10aの長寿命化を図るために印加する電圧である。ここに、順バイアス電圧が印加される繰り返し周期に対する順バイアス電圧の印加時間の比をデューティ比dとすれば、d=H1/(H1+H2+2H0)と表され、時間幅H0を各パルス幅H1,H2よりも長い時間に設定することが好ましいので、例えば、H1およびH2が10msの場合、H0を40msとすれば、デューティ比dは0.1となる。なお、順バイアス電圧のパルス幅H1と逆バイアス電圧のパルス幅H2とは100μs〜10msの範囲で同じ値に設定してあるが、逆バイアス電圧のパルス幅H2は例えば順バイアス電圧のパルス幅H1の0.5〜2倍程度の値で設定すればよく、順バイアス電圧のパルス幅H1を10msとする場合には逆バイアス電圧のパルス幅H2を5ms〜20msの範囲で設定すればよい。ただし、調整電圧における順バイアス電圧および逆バイアス電圧の各電圧値(絶対値)は、調整工程において電子源素子10aが絶縁破壊しないように、電子源素子10aの絶縁耐圧よりも小さな電圧値に設定する必要があり、調整電圧の電圧値の上限値を電子源素子10aの絶縁耐圧の90%の電圧値に設定しておけば、調整電圧の電圧値が電源電圧の変動などに起因してやや大きくなっても電子源素子10aが絶縁破壊するのを防止することができる。また、逆バイアス電圧の印加時に発生するジュール熱により電子源素子10aがダメージを受けるのを抑制するために、逆バイアス電圧の絶対値を順バイアス電圧の絶対値の50〜100%の範囲で設定することが望ましい。
【0043】
ところで、調整工程では、各調整対象電子源素子10B,10C,10Dそれぞれに上記調整電圧を所定時間(例えば、1分)だけ印加してから各調整対象電子源素子10B,10C,10Dそれぞれの駆動電圧−エミッション電流特性を測定し、上記基準駆動電圧値におけるエミッション電流の電流値が上記規定範囲内に入っているか否かの判定を行い、上記規定範囲内に入っていればその電子源素子10aについては調整を終了し、上記規定範囲内に入っていなければ、上記調整電圧を所定時間だけ印加するステップ、駆動電圧−エミッション電流特性を測定するステップ、上記基準駆動電圧値におけるエミッション電流の電流値が上記規定範囲内に入っているか否かの判定を行うステップを繰り返す。
【0044】
しかして、上述の調整方法によれば、各電子源素子10aへ調整電圧を印加することにより各電子源素子10aそれぞれの電子放出面(表面電極7の表面)に付着していた不純物や吸着ガスなどが電子放出面から脱離して電子放出面が清浄化されるので、各電子源素子10aの電子放出特性(駆動電圧−エミッション電流特性)を略揃えることができ、表示パネルの電子源として用いる場合に表示パネルの各画素の輝度のばらつきを低減できる。ここに、同一の駆動電圧(例えば、上記基準駆動電圧値)における各電子源素子10aのエミッション電流の電流値が上記許容範囲に応じて設定した規定範囲内に入るまで、各電子源素子10aへ調整電圧を印加するようにしているので、各電子源素子10aそれぞれの駆動用電極間に調整電圧を印加してエミッション電流の電流値を調整すればよいから、調整が容易であり、且つ調整のための特別な装置を必要としない。
【0045】
ところで、上述の調整方法により調整した電界放射型電子源10を電子源として用いた表示パネルを上記駆動回路30により駆動する場合には、各電子源素子10aの駆動用電極間に印加する駆動電圧の電圧値V1(図8参照)を上記基準電圧値(例えば、15V)とし、VGAディスプレイの駆動条件で駆動する。すなわち、駆動電圧のパルス幅を64μsec、逆バイアス電圧のパルス幅を64μsec、駆動電圧の繰り返し時間を16.6msecとして、デューティ比を1/256としている。ここにおいて、逆バイアス電圧の絶対値は上記基準電圧値の60%の値(例えば、12V)に設定してある。なお、逆バイアス電圧の絶対値は、図9を参考にして決定した。すなわち、調整後の駆動時に逆バイアス電圧の絶対値を上記基準駆動電圧値の0%、60%、100%として、それぞれ連続駆動した場合のエミッション電流の経時変化を調べた結果、60%の場合(図9中のロ)が0%の場合(図9中のイ)および100%の場合(図9中のハ)に比べてエミッション電流の経時変化が少ないという結果が得られたので、本実施形態では、逆バイアス電圧の絶対値を上記基準駆動電圧値の60%の値に設定している。
【0046】
(実施形態2)
本実施形態の調整方法では、実施形態1と同様に、まず、電界放射型電子源10の各電子源素子10aのエミッション電流−駆動電圧特性を測定する調整準備工程を行い、調整準備工程での測定結果に基づいて調整工程を行う。
【0047】
本実施形態における調整工程では、各電子源素子10aの上記基準駆動電圧値(例えば、15V)でのエミッション電流の電流値が基準電流値(例えば、1.5mA/cm2)±5%の範囲(規定範囲)内に入るまで、各電子源素子10aに順バイアス電圧の電圧値が上記基準駆動電圧値のパルス電圧を印加する。ここに、本実施形態では、調整電圧の順バイアス電圧のパルス幅を、調整準備工程での上記基準駆動電圧値におけるエミッション電流の電流値の測定結果を参照して輝度の0〜400階調に対応する範囲で設定している。具体例としては、基準電流値を1.5mA/cm2として、
エミッション電流値(mA/cm2)×階調値=300
の関係式を満たす階調値に対応したパルス幅を調整電圧のパルス幅としている。例えば、調整準備工程での電子源素子10aの上記基準駆動電圧値におけるエミッション電流の電流値が1.0mA/cm2であれば、その電子源素子10aには、上記基準駆動電圧値での電流値が1.5(mA/cm2)±5%の規定範囲内に入るまで、300階調のパルス幅の調整電圧を印加し、調整準備工程での電子源素子10aの上記基準電圧値におけるエミッション電流の電流値が0.8mA/cm2であれば、その電子源素子10aには、上記基準駆動電圧値での電流値が1.5(mA/cm2)±5%の規定範囲内に入るまで、375階調のパルス幅の調整電圧を印加する。
【0048】
しかして、本実施形態では、調整電圧のパルス幅を輝度の0〜400階調に対応する範囲で設定するので、より精密な調整が可能になるとともに、調整電圧の印加時に電子源素子10aが絶縁破壊するのを防止することができる。
【0049】
(実施形態3)
ところで、実施形態1の調整方法では電界放射型電子源10の各電子源素子10aの駆動電圧−エミッション電流特性を測定して各電子源素子10aそれぞれのエミッション電流の電流値が上記規定範囲内に入るように調整電圧を印加しているので、調整を容易に行うことができるという利点があるが、フェースプレート40(図4参照)側の蛍光物質の発光特性のばらつきにより表示パネルの輝度のばらつきが大きくなってしまう恐れがある。
【0050】
そこで、本実施形態の調整方法では、調整準備工程において、表示パネルの各画素について電子源素子10aの駆動電圧−画素の輝度特性(以下、駆動電圧−輝度特性と称す)を測定し、調整工程において、各画素の輝度が輝度の許容範囲内に入るように、各電子源素子10aそれぞれの駆動用電極間に実施形態1と同様の調整電圧を印加している。
【0051】
ここにおいて、調整準備工程では、各画素ごとに対応する電子源素子10aを使用時の駆動条件(例えば、上記基準駆動電圧値)で駆動して、各画素毎の輝度をフォトディテクタにより測定している。
【0052】
調整工程では、事前に行った調整準備工程において、例えば、図10に示すようにそれぞれ異なる駆動電圧−輝度特性A’,B’,C’,D’が得られたとすると、図10中で同一の駆動電圧(例えば、上記基準駆動電圧値)での輝度が最も大きな駆動電圧−輝度特性A’が得られた電子源素子10a(ここでは、図2の左上の電子源素子10aとする)を代表電子源源素子10Aとし、図10のB’の駆動電圧−輝度電流特性が得られた電子源素子10a(ここでは、図2の右上の電子源素子10aとする)を調整対象電子源素子10B、図10のC’の駆動電圧−輝度特性が得られた電子源素子10a(ここでは、図2の左下の電子源素子10aとする)を調整対象電子源素子10C、図10のD’の駆動電圧−輝度特性が得られた電子源素子10a(ここでは、図2の右下の電子源素子10aとする)を調整対象電子源素子10Dとして、調整対象電子源素子10aの駆動電圧−輝度特性B’,C’,D’を代表電子源素子10Aの駆動電圧−輝度特性A’に近づけるように、調整対象電子源素子10B,10C,10Dの駆動電圧−輝度特性B’,C’,D’を変化させる。
【0053】
具体的には、駆動電圧−輝度特性A’において上記基準駆動電圧値(例えば、15V)のときの輝度を基準輝度値として、調整対象電子源素子10B,10C,10Dそれぞれを上記基準駆動電圧値で駆動したときの輝度が許容範囲(基準輝度値±5%の範囲)内に入るまで、調整対象電子源素子10B,10C,10Dの駆動電圧−輝度特性B’,C’,D’を変化させる。
【0054】
調整工程において調整対象電子源素子10B,10C,10Dの駆動電圧−輝度特性を変化させるにあたっては、上記基準駆動電圧値における各画素の輝度が上記許容範囲内に入るまで、調整対象電子源素子10B,10C,10Dそれぞれの表面電極7と下部電極12aとの間に、下部電極12aを基準電位側として実施形態1で説明した図3に示すような電圧波形の調整電圧を印加する。
【0055】
ところで、調整工程では、各調整対象電子源素子10B,10C,10Dそれぞれに上記調整電圧を所定時間(例えば、1分)だけ印加してから各調整対象電子源素子10B,10C,10Dそれぞれの駆動電圧−輝度特性を測定し、上記基準駆動電圧値における輝度が上記許容範囲内に入っているか否かの判定を行い、上記許容範囲内に入っていればその画素については調整を終了し、上記許容範囲内に入っていなければ、上記調整電圧を所定時間だけ印加するステップ、駆動電圧−輝度特性を測定するステップ、上記基準駆動電圧値における輝度が上記許容範囲内に入っているか否かの判定を行うステップを繰り返す。
【0056】
しかして、上述の調整方法によれば、各電子源素子10aへ調整電圧を印加することにより各電子源素子10aそれぞれの電子放出面に付着していた不純物や吸着ガスなどが電子放出面から脱離して電子放出面が清浄化されるので、各電子源素子10aの電子放出特性(駆動電圧−エミッション電流特性)を略揃えることができ、表示パネルの電子源として用いる場合に表示パネルの各画素の輝度のばらつきを低減できる。ここに、上記基準駆動電圧値における各画素の輝度が許容範囲内に入るまで、各電子源素子10aに調整電圧を印加するようにしているので、画素ごとに蛍光物質の発光特性にばらつきがあっても各画素の輝度のばらつきが小さくなるように調整することができる。ここに、調整工程では、調整のための特別な装置を必要としない。
【0057】
(実施形態4)
本実施形態の調整方法では、実施形態3と同様に、まず、表示パネルの画素ごとに輝度−駆動電圧特性を測定する調整準備工程を行い、調整準備工程での測定結果に基づいて調整工程を行う。
【0058】
本実施形態における調整工程では、各電子源素子10aの上記基準駆動電圧値(例えば、15V)での画素の輝度が基準輝度(例えば、300cd/cm2)±5%の範囲(許容範囲)内に入るまで、各電子源素子10aに順バイアス電圧の電圧値が上記基準駆動電圧値のパルス電圧を印加する。ここに、本実施形態では、調整電圧の順バイアス電圧のパルス幅を、調整準備工程での上記基準駆動電圧値における輝度の測定結果を参照して輝度の0〜400階調に対応する範囲で設定している。具体例としては、基準輝度値を300cd/cm2として、
輝度値(cd/cm2)×階調値=60000
の関係式を満たす階調値に対応したパルス幅を調整電圧のパルス幅としている。例えば、調整準備工程において電子源素子10aを上記基準駆動電圧値で駆動したときの対応する画素の輝度が200cd/cm2であれば、その電子源素子10aには、対応する画素の輝度が300(cd/cm2)±5%の許容範囲内に入るまで、300階調のパルス幅の調整電圧を印加し、調整準備工程において電子源素子10aを上記基準駆動電圧値で駆動したときの対応する画素の輝度が150cd/cm2であれば、その電子源素子10aには、対応する画素の輝度が300(cd/cm2)±5%の許容範囲内に入るまで、400階調のパルス幅の調整電圧を印加する。
【0059】
しかして、本実施形態では、調整電圧のパルス幅を輝度の0〜400階調に対応する範囲で設定するので、より精密な調整が可能になるとともに、調整電圧の印加時に電子源素子10aが絶縁破壊するのを防止することができる。
【0060】
ところで、上述の調整方法により調整した電界放射型電子源10を電子源として用いた表示パネルを上記駆動回路30により駆動する場合には、各電子源素子10aの駆動用電極間に印加する駆動電圧の電圧値V1(図8参照)を上記基準駆動電圧値(例えば、15V)とし、VGAディスプレイの駆動条件で駆動する。すなわち、駆動電圧のパルス幅を64μsec、逆バイアス電圧のパルス幅を64μsec、駆動電圧の繰り返し時間を16.6msecとして、デューティ比を1/256としている。ここにおいて、逆バイアス電圧の絶対値は上記基準電圧値の60%の値(例えば、12V)に設定してある。なお、逆バイアス電圧の絶対値は、図9を参考にして決定した。すなわち、調整後の駆動時に逆バイアス電圧の絶対値を上記基準電圧値の0%、60%、100%として、それぞれ連続駆動した場合のエミッション電流の経時変化を調べた結果、60%の場合がエミッション電流の経時変化が少ないという結果が得られたので、本実施形態では、逆バイアス電圧の絶対値を上記基準電圧値の60%の値に設定している。
【0061】
なお、上記各実施形態では、電子源素子10aが、表面電極7と下部電極12aとの間に表面電極7を高電位側として電圧を印加したときに作用する電界により電子が通過する電子通過層を構成しているが、電子通過層として例えばAl2O3,SiO2などからなる絶縁体層を採用してMIM(Metal−Insulator−Metal)型の電子源素子としてもよい。
【0062】
【発明の効果】
請求項1の発明は、電界放射により電子線を放射させる多数の電子源素子と電子源素子から放射された電子線により発光する蛍光物質とを備えた表示パネルの電子源として用いられる電界放射型電子源の調整方法であって、調整後において表示パネルにおける各画素それぞれの輝度が各電子源素子の駆動用電極間に印加する駆動電圧を同一としても許容範囲内に入るように、各電子源素子の駆動用電極間へ初期エージング用の調整電圧を印加する調整工程を行うことを特徴とし、各電子源素子へ調整電圧を印加することにより各電子源素子それぞれの電子放出面に付着していた不純物や吸着ガスなどが電子放出面から脱離して電子放出面が清浄化されるので、各電子源素子の電子放出特性を略揃えることができ、表示パネルの電子源として用いる場合に表示パネルの各画素の輝度のばらつきを低減できるという効果がある。
【0063】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記調整工程では、前記駆動電圧における前記各電子源素子のエミッション電流の電流値が前記許容範囲に応じて設定した規定範囲内に入るまで、前記各電子源素子に前記調整電圧を印加するので、前記各電子源素子それぞれの前記駆動用電極間に前記調整電圧を印加してエミッション電流の電流値を調整すればよいから、調整が容易であり、且つ調整のための特別な装置を必要としないという効果がある。
【0064】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記規定範囲は、あらかじめ設定した電流基準値の±5%の範囲とするので、前記各電子源素子のエミッション電流の電流値のばらつきをあらかじめ設定した電流基準値の±5%の範囲内に収めることができるという効果がある。
【0065】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記調整工程では、前記調整電圧の印加以前に前記駆動電圧における前記各電子源素子それぞれのエミッション電流の電流値を測定して得られた最大電流値を前記電流基準値として設定するので、前記各電子源素子のエミッション電流をより大きくすることができるという効果がある。
【0066】
請求項5の発明は、請求項1の発明において、前記調整工程では、前記駆動電圧における前記各画素の輝度が前記許容範囲内に入るまで、前記各電子源素子に前記調整電圧を印加するので、前記画素ごとに前記蛍光物質の発光特性にばらつきがあっても前記各画素の輝度のばらつきが小さくなるように調整することができるという効果がある。
【0067】
請求項6の発明は、請求項2または請求項5の発明において、前記調整工程では、前記調整電圧を、前記駆動電圧における画素の輝度が前記許容範囲の下限値に比べて小さいほどパルス幅が大きく設定されたパルス電圧とするので、前記調整工程に要する時間を比較的短くしながらも精密な調整を行うことができるという効果がある。
【0068】
請求項7の発明は、請求項5または請求項6の発明において、前記許容範囲は、あらかじめ設定した輝度基準値の±5%の範囲とするので、前記各画素の輝度のばらつきをあらかじめ設定した輝度基準値の±5%の範囲内に収めることができるという効果がある。
【0069】
請求項8の発明は、請求項7の発明において、前記調整工程では、前記調整電圧の印加以前に前記駆動電圧印加時の前記各画素それぞれの輝度を測定して得られた最大輝度を前記輝度基準値として設定するので、前記各画素の輝度をより大きくすることができるという効果がある。
【0070】
請求項9の発明は、請求項6の発明において、前記パルス幅を輝度の0〜400階調の範囲で設定するので、より精密な調整が可能になるとともに、前記調整電圧の印加時に前記電子源素子が絶縁破壊するのを防止することができるという効果がある。
【0071】
請求項10の発明は、請求項2または請求項5の発明において、前記調整電圧の電圧値の上限値を前記電子源素子の絶縁耐圧の90%の電圧値とするので、前記調整電圧の電圧値が電源電圧の変動などに起因してやや大きくなっても前記電子源素子が絶縁破壊するのを防止することができるという効果がある。
【0072】
請求項11の発明は、請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の電界放射型電子源の調整方法によって調整された電界放射型電子源の前記各電子源素子から電子線を放射させる際には前記電子源素子ごとに前記駆動用電極間へ前記駆動電圧を印加することを特徴とし、前記表示パネルの輝度のばらつきを小さくすることができるという効果がある。
【0073】
請求項12の発明は、請求項11の発明において、前記各電子源素子の前記駆動用電極間へ前記駆動電圧を印加した後には、前記駆動用電極間に前記駆動電圧とは逆極性の逆バイアス電圧を印加するので、前記各電子源素子の長寿命化を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1における調整方法の説明図である。
【図2】同上における調整方法の説明図である。
【図3】同上における調整方法の説明図である。
【図4】同上における電界放射型電子源を用いた表示パネルの概略構成図である。
【図5】同上における電界放射型電子源の動作説明図である。
【図6】同上における電界放射型電子源の動作説明図である。
【図7】同上における電界放射型電子源の駆動回路の概略構成図である。
【図8】同上における駆動方法の説明図である。
【図9】同上における駆動方法の説明図である。
【図10】実施形態2における調整方法の説明図である。
【図11】従来例を示す電界放射型電子源の動作説明図である。
【図12】他の従来例を示す電界放射型電子源の動作説明図である。
【図13】別の従来例を示す電界放射型電子源の概略斜視図である。
【符号の説明】
6 強電界ドリフト層
6a ドリフト部
7 表面電極
10 電界放射型電子源
10a 電子源素子
11 絶縁性基板
12a 下部電極
40 フェースプレート
Claims (12)
- 電界放射により電子線を放射させる多数の電子源素子と電子源素子から放射された電子線により発光する蛍光物質とを備えた表示パネルの電子源として用いられる電界放射型電子源の調整方法であって、調整後において表示パネルにおける各画素それぞれの輝度が各電子源素子の駆動用電極間に印加する駆動電圧を同一としても許容範囲内に入るように、各電子源素子の駆動用電極間へ初期エージング用の調整電圧を印加する調整工程を行うことを特徴とする電界放射型電子源の調整方法。
- 前記調整工程では、前記駆動電圧における前記各電子源素子のエミッション電流の電流値が前記許容範囲に応じて設定した規定範囲内に入るまで、前記各電子源素子に前記調整電圧を印加することを特徴とする請求項1記載の電界放射型電子源の調整方法。
- 前記規定範囲は、あらかじめ設定した電流基準値の±5%の範囲とすることを特徴とする請求項2記載の電界放射型電子源の調整方法。
- 前記調整工程では、前記調整電圧の印加以前に前記駆動電圧における前記各電子源素子それぞれのエミッション電流の電流値を測定して得られた最大電流値を前記電流基準値として設定することを特徴とする請求項3記載の電界放射型電子源の調整方法。
- 前記調整工程では、前記駆動電圧における前記各画素の輝度が前記許容範囲内に入るまで、前記各電子源素子に前記調整電圧を印加することを特徴とする請求項1記載の電界放射型電子源の調整方法。
- 前記調整工程では、前記調整電圧を、前記駆動電圧における画素の輝度が前記許容範囲の下限値に比べて小さいほどパルス幅が大きく設定されたパルス電圧とすることを特徴とする請求項2または請求項5記載の電界放射型電子源の調整方法。
- 前記許容範囲は、あらかじめ設定した輝度基準値の±5%の範囲とすることを特徴とする請求項5または請求項6記載の電界放射型電子源の調整方法。
- 前記調整工程では、前記調整電圧の印加以前に前記駆動電圧印加時の前記各画素それぞれの輝度を測定して得られた最大輝度を前記輝度基準値として設定することを特徴とする請求項7記載の電界放射型電子源の調整方法。
- 前記パルス幅を輝度の0〜400階調の範囲で設定することを特徴とする請求項6記載の電界放射型電子源の調整方法。
- 前記調整電圧の電圧値の上限値を前記電子源素子の絶縁耐圧の90%の電圧値とすることを特徴とする請求項2または請求項5記載の電界放射型電子源の調整方法。
- 請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の電界放射型電子源の調整方法によって調整された電界放射型電子源の前記各電子源素子から電子線を放射させる際には前記電子源素子ごとに前記駆動用電極間へ前記駆動電圧を印加することを特徴とする電界放射型電子源の駆動方法。
- 前記各電子源素子の前記駆動用電極間へ前記駆動電圧を印加した後には、前記駆動用電極間に前記駆動電圧とは逆極性の逆バイアス電圧を印加することを特徴とする請求項11記載の電界放射型電子源の駆動方法。
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