JP2004233656A - レジスト組成物、レジスト積層体、レジストパターンの形成方法、及びイオン注入基板の製造方法 - Google Patents

レジスト組成物、レジスト積層体、レジストパターンの形成方法、及びイオン注入基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、レジスト膜が支持体から割れたり剥離してしまうという問題、特に、比較的大面積で剥離してしまうという問題を解消したレジスト組成物、及びこれを用いたレジスト積層体、レジストパターンの形成方法、及びイオン注入基板の製造方法を提供するを提供する。
【解決手段】支持体上に膜厚1000nmを超え、かつ2000nm以下のレジスト膜を形成するために用いられるレジスト組成物であって、(A)酸の作用によりアルカリ可溶性が変化する樹脂成分と、(B)露光により酸を発生する酸発生剤成分と、(C)有機溶剤とを含み、前記(C)有機溶剤が、(c1)乳酸エチル、及びプレベーク時に乳酸エチルと同等以上に残存しにくい溶剤から選ばれる溶剤と、(c2)プレベーク時に乳酸エチルより残存しやすい溶剤との混合溶剤であるレジスト組成物を製造する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の膜厚のレジスト膜形成用のレジスト組成物であって、半導体素子などの製造において、シリコンウエーハなどの基板にイオン注入を施す場合等にマスクとして好適に用いられる、レジスト組成物に関する。また、該レジスト組成物を用いたレジスト積層体、レジストパターンの形成方法、及びイオン注入基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、酸の作用によりアルカリ可溶性が変化するベース樹脂と、露光により酸を発生する酸発生剤を含有する化学増幅型ポジ型レジスト組成物が知られている(例えば、特許文献1参照)。
化学増幅型レジストの反応機構は、露光すると、レジスト中に配合された酸発生剤が酸を発生し、その酸により樹脂の溶解性が変化するというものである。例えば、樹脂に酸により脱離する溶解抑制基を導入しておくことにより、露光部のみ溶解抑制基が脱離し、現像液への溶解性が大きく増大する。一般的には、露光後に加熱処理することにより該溶解抑制基の脱離やレジスト内の酸の拡散が促進され、従来の非化学増幅型レジストと比較して非常に高い感度を出すことができるものである。
【0003】
近年、このように、高い感度を有する化学増幅型レジストを、基板にイオン注入を施す場合のマスクとして利用することが期待されている。このようなマスクとして化学増幅型レジストを使用する場合、通常の半導体素子製造に用いられるレジストパターンの膜厚(約300〜400nm程度)よりも、ある程度厚く形成することが必要とされている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−162745号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、化学増幅型レジストを用い、イオン注入を施す場合のマスクとして利用が可能である膜厚1000nmを超え、かつ2000nm以下のレジスト膜を形成しようとすると、レジスト膜が割れたり、支持体から剥離してしまうという問題が見受けられた(特に約3μm以上の比較的大面積の角部分)。このようなレジスト膜の割れや剥離、特に比較的大面積での剥離は、半導体デバイスの性能や信頼性、歩留まりなどに大きな影響を与えるので、重要な問題となってしまう。
【0006】
よって、本発明は、膜厚1000nmを超え、かつ2000nm以下のレジスト膜を形成するときに、レジスト膜が割れたり支持体から剥離してしまうという問題、特に、比較的大面積で剥離してしまうという問題を解消したレジスト組成物、及びこれを用いたレジスト積層体、レジストパターンの形成方法、及びイオン注入基板の製造方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記事情に鑑がみ鋭意検討した結果、本発明者らは、樹脂成分と酸発生剤を可溶な溶剤として、プレベークの際に比較的残存しにくい溶剤と残存しやすい溶剤を混合して採用することにより、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明のレジスト組成物は、支持体上に膜厚1000nmを超え、かつ2000nm以下のレジスト膜を形成するために用いられるレジスト組成物であって、(A)酸の作用によりアルカリ可溶性が変化する樹脂成分と、(B)露光により酸を発生する酸発生剤成分と、(C)有機溶剤とを含み、前記(C)有機溶剤が、(c1)乳酸エチル、及びプレベーク時に乳酸エチルと同等以上に残存しにくい溶剤から選ばれる溶剤と、(c2)プレベーク時に乳酸エチルより残存しやすい溶剤との混合溶剤であることを特徴とする。
【0008】
また、本発明のレジスト積層体は、支持体上に、上記本発明のレジスト組成物からなる膜厚1000nmを超え、かつ2000nm以下のレジスト膜が積層されていることを特徴とする。
また、本発明のレジストパターン形成方法は、上記本発明のレジスト組成物を支持体上に塗布し、プレべークし、選択的に露光した後、露光後加熱(PEB)を施し、アルカリ現像してレジストパターンを形成することを特徴とする。
【0009】
また、本発明のイオン注入基板の製造方法は、上記本発明のレジスト組成物を支持体上に塗布し、プレべークし、選択的に露光した後、露光後加熱(PEB)を施し、アルカリ現像してレジストパターンを形成する工程と、形成されたレジストパターンをマスクとしてイオン注入を行う工程とを備えることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
<レジスト組成物>
本発明のレジスト組成物は、(A)酸の作用によりアルカリ可溶性が変化する樹脂成分(以下単に「(A)樹脂成分」と記載する場合がある。)と、(B)露光により酸を発生する酸発生剤成分(以下単に「(B)酸発生剤成分」と記載する場合がある。)と、(C)有機溶剤とを含み、支持体上に膜厚1000nmを超え、かつ2000nm以下のレジスト膜を形成するために用いられるものである。
【0011】
本発明のレジスト組成物は、(A)樹脂成分として、通常、化学増幅型レジスト用のベース樹脂として用いられている、一種又は2種以上のアルカリ可溶性樹脂又はアルカリ可溶性となり得る樹脂を使用することができる。前者の場合はいわゆるネガ型、後者の場合はいわゆるポジ型のレジスト組成物である。本発明のレジスト組成物は、好ましくはポジ型である。
ネガ型の場合、レジスト組成物には、(B)酸発生剤成分と共に架橋剤が配合される。そして、レジストパターン形成時に、露光により(B)酸発生剤成分から酸が発生すると、かかる酸が作用し、(A)樹脂成分と架橋剤間で架橋が起こり、アルカリ不溶性となる。前記架橋剤としては、例えば、通常は、メチロール基又はアルコキシメチル基を有するメラミン、尿素又はグリコールウリルなどのアミノ系架橋剤が用いられる。
ポジ型の場合は、(A)樹脂成分はいわゆる酸解離性溶解抑制基を有するアルカリ不溶性のものであり、露光により(B)酸発生剤成分から酸が発生すると、かかる酸が前記酸解離性溶解抑制基を解離させることにより、(A)樹脂成分がアルカリ可溶性となる。
【0012】
(A)樹脂成分は、ポジ型、ネガ型のいずれの場合にも、(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を含有することが好ましい。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、メタクリル酸とアクリル酸の一方あるいは両方を示す。また、「構成単位」とは、重合体を構成するモノマー単位を示す。(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位とは、(メタ)アクリル酸エステルのエチレン性2重結合が開裂して形成される構成単位であり、以下(メタ)アクリレート構成単位という。
本発明においては、(A)樹脂成分中、(メタ)アクリレート構成単位を好ましくは20モル%以上、より好ましくは50モル%以上含むと好適なレジスト組成物が得られるので、望ましい。
【0013】
ポジ型のレジスト組成物の場合、具体的には、以下の構成単位(a1)を含む樹脂が好ましい。
(a1):酸解離性溶解抑制基を有する(メタ)アクリレート構成単位。
この樹脂は、さらに、任意に下記構成単位(a2)〜(a4)を含んでいてもよい。
(a2):ラクトン単位を有する(メタ)アクリレート構成単位。
(a3):水酸基を有する(メタ)アクリレート構成単位。
(a4):(a1)〜(a3)以外の構成単位。
以下、(a1)〜(a4)の各構成単位について説明する。
【0014】
[(a1)構成単位]
(a1)構成単位は、酸解離性溶解抑制基を有する(メタ)アクリレート構成単位である。「酸解離性溶解抑制基」は、樹脂全体をアルカリに対して不溶性にする作用を有すると共に、酸が作用した際には解離するものである。
この(a1)構成単位を含有することにより、(B)酸発生剤成分から発生した酸が作用したときに、酸解離性溶解抑制基が解離し、(A)樹脂成分全体がアルカリ不溶性の樹脂からアルカリ可溶性の樹脂へと変化する。
酸解離性溶解抑制基としては、例えばArFエキシマレーザーのレジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。一般的には、(メタ)アクリル酸のカルボキシル基と環状又は鎖状の第3級アルキルエステルを形成するものが広く知られている。
【0015】
(a1)構成単位としては、特に、脂肪族多環式基を含有する酸解離性溶解抑制基を含む構成単位を含むことが好ましい。脂肪族多環式基としては、ArFレジストにおいて、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。例えば、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テロラシクロアルカンなどから1個の水素原子を除いた基などを例示できる。
具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。
これらの中でもアダマンタンから1個の水素原子を除いたアダマンチル基、ノルボルナンから1個の水素原子を除いたノルボルニル基、テトラシクロドデカンから1個の水素原子を除いたテトラシクロドデカニル基が工業上好ましい。
【0016】
具体的には、(a1)構成単位が、以下の一般式(I)、(II)又は(III)から選択される少なくとも1種であると好ましい。
【0017】
【化1】
Figure 2004233656
(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは低級アルキル基である。)
【0018】
【化2】
Figure 2004233656
(式中、Rは水素原子又はメチル基、R及びRはそれぞれ独立して低級アルキル基である。)
【0019】
【化3】
Figure 2004233656
(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは第3級アルキル基である。)
【0020】
前記一般式(I)で表される構成単位は、(メタ)アクリレート構成単位に脂肪族環状の炭化水素基がエステル結合したものであって、エステル部の酸素原子(−O−)に隣接するアダマンチル基の炭素原子に、直鎖又は分岐鎖アルキル基が結合することにより、このアダマンチル基の環骨格上に第3級アルキル基が形成される。
式中、Rとしては、炭素数1〜5の低級の直鎖又は分岐状のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられる。中でも、炭素数2以上、好ましくは2〜5のアルキル基が好ましく、この場合、メチル基の場合に比べて酸解離性が高くなる傾向がある。なお、工業的にはメチル基又はエチル基が好ましい。
【0021】
前記一般式(II)で表される(メタ)アクリレート構成単位は、前記一般式(I)と同様に、(メタ)アクリレート構成単位に脂肪族環基を有する炭化水素基が結合したものであって、この場合は、(メタ)アクリレート構成単位のエステル部の酸素原子(−O−)に隣接する炭素原子が第3級アルキル基であり、該アルキル基中に、さらにアダマンチル基のような環骨格が存在するものである。
及びRは、それぞれ独立に、好ましくは炭素数1〜5の低級アルキル基であると好ましい。このような基は、2−メチル−2−アダマンチル基より酸解離性が高くなる傾向がある。
より具体的には、R、Rは、それぞれ独立して、上記Rと同様の低級の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。中でも、R、Rが共にメチル基である場合が工業的に好ましい。
【0022】
前記一般式(III)で表される構成単位は、(メタ)アクリレート構成単位のエステルではなく、別のエステルの酸素原子(−O−)に隣接する炭素原子が第3級アルキル基であり、(メタ)アクリレート構成単位と該エステルとがテトラシクロドデカニル基のような環骨格に連結されているものである。
【0023】
式中、Rは、tert−ブチル基やtert−アミル基のような第3級アルキル基であり、tert−ブチル基である場合が工業的に好ましい。
また、基−COORは、式中に示したテトラシクロドデカニル基の3又は4の位置に結合していてよいが、異性体として共に含まれるのでこれ以上は特定できない。また、(メタ)アクリレート構成単位のカルボキシル基残基は、テトラシクロドデカニル基の9又は10の位置に結合していてよいが、上記と同様に、異性体として共に含まれるので特定できない。
【0024】
これらの中でも、好ましくは一般式(I)、(II)で表される構成単位の少なくとも一方を用いることが好ましい。特に、一般式(I)で表される構成単位を用いることが好ましく、この場合は、Rがメチル基又はエチル基のものが好ましい。また、一般式(I)、(II)の構成単位を両方用いることも好ましく、この場合は、Rがメチル基、R及びRがメチル基である場合が、解像度に優れ、好ましい。
【0025】
(a1)構成単位は、(A)樹脂成分の全構成単位の合計に対して、20〜60モル%、好ましくは30〜50モル%含まれていることが望ましい。下限値以上とすることにより、ポジ型レジスト組成物として用いたときに、ポリマーの溶解性が酸の作用によって変化しやすく解像性に優れる。上限値をこえると他の構成単位とのバランス等の点からレジストパターンと支持体との密着性が劣化するおそれがある。
【0026】
[(a2)構成単位]
(a2)構成単位は、ラクトン単位を有する(メタ)アクリレート構成単位である。「ラクトン単位」とは、単環又は多環式のラクトンから1個の水素原子を除いた極性基である。
(a2)構成単位は、極性基であるラクトン単位を有するため、(A)樹脂成分をポジ型レジスト組成物として用いたときに、レジスト膜と支持体の密着性を高めたり、現像液との親水性を高めるために有効である。
そして、(a2)構成単位は、このようなラクトン単位を備えていれば特に限定するものではない。
ラクトン単位としては、具体的には、以下の構造式を有するラクトンから水素原子を1つを除いた基などが挙げられる。
【0027】
【化4】
Figure 2004233656
【0028】
また、(a2)構成単位において、前記ラクトン単位が、以下の一般式(IV)又は(V)から選択される少なくとも1種であると好ましい。
【0029】
【化5】
Figure 2004233656
【0030】
(a2)構成単位として、さらに具体的には、例えば以下の構造式で表される(メタ)アクリレート構成単位が挙げられる。
【0031】
【化6】
Figure 2004233656
(式中、Rは水素原子又はメチル基である。)
【0032】
【化7】
Figure 2004233656
(式中、Rは水素原子又はメチル基である。)
【0033】
【化8】
Figure 2004233656
(式中、Rは水素原子又はメチル基である。)
【0034】
【化9】
Figure 2004233656
(式中、Rは水素原子又はメチル基、mは0又は1である。)
【0035】
これらの中でも、α炭素にエステル結合を有する(メタ)アクリル酸のγ−ブチロラクトンエステル又は[化6]や[化7]のようなノルボルナンラクトンエステルが、特に工業上入手しやすく好ましい。
【0036】
(a2)構成単位は、(A)樹脂成分を構成する全構成単位の合計に対して、20〜60モル%、好ましくは30〜50モル%含まれていることが望ましい。下限値より小さいと、解像性が低下し、上限値をこえるとレジスト溶剤に溶けにくくなるおそれがある。
【0037】
[(a3)構成単位]
(a3)構成単位は、水酸基を有する(メタ)アクリレート構成単位である。
(a3)構成単位は水酸基を含有するため、(a3)構成単位を用いることにより、(A)樹脂成分全体の現像液との親水性が高まり、露光部におけるアルカリ溶解性が向上する。したがって、(a3)構成単位は解像性の向上に寄与するものである。
(a3)構成単位としては、例えばArFエキシマレーザーのポジ型レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができ、例えば水酸基含有多環式基を含むことが好ましい。
多環式基としては、前記(a1)構成単位の説明において例示したものと同様の多数の脂肪族多環式基から適宜選択して用いることができる。
具体的に、(a3)構成単位としては、水酸基含有アダマンチル基(水酸基の数は好ましくは1〜3、さらに好ましくは1である。)や、カルボキシル基含有テトラシクロドデカニル基(カルボキシル基の数は好ましくは1〜3、さらに好ましくは1である。)を有するものが好ましく用いられる。
さらに具体的には、水酸基含有アダマンチル基などが好ましく用いられる。
【0038】
具体的には、(a3)構成単位が、以下の一般式(VI)で表される構成単位であると、耐ドライエッチング性を上昇させ、パターン断面形状の垂直性を高める効果を有するため、好ましい。
【0039】
【化10】
Figure 2004233656
(式中、Rは水素原子又はメチル基である。)
【0040】
(a3)構成単位は、(A)樹脂成分を構成する全構成単位の合計に対して、5〜50モル%、好ましくは10〜40モル%含まれていることが望ましい。下限値以上とすることにより、ラインエッジラフネス(LER)、すなわち、レジストパターンを形成した際のライン側壁に見られる不均一な凹凸を良好に解消でき、上限値をこえると他の構成単位のバランスの点等からレジストパターン形状が劣化するおそれがある。
【0041】
[(a4)構成単位]
(a4)構成単位は、上記(a1)〜(a3)以外の他の構成単位である。(a4)構成単位は、上述の(a1)〜(a3)の構成単位に分類されない他の構成単位であれば特に限定するものではない。すなわち酸解離性溶解抑制基、ラクトン、水酸基を含有しないものであればよい。
例えば多環式基を含み、かつ(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位、具体的には脂肪族多環式基を含む(メタ)アクリレート構成単位が好ましい。この様な構成単位を用いると、ポジ型レジスト組成物用として用いたときに、孤立パターンからセミデンスパターン(ライン幅1に対してスペース幅が1.2〜2のラインアンドスペースパターン)の解像性に優れ、好ましい。
脂肪族多環式基は、例えば、前記の構成単位(a1)の場合に例示したものと同様のものを例示することができ、ArFポジレジスト材料やKrFポジレジスト材料等として従来から知られている多数のものが使用可能である。
特にトリシクロデカニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデカニル基から選ばれる少なくとも1種以上であると、工業上入手し易いなどの点で好ましい。これら構成単位(a4)として、具体的には、下記(VII)〜(IX)の構造のものを例示することができる。
【0042】
【化11】
Figure 2004233656
(式中Rは水素原子又はメチル基である)
【0043】
【化12】
Figure 2004233656
(式中Rは水素原子又はメチル基である)
【0044】
【化13】
Figure 2004233656
(式中Rは水素原子又はメチル基である)
【0045】
(a4)構成単位は、(A)樹脂成分を構成する全構成単位の合計に対して、1〜30モル%、好ましくは5〜20モル%含まれていることが、孤立パターンからセミデンスパターンの解像性に優れるため望ましい。
【0046】
(A)樹脂成分の構成単位は、(a1)及び(a2)の構成単位に対し、(a3)、(a4)の構成単位を用途等によって適宜選択して組み合わせて用いることができるが、(a1)〜(a4)の構成単位を総て含むものが、耐エッチング性、解像性、レジスト膜と支持体との密着性などから好ましい。
【0047】
(a1)〜(a4)構成単位の組み合わせ及び比率は、要求される特性等によって適宜調整可能である。
(a1)構成単位及び(a2)構成単位の二元系のポリマーの場合、(a1)構成単位を、全構成単位中30〜70モル%、好ましくは40〜60モル%とし、(a2)構成単位を30〜70モル%、好ましくは40〜60モル%とすることが、樹脂の合成における制御がしやすい点で望ましい。
また、(a1)構成単位及び(a2)構成単位に加えて(a3)構成単位を含む三元系の場合は、(a1)構成単位を全構成単位中20〜60モル%、好ましくは30〜50モル%、(a2)構成単位を全構成単位中20〜60モル%、好ましくは30〜50モル%、(a3)構成単位を全構成単位中5〜50モル%、好ましくは10〜40モル%とすることが、耐エッチング性、解像性、密着性、レジストパターン形状の点で好ましい。
また、さらに(a4)構成単位を加えた四元系の場合は、(a1)構成単位を全構成単位中20〜60モル%、好ましくは30〜50モル%、(a2)構成単位を構成単位中20〜60モル%、好ましくは30〜50モル%、(a3)構成単位を全構成単位中5〜50モル%、好ましくは10〜40モル%、(a4)構成単位を全構成単位中1〜30モル%、好ましくは5〜20モル%とすることが、上記特性を維持しつつ、孤立パターン、セミデンスパターンの解像性に優れ好ましい。
【0048】
(A)樹脂成分の(a1)、(a2)、(a3)、(a4)の各構成単位は、各々アクリル酸エステルから誘導される構成単位(以下、各々(a1)、(a2)、(a3)、(a4)と記載する場合がある。)と、メタクリル酸エステルから誘導される構成単位(以下、各々(a1)、(a2)、(a3)、(a4)と記載する場合がある。)の一方あるいは両方を含むものであるが、本発明は、特にメタクリル酸エステルから誘導される構成単位50モル%以上、好ましくは、メタアクリル酸エステルから誘導される単位50〜80モル%であって、アクリル酸エステル単位20〜50モル%を含む共重合体が、解像性に優れ、またLERの低減の点で好ましい。
【0049】
さらに詳しくは、メタアクリル酸エステルから誘導される単位のみの(A)樹脂成分の場合、(a1)構成単位20〜60モル%、好ましくは30〜50モル%、(a2)構成単位20〜60モル%、好ましくは30〜50モル%、及び(a3)構成単位5〜50モル%、好ましくは10〜40モル%からなる共重合体とすることが、解像度、レジストパターン形状などの点から好ましい。
また、(a3)構成単位を加えて配合することは、水酸基が極性基であるため、(A)樹脂成分全体の現像液との親水性を高め、露光部におけるアルカリ溶解性を向上させ、解像性の向上に寄与するので好ましい。
【0050】
(A)樹脂成分の質量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算)は、特に限定するものではないが、好ましくは5000〜30000、さらに好ましくは7000〜15000とされる。この範囲よりも大きいとレジスト溶剤への溶解性が悪くなり、小さいとレジストパターン断面形状が悪くなるおそれがある。
【0051】
次に、(B)酸発生剤成分について説明する。
(B)酸発生剤成分としては、従来化学増幅型レジストにおける酸発生剤として公知のものの中から任意のものを適宜選択して用いることができる。
(B)酸発生剤成分の具体例としては、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−メトキシフェニル)フェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、(p−tert−ブチルフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロブタンスルホネート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネートなどのオニウム塩などを挙げることができる。これらのなかでもフッ素化アルキルスルホン酸イオンをアニオンとするオニウム塩が好ましい。
【0052】
(B)酸発生剤成分は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
その配合量は、(A)樹脂成分100質量部に対し、0.5〜30質量部、好ましくは1〜10質量部とされる。0.5質量部未満ではパターン形成が十分に行われないし、30質量部を超えると均一な溶液が得られにくく、保存安定性が低下する原因となるおそれがある。
【0053】
次に(C)有機溶剤について説明する。
本発明の(C)有機溶剤は、(c1)乳酸エチル、及びプレベーク時に乳酸エチルと同等以上に残存しにくい溶剤から選ばれる溶剤(以下単に「(c1)溶剤」と記載する場合がある。)と、(c2)プレベーク時に乳酸エチルより残存しやすい溶剤(以下単に「(c2)溶剤」と記載する場合がある。)との混合溶剤である。
【0054】
本明細書において、「プレベーク時に残存しにくい溶剤」とは、プレベーク後にレジスト膜中に残存する割合の低い溶剤、すなわちプレベーク時に揮発しやすい溶剤を意味し、「プレベーク時に残存しやすい溶剤」とは、プレベーク後にレジスト膜中に残存する割合の高い溶剤、すなわちプレベーク時に揮発しにくい溶剤を意味する。
ここで、「プレベーク後にレジスト膜中に残存する割合」とは、プレベーク後にレジスト膜中に残存する当該溶剤の量を、当該膜を形成するために用いたレジスト組成物中における当該溶剤の量と対比した割合を意味する。
【0055】
なお、レジスト組成物中の溶剤量は、実際にレジストの調製に用いた溶剤の量から明らかである。また、プレベーク後にレジスト膜中に残存する溶剤の量は、プレべーク後のレジスト膜をこすり削るようにして集め、その後、削り取った膜を溶解可能で後の分析に好適な、例えば、アセトンのような有機溶剤に溶解した試料をガスクロマトグラフィーにより定性及び定量分析することにより求められる。
【0056】
また、当該溶剤の残存しやすさ及び残存しにくさは、乳酸エチルを基準として判断する。すなわち、実際に使用する同一の条件(レジスト組成物の溶剤以外の組成や量、溶剤量、プレベークの温度や時間等)の下で、溶剤が当該溶剤のみからなるレジスト組成物と、溶剤が乳酸エチルのみからなるレジスト組成物とを各々プレベークし、プレベーク後にレジスト膜中に残存する量の多少で判断する。
そして、上記比較条件で、プレベーク後にレジスト膜中に残存する量が乳酸エチルの場合と同じか、それよりも少なくなるような溶剤が、「プレベーク時に乳酸エチルと同等以上に残存しにくい溶剤」であり、プレベーク後に膜に残存する量が乳酸エチルの場合よりも多くなるような溶剤が、「プレベーク時に乳酸エチルより残存しやすい溶剤」((c2)溶剤)である。
【0057】
ところで、ある溶剤の「プレベーク後にレジスト膜中に残存する割合」は、プレベークの温度や時間等によって当然変化する。しかし、上記のように条件を揃えて比較した場合、ある溶剤の乳酸エチルと比較した残存しやすさ、残存しにくさは、プレベークの温度や時間等によらずに一定している。
この残存しやすさ、又は残存しにくさは、溶剤の沸点や蒸気圧等から総合的に決まる各溶剤の性質である。
【0058】
本発明では、(C)有機溶剤に(c2)溶剤が含まれることにより、レジスト膜が割れたり、支持体から剥離してしまうという問題、特に、未露光部となる約3μm以上の比較的大面積で剥離してしまう問題を解決することができる。
これは、プレベークの際に比較的残存しやすい溶剤を含むことにより、乾きすぎによってレジスト膜が固くなりすぎることを回避でき、その結果、その後の熱歪み等の応力の影響を小さくできるためではないかと推定される。
また、(C)有機溶剤に(c1)溶剤が含まれることにより、レジストパターンの形状を良好に保つことが可能となる。(C)有機溶剤が(c2)溶剤のみで、(c1)溶剤を含まない場合はパターンの形状が裾引き状となり、適切な形状を得ることが困難である。これは、プレベーク後に多量の溶剤が残存しすぎるために、酸の拡散が大きくなりすぎるためではないかと推定される。
すなわち、本発明では、(C)有機溶剤に、(c1)溶剤と(c2)溶剤とを共に含ませることによって、良好なパターン形状を確保しながら、レジスト膜の割れや剥離、特に、比較的大面積での剥離を防止することができる。
【0059】
(c1)溶剤の「乳酸エチル、及びプレベーク時に乳酸エチルと同等以上に残存しにくい溶剤」としては、具体的には、乳酸エチル、乳酸ブチル等の乳酸アルキルエステル等が挙げられるが、(c1)溶剤中、乳酸エチル(EL)が50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、100%であることが最も好ましい。乳酸エチル(EL)の比率を高くすることにより、レジスト膜の割れや剥離を防止することができる。
一方、(c2)溶剤の「プレベーク時に乳酸エチル(EL)より残存しやすい溶剤」としては、具体的には、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PM)、γ−ブチロラクトン(GBL)等が挙げられるが、(c2)溶剤中、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PM)、及び/又はγ−ブチロラクトン(GBL)が50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、100%であることが最も好ましい。PM及び/又はGBLの比率が高くすることにより、解像性、良好なパターン形状を確保しながら、レジスト膜の割れを防止することができる。
【0060】
特に好ましい(C)有機溶剤は、(c1)溶剤として乳酸エチル(EL)と、(c2)溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PM)とを混合したものである。
また、(c1)溶剤として乳酸エチル(EL)と、(c2)溶剤としてγ−ブチロラクトン(GBL)とを混合したものも好適に採用できる。
なお、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PM)とγ−ブチロラクトン(GBL)とは、ほぼ同じ残存しやすさであるが、乳酸エチル(EL)とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PM)との混合溶剤の方が、乳酸エチル(EL)とγ−ブチロラクトン(GBL)の混合溶剤よりやや高い効果が得られる。
【0061】
(c1)溶剤の(C)有機溶剤全体に対する割合は、75質量%以上であることが好ましく、75〜95質量%であることがより好ましく、85〜95質量%であることがさらに好ましい。
(c2)溶剤の(C)有機溶剤全体に対する割合は、5〜25質量%であることが好ましい。5質量%以上の(c2)溶剤を含むことにより、レジスト膜の割れや支持体からの剥離、特に、比較的大面積で剥離を有効に防止できる。また、25質量%以下の(c2)溶剤を含むことにより、換言すれば、75質量%以上の(c1)溶剤を含むことにより、レジストパターンの形状が良好となり、解像性を高めることが容易となる。(c2)溶剤の(C)有機溶剤全体に対するより好ましい割合は5〜20質量%、さらに好ましい割合は5〜15質量%である。
特に、(c2)溶剤がプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PM)である場合、(C)有機溶剤全体に対するPMの割合は8〜12質量%であることが最も好ましい。また、(c2)溶剤がγ−ブチロラクトン(GBL)である場合、(C)有機溶剤全体に対するGBLの割合は5〜10質量%であることが最も好ましい。
【0062】
本発明のレジスト組成物は、前記(A)樹脂成分と、前記(B)酸発生剤成分と、後述する任意成分(以下「(D)成分」と記載する場合がある。)とを、この(C)有機溶剤に溶解させて製造することができる。
(C)有機溶剤の配合量は、レジスト組成物の固形分濃度と目的とするレジスト膜厚から、容易に決めることができる。一般的には、(A)樹脂成分を溶解した樹脂溶液として、樹脂の濃度が15〜25質量%となる範囲で用いられる。
【0063】
次に、(D)成分について説明する。
、本発明のレジスト組成物においては、レジストパターン形状、引き置き経時安定性などを向上させるために、任意の成分としてアミン、特に第2級低級脂肪族アミンや第3級低級脂肪族アミン等を含有させることができる。
ここで低級脂肪族アミンとは炭素数5以下のアルキルまたはアルキルアルコールのアミンを言い、この第2級や第3級アミンの例としては、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリぺンチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられるが、特にトリエタノールアミンのようなアルカノールアミンが好ましい。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのアミンは、(A)樹脂成分に対して、通常0.01〜1.0質量%の範囲で用いられる。
【0064】
本発明のレジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤などを添加含有させることができる。
【0065】
本発明のレジスト組成物は、特にArFエキシマレーザーに有用であるが、それより長波長のKrFエキシマレーザーや、それより短波長のFレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、電子線、X線、軟X線などの放射線に対しても有効である。
本発明のレジスト組成物は、支持体上に膜厚1000nmを超え、かつ2000nm以下のレジスト膜を形成するために用いられる。
【0066】
<レジスト積層体>
本発明のレジスト積層体は、支持体上に本発明に係るレジスト組成物からなる膜厚1000nmを超え、かつ2000nm以下のレジスト膜が積層されているものである。このような膜厚のレジスト膜が積層されたレジスト積層体は、イオン注入基板の製造(所謂イオン・インプランテーション工程)等に好適に使用することができる。
膜厚が1000nmを超えることで、イオン・インプラント工程におけるレジスト膜耐性が向上する点で好ましい。また、膜厚を2000nm以下とすることにより、解像性が良好となる点で好ましい。
なお、レジスト膜の膜厚は、1000nmを超え、かつ1500nm以下であることがさらに好ましい。
【0067】
支持体としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたものなどを例示することができる。該基板としては、例えばシリコンウェーハ、銅、クロム、鉄、アルミニウムなどの金属製の基板やガラス基板などが挙げられる。配線パターンの材料としては、例えば銅、ハンダ、クロム、アルミニウム、ニッケル、金などが用いられる。
なお、本発明のレジスト積層体には、レジスト膜がパターン化されている積層体も、パターン化されていない積層体も含まれる。
【0068】
<レジストパターン形成方法>
本発明のレジストパターン形成方法は、例えば以下の様にして行うことができる。
すなわち、まずシリコンウェーハのような基板上に、本発明のレジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、80〜150℃の温度条件下、プレベークを40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施し、レジスト膜を形成する。これに例えばArF露光装置などにより、ArFエキシマレーザー光を所望のマスクパターンを介して選択的に露光した後、80〜150℃の温度条件下、PEB(露光後加熱)を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施す。次いでこれをアルカリ現像液、例えば0.05〜10質量%、好ましくは0.05〜3質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて現像処理する。このようにして、マスクパターンに忠実なレジストパターンを得ることができる。
なお、基板とレジスト組成物の塗布層との間には、有機系または無機系の反射防止膜を設けることもできる。
また、アルカリ現像液は、標準的には2.38質量%の濃度で用いられているが、それよりも希薄な濃度、例えば0.05〜0.5質量%の範囲内の現像液濃度でも現像可能であり、この範囲の濃度ではLERやパターン形状が良好になる傾向がある。
【0069】
本発明レジストパターン形成方法によれば、膜厚1000nmを超え、かつ2000nm以下、好ましくは1000nmを超え、かつ1500nm以下のレジスト膜をパターン化したレジストパターンを形成することができる。このような膜厚のレジストパターンは、イオン注入基板の製造等に好適に使用することができる。
【0070】
<イオン注入基板の形成方法>
本発明のイオン注入基板の形成方法は、本発明のレジストパターン形成方法によって得られるレジストパターンをマスクとしてイオン注入を行うものである。イオン注入は、公知のイオン注入装置を用いて、公知の方法により行うことができる。
【0071】
【実施例】
以下、本発明を実施例を示して詳しく説明する。
各実施例及び比較例においては、以下の(A)樹脂成分、(B)酸発生剤成分、及び(D)成分を(C)有機溶剤に均一に溶解し、ポジ型レジスト組成物を製造した。
・(A)成分:[化14]に示した構成単位n、m、l、kからなるメタアクリル酸エステル系共重合体(質量平均分子量10000)100質量部(n=35モル%、m=35モル%、l=15モル%、k=15モル%)
【0072】
【化14】
Figure 2004233656
【0073】
・(B)酸発生剤成分:トリフェニルスルホニムノナフルオロブタンスルホネート 1.5質量部。
・(C)有機溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PM)と乳酸エチル(EL)との混合溶剤、又はγ−ブチロラクトン(GBL)と乳酸エチル(EL)との混合溶剤 400質量部。
なお、各実施例及び比較例毎の(C)有機溶剤の組成は表1に示した。表1において、PM/ELの欄に数字が記載されている実施例等はPMとELとの混合溶剤、GBL/ELの欄に数字が記載されている実施例等はGBLとELとの混合溶剤を(C)有機溶剤としたものである。また、PM/EL又はGBL/ELの欄に記載した数字は、各々の溶剤の質量比である。
・(D)成分:トリエタノールアミン 0.1質量部。
【0074】
ついで、このポジ型レジスト組成物をスピンナーを用いてシリコンウェーハ上に塗布し、ホットプレート上で135℃、90秒間プレベークし、乾燥することにより、膜厚1400nm(実施例番号の末にaを付す)、又は1050nm(実施例番号の末にbを付す)のレジスト層を形成した。なお、各実施例及び比較例毎の膜厚は、表1に示した。
ついで、ArF露光装置NSR−S−302 (Nikon社製,NA(開口数)=0.60,σ=0.75)により、ArFエキシマレーザー(193nm)を、マスクパターンを介して選択的に照射した。
そして、125℃、90秒間の条件でPEB処理し、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間パドル現像し、その後20秒間水洗して乾燥した。
そして、1400nm、1050nmの各々の膜厚のレジスト膜について、500nm、350nm、及び300nmのラインアンドスペースパターン(1:1)を形成した。
形成した各実施例及び比較例のラインアンドスペースパターンの状態を観察し、下記の評価を行った。結果を表1に示す。
【0075】
【表1】
Figure 2004233656
【0076】
<剥がれ/割れ>
形成した各実施例及び比較例について、未露光の大面積部分(レジストパターン部が3μmの部分)をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察し、剥がれ及び/又は割れの状態を以下の基準で評価した。
○:剥がれ及び/又は割れがほとんど観察されない。
△:剥がれ及び/又は割れが若干観察される。
×:剥がれ及び/又は割れが、高い頻度で観察される。
【0077】
<形状>
形成した各実施例及び比較例について、500nmのラインアンドスペースパターンの断面形状をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察し、以下の基準で評価した。
○:良好な矩形形状である。
△:若干の裾引きが観察される。
×:テーパー形状となり、裾引きも観察される。
【0078】
<解像性>
形成した各実施例及び比較例について、350nm、及び300nmのラインアンドスペースパターンをSEM(走査型電子顕微鏡)で観察し、以下の基準で評価した。
○:350nmだけでなく300nmのラインアンドスペースパターンについても、分離解像性が得られている。
△:350nmのラインアンドスペースパターンについては分離解像性が得られているが、300nmのラインアンドスペースパターンについては分離解像性が得られていない。
×:350nmと300nmのいずれのラインアンドスペースパターンについても、分離解像性が得られていない。
【0079】
表1の結果が示すように、各実施例のように乳酸エチル(EL)に加えて、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PM)、又はγ−ブチロラクトン(GBL)を混合した溶剤を用いた場合、乳酸エチル(EL)のみの比較例1a、1bよりも膜の剥がれや割れを解消できた。すなわち、(c1)溶剤単独の場合よりも、(c1)溶剤と(c2)溶剤の混合溶剤を用いた場合の方が、膜の剥がれや割れを解消できることが明らかとなった。
しかしながら、PMのみを用いた比較例2a、2bでは、膜の剥がれや割れは解消できるものの、パターンの形状や解像性が損ねられた。また、PM又はGBLの混合量が60%である実施例4a、4b、7a、7bでは、他の実施例よりも形状や解像性が劣った。すなわち、(c2)溶剤の混合量が多すぎる場合には、膜の剥がれや割れは解消できるものの、パターンの形状や解像性を損ねることが明らかとなった。
実施例2a、2bに示すように、(c2)溶剤がPMである場合、溶剤全体に対するPMの混合量が10%のときに、パターンの形状、解像性、膜の剥がれや割れの解消の総てについて、最も良い結果が得られた。
また、実施例5a、5b、6a、6bに示すように、(c2)溶剤がGBLである場合、溶剤全体に対するGBLの混合量が5%又は10%のときに、パターンの形状、解像性、膜の剥がれや割れの解消の総てについて、最も良い結果が得られた。
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、膜厚1000nmを超え、かつ2000nm以下のレジスト膜を形成するときに、レジスト膜が割れたり支持体から剥離してしまうという問題、特に、比較的大面積で剥離してしまうという問題を解消したレジスト組成物を提供することができる。また、該レジスト組成物を用いたレジスト積層体、レジストパターンの形成方法、及びイオン注入基板の製造方法を提供することができる。

Claims (13)

  1. 支持体上に膜厚1000nmを超え、かつ2000nm以下のレジスト膜を形成するために用いられるレジスト組成物であって、
    (A)酸の作用によりアルカリ可溶性が変化する樹脂成分と、(B)露光により酸を発生する酸発生剤成分と、(C)有機溶剤とを含み、
    前記(C)有機溶剤が、(c1)乳酸エチル、及びプレベーク時に乳酸エチルと同等以上に残存しにくい溶剤から選ばれる溶剤と、(c2)プレベーク時に乳酸エチルより残存しやすい溶剤との混合溶剤であることを特徴とするレジスト組成物。
  2. 前記(c1)溶剤の50質量%以上が、乳酸エチルである請求項1記載のレジスト組成物。
  3. 前記(c2)溶剤が、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート又はγ−ブチロラクトンである請求項1又は2記載のレジスト組成物。
  4. 前記(c2)溶剤の50質量%以上が、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート又はγ−ブチロラクトンである請求項3に記載のレジスト組成物。
  5. 前記(c1)溶剤の(C)有機溶剤全体に対する割合は、75質量%以上であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のレジスト組成物。
  6. 前記(c2)溶剤の(C)有機溶剤全体に対する割合は、5〜25質量%の範囲であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のレジスト組成物。
  7. 前記(A)樹脂成分が、(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を含有する請求項1〜6の何れかに記載のレジスト組成物。
  8. 前記(A)樹脂成分が、(a1)酸解離性溶解抑制基を有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を含有する請求項7に記載のレジスト組成物。
  9. 前記(A)樹脂成分が、さらに、
    (a2)ラクトン単位を有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を含有する請求項8に記載のレジスト組成物。
  10. 前記(A)樹脂成分が、さらに、
    (a3)水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を含有する請求項8又は請求項9に記載のレジスト組成物。
  11. 支持体上に、請求項1〜10の何れかに記載のレジスト組成物からなる膜厚1000nmを超え、かつ2000nm以下のレジスト膜が積層されていることを特徴とするレジスト積層体。
  12. 請求項1〜10の何れかに記載のレジスト組成物を支持体上に塗布し、プレべークし、選択的に露光した後、露光後加熱(PEB)を施し、アルカリ現像してレジストパターンを形成することを特徴とするレジストパターン形成方法。
  13. 請求項1〜請求項10の何れかに記載のレジスト組成物を支持体上に塗布し、プレべークし、選択的に露光した後、露光後加熱(PEB)を施し、アルカリ現像してレジストパターンを形成する工程と、形成されたレジストパターンをマスクとしてイオン注入を行う工程とを備えることを特徴とするイオン注入基板の製造方法。
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